JP6843577B2 - 容器の部分更新方法 - Google Patents

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Description

本発明は、圧力容器等の容器の胴部や鏡板部を部分的に更新する容器の部分更新方法およびこの部分更新方法で使用される矯正治具に関する。
石油精製装置の常圧蒸留装置や減圧蒸留装置の主蒸留塔などの塔槽類等の圧力容器では、長年の使用により胴板(胴部)や鏡板部の一部分が腐食したり、変形した場合、その箇所を部分的に新規部品に更新(交換)したり、修復する必要がある。
このような塔槽類の胴板の部分更新工法の一例として、特許文献1に記載のものが知られている。
この工法は、塔槽類の胴板の一部分の大型円筒状胴板部分を更新する工法であって、更新する前記大型円筒状胴板部分を上下方向に複数個の円筒状胴板部分に分け、この円筒状胴板部分を周方向に部分的に切断して取り除き、取り除いて生じた開口に新規部分胴板を溶接により取り付けることを繰り返すことにより、前記各円筒状胴板部分を順次更新して、前記大型円筒状胴板部分を更新する工法である。
また、圧力容器の鏡板部(例えば流動接触分解装置用再生塔のプレナムチャンバ)の修復方法の一例として、特許文献2に記載のものが知られている。
この修復方法は、プレナムチャンバの内壁面から耐摩耗性被覆層を除去し、その後前記プレナムチャンバの変形部を矯正し、その後前記プレナムチャンバの前記内壁面上に複数の補強用リブを溶接し、その後前記複数の補強用リブを含めて前記プレナムチャンバの前記内壁面を新たな耐摩耗性被覆層で被覆する方法である。
特開2009−209649号公報 特許5764516号公報
ところで、上述した塔槽類の胴板の部分更新工法において、変形箇所を部分的に新規部品に交換する場合に、既設部分(切り取った残りの部分)は経年劣化等による変形が激しく、新規部品の円弧形状と正確には合わないため溶接が非常に困難か不可能となり、場合によっては、既設部分の全体の取り換えが必要であり、費用面で大きな負担になっていた。
また、上述した圧力容器の鏡板部の修復方法において、鏡板部の変形が大きくなって、修復では対応できなくなった場合は、その箇所を部分的に新規部品に交換する必要が生じてくるが、この場合も、胴部(胴板)の場合と同様に、既設部分(切り取った残りの部分)は経年劣化等による変形が激しく、新規部品の形状と正確には合わないため溶接が非常に困難か不可能となる。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、容器の胴部または鏡板部の一部を新規部品と交換して確実に溶接できる容器の部分更新方法およびこの方法において使用される矯正治具を提供することを目的としている。
前記目的を達成するために本発明に係る容器の部分更新方法は、容器の胴部または鏡板部の一部を新規部品に更新する方法であって、
前記胴部または前記鏡板部の更新すべき部分を切除する切除工程と、
切除後に残っており、変形が生じている既設部分でかつ前記新規部品との接合部分に複数のスリットを所定間隔で形成するスリット形成工程と、
前記切除工程において切除した部分に前記新規部品を設置する新規部品設置工程と、
隣り合う前記スリット間にある変形片を矯正して、変形が生じている前記既設部分を矯正する矯正工程と、
前記新規部品と矯正された前記既設部分との接合部分を溶接する溶接工程と、を含むことを特徴とする。
本発明においては、切除工程で、胴部または鏡板部の更新すべき部分を切除し、スリット形成工程で、切除後に残っており、変形が生じている既設部分でかつ前記新規部品との接合部分に複数のスリットを所定間隔で形成し、新規部品設置工程で、切除工程において切除した部分に新規部品を設置し、矯正工程で、隣り合うスリット間にある変形片を矯正して、変形が生じている既設部分を矯正し、溶接工程で、新規部品と矯正された既設部分との接合部分を溶接するので、容器の胴部または鏡板部の一部を新規部品と交換して確実に溶接できる。
