JPH08323473A - 炭素鋼材等における肉盛り溶接法 - Google Patents

炭素鋼材等における肉盛り溶接法

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JPH08323473A
JPH08323473A JP13453595A JP13453595A JPH08323473A JP H08323473 A JPH08323473 A JP H08323473A JP 13453595 A JP13453595 A JP 13453595A JP 13453595 A JP13453595 A JP 13453595A JP H08323473 A JPH08323473 A JP H08323473A
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JP
Japan
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metal layer
peripheral wall
spiral
forming
welding
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Application number
JP13453595A
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English (en)
Inventor
Kenji Hirano
賢治 平野
Hisayuki Yamanaka
久幸 山中
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IHI Corp
Original Assignee
IHI Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 炭素鋼材等における肉盛り溶接法に係るもの
で、被肉盛り凹部全体の熱影響部の硬化部を確実に軟化
処理するとともに、肉盛り作業の簡便化を図り、被肉盛
り凹部の形状に対する応用範囲を拡大する。 【構成】 母材の被肉盛り凹部に周縁からはみ出し状態
に複数の溶接ビードを平行かつ隣接状態に形成して被肉
盛り凹部全体を覆うオーバーラップ金属層を形成する工
程と、該オーバーラップ金属層を複数重畳させた状態に
形成して後から形成されるオーバーラップ金属層の熱に
よって前のオーバーラップ金属層による母材組織中の硬
化部の軟化を行う工程とを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、炭素鋼材等における肉
盛り溶接法に係り、特に、溶接ビードの形成によってそ
の熱影響部に発生する硬化部を軟化する技術に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】特開平5−42365号公報には、母材
の被肉盛り部の上に溶接金属層を複数層重畳させた状態
に形成することによって、熱影響部における硬化部の軟
化を行い、金属組織の改善を図るテンパービード法に関
連する技術が紹介されている。
【0003】金属が腐食等によって減肉状態になった場
合、減肉部を研磨して被肉盛り凹部を形成し、該被肉盛
り凹部に肉盛り溶接を施して健全性を確保することが行
われる。その肉盛り溶接の際に、テンパービード法を適
用して、金属組織の改善を図ることが有効である。
【0004】図9は、母材1に角錐状の被肉盛り凹部2
を形成しておいて、該被肉盛り凹部2に肉盛り溶接を施
す技術を示している。この場合、複数の溶接ビードを平
行かつ隣接状態に順次形成して底部2aを覆うととも
に、さらに溶接ビードの両端に位置する周壁部2bと、
溶接ビードの両側に位置する周壁部2cの上にも溶接ビ
