JP6831546B1 - 車両用内装材及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】明瞭な凹凸模様を有し、意匠性に優れた車両用内装材を提供する。【解決手段】熱可塑性樹脂製の織編地からなるシート層2と、顔料及び光輝剤の少なくともいずれかを含む色材層3、4を備えた車両用内装材1であって、前記シート層2には、エンボス加工によって該シート層2の厚みが薄くされた凹部21が形成され、前記色材層3、4は、前記凹部21に形成された第1色材層3と、前記凹部以外の部分22に形成されるとともに、前記第1色材層3と同じ材質の第2色材層4を備え、前記第1色材層3の厚みは、前記第2色材層4の厚みより厚い。【選択図】図1

Description

本発明は、車両用内装材及びその製造方法に関する。
車両用内装材として、近年、デザイン性が高く高級感のあるものが要望されている。そのような車両用内装材として、着色された合成樹脂製の布帛の表面に凹凸模様が賦形されたものが知られている。特許文献1には、アクリル樹脂やウレタン樹脂等の架橋性を有する樹脂が転写された転写シートを被加工布帛に重ね合わせ、所定温度、所定圧力でエンボス加工することが記載されている。これにより、表面に凹凸模様が賦形されて、意匠性に優れた車両内装用エンボス捺染布帛が得られるとされている。
特開2011−241516号公報
ところで、従来の車両用内装材では、布帛にあらかじめ樹脂塗料等からなる色材層を積層し、色材層が積層された布帛に対してエンボス加工を施している。そのため、色材層は布帛全体で一様の厚みとなっており、その結果、色彩にメリハリが出難いといった問題があった。また、エンボス加工をする際には、色材層に対して過度に押圧意匠がつかないようにする必要があり、エンボス加工の温度を低く設定する傾向がある。そのため、布帛全体の凹凸模様が明瞭となり難く、その結果、凹部と凸部の境界が明瞭に識別し難いだけでなく、使用中の摩耗によって凹凸模様の保形性が低下してしまうといった問題があった。
本発明は従来のこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、明瞭な凹凸模様を有し、意匠性に優れた車両用内装材を提供することである。
上記課題を解決するため、本発明の車両用内装材は、熱可塑性樹脂製の織編地からなるシート層と、顔料及び光輝剤の少なくともいずれかを含む色材層とを備え、前記シート層には、エンボス加工によって該シート層の厚みが薄くされた凹部が形成され、前記色材層は、前記凹部に形成された第1色材層と、前記凹部以外の部分に形成されるとともに、前記第1色材層と同じ材質の第2色材層を備え、前記第1色材層の厚みは、前記第2色材層の厚みより厚い。
上記の構成によれば、エンボス加工によってシート層に形成された凹部での第1色材層の厚みは、他の部分での第2色材層の厚みより厚くなっている。そのため、エンボス加工によって形成された凹部と凹部以外の部分との境界を明瞭に識別することができる。また、エンボス加工によってシート層の厚みが薄くされた凹部の底面には平滑面が形成されており、この平滑面は、凹部に形成された第1色材層を介してエナメル調の艶感を有するように認識される。そのため、凹部と凹部以外の部分との境界がより明徴となり、意匠性に優れた車両用内装材が得られる。
上記の構成において、前記凹部におけるグロス値は、前記凹部以外の部分におけるグロス値より高いことが好ましい。
上記の構成によれば、凹部と凹部以外の部分が明瞭に識別され、意匠性に優れた車両用内装材が得られる。
上記の構成において、前記凹部におけるグロス値と前記凹部以外の部分におけるグロス値との差は、8.0以上であることが好ましい。
上記の構成によれば、凹部と凹部以外の部分とのグロス値差により、凹部に奥行きが感じられるような意匠性を付与することができ、凹部と凹部以外の部分とを明瞭に識別することができる。
上記の構成において、前記凹部は、相対的に厚みが薄い第1凹部と相対的に厚みが厚い第2凹部を備え、前記第1凹部における前記第1色材層の厚みは、前記第2凹部における前記第1色材層の厚みより厚いことが好ましい。
エンボス加工によって形成された凹部が厚みの異なる第1凹部と第2凹部を備えている場合、厚みの異なる凹部間でも、第1色材層の厚みが異なっており、相対的に厚みが薄い凹部のほうが第1色材層の厚みが厚くなっている。そのため、複雑な形状の凹部が形成されていた場合であっても、厚みの異なる凹部同士を識別し易い。意匠性に優れた車両用内装材が得られる。
上記の車両用内装材の製造方法は、織編地からなるシート層にエンボスロールを押し当てて前記凹部を形成するエンボス工程と、前記凹部が形成された前記シート層に、顔料及び光輝剤の少なくともいずれかを含むとともに流動性を有する色材を積層する積層工程と、前記シート層に積層された前記色材を乾燥させて前記色材層を形成する乾燥工程とを備えている。
