以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
<共通する用語の説明>
本明細書で共通して用いられる用語は、特記しない限り、以下の意味である。
Meはメチル基、Etはエチル基、Buはブチル基、i−Prはイソプロピル基、t−Buはtert−ブチル基を表す。
水素原子は、重水素原子であっても、軽水素原子であってもよい。
金属錯体を表す式中、中心金属との結合を表す実線は、共有結合又は配位結合を意味する。
「高分子化合物」とは、分子量分布を有し、ポリスチレン換算の数平均分子量が1×103〜1×108である重合体を意味する。
「低分子化合物」とは、分子量分布を有さず、分子量が1×104以下の化合物を意味する。
「構成単位」とは、高分子化合物中に1個以上存在する単位を意味する。
「アルキル基」は、直鎖及び分岐のいずれでもよい。直鎖のアルキル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1〜50であり、好ましくは3〜30であり、より好ましくは4〜20である。分岐のアルキル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜50であり、好ましくは3〜30であり、より好ましくは4〜20である。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、2−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、2−エチルブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、3−プロピルヘプチル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、2−エチルオクチル基、2−ヘキシルデシル基及びドデシル基が挙げられる。アルキル基は置換基を有していてもよく、例えば、アルキル基における水素原子の一部又は全部が、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基であってよい。置換基を有するアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、3−フェニルプロピル基、3−(4−メチルフェニル)プロピル基、3−(3,5−ジ−ヘキシルフェニル)プロピル基及び6−エチルオキシヘキシル基が挙げられる。
「シクロアルキル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜50であり、好ましくは3〜30であり、より好ましくは4〜20である。
シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基が挙げられる。シクロアルキル基は置換基を有していてもよく、例えば、シクロアルキル基における水素原子の一部又は全部が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基であってよい。置換基を有するシクロアルキル基としては、例えば、シクロヘキシルメチル基及びシクロヘキシルエチル基が挙げられる。
「アリール基」は、芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた残りの原子団を意味する。アリール基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6〜60であり、好ましくは6〜20であり、より好ましくは6〜10である。
アリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−ピレニル基、2−フルオレニル基、3−フルオレニル基、4−フルオレニル基、2−フェニルフェニル基、3−フェニルフェニル基及び4−フェニルフェニル基が挙げられる。アリール基は置換基を有していてもよく、例えば、アリール基における水素原子の一部又は全部が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基であってよい。
「アルコキシ基」は、直鎖及び分岐のいずれでもよい。直鎖のアルコキシ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1〜40であり、好ましくは4〜10である。分岐のアルコキシ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜40であり、好ましくは4〜10である。
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基及びラウリルオキシ基が挙げられる。アルコキシ基は置換基を有していてもよく、例えば、アルコキシ基における水素原子の一部又は全部が、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基であってよい。
「シクロアルコキシ基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜40であり、好ましくは4〜10である。
シクロアルコキシ基としては、例えば、シクロペンチルオキシ基及びシクロヘキシルオキシ基が挙げられる。シクロアルコキシ基は置換基を有していてもよく、例えば、シクロアルコキシ基における水素原子の一部又は全部が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基であってよい。
「アリールオキシ基」は、酸素原子にアリール基が1つ結合した原子団を意味する。アリールオキシ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6〜60であり、好ましくは6〜48である。
アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、1−アントラセニルオキシ基、9−アントラセニルオキシ基及び1−ピレニルオキシ基が挙げられる。アリールオキシ基は置換基を有していてもよく、例えば、アリールオキシ基における水素原子の一部又は全部が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、フッ素原子等で置換された基であってよい。
「p価の複素環基」(pは、1以上の整数を表す。)とは、複素環式化合物から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうちp個の水素原子を除いた残りの原子団を意味する。p価の複素環基の中でも、芳香族複素環式化合物から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうちp個の水素原子を除いた残りの原子団である「p価の芳香族複素環基」が好ましい。
「芳香族複素環式化合物」は、オキサジアゾール、チアジアゾール、チアゾール、オキサゾール、チオフェン、ピロール、ホスホール、フラン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、トリアジン、ピリダジン、キノリン、イソキノリン、カルバゾール、ジベンゾホスホール等の複素環自体が芳香族性を示す化合物、及び、フェノキサジン、フェノチアジン、ジベンゾボロール、ジベンゾシロール、ベンゾピラン等の複素環自体は芳香族性を示さなくとも、複素環に芳香環が縮合されている化合物を意味する。
1価の複素環基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常、2〜60であり、好ましくは4〜20である。
1価の複素環基としては、例えば、チエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、ピペリジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ピリミジニル基及びトリアジニル基が挙げられる。1価の複素環基は置換基を有していてもよく、例えば、1価の複素環基における水素原子の一部又は全部が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基等で置換された基であってよい。
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を示す。
「アミノ基」は、置換基を有していてもよく、置換アミノ基が好ましい。アミノ基が有する置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基が好ましい。
置換アミノ基としては、例えば、ジアルキルアミノ基、ジシクロアルキルアミノ基及びジアリールアミノ基が挙げられる。具体的な置換アミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ビス(4−メチルフェニル)アミノ基、ビス(4−tert−ブチルフェニル)アミノ基及びビス(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)アミノ基が挙げられる。
「アルケニル基」は、直鎖及び分岐のいずれでもよい。直鎖のアルケニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常2〜30であり、好ましくは3〜20である。分岐のアルケニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜30であり、好ましくは4〜20である。
「シクロアルケニル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜30であり、好ましくは4〜20である。
アルケニル基及びシクロアルケニル基としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基及び7−オクテニル基が挙げられる。アルケニル基は置換基を有していてもよく、例えば、アルケニル基における水素原子の一部又は全部が、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基であってよい。また、シクロアルケニル基は置換基を有していてもよく、例えば、シクロアルケニル基における水素原子の一部又は全部が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基であってよい。
「アルキニル基」は、直鎖及び分岐のいずれでもよい。アルキニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子を含めないで、通常2〜20であり、好ましくは3〜20である。分岐のアルキニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子を含めないで、通常4〜30であり、好ましくは4〜20である。
「シクロアルキニル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子を含めないで、通常4〜30であり、好ましくは4〜20である。
アルキニル基及びシクロアルキニル基としては、例えば、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基、1−ヘキシニル基及び5−ヘキシニル基が挙げられる。アルキニル基は置換基を有していてもよく、例えば、アルキニル基における水素原子の一部又は全部が、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基であってよい。また、シクロアルキニル基は置換基を有していてもよく、例えば、シクロアルキニル基における水素原子の一部又は全部が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基であってよい。
「アリーレン基」は、芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子2個を除いた残りの原子団を意味する。アリーレン基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6〜60であり、好ましくは6〜30であり、より好ましくは6〜18である。
アリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、フェナントレンジイル基、ジヒドロフェナントレンジイル基、ナフタセンジイル基、フルオレンジイル基、ピレンジイル基、ペリレンジイル基及びクリセンジイル基が挙げられる。アリーレン基は置換基を有していてもよく、例えば、アリーレン基における水素原子の一部又は全部が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基であってよい。
アリーレン基は、好ましくは、式(A−1)〜式(A−20)で表される基である。アリーレン基は、これらの基が複数結合した基を含む。
式中、R及びRaは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表す。複数存在するR及びRaは、各々、同一でも異なっていてもよく、Ra同士は互いに結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよい。
2価の複素環基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常2〜60であり、好ましくは3〜20であり、より好ましくは4〜15である。
2価の複素環基としては、例えば、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、ジベンゾシロール、フェノキサジン、フェノチアジン、アクリジン、ジヒドロアクリジン、フラン、チオフェン、アゾール、ジアゾール、トリアゾール等の複素環式化合物から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうち2個の水素原子を除いた2価の基が挙げられる。2価の複素環基は置換基を有していてもよく、例えば、2価の複素環基における水素原子の一部又は全部が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基であってよい。
2価の複素環基は、好ましくは、式(AA−1)〜式(AA−34)で表される基である。2価の複素環基は、これらの基が複数結合した基を含む。
式中、R及びRaは、前記と同じ意味を表す。
「架橋基」とは、加熱、紫外線照射、近紫外線照射、可視光照射、赤外線照射、ラジカル反応等に供することにより、新たな結合を生成することが可能な基であり、好ましくは、上記架橋基A群の式(XL−1)〜式(XL−17)で表される基である。
「置換基」としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、置換アミノ基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基及びシクロアルキニル基が挙げられる。置換基は架橋基であってもよい。
<発光素子>
次に、本発明の一実施形態に係る発光素子について説明する。
本実施形態に係る発光素子は、陽極と、陰極と、陽極及び陰極の間に設けられた第1の有機層及び第2の有機層とを有する。第1の有機層は、式(1A)で表される化合物(以下、「第1の化合物」ともいう。)と、式(1B)で表される発光材料(以下、「第1の発光材料ともいう。)とを含有する層であり、第2の有機層は、架橋材料の架橋体を含有する層である。
第1の有機層及び第2の有機層の形成方法としては、例えば、真空蒸着法等の乾式法、並びに、スピンコート法及びインクジェット印刷法等の湿式法が挙げられ、湿式法が好ましい。
第1の有機層を湿式法により形成する場合、後述する第1の有機層用のインク(以下、「第1のインク」ともいう。)を用いることが好ましい。
第2の有機層を湿式法により形成する場合、後述する第2の有機層用のインク(以下、「第2のインク」ともいう。)を用いることが好ましい。第2の有機層を形成後、加熱又は光照射することで、第2の有機層に含有される架橋材料を架橋させることができ、加熱することで、第2の有機層に含有される架橋材料を架橋させることが好ましい。架橋材料が架橋した状態(架橋材料の架橋体)で、第2の有機層に含有されている場合、第2の有機層は溶媒に対して実質的に不溶化されている。そのため、第2の有機層は、発光素子の積層化に好適に使用することができる。
架橋させるための加熱の温度は、通常、25〜300℃であり、好ましくは50〜250℃であり、より好ましくは150〜200℃であり、更に好ましくは170〜190℃である。架橋させるための加熱の時間は、通常、0.1〜1000分であり、好ましくは0.5〜500分であり、より好ましくは1〜120分であり、更に好ましくは30〜90分である。
光照射に用いられる光の種類は、例えば、紫外光、近紫外光、可視光である。
第1の有機層又は第2の有機層に含有される成分の分析方法としては、例えば、抽出等の化学的分離分析法、赤外分光法(IR)、核磁気共鳴分光法(NMR)、質量分析法(MS)等の機器分析法、並びに、化学的分離分析法及び機器分析法を組み合わせた分析法が挙げられる。
第1の有機層又は第2の有機層に対して、トルエン、キシレン、クロロホルム、テトラヒドロフラン等の有機溶媒を用いた固液抽出を行うことで、有機溶媒に対して実質的に不溶な成分(不溶成分)と、有機溶媒に対して溶解する成分(溶解成分)とに分離することが可能である。不溶成分は赤外分光法又は核磁気共鳴分光法により分析することが可能であり、溶解成分は核磁気共鳴分光法又は質量分析法により分析することが可能である。
<第1の有機層>
第1の有機層は、第1の化合物と第1の発光材料とを含有する層である。第1の有機層において、第1の化合物と第1の発光材料とを組み合わせることにより、第1の有機層の形成方法に限定されることなく、第1の有機層を形成することが可能となる。また、第1の化合物と第1の発光材料との分散性や相溶性が改善されるので、従来の発光素子に比べて、駆動電圧の低い発光素子になると考えられる。
[第1の化合物及び第1の発光材料]
第1の化合物の発光スペクトルの最大ピーク波長は、第1の発光材料の発光スペクトルの最大ピーク波長よりも短波長であることが好ましい。
第1の化合物の発光スペクトルの最大ピーク波長は、好ましくは300nm以上550nm以下であり、より好ましくは340nm以上495nm以下であり、更に好ましくは380nm以上480nm以下であり、特に好ましくは400nm以上450nm以下である。
第1の発光材料の発光スペクトルの最大ピーク波長は、好ましくは380nm以上570nm以下であり、より好ましくは400nm以上550nm以下であり、更に好ましくは420nm以上495nm以下であり、特に好ましくは430nm以上480nm以下である。
本明細書において、化合物(又は発光材料)の発光スペクトルの最大ピーク波長は、該化合物(又は発光材料)を、キシレン、トルエン、クロロホルム、テトラヒドロフラン等の有機溶媒に溶解させ、希薄溶液を調製し(1×10−6〜1×10−3質量%程度)、該希薄溶液のPLスペクトルを室温で測定することで評価することができる。化合物(又は発光材料)を溶解させる有機溶媒としては、トルエンが好ましい。
