(実施形態)
本実施形態の駆動装置20について、説明する。本実施形態の駆動装置20は、撮像装置30において、撮像装置30のミラーを、撮影光軸上に侵入する位置と撮影光軸上から退避する位置とを移動することに用いられる。撮像装置30は、デジタル一眼レフカメラである。
駆動装置20は、振動型アクチュエータ23と、制御装置21とを有する。振動型アクチュエータ23は、制御装置21から電気−機械エネルギ変換素子に交流信号を印加することにより振動体6に振動を励起する。そして、励起された振動によって振動体6と被駆動体117とが相対移動することにより、振動型アクチュエータ23と接続している駆動対象物33に駆動力を与えるモータである。
従来、ミラーの駆動は、ばねチャージ式又は電磁モータ駆動方式等で行っていた。しかし、カメラによる撮影時のコマ速を高速化に伴い、ミラーの駆動速度を従来よりも速くしたい場合、従来の駆動方式では、ミラーの駆動速度を早くするとミラーが端部に到達する際に十分にブレーキが効かないことがある。その結果、端部に配置されている当接部材である位置決めダボにミラーが衝突する恐れがある。また、ギヤのバックラッシやリンク部のガタによってミラーの駆動の制御性が低下してしまうため、位置決め用ダボヘの衝突によって生じるバウンドや衝突音を完全になくすことは容易でない。これに対し、本実施形態の駆動装置20を用いれば、その摩擦駆動の特徴を活かしてミラーの急減速を行い、従来よりも駆動対象物の振動や衝突音を低減できる可能性がある。また、本実施形態の駆動装置20を用いれば、ミラーを高速に移動しつつ、ミラーを移動範囲の端部で従来よりも高精度に停止させることが可能である。
[撮像装置の構成]
撮像装置30の構成について、図11(a)、図11(b)を参照して説明する。図11(a)は、撮影レンズを外した状態の撮像装置30を、被写体側より見た模式図である。カメラ本体31内には、不図示の撮影レンズを通過した撮影光束が導かれるミラーボックス32が設けられており、ミラーボックス32内にミラーが配置されている。ミラーは、メインミラー(クイックリターンミラー)33及びサブミラー35を含む。不図示の撮像部は、撮影レンズを通過した撮影光軸上に設けられている。
図11(b)は、カメラ本体31の構造を説明するカメラ本体31の断面の模式図である。カメラ本体31の撮像部には、受光した被写体像を電気信号に変換するCCDやCMOSセンサ等の受光素子である撮像素子36が設けられている。
メインミラー33及びサブミラー35は、撮影者がファインダ接眼窓34から被写体像を観察するために撮影光軸に対して45°の角度で配置される状態と、光を撮像素子36の方向へ導くために撮影光軸から退避した位置に配置される状態と、を取り得る。すなわち、メインミラー33及びサブミラー35は、撮影光軸上に侵入する位置と撮影光軸上から退避する位置とを移動可能に構成されている。
カメラによる撮影時のコマ速を上げるためには、メインミラー33及びサブミラー35を高速に往復動作して、上述の2つの状態を高速に切り換える必要がある。本実施形態では、駆動装置20を用いてメインミラー33及びサブミラー35を移動範囲内で移動することにより、メインミラー33及びサブミラー35を高速に往復動作して、上述の2つの状態を切り替える。すなわち、メインミラー33及びサブミラー35は、駆動装置20で駆動される駆動対象物である。以降の説明では、駆動装置20の駆動対象物であるメインミラー33及びサブミラー35を、単にミラーと呼ぶことがある。
本実施形態では、メインミラー33の駆動軸上に、駆動装置20の振動型アクチュエータ23の出力軸10が連結しており、振動型アクチュエータ23の回転駆動力によってメインミラー33を往復駆動する。サブミラー35は、リンク機構を介してメインミラー33と連結され、一体となって回転動作する。
なお、メインミラー33の駆動軸と振動型アクチュエータ23とは、直接連結していてもよいし、ギヤ又はリンク機構等を介して連結していてもよい。なお、本実施形態では、メインミラー33と振動型アクチュエータ23とが接続しているが、これに限らず、サブミラー35と振動型アクチュエータ23とが直接、あるいは、ギヤ又はリンク機構等を介して接続していてもよい。
ミラーボックス32内には、メインミラー33が、撮影光軸に対する上述の2つの状態で停止するように、メインミラー33の移動範囲の両端部に、メインミラー33を突き当てて当接させる第1の当接部材37a、第2の当接部材37bを有する。
駆動装置20の振動型アクチュエータ23は、駆動力を発生し、その駆動力によりメインミラー33及びサブミラー35を移動範囲内で移動させる。撮像装置30は、第1の当接部材37aと接して静止状態であるメインミラー33を加速し、第2の当接部材37b側に一定速度で移動させた後に減速して第2の当接部材37bで停止させる。これをミラーアップ動作と呼ぶ。また、撮像装置30は、第2の当接部材37bと接して静止状態であるメインミラー33を加速し、一定速度で移動した後に減速して第1の当接部材37aで停止させる。これをミラーダウン動作と呼ぶ。撮像装置30は、振動型アクチュエータ23の駆動力を制御して、ミラーアップ動作とミラーダウン動作とを交互に行うことにより、メインミラー33を移動範囲内で高速に往復動作させる。
