JP6840031B2 - ガス改質炉および熱分解ガス改質方法 - Google Patents

ガス改質炉および熱分解ガス改質方法 Download PDF

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Description

本発明は、ガス改質炉および熱分解ガス改質方法に関する。
従来、バイオマス等の炭素を含む原料をガス化することが行われている。原料のガス化では、ガス化炉において、原料を例えば500〜700℃で熱分解することにより、熱分解ガスが生成される。熱分解ガスは、ガスのみならず、タールの蒸気および粉体のチャー等も含む。熱分解ガスは、後段のガス改質炉へと送られる。ガス改質炉の内部では、酸素の供給による部分燃焼、高温ガスでの加熱、または、ヒータによる加熱により、例えば800〜1200℃の高温状態が維持されるとともに、水蒸気が吹き込まれる。これにより、熱分解ガス中のタールおよびチャーが水蒸気改質され、水素(H)や一酸化炭素(CO)等の燃料ガスに転換される。改質後の熱分解ガスは、ボイラにおける熱回収、および、ガス精製部における不純物等の除去後、ガスエンジン等の内燃機関での発電に利用される。
特許文献1では、バイオマスの熱分解により発生したタール含有ガスを、多孔質鉱物粒子に400〜1000℃で接触させることにより、炭素を主成分とする炭素質固体を多孔質鉱物粒子の表面に付着させ、炭素担持体を生成する手法が開示されている。また、当該炭素担持体は、外部の発電装置において、水性ガス化反応による水素ガス発生源として利用され、発生した水素を燃料として燃料電池による発電が行われる。また、特許文献2では、可燃性ガスのガス化ガス中に含まれるタール分を金属系触媒によって分解する手法が開示されている。
特許第5679160号公報 特開2010−111779号公報
ところで、特許文献1の手法では、熱分解ガスから炭素担持体を生成し、当該炭素担持体を水素ガス発生源として用いることにより、熱分解ガスから多くの燃料ガスを発生させる、すなわち、熱分解ガスを効率よく利用することが可能である。しかしながら、炭素担持体を外部に取り出して、他の装置において炭素担持体から燃料ガスを発生させる煩雑な作業が必要となる。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、熱分解ガスを容易にかつ効率よく利用することを目的としている。
請求項1に記載の発明は、ガス化炉から供給される熱分解ガスを改質するガス改質炉であって、充填物が充填された第1充填空間および第2充填空間を有する炉本体と、前記第1充填空間および前記第2充填空間にそれぞれ接続する第1供給流路および第2供給流路を有し、熱分解ガスを前記第1供給流路および前記第2供給流路を介して前記第1充填空間および前記第2充填空間に供給するとともに、各供給流路を流れる前記熱分解ガスの流量が変更可能な供給調整部と、前記熱分解ガスへの酸化剤の供給により、または、加熱器により、前記第1充填空間および前記第2充填空間を加熱する充填空間加熱部と、前記第1充填空間および前記第2充填空間において、前記熱分解ガスから前記充填物上に析出する析出物に対して改質剤を供給することにより、前記析出物を燃料ガスに改質する改質剤供給部と、前記供給調整部を制御することにより、前記第1供給流路を流れる前記熱分解ガスの流量が前記第2供給流路よりも小さい一の状態と、前記第2供給流路を流れる前記熱分解ガスの流量が前記第1供給流路よりも小さい他の状態とを切り替える制御部とを備え、前記一の状態において、前記改質剤供給部が少なくとも前記第1充填空間に前記改質剤を供給し、前記第1充填空間における前記析出物が減少し、かつ、前記第2充填空間における前記析出物が増加し、前記他の状態において、前記改質剤供給部が少なくとも前記第2充填空間に前記改質剤を供給し、前記第2充填空間における前記析出物が減少し、かつ、前記第1充填空間における前記析出物が増加する。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のガス改質炉であって、前記改質剤供給部が、前記第1充填空間および前記第2充填空間に前記改質剤を個別に供給可能であり、前記一の状態において前記第2充填空間に供給される前記改質剤の流量が、前記他の状態よりも小さく、前記他の状態において前記第1充填空間に供給される前記改質剤の流量が、前記一の状態よりも小さい。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のガス改質炉であって、前記充填物が、多孔体である。
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1つに記載のガス改質炉であって、前記充填空間加熱部が、前記第1充填空間および前記第2充填空間に前記酸化剤を個別に供給可能である。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のガス改質炉であって、前記炉本体が、前記熱分解ガスが流れる本体流路を有し、前記本体流路における上流側の空間が前記第1充填空間を含み、下流側の空間が前記第2充填空間を含み、前記他の状態において、前記第2充填空間に供給される前記酸化剤の流量が、前記一の状態よりも小さい。