第1の化合物は、発光性、正孔注入性、正孔輸送性、電子注入性及び電子輸送性からなる群から選ばれる少なくとも1つの機能を有することが好ましく、正孔注入性、正孔輸送性、電子注入性及び電子輸送性からなる群から選ばれる少なくとも1つの機能を有することがより好ましい。
第1の化合物は、式(1A)で表される化合物である。
[式(1A)で表される化合物]
n1Aは、1〜10の整数を表し、好ましくは1〜7の整数であり、より好ましくは1〜4の整数であり、更に好ましくは1又は2である。
n2Aは、1〜10の整数を表し、好ましくは0〜7の整数であり、より好ましくは0〜4の整数であり、更に好ましくは0〜2の整数であり、特に好ましくは0又は1である。
Ar1Aは、3〜10個のベンゼン環が縮合した縮合環の芳香族炭化水素基を表し、好ましくは、3個〜7個のベンゼン環が縮合した縮合環の芳香族炭化水素基であり、より好ましくは、3個〜5個のベンゼン環が縮合した縮合環の芳香族炭化水素基であり、更に好ましくは3個又は4個のベンゼン環が縮合した縮合環の芳香族炭化水素基である。これらの基は置換基を有していてもよい。
「3〜10個のベンゼン環が縮合した縮合環の芳香族炭化水素基」とは、3〜10個のベンゼン環のみが縮合した芳香族炭化水素環から、芳香環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個以上を除いてなる基を意味する。
3〜10のベンゼン環が縮合した縮合環の芳香族炭化水素基としては、例えば、アントラセン環、フェナントレン環、又は、これらの環に1〜7個のベンゼン環が縮合した環から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個以上を除いてなる基が挙げられる。縮合環の芳香族炭化水素基は、好ましくは、アントラセン環、フェナントレン環、又は、これらの環に1〜3個のベンゼン環が縮合した環から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個以上を除いてなる基であり、より好ましくは、アントラセン環、ベンゾアントラセン環、フェナントレン環、ベンゾフェナントレン環又はペリレン環から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個以上を除いてなる基であり、更に好ましくは、アントラセン環、テトラフェン環、フェナントレン環、トリフェニレン環、ナフタセン環、ピレン環、ペリレン環又はクリセン環から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個以上を除いてなる基であり、特に好ましくは、アントラセン環、テトラフェン環、フェナントレン環、ナフタセン環、ピレン環又はクリセン環から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個以上を除いてなる基であり、とりわけ好ましくは、アントラセン環又はピレン環から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個以上を除いてなる基である。
R1Aは、アリール基を表し、該基は置換基を有していてもよい。該アリール基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6〜60であり、好ましくは6〜40であり、より好ましくは6〜30であり、更に好ましくは6〜14である。アリール基としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ジヒドロフェナントレン環、ナフタセン環、フルオレン環、スピロビフルオレン環、ピレン環、ペリレン環、クリセン環、インデン環、フルオランテン環及びベンゾフルオランテン環から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いてなる基が挙げられる。
アリール基は、好ましくは、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ジヒドロフェナントレン環、フルオレン環、スピロビフルオレン環、ピレン環、フルオランテン環又はベンゾフルオランテン環から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いてなる基であり、より好ましくは、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、スピロビフルオレン環、フルオランテン環又はベンゾフルオランテン環から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いてなる基であり、更に好ましくは、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環又はスピロビフルオレン環から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いてなる基であり、特に好ましくは、フェニル基又はナフチル基である。これらの基は更に置換基を有していてもよい。
R1Aが有していてもよい置換基としては、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、置換アミノ基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、アルケニル基又はシクロアルケニル基であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基であり、更に好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、特に好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、とりわけ好ましくは、アリール基である。これらの基は更に置換基を有していてもよい。
R1Aが有していてもよい置換基がアリール基である場合、該アリール基としては、R1Aにおけるアリール基の例及び好ましい範囲は、上述のR1Aにおけるアリール基の例及び好ましい範囲と同じである。
R1Aが有していてもよい置換基が1価の複素環基である場合、該1価の複素環基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常2〜60であり、好ましくは3〜30であり、より好ましくは3〜20である。
R1Aが有していてもよい置換基が1価の複素環基である場合、該1価の複素環基としては、例えば、ピロール環、ジアゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ジアザベンゼン環、トリアジン環、アザナフタレン環、ジアザナフタレン環、トリアザナフタレン環、インドール環、カルバゾール環、アザカルバゾール環、ジアザカルバゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、アクリジン環、9,10−ジヒドロアクリジン環、アクリドン環、フェナジン環及び5,10−ジヒドロフェナジン環から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子1個を除いてなる基が挙げられる。1価の複素環基は、好ましくは、ピリジン環、ジアザベンゼン環、トリアジン環、アザナフタレン環、ジアザナフタレン環、カルバゾール環、アザカルバゾール環、ジアザカルバゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、9,10−ジヒドロアクリジン環又は5,10−ジヒドロフェナジン環から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子1個を除いてなる基であり、より好ましくは、ピリジン環、ジアザベンゼン環、トリアジン環、アザナフタレン環、ジアザナフタレン環、カルバゾール環、ジベンゾフラン環又はジベンゾチオフェン環から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子1個を除いてなる基である。これらの基は更に置換基を有していてもよい。
R1Aが有していてもよい置換基が置換アミノ基である場合、アミノ基が有する置換基としては、アリール基又は1価の複素環基が好ましく、アリール基がより好ましく、これらの基は更に置換基を有していてもよい。アミノ基が有する置換基におけるアリール基の例及び好ましい範囲は、R1Aが有していてもよい置換基におけるアリール基の例及び好ましい範囲と同じである。アミノ基が有する置換基における1価の複素環基の例及び好ましい範囲は、R1Aが有していてもよい置換基における1価の複素環基の例及び好ましい範囲と同じである。
R1Aが有していてもよい置換基が更に有していてもよい置換基としては、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、置換アミノ基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、アルケニル基又はシクロアルケニル基であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基であり、更に好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、特に好ましくは、アリール基であり、これらの基は更に置換基を有していてもよい。
R1Aが有していてもよい置換基が更に有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、R1Aが有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲と同じである。
R1Aは、本実施形態に係る発光素子の駆動電圧がより低くなるので、好ましくは、式(1−S0)〜式(1−S17)で表される基であり、より好ましくは、式(1−S0)〜式(1−S8)又は式(1−S14)〜式(1−S17)で表される基であり、更に好ましくは、式(1−S0)〜式(1−S2)又は式(1−S5)〜式(1−S8)で表される基であり、特に好ましくは、式(1−S0)〜式(1−S2)、式(1−S5)又は式(1−S6)で表される基であり、とりわけ好ましくは式(1−S0)〜式(1−S2)で表される基である。
式中、RS1及びRS2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、置換アミノ基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、アルケニル基又はシクロアルケニル基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
RS1は、好ましくは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、更に好ましくは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、特に好ましくは、水素原子又はアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
RS2は、好ましくは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、更に好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、特に好ましくは、アリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
RS1及びRS2におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、R1Aが有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲と同じである。
RS1及びRS2が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、R1Aが有していてもよい置換基が更に有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
RS1及びRS2が有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、R1Aが有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲と同じである。
R2Aは、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、シクロアルキニル基、1価の複素環基又は置換アミノ基を表す。R2Aは、好ましくは、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルケニル基、シクロアルケニル基又は1価の複素環基であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又は1価の複素環基であり、更に好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基又は1価の複素環基であり、特に好ましくは、アルキル基又はシクロアルキル基である。これらの基は更に置換基を有していてもよい。
R2Aにおける1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、R1Aが有していてもよい置換基における1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲と同じである。
R2Aが有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、R1Aが有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
R2Aが有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、R1Aが有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲と同じである。
R2Aが有していてもよい置換基が更に有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、R1Aが有していてもよい置換基が更に有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
R2Aが有していてもよい置換基が更に有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、R1Aが有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲と同じである。
式(1A)で表される化合物は、本実施形態に係る発光素子の駆動電圧がより低くなるので、好ましくは、式(1A−A1)、式(1A−A2)、式(1A−A3)、式(1A−A4)、式(1A−A5)又は式(1A−A6)で表される化合物であり、より好ましくは、式(1A−A1)、式(1A−A4)、式(1A−A5)又は式(1A−A6)で表される化合物であり、更に好ましくは、式(1A−A1)又は式(1A−A5)で表される化合物であり、特に好ましくは、式(1A−A1)で表される化合物である。
式(1A)で表される化合物としては、例えば、下記式で表される化合物が挙げられる。
第1の発光材料は、式(1B)で表される化合物である。
[式(1B)で表される化合物]
n1Bは、1〜15の整数を表し、好ましくは1〜12の整数であり、より好ましくは1〜10の整数であり、更に好ましくは1〜7の整数であり、特に好ましくは2〜7の整数である。
R1B及びR2Bにおけるアリール基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6〜60であり、好ましくは6〜40であり、より好ましくは6〜30であり、更に好ましくは6〜14である。
R1B及びR2Bにおけるアリール基としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ジヒドロフェナントレン環、ナフタセン環、フルオレン環、スピロビフルオレン環、ピレン環、ペリレン環、クリセン環、インデン環、フルオランテン環又はベンゾフルオランテン環から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いてなる基が挙げられる。アリール基は、好ましくは、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ジヒドロフェナントレン環、フルオレン環、スピロビフルオレン環、ピレン環、フルオランテン環又はベンゾフルオランテン環から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いてなる基であり、より好ましくは、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、スピロビフルオレン環、フルオランテン環又はベンゾフルオランテン環から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いてなる基であり、更に好ましくは、ベンゼン環、フルオレン環又はスピロビフルオレン環から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いてなる基であり、特に好ましくは、フェニル基である。これらの基は更に置換基を有していてもよい。
R1B及びR2Bにおける1価の複素環基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常2〜60であり、好ましくは3〜30であり、より好ましくは3〜20である。
R1B及びR2Bにおける1価の複素環基としては、例えば、ピロール環、ジアゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ジアザベンゼン環、トリアジン環、アザナフタレン環、ジアザナフタレン環、トリアザナフタレン環、インドール環、カルバゾール環、アザカルバゾール環、ジアザカルバゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、アクリジン環、9,10−ジヒドロアクリジン環、アクリドン環、フェナジン環又は5,10−ジヒドロフェナジン環から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子1個を除いてなる基が挙げられる。1価の複素環基は、好ましくは、ピリジン環、ジアザベンゼン環、トリアジン環、アザナフタレン環、ジアザナフタレン環、カルバゾール環、アザカルバゾール環、ジアザカルバゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、9,10−ジヒドロアクリジン環又は5,10−ジヒドロフェナジン環から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子1個を除いてなる基であり、より好ましくは、ピリジン環、ジアザベンゼン環、トリアジン環、カルバゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、9,10−ジヒドロアクリジン環又は5,10−ジヒドロフェナジン環から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子1個を除いてなる基であり、更に好ましくは、フェノキサジン環、フェノチアジン環、9,10−ジヒドロアクリジン環又は5,10−ジヒドロフェナジン環から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子1個を除いてなる基であり、更に好ましくは、フェノキサジン環から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子1個を除いてなる基である。これらの基は更に置換基を有していてもよい。
