ここで、グロメットを車体パネルに取り付けた後において、内部に配置されたケーブルに引張り力が掛かること等によって、グロメットを引き抜く方向に力が掛かることがある。そのため、グロメットは、引抜きを防止するために、この引抜き方向の力に抵抗する力(引抜き抵抗力)が高いことが好ましい。しかし、特許文献1の構成において、係止凹部の深さを深くして引抜き抵抗力を高くした場合、グロメットを車体パネルのパネル孔に挿入する際に、グロメットを大きく変形させる必要があるため、挿入時の作業性が低下する。
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、引抜き抵抗力と挿入時の作業性とを両立した構造のグロメットを提供することにある。
課題を解決するための手段及び効果
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
本発明の観点によれば、以下の構成のグロメットが提供される。即ち、グロメットは、自動車の車体パネルに形成されたパネル孔に挿入されて、当該車体パネルに取り付けられる。このグロメットは、挿入筒部と、小径部と、大径部と、伸縮部と、を備える。前記挿入筒部は、ケーブルが挿入される筒状の部材であり、一側に第1開口部が形成され、他側に第2開口部が形成される。前記小径部は、前記車体パネルへの取付け後において、前記パネル孔よりも前記第1開口部側に位置しており、前記挿入筒部の外周を囲むように当該挿入筒部の径方向外側に位置しており、前記挿入筒部から径方向外側に立設されており、前記パネル孔を通過させることが可能である。前記大径部は、前記車体パネルへの取付け後において、前記パネル孔よりも前記第2開口部側に位置しており、前記挿入筒部の外周を囲むように当該挿入筒部の径方向外側に位置しており、前記パネル孔よりも大径の部分を含む。前記伸縮部は、前記大径部と前記小径部との間に位置しており、外力が掛かっていない状態において径方向外側に膨らんでおり、外力が掛かることで径方向に更に膨らむ又は縮むように変形することで軸方向に伸縮可能である。前記パネル孔からの引抜き時において、前記伸縮部は、前記パネル孔の縁部から前記第1開口部側に向かう力を受けることで、径方向外側に膨らむように変形する。軸方向に平行な平面で切った断面において、前記伸縮部の径方向外側の外形に沿う方向に垂直な方向の長さを前記伸縮部の厚みと称したときに、前記伸縮部には、外力が掛かっていない状態において、厚みが略一定である部分があるとともに、当該厚みが一定である部分よりも前記第1開口部側には、径方向外側の面が、厚みが一定である部分よりも更に径方向外側に傾斜又は湾曲していることで厚みが大きくなっている厚肉部が形成されており、当該厚肉部が前記小径部に接続されている。前記厚肉部の径方向外側の面には、前記第1開口部側に近づくに連れて径方向内側に近づくように傾斜したガイド面が含まれている。前記伸縮部は、外力が掛かっていない状態において、径方向内側かつ前記第1開口部側に向かって前記小径部に接続される第1傾斜部を有している。前記第1傾斜部は、前記パネル孔への挿入時において、径方向内側かつ前記第1開口部側に向かって前記小径部に接続される。前記第1傾斜部は、前記パネル孔からの引抜き時において、径方向内側かつ前記第2開口部側に向かって前記小径部に接続される。
これにより、車体パネルに取り付けたグロメットに対して引抜き方向の力が掛かったときに、パネル孔の縁部が伸縮部に当たることで当該伸縮部が径方向外側に膨らむため、グロメットの抜けを防止できる。このとき、グロメットをパネル孔から抜くためには、径方向外側に膨らんだ伸縮部を第1開口部側に変形させる必要がある。この点、上記の構成では厚肉部が形成されているため、伸縮部が第1開口部側に変形しにくい。以上により、引抜き抵抗力を高くすることができる。また、厚肉部を形成することで径が大きくなるためグロメットのパネル孔への挿入時の作業性が低下する可能性があるが、本発明では厚肉部にガイド面が形成されているため、グロメットの挿入をガイドすることができる。以上により、引抜き抵抗力とグロメットの挿入時の作業性とを両立した構造が実現できる。また、厚肉部の近傍を大幅に変形させないと、グロメットをパネル孔から引き抜くことができない。一方で、厚肉部の近傍を少し変形させるだけで、グロメットをパネル孔に挿入できる。従って、引抜き抵抗力とグロメットの挿入時の作業性とを更に向上させた構造が実現できる。
前記のグロメットにおいては、前記パネル孔からの引抜き時において、前記車体パネルの縁部から前記第1開口部側に向かう力を受けることで、前記第1傾斜部の一部が前記厚肉部の径方向外側を超えて前記第1開口部側に向かって移動するように変形することが好ましい。
これにより、パネル孔からの引抜き時において、第1傾斜部が厚肉部を超えて第1開口部側に向かうように変形することで、伸縮部が第1開口部側に変形しにくいという効果を更に有効に発揮させることができる。
前記のグロメットにおいては、前記大径部の前記第1開口部側の端面には径方向に沿うように形成された部分があり、当該部分との接続箇所における前記伸縮部の厚みよりも、前記厚肉部の厚みが大きいことが好ましい。
これにより、グロメットの引抜き時において伸縮部の第1開口部側の変形を抑えつつ、グロメットの挿入時において伸縮部を変形させ易くして作業性を向上できる。
