JP6833174B2 - 高分子光重合増感剤 - Google Patents

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Description

本発明は、9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマー、その製造法及び9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーを含有する光重合増感剤に関する。
紫外線や可視光線等の活性エネルギー線により重合する光硬化性樹脂は、硬化が速く、熱硬化性樹脂に比べ有機溶剤の使用量を大幅に減らすことができることから、作業環境の改善、環境負荷を低減することができるという点で優れている。従来の光硬化性樹脂はそれ自体では重合開始機能が乏しく、硬化させるには通常、光重合開始剤を用いる必要がある。光重合開始剤として、ヒドロキシアセトフェノンやベンゾフェノン等のアルキルフェノン系重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤又はオニウム塩などが用いられる(特許文献1、2、3)。これら光重合開始剤の内でオニウム塩系開始剤を用いる場合、オニウム塩の光吸収は225nm〜350nm付近にあり、350nm以上には吸収を持たないため、350nm以上の長波長のランプを光源とした場合、光硬化反応が進行しにくいなどの問題があり、光重合増感剤を添加するのが一般的である。光重合増感剤としては、アントラセン、チオキサントン化合物が知られており、色目の問題などで、特にアントラセン化合物が用いられることが多い(特許文献4)。
アントラセン系の光重合増感剤としては、9,10−ジアルコキシアントラセン化合物が用いられている。例えば、光重合における光重合開始剤であるヨードニウム塩に対し、光重合増感剤として9,10−ジブトキシアントラセンや9,10−ジエトキシアントラセンなどの9,10−ジアルコキシアントラセン化合物が使用されている(特許文献5、6、7、8)。
しかしながら、光硬化時あるいは硬化物の保存中にブルーミング等により、光重合増感剤等の添加物が表面ににじみ出し、硬化物の粉吹きや着色の問題を引き起こすことが知られている。たとえば、フィルムとフィルムを接着する光接着剤の一成分としてこれらの光重合増感剤を使用する場合、光重合増感剤が上部に被せたフィルムに移行する(マイグレーション)ことがあり、上部フィルム上に増感剤の粉吹きや着色の問題を引き起こす場合がある。
移行性を抑制する方法としては、光重合増感剤を高分子量化して分子としてのモビリティを下げて解決する方法が知られている。例えば特許文献9では光重合増感剤とポリエステル樹脂とを化学結合させることにより、移行性の高い光重合増感剤の使用量を減量し、硬化反応後の光重合増感剤の移行や溶出、揮発を低減させている。
しかしながら、光重合増感剤をポリエステル樹脂にペンダントとして化学結合させる特許文献9の方法では、単位分子量あたりの反応活性基数(光重合増感作用を有する基)が減少してしまうため、硬化性能が劣ってしまい課題を解決するには至っていない。
特開平06−345614号公報 特開平07−062010号公報 特開平05−249606号公報 特開平10−195117号公報 特開2002−302507号公報 特開平11−279212号公報 特開2000−344704号公報 WO2007/126066号公報 特開2005−154748号公報
そこで、光硬化時あるいは硬化物の保存中にブルーミング等により、光重合増感剤等の添加物が表面ににじみ出し、硬化物の粉吹きや着色の問題を引き起こすことがなく、かつ実用上十分な光硬化速度を与える光重合増感剤の開発が望まれている。
本発明者は、アントラセン化合物の構造と物性に関してさらに鋭意検討した結果、本発明の9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーは、9,10−ジアルコキシアントラセンと同様の骨格を持ち、単位分子量当たりの光重合増感効果を示すアントラセン骨格の数が多く、光カチオン重合及び光ラジカル重合において光重合増感剤として優れた効果を示すのみならず、本発明の9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーは高分子量化されているため、当該化合物を光重合増感剤として含有する光重合性組成物の上にフィルムを被せた場合でもマイグレーションなどを起こし難くなることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の第1の要旨は、繰り返し単位が下記一般式(1)で表される9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーに存する。
一般式(1)において、nは繰り返し数を表し2〜50であり、X、Yは同一であっても異なってもよく、水素原子、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。Rは水素原子、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基を持つアルコキシメチル基又は炭素数6から10のアリール基を持つアリールオキシメチル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1から5のアルキル基を表し、RとRは互いに環を形成してもよい。Aは二価の置換基を表す。
本発明の第2の要旨は、繰り返し単位が下記一般式(2)で表される9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーに存する。
一般式(2)において、nは繰り返し数を表し2〜50であり、X、Yは同一であっても異なってもよく、水素原子、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。Rは水素原子、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基を持つアルコキシメチル基又は炭素数6から10のアリール基を持つアリールオキシメチル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1から5のアルキル基を表し、RとRは互いに環を形成してもよい。Dは炭素数1から20のアルキレン基、または炭素数6から20のアリーレン基を表し、該アルキレン基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ベンゼン環又はナフタレン環を含んでいてもよく、該ベンゼン環、ナフタレン環はアルキル基で置換されていてもよい。またアリーレン基は置換基を有していてもよく、複数の環がアルキレン基、酸素原子、窒素原子、硫黄原子で結合されていてもよい。
本発明の第3の要旨は、繰り返し単位が下記一般式(3)で表される9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーに存する。
一般式(3)において、nは繰り返し数を表し2〜50であり、X、Yは同一であっても異なってもよく、水素原子、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。Rは水素原子、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基を持つアルコキシメチル基又は炭素数6から10のアリール基を持つアリールオキシメチル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1から5のアルキル基を表し、RとRは互いに環を形成してもよい。Eは炭素数1から20のアルキレン基、または炭素数6から20のアリーレン基を表し、該アルキレン基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ベンゼン環又はナフタレン環を含んでいてもよく、該ベンゼン環、ナフタレン環はアルキル基で置換されていてもよい。またアリーレン基は置換基を有していてもよく、複数の環がアルキレン基、酸素原子、窒素原子、硫黄原子で結合されていてもよい。
本発明の第4の要旨は、繰り返し単位が下記一般式(4)で表される9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーに存する。
一般式(4)において、nは繰り返し数を表し2〜50であり、X、Yは同一であっても異なってもよく、水素原子、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。Rは水素原子、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基を持つアルコキシメチル基又は炭素数6から10のアリール基を持つアリールオキシメチル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1から5のアルキル基を表し、RとRは互いに環を形成してもよい。Gは炭素数1から20のアルキレン基、または炭素数6から20のアリーレン基を表し、該アルキレン基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ベンゼン環又はナフタレン環を含んでいてもよく、該ベンゼン環、ナフタレン環はアルキル基で置換されていてもよい。またアリーレン基は置換基を有していてもよく、複数の環がアルキレン基、酸素原子、窒素原子、硫黄原子で結合されていてもよい。
本発明の第5の要旨は、繰り返し単位が下記一般式(5)で表される9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーに存する。
一般式(5)において、nは繰り返し数を表し2〜50であり、X、Yは同一であっても異なってもよく、水素原子、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。Rは水素原子、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基を持つアルコキシメチル基又は炭素数6から10のアリール基を持つアリールオキシメチル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1から5のアルキル基を表し、RとRは互いに環を形成してもよい。Jは炭素数1から20のアルキレン基、または炭素数6から20のアリーレン基を表し、該アルキレン基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ベンゼン環又はナフタレン環を含んでいてもよく、該ベンゼン環、ナフタレン環はアルキル基で置換されていてもよい。またアリーレン基は置換基を有していてもよく、複数の環がアルキレン基、酸素原子、窒素原子、硫黄原子で結合されていてもよい。
本発明の第6の要旨は、下記一般式(6)で表される9,10−ビス(2−ヒドロキシアルコキシ)アントラセン化合物と二塩基酸又は二塩基酸エステルとを反応させることからなる、繰り返し単位が一般式(2)で表される9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーの製造法に存する。
一般式(6)において、X、Yは同一であっても異なってもよく、水素原子、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。Rは水素原子、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基を持つアルコキシメチル基又は炭素数6から10のアリール基を持つアリールオキシメチル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1から5のアルキル基を表し、RとRは互いに環を形成してもよい。
一般式(2)において、nは繰り返し数を表し2〜50であり、X、Yは同一であっても異なってもよく、水素原子、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。Rは水素原子、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基を持つアルコキシメチル基又は炭素数6から10のアリール基を持つアリールオキシメチル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1から5のアルキル基を表し、RとRは互いに環を形成してもよい。Dは炭素数1から20のアルキレン基、または炭素数6から20のアリーレン基を表し、該アルキレン基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ベンゼン環又はナフタレン環を含んでいてもよく、該ベンゼン環、ナフタレン環はアルキル基で置換されていてもよい。またアリーレン基は置換基を有していてもよく、複数の環がアルキレン基、酸素原子、窒素原子、硫黄原子で結合されていてもよい。
本発明の第7の要旨は、下記一般式(6)で表される9,10−ビス(2−ヒドロキシアルコキシ)アントラセン化合物とジイソシアネート化合物とを反応させることからなる、繰り返し単位が一般式(3)で表される9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーの製造法に存する。
一般式(6)において、X、Yは同一であっても異なってもよく、水素原子、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。Rは水素原子、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基を持つアルコキシメチル基又は炭素数6から10のアリール基を持つアリールオキシメチル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1から5のアルキル基を表し、RとRは互いに環を形成してもよい。
一般式(3)において、nは繰り返し数を表し2〜50であり、X、Yは同一であっても異なってもよく、水素原子、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。Rは水素原子、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基を持つアルコキシメチル基又は炭素数6から10のアリール基を持つアリールオキシメチル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1から5のアルキル基を表し、RとRは互いに環を形成してもよい。Eは炭素数1から20のアルキレン基、または炭素数6から20のアリーレン基を表し、該アルキレン基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ベンゼン環又はナフタレン環を含んでいてもよく、該ベンゼン環、ナフタレン環はアルキル基で置換されていてもよい。またアリーレン基は置換基を有していてもよく、複数の環がアルキレン基、酸素原子、窒素原子、硫黄原子で結合されていてもよい。
本発明の第8の要旨は、下記一般式(6)で表される9,10−ビス(2−ヒドロキシアルコキシ)アントラセン化合物とジハロゲン化合物又はジオール化合物とを反応させることからなる、繰り返し単位が一般式(4)で表される9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーの製造法に存する。
一般式(6)において、X、Yは同一であっても異なってもよく、水素原子、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。Rは水素原子、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基を持つアルコキシメチル基又は炭素数6から10のアリール基を持つアリールオキシメチル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1から5のアルキル基を表し、RとRは互いに環を形成してもよい。
一般式(4)において、nは繰り返し数を表し2〜50であり、X、Yは同一であっても異なってもよく、水素原子、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。Rは水素原子、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基を持つアルコキシメチル基又は炭素数6から10のアリール基を持つアリールオキシメチル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1から5のアルキル基を表し、RとRは互いに環を形成してもよい。Gは炭素数1から20のアルキレン基、または炭素数6から20のアリーレン基を表し、該アルキレン基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ベンゼン環又はナフタレン環を含んでいてもよく、該ベンゼン環、ナフタレン環はアルキル基で置換されていてもよい。またアリーレン基は置換基を有していてもよく、複数の環がアルキレン基、酸素原子、窒素原子、硫黄原子で結合されていてもよい。
本発明の第9の要旨は、下記一般式(6)で表される9,10−ビス(2−ヒドロキシアルコキシ)アントラセン化合物とジグリシジル化合物とを反応させることからなる、繰り返し単位が一般式(5)で表される9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーの製造法に存する。
一般式(6)において、X、Yは同一であっても異なってもよく、水素原子、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。Rは水素原子、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基を持つアルコキシメチル基又は炭素数6から10のアリール基を持つアリールオキシメチル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1から5のアルキル基を表し、RとRは互いに環を形成してもよい。
一般式(5)において、nは繰り返し数を表し2〜50であり、X、Yは同一であっても異なってもよく、水素原子、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。Rは水素原子、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基を持つアルコキシメチル基又は炭素数6から10のアリール基を持つアリールオキシメチル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1から5のアルキル基を表し、RとRは互いに環を形成してもよい。Jは炭素数1から20のアルキレン基、または炭素数6から20のアリーレン基を表し、該アルキレン基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ベンゼン環又はナフタレン環を含んでいてもよく、該ベンゼン環、ナフタレン環はアルキル基で置換されていてもよい。またアリーレン基は置換基を有していてもよく、複数の環がアルキレン基、酸素原子、窒素原子、硫黄原子で結合されていてもよい。
本発明の第10の要旨は、繰り返し単位が下記一般式(1)で表される9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーを含有する光重合増感剤に存する。
一般式(1)において、nは繰り返し数を表し2〜50であり、X、Yは同一であっても異なってもよく、水素原子、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。Rは水素原子、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基を持つアルコキシメチル基又は炭素数6から10のアリール基を持つアリールオキシメチル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1から5のアルキル基を表し、RとRは互いに環を形成してもよい。Aは二価の置換基を表す。
本発明の第11の要旨は、繰り返し単位が下記一般式(2)で表される9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーを含有する光重合増感剤に存する。
一般式(2)において、nは繰り返し数を表し2〜50であり、X、Yは同一であっても異なってもよく、水素原子、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。Rは水素原子、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基を持つアルコキシメチル基又は炭素数6から10のアリール基を持つアリールオキシメチル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1から5のアルキル基を表し、RとRは互いに環を形成してもよい。Dは炭素数1から20のアルキレン基、または炭素数6から20のアリーレン基を表し、該アルキレン基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ベンゼン環又はナフタレン環を含んでいてもよく、該ベンゼン環、ナフタレン環はアルキル基で置換されていてもよい。またアリーレン基は置換基を有していてもよく、複数の環がアルキレン基、酸素原子、窒素原子、硫黄原子で結合されていてもよい。
本発明の第12の要旨は、繰り返し単位が下記一般式(3)で表される9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーを含有する光重合増感剤に存する。
一般式(3)において、nは繰り返し数を表し2〜50であり、X、Yは同一であっても異なってもよく、水素原子、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。Rは水素原子、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基を持つアルコキシメチル基又は炭素数6から10のアリール基を持つアリールオキシメチル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1から5のアルキル基を表し、RとRは互いに環を形成してもよい。Eは炭素数1から20のアルキレン基、または炭素数6から20のアリーレン基を表し、該アルキレン基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ベンゼン環又はナフタレン環を含んでいてもよく、該ベンゼン環、ナフタレン環はアルキル基で置換されていてもよい。またアリーレン基は置換基を有していてもよく、複数の環がアルキレン基、酸素原子、窒素原子、硫黄原子で結合されていてもよい。
