JP6831611B2 - 加飾フィルム成形体、加飾フィルム成形体の製造方法、サテンめっき調製品、容器、筐体、車両用内外装部材 - Google Patents

加飾フィルム成形体、加飾フィルム成形体の製造方法、サテンめっき調製品、容器、筐体、車両用内外装部材 Download PDF

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Description

本発明は、加飾フィルム成形体、加飾フィルム成形体の製造方法、サテンめっき調製品、容器、筐体、車両用内外装部材に関する。より詳細には、本発明は、蒸着フィルムを使用して加飾した加飾成形品であり、色ブレが小さく、優れたサテンめっきの金属調の意匠感を示すことができる、加飾フィルム成形体、そのような加飾フィルム成形体の製造方法、そのような加飾フィルム成形体を用いたサテンめっき調製品、容器、筐体、車両用内外装部材に関する。
従来、自動車内外装部品等の分野において、高級感を演出するために、クロムめっきや、サテンめっき等の金属調意匠が採用されている。サテンめっきは、ニッケルめっきを施した上に、サテーナ研磨剤によるバフ研磨を施し、製品を艶消しの状態に仕上げたものである。サテンめっきは、落ち着いた質感があり、車の内装部品やエンブレムなどに多く使用されている。
しかしながら、従来のサテンめっきは、工程が複雑であると共に、色ブレが大きい。そのため、めっき以外の表面処理、金属外観仕上げ工法が提案されている。たとえば、めっき以外の工法において、サテンめっきの表面形状と同じ表面形状を再現することが試みられている。また、特許文献1には、特定のアミン化合物およびシロキサン化合物を含むめっき浴を用いてサテンニッケルめっきを行う方法が開示されている。ほかにも、フィルム加飾の技術分野では、マット調の樹脂層を用いることにより、サテンめっきの金属調意匠感を再現しようとする試みが行われている。
特開2016−160488号公報
しかしながら、従来のめっき以外の表面処理を用いた場合や、従来の加飾性フィルムを用いてサテンめっき調の再現を試みた場合、未だ、サテンめっきと同様の金属調の意匠感を充分に表現できていない。
本発明は、このような従来の発明に鑑みてなされたものであり、蒸着フィルムを使用して加飾することによって、色ブレが小さく、優れたサテンめっきの金属調の意匠感を示すことができる、加飾フィルム成形体、加飾フィルム成形体の製造方法、サテンめっき調製品、容器、筐体、車両用内外装部材を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、サテンめっき調の独特の鈍い金属光沢を示すためには、蒸着層を含むフィルムにおいて、艶消し性に寄与する写像性と、コントラストに寄与する光沢特性とが所定の範囲に含まれるよう調整することにより、色ブレが小さく、かつ、サテンめっきの金属調の意匠感をより正確に再現できることを見出し、本発明を完成させた。
上記課題を解決する本発明の加飾フィルム成形体は、基材と、接着層と、蒸着層と、保護層とを有し、写像性が10〜92であり、入射角が60°における鏡面光沢度(GS60°)と、入射角および受光角が45°におけるL*値(L*45)との割合(GS60°/L*45)が5〜55である、加飾フィルム成形体である。
また、上記課題を解決する本発明の加飾フィルム成形体の製造方法は、被剥離基材上に、離型層を形成する離型層形成工程と、前記離型層上に、保護層を形成する保護層形成工程と、前記保護層上に、蒸着層を形成する蒸着層形成工程と、前記蒸着層上に、接着層を形成する接着層形成工程と、前記接着層上に、転写基材を形成する転写基材形成工程と、前記被剥離基材および前記離型層を剥離する剥離工程とを含み、前記保護層形成工程は、前記保護層の表面に凹凸を形成する第1凹凸形成工程を含み、前記蒸着層形成工程または前記転写基材形成工程は、前記蒸着層の表面に凹凸を形成する第2凹凸形成工程を含む、写像性が10〜92であり、かつ、入射角が60°における鏡面光沢度(GS60°)と、入射角および受光角が45°におけるL*値(L*45)との割合(GS60°/L*45)が5〜55である、加飾フィルム成形体の製造方法である。
さらに、上記課題を解決する本発明の加飾フィルム成形体の製造方法は、被剥離基材上に、離型層を形成する離型層形成工程と、前記離型層上に、保護層を形成する保護層形成工程と、前記保護層上に、蒸着層を形成する蒸着層形成工程と、前記蒸着層上に、接着層を形成する接着層形成工程と、前記接着層上に、転写基材を形成する転写基材形成工程と、前記被剥離基材および前記離型層を剥離する剥離工程とを含み、前記保護層形成工程は、前記保護層の表面に凹凸を形成する第1凹凸形成工程を含み、前記転写基材形成工程は、前記蒸着層の表面に凹凸を形成する第2凹凸形成工程を含み、前記第2凹凸形成工程は、前記転写基材を前記接着層に対して、加熱および加圧しながら押し当てる加熱加圧工程を含む、写像性が10〜92であり、かつ、入射角が60°における鏡面光沢度(GS60°)と、入射角および受光角が45°におけるL*値(L*45)との割合(GS60°/L*45)が5〜55である、加飾フィルム成形体の製造方法である。
また、上記課題を解決する本発明のサテンめっき調製品は、上記加飾フィルム成形体を用いた、サテンめっき調製品である。
上記課題を解決する本発明の容器は、上記加飾フィルム成形体を用いた、容器である。
上記課題を解決する本発明の筐体は、上記加飾フィルム成形体を用いた、筐体である。
上記課題を解決する本発明の車両用内外装部材は、上記加飾フィルム成形体を用いた、車両用内外装部材である。
図1は、本発明の一実施形態(第1の実施形態)の加飾フィルム成形体の製造方法を説明するための模式的な断面図である。 図2は、本発明の一実施形態(第1の実施形態)の加飾フィルム成形体の製造方法を説明するための模式的な断面図である。 図3は、本発明の一本実施形態(第1の実施形態)の加飾フィルム成形体の模式的な断面図である。 図4は、本発明の一実施形態(第2の実施形態)の加飾フィルム成形体の製造方法を説明するための模式的な断面図である。 図5は、本発明の一実施形態(第2の実施形態)の加飾フィルム成形体の製造方法を説明するための模式的な断面図である。 図6は、本発明の一本実施形態(第2の実施形態)の加飾フィルム成形体の模式的な断面図である。 図7は、本発明の一実施形態(第3の実施形態)の加飾フィルム成形体の製造方法を説明するための模式的な断面図である。 図8は、本発明の一実施形態(第3の実施形態)の加飾フィルム成形体の製造方法を説明するための模式的な断面図である。 図9は、本発明の一本実施形態(第3の実施形態)の加飾フィルム成形体の模式的な断面図である。 図10は、本発明の一実施形態(第4の実施形態)の加飾フィルム成形体の製造方法を説明するための模式的な断面図である。 図11は、本発明の一実施形態(第4の実施形態)の加飾フィルム成形体の製造方法を説明するための模式的な断面図である。 図12は、本発明の一本実施形態(第4の実施形態)の加飾フィルム成形体の模式的な断面図である。 図13は、本発明の一実施形態の変形例の加飾フィルム成形体の模式的な断面図である。 図14は、本発明の一実施形態(第5の実施形態)の加熱加圧工程を説明するための模式図である。 図15は、本発明の一実施形態(第6の実施形態)の加熱加圧工程を説明するための模式図である。 図16は、本発明の一実施形態(第7の実施形態)の加熱加圧工程を説明するための模式図である。 図17は、本発明の一実施形態(第8の実施形態)の加熱加圧工程を説明するための模式図である。 図18は、本発明の一実施形態(第8の実施形態)の加熱加圧工程を説明するための模式図である。 図19は、本発明の一実施形態(第8の実施形態)の加熱加圧工程を説明するための模式図である。 図20は、本発明の一実施形態(第8の実施形態)の加熱加圧工程を説明するための模式図である。 図21は、本発明の一実施形態(第8の実施形態)の加熱加圧工程を説明するための模式図である。 図22は、本発明の一実施形態(第9の実施形態)の加熱加圧工程を説明するための模式図である。
[第1の発明]
<加飾フィルム成形体>
本発明の一実施形態の加飾フィルム成形体は、基材と、接着層と、蒸着層と、保護層とを有する。加飾フィルム成形体は、写像性が10〜92であり、入射角が60°における鏡面光沢度(GS60°)と、入射角および受光角が45°におけるL*値(L*45)との割合(GS60°/L*45)が5〜55である。すなわち、本実施形態の加飾フィルム成形体は、蒸着層を含む蒸着フィルムであり、写像性および割合(GS60°/L*45)が上記範囲に調整されていることを特徴とする。加飾フィルム成形体は、艶消し性に寄与する写像性と、コントラストに寄与する光沢特性とが、所定の範囲に含まれるよう調整されており、これにより、色ブレが小さく、かつ、サテンめっきの金属調の意匠感を正確に再現している。
(基材)
基材(転写基材)は特に限定されない。基材は、樹脂シート、紙、布、ゴムシート、発泡体シート等である。樹脂シートは、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン・プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂シート;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂シート;塩化ビニル樹脂シート;酢酸ビニル樹脂シート;ポリイミド樹脂シート;ポリアミド樹脂シート;フッ素樹脂シート;セロハン等が例示される。紙は、和紙、クラフト紙、グラシン紙、上質紙、合成紙、トップコート紙等が例示される。布は、各種繊維状物質の単独または混紡等による織布や不織布等が例示される。ゴムシートは、天然ゴムシート、ブチルゴムシート等が例示される。発泡体シートは、発泡PEシート等の発泡ポリオレフィンシート、発泡ポリエステルシート、発泡ポリウレタンシート、発泡ポリクロロプレンゴムシート等が例示される。これらの中でも、基材は、物理的特性(たとえば、寸法安定性、厚さ精度、加工性、引張強度)、経済性(コスト)等の理由により、ポリエチレンテレフタレート(PET)製であることが好ましい。
基材の厚みは特に限定されない。一例を挙げると、基材の厚みは、4〜200μm程度である。基材の厚みが上記範囲内であることにより、基材は、カールやシワが入りにくくなり、転写性も優れ、コストも安価に抑えられる。
(接着層)
接着層は特に限定されない。一例を挙げると、接着層は、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、ウレタン変性ポリエステル樹脂系、ポリエステル樹脂系、エポキシ樹脂系、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)系、ビニル樹脂系(塩ビ、酢ビ、塩ビ−酢ビ共重合樹脂)、スチレン−エチレン−ブチレン共重合体樹脂系、ポリビニルアルコール樹脂系、ポリアクリルアミド樹脂系、ポリアクリルアミド樹脂系、イソブチレンゴム、イソプレンゴム、天然ゴム、SBR、NBR、シリコーンゴム等の樹脂からなる。これらの樹脂は、適宜、溶剤に溶解されて使用されてもよく、無溶剤で使用されてもよい。
接着層の厚みは特に限定されない。一例を挙げると、接着層の厚みは、0.5〜5μm程度である。
(蒸着層)
蒸着層は特に限定されない。一例を挙げると、蒸着層は、非金属、金属、金属酸化物および金属窒化物からなる群から選択される少なくとも1種(金属等ともいう)である。非金属、金属等は特に限定されない。一例を挙げると、非金属は、アモルファスカーボン(DLC)およびその複合体、金属等は、珪素、チタン、スズ、亜鉛、アルミニウム、インジウムおよびマグネシウムからなる群から選択される少なくとも1つの金属、その酸化物、その窒化物である。これらの中でも、金属等は、インジウム、スズ、アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化珪素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO)、亜鉛スズ酸化物(ZTO)等であることが好ましく、インジウム、スズ、アルミニウムまたは酸化アルミニウムであることがより好ましい。蒸着層がインジウム、スズ、アルミニウムまたは酸化アルミニウムからなることにより、得られる加飾フィルム成形体は、サテンめっきの金属調の意匠感を示しやすい。
蒸着層の厚みは特に限定されない。一例を挙げると、蒸着層の厚みは、7nm以上であることが好ましく、20nm以上であることがより好ましい。また、蒸着層の厚みは、100nm以下であることが好ましく、80nm以下であることがより好ましい。蒸着層の厚みが上記範囲内であることにより、蒸着層は、適度な可撓性を有し、後述するフィラーを用いて写像性および割合(GS60°/L*45)を調整する際に、表面に凹凸が形成されやすい。
(保護層)
保護層は特に限定されない。一例を挙げると、保護層は、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等である。
保護層の厚みは特に限定されない。一例を挙げると、保護層の厚みは、1.0μm以上20μm以下であることが好ましい。保護層の厚みが上記範囲内であることにより、加飾フィルム成形体は、耐擦傷性、耐摩耗性が優れる。
加飾フィルム成形体全体の説明に戻り、写像性は、10以上であればよい。また、写像性は、92以下であればよく、72以下であることが好ましく、48以下であることがより好ましい。写像性が10未満である場合、加飾フィルム成形体は、艶消しの程度が強くなり過ぎて、サテンめっき調の意匠感を表現しにくい。一方、写像性が92を超える場合、加飾フィルム成形体は、艶消しの程度が弱くなり過ぎて、サテンめっき調の意匠感を表現しにくい。なお、本実施形態において、写像性(単位:%)は、ASTM−D5767に準拠して測定され、たとえば、アピアランスアナライザー(Rhopoint IQ−S、Rhopont社製)を使用して、成形体表面の写像性(DOI)を測定することにより算出し得る。
割合(GS60°/L*45)は、5以上であればよく、15以上であることが好ましい。また、割合(GS60°/L*45)は、55以下であればよく、45以下であることが好ましい。割合(GS60°/L*45)が5未満である場合、加飾フィルム成形体は、GS60°の値が小さ過ぎるか、L*45の値が大き過ぎるため、サテン調特有の鈍い金属光沢が発現しにくい。一方、割合(GS60°/L*45)が55を超える場合、加飾フィルム成形体は、GS60°の値が大き過ぎるか、L*45の値が小さ過ぎるため、金属光沢が過度に発現しやすく、サテン調の特有の金属光沢とは異なる外観となりやすい。なお、本実施形態において、入射角が60°における鏡面光沢度(GS60°)は、たとえば、アピアランスアナライザー(Rhopoint IQ−S、Rhopont社製)を使用して、成形体表面に対して、入射角60°から光を照射して、正反射光を受光することにより、鏡面光沢度(GS60°)を測定することができる。また、入射角および受光角が45°におけるL*値(L*45)は、たとえば、多角度分光光度計(MA−T6、エックスライト社製)を使用して、成形体表面の測色し、入射角は45°、受光角は45°で得られたL値を算出することにより測定することができる。割合(GS60°/L*45)は、得られた、鏡面光沢度(GS60°)の値を、L*45の値で除することにより算出することができる。
本実施形態において、写像性および割合(GS60°/L*45)を上記範囲に調整する方法は特に限定されない。一例を挙げると、本実施形態の加飾フィルム成形体は、各層のいずれかの表面形状を加工したり、フィラーを添加したりすることにより、写像性および割合(GS60°/L*45)を上記範囲に調整し得る。より具体的には、加飾フィルム成形体は、(1)フィラーを添加することにより、いずれかの層の表面に凹凸を形成する方法、(2)保護層にミクロ層分離を起こさせることにより、保護層の表面に凹凸を形成する方法、(3)各層の形成時に使用する溶剤(樹脂を含む溶剤)を揮発させることにより、層の表面性状を粗くする方法、(4)各層に凹凸の金型等を押し当てて表面に凹凸を形成する方法、(5)いずれかの層に、空気を内包させる方法、(6)いずれかの層にレーザーエッチング処理を施す方法等により、写像性および割合(GS60°/L*45)を上記範囲に調整し得る。以下、一例として、フィラーを添加することにより、蒸着層および保護層のそれぞれの表面に凹凸を形成する場合について例示する。
<第1の実施形態>
本発明の一実施形態(第1の実施形態)の加飾フィルム成形体について、図1〜図3を参照して説明する。なお、説明の明瞭化のため、加飾フィルム成形体の製造方法を説明し、その後、得られる加飾フィルム成形体について説明する。図1は、本実施形態の加飾フィルム成形体1の製造方法を説明するための模式的な断面図である。図2は、本実施形態の加飾フィルム成形体1の製造方法を説明するための模式的な断面図である。図3は、本実施形態の加飾フィルム成形体1の模式的な断面図である。
本実施形態の加飾フィルム成形体1の製造方法は、被剥離基材2上に、離型層3を形成する離型層形成工程と、離型層3上に、保護層4を形成する保護層形成工程と、保護層4上に、蒸着層5を形成する蒸着層形成工程と、蒸着層5上に、接着層6を形成する接着層形成工程と、接着層6上に、転写基材7を形成する転写基材形成工程と、被剥離基材2および離型層3を剥離する剥離工程とを含む。保護層形成工程は、保護層4の表面に凹凸81を形成する第1凹凸形成工程を含む。転写基材形成工程は、蒸着層5の表面に凹凸82を形成する第2凹凸形成工程を含む。本実施形態の加飾フィルム成形体1の製造方法は、これらの工程を実施することにより、写像性が10〜92であり、かつ、入射角が60°における鏡面光沢度(GS60°)と、入射角および受光角が45°におけるL*値(L*45)との割合(GS60°/L*45)が5〜55である、加飾フィルム成形体1を製造する。以下、それぞれの工程について説明する。
(離型層形成工程)
離型層形成工程は、被剥離基材2上に、離型層3を形成する工程である。
被剥離基材2は特に限定されない。一例を挙げると、被剥離基材2は、樹脂シート、紙、布、ゴムシート、発泡体シート等である。樹脂シートは、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン・プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂シート;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂シート;塩化ビニル樹脂シート;酢酸ビニル樹脂シート;ポリイミド樹脂シート;ポリアミド樹脂シート;フッ素樹脂シート;セロハン等が例示される。紙は、和紙、クラフト紙、グラシン紙、上質紙、合成紙、トップコート紙等が例示される。布は、各種繊維状物質の単独または混紡等による織布や不織布等が例示される。ゴムシートは、天然ゴムシート、ブチルゴムシート等が例示される。発泡体シートは、発泡PEシート等の発泡ポリオレフィンシート、発泡ポリエステルシート、発泡ポリウレタンシート、発泡ポリクロロプレンゴムシート等が例示される。これらの中でも、基材は、物理的特性(たとえば、寸法安定性、厚さ精度、加工性、引張強度)、経済性(コスト)等の理由により、ポリエチレンテレフタレート(PET)製であることが好ましい。
被剥離基材2の厚みは特に限定されない。一例を挙げると、被剥離基材2の厚みは、4μm〜200μm程度である。被剥離基材2の厚みが上記範囲内であることにより、基材は、カールやシワが入りにくくなり、転写性も優れ、コストも安価に抑えられる。
