JP6838713B2 - シリコン結晶中の炭素濃度測定方法 - Google Patents

シリコン結晶中の炭素濃度測定方法 Download PDF

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Description

本発明はシリコン結晶中の炭素濃度測定方法に関する。
半導体集積回路等のデバイスの高密度化、高集積化に伴い、デバイス動作の安定化が頓に望まれてきている。特にリーク電流や酸化膜耐圧等の特性値改善は重要な課題である。しかし、不純物が集積回路基板であるシリコンウェーハ中に混入すると、その後作製したデバイスの安定動作は望めないことになる。例えば、半導体集積回路の製造工程において、ウェーハ中の炭素は、1×1015atоms/cm以下の濃度であっても、デバイス特性に悪影響を及ぼすことが広く知られている。
したがって、ウェーハ中の炭素を低く抑えるために、正確な濃度測定技術が必要とされている。通常、この目的で炭素濃度測定はフーリエ変換赤外分光法(Fourier Transform InfraRed Spectroscopy、FT−IR法)で測定される。この方法は、シリコンウェーハの赤外線吸収スペクトルから炭素濃度を間接的に求める手法であり、簡便に測定できるため広く用いられている。
しかし、FT−IR法による炭素濃度測定において、1014atоms/cm台の濃度を精度良く測定することは極めて困難であるのが実情である。また、他の測定手法として挙げられるSIMS(Secondary Ion Mass Spectroscopy、二次イオン質量分析法)も同様である。
その点、DLTS(Deep Level Transient Spectroscopy)法は、1013atоms/cm台の濃度を測定できる可能性を持つ手法である。なお、DLTS法とは、測定対象に形成したショットキー接合部又はpn接合部に逆バイアス電圧を印加した状態で正方向にパルス電圧を加え、このときにその接合部に生じる空乏層の静電容量変化の温度依存性から深い不純物準位に関する情報を得る方法である。このDLTS法の測定結果は、例えばDLTS信号強度と測定温度のグラフで示される。グラフ上に形成されたピークが、ある深い不純物準位の存在を示す。また、そのピークの温度から大まかに深い不純物準位のエネルギーが判明し、そのピークの高さが理論的に深い不純物準位の密度を示す。
ここで、例えば、非特許文献1に示される方法では、シリコン結晶中に存在する炭素関連準位E1、E2、E3がH−C、H−C−O複合体により形成される深い不純物準位であり、特に、E3の準位は、H−Cに起因する準位のため、酸素に影響を受けないとされている。
とはいえ、このままでは1013atоms/cm台の炭素濃度を高感度に測定できるとまでは言えない。そこで、いくつかの工夫が提案されている。例えば、DLTS電極形成の前処理として行う湿式処理として、HFとHNOの混酸を用いることで、炭素関連準位が活性化され、高準位密度測定が可能になるという手法が知られている(非特許文献2参照)。
また特許文献1には、炭素関連準位E1、E2、E3のうち少なくとも1つの準位密度からシリコン結晶中の炭素濃度を求める方法を提案している。また、特許文献2では、炭素関連準位E1、E2、E3の合算密度に基づいてシリコン結晶中の炭素濃度を求める方法を提案している。さらに特許文献2の方法では、フローティングゾーン法(FZ法)等で作製された低酸素濃度のシリコン結晶に対しては、熱処理により酸素をドープした後に炭素関連準位E1、E2、E3を測定している。これによれば、H−C−O複合体である炭素関連準位E1、E2のDLTS信号強度を強くすることができるとしている。
Minoru Yoneta,Yоichi Kamiura,and Fumio Hashimoto,「Chemical etching‐induced defects in phоsphоrus‐dоped silicоn」,J.Appl.Phys.70(3),1 August 1991,p.1295−1308 末澤正志、シリコン中の水素関連欠陥、応用物理、日本、社団法人応用物理学会、1996年、第65巻、第4号、p.377−381
