JP6834433B2 - 微細凹凸構造体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、量産性に優れ、凹凸高さ/粒径の比が大きく、凹凸間隔が均一であり、耐擦傷性に優れる微細凹凸構造体を、粒子及び凹凸を有する基材によって形成する微細凹凸構造体の製造方法に関する。
蛾の目の微細凹凸構造を模倣した反射防止フィルム、植物表面の微細凹凸構造を模倣した超撥水コーティング、細胞の増殖や伸展を制御する細胞足場材料等、微細凹凸構造体は様々な分野で利用されている。このような微細凹凸構造体を形成する方法としては、電子ビーム描画法が提案されている。例えば、特開2001−272505号公報(特許文献1)では、電子ビーム描画法を用いてレジストパターンを基板上に作製し、レジストパターンを元にして基板上に金属を蒸着し、蒸着した金属をマスクとしてエッチングを行う方法が開示されている。しかし、この方法は多数の工程を有する上に、電子ビームを用いたレジストパターンの描画に長時間を要することから量産に適さず、コストが高くなるという問題がある。
一方、このような微細凹凸構造体を高い生産性で作製する方法としては、粒子を用いる方法が提案されている。例えば、特開2002−006108号公報(特許文献2)では、粒子の表面電荷による基板上への粒子の吸着を利用し、基材上へ粒子を配列させることにより微細凹凸構造体を形成する方法が開示されている。この方法により、粒子同士の電荷反発によって粒子を凝集させずに基板上に配列させることが可能であり、凸部同士の間に間隔を有する微細凹凸構造体を得ることが可能である。しかしながら、特許文献2の方法では均一な間隔で粒子を配置することは困難であり、粒子同士の間隔にばらつきが生じるという問題があった。また、作製される微細凹凸構造体は耐擦傷性に劣るという問題があった。
また、他の方法としては、例えば、特開1993−13021号公報(特許文献3)では、粒子を分散させた溶液中に基板を浸漬させ、基板引き上げ時に粒子を最密充填させることにより、均一な凸部間隔を有する微細凹凸構造体を形成する方法が開示されている。しかしながら、この方法では粒子同士が接触していなければならず、粒子同士の間に間隔を設けることはできないという問題があった。このために、粒子半径以上の凹凸高さを得ることはできず、アスペクト比(凹凸高さ/粒径の比)が0.5以上の微細凹凸構造体を作製することはできないという問題があった。また、作製される微細凹凸構造体は耐擦傷性に劣るという問題があった。
さらに、粒子を用いた微細凹凸構造体の作製方法であって、粒子が非最密で配列し、粒子同士の間に均一な間隔を有する微細凹凸構造体を得る方法として、特開2009−139796号公報(特許文献4)の方法が提案されている。特許文献4では、シリカ粒子及びアクリル樹脂の混合物を塗布及び架橋させた後にプラズマエッチングを行うことで、均一な凹凸間隔を有する微細凹凸構造体が作製されている。しかしながら、この方法ではコストの高いプラズマエッチングを用いる必要があり、量産には適さないという問題があった。
特開2001−272505号公報 特開2002−006108号公報 特開1993−13021号公報 特開2009−139796号公報
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、量産性に優れ、凹凸高さ/粒径の比が大きく、凹凸間隔が均一であり、耐擦傷性に優れる微細凹凸構造体を、簡便な方法で作製可能な微細凹凸構造体の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、粒子及び架橋性樹脂を含む塗工液を用いた特定の微細凹凸構造体の製造方法によって上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、凸部形成粒子及び架橋性樹脂を含む塗工液を用い、以下の(1)〜(4)工程を経ることを特徴とする微細凹凸構造体の製造方法に関するものである。
(1)前記凸部形成粒子の粒径の0.05倍以上0.5倍以下の凹凸高さを有する少なくとも1層からなるプライマー層を、基材表面に形成するプライマー層形成工程。
(2)凸部形成粒子及び架橋性樹脂を含む塗工液を前記プライマー層表面に塗布する塗布工程。
(3)前記塗布された塗工液を乾燥させる乾燥工程。
(4)架橋処理により架橋性樹脂を架橋させ微細凹凸構造体を得る架橋化工程。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の微細凹凸構造体の製造方法は、凸部形成粒子及び架橋性樹脂を含む塗工液を用いて微細凹凸構造体を形成することを特徴とする。ここで、本発明において、「凸部形成粒子」とは、微細凹凸構造体の凸部を形成する粒子をいう。また、本発明において、「架橋樹脂」とは、架橋可能な有機化合物(以下、「架橋性樹脂」という)が熱や光等の外部刺激、又は、時間経過による反応の進行によって、架橋されて得られる樹脂のことを示す。
前記凸部形成粒子としては特に制限はないが、例えば、シリカ粒子、アルミナ被覆シリカ粒子、ジルコニア粒子、酸化チタン粒子、酸化スズ粒子等の無機粒子;ポリスチレン粒子、ポリメタクリル酸メチル粒子等のポリマー粒子等が挙げられ、ポリマー粒子に関しては架橋したものであっても非架橋であっても良い。
前記凸部形成粒子としてシリカ粒子を用いる場合、入手容易性及び製造容易性から、アルコキシシラン類の重合物であることが好ましく、前記アルコキシシラン類としては、例えば、オルトケイ酸テトラエチル、オルトケイ酸テトラメチル、オルトケイ酸テトラブチル、ジメトキシシラン、トリメトキシシラン、ジエトキシシラン、トリエトキシシラン、トリブトキシ(メチル)シラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザンビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、トリス−(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、3−ウレイドプロピルトリアルコキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、N−トリメトキシシリル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルオクタデシル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド等を挙げることができる。
前記のアルコキシシラン類は、必要に応じてアルキルアルコール類、ヒドロキシ酸及びその塩、ノニオン性重合物等を含んでいてもよく、前記アルキルアルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール、2−ペンタノール、3−メチル−2−ブタノール、3−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール、n−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、2,2−ジメチル−1−ブタノール、2,3−ジメチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2−エチル−1−ブタノール、シクロヘキサノール、フェノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、n−ノナノール、n−デカノール等が挙げられる。また、前記ヒドロキシ酸及びその塩としては、例えば、乳酸、グリセリン酸、グリコール酸、タルトロン酸、ヒドロキシ酪酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、イソクエン酸、ロイシン酸、メバロン酸、パントイン酸、リシノール酸、リシネライジン酸、セレブロン酸、キナ酸、シキミ酸等のヒドロキシ酸、及び、これらのナトリウム塩又はカリウム塩が挙げられる。さらに、前記ノニオン性重合物としては、例えば、ポリエチレングリコール等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリビニルピロリドン;ポリ−N−ビニルアセトアミド;デシルグリコシドやラウルグリコシド等のアルキルポリグリコシド類;脂肪酸ジエタノールアミド類;脂肪酸ソルビンタンエステル類;アルキルモノグリセルエーテル類等が挙げられる。