請求項6に記載の発明は、ガス改質炉における熱分解ガス改質方法であって、前記ガス改質炉が、充填物が充填された第1充填空間および第2充填空間を有する炉本体と、前記第1充填空間および前記第2充填空間にそれぞれ接続する第1供給流路および第2供給流路を有し、ガス化炉から供給される熱分解ガスを前記第1供給流路および前記第2供給流路を介して前記第1充填空間および前記第2充填空間に供給するとともに、各供給流路を流れる前記熱分解ガスの流量が変更可能な供給調整部と、前記熱分解ガスへの酸化剤の供給により、または、加熱器により、前記第1充填空間および前記第2充填空間を加熱する充填空間加熱部と、前記第1充填空間および前記第2充填空間において、前記熱分解ガスから前記充填物上に析出する析出物に対して改質剤を供給することにより、前記析出物を燃料ガスに改質する改質剤供給部とを備え、前記熱分解ガス改質方法が、a)前記供給調整部を用いて、前記第1供給流路を流れる前記熱分解ガスの流量が前記第2供給流路よりも小さい一の状態を形成するとともに、前記改質剤供給部により少なくとも前記第1充填空間に前記改質剤を供給する工程と、b)前記供給調整部を用いて、前記第2供給流路を流れる前記熱分解ガスの流量が前記第1供給流路よりも小さい他の状態を形成するとともに、前記改質剤供給部により少なくとも前記第2充填空間に前記改質剤を供給する工程とを備え、前記一の状態において、前記第1充填空間における前記析出物が減少し、かつ、前記第2充填空間における前記析出物が増加し、前記他の状態において、前記第2充填空間における前記析出物が減少し、かつ、前記第1充填空間における前記析出物が増加する。
本発明によれば、熱分解ガスを容易にかつ効率よく利用することができる。
第1の実施の形態に係るガス化システムの構成を示す図である。 熱分解ガスを改質する処理の流れを示す図である。 実験装置の構成を示す図である。 実験装置の改質炉を示す写真である。 実験装置の改質炉を示す写真である。 ガス改質炉の他の例を示す図である。 第2の実施の形態に係るガス改質炉を示す図である。 ガス改質炉の他の例を示す図である。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るガス化システム8の構成を示す図である。ガス化システム8は、ガス化炉81と、ガス改質炉1と、ボイラ82と、ガス精製部83と、誘引ファン84と、ガスエンジン85と、煙突86とを備える。ガス化システム8では、ガス化炉81、ガス改質炉1、ボイラ82、ガス精製部83、誘引ファン84、ガスエンジン85および煙突86の順に経由する全体流路が形成されている。誘引ファン84の駆動により、ガス化炉81にて生成される後述の熱分解ガスが、当該全体流路を煙突86に向かって流れる。
ガス化炉81は、例えば、キルンガス化炉、固定床ガス化炉、流動床ガス化炉等である。破砕機811により所定のサイズに破砕された廃棄物またはバイオマス(以下、単に「原料」という。)が、ガス化炉81に投入される。原料は、例えば、一般廃棄物、産業廃棄物、汚泥、木質バイオマス等である。原料は、例えば500〜700℃で加熱されることにより、熱分解してガス化する。これにより、熱分解ガスが生成される。熱分解ガスは、ガスのみならず、タールの蒸気および粉体のチャー等も含む。熱分解ガスは、ガス改質炉1へと供給される。なお、ガス化炉81において発生する不燃物は、適宜回収される。
ガス改質炉1では、熱分解ガス中に含まれるタール、チャー等の改質が行われる。ガス改質炉1の構成については後述する。ガス改質炉1により改質された熱分解ガス(以下、「改質ガス」という。)は、ボイラ82内に流入する。ボイラ82では、内部を流通する循環水との熱交換により、改質ガスの温度が低下する。改質ガスは、ボイラ82からガス精製部83に流入する。ガス精製部83では、改質ガスに対してダストおよびミストの除去、脱塩、脱硫、重金属の除去等の精製処理が行われる。精製処理後の改質ガスは、例えば50℃程度であり、誘引ファン84を介してガスエンジン85に供給される。ガスエンジン85では、改質ガスを燃料として発電が行われる。ガスエンジン85において改質ガスを燃焼した排ガスは、煙突86を介して大気へ排出される。当該排ガスは、煙突86へと到達する前に、熱交換されることが好ましい。
ボイラ82における循環水は、改質ガスとの熱交換により水蒸気となる。当該水蒸気は蒸気だめ820に導かれる。蒸気だめ820内の水蒸気の一部は、ガス改質炉1における後述の改質剤供給部5に供給される。当該水蒸気の他の一部は、ガス化炉81に供給され、原料の加熱(乾燥)に利用される。当該水蒸気の残りは、蒸気タービン821の駆動に利用され、その後、循環水としてボイラ82の内部へと戻される。
ガス改質炉1は、炉本体2と、供給調整部3と、充填空間加熱部4と、改質剤供給部5と、制御部10とを備える。制御部10は、ガス改質炉1の全体制御を担う。制御部10は、ガス化システム8の全体制御を担ってもよい。
炉本体2は、例えば略円筒状である。炉本体2の一方の端部には、ガス化炉81に接続する第1流入口201が設けられる。他方の端部には、ボイラ82に接続する流出口203が設けられる。炉本体2において、第1流入口201と流出口203との間には、第2流入口202が設けられる。ガス化炉81からの熱分解ガスは、第1流入口201または第2流入口202を介して炉本体2の内部に流入する。当該熱分解ガスは、炉本体2の内部を流出口203に向かって流れ、流出口203を介してボイラ82へと流出する。このように、炉本体2では、熱分解ガスが流れる本体流路200が形成される。炉本体2の形状は、適宜変更されてよく、例えば、U字状等であってもよい。
炉本体2は、第1保持部材211と、第2保持部材221とを備える。第1保持部材211および第2保持部材221は、本体流路200において、第1流入口201から流出口203に向かう熱分解ガスの流れ方向(以下、「ガス流れ方向」という。)に互いに離れて配置される。ガス流れ方向に関して、第1保持部材211は、第1流入口201と第2流入口202との間に配置され、第2保持部材221は、第2流入口202と流出口203との間に配置される。本実施の形態では、ガス流れ方向は、鉛直方向に平行である。各保持部材211,221は、ガス流れ方向に対しておよそ垂直に広がり、炉本体2の側壁の全周に接続する。保持部材211,221には、複数(多数)の孔が均一に分散して形成されており、熱分解ガスは、当該複数の孔を通過する。保持部材211,221は、例えばセラミックス、磁器、耐火材、コンクリート、金属等により形成される。
