JP6841022B2 - 画像形成装置および用紙搬送制御方法 - Google Patents

画像形成装置および用紙搬送制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、画像形成装置および用紙搬送制御方法に関する。
従来から、トナーを用いて用紙に画像を形成する画像形成装置が知られている。このような画像形成装置では、用紙の搬送不良等が発生した場合に、用紙を搬送経路から除去できるようにするため、搬送路を開閉する扉が備えられている(例えば、特許文献1参照)。
また、画像形成装置では、用紙の表裏を反転させて両面に画像を形成できるようにするため、用紙の表裏を反転させ搬送経路を構成する反転搬送路が備えられているものがある。
従来の画像形成装置では、給紙トレイユニットに収納可能な大きさの用紙については、反転搬送路で表裏の反転が可能である。
特開2001−019177号公報
近年、給紙トレイユニットに収納可能な大きさを超える長尺紙と呼ばれる枚葉紙についても、両面に画像を形成できるようにする需要が高まっている。しかしながら、長尺紙の表裏を反転できるようにするためには、反転搬送路の経路長を長くする必要があり、装置の大型化を招きやすい問題がある。
本発明の目的は、装置を大型化することなく長尺紙の両面に画像を形成することが可能な画像形成装置および用紙搬送制御方法を提供することである。
本発明に係る画像形成装置は、
長尺紙にトナー画像を形成する画像形成部と、
前記長尺紙に形成された前記トナー画像を定着させる定着部と、
前記長尺紙を前記画像形成部および前記定着部に搬送する主搬送路と、
前記長尺紙を前記主搬送路における前記画像形成部の搬送方向上流側に搬送する給紙搬送路と、
前記主搬送路における前記定着部の搬送方向下流側から分岐し、前記長尺紙の搬送方向をスイッチバックポイントで逆行させることにより当該長尺紙の表裏を反転させて前記画像形成部の上流側に搬送する両面搬送路と、
前記長尺紙の搬送を制御する搬送制御部と、を備え、
前記両面搬送路は、前記長尺紙がスイッチバックされる前の搬送方向における経路が、前記用紙搬送路における前記画像形成部の上流側に繋がる第1の両面経路と、装置本体の開口に繋がる第2の両面経路と、に分岐し、
前記搬送制御部は、前記長尺紙の両面にトナー画像を形成する場合、当該長尺紙を前記第1および第2の両面経路のいずれかに通すように制御する。
本発明に係る用紙搬送方法は、
搬送方向における長さが所定長さ以上の長尺紙の両面に画像形成するために、前記長尺紙の搬送方向がスイッチバックポイントで逆行される前の搬送方向における経路が、画像形成部の上流側に接続される第1の両面経路と、装置本体の開口に連なる第2の両面経路と、に分岐する両面搬送路を備えた画像形成装置における用紙搬送制御方法であって、
前記長尺紙の両面にトナー画像を形成する場合、当該長尺紙を前記第1および第2の両面経路のいずれかに通すように搬送する。
本発明によれば、装置を大型化することなく長尺紙の両面に画像を形成することができる。
本実施の形態における画像形成装置の一例を示す構成図である。 図1の画像形成装置における制御系の主要部を示す図である。 長尺紙を両面印刷する場合の搬送状態を例示する図である。 長尺紙を第1の両面経路に通して両面印刷する場合を説明する図である。 長尺紙を両面印刷する場合の搬送状態を例示する図である。 長尺紙を第2の両面経路に通して両面印刷する場合を説明する図である。 長尺紙を第1の両面経路に通して両面印刷する場合を説明する図である。 長尺紙を第1の両面経路に通して両面印刷する場合を説明する図である。 本実施の形態における画像形成装置の用紙搬送処理を説明するフローチャートである。
以下、本発明を適用した画像形成装置の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態における画像形成装置1の全体構成を概略的に示す図である。図2は、本実施の形態における画像形成装置1の制御系の主要部を示す。
本実施の形態の画像形成装置1は、第1用紙である長尺用紙LSまたは第2用紙である用紙S(非長尺用紙)を記録媒体として使用し、これら長尺用紙LSまたは用紙S上に画像を形成する装置である。
本実施の形態において、長尺紙LSは、一般に良く用いられるA4サイズ、A3サイズ等の用紙よりも搬送方向の長さが長い枚葉紙であり、機内の給紙トレイユニット51a〜51cに収容できない長さを有する。かかる長尺紙LSのサイズすなわち搬送方向の長さ等の寸法は、本システムのメモリ等に定義データとして格納されている。以下、単に「用紙」という場合、長尺紙LSおよび用紙Sの両方が含まれ得る。
画像形成装置1は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。すなわち、画像形成装置1は、感光体ドラム413上に形成されたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナー像を中間転写ベルト421に一次転写し、中間転写ベルト421上で4色のトナー像を重ね合わせた後、用紙に二次転写することにより、トナー像を形成する。
また、画像形成装置1には、YMCKの4色に対応する感光体ドラム413を中間転写ベルト421の走行方向に直列配置し、中間転写ベルト421に一回の手順で各色トナー像を順次転写させるタンデム方式が採用されている。
図2に示すように、画像形成装置1は、画像読取部10、操作表示部20、画像処理部30、画像形成部40、用紙搬送部50、定着部60および制御部100等を備える。
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103等を備える。CPU101は、ROM102から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM103に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置1の各ブロックの動作を集中制御する。このとき、記憶部72に格納されている各種データが参照される。記憶部72は、例えば不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブで構成される。
制御部100は、通信部71を介して、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えばパーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行う。制御部100は、例えば、外部の装置から送信された画像データを受信し、この画像データ(入力画像データ)に基づいて用紙にトナー像を形成させる。通信部71は、例えばLANカード等の通信制御カードで構成される。
