JP2020157691A - 加飾フィルム成形体、加飾フィルム成形体の製造方法、サテンめっき調製品、容器、筐体、車両用内外装部材 - Google Patents
加飾フィルム成形体、加飾フィルム成形体の製造方法、サテンめっき調製品、容器、筐体、車両用内外装部材 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】蒸着フィルムを使用して加飾することによって、色ブレが小さく、優れたサテンめっきの金属調の意匠感を示すことができる、加飾フィルム成形体、加飾フィルム成形体の製造方法、サテンめっき調製品、容器、筐体、車両用内外装部材を提供する。【解決手段】基材と、接着層と、蒸着層と、保護層とを有し、フリップフロップ値が30以上である、加飾フィルム成形体。【選択図】図4
Description
本発明は、加飾フィルム成形体、加飾フィルム成形体の製造方法、サテンめっき調製品、容器、筐体、車両用内外装部材に関する。より詳細には、本発明は、蒸着フィルムを使用して加飾した加飾成形体であり、色ブレが小さく、優れたサテンめっきの金属調の意匠感を示すことができる、加飾フィルム成形体、そのような加飾フィルム成形体の製造方法、そのような加飾フィルム成形体を用いたサテンめっき調製品、容器、筐体、車両用内外装部材に関する。
従来、自動車内外装部品等の分野において、高級感を演出するために、クロムめっきや、サテンめっき等の金属調意匠が採用されている。サテンめっきは、ニッケルめっきを施した上に、サテーナ研磨剤によるバフ研磨を施し、製品を艶消しの状態に仕上げたものである。サテンめっきは、落ち着いた質感があり、車の内装部品やエンブレムなどに多く使用されている。
しかしながら、従来のサテンめっきは、工程が複雑であると共に、色ブレが大きい。そのため、めっき以外の表面処理、金属外観仕上げ工法が提案されている。たとえば、めっき以外の工法において、サテンめっきの表面形状と同じ表面形状を再現することが試みられている。また、特許文献1には、特定のアミン化合物およびシロキサン化合物を含むめっき浴を用いてサテンニッケルめっきを行う方法が開示されている。ほかにも、フィルム加飾の技術分野では、マット調の樹脂層を用いることにより、サテンめっきの金属調意匠感を再現しようとする試みが行われている。
しかしながら、従来のめっき以外の表面処理を用いた場合や、従来の加飾性フィルムを用いてサテンめっき調の再現を試みた場合、未だ、サテンめっきと同様の金属調の意匠感を充分に表現できていない。
本発明は、このような従来の発明に鑑みてなされたものであり、蒸着フィルムを使用して加飾することによって、色ブレが小さく、優れたサテンめっきの金属調の意匠感を示すことができる、加飾フィルム成形体、加飾フィルム成形体の製造方法、サテンめっき調製品、容器、筐体、車両用内外装部材を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、サテンめっき調の独特の鈍い金属光沢を示すためには、蒸着層を含むフィルムにおいて、所定の角度(45度)から照射した入射光を、正反射光に対して15°、45°および110°の角度で受光する分光反射率に基づいて算出されるフリップフロップ値が所定の範囲に含まれるよう調整されていることにより、色ブレが小さく、かつ、サテンめっきの金属調の意匠感をより正確に再現できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、上記課題を解決する本発明の加飾フィルム成形体、加飾フィルム成形体の製造方法、サテンめっき調製品、容器、筐体、車両用内外装部材には、以下の構成が主に含まれる。
(1)基材と、接着層と、蒸着層と、保護層とを有し、フリップフロップ値が30以上である、加飾フィルム成形体。
このような構成によれば、加飾フィルム成形体は、色ブレが小さく、優れたサテンめっきの金属調の意匠感を示すことができる。
(2)前記保護層は、表面に凹凸が形成されている、(1)記載の加飾フィルム成形体。
このような構成によれば、加飾フィルム成形体は、保護層表面に形成された凹凸によって、適度に光を散乱させることができる。これにより、加飾フィルム成形体は、白っぽい外観になりにくく、色ブレが小さく、かつ、サテンめっきの金属調の意匠感をより正確に再現できる。
(3)L*a*b*表色系におけるL* 110値が13〜27である、(1)または(2)記載の加飾フィルム成形体。
このような構成によれば、加飾フィルム成形体は、艶消し性が、よりサテンめっきの金属調に類似しており、サテンめっきの金属調の意匠感をより正確に再現できる。
(4)L*a*b*表色系におけるL* 45値が17〜25である、(1)〜(3)のいずれかに記載の加飾フィルム成形体。
このような構成によれば、加飾フィルム成形体は、艶消し性が、よりサテンめっきの金属調に類似しており、サテンめっきの金属調の意匠感をより正確に再現できる。
(5)前記保護層に形成された前記凹凸は、前記蒸着層側に突出した略椀状の凸部を含み、前記凸部の最大径は、2.0〜20μmである、(2)記載の加飾フィルム成形体。
このような構成によれば、加飾フィルム成形体は、色ブレがより小さく、かつ、サテンめっきの金属調の意匠感をより正確に再現できる。
(6)被剥離基材上に、離型層を形成する離型層形成工程と、前記離型層上に、保護層を形成する保護層形成工程と、前記保護層上に、蒸着層を形成する蒸着層形成工程と、前記蒸着層上に、接着層を形成する接着層形成工程と、前記接着層上に、転写基材を形成する転写基材形成工程と、前記被剥離基材および前記離型層を剥離する剥離工程とを含み、前記保護層形成工程は、前記保護層の表面に凹凸を形成する凹凸形成工程を含み、前記凹凸形成工程は、前記保護層を構成する少なくとも2種のポリマー成分を、前記離型層上に付与し、相分離させる相分離工程を含み、フリップフロップ値が30以上である、加飾フィルム成形体の製造方法。
このような構成によれば、蒸着フィルムを使用して加飾することによって、色ブレが小さく、優れたサテンめっきの金属調の意匠感を示すことができる、加飾フィルム成形体を製造することができる。
(7)被剥離基材上に、離型層を形成する離型層形成工程と、前記離型層上に、保護層を形成する保護層形成工程と、前記保護層上に、蒸着層を形成する蒸着層形成工程と、前記蒸着層上に、接着層を形成する接着層形成工程と、前記接着層上に、転写基材を形成する転写基材形成工程と、前記被剥離基材および前記離型層を剥離する剥離工程とを含み、前記保護層形成工程は、凹凸を形成する前の樹脂層に対し、表面に凹凸形状が形成された金型を接触させて、前記樹脂層に凹凸が形成された保護層を作製する工程を含み、フリップフロップ値が30以上である、加飾フィルム成形体の製造方法。
このような構成によれば、蒸着フィルムを使用して加飾することによって、色ブレが小さく、優れたサテンめっきの金属調の意匠感を示すことができる、加飾フィルム成形体を製造することができる。
(8)(1)〜(5)のいずれかに記載の加飾フィルム成形体を用いた、サテンめっき調製品。
このような構成によれば、色ブレが小さく、優れたサテンめっきの金属調の意匠感を示す種々の製品が得られる。
(9)(1)〜(5)のいずれかに記載の加飾フィルム成形体を用いた、容器。
このような構成によれば、たとえば化粧品の容器等の、グロス感や高級感のある外観が所望される容器において、色ブレが小さく、優れたサテンめっきの金属調の意匠感を示す種々の容器が得られる。
(10)(1)〜(5)のいずれかに記載の加飾フィルム成形体を用いた、筐体。
このような構成によれば、たとえば携帯電話等の通信機器の筐体等の、グロス感や高級感のある外観が所望される筐体において、色ブレが小さく、優れたサテンめっきの金属調の意匠感を示す種々の筐体が得られる。