本発明の第13の要旨は、繰り返し単位が下記一般式(4)で表される9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーを含有する光重合増感剤に存する。
一般式(4)において、nは繰り返し数を表し2〜50であり、X、Yは同一であっても異なってもよく、水素原子、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。Rは水素原子、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基を持つアルコキシメチル基又は炭素数6から10のアリール基を持つアリールオキシメチル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1から5のアルキル基を表し、RとRは互いに環を形成してもよい。Gは炭素数1から20のアルキレン基、または炭素数6から20のアリーレン基を表し、該アルキレン基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ベンゼン環又はナフタレン環を含んでいてもよく、該ベンゼン環、ナフタレン環はアルキル基で置換されていてもよい。またアリーレン基は置換基を有していてもよく、複数の環がアルキレン基、酸素原子、窒素原子、硫黄原子で結合されていてもよい。
本発明の第14の要旨は、繰り返し単位が下記一般式(5)で表される9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーを含有する光重合増感剤に存する。
一般式(5)において、nは繰り返し数を表し2〜50であり、X、Yは同一であっても異なってもよく、水素原子、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。Rは水素原子、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基を持つアルコキシメチル基又は炭素数6から10のアリール基を持つアリールオキシメチル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1から5のアルキル基を表し、RとRは互いに環を形成してもよい。Jは炭素数1から20のアルキレン基、または炭素数6から20のアリーレン基を表し、該アルキレン基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ベンゼン環又はナフタレン環を含んでいてもよく、該ベンゼン環、ナフタレン環はアルキル基で置換されていてもよい。またアリーレン基は置換基を有していてもよく、複数の環がアルキレン基、酸素原子、窒素原子、硫黄原子で結合されていてもよい。
本発明の第15の要旨は、第10乃至第14のいずれかひとつの要旨に記載の光重合増感剤と、光重合開始剤とを含有する光重合開始剤組成物に存する。
本発明の第16の要旨は、第15の要旨に記載の光重合開始剤組成物と、光カチオン重合性化合物とを含有する光重合性組成物に存する。
本発明の第17の要旨は、第15の要旨に記載の光重合開始剤組成物と、光ラジカル重合性化合物とを含有する光重合性組成物に存する。
本発明の9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーは、光重合反応において光重合増感剤としての効果を有するだけでなく、本発明の化合物を光重合増感剤として含有する光重合性組成物の上にフィルムを被せた場合、本発明の化合物の被覆フィルムに対するマイグレーションの程度がきわめて低いという有用な化合物である。
(化合物)
本発明の9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーは、繰り返し単位が下記一般式(1)で表される化合物である。
一般式(1)において、nは繰り返し数を表し2〜50であり、X、Yは同一であっても異なってもよく、水素原子、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。Rは水素原子、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基を持つアルコキシメチル基又は炭素数6から10のアリール基を持つアリールオキシメチル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1から5のアルキル基を表し、RとRは互いに環を形成してもよい。Aは二価の置換基を表す。
一般式(1)において、X又はYで表される炭素数1から8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基又は2−エチルヘキシル基等が挙げられ、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が挙げられる。なお、後述の一般式(2)〜(6)におけるそれぞれのXまたはYの具体例もまた一般式(1)におけるこれらの具体例と同様である。
一般式(1)において、Rで表される炭素数1から5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基等が挙げられ、炭素数1から5のアルコキシ基を持つアルコキシメチル基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基、アリルオキシメチル基等が挙げられる。炭素数6から10のアリール基を持つアリールオキシメチル基としては、フェノキシメチル基等が挙げられる。そして、Rで表される炭素数1から5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基等が挙げられる。また、RとRが互いに環を形成している場合の例としては、RとRがブチレン基で結合され結果としてシクロヘキサン環を形成している場合などが挙げられる。なお、後述の一般式(2)〜(6)におけるそれぞれのR、Rの具体例もまた一般式(1)におけるこれらの具体例と同様である。
Aで表される二価の置換基としては、二つの水酸基と二官能性化合物との反応よって生成するエステル結合、ウレタン結合、エーテル結合などの結合を構成する二価の置換基であればよく、例えば下記のような二価の置換基が挙げられる。
上記二価の置換基の一般式(A1)乃至(A4)において、星印記号(アスタリスク)は二価の置換基の結合位置を表し、D、E、G、Jは、炭素数1から20のアルキレン基、または炭素数6から20のアリーレン基を表し、該アルキレン基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ベンゼン環又はナフタレン環を含んでいてもよく、該ベンゼン環、ナフタレン環はアルキル基で置換されていてもよい。またアリーレン基は置換基を有していてもよく、複数の環がアルキレン基、酸素原子、窒素原子、硫黄原子で結合されていてもよい。
一般式(A1)乃至(A4)において、D、E、G、Jで表される炭素数1から20のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基及び下記の飽和環式のアルキレン基等が挙げられ、炭素数6から20のアリーレン基としては、フェニレン基及び下記のアリーレン基等が挙げられる。これら例示したアルキレン基、アリーレン基には、更にアルキル基やアルコキシカルボニル基等が置換していてもよい。
二価の置換基がA1である場合、繰り返し単位が一般式(2)の9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーであり、A2である場合、繰り返し単位が一般式(3)の9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーであり、A3である場合、繰り返し単位が一般式(4)の9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーであり、A4である場合、繰り返し単位が一般式(5)の9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーとなる。
本発明の繰り返し単位が一般式(1)で表される9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーの具体例を示す。まず一般式(1)において、AがA1である一般式(2)の化合物の具体例を表1、表2及び表3に示す。
次に、一般式(1)において、AがA2である一般式(3)の化合物の具体例を表4、表5及び表6に示す。
そして、一般式(1)において、AがA3である一般式(4)の化合物の具体例を表7、表8及び表9に示す。
更に、一般式(1)において、AがA4である一般式(5)の化合物の具体例を表10、表11及び表12に示す。
これら例示した化合物の中で、製造が容易でかつ光重合増感剤としての効果が大きいという点で、下記に示した58化合物が好ましい。
上記挙げた好ましい化合物の中でも、化合物番号2-5のオリゴマー、化合物番号2-6のオリゴマー、化合物番号2-11のオリゴマー、化合物番号2-15のオリゴマー、化合物番号2-16のオリゴマー、化合物番号2-17のオリゴマー、化合物番号2-18のオリゴマー、化合物番号2-19、化合物番号2−31のオリゴマー、化合物番号2−60のオリゴマー、化合物番号2−65のオリゴマー、化合物番号2−70のオリゴマー、化合物番号3-4のオリゴマー、化合物番号3-6のオリゴマー、化合物番号3-13のオリゴマー、化合物番号3-15のオリゴマー、化合物番号3−58のオリゴマー、化合物番号4−17のオリゴマー、化合物番号4−53のオリゴマー、化合物番号5−12のオリゴマーが特に好ましい。
(製造方法)
次に本発明の9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーの製造方法について説明する。本発明の9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーは、一般式(6)で表される9,10−ビス(2−ヒドロキシアルコキシ)アントラセン化合物を下記の反応式−1に従い、触媒存在下あるいは無触媒で対応する二官能性化合物と反応させることにより得ることができる。
二官能性化合物としては、水酸基と反応して結合を生成する官能基を少なくとも二つ有している化合物であればよい。例えば、水酸基と反応するカルボキシル基を二つ以上有する二塩基酸又は二塩基酸エステル、水酸基と反応してウレタン結合を生成するイソシアネート基を二つ以上有するジイソシアネート化合物、水酸基と反応するジハロゲン化合物又はジオール化合物、ジグリシジル化合物等が挙げられる。
反応式−1において、nは繰り返し数を表し2〜50であり、X、Yは同一であっても異なってもよく、水素原子、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。Rは水素原子、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基を持つアルコキシメチル基又は炭素数6から10のアリール基を持つアリールオキシメチル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1から5のアルキル基を表し、RとRは互いに環を形成してもよい。Aは二価の置換基を表す。
(一般式(6)の化合物の製造方法)
反応式−1において、原料として用いられる一般式(6)で表される9,10−ビス(2−ヒドロキシアルコキシ)アントラセン化合物は、9,10−アントラキノン化合物を還元して得られる9,10−ジヒドロキシアントラセン化合物を酸化アルキレンあるいはアルキルグリシジルエーテルあるいはアリールグリシジルエーテルと反応させることにより得られる。
例えば、酸化アルキレンとして酸化エチレンを用いた場合は、RとRが水素原子である9,10−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)アントラセン化合物が得られ、酸化アルキレンとして酸化プロピレンを用いた場合は、Rがメチル基でRが水素原子である9,10−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン化合物が得られ、酸化アルキレンとして酸化ブチレンを用いる場合は、Rがエチル基でRが水素原子である9,10−ビス(2−ヒドロキシブトキシ)アントラセン化合物が得られ、酸化アルキレンとして酸化ペンテンを用いる場合は、Rがプロピル基でRが水素原子である9,10−ビス(2−ヒドロキシペンチルオキシ)アントラセン化合物が得られ、酸化アルキレンとして酸化ヘキセンを用いる場合は、Rがブチル基でRが水素原子である9,10−ビス(2−ヒドロキシヘキシルオキシ)アントラセン化合物が得られる。アルキルグリシジルエーテルとしてメチルグリシジルエーテルを用いた場合は、Rがメトキシメチル基でRが水素原子である9,10−ビス(3−メトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン化合物が得られ、アルキルグリシジルエーテルとしてブチルグリシジルエーテルを用いた場合は、Rがブトキシメチル基でRが水素原子である9,10−ビス(3−ブトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン化合物が得られ、アルキルグリシジルエーテルとしてアリルグリシジルエーテルを用いた場合は、Rがアリルオキシメチル基でRが水素原子である9,10−ビス(3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン化合物が得られる。アリールグリシジルエーテルとしてフェニルグリシジルエーテルを用いた場合は、Rがフェノキシメチル基でRが水素原子である9,10−ビス(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン化合物が得られる。
当該反応において原料となる9,10−ジヒドロキシアントラセン化合物の具体的な例としては、9,10−ジヒドロキシアントラセン、2−メチル−9,10−ジヒドロキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジヒドロキシアントラセン、2−t−ペンチル−9,10−ジヒドロキシアントラセン、2,6−ジメチル−9,10−ジヒドロキシアントラセン、2−クロロ−9,10−ジヒドロキシアントラセン、2−ブロモ−9,10−ジヒドロキシアントラセン等が挙げられる。
また、9,10−ジヒドロキシアントラセンの場合は、工業的な方法として、1,4−ナフトキノンと1,3−ブタジエンのディールス・アルダー反応物である1,4,4a,9a−テトラヒドロアントラキノン又はその異性体である1,4−ジヒドロ9,10−ジヒドロキシアントラセンのアルカリ金属塩を用いて9,10−アントラキノンを還元することにより、より簡便に9,10−ジヒドロキシアントラセンを得ることができる。即ち、1,4−ナフトキノンと1,3−ブタジエンとの反応により得られる1,4,4a,9a−テトラヒドロアントラキノンを、水性媒体中、アルカリ金属水酸化物のようなアルカリ性化合物の存在下に9,10−アントラキノンと反応させることにより9,10−ジヒドロキシアントラセンのアルカリ金属塩の水溶液を得ることができる。
当該反応で得られた9,10−ジヒドロキシアントラセンのアルカリ金属塩の水溶液を酸素不存在下に酸性化することにより、9,10−ジヒドロキシアントラセンの沈殿を得ることができる。この沈殿を精製することにより、9,10−ジヒドロキシアントラセンを得ることができる。置換基を有する9,10−ジヒドロキシアントラセン化合物も同様にして得ることができる。
当該9,10−ジヒドロキシアントラセン化合物と酸化アルキレン、アルキルグリシジルエーテル又はアリールグリシジルエーテルの反応に用いられる酸化アルキレン、アルキルグリシジルエーテル又はアリールグリシジルエーテルの使用量は、9,10−ジヒドロキシアントラセン化合物に対して、2モル倍から30モル倍添加する。
当該9,10−ジヒドロキシアントラセン化合物と酸化アルキレン、アルキルグリシジルエーテル又はアリールグリシジルエーテルの反応では、反応を促進させるため塩基性化合物を用いる。使用される塩基性化合物としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等の無機塩基が挙げられる。塩基性化合物の添加量は9,10−ジヒドロキシアントラセン化合物に対して2倍モルから3倍モルが望ましい。反応は通常溶媒の存在下行われる。
原料として、9,10−ジヒドロキシアントラセンのアルカリ金属塩水溶液をそのまま用いることも可能で、その場合は塩基性化合物を用いる必要はない。
使用する溶媒としては、水及び/又はメタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、エチレングリコール、ジメトキシエタノール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族系溶媒、ジクロルメタン、ジクロロエタン、ジクロロエチレン等のハロゲン系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒が用いられる。
使用する溶媒として、水と水非混和性の溶媒の混合溶媒を用いるときは、反応の進行を早めるために相関移動触媒を用いてもよい。相関移動触媒としては、例えば、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラプロピルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、トリオクチルメチルアンモニウムブロマイド、トリオクチルエチルアンモニウムブロマイド、トリオクチルプロピルアンモニウムブロマイド、トリオクチルブチルアンモニウムブロマイド、ベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムブロマイド、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラプロピルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド、トリオクチルエチルアンモニウムクロライド、トリオクチルプロピルアンモニウムクロライド、トリオクチルブチルアンモニウムクロライド、ベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
相間移動触媒の添加量としては、9,10−ジヒドロキシアントラセン化合物に対して、好ましくは0.01モル%以上、20モル%未満、より好ましくは、0.1モル%以上、10モル%未満である。0.01モル%未満であると、反応速度が遅く、また、20モル%以上だと生成物の純度が低下するので好ましくない。
当該反応の反応温度は、0℃以上、100℃以下、より好ましくは20℃以上、80℃以下が望ましい。0℃未満では反応が遅く、100℃を超えて加熱すると副反応による副生物が増加するため好ましくない。反応時間は反応温度によるが、通常0.5時間から6時間である。
このようにして一般式(6)の9,10−ビス(2−ヒドロキシアルコキシ)アントラセン化合物を得ることができる。
代表的な9,10−ビス(2−ヒドロキシアルコキシ)アントラセン化合物としては例えば、9,10−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)アントラセン、9,10−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン、9,10−ビス(2−ヒドロキシブトキシ)アントラセン、9,10−ビス(3−メトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン、9,10−ビス(3−ブトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン、9,10−ビス(3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン、9,10−ビス(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(2−ヒドロキシブトキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(3−メトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(3−ブトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(2−ヒドロキシブトキシ)アントラセン、2−t−ペンチル−9,10−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(3−メトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(3−ブトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン、2−t−ペンチル−9,10−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン、2−t−ペンチル−9,10−ビス(2−ヒドロキシブトキシ)アントラセン、2−t−ペンチル−9,10−ビス(3−メトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン、2−t−ペンチル−9,10−ビス(3−ブトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン、2−t−ペンチル−9,10−ビス(3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン、2−t−ペンチル−9,10−ビス(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン、2,6−ジメチル−9,10−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)アントラセン、2,6−ジメチル−9,10−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン、2,6−ジメチル−9,10−ビス(2−ヒドロキシブトキシ)アントラセン、2,6−ジメチル−9,10−ビス(3−メトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン、2,6−ジメチル−9,10−ビス(3−ブトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン、2,6−ジメチル−9,10−ビス(3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン、2,6−ジメチル−9,10−ビス(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン、2−クロロ−9,10−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)アントラセン、2−クロロ−9,10−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン、2−クロロ−9,10−ビス(2−ヒドロキシブトキシ)アントラセン、2−クロロ−9,10−ビス(3−メトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン、2−クロロ−9,10−ビス(3−ブトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン、2−クロロ−9,10−ビス(3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン、2−クロロ−9,10−ビス(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン、2−ブロモ−9,10−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)アントラセン、2−ブロモ−9,10−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン、2−ブロモ−9,10−ビス(2−ヒドロキシブトキシ)アントラセン、2−ブロモ−9,10−ビス(3−メトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン、2−ブロモ−9,10−ビス(3−ブトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン、2−ブロモ−9,10−ビス(3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン、2−ブロモ−9,10−ビス(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン等が挙げられる。