本発明に係る別の容器の部分更新方法は、容器の胴部または鏡板部の一部を新規部品に更新する方法であって、
前記胴部または前記鏡板部の一部を、更新すべき部分より小さく切除する第1切除工程と、
切除後に残っており、変形が生じている既設部分に、前記新規部品との接合部分を横切る複数のスリットを所定間隔で形成するスリット形成工程と、
隣り合う前記スリット間にある変形片を矯正して、変形が生じている前記既設部分を大まかに矯正する第1矯正工程と、
前記第1切除工程で切除した部分を越えて前記胴部または前記鏡板部の一部を、前記スリットに交差するようにして切除する第2切除工程と、
前記第1切除工程および前記第2切除工程において切除した部分に前記新規部品を設置する新規部品設置工程と、
前記第2切除工程の切除後に残っている隣り合うスリット間にある変形片を矯正して、変形が生じている前記既設部分を矯正する第2矯正工程と、
前記新規部品と矯正された前記既設部分との接合部を溶接する溶接工程と、を含むことを特徴とする。
本発明においては、第1切除工程で胴部または前記鏡板部の一部を、更新すべき部分より小さく切除し、スリット形成工程で、切除後に残っており、変形が生じている既設部分に、新規部品との接合部分を横切る複数のスリットを所定間隔で形成するので、隣り合うスリット間にある変形片は、第2切除工程の切除後に残っている隣り合うスリット間にある変形片より大きいものとなる。したがって、第1矯正工程で、この大きい変形片を矯正して、変形が生じている前記既設部分を大まかに矯正することができるので、既設部分の変形が大きい場合に、まず、この変形を大まかに矯正できる。
次に、第2切除工程で、第1切除工程で切除した部分を越えて胴部または鏡板部の一部を、前記スリットに交差するようにして切除し、新規部品設置工程で、第1切除工程および第2切除工程において切除した部分に新規部品を設置し、第2矯正工程で、第2切除工程の切除後に残っている隣り合うスリット間にある変形片を矯正して、変形が生じている既設部分を矯正し、つまり細かく矯正し、溶接工程で、新規部品と矯正された既設部分との接合部分を溶接するので、既設部分の変形が大きい場合でも、容器の胴部または鏡板部の一部を新規部品と交換して確実に溶接できる。
また、本発明に係る矯正治具は、上述した容器の部分更新方法で使用される矯正治具であって、
前記新規部品設置工程で設置された新規部品に一端部が固定され、かつ他端部が前記変形片側に配置される固定部と、
前記固定部の前記他端部に螺合され、軸回りに回転されることで、前記変形片を押圧して矯正する押圧部とを備えることを特徴とする。
本発明においては、容器の部分更新方法中の矯正工程または第2矯正工程において、矯正治具の固定部を設置された新規部品に固定したうえで、押圧部によって変形片を押圧することで、変形片を容易に矯正することができる。
また、本発明に係る別の矯正治具は、上述した容器の部分更新方法で使用される矯正治具であって、
前記容器の胴部に固定される固定部と、
この固定部に設けられ、前記第1スリット形成工程で形成された隣り合うスリット間にある前記変形片を押圧する押圧部とを備えることを特徴とする。
本発明においては、容器の部分更新方法中の第1矯正工程において、矯正治具の固定部を容器の胴部に固定したうえで、押圧部によって変形片を押圧することで、変形片を容易に大まかに矯正することができる。
本発明によれば、容器の胴部または鏡板部の一部を新規部品と交換して確実に溶接できる。