ードを重畳させ、母材1の表面から突出した部分に研削
加工を施して平面化処理を行う。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の技
術には、以下のような解決すべき課題が残されている。
図9の(c)のラインmで示す方向について検討する
と、被肉盛り凹部2の縁の部分の溶接ビードであって
も、複数層の溶接ビードの熱を受けてテンパービード法
による熱影響部Yの金属組織の改善を行うことができる
が、図9の(b)のラインnで示す部分にあっては、最
後の1層の溶接ビードの熱だけしか受けないので、テン
パービード法の完全な適用が困難になる。このように、
被肉盛り凹部の一部の周壁部では、熱影響部の金属組織
の改善が不十分となる不都合があった。
【0006】本発明は、これらの事情に鑑みてなされた
もので、以下の目的を有するものである。 被肉盛り凹部全体の熱影響部の硬化部を確実に軟化処
理すること。 簡便な肉盛り作業により被肉盛り凹部全体の金属組織
の改善を行うこと。 被肉盛り凹部の形状に対する応用範囲を拡大するこ
と。
【0007】
【課題を解決するための手段】第1の手段として、母材
の被肉盛り凹部に周縁からはみ出し状態に複数の溶接ビ
ードを平行かつ隣接状態に形成して被肉盛り凹部全体を
覆うオーバーラップ金属層を形成する工程と、該オーバ
ーラップ金属層を複数重畳させた状態に形成して後から
形成されるオーバーラップ金属層の熱によって前のオー
バーラップ金属層による母材組織中の硬化部の軟化を行
う工程とを有する技術が採用される。第2の手段とし
て、母材の被肉盛り凹部の底部に、複数の溶接ビードを
隣接状態に形成して底部を覆う底部金属層を形成する工
程と、被肉盛り凹部の周壁部に、複数の溶接ビードを周
縁に沿って隣接状態に形成して周壁部を覆う周壁部金属
層を形成する工程と、底部金属層および周壁部金属層を
複数重畳させた状態にそれぞれ形成して後から形成され
る底部金属層および周壁部金属層の熱によって前の底部
金属層および周壁部金属層による母材組織中の硬化部の
軟化を行う工程とを有する技術が採用される第3の手段
として、母材の被肉盛り凹部に周縁に沿って渦巻状に溶
接ビードを形成して被肉盛り凹部全体を覆う渦巻金属層
を形成する工程と、該渦巻金属層を複数重畳させた状態
に形成して後から形成される渦巻金属層の熱によって前
の渦巻金属層による母材組織中の硬化部の軟化を行う工
程とを有する技術が採用される。第4の手段として、母
材の被肉盛り凹部の底部に、複数の溶接ビードを隣接状
態に形成して底部を覆う底部金属層を形成する工程と、
被肉盛り凹部の周壁部に、溶接ビードを周縁に沿って渦
巻状に形成して周壁部を覆う周壁部渦巻金属層を形成す
る工程と、底部金属層および周壁部渦巻金属層を複数重
畳させた状態にそれぞれ形成して後から形成される底部
金属層および周壁部渦巻金属層の熱によって前の底部金
属層および周壁部渦巻金属層による母材組織中の硬化部
の軟化を行う工程とを有する技術が採用される。
【0008】
【作用】第1の手段にあっては、被肉盛り凹部全体を覆
う最初のオーバーラップ金属層を形成すると、その形成
時の溶接熱によって、母材中に熱影響部が形成される。
先のオーバーラップ金属層の上に、さらにオーバーラッ
プ金属層を複数重畳させた状態に形成すると、先に形成
された熱影響部に後から形成される熱影響部が少しずつ
ずれながら順次オーバーラップして、母材組織中に生じ
た硬化部を軟化させる。このとき、各溶接ビードの端部
が被肉盛り凹部の外周部分に複数重畳された状態となる
ので溶接ビードの端部が位置する周壁部であってもテン
パービード法の適用による金属組織の改善がなされる。
第2の手段にあっては、被肉盛り凹部の底部を覆う最初
の底部金属層を形成すると、その形成時の溶接熱によっ
