JP6826883B2 - Malassezia属真菌に対する増殖抑制剤、Malassezia属真菌性皮膚疾患の予防乃至治療剤、及びMalassezia属真菌の除菌、除去乃至増殖抑制方法 - Google Patents
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Description
したがって、薬剤の選択肢を増やすことが求められ、Malassezia属真菌の過剰な増殖を抑制でき、安全性の高いMalassezia属真菌に対する増殖抑制剤の提供が望まれている。
<1> ジフェンヒドラミン、及びその誘導体、並びにそれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分として含有することを特徴とするMalassezia属真菌に対する増殖抑制剤である。
<2> ホウ酸、及びホウ砂の少なくともいずれかをさらに含有する前記<1>に記載のMalassezia属真菌に対する増殖抑制剤である。
<3> 皮膚外用剤である前記<1>から<2>のいずれかに記載のMalassezia属真菌に対する増殖抑制剤である。
<4> 基材に含浸された形態である前記<1>から<3>のいずれかに記載のMalassezia属真菌に対する増殖抑制剤である。
<5> ジフェンヒドラミン、及びその誘導体、並びにそれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分として含有することを特徴とするMalassezia属真菌性皮膚疾患の予防乃至治療剤である。
<6> 前記<1>から<4>のいずれかに記載のMalassezia属真菌に対する増殖抑制剤を用いて皮膚表面のMalassezia属真菌の除菌、除去、及び増殖抑制の少なくともいずれかを行う工程を有することを特徴とするMalassezia属真菌の除菌、除去乃至増殖抑制方法である。
本発明のMalassezia属真菌に対する増殖抑制剤は、ジフェンヒドラミン、及びその誘導体、並びにそれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分として含有し、ホウ酸、及びホウ砂の少なくともいずれかをさらに含有することが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
本発明は、抗ヒスタミン薬として公知である前記ジフェンヒドラミン、及びその誘導体、並びにそれらの薬学的に許容される塩について、Malassezia属真菌の増殖を抑制できるという新規用途に適することを見出したことに基づく発明である。
前記ジフェンヒドラミン、及びその誘導体、並びにそれらの薬学的に許容される塩としては、例えば、ジフェンヒドラミン、ジフェンヒドラミン塩酸塩、タンニン酸ジフェンヒドラミン、サリチル酸ジフェンヒドラミンなどが挙げられる。
前記ジフェンヒドラミンは、H1受容体アンタゴニストであり、抗ヒスタミン作用により、血管拡張、気管支収縮、末梢・中枢神経系の神経伝達などに作用することが知られている。前記ジフェンヒドラミンは、このような作用から、アレルギー症状の緩和、かゆみ止め、睡眠改善薬の有効成分として利用され、安全性が検証されている。
なお、「w/v%」は、重量体積パーセントを示し、溶液100mLあたりに含まれる含有量(g/100mL)と同義である。
前記Malassezia属真菌(マラセチア属真菌)は、ヒト皮膚常在菌であり、種々の皮膚疾患への関与が報告されており、前記Malassezia属真菌が過剰増殖したり、バリア機能が低下した肌では、前記Malassezia属真菌が、汗による痒み、癜風、マラセチア毛包炎、脂漏性角化症、脂漏性湿疹(脂漏性皮膚炎)、ふけ症、アトピー性皮膚炎、外耳炎などの原因となることが知られている。また、前記Malassezia属真菌は、ヒト皮膚常在菌真菌の約53%〜80%を占めることが知られている(杉田隆、Jpn.J.Med.Mycol.(2007)vol.48(4)など参照)。
前記Malassezia属真菌としては、単離して同定したものであってもよいし、生物遺伝資源の提供元などから入手したものであってもよく、例えば、Malassezia globosa(NBRC101597)、Malassezia restricta(NBRC103918)、Malassezia furfur(NBRC 101610)(いずれも、独立行政法人 製品評価技術基盤機構から入手可能)などが挙げられる。
前記Malassezia restrictaは、脂漏性皮膚炎において優位に存在し、その病変の憎悪に関与しているとされている。また、アトピー性皮膚炎や乾癬等においても、他のMalassezia属真菌に比べMalassezia restrictaが比較的優位に存在することが知られている。前記Malassezia globosaは、Malassezia属真菌のなかでも特にリパーゼ活性が高く、皮脂分解を促進して、皮膚刺激を誘発する遊離脂肪酸を生じさせやすい傾向があることが知られている。前記Malassezia furfurは、フケ症の原因菌とされている。