本発明の第1の実施の形態を示すもので、上側の円筒状胴板部分の更新工程を示す斜視図である。 同、変形している既設部分と新規部品との接合部付近を示す要部の断面図である。 同、胴部の部分更新方法の工程を示すもので、(a)は変形している既設部分にスリットを形成した状態を示す要部の正面図、(b)は切除した部分に新規部品を設置した状態を示す要部の正面図、(c)は既設部分を矯正している状態を示す要部の正面図、(d)は既設部分と新規部品とを溶接した状態を示す要部の正面図である。 同、矯正治具を取り付けた状態を示す要部の断面図である。 同、矯正治具を取り付けた状態を示す要部の正面図である。 本発明の第2の実施の形態を示すもので、鏡板部を示す平面図である。 同、鏡板部を示す断面図である。 同、鏡板部を示す要部の斜視図である。 本発明の第3の実施の形態の鏡板部の部分更新方法の工程を示すもので、(a)は、鏡板部の一部を更新すべき部分より小さく切除した状態を示す平面図、(b)は変形している既設部分にスリットを形成した状態を示す平面図、(c)は鏡板部の一部をスリットに交差するようにして切除した状態を示す平面図、(d)は既設部分を矯正している状態を示す平面図、(e)は既設部分と新規部品とを溶接した状態を示す平面図である。 本発明の第3の実施の形態を示すもので、矯正治具を取り付けた状態を示す要部の断面図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
本実施の形態は、本発明を石油精製装置の常圧蒸留装置や減圧蒸留装置の主蒸留塔の胴部または鏡板部を部分的に更新する場合に適用したものである。
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態は、容器の胴部を部分的に更新した例であり、当該胴部の部分更新方法においては、まず、胴部の腐食等により減肉した部分や変形した部分を調査し、更新する範囲を決定する。
主蒸留塔は、横断面形状が円筒形の大型の塔(蒸留塔)であり、その胴部1の直径はおよそ4〜10m程度のものである。そして、図1に示すように、主蒸留塔の胴部1のうちの上下方向(高さ方向)の中間部の一部分の大型の円筒状胴板部分200を新しいものに更新する。この例では、この更新する大型円筒状胴板部分200は、その寸法が例えば4mを越えるものである。
この主蒸留塔の胴部の部分更新方法においては、更新する大型円筒状胴板部分200を上下方向に複数個の円筒状胴板部分2に分け、各円筒状胴板部分2を順次更新して、大型円筒状胴板部分200を更新する。
更新する大型円筒状胴板部分200の上下方向の寸法は例えば9〜12m程度あり、この大型円筒状胴板部分200を上下方向の寸法が3〜4m程度の上側、中、下側の3つの円筒状胴板部分2に分け、上側の円筒状胴板部分2から下側の円筒状胴板部分2に向かって順次更新する。
各円筒状胴板部分2を更新する場合、円筒状胴板部分2を周方向に複数個に均等に分割した場合に得られる形状の分割板を新たに製作し、円筒状胴板部分2を周方向に部分的に切断して除去(切除)すること(切除工程)で、生じた開口6に、この新規部分胴板(新規部品)3を嵌め込んで溶接することを繰り返すことにより、円筒状胴板部分2を新たな円筒状胴板部分に変更する。
上側の円筒状胴板部分2を更新する際に、新規部分胴板3を開口(切除した部分)6に嵌め込む(設置する)場合、図2に示すように、前記切除工程における切除後に残っており、変形が生じている既設部分10の下端部が外側に捲れるように変形していると、この下端部と新規部分胴板3との接合部がぴったりと合っていないため、当該接合部を溶接できなくなる。
このため、本実施の形態では、以下のようにして、変形が生じている既設部分10の下端部を矯正する。
まず、図3(a)に示すように、前記切除工程における切除後に残っており、変形が生じている既設部分10でかつ新規部分胴板3(図2参照)との接合部、つまり既設部分10の下端部に、複数のスリット11を胴部1の周方向に所定間隔で形成する(スリット形成工程)。このスリット11の長さは50mm〜150mmとなっており、変形のサイズに合わせてある。また、隣り合うスリット11,11間の間隔は100mm〜200mmとなっており、変形の状態に合わせてある。
次に、図3(b)に示すように、切除工程において切除した部分(開口)6に新規部分胴板3を嵌め込んで設置する(新規部品設置工程)。新規部分胴板3は、図1に示すように、縦長でかつ断面が円弧状の円弧状板となっている。隣り合うスリット11,11間にある変形片12は外側に捲れるように変形しているため、変形片12と新規部分胴板3との間には若干の隙間が生じている。