て、底部の母材中に熱影響部が形成される。そして、被
肉盛り凹部の周壁部を覆う最初の周壁部金属層を形成す
ると、その形成時の溶接熱によって、周壁部の母材中に
熱影響部が形成される。先の底部金属層および周壁部金
属層の上に、さらに底部金属層および周壁部金属層を複
数重畳させた状態にそれぞれ形成すると、先に形成され
た底部および周壁部の熱影響部に後から形成される熱影
響部が少しずつずれながら順次オーバーラップして、母
材組織中に生じた硬化部を軟化させる。このとき、被肉
盛り凹部の周縁にあっても溶接ビードが複数層重畳させ
た状態となるのでテンパービード法の適用による金属組
織の改善がなされる。第3の手段にあっては、被肉盛り
凹部全体を覆う最初の渦巻金属層を形成すると、その形
成時の溶接熱によって、母材中に熱影響部が形成され
る。先の渦巻金属層の上に、さらに渦巻金属層を複数重
畳させた状態に形成すると、先に形成された熱影響部に
後から形成される熱影響部が少しずつずれながら順次オ
ーバーラップして、母材組織中に生じた硬化部を軟化さ
せる。このときにあっても、第2の手段と同様に、被肉
盛り凹部の周縁にあっても溶接ビードが複数層重畳させ
た状態となるのでテンパービード法の適用による金属組
織の改善がなされる。第4の手段にあっては、被肉盛り
凹部の底部を覆う底部金属層を形成すると、その形成時
の溶接熱によって、底部の母材中に熱影響部が形成され
る。そして、被肉盛り凹部の周壁部を覆う最初の周壁部
渦巻金属層を形成すると、その形成時の溶接熱によっ
て、周壁部の母材中に熱影響部が形成される。先の底部
金属層および周壁部渦巻金属層の上に、さらに底部金属
層および周壁部渦巻金属層を複数重畳させた状態にそれ
ぞれ形成すると、先に形成された底部および周壁部の熱
影響部に後から形成される熱影響部が少しずつずれなが
ら順次オーバーラップして、母材組織中に生じた硬化部
を軟化させる。このときにあっては、第2および第3の
手段と同様に、被肉盛り凹部の周縁にあっても溶接ビー
ドが複数層重畳させた状態となるのでテンパービード法
の適用による金属組織の改善がなされる。
【0009】
【実施例】以下、本発明に係る炭素鋼材等における肉盛
り溶接法の第1実施例について、図1および図2を参照
しながら工程順に説明する。
【0010】炭素鋼材からなる平板等の母材1に減肉等
の現象が発生した場合、減肉部を研磨して被肉盛り凹部
2を形成し、該被肉盛り凹部2に肉盛り溶接が施され
る。図1および図2に示すように、被肉盛り凹部2は角
錐状に形成され、底部2aと、該底部2aと被肉盛り凹
部2の周縁との間に形成される二対の周壁部2b,2c
とを有している。
【0011】〔最初のオーバーラップ金属層の形成〕図
1の(a)に示すように、被肉盛り凹部2の周縁からは
み出し状態に、複数の溶接ビードを平行かつ隣接状態に
形成して、被肉盛り凹部2の全体を覆う第1オーバーラ
ップ金属層4aを形成する。この形成時の溶接熱によっ
て、母材組織の熱影響部Yには第1オーバーラップ金属
層4aの近傍に位置する硬化部が生じる。
【0012】〔オーバーラップ金属層の重畳〕次に、2
層目の溶接ビードを、第1オーバーラップ金属層4aの
上に乗せた状態に、該第1オーバーラップ金属層4aと
同様に、被肉盛り凹部2の周縁からはみ出し状態に順次
形成し、第2オーバーラップ金属層4bを形成する。こ
の後、図1の(b)および図2に示すように、同様にし
て、第3,4,5,6オーバーラップ金属層4c,4
d,4e,4fを積層することにより、複数層のオーバ
ーラップ金属層4を形成する。
【0013】〔硬化部の軟化〕このように、オーバーラ
ップ金属層4を順次複数重畳させることによって肉盛り
を行うと、先に形成された熱影響部Yに後から形成され
る熱影響部Yが少しずつずれながら順次オーバーラップ
して、母材1の金属組織中に生じた硬化部を軟化させ