(11)(1)〜(5)のいずれかに記載の加飾フィルム成形体を用いた、車両用内外装部材。
このような構成によれば、グロス感や高級感のある外観が所望される筐体において、色ブレが小さく、優れたサテンめっきの金属調の意匠感を示す種々の車両用内外装部材が得られる。
本発明によれば、蒸着フィルムを使用して加飾することによって、色ブレが小さく、優れたサテンめっきの金属調の意匠感を示すことができる、加飾フィルム成形体、加飾フィルム成形体の製造方法、サテンめっき調製品、容器、筐体、車両用内外装部材を提供することができる。
<加飾フィルム成形体>
本発明の一実施形態の加飾フィルム成形体は、基材と、接着層と、蒸着層と、保護層とを有する。加飾フィルム成形体は、フリップフロップ値(FF値)が30以上である。すなわち、本実施形態の加飾フィルム成形体は、蒸着層を含む蒸着フィルムであり、FF値が上記範囲に調整されていることを特徴とする。これにより、加飾フィルム成形体は、色ブレが小さく、かつ、サテンめっきの金属調の意匠感を正確に再現している。
本発明の一実施形態の加飾フィルム成形体は、基材と、接着層と、蒸着層と、保護層とを有する。加飾フィルム成形体は、フリップフロップ値(FF値)が30以上である。すなわち、本実施形態の加飾フィルム成形体は、蒸着層を含む蒸着フィルムであり、FF値が上記範囲に調整されていることを特徴とする。これにより、加飾フィルム成形体は、色ブレが小さく、かつ、サテンめっきの金属調の意匠感を正確に再現している。
(基材)
基材(転写基材)は特に限定されない。基材は、樹脂シート、紙、布、ゴムシート、発泡体シート等である。樹脂シートは、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン・プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂シート;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂シート;塩化ビニル樹脂シート;酢酸ビニル樹脂シート;ポリイミド樹脂シート;ポリアミド樹脂シート;フッ素樹脂シート;セロハン等が例示される。紙は、和紙、クラフト紙、グラシン紙、上質紙、合成紙、トップコート紙等が例示される。布は、各種繊維状物質の単独または混紡等による織布や不織布等が例示される。ゴムシートは、天然ゴムシート、ブチルゴムシート等が例示される。発泡体シートは、発泡PEシート等の発泡ポリオレフィンシート、発泡ポリエステルシート、発泡ポリウレタンシート、発泡ポリクロロプレンゴムシート等が例示される。これらの中でも、基材は、物理的特性(たとえば、寸法安定性、厚さ精度、加工性、引張強度)、経済性(コスト)等の理由により、ポリエチレンテレフタレート(PET)製であることが好ましい。
基材(転写基材)は特に限定されない。基材は、樹脂シート、紙、布、ゴムシート、発泡体シート等である。樹脂シートは、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン・プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂シート;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂シート;塩化ビニル樹脂シート;酢酸ビニル樹脂シート;ポリイミド樹脂シート;ポリアミド樹脂シート;フッ素樹脂シート;セロハン等が例示される。紙は、和紙、クラフト紙、グラシン紙、上質紙、合成紙、トップコート紙等が例示される。布は、各種繊維状物質の単独または混紡等による織布や不織布等が例示される。ゴムシートは、天然ゴムシート、ブチルゴムシート等が例示される。発泡体シートは、発泡PEシート等の発泡ポリオレフィンシート、発泡ポリエステルシート、発泡ポリウレタンシート、発泡ポリクロロプレンゴムシート等が例示される。これらの中でも、基材は、物理的特性(たとえば、寸法安定性、厚さ精度、加工性、引張強度)、経済性(コスト)等の理由により、ポリエチレンテレフタレート(PET)製であることが好ましい。
基材の厚みは特に限定されない。一例を挙げると、基材の厚みは、4〜200μm程度である。基材の厚みが上記範囲内であることにより、基材は、カールやシワが入りにくくなり、転写性も優れ、コストも安価に抑えられる。
(接着層)
接着層は特に限定されない。一例を挙げると、接着層は、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、ウレタン変性ポリエステル樹脂系、ポリエステル樹脂系、エポキシ樹脂系、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)系、ビニル樹脂系(塩ビ、酢ビ、塩ビ−酢ビ共重合樹脂)、スチレン−エチレン−ブチレン共重合体樹脂系、ポリビニルアルコール樹脂系、ポリアクリルアミド樹脂系、ポリアクリルアミド樹脂系、イソブチレンゴム、イソプレンゴム、天然ゴム、SBR、NBR、シリコーンゴム等の樹脂からなる。これらの樹脂は、適宜、溶剤に溶解されて使用されてもよく、無溶剤で使用されてもよい。
接着層は特に限定されない。一例を挙げると、接着層は、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、ウレタン変性ポリエステル樹脂系、ポリエステル樹脂系、エポキシ樹脂系、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)系、ビニル樹脂系(塩ビ、酢ビ、塩ビ−酢ビ共重合樹脂)、スチレン−エチレン−ブチレン共重合体樹脂系、ポリビニルアルコール樹脂系、ポリアクリルアミド樹脂系、ポリアクリルアミド樹脂系、イソブチレンゴム、イソプレンゴム、天然ゴム、SBR、NBR、シリコーンゴム等の樹脂からなる。これらの樹脂は、適宜、溶剤に溶解されて使用されてもよく、無溶剤で使用されてもよい。
接着層の厚みは特に限定されない。一例を挙げると、接着層の厚みは、0.5〜5μm程度である。
(蒸着層)
蒸着層は特に限定されない。一例を挙げると、蒸着層は、非金属、金属、金属酸化物および金属窒化物からなる群から選択される少なくとも1種(金属等ともいう)である。非金属、金属等は特に限定されない。一例を挙げると、非金属は、アモルファスカーボン(DLC)およびその複合体、金属等は、珪素、チタン、スズ、亜鉛、アルミニウム、インジウムおよびマグネシウムからなる群から選択される少なくとも1つの金属、その酸化物、その窒化物である。これらの中でも、金属等は、インジウム、スズ、アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化珪素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO)、亜鉛スズ酸化物(ZTO)等であることが好ましく、インジウム、スズ、アルミニウムまたは酸化アルミニウムであることがより好ましい。蒸着層がインジウム、スズ、アルミニウムまたは酸化アルミニウムからなることにより、得られる加飾フィルム成形体は、サテンめっきの金属調の意匠感を示しやすい。
蒸着層は特に限定されない。一例を挙げると、蒸着層は、非金属、金属、金属酸化物および金属窒化物からなる群から選択される少なくとも1種(金属等ともいう)である。非金属、金属等は特に限定されない。一例を挙げると、非金属は、アモルファスカーボン(DLC)およびその複合体、金属等は、珪素、チタン、スズ、亜鉛、アルミニウム、インジウムおよびマグネシウムからなる群から選択される少なくとも1つの金属、その酸化物、その窒化物である。これらの中でも、金属等は、インジウム、スズ、アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化珪素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO)、亜鉛スズ酸化物(ZTO)等であることが好ましく、インジウム、スズ、アルミニウムまたは酸化アルミニウムであることがより好ましい。蒸着層がインジウム、スズ、アルミニウムまたは酸化アルミニウムからなることにより、得られる加飾フィルム成形体は、サテンめっきの金属調の意匠感を示しやすい。