本実施形態の撮像装置30は、ミラーアップ動作を行う場合、メインミラー33が第2の当接部材37bに到達する直前又は到達と同時又は到達した直後に、メインミラー33が第2の当接部材37bを押すように振動型アクチュエータ23が駆動力を与える。また、ミラーダウン動作を行う場合、メインミラー33が第1の当接部材37aに到達する直前又は到達と同時又は到達した直後に、メインミラー33が第1の当接部材37aを押すように振動型アクチュエータ23が駆動力を与える。
従来の駆動装置は、駆動装置によって移動する対象物が当接部材に突き当たる衝撃を避けるために高速にモータを減速させているが、減速動作を強くかけ過ぎると当接部材の手前でミラーが停止してしまい、停止精度を確保できなくなる。また、本実施形態の撮像装置30において、メインミラー33が当接部材に確実に突き当たるように減速させた場合、モータとミラーのリンク部とのガタ又はたわみにより、ミラーが予想よりも早く当接部材37a、37bと当たってしまう恐れがある。これにより、モータ停止後もミラーのバウンドが続いてしまったり、メインミラー33が当接部材37a、37bと衝突して戻ってきた状態で停止してしまったりすることがある。
これに対し、本実施形態では、ミラーの減速時に、ミラーが当接部材37a、37bを押すように振動型アクチュエータ23の駆動力を与えながら停止整定させる。このような構成にすることにより、ミラーが端部に当たる衝撃によって移動方向の反対側に戻る揺り戻しを低減することができる。そのため、駆動対象物であるミラーを端部a、bで従来よりも精度よく停止させることができる。
また、ミラーが端部a、bに移動した後、ミラーの振動が許容範囲ないになるまで待機してから撮像動作を行う必要があるが、ミラーを当接部材37a、37bに押し当てることにより、発生した振動が許容範囲内に収まるまでの時間を短くすることができる。そのため、カメラによる撮影時のコマ速を向上することができる。
[駆動装置の構成]
駆動装置20の構成について、図1を参照して説明する。図1は、本実施形態の駆動装置20の構成を説明するブロック図である。
駆動装置20は、振動型アクチュエータ23、位置検出部(位置センサ)150及び制御装置21を有する。
<振動型アクチュエータ>
振動型アクチュエータ23は、棒状の振動体6、被駆動体117及びセンサ相111を有する棒状振動型アクチュエータである。振動型アクチュエータ23は、棒状の振動体6の摩擦部に円運動又は楕円運動を発生させ、摩擦部に圧接した被駆動体117を相対的に回転させる超音波モータである。振動型アクチュエータ23は、例えば、カメラに設けられたミラー、シャッター、レンズなどを駆動するためのアクチュエータとして用いられる。センサ相111は、振動体6の振動状態を電気的に検出する。
振動型アクチュエータ23の構成について、図10を参照して説明する。図10は、振動型アクチュエータ23の構成を説明する模式図である。
図10(a)において、振動型アクチュエータ23は、棒状の振動体6と、振動体6の摩擦部と加圧接触している回転体5と、を有する。
振動体6は、摩擦部とくびれ部と挟持部とが一体に形成されている2つの振巾拡大部材1、電気−機械エネルギ変換素子である圧電素子2、圧電素子2に電力を供給するためのフレキシブルプリント基板12、及びこれらの部材を支える支持部材3、を有する。2つの振巾拡大部材1は、圧電素子2、フレキシブルプリント基板12及び支持部材3を挟持固定しており、これにより棒状の振動体6が構成される。
振動型アクチュエータ23の内径部には軸受7が圧入されており、出力軸10に対して振動体6の位置決めをしている。そして、圧電素子2に加えた電圧により、振動体6は2つの曲げ振動を合成して両端部に首ふり運動を生じる。この首ふり運動により、両端部の摩擦部の摩擦摺動面には円又は楕円運動を発生する。
回転体5は、振動体6と加圧接触する被駆動体117である。回転体5にはプレス加工により作製されたステンレス鋼製の段付きパイプ状の摩擦部材4が接着剤、ろう付けあるいは溶接により接合されている。摩擦部材4の端面は加圧バネ11により、摩擦摺動面に圧接されている。そのため、振動体6の摩擦部に発生した円又は楕円運動により、回転体5と振動体6とが相対的に移動する。本実施形態では、回転体5が回転する構成である。
回転体5の回転力は、回り止めを介して出力軸10に伝えられる。加圧バネ11による反力は2つの加圧受け部材8で受けている。加圧受け部材8と出力軸10及び回り止めは接着剤にて接合されているため回転体5の回転力は確実に出力軸10に伝達される。なお、接着剤の代わりにレーザ等によるスポット溶接やろう付けで接合してもよい。出力軸10はケース側軸受け9に支持されている。ケースはケース13、14に分離されていて、振動体6全体を支持する支持部材3をはさみ込んで固定している。
本実施形態では、ミラー駆動軸と振動型アクチュエータ23の出力軸10とを連結させることにより、撮像装置30のミラーを回転動作させる。その際、ミラーの回転位置及び速度は、図10(c)に示す出力軸10上に取付けられた円板スケール1001の反射光を対向する光学センサ1002を用いて検出される。
<位置検出部>
位置検出部150は、被駆動体117の位置を取得する位置センサである。位置検出部150としては、回転又はリニアエンコーダ等が用いられる。位置検出部150での検出結果は、制御装置21の相対位置検出部109及び相対速度検出部113に送られる。
<制御装置>
