JP6831160B2 - 水噴霧型加湿装置 - Google Patents
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Description
特に半導体製造工場やフィルム製造工場等では、噴霧水にカリウムやカルシュウムが含まれているとそれが析出して空気中に拡散し、半導体の配線やフィルムに付着してしまうと不良品となってしまうため、それを避けるため極力超高純水を使用しているが、使用される純水は高価であることから、出来るだけ節水し効率よく加湿できる水噴霧型加湿装置に関し、さらに、オフィスビル等の室内空間で簡単に使用することができるよう少人数で持ち運びができる小型の水噴霧型加湿装置に関する。
例えば、高い加湿制御精度(例えば、45±5%)が要求されるクリーンルームなどの工場空調において、省エネ加湿の要望に応えるために、多孔質金属製エリミネータにノズルからミストを吹きかけ、空気が通過する際に捕捉されたミストによって加湿し、飽和線への近づき度合いを示す飽和効率を50%以上に、且つ、前記ノズルへの給水量に対する空気に付加された水分量を示す有効加湿効率を90%以上に確保することが出来る水噴霧加湿装置がある(特許文献1)。
また装置が大型になり、設置や運搬に制約を受けるという問題があった。
滴下式加湿方式の加湿器においては、使用する水の60%RH一定といった加湿制御が必要な場合は、加湿エレメントの保水性が良すぎるため、給水をON/OFFさせても加湿の応答性が遅すぎ、湿度制御がハンチングしてしまうという問題があった。
また、特許文献1の水噴霧加湿装置は、クリーンルームや半導体製造工場等において、外部に設け室内を空調する空気調和機に使用される水噴霧加湿装置であり、飽和加湿による飽和線への近づき度合いを示す飽和効率を50%以上に、且つ、前記ノズルへの給水量に対する空気に付加された水分量を示す有効加湿効率を90%以上に確保することができるが、例えば、噴霧量の多い有効加湿効率50%時、飽和効率は80%程度のところ、噴霧水量を減らして有効加湿効率90%として、飽和効率は50%以上とする場合等、噴霧水量を調節する必要があり、ノズルとエリミネータとの距離を1.200mmとしても有効加湿効率は最大50%であり(特許文献1の図9参照)、本発明が目的とする加湿効率及び飽和効率の両方を70%とする高い効率を得ることはできない。
このように、特許文献1の発明は、外部に設け室内を空調する空気調和機に使用する場合においては十分加湿効果を達成することができるが、装置が大型になることから、本発明の目的の一つである2〜3名程度の少人数で持ち運びができる小型の加湿装置には使用できない。
特に、加湿に超純水を使用する場合、超純水の使用を節約する観点から、飽和効率(η1)及び加熱効率(η2)の両方の効率が高い加湿装置が求められるが、例えば、飽和効率(η1)は高いが、一方加熱効率(η2)は20%と低くものなどしかなく、飽和効率(η1)及び加熱効率(η2)の両方が高い加湿装置はなかった。
また、少人数で持ち運びができる小型の加湿装置は存在しなかった。
またあわせて、少人数で持ち運びができる小型の加湿装置を提供することを目的とする。
〔1〕加湿する空気を供給する空気供給口(2)と、加湿した空気を吹出す吹出口(3)とを設けた筐体(4)内に、連通多孔体からなる加湿エレメント(5)を傾斜させて設け、該加湿エレメント(5)の下方からその表面に沿って上方に向けて水を霧として噴射させる噴霧ノズル機構(6)を備え、供給された空気流を噴射された霧によって湿潤された前記加湿エレメント(5)を通過することで加湿を行うことを特徴とする水噴霧型加湿装置。