蒸着層の厚みは特に限定されない。一例を挙げると、蒸着層の厚みは、7nm以上であることが好ましく、20nm以上であることがより好ましい。また、蒸着層の厚みは、100nm以下であることが好ましく、80nm以下であることがより好ましい。蒸着層の厚みが上記範囲内であることにより、蒸着層は、適度な可撓性を有し、後述する凹凸形成工程によって保護層の表面に凹凸が形成された場合に、このような保護層を覆うよう形成されると、保護層の凹凸に追従する形状に変形しやすい。
(保護層)
保護層は特に限定されない。一例を挙げると、保護層は、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等である。また、保護層を構成する樹脂は、後述する凹凸を形成する方法によってFF値が調整される場合には、凹凸を形成する方法の種類によって、最適な材料が選択され得る。たとえば、相分離をおこなうことにより凹凸を形成する場合には、保護層を構成する樹脂は、互いに相分離を起こす少なくとも2種のポリマーを含むよう選択され得る。また、樹脂に金型を押し当てて光硬化することによって保護層の表面に凹凸を形成する場合には、保護層を構成する樹脂は、光硬化型樹脂を含むよう選択され得る。さらに、樹脂に金型を押し当てて熱硬化することによって保護層の表面に凹凸を形成する場合には、保護層を構成する樹脂は、熱硬化型樹脂を含むよう選択され得る。
保護層は特に限定されない。一例を挙げると、保護層は、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等である。また、保護層を構成する樹脂は、後述する凹凸を形成する方法によってFF値が調整される場合には、凹凸を形成する方法の種類によって、最適な材料が選択され得る。たとえば、相分離をおこなうことにより凹凸を形成する場合には、保護層を構成する樹脂は、互いに相分離を起こす少なくとも2種のポリマーを含むよう選択され得る。また、樹脂に金型を押し当てて光硬化することによって保護層の表面に凹凸を形成する場合には、保護層を構成する樹脂は、光硬化型樹脂を含むよう選択され得る。さらに、樹脂に金型を押し当てて熱硬化することによって保護層の表面に凹凸を形成する場合には、保護層を構成する樹脂は、熱硬化型樹脂を含むよう選択され得る。
保護層の厚みは特に限定されない。一例を挙げると、保護層の厚みは、1.0μm以上20μm以下であることが好ましい。保護層の厚みが上記範囲内であることにより、加飾フィルム成形体は、耐擦傷性、耐摩耗性が優れる。なお、保護層の表面に凹凸が形成される場合には、保護層の厚みは、凹凸を含む最も厚みの大きくなる位置が上記範囲に含まれることが好ましい。
保護層は、表面に凹凸が形成されていることが好ましい。このような凹凸が形成されていることにより、加飾フィルム成形体は、保護層表面に形成された凹凸によって、適度に光を散乱させることができる。これにより、加飾フィルム成形体は、白っぽい外観になりにくく、色ブレが小さく、かつ、サテンめっきの金属調の意匠感をより正確に再現できる。また、加飾フィルム成形体は、保護層の表面に凹凸が形成されていることにより、FF値を30以上に調整しやすい。
保護層の表面に凹凸を形成する方法および凹凸の寸法は特に限定されない。凹凸の形成方法および寸法は、後述される。
加飾フィルム成形体全体の説明に戻り、FF値は、30以上であればよく、35以上であることが好ましい。FF値の上限は特に限定されない。FF値が30未満である場合、加飾フィルム成形体は、入射した光が散乱し過ぎて白っぽい外観になったり、サテンめっき調の意匠感を表現しにくい。なお、本実施形態において、FF値は、視覚の方向により相違する明度の比を表わすパラメータである。FF値は、たとえば、エックスライト社製の多角度分光測色計(MA−68)を使用して測定することができる。図1は、本実施形態のFF値を説明するための模式図である。図1に示されるように、保護層4に対して45°の角度から照射された光(入射光La)は、保護層4によって正反射される(正反射光Lb)。ここで、反射光は、正反射されるだけでなく、正反射光Lbに対して所定の角度(15°、45°および110°)となる方向にも反射され得る。
FF値は、多角度分光光度計を用いて、加飾フィルム成形体1に45度の角度から照射した入射光Laを、正反射光Lbに対して15、45、110度の角度(受光角)となるよう反射した反射光(それぞれ分光L15、分光L45および分光L110)で受光した分光反射率を測定し、以下の算出式に基づいて算出することができる。すなわち、受光角15度の分光反射率に基づいて計算したL*値(これを「L* 15」とする)と、受光角45度の分光反射率に基づいて計算したL*値(これを「L* 45」とする)と、受光角110度の分光反射率に基づいて計算したL*値(これを「L* 110」とする)とに基づいて、FF値は、下記計算式(1)により、算出することができる。なお、L*値は、JIS Z 8729に規定されるL*a*b*表色系におけるL*値である。
FF値=[2.69×(L* 15−L* 110)1.11]/(L* 45)0.85 (1)
FF値=[2.69×(L* 15−L* 110)1.11]/(L* 45)0.85 (1)
本実施形態の加飾フィルム成形体は、L*a*b*表色系におけるL* 110値が13以上であることが好ましく、16以上であることがより好ましい。また、加飾フィルム成形体は、L*a*b*表色系におけるL* 110値が27以下であることが好ましく、20以下であることがより好ましい。L* 110値が上記範囲内であることにより、加飾フィルム成形体は、より質感の高い金属調意匠を発現できる。その結果、加飾フィルム成形体は、艶消し性が、よりサテンめっきの金属調に類似しており、サテンめっきの金属調の意匠感をより正確に再現できる。
本実施形態の加飾フィルム成形体は、L*a*b*表色系におけるL* 45値が17以上であることが好ましく、20以上であることがより好ましい。また、加飾フィルム成形体は、L*a*b*表色系におけるL* 45値が25以下であることが好ましく、23以下であることがより好ましい。L* 45値が上記範囲内であることにより、加飾フィルム成形体は、より質感の高い金属調の意匠を発現できる。その結果、加飾フィルム成形体は、艶消し性が、よりサテンめっきの金属調に類似しており、サテンめっきの金属調の意匠感をより正確に再現できる。
本実施形態において、FF値を上記範囲に調整する方法は特に限定されない。一例を挙げると、本実施形態の加飾フィルム成形体は、各層のいずれかの表面形状を加工したり、フィラーを添加したりすることにより、FF値を上記範囲に調整し得る。より具体的には、加飾フィルム成形体は、(1)保護層にスピノーダル分解による相分離を起こさせることにより、保護層の表面に凹凸を形成する方法、(2)各層に凹凸の金型等を押し当てて表面に凹凸を形成する方法、(3)フィラーを添加することにより、いずれかの層の表面に凹凸を形成する方法、(4)各層の形成時に使用する溶剤(樹脂を含む溶剤)を揮発させることにより、層の表面性状を粗くする方法、(5)いずれかの層に、空気を内包させる方法、(6)いずれかの層にレーザーエッチング処理を施す方法等により、FF値を上記範囲に調整し得る。以下、一例として、(1)保護層に層分離を起こさせることにより、保護層の表面に凹凸を形成する方法、(2)各層に凹凸の金型等を押し当てて表面に凹凸を形成する方法について例示する。