各保持部材211,221上には、充填物が充填(堆積)される。充填物は、耐熱性が高い材料にて形成される。充填物は、好ましくはセラミックスにて形成された多孔体であり、例えばセラミックボールである。充填物は、保持部材211,221の上面の全体に広がる。充填物は、下方から保持部材211,221により保持される。以下の説明では、第1保持部材211上において充填物が充填される空間21を「第1充填空間21」といい、第2保持部材221上において充填物が充填される空間22を「第2充填空間22」という。本体流路200では、第1保持部材211よりも上流側(第1流入口201側)の空間が第1充填空間21を含み、第1保持部材211よりも下流側(流出口203側)の空間が第2充填空間22を含む。
供給調整部3は、共通流路30と、第1供給流路31と、第2供給流路32とを備える。共通流路30の一端は、ガス化炉81に接続される。共通流路30の他端は、2つに分岐して第1供給流路31および第2供給流路32の一端に接続される。第1供給流路31および第2供給流路32の他端は、炉本体2の第1流入口201および第2流入口202にそれぞれ接続される。第1供給流路31は、炉本体2内における第1流入口201近傍の空間を介して、第1充填空間21に接続する。第2供給流路32は、炉本体2内における第2流入口202近傍の空間を介して、第2充填空間22に接続する。ガス化炉81で生成された熱分解ガスは、第1供給流路31および第2供給流路32を介して第1充填空間21および第2充填空間22に供給される。各供給流路31,32にはダンパ311,321が設けられており、当該供給流路31,32を流れる熱分解ガスの流量が変更可能である。第1供給流路31および第2供給流路32は、共通流路30を介在させることなく、ガス化炉81に直接接続されてもよい。
充填空間加熱部4は、第1酸化剤ノズル41と、第2酸化剤ノズル42と、酸化剤供給部43とを備える。第1酸化剤ノズル41は、本体流路200において第1充填空間21の上流側の位置に配置され、ダンパ411を介して酸化剤供給部43に接続される。第2酸化剤ノズル42は、本体流路200において第2充填空間22の上流側かつ第1充填空間21の下流側の位置に配置され、ダンパ421を介して酸化剤供給部43に接続される。酸化剤供給部43は、第1酸化剤ノズル41および第2酸化剤ノズル42に酸化剤を供給する。酸化剤は、酸素を含むガスであり、例えば空気である。酸化剤は、酸素自体であってもよい。第1酸化剤ノズル41により第1充填空間21に酸化剤が供給され、第2酸化剤ノズル42により第2充填空間22に酸化剤が供給される。ガス改質炉1では、複数の第1酸化剤ノズル41が設けられてもよく、複数の第2酸化剤ノズル42が設けられてもよい。
改質剤供給部5は、第1改質剤ノズル51と、第2改質剤ノズル52とを備える。第1改質剤ノズル51は、本体流路200において第1充填空間21の上流側の位置に配置され、ダンパ511を介して蒸気だめ820に接続される。第2改質剤ノズル52は、本体流路200において第2充填空間22の上流側かつ第1充填空間21の下流側の位置に配置され、ダンパ521を介して蒸気だめ820に接続される。蒸気だめ820内の水蒸気は、改質剤として第1改質剤ノズル51および第2改質剤ノズル52に供給される。改質剤は、過酸化水素ガス等であってもよい。第1改質剤ノズル51により第1充填空間21に改質剤が供給され、第2改質剤ノズル52により第2充填空間22に改質剤が供給される。ガス改質炉1では、複数の第1改質剤ノズル51が設けられてもよく、複数の第2改質剤ノズル52が設けられてもよい。第1改質剤ノズル51および第2改質剤ノズル52に供給される水蒸気は、ガスエンジン85の排ガスの熱や外部の熱源を利用して生成されてもよい。
図2は、ガス改質炉1が熱分解ガスを改質する処理の流れを示す図である。ガス改質炉1における熱分解ガスの改質では、後述のステップS11と、ステップS12とが交互に繰り返される。以下の説明では、一のステップS12の直後に行われるステップS11と、当該ステップS11の直後に行われるステップS12とに着目する。ガス改質炉1における熱分解ガスの改質では、酸化剤供給部43により、第1酸化剤ノズル41および第2酸化剤ノズル42から本体流路200への酸化剤の供給が、原則として常時行われている。
ステップS11では、供給調整部3を用いて、第1供給流路31を流れる熱分解ガスの流量が、第2供給流路32を流れる熱分解ガスの流量よりも小さい状態が形成される。本実施の形態では、第1供給流路31のダンパ311が閉じられることにより、第1供給流路31を流れる熱分解ガスの流量はほぼ0となる。また、第2供給流路32のダンパ321が開かれることにより、第2流入口202から本体流路200内に熱分解ガスが供給される。
熱分解ガスは、第2流入口202から第2充填空間22に向かって流れる。このとき、第2酸化剤ノズル42から熱分解ガスに酸化剤が供給され、熱分解ガスに含まれるガスが部分燃焼する。これにより、例えば、800〜1200℃の高温の熱分解ガスが第2充填空間22に流入する。第2充填空間22に到達した熱分解ガスは、充填物間の隙間、および、第2保持部材221の孔を経由して、本体流路200における第2充填空間22よりも下流側へと流れる。熱分解ガスが第2充填空間22を通過する際に、熱分解ガスに含まれるタールの炭素成分が、下記化学反応式のように、充填物の表面(細孔内の表面を含む。)に析出する。換言すると、熱分解ガスに含まれるタールが、充填物に捕集(トラップ)される。このとき、水素等の燃料ガスも発生する。
典型的には、析出物は、炭素を多く含む物質(炭素化合物)であり、純粋な炭素である必要はない。第2充填空間22では、熱分解ガスから充填物上に析出する析出物の量が、時間の経過に伴って増加する。第2充填空間22の温度を800〜1200℃とすることにより、熱分解ガスに含まれるタールの分解、すなわち、析出物の析出が生じやすくなり、タールの捕集率を100%に近づけることが可能となる。なお、第2充填空間22では、熱分解ガスに含まれる粉体のチャーも充填物の表面に付着して捕集される。充填物に付着するチャーも、析出物として扱われてよい(以下同様)。このように、熱分解ガスが第2充填空間22を通過することにより、熱分解ガスに含まれるタールおよびチャーの大部分が除去される。タール等が除去された熱分解ガス(燃焼ガス、および、発生した燃料ガスも含む。以下同様。)は、流出口203に到達し、ボイラ82へと排出される。