R1B及びR2Bが有していてもよい置換基としては、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基又はハロゲン原子であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基であり、更に好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、特に好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基である。これらの基は更に置換基を有していてもよい。
R1B及びR2Bが有していてもよい置換基におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、R1B及びR2Bにおけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい範囲と同じである。
R1B及びR2Bが有していてもよい置換基における置換アミノ基において、アミノ基が有する置換基としては、アリール基又は1価の複素環基が好ましく、アリール基がより好ましく、これらの基は更に置換基を有していてもよい。アミノ基が有する置換基におけるアリール基の例及び好ましい範囲は、R1B及びR2Bにおけるアリール基の例及び好ましい範囲と同じである。アミノ基が有する置換基における1価の複素環基の例及び好ましい範囲は、R1B及びR2Bにおける1価の複素環基の例及び好ましい範囲と同じである。
R1B及びR2Bが有していてもよい置換基が更に有していてもよい置換基としては、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基又はハロゲン原子であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基であり、更に好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、特に好ましくは、アルキル基又はシクロアルキル基である。これらの基は更に置換基を有していてもよい。
R1B及びR2Bが有していてもよい置換基が更に有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、R1B及びR2Bが有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲と同じである。
Ar1Bにおけるアリーレン基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6〜60であり、好ましくは6〜40であり、より好ましくは6〜30であり、更に好ましくは6〜20である。
Ar1Bにおけるアリーレン基としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ジヒドロフェナントレン環、ナフタセン環、フルオレン環、スピロビフルオレン環、ピレン環、ペリレン環、クリセン環、インデン環、フルオランテン環又はベンゾフルオランテン環から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子2個を除いてなる基が挙げられる。アリーレン基は、好ましくは、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ジヒドロフェナントレン環、ナフタセン環、フルオレン環、スピロビフルオレン環、ピレン環、ペリレン環又はクリセン環から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子2個を除いてなる基であり、より好ましくは、式(A−1)〜式(A−20)で表される基であり、更に好ましくは、式(A−1)〜式(A−10)、式(A−19)又は式(A−20)で表される基であり、特に好ましくは、式(A−1)〜式(A−3)、式(A−8)又は式(A−9)で表される基である。これらの基は更に置換基を有していてもよい。
Ar1Bにおける2価の複素環基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常2〜60であり、好ましくは3〜30であり、より好ましくは3〜20であり、更に好ましくは6〜15である。
Ar1Bにおける2価の複素環基としては、例えば、ピロール環、ジアゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ジアザベンゼン環、トリアジン環、アザナフタレン環、ジアザナフタレン環、トリアザナフタレン環、インドール環、カルバゾール環、アザカルバゾール環、ジアザカルバゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、アクリジン環、9,10−ジヒドロアクリジン環、アクリドン環、フェナジン環又は5,10−ジヒドロフェナジン環から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子2個を除いてなる基が挙げられる。2価の複素環基は、好ましくは、ピリジン環、ジアザベンゼン環、トリアジン環、アザナフタレン環、ジアザナフタレン環、カルバゾール環、アザカルバゾール環、ジアザカルバゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、9,10−ジヒドロアクリジン環又は5,10−ジヒドロフェナジン環から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子2個を除いてなる基であり、より好ましくは、ピリジン環、ジアザベンゼン環、トリアジン環、カルバゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、9,10−ジヒドロアクリジン環又は5,10−ジヒドロフェナジン環から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子2個を除いてなる基であり、更に好ましくは、式(AA−1)〜式(AA−6)、式(AA−10)〜式(AA−15)、式(AA−18)〜式(AA−22)、式(AA−33)又は式(AA−34)で表される基であり、特に好ましくは、式(AA−10)〜式(AA−15)又は式(AA−18)〜式(AA−22)で表される基である。これらの基は更に置換基を有していてもよい。
Ar1Bが有していてもよい置換基は、R1B及びR2Bが有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
Ar1Bが有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、R1B及びR2Bが有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲と同じである。
Ar1Bが有していてもよい置換基が更に有していてもよい置換基は、R1B及びR2Bが有していてもよい置換基が更に有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
Ar1Bが有していてもよい置換基が更に有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、R1B及びR2Bが有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲と同じである。
Ar1Bの少なくとも1つは、2価の複素環基を表すが、この2価の複素環基は、式(1B−1)で表される基であることが好ましい。
Ar1Bが2以上存在する場合、本実施形態に係る発光素子の駆動電圧がより低くなるので、Ar1Bはアリーレン基又は式(1B−1)で表される基であることが好ましい。
[式(1B−1)で表される基]
環RB1及び環RB2は、それぞれ独立に、芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。環RB1及び環RB2において、芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の数は、通常6〜60であり、好ましくは6〜30であり、より好ましくは6〜18である。
環RB1及び環RB2における芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ジヒドロフェナントレン環、ナフタセン環、フルオレン環、インデン環、ピレン環、ペリレン環及びクリセン環が挙げられる。芳香族炭化水素環は、好ましくは、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ジヒドロフェナントレン環又はフルオレン環であり、より好ましくは、ベンゼン環、ナフタレン環又はフルオレン環であり、更に好ましくは、ベンゼン環である。これらの環は置換基を有していてもよい。
環RB1及び環RB2において、芳香族複素環を構成する炭素原子の数は、通常2〜60であり、好ましくは、3〜30であり、より好ましくは、4〜15である。
環RB1及び環RB2における芳香族複素環としては、例えば、ピロール環、ジアゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ジアザベンゼン環、トリアジン環、アザナフタレン環、ジアザナフタレン環、トリアザナフタレン環、インドール環、カルバゾール環、アザカルバゾール環、ジアザカルバゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、アクリジン環、9,10−ジヒドロアクリジン環、アクリドン環、フェナジン環及び5,10−ジヒドロフェナジン環が挙げられる。芳香族複素環は、好ましくは、ピリジン環、ジアザベンゼン環、アザナフタレン環、ジアザナフタレン環、カルバゾール環、アザカルバゾール環、ジアザカルバゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、9,10−ジヒドロアクリジン環又は5,10−ジヒドロフェナジン環であり、より好ましくは、ピリジン環、ジアザベンゼン環、カルバゾール環、アザカルバゾール環、ジアザカルバゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、9,10−ジヒドロアクリジン環又は5,10−ジヒドロフェナジン環であり、更に好ましくは、ピリジン環又はジアザベンゼン環である。これらの環は置換基を有していてもよい。
環RB1及び環RB2が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、R1B及びR2Bが有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
環RB1及び環RB2が有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、R1B及びR2Bが有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲と同じである。
環RB1及び環RB2が有していてもよい置換基が更に有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、R1B及びR2Bが有していてもよい置換基が更に有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
環RB1及び環RB2が有していてもよい置換基が更に有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、R1B及びR2Bが有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲と同じである。
環RB1及び環RB2のうち、少なくとも1つは、芳香族炭化水素環であることが好ましく、環RB1及び環RB2の両方が芳香族炭化水素環であることがより好ましい。
XB1は、単結合、酸素原子、硫黄原子、−N(RBH1)−で表される基、又は、−C(RBH1’)2−で表される基を表す。XB1は、好ましくは、単結合、酸素原子、硫黄原子、又は、−N(RBH1)−で表される基であり、より好ましくは、単結合、酸素原子又は硫黄原子であり、更に好ましくは酸素原子又は硫黄原子であり、特に好ましくは酸素原子である。
XB2は、好ましくは−N(RBH2)−で表される基である。
RBH1、RBH1’及びRBH2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、置換アミノ基又はハロゲン原子を表す。RBH1及びRBH2は、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくは、アリール基又は1価の複素環基であり、更に好ましくは、アリール基である。これらの基は置換基を有していてもよい。
RBH1’は、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、更に好ましくは、アルキル基又はアリール基である。これらの基は置換基を有していてもよい。
RBH1、RBH1’及びRBH2におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、R1B及びR2Bが有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲と同じである。
RBH1、RBH1’及びRBH2が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、R1B及びR2Bが有していてもよい置換基が更に有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
RBH1、RBH1’及びRBH2が有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、R1B及びR2Bが有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲と同じである。
式(1B−1)で表される化合物の発光スペクトルの最大ピーク波長が短波長になるので、RBH1と環RB1が有していてもよい置換基、RBH1と環RB2が有していてもよい置換基、RBH1’と環RB1が有していてもよい置換基、及び、RBH1’と環RB2が有していてもよい置換基は、それぞれ結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成しないことが好ましい。
式(1B−1)で表される基は、本実施形態に係る発光素子の駆動電圧がより低くなるので、好ましくは、式(1B−2)で表される基である。
[式(1B−2)で表される基]
R11B、R12B、R13B、R14B、R15B、R16B、R17B及びR18Bは、それぞれ独立に、結合手、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、置換アミノ基又はハロゲン原子を表す。但し、R11B、R12B、R13B、R14B、R15B、R16B、R17B及びR18Bのうち、2つは結合手である。R11B、R12B、R13B、R16B及びR17Bのうち、2つが結合手であることが好ましく、R12B及びR13Bのうち、1つが結合手であり、且つ、R16B及びR17Bのうち、1つが結合手であることがより好ましく、R13Bが結合手であり、且つ、R16Bが結合手であることが更に好ましい。
R11B〜R18Bが結合手以外の場合、R11B〜R18Bは、好ましくは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、更に好ましくは、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基であり、特に好ましくは、水素原子である。これらの基は置換基を有していてもよい。
R11B〜R18Bにおけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、R1B及びR2Bが有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲と同じである。
R11B〜R18Bが有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、R1B及びR2Bが有していてもよい置換基が更に有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
R11B〜R18Bが有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、R1B及びR2Bが有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲と同じである。
式(1B)で表される化合物としては、例えば、下記式で表される化合物が挙げられる。
Rpは、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、tert−オクチル基、シクロヘキシル基、メトキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基又はシクロへキシルオキシ基を表し、好ましくは、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基又はtert−オクチル基である。Rpが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
Xpは、単結合、酸素原子又は硫黄原子を表し、好ましくは、酸素原子又は硫黄原子である。Xpが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