画像読取部10は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置11および原稿画像走査装置12(スキャナー)等を備えて構成される。
自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された原稿Dを搬送機構により搬送して原稿画像走査装置12へ送り出す。自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された多数枚の原稿Dの画像(両面を含む)を連続して一挙に読み取ることができる。
原稿画像走査装置12は、自動原稿給紙装置11からコンタクトガラス上に搬送された原稿またはコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサー12aの受光面上に結像させ、原稿画像を読み取る。画像読取部10は、原稿画像走査装置12による読取結果に基づいて入力画像データを生成する。この入力画像データには、画像処理部30において所定の画像処理が施される。
操作表示部20は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部21および操作部22として機能する。表示部21は、制御部100から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態表示、各機能の動作状況等の表示を行う。操作部22は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部100に出力する。
画像処理部30は、入力画像データに対して、初期設定またはユーザー設定に応じたデジタル画像処理を行う回路等を備える。例えば、画像処理部30は、制御部100の制御下で、記憶部72内の階調補正データ(階調補正テーブルLUT)に基づいて階調補正を行う。また、画像処理部30は、入力画像データに対して、階調補正の他、色補正、シェーディング補正等の各種補正処理や、圧縮処理等を施す。これらの処理が施された画像データに基づいて、画像形成部40が制御される。
画像形成部40は、入力画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによる画像を形成するための画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、中間転写ユニット42等を備える。
Y成分、M成分、C成分、K成分用の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kは、同様の構成を有する。図示及び説明の便宜上、共通する構成要素は同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、C、又はKを添えて示す。図1では、Y成分用の画像形成ユニット41Yの構成要素についてのみ符号が付され、その他の画像形成ユニット41M、41C、41Kの構成要素については符号が省略されている。
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像装置412、感光体ドラム413、帯電装置414、およびドラムクリーニング装置415等を備える。
感光体ドラム413は、例えばアルミニウム製の導電性円筒体(アルミ素管)の周面に、アンダーコート層(UCL:Under Coat Layer)、電荷発生層(CGL:Charge Generation Layer)、電荷輸送層(CTL:Charge Transport Layer)を順次積層した負帯電型の有機感光体(OPC:Organic Photo-conductor)である。電荷発生層は、電荷発生材料(例えばフタロシアニン顔料)を樹脂バインダー(例えばポリカーボネイト)に分散させた有機半導体からなり、露光装置411による露光により一対の正電荷と負電荷を発生する。電荷輸送層は、正孔輸送性材料(電子供与性含窒素化合物)を樹脂バインダー(例えばポリカーボネイト樹脂)に分散させたものからなり、電荷発生層で発生した正電荷を電荷輸送層の表面まで輸送する。
制御部100は、感光体ドラム413を回転させる駆動モーター(図示略)に供給される駆動電流を制御することにより、感光体ドラム413を一定の周速度(線速度)で回転させる。
帯電装置414は、光導電性を有する感光体ドラム413の表面を一様に負極性に帯電させる。露光装置411は、例えば半導体レーザーで構成され、感光体ドラム413に対して各色成分の画像に対応するレーザー光を照射する。感光体ドラム413の電荷発生層で正電荷が発生し、電荷輸送層の表面まで輸送されることにより、感光体ドラム413の表面電荷(負電荷)が中和される。感光体ドラム413の表面には、周囲との電位差により各色成分の静電潜像が形成される。
現像装置412は、例えば二成分現像方式の現像装置であり、感光体ドラム413の表面に各色成分のトナーを付着させることにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。
ドラムクリーニング装置415は、感光体ドラム413の表面に摺接されるクリーニング部材としてのドラムクリーニングブレード(以下、単にクリーニングブレードと称する)416等を有する。ドラムクリーニング装置415は、一次転写後に感光体ドラム413の表面に残存する転写残トナーをクリーニングブレード416によって除去する。
中間転写ユニット42は、像担持体としての中間転写ベルト421、一次転写ローラー422、複数の支持ローラー423、二次転写ローラー424、及びベルトクリーニング装置426等を備える。
中間転写ベルト421は、無端状ベルトで構成され、複数の支持ローラー423にループ状に張架される。複数の支持ローラー423のうちの少なくとも1つは駆動ローラーで構成され、その他は従動ローラーで構成される。例えば、K成分用の一次転写ローラー422よりもベルト走行方向下流側に配置されるローラー423Aが駆動ローラーであることが好ましい。これにより、一次転写部におけるベルトの走行速度を一定に保持しやすくなる。駆動ローラー423Aが回転することにより、中間転写ベルト421は矢印A方向に一定速度で走行する。
一次転写ローラー422は、各色成分の感光体ドラム413に対向して、中間転写ベルト421の内周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、一次転写ローラー422が感光体ドラム413に圧接されることにより、感光体ドラム413から中間転写ベルト421へトナー像を転写するための一次転写ニップが形成される。
二次転写ローラー424は、駆動ローラー423Aのベルト走行方向下流側に配置されるバックアップローラー423Bに対向して、中間転写ベルト421の外周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、二次転写ローラー424がバックアップローラー423Bに圧接されることにより、中間転写ベルト421から用紙Sへトナー像を転写するための二次転写ニップが形成される。