離型層3は特に限定されない。一例を挙げると、離型層3は、シリコーン樹脂系、フッ素樹脂系、セルロース誘導体樹脂系、尿素樹脂系、ポリオレフィン樹脂系、メラミン樹脂系等の離型剤からなる。
離型層3を形成する方法は特に限定されない。一例を挙げると、離型層3は、ロールコーター等を用いて離型剤を被剥離基材2上に塗布することにより形成し得る。
離型層3の厚みは特に限定されない。一例を挙げると、離型層3の厚みは、0.01〜5μm程度である。
本実施形態の離型層3は、不定形フィラーを含む。不定形フィラーの原材料は特に限定されない。一例を挙げると、不定形フィラーの原材料は、たとえばメラミン系樹脂粒子、アクリル系樹脂粒子、アクリル−スチレン系共重合体粒子、ポリカーボネート系粒子、ポリエチレン系粒子、ポリスチレン系粒子などが挙げられる。また、無機フィラーとしては、たとえばシリカ粒子や、タルク、窒化ホウ素である。不定形フィラーは併用されてもよい。
不定形フィラーの形状は、真球状以外の形状であることが好ましく、レンズ状(楕円球状)または鱗片状であることがより好ましい。不定形フィラーの形状は真球状以外であることにより、フィラーは、光を全方向に拡散させることが無く、白っぽい外観を呈しにくい。その結果、得られる加飾フィルム成形体1は、サテンめっきの金属調を表現しやすい。図1〜図3には、レンズ状フィラー91を用いた例が開示されている。鱗片状フィラー92(図7等参照)を用いた例は、第3の実施形態〜第4の実施形態として後述する。
不定形フィラーの寸法は特に限定されない。一例を挙げると、不定形フィラーがレンズ状である場合、レンズ状フィラー91の長径L1は、2.0μm以上であることが好ましく、6.0μm以上であることがより好ましい。また、レンズ状フィラー91の長径L1は、20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。また、レンズ状フィラー91の厚みL1は、1.0μm以上であることが好ましく、2.0μm以上であることがより好ましい。また、レンズ状フィラー91の厚みL2は、5.0μm以下であることが好ましく、3.0μm以下であることがより好ましい。さらに、レンズ状フィラー91のアスペクト比(長径/厚み)は、1.0以上であることが好ましく、2.0以上であることがより好ましい。また、レンズ状フィラー91のアスペクト比は、10以下であることが好ましく、5.0以下であることがより好ましい。レンズ状フィラー91の寸法が上記範囲内であることにより、後述する保護層形成工程において、離型層3上に形成された保護層4の表面に、所望の寸法の凹凸81が形成されやすい。この結果、得られる加飾フィルム成形体1は、特に金属光沢と低い写像性とが両立されやすい。
レンズ状フィラー91を含む離型層3が、被剥離層上に形成されると、離型層3は、一部のレンズ状フィラー91が離型層3の表面から露出した状態で固化する。
(保護層形成工程)
保護層形成工程は、離型層3上に、保護層4を形成する工程である。保護層4を構成する原材料および寸法等は上記と同様である。
保護層4を形成する方法は特に限定されない。一例を挙げると、保護層4は、ロールコーター等を用いて、適宜溶剤に溶解した保護層4を構成する樹脂溶液を、離型層3上に塗布することにより形成し得る。
図1に示されるように、保護層4は、レンズ状フィラー91が露出した離型層3に対して形成される。その結果、保護層4の表面のうち、離型層3と接する側の表面は、離型層3から露出したレンズ状フィラー91の形状に沿って凹凸81が形成される(第1凹凸形成工程)。
(蒸着層形成工程)
蒸着層形成工程は、保護層4上に、蒸着層5を形成する工程である。蒸着層5を構成する原材料および寸法等は上記と同様である。
蒸着層形成工程において、保護層4上に蒸着層5を形成する方法は特に限定されない。一例を挙げると、蒸着方法は、従来公知の真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理蒸着法、または、化学蒸着法等を適宜採用し得る。これらの中でも、本実施形態の加飾フィルム成形体1の製造方法は、生産性が高いという理由により、真空蒸着法により蒸着層5を設けることが好ましい。蒸着条件は、蒸着層5の材料や、所望する蒸着層5の厚みに基づいて、従来公知の条件が適宜採用され得る。なお、金属を蒸着する場合において、金属材料は、不純物が少なく、純度が99重量%以上であることが好ましく、99.5重量%以上であることがより好ましい。また、金属材料は、粒状、ロッド状、タブレット状、ワイヤー状あるいは使用するルツボ形状に加工したものであることが好ましい。金属材料を蒸発させるための加熱方法は、ルツボ中に金属材料を入れて抵抗加熱あるいは高周波加熱を行う方式や、電子ビーム加熱を行う方法、窒化硼素などのセラミック製のボードに金属材料を入れ直接抵抗加熱を行う方法など、周知の方法を用いることができる。真空蒸着に用いるルツボは、カーボン製であることが望ましく、アルミナやマグネシア、チタニア、ベリリア性のルツボであってもよい。
(接着層形成工程)
接着層形成工程は、蒸着層5上に、接着層6を形成する工程である。接着層6を構成する原材料および寸法等は上記と同様である。
接着層6を形成する方法は特に限定されない。一例を挙げると、接着層6は、ロールコーター等を用いて、適宜溶剤に溶解した接着層6を構成する樹脂溶液を、蒸着層5上に塗布することにより形成し得る。
本実施形態の接着層6は、レンズ状フィラー92を含む。レンズ状フィラー92の原材料等は上記と同様である。
レンズ状フィラー92の長径L3は、2.0μm以上20μm以下であることが好ましい。また、レンズ状フィラー92の厚みL4は、1.0μm以上5.0μm以下であることが好ましい。さらに、レンズ状フィラー92のアスペクト比(長径/厚み)は、1.0以上20以下であることが好ましい。レンズ状フィラー92の寸法が上記範囲内であることにより、後述する保護層形成工程において、離型層3上に形成された保護層4の表面に、所望の寸法の凹凸81が形成されやすい。この結果、得られる加飾フィルム成形体1は、特に金属光沢と低い写像性とが両立されやすい。特に、レンズ状フィラー92の厚みは、後述する転写基材形成工程において、接着層6に対して、転写基材7が押し当てられることによりレンズ状フィラー92が接着層6の厚み方向に押し込まれて蒸着層5を変形させることができるように、接着層6の厚みよりも大きいことが好ましく、接着層6の厚みよりも0.5μm以上大きいことがより好ましい。これにより、後述する転写基材形成工程において、蒸着層5が所望の大きさの凹凸82が形成されるよう変形されやすい。
レンズ状フィラー92を含む接着層6が、蒸着層5上に形成されると、接着層6は、一部のレンズ状フィラー92が接着層6の表面から露出した状態で固化する。
(転写基材形成工程)
転写基材形成工程は、接着層6上に、転写基材7を形成する工程である。転写基材7を構成する原材料および寸法等は上記と同様である。
図1に示されるように、レンズ状フィラー92が露出した接着層6に対して、転写基材7が押し当てられると、露出していたレンズ状フィラー92は、接着層6の厚み方向に押し込まれる。その結果、図2に示されるように、レンズ状フィラー92は、接着層6の厚み方向に埋没されるとともに、蒸着層5を変形させる。その結果、蒸着層5の表面には、凹凸82(保護層4側に向かって突出した略椀状の凸部)が形成される(第2凹凸形成工程)。なお、上記のとおり、レンズ状フィラーの厚みは、接着層6の厚みよりも大きいことが好ましい。これにより、蒸着層5の表面に凹凸82が形成されやすい。
凸部の最大径は、2.0μm以上20μm以下であることが好ましい。凸部の高さは、0.5μm以上5.0μm以下であることが好ましい。凸部の最大径および高さが上記範囲内であることにより、得られる加飾フィルム成形体1は、艶消しの程度が適切に調整されやすく、写像性が上記範囲になるよう調整されやすい。その結果、加飾フィルム成形体1は、艶消し性に寄与する写像性と、コントラストに寄与する光沢特性とが、より所定の範囲に含まれやすく、色ブレが小さく、かつ、サテンめっきの金属調の意匠感をより正確に再現できる。
(剥離工程)
剥離工程は、被剥離基材2および離型層3を剥離する工程である。図3に示されるように、剥離工程によれば、被剥離基材2と、離型層3(レンズ状フィラー91を含む)とが剥離される。その結果、保護層4の表面には、離型層3から露出していたレンズ状フィラー91と相補的な形状の凹凸81(保護層4の厚み方向に落ち窪んだ略椀状の凹部)が形成される。
凹部の最大径は、2.0μm以上20μm以下であることが好ましい。凹部の深さは、0.5μm以上5.0μm以下であることが好ましい。凹部の最大径および深さが上記範囲内であることにより、得られる加飾フィルム成形体1は、コントラストの程度が適切に調整されやすく、割合(GS60°/L*45)が上記範囲になるよう調整されやすい。その結果、加飾フィルム成形体1は、艶消し性に寄与する写像性と、コントラストに寄与する光沢特性とが、より所定の範囲に含まれやすく、色ブレが小さく、かつ、サテンめっきの金属調の意匠感をより正確に再現できる。
凸部の最大径または凹部の最大径は、加飾フィルム成形体の面を垂直方向から電子顕微鏡または光学顕微鏡を用いて観察し、凸部または凹部をランダムに20個サンプリングし、凸部または凹部の輪郭の最大径を測定し、20個の平均値から算出し得る。
以上の工程を経て、本実施形態の加飾フィルム成形体1が作製される。加飾フィルム成形体1は、保護層4および蒸着層5のそれぞれの表面に、凹凸(凹凸81および凹凸82)が形成されている。保護層4の表面に形成された凹凸81は、主に艶消し性に寄与する。一方、蒸着層5の表面に形成された凹凸82は、主に、コントラストに寄与する。これにより、加飾フィルム成形体1は、写像性が10〜92であり、かつ、入射角が60°における鏡面光沢度(GS60°)と、入射角および受光角が45°におけるL*値(L*45)との割合(GS60°/L*45)が5〜55となる。このような加飾フィルム成形体1は、色ブレが小さく、優れたサテンめっきの金属調の意匠感を示すことができる。
また、本実施形態の加飾フィルム成形体1は、横軸に写像性、縦軸に割合(GS60°/L*45)を採用したグラフを想定する場合において、写像性と割合(GS60°/L*45)とをプロットした位置が、一次式y=3.33x−18.33よりも下領域(一次式とx軸とで区画される領域)内であることが好ましい。この領域内にプロットされる写像性および割合(GS60°/L*45)を有していることにより、加飾フィルム成形体1は、より色ブレが小さく、優れたサテンめっきの金属調の意匠感を示すことができる。
<第2の実施形態>
本発明の一実施形態(第2の実施形態)の加飾フィルム成形体について、図4〜図6を参照して説明する。なお、説明の明瞭化のため、加飾フィルム成形体の製造方法を説明し、その後、得られる加飾フィルム成形体について説明する。図4は、本実施形態の加飾フィルム成形体1aの製造方法を説明するための模式的な断面図である。図5は、本実施形態の加飾フィルム成形体1aの製造方法を説明するための模式的な断面図である。図6は、本実施形態の加飾フィルム成形体1aの模式的な断面図である。なお、本実施形態の加飾フィルム成形体1aおよび加飾フィルム成形体1aの製造方法は、接着層6にレンズ状フィラーが添加された態様に代えて、保護層4にレンズ状フィラー92が添加された態様が採用されている以外は、上記した第1の実施形態の加飾フィルム成形体1(図3参照)および加飾フィルム成形体1の製造方法と同様である。そのため、重複する説明は適宜省略され、重複する部材は同様の参照符号が付される。
(離型層形成工程)
離型層形成工程は、第1の実施形態に関連して上記した離型層形成工程と同様である。
(保護層形成工程)
保護層形成工程は、離型層3上に、保護層4を形成する工程である。保護層4を構成する原材料および寸法等は上記と同様である。
保護層4を形成する方法は特に限定されない。一例を挙げると、保護層4は、ロールコーター等を用いて、適宜溶剤に溶解した保護層4を構成する樹脂溶液を、離型層3上に塗布することにより形成し得る。
本実施形態の保護層4は、レンズ状フィラー92を含む。レンズ状フィラー92の原材料および寸法等は上記と同様である。
レンズ状フィラー92を含む保護層4が、離型層3上に形成されると、保護層4は、一部のレンズ状フィラー92が保護層4の表面から露出した状態で固化する。
(蒸着層形成工程)
蒸着層形成工程は、保護層4上に、蒸着層5を形成する工程である。蒸着層5を構成する原材料および寸法、蒸着方法等は上記と同様である。
図4に示されるように、蒸着層5は、レンズ状フィラー92が露出した保護層4に対して形成される。その結果、蒸着層5の表面のうち、保護層4と接する側の表面は、保護層4から露出したレンズ状フィラー92の形状に沿って凹凸82が形成される。
(接着層形成工程)
接着層形成工程は、蒸着層5上に、接着層6を形成する工程である。接着層6を構成する原材料および寸法等は上記と同様である。
接着層6を形成する方法は特に限定されない。一例を挙げると、接着層6は、ロールコーター等を用いて、適宜溶剤に溶解した接着層6を構成する樹脂溶液を、蒸着層5上に塗布することにより形成し得る。
(転写基材形成工程)
転写基材形成工程は、接着層6上に、転写基材7を形成する工程である。転写基材7を構成する原材料および寸法等は上記と同様である。
(剥離工程)
剥離工程は、被剥離基材2および離型層3を剥離する工程である。図5および図6に示されるように、剥離工程によれば、被剥離基材2と、離型層3(レンズ状フィラー91を含む)とが剥離される。その結果、保護層4の表面には、離型層3から露出していたレンズ状フィラー91と相補的な形状の81が形成される。
以上の工程を経て、本実施形態の加飾フィルム成形体1aが作製される。加飾フィルム成形体1aは、保護層4および蒸着層5のそれぞれの表面に、凹凸(凹凸81および凹凸82)が形成されている。保護層4の表面に形成された凹凸81は、主に艶消し性に寄与する。一方、蒸着層5の表面に形成された凹凸82は、主に、コントラストに寄与する。これにより、加飾フィルム成形体1aは、写像性が10〜92であり、かつ、入射角が60°における鏡面光沢度(GS60°)と、入射角および受光角が45°におけるL*値(L*45)との割合(GS60°/L*45)が5〜55となる。このような加飾フィルム成形体1aは、色ブレが小さく、優れたサテンめっきの金属調の意匠感を示すことができる。
<第3の実施形態>
本発明の一実施形態(第3の実施形態)の加飾フィルム成形体について、図7〜図9を参照して説明する。なお、説明の明瞭化のため、加飾フィルム成形体の製造方法を説明し、その後、得られる加飾フィルム成形体について説明する。図7は、本実施形態の加飾フィルム成形体1bの製造方法を説明するための模式的な断面図である。図8は、本実施形態の加飾フィルム成形体1bの製造方法を説明するための模式的な断面図である。図9は、本実施形態の加飾フィルム成形体1bの模式的な断面図である。なお、本実施形態の加飾フィルム成形体1bおよび加飾フィルム成形体1bの製造方法は、不定形フィラーとしてレンズ状フィラーに代えて、鱗片状フィラーを使用した以外は、上記した第1の実施形態の加飾フィルム成形体1(図3参照)および加飾フィルム成形体1の製造方法と同様である。そのため、重複する説明は適宜省略され、重複する部材は同様の参照符号が付される。
(離型層形成工程)
離型層形成工程は、被剥離基材2上に、離型層3を形成する工程である。本実施形態の離型層形成工程は、不定形フィラーとして、鱗片状フィラー91aを用いている以外は、第1の実施形態の離型層形成工程と同様である。
また、鱗片状であるフィラー91aの長径L5は、0.5μm以上10μm以下であることが好ましい。また、鱗片状フィラー91aの厚みL6は、0.05μm以上0.5μm以下であることが好ましい。さらに、鱗片状フィラー91aのアスペクト比(長径/厚み)は、10以上150以下であることが好ましい。鱗片状フィラー91aの寸法が上記範囲内であることにより、後述する保護層形成工程において、離型層3上に形成された保護層4の表面に、所望の寸法の凹凸81が形成されやすい。この結果、得られる加飾フィルム成形体1bは、特に金属光沢と低い写像性とが両立されやすい。
鱗片状フィラー91aを含む離型層3が、被剥離基材2上に形成されると、離型層3は、一部の鱗片状フィラー91aが離型層3の表面から露出した状態で固化する。
(保護層形成工程および蒸着層形成工程)
保護層形成工程および蒸着層形成工程は、第1の実施形態の保護層形成工程および蒸着層形成工程と同様である。
(接着層形成工程)
接着層形成工程は、蒸着層5上に、接着層6を形成する工程である。接着層6を構成する原材料および寸法等は上記と同様である。
接着層6を形成する方法は特に限定されない。一例を挙げると、接着層6は、ロールコーター等を用いて、適宜溶剤に溶解した接着層6を構成する樹脂溶液を、蒸着層5上に塗布することにより形成し得る。
本実施形態の接着層6は、鱗片状フィラー92aを含む。鱗片状フィラー92aの原材料等は上記と同様である。また、鱗片状フィラー92aの長径L7および厚みL8は、上記した鱗片状フィラー91aの長径L5および厚みL6と同様である。特に、鱗片状フィラー92aの厚みは、後述する転写基材形成工程において、接着層6に対して、転写基材7が押し当てられることにより鱗片状フィラー92aが接着層6の厚み方向に押し込まれて蒸着層5を変形させることができるように、接着層6の厚みよりも大きいことが好ましい。一方、鱗片状フィラー92aの厚みが薄い場合であっても、接着層6の表面に凹凸が形成されれば、後述する転写基材形成工程において、蒸着層5が所望の大きさの凹凸82が形成されるよう変形されやすい。
鱗片状フィラー92aを含む接着層6が、蒸着層5上に形成されると、接着層6は、一部の鱗片状フィラー92aが接着層6の表面から露出した状態で固化する。
(転写基材形成工程)
転写基材形成工程は、接着層6上に、転写基材7を形成する工程である。本実施形態の転写基材形成工程は、不定形フィラーとして、鱗片状フィラー92aを用いている以外は、第1の実施形態の転写基材形成工程と同様である。
図7に示されるように、鱗片状フィラー92aが露出した接着層6に対して、転写基材7が押し当てられると、露出していた鱗片状フィラー92aは、接着層6の厚み方向に押し込まれる。その結果、図8に示されるように、鱗片状フィラー92aは、接着層6の厚み方向に埋没されるとともに、蒸着層5を変形させる。その結果、蒸着層5の表面には、凹凸82(保護層4側に向かって突出した略椀状の凸部)が形成される。なお、上記のとおり、鱗片状フィラー92aの厚みは、接着層6の厚みよりも大きいことが好ましい。これにより、蒸着層5の表面に凹凸82が形成されやすい。
なお、蒸着層5の表面に形成される凹凸82は、鱗片状フィラー92aの形状に追随して形成された凹凸である。そのため、凹凸82の形状は、厳密な断面矩形状ではなく、角がいくらか丸みを帯びた略矩形状である。
(剥離工程)
剥離工程は、被剥離基材2および離型層3を剥離する工程である。図9に示されるように、剥離工程によれば、被剥離基材2と、離型層3(鱗片状フィラー91aを含む)とが剥離される。その結果、保護層4の表面には、離型層3から露出していた鱗片状フィラー91aと相補的な形状の凹凸81が形成される。なお、保護層4の表面に形成される凹凸は、鱗片状フィラー91aの形状に追随して形成された凹凸である。そのため、凹凸81の形状は、厳密な断面矩形状ではなく、角がいくらか丸みを帯びた略矩形状である。