次に、図3(c)に示すように、隣り合うスリット11,11間にある変形片12を矯正して、変形が生じている既設部分10を矯正する(矯正工程)。
このような矯正は、図4および図5に示すような矯正治具15を用いて行う。
図4および図5に示すように、矯正治具15は、固定部16と押圧部17とを備えている。固定部16は鋼材等によって断面略L字状に形成されており、その一端部が新規部品設置工程で設置された新規部分胴板3の表面に溶接によって固定されている。
また、固定部16はその他端部にナット16aを備えており、当該ナット16aは固定部16の他端部に溶接によって固定されている。また、ナット16aは変形片12の左右方向略中央部側に配置されている。
押圧部17はボルトによって構成されており、当該ボルトの雄ねじ部がナット16aに螺合されている。そして、押圧部17の頭部を作業者がレンチ等の工具によって回すことによって、当該押圧部17の先端部によって変形片12を内側(胴部1の内側)に向けて押圧することで、当該変形片12を内側に曲げて矯正する。
変形片12が矯正されると、当該変形片12の下端部が下方に真っすぐに延びるように矯正され、変形片12の表面と新規部分胴板3の表面とがほぼ面一となるとともに、変形片12の下端面と新規部分胴板3の上端面とが僅かな隙間をもって平行に対向する。
そして、このような矯正治具15による矯正を、全ての変形片12に対して行うことによって、変形が生じている既設部分10の下端部を矯正する(矯正工程)。この場合、1つの矯正治具15を用いて、全ての変形片12に対して順次矯正を行ってもよいし、矯正治具15を複数用意しておき、各矯正治具15によってそれぞれの変形片12に対して矯正を行ってもよい。
また、既設部分10の下端部が内側に撓むように変形している場合も上述した場合と同様にしてスリット11を複数形成し、隣り合うスリット11,11間にある変形片12を矯正する。この場合、矯正治具15の固定部16の一端部を新規部分胴板3の裏面に溶接によって固定し、押圧部17によって変形片12を内側から外側に向けて押圧して矯正すればよい。
このようにして、全ての変形片12を矯正した後、図3(d)に示すように、新規部分胴板3と矯正された既設部分10の下端部との接合部分を溶接するとともに、各スリット11に溶接金属を流し込んで、当該スリット11を埋める。
上述したような、切除工程、スリット形成工程、新規部品設置工程、矯正工程および溶接工程を、図1に示すように、上側の円筒状胴板部分2に対して行うとともに、周方向に隣り合う新規部分胴板3,3どうしを溶接によって接合することで、当該上側の円筒状胴板部分2の更新が終了する。
また、下側の円筒状胴板部分2については、それより下方にある既設部分10の上端部が変形している場合は、上述した場合と同様にして、既設部分10の上端部を矯正し、当該既設部分10の上端部と新規部分胴板3との接合部分を溶接するとともに、各スリットに溶接金属を流し込んで、当該スリットを埋めることによって、下側の円筒状胴板部分2の更新を行う。
中央側の円筒状胴板部分2については、その上下に位置する円筒状胴板部分2,2が新規部品であり、変形は生じていないため、上述したような矯正を行う必要はない。
なお、円筒状胴板部分2の更新は、上側の円筒状胴板部分2から下側の円筒状胴板部分2に向かって順次行う。
本実施の形態によれば、切除工程で、胴部1の更新すべき部分を切除し、スリット形成工程で、切除後に残っており、変形が生じている既設部分10でかつ新規部分胴板3との接合部分に複数のスリット11を所定間隔で形成し、新規部品設置工程で、切除工程において切除した部分(開口6)に新規部分胴板3を設置し、矯正工程で、隣り合うスリット11,11間にある変形片12を矯正して、変形が生じている既設部分10を矯正し、溶接工程で、新規部分胴板3と矯正された既設部分10との接合部分を溶接するので、容器の胴部1の一部を新規部分胴板3と交換して確実に溶接できる。
