JP6835304B2 - 切削加工装置および加工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、送り方向に所定の曲率半径を有する加工面を切削加工によって生成するための切削加工装置および加工方法に関する。
ノーズ部に対し、ワイパー部が連続するように設けられた切削インサートが取り付けられたフライスカッターに関する従来技術があった(例えば、特許文献1参照)。このフライスカッターにおいては、ノーズ部およびワイパー部により被切削物を切削するとともに、ワイパー部によって仕上面を形成している。当該従来技術によるフライスカッターにおいては、曲率半径の小さいノーズ部によって、切削時の再生びびり振動を低減することができる。また、それとともに、ノーズ部に接続された曲率半径の大きいワイパー部により、カッターの送りを増大させても、切削後における加工面の表面粗さを向上させることを可能にしている。
特開2005−103710号公報
竹内芳美、長坂学、森重功一:ボールエンドミルの先端切れ刃・側面切れ刃を併用した5軸制御加工、精密工学会誌、Vol.61,No.4,1995,pp.561−565
しかしながら、上述した特許文献1によるフライスカッターは、直線状の工具軌跡に沿って送りが与えられる切削加工に限定して使用されるものであり、フライスカッターが曲線状の工具軌跡に沿って送られる切削加工に適用することはできなかった。これに対して、多軸加工機を用いて、工具の切れ刃直線部によって、大きなピックフィードで仕上面の粗さを向上させる切削加工方法があった(例えば、上記非特許文献1参照)。しかしながら、当該非特許文献1による切削加工方法においては、カッターの有する長い切れ刃が再生効果を有しているため、加工時のびびり振動安定性が低下するという問題があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、曲面形状によって形成された加工面の粗さを向上させ、高能率加工を可能とする切削加工装置および加工方法を提供することにある。
上述した課題を解決するために、第1の切削加工装置の発明は、円柱状に形成されて底部に切削部が設けられる切削工具(7)を軸線周りに回転させて被切削物(6)を切削加工する切削加工装置であって、前記切削工具の前記軸線が前記被切削物における目標加工面と交差する姿勢で、前記目標加工面の接線において前記被切削物上の仕上面から未切削部へ向かう送り方向に所定の曲率(1/Rw)を有する曲面状の前記目標加工面(TS)を切削加工するための切削加工装置(1)において前記切削部は、前記送り方向の先端が角状に形成され且つ前記送り方向後方に向かって延びる切れ刃として、前記目標加工面に向かって凸をなす曲線の曲率を正とし凹をなす曲線の曲率を負としたとき、前記先端の前記角状部分に設けられて正の第1の曲率(1/Rn)に形成された曲線状のノーズ部切れ刃(72)、及び該ノーズ部切れ刃に連続すると共に前記ノーズ部切れ刃よりも切れ刃長の長い切れ刃であって、前記送り方向後方に延びる全体が、前記第1の曲率よりも小さく且つ前記目標加工面の曲率(1/Rw)よりも大きいという条件を満たす正又は負の第2の曲率(1/Rt)に形成された曲線状のワイパー部切れ刃(73)を具備し、前記切削加工装置は、前記切削工具により加工する際、前記ワイパー部切れ刃の稜線の仕上げ面生成部分が前記目標加工面の微小部位に対し略平行となるように且つ前記ノーズ部切れ刃が切削に関与するように、前記被切削物に対する前記切削工具の姿勢を前記目標加工面の曲面に沿って前記送り方向に変化させる姿勢変更部(54D,54F)を備えている。
また、第2の切削加工装置の発明は、円柱状に形成されて底部に隣接する側面に切削部が設けられる切削工具(8、9)を軸線周りに回転させて被切削物(6)を切削加工する切削加工装置であって、前記切削工具の前記軸線が前記被切削物における目標加工面と交差しない姿勢で、前記目標加工面の接線において前記被切削物上の仕上面から未切削部へ向かう送り方向に所定の曲率(1/Rw)を有する曲面状の前記目標加工面(TS)を切削加工するための切削加工装置(1)において前記切削部は、前記送り方向の先端が角状に形成され且つ前記送り方向後方に向かって延びる切れ刃として、前記目標加工面に向かって凸をなす曲線の曲率を正とし凹をなす曲線の曲率を負としたとき、前記先端の前記角状部分に設けられて正の第1の曲率(1/Rn)に形成された曲線状のノーズ部切れ刃(82、91a)、及び該ノーズ部切れ刃に連続すると共に前記ノーズ部切れ刃よりも切れ刃長の長い切れ刃であって、前記送り方向後方に延びる全体が、前記第1の曲率よりも小さく且つ前記目標加工面の曲率(1/Rw)よりも大きいという条件を満たす正又は負の第2の曲率(1/Rt)に形成された曲線状のワイパー部切れ刃(83、91b)を具備し、前記切削工具により加工する際、前記ワイパー部切れ刃の稜線の仕上げ面生成部分が前記目標加工面の微小部位に対し略平行となるように且つ前記ノーズ部切れ刃が切削に関与するように、前記被切削物に対する前記切削工具の姿勢を前記目標加工面の曲面に沿って前記送り方向に変化させる姿勢変更部(54D,54F)を備えている。
また、第3の切削加工装置の発明は、棒状に形成されて軸線方向の先端に切削部が設けられる切削工具(9A)を、回転軸(φ)を中心に回転する被切削物(6)に当接させて切削加工する切削加工装置であって、前記切削工具の前記軸線が前記被切削物における目標加工面と交差する姿勢で、前記目標加工面の接線において前記被切削物上の仕上面から未切削部へ向かう送り方向に所定の曲率(1/Rw)を有する曲面状の前記目標加工面(TS)を切削加工するための切削加工装置(1)において前記切削部は、前記送り方向の先端が角状に形成され且つ前記送り方向後方に向かって延びる切れ刃として、前記目標加工面に向かって凸をなす曲線の曲率を正とし凹をなす曲線の曲率を負としたとき、前記先端の前記角状部分に設けられて正の第1の曲率(1/Rn)に形成された曲線状のノーズ部切れ刃(91f)、及び該ノーズ部切れ刃に連続すると共に前記ノーズ部切れ刃よりも切れ刃長の長い切れ刃であって、前記送り方向後方に延びる全体が、前記第1の曲率よりも小さく且つ前記目標加工面の曲率(1/Rw)よりも大きいという条件を満たす正又は負の第2の曲率(1/Rt)に形成された曲線状のワイパー部切れ刃(91g)を具備し、前記切削加工装置は、前記切削工具により加工する際、前記ワイパー部切れ刃の稜線の仕上げ面生成部分が前記目標加工面の微小部位に対し略平行となるように且つ前記ノーズ部切れ刃が切削に関与するように、前記被切削物に対する前記切削工具の姿勢を前記目標加工面の曲面に沿って前記送り方向に変化させる姿勢変更部(54D,54F)を備えている。
この構成によれば、ノーズ部切れ刃を用いた切削によって、再生効果を抑制し、びびり振動を低減することができる。また、ワイパー部切れ刃を、目標加工面の送り方向の曲率に対し所定範囲内の曲率を有する曲線によって形成し、当該ワイパー部切れ刃が掃引された面を目標加工面に合致するように姿勢を送り方向に変化させて、目標加工面の曲面に沿って送りを与えている。これにより、送り量を増大させて、高能率加工を実現できるとともに、仕上面粗さを向上させることが可能になる。
尚、上述した切削加工装置の発明中における「所定の曲率を有する曲線状のノーズ部切れ刃」には、先端が曲線を有していない鋭利なノーズ部切れ刃や多角形状のノーズ部切れ刃を含んでいる。これは、後述する切削工具の発明中のノーズ部切れ刃および加工方法の発明中のノーズ部切れ刃についても同様である。
また、第1〜第3の切削加工装置の発明における「前記送り方向後方に延びる全体が、前記第1の曲率よりも小さく且つ前記目標加工面の曲率(1/Rw)よりも大きいという条件を満たす正又は負の第2の曲率(1/Rt)に形成された曲線状のワイパー部切れ刃」には、仕上面粗さを向上させることができるという本願発明の効果を有する範囲で、目標加工面の送り方向の曲率に対して僅かに異なる曲率を有する曲線によって形成されたワイパー部切れ刃を含んでいる。したがって、曲率と同様に前記目標加工面に向かって凸をなす曲線の曲率半径を正とし、凹をなす曲線の曲率半径を負とすれば、ワイパー部切れ刃の曲率半径には、加工面の送り方向の曲率半径よりも僅かに小さい曲率半径を含んでいる。これは、後述する切削工具の発明中のワイパー部切れ刃および加工方法の発明中のワイパー部切れ刃についても同様である。尚、ワイパー部切れ刃を含む面は概ね切削方向に垂直であるが、しばしば少し傾きが生ずる。この傾きには、送り方向の回りの傾き(すくい角)と、切込み方向回りの傾き(傾斜角)がある。切削方向に垂直でない場合、その切れ刃の切削運動による掃引形状(曲面)を送り方向に測定した曲率が、上述したワイパー部切れ刃の曲率に対応するものであって、切れ刃の曲率そのものではなくなる。尚、曲率半径で大小比較を行うと正負が変わる時に矛盾が生じるが、本発明では曲率の大小比較を行うので矛盾が生じることは無い。
また、「目標加工面に合致する」には、仕上面粗さを向上させることができるという本願発明の効果を有する範囲で、ワイパー部切れ刃が掃引された面が、加工面に対して完全には合致していない場合を含んでいる。これは、後述する加工方法の発明中のワイパー部切れ刃についても同様である。
