JP3757807B2 - 旋削加工方法と旋削加工用工具 - Google Patents

旋削加工方法と旋削加工用工具 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、切削加工後の仕上げ面粗さの高精度化を目的とした旋削加工方法と旋削加工用工具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
旋盤による円筒切削の代表的な形態として丸棒外周切削の例を図12に示す。これは、工具(バイト)100をワーク101の外周側からその軸心方向に移動させて所定の切り込み深さaだけ切り込んだのち、工具100にワーク101の軸心方向の送りF1としてそのワーク1回転毎に一定の送り量Pを与えて切削を行うものである。
【0003】
また、図13には溝切削の例を示す。これは、突っ切りバイトのごとき工具102にワーク103の径方向の送りとしてワーク1回転毎に一定の切り込み量bを順次与えて切削を行うものである(類似技術が例えば特開2000−61702号公報および特開2000−84780号公報に記載されている)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図12の例では、ワーク1回転毎に一定の送り量Pだけ工具101をワーク軸心方向に移動させる方法となっているため、ワーク101の切削仕上げ面には工具101の刃先形状が螺旋状に転写されたツールマークと呼ばれる加工痕104が形成される。そして、ワーク軸心方向における切削仕上げ面の面粗さはツールマーク104の山の大きさと工具101の切れ刃の面粗さとによってほぼ決定される。ツールマーク104の山の大きさに比べて切れ刃の面粗さは小さいため、切削仕上げ面の面粗さを小さくするにはワーク1回転毎の工具101の送り量Pを小さくするのが従来の一般的な手法である。しかしながら、ワーク1回転毎の工具101の送り量Pを小さくすると単位時間当たりの切削量すなわち加工能率が低下するという問題点があった。
【0005】
また、図13の例では、工具102をワーク103の径方向に切り込む加工方法であるため、切削仕上げ面には上記のようなツールマーク104は発生せずに切れ刃の凹凸形状が転写されるのみであり、したがってその面粗さは小さくなる。しかしながら、加工すべき溝幅と同じ幅寸法の工具102を用いて切削する必要があるため、特に溝幅が大きい場合はそれに応じて切削部の長さが大きくなり、切削抵抗が大きくなる。その結果、いわゆるびびり現象が発生して面粗さが悪くなるほか、溝幅寸法によっては切削できないという問題点があった。
【0006】
本発明は以上のような課題に着目してなされたもので、特に切削仕上げ面の面粗さ精度を向上させた旋削加工方法と旋削加工用工具を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、ワークの外周を円筒切削する旋削加工方法において、直線状の切れ刃を持つ工具をその切れ刃(より具体的にはその切れ刃の稜線もしくはエッジ部)がワーク軸線に対して捻れの関係となるように傾斜させて配置し、所望の切り込み量となるようにワーク外周側からワーク軸心方向に工具を移動させた上で、工具にワーク切削仕上げ面の接線方向の送りを与えて切削加工を施すことを特徴としている。
【0008】
したがって、この請求項1に記載の発明では、工具にワーク接線方向の送りを与えると、傾斜した切れ刃とワークとの接点である切削点がワーク軸心方向に連続的に移動することにより、いわゆる連続切削の形態で切削が行われることから、切削仕上げ面の面粗さを低下させるツールマークが発生しないことになる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明の旋削加工方法を前提とした上で、切削加工に先立って、予め工具切れ刃に隣接する逃げ面の面粗さを測定し、その粗さ曲線の谷底から山頂までの高さと山頂同士のなす間隔およびワークの加工径寸法とに基づいて、工具の送り付与時に上記粗さ曲線の谷底相当部の通過軌跡をその谷底近傍の上記山頂相当部がトレースするのに必要な上記接線方向の移動速度とワーク軸線方向の移動速度との割合を算出し、この算出した移動速度の割合となるように工具の傾斜角度を設定することを特徴としている。
【0010】
