JP2018185458A - 反射防止膜、粒子配列膜の製造方法 - Google Patents

反射防止膜、粒子配列膜の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】反射防止性、透明性、耐擦傷性、及び耐マスキング性に優れる反射防止膜に好適な粒子配列膜を提供する。。【解決手段】粒子及び樹脂を含有し、粒子が配列して凸部を形成した粒子配列膜であって、粒子の粒径をD、凸部の高さをH、粒子間距離をL、粒子間距離の標準偏差をσとしたとき、粒径Dが50〜300nmであり、凸部の高さHが50〜200nmであり、凸部の高さと粒径の比H/Dが0.2〜1.0であり、粒子間距離と粒径の比L/Dが1.05〜3であり、粒子間距離の標準偏差と粒径の比σ/Dが0.4以下であり、下記(1)式で表される値が0.75以上であることを特徴とする粒子配列膜。(式中、Lは粒子間距離[nm]を示し、Nは粒子の数密度[1/nm2]を示す。)【選択図】図1

Description

本発明は、粒子間距離が均一(構造が均一)であり、反射防止性、透明性、耐擦傷性、及び耐マスキング性に優れる反射防止膜に好適な粒子配列膜、並びに粒子間距離が均一であり、凸部の高さ/粒径の比の大きな粒子配列膜を簡便な方法で製造可能な、粒子配列膜の製造方法に関する。
液晶ディスプレイなどの表示装置やカメラなどの光学装置において、外部からの光の反射光による視認性の低下を抑制する為に、反射防止フィルムが利用されている。反射防止フィルムとしては、気相プロセスで作成した誘電体多層膜の光学干渉又は基板上にコーティングした低屈折率材料の光学干渉により低反射率を実現したものが知られている。しかしながら、前者は蒸着等で製膜するために高コストであり、後者は反射防止性能が不十分であるという問題がある。また、基板表面にμmオーダー程度の凹凸を設け、光の散乱により反射像をぼかすことで映り込みを防ぐ防眩フィルムも知られているが、反射そのものを低減するものではなく、高ヘーズであり、画像の鮮明性が低下するという問題がある。
これらとは別の原理で表面に蛾の目のような微細凹凸構造(モスアイ構造)を形成し、反射率を低減する方法が提案されている。これは表面に設けた微細凹凸構造の空間占有率が空気界面から基材側にかけて連続的に変化し、実質的な屈折率が空気界面から基材側にかけて連続的に変化する屈折率傾斜構造を形成することで、反射界面が無くなり、反射が起こらなくなることを利用する方法である。
このような方法を用いて反射防止性を付与したものとして、例えば、特開2008−209540号公報(特許文献1)では、表面に周期100〜400nm程度の微細凹凸構造を設けることで優れた反射防止性能を示す反射防止物品が提案されている。そして、特許文献1では該反射防止物品における微細凹凸構造体を、鋳型を利用して形成する方法が提案されているが、該方法では目的の構造に応じて高価な鋳型が必要であるという問題があり、生産性も低いという問題があった。さらに、鋳型を用いる為に大面積のシートの製造は困難であるという問題があった。
一方、モスアイ構造を有する反射防止膜を製造する別の方法として、粒子を用いる方法が提案されている。このような粒子を利用した方法で製造されたモスアイ構造の反射防止膜としては、例えば、特開2009−139796号公報(特許文献2)では、粒子が分散したアクリル樹脂を基材上に塗布し硬化せしめ、アクリル樹脂の一部をプラズマエッチングにより除去することで粒子による凸部を有する反射防止膜を作製する方法が開示されている。しかしながら特許文献2の反射防止膜では、反射防止性能こそ優れるものの、その反射防止効果は反射光を拡散させる防眩効果が主であり、光の透過率向上効果は皆無であるという問題があった。また、反射防止膜に優れた耐擦傷性を付与するために必要な粒子配列膜の構造に関して、何らの記載がないものであった。さらには、反射防止膜を偏光板等の保護フィルムに用いる場合、偏光板を保護するためのマスキングフィルムを使用することがあるが、この場合、マスキングフィルムにより反射防止性に変化がないこと(耐マスキング性)が反射防止膜には求められる。しかしながら特許文献2には、優れた耐マスキング性を付与するために必要な粒子配列膜の構造に関して、何らの記載がないものであった。また、特許文献2で開示されている粒子配列膜の作製には、高コストのプラズマエッチングを用いる必要があることから、反射防止膜の量産性に劣るという問題があった。
プラズマエッチングを用いることなく粒子による凸部を形成する方法として、アクリル樹脂の代わりに溶剤等の揮発可能な成分を用い、該揮発可能な成分を揮発せしめることで凸部を形成する方法が考えられる。しかしながら該方法では、揮発可能な成分が揮発する際に、毛管力によって粒子同士が凝集してしまうために、凸部の高さ/粒径の比が大きく、粒子間距離の均一な粒子配列膜を作製することはできないという問題があった。このために、コーティング等の量産性に優れる方法であって、粒子同士を凝集させることなく、粒子間距離が均一であり、凸部の高さ/粒径の比の大きな粒子配列膜を作製する方法は従来知られていなかった。
特開2008−209540号公報 特開2009−139796号公報
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、粒子間距離が均一であり、反射防止性、透明性、耐擦傷性、及び耐マスキング性に優れる反射防止膜に好適な粒子配列膜を提供することにある。本発明の目的はまた、粒子間距離が均一であり、凸部の高さ/粒径の比の大きな粒子配列膜を簡便な方法で製造可能な、粒子配列膜の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の構造を有する粒子配列膜、及び、特定の粒子配列膜の製造方法が上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、粒子及び樹脂を含有し、粒子が配列して凸部を形成した粒子配列膜であって、粒子の粒径をD、凸部の高さをH、粒子間距離をL、粒子間距離の標準偏差をσとしたとき、粒径Dが50〜300nmであり、凸部の高さHが50〜200nmであり、凸部の高さと粒径の比H/Dが0.2〜1.0であり、粒子間距離と粒径の比L/Dが1.05〜3であり、粒子間距離の標準偏差と粒径の比σ/Dが0.4以下であり、下記(1)式で表される値が0.75以上であることを特徴とする粒子配列膜に関するものである。
Figure 2018185458
(式中、Lは粒子間距離[nm]を示し、Nは粒子の数密度[1/nm]を示す。)
本発明はまた、以下の[1]〜[3]の粒子配列膜の製造方法に関するものである。
[1]粒子、樹脂、及び希釈剤を含有する塗工液を用いて粒子配列膜を製造する製造方法であって、前記塗工液が前記樹脂の貧溶剤を含有し、以下の(A)〜(C)工程を経ることを特徴とする粒子配列膜の製造方法。
(A)粒子、樹脂、希釈剤、及び前記樹脂の貧溶剤を含有する塗工液を基材に塗布する塗布工程。
(B)前記塗布された塗工液から希釈剤を揮発させる一次乾燥工程。
(C)前記一次乾燥された塗工液から前記樹脂の貧溶剤を揮発させる二次乾燥工程。
[2]粒子及び希釈剤を含有する塗工液を用いて粒子配列膜を製造する製造方法であって、前記塗工液が昇華性物質を含有し、以下の(D)〜(F)工程を経ることを特徴とする粒子配列膜の製造方法。
(D)粒子、希釈剤、及び昇華性物質を含有する塗工液を基材に塗布する塗布工程。
(E)前記塗布された塗工液から希釈剤を揮発させる一次乾燥工程。
(F)前記一次乾燥された塗工液から昇華性物質を昇華させる二次乾燥工程。
[3]粒子、樹脂、及び希釈剤を含有する塗工液を用いて粒子配列膜を製造する製造方法であって、以下の(G)〜(I)工程を経ることを特徴とする粒子配列膜の製造方法。
(G)粒子表面にフルオロ基及び反応性基を設ける粒子表面処理工程。
(H)前記フルオロ基及び反応性基を設けた粒子、樹脂、並びに希釈剤を含有する塗工液を基材に塗布する塗布工程。
(I)前記塗布された塗工液から希釈剤を揮発させる乾燥工程。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の粒子配列膜は、粒子及び樹脂を含有し、該粒子が配列して凸部を形成するものである。粒子及び樹脂を含有することにより、本発明の粒子配列膜を用いて得られる反射防止膜は反射防止性及び耐擦傷性に優れるものとなる。粒子配列膜が粒子を含有しない場合、反射防止性に劣るものとなる。樹脂を含有しない場合、耐擦傷性及び耐マスキング性に劣るものとなる。本発明の粒子配列膜は、粒子が基材上に配列して凸部を形成したものが好適に用いられる。
