JP6843577B2 - 容器の部分更新方法 - Google Patents
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Description
このような塔槽類の胴板の部分更新工法の一例として、特許文献1に記載のものが知られている。
この工法は、塔槽類の胴板の一部分の大型円筒状胴板部分を更新する工法であって、更新する前記大型円筒状胴板部分を上下方向に複数個の円筒状胴板部分に分け、この円筒状胴板部分を周方向に部分的に切断して取り除き、取り除いて生じた開口に新規部分胴板を溶接により取り付けることを繰り返すことにより、前記各円筒状胴板部分を順次更新して、前記大型円筒状胴板部分を更新する工法である。
この修復方法は、プレナムチャンバの内壁面から耐摩耗性被覆層を除去し、その後前記プレナムチャンバの変形部を矯正し、その後前記プレナムチャンバの前記内壁面上に複数の補強用リブを溶接し、その後前記複数の補強用リブを含めて前記プレナムチャンバの前記内壁面を新たな耐摩耗性被覆層で被覆する方法である。
また、上述した圧力容器の鏡板部の修復方法において、鏡板部の変形が大きくなって、修復では対応できなくなった場合は、その箇所を部分的に新規部品に交換する必要が生じてくるが、この場合も、胴部(胴板)の場合と同様に、既設部分(切り取った残りの部分)は経年劣化等による変形が激しく、新規部品の形状と正確には合わないため溶接が非常に困難か不可能となる。
前記胴部または前記鏡板部の更新すべき部分を切除する切除工程と、
切除後に残っており、変形が生じている既設部分でかつ前記新規部品との接合部分に複数のスリットを所定間隔で形成するスリット形成工程と、
前記切除工程において切除した部分に前記新規部品を設置する新規部品設置工程と、
隣り合う前記スリット間にある変形片を矯正して、変形が生じている前記既設部分を矯正する矯正工程と、
前記新規部品と矯正された前記既設部分との接合部分を溶接する溶接工程と、を含むことを特徴とする。
前記胴部または前記鏡板部の一部を、更新すべき部分より小さく切除する第1切除工程と、
切除後に残っており、変形が生じている既設部分に、前記新規部品との接合部分を横切る複数のスリットを所定間隔で形成するスリット形成工程と、
隣り合う前記スリット間にある変形片を矯正して、変形が生じている前記既設部分を大まかに矯正する第1矯正工程と、
前記第1切除工程で切除した部分を越えて前記胴部または前記鏡板部の一部を、前記スリットに交差するようにして切除する第2切除工程と、
前記第1切除工程および前記第2切除工程において切除した部分に前記新規部品を設置する新規部品設置工程と、
前記第2切除工程の切除後に残っている隣り合うスリット間にある変形片を矯正して、変形が生じている前記既設部分を矯正する第2矯正工程と、
前記新規部品と矯正された前記既設部分との接合部を溶接する溶接工程と、を含むことを特徴とする。
次に、第2切除工程で、第1切除工程で切除した部分を越えて胴部または鏡板部の一部を、前記スリットに交差するようにして切除し、新規部品設置工程で、第1切除工程および第2切除工程において切除した部分に新規部品を設置し、第2矯正工程で、第2切除工程の切除後に残っている隣り合うスリット間にある変形片を矯正して、変形が生じている既設部分を矯正し、つまり細かく矯正し、溶接工程で、新規部品と矯正された既設部分との接合部分を溶接するので、既設部分の変形が大きい場合でも、容器の胴部または鏡板部の一部を新規部品と交換して確実に溶接できる。
前記新規部品設置工程で設置された新規部品に一端部が固定され、かつ他端部が前記変形片側に配置される固定部と、
前記固定部の前記他端部に螺合され、軸回りに回転されることで、前記変形片を押圧して矯正する押圧部とを備えることを特徴とする。
前記容器の胴部に固定される固定部と、
この固定部に設けられ、前記第1スリット形成工程で形成された隣り合うスリット間にある前記変形片を押圧する押圧部とを備えることを特徴とする。
本実施の形態は、本発明を石油精製装置の常圧蒸留装置や減圧蒸留装置の主蒸留塔の胴部または鏡板部を部分的に更新する場合に適用したものである。
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態は、容器の胴部を部分的に更新した例であり、当該胴部の部分更新方法においては、まず、胴部の腐食等により減肉した部分や変形した部分を調査し、更新する範囲を決定する。