一次転写ニップを中間転写ベルト421が通過する際、感光体ドラム413上のトナー像が中間転写ベルト421に順次重ねて一次転写される。具体的には、一次転写ローラー422に一次転写バイアスを印加し、中間転写ベルト421の裏面側(一次転写ローラー422と当接する側)にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は中間転写ベルト421に静電的に転写される。
その後、用紙が二次転写ニップを通過する際、中間転写ベルト421上のトナー像が用紙に二次転写される。具体的には、二次転写ローラー424に二次転写バイアスを印加し、用紙の裏面側(二次転写ローラー424と当接する側)にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は用紙に静電的に転写される。トナー像が転写された用紙は定着部60に向けて搬送される。
ベルトクリーニング装置426は、中間転写ベルト421の表面に摺接するベルトクリーニングブレード等を有し、二次転写後に中間転写ベルト421の表面に残留する転写残トナーを除去する。なお、二次転写ローラー424に代えて、二次転写ローラーを含む複数の支持ローラーに、二次転写ベルトがループ状に張架された構成(いわゆるベルト式の二次転写ユニット)を採用してもよい。
定着部60は、用紙の定着面(トナー像が形成されている面)側に配置される定着面側部材を有する上側定着部60A、用紙の裏面(定着面の反対の面)側に配置される裏面側支持部材を有する下側定着部60B、及び加熱源60C等を備える。定着面側部材に裏面側支持部材が圧接されることにより、用紙を狭持して搬送する定着ニップが形成される。
定着部60は、トナー像が二次転写され、搬送されてきた用紙を定着ニップで加熱、加圧することにより、用紙にトナー像を定着させる。定着部60は、定着器F内にユニットとして配置される。また、定着器Fには、エアを吹き付けることにより、定着面側部材から用紙Sを分離させるエア分離ユニット60Dが配置されている。
用紙搬送部50は、給紙部51、排紙部52および搬送経路部53等を備える。給紙部51を構成する3つの給紙トレイユニット51a〜51cには、坪量(剛度)やサイズ等に基づいて識別された用紙S(規格用紙、特殊用紙)が予め設定された種類ごとに収容される。搬送経路部53は、レジストローラー対53a等の複数の搬送ローラー、用紙の両面に画像形成するための両面搬送経路等を有する。なお、搬送経路部53の詳細については後述する。
給紙トレイユニット51a〜51cに収容されている用紙Sは、最上部から一枚ずつ送出され、搬送経路部53により画像形成部40に搬送される。このとき、レジストローラー対53aが配設されたレジストローラー部により、給紙された用紙Sの傾きが補正されるとともに搬送タイミングが調整される。そして、画像形成部40において、中間転写ベルト421のトナー像が用紙Sの一方の面に一括して二次転写され、定着部60において定着工程が施される。画像形成された用紙Sは、排紙ローラー52aを備えた排紙部52により機外に排紙される。
次に、搬送経路部53について詳述する。
搬送経路部53は、用紙が片面に画像を形成される際に搬送される経路であって、画像形成部40で画像が形成される用紙が搬送される主搬送路530を備える。主搬送路530は、レジストローラー53aと画像形成部40の二次転写ニップと定着部60とを経由して用紙を搬送する経路である。また、搬送経路部53は、用紙の表裏を反転させる反転搬送路533を備える。
搬送経路部53は、外部給紙口2aから給紙された長尺紙LS等の用紙を主搬送路530に搬送する外部給紙搬送路531と、給紙トレイユニット51a〜51cから給紙された用紙Sを主搬送路530に搬送する給紙搬送路532を備える。
主搬送路530は、装置本体2の内部で給紙トレイユニット51a〜51cの上方に設けられ、装置本体2の一方の側部から他方の側部へ延在する。主搬送路530は、一方の端部が外部給紙搬送路531及び給紙搬送路532と繋がる。また、主搬送路530は、他方の端部が、装置本体2の他方の側部に設けられた排出部52の排出口と繋がる。
外部給紙搬送路531は、一方の端部が外部給紙口2aと繋がり、他方の端部が主搬送路530と繋がる。給紙搬送路532は、装置本体2内の一方の側部の近傍に設けられ、給紙トレイユニット51a〜51cから主搬送路530へ上下(略垂直)方向に延在する。給紙搬送路532は、装置本体2の一方の側部に設けられた開閉扉54が開かれることで、給紙搬送路532の経路の一部が外方に露出され、ジャム処理等が可能になる。給紙搬送路532は、上方の端部が主搬送路530と繋がり、下方の端部が給紙トレイユニット51a〜51cと繋がる。また、給紙搬送路532は、後述する第2の両面経路としての機外搬送路P2と交差するように繋がる。
反転搬送路533は、装置本体2の内部で給紙トレイユニット51a〜51cと主搬送路530の間に設けられ、装置本体2の他方の側部から一方の側部へ延在する。反転搬送路533は、主搬送路530を搬送される用紙の搬送方向において、定着部60より下流側で主搬送路530から下方へ分岐する第1の還流搬送路533aと、画像形成部40の二次転写ニップより上流側で主搬送路530と合流する第2の還流搬送路533bを備える。
反転搬送路533は、一方の端部が第1の還流搬送路533a及び第2の還流搬送路533bと繋がる。ここで、第1の還流搬送路533a及び第2の還流搬送路533bと繋がる反転搬送路533の一方の端部は、両面印刷時において用紙の進行方向(搬送方向)の正逆が切り替わるスイッチバックポイントSBPとなる。以下、反転搬送路533において、第1の還流搬送路533aから用紙が搬送される矢印aで示す搬送方向を正方向と称し、第2の還流搬送路533bへ用紙が搬送される矢印bで示す搬送方向を逆方向と称する。
また、反転搬送路533は、スイッチバックポイントSBPに対して、正方向の搬送方向における下流側に、スイッチバックローラーとしての搬送ローラー53bを備える。搬送ローラー53bは、図示しないモータの駆動力が伝達され、正方向と逆方向の双方に用紙を搬送する。
また、反転搬送路533における他方の端部側は、反転搬送路533と主搬送路530とを繋ぐ第1の両面経路としての連結搬送路P1と、装置本体2の外部排紙口2bまで延びる第2の両面経路としての機外搬送路P2と、に分岐する。かかる分岐路には、長尺紙LSの搬送方向を連結搬送路P1と機外搬送路P2のいずれかに切り替える切替機構としての切り替えゲート533gが設けられている。