ここでは、実際の切れ刃(主切れ刃)に隣接する逃げ面の面粗さがワーク側の切削仕上げ面に転写されることを前提としていることから、上記移動速度の割合から算出される工具の傾斜角度は、切れ刃に隣接する逃げ面の凹部すなわち粗さ曲線の谷部に相当する部分が転写されたことによってワーク側に形成される凸部を、同じく切れ刃に隣接する逃げ面のうち上記凹部近傍の凸部で削り取るようにするために、工具の送り付与時に上記粗さ曲線の谷底相当部の通過軌跡をその谷底近傍の上記山頂相当部がトレースできるような角度として求める。
【0011】
したがって、この請求項2に記載の発明では、上記のように工具逃げ面の凹部の転写によってワーク側に形成される凸部を上記工具逃げ面の凹部に隣接する凸部で削り取ることにより、実際の切削仕上げ面は工具切れ刃に隣接する逃げ面の面粗さすなわち凹凸形状がそのまま転写されたものとはならず、必然的にその切削仕上げ面の面粗さを工具側の逃げ面の面粗さよりも小さくすることができることになる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、工具自体に回転送りを与えることによりワーク外周の凹状円弧状面を切削する旋削加工用工具において、上記凹状円弧状面に対応した曲率をもつ球状体にその中心を通る直線をもって単一の工具回転中心線を設定するとともに、その球面に沿って連続した切れ刃を形成し、この切れ刃を上記ワーク軸線および工具回転中心線のそれぞれに対して捻れの関係となるように傾斜させたことを特徴としている。
【0013】
請求項4に記載の発明は、上記請求項3に記載の発明の工具を用いた旋削加工方法であることを前提として、加工対象となるワークの軸線と工具回転中心線とを平行状態として、工具をその工具回転中心線まわりに回転させることにより送りを与えて切削加工を施すことを特徴としている。
【0014】
したがって、これらの請求項3,4に記載の発明では、凹状の湾曲面切削に際して、請求項1に記載の発明と同様にいわゆる連続切削の形態で切削が行われることから、切削仕上げ面の面粗さを低下させるツールマークが発生しないことになる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、上記請求項3に記載の発明の工具を用いた旋削加工方法であることを前提として、切削加工に先立って、予め工具切れ刃に隣接する逃げ面の面粗さを測定し、その粗さ曲線の谷底から山頂までの高さと山頂同士のなす間隔および切れ刃を含む工具球状部の直径寸法とに基づいて、工具回転時に上記粗さ曲線の谷底相当部の通過軌跡をその谷底近傍の上記山頂相当部がトレースするのに必要なワークの軸線に対する工具回転中心線の傾斜角度を算出し、ワークの軸線に対する工具回転中心線の角度が上記の算出した傾斜角度となるように工具を傾斜させ、その状態で工具回転中心線まわりに工具を回転させることにより送りを与えて切削加工を施すことを特徴としている。
【0016】
したがって、この請求項5に記載の発明では、工具回転中心線の傾斜角度は請求項2に記載の発明と同じ原理のもとに求めるものであるから、実際の切削仕上げ面は工具側の切れ刃に隣接する逃げ面の面粗さすなわち凹凸形状がそのまま転写されたものとはならず、必然的にその切削仕上げ面の面粗さを工具側の逃げ面の面粗さよりも小さくすることができることになる。
【0017】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、直線状の切れ刃をもつ工具をワーク軸線方向に対して傾斜して設け、工具にワーク切削仕上げ面の接線方向の送りを与えて切削するようにしたため、連続した切れ刃による連続切削の形態となることによってツールマークが発生せずに面粗さを小さくでき、結果として切削仕上げ面の表面粗さ精度が大幅に向上する。また、加工長さが長い場合においても、実際の切削点での切削幅が小さいためにびびり現象の発生をを未然に防止できるほか、切削に関与する切れ刃が順次移動するために、切削に伴って切れ刃に発生する切削熱が効率よく放熱されて工具寿命も長くなる利点がある。
【0018】