〔2〕加湿する空気を供給する空気供給口(2)と、加湿した空気を吹出す吹出口(3)とを設けた筐体(4)内に、連通多孔体からなる加湿エレメント(5)を2枚V字状に傾斜させて設け、該2枚の加湿エレメント(5)の下方からそれぞれのその表面に沿って上方に向けて水を霧として噴射させる噴霧ノズル機構(6)を備え、供給された空気流を噴射された霧によって湿潤された前記加湿エレメント(5)を通過することで加湿を行うことを特徴とする水噴霧型加湿装置。
〔3〕前記加湿エレメント(5)が、金属多孔板であることを特徴とする前記〔1〕又は〔2〕に記載の水噴霧型加湿装置。
〔4〕前記加湿エレメント(5)が、垂直面から45度から75度の傾斜角度で設けられてなることを特徴とする前記〔1〕〜〔3〕の何れか1に記載の水噴霧型加湿装置。
〔5〕前記加湿エレメント(5)を構成する金属多孔板の1インチ角中の空孔数(ppi)が30〜40であることを特徴とする前記〔1〕〜〔4〕の何れか1に記載の水噴霧型加湿装置。
〔6〕前記加湿エレメント(5)の面厚が10〜20mmであることを特徴とする前記〔1〕〜〔5〕の何れか1に記載の水噴霧型加湿装置。
〔7〕前記加湿エレメント(5)の上端部に、該加湿エレメント(5)を前記筐体(4)の側板に固定する長尺の固定板(9)であって、前記加湿エレメント(5)の表面に当接する端部が波状に形成された固定板(9)が設けられていることを特徴とする前記〔1〕〜〔6〕の何れか1に記載の水噴霧型加湿装置。
〔8〕前記筐体(4)の背面板に、該空気供給口(2)から筐体(4)内に供給される空気流を下方に導く庇(8d、8e)を設けたことを特徴とする前記〔1〕〜〔7〕の何れか1に記載の水噴霧型加湿装置。
〔9〕前記空気供給口(2)に、空気を筐体(4)内に供給するファン(10)を設けたことを特徴とする前記〔1〕〜〔8〕の何れか1に記載の水噴霧型加湿装置。
(1)本発明の水噴霧型加湿装置によれば、加湿する空気を供給する空気供給口と、加湿した空気を吹出す吹出口とを設けた筐体内に、連通多孔体からなる加湿エレメントを傾斜させて設けてなり、該加湿エレメントの下方からその表面に沿って上方に向けて水を霧として噴射させる噴霧ノズル機構を備え、供給された空気流を噴射された霧によって湿潤された前記加湿エレメントを通過させることで加湿を行うので、飽和効率及び加熱効率の両方が高い水噴霧型加湿装置が得られる。
同様に該加湿装置の筐体内に、連通多孔体からなる加湿エレメントを2枚V字状に傾斜させて設けてなり、該2枚の加湿エレメントの下方からそれぞれのその表面に沿って上方に向けて水を霧として噴射させる噴霧ノズル機構を備え、供給された空気流を噴射された霧によって湿潤された前記加湿エレメントを通過させることで加湿を行うので、より効率よく飽和効率及び加熱効率の両方が高い加湿空気を提供することができる。
(2)また、本発明の水噴霧型加湿装置の加湿エレメントの上端部に、該加湿エレメントを筐体の側板に固定する長尺の固定板であって、前記加湿エレメントの表面に当接する端部が波状に形成された固定板が設けられているので、筐体内に供給した水を無駄なく加湿エレメントの表面に供給することができ、水噴霧型加湿装置に供給する給水量が減り、また、排水量(ドレン水量)が減らすことができる。
特に、クリーンルームなどでは超純水を使用するため、超純水使用量を抑制できるためランニングコストの低減を図ることができる。
さらに、加湿エレメントは保水性が非常に小さいので、水切れが良くまた付着した水滴が気化しやすいため、加湿制御がしやすい。
さらにまた、給水した水の一部は一定量の排水となるため、加湿前の空気が装置内に導入され、加湿エレメントの表面に化学成分が付着しても濃縮されることなく排出される。
図1は本発明の水噴霧型加湿装置の一例を示す概略断面図、図2は図1中のA−A線で切断した水噴霧型加湿装置の断面図、図3は図1中のB−B線で切断した水噴霧型加湿装置の断面図、図4は図1中のC−C線で切断した水噴霧型加湿装置の断面図である。