本発明の粒子配列膜は、粒子の粒径(以下、粒子の粒径をDと表記する。)が50〜300nmである。粒子の粒径が50〜300nmであることにより、本発明の粒子配列膜を用いて得られる反射防止膜は反射防止性及び透明性に優れるものとなる。粒径が50nm未満の場合、反射防止性に劣るものとなる。粒径が300nmを超える場合、透明性に劣るものとなる。該反射防止膜の反射防止性及び透明性を高めるのに好適であることから、粒径が70〜250nmであることがさらに好ましく、90〜200nmであることが特に好ましく、130〜190nmであることが最も好ましい。本発明において粒子の粒径とは、粒子の直径の最大値の平均値を示し、透過型電子顕微鏡像又は走査型電子顕微鏡像において無作為に選んだ20点以上の粒子について前記径を求め、平均することで算出できる。
本発明の粒子配列膜は、凸部の高さ(以下、凸部の高さをHと表記する。)が50〜200nmである。凸部の高さが前記範囲にあることで、本発明の粒子配列膜を用いて得られる反射防止膜は反射防止性、耐擦傷性、及び耐マスキング性に優れるものとなる。凸部の高さが50nm未満の場合、反射防止性に劣るものとなる。凸部の高さが200nmを超える場合、耐擦傷性及び耐マスキング性に劣るものとなる。反射防止膜の反射防止性、耐擦傷性、及び耐マスキング性を高めるのに好適であることから、凸部の高さが60〜180nmであることがさらに好ましく、70〜150nmであることが特に好ましく、80〜130nmであることが最も好ましい。本発明において、凸部の高さは、表面に存在する凸部の頂点から隣接する凹部の最底部又は平坦部までの膜厚方向の距離の平均をいい(例えば、図1の符号Hで示される距離。)、膜表面の原子間力顕微鏡像又は膜断面の走査型電子顕微鏡像において、無作為に選んだ20点以上の凸部について前記距離を測定し、平均することで算出可能である。
本発明の粒子配列膜は、凸部の高さと粒径の比H/Dが0.2〜1.0である。凸部の高さと粒径の比H/Dが0.2〜1.0であることにより、本発明の粒子配列膜を用いて得られる反射防止膜は反射防止性、耐擦傷性、及び耐マスキング性に優れるものとなる。凸部の高さと粒径の比H/Dが0.2未満の場合、反射防止性に劣るものとなる。凸部の高さと粒径の比H/Dが1.0を超える場合、耐擦傷性及び耐マスキング性に劣るものとなる。反射防止膜の反射防止性、耐擦傷性、及び耐マスキング性を高めるのに好適であることから、凸部の高さと粒径の比H/Dが0.3〜0.8であることがさらに好ましく、0.4〜0.7であることが特に好ましく、0.5〜0.65であることが最も好ましい。
本発明の粒子配列膜は、粒子間距離(以下、粒子間距離をLと表記する。)と粒径の比L/Dが1.05〜3である。粒子間距離と粒径の比L/Dが1.05〜3であることで、本発明の粒子配列膜を用いて得られる反射防止膜は反射防止性及び透明性に優れるものとなる。粒子間距離と粒径の比L/Dが1.05未満の場合、反射防止性に劣るものとなる。粒子間距離と粒径の比L/Dが3を超える場合、反射防止性及び透明性に劣るものとなる。該反射防止膜の反射防止性及び透明性を高めるのに好適であることから、粒子間距離と粒径の比L/Dが1.1〜2.5であることがさらに好ましく、1.2〜2.3であることが特に好ましく、1.3〜2.1であることが最も好ましい。本発明において粒子間距離とは、隣接する粒子同士の頂点間の距離を示し(例えば図1の符号Lで表される距離。)、無作為に選んだ20点以上の粒子についての粒子間距離を求め、平均することで算出できる。例えば、無作為に選んだ20点以上の粒子について、下記(a)式でLを求め、得られた20個以上のLを平均することで算出できるものである。
Figure 2018185458
(式中、L、L、L、Lは、任意の粒子について、該粒子の周囲に存在する他の粒子との間の距離[nm]のうち、1〜4番目に小さい値を示す。)
(a)式中のL〜Lは、膜表面の原子間力顕微鏡像又は走査型電子顕微鏡像において測定することができる。
本発明の粒子配列膜は、粒子間距離の標準偏差(以下、粒子間距離の標準偏差をσと表記する。)と粒径の比σ/Dが0.4以下である。粒子間距離の標準偏差と粒径の比σ/Dが0.4以下であることで、本発明の粒子配列膜を用いて得られる反射防止膜は透明性に優れるものとなる。粒子間距離の標準偏差と粒径の比σ/Dが0.4を超える場合、透明性に劣るものとなる。該反射防止膜の透明性を高めるのに好適であることから、粒子間距離の標準偏差と粒径の比σ/Dが0.35以下であることがさらに好ましく、0.3以下であることが特に好ましく、0.25以下であることが最も好ましい。本発明において粒子間距離の標準偏差は、無作為に選んだ20点以上の粒子についての標準偏差を求め、平均した値を示す。例えば、無作為に選んだ20点以上の粒子について、下記(b)式でσを求め、得られた20個以上のσを平均することで算出できるものである。
Figure 2018185458
(式中、L、L、L、L、Lは、(a)式と同様の値を示す。)
本発明の粒子配列膜は、下記(1)式で表される値が0.75以上である。下記(1)式の値が0.75以上であることで、本発明の粒子配列膜を用いて得られる反射防止膜は透明性に優れるものとなる。下記(1)式の値が0.75未満の場合、透明性に劣るものとなる。該反射防止膜の透明性を高めるのに好適であることから、下記(1)式で表される値が0.8以上であることがさらに好ましく、0.85以上であることが特に好ましく、0.9以上であることが最も好ましい。ここで、本発明において粒子の数密度Nとは、反射防止膜の単位面積当たりの粒子の数(粒子数/面積)を示し、反射防止膜表面の原子間力顕微鏡像又は走査型電子顕微鏡像において、粒子の粒径の20倍以上の長さを一辺とする正方形の領域を無作為に設定し、該領域に存在する粒子の数を求めることで算出可能である。
Figure 2018185458
(式中、Lは粒子間距離[nm]を示し、Nは粒子の数密度[1/nm]を示す。)
本発明において、得られる反射防止膜の透明性を高めるのに好適であることから、粒子が単層で配列していることが好ましい。粒子が単層で配列していることにより、粒子が多層で配列している場合と比較して、膜内部での光の散乱を抑制することができ、反射防止膜の透明性を高めることができる。粒子が単層で配列している場合において、一部の粒子が凝集により積層されている部分を有していてもよいが、反射防止膜の透明性及び耐擦傷性を高めるのにより好適であることから、前記凝集による積層部分を有していないことが好ましい。
本発明において、得られる反射防止膜の透明性を高めるのに好適であることから、粒子と樹脂によって形成されるメニスカス形状の面内方向の距離/粒子の粒径の比が、2以下であることが好ましい。本発明において粒子と樹脂によって形成されるメニスカス形状とは、毛管力により樹脂が粒子表面に形成する液面に由来する形状(例えば、図2の符号3で示される形状。)のことを示す。また、本発明においてメニスカス形状の面内方向の距離とは、粒子と樹脂の界面のうち、最も粒子の中心から遠い位置から、樹脂面の平坦部までの面内方向の距離(例えば、図2の符号Mで示される距離。)を示す。メニスカス形状の面内方向の距離/粒子の粒径の比が小さいことで、実質的な粒子の粒径の増大を抑制できることで、反射防止膜の透明性を高めることができるものである。反射防止膜の反射防止性を高めるのに好適であることから、粒子と樹脂によって形成されるメニスカス形状の面内方向の距離/粒子の粒径の比が1.8以下であることがさらに好ましく、1.6以下であることが特に好ましく、1.4以下であることが最も好ましい。粒子と樹脂によって形成されるメニスカス形状の面内方向の距離は、膜断面の走査型電子顕微鏡像において測定することができる。
本発明の粒子配列膜に用いる粒子の種類としては特に制限はなく、例えば、シリカ粒子、ポリメチル(メタ)アクリレート粒子、ポリスチレン粒子等が挙げられる。前記シリカ粒子としては、耐擦傷性を高めるのに好適であることから、シランカップリング剤で表面処理されているものが好ましく、反応性基を有するシランカップリング剤で処理されていることがさらに好ましい。前記反応性基を有するシランカップリング剤としては、特に制限はないが、反応性二重結合を有するシランカップリング剤がさらに好ましく、ビニル基又は(メタ)アクリル基を有するシランカップリング剤が特に好ましく、(メタ)アクリル基を有するシランカップリング剤が最も好ましい。
前記シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、トリス-(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、3−ウレイドプロピルトリアルコキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