請求項2に移載の発明によれば、予め工具逃げ面の面粗さを測定し、工具の送り付与時に上記粗さ曲線の谷底相当部の通過軌跡をその谷底近傍の上記山頂相当部がトレースするのに必要な上記接線方向の移動速度とワーク軸線方向の移動速度との割合を算出し、この算出した移動速度の割合となるように工具の傾斜角度を設定して切削加工を行うようにしたものであるから、請求項1に記載の発明と同様の効果のほかに、ワーク切削仕上げ面の面粗さを工具逃げ面の面粗さ以下となるまで小さくすることができ、切削仕上げ面の表面粗さを一段と高めることができる利点がある。
【0019】
請求項3,4に記載の発明によれば、ワーク側の凹状円弧状面に対応した連続した切れ刃を有する工具を用いて切削する方法としたため、請求項1に記載の発明と同様にツールマークが発生せずに面粗さを小さくできるとともに、例えば従来のNC制御による二軸同時加工での象限移動時に発生するバックラッシュならびにそれに伴う加工精度の低下を防止することができる。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、請求項3に記載の発明を前提として、請求項2に記載の発明と同じ原理のもとに、予め工具切れ刃に隣接する逃げ面の面粗さを測定し、工具回転時に上記粗さ曲線の谷底相当部の通過軌跡をその谷底近傍の上記山頂相当部がトレースするのに必要なワークの軸線に対する工具回転中心線の傾斜角度を算出し、ワークの軸線に対する工具回転中心線の角度が上記の算出した傾斜角度となるように工具を傾斜させ、その状態で工具回転中心線まわりに工具を回転させることにより送りを与えて切削加工を施すようにしているので、請求項3に記載の発明と同様の効果に加えて、ワークの切削仕上げ面の面粗さを工具逃げ面の面粗さ以下に小さくすることができ、切削仕上げ面の表面粗さを一段と高めることができる利点がある。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1〜5は本発明の好ましい実施の形態を示す図で、特に図1は本発明の旋削加工に用いられる工作機械の正面図を、図2は同じくその平面図を、図3は図1,2の要部拡大図をそれぞれ示している。なお、この実施の形態は請求項1に記載の発明に対応している。
【0022】
図1,2に示すように、工作機械は大きく分けてベッド1と、このベッド1上に設けられたヘッドストック2およびバーチカルヘッド3とから構成される。ヘッドストック2は、周知のようにモータ4(図3参照)によって回転駆動される主軸5の先端に例えば丸棒状のワークWを把持するためのチャック6を備える。バーチカルユニット3は図示外のモータを主体とする送り装置7(図3参照)によってベッド1上を水平方向(Y方向,接線方向)に進退駆動されるコラム8に工具主軸9を鉛直姿勢で支持させたもので、工具主軸9はその先端に直線状の切れ刃10aをもつ工具10が装着されるとともに、ワーク軸線Qに対して上記工具10の切れ刃10aの傾斜角度を任意に変化させることができるようにモータ11にて割り出し回転されるようになっている。
【0023】
なお、モータ11には位置検出器としてロータリーエンコーダ12が付設されている。また、ワーク回転駆動用のモータ4およびバーチカルユニット3の送り装置7は図3に示すように制御装置13によって制御される。
【0024】
図3の(A)は図1の要部拡大平面図であり、同図(B)は同図(A)をY方向から見た図を示している。同図に示すようにワークWはチャック6に把持されていて、このチャック6とともに矢印c方向に回転駆動される。工具10は、ここでは直線状の切れ刃10aを持つ単純な矩形状のもとして例示してあり、その直線状の切れ刃10aすなわち切れ刃10aの稜線もしくはそのエッジ部がワーク軸線Qに対していわゆる捻れの関係となるように該ワーク軸線Qに対して角度βだけ傾斜して配置される。
【0025】
そして、X方向に所望する切り込み量だけ切り込み送りを与えた状態に工具10を保持した上で、工具10にY方向の送りすなわちワーク外周面の接線方向の送りFを付与する。ここで、ワークWの外周面上で直線状の切れ刃10aが交差する点を切削点mとすると、上記の送りFのために切削点mがワーク軸線方向Qにも連続的に移動して、ワークWの外径が切削されて切削仕上げ面Sが形成される。
【0026】
