JP6814011B2 - 鏡板部の部分更新方法および特殊治具 - Google Patents
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Description
圧力容器の鏡板部(例えば流動接触分解装置用再生塔のプレナムチャンバ)の修復方法の一例として、特許文献1に記載のものが知られている。
この修復方法は、プレナムチャンバの内壁面から耐摩耗性被覆層を除去し、その後前記プレナムチャンバの変形部を矯正し、その後前記プレナムチャンバの前記内壁面上に複数の補強用リブを溶接し、その後前記複数の補強用リブを含めて前記プレナムチャンバの前記内壁面を新たな耐摩耗性被覆層で被覆する方法である。
前記鏡板部の外周側をナックル部、中央側を円盤部とすると、
前記ナックル部より内側でかつ前記円盤部より外側にある更新すべき部分を周方向に部分的に切除する切除工程と、切除することで生じた開口に扇形状の新規鏡板部材を取り付ける新規鏡板部材取付け工程とを繰り返すことにより、前記鏡板部の少なくとも一部を更新することを特徴とする。
また、鏡板部のナックル部、円盤部、切除されていない更新すべき部分および更新された新規鏡板部材を作業床として切除作業や溶接作業を行えるので、別途足場を組み立てる必要がなく、容易に更新作業を行うことができる。
前記新規鏡板部材取付け工程では、切除することで生じた2つの開口にそれぞれ前記新規鏡板部材を取り付けてもよい。
周方向に隣り合う2つの前記新規鏡板部材の間に介在される仕切り部と、
この仕切部の下端部に設けられて2つの前記新規鏡板部材の下面を支持する支持部と、
前記仕切り部に形成された貫通孔に挿通されて、2つの前記新規鏡板部材の上面に当接する挿通部材とを備えることを特徴とする。
したがって、2つの新規鏡板部材の溶接端部にそれぞれ開先面を形成しておくことにより、開先幅を均一に保持することができるので、2つの新規鏡板部材どうしの溶接作業を安定的に行える。
前記開先面間に前記特殊治具の仕切り部を介在させるとともに前記特殊治具の支持部によって、2つの前記新規鏡板部材の下面を支持し、さらに、前記特殊治具の挿通部材を前記仕切り部に形成された貫通孔に挿通して2つの前記新規鏡板部材の上面に当接することを特徴とする。
したがって、開先幅を均一に保持することができるので、2つの新規鏡板部材どうしの溶接作業を安定的に行える。
本実施の形態は、本発明を、流動接触分解装置のリジェネレータプレナムヘッド部の内部のプレナムチャンバー(鏡板部)を部分的に更新する場合に適用したものである。
図1は、プレナムヘッドの要部を示す断面図、図2はプレナムチャンバー(鏡板部)1の概略平面図である。
図1に示すように、プレナムヘッドの内部には、プレナムチャンバー(鏡板部)1が設けられている。鏡板部1は、下向きに凸の略球欠状でかつ平面視円状に形成されており、図2に示すように、平面視円状の鏡板部本体2と、この鏡板部本体2の外側にある平面視円環状のナックル部3とから構成されている。また、鏡板部1の断面視において、ナックル部3の曲率半径は鏡板部本体2の曲率半径より小さくなっている。
鏡板部本体2は、中央側の円盤部4と、この円盤部4の外側にある円環部5とから構成されている。また、ナックル部3の外周縁部は胴部6の内周面に溶接されている。
この鏡板部1の部分更新方法では、更新すべき部分(円環部)5を周方向に部分的に切除する切除工程と、切除することで生じた開口に扇形状の新規鏡板部材10を取り付ける新規鏡板部材取付け工程とを繰り返すことにより、鏡板部1の一部(円環部5)を更新する。
次に、切断線L1と切断線L2との間にある部分と、切断線L4と切断線L5との間にある部分を切除する。つまり、更新すべき部分(円環部)5を鏡板部1の対角となるように部分的に切除する(切除工程)。
