JP3984313B2 - 3次元曲面形状の加工方法及び加工装置 - Google Patents

3次元曲面形状の加工方法及び加工装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、3次元曲面形状の創成に適した加工装置及び加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
金型やタ−ビンブレ−ド等の3次元曲面形状を有する部品の製造工程には、製造効率の向上を図る有効な手段として、ボールエンドミルを用いた高速切削加工が導入されている。
【0003】
高速切削加工においては、ボールエンドミルの底刃に構成刃先をほとんど生じることがないため、これにより創成される切削仕上げ面の粗さRthは、ほぼボールエンドミルの底刃の球形状の巨視的転写により定まることが知られている。従って、ボールエンドミルを用いた高速切削加工により創成される切削仕上げ面の粗さRthは、一般に、数式1により近似されている。尚、ここでいう「粗さ」とは、ピックフィ−ド(カッタパスの間隔)fp毎に、ボールエンドミルの軌跡に沿って生じた凹凸形状の高さのことであり、波長の長さに応じて「うねり」と呼ばれることもある。
【0004】
th≒fp 2/8R ……(1)
ここで、Rは、ボ−ルエンドミルのボ−ルの半径(以下、ボ−ル径と呼ぶ)である。
【0005】
上記ボ−ルエンドミルを用いた高速切削加工による切削仕上げ面の粗さRthの改善を図るためには、(a)ボ−ルエンドミルのボール径Rを大きくする、(b)ピックフィ−ドfpを狭くする等の対策が有効であることは数式1よりも明らかであるため、上記ボ−ルエンドミルを用いた高速切削加工においては、切削仕上げ面の面精度の向上を図る手段として、こうした2つの対策がとることが一般化されている。
【0006】
また、こうしたボールエンドミルの高速切削加工においては、ボールエンドミルと加工物の双方に悪影響を及ぼす切削抵抗の変動を抑制するために、アップカットとダウンカットを交互に繰り返す往復加工を避け、通常、ボールエンドミルの底刃の食い付きの良いダウンカット一方向のカッタパスが採用されている。尚、ダウンカットは、アップカットと比較して、工具寿命が長く動力損失が少ない等の特徴を有している。
【0007】
ところで、特開昭63−102820号公報には、スクエアエンドミルを加工面に対して所定の角度θ傾斜させながら3次元曲面形状を創成する同種の加工方法が提案されている。尚、特開昭63−102820号公報には特に記載されていないが、この加工方法によれば、上記ボールエンドミルを用いた高速切削加工よりも面精度の高い切削仕上げ面を得ることができると推測される。その根拠は、この加工方法により創成される切削仕上げ面の粗さRthが、以下に示す数式2によって近似されることにある。
【0008】
th≒fp2・sinθ/8R ……(2)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
さて、ボ−ルエンドミルを用いた高速切削加工において切削仕上げ面の粗さRthの改善を図るためには、上記2つの対策(a),(b)が有効であることは前述の通りである。
【0010】
ところが、ボ−ルエンドミルのボ−ル径Rを必要以上に大きくすれば、ボ−ルエンドミルと加工物(または、治具等)との干渉によって、カッタパスが制約されると共に、曲率の小さな部位等を設計値通りに創成できなくなるという支障を生じることになるため、切削仕上げ面の粗さRthの改善という観点からのみ、ボ−ルエンドミルのボール径Rをむやみに大きくすることはできない。一方、ピックフィ−ドfpを必要以上に狭くしても、カッタパスの伸長によって、NCデータが膨大化すると共に、加工時間が長くなるという支障を生じることになるため、ピックフィ−ドfpの方もむやみに大きくすることはできない。
【0011】
従って、上記(a)及び(b)の対策では、ピックフィード方向の切削仕上げ面の最大粗さRmaxをせいぜい6.3μm程度に抑制することが限度であり、実際問題として、これでは、磨き等の手仕上げによる後工程を完全に省略することは不可能とされている。
【0012】