本発明の別の観点によれば、以下の構成のグロメットが提供される。即ち、グロメットは、自動車の車体パネルに形成されたパネル孔に挿入されて、当該車体パネルに取り付けられる。このグロメットは、挿入筒部と、小径部と、大径部と、伸縮部と、を備える。前記挿入筒部は、ケーブルが挿入される筒状の部材であり、一側に第1開口部が形成され、他側に第2開口部が形成される。前記小径部は、前記車体パネルへの取付け後において、前記パネル孔よりも前記第1開口部側に位置しており、前記挿入筒部の外周を囲むように当該挿入筒部の径方向外側に位置しており、前記挿入筒部から径方向外側に立設されており、前記パネル孔を通過させることが可能である。前記大径部は、前記車体パネルへの取付け後において、前記パネル孔よりも前記第2開口部側に位置しており、前記挿入筒部の外周を囲むように当該挿入筒部の径方向外側に位置しており、前記パネル孔よりも大径の部分を含む。前記伸縮部は、前記大径部と前記小径部との間に位置しており、外力が掛かっていない状態において径方向外側に膨らんでおり、外力が掛かることで径方向に更に膨らむ又は縮むように変形することで軸方向に伸縮可能である。前記パネル孔からの引抜き時において、前記伸縮部は、前記パネル孔の縁部から前記第1開口部側に向かう力を受けることで、径方向外側に膨らむように変形する。軸方向に平行な平面で切った断面において、前記伸縮部の径方向外側の外形に沿う方向に垂直な方向の長さを前記伸縮部の厚みと称したときに、前記伸縮部には、外力が掛かっていない状態において、厚みが略一定である部分があるとともに、当該厚みが一定である部分よりも前記第1開口部側には、径方向外側の面が、厚みが一定である部分よりも更に径方向外側に傾斜又は湾曲していることで厚みが大きくなっている厚肉部が形成されており、当該厚肉部が前記小径部に接続されている。前記厚肉部の径方向外側の面には、前記第1開口部側に近づくに連れて径方向内側に近づくように傾斜したガイド面が含まれている。前記厚肉部の径方向内側には、周方向に並ぶように複数形成された溝である厚肉内側溝が形成されている。前記伸縮部には、周方向に並ぶように形成された複数の溝であって、前記伸縮部の径方向内側に形成された内側伸縮溝と、径方向外側に形成された外側伸縮溝と、が形成されている。前記内側伸縮溝と、前記厚肉内側溝とが一体的な構造である。外力が掛かっていない状態において前記伸縮部のうち最も径方向外側に膨らんでいる部分を膨出部としたときに、前記内側伸縮溝は、前記膨出部から前記第1開口部側に形成されている第1内側伸縮溝と、前記膨出部から前記第2開口部側に形成されている第2内側伸縮溝と、に分かれている。前記外側伸縮溝は、前記膨出部の前記第1開口部側及び前記第2開口部側において連続するように形成されている。
これにより、車体パネルに取り付けたグロメットに対して引抜き方向の力が掛かったときに、パネル孔の縁部が伸縮部に当たることで当該伸縮部が径方向外側に膨らむため、グロメットの抜けを防止できる。このとき、グロメットをパネル孔から抜くためには、径方向外側に膨らんだ伸縮部を第1開口部側に変形させる必要がある。この点、上記の構成では厚肉部が形成されているため、伸縮部が第1開口部側に変形しにくい。以上により、引抜き抵抗力を高くすることができる。また、厚肉部を形成することで径が大きくなるためグロメットのパネル孔への挿入時の作業性が低下する可能性があるが、本発明では厚肉部にガイド面が形成されているため、グロメットの挿入をガイドすることができる。以上により、引抜き抵抗力とグロメットの挿入時の作業性とを両立した構造が実現できる。また、厚肉部の近傍において伸縮部を径方向に変形させ易くすることができるので、引抜き抵抗力を更に高くすることができる。また、グロメットの引抜き時に伸縮部が径方向外側に変形し易いため、引抜き抵抗力を更に高くすることができる。また、膨出部の厚みが小さくなり過ぎることを防止しつつ、伸縮部の変形性を確保できる。
前記のグロメットにおいては、前記第1内側伸縮溝の溝長さは、前記第2内側伸縮溝の溝長さよりも長いことが好ましい。
これにより、第1内側伸縮溝が形成されている箇所を大きく変形させ易くできるので、伸縮部を第1開口部側に大きく変形させ易くすることができるので、引抜き抵抗力を高くすることができる。
前記のグロメットにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記第1内側伸縮溝は、前記第1開口部側及び前記第2開口部側の端部のうち前記第2開口部側の端部のみで溝深さが徐々に浅くなっている。前記第2内側伸縮溝は、前記第1開口部側及び前記第2開口部側の端部の両方で溝深さが徐々に浅くなっている。
これにより、厚肉部の近傍において変形し易くなるので、その土台である厚肉部による引抜き抵抗力を高くすることができる。
前記のグロメットにおいては、前記厚肉部の径方向の内側の面であって、前記第1開口部側の端部には、溝深さが前記第1開口部へ向かう方向に形成されており、かつ、周方向にわたって形成される溝である内周溝が形成されていることが好ましい。
これにより、小径部の内周溝を起点として、伸縮部を変形させ易くすることができるので、グロメットの引抜き時に伸縮部が径方向外側に変形し易いため、引抜き抵抗力を更に高くすることができる。