また、切削加工装置の発明は、さらに、加工データを生成する加工支援装置(2)を備え、前記加工支援装置は、前記各切削工具が有する曲率に基づき、各々の前記切削工具が切削可能な曲率範囲(1/Rs1、1/Rs2、1/Rs3)を設定し、該曲率範囲と製品図面データとに基づき、前記目標加工面を、各々が前記曲率範囲のいずれかに対応した複数の領域に分割する加工面分割部と、分割された前記領域に基づいて、前記目標加工面の各部位に対して、使用すべき前記切削工具を当てはめる工具設定部と、当てはめた前記切削工具と前記製品図面データとに基づき、前記切削工具の送り量(f)を設定する送り量設定部と、当てはめた前記切削工具と前記製品図面データとに基づき、前記被切削物に対する前記切削工具の姿勢を設定する姿勢設定部と、を備えている。
これにより、使用可能な複数の切削工具の中から、目標加工面TSの形状に基づき、使用すべき工具の選択を行うことができる。すなわち、ワイパー部切れ刃が掃引された面を目標加工面に略合致させることのできる加工データを形成することにより、高能率加工を実現できるとともに、仕上面粗さを向上させることが可能な切削加工を自動化することができる。
また、第1の加工方法の発明は、円柱状に形成されて底部に切削部が設けられる切削工具(7)を軸線周りに回転させて被切削物(6)を切削加工する加工方法であって、前記切削工具の前記軸線が前記被切削物における目標加工面と交差する姿勢で、前記目標加工面の接線において前記被切削物上の仕上面から未切削部へ向かう送り方向に所定の曲率(1/Rw)を有する曲面状の前記目標加工面(TS)を切削加工するための加工方法において前記切削部が、前記送り方向の先端が角状に形成され且つ前記送り方向後方に向かって延びる切れ刃として、前記目標加工面に向かって凸をなす曲線の曲率を正とし凹をなす曲線の曲率を負としたとき、前記先端の前記角状部分に設けられて正の第1の曲率(1/Rn)に形成された曲線状のノーズ部切れ刃(72)、及び該ノーズ部切れ刃に連続すると共に前記ノーズ部切れ刃よりも切れ刃長の長い切れ刃であって、前記送り方向後方に延びる全体が、前記第1の曲率よりも小さく且つ前記目標加工面の曲率(1/Rw)よりも大きいという条件を満たす正又は負の第2の曲率(1/Rt)に形成された曲線状のワイパー部切れ刃(73)を具備た切削工具(7)を用い、該切削工具および前記被切削物のうちの少なくともいずれかを動作させて、前記被切削物を切削するとともに、前記ワイパー部切れ刃の稜線の仕上げ面生成部分が前記目標加工面の微小部位に対し略平行となるように且つ前記ノーズ部切れ刃が切削に関与するように、前記被切削物に対する前記切削工具の姿勢を前記目標加工面の曲面に沿って前記送り方向に変化させながら、前記切削工具および前記被切削物のうちの少なくともいずれかを移動させることにより、前記切削工具を前記目標加工面の前記曲面に沿って前記送り方向に相対移動させる。
また、第2の加工方法の発明は、円柱状に形成されて底部に隣接する側面に切削部が設けられる切削工具(8、9)を軸線周りに回転させて被切削物(6)を切削加工する加工方法であって、前記切削工具の前記軸線が前記被切削物における目標加工面と交差しない姿勢で、前記目標加工面の接線において前記被切削物上の仕上面から未切削部へ向かう送り方向に所定の曲率(1/Rw)を有する曲面状の前記目標加工面(TS)を切削加工するための加工方法において前記切削部が、前記送り方向の先端が角状に形成され且つ前記送り方向後方に向かって延びる切れ刃として、前記目標加工面に向かって凸をなす曲線の曲率を正とし凹をなす曲線の曲率を負としたとき、前記先端の前記角状部分に設けられて正の第1の曲率(1/Rn)に形成された曲線状のノーズ部切れ刃(82、91a)、及び該ノーズ部切れ刃に連続すると共に前記ノーズ部切れ刃よりも切れ刃長の長い切れ刃であって、前記送り方向後方に延びる全体が、前記第1の曲率よりも小さく且つ前記目標加工面の曲率(1/Rw)よりも大きいという条件を満たす正又は負の第2の曲率(1/Rt)に形成された曲線状のワイパー部切れ刃(83、91b)を具備た切削工具(7)を用い、該切削工具および前記被切削物のうちの少なくともいずれかを動作させて、前記被切削物を切削するとともに、前記ワイパー部切れ刃の稜線の仕上げ面生成部分が前記目標加工面の微小部位に対し略平行となるように且つ前記ノーズ部切れ刃が切削に関与するように、前記被切削物に対する前記切削工具の姿勢を前記目標加工面の曲面に沿って前記送り方向に変化させながら、前記切削工具および前記被切削物のうちの少なくともいずれかを移動させることにより、前記切削工具を前記目標加工面の前記曲面に沿って前記送り方向に相対移動させる。
また、第3の加工方法の発明は、棒状に形成されて軸線方向の先端に切削部が設けられる切削工具(9A)を、回転軸(φ)を中心に回転する被切削物(6)に当接させて切削加工する加工方法であって、前記切削工具の前記軸線が前記被切削物における目標加工面と交差する姿勢で、前記目標加工面の接線において前記被切削物上の仕上面から未切削部へ向かう送り方向に所定の曲率(1/Rw)を有する曲面状の前記目標加工面(TS)を切削加工するための加工方法において前記切削部が、前記送り方向の先端が角状に形成され且つ前記送り方向後方に向かって延びる切れ刃として、前記目標加工面に向かって凸をなす曲線の曲率を正とし凹をなす曲線の曲率を負としたとき、前記先端の前記角状部分に設けられて正の第1の曲率(1/Rn)に形成された曲線状のノーズ部切れ刃(72)、及び該ノーズ部切れ刃に連続すると共に前記ノーズ部切れ刃よりも切れ刃長の長い切れ刃であって、前記送り方向後方に延びる全体が、前記第1の曲率よりも小さく且つ前記目標加工面の曲率(1/Rw)よりも大きいという条件を満たす正又は負の第2の曲率(1/Rt)に形成された曲線状のワイパー部切れ刃(73)を具備た切削工具(7)を用い、該切削工具および前記被切削物のうちの少なくともいずれかを動作させて、前記被切削物を切削するとともに、前記ワイパー部切れ刃の稜線の仕上げ面生成部分が前記目標加工面の微小部位に対し略平行となるように且つ前記ノーズ部切れ刃が切削に関与するように、前記被切削物に対する前記切削工具の姿勢を前記目標加工面の曲面に沿って前記送り方向に変化させながら、前記切削工具および前記被切削物のうちの少なくともいずれかを移動させることにより、前記切削工具を前記目標加工面の前記曲面に沿って前記送り方向に相対移動させる。
これにより、ノーズ部切れ刃を用いた切削によって、再生効果を抑制し、びびり振動を低減することができる。また、ワイパー部切れ刃を、目標加工面の送り方向の曲率に対し所定範囲内の曲率を有する曲線によって形成し、ワイパー部切れ刃が掃引する面が加工面に合致するように姿勢を変化させて、目標加工面の曲面に沿って送りを与えている。これにより、送り量を増大させて、高能率加工を実現できるとともに、仕上面粗さを向上させることが可能な加工方法にすることができる。
本発明の実施形態1による切削加工システムの全体を表したブロック図 図1に示したNC工作機械装置の外観斜視図 図2に示したエンドミルによる切削方法を表した模式図 図3のIV部拡大図 CAD/CAM装置によってCLデータを形成するための処理フローの一例を示したフローチャートを表した図 エンドミルによる切削後の仕上面を示した拡大図 ワイパー部切れ刃の曲率半径を算出する方法を示すための模式図 ワイパー部切れ刃のピックフィード方向の曲率半径を算出する方法を示すための模式図 図8に示されたエンドミルを送り方向に見た場合の模式図 リードのみの場合においてエンドミルの仕上げ面カスプを模式的に示す図 リード及びチルトの両方を含む場合においてエンドミルの仕上げ面カスプを模式的に示す図 実施形態1の変形例によるエンドミルの切削部を示した拡大図 実施形態2によるエンドミルの切削方法を表した模式図 切削工具における逃げ角を設定する方法を説明するための模式図 図14に示した切削工具を下方から見た図 図15に示したインサートの刃先を示した拡大図 その他の実施形態を示した図 図17の部分拡大図
<実施形態1の構成>
(切削加工システムの構成)
図1に基づき、本発明の実施形態1による切削加工システム1について説明する。切削加工システム1は、本発明の切削加工装置に該当する。図1に示したように、切削加工システム1は、CAD/CAM装置2、NCデータ作成装置3、NC制御装置4、NC工作機械装置5を含んでいる。CAD/CAM装置2は、加工支援装置に該当する。CAD/CAM装置2は、CAD装置とCAM装置とに分離されていてもよい。CAD/CAM装置2は、製品図面データに基づいて決定された加工手順に従って、エンドミル等の切削工具の移動方法を特定するデータであるCLデータを形成する。CLデータは、加工面上を移動する切削工具の加工点による移動軌跡と、移動軌跡上の点における切削工具の姿勢ベクトルとにより形成されている。CLデータは、加工データに該当する。CAD/CAM装置2は、後述する本発明による切削工具の自動選定とその動作の自動生成を行うものが望ましい。この場合、CAD/CAM装置2が本発明の工具選択部に該当する。NCデータ作成装置3は、CAD/CAM装置2からのCLデータに基づいて、NC工作機械装置5を多軸制御可能なNCデータを作成し、NC制御装置4へと供給する。以上のようにCAD/CAM装置2およびNCデータ作成装置3の支援によってNCデータを作成することが望ましいが、それらのいずれかまたは両方の支援なしでNCデータを作成してもよい。また制御軸数や加工形状を限定するなどによって、CAD/CAM装置2とNCデータ作成装置3が一つに集約されていたり、さらにそれがNC制御装置内に集約されていてもよい。この場合、CAD/CAM装置2及びNCデータ作成装置3、又はNCデータ作成装置3が本発明の工具選択部に該当することとなる。NC制御装置4は、NCデータ作成装置3によって形成されたNCデータに従い、図2に示したNC工作機械装置5を制御する。