制御装置21は、振動型アクチュエータ23の駆動を制御する。具体的には、制御装置21は、圧電素子2にA相、B相の交流電圧を印加することにより、振動型アクチュエータ23を駆動する。その際、制御装置21は、圧電素子2に印加する複数の交流電圧の周波数、電圧及び位相差の少なくとも1つを調整することにより、回転体5の速度、つまり、振動型アクチュエータ23が発生する駆動力を制御する。振動型アクチュエータ23の駆動力を制御することにより、駆動対象物であるミラーの移動速度及び移動方向等を制御することができる。
制御装置21の構成について、図1を参照して説明する。なお、以降の説明において、「振動型アクチュエータ23を駆動する」とは、振動体6に励起する2つの曲げ振動を制御することにより、被駆動体117と振動体6の相対的な位置、速度の変化を制御することを指す。また、以下の説明では、便宜上、振動体6は不図示の固定手段に固定されており、制御装置21は、被駆動体117を移動体として振動体6に対して移動させるように振動型アクチュエータ23を駆動するものとして説明を行う。
制御装置21は、指令部110、相対速度検出部113、制御量決定部120、及び駆動部140を有する。
指令部110は、例えば、CPUやPLD(ASICを含む)、ROM、RAM、A/D変換器等の各種の電子デバイス、電気部品を有し、振動型アクチュエータ23の駆動を制御するための情報を含む信号を生成する。指令部110は、指令値決定部101、位置比較部102、位置指令生成部118及び相対位置検出部109を有する。
位置指令生成部118は、制御サンプリング毎(時間毎)に、ミラー32の目標位置を出力する。
相対位置検出部109は、位置検出部150の検出結果としての出力信号に基づき、被駆動体117の相対位置を検出する。
位置比較部102は、位置指令生成部118から出力された目標位置と、相対位置検出部109で取得した相対位置と、の偏差を逐次算出する演算部である。本実施形態ではミラーを回転駆動するため、位置比較部102は、目標位置としての目標回転角と検出されたミラーの回転角との偏差を算出する。例えば、ミラーを第1の当接部材37aと接している状態から第2の当接部材37bと接する位置まで移動する場合、第1の当接部材37aから第2の当接部材37bに到達するために必要な回転角から、ミラーの回転角を引いた残角度を偏差として用いる。位置比較部102で算出された偏差は指令値決定部101に送られる。
指令値決定部101は、取得した偏差に基づいて、速度、電圧及び駆動方向等の情報を有する各指令値を取得し、信号を出力する。なお、指令値決定部101は、本実施形態のように偏差を用いて各指令値を決定する構成に限らず、ミラーの回転角又は駆動対象物の移動速度、モータの回転速度等を用いて各指令値を取得する構成でもよい。残角度等の偏差を用いる構成は、より精度の高い制御を行うことができるため好ましい。
本実施形態では、振動型アクチュエータを用いてミラーを回転する構成となっているが、振動型アクチュエータを用いて駆動対象物を並進移動する構成も考えられる。その場合は、指令値決定部101は、目標位置から駆動対象物の移動距離を引いた値を偏差として用いて各指令値を取得する、又は、上述にように駆動対象物の移動距離又は移動速度、モータの回転速度等を用いて各指令値を取得すればよい。
相対速度検出部113は、位置検出部150からの出力信号に基づき、被駆動体117の相対速度を検出する。
制御量決定部120は、制御量決定部120は、周波数制御部103と、電圧制御部104と、位相差制御部105と、を有する。制御量決定部120は、指令部110からの信号と、ミラーの目標位置までの偏差(残偏差)と、相対速度等に基づいて、振動型アクチュエータ23に印加する複数の交流電圧の周波数、電圧及び位相差の制御量を決定する。具体的には、周波数制御部103が交流電圧の周波数を、電圧制御部104が交流電圧のデューティ比を、位相差制御部105が複数の交流電圧同士の位相差を決定する。
制御量決定部120の構成について、図2を参照して説明する。図2は、制御装置21における制御量決定部120の構成を説明するブロック図である。
周波数制御部103は、指令値決定部101からの速度指令と相対速度検出部113からの速度との差(速度偏差)を用いて、ミラーが指令された速度で移動するように、振動型アクチュエータ23に印加する複数の交流信号の周波数を制御する。具体的には、まず、指令値決定部101からの速度指令と、相対速度検出部113からの相対速度を用いて速度偏差が算出され、周波数制御部103に入力される。速度偏差は後述のLPF(ローパスフィルタ)121、PID制御部122、変換部123によって演算され、周波数を制御量として駆動部140へ出力される。
周波数制御部103の構成について説明する。周波数制御部103は、LPF121と、PID制御部122と、変換部123と、を有する。図3は、周波数制御部103の構成を説明するブロック図である。
LPF121は、指令値決定部101からの速度指令と、相対速度検出部113からの相対速度を用いて算出された速度偏差を取得し、取得した速度偏差の高域のノイズをカットする。LPF121からの出力信号は、PID演算部122に入力される。PID演算部122は、積分器301と微分器302とを有し、比例ゲイン(P)と積分ゲイン(I)と微分ゲイン(D)との各乗算結果が加算される。