本発明の別の観点によれば、以下の構成のグロメットが提供される。即ち、グロメットは、自動車の車体パネルに形成されたパネル孔に挿入されて、当該車体パネルに取り付けられる。このグロメットは、挿入筒部と、小径部と、大径部と、伸縮部と、を備える。前記挿入筒部は、ケーブルが挿入される筒状の部材であり、一側に第1開口部が形成され、他側に第2開口部が形成される。前記小径部は、前記車体パネルへの取付け後において、前記パネル孔よりも前記第1開口部側に位置しており、前記挿入筒部の外周を囲むように当該挿入筒部の径方向外側に位置しており、前記挿入筒部から径方向外側に立設されており、前記パネル孔を通過させることが可能である。前記大径部は、前記車体パネルへの取付け後において、前記パネル孔よりも前記第2開口部側に位置しており、前記挿入筒部の外周を囲むように当該挿入筒部の径方向外側に位置しており、前記パネル孔よりも大径の部分を含む。前記伸縮部は、前記大径部と前記小径部との間に位置しており、外力が掛かっていない状態において径方向外側に膨らんでおり、外力が掛かることで径方向に更に膨らむ又は縮むように変形することで軸方向に伸縮可能である。前記パネル孔からの引抜き時において、前記伸縮部は、前記パネル孔の縁部から前記第1開口部側に向かう力を受けることで、径方向外側に膨らむように変形する。軸方向に平行な平面で切った断面において、前記伸縮部の径方向外側の外形に沿う方向に垂直な方向の長さを前記伸縮部の厚みと称したときに、前記伸縮部には、外力が掛かっていない状態において、厚みが略一定である部分があるとともに、当該厚みが一定である部分よりも前記第1開口部側には、径方向外側の面が、厚みが一定である部分よりも更に径方向外側に傾斜又は湾曲していることで厚みが大きくなっている厚肉部が形成されており、当該厚肉部が前記小径部に接続されている。前記厚肉部の径方向外側の面には、前記第1開口部側に近づくに連れて径方向内側に近づくように傾斜したガイド面が含まれている。前記厚肉部の径方向内側には、周方向に並ぶように複数形成された溝である厚肉内側溝が形成されている。前記大径部の径方向内側の端部と、前記厚肉内側溝の前記第2開口部側の端部と、は径方向の位置が同じである。
これにより、車体パネルに取り付けたグロメットに対して引抜き方向の力が掛かったときに、パネル孔の縁部が伸縮部に当たることで当該伸縮部が径方向外側に膨らむため、グロメットの抜けを防止できる。このとき、グロメットをパネル孔から抜くためには、径方向外側に膨らんだ伸縮部を第1開口部側に変形させる必要がある。この点、上記の構成では厚肉部が形成されているため、伸縮部が第1開口部側に変形しにくい。以上により、引抜き抵抗力を高くすることができる。また、厚肉部を形成することで径が大きくなるためグロメットのパネル孔への挿入時の作業性が低下する可能性があるが、本発明では厚肉部にガイド面が形成されているため、グロメットの挿入をガイドすることができる。以上により、引抜き抵抗力とグロメットの挿入時の作業性とを両立した構造が実現できる。また、厚肉部の近傍において伸縮部を径方向に変形させ易くすることができるので、引抜き抵抗力を更に高くすることができる。また、グロメットの引抜き時に伸縮部が径方向外側に変形し易いため、引抜き抵抗力を更に高くすることができる。
次に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。初めに、図1から図4を参照して、グロメット1の形状及び構成について説明する。図1は、グロメットの斜視図である。図2は、グロメットの断面斜視図である。図3は、グロメットを軸方向に平行な平面で切った側面断面図である。図4は、グロメットに形成された溝の形状及び厚肉となっている部分を示す図である。なお、図3等の側面断面図では、主として断面を示し、断面に表れていない一部の部分を省略している。また、図4では、断面のハッチングを省略している。以下の説明では、位置関係、大きさ、又は形状等を説明する用語は、その用語の意味が完全に成立している状態だけでなく、その用語の意味が略成立している状態も含むものとする。
自動車には、例えばエンジンルームと車室を仕切るように車体パネル110が配置される。また、車体パネル110には、パネル孔111が形成されており、このパネル孔111を塞ぐようにグロメット1が取り付けられている。具体的には、グロメット1をエンジンルーム側から車室側に向けて挿入することで、グロメット1が取付らえる。従って、グロメット1は、エンジンルーム側と車室側とにまたがって配置される。グロメット1は、ワイヤハーネス100を挿通可能に構成されている。これにより、パネル孔111の縁部112によってワイヤハーネス100が傷つかないように保護しつつ、当該ワイヤハーネス100をエンジンルーム側から車室側に引き出すことができる。また、本実施形態では、縁部112は、エンジンルーム側に突出する形状であるが、異なる形状であってもよい。
なお、車体パネル110は、自動車の別の空間を仕切るように配置されていても良い。また、グロメットは、車室側からエンジンルーム側に挿入して取り付ける構成であっても良い。