連結搬送路P1は、用紙を装置本体2の内部で両面印刷するために使用される両面経路であり、正方向に搬送される用紙の搬送方向におけるレジストローラー53aの上流側で主搬送路530と合流する。本例では、連結搬送路P1は、主搬送路530と第2の還流搬送路533bとの合流箇所より上流側で合流する。連結搬送路P1は、用紙が主搬送路530で正方向に搬送される方向で主搬送路530と合流する。
機外搬送路P2は、用紙の搬送方向先端における進行経路を装置本体2の外部にまで延長させる役割を有する両面経路であり、正方向に搬送される用紙の搬送方向において直線状に延び、装置本体2の一側面に設けられている外部排紙口2bに繋がる。機外搬送路P2は、給紙搬送路532と交差するように繋がる。なお、装置本体2の開閉扉54が閉められると、開閉扉54により外部排紙口2bが閉じた状態となり(図3参照)、機外搬送路P2の本来の機能が制限される。このため、開閉扉54の開閉状態を検出するために、外部排紙口2bの近傍に、図示しない側面扉開閉センサーが配置されている。
このように、本実施の形態では、両面搬送経路において連結搬送路P1と機外搬送路P2との2つに分岐される構成となっており、長尺紙LSの両面に画像を形成する場合、連結搬送路P1または機外搬送路P2のいずれかを用いて両面印刷を行うことができる。
また、本実施の形態では、図1に示すように、連結搬送路P1と機外搬送路P2との分岐点および切り替えゲート533gが装置本体2の側部から比較的近い位置に設けられており、連結搬送路P1と機外搬送路P2のいずれも比較的短い経路となっている。かかる構成とすることにより、2つの両面搬送経路の内の大部分が装置本体2内で共有され、低コスト化および装置本体2の小型化に寄与する。
次に、給紙トレイユニット51a〜51cから給紙された用紙Sに両面印刷を行う場合を説明する。画像形成装置1では、主搬送路530を正方向(図1の左方向)に搬送されて、画像形成部40および定着部60を通過した用紙Sは、上側を向いた面(第1面)にトナー画像が転写および定着される。続いて、用紙Sは、主搬送路530から第1の還流搬送路533aを経由して反転搬送路533に搬送されるように、制御部100によって搬送制御される。さらに、制御部100は、用紙Sの搬送方向後端がスイッチバックポイントSBPを通過すると、搬送ローラー53bの回転方向を切り替えて搬送方向を反転させ、用紙Sを反転搬送路533から第2の還流搬送路533bを経由して主搬送路530に搬送するように搬送制御する。
かかる搬送制御により、非長尺用紙である用紙Sは、矢印aで示す正方向への搬送において、かかる用紙Sの先端が連結搬送路P1または機外搬送路P2に入る手前で、用紙Sの後端がスイッチバックポイントSBPを通過する。続いて、用紙Sは、第2の還流搬送路533bを経て、画像形成面である第1面が下側を向いて主搬送路530に搬送され、上側を向いた第2面に画像形成されることが可能になる。両面にトナー画像が形成された用紙Sは、主搬送路530から排紙部52に排紙されるように、制御部100によって搬送制御される。したがって、非長尺用紙である用紙Sが両面印刷される場合には、用紙Sは、連結搬送路P1または機外搬送路P2のいずれにも搬送されない。
次に、連結搬送路P1を用いて長尺紙LSの両面印刷を行う場合を説明する。長尺紙LSは、装置本体2の外部給紙口2aから外部給紙搬送路531を経由して、主搬送路530を正方向(図1の左方向)に搬送される。この後、上述と同様に、画像形成部40および定着部60を通過した長尺紙LSは、上側の第1面にトナー画像が転写および定着され、主搬送路530から第1の還流搬送路533aを経由して反転搬送路533に搬送される(図3参照)。長尺紙LSは、反転搬送路533を矢印aで示す正方向に搬送されると、切り替えゲート533gを適宜切り替えて搬送方向の先端が連結搬送路P1に入るように、制御部100によって搬送制御される。そして、制御部100は、図4に示すように、長尺紙LSの搬送方向の後端がスイッチバックポイントSBPを通過すると、搬送ローラー53bの回転方向を切り替えて搬送方向を反転させるスイッチバックの動作を実行する。かかる動作の後、長尺紙LSは、反転搬送路533から第2の還流搬送路533bを経由して主搬送路530に搬送するように、制御部100によって搬送制御される。
かかる搬送制御により、反転搬送路533での正方向への搬送において、長尺紙LSの先端は、連結搬送路P1に入り、長尺紙LSのサイズ(搬送方向における長さ)によっては、図4に示すように、主搬送路530に合流する。この場合、搬送方向の反転により逆方向に搬送されると、長尺紙LSの搬送方向の後端は、主搬送路530を逆方向(図4における右方向)に移動する。
この後は、用紙Sの場合と同様に、長尺紙LSは、第2の還流搬送路533bを経て、画像形成面である第1面が下側を向いて主搬送路530に搬送され(図5参照)、上側を向いた第2面に画像形成されることが可能になる。両面にトナー画像が形成された長尺紙LSは、主搬送路530から排紙部52に排紙されるように、制御部100によって搬送制御される。
次に、機外搬送路P2を用いて長尺紙LSの両面印刷を行う場合を説明する。上述と同様に、長尺紙LSは、装置本体2の外部給紙口2aから外部給紙搬送路531を経由して、主搬送路530を正方向(図1の左方向)に搬送される。この後、画像形成部40および定着部60を通過した長尺紙LSは、上側の第1面にトナー画像が転写および定着され、主搬送路530から第1の還流搬送路533aを経由して反転搬送路533に搬送される。長尺紙LSは、反転搬送路533を矢印aで示す正方向に搬送されると、適宜、切り替えゲート533gの切り替え動作が行われ(図6参照)、搬送方向の先端が機外搬送路P2に入るように、制御部100によって搬送制御される。そして、制御部100は、図6に示すように、長尺紙LSの搬送方向の後端がスイッチバックポイントSBPを通過すると、搬送ローラー53bの回転方向を切り替えて搬送方向を反転させ、長尺紙LSを反転搬送路533から第2の還流搬送路533bを経由して主搬送路530に搬送するように搬送制御する。
このような搬送制御により、反転搬送路533での正方向への搬送において、長尺紙LSの先端が機外搬送路P2に入り、図6に示すように、長尺紙LSの一部が外部排紙口2bから装置本体2の外部に露出する。この後、スイッチバック動作すなわち搬送方向の反転により逆方向に搬送されると、長尺紙LSの搬送方向の後端側は、外部排紙口2bから装置本体2の内部に引き込まれるように移動する。
ところで、連結搬送路P1と機外搬送路P2とでは、以下に説明するように、相互に異なる性質や特徴(長所、短所など)を有している。かかる異なる性質等に鑑みて、本実施の形態では、長尺紙LSの両面に画像形成する印刷ジョブにおいて、制御部100は、長尺紙LSを、優先的に連結搬送路P1に通すように制御する。また、本実施の形態では、長尺紙LSの両面に画像形成する印刷ジョブにおいて、画像形成条件を参照し、画像形成条件によっては、長尺紙LSを例外的に機外搬送路P2に通すように制御する。