また、前記無機粒子は必要に応じてシランカップリング剤で表面処理されていてもよく、前記シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、トリス-(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、3−ウレイドプロピルトリアルコキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
本発明において、凸部形成粒子は、得られる微細凹凸構造体の凹凸構造のばらつきを抑制するのにより好適であるため、粒子の粒径分布の指標である分散度(多分散指数)が10%以下であることが好ましく、8%以下がさらに好ましく、5%以下が特に好ましい。ここで、本発明において「分散度」とは、動的光散乱法により測定し、キュムラント法により求めた多分散指数をいう。
本発明では、凸部形成粒子が表面電荷を有しているものであっても良く、該粒子の表面電荷による基板上への粒子の吸着により、基材上に粒子が配列し微細凹凸構造体が形成されているものであっても良い。
前記凸部形成粒子の表面電荷としては、特に制限はなく、粒子表面の電荷が基材表面の電荷と同符号であってもよいし、逆符号であってもよい。ここで、粒子の表面電荷が基材表面の電荷と逆符号であるとは、基材表面の電荷が正の極性の場合には粒子表面の電荷が負の極性を有し、基材表面の電荷が負の極性の場合には粒子表面の電荷が正の極性を有することを示す。基材及び粒子の表面電荷の極性は、基材及び粒子表面電荷のゼータ電位を測定することによりそれぞれ評価することができる。粒子の表面電荷は粒子表面に高分子電解質を吸着させることで、正の極性及び負の極性のものいずれも製造することができる。粒子分散性に優れ、塗工液の長期保存安定性に優れることから、ゼータ電位の絶対値が1mV以上の表面電荷を有する粒子を凸部形成粒子として用いることが好ましく、5mV以上がさらに好ましく、10mV以上が特に好ましく、20mV以上が最も好ましい。
本発明に用いる架橋性樹脂としては特に制限はなく、例えば、活性エネルギー線架橋性樹脂、熱架橋性樹脂などが挙げられる。なかでも得られる微細凹凸構造体が耐擦傷性に優れたものとなることから、活性エネルギー線架橋性樹脂が好ましい。ここで、本発明において、「活性エネルギー線」とは、紫外線、電子線、α線、β線、γ線等の電離放射線をいう。前記の活性エネルギー線架橋性樹脂としては、例えば、分子内にアクリル基、メタアクリル基、オキセタン基、脂環式エポキシ基、グリシジル基、ビニルエーテル基、マレイミド基、アクリルアミド基等の架橋性基を有する化合物が挙げられる。なかでも得られる微細凹凸構造体が耐擦傷性に優れたものとなることから、アクリル基、メタアクリル基を有する架橋性樹脂が好ましい。
前記のアクリル基又はメタアクリル基を有する架橋性樹脂としては、例えば、(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−へキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、p−メトキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等の単官能アクリレート;トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート、トリメチロールプロパンプロポキシトリアクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、エトキシ化フェニルアクリレート等の多官能(メタ)アクリレート;U−4HA、U−6HA、U−6LPA、UA−5300H、UA−122P、U−200PA、UA−7100(新中村化学工業社製2〜15官能ウレタンアクリレート)等のウレタン(メタ)アクリレート;EBECRYL600、EBECRYL860、EBECRYL373(ダイセル・オルネクス社製)等のエポキシ(メタ)アクリレート;EBECRYL853、EBECRYL1830(ダイセル・オルネクス社製)等のポリエステル(メタ)アクリレート;アクリル基又はメタクリル基等を側鎖に有するポリマー(例えば、新中村化学工業社製GH−1203等);LINC−3A、LINC−182A(共栄社化学製2〜3官能フッ素基含有アクリレート)、1,6−ビス(アクリロイルオキシ)ヘキサン等のフッ素を含有する単官能又は多官能(メタ)アクリレート;アクリル基又はメタクリル基等を側鎖に有する含フッ素ポリマー;(メタ)アクリレート基を有するポリシルセスキオキサン類(例えば東亞合成社製SQシリーズ)、(メタ)アクリレート基を有するシランカップリング剤(例えば信越化学社製KBM、KBEシリーズ)等の(メタ)アクリレート基シリコン系化合物等が挙げられる。これらは単独で用いても、複数の種類の樹脂を組み合わせた混合物を用いても良い。なかでも得られる微細凹凸構造体が耐擦傷性に優れたものとなることから、(メタ)アクリレート基を分子内に複数有する架橋性樹脂が好ましく、4官能以上の(メタ)アクリレートがさらに好ましく、6官能以上の(メタ)アクリレートが特に好ましい。
本発明では、後述する乾燥工程において、毛管力により凸部形成粒子が凝集することを抑制し、凹凸間隔の均一な微細凹凸構造体を得るのに好適であることから、架橋性樹脂の25℃における粘度が10cP以上であることが好ましい。凹凸間隔の均一な微細凹凸構造体を得るのにより好適であることから、架橋性樹脂の25℃における粘度が50cP以上であることがさらに好ましく、100cP以上であることが特に好ましく、1000cP以上であることが最も好ましい。
本発明において、凸部形成粒子及び架橋性樹脂を含む塗工液には、必要に応じて、シランカップリング剤、重合開始剤、各種添加剤等が含有されていてもよい。
前記シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、トリス-(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、3−ウレイドプロピルトリアルコキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
前記重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンジル、ミヒラーケトン、チオキサントン、アントラキノン等の水素引き抜きによってラジカルを発生するタイプの化合物;ベンゾイン、ジアルコキシアセトフェノン、アシルオキシムエステル、ベンジルケタール、ヒドロキシアルキルフェノン、ハロゲノケトン等の分子内分裂によってラジカルを発生するタイプの化合物等が挙げられる。また、市販品としては、例えば、IRUGACURE184、IRUGACURE651、IRUGACURE500、IRUGACURE907、DAROCUR1116、DAROCUR1173(BASF社製)、KY1203(信越化学社製)等を挙げることができる。また、架橋を促進するために用いられるものとしてメチルアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、トリブチルアミン等の三級アミン等が含有されていても良い。