<第1の実施形態>
本発明の一実施形態(第1の実施形態)の加飾フィルム成形体について、図1〜図3を参照して説明する。なお、説明の明瞭化のため、加飾フィルム成形体の製造方法を説明し、その後、得られる加飾フィルム成形体について説明する。図1は、本実施形態の加飾フィルム成形体1の製造方法を説明するための模式的な断面図である。図2は、本実施形態の加飾フィルム成形体1の製造方法を説明するための模式的な断面図である。図3は、本実施形態の加飾フィルム成形体1の模式的な断面図である。
本発明の一実施形態(第1の実施形態)の加飾フィルム成形体について、図1〜図3を参照して説明する。なお、説明の明瞭化のため、加飾フィルム成形体の製造方法を説明し、その後、得られる加飾フィルム成形体について説明する。図1は、本実施形態の加飾フィルム成形体1の製造方法を説明するための模式的な断面図である。図2は、本実施形態の加飾フィルム成形体1の製造方法を説明するための模式的な断面図である。図3は、本実施形態の加飾フィルム成形体1の模式的な断面図である。
本実施形態の加飾フィルム成形体1の製造方法は、被剥離基材2上に、離型層3を形成する離型層形成工程と、離型層3上に、保護層4を形成する保護層形成工程と、保護層4上に、蒸着層5を形成する蒸着層形成工程と、蒸着層5上に、接着層6を形成する接着層形成工程と、接着層6上に、転写基材7を形成する転写基材形成工程と、被剥離基材2および離型層3を剥離する剥離工程とを含む。保護層形成工程は、保護層4の表面に凹凸8を形成する凹凸形成工程を含む。凹凸形成工程は、保護層4を構成する少なくとも2種のポリマー成分を、離型層3上に付与し、相分離させる相分離工程を含む。本実施形態の加飾フィルム成形体1の製造方法は、これらの工程を実施することにより、FF値が30以上である、加飾フィルム成形体1を製造する。以下、それぞれの工程について説明する。
(離型層形成工程)
離型層形成工程は、被剥離基材2上に、離型層3を形成する工程である。
離型層形成工程は、被剥離基材2上に、離型層3を形成する工程である。
被剥離基材2は特に限定されない。一例を挙げると、被剥離基材2は、樹脂シート、紙、布、ゴムシート、発泡体シート等である。樹脂シートは、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン・プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂シート;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂シート;塩化ビニル樹脂シート;酢酸ビニル樹脂シート;ポリイミド樹脂シート;ポリアミド樹脂シート;フッ素樹脂シート;セロハン等が例示される。紙は、和紙、クラフト紙、グラシン紙、上質紙、合成紙、トップコート紙等が例示される。布は、各種繊維状物質の単独または混紡等による織布や不織布等が例示される。ゴムシートは、天然ゴムシート、ブチルゴムシート等が例示される。発泡体シートは、発泡PEシート等の発泡ポリオレフィンシート、発泡ポリエステルシート、発泡ポリウレタンシート、発泡ポリクロロプレンゴムシート等が例示される。これらの中でも、基材は、物理的特性(たとえば、寸法安定性、厚さ精度、加工性、引張強度)、経済性(コスト)等の理由により、ポリエチレンテレフタレート(PET)製であることが好ましい。
被剥離基材2の厚みは特に限定されない。一例を挙げると、被剥離基材2の厚みは、4μm〜200μm程度である。被剥離基材2の厚みが上記範囲内であることにより、基材は、カールやシワが入りにくくなり、転写性も優れ、コストも安価に抑えられる。
離型層3は特に限定されない。一例を挙げると、離型層3は、シリコーン樹脂系、フッ素樹脂系、セルロース誘導体樹脂系、尿素樹脂系、ポリオレフィン樹脂系、メラミン樹脂系等の離型剤からなる。
離型層3を形成する方法は特に限定されない。一例を挙げると、離型層3は、ロールコーター等を用いて離型剤を被剥離基材2上に塗布することにより形成し得る。
離型層3の厚みは特に限定されない。一例を挙げると、離型層3の厚みは、0.01〜5μm程度である。
離型層3内にフィラーを混ぜて、離型層3の保護層4側の表面に凹凸を形成してもよい。
(保護層形成工程)
保護層形成工程は、離型層3上に、保護層4を形成する工程であり、保護層4の表面に凹凸を形成する凹凸形成工程を含む。保護層4を構成する原材料および寸法等は上記と同様である。
保護層形成工程は、離型層3上に、保護層4を形成する工程であり、保護層4の表面に凹凸を形成する凹凸形成工程を含む。保護層4を構成する原材料および寸法等は上記と同様である。
凹凸形成工程は、保護層4を構成する少なくとも2種のポリマー成分(硬化性樹脂成分)を、離型層3上に付与し、相分離(スピノーダル分解による相分離)させる相分離工程を含む。2種の硬化性樹脂成分は特に限定されない。一例を挙げると、2種の硬化性樹脂成分は、保護層4を形成するために離型層3上に塗布された後、乾燥中に相分離を起こし得る2種の硬化性樹脂成分であればよい。
硬化性樹脂は、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂のいずれであってもよい。生産性などの点から、硬化性樹脂は、(メタ)アクリル系光硬化性樹脂が汎用される。(メタ)アクリル系光硬化性樹脂は、例えば、多官能性(メタ)アクリレート[例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの2〜8程度の重合性基を有する(メタ)アクリレートなど]、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、重合性基を有する(メタ)アクリル系樹脂などが挙げられる。
また相分離可能な樹脂成分の組み合わせは、光硬化性樹脂同士の組み合わせ、光硬化性樹脂成分とポリマー成分(熱可塑性樹脂)との組み合わせ、ポリマー成分同士の組み合わせのいずれであってもよく、例えば、(メタ)アクリル系重合体(例えば、ポリメタクリル酸メチル、重合性基を有する(メタ)アクリル系重合体など)と、セルロースエステル類(セルロースアセテートプロピオネートなどのセルロースアセテートC3−4アシレートなど)又はポリエステル(ウレタン変性ポリエステルなど)との組み合わせであってもよい。
2種の硬化性樹脂の混合比率は特に限定されない。一例を挙げると、2種の硬化性樹脂の混合比率は、それぞれ、10:90〜90:10であることが好ましく、25:75〜75:25であることがより好ましい。また、3種以上の硬化性樹脂を混合する場合であっても、相分離した2つの相の体積比率が10:90〜90:10であることが好ましく、25:75〜75:25であることがより好ましい。
これら2種の硬化性樹脂を含む保護層4を形成する方法は特に限定されない。一例を挙げると、保護層4は、熱可塑性樹脂からなるラテックス・エマルジョンを50質量%以上と、相分離する少なくとも2種の硬化性樹脂(バインダー、増粘剤、分散剤、その他の添加剤)の組み合わせを50質量%未満含む樹脂溶液を準備し、2種の硬化性樹脂を溶解または微分散させ、適宜、他の添加剤を加えて塗布液を調製し、離型層3上に塗布することが好ましい。塗布された塗布液は、熱乾燥または風乾され、スピノーダル分解による相分離を起こし、表面に凹凸を形成する。
塗布液の塗布量は特に限定されない。一例を挙げると、塗布量は、0.1〜10g/m2であることが好ましく、0.2〜5g/m2であることがより好ましい。なお、相分離による凹凸は、たとえば、光学干渉顕微鏡や走査型電子顕微鏡によって観察し得る。