る。このとき、各溶接ビードの端部が被肉盛り凹部2の
外周部分に複数重畳された状態となるので、溶接ビード
の端部が位置する周壁部であってもテンパービード法の
適用による金属組織の改善がなされる。したがって、被
肉盛り凹部2の各部分においては、例えば、同層数のオ
ーバーラップ金属層4が形成され、被肉盛り凹部2の全
体で、熱影響部Yにおける硬化部の軟化が確実かつ均一
に行われる。
【0014】〔充填金属層の形成〕さらに、図1の
(b)に示す第6オーバーラップ金属層4fによって形
成される凹部に、図1の(c)に示すように、複数の溶
接ビードを平行かつ隣接状態に形成して第1充填金属層
5aを形成する。同様にして、第1充填金属層5aの上
に第2,3,・・・n充填金属層5b,5c,・・・5
nを積層することにより、複数層の充填金属層5を形成
し、凹部を埋める。
【0015】〔母材表面の平面化処理〕そして、母材1
の表面から突出した部分を研削することにより、母材1
の表面の平面化を行う。
【0016】次に、本発明に係る炭素鋼材等における肉
盛り溶接法の第2実施例について、図3および図4を参
照しながら工程順に説明する。
【0017】〔最初の底部金属層の形成〕図3の(a)
に示すように、被肉盛り凹部2の底部2aに、複数の溶
接ビードを平行かつ隣接状態に形成して底部2aを覆う
第1底部金属層6aを形成する。この形成時の溶接熱に
よって、底部2aの母材組織の熱影響部Y1には、第1
底部金属層6aの近傍に位置する硬化部が生じる。
【0018】〔最初の周壁部金属層の形成〕そして、二
対の周壁部2b,2cには、複数の溶接ビードを被肉盛
り凹部2の周縁に沿って隣接状態に形成して各周壁部2
b,2cをそれぞれ覆う第1周壁部金属層7aを形成す
る。この形成時の溶接熱によって、各周壁部2b,2c
の母材組織の熱影響部Y2には、第1周壁部金属層7a
の近傍に位置する硬化部が生じる。
【0019】〔底部金属層および周壁部金属層の重畳〕
次に、2層目の溶接ビードを、第1底部金属層6aおよ
び第1周壁部金属層7aの上に乗せた状態に1層目と同
様に底部2aおよび周壁部2b,2cに順次形成し、第
2底部金属層6bおよび第2周壁部金属層7bを形成す
る。この後、図3の(b)および図4に示すように、同
様にして、第3,4,5,6底部金属層6c,6d,6
e,6fおよび第3,4,5,6周壁部金属層7c,7
d,7e,7fを積層して、底部金属層6および周壁部
金属層7を形成する。
【0020】〔硬化部の軟化〕このように、底部金属層
6および周壁部金属層7を順次複数重畳させることによ
って肉盛りを行うと、先に形成された底部2aおよび周
壁部2b,2cの熱影響部Y1,Y2に後から形成され
る熱影響部Y1,Y2が少しずつずれながら順次オーバ
ーラップして、母材1の金属組織中に生じた硬化部を軟
化される。
【0021】このとき、被肉盛り凹部2の周縁にあって
も溶接ビードが複数層重畳させた状態となるので、テン
パービード法の適用による金属組織の改善がなされる。
したがって、底部2aおよび周壁部2b,2cの各部分
については、例えば、同層数の底部金属層6および周壁
部金属層7が形成され、被肉盛り凹部2の全体で、熱影
響部Y1,Y2における硬化部の軟化が確実かつ個別に
行われる。
【0022】〔充填金属層の形成〕さらに、図3の
(b)に示す第6底部金属層6fおよび第6周壁部金属
層7fによって形成される凹部に、図3の(c)に示す
ように、複数の溶接ビードを平行かつ隣接状態に形成し
て第1充填金属層5aを形成する。同様にして、第1充
填金属層5aの上に第2,3,・・・n充填金属層5
b,5c,・・・5nを積層することにより、複数層の
充填金属層5を形成し、凹部を埋める。
【0023】〔母材表面の平面化処理〕そして、母材1