以上の工程を経て、本実施形態の加飾フィルム成形体1bが作製される。加飾フィルム成形体1bは、保護層4および蒸着層5のそれぞれの表面に、凹凸(凹凸81および凹凸82)が形成されている。保護層4の表面に形成された凹凸81は、主に艶消し性に寄与する。一方、蒸着層5の表面に形成された凹凸82は、主に、コントラストに寄与する。これにより、加飾フィルム成形体1bは、写像性が10〜92であり、かつ、入射角が60°における鏡面光沢度(GS60°)と、入射角および受光角が45°におけるL*値(L*45)との割合(GS60°/L*45)が5〜55となる。このような加飾フィルム成形体1bは、色ブレが小さく、優れたサテンめっきの金属調の意匠感を示すことができる。
<第4の実施形態>
本発明の一実施形態(第4の実施形態)の加飾フィルム成形体について、図10〜図12を参照して説明する。なお、説明の明瞭化のため、加飾フィルム成形体の製造方法を説明し、その後、得られる加飾フィルム成形体について説明する。図10は、本実施形態の加飾フィルム成形体1cの製造方法を説明するための模式的な断面図である。図11は、本実施形態の加飾フィルム成形体1cの製造方法を説明するための模式的な断面図である。図12は、本実施形態の加飾フィルム成形体1cの模式的な断面図である。なお、本実施形態の加飾フィルム成形体1cおよび加飾フィルム成形体1cの製造方法は、不定形フィラーとしてレンズ状フィラーに代えて、鱗片状フィラーを使用した以外は、上記した第2の実施形態の加飾フィルム成形体1a(図6参照)および加飾フィルム成形体1aの製造方法と同様である。そのため、重複する説明は適宜省略され、重複する部材は同様の参照符号が付される。
(離型層形成工程)
離型層形成工程は、被剥離基材2上に、離型層3を形成する工程である。本実施形態の離型層形成工程は、不定形フィラーとして、鱗片状フィラー91aを用いている以外は、第2の実施形態の離型層形成工程と同様である。また、鱗片状フィラー91aの寸法は、第3の実施形態において上記した寸法と同様である。
鱗片状フィラーを含む離型層3が、被剥離層上に形成されると、離型層3は、一部の鱗片状フィラー91aが離型層3の表面から露出した状態で固化する。
(保護層形成工程〜剥離工程)
保護層形成工程〜剥離工程は、不定形フィラーとして、鱗片状フィラー92aを用いている以外は、第2の実施形態の保護層形成工程および蒸着層形成工程と同様である。また、鱗片状フィラー92aの寸法は、第3の実施形態において上記した寸法と同様である。
以上の工程を経て、本実施形態の加飾フィルム成形体1cが作製される。加飾フィルム成形体1cは、保護層4および蒸着層5のそれぞれの表面に、凹凸(凹凸81および凹凸82)が形成されている。保護層4の表面に形成された凹凸81は、主に艶消し性に寄与する。一方、蒸着層5の表面に形成された凹凸82は、主に、コントラストに寄与する。これにより、加飾フィルム成形体1cは、写像性が10〜92であり、かつ、入射角が60°における鏡面光沢度(GS60°)と、入射角および受光角が45°におけるL*値(L*45)との割合(GS60°/L*45)が5〜55となる。このような加飾フィルム成形体1cは、色ブレが小さく、優れたサテンめっきの金属調の意匠感を示すことができる。
以上、上記実施形態(第1の実施形態〜第4の実施形態)において作製された加飾フィルム成形体は、いずれも、色ブレが小さく、優れたサテンめっきの金属調の意匠感を示す。そのため、このような加飾フィルム成形体は、サテンめっきの金属調を付した種々の製品(サテンめっき調製品)に用いることができる。これにより、得られるサテンめっき調製品は、いずれも色ブレが小さく、優れたサテンめっきの金属調の意匠感を示す。
特に、本実施形態の加飾フィルム成形体は、種々の容器に適用されることにより、たとえば化粧品の容器、飲料の容器等の、グロス感や高級感のある外観が所望される容器において、色ブレが小さく、優れたサテンめっきの金属調の意匠感を示す種々の容器が得られる。
また、本実施形態の加飾フィルム成形体は、種々の筐体に適用されることにより、たとえば携帯電話等の通信機器、家電製品の筐体等の、グロス感や高級感のある外観が所望される筐体において、色ブレが小さく、優れたサテンめっきの金属調の意匠感を示す種々の筐体が得られる。
さらに、本実施形態の加飾フィルム成形体は、種々の車両用内外装部材に適用されることにより、グロス感や高級感のある外観が所望される種々の車両用内外装部材において、色ブレが小さく、優れたサテンめっきの金属調の意匠感を示す種々の車両用内外装部材が得られる。
他にも、本実施形態の加飾フィルム成形体は、たとえば顧客や物品等の識別情報等を記憶させた会員証、商品タグ、診察券、学生証、キャッシュカード、クレジットカード、乗車券、マイレージカード、ポイントカード、磁気カード等のセキュリティや非模倣性が要求される物品の一部分または全体に好適に使用される。
また、上記実施形態では、いずれも保護層の表面に形成される凹凸が、凹部である場合について例示した。これに代えて、保護層の表面に凸部が形成されてもよい。この場合、たとえば、保護層表面の凸部は、接着層に粒子径の大きいフィラーを添加し、本実施内容と同様に転写時にフィラーが押し上げられ、金属層だけでなく保護層表面にまで影響及ぼすことにより形成し得る。
さらに、上記実施形態では、蒸着層形成工程として、保護層上に、蒸着層を形成する工程を例示した。これに代えて、蒸着層形成工程は、保護層上に蒸着アンカー層を形成し、次いで、蒸着アンカー層に蒸着層を形成する工程であってもよい。図13は、保護層4上に蒸着アンカー層5aが形成され、蒸着アンカー層5a上に蒸着層5が形成された加飾フィルム成形体の模式的な断面図である。
蒸着アンカー層5aは、保護層4と蒸着層5との密着性を向上させるために好適に設けられる。蒸着アンカー層5aは特に限定されない。一例を挙げると、蒸着アンカー層5aは、保護層4との密着性がよく、かつ、蒸着層5を構成する金属の受理性がよい原料であればよく、アクリル系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン−マレイン系酸樹脂、塩素化PP系樹脂等である。
蒸着アンカー層5aを形成する方法は特に限定されない。一例を挙げると、蒸着アンカー層5aは、ロールコーター等を用いて、適宜溶剤に溶解した蒸着アンカー層5aを構成する樹脂溶液を、保護層4上に塗布することにより形成し得る。
蒸着アンカー層5aの厚みは特に限定されない。一例を挙げると、蒸着アンカー層5aの厚みは、0.1μm〜3μmが好ましい。
[第2の発明]
第2の発明は、上記した第1の発明の加飾フィルム成形体を好適に製造するための方法である。第2の発明は、以下のとおり、加熱加圧工程を含むことを特徴とする。
[加飾フィルム成形体の製造方法]
<第5の実施形態>
本発明の一実施形態の加飾フィルム成形体の製造方法は、被剥離基材上に、離型層を形成する離型層形成工程と、離型層上に、保護層を形成する保護層形成工程と、保護層上に、蒸着層を形成する蒸着層形成工程と、蒸着層上に、接着層を形成する接着層形成工程と、接着層上に、転写基材を形成する転写基材形成工程と、被剥離基材および離型層を剥離する剥離工程とを含む。保護層形成工程は、保護層の表面に凹凸を形成する第1凹凸形成工程を含む。転写基材形成工程は、蒸着層の表面に凹凸を形成する第2凹凸形成工程を含む。第2凹凸形成工程は、転写基材を接着層に対して、加熱および加圧しながら押し当てる加熱加圧工程を含む。本実施形態の加飾フィルム成形体の製造方法は、上記工程を行うことにより、写像性が10〜92であり、かつ、入射角が60°における鏡面光沢度(GS60°)と、入射角および受光角が45°におけるL*値(L*45)との割合(GS60°/L*45)が5〜55である、加飾フィルム成形体を製造する方法である。得られる加飾フィルム成形体は、艶消し性に寄与する写像性と、コントラストに寄与する光沢特性とが、所定の範囲に含まれるよう調整されており、これにより、色ブレが小さく、かつ、サテンめっきの金属調の意匠感を正確に再現している。
図1は、本実施形態の加飾フィルム成形体1の製造方法を説明するための模式的な断面図である。図2は、本実施形態の加飾フィルム成形体1の製造方法を説明するための模式的な断面図である。図3は、本実施形態の加飾フィルム成形体1の模式的な断面図である。本実施形態の加飾フィルム成形体の製造方法によって製造される加飾フィルム成形体1は、基材(転写基材7)と、接着層6と、蒸着層5と、保護層4とを有する。
(離型層形成工程)
離型層形成工程は、被剥離基材2上に、離型層3を形成する工程である。
被剥離基材2は特に限定されない。一例を挙げると、被剥離基材2は、樹脂シート、紙、布、ゴムシート、発泡体シート等である。樹脂シートは、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン・プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂シート;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂シート;塩化ビニル樹脂シート;酢酸ビニル樹脂シート;ポリイミド樹脂シート;ポリアミド樹脂シート;フッ素樹脂シート;セロハン等が例示される。紙は、和紙、クラフト紙、グラシン紙、上質紙、合成紙、トップコート紙等が例示される。布は、各種繊維状物質の単独または混紡等による織布や不織布等が例示される。ゴムシートは、天然ゴムシート、ブチルゴムシート等が例示される。発泡体シートは、発泡PEシート等の発泡ポリオレフィンシート、発泡ポリエステルシート、発泡ポリウレタンシート、発泡ポリクロロプレンゴムシート等が例示される。これらの中でも、基材は、物理的特性(たとえば、寸法安定性、厚さ精度、加工性、引張強度)、経済性(コスト)等の理由により、ポリエチレンテレフタレート(PET)製であることが好ましい。
被剥離基材2の厚みは特に限定されない。一例を挙げると、被剥離基材2の厚みは、4μm〜200μm程度である。被剥離基材2の厚みが上記範囲内であることにより、基材は、カールやシワが入りにくくなり、転写性も優れ、コストも安価に抑えられる。
離型層3は特に限定されない。一例を挙げると、離型層3は、シリコーン樹脂系、フッ素樹脂系、セルロース誘導体樹脂系、尿素樹脂系、ポリオレフィン樹脂系、メラミン樹脂系等の離型剤からなる。
離型層3を形成する方法は特に限定されない。一例を挙げると、離型層3は、ロールコーター等を用いて離型剤を被剥離基材2上に塗布することにより形成し得る。
離型層3の厚みは特に限定されない。一例を挙げると、離型層3の厚みは、0.01〜5μm程度である。
本実施形態の離型層3は、不定形フィラーを含む。不定形フィラーの原材料は特に限定されない。一例を挙げると、不定形フィラーの原材料は、たとえばメラミン系樹脂粒子、アクリル系樹脂粒子、アクリル−スチレン系共重合体粒子、ポリカーボネート系粒子、ポリエチレン系粒子、ポリスチレン系粒子などが挙げられる。また、無機フィラーとしては、たとえばシリカ粒子や、タルク、窒化ホウ素である。不定形フィラーは併用されてもよい。
不定形フィラーの形状は、真球状以外の形状であることが好ましく、レンズ状(楕円球状)または鱗片状であることがより好ましい。不定形フィラーの形状は真球状以外であることにより、フィラーは、光を全方向に拡散させることが無く、白っぽい外観を呈しにくい。その結果、得られる加飾フィルム成形体1は、サテンめっきの金属調を表現しやすい。図1〜図3には、レンズ状フィラー91を用いた例が開示されている。
不定形フィラーの寸法は特に限定されない。一例を挙げると、不定形フィラーがレンズ状である場合、レンズ状フィラー91の長径L1は、2.0μm以上であることが好ましく、6.0μm以上であることがより好ましい。また、レンズ状フィラー91の長径L1は、20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。また、レンズ状フィラー91の厚みL2は、1.0μm以上であることが好ましく、2.0μm以上であることがより好ましい。また、レンズ状フィラー91の厚みL2は、5.0μm以下であることが好ましく、3.0μm以下であることがより好ましい。さらに、レンズ状フィラー91のアスペクト比(長径/厚み)は、1.0以上であることが好ましく、2.0以上であることがより好ましい。また、レンズ状フィラー91のアスペクト比は、10以下であることが好ましく、5.0以下であることがより好ましい。レンズ状フィラー91の寸法が上記範囲内であることにより、後述する保護層形成工程において、離型層3上に形成された保護層4の表面に、所望の寸法の凹凸81が形成されやすい。この結果、得られる加飾フィルム成形体1は、特に金属光沢と低い写像性とが両立されやすい。
レンズ状フィラー91を含む離型層3が、被剥離層上に形成されると、離型層3は、一部のレンズ状フィラー91が離型層3の表面から露出した状態で固化する。
(保護層形成工程)
保護層形成工程は、離型層3上に、保護層4を形成する工程である。保護層4を構成する原材料および寸法等は上記と同様である。
保護層4を形成する方法は特に限定されない。一例を挙げると、保護層4は、ロールコーター等を用いて、適宜溶剤に溶解した保護層4を構成する樹脂溶液を、離型層3上に塗布することにより形成し得る。
図1に示されるように、保護層4は、レンズ状フィラー91が露出した離型層3に対して形成される。その結果、保護層4の表面のうち、離型層3と接する側の表面は、離型層3から露出したレンズ状フィラー91の形状に沿って凹凸81が形成される(第1凹凸形成工程)。
(蒸着層形成工程)
蒸着層形成工程は、保護層4上に、蒸着層5を形成する工程である。蒸着層5を構成する原材料および寸法等は上記と同様である。
蒸着層形成工程において、保護層4上に蒸着層5を形成する方法は特に限定されない。一例を挙げると、蒸着方法は、従来公知の真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理蒸着法、または、化学蒸着法等を適宜採用し得る。これらの中でも、本実施形態の加飾フィルム成形体1の製造方法は、生産性が高いという理由により、真空蒸着法により蒸着層5を設けることが好ましい。蒸着条件は、蒸着層5の材料や、所望する蒸着層5の厚みに基づいて、従来公知の条件が適宜採用され得る。なお、金属を蒸着する場合において、金属材料は、不純物が少なく、純度が99重量%以上であることが好ましく、99.5重量%以上であることがより好ましい。また、金属材料は、粒状、ロッド状、タブレット状、ワイヤー状あるいは使用するルツボ形状に加工したものであることが好ましい。金属材料を蒸発させるための加熱方法は、ルツボ中に金属材料を入れて抵抗加熱あるいは高周波加熱を行う方式や、電子ビーム加熱を行う方法、窒化硼素などのセラミック製のボードに金属材料を入れ直接抵抗加熱を行う方法など、周知の方法を用いることができる。真空蒸着に用いるルツボは、カーボン製であることが望ましく、アルミナやマグネシア、チタニア、ベリリア性のルツボであってもよい。
(接着層形成工程)
接着層形成工程は、蒸着層5上に、接着層6を形成する工程である。接着層6を構成する原材料および寸法等は上記と同様である。
接着層6を形成する方法は特に限定されない。一例を挙げると、接着層6は、ロールコーター等を用いて、適宜溶剤に溶解した接着層6を構成する樹脂溶液を、蒸着層5上に塗布することにより形成し得る。
本実施形態の接着層6は、レンズ状フィラー92を含む。レンズ状フィラー92の原材料等は上記と同様である。
レンズ状フィラー92の長径L3は、2.0μm以上20μm以下であることが好ましい。また、レンズ状フィラー92の厚みL4は、1.0μm以上5.0μm以下であることが好ましい。さらに、レンズ状フィラー92のアスペクト比(長径/厚み)は、1.0以上20以下であることが好ましい。レンズ状フィラー92の寸法が上記範囲内であることにより、後述する保護層形成工程において、離型層3上に形成された保護層4の表面に、所望の寸法の凹凸81が形成されやすい。この結果、得られる加飾フィルム成形体1は、特に金属光沢と低い写像性とが両立されやすい。特に、レンズ状フィラー92の厚みは、後述する転写基材形成工程において、接着層6に対して、転写基材7が押し当てられることによりレンズ状フィラー92が接着層6の厚み方向に押し込まれて蒸着層5を変形させることができるように、接着層6の厚みよりも大きいことが好ましく、接着層6の厚みよりも0.5μm以上大きいことがより好ましい。これにより、後述する転写基材形成工程において、蒸着層5が所望の大きさの凹凸82が形成されるよう変形されやすい。
レンズ状フィラー92を含む接着層6が、蒸着層5上に形成されると、接着層6は、一部のレンズ状フィラー92が接着層6の表面から露出した状態で固化する。
(転写基材形成工程)
転写基材形成工程は、接着層6上に、転写基材7を形成する工程である。転写基材7を構成する原材料および寸法等は上記と同様である。
図1に示されるように、レンズ状フィラー92が露出した接着層6に対して、転写基材7が押し当てられる。これにより、露出していたレンズ状フィラー92は、接着層6の厚み方向に押し込まれる。その結果、図2に示されるように、レンズ状フィラー92は、接着層6の厚み方向に埋没されるとともに、蒸着層5を変形させる。その結果、蒸着層5の表面には、凹凸82(保護層4側に向かって突出した略椀状の凸部)が形成される(第2凹凸形成工程)。なお、上記のとおり、レンズ状フィラーの厚みは、接着層6の厚みよりも大きいことが好ましい。これにより、蒸着層5の表面に凹凸82が形成されやすい。
凸部の最大径は、2.0μm以上20μm以下であることが好ましい。凸部の高さは、0.5μm以上5.0μm以下であることが好ましい。凸部の最大径および高さが上記範囲内であることにより、得られる加飾フィルム成形体1は、艶消しの程度が適切に調整されやすく、写像性が上記範囲になるよう調整されやすい。その結果、加飾フィルム成形体1は、艶消し性に寄与する写像性と、コントラストに寄与する光沢特性とが、より所定の範囲に含まれやすく、色ブレが小さく、かつ、サテンめっきの金属調の意匠感をより正確に再現できる。
本実施形態において、上記第2凹凸形成工程は、転写基材7を接着層6に対して、加熱および加圧しながら押し当てる加熱加圧工程を含む。加熱加圧工程を実施する態様は特に限定されない。以下、好適に加熱加圧工程を実施するための態様を例示する。
図14は、加熱加圧工程を実施するための一実施形態を説明するための模式図である。本実施形態では、加熱加圧工程は、加熱された版部材10を用いて、被剥離基材と離型層と保護層と蒸着層と接着層とが積層された積層体11を、転写基材7に対して押し当てて転写する工程である。
版部材10は特に限定されない。一例を挙げると、版部材10は、図示しない熱盤と、熱盤に取り付けられたラバー(たとえばシリコーンラバー)とからなる。
版部材10の温度は特に限定されない。一例を挙げると、版部材10の温度(刻印温度)は、150〜250℃である。このような温度の版部材10が用いられることにより、版部材10は、積層体11に押し当てられることにより、積層体11の接着層を溶融しやすく、積層体11を転写基材7に転写させやすい。
版部材10によって積層体11を転写基材7に押し当てる際の圧力(押し付け荷重)は特に限定されない。一例を挙げると、押し当て時の圧力は、3〜10MPaである。このような圧力で積層体11を転写基材7に押し当てることにより、積層体11は、転写基材7に転写されやすい。
版部材10によって積層体11を転写基材7に押し当てる際の転写時間は特に限定されない。一例を挙げると、転写時間は、0.1〜2.0秒である。このような転写時間が採用されていることにより、積層体11は、転写基材7に転写されやすい。
