JP6775380B2 - 支持ビームの更新方法 - Google Patents
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Description
このような塔槽類の胴板の部分更新工法の一例として、特許文献1に記載のものが知られている。
この工法は、塔槽類の胴板の一部分の円筒状胴板部分を更新する工法であって、更新する前記円筒状胴板部分を周方向に部分的に切断して取り除き、取り除いて生じた開口に新規部分胴板を取り付けることを繰り返すことにより、前記円筒状胴板部分を更新することを特徴としている。
従来は、以下のようにして大型の支持ビームを更新している。
すなわちまず、図9(a)に示すように、既設の支持ビーム1の更新に際し、当該支持ビーム1を容器の胴板5に設けられているマンホールMHから搬出することになるが、支持ビーム1の大きさ(支持ビーム1の高さH)がマンホールMHの開口径Dより大きくなっている。
このため、図9(b)に示すように、支持ビーム1をマンホールMHから搬出できるような大きさに切断する。例えば、支持ビーム1を切断線L11で水平に切断して、2つの支持ビーム片1a,1bと、複数の補強材1cとに分解する。
次に、支持ビーム片1a,1bおよび補強材1cをそれぞれ、マンホールMHを通して搬出する。なお、支持ビーム1にはダウンカマーバー2が取り付けられており、このダウンカマーバー2が支持ビーム片1bの搬出の際にマンホールMHに干渉するため、当該ダウンカマーバー2の一部を予め切断線L12で切断しておく。
このため、図10(a)に示すように、予めマンホールを通過できる部品や部材等の状態で容器内に搬入し、図10(b)に示すように、容器内で組み立て、完成させる。
新規支持ビーム10は、搬入前に主として上下のビーム本体10a,10bと、これらを連結する複数の補強材10cとに分解しておき、これらをマンホールMHを通して容器内に搬入した後、容器内で上下のビーム本体10a,10bと補強材10cとを組み立てることによって新規支持ビーム10を完成させる。
また、新規支持ビームを容器内に搬入するために、予めマンホールを通過できる部品や部材等の状態で容器内に搬入し、容器内で組立、完成させなければならない。これは支持ビームがトレイを支持する性格上、トレイの蒸留性能を損なわないように支持ビームの組立時に部品や部材等の水平度の確保や仮組後の溶接作業による変形やひずみを調整しながらの作業となる。このため完成までに多くの作業時間を費やさなければならない。
前記支持ビームの端部が取り付けられている部分を含んで前記胴板の一部を部分胴板として切断する胴板切断工程と、
切断された前記部分胴板とともに前記支持ビームを前記容器の外側に搬出する搬出工程と、
前記部分胴板が前記支持ビームとともに搬出されることで前記胴板に生じた開口を通して新規支持ビームを前記容器の内部に搬入する搬入工程と、
前記開口に新規部分胴板を取り付ける新規部分胴板取付け工程と、
前記新規部分胴板に、前記新規支持ビームの端部を取り付ける新規支持ビーム取付け工程とを含むことを特徴とする。
また、搬入工程で、部分胴板が支持ビームとともに搬出されることで前記胴板に生じた開口を通して新規支持ビームを前記容器の内部に搬入し、新規部分胴板取付け工程で、開口に新規部分胴板を取り付け、新規支持ビーム取付け工程で、新規部分胴板に、新規支持ビームの端部を取り付けるので、従来と異なり、新規支持ビームを予めマンホールを通過できる部品の状態とすることなく、容器に搬入できる。したがって、新規支持ビームを容器内で組立、完成する必要はない。
よって、容器内での切断、解体作業、組立作業を極力抑えて、支持ビームを容易に更新できる。
前記搬出工程では、前記支持ビームの他端部を前記胴板から取り外したうえで、切断された前記部分胴板とともに前記支持ビームを前記容器の外側に搬出し、
新規支持ビーム取付け工程では、前記新規部分胴板に前記新規支持ビームの一端部を取り付けるとともに、前記胴板に前記新規支持ビームの他端部を取り付けてもよい。
前記支持ビームの端部が取り付けられている部分を含んで前記胴板の一部を部分胴板として切断する胴板切断工程と、
切断された前記部分胴板とともに前記支持ビームを前記容器の外側に搬出する搬出工程と、
前記部分胴板が前記支持ビームとともに搬出されることで前記胴板に生じた開口を通して新規部分胴板と一体化された新規支持ビームを前記容器の内部に搬入する搬入工程と、
前記開口に前記新規部分胴板を取り付ける新規部分胴板取付け工程とを含むことを特徴とする。