(NC工作機械装置の構成)
以下、図2に基づいて、NC工作機械装置5について説明する。図2に示したように、図2における左右方向をNC工作機械装置5のX軸方向、上下方向をNC工作機械装置5のZ軸方向、X軸方向およびZ軸方向の双方に対して垂直な方向をNC工作機械装置5のY軸方向とする。NC工作機械装置5は、同時多軸制御が可能なマシニングセンタによって形成されている。NC工作機械装置5は、ベース50上に設けられたコラム51及びY軸送りテーブル52と、Y軸送りテーブル52上に設けられたX軸送りテーブル55とを備えている。Y軸送りテーブル52は、ベース50上に形成されたY軸レール50aと係合し、ベース50に対しY軸方向に移動可能に支持されている。ベース50にはボールねじ機構53Aが設けられており、ボールねじ機構53Aには、Y軸モータ54Aが取り付けられている。Y軸モータ54Aは、ピックフィード部に該当する。Y軸モータ54Aには、その回転位置を検出する図示しないY軸センサが内蔵されている。前述したNC制御装置4は、Y軸センサによる検出値に基づいてY軸モータ54Aの作動を制御し、Y軸送りテーブル52をY軸方向(本実施形態においてはピックフィード方向(送り方向と後述する目標加工面TSの法線方向の双方に対して直交する方向)に該当する)に移動させる。
Y軸送りテーブル52上には、X軸送りテーブル55が設けられている。X軸送りテーブル55は、Y軸送りテーブル52上に形成されたX軸レール52aと係合し、Y軸送りテーブル52に対しX軸方向に移動可能に支持されている。Y軸送りテーブル52にはボールねじ機構53Bが設けられており、ボールねじ機構53Bには、X軸モータ54Bが取り付けられている。X軸モータ54Bは、工具送り部に該当する。X軸モータ54Bには、その回転位置を検出する図示しないX軸センサが内蔵されている。NC制御装置4は、X軸センサによる検出値に基づいて、X軸モータ54Bの作動を制御して、X軸送りテーブル55をX軸方向(後述するように、本実施形態においては送り方向に該当する)に移動させる。尚、X軸方向を送り方向とする場合であっても、曲線状であるため、Z軸方向にも若干の動きが発生する。テーブル55上には、後述する被切削物6が固定されている。
コラム51に形成されたZ軸レール51bには、Y軸回り角度モータ54D及びX軸回り角度モータ54Fを介して主軸支持部56が、コラム51に対しZ軸方向に移動可能に取り付けられている。Y軸回り角度モータ54Dは、主軸支持部56をY軸を中心として回転させる。X軸回り角度モータ54Fは、主軸支持部56をX軸を中心として回転させる。Y軸回り角度モータ54D及びX軸回り角度モータ54Fが、本発明の姿勢変更部に該当する。尚、工具先端(一般には切れ刃円弧の中心点)の位置を変えずに送り方向の工具姿勢を変えるためには、X軸とZ軸も大きく移動することになり、ピックフィード方向の工具姿勢を変えるためには、Y軸とZ軸も大きく移動することになる。コラム51の内部にはボールねじ機構53Cが設けられており、ボールねじ機構53Cには、Z軸モータ54Cが取り付けられている。Z軸モータ54Cには、その回転位置を検出する図示しないZ軸センサが内蔵されている。NC制御装置4は、Z軸センサによる検出値に基づいてZ軸モータ54Cの作動を制御し、Y軸回り角度モータ54D及びX軸回り角度モータ54Fとともに主軸支持部56をZ軸方向に移動させる。
前述したY軸回り角度モータ54Dには、その回転位置を検出する図示しない角度センサが内蔵されている。NC制御装置4は、角度センサによる検出値に基づいてY軸回り角度モータ54Dの作動を制御し、主軸支持部56を、コラム51に対しY軸を中心として回転させる。Y軸回り角度モータ54Dは、送り方向の姿勢を変更制御し、X軸回り角度モータ54Fはピックフィード方向の姿勢を変更制御する。また、主軸支持部56を回転させる代わりに、被切削物6を回転させるようにしてもよい。
主軸支持部56の下端にはチャック装置57が設けられており、チャック装置57には、エンドミル7が取り付けられている。主軸支持部56の上端には主軸モータ54Eが取り付けられており、主軸モータ54Eは、チャック装置57とともにエンドミル7を回転させる。主軸モータ54Eには、主軸センサが内蔵されており、NC制御装置4は、主軸センサによる検出値に基づいて主軸モータ54Eの作動を制御する。エンドミル7は切削工具に該当する。
コラム51の側面には、工具交換ユニット58およびツールマガジン59が取り付けられている。ツールマガジン59は、待機中の切削工具を一つ以上収容する装置であって、被切削物6を切削加工するためのエンドミル7を含む、工具径、工具材種、刃先形状などの異なる複数の切削工具7A、7Bがストック可能に形成されている。工具交換ユニット58は、ツールマガジン59に収容された待機中の切削工具のうちの一つを、使用中の前記切削工具と取り換える装置であって、本発明の工具取換部に該当する。また、ツールマガジン59は、本発明の工具収容部に該当する。ツールマガジン59に収納されている切削工具7A、7Bには、エンドミル、正面フライスカッター、リーマといった多種類のものを含んでいる。これに加えて、ツールマガジン59には、同種の切削工具でありながら、被切削物6の各々の加工部位の曲面形状に対応して、後述するワイパー部切れ刃73の曲率が互いに異なるものを複数段階形成して収容している。被切削物6を加工する際に、エンドミル7による切削工程が終了すると、工具交換ユニット58によって、ツールマガジン59に収納された別の切削工具7A、7Bが、エンドミル7に代わってチャック装置57に付け換えられた後、次の切削工程が開始される。工具交換ユニット58の作動は、被切削物6の加工面の形状に基づいて作成されたNCデータにより、NC制御装置4が制御する。
(エンドミルの構成およびエンドミルを用いた加工方法)
以下、図3および図4に基づき、エンドミル7の構成およびエンドミル7を用いた加工方法について説明する。尚、図3における左右方向は、前述したNC工作機械装置5のX軸方向に該当し、紙面に垂直な方向はY軸方向、上下方向はZ軸方向に該当する。また、図3における下方を、エンドミル7の下方とし、エンドミル7の送り方向(図3において右方であって、白抜きの矢印にて示す)を前方として説明する。
エンドミル7は、高速度工具鋼、超硬合金、セラミックス等により略円柱形状に形成されており、図3に示したように、底部において、切削部71が設けられている。本実施形態において切削部71は、エンドミル7の円周上において複数個形成されている。しかしながら、エンドミル7は本実施形態に限定されるものではなく、単刃の切削工具であってもよい。本実施形態によるエンドミル7は、底刃加工によって、被切削物6上において送り方向に所定の曲率半径Rwを有した凹状の曲面によって形成された目標加工面TSを形成するための切削工具である。目標加工面TSは、切削加工システム1が切削加工の目的とする製品図面上の形状である。目標加工面TSは、曲面状の加工面に該当する。尚、本明細書において、目標加工面TSに向かって凸をなす曲線の曲率又は曲率半径を正で表し、凹をなす曲線の曲率又は曲率半径を負で表すこととする。
図4において拡大して示したように、各々の切削部71は、ノーズ部切れ刃72と、ノーズ部切れ刃72の後方に滑らかに連続したワイパー部切れ刃73とを有している。エンドミル7においては、ノーズ部切れ刃72およびワイパー部切れ刃73により被切削物6を切削するとともに、ワイパー部切れ刃73によって仕上面を形成している。ノーズ部切れ刃72は、目標加工面TSの送り方向の曲率1/Rwよりも十分に大きい正の曲率1/Rnを有した曲線状に形成されている。ノーズ部切れ刃72の曲率1/Rnは、再生効果を抑制し、びびり振動を低減することができるように、十分大きく設定されている。また、大きい曲率1/Rnは切削に関与する切れ刃長さを短くすることで切削力を低減し、静的な変形や強制振動を抑制する効果もある。ノーズ部切れ刃72の先端は、曲線を有さず鋭利に形成されていてもよい。
一方、ワイパー部切れ刃73は、ノーズ部切れ刃72の曲率1/Rnよりも十分に小さく、目標加工面TSの送り方向の曲率1/Rwより僅かに大きい曲率1/Rtを有する曲線状に形成されている。ワイパー部切れ刃73の曲率1/Rtは、目標加工面TSの送り方向の曲率1/Rwと略一致していてもよい。ワイパー部切れ刃73は、目標加工面TSに向かって凸をなす曲線の曲率を正とし凹をなす曲線の曲率を負としたとき、正の第1の曲率(1/Rn)を有する曲線状のノーズ部切れ刃72に連続すると共にノーズ部切れ刃72よりも切れ刃長の長い切れ刃であって送り方向において目標加工面TSの曲率(1/Rw)以上で且つ目標加工面TSの曲率との差が所定範囲内という条件を満たす第2の曲率(1/Rt)を有する曲線状のものが適用可能である。すなわち、1/Rt≧1/Rw且つその差が所定範囲内であって、その差が小さいほど好ましい。当該所定範囲とは、仕上面粗さを向上させることができるという本願発明の効果を有する範囲を言う。
尚、これまで説明した目標加工面TS、ノーズ部切れ刃72およびワイパー部切れ刃73は、図3において左右方向に曲面状を呈している。
