JP6842065B2 - 置換テトラヒドロフランの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高機能性樹脂の原料となるポリエーテルポリオール等を製造するための原料モノマーとなる置換テトラヒドロフランを製造する方法に関する。
テトラヒドロフラン(以下、THFと略記することがある)を開環重合させて得られるポリテトラメチレンエーテルグリコール(以下、PTMGと略記することがある)を原料として製造されるポリウレタンは弾性特性、低温特性、耐加水分解性などの機械的特性に優れるため広く弾性繊維や、熱可塑性ポリウレタンエラストマーとして利用されている。このポリウレタンの機械的特性を向上させる目的で、ポリウレタンの原料としてTHFに変えて置換テトラヒドロフランを共重合して得られるポリエーテルポリオールを用いることが行なわれている。そのような置換テトラヒドロフランとしては、例えば3−メチルテトラヒドロフラン(以下、3−MeTHFと略記することがある)を挙げることができる。また、THFと3−MeTHFを共重合して得られるポリエーテルポリオールを用いて製造したポリウレタンは、ポリテトラメチレンエーテルグリコールを用いた場合に比較して機械的特性が向上することが知られている(特許文献1)。
置換テトラヒドロフランは前述のとおり有用な物質であるため、広く検討がなされ、多くの製造方法が提案されているが、いずれの製造方法も課題を抱えている。
従来、置換テトラヒドロフラン、例えば3−メチルテトラヒドロフランの製造方法として、特許文献2のように、カルボン酸又はそのエステルを水素化して直接3−メチルテトラヒドロフランを合成する方法、あるいは一旦2−メチル−1,4−ブタンジオール(以下、2−MeBDと略記することがある)としてその後脱水環化する方法が知られている。同文献では、クエン酸を原料とし、パラジウムとレニウムを担持させた触媒を用いて水素化し、3−メチルテトラヒドロフランを合成している。しかしながら、レニウム触媒は特許文献3に示されているように、反応系中にレニウムが溶出し、触媒が大きく失活するという問題があるため、触媒の再生または使い捨てを行う必要があり経済的ではない。また、3−メチルテトラヒドロフラン及びその前駆体となる反応中間体の合計収率も不十分であった。
メタクリル酸を原料として3−シアノイソラク酸メチルを製造しこれを鍵中間体として、数工程かけて3−MeTHFへ誘導する方法についても複数のルートが提案されている(特許文献4、5)。しかしこれらの方法では、反応の第一工程において猛毒の青酸を使用しており、製造設備においてその安全設備にかかる負荷が大きい。特に反応ルートの第一工程で青酸を使用するので、多量の青酸の確保と、その安全な取り扱い、未反応物の除害が必要となり工業的な製造においては付帯設備のコストが大きくなる。
他に、特許文献6のように酸性水溶液中にて3−メチル−3,4−エポキシブタン−1オールを水素化して3−MeTHFを得る方法も知られているが、原料の3−メチル−3,4−エポキシブタン−1−オールが工業的に製造されておらず、容易かつ安価に入手できない上、酸性水溶液中で反応させる条件では、原料の加水分解が避けられず、エポキシ環が開環したトリオール体が副生するなどの問題を有する。
このように、置換テトラヒドロフランの製造方法には触媒、収率、設備、原料の面で課題が多くあり、工業的に有利な置換テトラヒドロフランの製造方法が求められている。
特開昭63−235320号 特開昭63−218669号 特表2001−510398号 特開平8−217768号 特開平8−217769号 米国特許第3956318号
本発明の目的は、置換テトラヒドロフランを簡便に、高収率で 工業的に有利に製造し得る方法を提供することにある。
本発明者らは、触媒と、原料として特定の構造有する有機化合物を用いることにより、高収率で置換テトラヒドロフランを製造できることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は以下を要旨とする。
[1]イタコン酸を原料とし、ルテニウム、白金及び錫を担持してなる触媒を用いて、3−メチルテトラヒドロフランを製造する方法であって、
20℃以上150℃未満で反応を行う前段工程と、
150℃以上350℃以下で反応を行う後段工程とを有する方法
[2]クエン酸を原料とし、ルテニウム、白金及び錫を担持してなる触媒を用いて、3−メチルテトラヒドロフランを製造する方法であって、
100℃以上220℃未満で反応を行う前段工程と、
220℃以上350℃以下で反応を行う後段工程とを有する方法
[3]3−メチルテトラヒドロフランの製造において、水を溶媒として用いる上記[1]または[2]に記載の方法
本発明によれば、溶剤や高機能性樹脂の製造用原料であるポリエーテルポリオールを製造するためのモノマーとして有用な置換テトラヒドロフランを、高収率かつ工業的に製造することができる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の内容に限定されない。