したがって、胴部1の部分的に変形した箇所を設計時の寸法、形状に戻すことが可能となるので、新設時と同等の耐圧性能を有する圧力容器の胴部を提供できる。
また、矯正工程において、矯正治具15の固定部16を設置された新規部分胴板3に固定したうえで、押圧部17によって変形片12を押圧することで、変形片12を容易に矯正することができる。
なお、本実施の形態では、円筒状胴板部分2を周方向に部分的に切断して除去(切除)すること(切除工程)で、生じた開口6に、この新規部分胴板(新規部品)3を嵌め込んで溶接することを繰り返すことにより、円筒状胴板部分2を新たな円筒状胴板部分に変更するようにしたが、胴部1が小径の場合は、円筒状胴板部分2を周方向に部分的に切除することなく、そのまま更新してもよい。
この場合、円筒状胴板部分2の全体を切除し、変形が生じている既設部分でかつ更新すべき新規円筒状胴板部分との接合部分に複数のスリットを所定間隔で形成し、切除した部分に新規円筒状胴板部を設置し、隣り合うスリット間にある変形片を矯正して、変形が生じている既設部分を矯正し、新規円筒状胴板部と矯正された既設部分との接合部分を溶接すればよい。
(第2の実施の形態)
図6〜図8は第2の実施の形態を示すものである。本実施の形態では、主蒸留塔(容器)の鏡板部を部分更新する方法について説明する。
鏡板部とは、例えば前記主蒸留塔等の容器の両端部を塞ぐ板状の部材のことであり、平平面視において、円状、楕円状等に形成されている。
図6は鏡板部を示す平面図、図7は同断面図である。
図6および図7に示すように、鏡板部20は平面視において略円状に形成されている。鏡板部20は、中央部を構成する鏡板部本体21と、この鏡板部本体21の外周側に設けられて、胴部1に接合される外周部材22とを備えている。
そして、本実施の形態では、鏡板部本体21を新規部品に更新する。
まず、図6および図7に示すように、鏡板部20の更新すべき部分、つまり鏡板部本体21を切除する(切除工程)。
次に、図8に示すように、切除後に残っており、変形が生じている既設部分(外周部材)22でかつ新規部品23との接合部分に複数のスリット25を鏡板部20の周方向に所定間隔で形成する(スリット形成工程)。例えば、図6に示すように、既設部分22を周方向に略3等分し、各部位にそれぞれ複数(本実施の形態では8本または11本)のスリット25を形成する。
次に、切除工程において切除した部分に新規部品23を設置する(新規部品設置工程)。その後、隣り合うスリット25,25間にある変形片26を矯正して、変形が生じている既設部分22を矯正する(矯正工程)。
この矯正工程では、第1の実施の形態と同様に、矯正治具15を使用し、その固定部16の一端部を新規部品23の外周部の表面に固定し、他端部を変形片26側に配置する。そして、固定部16の他端部にあるナット16aに螺合している押圧部17を回して、当該押圧部17によって変形片26を内側に押圧して矯正する。
このような矯正治具15による矯正を、全ての変形片26に対して行うことによって、変形が生じている既設部分22の下端部を矯正する。
次に、新規部品23と矯正された既設部分22との接合部分を溶接する(溶接工程)とともに各スリット25に溶接金属を流し込んで、当該スリット25を埋めることによって、新規部品23の更新を終了する。
本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
(第3の実施の形態)
図9および図10は第3の実施の形態を示すものである。本実施の形態では、主蒸留塔(容器)の鏡板部を部分更新する方法について説明する。
まず、図9(a)に示すように、鏡板部30の一部を、更新すべき部分より小さく切除する(第1切除工程)。具体的には、鏡板部30の変形している既設部分31の一部を含んで、鏡板部30の一部を当該鏡板部30と同心の平面視円板状に切除する。なお、この切除した部分は円状の孔30aとなっている。