版部材10の表面には、図14に示されるように、転写すべき所望の模様12が形成されていてもよい。このような模様12が形成されていることにより、転写基材7に、模様12の部分のみが転写され得る。
本実施形態の加熱加圧工程を含む転写基材形成工程によれば、版部材10が積層体11を介して転写基材7に押し当てられることにより、上記のとおり、接着層6において露出しているレンズ状フィラー92が、接着層6の厚み方向に押し込まれる(図2参照)。その結果、レンズ状フィラー92は、接着層6の厚み方向に埋没されるとともに、蒸着層5を変形させる。その結果、蒸着層5の表面には、凹凸82(保護層4側に向かって突出した略椀状の凸部)が形成される。
なお、本実施形態では、積層体11および転写基材7は、1回の転写が行われた後に、作業者によって次の積層体11および転写基材7に交換されてもよく、機械制御によって次の積層体11および転写基材7に交換されてもよい。
本実施形態によれば、特に、平面部を有する転写基材7に対して、積層体11を転写することができる。
本実施形態の加飾フィルム成形体の製造方法は、加熱加圧工程後に、紫外線照射工程が行われることが好ましい。紫外線照射工程は、加熱加圧工程後に、紫外線を照射して保護層を硬化させる工程である。紫外線照射工程が好適に実施されるためには、保護層に紫外線硬化樹脂が含まれることが好ましい。紫外線照射工程が行われることにより、短時間で樹脂を硬化することができ、ロール・トゥ・ロール方式によって効率よく加飾フィルム成形体が製造され得る。また、加飾フィルム成形体の製造方法は、乾燥工程が省略され得る。
紫外線硬化樹脂は特に限定されない。一例を挙げると、紫外線硬化樹脂は、多官能アクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、無機有機ハイブリッド樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂、熱硬化型樹脂であるメラミン樹脂、ウレタン樹脂等である。紫外線硬化樹脂は、併用されてもよい。
紫外線照射条件は特に限定されない。一例を挙げると、紫外線源として高圧水銀ランプを使用した場合の紫外線照射条件は、紫外線照射強度が200mW/cm2以上であることが好ましく、400mW/cm2以上であることがより好ましい。紫外線照射強度が上記範囲内であることにより、得られる加飾フィルム成形体は、充分に硬化され得る。
紫外線照射エネルギー(積算光量)は特に限定されない。一例を挙げると、紫外線源として高圧水銀ランプを使用した場合の積算光量は、500mJ/cm2以上であることが好ましく、1200mJ/cm2以上であることがより好ましい。積算光量が上記範囲内であることにより、得られる加飾フィルム成形体は、充分に硬化され得る。
転写後の積層体11は、剥離工程が行われる。剥離工程は、被剥離基材2および離型層3を剥離する工程である(図1〜図2も参照)。本実施形態では、版部材10が積層体11を転写基材7に押し当てた後に、版部材10が引き上げられ、積層体11が転写基材7から剥がされる。この際、積層体11は、離型層3と保護層4との間で剥離が生じる。その結果、保護層4と蒸着層5と接着層6とは、転写基材7に転写される。
このような剥離工程によれば、被剥離基材2と、離型層3(レンズ状フィラー91を含む)とが剥離される。その結果、保護層4の表面には、離型層3から露出していたレンズ状フィラー91と相補的な形状の凹凸81(保護層4の厚み方向に落ち窪んだ略椀状の凹部)が形成される。
凹部の最大径は、2.0μm以上20μm以下であることが好ましい。凹部の深さは、0.5μm以上5.0μm以下であることが好ましい。凹部の最大径および深さが上記範囲内であることにより、得られる加飾フィルム成形体1は、コントラストの程度が適切に調整されやすく、割合(GS60°/L*45)が上記範囲になるよう調整されやすい。その結果、加飾フィルム成形体1は、艶消し性に寄与する写像性と、コントラストに寄与する光沢特性とが、より所定の範囲に含まれやすく、色ブレが小さく、かつ、サテンめっきの金属調の意匠感をより正確に再現できる。
凸部の最大径または凹部の最大径は、加飾フィルム成形体1の面を垂直方向から電子顕微鏡または光学顕微鏡を用いて観察し、凸部または凹部をランダムに20個サンプリングし、凸部または凹部の輪郭の最大径を測定し、20個の平均値から算出し得る。
以上の工程を経て、本実施形態の加飾フィルム成形体1が作製される。加飾フィルム成形体1は、保護層4および蒸着層5のそれぞれの表面に、凹凸(凹凸81および凹凸82)が形成されている。保護層4の表面に形成された凹凸81は、主に艶消し性に寄与する。一方、蒸着層5の表面に形成された凹凸82は、主に、コントラストに寄与する。これにより、加飾フィルム成形体1は、写像性が10〜92であり、かつ、入射角が60°における鏡面光沢度(GS60°)と、入射角および受光角が45°におけるL*値(L*45)との割合(GS60°/L*45)が5〜55となる。このような加飾フィルム成形体1は、色ブレが小さく、優れたサテンめっきの金属調の意匠感を示すことができる。
また、本実施形態の加飾フィルム成形体1は、横軸に写像性、縦軸に割合(GS60°/L*45)を採用したグラフを想定する場合において、写像性と割合(GS60°/L*45)とをプロットした位置が、一次式y=3.33x−18.33よりも下領域(一次式とx軸とで区画される領域)内であることが好ましい。この領域内にプロットされる写像性および割合(GS60°/L*45)を有していることにより、加飾フィルム成形体1は、より色ブレが小さく、優れたサテンめっきの金属調の意匠感を示すことができる。
特に、本実施形態の加飾フィルム成形体1は、種々の容器に適用されることにより、たとえば化粧品の容器、飲料の容器等の、グロス感や高級感のある外観が所望される容器において、色ブレが小さく、優れたサテンめっきの金属調の意匠感を示す種々の容器が得られる。
また、本実施形態の加飾フィルム成形体1は、種々の筐体に適用されることにより、たとえば携帯電話等の通信機器、家電製品の筐体等の、グロス感や高級感のある外観が所望される筐体において、色ブレが小さく、優れたサテンめっきの金属調の意匠感を示す種々の筐体が得られる。
さらに、本実施形態の加飾フィルム成形体1は、種々の車両用内外装部材に適用されることにより、グロス感や高級感のある外観が所望される種々の車両用内外装部材において、色ブレが小さく、優れたサテンめっきの金属調の意匠感を示す種々の車両用内外装部材が得られる。
他にも、本実施形態の加飾フィルム成形体1は、たとえば顧客や物品等の識別情報等を記憶させた会員証、商品タグ、診察券、学生証、キャッシュカード、クレジットカード、乗車券、マイレージカード、ポイントカード、磁気カード等のセキュリティや非模倣性が要求される物品の一部分または全体に好適に使用される。
<第6の実施形態>
本発明の一実施形態(第6の実施形態)の加飾フィルム成形体の製造方法について説明する。本実施形態の加飾フィルム成形体の製造方法は、転写基材形成工程における加熱加圧工程と、剥離工程とが異なる以外は、上記した第5の実施形態の加飾フィルム成形体の製造方法と同様である。そのため、重複する説明は適宜省略され、同一の部材等には同一の参照符号が付される。
図15は、加熱加圧工程を実施するための一実施形態を説明するための模式図である。本実施形態では、加熱加圧工程は、加熱されたロール状部材13を用いて、積層体11aを、転写基材7に対して押し当てて転写する工程である。本実施形態の加熱加圧工程は、所定方向に搬送される積層体11aおよび転写基材7に対して、ロール状部材13を押し当てつつ回転させることによって、積層体11aを転写基材7に転写する工程である。
ロール状部材13は特に限定されない。一例を挙げると、ロール状部材13は、図示しないロール体と、ロール体の表面に設けられたラバー(たとえばシリコーンラバー)とからなる。ロール状部材13は、回転自在に軸支されている。
ロール状部材13の温度は特に限定されない。一例を挙げると、ロール状部材13の温度は、150〜250℃である。このような温度のロール状部材13が用いられることにより、ロール状部材13は、積層体11aに押し当てられることにより、積層体11aの接着層を溶融しやすく、積層体11aを転写基材7に転写させやすい。
ロール状部材13によって積層体11aを転写基材7に押し当てる際の圧力は特に限定されない。一例を挙げると、押し当て時の圧力は、3〜10MPaである。このような圧力で積層体11aを転写基材7に押し当てることにより、積層体11aは、転写基材7に転写されやすい。
ロール状部材13によって積層体11aを転写基材7に押し当てる際のロール移動速度は特に限定されない。一例を挙げると、ロール移動速度は、10〜100mm/秒である。このようなロール移動速度が採用されていることにより、積層体11aは、転写基材7に転写されやすい。
本実施形態の加熱加圧工程を含む転写基材形成工程によれば、ロール状部材13が積層体11aを介して転写基材7に押し当てられることにより、上記のとおり、接着層6において露出しているレンズ状フィラー92が、接着層6の厚み方向に押し込まれる(図2参照)。その結果、レンズ状フィラー92は、接着層6の厚み方向に埋没されるとともに、蒸着層5を変形させる。その結果、蒸着層5の表面には、凹凸82(保護層4側に向かって突出した略椀状の凸部)が形成される。
ロール状部材13の表面には、転写すべき所望の模様(図示せず)が形成されていてもよい。このような模様が形成されていることにより、転写基材7に、模様部分のみが転写され得る。
なお、本実施形態では、積層体11aおよび転写基材7は、1回の転写が行われた後に、作業者によって次の積層体11aおよび転写基材7に交換されてもよく、機械制御によって次の積層体11aおよび転写基材7に交換されてもよい。
本実施形態によれば、特に、平面部を有する転写基材7に対して、積層体11aを転写することができる。
転写後の積層体11aは、剥離工程が行われる。剥離工程は、被剥離基材2および離型層3を剥離する工程である(図1〜図2も参照)。本実施形態では、ロール状部材13を転写基材7から引き上げた際に、積層体11aが転写基材7から剥がされる。この際、積層体11は、離型層3と保護層4との間で剥離が生じる。その結果、保護層4と蒸着層5と接着層6とは、転写基材7に転写される。
以上の工程を経て、本実施形態の加飾フィルム成形体1が作製される(図3参照)。加飾フィルム成形体1は、保護層4および蒸着層5のそれぞれの表面に、凹凸(凹凸81および凹凸82)が形成されている。保護層4の表面に形成された凹凸81は、主に艶消し性に寄与する。一方、蒸着層5の表面に形成された凹凸82は、主に、コントラストに寄与する。これにより、加飾フィルム成形体1は、写像性が10〜92であり、かつ、入射角が60°における鏡面光沢度(GS60°)と、入射角および受光角が45°におけるL*値(L*45)との割合(GS60°/L*45)が5〜55となる。このような加飾フィルム成形体1は、色ブレが小さく、優れたサテンめっきの金属調の意匠感を示すことができる。
<第7の実施形態>
本発明の一実施形態(第7の実施形態)の加飾フィルム成形体の製造方法について説明する。本実施形態の加飾フィルム成形体の製造方法は、転写基材形成工程における加熱加圧工程と、剥離工程とが異なる以外は、上記した第5の実施形態の加飾フィルム成形体の製造方法と同様である。そのため、重複する説明は適宜省略され、同一の部材等には同一の参照符号が付される。
図16は、加熱加圧工程を実施するための一実施形態を説明するための模式図である。本実施形態では、加熱加圧工程は、加熱された版部材10aを用いて、積層体11bを、転写基材7に対して押し当てて転写する工程である。本実施形態の加熱加圧工程は、転写基材7がロール状であり、積層体11bを、版部材10aと転写基材7とで挟みつつ、転写基材7を版部材10aに沿って転動させることによって、積層体11bを転写基材7に転写する工程である。
版部材10aは特に限定されない。一例を挙げると、版部材10aは、図示しない熱盤と、熱盤に取り付けられたラバー(たとえばシリコーンラバー)とからなる。
版部材10aの温度は特に限定されない。一例を挙げると、版部材10aの温度は、150〜250℃である。このような温度の版部材10aが用いられることにより、版部材10aは、積層体11bに押し当てられることにより、積層体11bの接着層を溶融しやすく、積層体11bを転写基材7に転写させやすい。
ロール状の転写基材7を、積層体11bを介して版部材10aに押し当てる際の圧力は特に限定されない。一例を挙げると、押し当て時の圧力は、3〜15MPaである。このような圧力で積層体11bを版部材10aに押し当てることにより、積層体11bは、転写基材7に転写されやすい。
ロール状の転写基材7のロール移動速度は特に限定されない。一例を挙げると、ロール移動速度は、10〜100mm/秒である。このようなロール移動速度が採用されていることにより、積層体11bは、転写基材7に転写されやすい。
本実施形態の加熱加圧工程を含む転写基材形成工程によれば、版部材10aに対して、積層体11bを介してロール状の転写基材7が押し当てられ、転動されることにより、上記のとおり、接着層6において露出しているレンズ状フィラー92が、接着層6の厚み方向に押し込まれる(図2参照)。その結果、レンズ状フィラー92は、接着層6の厚み方向に埋没されるとともに、蒸着層5を変形させる。その結果、蒸着層5の表面には、凹凸82(保護層4側に向かって突出した略椀状の凸部)が形成される。
版部材10aの表面には、第1の実施形態の版部材10(図14参照)と同様に、転写すべき所望の模様が形成されていてもよい。このような模様が形成されていることにより、転写基材7に、模様部分のみが転写され得る。
なお、本実施形態では、転写基材7は、1回の転写が行われた後に、作業者によって次の転写基材7に交換されてもよく、機械制御によって次の転写基材7に交換されてもよい。また、1回の転写が行われた後、積層体11bは、順次搬送され、接着層が転写されていない新しい積層体11bが準備される。
本実施形態によれば、特に、平面部を有する転写基材7に対して、積層体11bを転写することができる。
転写後の積層体11bは、剥離工程が行われる。剥離工程は、被剥離基材2および離型層3を剥離する工程である(図1〜図2も参照)。本実施形態では、ロール状の転写基材7を転動している最中や、転写基材7を版部材10aから引き離す際に、積層体11bが転写基材7から随時剥がされる。この際、積層体11は、離型層3と保護層4との間で剥離が生じる。その結果、保護層4と蒸着層5と接着層6とは、転写基材7に転写される。
以上の工程を経て、本実施形態の加飾フィルム成形体1が作製される(図3参照)。加飾フィルム成形体1は、保護層4および蒸着層5のそれぞれの表面に、凹凸(凹凸81および凹凸82)が形成されている。保護層4の表面に形成された凹凸81は、主に艶消し性に寄与する。一方、蒸着層5の表面に形成された凹凸82は、主に、コントラストに寄与する。これにより、加飾フィルム成形体1は、写像性が10〜92であり、かつ、入射角が60°における鏡面光沢度(GS60°)と、入射角および受光角が45°におけるL*値(L*45)との割合(GS60°/L*45)が5〜55となる。このような加飾フィルム成形体1は、色ブレが小さく、優れたサテンめっきの金属調の意匠感を示すことができる。
<第8の実施形態>
本発明の一実施形態(第8の実施形態)の加飾フィルム成形体の製造方法について説明する。本実施形態の加飾フィルム成形体の製造方法は、転写基材形成工程における加熱加圧工程と、剥離工程とが異なる以外は、上記した第5の実施形態の加飾フィルム成形体の製造方法と同様である。そのため、重複する説明は適宜省略され、同一の部材等には同一の参照符号が付される。
図17〜図21は、加熱加圧工程を実施するための一実施形態を説明するための模式図である。本実施形態では、加熱加圧工程は、所望の形状に成形された転写基材7に対して、積層体11cを積層し、減圧して積層体11cを転写基材7に密着させ、加熱することにより、転写基材7に対して積層体11cを転写する工程である。以下、詳細に説明する。
図17に示されるように、上下に開閉可能であり、かつ、減圧および加圧に耐え得る密閉容器14が使用される。下側容器14bの底面には、平板15が載置されている。平板15は、固定されておらず、後述する減圧が行われることによって、下側容器14bの底面から浮上する。また、平板15は、上側容器14aと下側容器14bとが閉じられた状態において、容器14内を、上側空間S1と下側空間S2(図19参照)とに区分けする仕切りとして機能する。平板15上には、治具16によって保持された転写基材7が配置されている。転写基材7を覆うように、積層体11cが挿入される。
図18に示されるように、上側容器14aと下側容器14bとによって容器14が密閉され、容器14全体が減圧装置17内に配置される。減圧装置17が駆動されると、容器14内から空気が排出され、減圧される。
減圧条件は特に限定されない。一例を挙げると、減圧条件は、−1.0atmで、減圧と同時にフィルムが加熱される。加熱条件は基材フィルムが軟化する温度であり、80〜150℃で30〜90秒程度である。
図19に示されるように、減圧後、上側空間S1のみが開放される。これにより、外気が上側空間S1に導入され、上側空間S1のみが常圧となる。その結果、平板15が浮上し、転写基材7が積層体11cに覆われる。
図20に示されるように、容器14全体が、加熱装置18内に配置され、次いで、加熱される(熱圧空)。加熱条件は特に限定されない。一例を挙げると、加熱条件は、80〜120℃で20〜90秒程度である。加熱によって、積層体11c中の接着層が溶融する。その結果、積層体11cは、転写基材7に転写される。
本実施形態の加熱加圧工程を含む転写基材形成工程によれば、加熱装置18内で加熱されることにより、接着層が溶融し、転写基材7に積層体11cが転写される。この際、積層体11cは、減圧された上側空間S1に配置されているため、転写基材7に密着しており、加圧されている。その結果、接着層6において露出しているレンズ状フィラー92が、接着層6の厚み方向に押し込まれる(図2参照)。したがって、レンズ状フィラー92は、接着層6の厚み方向に埋没されるとともに、蒸着層5を変形させる。得られる蒸着層5の表面には、凹凸82(保護層4側に向かって突出した略椀状の凸部)が形成される。
図21に示されるように、容器14が開放され、次いで、積層体11cが剥離される(剥離工程)。本実施形態では、転写基材7を覆う積層体11cが転写基材7から剥がされる。この際、積層体11cは、離型層3と保護層4との間で剥離が生じる(図2参照)。その結果、保護層4と蒸着層5と接着層6とは、転写基材7に転写される。
本実施形態の加飾フィルム成形体の製造方法によれば、転写基材7は、あらかじめ所望の形状に成形されていてもよい。そのため、本実施形態の製造方法によれば、成形によって深絞り部が形成された、いくらか複雑な形状の転写基材7に対しても、積層体11cを転写することができる。
以上の工程を経て、本実施形態の加飾フィルム成形体1が作製される(図3参照)。加飾フィルム成形体1は、保護層4および蒸着層5のそれぞれの表面に、凹凸(凹凸81および凹凸82)が形成されている。保護層4の表面に形成された凹凸81は、主に艶消し性に寄与する。一方、蒸着層5の表面に形成された凹凸82は、主に、コントラストに寄与する。これにより、加飾フィルム成形体1は、写像性が10〜92であり、かつ、入射角が60°における鏡面光沢度(GS60°)と、入射角および受光角が45°におけるL*値(L*45)との割合(GS60°/L*45)が5〜55となる。このような加飾フィルム成形体1は、色ブレが小さく、優れたサテンめっきの金属調の意匠感を示すことができる。