なお、本発明において、各種の置換基の炭素数は、当該置換基が更に置換基を有する場合、その置換基の炭素数も含めた合計の炭素数をさす。
[置換テトラヒドロフラン]
本発明の置換テトラヒドロフランは、下記式1で表される化合物である。
Figure 0006842065

[式1において、R1〜R6はそれぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、任意の置換基を有していてよい炭素数1〜20の有機基を有するアルコキシ基、又は、任意の置換基を有していてよい炭素数1〜20の有機基であって、R1〜R6のいずれか2つ以上が結合して環を形成していてもよい。但し、R1〜R6が全て水素原子である場合を除く。]
上記式1において、R1〜R6は、水素原子、ヒドロキシ基、任意の置換基を有していてもよい炭素数1〜20の有機基を有するアルコキシ基、又は、任意の置換基を有していてよい炭素数1〜20の有機基である。但し、R1〜R6が全て水素原子である場合は、置換テトラヒドロフランではないので、これを除く。R1〜R6の炭素数1〜20の有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デキル基、ウンデキル基、ドデキル基等のアルキル基:シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基:ビニル基、プロペニル基、ヘキセニル基等の直鎖又は分岐の鎖状アルケニル基:シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の環状アルケニル基:エチニル基、メチルエチニル基、1−プロピオニル基等のアルキニル基:フェニル基、ナフチル基、トルイル基等のアリール基:メトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基:ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基:チエニル基、ピリジル基、フリル基等の複素環基等が挙げられる。R1〜R6のいずれか2つ以上が結合して環を形成していてもよい。また、これらの有機基が置換基を有する場合、置換テトラヒドロフランの製造に不具合をもたらさない限りは特に制限はないが、当該置換基としては炭素数1〜20の上記有機基に加えて、アルコキシ基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エステル基、ハロゲン原子、チオール基、チオエーテル基、有機ケイ素基等が挙げられる。R1〜R6の有機基はこれらの置換基を2以上有していてもよく、その場合、2以上の置換基は同一であっても異なるものであってもよい。このような置換基を有する置換テトラヒドロフランの中で、原料の入手性の観点からは、3−置換テトラヒドロフラン、好ましくは3−アルキルテトラヒドロフラン、特に好ましくは3−メチルテトラヒドロフランを挙げることができる。
(ジカルボニル化合物)
本発明の上記置換テトラヒドロフランの原料としては、下記式2または3で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006842065
[式2及び3において、R5〜R12はそれぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、任意の置換基を有していてよい炭素数1〜10有機基有するアルコキシ基、又は、任意の置換基を有していてよい炭素数1〜20の有機基であって、R5〜R12のいずれか2つ以上が結合して環を形成していてもよい。]
式2または3において、R5〜R12は、水素原子、ヒドロキシ基、任意の置換基を有していてもよい炭素数1〜20の有機基有するアルコキシ基、又は、任意の置換基を有していてよい炭素数1〜20の有機基である。R5〜R12の炭素数1〜20の有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デキル基、ウンデキル基、ドデキル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、プロペニル基、ヘキセニル基等の直鎖又は分岐の鎖状アルケニル基;シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の環状アルケニル基;エチニル基、メチルエチニル基、1−プロピオニル基等のアルキニル基;フェニル基、ナフチル基、トルイル基等のアリール基;メトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基;ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基;チエニル基、ピリジル基、フリル基等の複素環基が挙げられる。