このように直線状の切れ刃10aを持つ工具10をワーク軸線Qに対して捻れの関係となるように角度βだけ傾斜して配置し、その工具10をワーク外周面の接線方向に移動させて切削する方法とすることにより、直線状の切れ刃10aでありながらもあたかもシングルポイント工具による連続切削のような形態となり、従来例のようなツールマークが発生が皆無となってその切削仕上げ面Sの面粗さを小さくできるようになる。また切削幅が広い場合においてもびびり現象が発生することなく滑らかに加工することができる。その上、切削に直接関与する切れ刃10aが順次移動するために、切削加工に伴ってその切れ刃10aに発生する切削熱が効率よく放熱されることから、工具寿命も長いものとなる。
【0027】
ここで、上記のような手順での切削加工に先立って、工具10の切れ刃10aに隣接する逃げ面の面粗さを予め測定し、その面粗さの程度に応じて上記工具10の傾斜角度βを設定する。
【0028】
より詳しくは、図4に示すように、公知の粗さ測定機を用いて工具10の切れ刃10aに隣接する逃げ面の面粗さを測定して記録し、それを粗さ曲線としてプリントアウトする(ステップS1,S2)。図5は上記逃げ面の面粗さを測定して得られた粗さ曲線の一例を示す。そして、図5の粗さ曲線について、その谷底から山頂までの高さHと山頂同士のなす間隔Lを求める。求め方としては、例えば高さが大きい順に3番目までの谷底と山頂の組み合わせを選抜し、それらの高さH1,H2,H3と山頂同士のなす間隔L1,L2,L3とを求めた上で、それらの平均値としてH=(H1+H2+H3)/3およびL=(L1+L2+L3)/3をそれぞれ求める(ステップS3)。
【0029】
次に、加工すべきワークWの指示図面から切削仕上げ面Sの加工寸法を読み取り、上記H寸法とL寸法およびワークWの加工径寸法の半径rとに基づいて、図5のステップS5のように切削仕上げ面Sの接線方向すなわちY方向における工具10の移動速度Vyとワーク軸線方向QすなわちZ方向における工具10の移動速度Vzとの割合Vy:VzをVy:Vz=B:Lとして求める。ただし、Bは次の(1)式によって求められる。そして、Vy:Vz=B:Lの関係が成り立つようにワーク軸線Qに対する工具10の傾斜角度βを設定する(ステップS6)。
【0030】
【数1】
Figure 0003757807
【0031】
上記計算式は、実際の切削加工を司る工具切れ刃10aに隣接する工具逃げ面の面粗さがワーク側の切削仕上げ面Sに転写されることを前提としており、工具切れ刃10aに隣接する逃げ面の凹部が転写されたことによるワークの切削仕上げ面S側の凸部を、同じく上記逃げ面の凹部に隣接する凸部で切削するように、すなわち工具10の送り付与時に上記粗さ曲線の谷底相当部の通過軌跡をその谷底近傍の上記山頂相当部がトレースするように、上記接線方向の移動速度Vyとワーク軸線方向Qの移動速度Vzとの割合Vy:VzがB:Lと同じになるようにBの値を算出し、それに応じてワーク軸線Qに対する工具10の傾斜角度βを設定する。
【0032】
これにより、図3の形態で実際の加工を行ったときにはワークWの切削仕上げ面Sの面粗さを工具逃げ面の面粗さより確実に小さくすることができ、切削仕上げ面Sの表面粗さ精度が飛躍的に向上することになる。なお、この手順は請求項2に記載の発明に対応している。
【0033】
図6,7は本発明の第2の実施の形態を示し、図6は工作機械全体の正面図を、図7は図6の要部拡大図をそれぞれ示し、特に図7の(A)は図6の要部拡大平面図であり、同図(B)は同図(A)をY方向から見たものである。なお、本実施の形態は請求項3,4に記載の発明に対応している。
【0034】
図6に示すように、工作機械の基本構成は図1に示したものと共通であって、工具主軸9の先端の工具のみを持ち替えたものである。すなわち、略球状をなす回転式の工具20と、この工具20を後述する工具回転中心線Rまわりに回転駆動するためのモータ13とをホルダ14に支持させて工具ユニット15とし、これを上記工具主軸9の先端に着脱可能に装着したものである。そして、ワーク軸線Qと工具回転中心線Rとが互いに平行となるように工具主軸9の回転角位置がモータ11(図1参照)によって割り出されている。
【0035】
図7に示すように、凹状円弧状面Kを有するワークすなわち略鼓形状のワークW1は、図1と同様の工作機械のチャック6によって把持されて矢印方向cに回転駆動される。工具20は、上記ワークW1側の凹状円弧状面Kに対応する曲率をもった球状体16を主体として形成されていて、ワーク軸線Qと平行となるような工具回転中心線Rとして軸部17が形成されているとともに、切れ刃20aは球状体16の球面に沿って連続したものとしてワーク軸線Qおよび工具回転中心線Rの双方に対して捻れの関係となるようにそれぞれ傾斜して形成されている。