また、ダウンカット一方向のカッタパスを採用しているために、一のカッタパスのトレースが終了する毎に、ボールエンドミルを一旦引き上げてから、次のカッタパスのトレースを開始する位置にまで復帰させる必要がある。そして、これに費やされる時間(即ち、ボールエンドミルが加工に関与しない時間)もトータルすれば、製造効率の観点から無視のできない長さとなる。
【0013】
尚、こうしたボールエンドミルを用いた高速切削加工における問題は、程度の相違はあるが、特開昭63−102820号公報に提案されているスクエアエンドミルを用いた高速切削加工においても同様に問題とされていることでもある。
【0014】
そこで、本発明は、面精度の高い三次元形状を効率的に創成することができる加工装置及び加工方法を提供することを目的とする。また、こうした加工装置を導入することにより、三次元曲面形状を有する部品の製造工程の集約を図ることを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、
加工物に対する回転工具の相対的な運動と姿勢とを制御する制御手段を備え、
前記回転工具は、当該回転工具の回転軸周りの所定の中心角毎に、それぞれ、当該回転工具の回転軸に対して所定の角度傾斜した直線状の主切れ刃が形成された刃部を備え、各刃部には、前記主切れ刃を挾んで両側に、それぞれ、前記主切れ刃に隣接し前記主切れ刃と所定の刃先角をなす副切れ刃が形成されており、
前記制御手段は、前記加工物上の互いに隣接する複数のカッタパス毎に、該カッタパスに沿って前記回転工具が移動するように前記加工物に対して前記回転工具を送りつつ、該加工物の加工面内で該回転工具の送り方向に直交する目標輪郭線と該加工面の法線とを含む平面内で、該回転工具の回転軸を該法線に対して傾斜させ、該回転工具の刃部の主切れ刃の直線形状を該送り方向に伸びる目標輪郭線に沿って該加工物の表面に転写させ、前記複数のカッタパスに沿った加工で、該主切れ刃の刃長よりも長い、該カッタパス方向に直交する方向の幅の領域を加工させ、前記加工物に対する前記回転工具の送りの方向が変わる毎に、前記加工物に対する前記回転工具の傾斜の方向が変わるように前記回転工具の傾斜を制御する、ことを特徴とする加工装置を提供する。
【0016】
本加工装置によれば、回転工具の刃部の主切れ刃の直線形状の転写により、目標とする三次元曲面形状を創成することができる。従って、ボールエンドミルの球面形状を転写していく場合とは異なり、カッタパスに沿った凹凸が発生しないため、より面精度の高い三次元曲面形状を創成することができる。また、加工物に対して回転工具の回転軸を傾斜させたことにより、バックカッタ(現在加工物に切削作用を及ぼしている切れ刃と対向している切れ刃)と切削仕上げ面との干渉が防止されるため、これによる加工痕で切削仕上げ面の面精度が低下する可能性も殆どない。
【0017】
尚、本加工装置によれば実用的に5μm程度の面精度を容易に実現することができるため、例えばタービンブレートの荒削り工程に、これを導入すれば、従来、完全には省略することができなかった手仕上げを完全に省略することができる。また、より高い加工精度を要求される金型の荒削り工程に、これを導入しても、手仕上げによる後工程の大幅な簡略化という効果を得ることができる。
【0018】
即ち、工程集約を実現し、製品完成に到るまでの期間を大幅に短縮することができる。
【0019】
また、こうした加工装置において、前記回転工具として、前記主切れ刃を挾んで両側に2つの副切れ刃が形成されている刃部を備えた回転工具を使用し、加工物に対する回転工具の送りの方向が変わる毎に加工物に対する回転工具の傾斜の方向が変わるように回転工具の傾斜を制御することにより、ダウンカットによる往復加工を実現することができる。従って、回転工具に復帰運動を与える必要がなくなるため、その分、製造効率を向上させることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明に係る一実施の形態について説明する。
【0021】
最初に、図1により、本実施の形態に係る加工装置の基本構成の概略について説明しておく。
【0022】