前記シランカップリング剤としてはまた、得られる反射防止膜の耐マスキング性を高めるのに好適であることから、フルオロ基を含有することが好ましく、例えば、トリメトキシ(1H,1H,2H,2H−ノナフルオロヘキシル)シラン、トリメトキシ(1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル)シラン、トリメトキシ(3,3,3−トリフルオロプロピル)シラン、トリエトキシ[5,5,6,6,7,7,7−ヘプタフルオロ−4,4−ビス(トリフルオロメチル)ヘプチル]シラン、トリメトキシ(ペンタフルオロフェニル)シラン、トリメトキシ(11−ペンタフルオロフェノキシウンデシル)シラン、トリエトキシ−1H,1H,2H,2H−トリデカフルオロ−n−オクチルシラン等が挙げられる。反射防止膜の耐擦傷性を高め、さらに耐マスキング性を高めるのに好適であることから、前記反応性基を有するシランカップリング剤と前記フルオロ基を有するシランカップリング剤を混合して用いることが好ましい。
本発明の粒子配列膜に用いる樹脂としては特に制限はないが、得られる反射防止膜の耐擦傷性を高めるのにより好適であることから、粒子配列膜が含有する樹脂が架橋樹脂であることが好ましい。ここで、本発明において「架橋樹脂」とは、架橋可能な有機化合物(以下、「架橋性樹脂」という)が熱や光、活性エネルギー線等の外部刺激、又は、時間経過による反応の進行によって、架橋されて得られる樹脂のことを示す。
本発明の粒子配列膜において、前記樹脂が、反応性基を有する分子量1000以上の樹脂が架橋した架橋樹脂であり、前記反応性基の少なくとも一部は粒子表面と結合を形成していることが好ましい。樹脂が反応性基を有し、前記反応性基の少なくとも一部が粒子表面と結合を形成していることで、得られる反射防止膜の耐擦傷性及び耐マスキング性を高めることができる。また、分子量1000以上の樹脂が架橋した架橋樹脂であることにより、架橋樹脂の変形を抑制することができ、反射防止膜の耐擦傷性を高めやすいものとなる。反射防止膜の耐擦傷性を高めるのにより好適であることから、分子量3000以上の樹脂が架橋した架橋樹脂であることがさらに好ましく、分子量5000以上が特に好ましく、分子量10000以上が最も好ましい。
本発明で樹脂として架橋性樹脂が用いられる場合、該架橋性樹脂としては特に制限はなく、例えば、活性エネルギー線架橋性樹脂、熱架橋性樹脂などが挙げられる。なかでも得られる反射防止膜が耐擦傷性に優れたものとなることから、活性エネルギー線架橋性樹脂が好ましい。ここで、本発明において、「活性エネルギー線」とは、紫外線、電子線、α線、β線、γ線等の電離放射線をいう。前記の活性エネルギー線架橋性樹脂としては、例えば、分子内にアクリル基、メタアクリル基、オキセタン基、脂環式エポキシ基、グリシジル基、ビニルエーテル基、マレイミド基、アクリルアミド基等の架橋性基を有する化合物等が挙げられる。なかでも得られる反射防止膜がさらに耐擦傷性に優れたものとなることから、アクリル基又はメタアクリル基を有する架橋性樹脂が好ましい。
前記のアクリル基又はメタアクリル基を有する架橋性樹脂としては、例えば、(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−へキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、p−メトキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等の単官能アクリレート;トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート、トリメチロールプロパンプロポキシトリアクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、エトキシ化フェニルアクリレート等の多官能(メタ)アクリレート;U−4HA、U−6HA、U−6LPA、UA−5300H、UA−122P、U−200PA、UA−7100(新中村化学工業社製2〜15官能ウレタンアクリレート)等のウレタン(メタ)アクリレート;EBECRYL600、EBECRYL860、EBECRYL373(ダイセル・オルネクス社製)等のエポキシ(メタ)アクリレート;EBECRYL853、EBECRYL1830(ダイセル・オルネクス社製)等のポリエステル(メタ)アクリレート;アクリル基又はメタクリル基等を側鎖に有するポリマー(例えば、新中村化学工業社製NKポリマーAP−2500、NKポリマーGH−1203等);LINC−3A、LINC−182A(共栄社化学製2〜3官能フッ素基含有アクリレート)、1,6−ビス(アクリロイルオキシ)ヘキサン等のフッ素を含有する単官能又は多官能(メタ)アクリレート;アクリル基又はメタクリル基等を側鎖に有する含フッ素ポリマー;(メタ)アクリレート基を有するポリシルセスキオキサン類(例えば東亞合成社製SQシリーズ)、(メタ)アクリレート基を有するシランカップリング剤(例えば信越化学社製KBM、KBEシリーズ)等の(メタ)アクリレート基シリコン系化合物等が挙げられる。これらは単独で用いても、複数の種類の樹脂を組み合わせた混合物を用いても良い。なかでも得られる反射防止膜がより耐擦傷性に優れたものとなることから、(メタ)アクリレート基を分子内に複数有する架橋性樹脂が好ましく、4官能以上の(メタ)アクリレートがさらに好ましく、6官能以上の(メタ)アクリレートが特に好ましい。
本発明において、樹脂は、主成分とする樹脂以外に、必要に応じて、シランカップリング剤、重合開始剤、各種添加剤等を含有していてもよい。
前記樹脂に含有されるシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、トリス−(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、3−ウレイドプロピルトリアルコキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、トリメトキシ(1H,1H,2H,2H−ノナフルオロヘキシル)シラン、トリメトキシ(1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル)シラン、トリメトキシ(3,3,3−トリフルオロプロピル)シラン、トリエトキシ[5,5,6,6,7,7,7−ヘプタフルオロ−4,4−ビス(トリフルオロメチル)ヘプチル]シラン、トリメトキシ(ペンタフルオロフェニル)シラン、トリメトキシ(11−ペンタフルオロフェノキシウンデシル)シラン、トリエトキシ−1H,1H,2H,2H−トリデカフルオロ−n−オクチルシラン等が挙げられる。
前記樹脂に含有される重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンジル、ミヒラーケトン、チオキサントン、アントラキノン等の水素引き抜きによってラジカルを発生するタイプの化合物;ベンゾイン、ジアルコキシアセトフェノン、アシルオキシムエステル、ベンジルケタール、ヒドロキシアルキルフェノン、ハロゲノケトン等の分子内分裂によってラジカルを発生するタイプの化合物等が挙げられる。また、市販品としては、例えば、IRUGACURE184、IRUGACURE651、IRUGACURE500、IRUGACURE907、DAROCUR1116、DAROCUR1173(BASF社製)等を挙げることができる。また、架橋を促進するためにメチルアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、トリブチルアミン等の三級アミン等を併用しても良い。
前記樹脂に含有される添加剤としては、滑り性付与や防汚性付与、または高弾性率化のための成分を挙げることができ、例えば、BYK−UV3505、BYK−UV3500、BYK−UV3575、BYK−UV3570、BYK−UV3576、BYK−UV3535、BYK−UV3510、BYK−378、BYK−370、BYK−377、BYK−399、BYK−3550、BYK−3560、NANOBYK−3605、NANOBYK−3601、NANOBYK−3602、NANOBYK−3610、NANOBYK−3630、NANOBYK−3652、NANOBYK−3650、NANOBYK−3651、CERAFLOUR925、CERAFLOUR929、BYK−LP X 22699(ビックケミー・ジャパン社製)、KY−1203(信越化学社製)、アダマンタン誘導体(例えば、三菱ガス化学社製ダイヤピュレストシリーズ)等を挙げることができる。