<第9の実施形態>
本発明の一実施形態(第9の実施形態)の加飾フィルム成形体の製造方法について説明する。本実施形態の加飾フィルム成形体の製造方法は、転写基材形成工程における加熱加圧工程と、剥離工程とが異なる以外は、上記した第5の実施形態の加飾フィルム成形体の製造方法と同様である。そのため、重複する説明は適宜省略され、同一の部材等には同一の参照符号が付される。
図22は、加熱加圧工程を実施するための一実施形態を説明するための模式図である。本実施形態では、加熱加圧工程は、上下一対の金型部材19の一方の金型(下側金型19b)に、積層体11dを配置し、樹脂を注入するための注入孔19cが形成された他方の金型(上側金型19a)と、下側金型19bとによって、積層体11dを挟み、転写基材7の原料となる熱可塑性樹脂の樹脂溶液7aを、注入孔19cを介して、挟まれた積層体11dの表面に注入し、加熱することによって、転写基材7上に積層体11dを転写する工程である。以下、詳細に説明する。
図22(a)に示されるように、まず、下側金型19b上に、積層体11dが配置される。次いで、図22(b)に示されるように、上側金型19aが取り付けられ、上側金型19aと下側金型19bとによって、積層体11dが挟持される。なお、下側金型19bおよび上側金型19aは、成形体を所望する形状に成形するために、相補的な形状が形成された金型である。
上側金型19aの注入孔19cから、転写基材7の原料となる熱可塑性樹脂が加熱された溶融状態の樹脂溶液7aが注入される(射出成形)。この際、積層体11dは、適宜吸引される。図22(c)に示されるように、注入された樹脂溶液7aは積層体11dの接着層を覆うとともに、積層体11dを加圧して、蒸着層の表面に凹凸を形成する。
図22(d)に示されるように、樹脂溶液7aが硬化して転写基材7が形成された後、上側金型19aが下側金型19bから取り外され、転写基材7を覆った状態の積層体11dが剥離される(剥離工程)。この際、積層体11dは、離型層3と保護層4との間で剥離が生じる(図2参照)。その結果、保護層4と蒸着層5と接着層6とは、転写基材7に転写される。
本実施形態の加飾フィルム成形体の製造方法によれば、転写基材7は、金型部材19によって所望の形状に成形された積層体11dに対して付与される。そのため、本実施形態の製造方法によれば、転写と同時に成形されるため、転写工程の後に、別途の成形工程を要しない。
以上の工程を経て加飾フィルム成形体1が作製される(図3参照)。加飾フィルム成形体1は、保護層4および蒸着層5のそれぞれの表面に、凹凸(凹凸81および凹凸82)が形成されている。保護層4の表面に形成された凹凸81は、主に艶消し性に寄与する。一方、蒸着層5の表面に形成された凹凸82は、主に、コントラストに寄与する。これにより、加飾フィルム成形体1は、写像性が10〜92であり、かつ、入射角が60°における鏡面光沢度(GS60°)と、入射角および受光角が45°におけるL*値(L*45)との割合(GS60°/L*45)が5〜55となる。このような加飾フィルム成形体1は、色ブレが小さく、優れたサテンめっきの金属調の意匠感を示すことができる。
(1)基材と、接着層と、蒸着層と、保護層とを有し、写像性が10〜92であり、入射角が60°における鏡面光沢度(GS60°)と、入射角および受光角が45°におけるL*値(L*45)との割合(GS60°/L*45)が5〜55である、加飾フィルム成形体。
このような構成によれば、加飾フィルム成形体は、色ブレが小さく、優れたサテンめっきの金属調の意匠感を示すことができる。
(2)前記蒸着層および前記保護層は、それぞれの表面に凹凸が形成されている、(1)記載の加飾フィルム成形体。
このような構成によれば、加飾フィルム成形体は、蒸着層表面の凹凸によって、散乱光を抑制し、写像性を上げることなく、金属光沢を有する加飾成形体を作製することできる。また、加飾フィルム成形体は、保護層表面に凹凸を形成することによって、金属光沢と低い写像性とを両立することができる。これにより、加飾フィルム成形体は、色ブレが小さく、かつ、サテンめっきの金属調の意匠感をより正確に再現できる。
(3)前記写像性は、10〜72である、(1)または(2)記載の加飾フィルム成形体。
このような構成によれば、加飾フィルム成形体は、艶消し性が、よりサテンめっきの金属調に類似しており、サテンめっきの金属調の意匠感をより正確に再現できる。
(4)前記写像性は、10〜48である、(1)〜(3)のいずれかに記載の加飾フィルム成形体。
このような構成によれば、加飾フィルム成形体は、艶消し性が、よりサテンめっきの金属調に類似しており、サテンめっきの金属調の意匠感をより正確に再現できる。
(5)前記割合(GS60°/L*45)は、15〜55である、(1)〜(4)のいずれかに記載の加飾フィルム成形体。
このような構成によれば、加飾フィルム成形体は、艶消し性だけでなく、明暗のコントラストも、よりサテンめっきの金属調に類似しており、サテンめっきの金属調の意匠感をより正確に再現できる。
(6)前記蒸着層に形成された前記凹凸は、前記接着層側、または、前記保護層側に向かって突出した略椀状の凸部を含み、前記凸部の最大径は、2.0〜20μmである、(2)記載の加飾フィルム成形体。
このような構成によれば、加飾フィルム成形体は、艶消し性が、よりサテンめっきの金属調に類似しており、サテンめっきの金属調の意匠感をより正確に再現できる。
(7)前記保護層に形成された前記凹凸は、前記保護層の厚み方向に落ち窪んだ略椀状の凹部を含み、前記凹部の最大径は、2.0〜20μmである、(2)記載の加飾フィルム成形体。
このような構成によれば、加飾フィルム成形体は、艶消し性に寄与する写像性と、コントラストに寄与する光沢特性とが、より所定の範囲に含まれやすく、色ブレが小さく、かつ、サテンめっきの金属調の意匠感をより正確に再現できる。
(8)被剥離基材上に、離型層を形成する離型層形成工程と、前記離型層上に、保護層を形成する保護層形成工程と、前記保護層上に、蒸着層を形成する蒸着層形成工程と、前記蒸着層上に、接着層を形成する接着層形成工程と、前記接着層上に、転写基材を形成する転写基材形成工程と、前記被剥離基材および前記離型層を剥離する剥離工程とを含み、前記保護層形成工程は、前記保護層の表面に凹凸を形成する第1凹凸形成工程を含み、前記蒸着層形成工程または前記転写基材形成工程は、前記蒸着層の表面に凹凸を形成する第2凹凸形成工程を含む、写像性が10〜92であり、かつ、入射角が60°における鏡面光沢度(GS60°)と、入射角および受光角が45°におけるL*値(L*45)との割合(GS60°/L*45)が5〜55である、加飾フィルム成形体の製造方法。
このような構成によれば、蒸着フィルムを使用して加飾することによって、色ブレが小さく、優れたサテンめっきの金属調の意匠感を示すことができる、加飾フィルム成形体を製造することができる。
(9)被剥離基材上に、離型層を形成する離型層形成工程と、前記離型層上に、保護層を形成する保護層形成工程と、前記保護層上に、蒸着層を形成する蒸着層形成工程と、前記蒸着層上に、接着層を形成する接着層形成工程と、前記接着層上に、転写基材を形成する転写基材形成工程と、前記被剥離基材および前記離型層を剥離する剥離工程とを含み、前記保護層形成工程は、前記保護層の表面に凹凸を形成する第1凹凸形成工程を含み、前記転写基材形成工程は、前記蒸着層の表面に凹凸を形成する第2凹凸形成工程を含み、前記第2凹凸形成工程は、前記転写基材を前記接着層に対して、加熱および加圧しながら押し当てる加熱加圧工程を含む、写像性が10〜92であり、かつ、入射角が60°における鏡面光沢度(GS60°)と、入射角および受光角が45°におけるL*値(L*45)との割合(GS60°/L*45)が5〜55である、加飾フィルム成形体の製造方法。
このような構成によれば、蒸着フィルムを使用して加飾することによって、色ブレが小さく、優れたサテンめっきの金属調の意匠感を示すことができる、加飾フィルム成形体を製造することができる。
(10)前記保護層は、紫外線硬化樹脂を含み、前記加熱加圧工程後に、紫外線を照射して前記保護層を硬化させる紫外線照射工程とさらに含む、(8)または(9)記載の加飾フィルム成形体の製造方法。
このような構成によれば、紫外線照射工程が行われることにより、短時間で樹脂を硬化することができ、ロール・トゥ・ロール方式によって効率よく加飾フィルム成形体が製造され得る。また、加飾フィルム成形体の製造方法は、乾燥工程が省略され得る。
(11)前記加熱加圧工程は、加熱された版部材を用いて、前記被剥離基材と前記離型層と前記保護層と前記蒸着層と前記接着層とが積層された積層体を、前記転写基材に対して押し当てて転写する工程である、(8)〜(10)のいずれかに記載の加飾フィルム成形体の製造方法。
このような構成によれば、版部材を用いて積層体を転写基材に押し当てることにより、積層体を加熱および加圧することができ、これにより、蒸着層に凹凸を形成することができる。これにより、蒸着フィルムを使用して加飾することによって、色ブレが小さく、優れたサテンめっきの金属調の意匠感を示すことができる、加飾フィルム成形体を製造することができる。
(12)前記加熱加圧工程は、加熱されたロール状部材を用いて、前記被剥離基材と前記離型層と前記保護層と前記蒸着層と前記接着層とが積層された積層体を、前記転写基材に対して押し当てて転写する工程であり、所定方向に搬送される前記積層体および前記転写基材に対して、前記ロール状部材を押し当てつつ回転させることによって、前記積層体を前記転写基材に転写する、(8)〜(10)のいずれかに記載の加飾フィルム成形体の製造方法。
このような構成によれば、ロール状部材を用いて、積層体および転写基材を搬送しながら効率よく、積層体の蒸着層に凹凸を形成することができる。これにより、蒸着フィルムを使用して加飾することによって、色ブレが小さく、優れたサテンめっきの金属調の意匠感を示すことができる、加飾フィルム成形体を製造することができる。
(13)前記加熱加圧工程は、加熱された版部材を用いて、前記被剥離基材と前記離型層と前記保護層と前記蒸着層と前記接着層とが積層された積層体を、前記転写基材に対して押し当てて転写する工程であり、前記転写基材は、ロール状であり、前記積層体を、前記版部材と前記転写基材とで挟みつつ、前記転写基材を前記版部材に沿って転動させることによって、前記積層体を前記転写基材に転写する、(8)〜(10)のいずれかに記載の加飾フィルム成形体の製造方法。
このような構成によれば、ロール状の転写基材を転動させて、転写基材に積層体を転写するとともに、積層体の蒸着層に凹凸を形成することができる。これにより、蒸着フィルムを使用して加飾することによって、色ブレが小さく、優れたサテンめっきの金属調の意匠感を示すことができる、加飾フィルム成形体を製造することができる。
(14)前記加熱加圧工程は、所望の形状に成形された前記転写基材に対して、前記被剥離基材と前記離型層と前記保護層と前記蒸着層と前記接着層とが積層された積層体を積層し、減圧して前記積層体を前記転写基材に密着させ、加熱することにより、前記転写基材に対して前記積層体を転写する工程である、(8)〜(10)のいずれかに記載の加飾フィルム成形体の製造方法。
このような構成によれば、あらかじめ所望の形状に成形された転写基材に対して、積層体を転写し、蒸着層に凹凸を形成することができる。そのため、本製造方法によれば、成形工程が省略され得る。また、本製造方法は、いくらか複雑な形状に立体成形された転写基材に対しても、適用され得る。
(15)前記加熱加圧工程は、上下一対の金型部材の一方の金型に、前記被剥離基材と前記離型層と前記保護層と前記蒸着層と前記接着層とが積層された積層体を配置し、樹脂を注入するための注入孔が形成された他方の金型と、前記一方の金型とによって、前記積層体を挟み、前記転写基材の原料となる熱可塑性樹脂の樹脂溶液を、前記注入孔を介して、挟まれた前記積層体の表面に注入し、加熱することによって、前記転写基材上に前記積層体を転写する、(8)〜(10)のいずれかに記載の加飾フィルム成形体の製造方法。
このような構成によれば、転写工程と同時に、上下一対の金型に挟まれた転写基材が所望の形状に成形され得る。そのため、本製造方法によれば、転写工程の後の成形工程が適宜省略され得る。
(16)(1)〜(7)のいずれかに記載の加飾フィルム成形体を用いた、サテンめっき調製品。
このような構成によれば、色ブレが小さく、優れたサテンめっきの金属調の意匠感を示す種々の製品が得られる。
(17)(1)〜(7)のいずれかに記載の加飾フィルム成形体を用いた、容器。
このような構成によれば、たとえば化粧品の容器等の、グロス感や高級感のある外観が所望される容器において、色ブレが小さく、優れたサテンめっきの金属調の意匠感を示す種々の容器が得られる。
(18)(1)〜(7)のいずれかに記載の加飾フィルム成形体を用いた、筐体。
このような構成によれば、たとえば携帯電話等の通信機器の筐体等の、グロス感や高級感のある外観が所望される筐体において、色ブレが小さく、優れたサテンめっきの金属調の意匠感を示す種々の筐体が得られる。
(19)(1)〜(7)のいずれかに記載の加飾フィルム成形体を用いた、車両用内外装部材。
このような構成によれば、グロス感や高級感のある外観が所望される筐体において、色ブレが小さく、優れたサテンめっきの金属調の意匠感を示す種々の車両用内外装部材が得られる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。本発明は、これら実施例に何ら限定されない。なお、特に制限のない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味する。
[第1の発明に関する実施例]
<実施例1A>
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み:25μm)を被剥離基材とし、アクリルスチレン樹脂(添加量:91部)、硬化剤(イソシアネート、添加:9部)にレンズ状フィラー(アクリル、積水化成品工業製、寸法:長径7.2μm、厚み2.8μm、添加量:5部)を含有させ、バーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂層を50℃,48時間にて硬化させ、離型層(厚み:1.0μm)を作製した(離型層形成工程)。離型層の表面に、フィラーを露出させた。離型層上に、多官能アクリレート樹脂溶液(97部)、光重合硬化剤(添加量:3部)をバーコーターにて塗工し、保護層(厚み:5.0μm)を作製した(保護層形成工程)。保護層上に、アクリル樹脂(添加量:100部)をバーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂層を110℃、30秒にて硬化させ、蒸着アンカー層(厚み:1.0μm)を作成した。蒸着アンカー層上に抵抗加熱式蒸着機を用い、インジウムの真空蒸着を行った。厚み50nmのインジウム膜(蒸着層)を形成した(蒸着層形成工程)。蒸着層上に、アクリル樹脂(添加量:38部)、ウレタン樹脂溶液(添加量:57部)、レンズ状フィラー(アクリル、積水化成品工業製、寸法:長径7.2μm、厚み2.8μm、添加量:5部)を、バーコーターにて塗工し、接着層(厚み:1.0μm)を作製した(接着層形成工程)。接着層上に、黒ABS板(転写基材)を、アップダウン転写機(ナビタス社製、MP−6)を用いて、押し付け荷重1kN、刻印温度180℃、転写時間1.0sという条件で押し当て、フィラーを接着層内に埋没させた(転写基材形成工程)。その結果、蒸着層が変形され、蒸着層の表面に凹凸が形成された(凹凸の詳細:平均長径4.1μm、高さ0.3〜0.5μmの凸形状)。次いで、被剥離基材および離型層を剥離し、保護層の表面に凹凸を形成させた(凹凸の詳細:平均直径7.2μm、深さ1.0〜1.5μmの凹形状)。その後、紫外線硬化装置(アイグラフィックス(株)製、ECS−4011GX、高圧水銀ランプ)を用いて、積算光量500mJ/cm2にて保護層を硬化させ加飾フィルム成型体を得た。
<実施例2A>
離型層形成工程および接着層形成工程として、以下の工程を採用した以外は、実施例1Aと同様の方法により、加飾フィルム成形体を作製した。離型層形成工程において、アクリルスチレン樹脂(添加量:91部)、硬化剤(添加量:9部)にレンズ状フィラー(組成:アクリル、積水化成品工業製、寸法:長径2.9μm、厚み2.1μm、添加量:10部)を含有させ、バーコーターにて塗工した。その後、ドライヤーにて乾燥させ、50℃,48時間で硬化し、離型層(厚み:1.0μm)を作製した(離型層形成工程)。接着層形成工程において、アクリル樹脂(添加量:39部)、ウレタン樹脂溶液(添加量:58部)に不定形フィラー(アエロジル300、日本アエロジル(株)製、一次粒子約7nm、比表面積300g/m2、添加量:3部)を含有させ、バーコーターにて塗工し、110℃、30秒にて乾燥させ、接着層(厚み:1.0μm)を作製した(接着層形成工程)。
<実施例3A>
離型層形成工程および接着層形成工程として、以下の工程を採用した以外は、実施例1Aと同様の方法により、加飾フィルム成形体を作製した。離型層形成工程において、アクリルスチレン樹脂溶液(添加量:82部)、硬化剤(イソシアネート、添加量:8部)に鱗片状フィラー(窒化ホウ素、デンカ製、GP、寸法:長径4.1μm、厚み0.2μm、添加量:10部)を含有させ、バーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂層を、50℃,48時間で硬化させ、離型層(厚み:1.0μm)を作製した(離型層形成工程)。接着層形成工程において、アクリル樹脂(添加量:34部)、ウレタン樹脂(添加量:51部)に鱗片状フィラー(窒化ホウ素、デンカ製、GP、寸法:長径4.1μm、厚み0.2μm、添加量:10部)と不定形フィラー(アエロジル300、日本アエロジル(株)製、一次粒子約7nm、比表面積300g/m2、添加量:5部)を含有させ、バーコーターにて塗工し、接着層(厚み:1.0μm)を作製した(接着層形成工程)。
<実施例4A>
離型層形成工程および接着層形成工程として、以下の工程を採用した以外は、実施例1Aと同様の方法により、加飾フィルム成形体を作製した。離型層形成工程において、アクリルスチレン樹脂(添加量:82部)、硬化剤(イソシアネート、添加量:8部)に鱗片状フィラー(窒化ホウ素、デンカ製、GP、寸法:長径4.1μm、厚み0.2μm、添加量:10部)を含有させ、バーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂層を、50℃,48時間で硬化させ、離型層(厚み:1.0μm)を作製した(離型層形成工程)。接着層形成工程において、アクリル樹脂(添加量:38部)、ウレタン樹脂(添加量:57部)に不定形フィラー(アエロジル300、日本アエロジル(株)製、一次粒子約7nm、比表面積300g/m2、添加量:5部)を含有させ、バーコーターにて塗工し、接着層(厚み:1.0μm)を作製した(接着層形成工程)。
<実施例5A>
離型層形成工程および接着層形成工程として、以下の工程を採用した以外は、実施例1Aと同様の方法により、加飾フィルム成形体を作製した。離型層形成工程において、フィラーを含有していないアクリルスチレン樹脂(含有率:91%)、硬化剤(イソシアネート、含有率:9%)を、バーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂層を50℃,48時間にて硬化させ、離型層(厚み:1.0μm)を作製した(離型層形成工程)。接着層形成工程において、アクリル樹脂溶液(添加量:36部)、ウレタン樹脂溶液(添加量:54部)に鱗片状フィラー(窒化ホウ素、デンカ製、品名:GP、寸法:長径4.1μm、厚み0.2μm、添加量:10部)を含有させ、バーコーターにて塗工し、接着層(厚み:1.0μm)を作製した(接着層形成工程)。