(一般式(1)の化合物の製造方法)
次に、一般式(6)で表される9,10−ビス(2−ヒドロキシアルコキシ)アントラセン化合物を反応式−1に従い、触媒存在下あるいは無触媒で二官能性化合物と反応させることにより繰り返し単位が一般式(1)で表される9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーを得ることができる。
反応式−1において、nは繰り返し数を表し2〜50であり、X、Yは同一であっても異なってもよく、水素原子、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。Rは水素原子、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基を持つアルコキシメチル基又は炭素数6から10のアリール基を持つアリールオキシメチル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1から5のアルキル基を表し、RとRは互いに環を形成してもよい。Aは二価の置換基を表す。
反応式−1において用いられる二官能性化合物としては、二塩基酸又は二塩基酸エステル、ジイソシアネート化合物、ジハロゲン化合物又はジオール化合物、ジグリシジル化合物が挙げられる。
下記反応式−2に示したように、二官能性化合物として二塩基酸又は二塩基酸エステルを用いた場合は、繰り返し単位が一般式(2)の9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーを得ることができる。
反応式−2において、nは繰り返し数を表し2〜50であり、X、Yは同一であっても異なってもよく、水素原子、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。Rは水素原子、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基を持つアルコキシメチル基又は炭素数6から10のアリール基を持つアリールオキシメチル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1から5のアルキル基を表し、RとRは互いに環を形成してもよい。Dは炭素数1から20のアルキレン基、または炭素数6から20のアリーレン基を表し、該アルキレン基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ベンゼン環又はナフタレン環を含んでいてもよく、該ベンゼン環、ナフタレン環はアルキル基で置換されていてもよい。またアリーレン基は置換基を有していてもよく、複数の環がアルキレン基、酸素原子、窒素原子、硫黄原子で結合されていてもよい。
二塩基酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。二塩基酸エステルとしては、シュウ酸ジメチル、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジ2−エチルヘキシル、2−メチルコハク酸ジメチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ2−エチルヘキシル、イソフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジエチル、イソフタル酸ジ2−エチルヘキシル等が挙げられる。
二塩基酸又は二塩基酸エステルとの反応において、触媒を使用すると反応速度が上がり、効率的に製造することが可能になる。二塩基酸との反応に用いられる触媒としては、鉱酸(硫酸、塩酸)、有機酸(メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸)、ルイス酸(フッ化ホウ素エーテラート、三塩化アルミニウム、四塩化チタン、三塩化鉄、二塩化亜鉛)固体酸触媒(フタムラ化学社製)、アンバーリスト(オルガノ社製)、ナフィオン(デュポン社製、ナフィオンはデュポン社登録商標)、テトラアルコキシチタン化合物(テトライソプロポキシチタン、テトラn−ブトキシチタン、テトラメトキシチタン)、有機スズ化合物(ジラウリン酸ジブチルスズ、ジブチルスズオキシド)等が挙げられる。二塩基酸エステルとの反応に用いられる触媒としては、鉱酸(硫酸、塩酸)、有機酸(メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸)、ルイス酸(フッ化ホウ素エーテラート、三塩化アルミニウム、四塩化チタン、三塩化鉄、二塩化亜鉛)固体酸触媒(フタムラ化学社製)、アンバーリスト(オルガノ社製)、ナフィオン(デュポン社製)、テトラアルコキシチタン化合物(テトライソプロポキシチタン、テトラn−ブトキシチタン、テトラメトキシチタン)、有機スズ化合物(ジラウリン酸ジブチルスズ、ジブチルスズオキシド)、塩基性化合物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、)等が挙げられる。
触媒の添加量としては、9,10−ジヒドロキシアントラセン化合物に対して、好ましくは0.01モル%以上、20モル%未満、より好ましくは、0.1モル%以上、10モル%未満である。0.01モル%未満であると、反応速度が遅く、また、20モル%以上だと生成物の純度が低下するので好ましくない。
一般式(6)で表される9,10−ビス(2−ヒドロキシアルコキシ)アントラセン化合物に対する二塩基酸又は二塩基酸エステルの添加量は、0.5モル倍以上、2.0モル倍以下、より好ましくは0.7モル倍以上、1.5モル倍以下である。0.5モル倍未満だと、平均分子量が小さくなり、移行性の抑制が実現できなくなるとともに、未反応の9,10−ビス(2−ヒドロキシアルコキシ)アントラセン化合物が生成物中に残存し純度が低下する。また、2.0モル倍を超えて加えると、平均分子量が小さくなり、移行性の抑制が実現できなくなるとともに、未反応の二塩基酸又は二塩基酸エステルが生成物中に残存し純度が低下する。
また、一般式(6)で示される9,10−ビス(2−ヒドロキシアルコキシ)アントラセン化合物と二塩基酸又は二塩基酸エステルのモル比が1に近付くにつれ、平均分子量が大きくなりすぎて、分子のモビリティが小さくなり、増感能が低下する可能性がある。その場合、一塩基酸又は一塩基酸エステルを少量添加して分子量を調整してもよい。
当該反応は溶媒中もしくは無溶媒で行う。用いられる溶媒としては使用する二塩基酸又は二塩基酸エステルと反応しなければ特に種類を選ばず、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒、塩化メチレン、二塩化エチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭素系溶媒が用いられる。
当該反応の反応温度は、通常50℃以上、250℃以下、好ましくは100℃以上、200℃以下である。50℃未満だと、反応時間がかかりすぎ、200℃を超えて加熱すると、不純物が多くなり目的化合物の純度が低下し、共に好ましくない。
当該反応における反応時間は、反応温度によって異なるが、通常1時間から30時間程度である。より好ましくは3時間から10時間である。
反応終了後、必要に応じて未反応原料・溶媒及び触媒を洗浄・減圧留去・濾過等の操作を単独あるいは複数組み合わせる方法で除去する。生成物が固体の場合は濃縮途中に結晶が析出するので、アルコールやヘキサン等の貧溶媒から再結晶させるかもしくは、そのままドライアップして結晶を得ることができる。生成物が液体の場合は、そのままドライアップし、必要に応じて蒸留等の精製を行って9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーを得ることができる。
また、下記反応式−3に示したように、二官能性化合物としてジイソシアネート化合物を用いた場合は、繰り返し単位が一般式(3)の9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーを得ることができる。
反応式−3において、nは繰り返し数を表し2〜50であり、X、Yは同一であっても異なってもよく、水素原子、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。Rは水素原子、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基を持つアルコキシメチル基又は炭素数6から10のアリール基を持つアリールオキシメチル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1から5のアルキル基を表し、RとRは互いに環を形成してもよい。Eは炭素数1から20のアルキレン基、または炭素数6から20のアリーレン基を表し、該アルキレン基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ベンゼン環又はナフタレン環を含んでいてもよく、該ベンゼン環、ナフタレン環はアルキル基で置換されていてもよい。またアリーレン基は置換基を有していてもよく、複数の環がアルキレン基、酸素原子、窒素原子、硫黄原子で結合されていてもよい。
ジイソシアネート化合物としては、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネートのいずれであってもよい。脂肪族ジイソシアネートとしては、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート、ペンタメチレン−1,5−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHMDI)、リジンジイソシアネート等が挙げられる。脂環族ジイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、1,4−ジイソシアネートシクロヘキサン等が挙げられる。芳香族ジイソシアネートとしては、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる(反応式−3)。
ジイソシアネート化合物との反応において、触媒を使用すると反応速度が上がり、効率的に製造することが可能になる。ジイソシアネート化合物との反応に用いられる触媒としては、有機スズ化合物又は塩基性化合物が用いられる。有機スズ化合物としては、ジラウリン酸ジブチルスズ(DBTBL)、ジブチルスズオキシド等が挙げられ、塩基性化合物としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリヘキシルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ピリジン、ピペリジン、γ−ピコリン、ルチジン等が挙げられる。
触媒の添加量としては、9,10−ジヒドロキシアントラセン化合物に対して、好ましくは0.01重量%以上、20重量%未満、より好ましくは、0.1重量%以上、10重量%未満である。0.01重量%未満であると、反応速度が遅く、また、20重量%以上だと生成物の純度が低下するので好ましくない。」を他の記載に合わせて、「触媒の添加量としては、9,10−ジヒドロキシアントラセン化合物に対して、好ましくは0.01モル%以上、20モル%未満、より好ましくは、0.1モル%以上、10モル%未満である。0.01モル%未満であると、反応速度が遅く、また、20モル%以上だと生成物の純度が低下するので好ましくない。
一般式(6)で表される9,10−ビス(2−ヒドロキシアルコキシ)アントラセン化合物に対するジイソシアネート化合物の添加量は、0.5モル倍以上、2.0モル倍以下、より好ましくは0.7モル倍以上、1.5モル倍以下である。0.5モル倍未満だと、平均分子量が小さくなり、移行性の抑制が実現できなくなるとともに、未反応の9,10−ビス(2−ヒドロキシアルコキシ)アントラセン化合物が生成物中に残存し純度が低下する。また、2.0モル倍を超えて加えると、平均分子量が小さくなり、移行性の抑制が実現できなくなるとともに、未反応のジイソシアネート化合物が生成物中に残存し純度が低下する。
また、一般式(6)で示される9,10−ビス(2−ヒドロキシアルコキシ)アントラセン化合物とジイソシアネート化合物のモル比が1に近付くにつれ、平均分子量が大きくなりすぎて、分子のモビリティが小さくなり、増感能が低下する可能性がある。その場合、モノイソシアネート化合物を少量添加して分子量を調整してもよい。
当該反応は溶媒中もしくは無溶媒で行う。用いられる溶媒としては使用するジイソシアネート化合物と反応しなければ特に種類を選ばず、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒、塩化メチレン、二塩化エチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭素系溶媒が用いられる。
当該反応の反応温度は通常0℃以上、100℃以下、好ましくは20℃以上、80℃以下である。0℃未満だと、反応時間がかかりすぎ、100℃を超えて加熱すると、不純物が多くなり目的化合物の純度が低下し、共に好ましくない。
当該反応における反応時間は、反応温度によって異なるが、通常1時間から30時間程度である。より好ましくは3時間から10時間である。
反応終了後、必要に応じて未反応原料・溶媒及び触媒を洗浄・減圧留去・濾過等の操作を単独あるいは複数組み合わせる方法で除去する。生成物が固体の場合は濃縮途中に結晶が析出するので、アルコールやヘキサン等の貧溶媒から再結晶させるかもしくは、そのままドライアップして結晶を得ることができる。生成物が液体の場合は、そのままドライアップし、必要に応じて蒸留等の精製を行って9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーを得ることができる。
更に、下記反応式−4に示したように、二官能性化合物としてジハロゲン化合物又はジオール化合物を用いた場合は、繰り返し単位が一般式(4)の9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーを得ることができる。
反応式−4において、nは繰り返し数を表し2〜50であり、X、Yは同一であっても異なってもよく、水素原子、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。Rは水素原子、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基を持つアルコキシメチル基又は炭素数6から10のアリール基を持つアリールオキシメチル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1から5のアルキル基を表し、RとRは互いに環を形成してもよい。Gは炭素数1から20のアルキレン基、または炭素数6から20のアリーレン基を表し、該アルキレン基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ベンゼン環又はナフタレン環を含んでいてもよく、該ベンゼン環、ナフタレン環はアルキル基で置換されていてもよい。またアリーレン基は置換基を有していてもよく、複数の環がアルキレン基、酸素原子、窒素原子、硫黄原子で結合されていてもよい。
ジハロゲン化合物としては、ジブロモメタン、ジブロモエタン、ジブロモプロパン、ジブロモブタン、ジブロモヘキサン、ジブロモヘプタン、ジブロモオクタン、ジブロモノナン、ジブロモデカン等が挙げられる。ジオール化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等が挙げられる。
ジハロゲン化合物との反応においては、塩基性化合物を必要とする。ジハロゲン化合物との反応に用いられる塩基性化合物としては、水素化ナトリウム、水素化カリウム、リチウムヘキサメチルジシラジド、リチウムジイソプロピルアミド、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリヘキシルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ピリジン、ピペリジン、γ−ピコリン、ルチジン等が挙げられる。ジオールとの反応においては、触媒を使用すると反応速度が上がり、効率的に製造することが可能になる。ジオール化合物との反応に用いられる触媒としては、鉱酸(硫酸、塩酸)、有機酸(メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸)、ルイス酸(フッ化ホウ素エーテラート、三塩化アルミニウム、四塩化チタン、三塩化鉄、二塩化亜鉛)固体酸触媒(フタムラ化学社製)、アンバーリスト(オルガノ社製)、ナフィオン(デュポン社製)、テトラアルコキシチタン化合物(テトライソプロポキシチタン、テトラn−ブトキシチタン、テトラメトキシチタン)、有機スズ化合物(ジラウリン酸ジブチルスズ、ジブチルスズオキシド)等が挙げられる。
塩基性化合物の添加量としては、9,10−ジヒドロキシアントラセン化合物に対して、好ましくは2.0モル倍以上、5.0モル倍未満、より好ましくは、2.2モル倍以上、3.0モル倍未満である。2.0モル倍未満であると、反応が完結せず、また、5.0モル倍以上だと副反応が起こり収率及び純度が低下するので好ましくない。
触媒の添加量としては、9,10−ジヒドロキシアントラセン化合物に対して、好ましくは0.01モル%以上、20モル%未満、より好ましくは、0.1モル%以上、10モル%未満である。0.01モル%未満であると、反応速度が遅く、また、20モル%以上だと生成物の純度が低下するので好ましくない。
一般式(6)で表される9,10−ビス(2−ヒドロキシアルコキシ)アントラセン化合物に対するジハロゲン化合物又はジオール化合物の添加量は、0.5モル倍以上、2.0モル倍以下、より好ましくは0.7モル倍以上、1.5モル倍以下である。0.5モル倍未満だと、平均分子量が小さくなり、移行性の抑制が実現できなくなるとともに、未反応の9,10−ビス(2−ヒドロキシアルコキシ)アントラセン化合物が生成物中に残存し純度が低下する。また、2.0モル倍を超えて加えると、平均分子量が小さくなり、移行性の抑制が実現できなくなるとともに、未反応のジハロゲン化合物又はジオール化合物が生成物中に残存し純度が低下する。
また、一般式(6)で示される9,10−ビス(2−ヒドロキシアルコキシ)アントラセン化合物とジハロゲン化合物又はジオール化合物のモル比が1に近付くにつれ、平均分子量が大きくなりすぎて、分子のモビリティが小さくなり、増感能が低下する可能性がある。その場合、モノハロゲン化合物又はモノオール化合物を少量添加して分子量を調整してもよい。
当該反応は溶媒中もしくは無溶媒で行う。用いられる溶媒としては使用するジハロゲン化合物又はジオール化合物と反応しなければ特に種類を選ばず、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒、塩化メチレン、二塩化エチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭素系溶媒が用いられる。
当該反応の反応温度は、ジハロゲン化合物との反応に関しては、通常0℃以上、200℃以下、好ましくは50℃以上、150℃以下である。0℃未満だと、反応時間がかかりすぎ、200℃を超えて加熱すると、不純物が多くなり目的化合物の純度が低下し、共に好ましくない。ジオール化合物との反応に関しては、通常50℃以上、250℃以下、好ましくは100℃以上、200℃以下である。50℃未満だと、反応時間がかかりすぎ、250℃を超えて加熱すると、不純物が多くなり目的化合物の純度が低下し、共に好ましくない。
当該反応における反応時間は、反応温度によって異なるが、通常1時間から30時間程度である。より好ましくは3時間から10時間である。
反応終了後、必要に応じて未反応原料・溶媒及び触媒を洗浄・減圧留去・濾過等の操作を単独あるいは複数組み合わせる方法で除去する。生成物が固体の場合は濃縮途中に結晶が析出するので、アルコールやヘキサン等の貧溶媒から再結晶させるかもしくは、そのままドライアップして結晶を得ることができる。生成物が液体の場合は、そのままドライアップし、必要に応じて蒸留等の精製を行って9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーを得ることができる。
更にまた、下記反応式−5に示したように、二官能性化合物としてジグリシジル化合物を用いた場合は、繰り返し単位が一般式(5)の9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーを得ることができる。
反応式−5において、nは繰り返し数を表し2〜50であり、X、Yは同一であっても異なってもよく、水素原子、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。Rは水素原子、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基を持つアルコキシメチル基又は炭素数6から10のアリール基を持つアリールオキシメチル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1から5のアルキル基を表し、RとRは互いに環を形成してもよい。Jは炭素数1から20のアルキレン基、または炭素数6から20のアリーレン基を表し、該アルキレン基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ベンゼン環又はナフタレン環を含んでいてもよく、該ベンゼン環、ナフタレン環はアルキル基で置換されていてもよい。またアリーレン基は置換基を有していてもよく、複数の環がアルキレン基、酸素原子、窒素原子、硫黄原子で結合されていてもよい。