本発明の粒子配列膜に用いる基材としては特に制限はなく、例えば、樹脂基材、ガラス、セラミックス等が挙げられ、形状的にはフィルム、シート、板の他、曲面を有する形状の構造物等如何なる形状の基材であっても用いることができる。反射防止膜の可撓性を高めるのに好適であることから、樹脂基材やフレキシブルなガラスであることが好ましく、また、粒子配列膜の耐アルカリ性を高めるのに好適であることから、樹脂基材であることが好ましい。
樹脂基材としては、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、アセテートブチレートセルロース等のセルロース系樹脂;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリエーテル樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリエーテルサルホン;ポリエーテルケトン等が挙げられる。
前記の基材には耐擦傷性や密着性等を高めるため、アンカーコート層、高分子電解質層、帯電防止層、ハードコート層等のコート層を形成してあっても良く、密着性や塗工性等を高めるため、UVオゾン洗浄、プラズマ処理、コロナ処理等の表面処理を施してあっても良い。
本発明の粒子配列膜は、得られる反射防止膜の耐擦傷性を高めるのに好適であることから、基材が樹脂フィルムであり、基材がハードコート層を有することが好ましい。また、該反射防止膜の耐擦傷性を高めるのにより好適であることから、ハードコート層を形成する樹脂が分子内に複数の架橋性官能基を有する架橋性樹脂が架橋した樹脂であることが好ましい。
本発明の粒子配列膜は、量産性を高めるのに好適であることから、コーティングによって製造されることが好ましい。また、コーティングによって本発明の粒子配列膜を製造する場合において、以下の[1]〜[3]の製造方法を好適に用いることができる。
[1]粒子、樹脂、及び希釈剤を含有する塗工液を用いて粒子配列膜を製造する製造方法であって、前記塗工液が前記樹脂の貧溶剤を含有し、以下の(A)〜(C)工程を経ることを特徴とする粒子配列膜の製造方法。
(A)粒子、樹脂、希釈剤、及び前記樹脂の貧溶剤を含有する塗工液を基材に塗布する塗布工程。
(B)前記塗布された塗工液から希釈剤を揮発させる一次乾燥工程。
(C)前記一次乾燥された塗工液から前記樹脂の貧溶剤を揮発させる二次乾燥工程。
[2]粒子及び希釈剤を含有する塗工液を用いて粒子配列膜を製造する製造方法であって、前記塗工液が昇華性物質を含有し、以下の(D)〜(F)工程を経ることを特徴とする粒子配列膜の製造方法。
(D)粒子、希釈剤、及び昇華性物質を含有する塗工液を基材に塗布する塗布工程。
(E)前記塗布された塗工液から希釈剤を揮発させる一次乾燥工程。
(F)前記一次乾燥された塗工液から昇華性物質を昇華させる二次乾燥工程。
[3]粒子、樹脂、及び希釈剤を含有する塗工液を用いて粒子配列膜を製造する製造方法であって、以下の(G)〜(I)工程を経ることを特徴とする粒子配列膜の製造方法。
(G)粒子表面にフルオロ基及び反応性基を設ける粒子表面処理工程。
(H)前記フルオロ基及び反応性基を設けた粒子、樹脂、並びに希釈剤を含有する塗工液を基材に塗布する塗布工程。
(I)前記塗布された塗工液から希釈剤を揮発させる乾燥工程。
以下、本発明の製造方法[1]〜[3]について詳細に述べる。
本発明の製造方法[1]〜[3]で用いる希釈剤としては、特に制限はないが、粒子が分散可能であって、さらに塗工液に含まれる他の成分を溶解可能、又は相溶可能な有機溶剤を用いることが好ましく、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、テトラヒドロフラン等を挙げることができる。
前記希釈剤としてはまた、乾燥時の粒子の凝集を抑制するのに好適であることから、前記の有機溶剤よりも高沸点の溶剤(高沸点溶剤)を混合して用いてもよい。前記高沸点溶剤としては、特に制限はないが、粒子の分散性に優れることから、一般式RO―(CO)―R(一般式(A))(R、R:Hまたは炭素数1〜20のアルキル基、アセチル基、ビニル基、アクリル基、メタクリル基、n=1〜4)で表される溶剤を含有することが好ましく、一般式(A)におけるR、Rが炭素数1〜20のアルキル基であることがさらに好ましい。具体的には例えば、エチレングリコール、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールエチルメチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールビニルエーテル、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジエチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールエチルメチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールビニルエーテル、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコール、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールエチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノプロピルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、テトラエチレングリコールモノフェニルエーテル、テトラエチレングリコールジブチルエーテル、テトラエチレングリコールジアセテート、テトラエチレングリコールビニルエーテル、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。粒子としてシリカ粒子を用いる場合には、シリカ粒子との親和性からジエチレングリコール部位を有する溶剤であることが好ましく、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテルがさらに好ましい。
本発明で用いる高沸点溶剤としてはまた、溶剤乾燥時の粒子の凝集を抑制するのに好適であることから、フルオロ基を有する溶剤が好ましく、例えば、パーフルオロヘキサン、テトラデカフルオロヘキサン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、ペンタデカフルオロオクタン酸、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、ジクロロペンタフルオロプロパン、メトキシノナフルオロブタン、エトキシノナフルオロブタン等を挙げることができる。
本発明の粒子配列膜の製造方法[1]では、粒子、樹脂、及び希釈剤を含有する塗工液を用いて粒子配列膜を製造する製造方法であって、前記塗工液が前記樹脂の貧溶剤を含有し、以下の(A)〜(C)工程を経ることを特徴とする。
(A)粒子、樹脂、希釈剤、及び前記樹脂の貧溶剤を含有する塗工液を基材に塗布する塗布工程。
(B)前記塗布された塗工液から希釈剤を揮発させる一次乾燥工程。
(C)前記一次乾燥された塗工液から前記樹脂の貧溶剤を揮発させる二次乾燥工程。
本発明の製造方法[1]における(A)工程では、粒子、樹脂、希釈剤、及び前記樹脂の貧溶剤を含有する塗工液を基材に塗布する。(A)工程後の膜断面の模式図を図3(A)に示す。(A)工程において、樹脂及び前記樹脂の貧溶剤を含有することにより、均一な粒子間距離を有する粒子配列膜が得られる。樹脂又は貧溶剤を含有しない場合、均一な粒子間距離を有する粒子配列膜が得られない。
前記塗工液の粒子/(樹脂+貧溶剤)の比としては、均一な粒子間距離を有する粒子配列膜を得るのに好適のため、体積比で10/90〜50/50が好ましく、15/85〜40/60がさらに好ましく、20/80〜30/70が特に好ましい。
前記塗工液の基材への塗布に際して、塗布方法は如何なる方法であっても良いが、例えば、バーコート、スピンコート、グラビアコート、マイクログラビアコート、スロットダイコート、ディップコート等を挙げることができる。
本発明の製造方法[1]における(B)工程では、前記塗布された塗工液(以下、「塗工液膜1」と表記する。)から希釈剤を揮発させる。(B)工程後の膜断面の模式図を図3(B)に示す。前記塗工液膜1から希釈剤が揮発することにより、塗工液に残存する貧溶剤によって樹脂が流動性を失い、粒子が樹脂によって固定化される。ここで、本発明において、樹脂が流動性を失うことを「固化」という。
前記希釈剤を揮発させるための乾燥方法としては特に制限はなく、自然乾燥、風乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥等、如何なる方法であってもよい。加熱乾燥における加熱方法としては如何なる方法も利用可能であるが、例えば、熱風乾燥、遠赤外線乾燥、UV乾燥等を挙げることができる。