R5〜R12のいずれか2つ以上が結合して環を形成していてもよい。また、これらの有機基が置換基を有する場合、置換テトラヒドロフランの製造に不具合をもたらさない限りは特に制限はないが、当該置換基としては炭素数1〜20の上記有機基に加えて、アルコキシ基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エステル基、ハロゲン原子、チオール基、チオエーテル基、有機ケイ素基等が挙げられる。R5〜R12の有機基はこれらの置換基を2以上有していてもよく、その場合、2以上の置換基は同一であっても異なるものであってもよい。このような置換基を有するジカルボニル化合物として、入手性や反応性の観点から、イタコン酸、アコニット酸、メサコン酸、シトラコン酸、及びこれらのカルボン酸の炭素数1〜20のアルキルエステル、好ましくは1〜6のアルキルエステル、より好ましくは1〜4のアルキルエステルを挙げることができる。
また、本発明の上記置換テトラヒドロフランの原料としては、式2または3で表されるジカルボニル化合物の前駆体である下記式4で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006842065
[式4において、R3〜R8はそれぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、任意の置換基を有していてよい炭素数1〜20の有機基有するアルコキシ基、又は、任意の置換基を有していてよい炭素数1〜20の有機基であって、R5〜R8のいずれか2つ以上が結合して環を形成していてもよい。ただし、R3〜R8が全て水素原子である場合を除く。]
上記式4において、R3〜R8は、水素原子、ヒドロキシ基、任意の置換基を有していてもよい炭素数1〜20の有機基有するアルコキシ基、又は、任意の置換基を有していてよい炭素数1〜20の有機基である。但しR3〜R8が全て水素原子である場合は、生成物が置換テトラヒドロフランとならないため、これを除く。R5〜R12の炭素数1〜20の有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デキル基、ウンデキル基、ドデキル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、プロペニル基、ヘキセニル基等の直鎖又は分岐の鎖状アルケニル基;シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の環状アルケニル基;エチニル基、メチルエチニル基、1−プロピオニル基等のアルキニル基;フェニル基、ナフチル基、トルイル基等のアリール基;メトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基;ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基;チエニル基、ピリジル基、フリル基等の複素環基が挙げられる。R5〜R12のいずれか2つ以上が結合して環を形成していてもよい。また、これらの有機基が置換基を有する場合、置換テトラヒドロフランの製造に不具合をもたらさない限りは特に制限はないが、当該置換基としては炭素数1〜20の上記有機基に加えて、アルコキシ基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エステル基、ハロゲン原子、チオール基、チオエーテル基、有機ケイ素基等が挙げられる。R5〜R12の有機基はこれらの置換基を2以上有していてもよく、その場合、2以上の置換基は同一であっても異なるものであってもよい。このような置換基を有するジカルボニル化合物として、入手性や反応性の観点から、クエン酸の炭素数1〜20のアルキルエステル、好ましくは1〜6のアルキルエステル、より好ましくは1〜4のアルキルエステルを挙げることができる。
式2〜4において、R7、R8がヒドロキシ基の場合、式2〜4の化合物は式2a、3a、4aで表されるジカルボン酸となる。この場合は、原料としてさらに、これらのジカルボン酸に対応する式2b、3b、4bで表される酸無水物を含んでいても良い。この場合、R7、R8以外の他の置換基については上記の説明と同様である。
Figure 0006842065
Figure 0006842065
(中間体)
前記式1で表される置換テトラヒドロフランを製造する際には、原料として用いたジカルボニル化合物に応じ、下記式5a、5b、5cで表されるジオール化合物が中間体として生成する。これらは置換テトラヒドロフランとの混合物になっていてもよい。また、これらのジオール化合物を分離し、原料のジカルボニル化合物に混合し、置換テトラヒドロフランの製造に用いても良い。尚、下記式5a、5b、5c中のR3〜R12は上記したものと同様である。