図3に示したように、被切削物6上には、既に切削によって形成された凹状の仕上面61に連続するように、未切削部62が存在している。図3に示した状態において、切削部71は、これから未切削部62を切削加工していく過程にある。この時点において、エンドミル7のノーズ部切れ刃72は、ワイパー部切れ刃73に対して送り方向前方に位置している。
被切削物6に仕上面61を形成するために、エンドミル7は、前述したNC工作機械装置5の主軸モータ54Eによって、その中心軸φの回りに回転されている。主軸モータ54Eによってエンドミル7が回転されることにより、ノーズ部切れ刃72およびワイパー部切れ刃73は、被切削物6を切削することができる。また、X軸モータ54Bによって、被切削物6がX軸方向(図3における左方)に移動されるため、エンドミル7は回転しながら、被切削物6に対して相対移動する。エンドミル7は、目標加工面TSの曲面に沿って、前述した送り方向に移動する(フィード)。エンドミル7は、送り方向に進行する際、その回転(切削運動)によりワイパー部切れ刃73が掃引する面を目標加工面TSに略合致させるように、被切削物6に対するその姿勢を変化させる。すなわち、エンドミル7は、図3において右方に移動するにつれて、切削によって生成している目標加工面TS上の位置に対応して、下端部の切削部71が上端部に対して右方に揺動されていくことになる。図3において、ある時点のエンドミル7の位置および姿勢を破線にて示し、それから所定時間後のエンドミル7の位置および姿勢を実線にて示している。エンドミル7の揺動は、前述したY軸回り角度モータ54Dによって実行される。それとともに、エンドミル7は、切削している目標加工面TS上の位置に対応して、Z軸モータ54CによってZ軸方向にも移動する。
エンドミル7が被切削物6の端部まで送られると、被切削物6は、Y軸モータ54Aによって、Y軸方向に所定のピッチだけ移動される。これにより、エンドミル7は被切削物6に対して相対移動(ピックフィード)する。ピックフィードされたエンドミル7は、中心軸φの回りに回転しながら、目標加工面TSに沿って、上述した場合と反対方向(図3において左方)に移動する。この場合にも、エンドミル7は、ワイパー部切れ刃73の仕上げ面生成部分が目標加工面TSに略合致するように、その姿勢を変化させる。あるいは、工作機械の運動誤差特性の変化による仕上面61の粗さ劣化を避けるため、図3において左方に移動する場合には、被切削物6を加工しないようにしてもよい。以下、エンドミル7は、被切削物6上を往復動することにより仕上面61を形成していく。さらに、送り方向の曲率1/Rw(但し、実用上1/Rwは一定値に限らず、1/Rtを上回らない1/Rtに近い範囲内にあればよい。)を有する仕上面61の生成が終了すると、工具交換ユニット58によって、エンドミル7をツールマガジン59上の他の切削工具7A、7Bと取り換えた後、被切削物6の他の箇所の切削加工が行われる。
ツールマガジン59に、目標加工面TSの送り方向の曲率1/Rwと一致した曲率を有する切削工具が収容(保持)されていない場合がある。この場合、NC制御装置4は、CAD/CAM装置2によって形成されたCLデータに基づき、ツールマガジン59に収容された切削工具のなかで、目標加工面TSの曲率(1/Rw)に最も近い曲率(1/Rt)を有した切削工具を使用して、目標加工面TSを切削する。詳細には、使用可能な(すなわち待機中又は使用中の)複数の切削工具の中から、ワイパー部切れ刃の曲率が加工面の曲率(1/Rw)以上で且つ加工面の曲率との差が所定範囲内という第2の曲率(1/Rt)の条件を満たし、最も差が小さい切削工具を選択する。
図3において、被切削物6に対してエンドミル7に送りを与える場合、および被切削物6に対してエンドミル7の姿勢を変化させる場合、エンドミル7に代えて、被切削物6を移動させてもよいし、エンドミル7と被切削物6の双方を移動させてもよい。
さらに、図3に示した実施形態においては、エンドミル7をフィードさせる際、ワイパー部切れ刃73の稜線の仕上げ面生成部分(加工領域内の部分)が目標加工面TSの微小部位に対し略平行となるように移動させている。しかしながら、ワイパー部切れ刃73が、前回に切削した仕上面61に再び接触することを避けるために、ノーズ部切れ刃72を目標加工面TSに対して若干切込み、ワイパー部切れ刃73の後方を目標加工面TSからやや離れさせるようにしてもよい。また、逆にやや食込むようにして、ワイパー部切れ刃73が前回に切削した仕上げ面61に再び接触して押圧することでバニシング仕上げするようにしてもよい。
これまで説明したエンドミル7の作動制御は、前述したCAD/CAM装置2によって形成されたCLデータから変換されたNCデータに基づき、NC制御装置4が実行する。以下、上述した作動制御を実現するためのCLデータを、図5に示したCAD/CAM装置2によって形成するための処理フローの一例について説明する。最初に、ステップS101において、製品図面データと、ツールマガジン59が収容する切削工具7、7A、7Bがそれぞれ有する曲率に基づき、目標加工面TSを、各々が所定の曲率範囲を有する複数の領域に分割する(加工面分割工程)。詳細には、目標加工面TSの送り方向の曲率1/Rwを分析し、目標加工面TS上における曲率1/Rwの分布(1/R1≧1/Rw>1/R4とする)を求める。換言すれば、最大1/R1の工具を準備し、最小1/R4までの範囲を設定する。そして、NC工作機械装置5が保持する切削工具7、7A、7Bのワイパー部切れ刃73の曲率が、それぞれ1/R1、1/R2、1/R3(1/R1>1/R2>1/R3)であるとすると、切削工具7、7A、7Bが切削可能な曲率範囲1/Rs1、1/Rs2、1/Rs3を、各々1/R1≧1/Rs1>1/R2、1/R2≧1/Rs2>1/R3、1/R3≧1/Rs3>1/R4と設定する。上述したことから分かるように、各々の曲率範囲1/Rs1、1/Rs2、1/Rs3は、各切削工具7、7A、7Bのワイパー部切れ刃73の曲率1/R1、1/R2、1/R3以下であって、所定範囲内になるように設定される。次に、目標加工面TSを、それぞれいずれかの曲率範囲1/Rs1、1/Rs2、1/Rs3に対応した複数の領域に分割する。上述した演算の際に、目標加工面TSの送り方向の曲率1/Rwおよび切削工具7、7A、7Bのワイパー部切れ刃73の曲率1/R1、1/R2、1/R3に代えて、各々の曲率半径を使用してもよい。尚、実際の加工においては、工具−被削材干渉、後述のピックフィード方向曲率の制約等の他の制約で工具が使用できない場合、あるいは連続する曲面の中に曲率が小さく面積が小さい領域が存在し、曲率が小さな工具に交換して送り量を増大するより工具交換を行わずに送り量を減少してその領域を加工する方が要求粗さに対して加工時間を短縮できる場合には、曲率の大きい工具を選択する場合があり得る。
次に、ステップS102において、分割された領域に基づいて、目標加工面TSの各部位に対して、使用するべき切削工具7、7A、7Bのうちのいずれかを自動的に当てはめる(工具設定工程)。この時、ツールマガジン59に目標加工面TSの曲率1/Rwと一致した曲率を有する切削工具が保持されていない場合、保持されている切削工具7、7A、7Bのなかで、目標加工面TSの曲率1/Rwを下回らない範囲で最も近い曲率を有した切削工具を当てはめることができる。次に、ステップS103において、当てはめた切削工具7、7A、7Bに応じて、被切削物6上における送り方向およびピックフィード方向が適切か否かを確認する(送り方向確認工程)。ここで、ピックフィード方向も送り方向と同様に、曲率の制約を満足しなければならない。その曲率の制約条件として常に1/Re≧1/Rpである。ここで1/Reは、後述するように、ワイパー部切れ刃73が切削運動(工具回転運動)によって掃引された面のピックフィード方向の曲率であり、1/Rpは目標加工面TSのピックフィード方向の曲率である。ここでは、この制約条件1/Re≧1/Rpを確認し、もし満足していない場合には、より大きな曲率を有し、この制約条件を満足する工具の中で最も曲率の小さなものを新たに当てはめる。もし条件を満足する工具がなかった場合には、ワイパー部を持たない通常の工具を選択しても良いし、アラーム等を表示して処理フローを中断しても良い。
次に、加工面分割工程から送り方向確認工程までの別の処理フローについて説明する。目標加工面TSの送り方向の曲率1/Rwとピックフィード方向の曲率1/Rpを分析し、それらの曲率分布を求める。ここで、ワイパー部切れ刃73の送り方向の曲率1/Rtと切れ刃73が掃引された面のピックフィード方向の曲率1/Reは、制約条件として常に1/Rt≧1/Rw(送り方向)、1/Re≧1/Rp(ピックフィード方向)を満たし、かつそれらの差1/Rt−1/Rw、1/Re−1/Rpは小さいことが望ましい。具体例を示すと、式(8)から、差の積(1/Rt−1/Rw)(1/Re−1/Rp)が最小になるとき、与えられたRthに対して加工時間を最短(加工能率を最大)にすることができる。そこで、上記曲率分布に基づき、NC工作機械装置5が保持する切削工具7、7A、7Bについて、各工具が上記2つの制約条件を満たす加工面領域を求め、複数の工具が制約条件を満たす領域については、(1/Rt−1/Rw)(1/Re−1/Rp)(曲率が変化する場合には、その領域全体にわたる√((1/Rt−1/Rw)(1/Re−1/Rp))の面積分値)が最小になる工具を当てはめる。これにより、目標加工面TSが分割される(加工面分割工程)とともに、各加工面領域に対して適切な工具が当てはめられる(工具設定工程)。この際、隣接する領域を曲率が大きい方の工具を使用して工具交換せずに加工する方が与えられたRthに対して加工時間を短縮できる場合には、それらの領域を合体しても良い。また、もし条件を満足する工具がなかった場合には、ワイパー部を持たない通常の工具を選択しても良いし、アラーム等を表示して処理フローを中断しても良い。また、設定された送り方向とピックフィード方向を変更し、より適切な方向がないか確認(探索)する処理を実行しても良い(送り方向確認工程)。その結果、より曲率の小さな工具を当てはめることができる場合や、同じ工具でも(1/Rt−1/Rw)(1/Re−1/Rp)の値(曲率が変化する場合には上記面積分値)を小さくできる場合には、その情報を表示して処理継続の是非を入力するように求めたり、自動的にその送り方向とピックフィード方向に変更して、再度加工面分割工程から処理し直しても良い。