上記の構成によれば、シート層に凹部を形成した後、流動性を有する色材を積層して車両用内装材を製造する。そのため、流動性を有する色材は、シート層の凹部に流れ込んで溜まり易く、エンボスロールにより形成された凹部での色材の厚みが他の部分に比べて厚くなる。これにより、凹部で色材層による色の発色が強くなったり、光の反射具合が強くなったりして、色材層による色や光沢が濃淡を持って付与される。
また、色材を積層する前にエンボスロールにより凹部を形成するため、エンボス工程では、加熱されたエンボスロールが色材に与える影響を考慮する必要がない。そのため、色材への影響を考慮して、エンボス加工の温度を低く設定する必要がなく、エンボス加工時の加熱温度を高く設定することができる。これにより、凹部の底面には平滑面が形成され易く、凹部の平滑面は、第1色材層を介してエナメル調の艶感を有するように認識される。凹部に艶感、エナメル感を付与することができる。また、凹部でのグロス値が向上し、凹部と凹部以外の部分とのグロス値差が大きくなる。その結果、メリハリのついた凹凸模様を形成することが可能となり、凹部と凹部以外の部分との境界を明瞭に識別できる車両用内装材を製造することができる。さらに、凹凸模様をしっかり賦形することができるため、車両用内装材として必要な保形性を得ることができ、耐摩耗性に優れた車両用内装材を製造することができる。
上記の構成において、前記シート層はポリエステル製の織編地からなり、前記エンボス工程では、エンボス型の表面温度を140℃以上に加熱することが好ましい。
上記の構成によれば、エナメル調の艶感を付与することができ、明瞭な凹凸模様を賦形することができる。意匠性、耐摩耗性に優れた車両用内装材を製造することができる。
本発明によれば、明瞭な凹凸模様を有し、意匠性に優れた車両用内装材が得られる。
シート材の部分拡大断面図。 エンボス工程について説明する図。 シート材の変更例の部分拡大断面図。 実施例における意匠性の評価方法について説明する図。
以下に、本発明を具体化した車両用内装材としての車両用シート材1(以下、シート材1という。)について説明する。
図1に示すように、シート材1は、車両用シートの表面を被覆して車両用シートに意匠性を付与するためのものであり、基材となるシート層2と、シート層2の意匠面側となる一方の主面に積層された色材層3、4を備えている。シート材1には、複数の凹部21と複数の凸部22が形成されており、意匠面全体に凹凸模様が形成されている。
シート層2は、熱可塑性樹脂製の織地または編地で形成されている。シート層2を形成する熱可塑性樹脂の材質は特に限定されず、従来公知の熱可塑性樹脂を1種、或いは、混紡、混繊、交織、交編等の手法によって2種以上組み合わせて使用することができる。車両用シートに適用する熱可塑性樹脂としては、耐久性、耐熱性、耐光性等の観点から、ポリエステル繊維であることが好ましい。
シート層2は、織地または編地のいずれであってもよい。織組織または編組織の種類も特に限定されず、従来公知のものを使用することができる。織組織としては、例えば、ドビー織物、ジャカード織物等を挙げることができる。編組織としては、例えば、経編地(ダブルトリコット又はダブルラッセル等)、緯編地、または丸編地を挙げることができる。なお、シート層2が織地または編地で形成されていることにより、シート材1の凸部22の表面には、シート層2由来の図示しない細かな凹部が複数形成されている。ここで、シート材1に形成された凹部21とは、後に説明する製造方法におけるエンボス工程によって、加熱されたエンボスロール30の凸部31で押圧されることにより形成された凹部21のことであり、その底面は平滑面として形成されている。凹部21は、請求項で規定する「凹部」に相当し、凸部22の表面に複数形成された織編地由来の細かな凹部は、請求項で規定する「凹部」には相当しない。また、凸部22は、請求項で規定する「凹部以外の部分」に相当する。
色材層3、4は、色材を含む樹脂からなり、顔料及び光輝剤の少なくともいずれかを含むバインダー樹脂糊が固化されることにより形成されている。なお、ここで言う色材とは、有色のものだけでなく、無色透明のものも含む。また、色材層3は、凹部21の底面に積層されたものであり、色材層4は、凸部22の表面に積層されたものである。色材層4は、エンボス工程によってシート層2が押圧されなかった凸部22の表面に積層されているため、シート層2の織編地由来の細かな凹部に入り込むような状態も含めて、凸部22の表面に薄く形成されている。色材層3、4は、同じ材質の樹脂層として形成されている。なお、色材層4は、凸部22の表面全体に積層されていてもよく、凸部22の表面に部分的に積層されていてもよい。凸部22の表面に部分的に積層されているとは、例えば、凸部22の表面における織編地由来の凹部にのみ積層されている場合である。
色材層3.4を構成するバインダー樹脂糊のバインダー樹脂の材質は特に限定されない。例えばポリカーボネートウレタン、ポリエーテルウレタン等のウレタン系樹脂、アクリル等のアクリル系樹脂、塩化ビニル等のビニル系樹脂、エポキシ系樹脂等が挙げられる。顔料や光輝剤をシート層2の意匠面側に強固に固着させることができる観点から、ウレタン系樹脂やアクリル系樹脂であることが好ましい。