保護層4の厚みは特に限定されない。一例を挙げると、保護層4の厚みは、2.0〜8.0μm程度である。なお、保護層4の厚みは、凹凸(特に凸部)が露出している場合は、凸部の高さを含む厚みである。
図2に示されるように、保護層4は、離型層3と接する側と反対の表面に、相分離によって形成された凹凸(略椀状の凸部)が形成されている。
凸部の最大径L1は、2.0μm以上20μm以下であることが好ましい。凸部の高さL2は、0.5μm以上5.0μm以下であることが好ましい。凸部の最大径および高さが上記範囲内であることにより、得られる加飾フィルム成形体1は、艶消しの程度が適切に調整されやすく、FF値が上記範囲になるよう調整されやすい。その結果、加飾フィルム成形体1は、保護層4表面に形成された凹凸によって、適度に光を散乱させることができる。その結果、加飾フィルム成形体1は、白っぽい外観になりにくく、色ブレが小さく、かつ、サテンめっきの金属調の意匠感をより正確に再現できる。
凸部の最大径L1は、加飾フィルム成形体の面を垂直方向から電子顕微鏡または光学顕微鏡を用いて観察し、凸部をランダムに20個サンプリングし、凸部の輪郭の最大径を測定し、20個の平均値から算出し得る。
また、凸部のアスペクト比(最大径/高さ)は、1.0以上20以下であることが好ましい。凸部の寸法が上記範囲内であることにより、得られる加飾フィルム成形体1は、特に白っぽい外観になりにくく、色ブレが小さく、かつ、サテンめっきの金属調の意匠感をより正確に再現できる。
本実施形態の加飾フィルム成形体1の保護層4は、凹凸8が形成されていることにより、適度に入射光を散乱させることができる。一方、保護層4は、必要に応じて、フィラーを含んでもよい。フィラーを含むことにより、保護層4の表面における凹凸8による散乱だけでなく、保護層4内部のフィラーによっても入射光が散乱される。これにより、加飾フィルム成形体1は、所望により、散乱する光の程度を調整することができる。なお、加飾フィルム成形体1は、保護層4の凹凸8によって充分に光の散乱を調整し得る場合には、フィラーが添加されなくてもよい。
離型層3にフィラーを添加した場合には、保護層4の蒸着層5と反対側の表面に凹凸が形成される。これにより、艶消しがより向上する。
(蒸着層形成工程)
蒸着層形成工程は、保護層4上に、蒸着層5を形成する工程である。蒸着層5を構成する原材料および寸法等は上記と同様である。
蒸着層形成工程は、保護層4上に、蒸着層5を形成する工程である。蒸着層5を構成する原材料および寸法等は上記と同様である。
蒸着層形成工程において、保護層4上に蒸着層5を形成する方法は特に限定されない。一例を挙げると、蒸着方法は、従来公知の真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理蒸着法、または、化学蒸着法等を適宜採用し得る。これらの中でも、本実施形態の加飾フィルム成形体1の製造方法は、生産性が高いという理由により、真空蒸着法により蒸着層5を設けることが好ましい。蒸着条件は、蒸着層5の材料や、所望する蒸着層5の厚みに基づいて、従来公知の条件が適宜採用され得る。なお、金属を蒸着する場合において、金属材料は、不純物が少なく、純度が99重量%以上であることが好ましく、99.5重量%以上であることがより好ましい。また、金属材料は、粒状、ロッド状、タブレット状、ワイヤー状あるいは使用するルツボ形状に加工したものであることが好ましい。金属材料を蒸発させるための加熱方法は、ルツボ中に金属材料を入れて抵抗加熱あるいは高周波加熱を行う方式や、電子ビーム加熱を行う方法、窒化硼素などのセラミック製のボードに金属材料を入れ直接抵抗加熱を行う方法など、周知の方法を用いることができる。真空蒸着に用いるルツボは、カーボン製であることが望ましく、アルミナやマグネシア、チタニア、ベリリア性のルツボであってもよい。
蒸着層形成工程において、蒸着層5は、凹凸の形成された保護層4上に形成される。そのため、蒸着層5には、保護層4の凹凸の形状に沿った凹凸が形成される。
(接着層形成工程)
接着層形成工程は、蒸着層5上に、接着層6を形成する工程である。接着層6を構成する原材料および寸法等は上記と同様である。
接着層形成工程は、蒸着層5上に、接着層6を形成する工程である。接着層6を構成する原材料および寸法等は上記と同様である。
接着層6が形成されていることにより、保護層4の凹凸および蒸着層5の凹凸は、接着層6によって埋設された状態となる。そのため、得られる接着層6の表面は、概ね、平坦である。
接着層6を形成する方法は特に限定されない。一例を挙げると、接着層6は、ロールコーター等を用いて、適宜溶剤に溶解した接着層6を構成する樹脂溶液を、蒸着層5上に塗布することにより形成し得る。
(転写基材形成工程)
転写基材形成工程は、図2に示されるように、接着層6上に、転写基材7を形成する工程である。転写基材7を構成する原材料および寸法等は上記と同様である。
転写基材形成工程は、図2に示されるように、接着層6上に、転写基材7を形成する工程である。転写基材7を構成する原材料および寸法等は上記と同様である。
(剥離工程)
剥離工程は、被剥離基材2および離型層3を剥離する工程である。図3に示されるように、剥離工程によれば、被剥離基材2と、離型層3とが剥離される。その結果、保護層4の表面が露出される。
剥離工程は、被剥離基材2および離型層3を剥離する工程である。図3に示されるように、剥離工程によれば、被剥離基材2と、離型層3とが剥離される。その結果、保護層4の表面が露出される。
以上の工程を経て、本実施形態の加飾フィルム成形体1が作製される。加飾フィルム成形体1は、保護層4の表面に、凹凸(凹凸8)が形成されている。これにより、加飾フィルム成形体1は、適度に光を散乱させることができる。これにより、加飾フィルム成形体1は、白っぽい外観になりにくく、色ブレが小さく、かつ、サテンめっきの金属調の意匠感をより正確に再現できる。
以上、上記実施形態(第1の実施形態)において作製された加飾フィルム成形体は、いずれも、白っぽい外観になりにくく、色ブレが小さく、優れたサテンめっきの金属調の意匠感を示す。そのため、このような加飾フィルム成形体は、サテンめっきの金属調を付した種々の製品(サテンめっき調製品)に用いることができる。これにより、得られるサテンめっき調製品は、いずれも色ブレが小さく、優れたサテンめっきの金属調の意匠感を示す。
特に、本実施形態の加飾フィルム成形体は、種々の容器に適用されることにより、たとえば化粧品の容器、飲料の容器等の、グロス感や高級感のある外観が所望される容器において、色ブレが小さく、優れたサテンめっきの金属調の意匠感を示す種々の容器が得られる。
また、本実施形態の加飾フィルム成形体は、種々の筐体に適用されることにより、たとえば携帯電話等の通信機器、家電製品の筐体等の、グロス感や高級感のある外観が所望される筐体において、色ブレが小さく、優れたサテンめっきの金属調の意匠感を示す種々の筐体が得られる。
さらに、本実施形態の加飾フィルム成形体は、種々の車両用内外装部材に適用されることにより、グロス感や高級感のある外観が所望される種々の車両用内外装部材において、色ブレが小さく、優れたサテンめっきの金属調の意匠感を示す種々の車両用内外装部材が得られる。
他にも、本実施形態の加飾フィルム成形体は、たとえば顧客や物品等の識別情報等を記憶させた会員証、商品タグ、診察券、学生証、キャッシュカード、クレジットカード、乗車券、マイレージカード、ポイントカード、磁気カード等のセキュリティや非模倣性が要求される物品の一部分または全体に好適に使用される。
<第2の実施形態>