一方、直前のステップS12では、第1充填空間21の充填物上に析出物が析出している(第1充填空間21における析出物の析出については後述する。)。ステップS11では、第1改質剤ノズル51から本体流路200への改質剤の供給が行われ、また、既述のように、第1酸化剤ノズル41から本体流路200への酸化剤の供給も行われる。このように、第1充填空間21の充填物上の析出物に対して、酸化剤および改質剤が供給される。第1充填空間21では、酸化剤により充填物上の析出物の一部が燃焼し、第1充填空間21が高温となる。その結果、析出物の他の一部が、下記化学反応式のように、改質剤による改質反応(ここでは、水蒸気改質反応)により、水素や一酸化炭素等の燃料ガスに転換される(改質される)。
第1充填空間21では、充填物上の析出物の量が時間の経過に伴って減少する。第1充填空間21では、析出物から生成される燃料ガスの部分燃焼も生じてよい。燃料ガスおよび燃焼ガスは、第1充填空間21を通過し、熱分解ガスと共に第2充填空間22を通過する。そして、上記燃料ガスおよび燃焼ガスが、第2充填空間22にてタール等が除去された熱分解ガスと共に、改質ガスとしてボイラ82へと排出される。本処理例におけるステップS11では、第2改質剤ノズル52から噴出される改質剤の流量が、後述のステップS12における流量よりも小さく、好ましくは、第2改質剤ノズル52から改質剤が噴出されない。
第2供給流路32からの熱分解ガスの供給開始後、所定時間が経過すると、ステップS12が行われる。ステップS12では、供給調整部3を用いて、第2供給流路32を流れる熱分解ガスの流量が第1供給流路31を流れる熱分解ガスの流量よりも小さい状態が形成される。本実施の形態では、第2供給流路32のダンパ321が閉じられることにより、第2供給流路32を流れる熱分解ガスの流量はほぼ0となる。また、第1供給流路31のダンパ311が開かれることにより、第1流入口201から本体流路200内に熱分解ガスが供給される。
熱分解ガスは、第1流入口201から第1充填空間21に向かって流れる。このとき、第1酸化剤ノズル41から熱分解ガスに酸化剤が供給され、熱分解ガスに含まれるガスが部分燃焼する。これにより、高温の熱分解ガスが第1充填空間21に流入する。第1充填空間21に到達した熱分解ガスは、充填物間の隙間、および、第1保持部材211の孔を経由して、本体流路200における第1充填空間21よりも下流側へと流れる。熱分解ガスが第1充填空間21を通過する際に、熱分解ガスに含まれるタールの炭素成分が、充填物の表面に析出する。第1充填空間21では、熱分解ガスから充填物上に析出する析出物の量が、時間の経過に伴って増加する。熱分解ガスに含まれる粉体のチャーも充填物の表面に付着して捕集される。以上のように、熱分解ガスが第1充填空間21を通過することにより、熱分解ガスに含まれるタールおよびチャーの大部分が除去される。タール等が除去された熱分解ガスは、第2充填空間22を通過して流出口203に到達し、ボイラ82へと排出される。
一方、既述のように、直前のステップS11では、第2充填空間22の充填物上に析出物が析出している。ステップS12では、第2改質剤ノズル52から本体流路200への改質剤の供給が行われ、また、既述のように、第2酸化剤ノズル42から本体流路200への酸化剤の供給も行われる。このように、第2充填空間22の充填物上の析出物に対して、酸化剤および改質剤が供給される。第2充填空間22では、酸化剤により充填物上の析出物の一部が燃焼し、第2充填空間22が高温となる。その結果、析出物の他の一部が、改質剤による改質反応により、燃料ガスに転換される。実際には、第1充填空間21を通過して第2充填空間22に流入する熱分解ガスは高温であるため、ステップS12では、第2酸化剤ノズル42から噴出される酸化剤の流量を、ステップS11よりも小さくすることが可能である。
第2充填空間22では、充填物上の析出物の量が時間の経過に伴って減少する。第2充填空間22では、析出物から生成される燃料ガスの部分燃焼や、上記熱分解ガスの部分燃焼も生じてよい。燃料ガスおよび燃焼ガスは、第2充填空間22を通過し、第1充填空間21にてタール等が除去された熱分解ガスと共に、改質ガスとしてボイラ82へと排出される。本処理例におけるステップS12では、第1改質剤ノズル51から噴出される改質剤の流量が、ステップS11における流量よりも小さく、好ましくは、第1改質剤ノズル51から改質剤が噴出されない。
第1供給流路31からの熱分解ガスの供給開始後、所定時間が経過すると、ステップS11が行われる。このように、ステップS11と、ステップS12とが交互に繰り返される。換言すると、第1充填空間21における析出物が減少し、かつ、第2充填空間22における析出物が増加する一の状態と、第2充填空間22における析出物が減少し、かつ、第1充填空間21における析出物が増加する他の状態とが交互に繰り返される。これにより、充填空間21,22が閉塞することなく、ガス改質炉1の連続稼働が可能となる。
ガス改質炉1(並びに、後述の図6ないし図8のガス改質炉1)では、各ステップS11,S12の継続時間を管理することにより、析出物が増加する一方の充填空間が閉塞する前に、他方のステップS12,S11への切替が行われる。ステップS11とステップS12との切替は、時間以外の情報に基づいて行われてもよい。例えば、炉本体2の内部において、第1流入口201、第2流入口202および流出口203の近傍に測定部を設け、当該測定部により温度、圧力または流量等の測定値を取得して、析出物が増加する充填空間21,22における閉塞の兆候を検出することにより、ステップS11とステップS12との切替が行われてもよい。また、上記測定値に基づいて、析出物が減少する充填空間21,22における析出物の改質の終点を検出することにより、上記切替が行われてもよい。さらに、各酸化剤ノズル41,42から噴出される酸化剤の量が、上記温度の測定値等に基づいて制御されてもよい。熱分解ガスを改質する処理では、一方の充填空間において析出物が増加し、他方の充填空間において析出物が減少するステップS11,S12の状態に加えて、双方の充填空間21,22において析出物が増加する状態、または、析出物が減少する状態が含まれてもよい。