本発明のMalassezia属真菌に対する増殖抑制剤は、特にこれらのMalassezia属真菌の増殖を抑える効果に優れているので、これらのMalassezia属真菌の増殖が関与する疾患又はその症状を効果的に治療、改善、又は予防することができる。
前記増殖抑制作用を有することは、特に制限はなく目的に応じて公知の薬剤感受性試験を適宜選択し、公知の評価基準に基づいて評価することができる。
具体的には、ディスク法(例えば、東京大学医科学研究所学友会編、(1988)、微生物学実習提要を参照)による試験を行い、前記Malassezia属真菌を培養した固相培地上に、評価対象化合物(例えば、前記ジフェンヒドラミン)を含浸したペーパーディスクを静置し、培養した後、阻止円の直径を測定し、前記ペーパーディスクの直径よりも前記阻止円の直径が大きいと判断される場合に、前記評価対象化合物への薬剤感受性がある、即ち、前記評価対象化合物が、前記Malassezia属真菌に対する増殖を抑制する作用を有する増殖抑制剤であると評価することができる。
前記ホウ砂、及びホウ酸の少なくともいずれかは、増殖抑制効果を向上させるために含有される。
前記ホウ砂、及びホウ酸の少なくともいずれかの含有量としては、増殖抑制効果の向上の点から、前記Malassezia属真菌に対する増殖抑制剤全量に対して、0.3w/v%〜2.0w/v%が好ましく、0.4w/v%〜1.0w/v%がより好ましい。前記含有量が、2.0w/v%を超えると、析出する恐れがある。
本発明の増殖抑制剤には、前記その他の成分として本発明の効果を損なわない範囲で、通常の外用剤組成物に添加されるその他の成分を配合することができる。
前記その他の成分としては、外用剤組成物として配合することができるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、その他の薬剤、抗白癬菌剤、殺菌剤、エタノール、多価アルコール、可溶化剤、シリコーン油、エステル油、保湿剤、増粘剤、キレート剤、防腐剤、粉末成分、液体油脂、固体油脂、ロウ類、炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、紫外線吸収剤、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、香料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記金属石鹸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウムなどが挙げられる。
前記無機白色顔料としては、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛などが挙げられる。
前記無機赤色系顔料としては、例えば、酸化鉄、チタン酸鉄などが挙げられる。
前記無機褐色系顔料としては、例えば、γ−酸化鉄などが挙げられる。
前記無機黄色系顔料としては、例えば、黄酸化鉄、黄土などが挙げられる。
前記無機黒色系顔料としては、例えば、黒酸化鉄、低次酸化チタンなどが挙げられる。
前記無機紫色系顔料としては、例えば、マンゴバイオレット、コバルトバイオレットなどが挙げられる。
前記無機緑色系顔料としては、例えば、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルトなどが挙げられる。
前記無機青色系顔料としては、例えば、群青、紺青などが挙げられる。
前記パール顔料としては、例えば、酸化チタンコーテッドマイカ、酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔などが挙げられる。
前記金属粉末顔料としては、例えば、アルミニウムパウダー、カッパーパウダーなどが挙げられる。
前記有機顔料としては、ジルコニウム、バリウム、アルミニウムレーキなどを含有する顔料が挙げられ、例えば、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色405号、赤色505号、橙色203号、橙色204号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色205号、黄色401号、青色1号、青色404号、緑色3号などが挙げられる。
前記天然色素としては、例えば、クロロフィル、β−カロチンなどが挙げられる。