本加工装置は、同時5軸制御方式のNC工作機械であり、切削工具11が適当な姿勢で所定のカッタパスをトレースするように、加工物Wに対する切削工具11のxyz軸方向への送りとxyz軸周りの傾斜がNC装置10によって数値制御されている。即ち、本加工装置は、加工物Wに対する切削工具11の傾斜機構として、主軸頭12をxz平面内でy軸周りに傾斜させる傾斜軸13と、加工物WをX軸周りに回転させる主軸14a(具体的には、加工物Wの一端を取付ける主軸14aと、加工物Wの他端を支持させるセンタ14b)とを備え、且つ、加工物Wに対する切削工具11の送り機構として、コラムに渡された横けた15に沿って主軸頭12を移動させるY軸と、切削工具11を回転させる工具主軸17を主軸頭12からz方向に出入れするZ軸と、主軸14aを保持した主軸台16aとセンタ14bを保持したセンタ台16bとが載置されたXステージ18とを備えており、これら各機構を駆動する各サーボモータがそれぞれNC装置10によって制御されている。また、工具主軸17を回転させるサーボモータは、切削工具11の回転速度の変動を抑制するために、コントローラ(不図示)によって速度制御されている。尚、本実施の形態では門型コラムを備えたNC工作機械を使用しているが、必ずしもこれを使用する必要はなく、同時5軸制御方式のNC工作機械であれば、他の形式のNC工作機械(例えば、片持式コラムを備えたNC工作機械やニー型のNC工作機械等)であっても構わない。
【0023】
以上で、本加工装置の基本構成の概略についての説明を終わる。
【0024】
次に、図2により、本加工装置の特徴部分である切削工具11の基本構造について説明する。
【0025】
本切削工具11は、鋼製のシャンクに、回転軸11aの周りの所定の中心角(例えば、90°)毎に、それぞれ、スロ−アウェイチップ20を取付けたクランプ工具である。そして、各スロ−アウェイチップ20には、それぞれ、切削工具11の回転軸11aに対して所定の傾斜度θa傾斜した直線形状の主切れ刃20aと、主切れ刃20aを挾んで両側に主切れ刃20aと所定の刃先角θbをなす2つの副切れ刃20b,20cとが形成されている。尚、工具全体のバランスと刃先の強度を考慮すれば、各すくい角θcdをそれぞれ−15°とし、且つ、主切れ刃20aの傾斜角θaを15°とすることが望ましい。
【0026】
また、刃先に発生する工具損傷を抑制するために、主切れ刃20aと2つの副切れ刃20b,20cにより構成されるコーナには適当な円弧R(以下、ノーズ半径と呼ぶ)をもたせてある。尚、詳細は後述するが、ノーズ半径Rの値は、熱亀裂やチッピングの抑制に最も顕著な効果を示すと推定される約0.4mmとすることが望ましい。
【0027】
尚、各スロ−アウェイチップ20の表面には、工具寿命を延長させるために、コーティング膜(例えば、TiCN膜)が形成してある。
【0028】
このように、本実施の形態では、切削工具11として、シャンクにスロ−アウェイチップ20を機械的に取付けたクランプ工具を使用しているが、比較的小型の切削工具を必要とする場合等には、これに代えて、各スロ−アウェイチップに相当する刃部とシャンクとを一体成形したむく工具を使用しても構わない。
【0029】
また、加工物Wと切削工具11の双方に悪影響を及ぼすびびりを抑制するためには、回転軸11aの周りの不規則な中心角毎に、各スロ−アウェイチップ20を取付けて、各スロ−アウェイチップ20の主切れ刃20aと加工物Wとを不規則な周期で接触させることが有効である。即ち、このような切削工具を使用すれば、びびりの発生要因となる加工機械の固有振動と切削加工による振動との共振を効果的に抑制することができる。但し、切削工具は高速に回転されるため、工具全体のバランスを考慮して、各スロ−アウェイチップ20を取付ける中心角を決定することが好ましい。
【0030】
以上で、本加工装置の切削工具11の基本構造についての説明を終わる。
【0031】
次に、図3により、予め準備されたNCプログラムに従ってNC装置11が実行する制御処理、及び、それにより実現する三次元曲面形状の加工方法について説明する。
【0032】
NC装置10は、傾斜機構と送り機構とを制御して、まず、目標二次元輪郭線Miの始点(即ち、目標二次元輪郭線Mi上に設定された制御点P[i,n])に切削工具11を位置付けると共に、切削工具11の左側のスロ−アウェイチップ20の主切れ刃11aが目標二次元輪郭線Nnと接するように切削工具11の回転軸11aを所定の角度だけ傾斜させる。