の表面から突出した部分を研削することにより、母材1
の表面の平面化を行う。
【0024】本発明に係る炭素鋼材等における肉盛り溶
接法の第3実施例について、図5および図6を参照しな
がら工程順に説明する。
【0025】〔最初の渦巻金属層の形成〕図5の(a)
に示すように、被肉盛り凹部2の中央部から周縁に向か
って連続して渦巻状に溶接ビードを形成して、被肉盛り
凹部2の全体を覆う第1渦巻金属層8aを形成する。こ
の形成時の溶接熱によって、母材組織の熱影響部Yに
は、第1渦巻金属層8aの近傍に位置する硬化部が生じ
る。
【0026】〔渦巻金属層の重畳〕次に、2層目の溶接
ビードを、第1渦巻金属層8aの上に乗せた状態に該第
1渦巻金属層8aと同様に渦巻状に順次形成し、第2渦
巻金属層8bを形成する。この後、図5の(b)および
図6に示すように、同様にして、第3,4,5,6渦巻
金属層8c,8d,8e,8fを積層することにより、
複数層の渦巻金属層8を形成する。
【0027】〔硬化部の軟化〕このように、渦巻金属層
8を順次複数重畳させることによって肉盛りを行うと、
先に形成された熱影響部Yに後から形成される熱影響部
Yが少しずつずれながら順次オーバーラップして、母材
1の金属組織中に生じた硬化部を軟化させる。このと
き、被肉盛り凹部2の周縁にあっても溶接ビードが複数
層重畳させた状態となるので、テンパービード法の適用
による金属組織の改善がなされる。したがって、被肉盛
り凹部2の各部分においては、例えば、同層数の渦巻金
属層8が形成され、被肉盛り凹部2の全体で、熱影響部
Yにおける硬化部の軟化が確実かつ均一に行われる。
【0028】〔充填金属層の形成〕さらに、図5の
(b)に示す第6渦巻金属層8fによって形成される凹
部に、図5の(c)に示すように、中央部から周縁に向
かって連続して渦巻状に溶接ビードを形成して、第1渦
巻充填金属層9aを形成する。同様にして、第1渦巻充
填金属層9aの上に第2,3,・・・n渦巻充填金属層
9b,9c,・・・9nを積層することにより、複数層
の渦巻充填金属層9を形成し、凹部を埋める。
【0029】〔母材表面の平面化処理〕そして、母材1
の表面から突出した部分を研削することにより、母材1
の表面の平面化を行う。
【0030】本発明に係る炭素鋼材等における肉盛り溶
接法の第4実施例について、図7および図8を参照しな
がら工程順に説明する。
【0031】〔最初の底部金属層の形成〕図7の(a)
に示すように、被肉盛り凹部2の底部2aに、複数の溶
接ビードを平行かつ隣接状態に形成して底部2aを覆う
第1底部金属層6aを形成すると、底部2aの母材組織
の熱影響部Y1には、第1底部金属層6aの近傍に位置
する硬化部が生じる。
【0032】〔最初の周壁部渦巻金属層の形成〕そし
て、被肉盛り凹部2の二対の周壁部2b,2cに、被肉
盛り凹部2の周縁に沿って渦巻状に溶接ビードを形成し
て、周壁部2b,2cの全体を覆う第1周壁部渦巻金属
層10aを形成する。この形成時の溶接熱によって、各
周壁部2b,2cにおける母材組織の熱影響部Y2に
は、第1周壁部渦巻金属層10aの近傍に位置する硬化
部が生じる。
【0033】〔底部金属層および周壁部金属層の重畳〕
次に、2層目の溶接ビードを、第1底部金属層6aおよ
び第1周壁部渦巻金属層10aの上に乗せた状態に1層
目と同様に底部2aおよび周壁部2b,2cに順次形成
し、第2底部金属層6bおよび第2周壁部渦巻金属層1
0bを形成する。この後、図7の(b)および図8に示
すように、同様にして、第3,4,5,6底部金属層6
c,6d,6e,6fおよび第3,4,5,6周壁部渦
巻金属層10c,10d,10e,10fを積層するこ
とにより、底部金属層6および周壁部渦巻金属層10を
形成する。
【0034】〔硬化部の軟化〕このように、底部金属層
6および周壁部渦巻金属層10を順次複数重畳させるこ