また、搬入工程で、部分胴板が支持ビームとともに搬出されることで前記胴板に生じた開口を通して新規部分胴板と一体化された新規支持ビームを前記容器の内部に搬入し、新規部分胴板取付け工程で、開口に新規部分胴板を取り付けることによって、新規支持ビームを胴板に取り付けることができるので、従来と異なり、新規支持ビームを予めマンホールを通過できる部品の状態とすることなく、容器に搬入して胴板に取り付けることができる。したがって、新規支持ビームを容器内で組立、完成する必要はない。
よって、容器内での切断、解体作業、組立作業を極力抑えて、支持ビームを容易に更新できる。
本実施の形態は、本発明を石油精製装置の常圧蒸留装置や減圧蒸留装置の主蒸留塔の胴板に取り付けられて、トレイを支持する支持ビームを更新する場合に適用したものである。また、本実施の形態の主蒸留塔(容器)は、横断面形状が円筒形の大型の塔(蒸留塔)であり、その胴部の胴板の直径はおよそ4〜10m程度のものである。
図1は支持ビームの更新方法における既設支持ビームを撤去する方法を説明するための工程図である。
図1において符号1は既設の支持ビーム、符号5は容器の胴板を示す。この胴板5は円筒状に形成されているが、図1では胴板5の一部を図示している。
図1(a)に示すように、支持ビーム1は、容器の内部に設けられているトレイ(内部部品)6を支持している。具体的には支持ビーム1はラチス構造となっており、当該支持ビーム1によって上側のトレイ6と下側のトレイ6とが支持されている。
なお、支持ビーム1は、胴板5の軸方向(図1において上下方向)に平行離間して複数設けられているが、図1(a)では、更新すべき支持ビーム1、図1(b),(c)では、更新すべき支持ビーム1と、その上方に位置している既設の支持ビーム1を図示している。
すなわちまず、胴板5の径方向おいて対向する部分には、それぞれボルティングバー7,7が対向して溶接等によって固定され、当該ボルティングバー7,7の上側にサポートリング8,8が対向して溶接等によって胴板5に固定されている。ボルティングバー7は上下に延在する長方形状のプレートであり、サポートリング8は胴板5の周方向に延びる円弧板状の補強材である。
また、ボルティングバー7,7の下側にフットレスト(支持用ブラケット)9,9が対向して溶接等によって胴板5に固定されている。このフットレスト9,9に支持ビーム1の両端部がそれぞれ設置されることによって、当該支持ビーム1が水平に支持されている。
一方、支持ビーム1の両端部にはそれぞれ取付部1dが形成されており、当該取付部1d,1dをボルティングバー7,7に重ねてボルト3によって締結することによって、支持ビーム1の両端部がボルティングバー7,7を介して胴板5に取り付けられている。
なお、支持ビーム1には、複数のダウンカマーバー2が取り付けられており、支持ビーム1の中央部を挟んで配置されている複数のダウンカマーバー2は支持ビーム1の下辺部より下方に突出している。なお、図1では4つのダウンカマーバー2を示している。
なお、配管、部品およびダウンカマーバー2を容器外へ搬出する場合、近傍にマンホール等の設備が無い場合は、作業の効率や安全性から胴板5に適当な穴を開け、この穴から搬出する。また、後述する支持ビーム1の搬出用の開口5bを大きくして、当該開口5bから搬出してもよい。この場合、既設の内部部品の搬出は、切断された部分胴板5aとともに支持ビーム1を容器の外側に搬出した後に行うことになる。
具体的には、まず、
次に、容器内部に足場を組み立てた後、胴板切断範囲を特定し容器内側より外面に向かつてドリルで、穴明けをする。この場合、胴板5の切断範囲を、ボルティングバー7、サポートリング8およびフットレスト9を含めて、胴板内側から矩形状にマーキングし、その4隅にドリルで穴5cを形成する。この時、切断範囲は支持ビーム1の抜き出し側(搬出側)を大きくしておき、抜き出し作業(搬出作業)が容易に行えるようにする。つまり、胴板5の径方向に対向する2つの部分胴板5a,5aのうち、抜き出し側の一方の部分胴板5aを他方の部分胴板5aより若干大きくしておくことにより、抜き出し作業(搬出作業)が容易に行えるようにする。
また、抜き出し側と反対側に位置する部分胴板5aは、支持ビーム1の抜き出しに伴って容器内を径方向に移動し、抜き出し側に位置する部分胴板5aが支持ビーム1とともに搬出されることで胴板5に生じた開口5bを通して容器外に搬出される。この開口5bは抜き出し側と反対側に位置する部分胴板5aより若干大きくなっているので、当該部分胴板5aを容器外に容易に搬出できる。
新規支持ビーム10および新規部分胴板20は、図2および図3に示すように、予め工場等において製作しておく。