本発明の一実施形態(第2の実施形態)の加飾フィルム成形体について、図5〜図7を参照して説明する。なお、説明の明瞭化のため、加飾フィルム成形体の製造方法を説明し、その後、得られる加飾フィルム成形体について説明する。図5は、本実施形態の加飾フィルム成形体の製造方法を説明するための模式的な断面図である。図6は、本実施形態の加飾フィルム成形体の製造方法を説明するための模式的な断面図である。図7は、本実施形態の加飾フィルム成形体の保護層4aの模式的な断面図である。なお、本実施形態の加飾フィルム成形体および加飾フィルム成形体の製造方法は、保護層4aの作製方法(保護層形成工程)が異なる以外は、上記した第1の実施形態の加飾フィルム成形体1(図4参照)および加飾フィルム成形体1の製造方法と同様である。そのため、重複する説明は適宜省略され、重複する部材は同様の参照符号が付される。
本発明の一実施形態(第2の実施形態)の加飾フィルム成形体について、図5〜図7を参照して説明する。なお、説明の明瞭化のため、加飾フィルム成形体の製造方法を説明し、その後、得られる加飾フィルム成形体について説明する。図5は、本実施形態の加飾フィルム成形体の製造方法を説明するための模式的な断面図である。図6は、本実施形態の加飾フィルム成形体の製造方法を説明するための模式的な断面図である。図7は、本実施形態の加飾フィルム成形体の保護層4aの模式的な断面図である。なお、本実施形態の加飾フィルム成形体および加飾フィルム成形体の製造方法は、保護層4aの作製方法(保護層形成工程)が異なる以外は、上記した第1の実施形態の加飾フィルム成形体1(図4参照)および加飾フィルム成形体1の製造方法と同様である。そのため、重複する説明は適宜省略され、重複する部材は同様の参照符号が付される。
(離型層形成工程)
離型層形成工程は、第1の実施形態に関連して上記した離型層形成工程と同様である。
離型層形成工程は、第1の実施形態に関連して上記した離型層形成工程と同様である。
(保護層形成工程)
保護層形成工程は、離型層3上に、保護層4aを形成する工程である。
保護層形成工程は、離型層3上に、保護層4aを形成する工程である。
保護層4aは特に限定されない。保護層4aを構成する原材料は、光硬化性樹脂または熱硬化性樹脂を含むことが好ましい。
熱硬化性樹脂は特に限定されない。熱硬化性樹脂は、加熱により硬化可能な官能基を有する化合物であればよく、エポキシ基、オキセタニル基等の環状エーテルを有する硬化性化合物等である。
環状エーテルを有する熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、フラン樹脂等である。これらの中でも、熱硬化性樹脂は、反応速度や汎用性の観点からエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、オキセタン樹脂であることが好ましい。エポキシ樹脂は特に限定されない。一例を挙げると、エポキシ樹脂は、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、ビフェニルノボラック型、トリスフェノールノボラック型、ジシクロペンタジエンノボラック型等のノボラック型;ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、2、2’−ジアリルビスフェノールA型、水添ビスフェノール型、ポリオキシプロピレンビスフェノールA型等のビスフェノール型等である。
熱硬化性樹脂は、必要に応じて、熱硬化剤が併用されてもよい。熱硬化剤は特に限定されない。熱硬化剤は、加熱により熱硬化性樹脂中の不飽和二重結合やエポキシ基等を反応させ、架橋させるためのものであればよく、酸無水物、アミン類、フェノール類、イミダゾール類、ジヒドラジン類、ルイス酸、ブレンステッド酸塩類、ポリメルカプトン類、イソシアネート類、ブロックイソシアネート類等であることが好ましい。
光硬化性樹脂は特に限定されない。光硬化性樹脂は、光照射により硬化可能な官能基を有する化合物であればよく、ビニル基、ビニルエーテル基、アリル基、マレイミド基、(メタ)アクリル基等の不飽和二重結合を有する硬化性化合物を有する樹脂である。
(メタ)アクリル基を有する樹脂は、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1、4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、水酸基含有(メタ)アクリレートと多カルボン酸化合物の酸無水物の反応物であるハーフエステル、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、グリセリンポリプロポキシトリ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールとε−カプロラクトンの反応物のポリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、モノまたはポリグリシジル化合物と(メタ)アクリル酸の反応物であるエポキシ(メタ)アクリレート等である。
光硬化性樹脂は、必要に応じて、光反応開始剤が併用されてもよい。光反応開始剤は特に限定されない。光反応開始剤は、光照射により、光硬化性樹脂中の不飽和二重結合やエポキシ基等を重合反応させるためのものであればよく、カチオン重合型光開始剤やラジカル重合型光開始剤等であることが好ましい。
以下、一例として、保護層4aを形成する原材料が光硬化性樹脂を含む場合について例示する。
保護層形成工程は、図5に示されるように、光硬化性樹脂を含む樹脂層4bを、離型層3上に形成する。なお、樹脂層4bは、凹凸8aが形成された後に硬化されることにより、保護層4aとなる層である。
樹脂層4bを離型層3上に形成する方法は特に限定されない。一例を挙げると、樹脂層4bは、ロールコーター等を用いて樹脂層4bを形成する樹脂材料を離型層3上に塗布することにより形成し得る。この時点において、樹脂層4bは完全には硬化されていない。
図6に示されるように、得られた樹脂層4bに対し、所望する凹凸が表面に形成された金型Mを、接触させる。これにより、樹脂層4bに凹凸が埋設され、樹脂層4bの表面は、金型Mの凹凸と相補的な形状に加工される。次いで、この状態で、光照射(たとえば紫外線照射)が行われ、樹脂層4bが硬化される。
光照射の条件は特に限定されない。光照射の条件は、樹脂層4bが適切に硬化する条件が採用され得る。一例を挙げると、光照射は、積算光量が100〜1000mJ/cm2となる範囲で実施され得る。
図7に示されるように、金型Mが引き抜かれると、表面に凹凸8aの形成された樹脂層4b(保護層4a)が作製される。保護層4aに形成された凹凸8aの寸法等は上記と同様である。
得られた保護層4aには、第1の実施形態に関連して上記したように、蒸着層、接着層および転写基材が形成される(それぞれ蒸着層形成工程、接着層形成工程、転写基材形成工程。いずれも図示せず)。その後、被剥離性基材および離型層が剥離され、FF値が30以上である加飾フィルム成形体が製造される。
以上の工程を経て、作製された加飾フィルム成形体は、保護層4aの表面に、凹凸(凹凸8a)が形成されている。これにより、加飾フィルム成形体は、適度に光を散乱させることができる。これにより、加飾フィルム成形体は、白っぽい外観になりにくく、色ブレが小さく、かつ、サテンめっきの金属調の意匠感をより正確に再現できる。
また、本実施形態では、金型Mを用いて保護層4aの表面に凹凸8aを形成する。そのため、得られる凹凸8aは、相分離によって形成される凹凸8(図2参照)と比較して、寸法の精度が高い。