前記直鎖アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記分枝鎖アルコールとしては、例えば、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2−デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記安息香酸系紫外線吸収剤としては、例えば、パラアミノ安息香酸(以下、PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N−ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N−ジエトキシPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAブチルエステル、N,N−ジメチルPABAエチルエステルなどが挙げられる。
前記アントラニル酸系紫外線吸収剤としては、例えば、ホモメンチル−N−アセチルアントラニレートなどが挙げられる。
前記サリチル酸系紫外線吸収剤としては、例えば、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p−イソプロパノールフェニルサリシレートなどが挙げられる。
前記桂皮酸系紫外線吸収剤としては、例えば、オクチルメトキシシンナメート、エチル−4−イソプロピルシンナメート、メチル−2,5−ジイソプロピルシンナメート、エチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、メチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、プロピル−p−メトキシシンナメート、イソプロピル−p−メトキシシンナメート、イソアミル−p−メトキシシンナメート、オクチル−P−メトキシシンナメート(2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート)、2−エトキシエチル−p−メトキシシンナメート、シクロヘキシル−p−メトキシシンナメート、エチル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、2−エチルヘキシル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、グリセリルモノ−2−エチルヘキサノイル−ジパラメトキシシンナメート、3−(4’−メチルベンジリデン)−d,l−カンファー、3−ベンジリデン−d,l−カンファー、2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾール、2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン、5−(3,3−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンタン−2−オンジモルホリノピリダジノンなどが挙げられる。
前記中性アミノ酸としては、例えば、スレオニン、システインなどが挙げられる。
前記塩基性アミノ酸としては、例えば、ヒドロキシリジンなどが挙げられる。
前記アミノ酸の誘導体としては、例えば、アシルサルコシンナトリウム(ラウロイルサルコシンナトリウム)、アシルグルタミン酸塩、アシルβ−アラニンナトリウム、グルタチオン、ピロリドンカルボン酸などが挙げられる。
前記外用剤組成物のpHとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3.0以上7.0以下が好ましく、3.5以上6.5以下がより好ましく、4.0以上6.0以下が特に好ましい。前記範囲であると、皮膚刺激がない点で好ましい。
前記外用剤組成物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、基材に含浸された形態、液剤、懸濁剤、乳剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、ローション剤などが挙げられる。前記外用剤組成物は、液状又は半固形状に製剤化することができる。
前記基材に含浸された形態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、抗菌シート、鎮痒消炎薬含有シート、顔用汗拭きシート、身体用汗拭きシート、身体用デオドラントシート、足用拭き取りシート、介護用清拭シート、皮脂拭き取りシートなどが挙げられる。