バインダー樹脂糊は、これらのバインダー樹脂に、顔料、光輝剤、着色剤、耐光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤、発泡剤、撥水剤等が必要に応じて単独もしくは複合的に含まれて構成されている。顔料としては、例えば、有機系顔料、カーボンブラックなどの無機系顔料が挙げられる。顔料の含有量は、バインダー樹脂糊の全量に対して、0.01〜10重量%程度であることが好ましい。また、光輝剤としては、例えば、マイカ、酸化チタンや二酸化チタン等の無機系顔料、蒸着フィルム等のグリッター、アルミペースト等からなるパール剤、メタリック顔料等が挙げられる。光輝剤の含有量は、バインダー樹脂糊の全量に対して、0.1〜30重量%程度であることが好ましい。着色剤、耐光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤、発泡剤、撥水剤等としても、従来公知のものを適宜選択して使用することができる。また、その含有量も適宜選択することができる。
シート材1では、凹部21に積層された色材層3の厚みが、凸部22に積層された色材層4の厚みより厚く形成されている。また、凹部21の底面は、エンボス加工による押圧により平滑面として形成されている一方、凸部22の表面には、織編地由来の細かな凹凸が形成されている。そのため、凹部21の底面は、色材層3を介してエナメル調の艶感を有するように認識される。また、色材層3を介した凹部21の底面のグロス値は、凸部22の表面、或いは、色材層4を介した凸部22の表面のグロス値より高くなっている。凹部21と凸部22のグロス値の差は、8.0以上であることが好ましく、8.5以上であることがより好ましい。
次に、シート材1の製造方法について作用とともに説明する。
シート材1の製造方法は、エンボス工程、積層工程、乾燥工程を有している。エンボス工程では、シート層2にエンボス加工を施して、シート層2に凹部21及び凸部22を形成する。積層工程では、凹部21及び凸部22が形成されたシート層2の意匠面側に、バインダー樹脂糊を塗布する。乾燥工程では、バインダー樹脂糊を乾燥及び固化させて色材層3、4を形成する。
図2に示すように、エンボス工程は、例えば、加熱されたエンボスロール30の外周面にシート層2を沿わせながら搬送することで行うことができる。エンボスロール30の外周面には、複数の凸部31が形成されており、複数の凸部31による押圧によって、シート層2には、凹部21が形成される。エンボスロール30での押圧時には、エンボスロール30の凹部32がシート層2の意匠面側に触れないような状態で、エンボスロール30の位置調整がなされている。これにより、凹部21の底面にはシート層2が熱溶融されて平滑面が形成される一方、凸部22の頂面ではシート層2が熱溶融されることなく、織編地由来の細かな凹凸模様が保持される。
エンボスロール30の加熱温度、押圧力、回転速度は、シート層2を構成する熱可塑性樹脂の材質によって適宜設定することができる。エンボスロール30の加熱温度は、シート層2を構成する熱可塑性樹脂の軟化点を基準として設定すればよく、例えば、シート層2がポリエステル樹脂製である場合、加熱温度は、140℃以上であることが好ましく、160℃以上であることがより好ましい。エンボスロール30からの押圧力は、例えば、約3〜250kgf/cm程度に設定すればよい。また、エンボスロールの回転速度は、シート層2の搬送時の、エンボスロール30の外周面とシート層2との接触時間に基づいて設定すればよく、例えば、シート層2の搬送速度が約1.0〜5.0m/min程度となるように設定すればよい。
積層工程は、パネル状のスクリーンを用いるスクリーンプリントで行ってもよく、筒状のシリンダーを用いるロータリープリントで行ってもよい。ロータリープリントで行う場合、エンボス工程を経たシート層2を、意匠面が上方を向いた状態でロータリープリント機の下方を通過させ、ロータリープリント機から供給されるバインダー樹脂糊をシート層2の意匠面に上方から塗布する。
バインダー樹脂糊は水を含む有機溶媒に分散されて流動性を有する状態でシート層2に塗布される。そのため、シート層2の凸部22に塗布されたバインダー樹脂糊は、凹部21に向かって流れ込み易い。凸部22では、塗布されたバインダー樹脂糊が凹部21に向かって流れ込む一方で、凹部21では、凹部21に塗布されたバインダー樹脂糊に加えて、凸部22から流れ込んだバインダー樹脂糊が溜まる。その結果、凸部22に残存するバインダー樹脂糊の厚みより、凹部21の底面に溜まったバインダー樹脂糊の厚みの方が厚い状態となる。
乾燥工程では、バインダー樹脂糊が塗布されたシート層2を、乾燥機の中を通しながら搬送し、バインダー樹脂糊中の有機溶媒を飛ばしてバインダー樹脂糊を乾燥及び固化させ、色材層3、4を形成する。これら各工程を経て、シート層2と色材層3、4とが積層されたシート材1が得られる。