以上、上記実施形態(第2の実施形態)において作製された加飾フィルム成形体は、いずれも、白っぽい外観になりにくく、色ブレが小さく、優れたサテンめっきの金属調の意匠感を示す。そのため、このような加飾フィルム成形体は、サテンめっきの金属調を付した種々の製品(サテンめっき調製品)に用いることができる。これにより、得られるサテンめっき調製品は、いずれも色ブレが小さく、優れたサテンめっきの金属調の意匠感を示す。
また、上記実施形態では、いずれも保護層の表面に形成される凹凸が、凸部である場合について例示した。これに代えて、保護層の表面に凹部が形成されてもよい。
また、上記実施形態(第2の実施形態)では、保護層を形成するための原材料が光硬化性樹脂を含む場合について例示した。これに代えて、保護層を形成するための原材料は、熱硬化性樹脂を含んでもよい。この場合、保護層形成工程は、金型を樹脂層に接触させた後、光照射に代えて、熱が加えられる。加熱条件は特に限定されない。一例を挙げると、加熱条件は、50〜200℃で1〜30分程度である。
さらに、上記実施形態では、蒸着層形成工程として、保護層上に、蒸着層を形成する工程を例示した。これに代えて、蒸着層形成工程は、保護層上に蒸着アンカー層を形成し、次いで、蒸着アンカー層に蒸着層を形成する工程であってもよい。
蒸着アンカー層は、保護層と蒸着層との密着性を向上させるために好適に設けられる。蒸着アンカー層は特に限定されない。一例を挙げると、蒸着アンカー層は、保護層との密着性がよく、かつ、蒸着層を構成する金属の受理性がよい原料であればよく、アクリル系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン−マレイン系酸樹脂、塩素化PP系樹脂等である。
蒸着アンカー層を形成する方法は特に限定されない。一例を挙げると、蒸着アンカー層は、ロールコーター等を用いて、適宜溶剤に溶解した蒸着アンカー層を構成する樹脂溶液を、保護層上に塗布することにより形成し得る。
蒸着アンカー層の厚みは特に限定されない。一例を挙げると、蒸着アンカー層の厚みは、0.1μm〜3μmが好ましい。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。本発明は、これら実施例に何ら限定されない。なお、特に制限のない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味する。
<実施例1>
被剥離基材として、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み:25μm)を用いた。アクリルメラミン樹脂溶液(添加量:93部)、硬化剤(p−トルエンスルホン酸、添加量:7部)をバーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂層を150℃,60秒にて硬化させ、離型層(厚み:1.0μm)を作製した(離型層形成工程)。離型層上に、UV硬化性オリゴマー(HCL001−A 三菱ケミカル(株)製 添加量:7.5部、HCL001−B 三菱ケミカル(株)製 添加量 12.3部)をバーコーターにて塗工し、相分離させ、紫外線硬化装置(アイグラフィックス(株)製、ECS−4011GX、高圧水銀ランプ)を用いて、積算光量500mJ/cm2にて硬化させることにより、凹凸保護層(膜厚2.5μm)を形成した(保護層形成工程)(凹凸の詳細:平均長径5μm、高さ1.0〜1.5μmの凸形状)。保護層上に抵抗加熱式蒸着機を用い、インジウムの真空蒸着を行った。厚み50nmのインジウム膜(蒸着層)を形成した(蒸着層形成工程)。蒸着層上に、アクリル樹脂(添加量:38部)およびウレタン樹脂溶液(添加量:57部)を、バーコーターにて塗工し、接着層(厚み:1.0μm)を作製した(接着層形成工程)。接着層上に、黒ABS板(転写基材)を、アップダウン転写機(ナビタス(株)製、MP−6)を用いて、押し付け荷重1kN、刻印温度180℃、転写時間1.0sという条件で押し当てた(転写基材形成工程)。そして、加飾フィルム成形体を得た。
被剥離基材として、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み:25μm)を用いた。アクリルメラミン樹脂溶液(添加量:93部)、硬化剤(p−トルエンスルホン酸、添加量:7部)をバーコーターにて塗工した。この未硬化樹脂層を150℃,60秒にて硬化させ、離型層(厚み:1.0μm)を作製した(離型層形成工程)。離型層上に、UV硬化性オリゴマー(HCL001−A 三菱ケミカル(株)製 添加量:7.5部、HCL001−B 三菱ケミカル(株)製 添加量 12.3部)をバーコーターにて塗工し、相分離させ、紫外線硬化装置(アイグラフィックス(株)製、ECS−4011GX、高圧水銀ランプ)を用いて、積算光量500mJ/cm2にて硬化させることにより、凹凸保護層(膜厚2.5μm)を形成した(保護層形成工程)(凹凸の詳細:平均長径5μm、高さ1.0〜1.5μmの凸形状)。保護層上に抵抗加熱式蒸着機を用い、インジウムの真空蒸着を行った。厚み50nmのインジウム膜(蒸着層)を形成した(蒸着層形成工程)。蒸着層上に、アクリル樹脂(添加量:38部)およびウレタン樹脂溶液(添加量:57部)を、バーコーターにて塗工し、接着層(厚み:1.0μm)を作製した(接着層形成工程)。接着層上に、黒ABS板(転写基材)を、アップダウン転写機(ナビタス(株)製、MP−6)を用いて、押し付け荷重1kN、刻印温度180℃、転写時間1.0sという条件で押し当てた(転写基材形成工程)。そして、加飾フィルム成形体を得た。
<実施例2>
保護層形成工程において、保護層の厚みを3.5μmに変更した以外は、実施例1と同様の方法により、加飾フィルム成形体を作製した。
保護層形成工程において、保護層の厚みを3.5μmに変更した以外は、実施例1と同様の方法により、加飾フィルム成形体を作製した。
<実施例3>
保護層形成工程において、保護層の厚みを5.5μmに変更した以外は、実施例1と同様の方法により、加飾フィルム成形体を作製した。
保護層形成工程において、保護層の厚みを5.5μmに変更した以外は、実施例1と同様の方法により、加飾フィルム成形体を作製した。
<比較例1>
保護層形成工程において、保護層にフィラーが含有しているUV硬化型樹脂(FA−3144M−7日本化工塗料(株)製 添加量10部、FA−3144M−8 日本化工塗料(株)製 添加量10部)をバーコーターにて塗工し、保護層(膜厚2.5μm)を形成した以外は、実施例1と同様の方法により、加飾フィルム成形体を作製した。
保護層形成工程において、保護層にフィラーが含有しているUV硬化型樹脂(FA−3144M−7日本化工塗料(株)製 添加量10部、FA−3144M−8 日本化工塗料(株)製 添加量10部)をバーコーターにて塗工し、保護層(膜厚2.5μm)を形成した以外は、実施例1と同様の方法により、加飾フィルム成形体を作製した。
実施例1〜3および比較例1において得られた加飾フィルム成形体について、以下の方法に従って、FF値、ヘイズ値(Hz)および全光線透過率(TT)を算出した。また、保護層の凸部の最大径および幅について測定した。結果を表1に示す。
<FF値の算出方法>
エックスライト社製の多角度分光測色計(MA−T6)を使用して、加飾フィルム成形体に対して45°の角度から光を照射し、正反射光に対する角度が15°、45°、110°となる反射光における分光反射率を測定してL*値を測定した(L* 15、L* 45、L* 110)。L*値は、JIS Z 8729に規定されるL*a*b*表色系におけるL*値である。得られたそれぞれのL*値に基づいて、以下の式にしたがって定義されるFF値を算出した。
FF値=[2.69×(L* 15−L* 110)1.11]/(L* 45)0.85 (1)