前記希釈剤を揮発させた塗工液膜1において、塗工液膜1の粒子が貧溶剤の液面から露出していないことが好ましい。貧溶剤の液面から粒子が露出していないことによって、(B)工程における粒子の凝集を抑制することができ、粒子間距離の均一な粒子配列膜を得るのに好適である。希釈剤を揮発させた塗工液膜1において、塗工液膜1の粒子が貧溶剤の液面から露出しないことは、希釈剤と貧溶剤の沸点の組み合わせや乾燥条件、塗工液に含まれる貧溶剤の量を適宜調整することで達成できる。これらの調整方法に特に制限はないが、例えば、20〜150℃で乾燥を行う場合、希釈剤の沸点を貧溶剤の沸点よりも低いものとし、塗工液に含まれる貧溶剤の量を体積比で0.01〜50%とすることが好ましく、希釈剤の沸点を貧溶剤の沸点よりも10℃以上低いものとし、塗工液に含まれる貧溶剤の量を体積比で0.01〜20%とすることがさらに好ましく、希釈剤の沸点を貧溶剤の沸点よりも20℃以上低いものとし、塗工液に含まれる貧溶剤の量を体積比で0.01〜10%とすることが特に好ましい。
本発明の製造方法[1]における(C)工程では、貧溶剤を揮発させる。(C)工程後の膜断面の模式図を図3(C)に示す。貧溶剤が揮発することにより、粒子が液面から露出し、凸部が形成される。この時、固化した樹脂により粒子が固定されているため、溶剤揮発時の毛管力による粒子の凝集が抑制され、均一な粒子間距離を有する粒子配列膜が得られるものである。なお、本発明の製造方法[1]における(B)〜(C)工程は、独立した製造工程として各々設ける場合の他、同一の乾燥工程とすることも可能である。この場合、貧溶剤の沸点は希釈剤の沸点よりも高いことが好ましく、希釈剤の沸点よりも10℃以上高いことがさらに好ましく、希釈剤の沸点よりも20℃以上高いことが特に好ましい。
本発明の製造方法[1]で用いる粒子としては、特に制限はなく、前述の粒子を用いることができる。
本発明の製造方法[1]で用いる樹脂としては、貧溶剤によって固化するものであれば特に制限はない。前記固化する樹脂としては、例えば、樹脂が貧溶剤に溶解しないもの、樹脂が貧溶剤と相溶しないもの等を挙げることができる。前記樹脂としては、例えば、前述の架橋性樹脂の他、NKポリマーAP−2500(新中村化学社製)、NKポリマーGH−1203(新中村化学社製)、NK−エステルA9300(新中村化学社製)等の固形の架橋性樹脂、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリスチレン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリウレタン等を挙げることができる。
本発明の製造方法[1]で用いる樹脂としては、粒子間距離の均一な粒子配列膜を得るのに好適であることから、塗工液が含有する樹脂の固化温度が、20℃以上であることが好ましい。ここで、本発明において「固化温度」とは、樹脂単独で流動性を失う温度のことを示し、例えば、樹脂がガラス転移温度を有さない低分子の場合、融点のことを示す。また、樹脂がガラス転移温度を有する高分子の場合、ガラス転移温度のことを示す。粒子間距離の均一な粒子配列膜を得るのに好適であることから、固化温度が30℃以上であることがさらに好ましく、50℃以上であることが特に好ましく、80℃以上であることが最も好ましい。
本発明の製造方法[1]で用いる樹脂としては、粒子間距離の均一な粒子配列膜を得るのに好適であることから、分子量1000以上の樹脂であることが好ましく、分子量3000以上がさらに好ましく、分子量5000以上が特に好ましく、分子量10000以上が最も好ましい。
本発明の製造方法[1]で用いる樹脂としては、粒子配列膜を反射防止膜に用いた場合に、耐擦傷性及び耐マスクング性を高めるのに好適であることから、反応性基を有するものが好ましい。
本発明の製造方法[1]で用いる希釈剤としては、特に制限はなく、前述の希釈剤を用いることができる。粒子を分散可能であり、樹脂及び貧溶剤のいずれの成分も溶解又は相溶可能であることが好ましい。(B)〜(C)工程において、貧溶剤による樹脂の固化を行うことから、貧溶剤よりも沸点の低い希釈剤を用いることが好ましく、貧溶剤よりも沸点が10℃以上低い希釈剤がさらに好ましく、貧溶剤よりも沸点が20℃以上低い希釈剤が特に好ましい。
本発明の製造方法[1]で用いる貧溶剤としては、樹脂を固化可能な溶剤であれば特に制限はなく、例えば前述の高沸点溶剤等を用いることができる。粒子間距離の均一な粒子配列膜を得るのに好適であることから、フルオロ基を有する有機溶剤が好ましい。
本発明の製造方法[1]は、(C)工程の後、必要に応じて膜を硬化する硬化工程を設けてもよい。硬化工程における硬化方法としては特に制限はないが、UV硬化等の活性エネルギー線硬化、熱硬化等を挙げることができる。
本発明の粒子配列膜の製造方法[2]では、粒子及び希釈剤を含有する塗工液を用いて粒子配列膜を製造する製造方法であって、前記塗工液が昇華性物質を含有し、以下の(D)〜(F)工程を経ることを特徴とする。
(D)粒子、希釈剤、及び昇華性物質を含有する塗工液を基材に塗布する塗布工程。
(E)前記塗布された塗工液から希釈剤を揮発させる一次乾燥工程。
(F)前記一次乾燥された塗工液から昇華性物質を昇華させる二次乾燥工程。
本発明の製造方法[2]における(D)工程では、粒子、昇華性物質、及び希釈剤を含有する塗工液を基材に塗布する。(D)工程後の膜断面の模式図を図4(D)に示す。
(D)工程において、塗工液が昇華性物質を含有することにより、均一な粒子間距離を有する粒子配列膜が得られる。塗工液が昇華性物質を含有しない場合、均一な粒子間距離を有する粒子配列膜が得られない。
前記塗工液の粒子/昇華性物質の比としては、均一な粒子間距離を有する粒子配列膜を得るのに好適のため、体積比で10/90〜50/50が好ましく、15/85〜40/60がさらに好ましく、20/80〜30/70が特に好ましい。
前記塗工液の基材への塗布に際して、塗布方法は如何なる方法であっても良く、前述の塗布方法を用いることができる。
本発明の製造方法[2]における(E)工程では、前記塗布された塗工液(以下、「塗工液膜2」と表記する。)から希釈剤を揮発させる。(E)工程後の膜断面の模式図を図4(E)に示す。乾燥方法としては特に制限はなく、前述の乾燥方法を用いることができる。希釈剤が揮発した後の塗工液膜2において、粒子が昇華性物質に埋没した膜となっていることが好ましい。希釈剤を揮発させた塗工液膜2において、粒子が昇華性物質に埋没していることによって、(E)工程における粒子の凝集を抑制することができ、粒子間距離の均一な粒子配列膜を得るのに好適である。希釈剤を揮発させた塗工液膜2において、粒子が昇華性物質に埋没していることは、希釈剤の沸点や乾燥条件、昇華性物質の種類を適宜選択することで達成できる。これらの調整方法に特に制限はないが、例えば、20〜150℃で乾燥を行う場合、粒子/昇華性物質の比を1/100〜10/1とすることが好ましく、1/50〜5/1がさらに好ましく、1/10〜3/1が特に好ましい。
本発明の製造方法[2]における(F)工程では、前記一次乾燥された塗工液から昇華性物質を昇華させる。(F)工程後の膜断面の模式図を図4(F)に示す。昇華性物質を昇華させる方法としては、前述の乾燥方法を用いることができる。昇華性物質が昇華することにより粒子が露出し、凸部が形成されるが、この際、昇華による粒子の露出のために毛管力による粒子同士の凝集が起こらず、均一な粒子間距離を有する粒子配列膜が得られるものである。なお、本発明の製造方法[2]における(E)〜(F)工程は、独立した製造工程として各々設ける場合の他、同一の乾燥工程とすることも可能である。
本発明の製造方法[2]で用いる粒子としては、特に制限はなく、前述の粒子を用いることができる。
塗工液に用いる希釈剤としては、前述の希釈剤を用いることができる。粒子を分散可能であり、昇華性物質を溶解可能であることが好ましい。
前記昇華性物質としては、昇華性を有すること以外に特に制限はなく、例えば、ヨウ素、シュウ酸(別名エタン二酸)、p−ジクロロベンゼン(別名1,4−ジクロロベンゼン)、サリチル酸(別名2−ヒドロキシ安息香酸)、ナフタレン、テレフタル酸(別名ベンゼン−1,4−ジカルボン酸)、ショウノウ(別名ボルナン−2−オン)等を用いることができる。希釈剤として有機溶剤を用いる場合、有機溶剤への溶解性に優れることから、p−ジクロロベンゼン、ナフタレン、ショウノウが好ましい。
本発明の製造方法[2]は、(F)工程の後、必要に応じて膜の硬化工程を設けてもよい。硬化工程における硬化方法としては特に制限はなく、前述の硬化方法を用いることができる。
