JP6021467B2 - 溶接方法、金属部材補修方法及び台座部形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、溶接方法、金属部材補修方法及び台座部形成方法に関するものである。
鉄鋼構造物、鋼管又は原子炉圧力容器などの金属部材は、表面に割れなどの欠陥が生じた場合、欠陥部分を除去し、肉盛溶接によって補修が行われる場合がある。
炭素鋼や低合金鋼など、温度変化によって変態が生じる材料に対して補修溶接を行う場合、溶接部の機械的性能を改善するため、溶接後に熱処理(焼き戻し)を実施する必要があるが、既設構造物では熱処理が実施できない場合がある。そこで、溶接後熱処理を不要とする溶接方法(テンパービード法)が知られている。テンパービード法は、図22に示すように、1層目で硬化した溶接熱影響部(HAZ)を後続パスの熱サイクルで焼き戻す溶接方法である。従来のテンパービード法によれば、図21に示すような、母材3の定常部10で機械的性能を改善することが知られている。
特許文献1には、テンパービード工法の発明であって、母材中の硬化域の焼き戻しを簡便かつ確実に行うことを目的とする技術について開示されている。
特開2007−130654号公報
従来のテンパービード法による溶接方法は、積層高さを揃えるために、溶接ビード2をハーフラップさせて積み重ねていく。しかし、ハーフラップで積み重ねると、定常部10はきちんと焼き戻されるが、余盛部1の端部に位置する母材3の非定常部11はビード2の重なりが甘くなるために、焼き戻されにくくなる。
しかし、非定常部11まで機械的性能を改善する方法の報告は、わずかである。そして、この知られている方法についても、異材継手において、溶接ビードの始終端部を、溶接後熱処理が不要な材料に逃がす方法であり、本質的な解決ではない。
そこで、非定常部11でも焼戻し効果が得られる溶接ビード2の積層方法を確立する必要がある。通常は、2層目以降を可能な限り1層目の端に重ねる方法が考えられるが、その重ねる方法は明確になったものはない。また、下の層の端にビード2を合わせようとすると、上の層のビード2が落ちる可能性が高く、通常、特許文献1に示すように、当て材が必要である。
さらに、溶接条件(入熱)は層毎で変更することもあり、積層方法も都度検討が必要となるため、溶接条件が変化しても適切に焼戻し効果がある積層方法の決め方が必要となる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、焼き戻されにくい余盛部の端部に位置する母材の領域についても焼き戻されやすくすることが可能な溶接方法、金属部材補修方法及び台座部形成方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の溶接方法、金属部材補修方法及び台座部形成方法は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明に係る溶接方法は、複数の層のビードを重ねることによって余盛部を形成し前記余盛部の端部に位置する母材の硬化域を焼き戻す溶接方法であって、第1の層の第1ビードの上に施される第2の層の第2ビードを形成する際に母材において生じ、焼き戻しに適した温度を有する軟化域の幅を、前記第2ビードを形成する際の入熱量に基づいて算出し、前記余盛部の端部における前記第2ビードの前記第1ビードに対する高さ方向のずらし量又は幅方向のずらし量を、算出された前記軟化域の幅に基づいて決定するステップと、前記ずらし量に基づいて、前記第2ビードを形成するステップとを含む。
この発明によれば、溶接においてビードを形成する際に、焼き戻しに適した温度を有する軟化域が母材において生じるところ、第1ビードの上に施される第2ビードの第1ビードに対する高さ方向のずらし量又は幅方向のずらし量は、第2ビードの軟化域に基づいて決定される。そして、決定されたずらし量に基づいて第2ビードが形成されることから、第1ビードを形成する際に生じた母材における硬化域を焼き戻すことが可能になる。
上記発明において、ビードを形成する際に生じる硬化域が前記母材と重なるか否かを判断するステップと、前記硬化域が前記母材と重ならない場合、前記第1ビードに対する前記第2ビードの高さ方向のずらし量又は幅方向のずらし量を0mmに決定するステップを更に含んでもよい。
この発明によれば、第2ビードの第1ビードに対する高さ方向のずらし量又は幅方向のずらし量が0mmであることから、ビードの形状に応じて、効率的に母材を焼き戻すことができる。
本発明に係る金属部材補修方法は、上述の溶接方法を用いて、複数のビードを一方向に形成する第1ステップと、前記第1ステップで形成された前記複数のビードを除去する第2ステップとを含む。