特開2017−191800号公報 特開2016−108159号公報
さて、上記炭素関連準位E1、E2の密度は、酸素の存在により影響を受けるため、酸素濃度の異なるシリコン結晶では、準位E1、E2の密度と実炭素濃度間の相関線が異なる。そのため、準位E1、E2を用いて炭素濃度を求める場合、酸素濃度に応じて複数の検量線を作成する必要があり、手順が煩雑であるという問題がある。この点、酸素の影響を受けない準位E3と実炭素濃度間の相関を示した平易な検量線により実炭素濃度を求めることが考えられる。
しかし、CZ法で作製されたシリコン結晶等、酸素を含有するシリコン結晶の場合、3つの炭素関連準位E1、E2、E3の密度のうち、準位E3の密度が最低であり、酸素の影響を受ける準位E2は最高密度として測定されることが多かった。その意味で、炭素関連準位として得られた3つの準位E1、E2、E3のうち、最高密度を示す準位E2を無視し、微小な準位密度として得られた準位E3のみを用いることは、炭素関連準位の密度に基づく炭素濃度測定法として、最高感度の方法とは言い難い。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、シリコン結晶中の複数の炭素関連準位のうち含有酸素の影響を受ける準位に基づく炭素濃度測定を簡便に行うことができる方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明のシリコン結晶中の炭素濃度測定方法は、
n型シリコン結晶の伝導帯の底の準位をEc、Ec−0.13eVの準位を酸素影響準位としてn型シリコン結晶中の、SIMSにより得られる炭素濃度とFT−IRにより得られる酸素濃度とDLTSにより得られる前記酸素影響準位の密度とに基づいて、n型シリコン結晶中の炭素と酸素の濃度積と前記酸素影響準位の密度との相関関係を求めて、
前記相関関係と、
測定対象n型シリコン結晶中の、FT−IRにより得られる酸素濃度と、
前記測定対象n型シリコン結晶中の、DLTSにより得られる前記酸素影響準位の密度と、に基づいて前記測定対象n型シリコン結晶中の炭素濃度を求めることを特徴とする。
本発明者は、シリコン結晶中の炭素と酸素の濃度積と上記酸素影響準位の密度との間で良い相関があることを見出した。本発明はこの相関関係に基づいて炭素濃度を求める。これによって、この相関関係を得ることができれば、酸素濃度に応じた複数の検量線を作成する必要がなく、簡便にシリコン結晶中の炭素濃度を求めることができる。
本発明において、前記酸素影響準位は、n型シリコン結晶の伝導帯の底の準位をEcとして、Ec−0.13eVの準位である。
n型シリコン結晶においては、上記3つの炭素関連準位E1、E2、E3が存在するが、そのうち準位E2としてのEc−0.13eVの準位密度が最高密度となることが多い。そのため、このEc−0.13eVの準位を用いることで、炭素濃度を安定して高感度に得ることができる。
また、本発明において前記相関関係は、n型シリコン結晶中の炭素濃度を[Cs]、酸素濃度を[Oi]、前記酸素影響準位の密度をN、定数a、bとして以下の式で表される。
[Cs]×[Oi]=b×N
また前記相関関係を導出するのに用いたn型シリコン結晶及び前記測定対象n型シリコン結晶はチョクラルスキー法により作製されたシリコン結晶とすることができる。CZ法(チョクラルスキー法)で作製されたシリコン結晶は、FZ法で作製されたシリコン結晶よりも酸素を多く含有しているので、含有する酸素濃度に応じて酸素影響準位の密度が変わってくる。したがって、CZ法で作製されたシリコン結晶の炭素濃度測定に本発明を適用すると、酸素濃度を考慮した正確な炭素濃度を得ることができる。
シリコン結晶中の炭素濃度と初期酸素濃度の積と、E2準位密度との相関を示した図である。