エンボス工程では、シート層2の凹部21に平滑面が形成される一方で、凸部22には織編地由来の細かな凹凸が残存している。そのため、凹部21にはエナメル調の艶感が付与され、凹部21と凸部22との間にグロス値の差が生じる。また、積層工程では、凸部22に塗布されたバインダー樹脂糊が凹部21に向かって流れ込むため、色材層3の厚みは、色材層4の厚みより厚くなっている。そのため、色材層3、4の厚みの違いにより、色材層3を介した凹部21の艶感と、色材層4を介した凸部22の艶感とが異なって見える。これにより、凹部21では、色材層3を介して底面の艶が浮き出るように見えるため、エナメル調の艶感がより強く認識される。また、細かな凹凸が残存している凸部22と、平滑面としての凹部21とでは光の反射の仕方が異なり、平滑面としての凹部21では、鏡面反射のような状態で強い艶感が得られる。見る角度を変えることによって、エナメル調の艶感の強弱が得られる。さらに、エンボス工程後の凹部21と凸部22とのグロス値の差が、色材層3を介した凹部21と、色材層4を介した凸部22とのグロス値の差として認識され、凹部21と凸部22との境界が明瞭となる。
本実施形態のシート材1及びその製造方法によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)シート材1は、熱可塑性樹脂製の織編地からなるシート層2と、顔料及び光輝剤の少なくともいずれかを含む色材層3、4とを備え、凹部21に形成された色材層3の厚みは、凸部22に形成された色材層4の厚みより厚い。
そのため、凹部21と凸部22との境界を明瞭に識別することができ、明瞭な凹凸模様が形成されて意匠性に優れたシート材1が得られる。また、エンボス加工によってシート層の厚みが薄くされた凹部の底面には平滑面が形成されているため、この平滑面により、凹部に形成された第1色材層を介してエナメル調の艶感が強く認識される。そのため、凹部と凹部以外の部分との境界がより明徴となる。
(2)凹部21におけるグロス値は、凸部22におけるグロス値より高い。そのため、凹部21と凸部22が明瞭に識別され、意匠性に優れたシート材1が得られる。
(3)シート材1の製造方法では、織編地からなるシート層2にエンボスロール30を押し当てて凹部21を形成した後に、流動性を有するバインダー樹脂糊を積層して乾燥、固化させている。
そのため、バインダー樹脂糊がシート層2の凹部21に流れ込んで溜まり易く、凹部21での色材層3の厚みが凸部22の色材層4の厚みより厚くなる。これにより、凹部21では色材層3による色の発色が強くなったり、光の反射具合が強くなったりして、色材層3、4による色や光沢が濃淡を持って付与される。
(4)エンボス工程後に、バインダー樹脂糊を塗布しているため、加熱されたエンボスロール30がバインダー樹脂糊に与える影響を考慮する必要がない。エンボス工程でのエンボスロール30の加熱温度を高く設定することができ、凹部21の底面に平滑面を形成し易い。これにより、凹部21にエナメル調の艶感を付与することができ、メリハリのついた凹凸模様を形成することが可能となる。
(5)エンボス工程でのエンボスロール30の加熱温度を高く設定することができるため、シート層2に凹凸模様をしっかりと賦形することができる。そのため、車両用内装材として必要な保形性を得ることができ、耐摩耗性に優れたシート材1を製造することができる。
(変更例)
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、同じ形状の凹部21が複数形成される場合について説明したが、凹部21の形状はこれに限定されない。例えば、図3に示すように、凸部22の間に、深さの異なる複数の凹部21a、21b、21c、21dが形成されていてもよい。この場合、積層工程でバインダー樹脂糊を塗布すると、その流動性によって、より深い凹部に溜まり易くなる。その結果、凹部21での色材層3の厚みは、その深さが深くなるほど厚くなる傾向になる。具体的には、凹部21dでの色材層3d、凹部21bでの色材層3b、凹部21cでの色材層3c、凹部21aでの色材層3aの順に厚くなる傾向になる。
・凹部21及び凸部22の形状は特に限定されない。上記実施形態では、断面が長方形状のものとして説明したが、三角形状、台形状、不定形状であってもよい。
・色材層3、4は、凹部21の底面や凸部22の頂面に形成されているものだけに限定されない。例えば、凸部22の断面形状が台形状であって、凸部22の頂面と凹部21の底面との間に傾斜形状の側面が形成されている場合、側面上に色材層が形成されていてもよい。
・上記実施形態では、エンボス工程はエンボスロール30を使用したが、平板状のエンボスプレートを使用して行ってもよい。
以下、上記実施形態のシート材1について、実施例により詳述する。
(試験例1)
<シート材1の調製>
試験例1のシート材1は、基材となるシート層2としてドビー織物を使用し、色材層3、4として、アクリル系のバインダー樹脂糊を塗布したものを調製した。ドビー織物を構成する糸種、密度、組織図は表1に示すとおりである。また、ドビー織物としては、ベース色が黒色のもの(L*23.87 a*-0.71 b*-1.53)と、灰色のもの(L*44.58 a*-1.1 b*-0.53)の2種類を使用した。