切除するには、切断線L1,L2、切断線L1,L2の外周側端部間にある円環部5の内周縁および切断線L1,L2の内周側端部間にある円環部5の外周縁を溶断等によって切断し、切断されて残った扇形状の部分を取り除くとともに、切断線L4,L5、切断線L4,L5の外周側端部間にある円環部5の内周縁および切断線L4,L5の内周側端部間にある円環部5の外周縁を溶断等によって切断し、切断されて残った扇形状の部分を取り除けばよい。
開口11a,11aに新規鏡板部材10(10A1,10A2)を取り付けるには、当該新規鏡板部材10(10A1,10A2)を、プレナムヘッドの頂部に設けられている支持部7(図1参照)から図示しないワイヤで吊り下げて開口11a,11aに嵌め込んだうえで、新規鏡板部材10(10A1,10A2)の内周縁部を円盤部4の外周縁部に溶接するとともに、新規鏡板部材10(10A1,10A2)の外周縁部をナックル部3の内周縁部に溶接する。この溶接よる溶接線は太線で示している。同様、以下の説明においても溶接による溶接線は太線で示している。
開口11a,11aに新規鏡板部材10(10B1,10B2)を取り付けるには、当該新規鏡板部材10(10B1,10B2)を、支持部7(図1参照)から図示しないワイヤで吊り下げて開口11a,11aに嵌め込んだうえで、図3(c)に示すように、新規鏡板部材10(10B1,10B2)の内周縁部を円盤部4の外周縁部に溶接するとともに、新規鏡板部材10(10B1,10B2)の外周縁部をナックル部3の内周縁部に溶接する。
開先面10a,10aは新規鏡板部材10,10を突き合わせた状態において断面V字状に形成されており、開先面10a,10aのなす角度は60°となっている。なお、開先面10aは予め工場等において新規鏡板部材10に形成しておいてもよいし、現場で新規鏡板部材10に形成してもよい。
仕切り部21は、周方向に隣り合う2つの新規鏡板部材10,10の間に介在されるもので、厚さ3mm程度の矩形板状に形成されている。
支持部22は、仕切り部21の下端部に当該仕切り部21と直角にかつ一体的に設けられたもので、仕切り部21とほぼ同厚の矩形板状に形成され、2つの新規鏡板部材10,10の下面を支持するようになっている。
挿通部材23は截頭円錐状に形成されており、仕切り部21に形成された貫通孔21aに挿通されるものであり、挿通された状態において、2つの新規鏡板部材10,10の上面に当接するようになっている。
さらに、挿通部材23を仕切り部21に形成されている貫通孔21aに挿通して、2つの新規鏡板部材10,10の上面に当接する。これによって、新規鏡板部材10,10の突き当て部は挿通部材23と支持部22とによって上下から挟み付けられるようにして保持される。
このようにして特殊治具20を設置することによって、2つの新規鏡板部材10,10がほぼ面一に配置されるとともに、溶接端部の開先幅が均一に保持される。
そして、図3(c)および図6に示すように、開先面10a,10a間に溶接金属Mを流し込むことによって、2つの新規鏡板部材10,10どうしを溶接する。
特殊治具20は、仕切り部21の貫通孔21aから挿通部材23を引き抜くことによって容易に取り除くことができる。
さらに、特殊治具20を、新規鏡板部材10(10B1,10B2)と、切断線L3,L6を境に隣り合う更新すべき既設部分(後述のように、当該既設部分は新規鏡板部材10C1,10C2によって更新される。)との突き合わせ部に特殊治具20を設置、当該特殊治具20によっても新規鏡板部材10(10B1,10B2)を支持しておいてもよい。このように特殊治具20によって新規鏡板部材10(10B1,10B2)を支持しておき(仮支持しておき)、その後、溶接してもよい。
なお、このような溶接作業においても、新規鏡板部材10と、ナックル部3および円盤部4との溶接端部には、開先面10aと同様に開先面を形成しておく。