なお、ステップS11において第2改質剤ノズル52から改質剤が噴出される場合、および、ステップS12において第1改質剤ノズル51から改質剤が噴出される場合には、熱分解ガスに含まれるタールが、下記化学反応式に示す水蒸気改質反応により、水素や一酸化炭素(すなわち、燃料ガス)に改質される。
ここで、実験例について述べる。図3は、実験装置9の概略構成を示す図である。実験装置9では、内径50mmの石英の反応管が改質炉91として用いられ、改質炉91内に石英ビーズ92が充填物として充填される。改質炉91の周囲には、電気ヒータ97が設けられ、改質炉91は所定の温度に加熱される。改質炉91の蓋部には流入口911が設けられる。流入口911を介して、各種ガスが改質炉91内に供給可能である。改質炉91の底部には、燃料ガス等が排出される流出口912が設けられる。
第1の実験では、模擬熱分解ガス、酸素(O)ガスおよび水蒸気(HO)を含むガスを、表1に示す条件で流入口911から改質炉91内に供給した。模擬熱分解ガスは、二酸化炭素(CO)、水素(H)、一酸化炭素(CO)、メタン(CH)、窒素(N)を含み、模擬タールとしてトルエン(C)をさらに含む。酸素ガスおよび水蒸気は、酸化剤および改質剤にそれぞれ対応する。また、改質炉91の中心部の温度が1200℃となるように、電気ヒータ97を制御した。このようにして、模擬熱分解ガスのタール除去を行い、模擬熱分解ガスから石英ビーズ92上に析出物を析出させた。
図4は、実際の実験に用いた改質炉91(反応管)を示す写真である。図4中の左側の写真は、実験前の改質炉91を示し、右側の写真は、実験後の改質炉91を示す。右側の写真では、一部の石英ビーズ(符号A参照)が黒くなっており、石英ビーズ上に析出物(炭素化合物)が析出することを確認できた。なお、析出物が析出した領域の温度は、1000〜1200℃であった。
第2の実験では、第1の実験にて得られた改質炉91に対して、窒素(N)ガスおよび水蒸気(HO)を含むガスを、表2に示す条件で流入口911から改質炉91内に供給した。また、改質炉91の中心部の温度が1200℃となるように、電気ヒータ97を制御した。このようにして、石英ビーズ92上の析出物を水蒸気により燃料ガスに改質させた。
図5は、実際の実験に用いた改質炉91(反応管)を示す写真である。図5中の左側の写真は、実験前の改質炉91を示し、右側の写真は、実験後の改質炉91を示す。左側の写真において石英ビーズ上に付着していた析出物(符号A参照)が、水蒸気改質により除去されることを確認できた。なお、析出物が除去された領域の温度は、1000〜1200℃であった。
ここで、特許第5679160号公報(上記特許文献1)のように、熱分解ガスから炭素担持体を生成し、当該炭素担持体を水素ガス発生源として用いる比較例の処理を想定する。当該比較例の処理では、熱分解ガスから多くの燃料ガスを発生させる、すなわち、熱分解ガスを効率よく利用することが可能である。しかしながら、炭素担持体を外部に取り出して、他の装置において炭素担持体から燃料ガスを発生させる煩雑な作業が必要となる。また、都市廃棄物等の雑多な原料を用いる場合、熱分解ガスの質および量が大きく変動しやすく、非常に不安定となる。析出物の量が急増する際には、炭素担持体における隙間が閉塞してしまう。
これに対し、ガス改質炉1の炉本体2には、充填物が充填された第1充填空間21および第2充填空間22が設けられる。供給調整部3は、第1供給流路31および第2供給流路32を介して熱分解ガスを第1充填空間21および第2充填空間22に供給し、各供給流路31,32を流れる熱分解ガスの流量が変更可能である。改質剤供給部5は、第1充填空間21および第2充填空間22において、熱分解ガスから充填物上に析出する析出物に対して改質剤を供給し、析出物を燃料ガスに改質する。そして、制御部10は、供給調整部3を制御することにより、第1供給流路31を流れる熱分解ガスの流量が第2供給流路32よりも小さい一の状態と、第2供給流路32を流れる熱分解ガスの流量が第1供給流路31よりも小さい他の状態とを切り替える。これにより、当該一の状態において、第1充填空間21における析出物を減少させ、かつ、第2充填空間22における析出物を増加させることができ、当該他の状態において、第2充填空間22における析出物を減少させ、かつ、第1充填空間21における析出物を増加させることができる。その結果、析出物が付着した充填物を外部に取り出すことなく、析出物から燃料ガスを生成して、熱分解ガスを容易にかつ効率よく利用することができる。また、析出物による炉本体2内の閉塞も防止することができる。
ガス改質炉1では、当該一の状態において第2充填空間22に供給される改質剤の流量が、当該他の状態よりも小さく、当該他の状態において第1充填空間21に供給される改質剤の流量が、当該一の状態よりも小さい。これにより、各充填空間21,22では、タールの炭素成分を析出物として積極的に析出させ、その後、改質剤により析出物の改質(分解)が行われる。その結果、単に熱分解ガスに改質剤を供給する場合(充填物上への析出物の析出を行わない場合)に比べて、熱分解ガスに含まれるタールを効率よく除去することができる。また、充填物が多孔体であることにより、タールの析出量を容易に増大することができる。
ここで、貴金属触媒を用いることにより熱分解ガス中のタールを分解する比較例の装置を想定する。比較例の装置では、熱分解ガスに含まれる硫黄(S)や塩素(Cl)等の酸性ガス成分が触媒を被毒し、失活させてしまう。また、飛灰等により触媒が閉塞されてしまう場合もある。したがって、酸性ガス成分を処理する脱塩脱硫装置や、飛灰を除去する高温除塵装置等を前処理装置として設置する必要があり、ガス化システムが大規模化してしまう。また、触媒表面にタールや析出物が付着する問題もある。
これに対し、ガス改質炉1の第1充填空間21および第2充填空間22では、触媒機能自体が必要ではないため、触媒における被毒や閉塞の懸念がない。上記前処理装置も不要である。その結果、ガス化システム8を小規模にして、システムの製造コストを削減することができる。また、比較的安価なセラミックス等の充填物を用いることができ、比較例の装置に比べて、ガス改質炉1の製造コストを削減することができる。