ジグリシジル化合物としては、脂肪族ジグリシジルエーテル化合物、脂環式グリシジルエーテル化合物、芳香族ジグリシジルエーテル化合物のいずれでもよい。脂肪族ジグリシジルエーテル化合物としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等が挙げられ、脂環式ジグリシジルエーテル化合物としては、水素化ビスフェノール−Aジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノール−Fジグリシジルエーテル等が挙げられ、芳香族ジグリシジルエーテルとしては、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル等が挙げられる。
ジグリシジル化合物との反応において、塩基性化合物を必要とする。ジグリシジル化合物との反応に用いられる塩基性化合物としては、水素化ナトリウム、水素化カリウム、リチウムヘキサメチルジシラジド、リチウムジイソプロピルアミド、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリヘキシルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ピリジン、ピペリジン、γ−ピコリン、ルチジン等が挙げられる。
塩基性化合物の添加量としては、9,10−ジヒドロキシアントラセン化合物に対して、好ましくは2.0モル倍以上、5.0モル倍未満、より好ましくは、2.2モル倍以上、3.0モル倍未満である。2.0モル倍未満であると、反応が完結せず、また、5.0モル倍以上だと副反応が起こり収率及び純度が低下するので好ましくない。
一般式(6)で表される9,10−ビス(2−ヒドロキシアルコキシ)アントラセン化合物に対するジグリシジル化合物の添加量は、0.5モル倍以上、2.0モル倍以下、より好ましくは0.7モル倍以上、1.5モル倍以下である。0.5モル倍未満だと、平均分子量が小さくなり、移行性の抑制が実現できなくなるとともに、未反応の9,10−ビス(2−ヒドロキシアルコキシ)アントラセン化合物が生成物中に残存し純度が低下する。また、2.0モル倍を超えて加えると、平均分子量が小さくなり、移行性の抑制が実現できなくなるとともに、未反応のジグリシジル化合物が生成物中に残存し純度が低下する。
また、一般式(6)で示される9,10−ビス(2−ヒドロキシアルコキシ)アントラセン化合物とジグリシジル化合物のモル比が1に近付くにつれ、平均分子量が大きくなりすぎて、分子のモビリティが小さくなり、増感能が低下する可能性がある。その場合、モノグリシジル化合物を少量添加して分子量を調整してもよい。
当該反応は溶媒中もしくは無溶媒で行う。用いられる溶媒としては使用するジグリシジル化合物と反応しなければ特に種類を選ばず、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒、塩化メチレン、二塩化エチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭素系溶媒が用いられる。
当該反応の反応温度は、通常0℃以上、200℃以下、好ましくは50℃以上、150℃以下である。0℃未満だと、反応時間がかかりすぎ、200℃を超えて加熱すると、不純物が多くなり目的化合物の純度が低下し、共に好ましくない。
当該反応における反応時間は、反応温度によって異なるが、通常1時間から30時間程度である。より好ましくは3時間から10時間である。
反応終了後、必要に応じて未反応原料・溶媒及び触媒を洗浄・減圧留去・濾過等の操作を単独あるいは複数組み合わせる方法で除去する。生成物が固体の場合は濃縮途中に結晶が析出するので、アルコールやヘキサン等の貧溶媒から再結晶させるかもしくは、そのままドライアップして結晶を得ることができる。生成物が液体の場合は、そのままドライアップし、必要に応じて蒸留等の精製を行って9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーを得ることができる。
(光重合増感剤)
このようにして得られた本発明の繰り返し単位が一般式(1)で表される9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーは、光カチオン重合性化合物や光ラジカル重合性化合物を光重合開始剤存在下に重合させる際に、光カチオン重合増感剤又は光ラジカル重合増感剤として、用いることができる。
また、本発明の繰り返し単位が一般式(1)で表される9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーを含有する光重合増感剤は、9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーを有効成分とするものであり、その全量を、9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーとするもののほか、本発明の効果を損なわない限り、9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマー以外の光重合増感剤等を含んでもよい。
このような9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマー以外の光重合増感剤としては、アントラセン化合物(9,10−ビスオクタノイルオキシアントラセン、9,10−ビスノナノイルオキシアントラセン)、チオキサントン化合物(例えば2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン)、ナフタレン化合物(例えば1,4−ジエトキシナフタレン、1,4−ジメトキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、4−メトキシ−1−ナフトール)、アミン化合物(例えばジエチルアミノ安息香酸メチル)等が挙げられる。
本発明の繰り返し単位が一般式(1)で表される9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーの合成原料である一般式(6)で表される9,10−ビス(2−ヒドロキシアルコキシ)アントラセン化合物もまた光重合増感剤としての効果を有する化合物であるが、当該化合物が二官能性化合物により、オリゴマー化することにより、耐マイグレーション性が著しく改善される。
9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーに対する9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマー以外の光重合増感剤の添加比率は、特に限定されないが、9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーに対して0.1重量倍以上10重量倍以下である。
(光重合開始剤)
光重合開始剤としては、オニウム塩、ベンジルメチルケタール系、α−ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤等が好ましい。オニウム塩としては通常ヨードニウム塩またはスルホニウム塩が用いられる。ヨードニウム塩としては4−イソブチルフェニル−4’−メチルフェニルヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサメトキシアンチモネート、4−イソプロピルフェニル−4’−メチルフェニルヨードニウムテトラキスペンタメトキシフェニルボレート、4−イソプロピルフェニル−4’−メチルフェニルヨードニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート等が挙げられ、例えばビー・エー・エス・エフ社製イルガキュア250(イルガキュアはビー・エー・エス・エフ社の登録商標)、ローディア社製ロードシル2074(ロードシルはローディア社の登録商標)、サンアプロ社製のIK−1等を用いることができる。一方、スルホニウム塩としてはS,S,S’,S’−テトラフェニル−S,S’−(4、4’−チオジフェニル)ジスルホニウムビスヘキサメトキシフォスフェート、ジフェニル−4−フェニルチオフェニルスルホニウムヘキサメトキシフォスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサメトキシフォスフェート等が挙げられ、例えばダイセル社製CPI−100P、CPI101P、CPI−200K、ビー・エー・エス・エフ社製イルガキュア270、ダウ・ケミカル社製UVI6992等を用いることができる。これらの光重合開始剤は単独で用いても2種以上併用しても構わない。
オニウム塩として、ヨードニウム塩だけではなく、スルホニウム塩に対しても、本発明の9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーは、光重合増感効果を持つことも特徴の一つである。
また、ベンジルメチルケタール系、α−ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤等のラジカル重合開始剤に対しても優れた光重合増感効果を有している。
具体的な化合物としては、ベンジルメチルケタール系ラジカル重合開始剤としては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商品名「イルガキュア651」ビーエーエスエフ社製)等が挙げられ、α−ヒドロキシアルキルフェノン系ラジカル重合開始剤としては2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(商品名「ダロキュア1173」ビー・エー・エス・エフ社製)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名「イルガキュア184」ビー・エー・エス・エフ社製)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(商品名「イルガキュア2959」ビー・エー・エス・エフ社製)、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−1−オン(商品名「イルガキュア127」ビー・エー・エス・エフ社製)が挙げられる。
特に、ベンジルメチルケタール系ラジカル重合開始剤である2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商品名「イルガキュア651」ビー・エー・エス・エフ社製)、α−ヒドロキシアルキルフェノン系ラジカル重合開始剤である2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(商品名「ダロキュア1173」ビー・エー・エス・エフ社製)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名「イルガキュア184」ビー・エー・エス・エフ社製)が好ましい。
また、アセトフェノン系ラジカル重合開始剤であるアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−エトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−メトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−イソプロポキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−イソブトキシ−2−フェニルアセトフェノン、ベンジル系ラジカル重合開始剤であるベンジル、4,4’−ジメトキシベンジル、アントラキノン系ラジカル重合開始剤である2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−フェノキシアントラキノン、2−(フェニルチオ)アントラキノン、2−(ヒドロキシエチルチオ)アントラキノン等も用いることができる。
例示した光重合開始剤の中でもオニウム塩が特に好ましい。オニウム塩として、ヨードニウム塩だけではなく、スルホニウム塩に対しても、本発明の9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーは、光重合増感効果を持つことも特徴の一つである。
本発明の繰り返し単位が一般式(1)で表される9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーを含有する光重合増感剤の光重合開始剤に対する使用量は、特に限定されないが、光重合開始剤に対して通常5重量%以上、100重量%以下の範囲、好ましくは10重量%以上、50重量%以下の範囲である。光重合増感剤の使用量が5重量%未満では光重合性化合物を光重合させるのに時間がかかりすぎてしまい、一方、100重量%を超えて使用しても添加に見合う効果は得られない。
(光重合開始剤組成物)
本発明の繰り返し単位が一般式(1)で表される9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーを含有する光重合増感剤は、直接、光重合性化合物に添加することもできるが、あらかじめ光重合開始剤と配合することにより光重合開始剤組成物を調製したのち、光重合性化合物に添加することもできる。すなわち、本発明の光重合開始剤組成物は、少なくとも、一般式(1)で表される9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーを含有する光重合増感剤と光重合開始剤を含有する組成物である。
(光重合性組成物)
さらに該光重合開始剤組成物と光重合性化合物を配合することにより、光重合性組成物を調製することもできる。本発明の光重合性組成物は、本発明の繰り返し単位が一般式(1)で表される9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーを含有する光重合増感剤と光重合開始剤としてのオニウム塩を含有する光重合開始剤組成物と、光ラジカル重合性化合物又は光カチオン重合性化合物とを含有する組成物である。本発明の繰り返し単位が一般式(1)で表される9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーを含有する光重合増感剤と光重合開始剤としてのオニウム塩は、別々に光ラジカル重合性化合物又は光カチオン重合性化合物に添加され、光ラジカル重合性化合物又は光カチオン重合性化合物中で、結果として光重合開始剤組成物を形成してもよい。
光ラジカル重合性化合物としては、例えば、スチレン、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の二重結合を有する有機化合物を用いることができる。これらのラジカル重合性化合物のうち、フィルム形成能等の面から、アクリル酸エステルやメタクリル酸エステル(以下、両者をあわせて(メタ)アクリル酸エステルという)が好ましい。(メタ)アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリ ル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリシクロ〔5,2,1,02,6〕デカンジメタノールジアクリレート、イソボルニルメタクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリブタジエンアクリレート、ポリオールアクリレート、ポリエーテルアクリレート、シリコーン樹脂アクリレート、イミドアクリレート等が挙げられる。これらの光ラジカル重合性化合物は、一種でも二種以上の混合物であっても良い。
光カチオン重合性化合物としては、エポキシ化合物、ビニルエーテル等が挙げられる。エポキシ化合物として一般的なものは、脂環式エポキシ化合物、エポキシ変性シリコーン、芳香族のグリシジルエーテル等が挙げられる。脂環式エポキシ化合物としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート等が挙げられ、例えばダウ・ケミカル社製UVR6105、UVR6110等を用いることができる。エポキシ変性シリコーンとしては、東芝GEシリコーン製UV−9300等が挙げられる。芳香族グリシジル化合物としては、2,2’−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)プロパン等が挙げられる。ビニルエーテルとしては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル等が挙げられる。これらの光カチオン重合性化合物は、一種でも二種以上の混合物であっても良い。
本発明の光重合性組成物において、光重合開始剤組成物の使用量は、光重合性組成物に対して0.005重量%以上、10重量%以下の範囲、好ましくは0.025重量%以上、5重量%以下である。0.005重量%未満だと光重合性組成物を光重合させるのに時間がかかってしまい、一方、10重量%を超えて添加すると光重合させて得られる光硬化物の硬度が低下し、硬化物の物性を悪化させるため好ましくない。
なお、本発明の光重合性組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、希釈剤、着色剤、有機又は無機の充填剤、レベリング剤、界面活性剤、消泡剤、増粘剤、難燃剤、酸化防止剤、安定剤、滑剤、可塑剤等の各種樹脂添加剤を配合してもよい。
(光硬化物)
本発明の光硬化物は、光重合性組成物に光を照射して重合することにより、得ることができる。光重合性組成物に光を照射し重合させ光硬化させる場合、当該光重合性組成物をフィルム状に成形して光硬化させることもできるし、塊状に成形して光硬化させることもできる。フィルム状に成形して光硬化させる場合は、液状の当該光重合性組成物を例えばポリエステルフィルムなどの基材にバーコーターなどを用いて膜厚5〜300ミクロンになるように塗布する。一方、スピンコーティング法やスクリーン印刷法により、さらに薄い膜厚あるいは厚い膜厚にして塗布することもできる。
このようにして調製した光重合性組成物からなる塗膜に、250〜500nmの波長範囲を含む紫外線を1〜1000mW/cm程度の強さで光照射することにより、光硬化物を得ることができる。用いる光源としては、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ガリウムドープドランプ、ブラックライト、395nm紫外線LED、385nm紫外線LED、365nm紫外線LED、青色LED、白色LED、フュージョン社製のDバルブ、Vバルブ等が挙げられる。また、太陽光等の自然光を使用することもできる。
(タック・フリー・テスト)
本発明の光重合性組成物が光硬化したかどうかを判定する方法としては、タック・フリー・テスト(指触テスト)がある。すなわち、光重合性組成物に光を照射すると、硬化して表面のタック(べたつき)がなくなるため、光を照射してからタック(べたつき)がなくなるまでの時間を測定することにより、光硬化時間を測定することができる。
(耐マイグレーション性の判定)
本発明の光重合性組成物に含まれる光重合増感剤がフィルム等に移行(マイグレーション)するかどうかを判定する方法としては、光重合増感剤を含む光重合性組成物を薄いフィルム状物に塗布したものを作成し、その上にポリエチレンフィルムを被せて一定温度(26℃)で一定期間保管し、その後ポリエチレンフィルムを剥がし、光重合増感剤がポリエチレンフィルムに移行しているかを調べ、耐マイグレーション性を判定した。剥がしたポリエチレンフィルムは、アセトンで表面の組成物を洗った後乾燥し、当該ポリエチレンフィルムのUVスペクトルを測定し、光重合増感剤に起因する吸収強度の増大を調べることにより耐マイグレーション性を測定した。なお、当該測定には、紫外・可視分光光度計(島津製作所製、型式:UV2200)を用いた。比較例の化合物である9,10−ジブトキシアントラセンと量的な比較するために、得られた吸光度を9,10−ジブトキシアントラセンの吸光度の値に換算した。換算に当たっては、紫外・可視分光光度計により本発明の化合物及び9,10−ジブトキシアントラセンの260nmにおける吸光度を測定し、その吸光度の値とモル濃度からそれぞれのモル吸光係数を計算し、その比をもちいて換算した。
下記の実施例により本発明を例示するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。また、特記しない限り、すべての部は重量部である。生成物の確認は下記の機器による測定に基づいて行った。
(1)赤外線(IR)分光光度計:Thermo社製、型式is50 FT−IR
(2)核磁気共鳴装置(NMR):日本電子社製、型式ECS−400
(3)分子量分布:GPC、日本分光社製、2000シリーズ
(合成例1)9,10−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)アントラセンの合成(HOE−A)
9,10−アントラキノンと1,4,4a,9a−テトラヒドロアントラキノンのナトリウム塩水溶液を90℃に2時間加熱することにより得られた9,10−ジヒドロキシアントラセンのナトリウム塩の20wt%水溶液154g(アントラキノンとして0.16モル)を窒素ボックス中で攪拌機を付したオートクレーブに入れ密閉した。そこに酸化エチレン35g(0.8モル)を温度50℃以下、かつ圧力0.3MPa以下に保ちつつ60分要して導入した。導入後更に、反応温度を40℃に保持しながら反応を3時間続けた。反応終了後、得られた結晶を濾別して水洗した。80℃で乾燥することで9,10−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)アントラセンを28g得た。原料の9,10−ジヒドロキシアントラセンに対する収率は58モル%であった。
(合成例2)9,10−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセンの合成(HOP−A)
合成例1の場合と同様にして得られた9,10−ジヒドロキシアントラセンのナトリウム塩の20wt%水溶液154g(アントラキノンとして0.16モル)に酸化プロピレンを46g(0.78モル)窒素雰囲気下加えた。反応の進行に伴い、反応液は弱く発熱する。10分以内で内温40℃に達し、ついで液温は次第に下がってくるが、それと共に結晶が析出する。3時間後、メタノール100ml加え、リスラリーした後、沈殿生成物を濾過して9,10−ジ(2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセンの黄色粉末35.6gを得た。原料の9,10−ジヒドロキシアントラセンに対する収率は70モル%であった。