Figure 0006842065
原料としたジカルボニル化合物においてR7、R8のいずれかがヒドロキシ基または、任意の置換基を有していてよい炭素数1〜20の有機基有するアルコキシ基である場合には、下記式6a、6b、6c、6d、6e、6fで表されるラクトン化合物も中間体として生成する。これらも置換テトラヒドロフランとの混合物になっていてもよい。また、これらのラクトン化合物を分離し、原料のジカルボニル化合物に混合し、置換テトラヒドロフランの製造に供しても良い。尚、下記式6a、6b、6c、6d、6e、6f中のR3〜R12は上記したものと同様である。
Figure 0006842065
Figure 0006842065
原料としたジカルボニル化合物においてR7、R8の両方がヒドロキシ基または、任意の置換基を有していてよい炭素数1〜20の有機基有するアルコキシ基である場合には、下記式7a、7b、7c、7d、7e、7fで表されるラクトン化合物も中間体として生成する。これらも置換テトラヒドロフランとの混合物になっていてもよい。また、これらのラクトン化合物を分離し、原料のジカルボニル化合物に混合し、置換テトラヒドロフランの製造に供しても良い。尚、下記式中のR3〜R6、R9〜R12は上記したものと同様である。
Figure 0006842065
Figure 0006842065
[置換テトラヒドロフランの製造方法]
本発明の置換テトラヒドロフランの製造方法は、上記ジカルボニル化合物を原料として用い、該原料を、無溶媒、または溶媒中で、ルテニウム、白金及び錫を担体に担持してなる触媒存在下、加熱し水素化する方法である。
本発明において溶媒を用いる場合、反応に悪影響を与えないものであれば、特に限定されるものではないが、具体的には、水;メタノール、エタノール、オクタノール、ドデカノール等のアルコール類;テトラヒドロピラン、ジオキサン、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;その他、ヘキサン、シクロヘキサン、デカリン等の炭化水素類が挙げられる。必要に応じてこれらの内2つ以上を組み合わせて用いてもよい。好ましくは水を溶媒として用いる。
担体としては、活性炭、けいそう土、シリカ、アルミナ、チタニアまたはジルコニア等の多孔質担体を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
触媒の調製法は特に制限はないが、通常、浸漬法が採用される。浸漬法によるときは、例えば、触媒原料化合物の上記貴金属成分の化合物及び錫化合物を溶解可能な溶媒、例えば、水に溶解して溶液とし、この溶液に別途調整した多孔質担体を浸漬して、担体に貴金属成分及び錫からなる触媒成分を担持させる方法がある。
担体に各触媒成分を担持する順序については特に制限はなく、全ての金属成分を一度に同時に担持しても、各成分を個別に1つずつ担持しても、または成分のいくつかを組み合わせて複数回にわたって担持しても、本発明の効果は達成される。しかし、その中でも特に、まずルテニウムと錫とを担体に担持し、次に白金を追加して担体に担持すると、本発明の効果を更に高めることができる。白金をルテニウムと錫の後から担持することによる反応活性向上の原因は、詳細には分かっていないが、水素の活性化能、又は水素化反応活性の高い白金を他の成分よりも後から担持することで、これらの金属成分が触媒表面に担持され、この表面の金属成分が水素化反応において有効に機能しているためと考えられる。
触媒成分の溶液を浸漬担持した後には(複数回にわたって浸漬担持処理を行う場合には、その都度)、乾燥する。該乾燥は、例えば減圧下、50〜100℃の温度条件下で処理した後、アルゴンガス等の不活性ガス気流下、100〜150℃の温度条件下で処理すること等によって行う。その後、必要に応じて焼成、還元処理を行う。焼成処理を行う場合には、通常100〜600℃の温度範囲で行われる。また、還元処理を行う場合には、公知の液相還元法、気相還元法が採用されるが、気相還元法の場合、通常100〜500℃の温度範囲、好ましくは200〜350℃の範囲で行われる。還元処理を行った後の触媒の構造に関しては、その詳細は不明であるが、上記のような還元条件では、貴金属成分は実質的に全てが金属に還元されると推定され、錫は、一部分が2価又は4価で残存すると推定される。
貴金属成分(ルテニウムと白金の合計量)及び錫の担持量は、それぞれ金属元素換算で担体に対して、通常0.5〜50重量%、好ましくは1〜20重量%である。白金は、ルテニウムに対して0.01〜10重量倍量共存させるのが活性向上の観点から好ましい。錫は、貴金属成分に対して、通常0.1〜5重量倍量共存させるのが、生成物の選択性向上の観点から好ましい。なお、貴金属成分と錫の原料化合物としては、それらの金属の硝酸、硫酸、塩酸等の鉱酸塩が一般的に使用されるが、酢酸等の有機酸塩、水酸化物、酸化物又は錯塩も使用することもできる。これらの原料化合物としては、担体に浸漬担持する際に使用する溶媒、例えば水等に可溶性のものが良く、例えば、塩化ルテニウム、塩化ロジウム、塩化スズ、硝酸ロジウム、酢酸錫、ヘキサクロロ白金酸等が挙げられる。