以下、実施の形態について述べる。DLTS法は通常、ショットキー接合を形成する金属電極を測定試料表面に形成し、裏面にはオーミック接合を持つ金属電極を形成し、その2つの電極間に逆バイアスを印加した状態で正方向にパルス電圧を加えることで生じた空乏層静電容量の変化(過渡的応答)の温度依存性を取得すると、不純物が形成するエネルギー準位に応じた温度で静電容量変化がピークを形成する。そのピーク位置の静電容量変化から不純物準位密度を算出することができる。具体的に、n型シリコン結晶において、表面に形成するショットキー電極にはAuが用いられることが多く、裏面に形成するオーミック電極にはGaが用いられることが多い。いずれの電極も酸化膜の存在しない清浄なシリコン面に形成することが望ましく、その清浄面を得るためにHFによる表面酸化膜除去が行われる。
シリコン結晶中の炭素関連準位をDLTS測定する場合、清浄面をHFによって得たのち、直ちに電極を蒸着で形成し、測定に及んでも良いが、HFとHNOの混酸による湿式処理や沸騰水による煮沸処理を予め行っておくと、炭素関連準位が活性化され、高準位密度として測定されるため、それらの手法を用いても良い。なお、本発明者は、特願2017−174525号において、シリコン結晶を水で煮沸した後にDLTS測定することで炭素関連準位を活性化させる手法を提案している。このような処理を施したシリコン結晶の試料に対し、DLTS測定を実施すると、炭素関連準位として、E1、E2、E3の3つの準位の密度が得られる。これら炭素関連準位E1、E2、E3は、n型シリコン結晶のバンドギャップ中のトラップ準位であって、具体的には、DLTS法でn型シリコン結晶を測定することにより検出される約0.11〜0.15eVの範囲に形成される炭素関連の不純物準位である。より具体的には、n型シリコン結晶の伝導帯の底の準位をEcとして、準位E1のエネルギーはEc−0.11eVであり、準位E2のエネルギーはEc−0.13eVであり、準位E3のエネルギーはEc−0.15eVである。また、準位E1、E2は、H−C−O複合体により形成される深い不純物準位であり、すなわちシリコン結晶中に含有する酸素の影響を受ける準位(酸素影響準位)である。他方、準位E3は、H−C複合体により形成される深い不純物準位であり、酸素に影響を受けないとされている。
これら3つの準位E1、E2、E3の密度を、初期酸素濃度の高低により比較すると、初期酸素濃度が10ppma(parts per million atomic)(JEIDA)以上の場合、準位E1、E2の密度が準位E3のそれより2〜10倍高く測定される。これに対し、初期酸素濃度が10ppma(JEIDA)以下の場合、準位E2の密度と準位E3の密度はほとんど同じ水準の値が得られるが、準位E1の密度は準位E2、E3の密度の半分程度まで低下することがわかった。
このように、低酸素濃度の試料における炭素濃度測定の場合、準位E2と準位E3は同感度であるが、準位E1はやや感度が落ちることになるのに対し、高酸素濃度の試料においては、準位E1、E2の方が、準位E3より高感度となる。このことから、酸素濃度を問わず、高感度測定を実施するためには、準位E2を用いることが有利とわかる。このことは、DLTS測定での温度掃引における信号処理を行う際、高密度の準位を解析する方がより安定し、正確な値を得られることからも明らかである。
なお、上記JEIDAは、社団法人日本電子工業振興会の略称であって、JEIDAが定めた換算係数を用いて算出した値を用いていることを示している。現在、JEIDAはJEITA(社団法人電子情報技術産業協会)に改称されている。
そこで、初期酸素濃度が同一でなく、また、炭素濃度の異なるシリコン結晶の試料に対し、DLTS測定を実施し、準位E2の密度を求め、この密度と実炭素濃度の相関を求めたところ、酸素濃度の違いによる影響を受け、実用できるほど高精度な検量線は得られなかった。これに対し、同様な操作を準位E3の密度に対して行うと、実用可能な検量線が得られた。しかし、準位E3の密度は準位E2の密度より低いため、その検量線は、低準位密度側に位置している。
この問題を解決するため、準位E2の密度(以下、E2準位密度という場合がある)を、実炭素濃度と初期酸素濃度の積に対しプロットしたところ、図1に示すような検量線が得られた。図1の▲の各点は実際の測定点を示している。各測定点での実炭素濃度と初期酸素濃度の積を求める際の実炭素濃度(atoms/cm)はSIMSにより求めた。各測定点での実炭素濃度と初期酸素濃度の積を求める際の初期酸素濃度(atoms/cm)は、FT−IR法により得られた濃度値(単位ppma)を単位がatoms/cmとなるよう換算することで得た。