図1、図2、図3及び図4において、1は水噴霧型加湿装置、2は前記水噴霧型加湿装置内に空気を供給する空気供給口、3は水噴霧型加湿装置内において加湿された空気を吹出す加湿空気吹出口、4は筐体で4aが上板(天井)、4bが底板、4cが背面板(背面壁)、4dが前面板(前面壁)、4eが側板(側壁)、5は板状の加湿エレメント、6はノズル機構で6aが噴霧ノズル、6bが送水管、7は加湿エレメント5から排出されるドレンを筐体4外に排出するドレン排出管、8はファン開口部、9は固定板、9aが固定板の波形端部、10はファン、11は前記加湿エレメント5から排出されるドレンをドレン排出管7へ導く傾斜板、12は円筒体、12aはフランジである。
このように加湿エレメント5を傾斜させているのは、加湿エレメント5を垂直に置いた場合、水を噴霧すると、ある程度加湿エレメント5にしみ込むと水どうしが引っ張り合って下に落ちる力が加速してしまうため、表面から落ちていくのが早いが、加湿エレメント5を傾斜させて配置しておくと、傾ければ傾けるほど加湿エレメント5中に水が保持される(滞在する)時間が長くなるためである。
また、加湿エレメント5を傾斜させた場合、装置の高さを低くすることができる。これらのことから、本発明にかかる水噴霧加湿装置1は、加湿エレメント5を傾斜させて配置する構成となっている。
そして、前記空気供給口2の内側には、図1〜図4に示すように、筐体4にファン開口部8が設けられ、該ファン開口部8は、一段目(上部)開口部8a、二段目(中部)開口部8b、三段目(下部)開口部8cからなり、かつ、二段目(中部)開口部8bには庇8d、3段目開口部8bには庇8eが設けられ、前記筐体4の外側には前記空気供給口2から筐体4内に空気を供給するファン10が設けられている。
この庇8d、8eによって、筐体4の背面板4cに沿って流れる水滴がファン開口部8から流れ出しファン10に当たって外に濡れ出すのを防ぐことができる。
この波形に形成された端面9aを有する固定板9は、噴霧ノズル6aから霧として噴射された水が筐体4の前面板4d内面に沿って流下し加湿に寄与しないでドレンとして排除されてしまうのを、前記加湿エレメント5上に戻す役割も有し、波状に形成された端面9aが該固定板9に滴下した水を均等に戻すようにしている。
すなわち、端面がストレートに形成されている場合、滴下した水が固まって水滴となり不均等にフィルタ上に戻されてしまうので、本発明においては、端部を波状に形成された端面9aとすることで、水滴を均等に戻すことができる構成となっている。
図5は本発明の水噴霧型加湿装置の他の例を示す概略断面図、図6は図5中のA−A線で切断した水噴霧型加湿装置の断面図、図7は図5中のB−B線で切断した水噴霧型加湿装置の断面図、図8は図5に示す水噴霧型加湿装置の左側面の概観図である。
図における符号は、実施例1と同様に、1は水噴霧型加湿装置、2は前記水噴霧型加湿装置内に空気を供給する空気供給口、3は水噴霧型加湿装置内において加湿された空気を吹出す加湿空気吹出口、4は筐体で4aが上板(天井)、4bが底板、4cが背面板(背面壁)、4dが前面板(前面壁)、4eが側板(側壁)、5は加湿エレメント、6はノズル機構で6aが噴霧ノズル、6bが送水管、7は加湿エレメント5から排出されるドレンを筐体4外に排出するドレン排出管、8はファン開口部、9は固定板、9aが固定板の波形端部、10はファン、11は、前記加湿エレメント5から排出されるドレンをドレン排出管7へ導く傾斜板、12は円筒体、12aはフランジである。
そして、前記空気供給口2の内側には、図5〜図8示すように、筐体4に、四角形の下方側隅部をカットした六角形状のファン開口部8が設けられ、該ファン開口部8は一段目(上部)開口部8a、二段目(中部)開口部8b、三段目(下部)開口部8cからなり、かつ、二段目(中部)開口部8bには内側に突出した鈍角三角状の庇8d、3段目開口部8bには内側に突出した鈍角三角状の庇8eの2つが設けられ、前記筐体4の外側には前記空気供給口2から筐体4内に空気を供給するファン10が設けられている。