次に、図9(b)に示すように、切除後に残っており、変形が生じている既設部分31に、新規部品33(図9(d)参照)との境界部分32を横切る複数のスリット35を鏡板部30の周方向に所定間隔で形成する(スリット形成工程)。スリット35は、孔30aの縁から外周側に放射状に延びるとともに、変形が生じている既設部分31内に設けられている。また、スリット35の長さは変形の大きさや範囲に対応させて形成する。
次に、隣り合うスリット35,35間にある変形片36を矯正して、変形が生じている既設部分31を大まかに矯正する(第1矯正工程)。
このような矯正は、図10に示すような矯正治具40を用いて行う。
図10に示すように、矯正治具40は、固定部41と押圧部42とを備えている。固定部41は、H形鋼によって形成されており、その一端部が当て板43を介して胴部1の内周壁に固定されている。固定部41の他端部には、変形片36を押圧する押圧部42が垂設されている。
押圧部42は例えば油圧ジャッキ42によって構成され、この油圧ジャッキ42のピストンロッド42aが上下に伸縮可能となっている。
そして、押圧部(油圧ジャッキ)42のピストンロッド42aが下方に伸びることによって、当該ピストンロッド42aの先端部(下端部)によって変形片36を外側(下側)に向けて押圧することで、大まかに矯正する。
ピストンロッド42aで押圧される部分は、図9(b)において、孔30aの縁と境界部分32との間に位置する変形片36の部分である。孔30aの縁と境界部分32との間の距離は比較的長いため、この間に位置する変形片36をピストンロッド42aによって確実に押圧することができる。
変形片36がピストンロッド42aの押圧によって大まかに矯正されると、当該変形片36の位置や形状が鏡板部30の設計時における当該位置および形状に近づく。そして、変形片36の寸法および位置を測定して、矯正が予定どおりになされたか否かを確認し、なされていなかった場合には、再び矯正を行って確認する。
このような矯正治具40による矯正を、全ての変形片36に対して行うことによって、変形が生じている既設部分31を大まかに矯正する。
次に、図9(c)に示すように、第1切除工程で切除した部分を越えて鏡板部30の一部を、スリット35に交差するようにして切除する(第2切除工程)。具体的には、第1切除工程で切除した部分(孔30a)より外周側にある鏡板部30の一部を平面視円環状に、かつスリット35に交差するようにして、前記境界部分32に沿って切除する。
これによって、鏡板部30には、新規部品33を嵌め込む(設置する)ための円状の孔30bが形成されるとともに、変形片36の一部(鏡板部30の径方向において半分以上の部分)が切除される。
次に、図9(d)に示すように、第1切除工程および第2切除工程において切除した部分、つまり孔30bに新規部品33を嵌め込んで設置する(新規部品設置工程)。この新規部品33は例えば胴部1に設けた支持部からワイヤ等によって上から吊り下げておく。
次に、第2切除工程の切除後に残っている隣り合うスリット35,35間にある変形片36を矯正して、変形が生じている既設部分31を微調整しながら矯正する(第2矯正工程)。
この第2矯正工程では、第1の実施の形態と同様に、矯正治具15を使用し、その固定部16の一端部を新規部品33の外周部の表面に固定し、他端部を変形片36側に配置する。そして、固定部16の他端部にあるナットに螺合している押圧部17を回して、当該押圧部17によって変形片36を押圧して矯正する。
このような矯正治具15による矯正を、全ての変形片36に対して行うことによって、変形が生じている既設部分31を矯正する。
最後に、図9(e)に示すように、新規部品33と矯正された既設部分31との接合部分および新規部品33と孔30bの縁部とを溶接する(溶接工程)とともに各スリット35に溶接金属を流し込んで、当該スリット35を埋めることによって、新規部品33の更新を終了する。