次に、ステップS104において、当てはめた切削工具7、7A、7Bと製品図面データに基づき、仕上面61の要求粗さを満足するように、切削工具7、7A、7Bの一刃当りの送り量fおよびピックフィード量Pfを設定する(送り量設定工程)。最後に、ステップS105において、当てはめた切削工具7、7A、7Bと製品図面データに基づき、ワイパー部切れ刃73が掃引する面の仕上げ面生成部分を目標加工面TSに合致させるように、被切削物6の各加工部位に対する切削工具7、7A、7Bの姿勢を設定する(姿勢設定工程)ことにより、CLデータが完成する。
(ワイパー部切れ刃の曲率半径の設定方法)
以下、図6および図7に基づき、ワイパー部切れ刃73の曲率半径Rtの設定方法について説明する。図6に示したように、エンドミル7による仕上面61上には、目標加工面TSに対してワイパー部切れ刃73の1刃ごとにカスプハイトRth(以下、理論粗さRthと言う)が残留し、仕上面61の表面粗さが粗くなる。一般的に理論粗さRthは、直線送りを行う場合にワイパー部切れ刃73の曲率半径をRtとすると、下記の近似式にて与えられる。ただし、下式においてfは、エンドミル7の1刃当たりの送り量とする。
Figure 0006835304
したがって、上記(1)式から、図7において、下記(2)式及び(3)式が成立する。
Figure 0006835304
Figure 0006835304
これらから、下式によって、理論粗さRthを求めることができる。
Figure 0006835304
(4)式は、仕上面61上の粗さを向上させるためには、仕上面61を形成するワイパー部切れ刃73の曲率半径Rtを、目標加工面TSの送り方向の曲率半径Rwと一致した値または非常に近似した値にすればよいことを示している。また、仕上面61上の粗さを同程度に維持する場合には、送り量fを大きくして高能率加工を実現できることを定量的に意味している。
例えば、ワイパー部切れ刃73を持たない従来の工具であってノーズ部切れ刃72の曲率半径が1mmのエンドミル7を用い、ノーズ切れ刃72によって仕上面61を形成するような工具姿勢によって、送り方向の曲率半径Rw=50mmの目標加工面TSを、送り量f=0.2mmで加工したとすると、(4)式より理論粗さRth=4.9μmとなる。これに対し、ワイパー部切れ刃73を持ち、その曲率半径Rt=40mmのエンドミル7を用い、ワイパー部切れ刃73によって仕上面61を形成するような工具姿勢によって、同じ条件で加工したとすると、理論粗さRth=0.025μmとなって、理論粗さRthが1/200近くまで低下する。一方、仕上面61上の粗さを同程度に維持する場合には、送り量f=2.8mmとなり、14倍の高能率加工が可能となる。
ここで、加工時間を最短にする条件について説明する。加工能率を表すMRR(Material Removal Rate)は、(5)式に示すように、送り量f、ピックフィード量Pfと比例関係にある。
Figure 0006835304
一方、(4)式より以下の(6)式を求めることができ、さらにピックフィード量と理論粗さの関係も(4)式に類似した式から求めることができるため、以下の(7)式を導くことができる。
Figure 0006835304
Figure 0006835304
上記3つの式から、MRRは以下の(8)式で表すことができる。
Figure 0006835304
(8)式は、各曲率の差の積(1/Rt−1/Rw)(1/Re−1/Rp)をどのくらい小さくすると加工能率がどのくらい高くなるかを示している。従って、目標とするRthに対して加工能率を最大、すなわち加工時間を最短にするためには、各曲率の差の積を最小にする必要があることがわかる。また(8)式は、加工時間が√((1/Rt−1/Rw)(1/Re−1/Rp))に比例することを示しており、曲率が変化する曲面を一定の理論粗さに仕上げるために要する時間は、その面上で√((1/Rt−1/Rw)(1/Re−1/Rp))を面積分した値に比例することがわかる。
以下、図8および図9に基づき、目標加工面TSがピックフィード方向に所定の曲率半径Rpを有する曲面状に形成されている場合について説明する。図8において、エンドミル7の送り方向は右方であって、白抜きの矢印にて示されている。また、図8において、ピックフィード方向は紙面に垂直な方向である。図9において、左右方向はピックフィード方向であり、送り方向は紙面に垂直な方向である。
以下、目標加工面TSのピックフィード方向の曲面に対するワイパー部切れ刃73が掃引された面の曲率1/Reの設定方法について説明する。上述した目標加工面TSの送り方向の曲率1/Rwに対するワイパー部切れ刃73の曲率1/Rtと同様に、目標加工面TSのピックフィード方向の曲率1/Rpに対するワイパー部切れ刃73が掃引された面の曲率1/Reも下記のように設定される。すなわち、目標加工面TSに向かって凸をなす曲線の曲率を正とし凹をなす曲線の曲率を負としたとき、目標加工面TSのピックフィード方向の曲率1/Rp以上であって、所定範囲内の曲率1/Reを有するように設定される。当該所定範囲とは、いずれも仕上面粗さを向上させることができるという本願発明の効果を有する範囲を言う。
また、仕上面61を形成する際、ワイパー部切れ刃73が掃引された面を目標加工面TSに略合致させるように、被切削物6に対するエンドミル7の姿勢をピックフィード方向に変化させる。
以下、上述したワイパー部切れ刃73が掃引された面のピックフィード方向の曲率半径Reの算出方法について説明する。図8に示したように、仕上面61を形成するワイパー部切れ刃73の中心点をCとする。近似的に、ノーズ部切れ刃72とワイパー切れ刃73との接続点をCとしてもよい。点Cを回転掃引して形成される円をQとした場合、目標加工面TSの送り方向接線L方向に円Qを見た時の楕円Qeの短軸半径は、Ra(cosη)で表される。但し、Raは点Cの回転半径、ηはエンドミル7の回転軸φと接線Lとが成す角度を表す。したがって、点Cにおける楕円Qeの曲率半径Reは、Re=Ra/(cosη)で表される。よって、ワイパー部切れ刃73が掃引された面の曲率半径Reを、目標加工面TSのピックフィード方向の曲率半径Rpに略合致するように、Raおよびηが設定された工具を選択する。ミリングの場合、このようにピックフィード方向についても、制約条件を満たして曲率が近いものを選ぶことが望ましい。
なお上記では、接線Lと送り方向とが一致し、接線Lとピックフィード方向とが直交する単純な例を説明した。換言すれば、エンドミルの回転軸φが送り方向だけに倒れる例(リードのみの例)を説明した。しかし、実用的にはピックフィード方向にも倒れる場合(チルト)がある。この場合、図8および図9において、点Cで加工面TSに垂線Hを引き、その垂線Hの回りに工具7が角度ζだけ回転すると定義することができる。これは、逆にHの周りに送り方向とピックフィード方向を、角度−ζだけ回転することと同義である。後者の見方をすれば、図8および図9から明らかなように、ワイパー部の曲率半径RtおよびReについては変わらないため、目標加工面に対する工具の選択方法に変化はなく、前提となる送り方向とピックフィード方向が角度−ζだけ回転することになる。尚、S103で修正して最初に戻るケースを考慮した場合、その「修正される」方向も含んでも良い。ここで、図10に、リードのみの場合にエンドミルによって生成される仕上げ面カスプを模式的にし、図11に、リード及びチルトの両方を含む場合にエンドミルによって生成される仕上げ面カスプを模式的に示す。図内の線はカスプの尾根を示している。また、ζ=0の時(チルトしない時)と同じ理論粗さの仕上げ面を生成するためには、図11に示すように、送り量は1/cos(−ζ)倍に増大するが、ピックフィード量はcos(−ζ)倍に減少するため、加工能率にも変化はない。
尚、実施形態1においては、送り量fを極めて大きくとることができるため、エンドミル7の逃げ面と、加工したばかりの面である仕上面61と未切削部62との間に存在するショルダー部との干渉を避けるために、逃げ角を既存の切削工具よりも大きくする必要がある。逃げ角の設定方法は、後述する実施形態2において詳細に説明しているため、本実施形態においては説明を省略する。
(実施形態1の変形例によるエンドミルの構成)