まず、黒色及び灰色のシート層2を、それぞれ表面温度が200℃となるように設定したエンボスロール30の下方に供給して、シート層2の意匠面となる一方の主面側をエンボスロール30の凸部31で押圧した。エンボスロール30からの押圧力は、約40kgf/cm、シート層2の搬送速度は約2.0m/minに設定した。エンボスロール30としては、シート材1のグロス値が測定できるだけの凹部21面積が確保できるように、横断面が25mm×15mmの長方形状の凸部31が形成されたものを使用した。エンボス工程後の凹部21の深さは0.9mmであった。
エンボス工程後のシート層2を、ロータリープリント機の下方に通過させて、シート層2の上方から、顔料を含有するバインダー樹脂糊を塗布した。バインダー樹脂糊としては、アクリル系樹脂糊(DIC株式会社製 商品名「RYUDYE−W BINDER DN 2014LH」)を使用した。顔料としては、有機系顔料(DIC株式会社製 商品名「RYUDYE−W NAVY−BLUE−FFTR」)及び酸化チタンを含有する無機系顔料を使用した。バインダー樹脂糊の全量中、有機系顔料及び無機系顔料の総含有量が10.0重量%、3.0重量%、1.0重量%、0.5重量%となる4種類のものを調製した。ロータリープリント機では、プリント面積33%のメッシュ調の無地調意匠としてバインダー樹脂糊を塗布した。その後、乾燥工程を経てシート材1を得た。
<グロス値の測定>
試験例1の各シート材1について、エンボス工程後(積層工程前)の凹部21及び凸部22のグロス値、積層工程後の凹部21及び凸部22のグロス値を測定した。測定機器として、日本電色工業株式会社製のハンディ型光沢計PGIIを使用して、単角度60゜で測定した。これらの測定値をもとに、バインダー樹脂糊を塗布する前の凹部21と凸部22のグロス値差、色材層3、4が積層された後の凹部21と凸部22のグロス値差を算出した。その結果を表1に示した。
<耐摩耗性の評価>
試験例1の各シート材1について、ASTM D3884規格のテーバ形摩耗試験機(大栄科学精器製作所製)を使用して、耐摩耗性を評価した。摩耗輪は、CS10とし、荷重4.9Nにて、1000回後のシート材1の意匠面の状態を確認した。
耐摩耗性は以下の基準に基づいて官能評価を行った。
〇;凹凸模様に変化が見られず、色材層の剥がれが生じていない。
△;凹凸模様がやや薄まり、色材層の剥がれが生じていない。
×;凹凸模様が弱まり、色材層の剥がれが生じている。
その結果を表1に示した。
<意匠性の評価>
図4に示すように、試験例1の各シート材1を水辺面から60゜の角度に立て、上面からライトを照らした。60cm離れたところから、シート材1の意匠面の艶感、光沢感を目視で確認した。
意匠性は以下の基準に基づいて官能評価を行った。
〇;凸部と凹部の艶差と、凹部のエナメル調の艶感を強く感じる。
△;凸部と凹部の艶差と、凹部のエナメル調の艶感を少し感じる。
×;凸部と凹部の艶差を感じない。
その結果を表1に示した。
(試験例2)
<シート材1の調製>
試験例2のシート材1は、エンボスロール30の表面温度が180℃となるように設定した以外は、試験例1と同様である。
試験例2の各シート材1についても、試験例1と同様にグロス値を測定して、バインダー樹脂糊を塗布する前の凹部21と凸部22のグロス値差(色材層3、4積層前のグロス値差)と、色材層3、4が積層された後の凹部21と凸部22のグロス値差(色材層3,4積層後のグロス値差)を算出するとともに、耐摩耗性、意匠性について評価した。その結果を表1に示した。
(試験例3)
<シート材1の調製>
試験例3のシート材1は、基材となるシート層2としてドビー織物を使用し、色材層3、4として、顔料を含有するウレタン系のバインダー樹脂糊を塗布したものを調製した。ウレタン系のバインダー樹脂糊としては、ポリカーボネート系ウレタン系樹脂(林化学工業株式会社製 商品名「バインダー CB−503」)を使用した。顔料としては、有機系顔料(DIC株式会社製 商品名「RYUDYE−W NAVY−BLUE−FFTR」)及び酸化チタンを含有する無機系顔料を使用した。バインダー樹脂糊の全量中、有機系顔料及び無機系顔料の総含有量が3.0重量%となるものを調製した。エンボスロール30の表面温度は、試験例2のシート材1と同様、180℃となるように設定した。その他の条件は、試験例1と同様である。
試験例3の各シート材1についても、試験例1と同様にグロス値を測定して、色材層3、4積層前後のグロス値差を算出するとともに、耐摩耗性、意匠性について評価した。その結果を表1に示した。
(試験例4)
<シート材1の調製>
試験例4のシート材1は、エンボスロール30の表面温度が160℃となるように設定した以外は、試験例1と同様である。エンボス工程後の凹部21の深さは0.6mmであった。
試験例4の各シート材1についても、試験例1と同様にグロス値を測定して、色材層3、4積層前後のグロス値差を算出するとともに、耐摩耗性、意匠性について評価した。その結果を表2に示した。