前記添加剤としては、滑り性付与や防汚性付与、または高弾性率化のための成分を挙げることができ、例えば、BYK−UV3505、BYK−UV3500、BYK−UV3575、BYK−UV3570、BYK−UV3576、BYK−UV3535、BYK−UV3510、BYK−378、BYK−370、BYK−377、BYK−399、BYK−3550、BYK−3560、NANOBYK−3605、NANOBYK−3601、NANOBYK−3602、NANOBYK−3610、NANOBYK−3630、NANOBYK−3652、NANOBYK−3650、NANOBYK−3651、CERAFLOUR925、CERAFLOUR929、BYK−LP X 22699(ビックケミー・ジャパン社製)、アダマンタン誘導体(例えば、三菱ガス化学社製ダイヤピュレストシリーズ)等を挙げることができる。
本発明の微細凹凸構造体の製造方法は、以下の(1)〜(4)工程を経ることを特徴とする。
(1)前記凸部形成粒子の粒径の0.05倍以上0.5倍以下の凹凸高さを有する少なくとも1層からなるプライマー層を、基材表面に形成するプライマー層形成工程。
(2)凸部形成粒子及び架橋性樹脂を含む塗工液を前記プライマー層表面に塗布する塗布工程。
(3)前記塗布された塗工液を乾燥させる乾燥工程。
(4)架橋処理により架橋性樹脂を架橋させ微細凹凸構造体を得る架橋化工程。
前記(1)工程では、凸部形成粒子の粒径の0.05倍以上0.5倍以下の凹凸高さを有する少なくとも1層からなるプライマー層を、前記基材表面に形成する。ここで、本発明において、粒子の「粒径」とは、透過型電子顕微鏡像において各粒子の最大径を測定し、50点以上の粒子について測定した前記値の平均値を示す。なお、本発明で用いる凸部形成粒子の粒径に特に制限はないが、作製される微細凹凸構造体を反射防止膜、超撥水コーティング、細胞足場材料等に用いる場合、粒径1〜5000nmの粒子を用いることが好ましく、粒径10〜1000nmの粒子を用いることがさらに好ましい。また、作製される微細凹凸構造体を反射防止フィルム等の光学用途に用いる場合、微細凹凸構造体の透明性を高めるのに好適であることから、粒径500nm以下の粒子を用いることが好ましく、粒径250nm以下がさらに好ましく、粒径200nm以下が特に好ましく、粒径150nm以下が最も好ましい。(1)工程(プライマー層形成工程)後の断面の模式図を図1(A)に示す。
本発明の微細凹凸構造体の製造方法では、凸部形成粒子の粒径の0.05倍以上0.5倍以下の凹凸高さを有する少なくとも1層からなるプライマー層の表面が、凸部形成粒子及び架橋性樹脂を含む塗工液を塗布する面(以下、「塗工面」という。)であることで、後述する乾燥工程において凸部形成粒子同士が凝集することを抑制でき、凹凸高さ/粒径の比(アスペクト比)が大きく、かつ凹凸間隔が均一な微細凹凸構造体を作製できるものである。本発明において、前記塗工面の凹凸高さが凸部形成粒子の粒径の0.05倍未満の場合、乾燥工程において、凸部形成粒子が毛管力により凝集するため、作製される微細凹凸構造体はアスペクト比が小さいか、又は、凹凸間隔が不均一なものとなる。前記塗工面の凹凸高さが凸部形成粒子の粒径の0.5倍を超える場合、凸部形成粒子が塗工面の凹凸に埋没してしまうため、アスペクト比の大きな微細凹凸構造体を作製することができない。
本発明において、凹凸間隔が均一で、かつアスペクト比の大きな微細凹凸構造体を得るのに好適であることから、前記塗工面の凹凸高さが凸部形成粒子の粒径の0.10〜0.45倍であることが好ましく、0.15〜0.40倍であることがさらに好ましく、0.20〜0.35倍であることが特に好ましい。ここで、本発明において「凹凸高さ」とは、微細凹凸構造に存在する凸部の頂点から隣接する平坦部又は凹部の最底部までの膜厚方向の距離の平均をいい(例えば、図2の符号H)、膜断面の走査型電子顕微鏡像において、50点以上の凸部について前記距離を測定し、平均することで算出可能である。また、「凹凸間隔」は、微細凹凸構造体の凸部の頂点から近接する凸部の頂点までの面内方向の距離(例えば、図2の符号L)をいい、凹凸間隔にばらつきがある場合、ある凸部についての前記距離Lとは、該凸部に対して前記距離Lが最も小さい方から順に4点の凸部を選択し、選択した4点の凸部に対する前記距離Lの4点平均値Lを示す。また、凹凸間隔は、膜表面又は断面の走査型電子顕微鏡像において、50点以上の凸部について前記距離Lを測定し、平均することで算出可能である。また、「凹凸間隔が均一」であるとは、ある凸部に近接する4点の凸部について、前記距離Lが最も小さい方から順にL、L、L、Lとしたとき、該凸部についてのLの標準偏差σを下記式(a)により求め、さらに、50点以上の凸部についてσを求め、平均したとき、σの平均値/凹凸間隔の比が小さいことをいう。
σ=(Σ(L−L/4)1/2 (ただし、i=1〜4) (a)
本発明の製造方法では、プライマー層形成のための塗工液(以下、「プライマー層形成用塗工液」という。)を基材の表面に塗工することで、量産性に優れ、かつ均一性が高い微細凹凸構造体を大面積に形成することができる。
プライマー層の形成(塗工)の方法としては特に制限はないが、例えば、バーコート、スピンコート、グラビアコート、マイクログラビアコート、スロットダイコート、ディップコート等を挙げることができる。また、必要に応じて塗工の後にプライマー層を乾燥させる工程を含んでいてもよく、後述する乾燥工程と同様の乾燥方法を利用可能である。さらに、作製される微細凹凸構造体の強度を高め、凹凸間隔の均一性を高めるのにより好適であることから、塗工又は乾燥の後にプライマー層を架橋させる工程を含んでいてもよく、後述する架橋化工程と同様の架橋方法を利用可能である。
本発明において、前記プライマー層形成用塗工液としては、前記凸部形成粒子よりも粒径の小さな凸部形成に関与しない粒子(以下、本発明の製造方法において、凸部形成粒子以外の粒子を「内部粒子」という。)を含有する塗工液を用いることが好ましい。凸部形成粒子よりも粒径の小さな内部粒子を含有することによって、凸部形成粒子の粒径の0.05倍以上0.5倍以下の凹凸高さを有する凹凸を形成しやすく、好適なものとなる。
前記内部粒子の種類としては特に制限はなく、前述の凸部形成粒子と同様の粒子を用いることができる。凸部形成粒子の粒径の0.05倍以上0.5倍以下の凹凸高さを有する凹凸を形成するのにより好適であることから、内部粒子の粒径が凸部形成粒子の粒径の0.1〜0.9倍であることがさらに好ましく、0.2〜0.8倍であることが特に好ましく、0.3〜0.7倍であることが最も好ましい。
本発明では、用いられる基材については、該基材自体の塗工面における凹凸高さが凸部形成粒子の粒径の0.05倍未満であってもよく、又は、0.5倍を超えるものであっても、前記プライマー層が凸部形成粒子の粒径の0.05倍以上0.5倍以下の凹凸を形成することで、該基材を用いることができる。
本発明で用いる基材の種類としては、特に制限はなく、例えば、樹脂、ガラス、セラミックス等が挙げられ、形状的にはフィルム、シート、板の他、曲面を有する形状の構造物等如何なる形状の基材であっても用いることができる。
前記樹脂の基材としては、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、アセテートブチレートセルロース等のセルロース系樹脂;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂;ポリエーテル樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリエーテルサルホン;ポリエーテルケトン等が挙げられる。