式(1A)で表される化合物及び式(1B)で表される化合物は、Aldrich、Luminescence Technology Corp.、AK Scientific等から入手可能である。その他には、例えば、特開2006−199698号公報、特開2007−211010号公報、国際公開第2012/150001号、国際公開第2007/100010号、国際公開第2008/059713号、特開2007−291061号公報、特開2007−314506号公報、特開2007−314510号公報、特開2008−308485号公報、特開2010−121036号公報、特開2010−123917号公報、特開2011−037744号公報、特開2011−174059号公報に記載されている方法に従って合成することができる。
<式(1B)で表される化合物の製造方法>
式(1B)で表される化合物は、Suzuki反応、Buchwald反応、Stille反応、Negishi反応及びKumada反応等の遷移金属触媒を用いるカップリング反応等を用いて合成することができる。
[化合物(1B’)の製造方法]
まず、式(1B)で表される化合物において、n1Bが2〜15の整数である化合物(以下、「化合物(1B’)」ともいう。)の製造方法を説明する。
化合物(1B’)は、例えば、式(1B’−1)で表される化合物と、式(1B’−2)で表される化合物と、式(1B’−3)で表される化合物と、式(1B’−4)で表される化合物とを、上記カップリング反応等を用いて反応させることにより、合成することができる。
式中、Ar1B、R1B及びR2Bは、前記と同じ意味を表す。ZC1〜ZC6は、それぞれ独立に、置換基A群及び置換基B群からなる群から選ばれる基を表す。
<置換基A群>
塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、−O−S(=O)2RC1(式中、RC1は、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。)で表される基。
<置換基B群>
−B(ORC2)2(式中、RC2は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRC2は同一でも異なっていてもよく、互いに連結して、それぞれが結合する酸素原子とともに環構造を形成していてもよい。)で表される基;−BF3Q’(式中、Q’は、Li、Na、K、Rb又はCsを表す。)で表される基;−MgY’(式中、Y’は、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す。)で表される基;−ZnY’’(式中、Y’’は、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す。)で表される基;及び−Sn(RC3)3(式中、RC3は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRC3は同一でも異なっていてもよく、互いに連結して、それぞれが結合するスズ原子とともに環構造を形成していてもよい。)で表される基。
−B(ORC2)2で表される基としては、式(W−1)〜式(W−10)で表される基が例示される。
[合成方法1及び2]
例えば、式(1B’−1)で表される化合物と、式(1B’−2)で表される化合物とを1回又は2回以上カップリング反応させることにより、式(1B’−5)で表される化合物、又は式(1B’−6)で表される化合物を合成することができる。
式中、Ar1B、ZC1、ZC2及びZC3は、前記と同じ意味を表す。n1B’は、2〜15の整数を表す。
例えば、式(1B’−5)で表される化合物と、式(1B’−3)で表される化合物とをカップリング反応させることにより、式(1B’−7)で表される化合物を合成することができる。その後、式(1B’−7)で表される化合物と、式(1B’−4)で表される化合物とをカップリング反応させることにより、化合物(1B’)を合成することができる(以下、「合成方法1」ともいう。)。
式中、Ar1B、ZC2、R1B及びn1B’は、前記と同じ意味を表す。
例えば、式(1B’−6)で表される化合物と、式(1B’−3)で表される化合物とをカップリング反応させることにより、式(1B’−8)で表される化合物を合成することができる。その後、式(1B’−8)で表される化合物と、式(1B’−4)で表される化合物とをカップリング反応させることにより、化合物(1B’)を合成することができる(以下、「合成方法2」ともいう。)。
式中、Ar1B、ZC3、R1B及びn1B’は、前記と同じ意味を表す。
合成方法1において、例えば、ZC1及びZC2が置換基A群から選ばれる基である場合、ZC3、ZC4、ZC5及びZC6は、置換基B群から選ばれる基を選択する。例えば、ZC1及びZC2が置換基B群から選ばれる基である場合、ZC3、ZC4、ZC5及びZC6は、置換基A群から選ばれる基を選択する。
合成方法2において、例えば、ZC1、ZC2及びZC6が置換基A群から選ばれる基である場合、ZC3、ZC4及びZC5は、置換基B群から選ばれる基を選択する。例えば、ZC1、ZC2及びZC6が置換基B群から選ばれる基である場合、ZC3、ZC4及びZC5は、置換基A群から選ばれる基を選択する。
次に、式(1B)で表される化合物において、n1Bが1である化合物(以下、「化合物(1B’’)」ともいう。)の製造方法を説明する。
[合成方法3(化合物(1B’’)の製造方法)]
化合物(1B’’)は、例えば、式(1B’−1)で表される化合物と、式(1B’−2)で表される化合物と、式(1B’−3)で表される化合物とを、上記カップリング反応等を用いて反応させることにより、合成することができる。
例えば、式(1B’−1)で表される化合物と、式(1B’−3)で表される化合物とをカップリング反応させることにより、式(1B’−9)で表される化合物を合成することができる。その後、式(1B’−9)で表される化合物と式(1B’−4)で表される化合物とをカップリング反応させることにより、化合物(1B’’)を合成することができる(以下、「合成方法3」ともいう。)。
式中、Ar1B、ZC2及びR1Bは、前記と同じ意味を表す。
合成方法3において、例えば、ZC1及びZC2が置換基A群から選ばれる基である場合、ZC3及びZC4は、置換基B群から選ばれる基を選択する。例えば、ZC1及びZC2が置換基B群から選ばれる基である場合、ZC3及びZC4は、置換基A群から選ばれる基を選択する。
[化合物(1B’)及び化合物(1B’’)の製造方法の共通説明]
置換基A群から選ばれる基は、カップリング反応が容易に進行するので、臭素原子、ヨウ素原子又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基が好ましい。
置換基B群から選ばれる基は、好ましくは、−B(ORC2)2で表される基であり、より好ましくは、式(W−7)で表される基である。
カップリング反応は、通常、溶媒中で行う。溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール等のアルコール系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、ジグライム等のエーテル系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;ヘキサン、デカリン、トルエン、キシレン、メシチレン等の炭化水素系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;アセトン、ジメチルスルホキシド、水が挙げられる。
カップリング反応において、反応時間は、通常、30分〜150時間であり、反応温度は、通常、反応系に存在する溶媒の融点から沸点の間である。
カップリング反応において、反応を促進するために、パラジウム触媒等の触媒を用いてもよい。パラジウム触媒としては、例えば、酢酸パラジウム、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)が挙げられる。
パラジウム触媒は、トリフェニルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン、トリ(tert−ブチル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン等のリン化合物と併用してもよい。
カップリング反応において、必要に応じて、パラジウム触媒と塩基を併用してもよい。
2回以上カップリング反応を行う場合、それらは同一の条件で反応させてもよく、異なる条件で反応させてもよい。
<式(1B)で表される化合物の製造方法>で説明した各反応において用いられる化合物、触媒及び溶媒は、各々、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
式(1B’−1)〜式(1B’−4)で表される化合物は、Aldrich、Luminescence Technology Corp.等から入手可能である。また、国際公開第2002/045184号、特開2010−031259号公報、特開2012−144722号公報、国際公開第2002/067343号等の文献に記載の公知の方法により製造することも可能である。
[第1の有機層の組成比等]
第1の有機層には、第1の化合物が1種単独で含有されていてもよく、2種以上含有されていてもよい。また、第1の有機層には、第1の発光材料が1種単独で含有されていてもよく、2種以上含有されていてもよい。
第1の有機層において、第1の発光材料の含有量は、第1の化合物と第1の発光材料との合計を100質量部とした場合、通常、0.05〜80質量部であり、本実施形態に係る発光素子の駆動電圧がより低くなるので、好ましくは0.1〜50質量部であり、より好ましくは1〜30質量部であり、更に好ましくは5〜15質量部である。
[第1の組成物]
第1の有機層は、第1の化合物と、第1の発光材料と、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、酸化防止剤、及び、第2の発光材料からなる群から選ばれる少なくとも1種の材料とを含む組成物(以下、「第1の組成物」ともいう。)を含有する層であってもよい。但し、第1の組成物において、第2の発光材料は第1の発光材料とは異なる。また、第1の組成物において、正孔輸送材料、正孔注入材料、第2の発光材料、電子輸送材料及び電子注入材料は、第1の化合物とは異なる。
[正孔輸送材料]
正孔輸送材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類され、好ましくは高分子化合物である。正孔輸送材料は、架橋基を有していてもよい。
高分子化合物としては、例えば、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体;側鎖又は主鎖に芳香族アミン構造を有するポリアリーレン及びその誘導体が挙げられる。高分子化合物は、電子受容性部位が結合された化合物でもよい。電子受容性部位としては、例えば、フラーレン、テトラフルオロテトラシアノキノジメタン、テトラシアノエチレン、トリニトロフルオレノン等が挙げられ、好ましくはフラーレンである。
第1の組成物において、正孔輸送材料の配合量は、第1の化合物と第1の発光材料との合計を100質量部とした場合、通常、1〜400質量部であり、好ましくは5〜150質量部である。
正孔輸送材料は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
[電子輸送材料]
電子輸送材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。電子輸送材料は、架橋基を有していてもよい。
低分子化合物としては、例えば、8−ヒドロキシキノリンを配位子とする燐光発光性化合物、オキサジアゾール、アントラキノジメタン、ベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン、テトラシアノアントラキノジメタン、フルオレノン、ジフェニルジシアノエチレン及びジフェノキノン、並びに、これらの誘導体が挙げられる。
高分子化合物としては、例えば、ポリフェニレン、ポリフルオレン、及び、これらの誘導体が挙げられる。高分子化合物は、金属でドープされていてもよい。
第1の組成物において、電子輸送材料の配合量は、第1の化合物と第1の発光材料との合計を100質量部とした場合、通常、1〜400質量部であり、好ましくは5〜150質量部である。
電子輸送材料は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
[正孔注入材料及び電子注入材料]
正孔注入材料及び電子注入材料は、各々、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。正孔注入材料及び電子注入材料は、架橋基を有していてもよい。
低分子化合物としては、例えば、銅フタロシアニン等の金属フタロシアニン;カーボン;モリブデン、タングステン等の金属酸化物;フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム、フッ化カリウム等の金属フッ化物が挙げられる。
高分子化合物としては、例えば、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリフェニレンビニレン、ポリチエニレンビニレン、ポリキノリン及びポリキノキサリン、並びに、これらの誘導体;芳香族アミン構造を主鎖又は側鎖に含む重合体等の導電性高分子が挙げられる。
第1の組成物において、正孔注入材料及び電子注入材料の配合量は、各々、第1の化合物と第1の発光材料との合計を100質量部とした場合、通常、1〜400質量部であり、好ましくは5〜150質量部である。
電子注入材料及び正孔注入材料は、各々、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
[イオンドープ]
正孔注入材料又は電子注入材料が導電性高分子を含む場合、導電性高分子の電気伝導度は、好ましくは、1×10−5S/cm〜1×103S/cmである。導電性高分子の電気伝導度をかかる範囲とするために、導電性高分子に適量のイオンをドープすることができる。
ドープするイオンの種類は、正孔注入材料であればアニオン、電子注入材料であればカチオンである。アニオンとしては、例えば、ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、樟脳スルホン酸イオンが挙げられる。カチオンとしては、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンが挙げられる。
ドープするイオンは、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
[第2の発光材料]
第2の発光材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。第2の発光材料は、架橋基を有していてもよい。
低分子化合物としては、例えば、ナフタレン及びその誘導体、アントラセン及びその誘導体、ペリレン及びその誘導体、並びに、イリジウム、白金又はユーロピウムを中心金属とする三重項発光錯体が挙げられる。
高分子化合物としては、例えば、フェニレン基、ナフタレンジイル基、フルオレンジイル基、フェナントレンジイル基、ジヒドロフェナントレンジイル基、式(X)で表される構成単位、カルバゾールジイル基、フェノキサジンジイル基、フェノチアジンジイル基、アントラセンジイル基、ピレンジイル基等を含む高分子化合物が挙げられる。
第2の発光材料は、好ましくは、三重項発光錯体及び/又は高分子化合物を含む。
三重項発光錯体としては、例えば、以下に示す金属錯体が挙げられる。
第1の組成物において、第2の発光材料の配合量は、第1の化合物と第1の発光材料との合計を100質量部とした場合、通常、1〜400質量部であり、好ましくは5〜150質量部である。
第2の発光材料は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
[酸化防止剤]
酸化防止剤は、第1の化合物及び第1の発光材料と同じ溶媒に可溶であり、発光及び電荷輸送を阻害しない化合物であればよく、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤が挙げられる。
第1の組成物において、酸化防止剤の配合量は、第1の化合物と第1の発光材料との合計を100質量部とした場合、通常、0.001〜10質量部である。
酸化防止剤は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
[第1のインク]
第1の有機層を形成するための第1のインクとして、第1の化合物と、第1の発光材料と、溶媒とを含有する組成物を用いることができる。第1のインクは、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、キャピラリーコート法、ノズルコート法等の湿式法に好適に使用することができる。
第1のインクの粘度は、湿式法の種類によって調整すればよいが、インクジェット印刷法等の溶液が吐出装置を経由する印刷法に適用する場合には、吐出時の目づまりと飛行曲がりが起こりづらいので、好ましくは25℃において1〜20mPa・sである。
第1のインクに含有される溶媒は、好ましくは、インク中の固形分を溶解又は均一に分散できる溶媒である。溶媒としては、例えば、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒;THF、ジオキサン、アニソール、4−メチルアニソール等のエーテル系溶媒;トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、n−ヘキシルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−へプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ドデカン、ビシクロヘキシル等の脂肪族炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート、安息香酸メチル、酢酸フェニル等のエステル系溶媒;エチレングリコール、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール等の多価アルコール系溶媒;イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が挙げられる。溶媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
第1のインクにおいて、溶媒の配合量は、第1の化合物と第1の発光材料との合計を100質量部とした場合、通常、1000〜100000質量部であり、好ましくは2000〜20000質量部である。
<第2の有機層>
第2の有機層は、架橋材料の架橋体を含有する層である。
[架橋材料]
架橋材料の架橋体は、架橋材料を上述した方法及び条件等により架橋した状態にすることで得られる。
架橋材料は、低分子化合物であっても高分子化合物であってもよいが、本実施形態に係る発光素子の駆動電圧がより低くなるので、架橋基A群から選ばれる少なくとも1種の架橋基を有する低分子化合物(以下、「第2の有機層の低分子化合物」ともいう。)、又は、架橋基A群から選ばれる少なくとも1種の架橋基を有する架橋構成単位を含む高分子化合物(以下、「第2の有機層の高分子化合物」ともいう。)であることが好ましく、架橋基A群から選ばれる少なくとも1種の架橋基を有する架橋構成単位を含む高分子化合物であることがより好ましい。