本発明の粒子配列膜の製造方法[3]では、粒子、樹脂、及び希釈剤を含有する塗工液を用いて粒子配列膜を製造する製造方法であって、以下の(G)〜(I)工程を経ることを特徴とする。
(G)粒子表面にフルオロ基及び反応性基を設ける粒子表面処理工程。
(H)前記フルオロ基及び反応性基を設けた粒子、樹脂、並びに希釈剤を含有する塗工液を基材に塗布する塗布工程。
(I)前記塗布された塗工液から希釈剤を揮発させる乾燥工程。
本発明の製造方法[3]における(G)工程では、粒子の表面にフルオロ基及び反応性基を設ける。ここで、本発明において「反応性基」とは、活性エネルギー線、熱などにより反応し、新たな共有結合を形成可能な官能基であることをいう。(G)工程において、粒子の表面にフルオロ基を設けることにより、均一な粒子間距離を有する粒子配列膜が得られる。粒子の表面にフルオロ基を設けない場合、均一な粒子間距離を有する粒子配列膜が得られない。また、粒子の表面に反応性基を設けることにより、粒子配列膜を反射防止膜に用いた場合に、反射防止膜の耐擦傷性及び耐マスキング性を高めることができ、好ましいものとなる。
フルオロ基を設ける方法としては特に制限はないが、例えば粒子がシリカ粒子の場合、フルオロ基を有するシランカップリング剤で処理することが好ましい。前記フルオロ基を有するシランカップリング剤としては、例えば、トリメトキシ(1H,1H,2H,2H−ノナフルオロヘキシル)シラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシ(1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル)シラン、トリエトキシ−1H,1H,2H,2H−トリデカフルオロ−n−オクチルシラン等を挙げることができる。
反応性基を設ける方法としては特に制限はないが、例えば粒子がシリカ粒子の場合、反応性二重結合を有するシランカップリング剤で処理することが好ましく、ビニル基又は(メタ)アクリル基を有するシランカップリング剤で処理することが特に好ましく、(メタ)アクリル基を有するシランカップリング剤で処理することが最も好ましい。これらのシランカップリング剤としては前述のものが挙げられる。
本発明の製造方法[3]における(H)工程では、前記フルオロ基及び前記反応性基を設けた粒子、樹脂、並びに希釈剤を含有する塗工液を基材に塗布する。(H)工程後の膜断面の模式図を図5(H)に示す。(H)工程において、塗工液が樹脂を含有しない場合、耐擦傷性に劣るものとなる。また、塗工液が希釈剤を含有しない場合、均一な配列が得られず透明性に劣るものとなる。
前記塗工液の基材への塗布に際して、塗工液膜2の塗工方法は如何なる方法であっても良く、前述の塗工方法を用いることができる。
本発明の製造方法[3]における(I)工程では、前記塗布された塗工液から希釈剤を揮発させる。(I)工程後の膜断面の模式図を図5(I)に示す。乾燥方法としては特に制限はなく、前述の乾燥方法を用いることができる。この際、粒子の表面がフルオロ基を有することにより、希釈剤の揮発時の毛管力の影響が小さく、粒子間距離の均一な粒子配列膜を得られるものである。粒子間距離の均一な粒子配列膜を得るのに好適であることから、炭素数が2以上のパーフルオロアルキル基を有することがさらに好ましく、炭素数が4以上のパーフルオロアルキル基が特に好ましく、炭素数6以上のパーフルオロアルキル基が最も好ましい。
塗工液に用いる粒子としては、特に制限はなく、前述の粒子を用いることができる。
塗工液に用いる樹脂としては、特に制限はなく、前述の樹脂を用いることができる。
塗工液に用いる希釈剤としては、前述の希釈剤を用いることができる。粒子及び樹脂のいずれの成分も分散可能であることが好ましい。
本発明の製造方法[3]は、(I)工程の後、必要に応じて膜の硬化工程を設けてもよい。硬化工程における硬化方法としては特に制限はなく、前述の硬化方法を用いることができる。
本発明の粒子配列膜は反射防止膜に好適に用いられるものであり、該反射防止膜は最表面に本発明の粒子配列膜を有するものとなる。
前記反射防止膜は、実用上十分な反射防止性を得るのに好適のため、JIS Z 8701で規定される視感反射率(XYZ表色系における三刺激値のY値)が2%以下であることが好ましく、1%以下であることがさらに好ましく、0.7%以下であることが特に好ましく、0.5%以下であることが最も好ましい。
前記反射防止膜は、透明性を高めるのに好適であることから、基材の一方の面に反射防止膜を形成した場合において、JIS K 7361で規定されるヘーズ値が3%以下であることが好ましく、2%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが特に好ましい。
前記反射防止膜は、該反射防止膜がない場合と比較して可視光領域の光の散乱を増加させないことから、ディスプレイの視認性を損なうことなく、外光の映り込みを防止することができる。また、反射を防止した分だけ透過光量を向上させることが可能であることから、太陽電池の光取り込み効率の向上、及び有機ELの光取り出し効率の向上のために用いることができる。
本発明によれば、粒子間距離が均一(構造が均一)であり、反射防止性、透明性、耐擦傷性、及び耐マスキング性に優れる反射防止膜に好適な粒子配列膜を提供することができる。本発明によればまた、粒子間距離が均一であり、凸部の高さ/粒径の比の大きな粒子配列膜を簡便な方法で製造可能な、粒子配列膜の製造方法を提供することができる。
以下、本発明を実施例及び比較例によってより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例及び比較例において、特に記載のない試料等については、市販のものを用いた。
[粒子の粒径の測定]
粒子の粒径は、走査型電子顕微鏡(キーエンス社製VE−9800)を用いて測定した表面像において、粒子の直径を20点以上の粒子について測定し、平均することで算出した。
[凸部の高さの測定]
凸部の高さは、原子間力顕微鏡(日立ハイテクサイエンス社製AFM5100)を用い、オリンパス社製カンチレバーOMCL−AC200TSを用いてダイナミックフォースモードで測定した反射防止膜表面像において、反射防止膜表面に存在する微細構造の凸部の頂点から、隣接する凹部の最底部までの膜厚方向の距離を、20点以上の凸部について測定し、平均することで算出した。
[粒子間距離及び粒子間距離の標準偏差の測定]
粒子間距離は、走査型電子顕微鏡(キーエンス社製VE−9800)を用いて測定した表面像において、20点以上の粒子について前述の(a)式から粒子間距離を求め、平均することで算出した。また、粒子間距離の標準偏差についても前述の(b)式から同様に求め、平均することで算出した。
[反射率の測定]
反射率の実測値は、角度可変絶対反射付属装置を内蔵する分光光度計(日立ハイテクサイエンス社製U−4100)を用い、入射角10°での反射率を測定した。反射率測定にあたっては裏面反射の影響を除くために、試料の裏面をマジックで黒く塗りつぶし、さらに裏面に黒色テープを貼り測定した。
測定した反射率から、JIS Z 8701で規定される視感反射率、並びに、JIS Z 8781−4で規定されるCIE1976L*a*b*色空間のa*値及びb*値をそれぞれ算出した。
[全光線透過率及びヘーズの測定]
全光線透過率及びヘーズは日本電色工業製NDH−5000を用いて測定した。
[耐擦傷性の評価]
耐擦傷性はスチールウール試験により評価した。スチールウール(ボンスター製#0000)に100g/cmの荷重をかけ、4cm/秒の速度で行い、試料上を10往復させた。
耐擦傷性は次のように評価した。
○:スチールウール試験による傷なし。
×:スチールウール試験による傷あり。
[耐マスキング性の評価]
耐マスキング性は、反射防止膜表面にマスキングフィルム(日東電工社製EMASK RP−207)を貼付して1日後に剥離し、マスキングフィルムの貼付前と剥離後の全光線透過率を比較することで評価した。ここで、本評価において、マスキングフィルムの貼付時及び剥離時の両者において光学特性の変化が小さい場合には全光線透過率の変化が小さいものとなり、いずれか一方でも光学特性の変化が大きい場合には全光線透過率の変化が大きいものとなる(以下、該光学特性の変化が小さい場合を耐マスキング性が優れるものとして扱う。)。なお、マスキングフィルムの貼付はサンプル幅3cmに500gの荷重をかけたローラーを5往復させることで行った。
○:全光線透過率の変化が0.5%未満。
×:全光線透過率の変化が0.5%以上。
[実施例1]
(粒子配列膜の作製(製造方法[1]))