とによって肉盛りを行うと、先に形成された底部2aお
よび周壁部2b,2cの熱影響部Y1,Y2に後から形
成される熱影響部Y1,Y2が少しずつずれながら順次
オーバーラップして、母材1の金属組織中に生じた硬化
部を軟化される。
【0035】このとき、被肉盛り凹部2の周縁にあって
も溶接ビードが複数層重畳させた状態となるので、テン
パービード法の適用による金属組織の改善がなされる。
したがって、底部2aおよび周壁部2b,2cの各部分
においては、例えば、同層数の底部金属層6および周壁
部渦巻金属層10が形成され、被肉盛り凹部2の全体
で、熱影響部Y1,Y2における硬化部の軟化が確実か
つ個別に行われる。
【0036】〔充填金属層の形成〕さらに、図7の
(b)に示す底部金属層6および周壁部渦巻金属層10
によって形成される凹部に、図7の(c)に示すよう
に、複数の溶接ビードを平行かつ隣接状態に形成して第
1充填金属層5aを形成する。同様にして、第1充填金
属層5aの上に第2,3,・・・n充填金属層5b,5
c,・・・5nを積層することにより、複数層の充填金
属層5を形成し、凹部を埋める。
【0037】前述の第2から第4実施例では、第1実施
例とは異なり、被肉盛り凹部2の周縁の外周部分に溶接
ビードを形成しないので、肉盛り溶接時に形成される熱
影響部Yの領域を第1実施例に比べて狭くすることがで
きる。
【0038】なお、前述した各実施例では、被肉盛り凹
部2を長方形状としたが、他の形状、例えば、楕円形
状、円形、多角形状等を選択することができる。
【0039】
【発明の効果】本発明に係る炭素鋼材等における肉盛り
溶接法にあっては、以下の効果を奏する。 (1)被肉盛り凹部の全周壁部について適用することに
より、第1溶接金属層の熱影響部に第2溶接金属層以降
の熱を繰り返し及ぼして、熱影響部の硬化部を軟化部に
変え、被肉盛り凹部の熱影響部全体について金属組織を
確実かつ均一に改善して、品質むらの少ない高品質の肉
盛り溶接を行うことができる。 (2)被肉盛り凹部の周縁からはみ出し状態に複数の溶
接ビードを平行かつ隣接状態に形成してオーバーラップ
金属層を形成し、該オーバーラップ金属層を複数重畳さ
せるので、単純な往復作業だけの肉盛りで簡便に被肉盛
り凹部全体の金属組織の改善を図ることができる。 (3)被肉盛り凹部の底部に複数の溶接ビードを形成し
て底部金属層を形成し、また被肉盛り凹部の周壁部に、
複数の溶接ビードを周縁に沿って形成して周壁部金属層
を形成した後、底部金属層および周壁部金属層を複数重
畳させた状態にそれぞれ形成することにより、底部と周
壁部とを分けて金属組織の改善を行うので、被肉盛り凹
部のあらゆる形状に対応させた肉盛りを可能とし、応用
範囲を拡大することができる。 (4)被肉盛り凹部に渦巻状に溶接ビードを形成して渦
巻金属層を形成し、該渦巻金属層を複数重畳させた状態
に形成することにより、溶接ビードの形成が連続して、
肉盛り作業の時間を短縮し、効率化を図ることができ
る。 (5)被肉盛り凹部の底部に複数の溶接ビードを形成し
て底部金属層を形成し、また被肉盛り凹部の周壁部に、
渦巻状に溶接ビードを形成して周壁部渦巻金属層を形成
した後、底部金属層および周壁部渦巻金属層を複数重畳
させた状態にそれぞれ形成することにより、被肉盛り凹
部のあらゆる形状に対応させて肉盛りを可能とするとと
もに、周壁部においては、前項と同様に、溶接ビードの
形成が連続して、肉盛り作業の効率化を図ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る炭素鋼材等における肉盛り溶接法
の第1実施例における溶接工程を示す側断面図である。
【図2】本発明に係る炭素鋼材等における肉盛り溶接法
の第1実施例を示す平面図、正断面図および側断面図で
ある。