架橋基A群から選ばれる架橋基としては、本実施形態に係る発光素子の駆動電圧がより低くなるので、好ましくは、式(XL−1)〜式(XL−4)、式(XL−7)〜式(XL−10)又は式(XL−14)〜式(XL−17)で表される架橋基であり、より好ましくは、式(XL−1)、式(XL−3)、式(XL−9)、式(XL−10)、式(XL−16)又は式(XL−17)で表される架橋基であり、更に好ましくは、式(XL−1)、式(XL−16)又は式(XL−17)で表される架橋基であり、特に好ましくは、式(XL−1)又は式(XL−17)で表される架橋基であり、とりわけ好ましくは、式(XL−17)で表される架橋基である。
[第2の有機層の高分子化合物]
第2の有機層の高分子化合物に含まれる、架橋基A群から選ばれる少なくとも一種の架橋基を有する構成単位は、後述する式(2)で表される構成単位、式(2’)で表される構成単位、又は下記式で表される構成単位であってよく、式(2)で表される構成単位又は式(2’)で表される構成単位が好ましい。
[式(2)で表される構成単位]
nAは、0〜5の整数を表し、本実施形態に係る発光素子の駆動電圧がより低くなるので、好ましくは0〜3の整数であり、より好ましくは0〜2の整数であり、更に好ましくは1又は2である。
nは、1又は2を表し、本実施形態に係る発光素子の駆動電圧がより低くなるので、好ましくは2である。
Ar3は、芳香族炭化水素基又は複素環基を表し、本実施形態に係る発光素子の駆動電圧がより低くなるので、好ましくは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である。
Ar3で表される芳香族炭化水素基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6〜60であり、好ましくは6〜30であり、より好ましくは6〜18である。
Ar3で表される芳香族炭化水素基のn個の置換基を除いたアリーレン基部分としては、好ましくは、式(A−1)〜式(A−20)で表される基であり、より好ましくは式(A−1)、式(A−2)、式(A−6)〜式(A−10)、式(A−19)又は式(A−20)で表される基であり、更に好ましくは、式(A−1)、式(A−2)、式(A−7)、式(A−9)又は式(A−19)で表される基である。これらの基は置換基を有していてもよい。
Ar3で表される複素環基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常2〜60であり、好ましくは3〜30であり、より好ましくは4〜18である。
Ar3で表される複素環基のn個の置換基を除いた2価の複素環基部分としては、好ましくは、式(AA−1)〜式(AA−34)で表される基である。
Ar3で表される芳香族炭化水素基及び複素環基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、1価の複素環基及びシアノ基が好ましい。
LAは、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基、−NR’−で表される基、酸素原子又は硫黄原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R’は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表す。LAで表されるアルキレン基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1〜20であり、好ましくは1〜15であり、より好ましくは1〜10である。LAで表されるシクロアルキレン基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜20である。
LAで表されるアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基が挙げられる。LAで表されるアルキレン基は、置換基を有していてもよく、該置換基としては、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、ハロゲン原子及びシアノ基が好ましい。これらの基は更に置換基を有していてもよい。
LAで表されるシクロアルキレン基としては、例えば、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基が挙げられる。LAで表されるシクロアルキレン基は、置換基を有していてもよく、該置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、ハロゲン原子及びシアノ基が好ましい。これらの基は更に置換基を有していてもよい。
LAで表されるアリーレン基は、置換基を有していてもよい。アリーレン基としては、フェニレン基又はフルオレンジイル基が好ましく、m−フェニレン基、p−フェニレン基、フルオレン−2,7−ジイル基、フルオレン−9,9−ジイル基がより好ましい。アリーレン基が有してもよい置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、ハロゲン原子、シアノ基又は架橋基A群から選ばれる架橋基が好ましい。これらの基は更に置換基を有していてもよい。
LAで表される2価の複素環基としては、好ましくは式(AA−1)〜式(AA−34)で表される基である。
LAは、第2の有機層の高分子化合物の製造が容易になるので、好ましくは、アリーレン基又はアルキレン基であり、より好ましくは、フェニレン基、フルオレンジイル基又はアルキレン基である。これらの基は置換基を有していてもよい。
Xは、上記架橋基A群から選ばれる架橋基を表す。Xで表される架橋基としては、本実施形態に係る発光素子の駆動電圧がより低くなるので、好ましくは、式(XL−1)〜式(XL−4)、式(XL−7)〜式(XL−10)又は式(XL−14)〜式(XL−17)で表される架橋基であり、より好ましくは、式(XL−1)、式(XL−3)、式(XL−9)、式(XL−10)、式(XL−16)又は式(XL−17)で表される架橋基であり、更に好ましくは、式(XL−1)、式(XL−16)又は式(XL−17)で表される架橋基であり、特に好ましくは、式(XL−1)又は式(XL−17)で表される架橋基であり、とりわけ好ましくは、式(XL−17)で表される架橋基である。
式(2)で表される構成単位は、第2の有機層の高分子化合物の安定性及び架橋性が優れるので、第2の有機層の高分子化合物に含まれる構成単位の合計量に対して、好ましくは0.5〜90モル%であり、より好ましくは3〜75モル%であり、更に好ましくは5〜60モル%である。
式(2)で表される構成単位は、第2の有機層の高分子化合物中に、1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
[式(2’)で表される構成単位]
mAは、0〜5の整数を表し、本実施形態に係る発光素子の駆動電圧がより低くなるので、好ましくは0〜3の整数であり、より好ましくは0〜2の整数であり、更に好ましくは0又は1であり、特に好ましくは0である。
mは、1〜4の整数を表し、本実施形態に係る発光素子の駆動電圧がより低くなるので、好ましくは1又は2であり、より好ましくは2である。
cは、0又は1の整数を表し、第2の有機層の高分子化合物の製造が容易になり、且つ、本実施形態に係る発光素子の駆動電圧がより低くなるので、好ましくは0である。
Ar5は、芳香族炭化水素基、複素環基、又は、少なくとも1種の芳香族炭化水素環と少なくとも1種の複素環とが直接結合した基を表す。Ar5は、本実施形態に係る発光素子の駆動電圧がより低くなるので、好ましくは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である。
Ar5で表される芳香族炭化水素基のm個の置換基を除いたアリーレン基部分の定義及び例は、後述する式(X)におけるArX2で表されるアリーレン基の定義及び例と同じである。
Ar5で表される複素環基のm個の置換基を除いた2価の複素環基部分の定義及び例は、後述する式(X)におけるArX2で表される2価の複素環基部分の定義及び例と同じである。
Ar5で表される少なくとも1種の芳香族炭化水素環と少なくとも1種の複素環が直接結合した基のm個の置換基を除いた2価の基の定義及び例は、後述する式(X)におけるArX2で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基の定義及び例と同じである。
Ar4及びAr6は、それぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、本実施形態に係る発光素子の駆動電圧がより低くなるので、好ましくは置換基を有していてもよいアリーレン基である。
Ar4及びAr6で表されるアリーレン基の定義及び例は、後述する式(X)におけるArX1及びArX3で表されるアリーレン基の定義及び例と同じである。
Ar4及びAr6で表される2価の複素環基の定義及び例は、後述する式(X)におけるArX1及びArX3で表される2価の複素環基の定義及び例と同じである。
Ar4、Ar5及びAr6はそれぞれ、当該基が結合している窒素原子に結合している当該基以外の基と、直接又は酸素原子もしくは硫黄原子を介して結合して、環を形成していてもよい。Ar4、Ar5及びAr6で表される基は置換基を有していてもよく、置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、1価の複素環基及びシアノ基が好ましい。
KAは、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基、−NR’−で表される基、酸素原子又は硫黄原子を表す。KAで表されるアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基の定義及び例は、それぞれ、LAで表されるアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基の定義及び例と同じである。
KAは、第2の有機層の高分子化合物の製造が容易になるので、フェニレン基又はメチレン基であることが好ましい。
X’は、上記架橋基A群から選ばれる架橋基、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表す。X’で表される架橋基の定義及び例は、前述のXで表される架橋基の定義及び例と同じである。
式(2’)で表される構成単位は、第2の有機層の高分子化合物の安定性が優れ、且つ、第2の有機層の高分子化合物の架橋性が優れるので、第2の有機層の高分子化合物に含まれる構成単位の合計量に対して、好ましくは0.5〜50モル%であり、より好ましくは3〜30モル%であり、更に好ましくは5〜20モル%である。
式(2’)で表される構成単位は、第2の有機層の高分子化合物中に、1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
[式(2)又は(2’)で表される構成単位の好ましい態様]
式(2)で表される構成単位としては、例えば、式(2−1)〜式(2−30)で表される構成単位が挙げられ、式(2’)で表される構成単位としては、例えば、式(2’−1)〜式(2’−9)で表される構成単位が挙げられる。これらの中でも、第2の有機層の高分子化合物の架橋性が優れるので、好ましくは式(2−1)〜式(2−30)で表される構成単位であり、より好ましくは式(2−1)〜式(2−15)、式(2−19)、式(2−20)、式(2−23)、式(2−25)又は式(2−30)で表される構成単位であり、更に好ましくは式(2−1)〜式(2−9)、式(2−20)、式(2−22)又は式(2−30)で表される構成単位である。
[その他の構成単位]
第2の有機層の高分子化合物は、正孔輸送性が優れるので、更に、式(X)で表される構成単位を含むことが好ましい。また、第2の有機層の高分子化合物は、本実施形態に係る発光素子の駆動電圧がより低くなるので、更に、式(Y)で表される構成単位を含むことが好ましい。
第2の有機層の高分子化合物は、正孔輸送性が優れ、且つ、本実施形態に係る発光素子の駆動電圧がより低くなるので、更に、式(X)で表される構成単位及び式(Y)で表される構成単位を含むことが好ましい。
式中、
aX1及びaX2は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。
ArX1及びArX3は、それぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArX2及びArX4は、それぞれ独立に、アリーレン基、2価の複素環基、又は、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。ArX2及びArX4が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
RX1、RX2及びRX3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
RX2及びRX3が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
aX1は、本実施形態に係る発光素子の駆動電圧がより低くなるので、好ましくは2以下の整数であり、より好ましくは1である。
aX2は、本実施形態に係る発光素子の駆動電圧がより低くなるので、好ましくは2以下の整数であり、より好ましくは0である。
RX1、RX2及びRX3は、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArX1及びArX3で表されるアリーレン基は、より好ましくは式(A−1)又は式(A−9)で表される基であり、更に好ましくは式(A−1)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArX1及びArX3で表される2価の複素環基は、より好ましくは式(AA−1)、式(AA−2)又は式(AA−7)〜式(AA−26)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArX1及びArX3は、好ましくは置換基を有していてもよいアリーレン基である。
ArX2及びArX4で表されるアリーレン基は、より好ましくは式(A−1)、式(A−6)、式(A−7)、式(A−9)〜式(A−11)又は式(A−19)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArX2及びArX4で表される2価の複素環基のより好ましい範囲は、ArX1及びArX3で表される2価の複素環基のより好ましい範囲と同じである。
ArX2及びArX4で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基における、アリーレン基及び2価の複素環基のより好ましい範囲、更に好ましい範囲は、それぞれ、ArX1及びArX3で表されるアリーレン基及び2価の複素環基のより好ましい範囲、更に好ましい範囲と同じである。
ArX2及びArX4で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基としては、例えば、下記式で表される基が挙げられ、これらは置換基を有していてもよい。
式中、RXXは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
RXXは、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArX2及びArX4は、好ましくは置換基を有していてもよいアリーレン基である。
ArX1〜ArX4及びRX1〜RX3で表される基が有してもよい置換基としては、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、これらの基は更に置換基を有していてもよい。
式(X)で表される構成単位としては、好ましくは式(X−1)〜式(X−7)で表される構成単位であり、より好ましくは式(X−3)〜式(X−7)で表される構成単位であり、更に好ましくは式(X−3)〜式(X−6)で表される構成単位である。
式中、RX4及びRX5は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、1価の複素環基又はシアノ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRX4は、同一でも異なっていてもよい。複数存在するRX5は、同一でも異なっていてもよく、隣接するRX5同士は互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。
式(X)で表される構成単位は、正孔輸送性が優れるので、第2の有機層の高分子化合物に含まれる構成単位の合計量に対して、好ましくは0.1〜90モル%であり、より好ましくは1〜70モル%であり、更に好ましくは10〜50モル%である。
式(X)で表される構成単位としては、例えば、式(X1−1)〜式(X1−19)で表される構成単位が挙げられ、好ましくは式(X1−6)〜式(X1−14)で表される構成単位である。
第2の有機層の高分子化合物において、式(X)で表される構成単位は、1種のみ含まれていても、2種以上含まれていてもよい。
式中、ArY1は、アリーレン基、2価の複素環基、又は、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArY1で表されるアリーレン基は、好ましくは式(A−1)、式(A−6)、式(A−7)、式(A−9)〜式(A−11)、式(A−13)又は式(A−19)で表される基であり、より好ましくは式(A−1)、式(A−7)、式(A−9)、式(A−11)又は式(A−19)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArY1で表される2価の複素環基は、好ましくは式(AA−4)、式(AA−10)、式(AA−13)、式(AA−15)、式(AA−18)又は式(AA−20)で表される基であり、より好ましくは式(AA−4)、式(AA−10)、式(AA−18)又は式(AA−20)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArY1で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基における、アリーレン基及び2価の複素環基のより好ましい範囲、更に好ましい範囲は、それぞれ、前述のArY1で表されるアリーレン基及び2価の複素環基のより好ましい範囲、更に好ましい範囲と同様である。
ArY1で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基としては、式(X)のArX2及びArX4で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基と同様のものが挙げられる。