(試験例5)
<シート材1の調製>
試験例5のシート材1は、エンボスロール30の表面温度が140℃となるように設定した以外は、試験例1と同様である。エンボス工程後の凹部21の深さは0.5mmであった。
試験例5の各シート材1についても、試験例1と同様にグロス値を測定して、色材層3、4積層前後のグロス値差を算出するとともに、耐摩耗性、意匠性について評価した。その結果を表2に示した。
(試験例6)
<シート材1の調製>
試験例6のシート材1は、エンボスロール30の表面温度が120℃となるように設定した以外は、試験例1と同様である。エンボス工程後の凹部21の深さは0.4mmであった。
試験例3の各シート材1についても、試験例1と同様にグロス値を測定して、色材層3、4積層前後のグロス値差を算出するとともに、耐摩耗性、意匠性について評価した。その結果を表2に示した。
(試験例7〜9)
<シート材の調製>
試験例7〜9のシート材は、エンボス工程の後に積層工程を行う試験例1〜6のシート材1とは異なり、積層工程の後にエンボス工程を行う従来の製造方法で調製した。エンボス工程と積層工程の順序が異なる以外は、試験例7は、試験例2と同様であり、試験例8は、試験例3と同様であり、試験例9は試験例5と同様である。試験例7〜9では、積層工程の後にエンボス工程を行っているため、凹部21の深さが試験例2、3、5より浅く、それぞれ0.6mm、0.5mm、0.4mmであった。
試験例7〜9の各シート材についても、試験例1と同様にグロス値を測定して、積層工程、エンボス工程を行った後の凹部21と凸部22のグロス値差を算出するとともに、耐摩耗性、意匠性について評価した。その結果を表3に示した。
表1〜表3の結果に基づいて検討する。
エンボス工程後に積層工程を行った試験例1〜6のうち、加熱エンボスロール30での加熱温度が140℃以上である試験例1〜5では、耐摩耗性の評価において、色材層の剥がれは生じておらず、凹凸模様も変化がないか、ほとんど変化がないという結果が得られた。また、意匠性の評価でもエナメル調の艶感を感じるという評価が得られた。また、試験例1〜5の中でも、特に、加熱温度が160℃以上である試験例1〜4では、積層工程後の凹部21と凸部22とのグロス値の差がすべて10.0以上であり、凹凸模様が明瞭に識別された。
一方、加熱温度が120℃であると、エンボス工程で形成された凹部21の深さも浅く、耐摩耗性、意匠性、グロス値差とも低い評価であり、加熱温度が140℃であると、グロス値差が3,0以下であって、凹凸模様があまり明瞭に識別されなかった。
140℃以上の加熱温度でエンボス工程をした後に積層工程を行うことで、シート材1にエナメル調の艶感を付与して意匠性を向上させることが可能であり、160以上の加熱温度とすることで、さらに凹部21と凸部22のグロス値差を10,0以上とすることができて、凹凸模様を明瞭にすることができることがわかった。
これに対して、従来の製造方法で調製した試験例7〜9のシート材は、いずれも凹部21でのエナメル調の艶感が感じられず、凸部22と凹部21との艶差を認識できなかった。また、エンボス工程後の凹部21と凸部22のグロス値差は、すべて4.0以下であり、凹部21と凸部22との境界が明瞭に識別し難かった。加熱エンボスロール30での加熱温度が180℃である試験例7、8では、耐摩耗性の評価は高かったものの、加熱温度が140℃である試験例9では、耐摩耗性も劣っていた。
(試験例10)
<シート材1の調製>
試験例10のシート材1は、基材となるシート層2として28Gトリコット編機で編成したタテ編地を使用し、色材層3、4として、試験例1と同じアクリル系のバインダー樹脂糊を塗布したものを調製した。タテ編地を構成する糸種、密度、組織は表4に示すとおりである。また、タテ編地としては、ベース色が黒色のもの(L*15.87 a*-0.62 b*-1.78)と、灰色のもの(L*52.45 a*-1.3 b*-0.44)の2種類を使用した。他の条件は試験例1と同様である。エンボス工程後の凹部21の深さは0.8mmであった。
試験例10の各シート材1についても、試験例1と同様にグロス値を測定して、色材層3、4積層前後のグロス値差を算出するとともに、耐摩耗性、意匠性について評価した。その結果を表4に示した。
(試験例11)
<シート材1の調製>
試験例11のシート材1は、エンボスロール30の表面温度が180℃となるように設定した以外は、試験例10と同様である。エンボス工程後の凹部21の深さは0.7mmであった。
試験例11の各シート材1についても、試験例1と同様にグロス値を測定して、色材層3、4積層前後のグロス値差を算出するとともに、耐摩耗性、意匠性について評価した。その結果を表4に示した。
(試験例12)
<シート材1の調製>
試験例12のシート材1は、基材となるシート層2として28Gトリコット編機で編成したタテ編地を使用し、色材層3、4として、試験例3と同じウレタン系のバインダー樹脂糊を塗布したものを調製した。バインダー樹脂糊の全量中、顔料の含有量が3.0重量%のものを調製した。エンボスロール30の表面温度は、試験例11のシート材1と同様、180℃となるように設定した。その他の条件は、試験例1と同様である。