以下、グロメット1の詳細な構成について説明する。なお、以下の説明では、パネル孔111の軸方向、グロメット1が備える円筒形の部分等の軸方向等を単に「軸方向」と称する。そして、軸方向に垂直な方向を「径方向」と称する。また、グロメット1は、パネル孔111に軸方向に沿って挿入される。
グロメット1は、ゴム等の弾性を有する素材で構成されている。そのため、グロメット1の各部は、外力が掛かることによって容易に変形する。なお、以下では、グロメット1の各部の位置を説明する場合であって、特に説明がないときは、グロメット1に外力が掛かっていない状態又は車体パネル110に取り付けられた後の状態の位置を指すものとする。図1から図3に示すように、グロメット1は、挿入筒部10と、大径部20と、小径部30と、伸縮部40と、を備える。
挿入筒部10は、ワイヤハーネス100を挿入するための筒状の部分である。また、挿入筒部10には、軸方向の一側の端部に第1開口部10aが形成されるとともに、軸方向の他側の端部に第2開口部10bが形成されている。ここで、グロメット1の取付時にグロメット1を挿入する際において、第1開口部10aが先にパネル孔111を通過する側の端部に形成されており、その反対側の端部に第2開口部10bが形成されている。
挿入筒部10は、小径筒部11と、テーパ筒部12と、大径筒部13と、から構成されている。小径筒部11には、第2開口部10bが形成されている。テーパ筒部12は、小径筒部11の第1開口部10a側に接続されており、第1開口部10a側に近づくに連れて径方向外側に広がる部分である。大径筒部13には、第1開口部10aが形成されている。大径筒部13は、小径筒部11よりも径方向のサイズ(内径)が大きい。また、車体パネル110との軸方向の位置関係に着目すると、テーパ筒部12と大径筒部13の境界部分の軸方向の位置と、車体パネル110の軸方向の位置と、が略一致している。また、縁部112の軸方向の位置は、テーパ筒部12の軸方向の位置と重なる。
大径部20は、円環状の部材であり、内側に形成された空間に挿入筒部10(詳細にはテーパ筒部12)が配置されている。言い換えれば、大径部20は、挿入筒部10(詳細にはテーパ筒部12)の外周を囲むように当該挿入筒部10の径方向外側に位置している。また、図3に示すように、車体パネル110への取付後において、大径部20はパネル孔111よりも第2開口部10b側に位置している。大径部20の径方向外側には、第1開口部10a側に近づくに連れて径方向外側に近づくように傾斜した傾斜面(テーパ面)が形成されている。また、大径部20の径方向内側は径方向のサイズが略一定である。大径部20の径方向内側のサイズは、パネル孔111よりも小さいが、大径部20の径方向外側のサイズ(外形のサイズ)は、パネル孔111よりも大きい。この構成により、大径部20は、パネル孔111を通過できない。なお、図3等の断面(軸方向及び径方向の両方に平行な平面で切った断面)において、大径部20の第2開口部10b側及び第1開口部10a側の端面は、径方向に沿うように形成された部分(径方向と平行な面)が含まれている。
また、大径部20には、第1開口部10a側に延びるように形成された内側止水片21及び外側止水片22が接続されている。内側止水片21及び外側止水片22は、大径部20の全周にわたって形成されている。内側止水片21及び外側止水片22は、第1開口部10a側に近づくに連れて径方向外側に近づくように傾斜している。なお、内側止水片21より外側止水片22の方が径方向のサイズが大きい。内側止水片21及び外側止水片22は、車体パネル110への取付後において、車体パネル110に接触することで、車体パネル110を防水する。
また、大径部20には、内側止水片21及び外側止水片22の径方向内側において、係止溝23が形成されている。係止溝23は、溝深さ方向が径方向と一致するように、大径部20の全周にわたって形成されている。係止溝23を構成する壁部のうち第1開口部10a側の壁部は、内側止水片21及び外側止水片22の第1開口部10a側の端部と同じ位置である。本実施形態では、縁部112がエンジンルーム側に突出する構成であるため、このようなレイアウトであっても、縁部112を係止溝23に入れることができる。
以上の構成により、グロメット1の挿入時において、車体パネル110が大径部20に当たることで、グロメット1の挿入が止まる。詳細には、車体パネル110が内側止水片21及び外側止水片22に当たり、それに加えて又は代えて、縁部112が係止溝23の第2開口部10b側の壁部に当たる。
小径部30は、挿入筒部10(詳細には大径筒部13)の外周を囲むように当該挿入筒部10の径方向外側に位置している。小径部30は、挿入筒部10から径方向外側に立設されている。本実施形態では、小径部30と大径筒部13は、径方向で接続するように(一体的に)構成されているが、大径部20とテーパ筒部12のように離れて構成されていても良い。小径部30は、大径部20よりも第1開口部10a側に位置しており、大径部20と小径部30の間に車体パネル110が位置することとなる(即ち、小径部30はパネル孔111よりも第1開口部10a側に位置している)。つまり、グロメット1の挿入時において、小径部30はパネル孔111を通過する。そのため、小径部30の径方向外側のサイズは、パネル孔111よりも小さいか、外力を加えて変形させることでパネル孔111よりも小さくなる。なお、図3等の断面において、小径部30の第2開口部10b側及び第1開口部10a側の端面は、径方向に沿うように形成された部分(径方向と平行な面)が含まれている。