ArY1で表される基が有してもよい置換基は、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、これらの基は更に置換基を有していてもよい。
式(Y)で表される構成単位としては、例えば、式(Y−1)〜式(Y−7)で表される構成単位が挙げられ、本実施形態に係る発光素子の駆動電圧の観点からは、好ましくは式(Y−1)又は式(Y−2)で表される構成単位であり、第2の有機層の高分子化合物の電子輸送性の観点からは、好ましくは式(Y−3)又は式(Y−4)で表される構成単位であり、第2の有機層の高分子化合物の正孔輸送性の観点からは、好ましくは式(Y−5)〜式(Y−7)で表される構成単位である。
式中、RY1は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRY1は、同一でも異なっていてもよく、隣接するRY1同士は互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。
RY1は、好ましくは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
式(Y−1)で表される構成単位は、好ましくは、式(Y−1’)で表される構成単位である。
式中、RY11は、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRY11は、同一でも異なっていてもよい。
RY11は、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、より好ましくは、アルキル基又はシクロアルキル基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
式中、RY1は前記と同じ意味を表す。XY1は、−C(RY2)2−、−C(RY2)=C(RY2)−又はC(RY2)2−C(RY2)2−で表される基を表す。RY2は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRY2は、同一でも異なっていてもよく、RY2同士は互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。
RY2は、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくはアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
XY1において、−C(RY2)2−で表される基中の2個のRY2の組み合わせは、好ましくは双方がアルキル基若しくはシクロアルキル基、双方がアリール基、双方が1価の複素環基、又は、一方がアルキル基若しくはシクロアルキル基で他方がアリール基若しくは1価の複素環基であり、より好ましくは一方がアルキル基若しくはシクロアルキル基で他方がアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。2個存在するRY2は互いに結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよく、RY2が環を形成する場合、−C(RY2)2−で表される基としては、好ましくは式(Y−A1)〜式(Y−A5)で表される基であり、より好ましくは式(Y−A4)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
XY1において、−C(RY2)=C(RY2)−で表される基中の2個のRY2の組み合わせは、好ましくは双方がアルキル基若しくはシクロアルキル基、又は、一方がアルキル基若しくはシクロアルキル基で他方がアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
XY1において、−C(RY2)2−C(RY2)2−で表される基中の4個のRY2は、好ましくは置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいシクロアルキル基である。複数あるRY2は互いに結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよく、RY2が環を形成する場合、−C(RY2)2−C(RY2)2−で表される基は、好ましくは式(Y−B1)〜式(Y−B5)で表される基であり、より好ましくは式(Y−B3)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
式中、RY2は前記と同じ意味を表す。
式(Y−2)で表される構成単位は、式(Y−2’)で表される構成単位であることが好ましい。
式中、RY11及びXY1は前記と同じ意味を表す。
式中、RY1は前記と同じ意味を表す。RY3は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
RY3は、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
式中、RY1は前記を同じ意味を表す。RY4は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
RY4は、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
式(Y)で表される構成単位としては、例えば、式(Y−11)〜式(Y−56)で表される構成単位が挙げられ、好ましくは、式(Y−11)〜式(Y−55)で表される構成単位である。
式(Y)で表される構成単位であって、ArY1がアリーレン基である構成単位は、本実施形態に係る発光素子の駆動電圧がより低くなるので、第2の有機層の高分子化合物に含まれる構成単位の合計量に対して、好ましくは0.5〜80モル%であり、より好ましくは30〜60モル%である。
式(Y)で表される構成単位であって、ArY1が2価の複素環基、又は、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基である構成単位は、第2の有機層の高分子化合物の電荷輸送性が優れるので、第2の有機層の高分子化合物に含まれる構成単位の合計量に対して、好ましくは0.5〜40モル%であり、より好ましくは3〜30モル%である。
式(Y)で表される構成単位は、第2の有機層の高分子化合物中に、1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
第2の有機層の高分子化合物としては、例えば、表1に示す高分子化合物P−1〜P−8が挙げられる。ここで、「その他の構成単位」とは、式(2)、式(2’)、式(X)及び式(Y)で表される構成単位以外の構成単位を意味する。
表1中、p’、q’、r’、s’及びt’は、各構成単位のモル比率を表す。p’+q’+r’+s’+t’=100であり、且つ、70≦p’+q’+r’+s’≦100である。
高分子化合物P−1〜P−8における、式(2)、式(2’)、式(X)及び式(Y)で表される構成単位の例及び好ましい範囲は、上述のとおりである。
第2の有機層の高分子化合物は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよいし、その他の態様であってもよいが、複数種の原料モノマーを共重合してなる共重合体であることが好ましい。
第2の有機層の高分子化合物のポリスチレン換算の数平均分子量は、好ましくは5×103〜1×106であり、より好ましくは1×104〜5×105であり、更に好ましくは1.5×104〜1×105である。
[第2の有機層の高分子化合物の製造方法]
第2の有機層の高分子化合物は、ケミカルレビュー(Chem. Rev.),第109巻,897−1091頁(2009年)等に記載の公知の重合方法を用いて製造することができ、Suzuki反応、Buchwald反応、Stille反応、Negishi反応及びKumada反応等の遷移金属触媒を用いるカップリング反応により重合させる方法が例示される。
上記重合方法において、単量体を仕込む方法としては、単量体全量を反応系に一括して仕込む方法、単量体の一部を仕込んで反応させた後、残りの単量体を一括、連続又は分割して仕込む方法、単量体を連続又は分割して仕込む方法等が挙げられる。
遷移金属触媒としては、パラジウム触媒、ニッケル触媒等が挙げられる。
重合反応の後処理は、公知の方法、例えば、分液により水溶性不純物を除去する方法、メタノール等の低級アルコールに重合反応後の反応液を加えて、析出させた沈殿を濾過した後、乾燥させる方法等を単独又は組み合わせて行う。第2の有機層の高分子化合物の純度が低い場合、例えば、晶析、再沈殿、ソックスレー抽出器による連続抽出、カラムクロマトグラフィー等の通常の方法にて精製することができる。
[第2の有機層の低分子化合物]
第2の有機層の低分子化合物としては、式(3)で表される低分子化合物が好ましい。
式中、
mB1、mB2及びmB3は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。複数存在するmB1は、同一でも異なっていてもよい。mB3が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
Ar7は、芳香族炭化水素基、複素環基、又は、少なくとも1種の芳香族炭化水素環と少なくとも1種の複素環とが直接結合した基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。Ar7が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
LB1は、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基、−N(R’’’)−で表される基、酸素原子又は硫黄原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R’’’は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。LB1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
X’’は、架橋基、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するX’’は、同一でも異なっていてもよい。但し、複数存在するX’’のうち、少なくとも1つは、架橋基である。
mB1は、通常、0〜10の整数であり、架橋材料の合成が容易になるので、好ましくは0〜5の整数であり、より好ましくは0〜2の整数であり、更に好ましくは0又は1であり、特に好ましくは0である。
mB2は、通常、0〜10の整数であり、架橋材料の合成が容易となり、且つ、本実施形態に係る発光素子の駆動電圧がより低くなるので、好ましくは0〜5の整数であり、より好ましくは0〜3の整数であり、更に好ましくは1又は2であり、特に好ましくは1である。
mB3は、通常、0〜5の整数であり、架橋材料の合成が容易になるので、好ましくは0〜4の整数であり、より好ましくは0〜2の整数であり、更に好ましくは0である。
Ar7で表される芳香族炭化水素基のmB3個の置換基を除いたアリーレン基部分の定義及び例は、前述の式(X)におけるArX2で表されるアリーレン基の定義及び例と同じである。
Ar7で表される複素環基のmB3個の置換基を除いた2価の複素環基部分の定義及び例は、前述の式(X)におけるArX2で表される2価の複素環基部分の定義及び例と同じである。
Ar7で表される少なくとも1種の芳香族炭化水素環と少なくとも1種の複素環が直接結合した基のmB3個の置換基を除いた2価の基の定義及び例は、前述の式(X)におけるArX2で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基の定義及び例と同じである。
Ar7で表される基が有してもよい置換基の定義及び例は、前述の式(X)におけるArX2で表される基が有してもよい置換基の定義及び例と同じである。
Ar7は、本実施形態に係る発光素子の駆動電圧が低くなるので、好ましくは芳香族炭化水素基であり、この芳香族炭化水素基は置換基を有していてもよい。
LB1で表されるアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基の定義及び例は、それぞれ、前述のLAで表されるアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基の定義及び例と同じである。
LB1は、架橋材料の合成が容易になるので、好ましくは、アルキレン基、アリーレン基又は酸素原子であり、より好ましくはアルキレン基又はアリーレン基であり、更に好ましくはフェニレン基、フルオレンジイル基又はアルキレン基であり、特に好ましくはフェニレン基又はアルキレン基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
X’’は、好ましくは、式(XL−1)〜式(XL−17)のいずれかで表される架橋基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくは、式(XL−1)、式(XL−3)、式(XL−7)〜式(XL−10)、式(XL−16)又は式(XL−17)で表される架橋基、或いは、アリール基であり、更に好ましくは、式(XL−1)、式(XL−16)若しくは式(XL−17)で表される架橋基、フェニル基、ナフチル基又はフルオレニル基であり、特に好ましくは、式(XL−16)若しくは式(XL−17)で表される架橋基、フェニル基又はナフチル基であり、とりわけ好ましくは、式(XL−16)で表される架橋基、又はナフチル基である。これらの基は置換基を有していてもよい。
架橋材料としては、例えば、式(3−1)〜式(3−16)で表される低分子化合物が挙げられ、好ましくは式(3−1)〜式(3−10)で表される低分子化合物であり、より好ましくは式(3−5)〜式(3−9)で表される低分子化合物である。
第2の有機層の低分子化合物は、Aldrich、Luminescence Technology Corp.、American Dye Source等から入手可能である。その他には、例えば、国際公開第1997/033193号、国際公開第2005/035221号、国際公開第2005/049548号に記載されている方法に従って合成することができる。
第2の有機層において、架橋材料の架橋体は、1種単独で含有されていても、2種以上含有されていてもよい。
[第2の組成物]
第2の有機層は、架橋材料の架橋体と、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、酸化防止剤、及び、発光材料からなる群から選ばれる少なくとも1種の材料とを含む組成物(以下、「第2の組成物」ともいう。)を含有する層であってもよい。
第2の組成物に含有される正孔輸送材料、電子輸送材料、正孔注入材料、電子注入材料及び発光材料の例及び好ましい範囲は、第1の組成物に含有される正孔輸送材料、電子輸送材料、正孔注入材料、電子注入材料及び第2の発光材料の例及び好ましい範囲と同じである。第2の組成物において、正孔輸送材料、電子輸送材料、正孔注入材料、電子注入材料及び発光材料の配合量は、各々、架橋材料の架橋体を100質量部とした場合、通常、1〜400質量部であり、好ましくは5〜150質量部である。
第2の組成物に含有される酸化防止剤の例及び好ましい範囲は、第1の組成物に含有される酸化防止剤の例及び好ましい範囲と同じである。第2の組成物において、酸化防止剤の配合量は、架橋材料の架橋体を100質量部とした場合、通常、0.001〜10質量部である。
[第2のインク]
第2の有機層を形成するための第2のインクとして、架橋材料と、溶媒とを含有する第2の組成物を用いることができる。第2のインクは、第1のインクの項で説明した湿式法に好適に使用することができる。第2のインクの粘度の好ましい範囲は、第1のインクの粘度の好ましい範囲と同じである。第2のインクに含有される溶媒の例及び好ましい範囲は、第1のインクに含有される溶媒の例及び好ましい範囲と同じである。
第2のインクにおいて、溶媒の配合量は、架橋材料を100質量部とした場合、通常、1000〜100000質量部であり、好ましくは2000〜20000質量部である。
<発光素子の層構成>
本実施形態に係る発光素子は、陽極と、陰極と、前記陽極及び前記陰極の間に設けられた第1の有機層及び第2の有機層と、を有する。本実施形態に係る発光素子は、陽極、陰極、第1の有機層及び第2の有機層以外の層を有していてもよい。
本実施形態に係る発光素子において、第1の有機層は、通常、発光層(以下、「第1の発光層」ともいう。)である。本実施形態に係る発光素子において、第2の有機層は、通常、正孔輸送層、発光層(以下、「第2の発光層」ともいう。)又は電子輸送層であり、好ましくは正孔輸送層又は第2の発光層であり、より好ましくは正孔輸送層である。
本実施形態に係る発光素子において、第1の有機層と第2の有機層とは、発光素子の駆動電圧がより低くなるので、隣接していることが好ましい。本実施形態に係る発光素子において、第2の有機層は、発光素子の駆動電圧がより低くなるので、陽極及び第1の有機層の間に設けられた層であることが好ましく、陽極及び第1の有機層の間に設けられた正孔輸送層又は第2の発光層であることがより好ましく、陽極及び第1の有機層の間に設けられた正孔輸送層であることが更に好ましい。
本実施形態に係る発光素子において、第2の有機層が陽極及び第1の有機層の間に設けられた正孔輸送層である場合、発光素子の駆動電圧がより低くなるので、陽極と第2の有機層との間に、正孔注入層を更に有することが好ましい。また、第2の有機層が陽極及び第1の有機層の間に設けられた正孔輸送層である場合、発光素子の駆動電圧がより低くなるので、陰極と第1の有機層との間に、電子注入層及び電子輸送層のうちの少なくとも1つの層を更に有することが好ましい。
本実施形態に係る発光素子において、第2の有機層が陽極及び第1の有機層の間に設けられた第2の発光層である場合、発光素子の駆動電圧がより低くなるので、陽極と第2の有機層との間に、正孔注入層及び正孔輸送層のうちの少なくとも1つの層を更に有することが好ましい。また、第2の有機層が陽極及び第1の有機層の間に設けられた第2の発光層である場合、発光素子の駆動電圧がより低くなるので、陰極と第1の有機層との間に、電子注入層及び電子輸送層のうちの少なくとも1つの層を更に有することが好ましい。
本実施形態に係る発光素子において、第2の有機層が陰極及び第1の有機層の間に設けられた第2の発光層である場合、発光素子の駆動電圧がより低くなるので、陽極と第1の有機層との間に、正孔注入層及び正孔輸送層のうちの少なくとも1つの層を更に有することが好ましい。また、第2の有機層が陰極及び第1の有機層の間に設けられた第2の発光層である場合、発光素子の駆動電圧がより低くなるので、陰極と第2の有機層との間に、電子注入層及び電子輸送層のうちの少なくとも1つの層を更に有することが好ましい。