<実施例6A>
離型層形成工程および接着層形成工程として、以下の工程を採用した以外は、実施例1Aと同様の方法により、加飾フィルム成形体を作製した。離型層形成工程において、フィラーを含有していないアクリルスチレン樹脂(添加量:91部)、硬化剤(イソシアネート、含有率:9部)を、バーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂層を50℃,48時間にて硬化させ、離型層(厚み:1.0μm)を作製した(離型層形成工程)。接着層形成工程において、アクリル樹脂溶液(添加量:28部)、ウレタン樹脂溶液(添加量:42部)に鱗片状フィラー(窒化ホウ素、デンカ製、GP、寸法:長径4.1μm、厚み0.2μm、添加量:30部)を含有させ、バーコーターにて塗工し、接着層(厚み:1.0μm)を作製した(接着層形成工程)。
<実施例7A>
離型層形成工程および接着層形成工程として、以下の工程を採用した以外は、実施例1Aと同様の方法により、加飾フィルム成形体を作製した。離型層形成工程において、フィラーを含有していないアクリルスチレン樹脂(添加量:91部)、硬化剤(イソシアネート、添加量:9部)を、バーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂層を50℃,48時間にて硬化させ、離型層(厚み:1.0μm)を作製した(離型層形成工程)。接着層形成工程において、アクリル樹脂(添加量:39部)、ウレタン樹脂(添加量:58部)に不定形フィラー(アエロジル300、日本アエロジル(株)製、一次粒子約7nm、比表面積300g/m2、添加量:3部)を含有させ、バーコーターにて塗工し、接着層(厚み:1.0μm)を作製した(接着層形成工程)。
<実施例8A>
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み:25μm)を被剥離基材とし、アクリルメラミン樹脂(添加量:93部)、硬化剤(p−トルエンスルホン酸、添加量:7部)にレンズ状フィラー(アクリル、積水化成品工業製、寸法:長径7.2μm、厚み2.8μm、添加量:8部)を含有させ、バーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂層を150℃,60秒にて硬化させ、離型層(厚み:1.0μm)を作製した(離型層形成工程)。離型層の表面に、フィラーを露出させた。離型層上に、多官能アクリレート樹脂にレンズ状フィラー(アクリル、積水化成品工業製、寸法:長径7.2μm、厚み2.8μm、含有率:30%)を含有させバーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂を紫外線硬化装置(アイグラフィックス(株)製、ECS−4011GX、高圧水銀ランプ)にて、積算光量500mJ/cm2の条件で硬化させ保護層(厚み:2.5μm)を作製した(保護層形成工程)。保護層上に、アクリル樹脂(添加量:86部)、硬化剤(イソシアネート、添加量:14部)をバーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂層を150℃、60秒にて硬化させ、蒸着アンカー層(厚み:1.0μm)を作成した。蒸着アンカー層上に抵抗加熱式蒸着機を用い、インジウムの真空蒸着を行った。厚み50nmのインジウム膜(蒸着層)を形成した(蒸着層形成工程)。蒸着層上に、ポリエチレン樹脂を、バーコーターにて塗工し、接着層(厚み:1.0μm)を作製した(接着層形成工程)。接着層上に、黒ABS板(転写基材)を、ロール転写機(ナビタス(株)製、RT150B)を用いて、温度:180℃、速度:30mm/secという条件で押し当てた。次いで、被剥離基材および離型層を剥離し、保護層の表面に凹凸を形成し、加飾フィルム成型体を得た。
<実施例9A>
離型層形成工程として、以下の工程を採用した以外は、実施例8Aと同様の方法により、加飾フィルム成形体を作製した。離型層形成工程において、アクリルメラミン樹脂(添加量:93部)、硬化剤(p−トルエンスルホン酸、添加量:7部)にレンズ状フィラー(アクリル、積水化成品工業(株)製、寸法:長径7.2μm、厚み2.8μm、添加量:8部)を含有させ、バーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂層を150℃,60秒にて硬化させ、離型層(厚み:0.5μm)を作製した(離型層形成工程)。
<実施例10A>
離型層形成工程および保護層形成工程として、以下の工程を採用した以外は、実施例1Aと同様の方法により、加飾フィルム成形体を作製した。離型層形成工程において、フィラーを含有していないアクリルメラミン樹脂(添加量:93部)、硬化剤(p−トルエンスルホン酸、添加量:7部)をバーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂層を150℃,60秒にて硬化させ、離型層(厚み:1.0μm)を作製した(離型層形成工程)。保護層形成工程において、多官能アクリレート樹脂にレンズ状フィラー(アクリル、積水化成品工業製、寸法:長径(i)2.9μm、(ii)9.6μm、厚み(i)2.1μm、(ii)2.6μm、(i)6.7%、(ii)3.3%)を含有させバーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂を紫外線硬化装置(アイグラフィックス(株)製、ECS−4011GX、高圧水銀ランプ)にて、積算光量500mJ/cm2の条件で硬化させ保護層(厚み:2.0μm)を作製した(保護層形成工程)。
<実施例11A>
離型層形成工程、保護層形成工程および蒸着層形成工程として、以下の工程を採用した以外は、実施例8Aと同様の方法により、加飾フィルム成形体を作製した。離型層形成工程において、フィラーを含有していないアクリルメラミン樹脂(添加量:93部)、硬化剤(p−トルエンスルホン酸、添加量:7部)をバーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂層を150℃,60秒にて硬化させ、離型層(厚み:1.0μm)を作製した(離型層形成工程)。保護層形成工程において、多官能アクリレート樹脂溶液にレンズ状フィラー(アクリル、積水化成品工業製、寸法:長径7.2μm、厚み2.8μm、添加量:5%)を含有させ、バーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂を紫外線硬化装置(アイグラフィックス(株)製、ECS−4011GX、高圧水銀ランプ)にて、積算光量500mJ/cm2の条件で硬化させ保護層(厚み:2.0μm)を作製した(保護層形成工程)。蒸着層形工程において、抵抗加熱式蒸着機を用い、アルミニウムの真空蒸着を行った。厚み50nmのアルミニウム膜(蒸着層)を形成した(蒸着層形成工程)。
<実施例12A>
離型層形成工程および保護層形成工程として、以下の工程を採用した以外は、実施例8Aと同様の方法により、加飾フィルム成形体を作製した。離型層形成工程において、フィラーを含有していないアクリルメラミン樹脂(添加量:93部)、硬化剤(p−トルエンスルホン酸、添加量:7部)をバーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂層を150℃,60秒にて硬化させ、離型層(厚み:1.0μm)を作製した(離型層形成工程)。保護層形成工程において、多官能アクリレート樹脂に不定形フィラー(シリカ、サイロホービック100、富士シリシア化学(株)製、寸法:平均粒子径2.7μm、添加量:0.5%)を含有させ、バーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂を紫外線硬化装置(アイグラフィックス(株)製、ECS−4011GX、高圧水銀ランプ)にて、積算光量500mJ/cm2の条件で硬化させ保護層(厚み:2.0μm)を作製した(保護層形成工程)。
<実施例13A>
離型層形成工程および保護層形成工程として、以下の工程を採用した以外は、実施例8Aと同様の方法により、加飾フィルム成形体を作製した。離型層形成工程において、フィラーを含有していないアクリルメラミン樹脂(添加量:93%)、硬化剤(p−トルエンスルホン酸、添加量:7%)をバーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂層を150℃,60秒にて硬化させ、離型層(厚み:1.0μm)を作製した(離型層形成工程)。保護層形成工程において、多官能アクリレート樹脂に不定形フィラー(シリカ、サイロホービック100、富士シリシア化学(株)製、寸法:平均粒子径2.7μm、添加量:1.0%)を含有させ、バーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂を紫外線硬化装置(アイグラフィックス(株)製、ECS−4011GX、高圧水銀ランプ)にて、積算光量500mJ/cm2の条件で硬化させ保護層(厚み:2.0μm)を作製した(保護層形成工程)。
<実施例14A>
離型層形成工程および保護層形成工程として、以下の工程を採用した以外は、実施例8Aと同様の方法により、加飾フィルム成形体を作製した。離型層形成工程において、フィラーを含有していないアクリルメラミン樹脂(添加量:93部)、硬化剤(p−トルエンスルホン酸、添加量:7部)をバーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂層を150℃,60秒にて硬化させ、離型層(厚み:1.0μm)を作製した(離型層形成工程)。保護層形成工程において、多官能アクリレート樹脂に不定形フィラー(シリカ、サイロホービック100、富士シリシア化学(株)製、寸法:平均粒子径2.7μm、添加量:1.5%)を含有させ、バーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂を紫外線硬化装置(アイグラフィックス(株)製、ECS−4011GX、高圧水銀ランプ)にて、積算光量500mJ/cm2の条件で硬化させ保護層(厚み:2.0μm)を作製した(保護層形成工程)。
<実施例15A>
離型層形成工程、蒸着層形成工程および接着層形成工程として、以下の工程を採用した以外は、実施例8Aと同様の方法により、加飾フィルム成形体を作製した。離型層形成工程において、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(マットフィルム、厚み:25μm)を被剥離基材とし、アクリルポリオール樹脂(添加量:82.6部)、硬化剤(イソシアネート、添加量:17.3部)をバーコーターにて塗工し、この未硬化樹脂層を150℃、30秒にて硬化させ、保護層(厚み:1.8μm)を作製した(保護層形成工程)。保護層上に抵抗加熱式蒸着機を用い、アルミニウムの真空蒸着を行った。厚み50nmのアルミニウム膜(蒸着層)を形成した(蒸着層形成工程)。蒸着層上に塩酢ビ樹脂溶液をバーコーターにて塗工し、接着層(厚み:1.0μm)を作製した(接着層形成工程)。
<実施例16A>
保護層形成工程として、以下の工程を採用した以外は、実施例15Aと同様の方法により、加飾フィルム成形体を作製した。保護層形成工程において、アクリルポリオール溶液(添加量:82.6部)、硬化剤(イソシアネート、添加量:17.3部)をバーコーターにて塗工し、この未硬化樹脂層を150℃、30秒にて硬化させ、保護層(厚み:0.5μm)を作製した(保護層形成工程)。
<比較例1A>
離型層形成工程、蒸着層形成工程および接着層形成工程として、以下の工程を採用した以外は、実施例8Aと同様の方法により、加飾フィルム成形体を作製した。離型層形成工程において、被剥離基材として、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み:25μm)を用いた。フィラーを含有していていないアクリルメラミン樹脂溶液(添加量:93部)、硬化剤(p−トルエンスルホン酸、添加量:7部)をバーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂層を150℃,60秒にて硬化させ、離型層(厚み:1.0μm)を作製した(離型層形成工程)。離型層上に、多官能アクリレート樹脂溶液をバーコーターにて塗工し、この未硬化樹脂を紫外線硬化装置(アイグラフィックス(株)製、ECS−4011GX、高圧水銀ランプ)。蒸着層形成工程において、抵抗加熱式蒸着機を用い、クロムの真空蒸着を行った。厚み50nmのクロム膜(蒸着層)を形成した(蒸着層形成工程)。蒸着層上に塩酢ビ樹脂溶液をバーコーターにて塗工し、接着層(厚み:1.0μm)を作製した(接着層形成工程)。
<比較例2A>
離型層形成工程として、以下の工程を採用した以外は、実施例15Aと同様の方法により、加飾フィルム成形体を作製した。離型層形成工程において、被剥離基材として、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み:25μm)を用いた。アクリルメラミン樹脂溶液(添加量:93部)、硬化剤(p−トルエンスルホン酸、添加量:7部)に真球状フィラー(アクリル、アートパールJ4PY、根上工業(株)製、寸法:平均粒子径2.2μm、添加量:10部)を含有させ、バーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂層を150℃,60秒にて硬化させ、離型層(厚み:1.0μm)を作製した(離型層形成工程)。
<比較例3A>
離型層形成工程および保護層形成工程として、以下の工程を採用した以外は、実施例15Aと同様の方法により、加飾フィルム成形体を作製した。離型層形成工程において、被剥離基材として、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み:25μm)を用いた。アクリルメラミン樹脂(添加量:93部)、硬化剤(p−トルエンスルホン酸、添加量:7部)に真球状フィラー(アクリル、アートパールJ4PY、根上工業(株)製、寸法:平均粒子径2.2μm、添加量:10部)を含有させ、バーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂層を150℃,60秒にて硬化させ、離型層(厚み:1.0μm)を作製した(離型層形成工程)。保護層形成工程において、アクリルポリオール溶液(添加量:82.6部)、硬化剤(イソシアネート、添加量:17.3部)に鱗片状フィラー(タルク、FG−15、日本タルク(株)製、平均粒子径:1.5μm、添加量:15部)を含有させ、バーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂層を150℃、30秒にて硬化させ、保護層(厚み:3.5μm)を作製した(保護層形成工程)。
<比較例4A>
離型層形成工程および保護層形成工程として、以下の工程を採用した以外は、実施例8Aと同様の方法により、加飾フィルム成形体を作製した。離型層形成工程において、アクリルメラミン樹脂(含有率:93%)、硬化剤(p−トルエンスルホン酸、含有率:7%)に真球状フィラー(アクリル、積水化成品工業(株)製、寸法:平均粒子径2.0μm、含有率:8%)を含有させ、バーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂層を150℃,60秒にて硬化させ、離型層(厚み:0.5μm)を作製した(離型層形成工程)。離型層の表面に、フィラーを露出させた。離型層上に、多官能アクリレート樹脂にレンズ状フィラー(アクリル、積水化成品工業(株)製、寸法:長径7.2μm、厚み2.8μm、含有率:30%)を含有させバーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂を紫外線硬化装置(アイグラフィックス(株)製、ECS−4011GX、高圧水銀ランプ)にて、積算光量500mJ/cm2の条件で硬化させ保護層(厚み:2.5μm)を作製した(保護層形成工程)。
<参考例A>
参考例Aとして、一般的なサテンめっき(写像性(DOI)=18.1、GS60°/L*45=38.0)を施した成型体を準備した。
実施例1A〜16Aおよび比較例1A〜4Aにおいて得られた加飾フィルム成形体について、以下の方法に従って、写像性および割合(GS60°/L*45)を算出した。また、それぞれの加飾フィルム成形体について、以下の方法に従って、目視(金属感)、目視(写りこみ)、総合評価(サテンめっきとの差)について評価した。また、蒸着層の凹部または凸部の最大径/μm、保護層の凹部の最大径/μmについて測定した。結果を表1に示す。
<写像性の算出方法>
写像性は、ASTM−D5767に準拠し、アピアランスアナライザー(Rhopoint IQ−S、Rhopont社製)を使用して、成形体表面の写像性(DOI)を測定することにより算出した。
<割合(GS60°/L*45)の算出方法>
入射角が60°における鏡面光沢度(GS60°)は、アピアランスアナライザー(Rhopoint IQ−S、Rhopoint社製)を使用して、成形体表面に対して、入射角60°から光を照射して、正反射光を受光することにより、鏡面光沢度(GS60°)を測定した。入射角および受光角が45°におけるL*値(L*45)は、多角度分光光度計(MA−T6、エックスライト社製)を使用して、成形体表面の測色し、入射角は45°、受光角は45°で得られたL値を算出することにより測定した。割合(GS60°/L*45)は、得られた、鏡面光沢度(GS60°)の値を、L*45の値で除することにより算出した。
凸部の最大径または凹部の最大径は、加飾フィルム成形体の面を垂直方向から電子顕微鏡または光学顕微鏡を用いて観察し、凸部または凹部をランダムに20個サンプリングし、凸部または凹部の輪郭の最大径を測定し、20個の平均値を算出した。
<金属感(目視)>
金属感(目視)は、それぞれの加飾フィルム成形体を目視で観察し、金属感の強さを1〜6の6段階にて評価した。6が最も金属感が強い。
<金属感(写りこみ)>
金属感(写りこみ)は、それぞれの加飾フィルム成形体を目視で観察し、写りこみの有無の度合いを1〜5の5段階にて評価した。5が最も写りこみがない。
<総合評価(サテンめっきとの差)>
総合評価(サテンめっきとの差)は、それぞれの加飾フィルム成形体を目視で観察し、サテンめっきと類似する程度に関して1〜7の7段階にて評価した。7が最もサテンめっきに近い。
Figure 0006831611
表1に示されるように、実施例1A〜16Aの加飾フィルム成形体は、いずれも写像性および割合(GS60°/L*45)が適切であり、サテンめっきと類似する金属調の意匠感を示すことができた。一方、写像性または割合(GS60°/L*45)のいずれかを満たさなかった比較例1A〜4Aの加飾フィルム成形体は、サテンめっきと類似する金属調の意匠感が得られなかった。
[第2の発明に関する実施例]
<実施例1B>
