JP6834374B2 - 壁構造物の補修方法 - Google Patents
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Description
護岸壁の劣化した目地部分の補修をする場合、従来、陸側と海側において目地の周辺の笠コンクリートをはつり、その後、劣化した目地材を交換していた。
この笠コンクリート40は、図1(B)に示すように、本発明に係る「構造体」としてのコンクリートブロック体41を複数有する。より具体的には、笠コンクリート40は、壁構造物1の幅方向すなわち岸に沿ってコンクリートブロック体41が連設されることにより形成されたものである。
コンクリートブロック体41と隣接するコンクリートブロック体41との間には目地42が設けられており、目地42には目地材43が埋設されている。目地42は、例えば、15〜25m間隔で設けられており、目地材43としては、例えば、エラストマー製の板状部材や瀝青質目地板が用いられる。
本実施形態に係る壁構造物1の補修方法、より具体的には、壁構造物1の目地42の部分の補修方法では、まず、図2(A)及び図2(B)に示すように、笠コンクリート40の目地42が設けられた部分に、鉛直方向上側から下側に向けて、コアボーリング等により円形の穴50を形成する。穴50は、本例では、内径がφ150mmであり、隣接するコンクリートブロック体41の両方にかかるように形成される。また、穴50の深さは、鋼矢板11の頂部が露出する深さ、例えば3000mmである。
穴形成工程に次いで、図3(A)及び図3(B)に示すように、ストレートアスファルト等のアスファルト51を穴50の底部に充填する。アスファルト51は粘性及び止水性を有する充填剤であり、アスファルト51の粘性は少なくとも目地材43の破損部から該アスファルト51が漏れ出すことがない粘性であればよい。アスファルト51は、該アスファルト51の層の厚さが100mm程度となるまで充填される。
穴形成工程で鋼矢板11の頂部全体が露出するように穴50を形成した場合、後述のパイプ52の下端と対向する穴50の底面は平坦とならないが、アスファルト51を充填することにより、穴50におけるパイプ52の下端との対向面を平坦にすることができる。
充填工程後、図4(A)及び図4(B)に示すように、本発明の「柱状体」の一例である円筒状のパイプ52を穴50に挿入する。そして、パイプ52をアスファルト51に押し付けて固定する。パイプ52は、図4(C)に示すように例えば底部が塞がれた鋼管53から成り、その側面及び底部に膨張性止水膜54が形成されている。膨張性止水膜54は、膨潤止水材を塗布した後に静置することにより空気中の水分を吸収し形成された塗膜であり、膨潤性を有し、少なくとも、膨張した状態において弾性を有する。上述の膨潤止水材としては、鋼矢板の止水性の向上のため鋼矢板の継手部(図1(B)の符号21a参照)に用いられるものをパイプ52にも用いることができる。
パイプ52の外径は、より具体的には鋼管53の外径は、例えばφ120〜130mmであり、穴50の内径よりわずかに小さい。したがって、パイプ52の外側面と穴50の内周面との間には隙間がある。しかし、この隙間は、穴50に流れ込んだ地下水や雨水などを吸収して膨張した膨張性止水膜54により塞がれる。
パイプ52は底面にも膨張性止水膜54が形成されているため、該膨張性止水膜54が膨張したときに、パイプ52に対して上方向に移動させるような力が働く。このような力が働いたときにパイプ52が浮き上がるのを抑えるための抑え部材として、図5(A)及び図5(B)に示すように、アングル55を穴50の上部に取り付ける。アングル55は、例えば、鋼板からなり、その両端がコンクリートブロック体41にボルト等により固定される。
また、図6(A)に示すように穴50の周辺の笠コンクリート40にクラック41aが生じている場合がある。
そのため、本実施形態に係る方法で補修した壁構造物1では、穴50の周辺すなわち鋼矢板壁10の頂部周辺に形成されていたクラック41aを水みちとした漏水を防ぐことができる。
本実施形態に係る壁構造物の補修方法では、上述の抑え工程の後に、穴50とパイプ52との間の隙間に意図的に注水し、膨張性止水膜54を浸漬し膨張させる膨張工程を追加してもよい。
また、以上の例では、穴50の底部を充填する充填剤としてアスファルト51を用いているが、これに代えてコールタールを用いてもよい。
穴50の形状は、上述の例では円形であったが、円形に限られず角形等であってもよい。ただし、円形であれば容易に穴50を形成することができる。
また、以上の例では、パイプ52は鋼管としていたが、これに限られずポリ塩化ビニル管等であってもよい。ただし、鋼管であれば、耐久性を高くすることができる。
10…鋼矢板壁
11…鋼矢板
20…円形鋼管
21…鋼矢板
30…タイロッド
40…笠コンクリート
41…コンクリートブロック体
41a…クラック
42…目地
43…目地材
50…穴
51…アスファルト
52…パイプ
53…鋼管
54…膨張性止水膜
Claims (7)
- 複数のコンクリート製の構造体を幅方向に連設して成り、各構造体と構造体との間に設けられた目地に目地材が埋設された壁構造物の目地部分の補修方法であって、
前記壁構造物の前記目地が設けられた部分に穴を形成する工程と、
膨張性を有し且つ膨張した状態において弾性を有する膨張性止水膜が少なくとも側面に形成された柱状体を前記穴に挿入する工程と、を含む、ことを特徴とする壁構造物の補修方法。 - 前記柱状体は有底柱状体であり、
前記柱状体を前記穴に挿入する工程の前に、
前記穴の底部に粘性及び止水性を有する充填剤を充填する工程を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の壁構造物の補修方法。 - 前記柱状体は底面に前記膨張性止水膜が形成されている、ことを特徴とする請求項2に記載の壁構造物の補修方法。
- 前記穴に挿入された柱状体が浮き上がるのを抑える抑え部材を固定する工程を含む、ことを特徴とする請求項3に記載の壁構造物の補修方法。
- 前記構造体は鋼構造材の上部に配設されており、
前記穴の深さは、前記鋼構造材の頂部が露出する深さであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の壁構造物の補修方法。 - 前記穴に挿入された前記柱状体の前記膨張性止水膜を浸漬し膨張させる工程を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の壁構造物の補修方法。
- 前記柱状体は中空に形成され、
前記穴に挿入された前記柱状体の中空部分を充填する工程を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の壁構造物の補修方法。
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