この発明によれば、複数のビードを一方向に形成することにより、金属部材を焼き戻すことができ、形成された複数のビードを除去することよって、焼き戻された金属部材を得ることができる。
上記発明において、前記第1ステップで前記複数のビードを形成する際に前記母材において生じた硬化域と重なるように、請求項1又は2に記載の溶接方法を用いて、複数のビードを閉ループ形状に形成する第3ステップを更に含んでもよい。
この発明によれば、第1ステップで母材において硬化域が生じた場合でも、硬化域と重なるように複数のビードを閉ループ形状に形成することにより、金属部材を焼き戻すことができる。
本発明に係る台座部形成方法は、上述の溶接方法を用いて、前記母材上に複数のビードを閉ループ形状に形成するステップと、閉ループ形状に形成された領域の内部に複数のビードを形成して台座部を形成するステップとを含む。
この発明によれば、複数のビードを閉ループ形状に形成することにより、金属部材を焼き戻すことができ、かつ、焼き戻された状態の金属部材に台座部を形成することができる。
本発明に係る台座部形成方法は、上述の溶接方法を用いて、前記母材上に複数のビードを一方向に形成する第1ステップと、前記第1ステップで形成された前記複数のビードを除去する第2ステップと、上述の溶接方法を用いて、前記母材上に複数のビードを閉ループ形状に形成する第3ステップと、閉ループ形状に形成された領域の内部に複数のビードを形成して台座部を形成する第4ステップとを含む。
この発明によれば、第1ステップで複数のビードを一方向に形成することにより、金属部材を焼き戻すことができ、第2ステップで形成された複数のビードを除去することよって、焼き戻された金属部材を得ることができる。そして、第1ステップで母材において硬化域が生じた場合でも、第3ステップで硬化域と重なるように複数のビードを閉ループ形状に形成することにより、金属部材を焼き戻すことができ、かつ、第4ステップで焼き戻された状態の金属部材に台座部を形成することができる。
本発明によれば、焼き戻されにくい余盛部の端部に位置する母材の領域についても焼き戻されやすくすることができる。
本発明の一実施形態に係る溶接方法によって形成された余盛部及び母材を示す縦断面図である。 本発明の一実施形態に係る溶接方法によって形成された余盛部及び母材を示す縦断面図である。 母材上のビードを示す縦断面図である。 母材上のビードを示す縦断面図である。 母材上のビード及び積み重ねられたビードを示す模式図である。 母材上のビード及び積み重ねられたビードを示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る溶接方法によって形成された余盛部及び母材を示す縦断面図である。 本発明の一実施形態に係る溶接方法によって形成された余盛部及び母材を示す縦断面図である。 母材を示す平面図(A)及び側面図(B)である。 余盛部及び母材を示す平面図(A)及び側面図(B)である。 母材を示す平面図(A)及び側面図(B)である。 余盛部及び母材を示す平面図(A)及び側面図(B)である。 母材を示す平面図(A)及び側面図(B)である。 母材を示す平面図(A)及び側面図(B)である。 余盛部及び母材を示す平面図(A)及び側面図(B)である。 母材を示す平面図(A)及び側面図(B)である。 余盛部及び母材を示す平面図(A)及び側面図(B)である。 台座部及び母材を示す平面図(A)及び側面図(B)である。 台座部及び母材を示す平面図(A)及び側面図(B)である。 台座部及び母材を示す平面図(A)及び側面図(B)である。 従来の溶接方法によって形成された余盛部及び母材を示す縦断面図である。 母材上のビード及び積み重ねられたビードを示す模式図である。
以下に、本発明に係る実施形態について、図面を参照して説明する。
[焼き戻し溶接方法]
まず、本実施形態に係る焼き戻し溶接方法について説明する。
本実施形態に係る焼き戻し溶接方法は、溶接等によって加熱処理されて変態が生じやすい炭素鋼や低合金鋼などの金属部材を焼き戻す際に適用される。例えば、溶接によって金属部材を補修する場合や金属部材表面に台座部を形成する場合に用いられる。特に、該当する金属部材を取り外すことができない既設構造物での焼き戻し作業に適している。
本実施形態に係る焼き戻し溶接方法は、金属部材を補修する場合、図1及び図2に示すように、損傷部分に肉盛溶接(バタリング溶接)を施した後、さらに肉盛溶接を実施して余盛部1を形成し、母材3の硬化部分を焼き戻す。また、金属部材表面に台座部を形成する場合、母材3の表面の所定部分に肉盛溶接を実施して余盛部1を形成し、母材3の硬化部分を焼き戻す。