図1のガス改質炉1では、本体流路200における上流側の空間が第1充填空間21を含み、下流側の空間が第2充填空間22を含む。したがって、第1供給流路31を流れる熱分解ガスの流量が第2供給流路32よりも大きい状態(上記他の状態)において、上流側の空間で熱分解ガスから発生する熱を、第2充填空間22において利用することができる。その結果、第2供給流路32を流れる熱分解ガスの流量が第1供給流路31よりも大きい状態(上記一の状態)に比べて、第2充填空間22に供給する酸化剤の流量を小さくすることができ、酸化剤の使用量を削減することができる。また、上記一の状態において、第1改質剤ノズル51から第1充填空間21に供給される改質剤の余剰を、下流側の空間において利用することもでき、改質剤を効率よく使用することができる。
図6は、ガス改質炉1の他の例を示す図である。図6のガス改質炉1では、炉本体2の一方の端部281に第1供給流路31および第1排出流路61が接続される。また、炉本体2の他方の端部282に第2供給流路32および第2排出流路62が接続される。図6の例では、第1供給流路31および第1排出流路61は位置P1で結合し、1つの流路として炉本体2に接続される。同様に、第2供給流路32および第2排出流路62が位置P2で結合し、1つの流路として炉本体2に接続される。各排出流路61,62には、ダンパ611,621が設けられる。第1排出流路61および第2排出流路62における炉本体2とは反対側の端部は互いに結合し、1つの流路としてボイラ82に接続される。
炉本体2の内部において、第1充填空間21と端部281との間には、第1酸化剤ノズル41および第1改質剤ノズル51が設けられる。第1充填空間21と第2充填空間22との間には、中間酸化剤ノズル40および中間改質剤ノズル50が設けられる。第2充填空間22と端部282との間には、第2酸化剤ノズル42および第2改質剤ノズル52が設けられる。
図6のガス改質炉1では、第1供給流路31に熱分解ガスを流さない図2のステップS11において、ダンパ321,611が開かれ、ダンパ311,621が閉じられる。また、第2酸化剤ノズル42および中間酸化剤ノズル40から酸化剤が噴出され、中間改質剤ノズル50から改質剤が噴出される。これにより、第2充填空間22において析出物が増加し、第1充填空間21において析出物が減少する。また、端部282と第2充填空間22との間、および、第2充填空間22で熱分解ガスから発生する熱が、第1充填空間21において利用される。したがって、中間酸化剤ノズル40から噴出される酸化剤の流量を小さくすることができ、酸化剤の使用量を削減することができる。ステップS11において、第2改質剤ノズル52から改質剤が噴出されてもよい(以下同様)。
第2供給流路32に熱分解ガスを流さないステップS12では、ダンパ311,621が開かれ、ダンパ321,611が閉じられる。また、第1酸化剤ノズル41および中間酸化剤ノズル40から酸化剤が噴出され、中間改質剤ノズル50から改質剤が噴出される。これにより、第1充填空間21において析出物が増加し、第2充填空間22において析出物が減少する。また、端部281と第1充填空間21との間、および、第1充填空間21で熱分解ガスから発生する熱が、第2充填空間22において利用される。したがって、中間酸化剤ノズル40から噴出される酸化剤の流量を小さくすることができ、酸化剤の使用量を削減することができる。ステップS12において、第1改質剤ノズル51から改質剤が噴出されてもよい(以下同様)。
図1および図6のガス改質炉1では、第1充填空間21および第2充填空間22が、1つの炉内に設けられることにより、炉本体2の構造を簡素化することができるが、第1充填空間21および第2充填空間22が個別の炉に設けられてもよい。以下、第1充填空間21および第2充填空間22が個別の炉に設けられるガス改質炉1について説明する。
(第2の実施の形態)
図7は、本発明の第2の実施の形態に係るガス改質炉1を示す図である。ガス改質炉1の炉本体2aは、第1分割炉291と、第2分割炉292とを備える。各分割炉291,292は、例えば略円筒状である。第1分割炉291の一方の端部には、第1供給流路31が接続され、他方の端部には、第1排出流路61が接続される。同様に、第2分割炉292の一方の端部には、第2供給流路32が接続され、他方の端部には、第2排出流路62が接続される。第1排出流路61および第2排出流路62は、ボイラ82に接続する。
第1分割炉291の内部には第1充填空間21が設けられ、第2分割炉292の内部には第2充填空間22が設けられる。第1供給流路31から第1分割炉291内に供給される熱分解ガスは、第1充填空間21を通過した後、第1排出流路61に流入する。同様に、第2供給流路32から第2分割炉292内に供給される熱分解ガスは、第2充填空間22を通過した後、第2排出流路62に流入する。第1酸化剤ノズル41および第1改質剤ノズル51は、第1分割炉291において第1充填空間21の上流側の位置に配置される。第2酸化剤ノズル42および第2改質剤ノズル52は、第2分割炉292において第2充填空間22の上流側の位置に配置される。
図7のガス改質炉1における熱分解ガスの改質では、第1供給流路31を流れる熱分解ガスの流量が、第2供給流路32を流れる熱分解ガスの流量よりも小さい状態が形成される(図2:ステップS11)。このとき、第2分割炉292では、第2酸化剤ノズル42から熱分解ガスに酸化剤が供給され、熱分解ガスに含まれるガスが部分燃焼する。そして、熱分解ガスが第2充填空間22を通過する際に、熱分解ガスに含まれるタールの炭素成分が充填物の表面に析出する。第2充填空間22にてタール等が除去された熱分解ガスは、第2排出流路62を介してボイラ82へと排出される。また、第1分割炉291では、第1酸化剤ノズル41および第1改質剤ノズル51から内部に酸化剤および改質剤が供給される。これにより、第1充填空間21における充填物上の析出物の一部が燃焼し、析出物の他の一部が、改質剤による改質反応により燃料ガスに改質される。燃料ガスおよび燃焼ガスは、第1排出流路61を介してボイラ82へと排出される。