このように、シリコン結晶中の炭素と酸素の濃度積とE2準位密度との間に正の相関があることがわかった。図1の検量線を表す式として以下の式1を用いると炭素濃度の取得には便利である。
Figure 0006838713
ここで、[Cs]はシリコン結晶中の炭素濃度(atoms/cm)、[Oi]はシリコン結晶中の初期酸素濃度(ppma)、NE2はシリコン結晶中のE2準位密度(atoms/cm)、a、bは定数である。図1に示す例では、a=0.93、b=3.1×10であった。a値が1に近いほど比例関係にあることになるが、上例では十分に1に近い。したがって、a=1とした正比例で回帰した検量線も可能である。この場合、b=5.3×10であった。
なお、上記式1を変形すると、[Cs]×[Oi]=b×NE2 となり、シリコン結晶中の炭素と酸素の濃度積とE2準位密度との間の相関を示した式となる。なお、初期酸素濃度は、熱処理が施されていないシリコン結晶試料の酸素濃度であり、シリコン単結晶インゴットの酸素濃度とほぼ同じになる。
上記式1を用いることでシリコン結晶中の炭素濃度を求めることができる。具体的には、炭素濃度の測定対象となるシリコン結晶(以下、測定対象シリコン結晶という)の酸素濃度をFT−IR法などの他の手法(DLTS法以外の手法)で求める。また、測定対象シリコン結晶中のE2準位密度をDLTS測定により求める。得られた酸素濃度とE2準位密度をそれぞれ上記式1に代入することで、測定対象シリコン結晶中の炭素濃度を求めることができる。
以下、本実施形態のシリコン結晶中の炭素濃度測定方法についてより詳しく説明する。先ず、図1、式1に示すような、シリコン結晶中の炭素と酸素の濃度積と、E2準位密度との相関関係(検量線、関係式)を求める。具体的には、それぞれCZ法で作製され、酸素濃度及び/又は炭素濃度が異なる複数のシリコン結晶を準備する。準備するシリコン結晶は、酸素濃度や炭素濃度がFT−IR法やSIMSにて測定可能な範囲に調整されているとする。次に、準備した各シリコン結晶の初期酸素濃度をFT−IR法などの手法で求める。また、各シリコン結晶の炭素濃度をDLTS法以外の手法(例えばSIMS)で求める。また、各シリコン結晶のE2準位密度をDLTS測定により求める。
DLTS測定では、シリコン結晶の表面及び裏面に対してHFによる表面酸化膜除去処理を実施した後、表面に例えばAuを蒸着してショットキー電極とするとともに、その裏面には例えばGaを塗布してオーミック電極を作製する。そして、2つの電極間に逆バイアス(例えば−5V)を印加した状態で正方向にパルス電圧を加えることで生じる空乏層静電容量の過渡的変化を、所定温度範囲(例えば30〜300Kの範囲)で掃引しながら取得し、得られた過渡的変化の温度依存性からE2準位密度を測定する。
なお、DLTS測定に先立って、準備した各シリコン結晶に対してHFとHNOの混酸による湿式処理や沸騰水による煮沸処理を行っても良い。これによれば、シリコン結晶中に水素が導入されて、導入された水素によりH−C又はH−C−O複合体により形成される炭素関連準位E1、E2、E3を活性化でき、ひいてはE2準位密度を高感度に測定できる。
また、DLTS測定は、含有する酸素濃度が初期酸素濃度から変化していない、又はその変化が非常に小さいシリコン結晶に対して行う。つまり、シリコン結晶を準備してからDLTS測定を行うまでの間に、熱処理を行っていないシリコン結晶に対してDLTS測定を行う。熱処理を行うと、シリコン結晶中に酸素が導入されて、導入された酸素により酸素影響準位E1、E2の感度が変わってしまい、シリコン結晶中の炭素濃度と初期酸素濃度の積とE2準位密度との正確な相関が得られなくなってしまうためである。
その後、得られた各シリコン結晶の初期酸素濃度、炭素濃度及びE2準位密度から、初期酸素濃度と炭素濃度の積と、E2準位密度との間の相関関係を示した式を導出する。具体的には、上記式1における定数a、bを導出する。