【0033】
更に、NC装置10は、切削工具11が目標三次元形状に対する姿勢を維持しながら目標二次元輪郭線Mi上に予め設定された各制御点P[i,n],..,P[i,j],..,P[i,0]上を順次通過していくように、送り機構と傾斜機構を制御する。即ち、切削工具11は、図3(A)に示すように、目標二次元輪郭線Miを含む平面内で、z軸に対する回転軸11aの傾斜角θ1を次式に従って逐次変化させながら、連続する制御点P[i,n],..,P[i,j],..,P[i,0]の間を順次補間し、目標二次元輪郭線Mi上を所定の方向Aに滑らかにトレースしていく。
【0034】
θ1=θ[i,j+1]+(θ[i,j]−θ[i,j+1])×F×t/L[i,j] ……(3)
ここで、Fは、切削工具11の送り速度であり、L[i,j]は、補間すべき連続する制御点P[i,j]からP[i,j+1]迄の距離であり、tは、制御点P[i,j]からの切削時間である。また、θ[i,j]及びθ[i,j+1]は、切削工具11のスロ−アウェイチップ20の主切れ刃11aが目標二次元輪郭線Nj及びNj+1に接するように定められた制御点P[i,j]及びP[i,j+1]におけるz軸に対する切削工具11の回転軸11aの傾斜角である。
【0035】
その結果、切削工具11は、所定のカッタパスMiに沿って加工物Wをダウンカットして、加工物Wの表面に各スロ−アウェイチップ20の主切れ刃11aの直線形状を転写していくことになる。
【0036】
そして、一の二次元輪郭線Miのトレースが終了したら、NC装置10は、送り機構と傾斜機構とを制御して、図3(B)に示すように、ピックフィードfpによる送り運動C切削工具11にを与えた後、次の目標二次元輪郭線Mi+1の始点(即ち、目標二次元輪郭線Mi上に設定された制御点P[i+1,0])に切削工具11を位置付けると共に、今度は、切削工具11の右側のスロ−アウェイチップ20の主切れ刃11aが目標二次元輪郭線N0と接するように、図3(A)の場合とは逆の方向に、切削工具11の回転軸11aを所定の角度だけ傾斜させる。このように切削工具11の傾斜方向を変えるのは、切削工具の送り方向を反転させても、切削工具の送り方向と切削方向との関係を変化させないためである。
【0037】
更に、NC装置10は、切削工具11が目標三次元形状に対する姿勢を維持しながら目標二次元輪郭線Mi+1上に予め設定された各制御点P[i+1,0],..,P[i+1,j],..,P[i+1,n]上を順次通過していくように、送り機構と傾斜機構を制御する。即ち、今度は、切削工具11は、目標二次元輪郭線Mi+1を含む平面内で、z軸に対する回転軸11aの傾斜角θ1を次式に従って逐次変化させながら、連続する制御点P[i+1,0],..,P[i+1,j],..,P[i+1,n]の間を順次補間し、目標二次元輪郭線Mi+1上を逆方向Bに滑らかにトレースしていく。
【0038】
θ1=−θ[i+1,j]−(θ[i+1,j+1]−θ[i+1,j])×F×t/L[i+1,j] …(4)
その結果、送り方向が反転しても、切削工具11は、所定のカッタパスMi+1に沿って加工物Wをバックカットして、加工物Wの表面に各スロ−アウェイチップ20の主切れ刃11aの直線形状を転写していくことになる。
【0039】
そして、このような二次元輪郭線に沿う創成運動とピックフィードfpによる間欠的な送り運動とを切削工具11に繰返し与えることにより、最終的に、目標三次元曲面形状を創成することができる。
【0040】
以上で、NC装置11が実行する制御処理、及び、それにより実現する三次元曲面形状の加工方法についての説明を終わる。
【0041】
さて、ここで、こうした加工方法により得られる効果をまとめておく。
【0042】
(1)切削工具の主切れ刃の直線形状の転写により切削仕上げ面を生成することができる。
【0043】
従って、従来技術の欄で説明したボールエンドミルの切れ刃の球面形状の転写により切削仕上げ面を生成する場合とは異なり、ピックフィードfp毎に、カッタパスに沿った凹凸形状を切削仕上げ面に残すことがない。即ち、本加工方法によれば、より面精度の高い切削仕上げ面を得ることができる。