ステップS11の開始から所定時間が経過すると、第2供給流路32を流れる熱分解ガスの流量が第1供給流路31を流れる熱分解ガスの流量よりも小さい状態が形成される(ステップS12)。このとき、第1分割炉291では、第1酸化剤ノズル41から熱分解ガスに酸化剤が供給され、熱分解ガスに含まれるガスが部分燃焼する。そして、熱分解ガスが第1充填空間21を通過する際に、熱分解ガスに含まれるタールの炭素成分が充填物の表面に析出する。第1充填空間21にてタール等が除去された熱分解ガスは、第1排出流路61を介してボイラ82へと排出される。また、第2分割炉292では、第2酸化剤ノズル42および第2改質剤ノズル52から内部に酸化剤および改質剤が供給される。これにより、第2充填空間22における充填物上の析出物の一部が燃焼し、析出物の他の一部が、改質剤による改質反応により燃料ガスに改質される。燃料ガスおよび燃焼ガスは、第2排出流路62を介してボイラ82へと排出される。ステップS11,S12の処理は、交互に繰り返される。
以上のように、図7のガス改質炉1においても、第1充填空間21における析出物が減少し、かつ、第2充填空間22における析出物が増加する一の状態と、第2充填空間22における析出物が減少し、かつ、第1充填空間21における析出物が増加する他の状態とが切り替えられる。これにより、析出物が付着した充填物を外部に取り出すことなく、析出物から燃料ガスを生成して、熱分解ガスを容易にかつ効率よく利用することができる。また、析出物による炉本体2a内の閉塞も防止することができる。
図8は、ガス改質炉1の他の例を示す図である。図8のガス改質炉1では、図7のガス改質炉1に対して、第1補助流路231および第2補助流路232が追加される。第1補助流路231は、第2分割炉292の下流側の端部と第1分割炉291の上流側の端部とを連通させる。第2補助流路232は、第1分割炉291の下流側の端部と第2分割炉292の上流側の端部とを連通させる。また、第1補助流路231、第2補助流路232、第1排出流路61および第2排出流路62にダンパ233,234,611,621がそれぞれ追加される。他の構成は、図7と同様であり、同じ構成に同じ符号を付す。
図8のガス改質炉1では、第1供給流路31に熱分解ガスを流さない図2のステップS11において、ダンパ321,233,611が開かれ、ダンパ311,234,621が閉じられる。また、第1酸化剤ノズル41および第2酸化剤ノズル42から酸化剤が噴出され、第1改質剤ノズル51から改質剤が噴出される。これにより、第2充填空間22において析出物が増加し、第1充填空間21において析出物が減少する。また、第2分割炉292で熱分解ガスから発生する熱が、第1充填空間21における析出物の改質に利用される。したがって、第1酸化剤ノズル41から噴出される酸化剤の流量を小さくすることができ、酸化剤の使用量を削減することができる。
第2供給流路32に熱分解ガスを流さないステップS12では、ダンパ311,234,621が開かれ、ダンパ321,233,611が閉じられる。また、第1酸化剤ノズル41および第2酸化剤ノズル42から酸化剤が噴出され、第2改質剤ノズル52から改質剤が噴出される。これにより、第1充填空間21において析出物が増加し、第2充填空間22において析出物が減少する。また、第1分割炉291で熱分解ガスから発生する熱が、第2充填空間22における析出物の改質に利用される。したがって、第2酸化剤ノズル42から噴出される酸化剤の流量を小さくすることができ、酸化剤の使用量を削減することができる。
なお、第1分割炉291および第2分割炉292を、1つの補助流路を介して直列に接続したものを、図6の炉本体2と置き換え、かつ、図6と同様の位置に、酸化剤ノズル40〜42、並びに、改質剤ノズル50〜52を配置することにより、一方の分割炉で発生する熱が、他方の分割炉における析出物の改質に利用されてもよい。
上記ガス化システム8およびガス改質炉1では様々な変形が可能である。
ガス改質炉1では、3以上の充填空間が設けられてもよい。この場合、当該3以上の充填空間に対して個別に供給流路が接続される。そして、一の充填空間に接続する供給流路を流れる熱分解ガスの流量が、他の供給流路よりも小さくされることにより、当該一の充填空間における析出物が減少し、かつ、他の充填空間における析出物が増加する状態が形成される。
例えば、図1のガス改質炉1において、保持部材211,221が省略され、炉本体2の底部にて充填物が保持されてもよい。この場合、充填物が充填される空間をガス流れ方向に2分割した一方が第1充填空間21とされ、他方が第2充填空間22とされる。また、ガス流れ方向が、例えば水平方向となる炉本体2,2aにおいて、互いに隣接する2つの保持部材の間に充填物を充填することにより、充填空間21,22が形成されてもよい。
充填物は、金属または鉱物にて形成されてもよく、十分な量の析出物を析出させることが可能な表面積が得られる場合には、必ずしも多孔体である必要はない。また、ガス改質炉1の設計によっては、タールの分解に寄与する金属系触媒が充填物として用いられてもよい。充填物の形状も、球状以外に、円柱状や粒状であってもよい。
上記実施の形態では、熱分解ガスへの酸化剤の供給により、第1充填空間21および第2充填空間22が加熱されるが、加熱器により第1充填空間21および第2充填空間22が加熱されてもよい。この場合、充填空間加熱部4において、ヒータもしくは熱交換器、または、高温ガスを噴出するノズル等が当該加熱器として設けられる。充填空間加熱部4では、加熱器と酸化剤ノズルとを併用して、第1充填空間21および第2充填空間22の加熱が行われてもよい。