前記基材の表面には耐擦傷性や密着性等を高めるため、ハードコート層やアンカーコート層等のコート層を形成してあっても良く、密着性や塗工性等を高めるためUVオゾン洗浄、プラズマ処理、コロナ処理等の表面処理を施してあっても良い。また、前記プライマー層と同様の層が形成されているものであってもよい。
前記(2)工程では、凸部形成粒子及び架橋性樹脂を含む塗工液をプライマー層表面に塗布する。(2)工程(塗布工程)後の微細凹凸形状の断面の模式図を図1(B)に示す。
本発明の製造方法では、凸部形成粒子を含む塗工液を用いることにより、凸部形成粒子によって微細凹凸形状が形成される。塗工液が凸部形成粒子を含まない場合、微細凹凸形状が形成されない。また、架橋性樹脂を含む塗工液を用いることにより、微細凹凸構造体の凹凸間隔のばらつきを生じることや、線状の模様(線欠損)が生じることを防止することができる。線欠損は、粒子が存在する部分と、粒子が存在しない部分が生じることにより発生し、微細凹凸構造体の外観を損なうものとなる。また、架橋性樹脂を含み、後述する架橋化工程を行うことにより、微細凹凸構造体の強度や耐擦傷性を高めることができる。架橋性樹脂を含有しない場合、耐擦傷性に劣るものとなる。
前記塗工液の基材への塗布に際して、塗工方法は如何なる方法であっても良いが、例えば、バーコート、スピンコート、グラビアコート、マイクログラビアコート、スロットダイコート、ディップコート等を挙げることができる。塗工膜厚としては特に限定はなく、塗工液の固形分濃度を鑑みて、目的の膜厚が得られるように塗工すればよい。微細凹凸構造体の強度及び耐擦傷性を高めるのに好適であることから、後述の乾燥工程の後に、凸部形成粒子が単層で基材上に配列するように塗工することが好ましい。
本発明の塗布工程で用いる塗工液は、凸部形成粒子及び架橋性樹脂を含むことに加え、希釈剤、及び該希釈剤の沸点よりも高沸点の成分(以下、「高沸点成分」という。)をさらに含むことが好ましい。希釈剤及び高沸点成分を含むことにより、希釈剤が揮発した後に凸部形成粒子、架橋性樹脂、及び高沸点成分からなる液膜が一度形成され、その後高沸点成分が揮発して凸部形成粒子が液膜の液面から露出し、微細凹凸層が形成されることで、凸部形成粒子の凝集を抑制し、凹凸間隔の均一な微細凹凸構造体を作製するのに好適なものとなる。
前記希釈剤は膜厚の調整等の目的で塗工液を希釈するものであり、該希釈剤としては、粒子が分散可能かつ架橋性樹脂が相溶可能な有機溶剤が好ましく、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン等を挙げることができる。
前記高沸点成分は、希釈剤よりも高沸点であること以外には特に制限はないが、希釈剤が揮発した後の塗工液の液膜において粒子が均一に分散し、凹凸間隔の均一な微細凹凸構造体を作製するのに好適であることから、一般式RO―(CO)―R(一般式(I))(R、R:Hまたは炭素数1〜20のアルキル基、アセチル基、ビニル基、アクリル基、メタクリル基、n=1〜4)で表される溶剤を含有することが好ましく、一般式(I)におけるR、Rがアルキル基である溶剤を含有することがさらに好ましい。
具体的な高沸点成分としては、例えば、エチレングリコール、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールエチルメチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールビニルエーテル、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジエチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールエチルメチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールビニルエーテル、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコール、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールエチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノプロピルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、テトラエチレングリコールモノフェニルエーテル、テトラエチレングリコールジブチルエーテル、テトラエチレングリコールジアセテート、テトラエチレングリコールビニルエーテル、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。粒子としてシリカ粒子を用いる場合には、シリカ粒子との親和性からジエチレングリコール部位を有する溶剤であることが好ましく、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテルがさらに好ましい。
本発明では、後述する乾燥工程において毛管力により凸部形成粒子が凝集することを抑制し、凹凸間隔の均一な微細凹凸構造体を得るのに好適であることから、該高沸点成分の25℃における粘度が1cP以上であることが好ましく、1.5cP以上であることがさらに好ましく、2cP以上であることが特に好ましく、5cP以上であることが最も好ましい。
前記凸部形成粒子を含む塗工液としてはまた、凸部形成粒子と高沸点成分の組成比が、体積比で凸部形成粒子/高沸点成分=1/0.05〜1/500の範囲にあることが好ましい。凸部形成粒子と高沸点成分の組成比が前記範囲にあるとき、希釈剤が揮発した後の塗工液の液膜において粒子が均一に分散し、凹凸間隔の均一な微細凹凸構造体を作製するのに好適なものとなる。凹凸間隔の均一な微細凹凸構造体を得るのにより好適であることから、凸部形成粒子と高沸点成分の組成比が、体積比で凸部形成粒子/高沸点成分=1/0.05〜1/100であることがさらに好ましく、1/0.05〜1/10であることが特に好ましく、1/0.05〜1/5であることが最も好ましい。
なお、本発明においては、前述のプライマー層形成用塗工液についても、前記凸部形成粒子を含む塗工液と同様に、高沸点成分を含むことが好ましいものとなる。好適な希釈剤や高沸点成分、及び粒子(プライマー層形成用塗工液においては内部粒子)と高沸点成分の組成比も同様なものとなる。
前記(3)工程では、前記塗布された塗工液を乾燥させる。(3)工程(乾燥工程)後の微細凹凸層の断面の模式図を図1(C)に示す。
本発明の製造方法では、前記塗布された塗工液を乾燥させることにより、塗工液から揮発可能な成分が揮発し、基材上に微細凹凸層が形成される。
乾燥工程における乾燥方法としては、加熱乾燥、減圧乾燥、常温常圧での自然乾燥、空気や窒素等の気体の吹きつけによる乾燥等、如何なる方法も利用可能であるが、例えば、前記加熱乾燥としては、熱風乾燥、遠赤外線乾燥、UV乾燥等を挙げることができる。このとき、加熱温度や加熱時間に特に制限はないが、微細凹凸構造体の量産性を高めるのに好適であることから、30〜200℃で1時間以内の加熱を行うことが好ましく、50〜150℃で30分以内の加熱を行うことがさらに好ましく、70〜130℃で10分以内の加熱を行うことが特に好ましい。
前記(4)工程では、架橋処理により架橋性樹脂を架橋させ微細凹凸構造体を得る架橋化工程を有する。(4)工程(架橋化工程)後の微細凹凸構造体の断面の模式図を図1(D)に示す。
本発明の製造方法では、前記乾燥後に得られる微細凹凸層中の架橋性樹脂に対して架橋処理することにより、微細凹凸構造体の強度や耐擦傷性を高めることができる。