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み:25μm)を被剥離基材とし、アクリルスチレン樹脂(添加量:91部)、硬化剤(イソシアネート、添加:9部)にレンズ状フィラー(アクリル、積水化成品工業(株)製、寸法:長径7.2μm、厚み2.8μm、添加量:5部)を含有させ、バーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂層を50℃、48時間にて硬化させ、離型層(厚み:1.0μm)を作製した(離型層形成工程)。離型層の表面に、フィラーを露出させた。離型層上に、多官能アクリレート樹脂溶液(97部)、光重合硬化剤(添加量:3部)をバーコーターにて塗工し、保護層(厚み:5.0μm)を作製した(保護層形成工程)。保護層上に、アクリル樹脂(添加量:100部)をバーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂層を110℃、30秒にて硬化させ、蒸着アンカー層(厚み:1.0μm)を作成した。蒸着アンカー層上に抵抗加熱式蒸着機を用い、インジウムの真空蒸着を行った。厚み50nmのインジウム膜(蒸着層)を形成した(蒸着層形成工程)。蒸着層上に、アクリル樹脂(添加量:38部)、ウレタン樹脂溶液(添加量:57部)、レンズ状フィラー(アクリル、積水化成品工業(株)製、寸法:長径7.2μm、厚み2.8μm、添加量:5部)を、バーコーターにて塗工し、接着層(厚み:1.0μm)を作製した(接着層形成工程)。接着層上に、黒ABS板(転写基材)を、アップダウン転写機(ナビタス(株)製、MP−6)を用いて、押し付け荷重5MPa、刻印温度180℃、転写時間1.0sという条件で押し当て、フィラーを接着層内に埋没させた(転写基材形成工程)。その結果、蒸着層が変形され、蒸着層の表面に凹凸が形成された(凹凸の詳細:平均長径4.1μm、高さ0.3〜0.5μmの凸形状)。次いで、被剥離基材および離型層を剥離し、保護層の表面に凹凸を形成させた(凹凸の詳細:平均直径7.2μm、深さ1.0〜1.5μmの凹形状)。その後、紫外線硬化装置(アイグラフィックス(株)製、ECS−4011GX、高圧水銀ランプ)を用いて、積算光量500mJ/cm2にて保護層を硬化させ加飾フィルム成形体を得た。
<実施例2B>
離型層形成工程および接着層形成工程として、以下の工程を採用した以外は、実施例1Bと同様の方法により、加飾フィルム成形体を作製した。離型層形成工程において、アクリルスチレン樹脂(添加量:91部)、硬化剤(添加量:9部)にレンズ状フィラー(組成:アクリル、積水化成品工業(株)製、寸法:長径2.9μm、厚み2.1μm、添加量:10部)を含有させ、バーコーターにて塗工した。その後、ドライヤーにて乾燥させ、50℃、48時間で硬化し、離型層(厚み:1.0μm)を作製した(離型層形成工程)。接着層形成工程において、アクリル樹脂(添加量:39部)、ウレタン樹脂溶液(添加量:58部)に不定形フィラー(アエロジル300、日本アエロジル(株)製、一次粒子約7nm、比表面積300g/m2、添加量:3部)を含有させ、バーコーターにて塗工し、110℃、30秒にて乾燥させ、接着層(厚み:1.0μm)を作製した(接着層形成工程)。
<実施例3B>
離型層形成工程および接着層形成工程として、以下の工程を採用した以外は、実施例1Bと同様の方法により、加飾フィルム成形体を作製した。離型層形成工程において、アクリルスチレン樹脂溶液(添加量:82部)、硬化剤(イソシアネート、添加量:8部)に鱗片状フィラー(窒化ホウ素、デンカ(株)製、GP、寸法:長径4.1μm、厚み0.2μm、添加量:10部)を含有させ、バーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂層を、50℃、48時間で硬化させ、離型層(厚み:1.0μm)を作製した(離型層形成工程)。接着層形成工程において、アクリル樹脂(添加量:34部)、ウレタン樹脂(添加量:51部)鱗片状フィラー(窒化ホウ素、デンカ(株)製、GP、寸法:長径4.1μm、厚み0.2μm、添加量:10部)と不定形フィラー(アエロジル300、日本アエロジル(株)製、一次粒子約7nm、比表面積300g/m2、添加量:5部)を含有させ、バーコーターにて塗工し、接着層(厚み:1.0μm)を作製した(接着層形成工程)。
<実施例4B>
離型層形成工程および接着層形成工程として、以下の工程を採用した以外は、実施例1Bと同様の方法により、加飾フィルム成形体を作製した。離型層形成工程において、アクリルスチレン樹脂(添加量:82部)、硬化剤(イソシアネート、添加量:8部)に鱗片状フィラー(窒化ホウ素、デンカ(株)製、GP、寸法:長径4.1μm、厚み0.2μm、添加量:10部)を含有させ、バーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂層を、50℃、48時間で硬化させ、離型層(厚み:1.0μm)を作製した(離型層形成工程)。接着層形成工程において、アクリル樹脂(添加量:38部)、ウレタン樹脂(添加量:57部)に不定形フィラー(アエロジル300、日本アエロジル(株)製、一次粒子約7nm、比表面積300g/m2、添加量:5部)を含有させ、バーコーターにて塗工し、接着層(厚み:1.0μm)を作製した(接着層形成工程)。
<実施例5B>
離型層形成工程および接着層形成工程として、以下の工程を採用した以外は、実施例1Bと同様の方法により、加飾フィルム成形体を作製した。離型層形成工程において、フィラーを含有していないアクリルスチレン樹脂(含有率:91%)、硬化剤(イソシアネート含有率:9%)を、バーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂層を50℃、48時間にて硬化させ、離型層(厚み:1.0μm)を作製した(離型層形成工程)。接着層形成工程において、アクリル樹脂溶液(添加量:36部)、ウレタン樹脂溶液(添加量:54部)に鱗片状フィラー(窒化ホウ素、デンカ(株)製、品名:GP、寸法:長径4.1μm、厚み0.2μm、添加量:10部)を含有させ、バーコーターにて塗工し、接着層(厚み:1.0μm)を作製した(接着層形成工程)。
<実施例6B>
離型層形成工程および接着層形成工程として、以下の工程を採用した以外は、実施例1Bと同様の方法により、加飾フィルム成形体を作製した。離型層形成工程において、フィラーを含有していないアクリルスチレン樹脂(添加量:91部)、硬化剤(イソシアネート、含有率:9部)を、バーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂層を50℃、48時間にて硬化させ、離型層(厚み:1.0μm)を作製した(離型層形成工程)。接着層形成工程において、アクリル樹脂溶液(添加量:28部)、ウレタン樹脂溶液(添加量:42部)に鱗片状フィラー(窒化ホウ素、デンカ(株)製、GP、寸法:長径4.1μm、厚み0.2μm、添加量:30部)を含有させ、バーコーターにて塗工し、接着層(厚み:1.0μm)を作製した(接着層形成工程)。
<実施例7B>
離型層形成工程および接着層形成工程として、以下の工程を採用した以外は、実施例1Bと同様の方法により、加飾フィルム成形体を作製した。離型層形成工程において、フィラーを含有していないアクリルスチレン樹脂(添加量:91部)、硬化剤(イソシアネート、添加量:9部)を、バーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂層を50℃、48時間にて硬化させ、離型層(厚み:1.0μm)を作製した(離型層形成工程)。接着層形成工程において、アクリル樹脂(添加量:39部)、ウレタン樹脂(添加量:58部)に不定形フィラー(アエロジル300、日本アエロジル(株)製、一次粒子約7nm、比表面積300g/m2、添加量:3部)を含有させ、バーコーターにて塗工し、接着層(厚み:1.0μm)を作製した(接着層形成工程)。
<実施例8B>
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み:25μm)を被剥離基材とし、アクリルメラミン樹脂(添加量:93部)、硬化剤(p−トルエンスルホン酸、添加量:7部)にレンズ状フィラー(アクリル、積水化成品工業(株)製、寸法:長径7.2μm、厚み2.8μm、添加量:8部)を含有させ、バーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂層を150℃、60秒にて硬化させ、離型層(厚み:1.0μm)を作製した(離型層形成工程)。離型層の表面に、フィラーを露出させた。離型層上に、多官能アクリレート樹脂にレンズ状フィラー(アクリル、積水化成品工業(株)製、寸法:長径7.2μm、厚み2.8μm、含有率:30%)を含有させバーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂を紫外線硬化装置(アイグラフィックス(株)製、ECS−4011GX、高圧水銀ランプ)にて、積算光量500mJ/cm2の条件で硬化させ保護層(厚み:2.5μm)を作製した(保護層形成工程)。保護層上に、アクリル樹脂(添加量:86部)、硬化剤(イソシアネート、添加量:14部)をバーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂層を150℃、60秒にて硬化させ、蒸着アンカー層(厚み:1.0μm)を作成した。蒸着アンカー層上に抵抗加熱式蒸着機を用い、インジウムの真空蒸着を行った。厚み50nmのインジウム膜(蒸着層)を形成した(蒸着層形成工程)。蒸着層上に、ポリエチレン樹脂を、バーコーターにて塗工し、接着層(厚み:1.0μm)を作製した(接着層形成工程)。接着層上に、黒ABS板(転写基材)を、ロール転写機(ナビタス(株)製、RT150B)を用いて、温度:180℃、ロール移動速度:30mm/secという条件で押し当てた。次いで、被剥離基材および離型層を剥離し、保護層の表面に凹凸を形成し、加飾フィルム成形体を得た。
<実施例9B>
離型層形成工程として、以下の工程を採用した以外は、実施例8Bと同様の方法により、加飾フィルム成形体を作製した。離型層形成工程において、アクリルメラミン樹脂(添加量:93部)、硬化剤(p−トルエンスルホン酸、添加量:7部)にレンズ状フィラー(アクリル、積水化成品工業(株)製、寸法:長径7.2μm、厚み2.8μm、添加量:8部)を含有させ、バーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂層を150℃、60秒にて硬化させ、離型層(厚み:0.5μm)を作製した(離型層形成工程)。
<実施例10B>
離型層形成工程および保護層形成工程として、以下の工程を採用した以外は、実施例1Bと同様の方法により、加飾フィルム成形体を作製した。離型層形成工程において、フィラーを含有していないアクリルメラミン樹脂(添加量:93部)、硬化剤(p−トルエンスルホン酸、添加量:7部)をバーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂層を150℃、60秒にて硬化させ、離型層(厚み:1.0μm)を作製した(離型層形成工程)。保護層形成工程において、多官能アクリレート樹脂にレンズ状フィラー(アクリル、積水化成品工業(株)製、寸法:長径(i)2.9μm、(ii)9.6μm、厚み(i)2.1μm、(ii)2.6μm、(i)6.7%、(ii)3.3%)を含有させバーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂を紫外線硬化装置(アイグラフィックス(株)製、ECS−4011GX、高圧水銀ランプ)にて、積算光量500mJ/cm2の条件で硬化させ保護層(厚み:2.0μm)を作製した(保護層形成工程)。
<実施例11B>
離型層形成工程、保護層形成工程および蒸着層形成工程として、以下の工程を採用した以外は、実施例8Bと同様の方法により、加飾フィルム成形体を作製した。離型層形成工程において、フィラーを含有していないアクリルメラミン樹脂(添加量:93部)、硬化剤(p−トルエンスルホン酸、添加量:7部)をバーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂層を150℃、60秒にて硬化させ、離型層(厚み:1.0μm)を作製した(離型層形成工程)。保護層形成工程において、多官能アクリレート樹脂溶液にレンズ状フィラー(アクリル、積水化成品工業(株)製、寸法:長径7.2μm、厚み2.8μm、添加量:5%)を含有させ、バーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂を紫外線硬化装置(アイグラフィックス(株)製、ECS−4011GX、高圧水銀ランプ)にて、積算光量500mJ/cm2の条件で硬化させ保護層(厚み:2.0μm)を作製した(保護層形成工程)。蒸着層形工程において、抵抗加熱式蒸着機を用い、アルミニウムの真空蒸着を行った。厚み50nmのアルミニウム膜(蒸着層)を形成した(蒸着層形成工程)。
<実施例12B>
離型層形成工程および保護層形成工程として、以下の工程を採用した以外は、実施例8Bと同様の方法により、加飾フィルム成形体を作製した。離型層形成工程において、フィラーを含有していないアクリルメラミン樹脂(添加量:93部)、硬化剤(p−トルエンスルホン酸、添加量:7部)をバーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂層を150℃、60秒にて硬化させ、離型層(厚み:1.0μm)を作製した(離型層形成工程)。保護層形成工程において、多官能アクリレート樹脂に不定形フィラー(シリカ、サイロホービック100 富士シリシア化学(株)製、寸法:平均粒子径2.7μm、添加量:0.5%)を含有させ、バーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂を紫外線硬化装置(アイグラフィックス(株)製、ECS−4011GX、高圧水銀ランプ)にて、積算光量500mJ/cm2の条件で硬化させ保護層(厚み:2.0μm)を作製した(保護層形成工程)。
<実施例13B>
離型層形成工程および保護層形成工程として、以下の工程を採用した以外は、実施例8Bと同様の方法により、加飾フィルム成形体を作製した。離型層形成工程において、フィラーを含有していないアクリルメラミン樹脂(添加量:93%)、硬化剤(p−トルエンスルホン酸、添加量:7%)をバーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂層を150℃、60秒にて硬化させ、離型層(厚み:1.0μm)を作製した(離型層形成工程)。保護層形成工程において、多官能アクリレート樹脂に不定形フィラー(シリカ、サイロホービック100 富士シリシア化学(株)製、寸法:平均粒子径2.7μm、添加量:1.0%)を含有させ、バーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂を紫外線硬化装置(アイグラフィックス(株)製、ECS−4011GX、高圧水銀ランプ)にて、積算光量500mJ/cm2の条件で硬化させ保護層(厚み:2.0μm)を作製した(保護層形成工程)。
<実施例14B>
離型層形成工程および保護層形成工程として、以下の工程を採用した以外は、実施例8Bと同様の方法により、加飾フィルム成形体を作製した。離型層形成工程において、フィラーを含有していないアクリルメラミン樹脂(添加量:93部)、硬化剤(p−トルエンスルホン酸、添加量:7部)をバーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂層を150℃、60秒にて硬化させ、離型層(厚み:1.0μm)を作製した(離型層形成工程)。保護層形成工程において、多官能アクリレート樹脂に不定形フィラー(シリカ、サイロホービック100 富士シリシア化学(株)製、寸法:平均粒子径2.7μm、添加量:1.5%)を含有させ、バーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂を紫外線硬化装置(アイグラフィックス(株)製、ECS−4011GX、高圧水銀ランプ)にて、積算光量500mJ/cm2の条件で硬化させ保護層(厚み:2.0μm)を作製した(保護層形成工程)。
<実施例15B>
離型層形成工程、蒸着層形成工程および接着層形成工程として、以下の工程を採用した以外は、実施例8Bと同様の方法により、加飾フィルム成形体を作製した。離型層形成工程において、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(マットフィルム、厚み:25μm)を被剥離基材とし、アクリルポリオール樹脂(添加量:82.6部)、硬化剤(イソシアネート、添加量:17.3部)をバーコーターにて塗工し、この未硬化樹脂層を150℃、30秒にて硬化させ、保護層(厚み:1.8μm)を作製した(保護層形成工程)。保護層上に抵抗加熱式蒸着機を用い、アルミニウムの真空蒸着を行った。厚み50nmのアルミニウム膜(蒸着層)を形成した(蒸着層形成工程)。蒸着層上に塩酢ビ樹脂溶液をバーコーターにて塗工し、接着層(厚み:1.0μm)を作製した(接着層形成工程)。
<実施例16B>
保護層形成工程として、以下の工程を採用した以外は、実施例15Bと同様の方法により、加飾フィルム成形体を作製した。保護層形成工程において、アクリルポリオール溶液(添加量:82.6部)、硬化剤(イソシアネート、添加量:17.3部)をバーコーターにて塗工し、この未硬化樹脂層を150℃、30秒にて硬化させ、保護層(厚み:0.5μm)を作製した(保護層形成工程)。
<実施例17B>
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み:25μm)を被剥離基材とし、アクリルメラミン樹脂(添加量:93部)、硬化剤(p−トルエンスルホン酸、添加量:7部)にレンズ状フィラー(アクリル、積水化成品工業(株)製、寸法:長径7.2μm、厚み2.8μm、添加量:8部)を含有させ、バーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂層を150℃、60秒にて硬化させ、離型層(厚み:1.0μm)を作製した(離型層形成工程)。離型層の表面に、フィラーを露出させた。離型層上に、多官能アクリレート樹脂にレンズ状フィラー(アクリル、積水化成品工業(株)製、寸法:長径7.2μm、厚み2.8μm、含有率:30%)を含有させバーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂を紫外線硬化装置(アイグラフィックス(株)製、ECS−4011GX、高圧水銀ランプ)にて、積算光量500mJ/cm2の条件で硬化させ保護層(厚み:2.5μm)を作製した(保護層形成工程)。保護層上に、アクリル樹脂(添加量:86部)、硬化剤(イソシアネート、添加量:14部)をバーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂層を150℃、60秒にて硬化させ、蒸着アンカー層(厚み:1.0μm)を作成した。蒸着アンカー層上に抵抗加熱式蒸着機を用い、インジウムの真空蒸着を行った。厚み50nmのインジウム膜(蒸着層)を形成した(蒸着層形成工程)。蒸着層上に、ポリエチレン樹脂を、バーコーターにて塗工し、接着層(厚み:1.0μm)を作製した(接着層形成工程)。接着層上を、版部材のシリコンラバーとロール状の転写基材(材料:ABS)とで挟みつつ、転写基材を版部材のシリコンラバーに沿って転動させることにより、接着層を転写基材に転写させた。ここで、版部材の温度は、200℃とした。ロール状の転写基材を、接着層を介して版部材に押し当てる際の圧力は、5MPaとした。また、ロール状の転写基材のロール移動速度は、30mm/秒とした。次いで、被剥離基材および離型層を剥離し、保護層の表面に凹凸を形成し、加飾フィルム成形体を得た。
<実施例18B>