本実施の形態によれば、第1切除工程で鏡板部30の一部を、更新すべき部分より小さく切除し、スリット形成工程で、切除後に残っており、変形が生じている既設部分31に、新規部品33との接合部分を横切る複数のスリット35を所定間隔で形成するので、隣り合うスリット35,35間にある変形片36は、第2切除工程の切除後に残っている隣り合うスリット35,35間にある変形片36より大きいものとなる。したがって、第1矯正工程で、この大きい変形片36を矯正して、変形が生じている既設部分31を大まかに矯正することができるので、既設部分31の変形が大きい場合に、まず、この変形を大まかに矯正できる。
次に、第2切除工程で、第1切除工程で切除した部分を越えて鏡板部30の一部を、スリット35に交差するようにして切除し、新規部品設置工程で、第1切除工程および第2切除工程において切除した部分(孔30b)に新規部品33を設置し、第2矯正工程で、第2切除工程の切除後に残っている隣り合うスリット35,35間にある変形片36を矯正して、変形が生じている既設部分31を矯正する、つまり微調整しながら細かく矯正し、溶接工程で、新規部品33と矯正された既設部分31との接合部分を溶接するので、既設部分31の変形が大きい場合でも、鏡板部30の一部を新規部品33と交換して確実に溶接できる。
また、第1矯正工程において、矯正治具40の固定部41を胴部1に固定したうえで、押圧部42によって変形片36を押圧することで、変形片36を容易に大まかに矯正することができる。
なお、本実施の形態では、図10に示すように、既設部分31が胴部1の内側(図10では上側)に変形している場合を例にとって説明したが、既設部分31が外側(図10では下側)に変形している場合でも、同様に矯正して、鏡板部30の一部を新規部品に更新することができる。この場合、矯正治具40を鏡板部30の下側に設置し、矯正治具15を鏡板部30の下面に設ければよい。
1 胴部
3 新規部分胴板(新規部品)
10 既設部分
11,25,35 スリット
12,26,36 変形片
15 矯正治具
16 固定部
17押圧部
20,30 鏡板部
22 外周部材(既設部分)
23,33 新規部品
31 既設部分
40 矯正治具
41 固定部
42 押圧部

Claims (2)

  1. 容器の胴部または鏡板部の一部を新規部品に更新する方法であって、
    前記胴部または前記鏡板部の更新すべき部分を切除する切除工程と、
    切除後に残っており、変形が生じている既設部分でかつ前記新規部品との接合部分に複数のスリットを所定間隔で形成するスリット形成工程と、
    前記切除工程において切除した部分に前記新規部品を設置する新規部品設置工程と、
    隣り合う前記スリット間にある変形片を矯正して、変形が生じている前記既設部分を矯正する矯正工程と、
    前記新規部品と矯正された前記既設部分との接合部分を溶接する溶接工程と、
    を含むことを特徴とする容器の部分更新方法。
  2. 容器の胴部または鏡板部の一部を新規部品に更新する方法であって、
    前記胴部または前記鏡板部の一部を、更新すべき部分より小さく切除する第1切除工程と、
    切除後に残っており、変形が生じている既設部分に、前記新規部品との接合部分を横切る複数のスリットを所定間隔で形成するスリット形成工程と、
    隣り合う前記スリット間にある変形片を矯正して、変形が生じている前記既設部分を大まかに矯正する第1矯正工程と、
    前記第1切除工程で切除した部分を越えて前記胴部または前記鏡板部の一部を、前記スリットに交差するようにして切除する第2切除工程と、
    前記第1切除工程および前記第2切除工程において切除した部分に前記新規部品を設置する新規部品設置工程と、
    前記第2切除工程の切除後に残っている隣り合うスリット間にある変形片を矯正して、変形が生じている前記既設部分を矯正する第2矯正工程と、
    前記新規部品と矯正された前記既設部分との接合部を溶接する溶接工程と、
    を含むことを特徴とする容器の部分更新方法。
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