伸縮部40は、径方向において挿入筒部10(テーパ筒部12及び大径筒部13)の外周を囲むように、かつ大径部20と同様に、挿入筒部10に対して間隔を空けた位置に形成されている。また、伸縮部40は、軸方向において、大径部20と小径部30の間に配置されており、大径部20と小径部30を接続している。伸縮部40は、外力が掛かっていない状態において径方向外側に膨らんでおり、外力が掛かることで径方向に更に膨らむように又は縮むように変形することで軸方向に伸縮可能に構成されている。具体的には、伸縮部40は、第1傾斜部41と、第2傾斜部42と、膨出部43と、を備える。
。第1傾斜部41は、小径部30に接続されており、外力が掛かっていない状態において、第1開口部10a側に近づくに連れて径方向内側に近づくように傾斜する部分を有している。言い換えれば、外力が掛かっていない状態において、第1傾斜部41は、第1開口部10a側かつ径方向内側(即ち、これらの2つの方向の両方に相当する斜め方向、図3の例では右下斜め方向)に向かうように小径部30に接続される。第2傾斜部42は、大径部20に接続されており、第2開口部10b側に近づくに連れて径方向内側に近づくように傾斜する部分を有している。詳細には、外力が掛かっていない状態において、第2傾斜部42は、径方向内側かつ第2開口部10b側に向かうように大径部20に接続される。
このように、伸縮部40は軸方向の中央において径方向外側に膨らむように構成されており、最も膨らんだ部分(第1傾斜部41と第2傾斜部42が接続される部分)を膨出部43と称する。また、軸方向に平行な平面で切った断面(図3及び図4等)において、伸縮部40の径方向外側の外形に沿う方向(伸縮部40が延びる方向)に垂直な方向の長さを伸縮部40の厚みとする(図4に符号Tで示す)。伸縮部40には、外力が掛かっていない状態において、厚みが略一定である部分と、厚みが徐々に大きくなるとともに厚みが略一定となる部分(厚肉部50)と、が形成されている。厚肉部50は、厚みが一定である部分よりも更に径方向外側に直線状に傾斜していることで厚みが大きくなっている。図4には、この厚みが大きくなっている部分にドットを付し、厚肉部50を示す部分を鎖線で囲っている。なお、厚肉部50は、直線状に傾斜することに代えて、湾曲することで厚みが大きくなっている構成であっても良い。
また、図1及び図4等に示すように、伸縮部40には、内側伸縮溝45と、外側伸縮溝46と、が形成されている。内側伸縮溝45は、伸縮部40の径方向内側に複数形成されている。外側伸縮溝46は、伸縮部40の径方向外側の面に複数形成されている。内側伸縮溝45及び外側伸縮溝46は、周方向に並ぶように形成されている。そのため、周方向に並ぶように複数の突出部が形成されていると捉えることもできる。なお、内側伸縮溝45及び外側伸縮溝46の溝深さ方向は、伸縮部40の厚み方向と同じ(即ち略径方向)である。また、内側伸縮溝45及び外側伸縮溝46の溝長さ方向(長手方向)は、伸縮部40の表面に沿う方向(即ち略軸方向)である。
内側伸縮溝45は、溝長さ方向において、第1内側伸縮溝45aと第2内側伸縮溝45bに分割されている(第1内側伸縮溝45aと第2内側伸縮溝45bの間において溝が形成されていない部分が存在する)。第1内側伸縮溝45aは、膨出部43から第1開口部10a側に向かって形成されている。第2内側伸縮溝45bは、膨出部43から第2開口部10b側に向かって形成されている。また、第1内側伸縮溝45aは、第2内側伸縮溝45bよりも溝長さが長い。また、外側伸縮溝46は、溝長さ方向において、分割されていない。従って、外側伸縮溝46は、膨出部43の第1開口部10a側及び第2開口部10b側において連続するように形成されている。
また、第1内側伸縮溝45aは、第1開口部10a側と第2開口部10b側(膨出部43側)のうち、第2開口部10b側の端部のみにおいて、溝深さが徐々に浅くなる構成である。一方、第2内側伸縮溝45bは、第1開口部10a側と第2開口部10b側の両方の端部において、溝深さが徐々に浅くなる構成である。これに対して、外側伸縮溝46は、第1開口部10a側と第2開口部10b側の端部、及びそれらを含めた全体にわたって、溝深さが略一定である。
厚肉部50は、径方向外側において、ガイド面51と、外周面52と、を有している。ガイド面51は、第1開口部10a側に近づくに連れて径方向内側に近づくように傾斜した面である。ガイド面51の傾斜角度(軸方向との差分)は、第1傾斜部41の傾斜角度よりも大きい。外周面52は、ガイド面51の第2開口部10b側に接続されており、径方向の長さが略一定の面である。ガイド面51の更に第2開口部10b側には、第2傾斜部42が接続されている。
厚肉部50は、径方向内側において、厚肉内面53が形成されている。詳細には、厚肉部50は小径部30に接続されているため、小径部30が形成されていない部分(第2開口部10b側の部分)のみに厚肉内面53が形成される。厚肉内面53には、外側伸縮溝46と同様の形状の溝である厚肉内側溝54が形成されている。厚肉内側溝54は、複数形成されており、それぞれが周方向に並ぶように形成されている。厚肉内側溝54は、第1内側伸縮溝45aと一体的な構造となるように構成されている。言い換えれば、第1内側伸縮溝45aを第1開口部10a側に延長した部分が厚肉内側溝54に相当する。また、大径部20の径方向内側の端部と、厚肉内側溝54の第1開口部10a側の端部と、は径方向の位置が同じである。