エンドミル7の切削部71の変形例として、図12に示したように、バニシング部74を有する構成としてもよい。バニシング部74は、ワイパー部切れ刃73に対して、ノーズ部切れ刃72とは反対位置であるワイパー部切れ刃73の後方部に対して連続するように設けられている。バニシング部74は、ワイパー部切れ刃73と同一の曲率半径を有した曲線または直線により形成されている。バニシング部74は、ワイパー部切れ刃73の後端部を延長して形成してもよい。バニシング部74は、主にワイパー部切れ刃73によって形成された仕上面61を押圧することにより、仕上面61をバニシングして押しならすことができる。
<実施形態1の作用効果>
本実施形態の加工システム1は、被切削物6において、送り方向に所定の曲率(1/Rw)を有する曲面状の目標加工面(TS)を切削加工するための切削加工装置であって、目標加工面に向かって凸をなす曲線の曲率を正とし凹をなす曲線の曲率を負としたとき、正の第1の曲率(1/Rn)を有する曲線状のノーズ部切れ刃72、及びノーズ部切れ刃72に連続すると共にノーズ部切れ刃72よりも切れ刃長の長い切れ刃であって送り方向において目標加工面の曲率(1/Rw)以上で且つ目標加工面の曲率との差が所定範囲内という条件を満たす第2の曲率(1/Rt)を有する曲線状のワイパー部切れ刃73を具備した切削工具7と、切削工具7により加工する際、ワイパー部切れ刃73が掃引されて形成される仕上げ面生成部分が目標加工面に合致するように、被切削物に対する切削工具73の姿勢を前記送り方向に変化させる姿勢変更部(54D)とを備えている。
本実施形態によれば、きわめて小さい正の曲率半径Rnを有したノーズ部切れ刃72を用いた切削によって、再生効果を抑制し、びびり振動を低減することができる。また、ワイパー部切れ刃73を、送り方向に凹状の目標加工面TSの送り方向の曲率半径Rwより僅かに小さい曲率半径Rtを有する曲線によって形成し、ワイパー部切れ刃73を切削方向に掃引した面が目標加工面TSに略合致するように姿勢を変化させて、目標加工面TSの曲面に沿って送りを与えている。これにより、送り量fを増大させて高能率加工を実現できるとともに、仕上面粗さを向上させることが可能になる。
また、待機中の切削工具7等を一つ以上収容するツールマガジン59と、ツールマガジン59に収容された待機中の切削工具のうちの一つを、使用中の切削工具と取り換える工具交換ユニット58と、を備えるものであって、使用可能な(すなわち待機中又は使用中の)複数の切削工具の中から、目標加工面TSの形状に基づき、使用すべき工具の選択を行うCAD/CAM装置2を備えている。すなわち、CAD/CAM装置2により、ワイパー部切れ刃73が掃引された面を目標加工面TSに略合致させることのできるCLデータを形成していることにより、高能率加工を実現できるとともに、仕上面粗さを向上させることが可能な切削加工を自動化することができる。
特に、CAD/CAM装置2は、使用可能な(すなわち待機中又は使用中の)複数の切削工具の中から、ワイパー部切れ刃73の曲率が目標加工面TSの曲率(1/Rw)以上で且つ目標加工面の曲率との差が所定範囲内という第2の曲率(1/Rt)の条件を満たす工具を選択する。
また、切削部71が、仕上面61に対し、送り方向に押圧するバニシング部74を有するようにすれば、ワイパー部切れ刃73により粗さが向上された仕上面61を、さらに滑らかにすることができる。
また、ワイパー部切れ刃73が掃引された面を、送り方向のみでなく、被切削物6のピックフィード方向の曲面に対しても略合致させていることにより、ピックフィード量を増大させてよりいっそう高能率加工を実現できるとともに、被切削物6上の仕上面粗さをよりいっそう向上させることができる。
<実施形態2の構成>
以下、図13に基づいて、実施形態2によるエンドミル8について説明する。エンドミル8は、切削工具に該当する。エンドミル8は略円柱形状に形成されており、円周上に複数の切削部81が形成されている。各々の切削部81はエンドミル8の主に側面に形成され、エンドミル8は、側刃加工によって被切削物6に凸状の目標加工面TSを形成するためのものである。
各々の切削部81は、実施形態1によるエンドミル7と同様に、ノーズ部切れ刃82と、ノーズ部切れ刃82の後方に滑らかに連続したワイパー部切れ刃83とを有している。ノーズ部切れ刃82は、小さい正の曲率半径Rnを有している。ノーズ部切れ刃82の先端は、曲線を有さず鋭利に形成されていてもよい。
一方、ワイパー部切れ刃83は、目標加工面TSの曲率半径Rwより僅かに小さい曲率半径Rtを有する曲線によって形成されている。尚、曲率半径Rtは、絶対値はRwよりも大きいが、ワイパー部切れ刃83の曲線がTSに向かって凹であるため負の値となり、同様に負の値であるRwよりも小さいことになる。ワイパー部切れ刃83の曲率半径Rtは、目標加工面TSの送り方向の曲率半径Rwと略一致していてもよい。目標加工面TS、ノーズ部切れ刃82およびワイパー部切れ刃83は、図13において左右方向に曲線状を呈している。
実施形態1と同様に、被切削物6を切削加工する際、エンドミル8は回転軸φを中心に回転しながら、目標加工面TSの曲面に沿って白抜きの矢印にて示した送り方向にフィードされる。エンドミル8は、送り方向に進行する際、ワイパー部切れ刃83を回転掃引した曲面が目標加工面TSに合致する(接する)ようにその姿勢を変化させる。本実施形態によるエンドミル8のその他の構成については、実施形態1によるエンドミル7と同様であるため、これ以上の説明は省略する。
NC制御装置4は、回転運動する切削工具を送り方向に移動させて仕上面63を生成し、これとピックフィード方向の移動を繰り返してピックフィード方向にも仕上面63を形成する。この場合には、生成したばかりの仕上げ面63とピックフィード方向に残存する未切削部62との間に存在する既加工面が再度切削される。また、未切削部62の厚さ(切込み量)が大きくなりすぎる場合には複数回に分け、荒加工、中仕上加工、仕上げ加工のように少しずつ被切削物の表層を削り取る加工が行われる。この場合には、既加工面である未切削部62が再度切削される。これらのように既加工面を再び加工する場合、既加工面を、切削工具により再度切削する際の切削速度が、前回に未切削部62を形成した際の切削速度に対して異なるように主軸モータ54Eを制御してもよい。こうすることにより、前回の切削時に既加工面62に残された振動痕が切り取り厚さ変動として再生する周波数を狂わせ、びびり振動の成長を抑制することができる。
(エンドミル8の逃げ角の設定方法)
前述したように、本実施形態によれば、送り量fを極めて大きくすることができるため、エンドミル8の逃げ面と、生成したばかりの仕上面63と未切削部62との間に存在するショルダー部(ノーズ部切れ刃82によって加工された部分)との干渉を避けるために、逃げ角を既存の切削工具よりも大きくする必要がある。特に、エンドミル8が多刃、小径である場合に、その傾向がいっそう顕著となる。
以下、図14乃至図16に基づき、切削工具9におけるノーズ部切れ刃91aに続く切れ刃であってワイパー部切れ刃91bとは反対側に位置する切れ刃91cの逃げ角の設定方法について説明する。図14に示したように、先端にインサート91が取り付けられた切削工具9は、被切削物6上に目標加工面TSを形成するために、軸中心に回転されながら目標加工面TSに沿って送り方向(図14における白抜きの矢印方向)に移動している。インサート91には、曲率半径Rtを有するワイパー部切れ刃91bが形成されている。凸状の目標加工面TSは、送り方向に曲率半径Rwを有している。インサート91の刃先91dの進行角度θ(図15示)は、単位時間当たりの切削工具9の送り速度をF、刃先の周速をVとすると、下式で表すことができる。
Figure 0006835304
但し、F=N×f×n、V=π×D×nである。ここで、Nはエンドミル工具の刃数、nは工具回転速度、Dはインサート91において、逃げ角γが問題となりやすい刃先位置(切削に関与する切れ刃の中で、径方向に最も内側の位置)での直径を示している。また、fは前述した場合と同様に、1刃当たりの送り量を示している。
図16に示したように、インサート91の逃げ面91eと被切削物6との干渉を避けるためには、インサート91の逃げ角γ(周速Vに対する角度)は、刃先91dの進行角度θよりも大きくなければならず、下式を満たす必要がある。
Figure 0006835304
上記(10)式を用いて、一例として、実際に逃げ角γを算出してみる。インサート91の逃げ角が問題となる刃先位置での直径D=12mm、刃数N=4、ワイパー部切れ刃91bの曲率半径Rt=50mm、目標加工面TSの送り方向の曲率半径Rw=40mm、形成された仕上面63の理論粗さの目標値Rtht=5μmとする。仕上面63上の理論粗さの目標値Rthtは、上述した(4)式より求めることができる。したがって、理論粗さの目標値Rthtを満足するためには、1刃当たりの送り量fは、2.83mm未満でなければならない。このことから、上記(10)式において、f=2.83mmとすると、インサート91の逃げ角γは、(10)式から、γ>16.5°と算出され、既存の逃げ角よりもかなり大きな値となる。
<実施形態2の作用効果>
本実施形態によれば、ワイパー部切れ刃83を、凸状の目標加工面TSの送り方向の曲率半径Rwより僅かに小さい(絶対値は大きい)曲率半径Rtを有する曲線によって形成し、ワイパー部切れ刃83を回転掃引して形成される仕上げ面生成部分が目標加工面TSに略合致する(あるいは接する)ように姿勢を変化させて、目標加工面TSの曲面に沿って送りが与えられている。これにより、送り量fを増大させて高能率加工を実現できるとともに、仕上面粗さを向上させることが可能になる。