変換部123は、PID演算部122での演算結果を、振動型アクチュエータ23を駆動する制御量の1つである周波数に変換する。変換部123では、まず、絶対値を算出し、周波数ゲイン(F)を乗算する。駆動開始時に設定される初期周波数f0からこれを減算し、周波数リミット303で最大周波数と最少周波数を制限してから周波数を出力する。以上のように、周波数制御部103は、周波数を操作して、振動型アクチュエータ23の速度制御を行う。
振動型アクチュエータ23に印加する交流電圧の駆動周波数とモータ速度との関係を、図4に示す。図4は、振動型アクチュエータ23に印加に印加する交流電圧の駆動周波数とモータ速度との関係を説明する図であり、横軸が駆動周波数、縦軸がモータ速度である。振動型アクチュエータ23は、駆動周波数を高域から低域にスイープすると、モータ速度が上がる。例えば、最高速度1000rpmで制御を行う場合、高域の初期周波数f0(62kHz)でモータを起動して、周波数の低域にスイープする。その際、制御装置21は、最高速度1000rpmになる周波数を含む初期周波数f0と下限周波数f1(59.7kHz)との間の範囲RSで周波数をスイープする。なお、上述の周波数ゲイン(F)は、駆動周波数とモータ速度との特性カーブの傾きである速度変化率を目安として設定するとよい。本実施例では、0.5rpm/Hzとする。
電圧制御部104は、振動型アクチュエータ23に印加する交流信号のパルス幅を操作することで、振動型アクチュエータ23の駆動力を調整する。本実施形態では、電圧制御部104は、目標位置に対する残角度に応じて振動型アクチュエータ23の駆動力を小さくすることにより、ミラーの移動速度を減速していき、さらに、目標位置直前で端部に配置されている当接部材を押す制御を行う。
電圧制御部104は、パルス幅設定部124、リミット125及び判定部126を有する。電圧制御部104は、指令値決定部101からの電圧指令と、ミラーの目標位置への残角度と、に基づいて交流電圧のパルス幅を変更する。
パルス幅設定部124は、指令値決定部101からの電圧指令に基づいて交流電圧のパルス幅を設定する。また、位置比較部102で得られた残角度が入力され、残角度と設定値との比が求められる。求められた残角度と設定値との比に応じて、0≦X≦1の範囲内でXが設定され、これがパルス幅設定部124で設定されたパルス幅と乗算される。その結果得られたパルス幅が駆動部140に出力される。
判定部126は、残角度が所定の値以下であるかを判定し、所定の値以下である場合には、移動範囲の端部に配置されている当接部材を押す駆動力を与えるためのパルス幅を駆動部140に出力する。
位相差制御部105は、切替部127を有する。位相差制御部105は、指令値決定部101からの駆動方向指令に基づいて、振動型アクチュエータ23に印加する2相の交流信号の位相差を操作することで、振動体6と回転体5との相対移動方向を制御する。その結果、位相差制御部105は、モータの駆動方向、すなわちミラーの回転方向を切り換える。具体的には、位相差制御部105は、指令値決定部101から入力された駆動方向指令に基づいて、切替部127で位相差が+90度と−90度とで切り替えられる。切替部127からの位相差は、制御量として駆動部140へ出力される。
駆動部140は、交流信号生成部106及び昇圧回路107を有する。
交流信号生成部106は、制御量決定部120から出力された制御量に基づいて、2相の交流信号を生成する。具体的には、制御量決定部120から出力された制御量は、駆動部140の交流信号生成部106に入力され、交流信号生成部106は、制御量決定部120から入力された周波数、パルス幅、位相差の各制御量に基づいて、矩形波の交流信号を生成する。これにより、振動型アクチュエータ23に供給する駆動電圧VA、VBを生成するための交流信号(交流パルス信号)の周波数、パルス幅及び位相差が調整される。
交流信号生成部106は、例えば、CPUや関数発生器、スイッチング回路等を有する。交流信号生成部106は、生成した2相の交流信号を昇圧回路107へ出力する。
昇圧回路107は、交流信号生成部106から出力された交流信号を所定の電圧値に昇圧して、交流の駆動電圧VA、VBを生成する。生成した駆動電圧は、振動体6の圧電素子2に印加される。これにより、被駆動体117が振動体6により摩擦駆動され、被駆動体117を所定の方向に所定速度で回転させることができる。
上述の通り、被駆動体117の相対速度は位置検出部150と相対速度検出部113によって検出され、制御量決定部120にフィードバックされる。また、被駆動体117の相対位置も同様に、位置検出部150と相対位置検出部109によって検出され、指令部110にフィードバックされる。
駆動部140の構成について、図12(b)を参照して説明する。図12(b)は、本実施形態の駆動部140の構成を説明するブロック図である。なお、駆動部140において、圧電素子2に印加される駆動電圧VA、VBの生成に用いられる部分の構成は同じであるため、以降の説明では、駆動電圧VAの生成に用いられる部分について述べる。
交流信号生成部106は、パルス信号生成部165と、スイッチング回路160と、を有する。また、昇圧回路107は、コイル162と、トランス163と、を有する。なお、昇圧回路107の構成はこれに限らず、例えば、コイル162及びトランス163のどちらか一方のみを有する構成でもよい。