試験例11の各シート材1についても、試験例1と同様にグロス値を測定して、色材層3、4積層前後のグロス値差を算出するとともに、耐摩耗性、意匠性について評価した。その結果を表4に示した。
(試験例13)
<シート材1の調製>
試験例13のシート材1は、エンボスロール30の表面温度が160℃となるように設定した以外は、試験例10と同様である。エンボス工程後の凹部21の深さは0.5mmであった。
試験例13の各シート材1についても、試験例1と同様にグロス値を測定して、色材層3、4積層前後のグロス値差を算出するとともに、耐摩耗性、意匠性について評価した。その結果を表5に示した。
(試験例14)
<シート材1の調製>
試験例14のシート材1は、エンボスロール30の表面温度が140℃となるように設定した以外は、試験例11と同様である。エンボス工程後の凹部21の深さは0.4mmであった。
試験例14の各シート材1についても、試験例1と同様にグロス値を測定して、色材層3、4積層前後のグロス値差を算出するとともに、耐摩耗性、意匠性について評価した。その結果を表5に示した。
(試験例15)
<シート材1の調製>
試験例6のシート材1は、エンボスロール30の表面温度が120℃となるように設定した以外は、試験例11と同様である。エンボス工程後の凹部21の深さは0.3mmであった。
試験例3の各シート材1についても、試験例1と同様にグロス値を測定して、色材層3、4積層前後のグロス値差を算出するとともに、耐摩耗性、意匠性について評価した。その結果を表5に示した。
表4、表5の結果に基づいて検討する。
試験例10〜15は、試験例1〜6と同様、エンボス工程後に積層工程を行ったものであり、布帛の種類が28Gトリコット編機で編成したタテ編地であること以外は、試験例10〜15はそれぞれ試験例1〜6と同じ条件で調製している。
布帛の種類がタテ編地である場合も、ドビー織物と同様、加熱エンボスロール30での加熱温度が140℃以上である試験例10〜14では、耐摩耗性の評価において、色材層の剥がれは生じておらず、凹凸模様も変化がないか、ほとんど変化がないという結果が得られ、意匠性の評価ではエナメル調の艶感を感じるという評価が得られた。また、加熱温度が160℃以上である試験例10〜13では、耐摩耗性、意匠性の評価が高かったことに加えて、加熱温度が160℃で顔料添加量が10.0重量%、3.0重量%のものを除いて、積層工程後の凹部21と凸部22とのグロス値の差がすべて10.0以上であった。加熱温度が160℃で顔料添加量が10.0重量%、3.0重量%のものも9.0以上であり、加熱温度が140℃のものに比べて、顕著に高く、凹凸模様は明瞭に識別された。
一方、加熱温度が120℃であると、エンボス工程で形成された凹部21の深さも浅く、耐摩耗性、意匠性、グロス値差とも低い評価であり、加熱温度が140℃であると、グロス値差が概ね3,0以下であって、凹凸模様があまり明瞭に識別されなかった。
(試験例16)
<シート材1の調製>
試験例16のシート材1は、基材となるシート層2としてダブルジャージ編機(20G/33inc)で編成した丸編地を使用し、色材層3、4として、試験例1と同じアクリル系のバインダー樹脂糊を塗布したものを調製した。丸編地を構成する糸種、密度、組織は表6に示すとおりである。また、丸編地としては、ベース色が黒色のもの(L*20.67 a*-0.58 b*-2.72)と、灰色のもの(L*48.25 a*-1.21 b*-1.26)の2種類を使用した。他の条件は試験例1と同様である。エンボス工程後の凹部21の深さは0.8mmであった。
試験例16の各シート材1についても、試験例1と同様にグロス値を測定して、色材層3、4積層前後のグロス値差を算出するとともに、耐摩耗性、意匠性について評価した。その結果を表6に示した。
(試験例17)
<シート材1の調製>
試験例17のシート材1は、エンボスロール30の表面温度が180℃となるように設定した以外は、試験例16と同様である。
試験例17の各シート材1についても、試験例1と同様にグロス値を測定して、色材層3、4積層前後のグロス値差を算出するとともに、耐摩耗性、意匠性について評価した。その結果を表6に示した。
(試験例18)
<シート材1の調製>
試験例18のシート材1は、基材となるシート層2として試験例16と同様のダブルジャージ編機を使用し、色材層3、4として、試験例3と同じウレタン系のバインダー樹脂糊を塗布したものを調製した。バインダー樹脂糊の全量中、顔料の含有量が3.0重量%のものを調製した。エンボスロール30の表面温度は、試験例17のシート材1と同様、180℃となるように設定した。その他の条件は、試験例1と同様である。
試験例18の各シート材1についても、試験例1と同様にグロス値を測定して、色材層3、4積層前後のグロス値差を算出するとともに、耐摩耗性、意匠性について評価した。その結果を表6に示した。