また、通常、切削工具の逃げ面と仕上面との間の逃げ角は、被切削物の硬さや弾性率、切削工具の刃先の強度に応じて設定されている。しかしながら、本実施形態においては、切削工具8において形成された逃げ角γは、切削工具8の送り速度F等に基づいて設定されている。これにより、送り量fが増大することに対応して逃げ角γを大きくすることができるため、本実施形態による切削加工システム1を用いて、送り量fを増大させて切削加工を行っても、インサート91の逃げ面91eが仕上面63と未切削部62との間に存在するショルダー部に干渉することを防止することができる。
<他の実施形態>
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。
本発明による切削工具は、エンドミルに限られるものではなく、フライスカッター、旋削、平削り、形削り用のバイト等にも適用可能である。また、本発明による切削加工装置は、マシニングセンタ以外に、ターニングセンタ、NCフライス盤、NC旋盤等にも適用することは可能である。
図17および図18において、本発明を旋削に適用した場合を示す。図において、被切削物6は回転軸φを中心に回転されている。切削工具9Aは、先端にノーズ部切れ刃91fおよびそれに連続したワイパー部切れ刃91gを有している。切削工具9Aは、被切削物6を切削しながら、白抜きの矢印にて示したように送り方向に相対移動する。これにより、被切削物6上に送り方向に曲面である仕上面64が形成される。本実施形態において、ピックフィードが存在しない点が実施形態1または実施形態2の場合と異なるが、その他の構成については同様であるため説明は省略する。
NC制御装置4は、既加工面である未切削部62を、切削工具により再度切削する際の切削速度が、前回に未切削部62を形成した際の切削速度に対して異なるように主軸モータ54Eを制御してもよい。こうすることにより、前回の切削時に未切削部62に残された振動痕が切り取り厚さ変動として再生する周波数を狂わせ、びびり振動の成長を抑制することができる。
切削工具において、ノーズ部切れ刃を挟むように、一対のワイパー部切れ刃を設けてもよい。また、一つの切れ刃の延長上に、略多角形状に、複数組のノーズ部切れ刃とワイパー部切れ刃を形成しても良く、それらの曲率半径は異なっていてもよい。
図面中、1は切削加工システム(切削加工装置)、2はCAD/CAM装置(加工支援装置)、4はNC制御装置、6は被切削物、7,8はエンドミル(切削工具)、7A,7B,9,9Aは切削工具、54AはY軸モータ(ピックフィード部)、54BはX軸モータ(工具送り部)、54DはY軸回り角度モータ(姿勢変更部)、54Eは主軸モータ、54FはX軸回り角度モータ(姿勢変更部)、58は工具交換ユニット(工具取換部)、59はツールマガジン(工具収容部)、61,63,64は仕上面、62は未切削部(既加工面)、72,82,91a,91fはノーズ部切れ刃、73,83,91b,91gはワイパー部切れ刃、74はバニシング部、Fは送り速度、Re,Rtはワイパー部切れ刃を切削運動によって掃引した面の曲率半径、Rnはノーズ部切れ刃の曲率半径、Rpは目標加工面のピックフィード方向の曲率半径、Rwは目標加工面の送り方向の曲率半径、TSは目標加工面、γは逃げ角を示している。

Claims (16)

  1. 円柱状に形成されて底部に切削部が設けられる切削工具(7)を軸線周りに回転させて被切削物(6)を切削加工する切削加工装置であって、前記切削工具の前記軸線が前記被切削物における目標加工面と交差する姿勢で、前記目標加工面の接線において前記被切削物上の仕上面から未切削部へ向かう送り方向に所定の曲率(1/Rw)を有する曲面状の前記目標加工面(TS)を切削加工するための切削加工装置(1)において
    前記切削部は、前記送り方向の先端が角状に形成され且つ前記送り方向後方に向かって延びる切れ刃として、前記目標加工面に向かって凸をなす曲線の曲率を正とし凹をなす曲線の曲率を負としたとき、前記先端の前記角状部分に設けられて正の第1の曲率(1/Rn)に形成された曲線状のノーズ部切れ刃(72)、及び該ノーズ部切れ刃に連続すると共に前記ノーズ部切れ刃よりも切れ刃長の長い切れ刃であって、前記送り方向後方に延びる全体が、前記第1の曲率よりも小さく且つ前記目標加工面の曲率(1/Rw)よりも大きいという条件を満たす正又は負の第2の曲率(1/Rt)に形成された曲線状のワイパー部切れ刃(73)を具備し、
    前記切削加工装置は、
    前記切削工具により加工する際、前記ワイパー部切れ刃の稜線の仕上げ面生成部分が前記目標加工面の微小部位に対し略平行となるように且つ前記ノーズ部切れ刃が切削に関与するように、前記被切削物に対する前記切削工具の姿勢を前記目標加工面の曲面に沿って前記送り方向に変化させる姿勢変更部(54D,54F)
    を備えた切削加工装置。
  2. 円柱状に形成されて底部に隣接する側面に切削部が設けられる切削工具(8、9)を軸線周りに回転させて被切削物(6)を切削加工する切削加工装置であって、前記切削工具の前記軸線が前記被切削物における目標加工面と交差しない姿勢で、前記目標加工面の接線において前記被切削物上の仕上面から未切削部へ向かう送り方向に所定の曲率(1/Rw)を有する曲面状の前記目標加工面(TS)を切削加工するための切削加工装置(1)において
    前記切削部は、前記送り方向の先端が角状に形成され且つ前記送り方向後方に向かって延びる切れ刃として、前記目標加工面に向かって凸をなす曲線の曲率を正とし凹をなす曲線の曲率を負としたとき、前記先端の前記角状部分に設けられて正の第1の曲率(1/Rn)に形成された曲線状のノーズ部切れ刃(82、91a)、及び該ノーズ部切れ刃に連続すると共に前記ノーズ部切れ刃よりも切れ刃長の長い切れ刃であって、前記送り方向後方に延びる全体が、前記第1の曲率よりも小さく且つ前記目標加工面の曲率(1/Rw)よりも大きいという条件を満たす正又は負の第2の曲率(1/Rt)に形成された曲線状のワイパー部切れ刃(83、91b)を具備し、
    前記切削工具により加工する際、前記ワイパー部切れ刃の稜線の仕上げ面生成部分が前記目標加工面の微小部位に対し略平行となるように且つ前記ノーズ部切れ刃が切削に関与するように、前記被切削物に対する前記切削工具の姿勢を前記目標加工面の曲面に沿って前記送り方向に変化させる姿勢変更部(54D,54F)
    を備えた切削加工装置。
  3. 棒状に形成されて軸線方向の先端に切削部が設けられる切削工具(9A)を、回転軸(φ)を中心に回転する被切削物(6)に当接させて切削加工する切削加工装置であって、前記切削工具の前記軸線が前記被切削物における目標加工面と交差する姿勢で、前記目標加工面の接線において前記被切削物上の仕上面から未切削部へ向かう送り方向に所定の曲率(1/Rw)を有する曲面状の前記目標加工面(TS)を切削加工するための切削加工装置(1)において
    前記切削部は、前記送り方向の先端が角状に形成され且つ前記送り方向後方に向かって延びる切れ刃として、前記目標加工面に向かって凸をなす曲線の曲率を正とし凹をなす曲線の曲率を負としたとき、前記先端の前記角状部分に設けられて正の第1の曲率(1/Rn)に形成された曲線状のノーズ部切れ刃(91f)、及び該ノーズ部切れ刃に連続すると共に前記ノーズ部切れ刃よりも切れ刃長の長い切れ刃であって、前記送り方向後方に延びる全体が、前記第1の曲率よりも小さく且つ前記目標加工面の曲率(1/Rw)よりも大きいという条件を満たす正又は負の第2の曲率(1/Rt)に形成された曲線状のワイパー部切れ刃(91g)を具備し、
    前記切削加工装置は、
    前記切削工具により加工する際、前記ワイパー部切れ刃の稜線の仕上げ面生成部分が前記目標加工面の微小部位に対し略平行となるように且つ前記ノーズ部切れ刃が切削に関与するように、前記被切削物に対する前記切削工具の姿勢を前記目標加工面の曲面に沿って前記送り方向に変化させる姿勢変更部(54D,54F)
    を備えた切削加工装置。
  4. 前記目標加工面の曲率半径をRw、前記第2の曲率をRt、前記切削工具の送り量をfとしたとき、以下の数式で表される前記ワイパー部切れ刃の理論仕上面粗さRthが所定の許容値以下である、請求項1乃至3のうちのいずれか一項に記載の切削加工装置。
    Rth≒f /8・(1/Rt−1/Rw)
  5. 待機中の切削工具(7、7A、7B、8、9、9A)を一つ以上収容する工具収容部(59)と、
    前記工具収容部に収容された待機中の前記切削工具のうちの一つを、使用中の前記切削工具と取り換える工具取換部(58)と、
    を備えるものであって、
    使用可能な複数の前記切削工具の中から、前記目標加工面の形状に基づき、使用すべき工具の選択を行う工具選択部、
    をさらに備えた請求項1乃至4のうちのいずれか一項に記載の切削加工装置。
  6. 前記工具選択部は、使用可能な複数の前記切削工具の中から、前記ワイパー部切れ刃の曲率が前記加工面の曲率(1/Rw)以上で且つ前記目標加工面の曲率との差が所定範囲内という第2の曲率(1/Rt)の条件を満たす工具を選択する請求項に記載の切削加工装置。
  7. 前記切削工具により、既加工面である未切削部(62)を再度切削する際の切削速度が、前記既加工面を形成した際の切削速度に対して異なるように制御される請求項1乃至のうちのいずれか一項に記載の切削加工装置。