【図3】本発明に係る炭素鋼材等における肉盛り溶接法
の第2実施例における溶接工程を示す側断面図である。
【図4】本発明に係る炭素鋼材等における肉盛り溶接法
の第2実施例を示す平面図、正断面図および側断面図で
ある。
【図5】本発明に係る炭素鋼材等における肉盛り溶接法
の第3実施例における溶接工程を示す側断面図である。
【図6】本発明に係る炭素鋼材等における肉盛り溶接法
の第3実施例を示す平面図、正断面図および側断面図で
ある。
【図7】本発明に係る炭素鋼材等における肉盛り溶接法
の第4実施例における溶接工程を示す側断面図である。
【図8】本発明に係る炭素鋼材等における肉盛り溶接法
の第4実施例を示す平面図、正断面図および側断面図で
ある。
【図9】本発明に係る炭素鋼材等における肉盛り溶接法
の従来方法を適用した例を示す平面図、正断面図および
側断面図である。
【符号の説明】
1 母材 2 被肉盛り凹部 2a 底部 2b,2c 周壁部 4 オーバーラップ金属層 5 充填金属層 6 底部金属層 7 周壁部金属層 8 渦巻金属層 9 充填渦巻金属層 10 周壁部渦巻金属層 Y,Y1,Y2 熱影響部

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 母材(1)の被肉盛り凹部(2)に周縁
    からはみ出し状態に複数の溶接ビードを平行かつ隣接状
    態に形成して被肉盛り凹部全体を覆うオーバーラップ金
    属層(4)を形成する工程と、 該オーバーラップ金属層を複数重畳させた状態に形成し
    て後から形成されるオーバーラップ金属層の熱によって
    前のオーバーラップ金属層による母材組織中の硬化部の
    軟化を行う工程とを有することを特徴とする炭素鋼材等
    における肉盛り溶接法。
  2. 【請求項2】 母材(1)の被肉盛り凹部(2)の底部
    (2a)に、複数の溶接ビードを隣接状態に形成して底
    部を覆う底部金属層(6)を形成する工程と、 被肉盛り凹部の周壁部(2b,2c)に、複数の溶接ビ
    ードを周縁に沿って隣接状態に形成して周壁部を覆う周
    壁部金属層(7)を形成する工程と、 底部金属層および周壁部金属層を複数重畳させた状態に
    それぞれ形成して後から形成される底部金属層および周
    壁部金属層の熱によって前の底部金属層および周壁部金
    属層による母材組織中の硬化部の軟化を行う工程とを有
    することを特徴とする炭素鋼材等における肉盛り溶接
    法。
  3. 【請求項3】 母材(1)の被肉盛り凹部(2)に周縁
    に沿って渦巻状に溶接ビードを形成して被肉盛り凹部全
    体を覆う渦巻金属層(8)を形成する工程と、 該渦巻金属層を複数重畳させた状態に形成して後から形
    成される渦巻金属層の熱によって前の渦巻金属層による
    母材組織中の硬化部の軟化を行う工程とを有することを
    特徴とする炭素鋼材等における肉盛り溶接法。
  4. 【請求項4】 母材(1)の被肉盛り凹部(2)の底部
    (2a)に、複数の溶接ビードを隣接状態に形成して底
    部を覆う底部金属層(6)を形成する工程と、 被肉盛り凹部の周壁部(2b,2c)に、溶接ビードを
    周縁に沿って渦巻状に形成して周壁部を覆う周壁部渦巻
    金属層(10)を形成する工程と、 底部金属層および周壁部渦巻金属層を複数重畳させた状
    態にそれぞれ形成して後から形成される底部金属層およ
    び周壁部渦巻金属層の熱によって前の底部金属層および
    周壁部渦巻金属層による母材組織中の硬化部の軟化を行
    う工程とを有することを特徴とする炭素鋼材等における
    肉盛り溶接法。
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