(合成例3)9,10−ビス(2−ヒドロキシブトキシ)アントラセンの合成(HOB−A)
合成例1の場合と同様にして得られた9,10−ジヒドロキシアントラセンのナトリウム塩の20wt%水溶液35g(アントラキノンとして0.037モル)に1,2−酸化ブチレンを8.0g(0.11モル)窒素雰囲気下加えた。反応温度を60℃とし、1時間加熱する。反応の進行に伴い、次第に結晶が析出する。1時間後、メタノール20mlを加え、リスラリーする。沈殿した固形物を濾過して9,10−ビス(2−ヒドロキシブトキシ)アントラセンの黄色粉末8.7gを得た。原料の9,10−ジヒドロキシアントラセンに対する収率は68モル%であった。
(合成例4)9,10−ビス(3−ブトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセンの合成
温度計付きの200mlの四つ口フラスコに、窒素雰囲気下9,10−ジヒドロキシアントラセンのナトリウム塩の17.9wt%水溶液55.9g(アントラキノンとして0.048モル)、アセトン25.0gを加えた。内温を50℃まで昇温し、ブチルグリシジルエーテル25.0g(192ミリモル)を20分かけて滴下し、その後6.5時間攪拌を行った。反応液を室温まで冷却し、メチルイソブチルケトン40mlを加え、攪拌後、水層を除いた。同様にして、20ml純水で2回抽出洗浄を行った後、反応液を吸引濾過し、不溶分を取り除いた。濾液を濃縮乾固し、橙色の固形分を得た。得られた橙色結晶にヘキサン100mlを加え攪拌、スラリー化し、吸引濾過を行った後、ヘキサン20mlで2回洗浄し、乾燥することで9,10−ビス(3−ブトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン21.3g(薄橙結晶)を得た。原料の9,10−ジヒドロキシアントラセンに対する収率は94モル%であった。
(合成例5)9,10−ビス(3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセンの合成
温度計付きの100mlの四つ口フラスコに、窒素雰囲気下9,10−ジヒドロキシアントラセンのナトリウム塩の17.9wt%水溶液27.9g(アントラキノンとして0.024モル)、メチルイソブチルケトン20.0g、テトラブチルアンモニウムブロマイド1.2gを加えた。内温を70℃まで昇温し、アリルグリシジルエーテル10.9g(95ミリモル)を30分かけて滴下し、その後5時間攪拌を行った。反応液を室温まで冷却し、水層を除いた。反応液に純水20mlを加え、攪拌後、水層を除くことにより抽出洗浄を行った。同様の操作をもう一度行った後、反応液を吸引濾過し、不溶分を取り除いた。濾液を濃縮乾固し、茶色の固形分を得た。得られた茶色結晶にヘキサン60mlを加え攪拌、スラリー化し、吸引濾過を行った後、ヘキサン20mlで2回洗浄し、乾燥することで9,10−ビス(3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン10.2g(薄茶色)を得た。原料の9,10−ジヒドロキシアントラセンに対する収率は97モル%であった。
(本発明の化合物の合成実施例)
(実施例1)9,10−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)アントラセンとTMHMDIとの反応により得られるオリゴマー[化合物番号 3−4]
30mlの三つ口フラスコに、攪拌子を入れ、窒素雰囲気下、合成例1と同様にして合成した9,10−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)アントラセン0.5g(1.7ミリモル)、TMHMDI(トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート)0.24g(1.0ミリモル)、反応溶媒としてTHF(テトラヒドロフラン)10ml、触媒としてDBTBL(ジラウリン酸ジブチルスズ)2滴を加えた。反応溶媒沸点温度(約66℃)で4時間攪拌を行った後、TMHMDI0.12g(0.5ミリモル)を追添加し、さらに3時間攪拌を行った。反応終了後、メタノール2mlを加え、室温まで冷却し、濃縮乾固することにより、9,10−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)アントラセンとTMHMDIとの反応により得られるオリゴマー1.0g(オレンジ結晶)を得た。
(1)IR(cm−1)3328,2925,1696,1532,1379,1346,1241,1143,1072,1047,776,760,677,666,608
(2)H−MNR(400MHz,DMSO−D):δ=0.60−1.75(m),2.60−3.15(m),3.50−3.60(m),4.00−4.50(m),7.16−7.56(m),8.16−8.38(m).
(3)分子量分布 n=2〜22
(実施例2)9,10−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)アントラセンとIPDIとの反応により得られるオリゴマー[化合物番号 3−6]
30mlの三つ口フラスコに、攪拌子を入れ、窒素雰囲気下9,10−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)アントラセン0.5g(1.7ミリモル)、IPDI(イソホロンジイソシアネート)0.25g(1.1ミリモル)、THF(テトラヒドロフラン)10ml、DBTBL2滴を加えた。反応溶媒沸点温度(約66℃)で4時間攪拌を行った後、IPDI0.12g(0.5ミリモル)を追添加し、さらに3時間攪拌を行った。反応終了後、メタノール2mlを加え、室温まで冷却し、濃縮乾固することにより、9,10−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)アントラセンとIPDIとの反応により得られるオリゴマー1.0g(オレンジ結晶)を得た。
(1)IR(cm−1)3321,2922,1698,1522,1382,1346,1304,1133,1048,890,775,759,676,665.
(2)H−MNR(400MHz,DMSO−D):δ=0.60−1.80(m),2.60−2.90(m),3.50−3.80(m),4.00−4.50(m),7.20−7.58,8.14−8.38(m).
(3)分子量分布 n=2〜20
(実施例3)9,10−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセンとTMHMDIとの反応により得られるオリゴマー[化合物番号 3−13]
温度計付きの200mlの四つ口フラスコに、攪拌子を入れ、窒素雰囲気下9,10−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン5.0g(15.3ミリモル)、TMHMDI(トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート)2.16g(10.3ミリモル)、THF(テトラヒドロフラン)100ml、DBTDL0.25gを加えた。反応溶媒沸点温度(約66℃)で4時間攪拌を行った後、TMHMDI1.06g(5.1ミリモル)を追添加し、さらに3時間攪拌を行った。反応終了後、メタノール5mlを加え、室温まで冷却し、濃縮乾固することにより、9,10−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセンとTMHMDIとの反応により得られるオリゴマー9.3g(薄黄色結晶)を得た。
(1)IR(cm−1)3327,2924,1695,1540,1522,1404,1356,1240,1155,1064,995,768,675,667,608
(2)H−MNR(400MHz,DMSO−D):δ=0.60−1.80(m),2.60−3.15(m),3.50−3.60(m),3.80−4.30(m),5.05−5.30(m),7.12−7.56(m),8.12−8.36(m).
(3)分子量分布 n=2〜21
(実施例4)9,10−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセンとIPDIとの反応により得られるオリゴマー[化合物番号 3−15]
温度計付きの200mlの四つ口フラスコに、攪拌子を入れ、窒素雰囲気下9,10−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン5.0g(15.3ミリモル)、IPDI(イソホロンジイソシアネート)2.28g(10.3ミリモル)、THF(テトラヒドロフラン)100ml、DBTDL0.25gを加えた。反応溶媒沸点温度(約66℃)で4時間攪拌を行った後、IPDI1.12g(5.1ミリモル)を追添加し、さらに3時間攪拌を行った。反応終了後、メタノール5mlを加え、室温まで冷却し、濃縮乾固することにより、9,10−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセンとIPDIとの反応により得られるオリゴマー9.9g(薄黄色結晶)を得た。
(1)IR(cm−1)3327,2922,1698,1521,1357,1303,1235,1155,1064,1027,995,922,768,667,608
(2)H−MNR(400MHz,DMSO−D):δ=0.60−2.40(m),2.60−3.20(m),3.50−4.60(m),5.05−5.70(m),7.12−7.90(m),8.12−8.92(m).
(3)分子量分布 n=2〜18
(実施例5)9,10−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)アントラセンとメチルコハク酸エステルとの反応により得られるオリゴマー[化合物番号 2−5]
攪拌機付きの50mlの三口フラスコに、空気下、合成例1と同様にして得られた9,10−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)アントラセン5.0g(17ミリモル)、メチルコハク酸ジメチル4.0g(25ミリモル)加えた。バス温180℃まで加温し溶融状態を確認した後、触媒のテトライソプロポキシチタン(TPT)を0.2g(0.8ミリモル)を加えた。常圧で1時間撹拌後、反応系全体を減圧にして80〜100Torrで生成メタノールを抜き出しながら、3時間撹拌を行い、その後5Torrでメチルコハク酸ジメチルを抜き出しながら、2時間撹拌を行った。冷却後、9,10−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)アントラセンとメチルコハク酸エステルとの反応により得られるオリゴマー褐色固体3.7gを得た。
(1)IR(cm−1):2945,2878,1728,1381,1341,1270,1158,1071,777,757,677,666,608.
(2)H−NMR(400MHz,CDCl):δ=1.20−1.45(m)、1.59(s)、2.45−2.70(m)、2.75−3.25(m)、3.66−3.68(m)、3.69−3.71(m)、4.30−4.50(m)、4.55−4.70(m)、7.42−7.56(m)、8.25−8.36(m).
(3)分子量分布 n=2〜17
(実施例6)9,10−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)アントラセンとアジピン酸エステルとの反応により得られるオリゴマー[化合物番号 2−6]
攪拌機付きの50mlの三口フラスコに、空気下、合成例1と同様にして得られた9,10−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)アントラセン5.0g(17ミリモル)、アジピン酸ジメチル4.4g(25ミリモル)加えた。バス温180℃まで加温し溶融状態を確認した後、触媒のテトライソプロポキシチタン(TPT)を0.2g(0.8ミリモル)を加えた。常圧で3時間撹拌後、反応系全体を減圧にして100Torrで生成メタノールを抜き出しながら、1時間撹拌を行い、その後50Torrで生成メタノールを抜き出しながら、1時間撹拌を行い、その後6Torrでアジピン酸ジメチルを抜き出しながら、1時間撹拌を行った。冷却後、9,10−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)アントラセンとアジピン酸のエステルとの反応により得られるオリゴマーの黒色固体4.5gを得た。
(1)IR(cm−1):2946,2874,1725,1380,1344,1243,1163,1066,948,779,757,679,607.
(2)H−NMR(400MHz,CDCl):δ=1.56(s)、1.70−1.90(m)、2.30−2.40(m)、2.45−2.55(m)、3.65−3.67(m)、4.38(s)、4.59(s)、7.45−7.53(m)、8.26−8.35(m).
(3)分子量分布 n=2〜15
(実施例7)9,10−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)アントラセンとオルトフタル酸エステルとの反応により得られるオリゴマー[化合物番号 2−11]
攪拌機付きの50mlの三口フラスコに、空気下、合成例1と同様にして得られた9,10−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)アントラセン5.0g(17ミリモル)、オルトフタル酸ジメチル4.9g(25ミリモル)加えた。バス温180℃まで加温し溶融状態を確認した後、触媒のテトライソプロポキシチタン(TPT)を0.2g(0.8ミリモル)を加えた。常圧で2時間撹拌後、反応系全体を減圧にして50Torrで生成メタノールを抜き出しながら、1時間撹拌を行い、その後6Torrでフタル酸ジメチルを抜き出しながら、1時間撹拌を行った。冷却後、9,10−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)アントラセンとフタル酸エステルとの反応により得られるオリゴマーの茶色固体6.7gを得た。
(1)IR(cm−1):2948,1717,1258,1122,1063,1039,777,739,690,665,649,608.
(2)H−NMR(400MHz,CDCl):δ=1.56(s)、3.84−3.88(m)、3.91(s)、4.40−4.55(m)、4.75−4.85(m)、7.30−7.46(m)、7.52−7.70(m)、7.76−7.92(m)、8.20−8.36(m).
(3)分子量分布 n=2〜11
(実施例8)9,10−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセンとコハク酸エステルとの反応により得られるオリゴマー[化合物番号 2−15]
攪拌機付きの50mlの三口フラスコに、空気下、合成例1と同様にして得られた9,10−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン5.0g(15ミリモル)、コハク酸ジメチル2.8g(19ミリモル)加えた。バス温180℃まで加温し溶融状態を確認した後、触媒のテトライソプロポキシチタン(TPT)を0.2g(0.8ミリモル)を加えた。常圧で1時間撹拌後、反応系全体を減圧にして50Torrで生成メタノールを抜き出しながら、1時間撹拌を行い、その後6Torrでコハク酸ジメチルを抜き出しながら、3時間撹拌を行った。冷却後、9,10−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセンとコハク酸エステルとの反応により得られるオリゴマーの黒色固体4.3gを得た。
(1)IR(cm−1):2932,2875,1357,1154,1062,996,961,766,667,608,445,407.
(2)H−NMR(400MHz,CDCl):δ=1.10−1.30(m)、1.30−1.70(m)、2.65−2.90(m)、3.60−3.70(m)、4.10−4.25(m)、5.53(s)、7.40−7.55(m)、8.20−8.35(m).
(3)分子量分布 n=2〜29
(実施例9)9,10−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセンとメチルコハク酸エステルとの反応により得られるオリゴマー[化合物番号 2−16]
攪拌機付きの50mlの三口フラスコに、空気下、合成例1と同様にして得られた9,10−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン5.0g(15ミリモル)、メチルコハク酸ジメチル3.7g(23ミリモル)加えた。バス温180℃まで加温し溶融状態を確認した後、触媒のテトライソプロポキシチタン(TPT)を0.2g(0.8ミリモル)を加えた。常圧で1時間撹拌後、反応系全体を減圧にして50Torrで生成メタノールを抜き出しながら、1時間撹拌を行い、その後6Torrでメチルコハク酸ジメチルを抜き出しながら、1時間撹拌を行った。冷却後、9,10−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセンとメチルコハク酸エステルとの反応により得られるオリゴマーの黒色固体5.3gを得た。
(1)IR(cm−1):2977,1728,1357,1160,1063,997,766,675,667,608,412,401.
(2)H−NMR(400MHz,CDCl):δ=1.26−1.68(m),2.01−2.33(m)、2.46−2.68(m)、2.78−3.18(m)、3.62−3.71(m)、4.04−4.27(m)、5.52(s)、7.35−7.50(m)、8.19−8.31(m).
(3)分子量分布 n=2〜25
(実施例10)9,10−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセンとアジピン酸エステルとの反応により得られるオリゴマー[化合物番号 2−17]
攪拌機付きの50mlの三口フラスコに、空気下、合成例1と同様にして得られた9,10−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン5.0g(15ミリモル)、アジピン酸ジメチル4.0g(23ミリモル)加えた。バス温180℃まで加温し溶融状態を確認した後、触媒のテトライソプロポキシチタン(TPT)を0.2g(0.8ミリモル)を加えた。常圧で1時間撹拌後、反応系全体を減圧にして400Torrで生成メタノールを抜き出しながら、1時間撹拌を行い、その後100Torrで生成メタノールを抜き出しながら、1時間撹拌を行い、その後50Torrで生成メタノールを抜き出しながら、1時間撹拌を行った。その後6Torrでアジピン酸ジメチルを抜き出しながら、1時間撹拌を行った。冷却後、9,10−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセンとアジピン酸エステルとの反応により得られるオリゴマーの黒色固体5.4gを得た。
(1)IR(cm−1):2935,2873,1726,1357,1166,1117,1063,998,956,768,676,667,608.
(2)H−NMR(400MHz,CDCl):δ=1.46−1.51(m)、1.59−1.80(m)、2.33−2.49(m)、3.63(d)、4.11−4.25(m)、5.45−5.53(m)、7.43−7.51(m)、8.24−8.29(m).
(3)分子量分布 n=2〜20
(実施例11)9,10−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセンとフタル酸エステルとの反応により得られるオリゴマー[化合物番号 2−18]
攪拌機付きの50mlの三口フラスコに、空気下、合成例1と同様にして得られた9,10−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン5.0g(15ミリモル)、オルトフタル酸ジメチル4.5g(23ミリモル)加えた。バス温180℃まで加温し溶融状態を確認した後、触媒のテトライソプロポキシチタン(TPT)を0.2g(0.8ミリモル)を加えた。常圧で2時間撹拌後、反応系全体を減圧にして50Torrで生成メタノールを抜き出しながら、1時間撹拌を行い、その後25Torrで生成メタノールを抜き出しながら、1時間撹拌を行い、その後6Torrでフタル酸ジメチルを抜き出しながら、1時間撹拌を行った。冷却後、9,10−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセンとオルトフタル酸エステルとの反応により得られるオリゴマーの茶色固体6.5gを得た。
(1)IR(cm−1):2936,2875,1717,1355,1260,1118,1059,995,962,767,739,704,667.
(2)H−NMR(400MHz,CDCl):δ=1.52−1.72(m)、3.83−3.87(m)、3.92(s)、4.17−4.37(m)、5.68−5.78(m)、7.28−7.44(m)、7.51−7.66(m)、7.76−7.91(m)、8.18−8.34(m).
(3)分子量分布 n=2〜8
(実施例12)9,10−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセンとイソフタル酸エステルとの反応により得られるオリゴマー[化合物番号 2−19]
攪拌機付きの50mlの三口フラスコに、空気下、合成例1と同様にして得られた9,10−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン5.0g(15ミリモル)、イソフタル酸ジメチル4.5g(23ミリモル)加えた。バス温180℃まで加温し溶融状態を確認した後、触媒のテトライソプロポキシチタン(TPT)を0.2g(0.8ミリモル)を加えた。常圧で2時間撹拌後、反応系全体を減圧にして5Torrでイソフタル酸ジメチルを抜き出しながら、4時間撹拌を行った。冷却後、9,10−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセンとイソフタル酸エステルとの反応により得られるオリゴマーの褐色固体6.1gを得た。
(1)IR(cm−1):2934,1716,1354,1295,1231,1063,993,967,932,727,667,608.
(2)H−NMR(400MHz,CDCl):δ=1.58,1.63(d)、3.95,3.97(d)、4.30,4.36(d)、5.79(s)、7.37(s)、7.50−7.65(m)、8.29,8.34(d)、8.77(s)、8.94(s).
(3)分子量分布 n=2〜15
(実施例13)9,10−ビス(3−ブトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセンとアジピン酸のエステルとの反応により得られるオリゴマー[化合物番号 2−60]