パルス信号生成部165は、制御量決定部120からの情報に基づいて、制御量決定部120からの情報に応じた位相差、周波数及びパルス幅の情報を有する矩形のA相パルス信号と、A相パルス信号とは位相が180度ずれたA相反転パルス信号を生成する。図12(a)に、パルス信号生成部165で生成されるパルス信号を示す。パルス信号生成部165で生成されたA相パルス信号及びA相反転パルス信号は、スイッチング回路160に入力される。
スイッチング回路160は、電源161から供給された直流電圧を入力されたパルス信号のタイミングでスイッチング動作させ、矩形波の交流信号を生成する。なお、パルス信号生成部165で生成されるパルス信号のパルス幅をデューティ比で表した場合、交流信号生成部106で生成される交流信号のパルス幅も同じデューティ比で表される。
交流信号生成部106から出力される交流信号は、昇圧回路107に入力されて所定の電圧値に昇圧されることでsin波の駆動電圧VAに変換され、圧電素子2の一方の電極(A相)に印加される。
なお、圧電素子2の他方の電極(B相)に印加される駆動電圧VBの生成に用いられるB相パルス信号は、A相パルス信号に対して、制御量決定部120から出力された位相差の情報に基づく所定の位相差を有するように生成される。B相反転パルス信号は、B相パルス信号とは位相が180度ずれるように生成される。sin波の駆動電圧VBは、駆動電圧VAと同様に生成される。
[振動型アクチュエータの駆動方法]
制御装置21による振動型アクチュエータ23の制御方法について、図8を参照して説明する。
制御装置21は、メインミラー33を、メインミラー33の移動範囲の一方の端部から他方の端部に移動する場合に、メインミラー33を他方の端部側に移動するための駆動力を発生する第1のステップを行う。また、制御装置21は、メインミラー33が他方の端部に到達する前に振動型アクチュエータ23の駆動力を小さくして減速を行う第2のステップを行うように制御する。さらに、制御装置21は、第2のステップの後、ミラーが他方の端部に配置されている当接部材に接触した状態でミラーを当接部材に押し当てるように駆動力を発生する第3のステップと、を行うように制御する。
以降の説明では、ミラーを端部aから端部bに回転移動する場合を例にとって、駆動方法についてより詳細に説明する。なお、メインミラー33を端部bから端部aに移動する場合も、駆動力の方向及びメインミラー33の移動方向が逆になる以外は以降の説明と同様の方法で制御できる。
本実施形態では、メインミラー33を回転する場合、まず、制御装置21は、目標位置に基づいて指令値決定部101からの電圧指令によって駆動パルスをONにし、電圧制御部104のパルス幅設定部124で起動時の駆動電圧のパルス幅を設定する。これにより、振動型アクチュエータ23が、ミラーを端部b側に回転移動するための駆動力を発生する。ここでは、起動時のパルス幅を50%とし、目標位置A1を端部aから端部bまでの回転角である60degに設定する。
位置比較部102は、目標位置と相対位置とを用いて目標位置までの残角度を算出する。残角度が減速開始位置として設定した設定値A2になると、電圧制御部104が、振動型アクチュエータ23の駆動力を小さくする減速動作を開始する。減速動作では、電圧制御部104が、残角度が小さくなるほどパルス幅を50%から下げるように制御することにより、振動型アクチュエータ23の駆動力を小さくしてミラーを減速する。本実施形態では、電圧制御部104は、減速動作を開始する残角度の設定値A2を20degとし、制御サンプリング毎に検出される残角度と設定値A2との比(X=残角度/設定値)を算出して、これに50%を乗算することで線形にパルス幅を下げていく。したがって、減速開始から目標位置に向かってパルス幅が50%から0%になるよう駆動電圧が変化する。
その後、制御装置21は、ミラーが設定位置に到達したら、ミラーと当接部材とが接触した状態でミラーを当接部材に押しあてるような駆動力を与えるように制御する。具体的には、減速中に、位置比較部102が残角度を取得し、判定部126が、残角度が第3のステップを開始する残角度の設定値A3以下(設定値以下)になったと判定したら、振動型アクチュエータ23の駆動力を大きくするように制御する。
本実施形態では、設定値A3をミラーが端部bに到達する直前である4degに設定し、判定部126で残角度が4deg以下であると判定したら、電圧制御部104がパルス幅を再び上げるように切り替える操作を行う。本実施形態では、残角度が4degになった時点で、電圧制御部104がパルス幅を30%に切り替える。
なお、設定値A3は0de以上で且つA2より小さければよい。しかし、駆動対象物と振動型アクチュエータ23との連結部分のガタ、駆動対象物のしなり等により、相対位置検出部109で取得した相対位置と実際のミラーの動きとが異なり、ミラーが予定よりも早く当接部材に当たる恐れがある。そのため、0degより大きく5deg以下の範囲で端部押し制御に切り替えることが好ましい。このように操作されるパルス幅を制御量として、駆動部140へ出力される。
ここで、電圧制御部104がパルス幅を変更する動作について、図5を参照して説明する。図5(a)は、電圧制御部104の入出力を示すブロック図である。図5(a)に示したように、電圧制御部104は、指令値決定部101からの電圧指令及び位置比較部102からの残角度に基づいて、駆動電圧のパルス幅を制御する。