また、厚肉部50には、厚肉内面53の第1開口部10a側の端部において、内周溝55が形成されている。また、内周溝55は、軸方向に延びる部分(小径部30の第2開口部10b側の面)と、膨出部43に向かって略軸方向に延びる部分と、が交わる部分に形成されている。内周溝55は、溝深さが第1開口部10aへ向かう方向に形成されており、かつ、周方向にわたって形成される。
次に、グロメット1の挿入時と引抜き時において、グロメット1の各部の変形状態及び各部が発揮する機能等について説明する。なお、挿入時とは、グロメット1をパネル孔111に挿入して縁部112に取り付ける時を指す。引抜き時とは、グロメット1を挿入方向の反対側に移動させる力が掛かり、グロメット1が引き抜かれる時を指す。
初めに、挿入時について図5を参照して説明する。図5は、グロメット1の挿入時の状態を示す側面断面図である。
グロメット1の挿入時においては、グロメット1とパネル孔111との位置合わせが必要となる。ここで、本実施形態では、グロメット1(特に小径部30)を変形させてパネル孔111を通す構成であるため、位置合わせが十分でない場合、作業者は強い力を掛ける必要がある。あるいは、精度良く位置決めができるまで、グロメット1の位置を調整する必要がある。この点、本実施形態のグロメット1は、厚肉部50の径方向外側の端部にガイド面51が形成されている。この構成により、作業者は、グロメット1とパネル孔111の位置合わせを容易に行うことができる。
位置合わせの終了後、作業者は、グロメット1を第1開口部10a側に押圧する。これにより、縁部112がガイド面51に接触した状態でグロメット1が第1開口部10a側に移動するとともに、その後に、縁部112が外周面52に接触した状態でグロメット1が第1開口部10a側に移動する。その後、縁部112が第1傾斜部41に接触する。
ここで、グロメット1を更に第1開口部10a側に押圧することで、縁部112が第1傾斜部41を軸方向に(具体的には第2開口部10b側に)押圧することとなる。第1傾斜部41には上述の傾斜面が形成されているため、この軸方向の押圧により、第1傾斜部41は径方向内側に変形する(図5を参照)。言い換えれば、図5の状態では、外力が掛かっていない状態と同様に、第1傾斜部41は、径方向内側かつ第1開口部10a側(即ち、これらの2つの方向の両方に相当する斜め方向、図5の例では右下斜め方向)に向かうように小径部30に接続される。第1傾斜部41が形成されている部分には、内側伸縮溝45、外側伸縮溝46、及び厚肉内側溝54が形成されているため、この径方向内側の変形が生じ易くなるため、作業性が良好である。
更に、第1傾斜部41を径方向内側に変形させるためには、膨出部43を下方に移動させる必要がある。ここで、本実施形態では、膨出部43が薄肉となっているため、膨出部43が下方に変形し易いため、作業性が更に良好となる。
また、第1傾斜部41を径方向内側に変形させるためには、膨出部43だけでなく、更に第2傾斜部42も下方に変形させる必要がある。この点、本実施形態では、第2傾斜部42と大径部20の接続箇所には厚肉部50は形成されておらず、この接続箇所の厚み(厚みの定義は上述したとおり)は第2傾斜部42と同程度である。従って、厚肉部50の厚みは、第2傾斜部42と大径部20の接続箇所の厚みよりも大きい。このように当該接続箇所の厚みが小さいので、第2傾斜部42が下方に変形し易くなり、作業性が更に良好となる。
以上のように、本実施形態では、グロメット1の挿入時に強い力を掛けることなく、伸縮部40を径方向内側に変形させて、伸縮部40の径をパネル孔111より小さくできる。その結果、伸縮部40をパネル孔111に通すことで、縁部112を係止溝23に位置させることができる。このとき、上述のように、車体パネル110が大径部20に当たることでグロメット1の挿入が停止される。このようにして、グロメット1が挿入される。
次に、引抜き時について図6及び図7を参照して説明する。図6は、グロメット1の引抜き時(第1段階)の状態を示す側面断面図である。図7は、グロメット1の引抜き時(第2段階)の状態を示す側面断面図である。
グロメット1に対して、挿入方向の反対側に移動させる力が掛かった場合、グロメット1が第2開口部10b側に移動することで、縁部112が第2傾斜部42を軸方向に(具体的には第1開口部10a側に)押圧することとなる。第2傾斜部42には上述の傾斜面が形成されているため、この軸方向の押圧により、第2傾斜部42は径方向外側に変形する(図6を参照)。伸縮部40を径方向外側に変形させることで、グロメット1の引抜き時に伸縮部40と車体パネル110とが干渉するため、グロメット1から抜けにくくなる。ここで、第2傾斜部42が形成されている部分には、内側伸縮溝45、外側伸縮溝46、及び厚肉内側溝54が形成されているため、この径方向外側の変形が生じ易くなる。更に、膨出部43が薄肉となっているため、この径方向外側の変形が生じ易くなる。