【0036】
このような切れ刃20aを有する工具20の軸部17がワーク軸線Qに対して平行となり、且つ所望の切り込み量となるよう配置する。この状態で工具20をその軸部17を回転中心線Rとして回転させることにより、ワークWの凹状円弧状面Kが切削仕上げ面として連続的に切削される。これにより、図1の場合と同様に凹状円弧状をなす切削仕上げ面Kにはツールマークが発生することなくその面粗さを小さくすることができる。特に従来のようにNC制御のX−Z二軸同時制御で加工を行う場合と比べて、象限移動時に発生するバックラッシュを原因とする加工精度の低下を防止することができる。
【0037】
図8〜11は本発明の第3の実施の形態を示し、図8は工作機械全体の正面図を、図9は図8の要部拡大図をそれぞれ示し、特に図9の(A)は図8の要部拡大平面図であり、また同図(B)は同図(A)をY方向から見たものである。なお、本実施の形態は請求項5に記載の発明に対応している。
【0038】
図8に示すように、工作機械およびワークW3のほか、球状体16の外周に切れ刃30aを有する工具30の基本構成は図6,7に示したものと共通であって、後述するように工具回転中心線Rがワーク軸線Qに対して捻れの関係となるように所定角度θだけ傾斜するように工具主軸9の回転角位置がモータ11(図1参照)によって割り出されている。
【0039】
図9に示すように、工作機械のチャック6に把持されているワークW2の軸線Qに対して、工具30の切れ刃30aがワーク軸線Qおよび工具回転中心線Rの双方に対してそれぞれ捻れの関係をもって傾斜するようにワーク軸線Qに対する工具傾斜角度θが定められる。
【0040】
このワークの軸線Qに対する工具回転中心線Rの傾斜角度θを求めるには、図10に示すように、最初に図4と同じ手順で公知の粗さ測定機を用いて工具30の切れ刃30aに隣接する逃げ面の面粗さを測定して記録し、それを粗さ曲線としてプリントアウトする(ステップS1,S2)。図11は上記逃げ面の面粗さを測定して得られた粗さ曲線の一例を示す。そして、図11の粗さ曲線について、その谷底から山頂までの高さHと山頂同士のなす間隔Lを求める。求め方としては、上記と同様に例えば高さが大きい順に3番目までの谷底と山頂の組み合わせを選抜し、それらの高さH1,H2,H3と山頂同士のなす間隔L1,L2,L3とを求めた上で、それらの平均値としてH=(H1+H2+H3)/3およびL=(L1+L2+L3)/3をそれぞれ求める(ステップS3)。
【0041】
次に、工具30の指示図面等から切れ刃30aを含む工具30の球状体16の直径寸法を読み取り、上記H寸法とL寸法および工具30の直径寸法Mとに基づいて、図10のステップS4,S5のように(2)式をもってワーク軸線Qに対する工具回転中心線Rの傾斜角度θを算出する。
【0042】
【数2】
Figure 0003757807
【0043】
上記計算式は、先に述べた(1)式と同様に実際の切削加工を司る工具切れ刃30aに隣接する工具逃げ面の面粗さがワークW側の切削仕上げ面Kに転写されることを前提としており、工具切れ刃30aに隣接する逃げ面の凹部が転写されたことによるワーク切削仕上げ面K側の凸部を、同じく上記逃げ面の凹部に隣接する凸部で切削するように、すなわち工具30の送り付与時に上記粗さ曲線の谷底相当部の通過軌跡をその谷底近傍の上記山頂相当部がトレースするように、ワーク軸線Qに対する工具30の傾斜角度θを設定する。
【0044】
そして、この値をモータ11の制御系に入力して、図9の(A)に示すように工具回転中心線Rをワーク軸線Qに対しθだけ傾斜して配置した上で、モータ13により工具30をその工具回転中心線Rまわりに回転させて送りを与えることで、ワークW2の凹状円弧状面Kが切削仕上げ面として連続的に切削される。
【0045】
このように、ワーク軸線Qに対して工具回転中心線Rを角度θだけ傾斜して設置することにより、図7の場合と比べてワークW2の切削仕上げ面Kの面粗さを工具逃げ面の面粗さより確実に小さくすることができ、切削仕上げ面Kの表面粗さ精度が飛躍的に向上する。