架橋化工程における架橋処理としては如何なる方法も利用可能であるが、例えば、加熱又は光照射、活性エネルギー線照射により架橋性樹脂を重合させ架橋させる方法を挙げることができる。微細凹凸構造体の量産性を高めるのに好適であることから、活性エネルギー線照射により架橋させることが好ましい。架橋時間に特に制限はないが、1秒〜60分程度が好ましく、3秒〜20分がさらに好ましく、5秒〜10分が特に好ましく、10秒〜5分が最も好ましい。
本発明の製造方法により製造される微細凹凸構造体を反射防止膜として用いる場合、該反射防止膜は、粒子を配列させ形成されるものであることを特徴とすることから、高い生産性で大面積であることを特徴とする。
本発明の製造方法により製造される微細凹凸構造体を反射防止膜として用いる場合には、該反射防止膜がない場合と比較して可視光域の光の散乱を増加させないことから、ディスプレイの視認性を損なうことなく、外光の映り込みを防止することができる。また、反射を防止した分だけ透過光量を向上させることが可能であることから、太陽電池の光取り込み効率の向上、及び有機ELの光取り出し効率の向上のために用いることができる。また、凹凸による回折構造の形成、内部構造への凹凸構造の形成により、有機ELにおける内部構造での全反射を抑制し、輝度の向上のために用いることができる。
本発明の製造方法により製造される微細凹凸構造体は、基材の撥水性又は親水性向上のために用いることができる。表面に疎水性の成分を有する微粒子を用いることで高撥水性又は超撥水性を付与することができ、表面に親水性の成分を有する微粒子を用いることで高親水性又は超親水性を付与することができる。前記疎水性成分としては、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、パーフルオロエチレン、3−フルオロスチレン、4−フルオロスチレン、トリフルオロスチレン等が挙げられ、また前記親水性成分としては、例えば、シリカ、(メタ)アクリルポリマー等が挙げられる。
また、本発明の製造方法により製造される微細凹凸構造体は、細胞培養基材として用いることができる。
本発明の製造方法により製造される微細凹凸構造体は、微細凹凸構造体を反射防止膜、超撥水コーティング、細胞足場材に用いるのにより好適であることから、凹凸高さ/凸部形成粒子の粒径の比(アスペクト比)が0.6以上であることが好ましく、0.7以上であることがさらに好ましく、0.8以上であることが特に好ましい。
本発明の製造方法により製造される微細凹凸構造体は、均一な凹凸構造を得るのにより好適であることから、凹凸間隔のばらつきが少ないことが好ましく、凹凸間隔の標準偏差σの平均/凹凸間隔が、20%以下であることが好ましく、15%以下であることがさらに好ましく、10%以下であることが特に好ましく、5%以下であることが最も好ましい。
本発明の製造方法により製造される微細凹凸構造体は、微細凹凸構造体を目視で観察した際に欠損を有さないことが好ましい。また、より強度に優れた微細凹凸構造体を得るのに好適であるため、ベンコットやスチールウールでの擦り試験において傷を生じないことが好ましい。
本発明の製造方法により製造される微細凹凸構造体を反射防止膜に用いる場合、膜の透明性を高めるのに好適であることから、凹凸間隔が250nm以下であることが好ましく、200nm以下であることがさらに好ましく、150nm以下であることが特に好ましい。また、凹凸高さが50nm以上であることが好ましく、70nm以上であることがさらに好ましく、100nm以上であることが特に好ましい。
本発明の製造方法により製造される微細凹凸構造体を反射防止膜に用いる場合、透光性に優れる反射防止膜を製造するのに好適であることから、JIS−K−7136で規定される全光線透過率が90%以上であることが好ましく、92%以上であることがさらに好ましく、94%以であることが特に好ましく、95%以上であることが最も好ましい。また、透明性の高い反射防止膜を製造するのに好適であることから、JIS−K−7136で規定されるヘーズ値が1%以下であることが好ましく、0.8%以下であることがさらに好ましく、0.6%以下であることが特に好ましく、0.5%以下であることが最も好ましい。
本発明によれば、量産性に優れ、凹凸高さ/粒径の比が大きく、凹凸間隔が均一であり、耐擦傷性に優れる微細凹凸構造体の製造方法を提供することができる。本発明の製造方法により製造される微細凹凸構造体は、透明性及び透光性に優れる反射防止膜、超撥水コーティング、細胞培養基材に用いることができる。
以下、本発明を実施例及び比較例によってより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例及び比較例において、特に記載のない試料等については、市販のものを用いた。
[粒径の測定]
粒径は透過型電子顕微鏡(日本電子社製JEM−2100F)を用い、粒子分散液をコロジオン支持銅メッシュ上にキャスト乾燥したサンプルを測定した写真上で、粒子の最大粒径を測定することで算出し、また、無作為に選んだ50点の粒子について平均して求めた。
[粒子の分散度測定]
粒子の分散度は動的光散乱法(大塚電子社製ELSZ−1000ZS)により測定し、キュムラント法により算出した。測定には粒子濃度0.1wt%の水分散液を使用した。
[凹凸高さの測定]
凹凸高さは原子間力顕微鏡(日立ハイテクサイエンス社製AFM5100)を用い、オリンパス社製カンチレバーOMCL−AC200TSを用いてダイナミックフォースモードで測定した形状像において、凸部と凹部、又は、凸部と平坦部との膜厚方向の距離を求め、50点の凸部について該距離を平均することで算出した。
[凹凸間隔の測定]
凹凸間隔は、走査型電子顕微鏡(キーエンス社製VE−9800)を用いて測定した形状像において、ある凸部について、該凸部に最近接する4点の凸部との頂点間の面内方向の距離Lを求め、4点のLを平均した平均値Lを求め、さらに50点の凸部についてLを平均することで求めた。
[凹凸間隔の標準偏差σの平均値の算出]
凹凸間隔の標準偏差は、走査型電子顕微鏡(キーエンス社製VE−9800)を用いて測定した形状像において、ある凸部について、該凸部に最隣接する4点の凸部との頂点間の面内方向の距離が最も小さい方から順にL、L、L、Lとしたとき、該凸部についての凸部間距離の標準偏差σを下記式により求め、さらに、50点の凸部についてσを求め、平均した。
σ=(Σ(L−L/4)1/2 (ただし、i=1〜4) (a)
[アスペクト比の算出]
凹凸高さ/粒径の比(アスペクト比)は、前述の方法で測定した凹凸高さ及び粒径から算出した。
[凹凸間隔のばらつきの評価]
凹凸間隔のばらつきは、σの平均/凹凸間隔の値を求め、評価した。
[微細凹凸構造体の外観]
微細凹凸構造体の外観は目視により確認し、次のように評価した。
○:目視で微細凹凸構造体が均一。
×:目視で確認できる欠損がある等、不均一な外観。
[耐擦傷性の評価]
耐擦傷性はベンコット試験により評価した。ベンコット(旭化成社製M−311)の面積4cmの領域に荷重100gをかけ、4cm/秒の速度で行い、試料上を10往復させた。
耐擦傷性は次のように評価した。
◎:ベンコット試験による傷なし。
○:ベンコット試験による傷30本未満。
×:ベンコット試験により膜が破壊。
[全光線透過率及びヘーズ値の測定]
全光線透過率、ヘーズ値の測定は日本電色工業製NDH−5000を用いてJIS−K−7136に従い、基材を含めて測定した。
[実施例1]
(プライマー層形成)