これらの中でも、基材に含浸された形態が、患部に直接的に薬剤を塗布すると同時に菌、及び汗の除去ができ、皮膚上の菌数が減少することで増殖抑制効果が上昇するため、好ましい。また、液剤、懸濁剤、乳剤、クリーム剤、ゲル剤、ローション剤等の形態で外用組成物を液状に製剤化した場合、限定はされないが、スプレー容器やエアゾール容器に入れ、本発明の外用組成物を、紅斑、湿疹、痒み、かぶれ又は炎症を引き起こしている患部に直接的に噴霧して使用することもできる。噴霧した後に、不織布や指等により、塗り拡げて用いることも可能である。また、ロールオン容器に入れて使用することも可能である。
前記基材は、前記外用組成物を保持することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、不織布、織布、パフなどが挙げられる。
前記基材の素材としては、例えば、コットン、パルプ、麻、シルク等の天然繊維;ポリノジック、キュプラ、リヨセル、アセテート、レーヨン、ナイロン、アクリル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラート、ビニロンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記基材としては、単層であってもよく、積層構造であってもよい。
前記基材の面積としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記Malassezia属真菌の除去、除菌効果や使用性の観点から、100cm2〜600cm2が好ましい。
前記基材の目付としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記Malassezia属真菌の除去、除菌効果や使用性の観点から、25g/m2〜100g/m2が好ましい。
前記基材の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記Malassezia属真菌の除去、除菌効果や使用性の観点から、0.1mm以上が好ましい。前記平均厚みは、前記基材の任意な点の厚みを測定し、3点以上の厚みの平均値として算出することができる。
前記外用剤組成物の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、第十五改正日本薬局方製剤総則ローション剤に準じて製造することができるが、例えば、メンブランフィルター(例えば、オムニポア JHWP04700、メルクミリポア社製)でろ過した前記外用剤組成物を、前記基材に含浸させる方法などが挙げられる。
前記外用組成物の前記基体への含浸量(含浸倍率)は、前記外用組成物の皮膚への移行の点から、前記基体の質量に対する前記外用組成物の質量の比(前記外用組成物の質量/前記基体の質量)で2〜6が好ましい。
本発明のMalassezia属真菌性皮膚疾患の予防乃至治療剤は、ジフェンヒドラミン、及びその誘導体、並びにそれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分として含有し、ホウ酸、及びホウ砂の少なくともいずれかをさらに含有することが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
前記Malassezia属真菌性皮膚疾患の予防乃至治療剤については、前記Malassezia属真菌に対する増殖抑制剤において記載した事項を、適宜選択することができる。
本発明のMalassezia属真菌の除菌、除去乃至増殖抑制方法は、本発明の前記Malassezia属真菌に対する増殖抑制剤を用いて皮膚表面のMalassezia属真菌の除菌、除去、及び増殖抑制の少なくともいずれかを行う工程を有する。
また、これらの中でも、基材に含浸された形態で皮膚を拭き取ると同時に皮膚上に塗布する方法が、患部に直接的に薬剤を塗布すると同時に菌、及び汗の除去ができ、皮膚上の菌数が減少することで増殖抑制効果が上昇し、優れた除菌、除去効果が得られる点で、好ましい。
本発明のMalassezia属真菌に対する増殖抑制剤は、Malassezia属真菌の過剰な増殖を抑制でき、安全性が高いため、例えば、Malassezia属真菌に対する増殖抑制剤、Malassezia属真菌性皮膚疾患の予防乃至治療剤、及びMalassezia属真菌の除菌、除去乃至増殖抑制方法などにも好適に用いられる。
また、本発明は、使用性や機能の観点から、基材に含浸された形態で使用することができ、例えば、抗菌シート、鎮痒消炎薬含有シート、顔用汗拭きシート、身体用汗拭きシート、身体用デオドラントシート、足用拭き取りシート、介護用清拭シート、皮脂拭き取り用シートなどにも好適に用いられる。
(実施例1〜7、及び比較例1〜2)