次に、導出した式1に基づいて、測定対象シリコン結晶の炭素濃度を求める。具体的には、CZ法で作製された測定対象シリコン結晶を準備する。具体的には、例えば、CZ法で引き上げたn型シリコン単結晶インゴットを所定の厚さに切り出し、切り出したウェーハに粗研磨、エッチング及び研磨などを施して表面に鏡面加工がされた基板(ポリッシュドウェーハ)を準備する。なお、この基板は、例えばトランジスタ、ダイオード等の電子デバイスの形成用として作製された基板とすることができる。次に、基板からシリコン結晶を切り出して測定対象シリコン結晶とする。
次に、準備した測定対象シリコン結晶中の初期酸素濃度及びE2準位密度を測定する。初期酸素濃度及びE2準位密度の測定は、式1の導出に用いたシリコン結晶中の初期酸素濃度及びE2準位密度の測定と同様である。なお、式1の導出に用いたシリコン結晶中のE2準位密度の測定に際し、DLTS測定に先立って、HFとHNOの混酸による湿式処理又は沸騰水による煮沸処理を行った場合には、測定対象シリコン結晶に対しても湿式処理又は煮沸処理を行った後にDLTS測定を行う。また、熱処理を行っていない測定対象シリコン結晶に対してDLTS測定を行う。
そして、得られた初期酸素濃度及びE2準位密度を式1に代入することで、測定対象シリコン結晶中の炭素濃度を求める。
このように、本実施形態では、図1、式1で示す単一の検量線で炭素濃度を求めることができる。つまり、酸素濃度に応じた複数の検量線を作成する必要がなく、簡便にシリコン結晶中の炭素濃度を求めることができる。図1、式1で示す検量線は、シリコン結晶中の酸素濃度を考慮しているので、酸素濃度の影響を考慮した正確な炭素濃度を得ることができる。また、複数の炭素関連準位E1、E2、E3の中でも最高密度の準位E2を用いて炭素濃度を求めるので、炭素濃度を安定して(言い換えるとばらつきが少なく)、高感度に得ることができる。また、DLTS測定で炭素濃度を求めることで、SIMS、FT−IR法等の手法に比べて、微量炭素の濃度も検出できる。
以下、本発明の実施例及び比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(比較例1)
CZ法により、直径8インチ、方位<100>、n型、抵抗率が10Ωcmで炭素と酸素を含むシリコン結晶棒Aを引き上げ、切断、研磨などの加工を施してシリコンウェーハとした。このシリコンウェーハに含まれる炭素濃度と酸素濃度を、SIMSとFT−IRによりそれぞれ測定したところ、炭素濃度は1×1015atoms/cm、酸素濃度は17ppma(JEIDA)であった。このシリコンウェーハにHFとHNOの混酸によるミラーエッチングを施し、表層を10μmほど除去後、HFによる表面処理を施し、ショットキー電極とオーミック電極をそれぞれ表裏面に形成後、DLTS測定を行った。その結果、準位E2として5.0×1011atoms/cmの密度を得た。
これに対し、CZ法により、直径8インチ、方位<100>、n型、抵抗率が10Ωcmで炭素と酸素を含むシリコン結晶棒Bを引き上げ、切断、研磨などの加工を施してシリコンウェーハとした。このシリコンウェーハに含まれる炭素濃度と酸素濃度を、SIMSとFT−IRによりそれぞれ測定したところ、炭素濃度は1×1015atoms/cm、酸素濃度は4ppma(JEIDA)であった。このシリコンウェーハにHFとHNOの混酸によるミラーエッチングを施し、表層を10μmほど除去後、HFによる表面処理を施し、ショットキー電極とオーミック電極をそれぞれ表裏面に形成後、DLTS測定を行った。その結果、準位E2として1×1011atoms/cmの密度を得た。
上述の結晶棒AとBの2つの実炭素濃度は同一であるのに対し、DLTSで測定された結晶棒AのE2準位密度は、結晶棒Bの5倍になっており、単純に、DLTSによるE2準位密度測定から、実炭素濃度を見積もることはできない。
(実施例1)