攪拌機付きの50mlの三口フラスコに、空気下、9,10−ビス(3−ブトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン5.0g(10.6ミリモル)、アジピン酸ジメチル2.8g(16ミリモル)を加えた。バス温を180℃まで昇温し、溶融状態を確認した後、触媒のテトライソプロポキシチタン(TPT)を0.15g(0.53ミリモル)を加えた。常圧で1時間撹拌後、反応系全体を減圧にして100Torrで生成メタノールを抜き出しながら、2時間撹拌を行い、その後9Torrでアジピン酸ジメチルを抜き出しながら、2時間撹拌を行った。冷却後、9,10−ビス(3−ブトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセンとアジピン酸との反応により得られるオリゴマー6.2g(黒色粘液)を得た。
(1)IR(cm−1)2932,2869,1733,1435,1403,1359,1165,1119,1066,770,679
(2)H−MNR(400MHz,CDCl):δ=0.87−0.96(m),1.33−1.86(m),2.29−2.55(m),3.47−3.66(m),3.78−3.93(m),4.25−4.41(m),5.50−5.60(m),7.50−7.60(m),8.20−8.35(m)
(3)分子量分布 n=2〜11
(実施例14)9,10−ビス(3−ブトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセンとIPDIとの反応により得られるオリゴマー[化合物番号 3−58]
温度計付きの200mlの四つ口フラスコに、攪拌子を入れ、空気下、9,10−ビス(3−ブトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン5.0g(10.6ミリモル)とIPDI(イソホロンジイソシアネート)3.5g(16.0ミリモル)、THF(テトラヒドロフラン)100ml、DBTDL0.25gを加え、溶媒沸点温度(約66℃)で6時間攪拌を行った。反応終了後、メタノール2mlを加え、室温まで冷却し、濃縮乾固することにより、9,10−ビス(3−ブトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセンとIPDI(イソホロンジイソシアネート)との反応により得られるオリゴマー8.7g(黄色結晶)を得た。
(1)IR(cm−1)3335,2928,2867,2264,1699,1508,1350,1231,1065,768
(2)H−MNR(400MHz,CDCl):δ=0.74−1.78,2.80−3.10,3.45−4.00,4.25−4.45(m),4.70−5.50(m),7.30−7.50(m),8.20−8.36(m)
(3)分子量分布 n=2〜14
(実施例15)2−メチル−9,10−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセンとアジピン酸のエステルとの反応により得られるオリゴマー[化合物番号 2−31]
攪拌機付きの50mlの三口フラスコに、空気下、2−メチル−9,10−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン1.0g(3.0ミリモル)とアジピン酸ジメチル0.8g(4.4ミリモル)を加えた。バス温を180℃まで昇温し、溶融状態を確認した後、触媒のテトライソプロポキシチタン(TPT)を3滴加えた。常圧で1時間撹拌後、反応系全体を減圧にして100Torrで生成メタノールを抜き出しながら、2時間撹拌を行い、その後9Torrでアジピン酸ジメチルを抜き出しながら、2時間撹拌を行った。冷却後、2−メチル−9,10−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセンとアジピン酸のエステルとの反応により得られるオリゴマー1.0gを(黒色結晶)得た。
(1)IR(cm−1)2935,2873,1727,1362,1364,1241,1168,1061,813,767
(2)H−MNR(400MHz,CDCl):δ=1.16−1.86(m),2.26−2.60(m),3.56−3.66(m),4.00−4.26(m),5.40−5.56(m),7.22−7.47(m)7.96−8.28(m)
(3)分子量分布 n=2〜21
(実施例16)9,10−ビス(3−アリル−2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセンとアジピン酸のエステルとの反応により得られるオリゴマー[化合物番号 2−65]
攪拌機付きの50mlの三口フラスコに、空気下、9,10−ビス(3−アリル−2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン1.0g(2.3ミリモル)とアジピン酸ジメチル0.6g(3.4ミリモル)を加えた。バス温を180℃まで昇温し、溶融状態を確認した後、触媒のテトライソプロポキシチタン(TPT)を2滴加えた。常圧で1時間撹拌後、反応系全体を減圧にして100Torrで生成メタノールを抜き出しながら、2時間撹拌を行い、その後9Torrでアジピン酸ジメチルを抜き出しながら、2時間撹拌を行った。冷却後、
9,10−ビス(3−アリル−2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセンとアジピン酸のエステルとの反応により得られるオリゴマー0.8g(黒色粘液)を得た。
(1)IR(cm−1)2934,2869,1731,1357,1240,1064,994,928,769
(2)H−MNR(400MHz,CDCl):δ=1.60−1.90(m),2.20−2.60(m),3.40−4.40(m),5.10−5.36(m),5.50−5.60(m),5.78−6.00(m),7.40−7.50(m),8.22−8.32(m)
(3)分子量分布 n=2〜19
(実施例17)9,10−ビス(3−フェニル−2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセンとアジピン酸のエステルとの反応により得られるオリゴマー[化合物番号 2−70]
攪拌機付きの50mlの三口フラスコに、空気下、9,10−ビス(3−フェニル−2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン2.0g(3.9ミリモル)とアジピン酸ジメチル1.0g(5.9ミリモル)を加えた。バス温を180℃まで昇温し、溶融状態を確認した後、触媒のテトライソプロポキシチタン(TPT)を4滴加えた。常圧で1時間撹拌後、反応系全体を減圧にして100Torrで生成メタノールを抜き出しながら、2時間撹拌を行い、その後9Torrでアジピン酸ジメチルを抜き出しながら、2時間撹拌を行った。冷却後、9,10−ビス(3−フェニル−2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセンとアジピン酸のエステルとの反応により得られるオリゴマー1.7g(黒色結晶)を得た。
(1)IR(cm−1)2936,2876,1732,1598,1587,1494,1351,1238,1168,1065,751,689
(2)H−MNR(400MHz,CDCl):δ=1.60−1.90(m),2.26−2.26(m),3.56−3.70(m),4.20−4.66(m),5.60−5.76(m),6.80−7.50(m),8.16−8.34(m)
(3)分子量分布 n=2〜12
(実施例18)9,10−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセンと1,5−ジブロモペンタンとの反応により得られるオリゴマー[化合物番号 4−17]
温度計付きの50mlの三つ口フラスコに、攪拌子を入れ、窒素雰囲気下、水素化ナトリウム(60%流動パラフィン分散品)0.37g(9.2ミリモル)を入れた。ヘキサン3mlを使用し、水素化ナトリウム表面の流動パラフィンを洗浄したのち、ヘキサンを取り除いた。同様の操作をもう一度行った後、ジメチルアセトアミド20.0g、9,10−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン1.0g(3.1ミリモル)、1,5−ジブロモペンタン1.06g(4.6ミリモル)を加え、内温100℃まで昇温し、反応を開始した。3時間後、反応液にメタノール1.0gを加えてクエンチを行い、反応液及びメチルイソブチルケトン40.0gを100ml分液漏斗に入れ、20.0gの純水で3回洗浄を行った。その後、反応液を濃縮乾固することにより、9,10−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセンと1,5−ジブロモペンタンとの反応により得られるオリゴマー1.1g(橙色粘液)を得た。
(1)IR(cm−1)3286,2969,2928,2870,1619,1359,1339,1061,1019,924,769,678
(2)H−MNR(400MHz,CDCl):δ=0.70−2.40(m),2.70−3.10(m),3.40−4.30(m),4.40−5.20(m),5.70−6.00(m),8.10−8.50(m)
(3)分子量分布 n=2〜4
(実施例19)9,10−ビス(3−ブトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセンと1,5−ジブロモペンタンとの反応により得られるオリゴマー[化合物番号 4−53]
温度計付きの50mlの三つ口フラスコに、攪拌子を入れ、窒素雰囲気下、水素化ナトリウム(60%流動パラフィン分散品)0.25g(6.4ミリモル)を入れた。ヘキサン3mlを使用し、水素化ナトリウム表面の流動パラフィンを洗浄したのち、ヘキサンを取り除いた。同様の操作をもう一度行った後、ジメチルアセトアミド20.0g、9,10−ビス(3−ブトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン1.0g(2.1ミリモル)、1,5−ジブロモペンタン0.73g(3.2ミリモル)を加え、内温100℃まで昇温し、反応を開始した。3時間後、反応液にメタノール1.0gを加えてクエンチを行い、反応液及びメチルイソブチルケトン40.0gを100ml分液漏斗に入れ、20.0gの純水で3回洗浄を行った。その後、反応液を濃縮乾固することにより、9,10−ビス(3−ブトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセンと1,5−ジブロモペンタンとの反応により得られるオリゴマー1.2g(橙色粘液)を得た。
(1)IR(cm−1)3438,2930,2865,1457,1345,1111,1065,994,769,679
(2)H−MNR(400MHz,CDCl):δ=0.60−2.30(m),3.10−4.50(m),4.80−5.10(m),7.10−7.80(m),8.10−9.60(m)
(3)分子量分布 n=2〜4
(実施例20)9,10−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセンとネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルとの反応により得られるオリゴマー[化合物番号 5−12]
温度計付きの50mlの三つ口フラスコに、攪拌子を入れ、窒素雰囲気下、水素化ナトリウム(60%流動パラフィン分散品)0.27g(6.7ミリモル)を入れた。ヘキサン3mlを使用し、水素化ナトリウム表面の流動パラフィンを洗浄したのち、ヘキサンを取り除いた。同様の操作をもう一度行った後、ジメチルアセトアミド20.0g、9,10−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン1.0g(3.1ミリモル)、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル0.99g(4.6ミリモル)を加え、反応を開始した。7時間後、反応液にメタノール1.0gを加えてクエンチを行い、反応液及びメチルイソブチルケトン40.0gを100ml分液漏斗に入れ、20.0gの純水で3回洗浄を行った。その後、反応液を濃縮乾固することにより、9,10−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセンとネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルとの反応により得られるオリゴマー1.7g(橙色粘液)を得た。
(1)IR(cm−1)3320,2870,1620,1372,1341,1061,998,935,765,675
(2)H−MNR(400MHz,CDCl):δ=0.60−1.50(m),1.70−2.30(m),2.50−4.80(m),7.10−7.80(m),8.10−9.50(m)
(3)分子量分布 n=2〜5
(光重合性組成物と光重合開始剤としてヨードニウム塩を用いた系におけるタック・フリー・テスト)
光硬化の判定は、タックフリーテスト(指触テスト)に基づいて行った。すなわち、光照射によりフィルム表面の光硬化性組成物のタック(べたつき)が取れるまでの時間(タック・フリー・タイム)を硬化時間とした。
本発明の,9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーを光カチオン増感剤とする光カチオン重合性組成物の光硬化速度評価試験について以下に記載する。
「光硬化速度評価例1」
光カチオン重合性化合物として3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダイセル社製、商品名:セロキサイド2021P、セロキサイドはダイセル社の登録商標)100重量部に対して、光重合開始剤である(4−メチルフェニル) [4− (2−メチルプ口ピル)フェニル]ヨードニウム−ヘキサフルオ口フォスフェー卜(ビー・エー・エス・エフ社製、商品名イルガキュア250)5重量部、光カチオン重合増感剤として、実施例3と同様にして得られた[化合物番号 3−13]のオリゴマー2重量部を室温で混合し、光カチオン重合性組成物を調製した。この光重合性組成物を厚さ100μmのトリアセチルセルロースフィルム上にバーコータ(No.8)で塗布し膜厚およそ12μmの塗膜を形成した。その後、紫外線LED(PhoseonTechnology社製RX-Firefly)を用いて、中心波長395nm,照射強度400mW/cmの光を照射し塗膜の表面のべたつきがなくなるまでの照射時間(タックフリータイム)を測定したところ、2秒であった。
「光硬化速度評価例2」
「光硬化速度評価例1」の[化合物番号 3−13]のオリゴマーを実施例4と同様に得られた[化合物番号 3−15]のオリゴマーに変えた以外は「光硬化速度評価例1」と同様に塗膜の硬化を行ったところ、その時のタックフリータイムは1秒であった。
「光硬化速度評価例3」
「光硬化速度評価例1」の[化合物番号 3−13]のオリゴマーを実施例5と同様に得られた[化合物番号 2−5]のオリゴマーに変えた以外は「光硬化速度評価例1」と同様に塗膜の硬化を行ったところ、その時のタックフリータイムは1秒であった。
「光硬化速度評価例4」
「光硬化速度評価例1」の[化合物番号 3−13]のオリゴマーを実施例7と同様に得られた[化合物番号 2−11]のオリゴマーに変えた以外は「光硬化速度評価例1」と同様に塗膜の硬化を行ったところ、その時のタックフリータイムは1秒であった。
「光硬化速度評価例5」
「光硬化速度評価例1」の[化合物番号 3−13]のオリゴマーを実施例9と同様に得られた[化合物番号 2−16]のオリゴマーに変えた以外は「光硬化速度評価例1」と同様に塗膜の硬化を行ったところ、その時のタックフリータイムは1秒であった。
「光硬化速度評価例6」
「光硬化速度評価例1」の[化合物番号 3−13]のオリゴマーを実施例10と同様に得られた[化合物番号 2−17]のオリゴマーに変えた以外は「光硬化速度評価例1」と同様に塗膜の硬化を行ったところ、その時のタックフリータイムは1秒であった。
「光硬化速度評価例7」
「光硬化速度評価例1」の[化合物番号 3−13]のオリゴマーを実施例11と同様に得られた[化合物番号 2−18]のオリゴマーに変えた以外は「光硬化速度評価例1」と同様に塗膜の硬化を行ったところ、その時のタックフリータイムは1秒であった。
「光硬化速度評価例8」
「光硬化速度評価例1」の[化合物番号 3−13]のオリゴマーを実施例12と同様に得られた[化合物番号 2−19]のオリゴマーに変えた以外は「光硬化速度評価例1」と同様に塗膜の硬化を行ったところ、その時のタックフリータイムは1秒であった。
「光硬化速度評価例9」
「光硬化速度評価例1」の[化合物番号 3−13]のオリゴマーを実施例13と同様に得られた[化合物番号 2−60]のオリゴマーに変えた以外は「光硬化速度評価例1」と同様に塗膜の硬化を行ったところ、その時のタックフリータイムは1秒であった。
「光硬化速度評価例10」
「光硬化速度評価例1」の[化合物番号 3−13]のオリゴマーを実施例15と同様に得られた[化合物番号 2−31]のオリゴマーに変えた以外は「光硬化速度評価例1」と同様に塗膜の硬化を行ったところ、その時のタックフリータイムは1秒であった。
「光硬化速度評価例11」
「光硬化速度評価例1」の[化合物番号 3−13]のオリゴマーを実施例16と同様に得られた[化合物番号 2−65]のオリゴマーに変えた以外は「光硬化速度評価例1」と同様に塗膜の硬化を行ったところ、その時のタックフリータイムは1秒であった。
「光硬化速度評価例12」
「光硬化速度評価例1」の[化合物番号 3−13]のオリゴマーを実施例17と同様に得られた[化合物番号 2−70]のオリゴマーに変えた以外は「光硬化速度評価例1」と同様に塗膜の硬化を行ったところ、その時のタックフリータイムは1秒であった。
「光硬化速度評価例13」
「光硬化速度評価例1」の[化合物番号 3−13]のオリゴマーを実施例18と同様に得られた[化合物番号 4−17]のオリゴマーに変えた以外は「光硬化速度評価例1」と同様に塗膜の硬化を行ったところ、その時のタックフリータイムは1秒であった。
「光硬化速度評価例14」
「光硬化速度評価例1」の[化合物番号 3−13]のオリゴマーを実施例19と同様に得られた[化合物番号 4−53]のオリゴマーに変えた以外は「光硬化速度評価例1」と同様に塗膜の硬化を行ったところ、その時のタックフリータイムは1秒であった。
「光硬化速度評価例15」
「光硬化速度評価例1」の[化合物番号 3−13]のオリゴマーを実施例20と同様に得られた[化合物番号 5−12]のオリゴマーに変えた以外は「光硬化速度評価例1」と同様に塗膜の硬化を行ったところ、その時のタックフリータイムは1秒であった。
「光硬化速度比較例1」
光カチオン重合性化合物として3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダイセル社製、商品名:セロキサイド2021P)100重量部に対して、光重合開始剤である(4−メチルフェニル) [4− (2−メチルプ口ピル)フェニル]ヨードニウム−ヘキサフルオ口フォスフェー卜(ビー・エー・エス・エフ社製、商品名イルガキュア250)5重量部を室温で混合し、光カチオン重合性組成物を調製した。この光重合性組成物を厚さ100μmのトリアセチルセルロースフィルム上にバーコータ(No.8)で塗布し膜厚およそ12μmの塗膜を形成した。その後、紫外線LED(PhoseonTechnology社製RX-Firefly)を用いて、中心波長395nm,照射強度400mW/cmの光を300秒照射したが、塗膜の表面のべたつきは残ったままであった。
「光硬化速度比較例2」
「光硬化速度評価例1」の[化合物番号 3−13]のオリゴマーの代わりに公知の光重合増感剤である9,10−ジブトキシアントラセンを使用すること以外は「光硬化速度評価例1」と同様に塗膜の硬化を行ったところ、その時のタックフリータイムは1秒であった。
本発明での化合物を光ラジカル重合増感剤とするラジカル重合性組成物の光硬化速度評価試験について以下に記載する。
「光硬化速度評価例16」
光ラジカル重合性化合物として10重量部のトリメチロールプロパントリアクリレート(東京化成社製)、45重量部のトリシクロ〔5,2,1,02,6〕デカンジメタノールジアクリレート(アルドリッチ社製),45重量部のイソボルニルメタクリレート(東京化成社製)に対して、光開始剤である(4−メチルフェニル) [4− (2−メチルプ口ピル)フェニル]ヨードニウム−ヘキサフルオ口フォスフェー卜(ビー・エー・エス・エフ社製、商品名イルガキュア250)4重量部、光カチオン重合増感剤として、実施例3と同様にして得られた[化合物番号 3−13]のオリゴマー2重量部を室温で混合し、光カチオン重合性組成物を調製した。この光重合性組成物を厚さ100μmのトリアセチルセルロースフィルム上にバーコータ(No.8)で塗布し膜厚およそ12μmの塗膜を形成した。その後、厚さ50μmのポリエステルフィルム(東レ社製)を被せ、紫外線LED(PhoseonTechnology社製RX-Firefly)を用いて、中心波長395nm,照射強度50mW/cmの光を照射し塗膜の表面のべたつきがなくなるまでの照射時間(タックフリータイム)を測定したところ、5秒であった。
「光硬化速度評価例17」
「光硬化速度評価例16」の[化合物番号 3−13]のオリゴマーを実施例4と同様に得られた[化合物番号 3−15]のオリゴマーに変えた以外は「光硬化速度評価例16」と同様に塗膜の硬化を行ったところ、その時のタックフリータイムは5秒であった。
「光硬化速度評価例18」
「光硬化速度評価例16」の[化合物番号 3−13]のオリゴマーを実施例9と同様に得られた[化合物番号 2−16]のオリゴマーに変えた以外は「光硬化速度評価例16」と同様に塗膜の硬化を行ったところ、その時のタックフリータイムは4秒であった。
「光硬化速度評価例19」
「光硬化速度評価例16」の[化合物番号 3−13]のオリゴマーを実施例10と同様に得られた[化合物番号 2−17]のオリゴマーに変えた以外は「光硬化速度評価例16」と同様に塗膜の硬化を行ったところ、その時のタックフリータイムは4秒であった。
「光硬化速度評価例20」
「光硬化速度評価例16」の[化合物番号 3−13]のオリゴマーを実施例11と同様に得られた[化合物番号 2−18]のオリゴマーに変えた以外は「光硬化速度評価例16」と同様に塗膜の硬化を行ったところ、その時のタックフリータイムは4秒であった。
「光硬化速度評価例21」
「光硬化速度評価例16」の[化合物番号 3−13]のオリゴマーを実施例12と同様に得られた[化合物番号 2−19]のオリゴマーに変えた以外は「光硬化速度評価例16」と同様に塗膜の硬化を行ったところ、その時のタックフリータイムは4秒であった。
「光硬化速度評価例22」
「光硬化速度評価例16」の[化合物番号 3−13]のオリゴマーを実施例13と同様に得られた[化合物番号 2−60]のオリゴマーに変えた以外は「光硬化速度評価例16」と同様に塗膜の硬化を行ったところ、その時のタックフリータイムは4秒であった。
「光硬化速度評価例23」