ここで、画像形成条件には、両面印刷の対象となる長尺紙LSの種類(長さや剛度)、長尺紙LSに対する画像のカバレッジ(印字率)、画像形成装置1の設定状態(電力モード、ユーザー設定状態など)、画像形成装置1の物理的な状態(温度状態、種々の扉の開閉状態など)等が含まれる。
以下、連結搬送路P1と機外搬送路P2との性質等の違い、および長尺紙LSの両面印刷時における搬送制御について説明する。
(装置の実質的な大型化防止の観点)
連結搬送路P1を使用して長尺紙LSの両面印刷を行う場合、装置本体2内で両面印刷時の搬送経路が確保されるため、装置本体2の開閉扉54を閉めた状態で行うことができる(図4、図5参照)。
他方、機外搬送路P2を使用して長尺紙LSの両面印刷を行う場合、図6に示すように、予め装置本体2の開閉扉54を開けておく必要があり、かつ、両面印刷時の搬送経路が実質的に装置本体2の外部まで延長される。このため、機外搬送路P2を使用して長尺紙LSの両面印刷を行う場合、画像形成装置1の実質的な大型化を招くことになる。
したがって、画像形成装置1の実質的な大型化防止の観点からは、言い換えると、装置を大型化することなく長尺紙LSの両面に画像を形成するためには、連結搬送路P1を使用することが望まれる。
(装置の設置条件等の観点)
連結搬送路P1を使用して長尺紙LSの両面印刷を行う場合、上述のように、装置本体2の開閉扉54を閉めた状態とすることができるため、装置本体2の外部排紙口2b側の側面を、壁などに比較的近づけることができるようになる。
他方、機外搬送路P2を使用して長尺紙LSの両面印刷を行う場合、図1および図6に示すように、予め装置本体2の開閉扉54を開けて、外部排紙口2bを開放状態とする必要がある。ここで、装置本体2の外部排紙口2b側に壁や荷物などが位置する場合、開閉扉54を開くことができない場合がある。あるいは、開閉扉54を開けることができる場合であっても、両面印刷の動作中に装置本体2の外部に露出した長尺紙LSが荷物等に干渉してジャムが発生する可能性がある。
したがって、画像形成装置1の設置条件等の観点からは、連結搬送路P1を使用した方が有利である。
(ジャム処理の容易性からの観点)
長尺紙LSの両面印刷を行う場合、連結搬送路P1と機外搬送路P2のいずれを用いる場合であっても、かかる長尺紙LSが機内で詰まる、すなわちジャムが発生する可能性がある。
ここで、連結搬送路P1を使用した両面印刷の動作中に長尺紙LSのジャムが発生した場合は、いずれの時点においても長尺紙LS全体が機内(装置本体2内)に残るので、ジャム処理を比較的容易に行うことができる。他方、機外搬送路P2を使用した両面印刷の動作中に長尺紙LSのジャムが発生した場合は、スイッチバックにより長尺紙LSの全体が装置本体2内に引き込まれるまでは長尺紙LSの一部が外部排紙口2bから装置本体2の外部に露出している(図6参照)。このため、機外搬送路P2を使用した両面印刷の動作中に長尺紙LSのジャムが発生した場合は、ジャム処理を行うことが難しくなる場合がある。
したがって、ジャム処理の容易性からの観点からも、連結搬送路P1を使用した方が有利である。
(両面印刷実行中の作業性の観点)
長尺紙LSの両面印刷を行う場合、連結搬送路P1と機外搬送路P2のいずれを用いる場合であっても、装置本体2の正面側(図1における手前側)に設けられている各種扉を開くことにより、印刷ジョブの実行中に、給紙トレイユニット51a〜51cを引き出して用紙Sを補給する、あるいはトナーボトル交換によるトナー補給などの作業を行うことができる。
ここで、機外搬送路P2を使用して長尺紙LSの両面印刷を行う場合にトナーボトルの交換を行うと、長尺紙LSが装置本体2の外部排紙口2bから外部に露出されている最中にトナーボトルのトナーがこぼれ落ちることで、長尺紙LSが汚れる可能性がある。また、用紙Sを補給する際にも、長尺紙LSが装置本体2の外部排紙口2bから外部に露出されている最中に、長尺紙LSの露出部分が補給される用紙Sの束などに接触して、長尺紙LSの角折れなどの損傷が発生する可能性がある。他方、連結搬送路P1を使用して長尺紙LSの両面印刷を行う場合には、このような問題は発生しにくい。
したがって、両面印刷実行中の作業性の観点からも、連結搬送路P1を使用した方が有利である。
このような点に鑑みて、本実施の形態では、長尺紙LSの両面に画像形成する印刷ジョブにおいて、制御部100は、長尺紙LSを連結搬送路P1に通すように搬送することを基本(デフォルト)とする。他方、以下に説明するように、画像形成条件によっては、連結搬送路P1を使用することが適していない場合があり、そのような場合、制御部100は、長尺紙LSを機外搬送路P2に通すように搬送制御する。
(用紙のサイズからの観点)
連結搬送路P1を使用する場合、長尺紙LSのサイズによっては、上述のように、スイッチバック前の正方向の搬送時に、長尺紙LSの搬送方向先端が用紙搬送路530に再突入する(図4参照)。また、長尺紙LSのサイズがさらに長い場合、スイッチバック前の正方向の搬送時に、長尺紙LSの搬送方向先端側は、画像形成面を上側にした状態で画像形成部40の二次転写ニップに達し、さらには図7に示すように、定着部60まで達する。ここで、長尺紙LSの画像形成面のトナー画像が定着部60の定着ニップを跨がる場合、かかるトナー画像が定着ニップによって再定着されるため、定着ニップを跨がったトナー画像の光沢が上がる或いは画像荒れが発生するなどの問題が生じる(以下、問題点1という。)。
また、連結搬送路P1を使用する場合、長尺紙LSの長さによっては、図8に示すように、スイッチバック後の逆方向の搬送時に、長尺紙LSの搬送方向の後端は、主搬送路530を逆方向(図8における右方向)に移動する。このときに、第2の還流搬送路533bに搬送されている長尺紙LSの搬送方向の先端は、主搬送路530を逆方向に移動している自紙の下面とすれ違うため、ジャム等が発生しやすくなると考えられる(以下、問題点2という。)。
他方、機外搬送路P2を使用する場合、長尺紙LSは、スイッチバック前の正方向の搬送時に搬送方向先端側が外部排紙口2bから機外に露呈され(図6参照)、スイッチバック後の逆方向の搬送時には、機外に露呈された部分が機内に戻される動作となる。このため、機外搬送路P2を使用する場合には、用紙の長さ、機械本体のサイズや経路長等に関わりなく、上記問題点1および2のいずれの問題も生じない。
かかる観点からは、制御部100は、長尺紙LSの両面に画像形成するジョブにおいて、かかる長尺紙LSの長さが閾値を超える場合には長尺紙LSを機外搬送路P2に通すように搬送制御する。他方、長尺紙LSの長さが閾値以下の場合には、制御部100は、長尺紙LSを連結搬送路P1に通すように搬送制御する。
ここで、長尺紙LSの長さの閾値は、上述した問題点1に対処するために、長尺紙LSの長さがスイッチバックポイントSBPから連結搬送路P1を経由して定着ニップに達する長さ(図7参照)か否かを基準とする。