【0044】
尚、直線形状の主切れ刃を有する切削工具の使用は、工具修正に手間がかからないという点においても都合が良い。
【0045】
(2)加工物をダウンカットで往復加工することができる。
【0046】
従って、ダウンカット一方向のカッタパスを採用する場合とは異なり、切削工具に復帰運動を与える必要がないため、その分加工時間を短縮することができる。即ち、製造効率の向上を図ることができる。尚、ダウンカット一方向のカッタパスを採用する場合と同程度の工具寿命と動力損失の抑制の効果が確保されることはいうまでもない。
【0047】
(3)切削工具の回転軸を傾斜させているため、一旦加工物から離脱した主切れ刃は、再度、加工物に切り込む迄、加工物には一切接触することがない。
【0048】
従って、本加工方法によれば、現在切削作用を及ぼしている主切れ刃以外の他の主切れ刃との干渉で切削仕上げ面がむしれる可能性も殆どない。
【0049】
尚、上記各項目に示した効果は、以下に示す加工条件の下で行った実験結果に基づいて定量的に確認することができる。
【0050】
加工条件 工具回転数 2000rpm
ピックフィ−ドfp 5mm
切込み送り量 0.5mm
送り速度F 2400mm/min
被削材 13Crステンレス
図4に、上記加工方法に従って4枚刃の切削工具11(工具径25mm)により生成した切削仕上げ面の粗さをピックフィ−ドfp方向に測定した結果を示す。
【0051】
また、図5に、同一の加工条件の下で、4枚刃のスクエアエンドミル(工具径25mm)を用いて、従来技術の欄で説明した特開昭63−102810号公報記載の加工方法によりダウンカット一方向のカッタパスで生成した切削仕上げ面の粗さをピックフィ−ドfp方向に測定した結果を示す。
【0052】
特開昭63−102810号公報記載の加工方法により生成した切削仕上げ面の最大粗さRmaxが約95μmであるのに対して、本切削工具11により生成した切削仕上げ面の最大粗さが約5μmまで抑制されていることから、上記項目(1)に示した効果が明らかに認められる。また、本切削工具11により生成した切削仕上げ面を観察したところ、目立った加工痕が発見されなかったことから、上記項目(3)に示した効果が確認された。また、同一面積の加工に要する時間が約1/2程度に短縮されていたことから、上記項目(2)に示した効果も確認された。
【0053】
最後に、図6及び図7により、ノーズ半径Rの最適値として約0.4mmを挙げたことの根拠を示しておく。
【0054】
0mmから1.5mmまでの間のノ−ズ半径Rを有するスロ−アウェイチップ20を取付けた数種の切削工具を準備し、それぞれについて、上記加工条件の下での切削加工の進行に伴う工具破損の推移を測定した。
【0055】
その結果、図6に示すように、ノ−ズ半径Rを大きくする程、コーナ部における逃げ面摩耗幅VBCが減少することが、特に、ノ−ズ半径Rを0.40mmとした場合に、コーナ部における逃げ面摩耗幅VBCが激減することが確認された。また、ノ−ズ半径Rを0.40mmより大きくした場合、コーナ部における逃げ面摩耗幅VBCは僅かに減少するに過ぎないことが確認された。
【0056】
本実施の形態では、以上の結果に基づいて、ノ−ズ半径Rを0.40mmとすることが、熱亀裂やチッピングの抑制に効果的であると推定した。尚、ノ−ズ半径Rを0.40mmとした場合には、ノ−ズ半径Rを0mmとした場合よりも、切削加工に伴う逃げ面摩耗幅VBCの増加率が約20%抑制されることが確認されている(図7参照)。
【0057】
【発明の効果】
本発明に係る加工装置及び加工方法によれば、面精度の高い三次元曲面形状を効率的に創成することができる。
【0058】