図5(b)は、メインミラー33を回転駆動した場合の残角度とパルス幅の関係を示す図である。図5(b)において、横軸は残角度、縦軸はパルス幅である。図5(c)は、メインミラー33の移動の状態を説明する図である。
図5(b)では、メインミラー33が移動を開始する残角度60degの状態(i)では、パルス幅は50%に設定され、周波数による速度制御131が行われ、起動から最高速度までモータが加速される。周波数による速度制御131は、残角度が減速開始位置としての設定値A2に到達した状態(ii)になるまで行われる。残角度が設定値A2に到達すると、端部bの直前までは残角度に応じた電圧制御132が行われる。具体的には、残角度が20degになると、振動型アクチュエータ23に印加される駆動電圧のパルス幅は、残角度に比例して小さくなり、振動型アクチュエータ23に印加される交流信号電圧も下がっていく。交流信号電圧が下がると駆動力が小さくなるため、モータ速度が減速し、メインミラー33の回転速度も減速する。
その後、判定部126が、残角度が設定値A3である4degに到達した状態(iii)であると判定したら、制御装置21が端部押し制御133を開始する。端部押し制御133では、振動型アクチュエータ23に印加される駆動電圧のパルス幅が30%に設定される。その後、残角度が0degになった後もパルス幅30%の駆動電圧を振動型アクチュエータ23に印加することにより、振動型アクチュエータ23が駆動力を発生する。そのため、メインミラー33は、第2の当接部材37bに押しあてられる。これにより、メインミラー33が第2の当接部材37bに接触した際に振動が発生しても、その振動を従来よりも早く低減することができる。なお、第3のステップを行う場合、制御装置21は、交流信号のパルス幅を調整することにより、端部を押す方向の駆動力を制御することができる。
ここからは、制御装置21が第1〜第3のステップを行うタイミングについて、図6を参照して説明する。図6は、制御装置21が振動型アクチュエータ23を駆動する場合のタイミングチャートであり、図6(a)は横軸が時間、縦軸が回転角であり、図6(b)は横軸が時間、縦軸がパルス幅である。また、図6(c)は、横軸が時間、縦軸が周波数であり、図6(d)は横軸が時間、縦軸が速度である。
時刻t0に駆動が開始された振動型アクチュエータ23は、まず、周波数による速度制御131により第1のステップが行われる。具体的には、制御装置21によってモータ速度が所定の値(本実施形態では、1000rpm)になるように速度制御され、パルス幅を50%に維持したまま周波数制御部103が周波数を低域側に操作する。これにより、メインミラー33が端部b側に回転移動する。メインミラー33は、周波数が低域側に操作されることにより加速し、1000rpmで略一定となる。
メインミラーが端部b側に回転移動すると、時刻t1でモータの回転角が40deg、すなわち残角度が20degであることが検知される。時間t1で残角度が20degであることが検知されると、残角度に応じた電圧制御132により、第2のステップの減速動作が行われる。具体的には、電圧制御部104が、振動型アクチュエータ23に印加される交流信号のパルス幅を残角度に応じて下げることにより、減速動作が行われる。このとき、減速するように速度指令値を下げることにより、周波数は高域側へ操作される。
その後、時刻t2で、回転角が56deg、すなわち残角度が4degであることが検知されると、制御装置21は、第3のステップとして端部押し制御133を行う。具体的には、残角度が4deg以下になると、制御装置21は、振動型アクチュエータ23の駆動力が大きくなるように、パルス幅を30%に設定する。
端部押し制御133を行っている途中の時刻t3に、メインミラー33が端部bに配置されている第2の当接部材37bと接触する。メインミラー33と第2の当接部材37bとが接触した後も、振動型アクチュエータ23の駆動力が与えられるため、メインミラー33は、時刻t3〜時刻t4の期間に第2の当接部材を押すようにモータ駆動力が与えられ、停止整定される。このような構成にすることにより、メインミラー33が第2の当接部材37bに当たる衝撃によって発生する揺り戻しやバウンドを低減することができ、メインミラー33を第2の当接部材37bと接触した状態で、精度よく停止させることができる。また、メインミラー33に振動が発生しても、振動がなくなるまでの時間を従来よりも短くすることができる。
なお、本実施形態では、第1のステップを周波数制御部103による周波数制御によって行い、第2のステップ及び第3のステップを電圧制御部104による電圧制御によって行っている。しかし、各ステップにおいて、振動型アクチュエータ23の駆動力を制御する方法はこれに限らず、周波数、パルス幅、位相差のいずれか1つを制御してもよいし、これらを組み合わせて制御してもよい。第2のステップと第3のステップとは、異なる制御方法で制御してもよい。
例えば、第2のステップ及び第3のステップを、周波数制御部103又は位相差制御部105を用いて行ってもよい。周波数制御部103が第2のステップ及び第3のステップを行う場合、第2のステップによるモータの減速時は周波数を高域側にスイープし、残角度がA2になったら周波数を振動体6の共振側である低域側に戻すことで駆動力を与えることができる。また、位相差制御部105が第2のステップ及び第3のステップを行う場合、第2のステップによるモータの減速時は位相差を90degから0degにスイープする。残角度が設定値A2に到達したら位相差を90degに戻すことで同様に駆動力を与えることができる。ここで、位相差が0degの場合は駆動力がゼロとなる。