或いは、長尺紙LSの長さの閾値は、上述した問題点2に対処するために、長尺紙LSの長さがスイッチバックポイントSBPから連結搬送路P1を経由して主搬送路530に合流する位置までの長さと、スイッチバックポイントSBPから第2の還流搬送路533bを経由して主搬送路530に合流する位置までの長さと、を加えた値以上の長さ(図8参照)か否かを基準とする。
(用紙の剛度からの観点)
図1に示すように、連結搬送路P1は曲率を有する経路であり、他方、機外搬送路P2は、直線的な経路である。このため、剛度が高い長尺紙LSを使用する場合、機外搬送路P1よりも連結搬送路P2を使用する方が、相対的に通紙抵抗(搬送負荷)が小さくなる。
かかる観点からは、制御部100は、長尺紙LSの両面に画像形成するジョブにおいて、当該長尺紙LSの剛度が低い場合には連結搬送路P1を通し、剛度が高い場合には機外搬送路P2に通すように長尺紙LSを搬送制御する。
(印字率(カバレッジ)からの観点)
上述のように、連結搬送路P1は、曲率を有し、かつ主搬送路530に連なる経路である。このため、長尺紙LSの第1面に形成されたトナー画像の印字率(カバレッジ)が高い場合、機外搬送路P1よりも連結搬送路P2を使用する方が、相対的に第1面のダメージ(スクラッチ傷など)が発生しにくいと考えられる。
かかる観点からは、制御部100は、長尺紙LSの両面に画像形成するジョブにおいて、かかる長尺紙LSの第1面の印字率(カバレッジ)が低い場合には連結搬送路P1を通し、カバレッジが高い場合には長尺紙LSを機外搬送路P2に通すように搬送制御する。
(電力消費量等からの観点)
上述のように、連結搬送路P1を使用する場合、長尺紙LSの長さによっては、上述した問題点2(図8参照)によりジャム等が発生しやすくなる。かかる問題点2に対処するために、長尺紙LSの一端側と他端側が主搬送路530ですれ違うときに、主搬送路530のローラー対を主搬送路530から離間させる、あるいは主搬送路530の上側のローラーの回転方向を逆転させるなどの制御を行うことが考えられる。他方、このような制御を行うと、ジャム発生の可能性を減らすことが可能となる反面、消費電力が増加する。
かかる観点から、制御部100は、長尺紙LSの両面に画像形成するジョブにおいて、画像形成装置1における消費電力の設定モードに応じて、連結搬送路P1または機外搬送路P2のいずれかに通すように長尺紙LSを搬送制御する。具体的には、消費電力の設定モードが省エネルギーを求めるモード(省電力モードやモノクロ印刷モードなど)である場合には、制御部100は、長尺紙LSを機外搬送路P2に通すように搬送制御する。他方、消費電力の設定モードが省エネルギーを求めるモードでない場合には、制御部100は、長尺紙LSを連結搬送路P1に通すように搬送制御する。
(主搬送路の部材の寿命等からの観点)
連結搬送路P1を使用して両面印刷する場合、長尺紙LSの一端側が主搬送路530に再突入されるため、機外搬送路P2を使用して両面印刷する場合と比較して、主搬送路530に配置されたローラーやセンサーなどの使用回数が増える。
かかる観点から、制御部100は、長尺紙LSの両面に画像形成するジョブにおいて、主搬送路530に配置されたローラーやセンサーなどの部品の使用履歴を参照し、これらの部品が耐久末期でなければ連結搬送路P1に通し、これらの部品が耐久末期であれば機外搬送路P2に通すように当該長尺紙LSを搬送制御する。なお、かかる部品が耐久末期であるか否かの判定は、例えば主搬送路530に用紙が搬送された回数をカウントし、かかる搬送回数が所定値を超えた場合に耐久末期であると判定するようにする。
或いは、連結搬送路P1や機外搬送路P2にローラーやセンサーなどの部品が配置されている場合、制御部100は、長尺紙LSの両面に画像形成するジョブにおいて、これら搬送路P1、P2の部品の使用履歴を参照する。そして、制御部100は、連結搬送路P1の部品の耐久が末期である場合や故障している場合には、機外搬送路P2に通し、機外搬送路P2の部品の耐久が末期である場合や故障している場合には、連結搬送路P1に通すように当該長尺紙LSを搬送制御する。
(機内温度上昇の観点)
上述のように、連結搬送路P1を使用して両面印刷する場合、定着部60で加熱定着されたトナー画像が形成された長尺紙LSが主搬送路530に再突入されるため、機内温度が上昇しやすい。他方、機外搬送路P2を使用して両面印刷する場合、定着部60で加熱定着されたトナー画像が形成された長尺紙LSは、その一部が外部排紙口2bから機外に露出されることにより冷却(放熱)されるため、連結搬送路P1の場合と比較して機内温度は上昇しにくい。
かかる観点から、制御部100は、長尺紙LSの両面に画像形成するジョブにおいて、機内温度を参照し、機内温度が低い場合には連結搬送路P1を通し、機内温度が高い場合には長尺紙LSを機外搬送路P2に通すように搬送制御する。この場合、装置本体2内に温度センサーを配置し、かかる温度センサーの出力を制御部100で監視する構成とすればよい。
以下、図9のフローチャートを参照して、長尺紙LSが両面印刷される印刷ジョブにおいて制御部100が行う長尺紙の搬送制御の一例について説明する。図9では、同一サイズの複数枚の長尺紙LSについて両面印刷する場合の搬送制御の例を示している。
ステップS1からステップS3において、制御部100は、画像形成条件を参照する。この例では、画像形成条件として、制御部100は、用紙情報、入力画像情報、および装置の状態情報を参照する。
ステップS1において、制御部100は、用紙情報を参照する。ここで、用紙情報は、印刷しようとする1枚分の長尺紙LSの情報であり、本実施の形態では、例えば不図示の用紙設定プロファイルで設定された長尺紙LSの搬送方向の長さの情報および斤量(剛度)の情報を含む。
ステップS2において、制御部100は、入力画像情報を参照する。ここで参照される入力画像情報は、長尺紙LSの第1面に形成されるトナー画像の印字率(カバレッジ)の情報を含む。
ステップS3において、制御部100は、装置の状態情報を参照する。ここで、装置の状態情報には、開閉扉54の開閉を検知する側面扉開閉センサーの出力信号、用紙Sやトナーの補給時に開かれる装置正面側の扉の開閉を検知する図示しない扉開閉センサーの出力信号が含まれる。また、装置の状態情報には、主搬送路530に配置されたローラーやセンサーなどの使用回数(耐久、寿命)に関する情報、温度センサーによる機内温度の情報、および装置の消費電力モードに関する情報が含まれる。
ステップS4において、制御部100は、ステップS1からステップS3で参照した各情報(すなわち画像形成条件)に基づいて、第1の両面経路が使用可能か否かを判定する。制御部100は、第1の両面経路が使用可能であると判定した場合(ステップS4、YES)にはステップS5に移行し、第1の両面経路が使用できないと判定した場合(ステップS4、NO)にはステップS6に移行する。