このような効果を有する本加工装置及び加工方法を、例えばタービンブレートや荒削り工程に本加工装置を導入すれば、5μm程度の面精度で前加工面を仕上げることができるため、従来、完全には省略することができなかった手仕上げによる後工程を完全に省略することができる。また、より高い加工精度を要求される金型の荒削り工程に本加工装置を導入しても、手仕上げによる後工程の大幅な簡略化を図ることができる。即ち、工程集約を実現し、製品完成に到るまでの期間を大幅に短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る加工装置の基本構成を示した図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る加工装置の切削工具の先端部分を示した図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る三次元曲面の加工方法を説明するための図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る加工装置による往復加工で創成した切削仕上げ面の粗さの測定結果を示した図である。
【図5】スクエアエンドミルを傾斜させてダウンカット一方向のカットパスで創成した切削仕上げ面の粗さの測定結果を示した図である。
【図6】ノ−ズ半径と工具摩耗幅の関係を示した図である。
【図7】切削加工の進行に伴う工具摩耗幅の推移を示した図である。
【符号の説明】
10…NC装置
11…切削工具
12…主軸頭
13…傾斜軸
14a…主軸
14b…センタ
15…横けた
16a…主軸台
16b…センタ台
17…工具主軸
18…Xステージ
20…スロ−アウェイチップ
20a…主切れ刃
20b,20c…副切れ刃

Claims (4)

  1. 加工物に対する回転工具の相対的な運動と姿勢とを制御する制御手段を備えた加工装置であって、
    前記回転工具は、
    当該回転工具の回転軸周りの所定の中心角毎に、それぞれ、当該回転工具の回転軸に対して所定の角度傾斜した直線状の主切れ刃が形成された刃部を備え、各刃部には、前記主切れ刃を挾んで両側に、それぞれ、前記主切れ刃に隣接し前記主切れ刃と所定の刃先角をなす副切れ刃が形成されており、
    前記制御手段は、
    前記加工物上の互いに隣接する複数のカッタパス毎に、該カッタパスに沿って前記回転工具が移動するように前記加工物に対して前記回転工具を送りつつ、該加工物の加工面内で該回転工具の送り方向に直交する目標輪郭線と該加工面の法線とを含む平面内で、該回転工具の回転軸を該法線に対して傾斜させ、該回転工具の刃部の主切れ刃の直線形状を該送り方向に伸びる目標輪郭線に沿って該加工物の表面に転写させ、前記複数のカッタパスに沿った加工で、該主切れ刃の刃長よりも長い、該カッタパス方向に直交する方向の幅の領域を加工させ、前記加工物に対する前記回転工具の送りの方向が変わる毎に、前記加工物に対する前記回転工具の傾斜の方向が変わるように前記回転工具の傾斜を制御する
    ことを特徴とする加工装置。
  2. 請求項1に記載の加工装置であって、
    前記回転工具の前記主切れ刃は、当該回転工具の回転方向について不規則に配置されている、
    ことを特徴とする加工装置。
  3. 請求項1または2記載の加工装置であって、
    記回転工具の各刃部の主切れ刃と副切れ刃をつなぐコ−ナは、それぞれ、所定の曲率を有する、
    ことを特徴とする加工装置。
  4. 回転工具のカッタパスに沿って、該回転工具の刃部の形状を加工物の表面に転写させる加工方法であって、
    前記回転工具として、当該回転工具の回転軸周りの任意の中心角毎に、当該回転工具の回転軸に対して所定の角度傾斜した直線状の主切れ刃と、当該主切れ刃を挾んで両側に当該主切れ刃と所定の刃先角をなす2つの副切れ刃とが形成された刃部を備えた回転工具を用い、
    前記加工物上の互いに隣接する複数のカッタパス毎に、該カッタパスに沿って前記回転工具が移動するように前記加工物に対して前記回転工具を送りつつ、該加工物の加工面内で該回転工具の送り方向に直交する目標輪郭線と該加工面の法線とを含む平面内で、該回転工具の回転軸を該法線に対して傾斜させ、該回転工具の刃部の主切れ刃の直線形状を該送り方向に伸びる目標輪郭線に沿って該加工物の表面に転写させ、前記複数のカッタパスに沿った加工で、該主切れ刃の刃長よりも長い、該カッタパス方向に直交する方向の幅の領域を加工し、前記加工物に対する前記回転工具の送りの方向が変わる毎に、前記加工物に対する前記回転工具の傾斜の方向を変える
    ことを特徴とする加工方法。
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