粒径65nmのシリカ粒子の水分散液(日産化学社製ST−YL、40wt%)を用い、粒子200g、エタノール150g、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製KBM−503)4g、及び28wt%アンモニア水0.2gを撹拌しながら加え、60℃で3時間反応させ室温まで冷却した。その後、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学社製A−TMMT、4官能、粘度570cP)56g、及びメタノール150gを加えた。エバポレータにより溶媒を留去し、メタノール500gを加え再度溶媒を留去する操作を3回繰り返した。留去操作後、重合開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(BASF社製DAROCUR1173)2.8gを加えた溶液組成物を調製した。この溶液組成物に希釈剤としてメチルエチルケトン(MEK)を加え、組成物濃度(全溶液量に対するシリカ粒子、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、重合開始剤、及びシランカップリング剤の量)4wt%の塗工液組成物を調製した。また、ペンタエリスリトールテトラアクリレート及び重合開始剤を用いる代わりに、全量をジエチレングリコールブチルメチルエーテルに置き換えた溶液も調製し、その他は前述と同様にして組成物濃度(全溶液量に対するシリカ粒子、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、及びシランカップリング剤の量)4wt%の塗工液組成物を調製した。
上記塗工液組成物を混合することで、重量比でシリカ粒子/アクリレート/ジエチレングリコールブチルメチルエーテル=4/3/3である組成物であって、組成物濃度4wt%のMEK溶液を調製した。ガラス基板(松浪硝子社製、膜厚140μm)上にこの溶液を1500rpmで10秒間スピンコートし、80℃で5分間熱風乾燥後、窒素雰囲気下で20分間UV照射して硬化(架橋性樹脂の架橋)させた。
(微細凹凸構造体形成)
粒径120nmのシリカ粒子の水分散液(日産化学社製MP−1040、40wt%)を用い、粒子200g、エタノール150g、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製KBM−503)4g、及び28wt%アンモニア水0.2gを撹拌しながら加え、60℃で3時間反応させ室温まで冷却した。その後、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学社製A−DPH、6官能、粘度6600cP)56g、及びメタノール150gを加えた。エバポレータにより溶媒を留去し、メタノール500gを加え再度溶媒を留去する操作を3回繰り返した。留去操作後、重合開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(BASF社製IRUGACURE907)2.8gを加えた溶液組成物を調製した。この溶液組成物に希釈剤としてメチルエチルケトン(MEK)を加え、組成物濃度(全溶液量に対するシリカ粒子、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、重合開始剤、及びシランカップリング剤の量)4wt%の塗工液組成物を調製した。また、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート及び重合開始剤を用いる代わりに、全量をジエチレングリコールブチルメチルエーテルに置き換えた溶液も調製し、その他は前述と同様にして組成物濃度(全溶液量に対するシリカ粒子、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、及びシランカップリング剤の量)4wt%の塗工液組成物を調製した。
上記塗工液組成物を混合することで、重量比でシリカ粒子/アクリレート/ジエチレングリコールブチルメチルエーテル=4/0.5/6である組成物であって、組成物濃度4wt%のMEK溶液を調製した。プライマー層を形成したフィルム上にこの溶液を3000rpmで10秒間スピンコートし、80℃で5分間熱風乾燥後、窒素雰囲気下で20分間UV照射して硬化(架橋性樹脂の架橋)させた。
プライマー層が形成された基材の凹凸高さは30nmであり、塗工面の凹凸高さ/凸部形成粒子の粒径の比は0.25であった。
作製した微細凹凸構造体の表面の走査型電子顕微鏡像を図3に示す。凹凸高さは102nm、アスペクト比は0.85であり、アスペクト比の大きな凹凸が形成されていた。凹凸間隔は141nm、凹凸間隔の標準偏差の平均/凹凸間隔は2%であり、凹凸間隔のばらつきが少ないものであった。また、微細凹凸構造体の外観は均一で、耐擦傷性にも優れるものであった。
作製した微細凹凸構造体の構成及び特性を表1に示す。
[実施例2]
プライマー層の形成として、粒径65nmのシリカ粒子の水分散液(日産化学社製ST−YL、40wt%)を用いる代わりに、粒径45nmのシリカ粒子の水分散液(日産化学社製ST−20L、20wt%)を用いたことを除き、実施例1と同様にして微細凹凸構造体を作製した。
プライマー層が形成された基材の凹凸高さは10nmであり、塗工面の凹凸高さ/凸部形成粒子の粒径の比は0.08であった。
作製した微細凹凸構造体の凹凸高さは110nm、アスペクト比は0.92であり、アスペクト比の大きな凹凸が形成されていた。凹凸間隔は152nm、凹凸間隔の標準偏差の平均/凹凸間隔は5%であり、凹凸間隔のばらつきが少ないものであった。また、微細凹凸構造体の外観は均一で、耐擦傷性にも優れるものであった。
作製した微細凹凸構造体の構成及び特性を表1に合わせて示す。
[実施例3]
プライマー層の形成として、粒径65nmのシリカ粒子の水分散液(日産化学社製ST−YL、40wt%)を用いる代わりに、粒径95nmのシリカ粒子の水分散液(日産化学社製ST−ZL、30wt%)を用いたことを除き、実施例1と同様にして微細凹凸構造体を作製した。
プライマー層が形成された基材の凹凸高さは50nmであり、塗工面の凹凸高さ/凸部形成粒子の粒径の比は0.42であった。
作製した微細凹凸構造体の凹凸高さは75nm、アスペクト比は0.63であり、アスペクト比の大きな凹凸が形成されていた。凹凸間隔は136nm、凹凸間隔の標準偏差の平均/凹凸間隔は2%であり、凹凸間隔のばらつきが少ないものであった。また、微細凹凸構造体の外観は均一で、耐擦傷性にも優れるものであった。
作製した反射防止膜の構成及び特性を表1に合わせて示す。
[実施例4]
プライマー層の形成を以下の方法で実施し、その他は実施例1と同様にして微細凹凸構造体を作製した。
トリアセチルセルロース(TAC)フィルム(富士フイルム社製、膜厚80μm)上へのメチルエチルケトン(MEK)の滴下及び2000rpmでのスピンコートを5回繰り返した。80℃で2分間熱風乾燥を行い、室温まで冷却してプライマー層を形成した。
このとき、プライマー層が形成された基材の凹凸高さは15nmであり、塗工面の凹凸高さ/凸部形成粒子の粒径の比は0.13であった。
作製した微細凹凸構造体の凹凸高さは104nm、アスペクト比は0.87であり、アスペクト比の大きな凹凸が形成されていた。凹凸間隔は132nm、凹凸間隔の標準偏差の平均/凹凸間隔は8%であり、凹凸間隔のばらつきが少ないものであった。また、微細凹凸構造体の外観は均一で、耐擦傷性にも優れるものであった。
作製した微細凹凸構造体の構成及び特性を表1に合わせて示す。
[実施例5]
プライマー層の形成を以下の方法で実施し、プライマー層が内部粒子を含まないものとしたことを除き、実施例1と同様にして微細凹凸構造体を作製した。
トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート(ダイセル・オルネクス社製TMPEOTA、3官能、粘度60cP)56gに重合開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(BASF社製DAROCUR1173)2.8gを加え、メチルエチルケトン(MEK)で固形分濃度5%に希釈した。ガラス基板(松浪硝子社製、膜厚140μm)上にこの溶液を1500rpmで10秒間スピンコートし、80℃で5分間熱風乾燥後、窒素雰囲気下で20分間UV照射して硬化(架橋性樹脂の架橋)させた。この膜上に粒径120nmのシリカ粒子の水分散液(日産化学社製MP−1040、40wt%)を固形分濃度1.6%にメタノールで希釈した溶液を1200rpmでスピンコートし、粒子によりマスクを形成した。キャリアガスとして空気を用いてプラズマ表面処理装置(真空デバイス社製PIB−20)により、圧力13.3Pa、出力30Aで1分間プラズマエッチングを行った。膜の表面をイオン交換水で洗浄しながら擦ることにより、塗布した粒径120nm粒子のマスクを除去してプライマー層を形成した。
このとき、プライマー層が形成された基材の凹凸高さは25nmであり、塗工面の凹凸高さ/凸部形成粒子の粒径の比は0.21であった。
作製した微細凹凸構造体の凹凸高さは95nm、アスペクト比は0.79であり、アスペクト比の大きな凹凸が形成されていた。凹凸間隔は148nm、凹凸間隔の標準偏差の平均/凹凸間隔は2%であり、凹凸間隔のばらつきが少ないものであった。また、微細凹凸構造体の外観は均一で、耐擦傷性にも優れるものであった。
作製した微細凹凸構造体の構成及び特性を表1に合わせて示す。
[実施例6]
微細凹凸構造体を形成する塗工液として、ジエチレングリコールブチルメチルエーテルを含まない溶液を用いたことを除き、実施例1と同様にして微細凹凸構造体を作製した。
プライマー層が形成された基材の凹凸高さは30nmであり、塗工面の凹凸高さ/凸部形成粒子の粒径の比は0.25であった。
作製した微細凹凸構造体の凹凸高さは102nm、アスペクト比は0.85であり、アスペクト比の大きな凹凸が形成されていた。凹凸間隔は125nm、凹凸間隔の標準偏差の平均/凹凸間隔は8%であり、凹凸間隔のばらつきが少ないものであった。また、微細凹凸構造体の外観は均一で、耐擦傷性にも優れるものであった。
作製した微細凹凸構造体の構成及び特性を表1に合わせて示す。
[実施例7]
微細凹凸構造体を形成する塗工液の架橋性樹脂として、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学社製A−DPH、6官能、粘度6600cP)を用いる代わりに、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート(ダイセル・オルネクス社製TMPEOTA、3官能、粘度60cP)を用いたことを除き、実施例1と同様にして微細凹凸構造体を作製した。
プライマー層が形成された基材の凹凸高さは25nmであり、塗工面の凹凸高さ/凸部形成粒子の粒径の比は0.21であった。
作製した微細凹凸構造体の凹凸高さは105nm、アスペクト比は0.88であり、アスペクト比の大きな凹凸が形成されていた。凹凸間隔は142nm、凹凸間隔の標準偏差の平均/凹凸間隔は2%であり、凹凸間隔のばらつきが少ないものであった。また、微細凹凸構造体の外観は均一で、耐擦傷性にも優れるものであった。
作製した微細凹凸構造体の構成及び特性を表1に合わせて示す。
[実施例8]
微細凹凸構造体を形成する塗工液の架橋性樹脂として、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学社製A−DPH、6官能、粘度6600cP)を用いる代わりに、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(ダイセル・オルネクス社製HDDA、2官能、粘度6.5cP)を用いたことを除き、実施例1と同様にして微細凹凸構造体を作製した。
プライマー層が形成された基材の凹凸高さは25nmであり、塗工面の凹凸高さ/凸部形成粒子の粒径の比は0.21であった。
作製した微細凹凸構造体の凹凸高さは108nm、アスペクト比は0.90であり、アスペクト比の大きな凹凸が形成されていた。凹凸間隔は154nm、凹凸間隔の標準偏差の平均/凹凸間隔は8%であり、凹凸間隔のばらつきが少ないものであった。また、微細凹凸構造体の外観は均一で、耐擦傷性にも優れるものであった。
作製した微細凹凸構造体の構成及び特性を表1に合わせて示す。
[実施例9]
微細凹凸構造体を形成する塗工液に含まれる高沸点成分として、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル(粘度1.6cP)を用いる代わりに、エチレングリコールジメチルエーテル(粘度0.57cP)を用いたことを除き、実施例1と同様にして微細凹凸構造体を作製した。
プライマー層が形成された基材の凹凸高さは25nmであり、塗工面の凹凸高さ/凸部形成粒子の粒径の比は0.21であった。
作製した微細凹凸構造体の凹凸高さは102nm、アスペクト比は0.85であり、アスペクト比の大きな凹凸が形成されていた。凹凸間隔は146nm、凹凸間隔の標準偏差の平均/凹凸間隔は6%であり、凹凸間隔のばらつきが少ないものであった。また、微細凹凸構造体の外観は均一で、耐擦傷性にも優れるものであった。
作製した微細凹凸構造体の構成及び特性を表1に合わせて示す。
[実施例10]
微細凹凸構造体の凸部を形成する凸部形成粒子として、粒径120nmのシリカ粒子の水分散液(日産化学社製MP−1040、40wt%)を用いる代わりに、粒径65nmのシリカ粒子の水分散液(日産化学社製ST−YL、40wt%)を用いたことを除き、実施例1と同様にして微細凹凸構造体を作製した。
プライマー層が形成された基材の凹凸高さは25nmであり、塗工面の凹凸高さ/凸部形成粒子の粒径の比は0.38であった。
作製した微細凹凸構造体の凹凸高さは35nm、アスペクト比は0.54であり、アスペクト比の大きな凹凸が形成されていた。凹凸間隔は87nm、凹凸間隔の標準偏差の平均/凹凸間隔は2%であり、凹凸間隔のばらつきが少ないものであった。また、微細凹凸構造体の外観は均一で、耐擦傷性にも優れるものであった。
作製した微細凹凸構造体の構成及び特性を表1に合わせて示す。
[実施例11]
微細凹凸構造体の凸部を形成する凸部形成粒子として、粒径120nmのシリカ粒子の水分散液(日産化学社製MP−1040、40wt%)を用いる代わりに、粒径180nmのシリカ粒子の水分散液(日産化学社製MP−2040、40wt%)を用いたことを除き、実施例1と同様にして微細凹凸構造体を作製した。
プライマー層が形成された基材の凹凸高さは25nmであり、塗工面の凹凸高さ/凸部形成粒子の粒径の比は0.14であった。
作製した微細凹凸構造体の凹凸高さは145nm、アスペクト比は0.81であり、アスペクト比の大きな凹凸が形成されていた。凹凸間隔は225nm、凹凸間隔の標準偏差の平均/凹凸間隔は2%であり、凹凸間隔のばらつきが少ないものであった。また、微細凹凸構造体の外観は均一で、耐擦傷性にも優れるものであった。
作製した微細凹凸構造体の構成及び特性を表1に合わせて示す。
[実施例12]
微細凹凸構造体を形成する塗工液として、重量比でシリカ粒子/アクリレート/ジエチレングリコールブチルメチルエーテル=4/0.5/6の組成物を用いる代わりに、重量比でシリカ粒子/アクリレート/ジエチレングリコールブチルメチルエーテル=4/0.5/0.02の溶液を用いたことを除き、実施例1と同様にして微細凹凸構造体を作製した。
プライマー層が形成された基材の凹凸高さは25nmであり、塗工面の凹凸高さ/凸部形成粒子の粒径の比は0.21であった。
作製した微細凹凸構造体の凹凸高さは110nm、アスペクト比は0.92であり、アスペクト比の大きな凹凸が形成されていた。凹凸間隔は142nm、凹凸間隔の標準偏差の平均/凹凸間隔は8%であり、凹凸間隔のばらつきが少ないものであった。また、微細凹凸構造体の外観は均一で、耐擦傷性にも優れるものであった。