本発明の置換テトラヒドロフランの製造方法における反応温度は、原料のジカルボニル化合物が式2または3で表されるものである場合は、通常は20℃以上350℃以下、好ましくは100℃以上300℃以下である。温度下限未満では反応が進まないか又は非常に遅いため、好ましくない。温度上限を超えると置換テトラヒドロフランからの逐次反応が進行し、ロスになってしまうため好ましくない。
また、まず20℃以上150℃未満、好ましくは50℃以上140℃以下で反応させる前段工程の後に、150℃以上350℃以下、好ましくは160℃以上300℃以下で反応させる後段工程を設けることで、さらに高収率で置換テトラヒドロフランを得ることができる。
この場合、反応時の水素圧は通常1〜30MPa、 好ましくは5〜20MPaである。水素圧が下限より低いと水素化反応が進行し難く、水素圧が上限より高いと水素化分解などの望ましくない副反応が起こる恐れがある。
原料のジカルボニル化合物が式4で表される化合物である場合の反応温度は、まず100℃以上220℃未満、好ましくは170℃以上220℃未満で反応させる前段工程の後に、220℃以上350℃以下、好ましくは220℃以上300℃以下で反応を行う後段工程を設けることが好ましい。
この場合、反応時の水素圧は前段工程では0.1〜5MPa、好ましくは0.1〜3MPaである。後段工程では1〜30MPa、 好ましくは5〜20MPaである。水素圧が下限より低いと水素化反応が進行し難く、水素圧が上限より高いと水素化分解などの望ましくない副反応が起る恐れがある。
反応方式は、液相懸濁反応又は固定床反応のいずれであってもよい。
また、反応が回分反応の場合には、使用される触媒の量は、原料100重量部に対し0.1〜100重量部であることが好ましいが、反応温度又は反応圧力等の諸条件に応じ、実用的な反応速度が得られる範囲内で任意に選ぶことができる。
得られた置換テトラヒドロフランは公知の方法で精製することができ、精製方法としては特に限定されるものではないが、液液分離、抽出、蒸留などを挙げることができ、これらを2つ以上組み合わせても良い。

本発明の製造方法で得られた置換テトラヒドロフランは、例えばガスクロマトグラフィー法、液相クロマトグラフィー法、NMR法などの公知の方法で同定することができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。
[使用原料]
以下の実施例及び比較例で置換テトラヒドロフランの製造に用いた材料は次の通りである。
イタコン酸:東京化成工業社製
クエン酸:和光純薬工業社製
水素化触媒:後述の方法で調製
[同定及び評価方法]
上記原料を用いた場合に生成される置換テトラヒドロフラン及び、反応中間体はそれぞれ、3−メチルテトラヒドロフラン、2−メチル−1,4−ブタンジオール、α−及びβ−γ−ブチロラクトンであり、これらは標品が市販されているため市販品を用いて同定を行った。また、標品で検量線を作成することで、液相クロマトグラフィー(LC)法及び、ガスクロマトグラフィー(GC)法で原料の消費、中間体および目的物の生成量を評価した。原料の仕込みモル数に対する生成物のモル数の割合(%)をモル収率(mol%)とした。
(LC分析条件)
・LC装置: 島津製作所 LC−solution
・カラム: 信和加工社製 ULTRON−PS80H (300mm x 8mmI.D., 10um)
・カラムオーブン 60℃
・溶離液 pH2 次亜塩素酸水溶液
・流量 1 mL/min
・RI検出
・測定溶媒:水(内部標準として酢酸を添加)
・酢酸を内部標準とした内部標準法で定量
(GC分析条件)
・GC装置: 島津製作所 GC−14B
・カラム: アジレント・テクノロジー社 DB−WAX, 30 m, 直径0.250 mm, film 0.25 um
・気化室温度: 300℃
・温度曲線:40℃で5分保持した後、10℃/minで230℃まで昇温させ、8分間保持
・検出:FID
・測定溶媒: アセトン(内部標準としてジグライムまたは1,4−ジオキサンを添加)
・内部標準法で各成分を定量
[触媒の調製]
担体として0.8mm円柱状活性炭(NORIT社製 R0.8 EXTRA)担体を用い、特開2001−9277号公報の実施例4に準じた方法で、塩化ルテニウム水和物、塩化白金酸(IV)・6水和物、塩化スズ(II)・2水和物を用いてルテニウム、白金、スズを活性炭に担持させた、金属担持物を調製した。金属担持物の調製方法の中で、金属塩化物の溶解水は、使用する活性炭の細孔容量と同じとした。金属塩化物の仕込み量は、仕込み量全量が担持され、水素還元し、酸化安定化した場合に、金属担持触媒中の含有量が、Ru5.79重量%、Pt2.39重量%、Sn7.19重量%となる量とした。また、使用する重炭酸アンモニウムは、金属塩化物の塩素に対して2倍モル量を、12%濃度の水溶液として用いた。得られた金属担持触媒を粉砕し、100μmのふるいに掛け、粒径100μm以下の粉砕品を得た。この粉砕品を水素化触媒として以下の実施例及び比較例で用いた。