予め、上記の手順で図1の式1の検量線を求めておき、比較例1に示した結晶棒Aから得られたシリコンウェーハ中の酸素濃度(17ppma(JEIDA))及びE2準位密度(5.0×1011atoms/cm)をそれぞれ上記式1に代入して実炭素濃度を求めたところ、1.38×1015atoms/cmとなった。なお、式1において、定数a=0.93、定数b=3.1×10とした。
同様に、比較例1の結晶棒Bから得られたシリコンウェーハ中の酸素濃度(4ppma(JEIDA))及びE2準位密度(1×1011atoms/cm)をそれぞれ上記式1に代入して実炭素濃度を求めたところ、1.32×1015atoms/cmとなった。
この結晶棒AとBから算出された実炭素濃度はほとんど同じであり、また、SIMSで測定した1×1015atoms/cmともほぼ一致し、実炭素濃度をDLTS測定によるE2準位密度測定から見積もることができた。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、かつ同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
例えば、上記実施形態では、含有する酸素濃度が初期酸素濃度から変化していないシリコン結晶に対して検量線の作成及びDLTS測定を行った例を示したが、特許文献2の手法のように、熱処理により酸素が導入されたシリコン結晶に対して検量線の作成及びDLTS測定を行っても良い。この場合、検量線の作成においては、熱処理を行った後のシリコン結晶に対して酸素濃度、炭素濃度及びE2準位密度を測定し、得られた酸素濃度、炭素濃度及びE2準位密度から検量線を作成する。また、測定対象シリコン結晶中の炭素濃度測定においては、検量線作成時と同じ熱処理を行った後の測定対象シリコン結晶に対して酸素濃度及びE2準位密度を測定し、得られた酸素濃度及びE2準位密度と、先に作成した検量線とから、測定対象シリコン結晶中の炭素濃度を求める。このように、熱処理を行ってシリコン結晶中に酸素の導入することで、酸素影響準位E1、E2を活性化でき、より安定して検量線の作成及び炭素濃度の測定を実施できる。
また、上記実施形態では、準位E2の密度に基づいて検量線の作成及び炭素濃度の測定を実施した例を説明したが、H−C−O複合体により形成される他の準位E1に基づいて検量線の作成及び炭素濃度の測定を実施しても良い。準位E1においても、シリコン結晶中の炭素と酸素の濃度積と、準位E1の密度との間に正の相関があると考えられる。
また、上記実施形態では、DLTS測定によりE2準位密度を測定した例を示したが、ライフタイム法、ICTS法(Isothermal Capacitance Transient Spectroscopy)、低温フォトルミネッセンス(PL)法、カソードルミネッセンス(CL)法など、他の手法によりE2準位密度を測定しても良い。

Claims (3)

  1. n型シリコン結晶の伝導帯の底の準位をEc、Ec−0.13eVの準位を酸素影響準位としてn型シリコン結晶中の、SIMSにより得られる炭素濃度とFT−IRにより得られる酸素濃度とDLTSにより得られる前記酸素影響準位の密度とに基づいて、n型シリコン結晶中の炭素と酸素の濃度積と前記酸素影響準位の密度との相関関係を求めて、
    前記相関関係と、
    測定対象n型シリコン結晶中の、FT−IRにより得られる酸素濃度と、
    前記測定対象n型シリコン結晶中の、DLTSにより得られる前記酸素影響準位の密度と、に基づいて前記測定対象n型シリコン結晶中の炭素濃度を求めることを特徴とするシリコン結晶中の炭素濃度測定方法。
  2. 前記相関関係は、n型シリコン結晶中の炭素濃度を[Cs]、酸素濃度を[Oi]、前記酸素影響準位の密度をN、定数a、bとして以下の式で表されることを特徴とする請求項に記載のシリコン結晶中の炭素濃度測定方法。
    [Cs]×[Oi]=b×N
  3. 前記相関関係を導出するのに用いたn型シリコン結晶及び前記測定対象n型シリコン結晶はチョクラルスキー法により作製されたシリコン結晶であることを特徴とする請求項1又は2に記載のシリコン結晶中の炭素濃度測定方法。
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