なお、実施例1及び2における上記ファン開口部8の構成は、一例であり、装置やファンの大きさ等を鑑み、開口部の数や庇の数を増減できることは言うまでもない。
したがって、実施例1のように筐体内に供給された空気が加湿エレメント5の表面に直線的に吹き付けられ加湿エレメント5を通過した加湿空気が加湿空気吹出口3に流れるような直線的な空気の流路ではなく、筐体4内で次のようにして渦を巻き加湿エレメント5を通過することになる。
即ち、ファン10により空気供給口2から筐体4内に供給された空気は、
(1)空気供給口2の一部を斜め下方向に折り曲げ加工した2、3段目の庇8d、8eによって、ファン10からの気流が下方に変向し、前記V字状に配置された加湿エレメント5の谷底部分に沿ってファンの送風方向(前面板4dの方向)に流れ、
(2)そして、気流が筐体4の前面板4dに当たって左右に分岐し、加湿エレメント5の表面に沿って谷底部分から上方に流れ、
(3)それぞれの気流が筐体4の左右の側板4eに当たって加湿エレメント5の上側部分に沿ってファン送風方向とは反対方向(背面板4cの方向)に流れを変え、
(4)さらに筐体4の背面板4cに当たって加湿エレメント5の上側部分から谷底部分に流れ、ファン10からの気流に合流し加湿エレメント5を通過し加湿空気が上側部分から谷底部分に流れ、ファン10からの気流に合流し加湿空気吹出口3から筐体4の外に排出される。
このような状況において噴霧ノズル6aから霧状にした水を加湿エレメント5に対して下から上に向けて加湿エレメント5の表面に噴射すると、ファン10により空気供給口2から筐体4内に吹き込まれた空気と一体になって気流が渦を巻くように上方に巻き込まれるとともに、気流の一部が加湿エレメント5を通過し、加湿した空気が加湿空気吹出口3から筐体4の外に排出される。
また、本実施例においては、金属多孔体の材料として保水性、浸水性が良く膜を張ってくれるニッケルを使用しているが、これに限定されるものではなく他の金属であっても良い。
さらに、本実施例においては、1インチ角中の空孔の数を表すPPi(pore per inch)が30〜40の連通多孔体を使用しているが、これに限定されるものではなく加湿効率を低くする場合においては、この範囲を超えても問題はない。
図9は、加湿エレメント5を構成する連通多孔体5a内の水の存在状態を表す図である。同図に示すように、連通多孔体5aには、連通する多数の空孔5bが重なり合うよう連続して存在している。
この連通多孔体5aにノズルから水が噴射されると空孔5bの一部に水膜5cが形成され、水膜5c間を流れる空気MAが水膜5cと気水接触することで空気が加湿される。前記連通多孔体5aの上流に供給される水滴によって、水膜5cに加わる重力が表面張力より大きくなると、水膜5cがはじけて水が下流に排出される。
このように、連通多孔体5aは、噴霧を行うことで、内部に無数の水膜5cを形成することができ、連通多孔体5a内では多数の空孔5bを空気MAが通過し、それに伴い多数の水膜5cを通過したり、水膜5cの表面に触れて通過することで加湿され、空気MAが通過した空孔5bの水膜空孔5cは当然空気MAの押圧力で破裂することが多く一旦消滅するが、噴霧を続けている間は即座に再形成される。
前述したように、連通多孔体5aを垂直に置いた場合、水を噴霧すると、一部は、水滴となって表面を流下し、残りは、ある程度連通多孔体5aにしみ込むと水どうしが引っ張り合って表面から落ちていく。このとき、空気MAの流動方向と水膜5cの膜面が平行なので空気MAが素通りし易いことに加え、水膜5cが重力の影響で連通多孔体5aの下側に偏って存在するため、水膜5cが少なく空気の圧力損失が低い連通多孔体5aの上側領域に空気MAが偏流し、気液接触面積が小さくなり、加湿効率・飽和効率が落ちる。