(試験例19)
<シート材の調製>
試験例19のシート材1は、エンボスロール30の表面温度が160℃となるように設定した以外は、試験例16と同様である。エンボス工程後の凹部21の深さは0.6mmであった。
試験例19の各シート材1についても、試験例1と同様にグロス値を測定して、色材層3、4積層前後のグロス値差を算出するとともに、耐摩耗性、意匠性について評価した。その結果を表7に示した。
(試験例20)
<シート材1の調製>
試験例20のシート材1は、エンボスロール30の表面温度が140℃となるように設定した以外は、試験例16と同様である。エンボス工程後の凹部21の深さは0.3mmであった。
試験例20の各シート材1についても、試験例1と同様にグロス値を測定して、色材層3、4積層前後のグロス値差を算出するとともに、耐摩耗性、意匠性について評価した。その結果を表7に示した。
(試験例21)
<シート材1の調製>
試験例21のシート材1は、エンボスロール30の表面温度が120℃となるように設定した以外は、試験例16と同様である。エンボス工程後の凹部21の深さは0.2mmであった。
試験例21の各シート材1についても、試験例1と同様にグロス値を測定して、色材層3、4積層前後のグロス値差を算出するとともに、耐摩耗性、意匠性について評価した。その結果を表7に示した。
表6、表7の結果に基づいて検討する。
試験例16〜21は、試験例1〜6と同様、エンボス工程後に積層工程を行ったものであり、布帛の種類がダブルジャージ編機で編成した丸編地であること以外は、試験例16〜21はそれぞれ試験例1〜6と同じ条件で調製している。
布帛の種類が丸編地である場合も、ドビー織物と同様、加熱エンボスロール30での加熱温度が140℃以上である試験例16〜20では、耐摩耗性の評価において、色材層の剥がれは生じておらず、凹凸模様も変化がないか、ほとんど変化がないという結果が得られ、意匠性の評価ではエナメル調の艶感を感じるという評価が得られた。また、加熱温度が160℃以上である試験例16〜19では、耐摩耗性、意匠性の評価が高かったことに加えて、加熱温度が160℃で顔料添加量が1.5重量%のものを除いて、積層工程後の凹部21と凸部22とのグロス値の差がすべて10.0以上であった。加熱温度が160℃で顔料添加量が1.5重量%のものも9.8であって凹凸模様は明瞭に識別された。
一方、加熱温度が120℃であると、エンボス工程で形成された凹部21の深さも浅く、耐摩耗性、意匠性、グロス値差とも低い評価であり、加熱温度が140℃であると、グロス値差がすべて3,0以下であって、凹凸模様があまり明瞭に識別されなかった。
1…シート材(車両用内装材)
2…シート層
3、3a、3b、3c、3d、4…色材層
21…凹部
22…凸部(凹部以外の部分)
30…エンボスロール(エンボス型)

Claims (6)

  1. 熱可塑性樹脂製の織編地からなるシート層と、顔料及び光輝剤の少なくともいずれかを含む色材層を備え、
    前記シート層には、エンボス加工によって該シート層の厚みが薄くされた凹部が形成され、
    前記色材層は、前記凹部に形成された第1色材層と、前記凹部以外の部分に形成されるとともに、前記第1色材層と同じ材質の第2色材層を備え、
    前記凹部以外の部分には、前記織編地由来の微細凹部が形成され、
    前記第2色材層は、前記微細凹部に形成されて、その厚みが前記第1色材層の厚みより薄いことを特徴とする車両用内装材。
  2. 前記凹部におけるグロス値は、前記凹部以外の部分におけるグロス値より高いことを特徴とする請求項1に記載の車両用内装材。
  3. 前記凹部におけるグロス値と前記凹部以外の部分におけるグロス値との差は、8.0以上であることを特徴とする請求項2に記載の車両用内装材。
  4. 前記凹部は、相対的に厚みが薄い第1凹部と相対的に厚みが厚い第2凹部を備え、
    前記第1凹部における前記第1色材層の厚みは、前記第2凹部における前記第1色材層の厚みより厚いことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用内装材。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両用内装材の製造方法であって、
    織編地からなるシート層にエンボス型を押し当てて前記凹部を形成するエンボス工程と、
    前記凹部が形成された前記シート層に、顔料及び光輝剤の少なくともいずれかを含むとともに流動性を有する色材を積層する積層工程と、
    前記シート層に積層された前記色材を乾燥させて前記色材層を形成する乾燥工程とを備えていることを特徴とする車両用内装材の製造方法。
  6. 前記シート層はポリエステル製の織編地からなり、
    前記エンボス工程では、エンボス型の表面温度を140℃以上に加熱することを特徴とする請求項5に記載の車両用内装材の製造方法。
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