ステップS5において、制御部100は、連結搬送路P1を通して長尺紙LSの両面印刷を行い、両面印刷後の長尺紙LSを主搬送路530から排紙部52に排紙するように搬送制御する。他方、ステップS6において、制御部100は、機外搬送路P2を通して長尺紙LSの両面印刷を行い、両面印刷後の長尺紙LSを主搬送路530から排紙部52に排紙するように搬送制御する。
ステップS5またはステップS6の後のステップS7において、制御部100は、印刷ジョブが終了したか否かを判定し、未だ終了していないと判定した場合(ステップS7、NO)、ステップS2に戻って上述したステップS2〜ステップS7の処理を繰り返す。他方、制御部100は、印刷ジョブが終了したと判定すると(ステップS7、YES)、一連の処理を終了する。
ステップS4における判定条件、言い換えると第1の両面経路が使用可能であるための条件(各情報の優先度等)は、種々の態様があり得る。例えば、開閉扉54が閉まっている場合には、制御部100は、他の条件に関わらず、第1の両面経路が使用可能であると判定することができる。また、装置本体2の前面側の扉(トナーボトル取出口や給紙トレイユニット51a〜51cの開閉扉など)が開いている場合にも、他の条件に関わらず、第1の両面経路が使用可能であると判定することができる。
このように、本実施の形態では、長尺紙LSの両面印刷を行う場合に、優先的に連結搬送路P1を使用するように制御することから、開閉扉54を開き機外搬送路P2を用いて反転搬送路533の経路長を延長することによる装置の実質的な大型化を防止することができる。
また、長尺紙LSの両面印刷を行う場合に、優先的に連結搬送路P1を使用するように制御することにより、画像形成装置1の設置スペースを確保することができる。さらには、印刷ジョブの実行中に各種のユニットを引き出して、ジャム処理、用紙あるいはトナー補給などの作業を効率的に行うことができる。
なお、消費電力を抑えつつ上述した問題点1および2に対処する観点からは、制御部100は、画像形成条件として、例えば、長尺紙LSの搬送方向長さと剛度の情報、およびカバレッジの情報の優先度(プライオリティ)を上げるようにする。この場合、制御部100は、長尺紙LSの搬送方向長さが閾値以下であり、剛度が低く、かつ、カバレッジが低い場合には、第1の両面経路が使用可能であると判定し(ステップS4、YES)、かかる長尺紙LSを、連結搬送路P1を通して両面印刷するように搬送制御する(ステップS5)。これに対して、長尺紙LSの搬送方向長さが閾値を超える場合、剛度が高い場合、あるいはカバレッジが高い場合のいずれかであれば、制御部100は、第1の両面経路が使用できないと判定し(ステップS4、NO)、かかる長尺紙LSを、機外搬送路P2を通して両面印刷するように搬送制御する(ステップS6)。
その他、ステップS4における判定条件(第1の両面経路が使用可能であるための条件)およびかかる判定のために制御部100が参照する画像形成条件は、種々の態様とすることができ、また、以下のような条件を加える或いは置き換えることもできる。
(画像チェック用のサンプル用紙に画像形成する場合)
長尺紙LSに対して両面印刷する印刷ジョブにおいて、例えば1枚目の長尺紙LSを画像チェックのためにサンプル紙として採取したい場合がある。この場合、制御部100は、画像形成部40および定着部60を通って印刷されたサンプル用紙を、機外搬送路P2を通して装置本体2の外部給紙口(開口)2bから外部に露出させるように搬送制御する。
具体的には、印刷ジョブの実行に先立って、例えば外部のPCや操作表示部20等を通じて、1枚目の長尺紙がサンプル紙である旨の設定をしておく。この場合、制御部100は、サンプル紙として設定された長尺紙LSを、連結搬送路P1または機外搬送路P2のいずれかを通して両面印刷した後に、排紙部52から排紙せず、再度第1の還流搬送路533aおよび反転搬送路533に搬送する。さらに、制御部100は、反転搬送路533に搬送した長尺紙LSを機外搬送路P2に通し、スイッチバック動作を行わずに外部排紙口2bから機外に露出あるいは排出されるように、当該長尺紙LSを搬送制御する。
(ユーザビリティの更なる向上)
さらに、ユーザビリティの更なる向上の観点からは、長尺紙LSの両面に画像形成する印刷ジョブの実行に先立って、連結搬送路P1と機外搬送路P2のいずれを用いて両面印刷するかをユーザーが指定できるようにすることが好ましい。例えば、画像形成装置1を壁際などに設置した場合等、開閉扉54を開くことができない場合や外部排紙口2b側に十分な通紙空間が確保できない場合に、連結搬送路P1を用いた両面印刷しかできないケースが考えられる。
このようなケースに鑑みて、制御部100は、例えば表示部21に「両面経路1」および「両面経路2」のいずれかを選択するボタンを表示し、操作部22を通じて選択設定されたユーザー設定情報に基づいて搬送制御する。かかる構成により、画像形成装置1が壁際などに設置された場合にユーザーが「両面経路1」を選択して連結搬送路P1を用いた長尺紙LSの両面印刷を行い、その後、配置変え等により十分な通紙空間が確保された場合、ユーザーが「両面経路2」を選択して機外搬送路P2を用いた長尺紙LSの両面印刷を行う、といった使い方ができるようになる。
また、制御部100は、長尺紙LSの両面に画像形成する印刷ジョブの実行に先立って、表示部21やPCなどの外部装置に「両面経路1」および「両面経路2」のいずれかを選択するボタンを表示するとともに、上述した種々の画像形成条件に関する情報を参照して、好ましい両面経路を表示部21にメッセージ表示するようにしてもよい。例えば、制御部100は、長尺紙LSの長さ、剛度、およびカバレッジがそれぞれ予め設定された値以下である場合に「両面経路1をおすすめします。」旨のメッセージを表示部21等に表示する。また、制御部100は、ユーザーが「両面経路2」を選択した場合に開閉扉54が閉まっている場合、「装置側面の開閉扉を開けてください」といったメッセージを表示部21等に表示する。
このような構成とすることにより、ユーザビリティの更なる向上が図られる。
本実施の形態では、上述のような2つの両面経路(P1、P2)を備えていることから、長尺紙LSの両面印刷時において、印刷される長尺紙LSの長さや剛度、装置の状態、ユーザーにより設定された両面経路の設定情報、などの種々の画像形成条件を考慮することにより、使用する両面経路を適宜切り替えて印刷することができる。
また、本実施の形態では、種々の画像形成条件に基づいて、2つの両面経路(P1、P2)を使い分けて長尺紙LSの両面印刷を行うように搬送制御することから、最適な経路で長尺紙LSの両面印刷を実行し、両面に画像形成された長尺紙LSを良好な状態で機外に排出することができる。
また、本実施の形態では、長尺紙LSの両面にトナー画像を形成する場合、当該長尺紙LSを、優先的に連結搬送路P1(第1の両面経路)に通すように搬送することから、画像形成装置1を大型化することなく長尺紙の両面に画像を形成することができる。