開口11a,11aに新規鏡板部材10(10C1,10C2)を取り付けるには、当該新規鏡板部材10(10C1,10C2)を、支持部7(図1参照)から図示しないワイヤで吊り下げて開口11aに嵌め込んだうえで、図3(e)に示すように、新規鏡板部材10(10C1,10C2)の内周縁部を円盤部4の外周縁部に溶接するとともに、新規鏡板部材10(10C1,10C2)の外周縁部をナックル部3の内周縁部に溶接する。
そして、図3(e)および図6に示すように、開先面10a,10a間に溶接金属Mを流し込むことによって、新規鏡板部材10,10どうしを溶接する。
なお、特殊治具20が設置されている部分は溶接できないが、特殊治具20が設置されている以外の開先面10a,10a間に溶接金属Mを流し込んだ後に特殊治具20を取り除いて、特殊治具20が設置されていた部分の開先面10a,10a間に溶接金属Mを流し込むことによって溶接できる。
開口4aに新規円盤部材14を取り付けるには、当該新規円盤部材14を、支持部7(図1参照)から図示しないワイヤで吊り下げて開口4aに嵌め込んだうえで、新規円盤部材14の外周縁部を開口4aの内周縁部に溶接する。
このように、円盤部4の変形が大きくなって更新の必要がある場合に、円盤部4を切除することで生じた開口4aに新規円盤部材14を取り付けることにより、円盤部4の更新を容易に行うことができる。
また、鏡板部1のナックル部3、円盤部4、切除されていない更新すべき部分および更新された新規鏡板部材10を作業床として切除作業や溶接作業を行えるので、別途足場を組み立てる必要がなく、容易に更新作業を行うことができる。
したがって、2つの新規鏡板部材10,10の溶接端部にそれぞれ開先面10a,10aを形成しておくことにより、開先幅を均一に保持することができるので、2つの新規鏡板部材10,10どうしの溶接作業を安定的に行える。
例えば、更新すべき部分(円環部5)を周方向に順次部分的に切除し、切除された開口に新規鏡板部材10を取り付けていってもよいし、更新すべき部分(円環部5)を周方向に所定間隔を隔てて部分的に切除し、切除された開口に新規鏡板部材10を取り付けていってもよい。要は、鏡板部1のナックル部3、円盤部4、切除されていない更新すべき部分および更新された新規鏡板部材10を作業床として使用できるように、更新すべき部分(円環部5)を部分的に切除し、切除することで生じた開口に新規鏡板部材を取り付けるようにすればよい。
また、本実施の形態では、ナックル部3より内側でかつ円盤部4より外側にある円環部5の全体を更新したが、本発明はこれに限ることはない。例えば、円環部5の一部が腐食したり、変形していた場合、その一部を更新すればよく、さらに、本実施の形態で説明したとおり円盤部4も更新してもよいし、本実施の形態では説明していないが、ナックル部3も更新してもよい。
2 鏡板部本体
3 ナックル部
4 円盤部
4a 開口
5 円環部(更新すべき部分)
10(10A1,10A2,10B1,10B2,10C1,10C2) 新規鏡板部材
11a 開口
14 新規円盤部材
20 特殊治具
21 仕切り部
22 支持部
23 挿通部材
Claims (9)
- 容器の鏡板部の少なくとも一部を更新する方法であって、
前記鏡板部の外周側をナックル部、中央側を円盤部とすると、
前記ナックル部より内側でかつ前記円盤部より外側にある更新すべき部分を周方向に部分的に切除する切除工程と、切除することで生じた開口に扇形状の新規鏡板部材を取り付ける新規鏡板部材取付け工程とを繰り返すことにより、前記鏡板部の少なくとも一部を更新し、
前記鏡板部の前記ナックル部、前記円盤部、切除されていない前記更新すべき部分および更新された前記新規鏡板部材を作業床として前記切除工程および前記新規鏡板部材取付け工程を行うことを特徴とする鏡板部の部分更新方法。 - 前記切除工程では、前記更新すべき部分を前記鏡板部の対角となるように部分的に切除し、