粒径180nmのシリカ粒子の水分散液(日産化学社製MP−2040、40wt%)を用い、粒子200g、エタノール150g、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製KBM−503)4g、及び28wt%アンモニア水0.2gを撹拌しながら加え、60℃で3時間反応させ室温まで冷却した。エバポレータにより溶剤を留去し、メタノール500gを加え再度溶剤を留去する操作を3回繰り返した。留去操作後、メチルエチルケトン(MEK)に再分散させた。ポリメタクリル酸メチル(PMMA、重量平均分子量99.6万)をテトラヒドロフラン(THF)で希釈し、濃度4wt%に調製。このPMMAのMEK溶液に貧溶剤として1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンを加え、上記粒子分散液と混合した。さらに、この溶液に防汚剤(信越化学社製KY−1203)を加え、希釈剤としてMEKを加え、粒子1.6wt%、樹脂(PMMA)0.5wt%、貧溶剤1.6wt%、防汚剤0.05wt%のMEK溶液を調製した(THF及びMEKが希釈剤)。
ガラス基材に10分間UV照射することにより親水化処理を行った。この基材上に上記溶液を600rpmでスピンコート塗工し、80℃で2分間乾燥((B)工程及び(C)工程)して粒子配列膜を作製した。
作製した粒子配列膜の原子間力顕微鏡像を図6に示す。凸部の高さは138nm、粒子間距離は249nm、粒子間距離の標準偏差は20.7nm、(1)式の値は0.856であり、粒子配列膜の構造の均一なものであった。
(反射防止膜の作製)
基材としてガラス基材の代わりにハードコート層を有する樹脂フィルム(東山フィルム製FHC−M2)を用い、その他は上記と同様にして粒子配列膜を作製し、最表面に該粒子配列膜を有する反射防止膜を作製した。
作製した反射防止膜は、視感反射率が0.42%、ヘーズ値が0.51%であり、反射防止性及び透明性に優れるものであった。また、耐擦傷性及び耐マスキング性に優れるものであった。
作製した粒子配列膜及び反射防止膜の測定結果を表1に示す。
Figure 2018185458
[実施例2]
(粒子配列膜及び反射防止膜の作製(製造方法[1]))
塗工液として、実施例1におけるPMMA0.5wt%の代わりに、NKポリマーGH−1203(新中村化学社製)0.48wt%と重合開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(BASF社製IRUGACURE907)0.02wt%とを加えた塗工液を用いた。また、基材上に上記溶液を600rpmでスピンコート塗工し、80℃で2分間乾燥((B)工程及び(C)工程)した後に、窒素雰囲気下で20分間UV照射(硬化工程)した。その他は実施例1と同様にして粒子配列膜及び反射防止膜を作製した。
作製した粒子配列膜の凸部の高さは145nm、粒子間距離は245nm、粒子間距離の標準偏差は24.2nm、(1)式の値は0.845であり、粒子配列膜の構造の均一なものであった。
作製した反射防止膜は、視感反射率が0.35%、ヘーズ値が0.91%であり、反射防止性及び透明性に優れるものであった。また、耐擦傷性及び耐マスキング性に優れるものであった。
作製した粒子配列膜及び反射防止膜の測定結果を表1に合わせて示す。
[実施例3]
(粒子配列膜の作製(製造方法[2]))
粒径180nmのシリカ粒子の水分散液(日産化学社製MP−2040、40wt%)を用い、粒子200g、エタノール150g、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製KBM−503)4g、及び28wt%アンモニア水0.2gを撹拌しながら加え、60℃で3時間反応させ室温まで冷却した。エバポレータにより溶剤を留去し、メタノール500gを加え再度溶剤を留去する操作を3回繰り返した。留去操作後、メチルエチルケトン(MEK)に再分散させた。この溶液に昇華性物質としてショウノウを加え、希釈剤としてMEKを加え、粒子3.2wt%、及びショウノウ3.05wt%のMEK溶液を調製した(MEKが希釈剤)。
ガラス基材に10分間UV照射することにより親水化処理を行った。この基材上に上記溶液を3000rpmでスピンコート塗工し、80℃で2分間乾燥((E)工程及び(F)工程)して粒子配列膜を作製した。
作製した粒子配列膜の原子間力顕微鏡像を図7に示す。凸部の高さは179nm、粒子間距離は238nm、粒子間距離の標準偏差は37.4nm、(1)式の値は0.813であり、粒子配列膜の構造の均一なものであった。
作製した粒子配列膜の測定結果を表1に合わせて示す。
[実施例4]
(粒子配列膜の作製(製造方法[2]))
塗工液として実施例3におけるショウノウを用いる代わりに、ナフタレンを昇華性物質として用い、その他は実施例3と同様にして粒子配列膜を作製した。
作製した粒子配列膜の凸部の高さは178nm、粒子間距離は254nm、粒子間距離の標準偏差は22.7nm、(1)式の値は0.862であり、粒子配列膜の構造の均一なものであった。
作製した粒子配列膜の測定結果を表1に合わせて示す。
[実施例5]
(粒子配列膜の作製(製造方法[3]))
粒径180nmのシリカ粒子の水分散液(日産化学社製MP−2040、40wt%)を用い、粒子200g、エタノール150g、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製KBM−503)0.5g、トリメトキシ(1H,1H,2H,2H−ノナフルオロヘキシル)シラン3.5g、及び28wt%アンモニア水0.2gを撹拌しながら加え、60℃で3時間反応させ室温まで冷却した。エバポレータにより溶剤を留去し、メタノール500gを加え再度溶剤を留去する操作を3回繰り返した。留去操作後、メチルエチルケトン(MEK)に再分散させた。この溶液に架橋性樹脂としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学社製A−DPH、6官能)及び重合開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(BASF社製IRUGACURE907)、高沸点溶剤としてジエチレングリコールブチルメチルエーテル、防汚剤としてKY−1203(信越化学社製)、希釈剤としてMEKをそれぞれ加え、粒子3.2wt%、架橋性樹脂3.2wt%、重合開始剤0.16wt%、高沸点溶剤4.8wt%、及び防汚剤0.16wt%の溶液を調製した(MEKが希釈剤)。
ガラス基材に10分間UV照射することにより親水化処理を行った。この基材上に上記塗工液を3000rpmでスピンコートし、80℃で2分間乾燥した後に、窒素雰囲気下で20分間UV照射(硬化工程)した。
作製した粒子配列膜の原子間力顕微鏡像を図8に示す。凸部の高さは89nm、粒子間距離は236nm、粒子間距離の標準偏差は20.5nm、(1)式の値は0.859であり、粒子配列膜の構造の均一なものであった。
(反射防止膜の作製)
基材として以下の方法で作製した基材を用い、その他は上記と同様にして粒子配列膜を作製し、最表面に該粒子配列膜を有する反射防止膜を作製した。
ジルコニアナノ粒子(日本触媒製ジルコスターZP−153)の70wt%メチルエチルケトン(MEK)溶液10gと、アクリレート(新中村化学社製A−TMM3LM−N、3官能/4官能=57/43wt%混合物、アクリレート重量の1/20の重合開始剤IRUGACURE184を含む)の70wt%MEK溶液90gとを混合し、ジルコニアナノ粒子/アクリレート=20/80の重量比のMEK溶液を調製した。この混合溶液をメチルイソブチルケトン(MIBK)で希釈し、固形分濃度5wt%の塗工液を調製した。この溶液をハードコート層を有する樹脂フィルム(東山フィルム製FHC−M2)にバーコートし、60℃で5分間熱風乾燥後、2分間UV照射(大気下、12mW/cm2)することにより硬化(架橋性樹脂の架橋)させた。
作製した反射防止膜は、視感反射率が0.67%、ヘーズ値が0.32%であり、反射防止性及び透明性に優れるものであった。また、耐擦傷性及び耐マスキング性に優れるものであった。
作製した粒子配列膜及び反射防止膜の測定結果を表1に合わせて示す。
[実施例6]
(粒子配列膜の作製(製造方法[3]))
実施例5におけるトリメトキシ(1H,1H,2H,2H−ノナフルオロヘキシル)シランの代わりにトリメトキシ(1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル)シランを用い、また、シリカ粒子を含有する塗工液として、粒子3.2wt%の塗工液を用いる代わりに、粒子2.4wt%の塗工液を用い、その他は実施例5と同様にして粒子配列膜を作製した。