主蒸留塔は、横断面形状が円筒形の大型の塔(蒸留塔)であり、その胴部1の直径はおよそ4〜10m程度のものである。そして、図1に示すように、主蒸留塔の胴部1のうちの上下方向(高さ方向)の中間部の一部分の大型の円筒状胴板部分200を新しいものに更新する。この例では、この更新する大型円筒状胴板部分200は、その寸法が例えば4mを越えるものである。
更新する大型円筒状胴板部分200の上下方向の寸法は例えば9〜12m程度あり、この大型円筒状胴板部分200を上下方向の寸法が3〜4m程度の上側、中、下側の3つの円筒状胴板部分2に分け、上側の円筒状胴板部分2から下側の円筒状胴板部分2に向かって順次更新する。
このため、本実施の形態では、以下のようにして、変形が生じている既設部分10の下端部を矯正する。
次に、図3(c)に示すように、隣り合うスリット11,11間にある変形片12を矯正して、変形が生じている既設部分10を矯正する(矯正工程)。
図4および図5に示すように、矯正治具15は、固定部16と押圧部17とを備えている。固定部16は鋼材等によって断面略L字状に形成されており、その一端部が新規部品設置工程で設置された新規部分胴板3の表面に溶接によって固定されている。
また、固定部16はその他端部にナット16aを備えており、当該ナット16aは固定部16の他端部に溶接によって固定されている。また、ナット16aは変形片12の左右方向略中央部側に配置されている。
変形片12が矯正されると、当該変形片12の下端部が下方に真っすぐに延びるように矯正され、変形片12の表面と新規部分胴板3の表面とがほぼ面一となるとともに、変形片12の下端面と新規部分胴板3の上端面とが僅かな隙間をもって平行に対向する。
中央側の円筒状胴板部分2については、その上下に位置する円筒状胴板部分2,2が新規部品であり、変形は生じていないため、上述したような矯正を行う必要はない。
なお、円筒状胴板部分2の更新は、上側の円筒状胴板部分2から下側の円筒状胴板部分2に向かって順次行う。
したがって、胴部1の部分的に変形した箇所を設計時の寸法、形状に戻すことが可能となるので、新設時と同等の耐圧性能を有する圧力容器の胴部を提供できる。
この場合、円筒状胴板部分2の全体を切除し、変形が生じている既設部分でかつ更新すべき新規円筒状胴板部分との接合部分に複数のスリットを所定間隔で形成し、切除した部分に新規円筒状胴板部を設置し、隣り合うスリット間にある変形片を矯正して、変形が生じている既設部分を矯正し、新規円筒状胴板部と矯正された既設部分との接合部分を溶接すればよい。
図6〜図8は第2の実施の形態を示すものである。本実施の形態では、主蒸留塔(容器)の鏡板部を部分更新する方法について説明する。
鏡板部とは、例えば前記主蒸留塔等の容器の両端部を塞ぐ板状の部材のことであり、平平面視において、円状、楕円状等に形成されている。
図6および図7に示すように、鏡板部20は平面視において略円状に形成されている。鏡板部20は、中央部を構成する鏡板部本体21と、この鏡板部本体21の外周側に設けられて、胴部1に接合される外周部材22とを備えている。
そして、本実施の形態では、鏡板部本体21を新規部品に更新する。
次に、図8に示すように、切除後に残っており、変形が生じている既設部分(外周部材)22でかつ新規部品23との接合部分に複数のスリット25を鏡板部20の周方向に所定間隔で形成する(スリット形成工程)。例えば、図6に示すように、既設部分22を周方向に略3等分し、各部位にそれぞれ複数(本実施の形態では8本または11本)のスリット25を形成する。
この矯正工程では、第1の実施の形態と同様に、矯正治具15を使用し、その固定部16の一端部を新規部品23の外周部の表面に固定し、他端部を変形片26側に配置する。そして、固定部16の他端部にあるナット16aに螺合している押圧部17を回して、当該押圧部17によって変形片26を内側に押圧して矯正する。
このような矯正治具15による矯正を、全ての変形片26に対して行うことによって、変形が生じている既設部分22の下端部を矯正する。
次に、新規部品23と矯正された既設部分22との接合部分を溶接する(溶接工程)とともに各スリット25に溶接金属を流し込んで、当該スリット25を埋めることによって、新規部品23の更新を終了する。
本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