前記新規鏡板部材取付け工程では、切除することで生じた2つの開口にそれぞれ前記新規鏡板部材を取り付けることを特徴とする請求項1に記載の鏡板部の部分更新方法。 - 更新すべき全ての新規鏡板部材を取り付けた後、前記円盤部を切除し、切除することで生じた開口に新規円盤部材を取り付けることを特徴とする請求項1または2に記載の鏡板部の部分更新方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の鏡板部の部分更新方法で使用される特殊治具であって、
周方向に隣り合う2つの前記新規鏡板部材の間に介在される仕切り部と、
この仕切部の下端部に設けられて2つの前記新規鏡板部材の下面を支持する支持部と、
前記仕切り部に形成された貫通孔に挿通されて、2つの前記新規鏡板部材の上面に当接する挿通部材とを備えることを特徴とする特殊治具。 - 請求項4に記載の特殊治具を用意するとともに、2つの前記新規鏡板部材の溶接端部にそれぞれ開先面を形成しておき、
前記開先面間に前記特殊治具の仕切り部を介在させるとともに前記特殊治具の支持部によって、2つの前記新規鏡板部材の下面を支持し、さらに、前記特殊治具の挿通部材を前記仕切り部に形成された貫通孔に挿通して2つの前記新規鏡板部材の上面に当接することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の鏡板部の部分更新方法。 - 容器の鏡板部の少なくとも一部を更新する方法であって、
前記鏡板部の外周側をナックル部、中央側を円盤部とすると、
前記ナックル部より内側でかつ前記円盤部より外側にある更新すべき部分を周方向に部分的に切除する切除工程と、切除することで生じた開口に扇形状の新規鏡板部材を取り付ける新規鏡板部材取付け工程とを繰り返すことにより、前記鏡板部の少なくとも一部を更新し、
更新すべき全ての新規鏡板部材を取り付けた後、前記円盤部を切除し、切除することで生じた開口に新規円盤部材を取り付けることを特徴とする鏡板部の部分更新方法。 - 前記切除工程では、前記更新すべき部分を前記鏡板部の対角となるように部分的に切除し、
前記新規鏡板部材取付け工程では、切除することで生じた2つの開口にそれぞれ前記新規鏡板部材を取り付けることを特徴とする請求項6に記載の鏡板部の部分更新方法。 - 容器の鏡板部の少なくとも一部を更新する方法であって、
前記鏡板部の外周側をナックル部、中央側を円盤部とすると、
前記ナックル部より内側でかつ前記円盤部より外側にある更新すべき部分を周方向に部分的に切除する切除工程と、切除することで生じた開口に扇形状の新規鏡板部材を取り付ける新規鏡板部材取付け工程とを繰り返すことにより、前記鏡板部の少なくとも一部を更新する鏡板部の部分更新方法で使用される特殊治具において、
周方向に隣り合う2つの前記新規鏡板部材の間に介在される仕切り部と、
この仕切部の下端部に設けられて2つの前記新規鏡板部材の下面を支持する支持部と、
前記仕切り部に形成された貫通孔に挿通されて、2つの前記新規鏡板部材の上面に当接する挿通部材とを備えることを特徴とする特殊治具。 - 請求項8に記載の特殊治具を用意するとともに、2つの前記新規鏡板部材の溶接端部にそれぞれ開先面を形成しておき、
前記開先面間に前記特殊治具の仕切り部を介在させるとともに前記特殊治具の支持部によって、2つの前記新規鏡板部材の下面を支持し、さらに、前記特殊治具の挿通部材を前記仕切り部に形成された貫通孔に挿通して2つの前記新規鏡板部材の上面に当接することを特徴とする請求項6または7に記載の鏡板部の部分更新方法。
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