例えば、共通流路30(図1参照)に酸化剤ノズルおよび改質剤ノズルが設けられ、酸化剤および改質剤が第1充填空間21および第2充填空間22に供給されてもよい。一方、酸化剤を効率よく使用するという観点では、充填空間加熱部4が、複数の酸化剤ノズルを有し、第1充填空間21および第2充填空間22に酸化剤を個別に供給可能であることが好ましい。同様に、改質剤を効率よく使用するという観点では、改質剤供給部5が、複数の改質剤ノズルを有し、第1充填空間21および第2充填空間22に改質剤を個別に供給可能であることが好ましい。酸化剤ノズルおよび改質剤ノズルは、充填空間21,22の内部、または、供給流路31,32に設けられてもよい。
ガス改質炉1により改質された熱分解ガス(すなわち、改質ガス)は、ガスタービン、燃料電池(固体酸化物形燃料電池(SOFC)等)において用いられてもよい。また、改質ガスは、燃料ガスとして様々な用途に用いられてよく、さらに、液体に変換することにより液体燃料として用いられてもよい。ガス改質炉1および図2の処理は、燃料ガス生成装置および燃料ガス生成処理として捉えることもできる。
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
1 ガス改質炉
2,2a 炉本体
3 供給調整部
4 充填空間加熱部
5 改質剤供給部
10 制御部
21 第1充填空間
22 第2充填空間
31 第1供給流路
32 第2供給流路
81 ガス化炉
200 本体流路
S11,S12 ステップ

Claims (6)

  1. ガス化炉から供給される熱分解ガスを改質するガス改質炉であって、
    充填物が充填された第1充填空間および第2充填空間を有する炉本体と、
    前記第1充填空間および前記第2充填空間にそれぞれ接続する第1供給流路および第2供給流路を有し、熱分解ガスを前記第1供給流路および前記第2供給流路を介して前記第1充填空間および前記第2充填空間に供給するとともに、各供給流路を流れる前記熱分解ガスの流量が変更可能な供給調整部と、
    前記熱分解ガスへの酸化剤の供給により、または、加熱器により、前記第1充填空間および前記第2充填空間を加熱する充填空間加熱部と、
    前記第1充填空間および前記第2充填空間において、前記熱分解ガスから前記充填物上に析出する析出物に対して改質剤を供給することにより、前記析出物を燃料ガスに改質する改質剤供給部と、
    前記供給調整部を制御することにより、前記第1供給流路を流れる前記熱分解ガスの流量が前記第2供給流路よりも小さい一の状態と、前記第2供給流路を流れる前記熱分解ガスの流量が前記第1供給流路よりも小さい他の状態とを切り替える制御部と、
    を備え、
    前記一の状態において、前記改質剤供給部が少なくとも前記第1充填空間に前記改質剤を供給し、前記第1充填空間における前記析出物が減少し、かつ、前記第2充填空間における前記析出物が増加し、前記他の状態において、前記改質剤供給部が少なくとも前記第2充填空間に前記改質剤を供給し、前記第2充填空間における前記析出物が減少し、かつ、前記第1充填空間における前記析出物が増加することを特徴とするガス改質炉。
  2. 請求項1に記載のガス改質炉であって、
    前記改質剤供給部が、前記第1充填空間および前記第2充填空間に前記改質剤を個別に供給可能であり、
    前記一の状態において前記第2充填空間に供給される前記改質剤の流量が、前記他の状態よりも小さく、前記他の状態において前記第1充填空間に供給される前記改質剤の流量が、前記一の状態よりも小さいことを特徴とするガス改質炉。
  3. 請求項1または2に記載のガス改質炉であって、
    前記充填物が、多孔体であることを特徴とするガス改質炉。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1つに記載のガス改質炉であって、
    前記充填空間加熱部が、前記第1充填空間および前記第2充填空間に前記酸化剤を個別に供給可能であることを特徴とするガス改質炉。
  5. 請求項4に記載のガス改質炉であって、
    前記炉本体が、前記熱分解ガスが流れる本体流路を有し、
    前記本体流路における上流側の空間が前記第1充填空間を含み、下流側の空間が前記第2充填空間を含み、
    前記他の状態において、前記第2充填空間に供給される前記酸化剤の流量が、前記一の状態よりも小さいことを特徴とするガス改質炉。
  6. ガス改質炉における熱分解ガス改質方法であって、
    前記ガス改質炉が、
    充填物が充填された第1充填空間および第2充填空間を有する炉本体と、
    前記第1充填空間および前記第2充填空間にそれぞれ接続する第1供給流路および第2供給流路を有し、ガス化炉から供給される熱分解ガスを前記第1供給流路および前記第2供給流路を介して前記第1充填空間および前記第2充填空間に供給するとともに、各供給流路を流れる前記熱分解ガスの流量が変更可能な供給調整部と、
    前記熱分解ガスへの酸化剤の供給により、または、加熱器により、前記第1充填空間および前記第2充填空間を加熱する充填空間加熱部と、
    前記第1充填空間および前記第2充填空間において、前記熱分解ガスから前記充填物上に析出する析出物に対して改質剤を供給することにより、前記析出物を燃料ガスに改質する改質剤供給部と、
    を備え、
    前記熱分解ガス改質方法が、
    a)前記供給調整部を用いて、前記第1供給流路を流れる前記熱分解ガスの流量が前記第2供給流路よりも小さい一の状態を形成するとともに、前記改質剤供給部により少なくとも前記第1充填空間に前記改質剤を供給する工程と、
    b)前記供給調整部を用いて、前記第2供給流路を流れる前記熱分解ガスの流量が前記第1供給流路よりも小さい他の状態を形成するとともに、前記改質剤供給部により少なくとも前記第2充填空間に前記改質剤を供給する工程と、
    を備え、
    前記一の状態において、前記第1充填空間における前記析出物が減少し、かつ、前記第2充填空間における前記析出物が増加し、前記他の状態において、前記第2充填空間における前記析出物が減少し、かつ、前記第1充填空間における前記析出物が増加することを特徴とする熱分解ガス改質方法。
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