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み:25μm)を被剥離基材とし、アクリルメラミン樹脂(添加量:93部)、硬化剤(p−トルエンスルホン酸、添加量:7部)にレンズ状フィラー(アクリル、積水化成品工業(株)製、寸法:長径7.2μm、厚み2.8μm、添加量:8部)を含有させ、バーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂層を150℃、60秒にて硬化させ、離型層(厚み:1.0μm)を作製した(離型層形成工程)。離型層の表面に、フィラーを露出させた。離型層上に、多官能アクリレート樹脂にレンズ状フィラー(アクリル、積水化成品工業(株)製、寸法:長径7.2μm、厚み2.8μm、含有率:30%)を含有させバーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂を紫外線硬化装置(アイグラフィックス(株)製、ECS−4011GX、高圧水銀ランプ)にて、積算光量500mJ/cm2の条件で硬化させ保護層(厚み:2.5μm)を作製した(保護層形成工程)。保護層上に、アクリル樹脂(添加量:86部)、硬化剤(イソシアネート、添加量:14部)をバーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂層を150℃、60秒にて硬化させ、蒸着アンカー層(厚み:1.0μm)を作成した。蒸着アンカー層上に抵抗加熱式蒸着機を用い、インジウムの真空蒸着を行った。厚み50nmのインジウム膜(蒸着層)を形成した(蒸着層形成工程)。蒸着層上に、ポリエチレン樹脂を、バーコーターにて塗工し、接着層(厚み:1.0μm)を作製した(接着層形成工程)。そして、密閉容器(材料:ステンレス)内に上記接着層まで積層した積層体と所望の形状に形成された転写基材(材料:ABS)を挿入し、密閉容器を減圧すると同時に積層体を加熱した(温度:120℃)。そして、減圧後、上側空間のみを開放して常圧とすることで、転写基材を積層体で覆った。次に、上側空間を赤外線ヒーターで加熱した。加熱条件は、100℃で60秒とした。その後、密閉容器を開放し、被剥離基材および離型層を剥離し、保護層の表面に凹凸を形成し、加飾フィルム成形体を得た。
<実施例19B>
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み:25μm)を被剥離基材とし、アクリルメラミン樹脂(添加量:93部)、硬化剤(p−トルエンスルホン酸、添加量:7部)にレンズ状フィラー(アクリル、積水化成品工業(株)製、寸法:長径7.2μm、厚み2.8μm、添加量:8部)を含有させ、バーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂層を150℃、60秒にて硬化させ、離型層(厚み:1.0μm)を作製した(離型層形成工程)。離型層の表面に、フィラーを露出させた。離型層上に、多官能アクリレート樹脂にレンズ状フィラー(アクリル、積水化成品工業(株)製、寸法:長径7.2μm、厚み2.8μm、含有率:30%)を含有させバーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂を紫外線硬化装置(アイグラフィックス(株)製、ECS−4011GX、高圧水銀ランプ)にて、積算光量500mJ/cm2の条件で硬化させ保護層(厚み:2.5μm)を作製した(保護層形成工程)。保護層上に、アクリル樹脂(添加量:86部)、硬化剤(イソシアネート、添加量:14部)をバーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂層を150℃、60秒にて硬化させ、蒸着アンカー層(厚み:1.0μm)を作成した。蒸着アンカー層上に抵抗加熱式蒸着機を用い、インジウムの真空蒸着を行った。厚み50nmのインジウム膜(蒸着層)を形成した(蒸着層形成工程)。蒸着層上に、ポリエチレン樹脂を、バーコーターにて塗工し、接着層(厚み:1.0μm)を作製した(接着層形成工程)。まず、下側金型(材料:ステンレス)に上記接着層まで積層した積層体を配置し、次いで、注入孔の設けられた上側金型(材料:ステンレス)を取り付けた。そして、上側金型と下側金型とで積層体を挟持した。上側金型の注入孔から、転写基材(ABS)の原料となる熱可塑性樹脂(ABS)が加熱された溶融状態の樹脂溶液を注入した。注入された樹脂溶液は、積層体の接着層を覆い、積層体を加圧して蒸着層の表面に凹凸を形成した。樹脂溶液が硬化して転写基材が形成された後、上側金型を下側金型から取り外し、転写基材に覆われた状態の積層体を剥離した。この際、積層体は、離型層と保護層との間で剥離が生じ、その結果、保護層と蒸着層と接着層とは、転写基材に転写された。このようにして加飾フィルム成形体を得た。
<比較例1B>
離型層形成工程、蒸着層形成工程および接着層形成工程として、以下の工程を採用した以外は、実施例8Bと同様の方法により、加飾フィルム成形体を作製した。離型層形成工程において、被剥離基材として、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み:25μm)を用いた。フィラーを含有していていないアクリルメラミン樹脂溶液(添加量:93部)、硬化剤(p−トルエンスルホン酸、添加量:7部)をバーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂層を150℃、60秒にて硬化させ、離型層(厚み:1.0μm)を作製した(離型層形成工程)。離型層上に、多官能アクリレート樹脂溶液をバーコーターにて塗工し、この未硬化樹脂を紫外線硬化装置(アイグラフィックス(株)製、ECS−4011GX、高圧水銀ランプ)にて、積算光量500mJ/cm2の条件で硬化させ保護層(厚み:2.0μm)を作製した(保護層形成工程)。蒸着層形成工程において、蒸着機を用い、クロムの真空蒸着を行った。厚み50nmのクロム膜(蒸着層)を形成した(蒸着層形成工程)。蒸着層上に塩酢ビ樹脂溶液をバーコーターにて塗工し、接着層(厚み:1.0μm)を作製した(接着層形成工程)。
<比較例2B>
離型層形成工程として、以下の工程を採用した以外は、実施例15Bと同様の方法により、加飾フィルム成形体を作製した。離型層形成工程において、被剥離基材として、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み:25μm)を用いた。アクリルメラミン樹脂溶液(添加量:93部)、硬化剤(p−トルエンスルホン酸、添加量:7部)に真球状フィラー(アクリル、アートパールJ4PY、根上工業(株)製、寸法:平均粒子径2.2μm、添加量:10部)を含有させ、バーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂層を150℃、60秒にて硬化させ、離型層(厚み:1.0μm)を作製した(離型層形成工程)。
<比較例3B>
離型層形成工程および保護層形成工程として、以下の工程を採用した以外は、実施例15Bと同様の方法により、加飾フィルム成形体を作製した。離型層形成工程において、被剥離基材として、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み:25μm)を用いた。アクリルメラミン樹脂(添加量:93部)、硬化剤(p−トルエンスルホン酸、添加量:7部)に真球状フィラー(アクリル、アートパールJ4PY、根上工業(株)製、寸法:平均粒子径2.2μm、添加量:10部)を含有させ、バーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂層を150℃、60秒にて硬化させ、離型層(厚み:1.0μm)を作製した(離型層形成工程)。保護層形成工程において、アクリルポリオール溶液(添加量:82.6部)、硬化剤(イソシアネート、添加量:17.3部)に鱗片状フィラー(タルク、FG−15 日本タルク(株)、平均粒子径:1.5μm、添加量:15部)を含有させ、バーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂層を150℃、30秒にて硬化させ、保護層(厚み:3.5μm)を作製した(保護層形成工程)。
<比較例4B>
離型層形成工程および保護層形成工程として、以下の工程を採用した以外は、実施例8Bと同様の方法により、加飾フィルム成形体を作製した。離型層形成工程において、アクリルメラミン樹脂(含有率:93%)、硬化剤(p−トルエンスルホン酸、含有率:7%)に真球状フィラー(アクリル、積水化成品工業(株)製、寸法:平均粒子径2.0μm、含有率:8%)を含有させ、バーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂層を150℃、60秒にて硬化させ、離型層(厚み:0.5μm)を作製した(離型層形成工程)。離型層の表面に、フィラーを露出させた。離型層上に、多官能アクリレート樹脂にレンズ状フィラー(アクリル、積水化成品工業(株)製、寸法:長径7.2μm、厚み2.8μm、含有率:30%)を含有させバーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂を紫外線硬化装置(アイグラフィックス(株)製、ECS−4011GX、高圧水銀ランプ)にて、積算光量500mJ/cm2の条件で硬化させ保護層(厚み:2.5μm)を作製した(保護層形成工程)。
<参考例B>
参考例Bとして、一般的なサテンめっき(写像性(DOI)=18.1、GS60°/L*45=38.0)を施した成形体を準備した。
実施例1B〜19B、比較例1B〜4Bおよび参考例Bの加飾フィルム成形体等について、以下の方法に従って、写像性および割合(GS60°/L*45)を算出した。また、それぞれの加飾フィルム成形体等について、以下の方法に従って、目視(金属感)、目視(写りこみ)、総合評価(サテンめっきとの差)について評価した。また、蒸着層の凹部または凸部の最大径/μm、保護層の凹部の最大径/μmについて測定した。結果を表2に示す。
<写像性の算出方法>
写像性は、ASTM−D5767に準拠し、アピアランスアナライザー(Rhopoint IQ−S、Rhopoint社製)を使用して、成形体表面の写像性(DOI)を測定することにより算出した。
<割合(GS60°/L*45)の算出方法>
入射角が60°における鏡面光沢度(GS60°)は、アピアランスアナライザー(Rhopoint IQ−S、Rhopoint社製)を使用して、成形体表面に対して、入射角60°から光を照射して、正反射光を受光することにより、鏡面光沢度(GS60°)を測定した。入射角および受光角が45°におけるL*値(L*45)は、多角度分光光度計(MA−T6、エックスライト社製)を使用して、成形体表面の測色し、入射角は45°、受光角は45°で得られたL値を算出することにより測定した。割合(GS60°/L*45)は、得られた、鏡面光沢度(GS60°)の値を、L*45の値で除することにより算出した。
凸部の最大径または凹部の最大径は、加飾フィルム成形体の面を垂直方向から電子顕微鏡または光学顕微鏡を用いて観察し、凸部または凹部をランダムに20個サンプリングし、凸部または凹部の輪郭の最大径を測定し、20個の平均値を算出した。
<金属感(目視)>
金属感(目視)は、それぞれの加飾フィルム成形体を目視で観察し、金属感の強さを1〜6の6段階にて評価した。6が最も金属感が強い。
<金属感(写りこみ)>
金属感(写りこみ)は、それぞれの加飾フィルム成形体を目視で観察し、写りこみの有無の度合いを1〜5の5段階にて評価した。5が最も写りこみがない。
<総合評価(サテンめっきとの差)>
総合評価(サテンめっきとの差)は、それぞれの加飾フィルム成形体を目視で観察し、サテンめっきと類似する程度に関して1〜7の7段階にて評価した。7が最もサテンめっきに近い。
Figure 0006831611
表2に示されるように、実施例1B〜19Bの加飾フィルム成形体は、いずれも写像性および割合(GS60°/L*45)が適切であり、サテンめっきと類似する金属調の意匠感を示すことができた。一方、比較例1B〜4Bの加飾フィルム成形体は、金属感が極端に強いか弱いかのいずれかであり、サテンめっきとの差が大きかった。
1、1a、1b、1c 加飾フィルム成形体
2 被剥離基材
3 離型層
4 保護層
5 蒸着層
5a 蒸着アンカー層
6 接着層
7 転写基材
81、82 凹凸
91、92 レンズ状フィラー
91a、92a… 鱗片状フィラー
10、10a 版部材
11、11a、11b、11c、11d 積層体
12 模様
13 ロール状部材
14 密閉容器
14a 上側容器
14b 下側容器
15 平板
16 治具
17 減圧装置
18 加熱装置
19 金型部材
19a 上側金型
19b 下側金型
19c 注入孔
L1 レンズ状フィラーの長径
L2 レンズ状フィラーの厚み
L3 レンズ状フィラーの長径
L4 レンズ状フィラーの厚み
L5 鱗片状フィラーの長径
L6 鱗片状フィラーの厚み
L7 鱗片状フィラーの長径
L8 鱗片状フィラーの厚み
S1 上側空間
S2 下側空間

Claims (18)

  1. 基材と、接着層と、蒸着層と、保護層とを有し、
    写像性が10〜92であり、
    入射角が60°における鏡面光沢度(GS60°)と、入射角および受光角が45°におけるL*値(L*45)との割合(GS60°/L*45)が5〜55であり、
    前記蒸着層および前記保護層は、それぞれの表面に凹凸が形成されている、加飾フィルム成形体。
  2. 前記写像性は、10〜72である、請求項1記載の加飾フィルム成形体。
  3. 前記写像性は、10〜48である、請求項1または2記載の加飾フィルム成形体。
  4. 前記割合(GS60°/L*45)は、15〜55である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の加飾フィルム成形体。
  5. 前記蒸着層に形成された前記凹凸は、前記接着層側、または、前記保護層側に向かって突出した略椀状の凸部を含み、
    前記凸部の最大径は、2.0〜20μmである、請求項1記載の加飾フィルム成形体。
  6. 前記保護層に形成された前記凹凸は、前記保護層の厚み方向に落ち窪んだ略椀状の凹部を含み、
    前記凹部の最大径は、2.0〜20μmである、請求項1記載の加飾フィルム成形体。
  7. 被剥離基材上に、離型層を形成する離型層形成工程と、
    前記離型層上に、保護層を形成する保護層形成工程と、
    前記保護層上に、蒸着層を形成する蒸着層形成工程と、
    前記蒸着層上に、接着層を形成する接着層形成工程と、
    前記接着層上に、転写基材を形成する転写基材形成工程と、
    前記被剥離基材および前記離型層を剥離する剥離工程とを含み、
    前記保護層形成工程は、前記保護層の表面に凹凸を形成する第1凹凸形成工程を含み、
    前記蒸着層形成工程または前記転写基材形成工程は、前記蒸着層の表面に凹凸を形成する第2凹凸形成工程を含む、
    写像性が10〜92であり、かつ、入射角が60°における鏡面光沢度(GS60°)と、入射角および受光角が45°におけるL*値(L*45)との割合(GS60°/L*45)が5〜55である、加飾フィルム成形体の製造方法。
  8. 被剥離基材上に、離型層を形成する離型層形成工程と、
    前記離型層上に、保護層を形成する保護層形成工程と、
    前記保護層上に、蒸着層を形成する蒸着層形成工程と、
    前記蒸着層上に、接着層を形成する接着層形成工程と、
    前記接着層上に、転写基材を形成する転写基材形成工程と、
    前記被剥離基材および前記離型層を剥離する剥離工程とを含み、
    前記保護層形成工程は、前記保護層の表面に凹凸を形成する第1凹凸形成工程を含み、
    前記転写基材形成工程は、前記蒸着層の表面に凹凸を形成する第2凹凸形成工程を含み、
    前記第2凹凸形成工程は、前記転写基材を前記接着層に対して、加熱および加圧しながら押し当てる加熱加圧工程を含む、
    写像性が10〜92であり、かつ、入射角が60°における鏡面光沢度(GS60°)と、入射角および受光角が45°におけるL*値(L*45)との割合(GS60°/L*45)が5〜55である、加飾フィルム成形体の製造方法。
  9. 前記保護層は、紫外線硬化樹脂を含み、
    前記加熱加圧工程後に、紫外線を照射して前記保護層を硬化させる紫外線照射工程とさらに含む、請求項記載の加飾フィルム成形体の製造方法。
  10. 前記加熱加圧工程は、加熱された版部材を用いて、前記被剥離基材と前記離型層と前記保護層と前記蒸着層と前記接着層とが積層された積層体を、前記転写基材に対して押し当てて転写する工程である、請求項8または9記載の加飾フィルム成形体の製造方法。
  11. 前記加熱加圧工程は、加熱されたロール状部材を用いて、前記被剥離基材と前記離型層と前記保護層と前記蒸着層と前記接着層とが積層された積層体を、前記転写基材に対して押し当てて転写する工程であり、
    所定方向に搬送される前記積層体および前記転写基材に対して、前記ロール状部材を押し当てつつ回転させることによって、前記積層体を前記転写基材に転写する、請求項8または9記載の加飾フィルム成形体の製造方法。
  12. 前記加熱加圧工程は、加熱された版部材を用いて、前記被剥離基材と前記離型層と前記保護層と前記蒸着層と前記接着層とが積層された積層体を、前記転写基材に対して押し当てて転写する工程であり、
    前記転写基材は、ロール状であり、
    前記積層体を、前記版部材と前記転写基材とで挟みつつ、前記転写基材を前記版部材に沿って転動させることによって、前記積層体を前記転写基材に転写する、請求項8または9記載の加飾フィルム成形体の製造方法。
  13. 前記転写基材形成工程は、所望の形状に成形された前記転写基材に対して、
    前記被剥離基材と前記離型層と前記保護層と前記蒸着層と前記接着層とが積層された積層体を積層し、
    減圧して前記積層体を前記転写基材に密着させた後に、前記加熱加圧工程を行い
    前記加熱加圧工程は、加熱することにより、前記転写基材に対して前記積層体を転写する工程である、請求項8または9記載の加飾フィルム成形体の製造方法。
  14. 前記加熱加圧工程は、
    上下一対の金型部材の一方の金型に、前記被剥離基材と前記離型層と前記保護層と前記蒸着層と前記接着層とが積層された積層体を配置し、
    樹脂を注入するための注入孔が形成された他方の金型と、前記一方の金型とによって、前記積層体を挟み、
    前記転写基材の原料となる熱可塑性樹脂の樹脂溶液を、前記注入孔を介して、挟まれた前記積層体の表面に注入し、
    加熱することによって、前記転写基材上に前記積層体を転写する、請求項8または9記載の加飾フィルム成形体の製造方法。
  15. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の加飾フィルム成形体を用いた、サテンめっき調製品。
  16. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の加飾フィルム成形体を用いた、容器。
  17. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の加飾フィルム成形体を用いた、筐体。
  18. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の加飾フィルム成形体を用いた、車両用内外装部材。
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