上記実施の形態および変形例は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
1 画像形成装置
2 装置本体
2a 外部給紙口
2b 外部排紙口
10 画像読取部
20 操作表示部
21 表示部
22 操作部
30 画像処理部
40 画像形成部
50 用紙搬送部
51 給紙部
51a〜51c 給紙トレイユニット
52 排紙部
53 搬送経路部
53a レジストローラー
53b 搬送ローラー
530 主搬送路
531 外部給紙搬送路
532 給紙搬送路
533 反転搬送路
533a 第1の還流搬送路
533b 第2の還流搬送路
533g 切り替えゲート
54 開閉扉
60 定着部
71 通信部
72 記憶部
100 制御部(搬送制御部)
101 CPU
102 ROM
103 RAM
P1 連結搬送路(第1の両面経路)
P2 機外搬送路(第2の両面経路)
SBP スイッチバックポイント
LS 長尺紙

Claims (16)

  1. 長尺紙にトナー画像を形成する画像形成部と、
    前記長尺紙に形成された前記トナー画像を定着させる定着部と、
    前記長尺紙を前記画像形成部および前記定着部に搬送する主搬送路と、
    前記長尺紙を前記主搬送路における前記画像形成部の搬送方向上流側に搬送する給紙搬送路と、
    前記主搬送路における前記定着部の搬送方向下流側から分岐し、前記長尺紙の搬送方向をスイッチバックポイントで逆行させることにより当該長尺紙の表裏を反転させて前記画像形成部の上流側に搬送する両面搬送路と、
    前記長尺紙の搬送を制御する搬送制御部と、を備え、
    前記両面搬送路は、スイッチバックされる前の搬送方向に対して、前記スイッチバックポイントの上流側に、前記両面搬送路のうち、前記定着部の搬送方向下流側から分岐した両面搬送路及び前記画像形成部の上流側に搬送する両面搬送路を備え、前記スイッチバックポイントの下流側において、前記用紙搬送路における前記画像形成部の上流側に繋がる第1の両面経路と、装置本体の開口に繋がる第2の両面経路と、に分岐し、
    前記搬送制御部は、前記長尺紙の両面にトナー画像を形成する場合、当該長尺紙を前記第1および第2の両面経路のいずれかに通すように制御する、
    画像形成装置。
  2. 前記搬送制御部は、画像形成条件に基づいて、前記長尺紙を前記第1および第2の両面経路のいずれに通すかを制御する、
    請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記搬送制御部は、前記画像形成条件として、前記長尺紙の搬送方向長さが閾値以下であるか否かによって、当該長尺紙を、前記第1の両面経路および前記第2の両面経路のいずれに通すかを制御する、
    請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 前記長尺紙の搬送方向長さの閾値は、前記両面搬送路における前記スイッチバックポイントから前記第1の両面経路を経由した前記用紙搬送路における前記定着部の位置までの長さに対応する値である、
    請求項3に記載の画像形成装置。
  5. 前記搬送制御部は、前記画像形成条件として、前記長尺紙の剛度を参照し、剛度が低い場合には前記第1の両面経路に通し、剛度が高い場合には前記第2の両面経路に通すように当該長尺紙を搬送制御する、
    請求項2に記載の画像形成装置。
  6. 前記搬送制御部は、前記画像形成条件として、当該長尺紙に対するカバレッジを参照し、カバレッジが低い場合には前記第1の両面経路に通し、カバレッジが高い場合には前記第2の両面経路に通すように前記長尺紙を搬送制御する、
    請求項2に記載の画像形成装置。
  7. 前記搬送制御部は、前記画像形成条件として、当該画像形成装置における消費電力の設定モードを参照し、省エネルギーを求めるモードの場合には前記第2の両面経路に通し、省エネルギーを求めるモードでない場合には前記第1の両面経路に通すように当該長尺紙を搬送制御する、
    請求項2に記載の画像形成装置。
  8. 前記長尺紙の搬送方向長さの閾値は、前記スイッチバックポイントから前記第1の両面経路を経由して前記用紙搬送路に合流する位置までの長さと、前記スイッチバックポイン
    トからスイッチバック動作により前記用紙搬送路に合流する位置までの長さと、を加えた長さに対応する値である、
    請求項3に記載の画像形成装置。
  9. 前記搬送制御部は、前記画像形成条件として、前記長尺紙が搬送される経路に配置されている部品の使用履歴を参照して、前記長尺紙を前記第1および第2の両面経路のいずれに通すかを制御する、
    請求項2に記載の画像形成装置。
  10. 前記搬送制御部は、前記画像形成条件として、機内温度を参照し、機内温度が低い場合には前記第1の両面経路に通し、機内温度が高い場合には前記第2の両面経路に通すように前記長尺紙を搬送制御する、
    請求項2に記載の画像形成装置。
  11. 前記搬送制御部は、前記画像形成条件として、トナー或いは用紙の補給作業中であれば前記第1の両面経路に通すように前記長尺紙を搬送制御する、
    請求項2に記載の画像形成装置。
  12. 前記第2の両面経路に連なる前記装置本体の開口を開閉する開閉扉を備え、
    前記搬送制御部は、前記画像形成条件として、前記開閉扉が閉まっている場合には前記第1の両面経路に通すように前記長尺紙を搬送制御する、
    請求項2に記載の画像形成装置。
  13. 前記搬送制御部は、前記画像形成条件として、前記長尺紙の搬送方向長さの情報、当該長尺紙の剛度の情報、および当該長尺紙に対するカバレッジの情報を参照して、当該長尺紙を前記第1および第2の両面経路のいずれに通すかを制御する、
    請求項2に記載の画像形成装置。
  14. 前記長尺紙を前記第1の両面経路に通すか、前記第2の両面経路に通すかを設定する経路設定部を有し、
    前記搬送制御部は、前記画像形成条件として、前記経路設定部の設定内容に応じて、当該長尺紙の搬送を制御する、
    請求項2に記載の画像形成装置。
  15. 前記搬送制御部は、前記画像形成条件により、
    前記第1の両面経路または前記第2の両面経路のいずれに通すのが良いかを判定し、
    判定結果を表示部に表示する、
    請求項14記載の画像形成装置。
  16. 前記搬送制御部は、画像チェック用のサンプル用紙に画像形成する場合、前記画像形成部で画像形成された当該サンプル用紙を、前記第2の両面経路を通して装置本体の開口から露出させるように搬送制御する、
    請求項1から15のいずれかに記載の画像形成装置。
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