【0046】
なお、前述の実施の形態では工具に接線方向(Y方向)の送りを付与していたが、これに限らずX方向(上下方向,切り込み方向)に工具を移動させる送り装置を設け、当該二つの送り装置により図4のフローチャートのステップS5で求めるY方向の工具の移動速度VyおよびX方向の移動速度Vxに基づき工具を制御することができるのはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す工作機械の正面図。
【図2】図1の平面図。
【図3】第1の実施の態の詳細を示す図で、(A)は図1の要部拡大平面図、(B)は同図(A)をY方向から見た図。
【図4】図3での処理手順を示すフローチャート。
【図5】図3の工具切れ刃に隣接する逃げ面の粗さ曲線図。
【図6】本発明の第2の実施の形態を示す工作機械の正面図。
【図7】第2の実施の態の詳細を示す図で、(A)は図6の要部拡大平面図、(B)は同図(A)をY方向から見た図。
【図8】本発明の第3の実施の形態を示す工作機械の正面図。
【図9】第3の実施の態の詳細を示す図で、(A)は図8の要部拡大平面図、(B)は同図(A)をY方向から見た図。
【図10】図9での処理手順を示すフローチャート。
【図11】図9の工具切れ刃に隣接する逃げ面の粗さ曲線図。
【図12】従来の一般的な旋削加工方法を示す要部拡大説明図。
【図13】従来の他の旋削加工方法を示す要部拡大説明図。
【符号の説明】
6…チャック
9…工具主軸
10…工具
10a…切れ刃
16…球状体
20…工具
20a…切れ刃
30…工具
30a…切れ刃
K…凹状円弧状面
Q…ワーク軸線
R…工具回転中心線
S…切削仕上げ面
W…ワーク
W1…ワーク
W2…ワーク

Claims (5)

  1. ワークの外周を円筒切削する旋削加工方法において、
    直線状の切れ刃を持つ工具をその切れ刃がワーク軸線に対して捻れの関係となるように傾斜させて配置し、
    所望の切り込み量となるようにワーク外周側からワーク軸線方向に工具を移動させた上で、工具にワーク切削仕上げ面の接線方向の送りを与えて切削加工を施すことを特徴とする旋削加工方法。
  2. 請求項1に記載の旋削加工方法において、
    切削加工に先立って、予め工具切れ刃に隣接する逃げ面の面粗さを測定し、
    その粗さ曲線の谷底から山頂までの高さと山頂同士のなす間隔およびワークの加工径寸法とに基づいて、工具の送り付与時に上記粗さ曲線の谷底相当部の通過軌跡をその谷底近傍の上記山頂相当部がトレースするのに必要な上記接線方向の移動速度とワーク軸線方向の移動速度との割合を算出し、
    この算出した移動速度の割合となるように工具の傾斜角度を設定することを特徴とする旋削加工方法。
  3. 工具自体に回転送りを与えることによりワーク外周の凹状円弧状面を切削する旋削加工用工具において、
    上記凹状円弧状面に対応した曲率をもつ球状体にその中心を通る直線をもって単一の工具回転中心線を設定するとともに、その球面に沿って連続した切れ刃を形成し、
    この切れ刃を上記ワーク軸線および工具回転中心線のそれぞれに対して捻れの関係となるように傾斜させたことを特徴とする旋削加工用工具。
  4. 請求項3に記載の工具を用いた旋削加工方法において、
    加工対象となるワークの軸線と工具回転中心線とを平行状態として、工具をその工具回転中心線まわりに回転させることにより送りを与えて切削加工を施すことを特徴とする旋削加工方法。
  5. 請求項3に記載の工具を用いた旋削加工方法において、
    切削加工に先立って、予め工具切れ刃に隣接する逃げ面の面粗さを測定し、
    その粗さ曲線の谷底から山頂までの高さと山頂同士のなす間隔および切れ刃を含む工具球状部の直径寸法とに基づいて、工具回転時に上記粗さ曲線の谷底相当部の通過軌跡をその谷底近傍の上記山頂相当部がトレースするのに必要なワークの軸線に対する工具回転中心線の傾斜角度を算出し、
    ワークの軸線に対する工具回転中心線の角度が上記の算出した傾斜角度となるように工具を傾斜させ、
    その状態で工具回転中心線まわりに工具を回転させることにより送りを与えて切削加工を施すことを特徴とする旋削加工方法。
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