一方、加湿エレメント5を傾斜させて配置しておくと、前述したように、傾ければ傾けるほど加湿エレメント5中に水が保持される(滞在する)時間が長くなり、保水量が多くなる。このとき、空気MAの流動方向が水膜5cの膜面から傾斜するので空気MAが水膜5cの膜面に接触し易いことに加え、水膜5cの上下方向の偏りが緩和され、空気MAの偏流が少なくなり、気液接触面積が大きくなり、加湿効率・飽和効率が向上する。
ただし、加湿エレメント5を水平に配置すると、保水量は最大となるが、膜状の水が表面を覆い、膜状の水のところどころに空気通過穴が形成されるため、気液接触面積が小さくなり、加湿効率・飽和効率が落ちる。
このように、加湿エレメント5の垂直面からの傾きθが0〜90°の間の所定範囲のとき、高い加湿効率・飽和効率を示す。
実験は、連通多孔体5aのPPiと、垂直面からの傾斜角度(傾き)θを変え、2つのフラットノズルから水を霧状に噴霧し、前記連通多孔体5a上における水滴の挙動を観察し、表1に示すような結果を得た。
×は連通多孔体5aの表面で水滴が弾かれて溜まることがないか、また留まったとしても短時間で流れ落ちる状態、
△は連通多孔体5aの表面で水滴が数分留まるが、次第に集まって大きな水滴になって流れ落ち、連通多孔体5aにはほとんど浸み込まない状態、
○は連通多孔体5aの表面に水滴が留まり続け集まって大きくな水滴となっても、そのほとんどが連通多孔体5a内に浸み込み、連通多孔体5aの表面を流れ落ちる水滴の量が少ない状態、
を示している。
表1から明らかなように、50PPiでは、θ>60°が好ましく、35PPiでは、θ>45°が好ましく、θ>60°がより好ましい。25PPiではθ>30が好ましく、θ>60°がより好ましい。
なお、上記実験においては、連通多孔体5aに通風はしていない。
ここで、90°から液滴が転落しはじめる傾斜角度θを差し引いた角度(90−θ)を転落角αとすると、液滴が前進、後退するときの前進・後退接触角の余弦の差が小さいほど、また、液滴の重量が大きいほど、転落角αが小さく、液滴は転落し易いことが知られている。
Furmidge の式 mg sinα = ωγLV(cosθr−cosθa)
(m:水滴の質量、g:重力加速度、α:水滴の転落角、ω:水滴の幅、γLV:界面張力、θa:前進接触角、θr:後退接触角)
上記実験によって得られた知見を基にして、実施例2の水噴霧型加湿装置1における加湿エレメント5にPPiの異なる連通多孔体5aとその傾斜角度θとを変えて、それぞれの条件における飽和効率η1及び加湿効率η2の変化を求めた。
ここで、飽和効率η1とは、加湿器の加湿の能力(相対湿度100%にいたるまでどこまで加湿できるか)を示す指標であり、飽和効率が高いほど、飽和空気(相対湿度RH100%)に近い状態まで加湿することができる。
飽和効率η1は、式(1)により求められる。
η1=(x2−x1)÷(x3−x1)×100%[%] ・・・(1)
式(1)において、それぞれx1は、加湿器の加湿入口の絶対湿度[Kg/KgDA]を、x2は、加湿器の加湿出口の絶対湿度[Kg/KgDA]を、そしてx3は、飽和空気の絶対湿度[Kg/KgDA]を表す。
また、飽和空気とは、加湿器の加湿入口や出口の空気を空気線上にプロットし、等エンタルビー線上で相対湿度100%まで延ばしたときの空気である。
また、加湿効率η2とは、噴霧水を加湿にどれだけ有効に利用できるかを示す指標であり、加湿効率が高いほど、噴霧水の無駄が少なくなる。
加湿効率は、式(2)及び式(3)により求められる。
w1=ρ×v×(x2−x1) ・・・ (2)
η2=w1÷w2×100%[%] ・・・ (3)