  8. 前記切削工具により加工する際に、前記送り方向に対して直交するピックフィード方向に移動するように、前記切削工具を前記被切削物に対して相対移動させるピックフィード部(54A)をさらに備え、
    前記目標加工面は、前記ピックフィード方向に所定の曲率(1/Rp)を有する曲面状をなしており、
    前記ワイパー部切れ刃が掃引されてできる面は、前記目標加工面に向かって凸をなす曲線の曲率を正とし凹をなす曲線の曲率を負としたとき、前記目標加工面の前記ピックフィード方向の曲率以上で且つピックフィード方向に仕上面粗さを向上可能な所定範囲内の曲率(1/Re)を有しており、
    前記姿勢変更部(54F)は、
    前記切削工具により加工する際に、前記ワイパー部切れ刃が掃引された面の仕上げ面生成部分が前記目標加工面に合致するように、前記被切削物に対する前記切削工具の姿勢を前記ピックフィード方向に変化させる請求項1乃至のうちのいずれか一項に記載の切削加工装置。
  9. さらに、加工データを生成する加工支援装置を備え、
    前記加工支援装置は、
    前記各切削工具が有する曲率に基づき、各々の前記切削工具が切削可能な曲率範囲(1/ Rs1、1/Rs2、1/Rs3)を設定し、該曲率範囲と製品図面データとに基づき、前記目標加工面を、各々が前記曲率範囲のいずれかに対応した複数の領域に分割する加工面分割部と、
    分割された前記領域に基づいて、前記目標加工面の各部位に対して、使用すべき前記切削工具を当てはめる工具設定部と、
    当てはめた前記切削工具と前記製品図面データとに基づき、前記切削工具の送り量(f) を設定する送り量設定部と、
    当てはめた前記切削工具と前記製品図面データとに基づき、前記被切削物に対する前記切削工具の姿勢を設定する姿勢設定部と、
    を備えている請求項に記載の切削加工装置。
  10. 円柱状に形成されて底部に切削部が設けられる切削工具(7)を軸線周りに回転させて被切削物(6)を切削加工する加工方法であって、前記切削工具の前記軸線が前記被切削物における目標加工面と交差する姿勢で、前記目標加工面の接線において前記被切削物上の仕上面から未切削部へ向かう送り方向に所定の曲率(1/Rw)を有する曲面状の前記目標加工面(TS)を切削加工するための加工方法において
    前記切削部が、前記送り方向の先端が角状に形成され且つ前記送り方向後方に向かって延びる切れ刃として、前記目標加工面に向かって凸をなす曲線の曲率を正とし凹をなす曲線の曲率を負としたとき、前記先端の前記角状部分に設けられて正の第1の曲率(1/Rn)に形成された曲線状のノーズ部切れ刃(72)、及び該ノーズ部切れ刃に連続すると共に前記ノーズ部切れ刃よりも切れ刃長の長い切れ刃であって、前記送り方向後方に延びる全体が、前記第1の曲率よりも小さく且つ前記目標加工面の曲率(1/Rw)よりも大きいという条件を満たす正又は負の第2の曲率(1/Rt)に形成された曲線状のワイパー部切れ刃(73)を具備た切削工具(7)を用い、
    該切削工具および前記被切削物のうちの少なくともいずれかを動作させて、前記被切削物を切削するとともに、前記ワイパー部切れ刃の稜線の仕上げ面生成部分が前記目標加工面の微小部位に対し略平行となるように且つ前記ノーズ部切れ刃が切削に関与するように、前記被切削物に対する前記切削工具の姿勢を前記目標加工面の曲面に沿って前記送り方向に変化させながら、前記切削工具および前記被切削物のうちの少なくともいずれかを移動させることにより、前記切削工具を前記目標加工面の前記曲面に沿って前記送り方向に相対移動させる加工方法。
  11. 円柱状に形成されて底部に隣接する側面に切削部が設けられる切削工具(8、9)を軸線周りに回転させて被切削物(6)を切削加工する加工方法であって、前記切削工具の前記軸線が前記被切削物における目標加工面と交差しない姿勢で、前記目標加工面の接線において前記被切削物上の仕上面から未切削部へ向かう送り方向に所定の曲率(1/Rw)を有する曲面状の前記目標加工面(TS)を切削加工するための加工方法において
    前記切削部が、前記送り方向の先端が角状に形成され且つ前記送り方向後方に向かって延びる切れ刃として、前記目標加工面に向かって凸をなす曲線の曲率を正とし凹をなす曲線の曲率を負としたとき、前記先端の前記角状部分に設けられて正の第1の曲率(1/Rn)に形成された曲線状のノーズ部切れ刃(82、91a)、及び該ノーズ部切れ刃に連続すると共に前記ノーズ部切れ刃よりも切れ刃長の長い切れ刃であって、前記送り方向後方に延びる全体が、前記第1の曲率よりも小さく且つ前記目標加工面の曲率(1/Rw)よりも大きいという条件を満たす正又は負の第2の曲率(1/Rt)に形成された曲線状のワイパー部切れ刃(83、91b)を具備た切削工具(7)を用い、
    該切削工具および前記被切削物のうちの少なくともいずれかを動作させて、前記被切削物を切削するとともに、前記ワイパー部切れ刃の稜線の仕上げ面生成部分が前記目標加工面の微小部位に対し略平行となるように且つ前記ノーズ部切れ刃が切削に関与するように、前記被切削物に対する前記切削工具の姿勢を前記目標加工面の曲面に沿って前記送り方向に変化させながら、前記切削工具および前記被切削物のうちの少なくともいずれかを移動させることにより、前記切削工具を前記目標加工面の前記曲面に沿って前記送り方向に相対移動させる加工方法。
  12. 棒状に形成されて軸線方向の先端に切削部が設けられる切削工具(9A)を、回転軸(φ)を中心に回転する被切削物(6)に当接させて切削加工する加工方法であって、前記切削工具の前記軸線が前記被切削物における目標加工面と交差する姿勢で、前記目標加工面の接線において前記被切削物上の仕上面から未切削部へ向かう送り方向に所定の曲率(1/Rw)を有する曲面状の前記目標加工面(TS)を切削加工するための加工方法において
    前記切削部が、前記送り方向の先端が角状に形成され且つ前記送り方向後方に向かって延びる切れ刃として、前記目標加工面に向かって凸をなす曲線の曲率を正とし凹をなす曲線の曲率を負としたとき、前記先端の前記角状部分に設けられて正の第1の曲率(1/Rn)に形成された曲線状のノーズ部切れ刃(72)、及び該ノーズ部切れ刃に連続すると共に前記ノーズ部切れ刃よりも切れ刃長の長い切れ刃であって、前記送り方向後方に延びる全体が、前記第1の曲率よりも小さく且つ前記目標加工面の曲率(1/Rw)よりも大きいという条件を満たす正又は負の第2の曲率(1/Rt)に形成された曲線状のワイパー部切れ刃(73)を具備た切削工具(7)を用い、
    該切削工具および前記被切削物のうちの少なくともいずれかを動作させて、前記被切削物を切削するとともに、前記ワイパー部切れ刃の稜線の仕上げ面生成部分が前記目標加工面の微小部位に対し略平行となるように且つ前記ノーズ部切れ刃が切削に関与するように、前記被切削物に対する前記切削工具の姿勢を前記目標加工面の曲面に沿って前記送り方向に変化させながら、前記切削工具および前記被切削物のうちの少なくともいずれかを移動させることにより、前記切削工具を前記目標加工面の前記曲面に沿って前記送り方向に相対移動させる加工方法。
  13. 前記目標加工面の曲率半径をRw、前記第2の曲率をRt、前記切削工具の送り量をfとしたとき、以下の数式で表される前記ワイパー部切れ刃の理論仕上面粗さRthが所定の許容値以下である、請求項10乃至12のうちのいずれか一項に記載の加工方法。
    Rth≒f /8・(1/Rt−1/Rw)
  14. 前記切削工具により、既加工面である未切削部(62)を再度切削する際の切削速度が、前記既加工面を形成した際の切削速度に対して異なっている請求項10乃至13のうちのいずれか一項に記載の加工方法。
  15. 前記切削工具により加工する際に、前記切削工具は、前記送り方向に対して直交するピックフィード方向にも相対移動され、
    前記目標加工面は、
    前記ピックフィード方向に所定の曲率(1/Rp)を有する曲面状をなしており、
    前記切削工具の前記ワイパー切れ刃が掃引されてできる面は、前記目標加工面の前記ピックフィード方向の曲率以上であって、ピックフィード方向に仕上面粗さを向上可能な所定範囲内の曲率(1/Re)を有しており、
    前記切削工具により加工する際に、前記ワイパー部切れ刃が掃引された面の仕上げ面生成部分が前記目標加工面に合致するように、前記被切削物に対する前記切削工具の姿勢を前記ピックフィード方向にも変化させる請求項10乃至14のうちのいずれか一項に記載の加工方法。
  16. 使用可能な複数の切削工具(7、7A、7B、8、9、9A)が有する曲率に基づき、各々の前記切削工具が切削可能な曲率範囲(1/Rs1、1/Rs2、1/Rs3)を設定し、該曲率範囲と製品図面データとに基づき、前記目標加工面を、各々が前記曲率範囲のいずれかに対応した複数の領域に分割する加工面分割工程と、
    分割された前記領域に基づいて、前記目標加工面の各部位に対して、使用するべき前記切削工具を当てはめる工具設定工程と、
    当てはめた前記切削工具と前記製品図面データとに基づき、前記切削工具の送り量(f)を設定する送り量設定工程と、
    当てはめた前記切削工具と前記製品図面データとに基づき、前記被切削物に対する前記切削工具の姿勢を設定する姿勢設定工程と、
    をさらに備えている請求項10乃至15のうちのいずれか一項に記載の加工方法。
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