その後、更にグロメット1が引き抜かれることで、径方向外側に変形した伸縮部40が車体パネル110(縁部112)によって第1開口部10a側に押圧される。これにより、図7の状態では、第1傾斜部41は、径方向内側かつ第2開口部10b側(即ち、これらの2つの方向の両方に相当する斜め方向、図7の例では左下斜め方向)に向かうように小径部30に接続されるようになる。この状態において、伸縮部40の径方向外側のサイズは、パネル孔111よりも大きいため、グロメット1を更に引き抜くためには、この状態の伸縮部40を更に内側に変形させる必要がある。ここで、本実施形態では厚肉内側溝54が形成されているため、図6の状態から図7の状態となるように伸縮部40を変形させ易くなる。
ここで、本実施形態では、小径部30が厚肉部50に接続されている。図7の状態から伸縮部40を更に内側に変形させるためには、第1傾斜部41の一部が厚肉部50の径方向外側を超えて第1開口部10a側に向かって移動するように変形させる必要がある。しかし、厚肉部50は厚みが大きいためこのような変形は困難となる。以上により、厚肉部50を設けることで、グロメット1の引抜き方向の力に抵抗する力(引抜き抵抗力)を大きくすることができる。従って、グロメット1の取付後にグロメット1及びワイヤハーネス100等に引抜き方向の力が掛かった場合であっても、グロメット1が引き抜かれることを防止できる。
以上に説明したように、本実施形態のグロメット1は、自動車の車体パネル110に形成されたパネル孔111に挿入されて、当該車体パネル110に取り付けられる。このグロメット1は、挿入筒部10と、小径部30と、大径部20と、伸縮部40と、を備える。挿入筒部10は、ワイヤハーネス100が挿入される筒状の部材であり、一側に第1開口部10aが形成され、他側に第2開口部10bが形成される。小径部30は、車体パネル110への取付け後において、パネル孔111よりも第1開口部10a側に位置しており、挿入筒部10の外周を囲むように当該挿入筒部10の径方向外側に位置しており、挿入筒部10から径方向外側に立設されており、パネル孔111を通過させることが可能である。大径部20は、車体パネル110への取付け後において、パネル孔111よりも第2開口部10b側に位置しており、挿入筒部10の外周を囲むように当該挿入筒部10の径方向外側に位置しており、パネル孔111よりも大径の部分を含む。伸縮部40は、大径部20と小径部30との間に位置しており、外力が掛かっていない状態において径方向外側に膨らんでおり、外力が掛かることで径方向に更に膨らむ又は縮むように変形することで軸方向に伸縮可能である。パネル孔111からの引抜き時において、伸縮部40は、パネル孔111の縁部112から第1開口部10a側に向かう力を受けることで、径方向外側に膨らむように変形する。軸方向に平行な平面で切った断面において、伸縮部40の径方向外側の外形に沿う方向に垂直な方向の長さを伸縮部40の厚みと称したときに、伸縮部40には、外力が掛かっていない状態において、厚みが略一定である部分があるとともに、当該厚みが一定である部分よりも第1開口部10a側には、径方向外側の面が、厚みが一定である部分よりも更に径方向外側に傾斜又は湾曲していることで厚みが大きくなっている厚肉部50が形成されており、当該厚肉部50が小径部30に接続されている。厚肉部50の径方向外側の面には、第1開口部10a側に近づくに連れて径方向内側に近づくように傾斜したガイド面51が含まれている。
これにより、車体パネル110に取り付けたグロメット1に対して引抜き方向の力が掛かったときに、パネル孔111の縁部112が伸縮部40に当たることで当該伸縮部40が径方向外側に膨らむため、グロメット1の抜けを防止できる。このとき、グロメット1をパネル孔111から抜くためには、径方向外側に膨らんだ伸縮部40を第1開口部10a側に変形させる必要がある。この点、上記の構成では厚肉部50が形成されているため、伸縮部40が第1開口部10a側に変形しにくい。以上により、引抜き抵抗力を高くすることができる。また、厚肉部50を形成することで径が大きくなるためグロメット1のパネル孔111への挿入時の作業性が低下する可能性があるが、本発明では厚肉部50にガイド面51が形成されているため、グロメット1の挿入をガイドすることができる。以上により、引抜き抵抗力とグロメット1の挿入時の作業性とを両立した構造が実現できる。
また、本実施形態のグロメット1において、伸縮部40は、外力が掛かっていない状態において、径方向内側かつ第1開口部10a側に向かって小径部30に接続される第1傾斜部41を有している。第1傾斜部41は、パネル孔111への挿入時において、径方向内側かつ第1開口部10a側に向かって小径部30に接続される。第1傾斜部41は、パネル孔111からの引抜き時において、径方向内側かつ第2開口部10b側に向かって小径部30に接続される。
これにより、厚肉部50の近傍を大幅に変形させないと、グロメット1をパネル孔111から引き抜くことができない。一方で、厚肉部50の近傍を少し変形させるだけで、グロメット1をパネル孔111に挿入できる。従って、引抜き抵抗力とグロメット1の挿入時の作業性とを更に向上させた構造が実現できる。