母材3のうちビード2が複数層重ねられている領域(以下「定常部10」という。)は、積層部分の熱が伝達されて適切に焼き戻される。一方、複数の層を重ねるため、余盛部1の端部はビード2がずれて重ねられる。母材3のうちビード2がずれて重ねられている領域(以下「非定常部11」という。)は、上の積層部分の熱が母材3に届かず、焼き戻されにくい。
そこで、まず、余盛部1の端部のビード2の重ね方、すなわち、ある層(以下「第1の層」という。)のビード2と、第1の層の上に施される第1の層に隣接する第2の層のビード2のずらし量を決定する。
ビード2の高さ方向のずらし量X又は幅方向のずらし量X(図3及び図4参照)は、新たなビード2を生成する際に母材3において生じ、焼き戻しに適した温度(例えば600℃〜900℃)を有する焼き戻し温度域(以下「軟化域13」という。)に基づいて決定される。すなわち、ビード2を生成する際の入熱量が考慮されて、ずらし量X,Xが決定される。
溶接の入熱による板の各部の最高到達温度は、下記の式(1)で表される。
Figure 0006021467
(溶接全書3(溶接変形・残留応力)産報出版 佐藤ら著より)
ここで、T:温度(K)、k:熱拡散率(cm2/min)、t:時間(min)、c:比熱(kJ/kg・K)、ρ:密度(kg/cm3)、r:距離(cm)、Q:単位長さ当たりの入熱(kJ/cm)(=電流(A)×電圧(V)÷速度(cm/min))である。
式(1)を時間tで微分し、極大値を求める(下記の(2)式を解く)ことで、最高到達温度と位置の関数となる下記の式(3)が導かれる。
Figure 0006021467
Figure 0006021467
ここで、θm:最高到達温度(K)、θ0:初期温度(K)、θf:融点(K)、r:距離(cm)である。
そして、焼き戻し効果があると考えられる600℃〜900℃の温度域となる軟化域13の幅Rは、
R=r(θm=600℃)−r(θm=900℃) ・・・(4)
で表される。なお、最高到達温度は、入熱によって変化するが、上記式(1)と式(3)では溶接条件が変化しても対応でき、都度軟化域13の幅Rを求めることができる。
ビード2の高さ方向のずらし量X又は幅方向のずらし量Xは、上記式(4)の寸法R以下となるように決定される。すなわち、第1の層の上に施される第2の層のビード2による軟化域13が、第1層のビード2による軟化域13と僅かに重なり合うか、または、第2の層のビード2による軟化域13の外側境界線が、第1層のビード2による軟化域13の内側境界線と接触するように、ずらし量X,Xが決定される。
ビード2の高さ方向のずらし量Xは、通常、ほぼ各ビード2の高さHとなる。そこで、各ビード2の高さHは、上記式(4)の寸法R以下となるようにする。
R≧X≒H
具体的には、溶接時のワイヤ供給量を制御して、各ビード2の高さHが、寸法R以下となるように制限する。これにより、第2の層のビード2による軟化域13が、第1層のビード2による硬化域12に重なり、第2の層のビード2を形成する際に硬化域12を焼き戻すことができる。
上述のとおり決定されたずらし量Xを用いて、第1の層の上に第2の層のビード2を形成する。
そして、第2の層の上に施される第3の層のビード2についても、上記ずらし量X,Xで形成することによって、第2の層のビード2による硬化域12を焼き戻すことができる。また、第3の層のビード2は、第1の層のビード2による硬化域12の幅が軟化域13の幅よりも広いため、第2の層のビード2では焼き戻しできていなかった、第1の層のビード2による硬化域12も焼き戻すことができる。
このようにして、複数の層のビード2を形成していくことによって、従来の重ね方では焼き戻されにくかった非定常部11を焼き戻すことができる。
非定常部11を焼き戻すため、図7及び図8に示すように、第1のビード2に対する第2のビード2の幅方向のずらし量Xを0mmに決定にしてもよい。ずらし量Xを0mmにする層は、焼き戻しが効果的に行われるように、ビード2の形状、すなわち、ビード2による硬化域12や軟化域13の形状によって決定される。
ただし、ずらし量Xを0mmに決定する層は、図5及び図6に示すように、ずらし量Xを0mmにしても、ビード2が母材3を溶融せずにビード2が母材3に掛からない層、かつ、第2の層のビード2による硬化域12の外側境界線が、初層のビード2に掛かる層とする。図5は、ずらし量Xを0mmに決定してもよい状態を示し、図6は、反対にずらし量Xを0mmに決定することが好ましくない状態を示している。図5では、ある層での硬化域12の外側境界線が、1層目のビード2に掛かっており、硬化域12は母材3に重なっていない。図6では、ある層での硬化域12の外側境界線が、1層目のビード2よりも外側に位置しており、硬化域12が母材3に重なっている。