作製した粒子配列膜の凸部の高さは95nm、粒子間距離は225nm、粒子間距離の標準偏差は20.7nm、(1)式の値は0.836であり、粒子配列膜の構造の均一なものであった。
(反射防止膜の作製)
基材として以下の方法で作製した基材を用い、その他は上記と同様にして粒子配列膜を作製し、最表面に該粒子配列膜を有する反射防止膜を作製した。
ジルコニアナノ粒子(日本触媒製ジルコスターZP−153)の70wt%メチルエチルケトン(MEK)溶液10gと、アクリレート(新中村化学社製A−TMM3LM−N、3官能/4官能=57/43wt%混合物、アクリレート重量の1/20の重合開始剤IRUGACURE184を含む)の70wt%MEK溶液90gとを混合し、ジルコニアナノ粒子/アクリレート=20/80の重量比のMEK溶液を調製した。この混合溶液をメチルイソブチルケトン(MIBK)で希釈し、固形分濃度5wt%の塗工液を調製した。この溶液を、ハードコート層を有する樹脂フィルム(東山フィルム製FHC−M2)にバーコートし、60℃で5分間熱風乾燥後、2分間UV照射(大気下、12mW/cm2)することにより硬化(架橋性樹脂の架橋)させた。
作製した反射防止膜は、視感反射率が0.45%、ヘーズ値が0.49%であり、反射防止性及び透明性に優れるものであった。また、耐擦傷性及び耐マスキング性に優れるものであった。
作製した粒子配列膜及び反射防止膜の測定結果を表1に合わせて示す。
[比較例1]
(粒子配列膜及び反射防止膜の作製)
実施例1において1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンを添加せず、その他は実施例1と同様にして粒子配列膜及び反射防止膜を作製した。
作製した粒子配列膜の原子間力顕微鏡像を図9に示す。凸部の高さは124nm、粒子間距離は195nm、粒子間距離の標準偏差は16.1nm、(1)式の値は0.704であり、粒子配列膜の構造の不均一なものであった。
作製した反射防止膜は、視感反射率が0.54%、ヘーズ値が12.5%であり、透明性に劣るものであった。
作製した粒子配列膜及び反射防止膜の測定結果を表1に合わせて示す。
[比較例2]
(粒子配列膜及び反射防止膜の作製)
実施例1においてPMMAを添加せず、その他は実施例1と同様にして粒子配列膜及び反射防止膜を作製した。
作製した粒子配列膜の原子間力顕微鏡像を図10に示す。凸部の高さは178nm、粒子間距離は213nm、粒子間距離の標準偏差は34.3nm、(1)式の値は0.74であり、粒子配列膜の構造の不均一なものであった。
作製した反射防止膜は、視感反射率が0.36%、ヘーズ値が9.53%であり、透明性に劣るものであった。また、耐擦傷性及び耐マスキング性に劣るものであった。
作製した粒子配列膜及び反射防止膜の測定結果を表1に合わせて示す。
[比較例3]
(粒子配列膜の作製)
実施例3においてショウノウを添加せず、その他は実施例3と同様にして粒子配列膜を作製した。
作製した粒子配列膜の原子間力顕微鏡像を図11に示す。凸部の高さは178nm、粒子間距離は220nm、粒子間距離の標準偏差は42.6nm、(1)式の値は0.677であり、粒子配列膜の構造の不均一なものであった。
作製した粒子配列膜の測定結果を表1に合わせて示す。
[比較例4]
(粒子配列膜及び反射防止膜の作製)
実施例5においてトリメトキシ(1H,1H,2H,2H−ノナフルオロヘキシル)シランを添加せず、その他は実施例5と同様にして粒子配列膜及び反射防止膜を作製した。
作製した粒子配列膜の原子間力顕微鏡像を図12に示す。凸部の高さは138nm、粒子間距離は202nm、粒子間距離の標準偏差は21.4nm、(1)式の値は0.747であり、粒子配列膜の構造の不均一なものであった。
作製した反射防止膜は、視感反射率が0.34%、ヘーズ値が9.21%であり、透明性に劣るものであった。
作製した粒子配列膜及び反射防止膜の測定結果を表1に合わせて示す。
本発明によれば、粒子間距離が均一(構造が均一)な粒子配列膜、透明性及び反射防止性に優れる反射防止膜に好適な粒子配列膜、並びに粒子間距離が均一な粒子配列膜を製造する製造方法を提供することができる。本発明の粒子配列膜はまた、視認性の高いディスプレイ、光取り込み効率の高い太陽電池、光取り出し効率の高い有機EL等に応用可能である。
本発明の粒子配列膜の層構成の一例を示す断面の模式図 メニスカス形状を示す断面の模式図 本発明の製造方法[1]の各工程後の粒子配列膜断面の模式図 (A)製造方法[1]の(A)工程後の微粒子配列膜断面の模式図 (B)製造方法[1]の(B)工程後の微粒子配列膜断面の模式図 (C)製造方法[1]の(C)工程後の微粒子配列膜断面の模式図 本発明の製造方法[2]の各工程後の粒子配列膜断面の模式図 (D)製造方法[2]の(D)工程後の微粒子配列膜断面の模式図 (E)製造方法[2]の(E)工程後の微粒子配列膜断面の模式図 (F)製造方法[2]の(F)工程後の微粒子配列膜断面の模式図 本発明の製造方法[3]の各工程後の粒子配列膜断面の模式図 (H)製造方法[3]の(H)工程後の微粒子配列膜断面の模式図 (I)製造方法[3]の(I)工程後の微粒子配列膜断面の模式図 実施例1の粒子配列膜表面の原子間力顕微鏡像 実施例3の粒子配列膜表面の原子間力顕微鏡像 実施例5の粒子配列膜表面の原子間力顕微鏡像 比較例1の粒子配列膜表面の原子間力顕微鏡像 比較例2の粒子配列膜表面の原子間力顕微鏡像 比較例3の粒子配列膜表面の原子間力顕微鏡像 比較例4の粒子配列膜表面の原子間力顕微鏡像
1 粒子
2 樹脂
3 メニスカス形状
4 樹脂の貧溶剤
5 昇華性物質
6 表面にフルオロ基を有する粒子
10 粒子配列膜
20 基材
30 塗布された塗工液(塗工液膜)
H 凸部の高さ
L 粒子間距離
M メニスカス形状の面内方向の距離

Claims (8)

  1. 粒子及び樹脂を含有し、粒子が配列して凸部を形成した粒子配列膜であって、粒子の粒径をD、凸部の高さをH、粒子間距離をL、粒子間距離の標準偏差をσとしたとき、粒径Dが50〜300nmであり、凸部の高さHが50〜200nmであり、凸部の高さと粒径の比H/Dが0.2〜1.0であり、粒子間距離と粒径の比L/Dが1.05〜3であり、粒子間距離の標準偏差と粒径の比σ/Dが0.4以下であり、下記(1)式で表される値が0.75以上であることを特徴とする粒子配列膜。
    Figure 2018185458
    (式中、Lは粒子間距離[nm]を示し、Nは粒子の数密度[1/nm]を示す。)
  2. 粒子が単層で配列していることを特徴とする請求項1に記載の粒子配列膜。
  3. 樹脂が、反応性基を有する分子量1000以上の樹脂が架橋した架橋樹脂であり、前記反応性基の少なくとも一部は粒子表面と結合を形成していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の粒子配列膜。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の粒子配列膜を最表面に有することを特徴とする反射防止膜。
  5. 粒子、樹脂、及び希釈剤を含有する塗工液を用いて粒子配列膜を製造する製造方法であって、前記塗工液が前記樹脂の貧溶剤を含有し、以下の(A)〜(C)工程を経ることを特徴とする粒子配列膜の製造方法。
    (A)粒子、樹脂、希釈剤、及び前記樹脂の貧溶剤を含有する塗工液を基材に塗布する塗布工程。
    (B)前記塗布された塗工液から希釈剤を揮発させる一次乾燥工程。
    (C)前記一次乾燥された塗工液から前記樹脂の貧溶剤を揮発させる二次乾燥工程。
  6. 塗工液が含有する樹脂の固化温度が、20℃以上であることを特徴とする請求項5に記載の粒子配列膜の製造方法。
  7. 粒子及び希釈剤を含有する塗工液を用いて粒子配列膜を製造する製造方法であって、前記塗工液が昇華性物質を含有し、以下の(D)〜(F)工程を経ることを特徴とする粒子配列膜の製造方法。
    (D)粒子、希釈剤、及び昇華性物質を含有する塗工液を基材に塗布する塗布工程。
    (E)前記塗布された塗工液から希釈剤を揮発させる一次乾燥工程。
    (F)前記一次乾燥された塗工液から昇華性物質を昇華させる二次乾燥工程。
  8. 粒子、樹脂、及び希釈剤を含有する塗工液を用いて粒子配列膜を製造する製造方法であって、以下の(G)〜(I)工程を経ることを特徴とする粒子配列膜の製造方法。
    (G)粒子表面にフルオロ基及び反応性基を設ける粒子表面処理工程。
    (H)前記フルオロ基及び反応性基を設けた粒子、樹脂、並びに希釈剤を含有する塗工液を基材に塗布する塗布工程。
    (I)前記塗布された塗工液から希釈剤を揮発させる乾燥工程。
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