Malassezia属真菌に対する増殖抑制効果を評価するために、東京大学医科学研究所学友会編,(1988),微生物学実習提要に記載の方法に従い、ディスク法による試験を行った。すなわち、下記表1〜2に記載した組成を有する実施例1〜7、及び比較例1〜2のMalassezia属真菌に対する増殖抑制剤100mLを調製した。3種類のMalassezia属真菌として、Malassezia globosa(NBRC101597)、Malassezia restricta(NBRC 103918)、及びMalassezia furfur(NBRC 101610)(いずれも、独立行政法人 製品評価技術基盤機構から入手)を用意し、その菌液をマクファーランドスタンダード0.5に希釈した。希釈した菌液をクロモアガーマラセチア・カンジダ培地(関東化学株式会社製)に播種した。播種後15分間以内に、実施例1〜7、及び比較例1〜2のMalassezia属真菌に対する増殖抑制剤100μLを含浸した直径8mm、厚み1.5mmのペーパーディスク(商品名:ペーパーディスク、ADVANTEC社製)を、培地上に静置した。その後、この培地を32.5℃好気条件下で7日間培養した。培養期間終了後、それぞれの阻止円の直径を測定し、Malassezia属真菌ごとに平均値を算出した。図1に、実施例1のディスク法試験における結果を示す。図1中、aはペーパーディスクを示し、bは菌が発育しない領域(阻止円)を示す。この結果を表1〜2に示す。
表1〜2の結果から明らかな通り、比較例1に対し、ジフェンヒドラミン塩酸塩を含有する実施例1〜7は、Malassezia属真菌の増殖を抑制する効果があることが確認された。また、比較例2との比較から、ジフェンヒドラミン塩酸塩が殺菌剤として一般に知られているベンゼトニウム塩化物と同程度の効果を奏することが確認された。ジフェンヒドラミン塩酸塩が鎮痒作用を有することに加え、Malassezia属真菌の増殖を抑制する作用を有することが判明したことは全くの予想外の結果であった。
(実施例8)
実施例8として、下記表3に示す組成物をローション剤として用いて、以下の製剤使用時のMalassezia属真菌に対する増殖抑制評価を行った。
20代〜40代の専門パネル24名に対し、実施例8のローション剤をおでこに使用し、使用前、使用直後、及び使用後1.5時間経過後のMalassezia globosa菌数を測定した。なお、菌の採取方法、定量方法は、Takashi Sugita,(2006)Microbiol.Immunol.50(7)549−552に従い、オプサイトクイックガード(Smith&Nephew−Japan社製)を製剤使用後の部位に貼付し、オプサイトクイックガードに付着した菌数をPCR法によって定量した。また、製剤使用前に採取された菌数を100%とし、使用直後、及び使用後1.5時間経過後の菌数の増加率(対初期値(%))を計算した。この結果を表4に示す。
実施例9として、前記表3に示す組成物を後述の製造方法に従って不織布に含浸させ、ウエットシートを製造し、ウエットシートを用いておでこを拭き取ったこと以外は、実施例8と同様にして製剤使用時のMalassezia属真菌に対する増殖抑制評価を行った。
すなわち、前記表3に示す組成物を不織布(コットン100%、坪量65g/m2、シートの面積、200mm×200mm、含浸量:8mL)に含浸させ、ウエットシートを製造した。得られたウエットシートを用いておでこを拭き取った。この結果を表4に示す。
比較例3〜4として、実施例8〜9において、前記表3に示す組成物に代えて精製水を用いたこと以外は、実施例8〜9と同様にして製剤使用時のMalassezia属真菌に対する増殖抑制評価を行った。この結果を表4に示す。
下記表5に示す組成を有するクリーム剤を、常法により調製した。
Claims (6)
- ジフェンヒドラミン、ジフェンヒドラミン塩酸塩、タンニン酸ジフェンヒドラミン、及びサリチル酸ジフェンヒドラミンからなる群より選択される少なくとも1種を有効成分として含有することを特徴とするMalassezia属真菌に対する増殖抑制剤。
- ホウ酸、及びホウ砂の少なくともいずれかをさらに含有する請求項1に記載のMalassezia属真菌に対する増殖抑制剤。
- 皮膚外用剤である請求項1から2のいずれかに記載のMalassezia属真菌に対する増殖抑制剤。
- 基材に含浸された形態である請求項1から3のいずれかに記載のMalassezia属真菌に対する増殖抑制剤。
- 抗菌シート、鎮痒消炎薬含有シート、顔用汗拭きシート、身体用汗拭きシート、身体用デオドラントシート、足用拭き取りシート、介護用清拭シート、及び皮脂拭き取りシートのいずれかである請求項4に記載のMalassezia属真菌に対する増殖抑制剤。
- ジフェンヒドラミン、ジフェンヒドラミン塩酸塩、タンニン酸ジフェンヒドラミン、及びサリチル酸ジフェンヒドラミンからなる群より選択される少なくとも1種を有効成分として含有することを特徴とするMalassezia属真菌性皮膚疾患の予防乃至治療剤。
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