また、本実施形態のグロメット1において、パネル孔111からの引抜き時において、車体パネル110の縁部112から第1開口部10a側に向かう力を受けることで、第1傾斜部41の一部が厚肉部50の径方向外側を超えて第1開口部10a側に向かって移動するように変形することが好ましい。
これにより、パネル孔111からの引抜き時において、第1傾斜部41が厚肉部50を超えて第1開口部10a側に向かうように変形することで、伸縮部40が第1開口部10a側に変形しにくいという効果を更に有効に発揮させることができる。
また、本実施形態のグロメット1において、大径部20の第1開口部10a側の端面には径方向に沿うように形成された部分があり、当該部分との接続箇所における伸縮部40の厚みよりも、厚肉部50の厚みが大きいことが好ましい。
これにより、グロメット1の引抜き時において伸縮部40の第1開口部10a側の変形を抑えつつ、グロメット1の挿入時において伸縮部40を変形させ易くして作業性を向上できる。
また、本実施形態のグロメット1において、厚肉部50の径方向内側には、周方向に並ぶように複数形成された溝である厚肉内側溝54が形成されていることが好ましい。
これにより、厚肉部50の近傍において伸縮部40を径方向に変形させ易くすることができるので、引抜き抵抗力を更に高くすることができる。
また、本実施形態のグロメット1において、伸縮部40には、周方向に並ぶように形成された複数の溝であって、伸縮部40の径方向内側に形成された内側伸縮溝45と、径方向外側に形成された外側伸縮溝46と、が形成されている。内側伸縮溝45と、厚肉内側溝54とが一体的な構造である。
これにより、グロメット1の引抜き時に伸縮部40が径方向外側に変形し易いため、引抜き抵抗力を更に高くすることができる。
また、本実施形態のグロメット1において、外力が掛かっていない状態において伸縮部40のうち最も径方向外側に膨らんでいる部分を膨出部43としたときに、内側伸縮溝45は、膨出部43から第1開口部10a側に形成されている第1内側伸縮溝45aと、膨出部43から第2開口部10b側に形成されている第2内側伸縮溝45bと、に分かれている。外側伸縮溝46は、膨出部43の第1開口部10a側及び第2開口部10b側において連続するように形成されている。
これにより、伸縮部40が変形し易くなるため、グロメット1の引抜き時に伸縮部40が径方向外側に変形し易いため、引抜き抵抗力を高くすることができる。一方で、グロメット1の挿入時に伸縮部40が径方向内側に変形し易いため、グロメット1の挿入時の作業性を高くすることができる。
また、本実施形態のグロメット1において、外力が掛かっていない状態において伸縮部40のうち最も径方向外側に膨らんでいる部分を膨出部43としたときに、内側伸縮溝45は、膨出部43から第1開口部10a側に形成されている第1内側伸縮溝45aと、膨出部43から第2開口部10b側に形成されている第2内側伸縮溝45bと、に分かれている。外側伸縮溝46は、膨出部43の第1開口部10a側及び第2開口部10b側において連続するように形成されている。
これにより、膨出部43の厚みが小さくなり過ぎることを防止しつつ、伸縮部40の変形性を確保できる。
また、本実施形態のグロメット1において、第1内側伸縮溝45aの溝長さは、第2内側伸縮溝45bの溝長さよりも長いことが好ましい。
これにより、第1内側伸縮溝45aが形成されている箇所を大きく変形させ易くできるので、伸縮部40を第1開口部10a側に大きく変形させ易くすることができるので、引抜き抵抗力を高くすることができる。
また、本実施形態のグロメット1において、第1内側伸縮溝45aは、第1開口部10a側及び第2開口部10b側の端部のうち第2開口部10b側の端部のみで溝深さが徐々に浅くなっている。第2内側伸縮溝45bは、第1開口部10a側及び第2開口部10b側の端部の両方で溝深さが徐々に浅くなっている。
これにより、厚肉部50の近傍において変形し易くなるので、その土台である厚肉部50による引抜き抵抗力を高くすることができる。
また、本実施形態のグロメット1において、大径部20の径方向内側の端部と、厚肉内側溝54の第2開口部10b側の端部と、は径方向の位置が同じであることが好ましい。
これにより、小径部30の内周溝55を起点として、伸縮部40を変形させ易くすることができるので、グロメット1の引抜き時に伸縮部40が径方向外側に変形し易いため、引抜き抵抗力を更に高くすることができる。
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
グロメット1を構成する各部は、上記実施形態と異なる形状であっても良い。例えば、挿入筒部10の径は軸方向で一定であっても良い。また、溝の一部を省略したり、追加したりしても良い。
厚肉部50は、第1傾斜部41よりも径方向の外側に厚肉となっていれば、上記と異なる形状であっても良い。例えば、上記実施形態の厚肉部50の径方向外側の面は、ガイド面51と外周面52であるが、ガイド面51が複数形成されていても良いし、外周面52の角度が異なる構成でもよい。
上記実施形態のグロメットは、複数の電線を束ねてコネクタ等を配置した構成のワイヤハーネスを挿通するための部材であるが、その他のケーブルを挿通する構成のグロメットにも本発明を適用することができる。