「光硬化速度評価例16」の[化合物番号 3−13]のオリゴマーを実施例14と同様に得られた[化合物番号 3−58]のオリゴマーに変えた以外は「光硬化速度評価例16」と同様に塗膜の硬化を行ったところ、その時のタックフリータイムは5秒であった。
「光硬化速度評価例24」
「光硬化速度評価例16」の[化合物番号 3−13]のオリゴマーを実施例15と同様に得られた[化合物番号 2−31]のオリゴマーに変えた以外は「光硬化速度評価例16」と同様に塗膜の硬化を行ったところ、その時のタックフリータイムは4秒であった。
「光硬化速度評価例25」
「光硬化速度評価例16」の[化合物番号 3−13]のオリゴマーを実施例16と同様に得られた[化合物番号 2−65]のオリゴマーに変えた以外は「光硬化速度評価例16」と同様に塗膜の硬化を行ったところ、その時のタックフリータイムは4秒であった。
「光硬化速度評価例26」
「光硬化速度評価例16」の[化合物番号 3−13]のオリゴマーを実施例17と同様に得られた[化合物番号 2−70]のオリゴマーに変えた以外は「光硬化速度評価例16」と同様に塗膜の硬化を行ったところ、その時のタックフリータイムは4秒であった。
「光硬化速度評価例27」
「光硬化速度評価例16」の[化合物番号 3−13]のオリゴマーを実施例18と同様に得られた[化合物番号 4−17]のオリゴマーに変えた以外は「光硬化速度評価例16」と同様に塗膜の硬化を行ったところ、その時のタックフリータイムは4秒であった。
「光硬化速度評価例28」
「光硬化速度評価例16」の[化合物番号 3−13]のオリゴマーを実施例19と同様に得られた[化合物番号 4−53]のオリゴマーに変えた以外は「光硬化速度評価例16」と同様に塗膜の硬化を行ったところ、その時のタックフリータイムは4秒であった。
「光硬化速度評価例29」
「光硬化速度評価例16」の[化合物番号 3−13]のオリゴマーを実施例20と同様に得られた[化合物番号 5−12]のオリゴマーに変えた以外は「光硬化速度評価例16」と同様に塗膜の硬化を行ったところ、その時のタックフリータイムは5秒であった。
「光硬化速度比較例3」
光ラジカル重合性化合物として10重量部のトリメチロールプロパントリアクリレート(東京化成社製)、45重量部のトリシクロ〔5,2,1,02,6〕デカンジメタノールジアクリレート(アルドリッチ社製),45重量部のイソボルニルメタクリレート(東京化成社製)に対して、光重合開始剤である(4−メチルフェニル) [4− (2−メチルプ口ピル)フェニル]ヨードニウム−ヘキサフルオ口フォスフェー卜(ビー・エー・エス・エフ社製、商品名イルガキュア250)4重量部を室温で混合し、光カチオン重合性組成物を調製した。この光カチオン重合性組成物を厚さ100μmのトリアセチルセルロースフィルム上にバーコータ(No.8)で塗布し膜厚およそ12μmの塗膜を形成した。その後、厚さ50μmのポリエステルフィルム(東レ社製)を被せ、紫外線LED(PhoseonTechnology社製RX-Firefly)を用いて、中心波長395nm,照射強度50mW/cmの光を300秒照射しても、塗膜の表面のべたつきは残ったままであった。
「光硬化速度比較例4」
「光硬化速度評価例9」の[化合物番号 3−13]のオリゴマーを公知の光重合増感剤である9,10−ジブトキシアントラセンを使用すること以外は「光硬化速度評価例9」と同様に塗膜の硬化を行ったところ、その時のタックフリータイムは5秒であった。
光硬化速度評価例1から15と光硬化速度比較例1の結果を比較することにより明らかなように、光カチオン重合において本願の9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーを添加することにより、極端にタックフリータイムが短くなっており、著しく重合反応を促進していることがわかる。また、光硬化速度評価例16から29と光硬化速度比較例3の結果を比較することにより明らかなように、光ラジカル重合においても本願の9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーを添加することにより、極端にタックフリータイムが短くなっており、著しく重合反応を促進していることがわかる。すなわち、本願の9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーが、光カチオン重合及び光ラジカル重合のいずれにおいても光重合増感効果を持つことが分かる。
更に、光硬化速度評価例1から15と光硬化速度比較例2の結果を比較することにより明らかなように、光カチオン重合において本願の9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーは、公知の光重合増感剤である9,10−ジブトキシアントラセンと同等もしくはそれ以上の光重合増感効果を持つことがわかる。また、光硬化速度評価例16から29と光硬化速度比較例4の結果を比較することにより明らかなように、光ラジカル重合においても本願の9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーは、公知の光重合増感剤である9,10−ジブトキシアントラセンと同等もしくはそれ以上の光重合増感効果を持つことがわかる。
(光カチオン重合における耐マイグレーション性の評価実施例)
(マイグレーション評価例1)
エポキシ光カチオン重合性化合物として3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダイセル社製セロキサイド2021P)100部に対し、光重合増感剤として実施例3と同様の方法で合成した[化合物番号 3−13]のオリゴマーを2部混合し調製した組成物をポリエステルフィルム上で膜厚が12ミクロンになるようにバーコーターを用いて塗布した。次いで、得られた塗布物上に低密度ポリエチレンフィルム(膜厚30ミクロン)を被せて、暗所で一日間保管したもの、二日間保管したもの、四日間保管したものを、それぞれ保管後、ポリエチレンフィルムを剥がし、ポリエチレンフィルムをアセトンで洗い乾燥した後、フィルムのUVスペクトルを測定し、260nmの吸光度を測定した。得られた[化合物番号 3−13]のオリゴマーに起因する吸光度を9,10−ジブトキシアントラセン換算した。吸光度は、一日保管後0.006、二日保管後0.006、四日保管後0.007であった。
(マイグレーション評価例2)
光重合増感剤として[化合物番号 3−13]のオリゴマーの代わりに実施例4と同様の方法で合成した[化合物番号 3−15]のオリゴマーを使用すること以外はマイグレーション評価例1と同様にして試験した。アセトン洗いしたポリエチレンフィルムの260nmの吸光度を測定した結果、[化合物番号 3−15]のオリゴマーに起因する吸光度を9,10−ジブトキシアントラセン換算した値は、一日保管後0.007、二日保管後0.006、四日保管後0.008であった。
(マイグレーション評価例3)
光重合増感剤として[化合物番号 3−13]のオリゴマーの代わりに実施例5と同様の方法で合成した[化合物番号 2−5]のオリゴマーを使用すること以外はマイグレーション評価例1と同様にして試験した。アセトン洗いしたポリエチレンフィルムの260nmの吸光度を測定した結果、得られた[化合物番号 2−5]のオリゴマーに起因する吸光度を9,10−ジブトキシアントラセン換算した。吸光度は、一日保管後0.0015、二日保管後0.0014、四日保管後0.0016であった。
(マイグレーション評価例4)
光重合増感剤として[化合物番号 3−13]のオリゴマーの代わりに実施例7と同様の方法で合成した[化合物番号 2−11]のオリゴマーを使用すること以外はマイグレーション評価例1と同様にして試験した。アセトン洗いしたポリエチレンフィルムの260nmの吸光度を測定した結果、[化合物番号 2−11]のオリゴマーに起因する吸光度を9,10−ジブトキシアントラセン換算した値は、一日保管後0.001、二日保管後0.001、四日保管後0.001であった。
(マイグレーション評価例5)
光重合増感剤として[化合物番号 3−13]のオリゴマーの代わりに実施例9と同様の方法で合成した[化合物番号 2−16]のオリゴマーを使用すること以外はマイグレーション評価例1と同様にして試験した。アセトン洗いしたポリエチレンフィルムの260nmの吸光度を測定した結果、[化合物番号 2−16]のオリゴマーに起因する吸光度を9,10−ジブトキシアントラセン換算した値は、一日保管後0.005、二日保管後0.004、四日保管後0.006であった。
(マイグレーション評価例6)
光重合増感剤として[化合物番号 3−13]のオリゴマーの代わりに実施例10と同様の方法で合成した[化合物番号 2−17]のオリゴマーを使用すること以外はマイグレーション評価例1と同様にして試験した。アセトン洗いしたポリエチレンフィルムの260nmの吸光度を測定した結果、[化合物番号 2−17]のオリゴマーに起因する吸光度を9,10−ジブトキシアントラセン換算した値は、一日保管後0.006、四日保管後0.003であった。
(マイグレーション評価例7)
光重合増感剤として[化合物番号 3−13]のオリゴマーの代わりに実施例11と同様の方法で合成した[化合物番号 2−18]のオリゴマーを使用すること以外はマイグレーション評価例1と同様にして試験した。アセトン洗いしたポリエチレンフィルムの260nmの吸光度を測定した結果、[化合物番号 2−18]のオリゴマーに起因する吸光度を9,10−ジブトキシアントラセン換算した値は、一日保管後0.005、二日保管後0.005、四日保管後0.004であった。
(マイグレーション評価例8)
光重合増感剤として[化合物番号 3−13]のオリゴマーの代わりに実施例12と同様の方法で合成した[化合物番号 2−19]のオリゴマーを使用すること以外はマイグレーション評価例1と同様にして試験した。アセトン洗いしたポリエチレンフィルムの260nmの吸光度を測定した結果、[化合物番号 2−19]のオリゴマーに起因する吸光度を9,10−ジブトキシアントラセン換算した値は、一日保管後0.006、四日保管後0.003であった。
(マイグレーション評価例9)
光重合増感剤として[化合物番号 3−13]のオリゴマーの代わりに実施例13と同様の方法で合成した[化合物番号 2−60]のオリゴマーを使用すること以外はマイグレーション評価例1と同様にして試験した。アセトン洗いしたポリエチレンフィルムの260nmの吸光度を測定した結果、[化合物番号 2−60]のオリゴマーに起因する吸光度を9,10−ジブトキシアントラセン換算した値は、一日保管後0.0010、三日保管後0.0011であった。
(マイグレーション評価例10)
光重合増感剤として[化合物番号 3−13]のオリゴマーの代わりに実施例14と同様の方法で合成した[化合物番号 3−58]のオリゴマーを使用すること以外はマイグレーション評価例1と同様にして試験した。アセトン洗いしたポリエチレンフィルムの260nmの吸光度を測定した結果、[化合物番号 3−58]のオリゴマーに起因する吸光度を9,10−ジブトキシアントラセン換算した値は、一日保管後0.0013、三日保管後0.0015であった。
(マイグレーション評価例11)
光重合増感剤として[化合物番号 3−13]のオリゴマーの代わりに実施例15と同様の方法で合成した[化合物番号 2−31]のオリゴマーを使用すること以外はマイグレーション評価例1と同様にして試験した。アセトン洗いしたポリエチレンフィルムの260nmの吸光度を測定した結果、[化合物番号 2−31]のオリゴマーに起因する吸光度を9,10−ジブトキシアントラセン換算した値は、一日保管後0.0022、三日保管後0.0020であった。
(マイグレーション評価例12)
光重合増感剤として[化合物番号 3−13]のオリゴマーの代わりに実施例16と同様の方法で合成した[化合物番号 2−65]のオリゴマーを使用すること以外はマイグレーション評価例1と同様にして試験した。アセトン洗いしたポリエチレンフィルムの260nmの吸光度を測定した結果、[化合物番号 2−65]のオリゴマーに起因する吸光度を9,10−ジブトキシアントラセン換算した値は、一日保管後0.0004、三日保管後0.0003であった。
(マイグレーション評価例13)
光重合増感剤として[化合物番号 3−13]のオリゴマーの代わりに実施例17と同様の方法で合成した[化合物番号 2−70]のオリゴマーを使用すること以外はマイグレーション評価例1と同様にして試験した。アセトン洗いしたポリエチレンフィルムの260nmの吸光度を測定した結果、[化合物番号 2−70]のオリゴマーに起因する吸光度を9,10−ジブトキシアントラセン換算した値は、一日保管後0.0005、三日保管後0.0040であった。
(マイグレーション評価例14)
光重合増感剤として[化合物番号 3−13]のオリゴマーの代わりに実施例18と同様の方法で合成した[化合物番号 4−17]のオリゴマーを使用すること以外はマイグレーション評価例1と同様にして試験した。アセトン洗いしたポリエチレンフィルムの260nmの吸光度を測定した結果、[化合物番号 4−17]のオリゴマーに起因する吸光度を9,10−ジブトキシアントラセン換算した値は、一日保管後0.0054、三日保管後0.0058であった。
(マイグレーション評価例15)
光重合増感剤として[化合物番号 3−13]のオリゴマーの代わりに実施例19と同様の方法で合成した[化合物番号 4−53]のオリゴマーを使用すること以外はマイグレーション評価例1と同様にして試験した。アセトン洗いしたポリエチレンフィルムの260nmの吸光度を測定した結果、[化合物番号 4−53]のオリゴマーに起因する吸光度を9,10−ジブトキシアントラセン換算した値は、一日保管後0.0065、三日保管後0.0062であった。
(マイグレーション評価例16)
光重合増感剤として[化合物番号 3−13]のオリゴマーの代わりに実施例20と同様の方法で合成した[化合物番号 5−12]のオリゴマーを使用すること以外はマイグレーション評価例1と同様にして試験した。アセトン洗いしたポリエチレンフィルムの260nmの吸光度を測定した結果、[化合物番号 5−12]のオリゴマーに起因する吸光度を9,10−ジブトキシアントラセン換算した値は、一日保管後0.0015、三日保管後0.0010であった。
(マイグレーション比較例1)
光重合増感剤としてHOPA(TMHMDI)の代わりに公知の光重合増感剤である9,10−ジブトキシアントラセンを使用すること以外は評価例1と同様に調製した。アセトン洗いしたポリエチレンフィルムの260nmの吸光度を測定した結果、9,10−ジブトキシアントラセンの吸光度は、一日保管後1.41、二日保管後1.45、四日保管後1.50であった。
(光ラジカル重合における耐マイグレーション性の評価実施例)
(マイグレーション評価例17)
光ラジカル重合性化合物としてトリメチロールプロパントリアクリレート100部、光ラジカル重合増感剤として実施例3と同様の方法で合成した[化合物番号 3−13]のオリゴマー2.0部を混合し調製した組成物をポリエステルフィルム上で膜厚が12ミクロンになるようにバーコーターを用いて塗布した。次いで、得られた塗布物上に低密度ポリエチレンフィルム(膜厚30ミクロン)を被せて、暗所で一日間保管したものと二日間保管したものと四日間保管したものを調製し、それぞれ保管後、被せたポリエチレンフィルムを剥がし、ポリエチレンフィルムをアセトンで洗い、乾燥した後、当該ポリエチレンフィルムのUVスペクトルを測定し、260nmの吸光度を測定した。得られた[化合物番号 3−13]のオリゴマーに起因する吸光度を9,10−ジブトキシアントラセン換算した値は、一日保管後0.009、二日保管後0.011、四日後保管後0.010であった。
(マイグレーション評価例18)
[化合物番号 3−13]のオリゴマーの代わりに実施例4と同様の方法で合成した[化合物番号 3−15]のオリゴマーを使用すること以外はマイグレーション評価例9と同様に調製して試験した。アセトン洗いしたポリエチレンフィルムの260nmの吸光度を測定した結果、[化合物番号 3−15]のオリゴマーに起因する吸光度を9,10−ジブトキシアントラセン換算した。吸光度は、一日保管後0.008、二日保管後0.010、四日保管後0.009であった。
(マイグレーション評価例19)
[化合物番号 3−13]のオリゴマーの代わりに実施例9と同様の方法で合成した[化合物番号 2−16]のオリゴマーを使用すること以外はマイグレーション評価例9と同様に調製して試験した。アセトン洗いしたポリエチレンフィルムの260nmの吸光度を測定した結果、[化合物番号 2−16 ]のオリゴマーに起因する吸光度を9,10−ジブトキシアントラセン換算した。吸光度は、一日保管後0.007、二日保管後0.0075、四日保管後0.007であった。
(マイグレーション評価例20)
[化合物番号 3−13]のオリゴマーの代わりに実施例5と同様の方法で合成した[化合物番号 2−5]のオリゴマーを使用すること以外はマイグレーション評価例9と同様に調製して試験した。アセトン洗いしたポリエチレンフィルムの260nmの吸光度を測定した結果、[化合物番号 2−5]のオリゴマーに起因する吸光度を9,10−ジブトキシアントラセン換算した。吸光度は、一日保管後0.006、二日保管後0.0055、四日後保管後0.005であった。
(マイグレーション評価例21)
[化合物番号 3−13]のオリゴマーの代わりに実施例13と同様の方法で合成した[化合物番号 2−60]のオリゴマーを使用すること以外はマイグレーション評価例17と同様に調製して試験した。アセトン洗いしたポリエチレンフィルムの260nmの吸光度を測定した結果、[化合物番号 2−60]のオリゴマーに起因する吸光度を9,10−ジブトキシアントラセン換算した。吸光度は、一日保管後0.044、三日保管後0.063であった。
(マイグレーション評価例22)
[化合物番号 3−13]のオリゴマーの代わりに実施例14と同様の方法で合成した[化合物番号 3−58]のオリゴマーを使用すること以外はマイグレーション評価例17と同様に調製して試験した。アセトン洗いしたポリエチレンフィルムの260nmの吸光度を測定した結果、[化合物番号 3−58]のオリゴマーに起因する吸光度を9,10−ジブトキシアントラセン換算した。吸光度は、一日保管後0.009、三日保管後0.034であった。
(マイグレーション評価例23)
[化合物番号 3−13]のオリゴマーの代わりに実施例15と同様の方法で合成した[化合物番号 2−31]のオリゴマーを使用すること以外はマイグレーション評価例17と同様に調製して試験した。アセトン洗いしたポリエチレンフィルムの260nmの吸光度を測定した結果、[化合物番号 2−31]のオリゴマーに起因する吸光度を9,10−ジブトキシアントラセン換算した。吸光度は、一日保管後0.031、三日保管後0.040であった。
(マイグレーション評価例24)
[化合物番号 3−13]のオリゴマーの代わりに実施例16と同様の方法で合成した[化合物番号 2−65]のオリゴマーを使用すること以外はマイグレーション評価例17と同様に調製して試験した。アセトン洗いしたポリエチレンフィルムの260nmの吸光度を測定した結果、[化合物番号 2−65]のオリゴマーに起因する吸光度を9,10−ジブトキシアントラセン換算した。吸光度は、一日保管後0.004、三日保管後0.003であった。
(マイグレーション評価例25)
[化合物番号 3−13]のオリゴマーの代わりに実施例17と同様の方法で合成した[化合物番号 2−70]のオリゴマーを使用すること以外はマイグレーション評価例17と同様に調製して試験した。アセトン洗いしたポリエチレンフィルムの260nmの吸光度を測定した結果、[化合物番号 2−70]のオリゴマーに起因する吸光度を9,10−ジブトキシアントラセン換算した。吸光度は、一日保管後0.004、三日保管後0.001であった。
(マイグレーション評価例26)
[化合物番号 3−13]のオリゴマーの代わりに実施例18と同様の方法で合成した[化合物番号 4−17]のオリゴマーを使用すること以外はマイグレーション評価例17と同様に調製して試験した。アセトン洗いしたポリエチレンフィルムの260nmの吸光度を測定した結果、[化合物番号 4−17]のオリゴマーに起因する吸光度を9,10−ジブトキシアントラセン換算した。吸光度は、一日保管後0.028、三日保管後0.028であった。
(マイグレーション評価例27)
[化合物番号 3−13]のオリゴマーの代わりに実施例19と同様の方法で合成した[化合物番号 4−53]のオリゴマーを使用すること以外はマイグレーション評価例17と同様に調製して試験した。アセトン洗いしたポリエチレンフィルムの260nmの吸光度を測定した結果、[化合物番号 4−53]のオリゴマーに起因する吸光度を9,10−ジブトキシアントラセン換算した。吸光度は、一日保管後0.028、三日保管後0.028であった。
(マイグレーション評価例28)
[化合物番号 3−13]のオリゴマーの代わりに実施例20と同様の方法で合成した[化合物番号 5−12]のオリゴマーを使用すること以外はマイグレーション評価例17と同様に調製して試験した。アセトン洗いしたポリエチレンフィルムの260nmの吸光度を測定した結果、[化合物番号 5−12]のオリゴマーに起因する吸光度を9,10−ジブトキシアントラセン換算した。吸光度は、一日保管後0.005、三日保管後0.006であった。
(マイグレーション比較例2)
HOPA(TMHMDI)の代わりに公知の光ラジカル増感剤である9,10−ジブトキシアントラセンを使用すること以外はマイグレーション評価例17と同様にして試験した。アセトン洗いしたポリエチレンフィルムの260nmの吸光度を測定した結果、得られた9,10−ジブトキシアントラセンの吸光度は、一日保管後2.80、二日保管後2.90、四日後2.85であった。
マイグレーション評価例1から16とマイグレーション比較例1を比較することにより明らかなように、光カチオン重合性組成物中において、公知の光カチオン重合増感剤である9,10−ジブトキシアントラセンは該光カチオン重合性組成物の上に被せたフィルムにかなりの程度移行しているのに対して、本願の9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーは、いずれの場合もその移行程度は極めて低く、耐マイグレーション性に優れているといえる。また、更に、マイグレーション評価例17から28とマイグレーション比較例2を比較することにより明らかなように、光ラジカル重合性組成物中においても、公知の光ラジカル重合増感剤である9,10−ジブトキシアントラセンは、光ラジカル重合性組成物の上に被せたフィルムにかなりの程度移行しているのに対して、本願の9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーは、いずれの場合もその移行程度は極めて低く、耐マイグレーション性に優れているといえる。
以上の結果より、本発明の9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーは、光カチオン重合及び光ラジカル重合において、公知の光重合増感剤である9,10−ジブトキシアントラセン化合物と比較して、同等の光重合増感能を有するだけでなく、耐マイグレーション性が高い優れた化合物であり、光重合増感剤として極めて有用な化合物であることが判る。