本実施形態に係る発光素子において、第2の有機層が陰極及び第1の有機層の間に設けられた電子輸送層である場合、発光素子の駆動電圧がより低くなるので、陽極と第1の有機層との間に、正孔注入層及び正孔輸送層のうちの少なくとも1つの層を更に有することが好ましい。また、第2の有機層が陰極及び第1の有機層の間に設けられた電子輸送層である場合、発光素子の駆動電圧がより低くなるので、陰極と第2の有機層との間に、電子注入層を更に有することが好ましい。
本実施形態に係る発光素子の具体的な層構成としては、例えば、下記の(D1)〜(D15)で表される層構成が挙げられる。発光素子は、通常、基板を有するが、基板上に陽極から積層されていてもよく、基板上に陰極から積層されていてもよい。
(D1)陽極/第2の発光層(第2の有機層)/第1の発光層(第1の有機層)/陰極
(D2)陽極/正孔輸送層(第2の有機層)/第1の発光層(第1の有機層)/陰極
(D3)陽極/正孔注入層/第2の発光層(第2の有機層)/第1の発光層(第1の有機層)/陰極
(D4)陽極/正孔注入層/第2の発光層(第2の有機層)/第1の発光層(第1の有機層)/電子輸送層/陰極
(D5)陽極/正孔注入層/第2の発光層(第2の有機層)/第1の発光層(第1の有機層)/電子注入層/陰極
(D6)陽極/正孔注入層/第2の発光層(第2の有機層)/第1の発光層(第1の有機層)/電子輸送層/電子注入層/陰極
(D7)陽極/正孔注入層/正孔輸送層(第2の有機層)/第1の発光層(第1の有機層)/陰極
(D8)陽極/正孔注入層/正孔輸送層(第2の有機層)/第1の発光層(第1の有機層)/電子輸送層/陰極
(D9)陽極/正孔注入層/正孔輸送層(第2の有機層)/第1の発光層(第1の有機層)/電子注入層/陰極
(D10)陽極/正孔注入層/正孔輸送層(第2の有機層)/第1の発光層(第1の有機層)/電子輸送層/電子注入層/陰極
(D11)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/第2の発光層(第2の有機層)/第1の発光層(第1の有機層)/電子輸送層/電子注入層/陰極
(D12)陽極/正孔注入層/正孔輸送層(第2の有機層)/第1の発光層(第1の有機層)/第2の発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(D13)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/第1の発光層(第1の有機層)/第2の発光層(第2の有機層)/電子輸送層/電子注入層/陰極
(D14)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/第1の発光層(第1の有機層)/電子輸送層(第2の有機層)/電子注入層/陰極
(D15)陽極/正孔注入層/正孔輸送層(第2の有機層)/第2の発光層/第1の発光層(第1の有機層)/電子輸送層/電子注入層/陰極
上記の(D1)〜(D15)中、「/」は、その前後の層が隣接して積層していることを意味する。具体的には、「第2の発光層(第2の有機層)/第1の発光層(第1の有機層)」とは、第2の発光層(第2の有機層)と第1の発光層(第1の有機層)とが隣接して積層していることを意味する。
本実施形態に係る発光素子の駆動電圧がより低くなるので、(D3)〜(D12)で表される層構成が好ましく、(D7)〜(D10)で表される層構成がより好ましい。
本実施形態に係る発光素子において、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、第2の発光層、電子輸送層、電子注入層及び陰極は、それぞれ、必要に応じて、2層以上設けられていてもよい。
陽極、正孔注入層、正孔輸送層、第2の発光層、電子輸送層、電子注入層及び陰極が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
陽極、正孔注入層、正孔輸送層、第1の発光層、第2の発光層、電子輸送層、電子注入層及び陰極の厚さは、通常、1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、更に好ましくは5nm〜150nmである。
本実施形態に係る発光素子において、積層する層の順番、数、及び厚さは、発光素子の発光効率及び素子寿命を勘案して調整すればよい。
[第2の発光層]
第2の発光層は、通常、第2の有機層又は発光材料を含有する層である。第2の発光層が発光材料を含有する層である場合、第2の発光層に含有される発光材料としては、例えば、前述の第1の組成物が含有していてもよい発光材料が挙げられる。第2の発光層に含有される発光材料は、1種単独で含有されていても、2種以上が含有されていてもよい。
本実施形態に係る発光素子が第2の発光層を有し、且つ、後述の正孔輸送層及び後述の電子輸送層が第2の有機層ではない場合、第2の発光層は第2の有機層であることが好ましい。
[正孔輸送層]
正孔輸送層は、通常、第2の有機層又は正孔輸送材料を含有する層である。正孔輸送層が正孔輸送材料を含有する層である場合、正孔輸送材料としては、例えば、前述の第1の組成物が含有していてもよい正孔輸送材料が挙げられる。正孔輸送層に含有される正孔輸送材料は、1種単独で含有されていても、2種以上が含有されていてもよい。
本実施形態に係る発光素子が正孔輸送層を有し、且つ、前述の第2の発光層及び後述の電子輸送層が第2の有機層ではない場合、正孔輸送層は第2の有機層であることが好ましい。
[電子輸送層]
電子輸送層は、通常、第2の有機層であるか、又は、電子輸送材料を含有する層であり、好ましくは、電子輸送材料を含有する層である。電子輸送層が電子輸送材料を含有する層である場合、電子輸送層に含有される電子輸送材料としては、例えば、前述の第1の組成物が含有していてもよい電子輸送材料が挙げられる。電子輸送層に含有される電子輸送材料は、1種単独で含有されていても、2種以上が含有されていてもよい。
[正孔注入層及び電子注入層]
正孔注入層は、正孔注入材料を含有する層である。正孔注入層に含有される正孔注入材料としては、例えば、前述の第1の組成物が含有していてもよい正孔注入材料が挙げられる。正孔注入層に含有される正孔注入材料は、1種単独で含有されていても、2種以上が含有されていてもよい。
電子注入層は、電子注入材料を含有する層である。電子注入層に含有される電子注入材料としては、例えば、前述の第1の組成物が含有していてもよい電子注入材料が挙げられる。電子注入層に含有される電子注入材料は、1種単独で含有されていても、2種以上が含有されていてもよい。
[基板/電極]
発光素子における基板は、電極を形成することができ、且つ、有機層を形成する際に化学的に変化しない基板であればよく、例えば、ガラス、プラスチック、シリコン等の材料からなる基板である。不透明な基板を使用する場合には、基板から最も遠くにある電極が透明又は半透明であることが好ましい。
陽極の材料としては、例えば、導電性の金属酸化物、半透明の金属が挙げられ、好ましくは、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ;インジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等の導電性化合物;銀とパラジウムと銅との複合体(APC);NESA、金、白金、銀、銅である。
陰極の材料としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、亜鉛、インジウム等の金属;それらのうち2種以上の合金;それらのうち1種以上と、銀、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうち1種以上との合金;並びに、グラファイト及びグラファイト層間化合物が挙げられる。合金としては、例えば、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金が挙げられる。
本実施形態に係る発光素子において、陽極及び陰極の少なくとも一方は、通常、透明又は半透明であるが、陽極が透明又は半透明であることが好ましい。
陽極及び陰極の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法及びラミネート法が挙げられる。
[発光素子の製造方法]
本実施形態に係る発光素子において、第1の発光層、第2の発光層、正孔輸送層、電子輸送層、正孔注入層、電子注入層等の各層の形成方法としては、低分子化合物を用いる場合、例えば、粉末からの真空蒸着法、溶液又は溶融状態からの成膜による方法が挙げられ、高分子化合物を用いる場合、例えば、溶液又は溶融状態からの成膜による方法が挙げられる。
第1の発光層、第2の発光層、正孔輸送層、電子輸送層、正孔注入層及び電子注入層は、第1のインク、第2のインク、並びに、上述した発光材料、正孔輸送材料、電子輸送材料、正孔注入材料及び電子注入材料をそれぞれ含有するインクを用いて、スピンコート法、インクジェット印刷法等の湿式法により形成することができる。
[発光素子の用途]
発光素子を用いて面状の発光を得るためには、面状の陽極と陰極が重なり合うように配置すればよい。パターン状の発光を得るためには、面状の発光素子の表面にパターン状の窓を設けたマスクを設置する方法、非発光部にしたい層を極端に厚く形成し実質的に非発光とする方法、陽極若しくは陰極、又は両方の電極をパターン状に形成する方法がある。これらのいずれかの方法でパターンを形成し、いくつかの電極を独立にON/OFFできるように配置することにより、数字、文字等を表示できるセグメントタイプの表示装置が得られる。ドットマトリックス表示装置とするためには、陽極と陰極を共にストライプ状に形成して直交するように配置すればよい。複数の種類の発光色の異なる高分子化合物を塗り分ける方法、カラーフィルター又は蛍光変換フィルターを用いる方法により、部分カラー表示、マルチカラー表示が可能となる。ドットマトリックス表示装置は、パッシブ駆動も可能であるし、TFT等と組み合わせてアクティブ駆動も可能である。これらの表示装置は、コンピュータ、テレビ、携帯端末等のディスプレイに用いることができる。面状の発光素子は、液晶表示装置のバックライト用の面状光源、又は、面状の照明用光源として好適に用いることができる。フレキシブルな基板を用いれば、曲面状の光源及び表示装置としても使用できる。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例において、高分子化合物のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)及びポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、サイズエクスクルージョンクロマトグラフィー(SEC)(島津製作所製、商品名:LC−10Avp)により求めた。なお、SECの測定条件は、次のとおりである。
[測定条件]
測定する高分子化合物を約0.05質量%の濃度でテトラヒドロフラン(THF)に溶解させ、SECに10μL注入した。SECの移動相としてTHFを用い、2.0mL/分の流量で流した。カラムとして、PLgel MIXED−B(ポリマーラボラトリーズ製)を用いた。検出器にはUV−VIS検出器(島津製作所製、商品名:SPD−10Avp)を用いた。
液体クロマトグラフ質量分析(LC−MS)は、下記の方法で行った。
測定試料を約2mg/mLの濃度になるようにクロロホルム又はTHFに溶解させ、LC−MS(アジレント・テクノロジー製、商品名:1100LCMSD)に約1μL注入した。LC−MSの移動相には、アセトニトリル及びTHFの比率を変化させながら用い、0.2mL/分の流量で流した。カラムは、L−column 2 ODS(3μm)(化学物質評価研究機構製、内径:2.1mm、長さ:100mm、粒径3μm)を用いた。
1H−NMRは、下記の方法で測定した。
5〜10mgの測定試料を約0.5mLの重クロロホルム(CDCl3)、重テトラヒドロフラン、重ジメチルスルホキシド、重アセトン、重N,N−ジメチルホルムアミド、重トルエン、重メタノール、重エタノール、重2−プロパノール又は重塩化メチレンに溶解させ、NMR装置(アジレント・テクノロジー製、商品名:INOVA300又はMERCURY 400VX)を用いて測定した。
化合物の純度の指標として、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)面積百分率の値を用いた。この値は、特に記載がない限り、HPLC(島津製作所製、商品名:LC−20A)でのUV=254nmにおける値とする。この際、測定する化合物は、0.01〜0.2質量%の濃度になるようにTHF又はクロロホルムに溶解させ、濃度に応じてHPLCに1〜10μL注入した。HPLCの移動相には、アセトニトリル及びTHFを用い、1.0mL/分の流量でアセトニトリル/THFの比率を100/0〜0/100(容積比)のグラジエント分析で流した。カラムは、Kaseisorb LC ODS 2000(東京化成工業製)又は同等の性能を有するODSカラムを用いた。検出器には、フォトダイオードアレイ検出器(島津製作所製、商品名:SPD−M20A)を用いた。
本実施例において、化合物の発光スペクトルの最大ピーク波長は、分光光度計(日本分光株式会社製、商品名:FP−6500)により室温にて測定した。化合物をキシレンに、約0.8×10−4質量%の濃度で溶解させたトルエン溶液を試料として用いた。励起光としては、波長325nmのUV光を用いた。
<合成例1>高分子化合物HP−1の合成
反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、特開2012−144721号公報に記載の方法に従って合成した化合物CM1(1.73g)、化合物CM2(0.843g)、ジクロロビス〔トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン〕パラジウム(2.2mg)及びトルエン(40mL)を加え、105℃に加熱した。
得られた反応液に、20質量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(8.7g)を滴下し、3時間還流させた後、そこに、9−ブロモアントラセン(64.1mg)、20質量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(8.8g)及びジクロロビス〔トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン〕パラジウム(2.2mg)を加え、16時間還流させた。その後、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。得られた反応液を冷却後、水で2回、3質量%酢酸水溶液で2回、水で2回洗浄し、得られた溶液をメタノールに滴下したところ、沈殿が生じた。沈殿物をトルエンに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムの順番で通液することにより精製した。得られた溶液をメタノールに滴下し、撹拌したところ、沈殿が生じた。沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、高分子化合物HP−1を0.91g得た。高分子化合物HP−1のMnは1.2×105であり、Mwは4.8×105であった。
高分子化合物HP−1は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物CM1から誘導される構成単位と、化合物CM2から誘導される構成単位とが、50:50のモル比で構成されてなる共重合体である。
<合成例2>高分子化合物HTL−1の合成
高分子化合物HTL−1は、国際公開第2002/045184号に記載の方法に従って合成した化合物CM3、国際公開第2002/045184号に記載の方法に従って合成した化合物CM4及び国際公開第2011/049241号に記載の方法に従って合成した化合物CM5を用いて、国際公開第2011/049241号に記載の方法に従って合成した。高分子化合物HTL−1のMnは8.9×104であり、Mwは4.2×105であった。
高分子化合物HTL−1は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物CM3から誘導される構成単位と、化合物CM4から誘導される構成単位と、化合物CM5から誘導される構成単位とが、50:42.5:7.5のモル比で構成されてなる共重合体である。
<合成例3>化合物EM1の合成
(化合物EM1bの合成)
反応容器内を窒素雰囲気とした後、特開2010−031259号公報に記載の方法に従って合成した化合物EM1a(50.0g)、ビス(ピナコラト)ジボロン(26.6g)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド・ジクロロメタン錯体(PdCl2(dppf)・CH2Cl2,1.49g)、酢酸カリウム(26.8g)及び1,4−ジオキサン(350mL)を加え、加熱還流下で4時間撹拌した。その後、室温まで冷却した後、酢酸エチルを加え、反応液をイオン交換水で洗浄した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ろ過し、ろ液を減圧濃縮することにより固体を得た。この固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン及びトルエンの混合溶媒)により精製した後、トルエン及び酢酸エチルの混合溶媒を用いて再結晶し、乾燥させることにより、化合物EM1b(12.5g、白色固体)を得た。化合物EM1bのHPLC面積百分率値は99.5%以上であった。
LC−MS(ESI,positive):m/z=1192[M]+
(化合物EM1eの合成)
反応容器内をアルゴン雰囲気とした後、特開2012−144722号公報に記載の方法に従って合成した化合物EM1c(8.23g)、特開2012−144722号公報に記載の方法に準じて合成した化合物EM1d(2.44g)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.204g)、20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(1.56g)、トルエン(45mL)、tert−ブチルアルコール(25mL)、イオン交換水(13mL)及びテトラヒドロフラン(23mL)を加え、85℃で2時間撹拌した。その後、室温まで冷却した後、反応液をイオン交換水で洗浄した。得られた有機層を減圧濃縮することにより固体を得た。この固体をシリカゲル(ODS)カラムクロマトグラフィー(アセトニトリル及びテトラヒドロフランの混合溶媒)により精製することにより、化合物EM1e(2.74g、黄色固体)を得た。化合物EM1eのHPLC面積百分率値は99.5%以上であった。
1H−NMR(300MHz,CDCl3):δ=0.76−0.86(m,20H),1.10−1.29(m,42H),1.47−1.54(m,8H),1.88(s,6H),2.45−2.50(m,12H),6.79−6.84(m,6H),6.97−6.99(m,2H),7.06−7.13(m,2H),5.35(d,2H),7.43−7.47(m,6H),7.52−7.56(m,4H),7.61(d,2H),7.74(d,4H).