式(2)において、ρは、空気密度[Kg/KgDA]、vは、加湿器に送り込む風量[m3/h]、x1、x2は式(1)に示したとおり、加湿器の加湿入口及び出口の絶対湿度[Kg/KgDA]を表している。
そして、式(3)においてw1は加湿量[Kg/h]、w2は、加湿器に供給された給水量[Kg/h]を表している。
また、V字状に組み合わされた2枚の加湿エレメント5の表面に沿って下方から上方向に向けて水を霧状にして噴射する噴霧ノズル6aとして、水道水の圧力で噴霧する節水タイプのフラットノズルを使用した。
このフラットノズルとして、1ノズル当たりの噴霧量が3L/hr(50[cc/min])、噴霧するミストの直径が100μm以下となるフラットノズルを選択し、トータルの噴霧水量(給水量)を12L/hとした。
この空気を空気供給口2へ供給するファン10には、簡単に入手でき交換も容易な汎用品の軸流ファン(送風量2000m3/min、面速0.85m/s)を使用した。
そして、前記空気供給口2と加湿空気吹出口3とに設置された温湿度計から湿度、噴霧ノズル6aの給水管6bに装置された流量計からの給水量の各データから、飽和効率η1及び加湿効率η2を算出した。
a)加湿エレメント5のPPiを50、その垂直面からの傾斜角度θを30°、45°とした実験では、噴霧水が加湿エレメント5を構成する連通多孔体5aに入り込みにくく、連通多孔体5aの表面に水膜が形成され、連通多孔体5aが水を含んだスポンジのようになって、局所的に連通多孔体5aを通過する風の通り道ができている状態になった。
このように水膜によって風が通りにくく、風量が2000m3/minから1300〜1500m3/minに減少し、これにより、連通多孔体5aの表面を流れて排出されるドレンが多くなり、加湿効率及び飽和効率が上がらなかった。
この実験から得られた飽和効率η1は20〜30%、加湿効率η2は25〜30%であった。
b)次に噴霧水が連通多孔体5aに入り込みやすいように、加湿エレメント5のPPiを25と孔を大きくして、加湿エレメント5の傾斜角度θを30°、45°で実験したところ、逆に加湿エレメント5を構成する連通多孔体5aがスカスカになって風が通り抜けやすくなって圧力損失も低くなり、風量が2000m3/minから2200m3/minに増加してしまった。また、噴霧水が連通多孔体5aを通り抜けて後ろに(加湿装置外まで)飛び散ってしまい、加湿エレメント5を通り抜けて排出されるドレンが多くなり、やはり、加湿効率が上がらなかった。
この実験から得られた飽和効率η1は20〜30%、加湿効率η2は25〜30%であった。
c)そこで、加湿エレメント5のPPiを中間の35とし、加湿エレメント5の傾斜角度θを30°、45°で実験したところ飽和効率η1が30〜50%、加湿効率η2 が50%に向上した。
さらに最適化を進めて加湿エレメント5の傾斜角度を60°としたところ飽和効率η1が70%以上、加湿効率η2 が70%以上という好結果が得られた。
また加湿エレメント5の傾斜角度θに関しては、噴霧した水が加湿エレメント5の表面で水滴となって無駄に流れ出すことを抑える観点からは、45°〜75°が好ましく、加湿効率、飽和効率の観点からは、55°〜65°がより好ましい。
上記のパラメータのうち、加湿エレメント5の面厚dと単位面積当たりの水量xについて検討する。
加湿エレメント5の面厚dに関しては面厚みが10mm未満であると、加湿エレメント5に捕集された水分の一部は加湿エレメント5の背面まで染み出し、空気の動圧によって押し出され後方へ飛散する。また、厚みが20mmを超えると、加湿エレメント5の内部後方側までミストが浸透しないため、浸透しない厚み部分は気水接触効果の向上に寄与せず、圧力損失増加の原因となるだけである。
このように、加湿エレメント5の面厚dは、10〜20mmが好ましく、15〜18がより好ましく、15が最も好ましい。