作製した微細凹凸構造体の構成及び特性を表1に合わせて示す。
[実施例13]
微細凹凸構造体を形成する塗工液として、重量比でシリカ粒子/アクリレート/ジエチレングリコールブチルメチルエーテル=4/0.5/6の組成物を用いる代わりに、重量比でシリカ粒子/アクリレート/ジエチレングリコールブチルメチルエーテル=4/1.5/6の組成物を用いたことを除き、実施例1と同様にして微細凹凸構造体を作製した。
プライマー層が形成された基材の凹凸高さは25nmであり、塗工面の凹凸高さ/凸部形成粒子の粒径の比は0.21であった。
作製した微細凹凸構造体の凹凸高さは65nm、アスペクト比は0.54であり、アスペクト比の大きな凹凸が形成されていた。凹凸間隔は145nm、凹凸間隔の標準偏差の平均/凹凸間隔は2%であり、凹凸間隔のばらつきが少ないものであった。また、微細凹凸構造体の外観は均一で、耐擦傷性にも優れるものであった。
作製した微細凹凸構造体の構成及び特性を表1に合わせて示す。
[実施例14]
プライマー層に含まれる内部粒子として、粒径65nmのシリカ粒子の水分散液(日産化学社製ST−YL、40wt%)を用いる代わりに、粒径150nmのシリカ粒子の水分散液(日揮触媒化成製カタロイド特殊品、40wt%)を用いたことを除き、実施例1と同様にして微細凹凸構造体を作製した。
プライマー層が形成された基材の凹凸高さは55nmであり、塗工面の凹凸高さ/凸部形成粒子の粒径の比は0.46であった。
作製した微細凹凸構造体の凹凸高さは73nm、アスペクト比は0.61であり、アスペクト比の大きな凹凸が形成されていた。凹凸間隔は134nm、凹凸間隔の標準偏差の平均/凹凸間隔は2%であり、凹凸間隔のばらつきが少ないものであった。また、微細凹凸構造体の外観は均一で、耐擦傷性にも優れるものであった。
作製した微細凹凸構造体の構成及び特性を表1に合わせて示す。
[比較例1]
微細凹凸構造体を形成する塗工液として、凸部形成粒子を含まないものを用いたことを除き、実施例1と同様にして膜の作製を行った。
作製した膜は平滑なものであり、微細凹凸構造は形成されていなかった。
作製した膜の構成及び特性を表2に示す。
作製した微細凹凸構造体は目視で確認可能な線状の欠損を有し、外観に劣るものであった。また、耐擦傷性に劣るものであった。
作製した微細凹凸構造体の構成及び特性を表2に合わせて示す。
[比較例3]
プライマー層を形成する塗工液として、重量比でシリカ粒子/アクリレート/ジエチレングリコールブチルメチルエーテル=4/3/3の組成物を用いる代わりに、重量比でシリカ粒子/アクリレート/ジエチレングリコールブチルメチルエーテル=4/9/3の組成物を用いたことを除き、実施例1と同様にして微細凹凸構造体を作製した。
プライマー層が形成された基材の凹凸高さは3nmであり、塗工面の凹凸高さ/凸部形成粒子の粒径の比は0.03であった。
作製した微細凹凸構造体の表面の走査型電子顕微鏡像を図4に示す。作製した微細凹凸構造体は凹凸間隔の標準偏差σの平均/凹凸間隔が21%であり、凹凸間隔のばらつきが大きなものであった。
作製した微細凹凸構造体の構成及び特性を表2に合わせて示す。
[比較例4]
プライマー層を形成する塗工液として、粒径65nmのシリカ粒子の水分散液(日産化学社製ST−YL、40wt%)を用いる代わりに、粒径180nmのシリカ粒子の水分散液(日産化学社製MP−2040、40wt%)を用いたこと、及び、重量比でシリカ粒子/アクリレート/ジエチレングリコールブチルメチルエーテル=4/3/3の組成物を用いる代わりに、重量比でシリカ粒子/アクリレート/ジエチレングリコールブチルメチルエーテル=4/2/3の組成物を用いたことを除き、実施例1と同様にして微細凹凸構造体を作製した。
プライマー層が形成された基材の凹凸高さは70nmであり、塗工面の凹凸高さ/凸部形成粒子の粒径の比は0.58であった。
作製した微細凹凸構造体の凹凸高さは40nm、アスペクト比は0.33であり、アスペクト比の小さなものであった。
作製した微細凹凸構造体の構成及び特性を表2に合わせて示す。
[比較例5]
プライマー層形成工程を設けなかったことを除き、実施例1と同様にして微細凹凸構造体を作製した。
作製した微細凹凸構造体は凹凸間隔の標準偏差σの平均/凹凸間隔が23%であり、凹凸間隔のばらつきが大きなものであった。
作製した微細凹凸構造体の構成及び特性を表2に合わせて示す。
[比較例6]
塗布工程の後に乾燥工程を設けなかったことを除き、実施例1と同様にして膜を作製した。
作製した膜は平滑であり、微細凹凸構造体が形成されていなかった。また、耐擦傷性に劣るものであった。
作製した膜の構成及び特性を表2に合わせて示す。
[比較例7]
乾燥工程の後に架橋化工程を設けなかったことを除き、実施例1と同様にして膜を作製した。
作製した膜は耐擦傷性に劣るものであった。
作製した膜の構成及び特性を表2に合わせて示す。
本発明によれば、量産性に優れ、凹凸高さ/粒径の比が大きく、凹凸間隔が均一であり、耐擦傷性に優れる微細凹凸構造体を、簡便な方法で作製可能な微細凹凸構造体の製造方法を提供することができる。本発明はまた、該微細凹凸構造体を用いることで、透明性及び透光性能に優れた反射防止膜を提供することができ、視認性の高いディスプレイ、光取り込み効率の高い太陽電池、光取り出し効率の高い有機EL等に応用可能である。本発明の微細凹凸構造体はまた、撥水性及び親水性基材、細胞培養基材に応用可能である。
本発明における微細凹凸構造体の製造方法の模式図 (A)プライマー層形成工程後の断面の模式図 (B)塗布工程後の断面の模式図 (C)乾燥工程後の断面の模式図 (D)架橋化工程後の断面の模式図 本発明の製造方法で製造される微細凹凸構造体の断面の模式図 実施例1の微細凹凸構造体表面の走査型電子顕微鏡像 比較例3の微細凹凸構造体表面の走査型電子顕微鏡像
1 塗工面の凹凸構造
2 凸部形成粒子
3 塗工液に含まれる凸部形成粒子以外の成分(架橋性樹脂を含有する。)
4 架橋前の架橋性樹脂
5 架橋後の架橋樹脂
10 基材
20 プライマー層
30 微細凹凸構造体
H 微細凹凸構造体の凹凸高さ
L 微細凹凸構造体の凹凸間隔

Claims (4)

  1. 凸部形成粒子及び架橋性樹脂を含む塗工液を用い、以下の(1)〜(4)工程を経ることを特徴とする微細凹凸構造体の製造方法。
    (1)前記凸部形成粒子の粒径の0.05倍以上0.5倍以下の凹凸高さを有する少なくとも1層からなるプライマー層を、基材表面に形成するプライマー層形成工程。
    (2)凸部形成粒子及び架橋性樹脂を含む塗工液を前記プライマー層表面に塗布する塗布工程。
    (3)前記塗布された塗工液を乾燥させる乾燥工程。
    (4)架橋処理により架橋性樹脂を架橋させ微細凹凸構造体を得る架橋化工程。
  2. 前記プライマー層形成工程において、凸部形成粒子よりも粒径の小さな内部粒子を含有するプライマー層形成用塗工液を用いることを特徴とする請求項1に記載の微細凹凸構造体の製造方法。
  3. 凸部形成粒子及び架橋性樹脂を含む塗工液として、希釈剤、及び該希釈剤の沸点よりも高沸点の成分をさらに含む塗工液を用いることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の微細凹凸構造体の製造方法。
  4. 凸部形成粒子及び架橋性樹脂を含む塗工液において、凸部形成粒子と希釈剤の沸点よりも高沸点の成分(高沸点成分)の組成比が、体積比で凸部形成粒子/高沸点成分=1/0.05〜1/500であることを特徴とする請求項3に記載の微細凹凸構造体の製造方法。
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