LC−MS(ESI,positive):m/z=1439[M]+
(化合物EM1fの合成)
反応容器内をアルゴン雰囲気とした後、化合物EM1b(1.53g)、化合物EM1e(7.40g)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(74.2mg)、20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(0.76g)、トルエン(15mL)、tert−ブチルアルコール(9mL)、イオン交換水(4.5mL)及びテトラヒドロフラン(7.5mL)を加え、80℃で2時間撹拌した。その後、室温まで冷却した後、酢酸エチルを加え、反応液をイオン交換水で洗浄した。得られた有機層を減圧濃縮することにより固体を得た。この固体をシリカゲル(ODS)カラムクロマトグラフィー(アセトニトリル及びテトラヒドロフランの混合溶媒)により精製することにより、化合物EM1f(2.5g、黄色固体)を得た。化合物EM1fのHPLC面積百分率値は99.5%以上であった。
(化合物EM1の合成)
反応容器内をアルゴン雰囲気とした後、化合物EM1f(0.50g)、フェニルボロン酸(66.6mg)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(7.89mg)、20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(80.4mg)、トルエン(6mL)、tert−ブチルアルコール(3mL)、イオン交換水(2mL)及びテトラヒドロフラン(3mL)を加え、90℃で2時間撹拌した。その後、室温まで冷却した後、イオン交換水を加え、シリカゲルを敷いたろ過器でろ過した。得られたろ液を減圧濃縮することにより固体を得た。この固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン及び酢酸エチルの混合溶媒)により精製した後、テトラヒドロフラン及びイソプロパノールの混合溶媒を用いて再結晶し、乾燥させることにより、化合物EM1(450mg、黄色固体)を得た。化合物EM1のHPLC面積百分率値は99.5%以上であった。
1H−NMR(300MHz,CDCl3):δ=0.76−0.85(m,40H),1.10−1.23(m,76H),1.37(s,36H),1.43−1.53(m,24H),1.91−1.94(m,12H),2.44−2.50(m,24H),6.19(m,2H),6.81−7.14(m,24H),7.29−7.84(m,70H),8.13(s,1H).
化合物EM1の発光スペクトルの最大ピーク波長は、469nmであった。
<合成例4>化合物EM2の合成
(化合物EM2bの合成)
反応容器内を窒素雰囲気とした後、特開2012−144722号公報に記載の方法に従って合成した化合物EM1c(5.00g)、化合物EM2a(4.94g)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(0.121g)、20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(2.53g)及びトルエン(200mL)を加え、55℃で2時間撹拌した。その後、室温まで冷却した後、イオン交換水を加え、セライトを敷いたろ過器でろ過した。得られたろ液から水層を除去した後、得られた有機層を減圧濃縮した。そこへ、ヘキサン、トルエン及び活性炭を加え、室温で1時間攪拌した後、セライトを敷いたろ過器でろ過し、ろ液を減圧濃縮することにより固体を得た。この固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン及びトルエンの混合溶媒、並びに、ヘキサン及び酢酸エチルの混合溶媒)により精製することにより、粗生成物を得た。この粗生成物をアセトン及びヘキサンの混合溶媒で洗浄することにより固体を得た。この固体に、ヘキサン、トルエン及び活性炭を加え、室温で1時間攪拌した後、シリカゲル及びセライトを敷いたろ過器でろ過し、ろ液を減圧濃縮することにより、化合物EM2b(2.5g)を得た。化合物EM2bのHPLC面積百分率値は99.25%であった。
LC−MS(ESI,positive):m/z=1259[M]+
(化合物EM2の合成)
反応容器内を窒素雰囲気とした後、化合物EM2b(2.45g)、化合物EM1b(1.16g)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(55mg)、20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(1.15g)及びトルエン(25mL)を加え、55℃で2時間撹拌した。その後、室温まで冷却した後、イオン交換水を加え、セライトを敷いたろ過器でろ過した。得られたろ液から水層を除去した後、得られた有機層を減圧濃縮した。そこへ、トルエン及び活性炭を加え、40℃で1時間攪拌した後、セライトを敷いたろ過器でろ過し、ろ液を減圧濃縮することにより固体を得た。この固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン及びトルエンの混合溶媒)により精製し、更に、メタノールで洗浄した後、乾燥させることにより、化合物EM2(0.83g)を得た。化合物EM2のHPLC面積百分率値は99.5%以上であった。
1H−NMR(300MHz,CDCl3):δ=0.75(t,12H),1.17−1.59(m,140H),1.95(s,6H),2.44(t,8H),6.20(d,2H),6.77−7.01(m,10H),7.39−7.91(m,86H),8.13(s,1H).
LC−MS(ESI,positive):m/z=3297[M]+
化合物EM2の発光スペクトルの最大ピーク波長は、454nmであった。
<合成例5>化合物EM3及び化合物EM4の合成
化合物EM3は、特開2006−199698号公報に記載の方法に準じて合成した。
化合物EM4は、国際公開第2010/058859号に記載の方法に準じて合成した。
化合物EM3の発光スペクトルの最大ピーク波長は、442nmであった。
化合物EM4の発光スペクトルの最大ピーク波長は、449nmであった。
<合成例6>化合物HM−1及び化合物HM−2の合成
化合物HM−1は、AK Scientific社より購入した。
化合物HM−2は、特表2013−527989号公報に記載の方法に準じて合成した。
化合物HM−1の発光スペクトルの最大ピーク波長は、425nmであった。
化合物HM−2の発光スペクトルの最大ピーク波長は、430nmであった。
<実施例D1>発光素子D1の作製及び評価
(陽極及び正孔注入層の形成)
ガラス基板にスパッタ法により45nmの厚みでITO膜を付けることにより陽極を形成した。該陽極上に、ポリチオフェン・スルホン酸系の正孔注入剤であるAQ−1200(Plextronics社製)をスピンコート法により35nmの厚さで成膜し、大気雰囲気下において、ホットプレート上で170℃、15分間加熱することにより正孔注入層を形成した。
(第2の有機層の形成)
キシレンに、高分子化合物HTL−1を0.6質量%の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を用いて、正孔注入層の上にスピンコート法により20nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で180℃、60分間加熱することにより第2の有機層を形成した。この加熱により、高分子化合物HTL−1は、架橋体となった。
(第1の有機層の形成)
トルエンに、化合物HM−1及び化合物EM3(化合物HM−1/化合物EM3=90質量%/10質量%)を1.9質量%の濃度で溶解させた。得られたトルエン溶液を用いて、第2の有機層の上にスピンコート法により60nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で150℃、10分間加熱することにより第1の有機層を形成した。
(陰極の形成)
第1の有機層を形成した基板を蒸着機内において、1.0×10−4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、第1の有機層の上に、フッ化ナトリウムを約4nm、次いで、フッ化ナトリウム層の上に、アルミニウムを約80nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止することにより、発光素子D1を作製した。
(発光素子の評価)
発光素子D1に電圧を印加することによりEL発光が観測された。電流密度が100mA/cm2における駆動電圧は6.8Vであった。
<実施例D2>発光素子D2の作製及び評価
実施例D1における化合物EM3に代えて、化合物EM2を用いたこと以外は実施例D1と同様にして、発光素子D2を作製した。
(発光素子の評価)
発光素子D2に電圧を印加することによりEL発光が観測された。電流密度が100mA/cm2における駆動電圧は6.7Vであった。
<実施例D3>発光素子D3の作製及び評価
実施例D1における化合物EM3に代えて、化合物EM1を用いたこと以外は実施例D1と同様にして、発光素子D3を作製した。
(発光素子の評価)
発光素子D3に電圧を印加することによりEL発光が観測された。電流密度が100mA/cm2における駆動電圧は6.2Vであった。
<実施例D4>発光素子D4の作製及び評価
実施例D1の(第1の有機層の形成)における、「化合物HM−1及び化合物EM3(化合物HM−1/化合物EM3=90質量%/10質量%)」に代えて、「化合物HM−2及び化合物EM2(化合物HM−2/化合物EM2=90質量%/10質量%)」を用いたこと以外は実施例D1と同様にして、発光素子D4を作製した。
(発光素子の評価)
発光素子D4に電圧を印加することによりEL発光が観測された。電流密度が100mA/cm2における駆動電圧は6.8Vであった。
<比較例CD1>発光素子CD1の作製及び評価
実施例D1の(第1の有機層の形成)における、「トルエンに、化合物HM−1及び化合物EM3(化合物HM−1/化合物EM3=90質量%/10質量%)を1.9質量%の濃度で溶解させた。」に代えて、「クロロベンゼンに、ポリ(9−ビニルカルバゾール)(高分子化合物PVK)(Sigma−Aldrich社製、Mw=1.1×106、粉末状)及び化合物EM3(高分子化合物PVK/化合物EM3=90質量%/10質量%)を1.3質量%の濃度で溶解させた。」とする以外は実施例D1と同様にして、発光素子CD1を作製した。
(発光素子の評価)
発光素子CD1に電圧を印加することによりEL発光が観測された。電流密度が100mA/cm2における駆動電圧は10.9Vであった。
<比較例CD2>発光素子CD2の作製及び評価
実施例D1の(第1の有機層の形成)における、「トルエンに、化合物HM−1及び化合物EM3(化合物HM−1/化合物EM3=90質量%/10質量%)を1.9質量%の濃度で溶解させた。」に代えて、「クロロベンゼンに、ポリ(9−ビニルカルバゾール)(高分子化合物PVK)(Sigma−Aldrich社製、Mw=1.1×106、粉末状)及び化合物EM2(高分子化合物PVK/化合物EM2=90質量%/10質量%)を1.3質量%の濃度で溶解させた。」とする以外は実施例D1と同様にして、発光素子CD2を作製した。
(発光素子の評価)
発光素子CD2に電圧を印加することによりEL発光が観測された。電流密度が100mA/cm2における駆動電圧は8.8Vであった。
<比較例CD3>発光素子CD3の作製及び評価
実施例D1の(第1の有機層の形成)における、「トルエンに、化合物HM−1及び化合物EM3(化合物HM−1/化合物EM3=90質量%/10質量%)を1.9質量%の濃度で溶解させた。」に代えて、「クロロベンゼンに、ポリ(9−ビニルカルバゾール)(高分子化合物PVK)(Sigma−Aldrich社製、Mw=1.1×106、粉末状)及び化合物EM1(高分子化合物PVK/化合物EM1=90質量%/10質量%)を1.3質量%の濃度で溶解させた。」とする以外は実施例D1と同様にして、発光素子CD3を作製した。
(発光素子の評価)
発光素子CD3に電圧を印加することによりEL発光が観測された。電流密度が100mA/cm2における駆動電圧は9.4Vであった。
<比較例CD4>発光素子CD4の作製及び評価
実施例D1の(第1の有機層の形成)における、「トルエンに、化合物HM−1及び化合物EM3(化合物HM−1/化合物EM3=90質量%/10質量%)を1.9質量%の濃度で溶解させた。」に代えて、「クロロベンゼンに、高分子化合物HP−1及び化合物EM3(高分子化合物HP−1/化合物EM3=90質量%/10質量%)を0.75質量%の濃度で溶解させた。」とする以外は実施例D1と同様にして、発光素子CD4を作製した。
(発光素子の評価)
発光素子CD4に電圧を印加することによりEL発光が観測された。電流密度が100mA/cm2における駆動電圧は8.0Vであった。
<実施例D5>発光素子D5の作製及び評価
実施例D1における化合物EM3に代えて、化合物EM4を用いたこと以外は実施例D1と同様にして、発光素子D5を作製した。
(発光素子の評価)
発光素子D5に電圧を印加することによりEL発光が観測された。電流密度が100mA/cm2における駆動電圧は6.9Vであった。
<比較例CD5>発光素子CD5の作製及び評価
比較例CD4における化合物EM3に代えて、化合物EM4を用いたこと以外は比較例CD4と同様にして、発光素子CD5を作製した。
(発光素子の評価)
発光素子CD5に電圧を印加することによりEL発光が観測された。電流密度が100mA/cm2における駆動電圧は9.2Vであった。
実施例及び比較例の結果を表2に示す。