また、単位面積当たりの噴霧水の水量xは、先に段落0020において、本実験に使用した長さ0.5m、幅0.7mの加湿エレメント5に、1ノズル当たりの噴霧量が3L/hr(50[cc/min])の噴霧ノズル6a2つから噴霧するとして、(3×2)÷(0.5×0.7)=17.14L/h/m2の固定値となる。
単位面積当たりの噴霧水の水量が増えすぎると、加湿エレメント5の表面に水膜ができやすくなり、加湿効率が減る。また、単位面積当たりの噴霧水量が減りすぎると、加湿効果は向上するが、加湿量を稼げない。よって、加湿量の観点からは、単位面積当たりの噴霧水の水量xは、15〜20L/h/m2であることが好ましい。あるいは、加湿量が8kg/h以上となる単位面積当たりの噴霧水量であることが好ましい。
また、少人数で持ち運びができる小型の加湿装置を提供することができる。
2 空気供給口
3 空気吹出口
4 筐体
4a 上板
4b 底板
4c 背面板(背面壁)
4d 前面板(前面壁)
4e 側板(側壁)
5 加湿エレメント
5a 空孔
5b 水膜
6 ノズル機構
6a 噴霧ノズル
6b 送水管
7 ドレン排出管
8 ファン開口部
8a 一段目(上部)ファン開口部
8b 二段目(中部)ファン開口部
8c 三段目(下部)ファン開口部
8d、8e 庇
9 固定板
10 ファン
11 傾斜板
12 円筒体
12a フランジ
Claims (9)
- 加湿する空気を供給する空気供給口(2)と、加湿した空気を吹出す吹出口(3)とを設けた筐体(4)内に、連通多孔体からなる加湿エレメント(5)を傾斜させて設け、該加湿エレメント(5)の下方からその表面に沿って上方に向けて水を霧として噴射させる噴霧ノズル機構(6)を備え、供給された空気流を噴射された霧によって湿潤された前記加湿エレメント(5)を通過することで加湿を行うことを特徴とする水噴霧型加湿装置。
- 加湿する空気を供給する空気供給口(2)と、加湿した空気を吹出す吹出口(3)とを設けた筐体(4)内に、連通多孔体からなる加湿エレメント(5)を2枚V字状に傾斜させて設け、該2枚の加湿エレメント(5)の下方からそれぞれのその表面に沿って上方に向けて水を霧として噴射させる噴霧ノズル機構(6)を備え、供給された空気流を噴射された霧によって湿潤された前記加湿エレメント(5)を通過することで加湿を行うことを特徴とする水噴霧型加湿装置。
- 前記加湿エレメント(5)が、金属多孔板であることを特徴とする請求項1又は2に記載の水噴霧型加湿装置。
- 前記加湿エレメント(5)が、垂直面から45度から75度の傾斜角度で設けられてなることを特徴とする請求項1〜3の何れか1に記載の水噴霧型加湿装置。
- 前記加湿エレメント(5)を構成する金属多孔板の1インチ角中の空孔数(ppi)が30〜40であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1に記載の水噴霧型加湿装置。
- 前記加湿エレメント(5)の面厚が10〜20mmであることを特徴とする請求項1〜5の何れか1に記載の水噴霧型加湿装置。
- 前記加湿エレメント(5)の上端部に、該加湿エレメント(5)を前記筐体(4)の側板に固定する長尺の固定板(9)であって、前記加湿エレメント(5)の表面に当接する端部が波状に形成された固定板(9)が設けられていることを特徴とする請求項1〜6の何れか1に記載の水噴霧型加湿装置。
- 前記筐体(4)の背面板に、該空気供給口(2)から筐体(4)内に供給される空気流を下方に導く庇(8d.8e)を設けたことを特徴とする請求項1〜7の何れか1に記載の水噴霧型加湿装置。
- 前記空気供給口(2)に、空気を筐体(4)内に供給するファン(10)を設けたことを特徴とする請求項1〜8の何れか1に記載の水噴霧型加湿装置。
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