なお、駆動電圧のパルス幅と振動型アクチュエータ23の駆動力とは線形の関係にあるため、より精度の高い制御を行うためには、第2のステップ及び第3のステップは、電圧制御部104によって行うことが好ましい。
制御装置21による振動型アクチュエータ23の駆動方法について、図8を参照して説明する。図8は、本実施形態の制御装置21が振動型アクチュエータ23の駆動方法の一例を説明するフローチャートである。制御装置21は、CPU、ROM及びRAM等を有しており、図8のフローチャートの各処理は、CPUがROMに格納されたプログラムをRAMに展開し、制御装置21の各部の動作を制御することにより実現される。
制御装置21は、振動型アクチュエータ23の駆動を開始すると、第1のステップ(ステップS1)、第2のステップ(ステップS2)及び第3のステップ(ステップS3)をこの順に行う。
第1のステップS1について詳細に説明する。最初に、振動型アクチュエータ23で駆動対象物であるミラーの目標位置が設定され、目標位置に基づいて指令部110から速度、電圧、駆動方向の情報を有する指令値が出力される。指令値に基づいて周波数制御部103、電圧制御部104及び位相差制御部105のそれぞれに、起動初期値が設定される。駆動パルスがONされ、駆動部140から交流信号が振動型アクチュエータ23に印加され、駆動が開始される(ステップS101)。ここでは、起動初期値としてパルス幅50%、周波数62kHz、位相差+90degが設定される。
その後、速度指令に基づき、周波数制御部103が、モータが所定の速度になるように駆動周波数を下げる制御を行う(ステップS102)。本実施形態では、周波数制御部103は、速度指令に基づき、モータ速度が1000rpmになるように周波数制御を行う。位置比較部102は、目標回転角と位置検出部150で検出される回転角とを用いて、残角度を制御周期毎に逐次検出する(ステップS103)。制御量決定部120は、残角度と減速開始角度とを比較し(ステップS104)、残角度が20degより大きい場合はステップS102の周波数制御を継続し、残角度が20deg以下になると第2のステップS2を行う。なお、ここでは残角度が20degで減速動作を開始しているが、減速開始角度はこれに限らず、適宜設定できる。
第2のステップS2では、まず、減速動作を開始する(ステップS201)。減速動作が開始されると、周波数制御部103は、速度指令を0rpmとして周波数を上げる操作を行う(ステップS202)。位置比較部102は、制御周期毎に残角度を逐次検出し(ステップS203)、電圧制御部104が、残角度に応じてパルス幅を下げる制御を行う(ステップS204)。これにより、振動型アクチュエータ23が発生する駆動力を小さくする減速制御が行われる。
続いて、制御量決定部120が、上述のステップS103、S104と同じように取得した残角度と押し制御開始角度とを比較し、残角度が設定値A3以下であるか否かを判定する(ステップS205)。そして、残角度が設定値A3より大きければステップS5に戻り、残角度が設定値A3以下であれば第3のステップS3に進む。
第3のステップS3において、端部押し制御が開始される(ステップS301)と、まず、電圧制御部104が、駆動パルスの設定を変更する(ステップS302)。本実施形態では、例として、駆動パルスを、パルス幅30%、周波数62kHz、位相差+90degに設定する。その後、相対位置検出部109が回転角を検出し(ステップS303)、回転角が目標回転角以上か否かを判定する(ステップS304)。ステップS304において、回転角が目標回転角以上であると判断した場合には、制御装置21は、ミラーが目標位置へ到達したと判断して端部押し制御のタイマーの動作を開始する(ステップS305)。ステップS304において、回転角が目標回転角に達していないと判断した場合には、ステップS303に戻る。
ステップS306では、ステップS305で動作したタイマーが一定時間以上経過したか否かを判定する。タイマーが一定時間経過している場合には、制御装置21は駆動部140からの交流信号をOFFにすると(ステップS307)、振動型アクチュエータ23の駆動が停止する。このとき、振動型アクチュエータ23は、印加される電圧がゼロの状態であっても、摩擦力によりトルクが発生しており、駆動対象物であるメインミラー33には保持トルクが与えられている。そのため、振動型アクチュエータ23を駆動していなくてもメインミラー33を停止位置で維持することが可能であり、使用電力を低減することができる。
本実施形態の効果について、図9を参照して説明する。図9(b)は、本実施形態の制御装置21を用いて振動型アクチュエータ23を駆動してメインミラー33を端部aから端部bに移動した場合の、メインミラー33及びサブミラー35の振動の様子を示す図である。また、比較のために、従来の制御装置を用いて振動型アクチュエータを駆動してメインミラーを移動した場合のメインミラー及びサブミラーの振動の様子を図9(a)に示した。
図9(a)及び図9(b)において、メインミラー及びサブミラーの振動は、メインミラー及びサブミラーの先端に光学的な反射膜を付け、端部aの位置に取り付けられた光学センサからの反射信号を測定したものである。図9(a)及び図9(b)のそれぞれは、反射信号の測定を複数回行い、5回分の繰り返しデータを重ねて表示している。横軸は時間、縦軸は検出信号レベルを示す。