図2に示すように、新規支持ビーム10は、基本的に既設の支持ビーム1と同形、同大に形成されたものであり、ラチス構造となっている。また、新規支持ビーム10の下辺から下方に突出するダウンカマーバー2は、当該新規支持ビーム10を開口5bを通して搬入できるように、上端部2aを残して、それより下部のダウンカマーバー片2bは切断しておき、搬入後に当該ダウンカマーバー片2bをボルト接合や溶接等によって接合可能としておく。
図3に示すように、新規部分胴板20は、基本的に切断された部分胴板5aと同形、同大に形成されたものであり、左右一対存在する。また、各新規部分胴板20には、予めボルティングバー7およびフットレスト9を溶接によって取り付けておく。また、サポートリング8は新規部分胴板20を開口5bに取り付けたり、容器内に搬入する際に邪魔になるので、新規部分胴板20とは別体としておく。なお、抜き出し側の反対側に形成されている開口5bに取り付けるべき新規部分胴板20は、抜き出し側に形成されている開口5bに取り付けるべき新規部分胴板20より若干小さく形成されている。
新規支持ビーム10を容器内に搬入した後、図4(b)に示すように、当該新規支持ビーム10をその下方に位置しているトレイ6に仮置きする。このトレイ6は、図示は省略するが、新規支持ビームの下段に位置している既設の支持ビームによって支持されている。
この場合、新規支持ビーム10の搬入側の開口5bには、容器の外側から新規部分胴板20を嵌め込んで溶接によって固定するが、搬入側と逆側の開口5bには、新規部分胴板20を搬入側の開口5bから容器内に搬入したうえで、逆側の開口5bに嵌め込んで溶接によって固定する。なお、逆側の開口5bに新規部分胴板20を容器の外側から嵌め込んで溶接によって固定してもよい。
開口5bに新規部分胴板20を嵌め込む場合、既に搬入されている新規支持ビーム10の端部が当該開口5bに近接しており、嵌め込むべき新規部分胴板20に取り付けられているフットレスト9に干渉するため、当該新規支持ビーム10をトレイ6上で、新規支持ビーム10の中心回りに所定角度だけ回転させて、当該新規支持ビーム10の端部を開口5bから周方向に離しておく。
また、開口5bに新規部分胴板20を取り付ける前に、当該開口5bを通して補強部材としての新規のサポートリング8を容器内に搬入しておく。
最後に、新規支持ビーム10の下辺から突出しているダウンカマーバーの上端部2aにダウンカマーバー片2bを溶接またはボルト締結によって接合したうえで、新規支持ビーム10に、一時撤去していたトレイ6,6を取り付け、さらに、一時撤去していた障害配管を復旧するとともに、保温材を復旧し、外部足場を解体して撤去し、支持ビーム1の更新を終了する。
また、搬入工程で、部分胴板5aが支持ビーム1とともに搬出されることで胴板5に生じた開口5bを通して新規支持ビーム10を容器の内部に搬入し、新規部分胴板取付け工程で、開口5bに新規部分胴板20を取り付け、新規支持ビーム取付け工程で、新規部分胴板20に、新規支持ビーム10の端部を取り付けるので、従来と異なり、新規支持ビーム10を予めマンホールを通過できる部品の状態とすることなく、容器に搬入できる。したがって、新規支持ビーム10を容器内で組立、完成する必要はない。
よって、容器内での切断、解体作業、組立作業を極力抑えて、支持ビーム1を容易に新規支持ビーム10に更新できる。
さらに、新規支持ビーム取付け工程では、新規部分胴板20に、補強部材としてのサポートリング8を取り付けたうえで、新規支持ビーム10の端部を取り付けるので、平板状態では平面の大きさに比べ板厚が薄いため強度や変形に対し弱い新規部分胴板20の剛性や強度を大きくすることができとともに、新規部分胴板20を溶接により開口5bに取り付ける際に変形防止を図ることができる。
図6および図7は、第2の実施の形態を示す図である。
本実施の形態が上述した第1の実施の形態と異なる点は、胴板切断工程、搬出工程および新規支持ビーム取付け工程であるので、以下では主にこれらの工程について説明し、第1の実施の形態と共通の構成には同一符号を付してその説明を省略ないし簡略化する。
なお、胴板5の一部を部分胴板5aとして切断する場合、図1(b)で示した場合と同様にして切断するとともに、この切断は支持ビーム1をチェーンブロック17によって吊り下げながら行う。なお、図6(a)では更新すべき支持ビーム1の上方に位置している支持ビーム、チェーンブロック等は図示を省略してある。
なお、支持ビーム1を部分胴板5aとともに容器の外側に搬出する場合、図1(c)で示した場合と同様に、支持ビーム1をチェーンブロック17によって吊り下げながら行う。なお、図6(b)では更新すべき支持ビーム1の上方に位置している支持ビーム、チェーンブロック等は図示を省略してある。