エックスライト社製の多角度分光測色計(MA−T6)を使用して、加飾フィルム成形体に対して45°の角度から光を照射し、正反射光に対する角度が15°、45°、110°となる反射光における分光反射率を測定してL*値を測定した(L* 15、L* 45、L* 110)。L*値は、JIS Z 8729に規定されるL*a*b*表色系におけるL*値である。得られたそれぞれのL*値に基づいて、以下の式にしたがって定義されるFF値を算出した。
FF値=[2.69×(L* 15−L* 110)1.11]/(L* 45)0.85 (1)
<ヘイズ値および全光線透過率の算出方法>
保護層のヘイズ値および可視光透過率は、ヘイズメーター(日本電色工業(株)製、SP4500)を用いて測定した。
保護層のヘイズ値および可視光透過率は、ヘイズメーター(日本電色工業(株)製、SP4500)を用いて測定した。
凸部の最大径および高さは、加飾フィルム成形体の面を垂直方向から電子顕微鏡または光学顕微鏡を用いて観察し、凸部をランダムに20個サンプリングし、凸部の輪郭の最大径および高さを測定し、20個の平均値を算出した。
<金属感(目視)>
金属感(目視)は、それぞれの加飾フィルム成形体を目視で観察し、金属感の強さを
◎、〇、△、×の4段階で評価した。◎が最も金属感が強い。
金属感(目視)は、それぞれの加飾フィルム成形体を目視で観察し、金属感の強さを
◎、〇、△、×の4段階で評価した。◎が最も金属感が強い。
<金属感(写りこみ)>
金属感(写りこみ)は、それぞれの加飾フィルム成形体を目視で観察し、写りこみの有無の度合いを◎、〇、△、×の4段階で評価した。◎が最も写りこみがない。
金属感(写りこみ)は、それぞれの加飾フィルム成形体を目視で観察し、写りこみの有無の度合いを◎、〇、△、×の4段階で評価した。◎が最も写りこみがない。
<総合評価(サテンめっきとの差)>
総合評価(サテンめっきとの差)は、それぞれの加飾フィルム成形体を目視で観察し、サテンめっきと類似する程度に関して◎、〇、△、×の4段階で評価した。◎が最もサテンめっきに近い。
総合評価(サテンめっきとの差)は、それぞれの加飾フィルム成形体を目視で観察し、サテンめっきと類似する程度に関して◎、〇、△、×の4段階で評価した。◎が最もサテンめっきに近い。
表1に示されるように、本発明の実施例1〜3の加飾フィルム成形体は、フリップフロップ値が30以上であったことから、適度な金属感を示し、写りこみが少なく、サテンめっきに近い外観であった。一方、フリップフロップ値が30未満である比較例1の加飾フィルム成形体は、金属感が弱く、サテンめっきとは異なる外観であった。
1 加飾フィルム成形体
2 被剥離基材
3 離型層
4、4a 保護層
4b 樹脂層
5 蒸着層
6 接着層
7 転写基材
8 凹凸
La 入射光
Lb 正反射光
L15、L45、L110 反射光
L1 凸部の最大径
L2 凸部の高さ
M 金型
2 被剥離基材
3 離型層
4、4a 保護層
4b 樹脂層
5 蒸着層
6 接着層
7 転写基材
8 凹凸
La 入射光
Lb 正反射光
L15、L45、L110 反射光
L1 凸部の最大径
L2 凸部の高さ
M 金型
Claims (11)
- 基材と、接着層と、蒸着層と、保護層とを有し、
フリップフロップ値が30以上である、加飾フィルム成形体。 - 前記保護層は、表面に凹凸が形成されている、請求項1記載の加飾フィルム成形体。
- L*a*b*表色系におけるL* 110値が13〜27である、請求項1または2記載の加飾フィルム成形体。
- L*a*b*表色系におけるL* 45値が17〜25である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の加飾フィルム成形体。
- 前記保護層に形成された前記凹凸は、前記蒸着層側に突出した略椀状の凸部を含み、
前記凸部の最大径は、2.0〜20μmである、請求項2記載の加飾フィルム成形体。 - 被剥離基材上に、離型層を形成する離型層形成工程と、
前記離型層上に、保護層を形成する保護層形成工程と、
前記保護層上に、蒸着層を形成する蒸着層形成工程と、
前記蒸着層上に、接着層を形成する接着層形成工程と、
前記接着層上に、転写基材を形成する転写基材形成工程と、
前記被剥離基材および前記離型層を剥離する剥離工程とを含み、
前記保護層形成工程は、前記保護層の表面に凹凸を形成する凹凸形成工程を含み、
前記凹凸形成工程は、前記保護層を構成する少なくとも2種のポリマー成分を、前記離型層上に付与し、相分離させる相分離工程を含み、
フリップフロップ値が30以上である、加飾フィルム成形体の製造方法。 - 被剥離基材上に、離型層を形成する離型層形成工程と、
前記離型層上に、保護層を形成する保護層形成工程と、
前記保護層上に、蒸着層を形成する蒸着層形成工程と、
前記蒸着層上に、接着層を形成する接着層形成工程と、
前記接着層上に、転写基材を形成する転写基材形成工程と、
前記被剥離基材および前記離型層を剥離する剥離工程とを含み、
前記保護層形成工程は、凹凸を形成する前の樹脂層に対し、表面に凹凸形状が形成された金型を接触させて、前記樹脂層に凹凸が形成された保護層を作製する工程を含み、
フリップフロップ値が30以上である、加飾フィルム成形体の製造方法。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の加飾フィルム成形体を用いた、サテンめっき調製品。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の加飾フィルム成形体を用いた、容器。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の加飾フィルム成形体を用いた、筐体。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の加飾フィルム成形体を用いた、車両用内外装部材。
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JP2019061942A JP2020157691A (ja) | 2019-03-27 | 2019-03-27 | 加飾フィルム成形体、加飾フィルム成形体の製造方法、サテンめっき調製品、容器、筐体、車両用内外装部材 |
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JP2019061942A Pending JP2020157691A (ja) | 2019-03-27 | 2019-03-27 | 加飾フィルム成形体、加飾フィルム成形体の製造方法、サテンめっき調製品、容器、筐体、車両用内外装部材 |
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JP2021074978A (ja) * | 2019-11-11 | 2021-05-20 | 尾池工業株式会社 | 積層フィルム、金属調製品、金属調看板 |
-
2019
- 2019-03-27 JP JP2019061942A patent/JP2020157691A/ja active Pending
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WO2021095479A1 (ja) * | 2019-11-11 | 2021-05-20 | 尾池工業株式会社 | 積層フィルム、金属調製品、金属調看板 |
JP2021192986A (ja) * | 2019-11-11 | 2021-12-23 | 尾池工業株式会社 | 積層フィルム、金属調製品、金属調看板 |
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