ここで、従来の制御装置による振動型アクチュエータの駆動方法について、図7を参照して説明する。図7は、従来の制御装置を用いて振動型アクチュエータを駆動する場合のタイミングチャートである。ここでは、メインミラー33を端部aから端部bまでの回転角60degを回転して停止させる場合を例にとって説明する。図7(a)は横軸が時間、縦軸が回転角のタイミングチャート、図7(b)は横軸が時間、縦軸がパルス幅のタイミングチャート、図7(c)は横軸が時間、縦軸が周波数のタイミングチャートである。
振動型アクチュエータは、従来の駆動装置は、時刻t0で振動型アクチュエータの駆動を開始し、時刻t0から時刻t1までの期間は、パルス幅は50%で周波数を操作することにより、モータの速度を制御する。その後、従来の駆動装置は、時刻t1でモータの回転角が40degであることを検知し、残角度に応じて駆動電圧のパルス幅を下げることにより、減速動作を行う。その際、従来の駆動装置は、駆動対象物であるミラーが、時刻t2に目標位置で停止するように振動型アクチュエータを制御する。このとき、モータ速度を過剰に減速させると目標位置より手前でメインミラーが停止してしまい、精度を確保できなくなる。逆に、減速が不十分だと、メインミラーが端部に当たる衝撃が大きくなり、バウンドが長時間発生してしまう。
図9(a)及び図9(b)では、どちらも駆動開始から15ms程度で検出信号レベルが立ち上がっており、端部b付近にメインミラー33が到達したことが分かる。その後の検出信号レベルの変動が小さいほど、端部bに突き当たった後のバウンドが少ないことを示す。
図9(a)は、従来の駆動装置を用いた場合の結果であり、駆動開始から20msになっても検出信号レベルの変動が大きく、ミラーの振動が続いていることが分かる。このようにバウンドが続いてしまうとAF等の光学精度を確保できず、次のミラー回転動作に移行することができないため、カメラの連写性能の向上が容易でない。
また、従来の駆動装置を用いた方法では、からの検出信号レベルが、図9(b)におけるメインミラー33からの検出信号レベルよりも小さい。従来の駆動装置を用いた場合は、メインミラー33が当接部材に当たった衝撃で逆の端部側に戻った状態で停止してしまうことがあり、メインミラー33が所望の停止位置(端部b)で停止せず停止精度が十分でないことがあった。
これに対し、図9(b)では、端部b付近にメインミラー33が到達した直後の検出信号レベルの変動が、図9(a)と比較して小さく、ミラーの振動が従来よりも低減されている。また、駆動開始から20m程度でメインミラー33及びサブミラー35のそれぞれからの検出信号レベルの変動が小さくなっており、ミラーが従来よりも早く停止している。また、メインミラー33が端部bで精度よく停止していた。そのため、次のミラー回転動作に移行するまでの時間を短縮することができるため、カメラの連写性能の向上に貢献できる。
したがって、本実施形態の駆動装置20によれば、駆動対象物を当接部材と接触した状態で精度よく停止させることができる。また、本実施形態の駆動装置21によれば、駆動対象物と当接部材との突き当て時の衝撃による振動を低減でき、さらに、振動が収まるまでの時間を短縮することができる。結果として、本実施形態の駆動装置21は、従来よりも精度よく且つ高速に、駆動対象物を所望の停止位置で停止させることができる。
振動型アクチュエータ23は、振動体6と被駆動体117との摩擦力を利用する構成である。振動体6と被駆動体117との摩擦力は、使用環境の湿度等によって変化するため、駆動対象物を目標位置で精度よく停止することは容易でなく、例えば上述のように、駆動対象物が目標位置より手前で停止してしまう恐れがある。そのため、本実施形態のように、駆動対象物を当接部材に押し当てる構成にすることは、駆動対象物が目標位置に到達しないことを低減できる。
また、駆動対象物が目標位置に到達せずに停止してしまうことを低減するために、第3のステップの開始位置は、駆動対象物が当接部材に接触する前であることが好ましい。このような構成にすることにより、駆動対象物が目標位置に到達しないことを低減できるだけでなく、駆動対象物のたわみや、駆動対象物及び駆動装置の機械的なガタによって生じる駆動対象物の当接部材への先当たりを低減することができる。これにより、駆動対象物が当接部材と接触することによって生じる振動をより低減できる。
なお、上述の実施形態及び図面における、残角度、設定値、設定位置、周波数、位相差、パルス幅(デューティ比)、回転角、時間及びモータ速度等の具体的な数値は一例であり、駆動装置の駆動対象物及び用途等に応じて設定することが好ましい。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
例えば、上述の実施形態では、振動型アクチュエータ23として、棒状振動型アクチュエータを用いているが、制御装置21及び制御装置21による制御方法は、他の振動型アクチュエータ(超音波モータ)にも応用することができる。例えば、図10(b)に示すように、特開平5−211785公報に開示されている超音波モータが一例として挙げられる。この超音波モータは出力軸を有しておらず、外部への出力はギヤ17を介して行なう。これ以外にも、リニア駆動型超音波モータ及び円環型超音波モータ等にも適用できる。