なお、複数の層を積層する際、二つ以上の層でずらし量Xを0mmとしてもよい。このようにずらし量Xを調整して、複数の層のビード2を形成していくことによって、従来の重ね方では焼き戻されにくかった非定常部11を焼き戻すことができる。
[金属部材補修方法]
次に、上述した焼き戻し溶接方法を用いて、金属部材の部分的な損傷部位を補修する方法について説明する。
まず、図9に示すように、損傷部を含む領域を、溶接によって補修が可能になる形状にするため、金属部材のうち損傷部を含む領域を除去して開先部14を形成する。
その後、上述した焼き戻し溶接方法でずらし量X,Xを決定し、決定したずらし量X,Xで、図10に示すように、複数のビード2を一方向に形成する肉盛溶接を実施する。その結果、母材3の定常部だけでなく非定常部11Aにおいても焼き戻すことができる。但し、各ビード2の始端及び終端に該当する領域の母材3は、非定常部11Bになるため、非定常部11Bに対して焼き戻しを施す必要がある。
そこで、まず、図11に示すように、肉盛溶接による余盛部1を切削して除去する。そして、非定常部11Bを含む領域に対して、上述した焼き戻し溶接方法でずらし量X,Xを決定し、決定したずらし量X,Xで、複数のビード2を円周形状に外周側から形成する肉盛溶接を実施する。なお、このとき複数のビード2によって形成される形状は、円形状に限られず、始端及び終端が生じないような閉ループの形状であればよい。その結果、円周の外周部分における非定常部11Cにおいても焼き戻すことができる。
なお、円周の内周部分における非定常部11Dについては、適切に焼き戻されないため、損傷部位を肉盛溶接する際の溶加材は、熱によって組織が変態しないオーステナイト単層などの材料を用いることが望ましい。オーステナイト単層の材料は、以後熱がかかっても焼き戻しによる熱処理を要しない。したがって、円周形状にビード2による複数の層を形成する場合、図12に示すように、余盛部1の内周部分における端部は、従来のずらし量(例えばハーフラップ)でビード2を重ねてもよい。
そして、図13に示すように、円周形状に形成した肉盛溶接による余盛部1を切削して除去する。これにより、焼き戻しの必要な領域を残さずに、金属部材の表面が平滑に仕上げられる。
上述した金属部材補修方法は、補修対象となる金属部材の表面が、溶接後熱処理が必要な材料である場合に行われるものである。図14に示すように、補修対象となる金属部材の表面が、溶接後熱処理が不要な材料15で覆われている場合は、上述した金属部材補修方法を用いなくてもよい。すなわち、図15に示すように、複数のビード2を一方向に形成する肉盛溶接を実施した場合、溶接後熱処理が不要な材料15の非定常部11Aにおいても焼き戻しが不要になるうえ、ビード2の始端及び終端に該当する領域の母材3の非定常部11Bについても、焼き戻しが不要になる。そして、図16に示すように、円周形状に形成した肉盛溶接による余盛部1を切削して除去することにより、焼き戻しの必要な領域を残さずに、金属部材の表面が平滑に仕上げられる。
[台座部形成方法]
次に、上述した焼き戻し溶接方法を用いて、金属部材表面に台座部を形成する方法について説明する。
図19に示すように、台座部4は、金属部材にパイプ5等を接続する際に、金属部材表面に設けられる。本実施形態では、上述した溶接後熱処理が不要な溶接方法を用いることから、新たに台座部4を形成したとしても、別途の焼き戻しが不要になる。従来、金属部材に直接パイプ5等を溶接によって接続すると焼き戻しが必要であった。一方、台座部4が設けられることによって、金属部材が熱によって変態することがなくなるため、パイプ5等を接続する際も、金属部材における焼き戻しが不要になる。
台座部4を形成する場所、図17に示すように、補修対象に予め溶接後熱処理が不要な材料16が存在している場合には、溶接後熱処理が不要な材料16を囲む領域に対して、上述した焼き戻し溶接方法でずらし量X,Xを決定し、決定したずらし量X,Xで、複数のビード2を円周形状に外周側から形成する肉盛溶接を実施する。その結果、円周形状の余盛部1の外周部分における非定常部11Cが焼き戻される。
また、円周形状の余盛部1の内周部分における非定常部11Dについては、予め溶接後熱処理が不要な材料16が存在していることから、図17に示すように、従来のずらし量X,Xでビード2を重ねても焼き戻しが不要である。その後、図18に示すように、余盛部1の内周部分を肉盛溶接することによって台座部4を形成する。