図9および図10は第3の実施の形態を示すものである。本実施の形態では、主蒸留塔(容器)の鏡板部を部分更新する方法について説明する。
次に、図9(b)に示すように、切除後に残っており、変形が生じている既設部分31に、新規部品33(図9(d)参照)との境界部分32を横切る複数のスリット35を鏡板部30の周方向に所定間隔で形成する(スリット形成工程)。スリット35は、孔30aの縁から外周側に放射状に延びるとともに、変形が生じている既設部分31内に設けられている。また、スリット35の長さは変形の大きさや範囲に対応させて形成する。
このような矯正は、図10に示すような矯正治具40を用いて行う。
図10に示すように、矯正治具40は、固定部41と押圧部42とを備えている。固定部41は、H形鋼によって形成されており、その一端部が当て板43を介して胴部1の内周壁に固定されている。固定部41の他端部には、変形片36を押圧する押圧部42が垂設されている。
押圧部42は例えば油圧ジャッキ42によって構成され、この油圧ジャッキ42のピストンロッド42aが上下に伸縮可能となっている。
ピストンロッド42aで押圧される部分は、図9(b)において、孔30aの縁と境界部分32との間に位置する変形片36の部分である。孔30aの縁と境界部分32との間の距離は比較的長いため、この間に位置する変形片36をピストンロッド42aによって確実に押圧することができる。
このような矯正治具40による矯正を、全ての変形片36に対して行うことによって、変形が生じている既設部分31を大まかに矯正する。
これによって、鏡板部30には、新規部品33を嵌め込む(設置する)ための円状の孔30bが形成されるとともに、変形片36の一部(鏡板部30の径方向において半分以上の部分)が切除される。
次に、第2切除工程の切除後に残っている隣り合うスリット35,35間にある変形片36を矯正して、変形が生じている既設部分31を微調整しながら矯正する(第2矯正工程)。
この第2矯正工程では、第1の実施の形態と同様に、矯正治具15を使用し、その固定部16の一端部を新規部品33の外周部の表面に固定し、他端部を変形片36側に配置する。そして、固定部16の他端部にあるナットに螺合している押圧部17を回して、当該押圧部17によって変形片36を押圧して矯正する。
このような矯正治具15による矯正を、全ての変形片36に対して行うことによって、変形が生じている既設部分31を矯正する。
3 新規部分胴板(新規部品)
10 既設部分
11,25,35 スリット
12,26,36 変形片
15 矯正治具
16 固定部
17押圧部
20,30 鏡板部
22 外周部材(既設部分)
23,33 新規部品
31 既設部分
40 矯正治具
41 固定部
42 押圧部
Claims (2)
- 容器の胴部または鏡板部の一部を新規部品に更新する方法であって、
前記胴部または前記鏡板部の更新すべき部分を切除する切除工程と、
切除後に残っており、変形が生じている既設部分でかつ前記新規部品との接合部分に複数のスリットを所定間隔で形成するスリット形成工程と、
前記切除工程において切除した部分に前記新規部品を設置する新規部品設置工程と、
隣り合う前記スリット間にある変形片を矯正して、変形が生じている前記既設部分を矯正する矯正工程と、
前記新規部品と矯正された前記既設部分との接合部分を溶接する溶接工程と、
を含むことを特徴とする容器の部分更新方法。 - 容器の胴部または鏡板部の一部を新規部品に更新する方法であって、
前記胴部または前記鏡板部の一部を、更新すべき部分より小さく切除する第1切除工程と、
切除後に残っており、変形が生じている既設部分に、前記新規部品との接合部分を横切る複数のスリットを所定間隔で形成するスリット形成工程と、
隣り合う前記スリット間にある変形片を矯正して、変形が生じている前記既設部分を大まかに矯正する第1矯正工程と、
前記第1切除工程で切除した部分を越えて前記胴部または前記鏡板部の一部を、前記スリットに交差するようにして切除する第2切除工程と、
前記第1切除工程および前記第2切除工程において切除した部分に前記新規部品を設置する新規部品設置工程と、
前記第2切除工程の切除後に残っている隣り合うスリット間にある変形片を矯正して、変形が生じている前記既設部分を矯正する第2矯正工程と、
前記新規部品と矯正された前記既設部分との接合部を溶接する溶接工程と、
を含むことを特徴とする容器の部分更新方法。
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