実施例1
容量70mLのオートクレーブに、クエン酸1.00g、脱塩水4.01g、水素化触媒0.10g、撹拌子を入れ、オートクレーブを密閉した(原料濃度20重量%)。内部を窒素で置換した後、水素を2MPa導入した。これを215℃で4時間加熱撹拌して反応させた。室温まで冷却後、内圧をパージし、水素を8MPa導入した。これを240℃に昇温させて4時間加熱撹拌し、反応を行った。反応終了後、室温まで冷却し、内圧をパージした後、窒素置換した。オートクレーブを開放し、シリンジフィルターで水素化触媒をろ過して反応液を回収した。この反応液をLC及びGCで分析した結果、
・3−メチルテトラヒドロフラン:59.8mol%
・2−メチル−1,4−ブタンジオール:11.4mol%
・α−及びβ−γ−ブチロラクトン:合わせて2.7mol%
が生成していることが確認された。
実施例2
容量70mLのオートクレーブに、イタコン酸1.50g、脱塩水6.00g、水素化触媒0.15g、撹拌子を入れ、オートクレーブを密閉した(原料濃度20重量%)。内部を窒素で置換した後、水素を5MPa導入した。これを140℃で1時間加熱撹拌した後、240℃に昇温させてさらに4時間加熱撹拌し、反応を行った。反応終了後、室温まで冷却し、内圧をパージした後、窒素置換した。オートクレーブを開放し、シリンジフィルターで水素化触媒をろ過して反応液を回収した。この反応液をGCで分析した結果、
・3−メチルテトラヒドロフラン:55.1mol%
・2−メチル−1,4−ブタンジオール:18.0mol%
・α−及びβ−γ−ブチロラクトン:合わせて21.4mol%
が生成していることが確認された。
参考例3
容量70mLのオートクレーブに、クエン酸1.00g、脱塩水4.00g、水素化触媒0.10g、撹拌子を入れ、オートクレーブを密閉した(原料濃度20重量%)。内部を窒素で
置換した後、水素を8MPa導入した。これを240℃で4時間加熱撹拌して反応を行った。反応終了後、室温まで冷却し、内圧をパージした後、窒素置換した。オートクレーブを開放し、シリンジフィルターで水素化触媒をろ過して反応液を回収した。この反応液をLC及びGCで分析した結果、
・3−メチルテトラヒドロフラン:46.7mol%
・2−メチル−1,4−ブタンジオール:20.2mol%
・α−及びβ−γ−ブチロラクトン:合わせて2.7mol%
が生成していることが確認された。
参考例4
容量70mLのオートクレーブに、イタコン酸1.00g、脱塩水4.00g、水素化触媒0.10g、撹拌子を入れ、オートクレーブを密閉した(原料濃度20重量%)。内部を窒素で置換した後、水素を5MPa導入した。これを240℃で4時間加熱撹拌して反応を行った。反応終了後、室温まで冷却し、内圧をパージした後、窒素置換した。オートクレーブを開放し、シリンジフィルターで水素化触媒をろ過して反応液を回収した。この反応液をGCで分析した結果、
・3−メチルテトラヒドロフラン:45.0mol%
・2−メチル−1,4−ブタンジオール:17.5mol%
・α−及びβ−γ−ブチロラクトン:合わせて21.7mol%
が生成していることが確認された。
実施例1と参考例3の比較から、クエン酸を原料とした場合に反応を低い温度の前段工程と高い温度の後段工程との少なくとも2段階に分けて行うことで、3−メチルテトラヒドロフランの収率、及び中間体も含めた合計収率がより高くなることが解る。同様に、実施例2と参考例4の結果の比較から、イタコン酸を原料とした場合にも反応を低い温度の前段工程と高い温度の後段工程との少なくとも2段階に分けて行うことで、3−メチルテトラヒドロフランの収率、及び中間体も含めた合計収率がより高くなることが解る。

Claims (3)

  1. イタコン酸を原料とし、ルテニウム、白金及び錫を担持してなる触媒を用いて、3−メチルテトラヒドロフランを製造する方法であって、
    20℃以上150℃未満で反応を行う前段工程と、
    150℃以上350℃以下で反応を行う後段工程とを有する方法
  2. クエン酸を原料とし、ルテニウム、白金及び錫を担持してなる触媒を用いて、3−メチルテトラヒドロフランを製造する方法であって、
    100℃以上220℃未満で反応を行う前段工程と、
    220℃以上350℃以下で反応を行う後段工程とを有する方法
  3. 3−メチルテトラヒドロフランの製造において、水を溶媒として用いる請求項1または2に記載の方法。
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