Claims (17)

  1. 繰り返し単位が下記一般式(1)で表される9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマー。

    (一般式(1)において、nは繰り返し数を表し2〜50であり、X、Yは同一であっても異なってもよく、水素原子、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。Rは水素原子、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基を持つアルコキシメチル基又は炭素数6から10のアリール基を持つアリールオキシメチル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1から5のアルキル基を表し、RとRは互いに環を形成してもよい。Aは下記一般式(A1)、(A2)、(A3)又は(A4)のいずれか一つで表される二価の置換基を表す。)
    (上記二価の置換基の一般式(A1)乃至(A4)において、星印記号(アスタリスク)は二価の置換基の結合位置を表し、D、E、G、Jは、炭素数1から20のアルキレン基、または炭素数6から20のアリーレン基を表し、該アルキレン基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ベンゼン環又はナフタレン環を含んでいてもよく、該ベンゼン環、ナフタレン環はアルキル基で置換されていてもよい。またアリーレン基は置換基を有していてもよく、複数の環がアルキレン基、酸素原子、窒素原子、硫黄原子で結合されていてもよい。)
  2. 繰り返し単位が下記一般式(2)で表される9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマー。

    (一般式(2)において、nは繰り返し数を表し2〜50であり、X、Yは同一であっても異なってもよく、水素原子、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。Rは水素原子、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基を持つアルコキシメチル基又は炭素数6から10のアリール基を持つアリールオキシメチル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1から5のアルキル基を表し、RとRは互いに環を形成してもよい。Dは炭素数1から20のアルキレン基、または炭素数6から20のアリーレン基を表し、該アルキレン基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ベンゼン環又はナフタレン環を含んでいてもよく、該ベンゼン環、ナフタレン環はアルキル基で置換されていてもよい。またアリーレン基は置換基を有していてもよく、複数の環がアルキレン基、酸素原子、窒素原子、硫黄原子で結合されていてもよい。)
  3. 繰り返し単位が下記一般式(3)で表される9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマー。

    (一般式(3)において、nは繰り返し数を表し2〜50であり、X、Yは同一であっても異なってもよく、水素原子、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。Rは水素原子、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基を持つアルコキシメチル基又は炭素数6から10のアリール基を持つアリールオキシメチル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1から5のアルキル基を表し、RとRは互いに環を形成してもよい。Eは炭素数1から20のアルキレン基、または炭素数6から20のアリーレン基を表し、該アルキレン基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ベンゼン環又はナフタレン環を含んでいてもよく、該ベンゼン環、ナフタレン環はアルキル基で置換されていてもよい。またアリーレン基は置換基を有していてもよく、複数の環がアルキレン基、酸素原子、窒素原子、硫黄原子で結合されていてもよい。)
  4. 繰り返し単位が下記一般式(4)で表される9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマー。

    (一般式(4)において、nは繰り返し数を表し2〜50であり、X、Yは同一であっても異なってもよく、水素原子、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。Rは水素原子、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基を持つアルコキシメチル基又は炭素数6から10のアリール基を持つアリールオキシメチル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1から5のアルキル基を表し、RとRは互いに環を形成してもよい。Gは炭素数1から20のアルキレン基、または炭素数6から20のアリーレン基を表し、該アルキレン基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ベンゼン環又はナフタレン環を含んでいてもよく、該ベンゼン環、ナフタレン環はアルキル基で置換されていてもよい。またアリーレン基は置換基を有していてもよく、複数の環がアルキレン基、酸素原子、窒素原子、硫黄原子で結合されていてもよい。)
  5. 繰り返し単位が下記一般式(5)で表される9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマー。

    (一般式(5)において、nは繰り返し数を表し2〜50であり、X、Yは同一であっても異なってもよく、水素原子、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。Rは水素原子、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基を持つアルコキシメチル基又は炭素数6から10のアリール基を持つアリールオキシメチル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1から5のアルキル基を表し、RとRは互いに環を形成してもよい。Jは炭素数1から20のアルキレン基、または炭素数6から20のアリーレン基を表し、該アルキレン基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ベンゼン環又はナフタレン環を含んでいてもよく、該ベンゼン環、ナフタレン環はアルキル基で置換されていてもよい。またアリーレン基は置換基を有していてもよく、複数の環がアルキレン基、酸素原子、窒素原子、硫黄原子で結合されていてもよい。)
  6. 下記一般式(6)で表される9,10−ビス(2−ヒドロキシアルコキシ)アントラセン化合物と二塩基酸もしくは二塩基酸エステルとを反応させることからなる、繰り返し単位が一般式(2)で表される9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーの製造法。

    (一般式(6)において、X、Yは同一であっても異なってもよく、水素原子、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。Rは水素原子、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基を持つアルコキシメチル基又は炭素数6から10のアリール基を持つアリールオキシメチル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1から5のアルキル基を表し、RとRは互いに環を形成してもよい。)

    (一般式(2)において、nは繰り返し数を表し2〜50であり、X、Yは同一であっても異なってもよく、水素原子、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。Rは水素原子、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基を持つアルコキシメチル基又は炭素数6から10のアリール基を持つアリールオキシメチル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1から5のアルキル基を表し、RとRは互いに環を形成してもよい。Dは炭素数1から20のアルキレン基、または炭素数6から20のアリーレン基を表し、該アルキレン基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ベンゼン環又はナフタレン環を含んでいてもよく、該ベンゼン環、ナフタレン環はアルキル基で置換されていてもよい。またアリーレン基は置換基を有していてもよく、複数の環がアルキレン基、酸素原子、窒素原子、硫黄原子で結合されていてもよい。)
  7. 下記一般式(6)で表される9,10−ビス(2−ヒドロキシアルコキシ)アントラセン化合物とジイソシアネート化合物とを反応させることからなる、繰り返し単位が一般式(3)で表される9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーの製造法。

    (一般式(6)において、X、Yは同一であっても異なってもよく、水素原子、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。Rは水素原子、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基を持つアルコキシメチル基又は炭素数6から10のアリール基を持つアリールオキシメチル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1から5のアルキル基を表し、RとRは互いに環を形成してもよい。)

    (一般式(3)において、nは繰り返し数を表し2〜50であり、X、Yは同一であっても異なってもよく、水素原子、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。Rは水素原子、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基を持つアルコキシメチル基又は炭素数6から10のアリール基を持つアリールオキシメチル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1から5のアルキル基を表し、RとRは互いに環を形成してもよい。Eは炭素数1から20のアルキレン基、または炭素数6から20のアリーレン基を表し、該アルキレン基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ベンゼン環又はナフタレン環を含んでいてもよく、該ベンゼン環、ナフタレン環はアルキル基で置換されていてもよい。またアリーレン基は置換基を有していてもよく、複数の環がアルキレン基、酸素原子、窒素原子、硫黄原子で結合されていてもよい。)
  8. 下記一般式(6)で表される9,10−ビス(2−ヒドロキシアルコキシ)アントラセン化合物とジハロゲン化合物あるいはジオール化合物とを反応させることからなる、繰り返し単位が一般式(4)で表される9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーの製造法。

    (一般式(6)において、X、Yは同一であっても異なってもよく、水素原子、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。Rは水素原子、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基を持つアルコキシメチル基又は炭素数6から10のアリール基を持つアリールオキシメチル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1から5のアルキル基を表し、RとRは互いに環を形成してもよい。)

    (一般式(4)において、nは繰り返し数を表し2〜50であり、X、Yは同一であっても異なってもよく、水素原子、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。Rは水素原子、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基を持つアルコキシメチル基又は炭素数6から10のアリール基を持つアリールオキシメチル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1から5のアルキル基を表し、RとRは互いに環を形成してもよい。Gは炭素数1から20のアルキレン基、または炭素数6から20のアリーレン基を表し、該アルキレン基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ベンゼン環又はナフタレン環を含んでいてもよく、該ベンゼン環、ナフタレン環はアルキル基で置換されていてもよい。またアリーレン基は置換基を有していてもよく、複数の環がアルキレン基、酸素原子、窒素原子、硫黄原子で結合されていてもよい。)
  9. 下記一般式(6)で表される9,10−ビス(2−ヒドロキシアルコキシ)アントラセン化合物とジグリシジル化合物とを反応させることからなる、繰り返し単位が一般式(5)で表される9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーの製造法。

    (一般式(6)において、X、Yは同一であっても異なってもよく、水素原子、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。Rは水素原子、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基を持つアルコキシメチル基又は炭素数6から10のアリール基を持つアリールオキシメチル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1から5のアルキル基を表し、RとRは互いに環を形成してもよい。)

    (一般式(5)において、nは繰り返し数を表し2〜50であり、X、Yは同一であっても異なってもよく、水素原子、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。Rは水素原子、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基を持つアルコキシメチル基又は炭素数6から10のアリール基を持つアリールオキシメチル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1から5のアルキル基を表し、RとRは互いに環を形成してもよい。Jは炭素数1から20のアルキレン基、または炭素数6から20のアリーレン基を表し、該アルキレン基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ベンゼン環又はナフタレン環を含んでいてもよく、該ベンゼン環、ナフタレン環はアルキル基で置換されていてもよい。またアリーレン基は置換基を有していてもよく、複数の環がアルキレン基、酸素原子、窒素原子、硫黄原子で結合されていてもよい。)
  10. 繰り返し単位が下記一般式(1)で表される9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーを含有する光重合増感剤。

    (一般式(1)において、nは繰り返し数を表し2〜50であり、X、Yは同一であっても異なってもよく、水素原子、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。Rは水素原子、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基を持つアルコキシメチル基又は炭素数6から10のアリール基を持つアリールオキシメチル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1から5のアルキル基を表し、RとRは互いに環を形成してもよい。Aは下記一般式(A1)、(A2)、(A3)又は(A4)のいずれか一つで表される二価の置換基を表す。)
    (上記二価の置換基の一般式(A1)乃至(A4)において、星印記号(アスタリスク)は二価の置換基の結合位置を表し、D、E、G、Jは、炭素数1から20のアルキレン基、または炭素数6から20のアリーレン基を表し、該アルキレン基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ベンゼン環又はナフタレン環を含んでいてもよく、該ベンゼン環、ナフタレン環はアルキル基で置換されていてもよい。またアリーレン基は置換基を有していてもよく、複数の環がアルキレン基、酸素原子、窒素原子、硫黄原子で結合されていてもよい。)
  11. 繰り返し単位が下記一般式(2)で表される9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーを含有する光重合増感剤。

    (一般式(2)において、nは繰り返し数を表し2〜50であり、X、Yは同一であっても異なってもよく、水素原子、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。Rは水素原子、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基を持つアルコキシメチル基又は炭素数6から10のアリール基を持つアリールオキシメチル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1から5のアルキル基を表し、RとRは互いに環を形成してもよい。Dは炭素数1から20のアルキレン基、または炭素数6から20のアリーレン基を表し、該アルキレン基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ベンゼン環又はナフタレン環を含んでいてもよく、該ベンゼン環、ナフタレン環はアルキル基で置換されていてもよい。またアリーレン基は置換基を有していてもよく、複数の環がアルキレン基、酸素原子、窒素原子、硫黄原子で結合されていてもよい。)
  12. 繰り返し単位が下記一般式(3)で表される9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーを含有する光重合増感剤。

    (一般式(3)において、nは繰り返し数を表し2〜50であり、X、Yは同一であっても異なってもよく、水素原子、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。Rは水素原子、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基を持つアルコキシメチル基又は炭素数6から10のアリール基を持つアリールオキシメチル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1から5のアルキル基を表し、RとRは互いに環を形成してもよい。Eは炭素数1から20のアルキレン基、または炭素数6から20のアリーレン基を表し、該アルキレン基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ベンゼン環又はナフタレン環を含んでいてもよく、該ベンゼン環、ナフタレン環はアルキル基で置換されていてもよい。またアリーレン基は置換基を有していてもよく、複数の環がアルキレン基、酸素原子、窒素原子、硫黄原子で結合されていてもよい。)
  13. 繰り返し単位が下記一般式(4)で表される9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーを含有する光重合増感剤。

    (一般式(4)において、nは繰り返し数を表し2〜50であり、X、Yは同一であっても異なってもよく、水素原子、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。Rは水素原子、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基を持つアルコキシメチル基又は炭素数6から10のアリール基を持つアリールオキシメチル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1から5のアルキル基を表し、RとRは互いに環を形成してもよい。Gは炭素数1から20のアルキレン基、または炭素数6から20のアリーレン基を表し、該アルキレン基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ベンゼン環又はナフタレン環を含んでいてもよく、該ベンゼン環、ナフタレン環はアルキル基で置換されていてもよい。またアリーレン基は置換基を有していてもよく、複数の環がアルキレン基、酸素原子、窒素原子、硫黄原子で結合されていてもよい。)
  14. 繰り返し単位が下記一般式(5)で表される9,10−ビス(置換アルコキシ)アントラセン化合物のオリゴマーを含有する光重合増感剤。

    (一般式(5)において、nは繰り返し数を表し2〜50であり、X、Yは同一であっても異なってもよく、水素原子、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。Rは水素原子、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基を持つアルコキシメチル基又は炭素数6から10のアリール基を持つアリールオキシメチル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1から5のアルキル基を表し、RとRは互いに環を形成してもよい。Jは炭素数1から20のアルキレン基、または炭素数6から20のアリーレン基を表し、該アルキレン基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ベンゼン環又はナフタレン環を含んでいてもよく、該ベンゼン環、ナフタレン環はアルキル基で置換されていてもよい。またアリーレン基は置換基を有していてもよく、複数の環がアルキレン基、酸素原子、窒素原子、硫黄原子で結合されていてもよい。)
  15. 請求項10乃至14のいずれか一項に記載の光重合増感剤と、光重合開始剤とを含有する光重合開始剤組成物。
  16. 請求項15に記載の光重合開始剤組成物と、光カチオン重合性化合物とを含有する光重合性組成物。
  17. 請求項15に記載の光重合開始剤組成物と、光ラジカル重合性化合物とを含有する光重合性組成物。


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