上述した台座部形成方法では、金属部材に予め溶接後熱処理が不要な材料16が存在する場合について説明したが、既設構造物に台座部4を新たに設ける場合について説明する。
まず、溶接後熱処理が不要な材料が存在する領域を、溶接によって設置することが可能になる形状にするため、図9に示すように、金属部材のうち所定領域を除去して開先部14を形成する。
その後、上述した焼き戻し溶接方法でずらし量X,Xを決定し、決定したずらし量X,Xで、図10に示すように、複数のビード2を一方向に形成する肉盛溶接を実施する。このとき、肉盛溶接する際の溶加材は、熱によって組織が変態しないオーステナイト単層などの材料を用いる。その結果、開先部14内部は、溶接後熱処理が不要な材料によって埋められる。
また、溶接後熱処理が不要な溶接方法によるため、母材3の定常部だけでなく非定常部11Aにおいても焼き戻すことができる。但し、各ビード2の始端及び終端に該当する領域の母材3は、非定常部11Bになるため、非定常部11Bに対して焼き戻しを施す必要がある。
そこで、まず、図11に示すように、肉盛溶接による余盛部1を切削して除去する。そして、図12に示すように、非定常部11Bを含む領域に対して、上述した方法でずらし量X,Xを決定し、決定したずらし量X,Xで、複数のビードを円周形状に外周側から形成する肉盛溶接を実施する。
その結果、円周形状の余盛部1の外周部分における非定常部11Cにおいて焼き戻すことができる。また、余盛部1の内周部分については、予め溶接後熱処理が不要な材料が存在することから、図12に示すように、従来のずらし量でビードを重ねても焼き戻しが不要である。その後、図20に示すように、円周の内周部分を肉盛溶接することによって台座部を形成する。
上述した焼き戻し溶接方法は、通常用いられる溶接装置のほかに、ずらし量X,Xを決定し、決定されたずらし量X,Xで溶接装置を駆動する制御部を備えることで実現できる。制御部は、例えば、プログラムが実行されるコンピュータである。溶接装置は、肉盛溶接を行うことができるTIG溶接、アーク溶接などを実施できる装置である。
1 余盛部
2 ビード
3 母材
10 定常部
11 非定常部

Claims (6)

  1. 複数の層のビードを重ねることによって余盛部を形成し前記余盛部の端部に位置する母材の硬化域を焼き戻す溶接方法であって、
    第1の層の第1ビードの上に施される第2の層の第2ビードを形成する際に母材において生じ、焼き戻しに適した温度を有する軟化域の幅を、前記第2ビードを形成する際の入熱量に基づいて算出し、
    前記余盛部の端部における前記第2ビードの前記第1ビードに対する高さ方向のずらし量又は幅方向のずらし量を、算出された前記軟化域の幅に基づいて決定するステップと、
    前記ずらし量に基づいて、前記第2ビードを形成するステップと、
    を含む溶接方法。
  2. ビードを形成する際に生じる硬化域が前記母材と重なるか否かを判断するステップと、
    前記硬化域が前記母材と重ならない場合、
    前記第1ビードに対する前記第2ビードの高さ方向のずらし量又は幅方向のずらし量を0mmに決定するステップを更に含む請求項1に記載の溶接方法。
  3. 請求項1又は2に記載の溶接方法を用いて、複数のビードを一方向に形成する第1ステップと、
    前記第1ステップで形成された前記複数のビードを除去する第2ステップと、
    を含む金属部材補修方法。
  4. 前記第1ステップで前記複数のビードを形成する際に前記母材において生じた硬化域と重なるように、請求項1又は2に記載の溶接方法を用いて、複数のビードを閉ループ形状に形成する第3ステップを更に有する請求項3に記載の金属部材補修方法。
  5. 請求項1又は2に記載の溶接方法を用いて、前記母材上に複数のビードを閉ループ形状に形成するステップと、
    閉ループ形状に形成された領域の内部に複数のビードを形成して台座部を形成するステップと、
    を含む台座部形成方法。
  6. 請求項1又は2に記載の溶接方法を用いて、前記母材上に複数のビードを一方向に形成する第1ステップと、
    前記第1ステップで形成された前記複数のビードを除去する第2ステップと、
    請求項1又は2に記載の溶接方法を用いて、前記母材上に複数のビードを閉ループ形状に形成する第3ステップと、
    閉ループ形状に形成された領域の内部に複数のビードを形成して台座部を形成する第4ステップと、
    を含む台座部形成方法。
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