次に、図7(c)に示すように、新規支持ビーム10を上昇させて、当該新規支持ビーム10の端部をフットレスト9,9に設置するとともに、当該新規支持ビーム10の端部の取付部1d,1dを、新規部分胴板20に取り付けられているボルティングバー7および胴板5に取り付けられているボルティングバー7に重ねて合わせてボルトによって締結する。なお、新規支持ビーム10の上昇は、図5(a)で示した場合と同様に、新規支持ビーム10をチェーンブロック17によって吊り下げながら行う。なお、図7(b),(c)では新規支持ビーム10の上方に位置している既設の支持ビーム、チェーンブロック等は図示を省略してある。
最後に、新規支持ビーム10の下辺から突出しているダウンカマーバーの上端部2aにダウンカマーバー片2bを溶接またはボルト締結によって接合したうえで、新規支持ビーム10に、一時撤去していたトレイ6,6を取り付け、さらに、一時撤去していた障害配管を復旧するとともに、保温材を復旧し、外部足場を解体して撤去し、支持ビーム1の更新を終了する。
図8は、第3の実施の形態を示す図である。
本実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、胴板切断工程および搬出工程を行うが、その後の工程が異なるので、以下では当該工程について説明し、胴板切断工程および搬出工程の説明は省略する。
この場合、予め工場等において、新規支持ビーム10の両端部にそれぞれ新規部分胴板20を取り付けておく。この新規部分胴板20は、基本的に切断された部分胴板5aと同形、同大に形成されたものである。また、各新規部分胴板20には、予めボルティングバー7およびフットレスト9を溶接によって取り付けておく。また、サポートリング8は新規部分胴板20を開口5bに取り付けたり、容器内に搬入する際に邪魔になるので、新規部分胴板20とは別体としておく。なお、抜き出し側と反対側に形成されている開口5bに取り付けるべき新規部分胴板20は、抜き出し側に形成されている開口5bに取り付けるべき新規部分胴板20より若干小さく形成されている。
この場合、開口5b,5bに溶接のための開先加工を施したうえで、この開口5b,5bに新規部分胴板20,20を溶接によって取り付ける。
よって、容器内での切断、解体作業、組立作業を極力抑えて、支持ビーム1を容易に新規支持ビーム10に更新できる。
5 胴板
5a 部分胴板
5b 開口
6 トレイ(内部部品)
8 サポートリング
10 新規支持ビーム
20 新規部分胴板
Claims (4)
- 容器の内部に設けられている内部部品を支持し、かつ前記容器の胴板に取り付けられている支持ビームを更新する支持ビームの更新方法であって、
前記支持ビームの端部が取り付けられている部分を含んで前記胴板の一部を部分胴板として切断する胴板切断工程と、
切断された前記部分胴板とともに前記支持ビームを前記容器の外側に搬出する搬出工程と、
前記部分胴板が前記支持ビームとともに搬出されることで前記胴板に生じた開口を通して新規支持ビームを前記容器の内部に搬入する搬入工程と、
前記開口に新規部分胴板を取り付ける新規部分胴板取付け工程と、
前記新規部分胴板に、前記新規支持ビームの端部を取り付ける新規支持ビーム取付け工程とを含むことを特徴とする支持ビームの更新方法。 - 前記胴板切断工程では、前記支持ビームの一端部が取り付けられている前記胴板の一部を部分胴板として切断し、
前記搬出工程では、前記支持ビームの他端部を前記胴板から取り外したうえで、切断された前記部分胴板とともに前記支持ビームを前記容器の外側に搬出し、
新規支持ビーム取付け工程では、前記新規部分胴板に前記新規支持ビームの一端部を取り付けるとともに、前記胴板に前記新規支持ビームの他端部を取り付けることを特徴とする請求項1に記載の支持ビームの更新方法。 - 容器の内部に設けられている内部部品を支持し、かつ前記容器の胴板に取り付けられている支持ビームを更新する支持ビームの更新方法であって、
前記支持ビームの端部が取り付けられている部分を含んで前記胴板の一部を部分胴板として切断する胴板切断工程と、
切断された前記部分胴板とともに前記支持ビームを前記容器の外側に搬出する搬出工程と、
前記部分胴板が前記支持ビームとともに搬出されることで前記胴板に生じた開口を通して新規部分胴板と一体化された新規支持ビームを前記容器の内部に搬入する搬入工程と、
前記開口に前記新規部分胴板を取り付ける新規部分胴板取付け工程とを含むことを特徴とする支持ビームの更新方法。 - 前記胴板切断工程では、更新すべき前記支持ビームを、その上方に位置している既設の支持ビームから吊り下げたうえで、胴板の一部を切断することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の支持ビームの更新方法。
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