JP6825401B2 - 貴金属層付銅端子材の製造方法 - Google Patents

貴金属層付銅端子材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、自動車や民生機器等の電気配線の接続に使用されるコネクタ用端子として有用な貴金属層付銅端子材の製造方法に関する。
自動車や民生機器等の電気配線の接続に使用されるコネクタ用端子は、一般に、銅又は銅合金基材の表面に錫、金、銀などのめっきを施した貴金属層付銅端子材が用いられる。このうち、金、銀などの貴金属をめっきした端子材は、耐熱性に優れるため、高温環境下での使用に適している。従来、このような貴金属をめっきした端子材として、以下の特許文献に開示のものがある。
特許文献1には、導電性金属基体(基材)と貴金属層との間に、平均結晶粒径が0.3μm以上である、ニッケル、コバルト、亜鉛、銅及びこれらの合金などのうちの1層以上の下地層が形成された電気接点用貴金属被覆材が開示されており、高温環境下での基体成分の拡散を抑制して、長期信頼性が高いと記載されている。この場合、下地層の結晶粒径を制御するために、基体上に下地層のためのめっきをした後、所定の条件で熱処理を行う、あるいは所定の加工率で圧延加工することも記載されている。
特開2015−137421号公報
しかしながら、特許文献1記載の発明では下地層の結晶粒を肥大化することにより貴金属表面を有する接点の信頼性を向上させているが、下地層の結晶粒の肥大化のために、めっき後に熱処理をする方法では、導電性金属基体の組織も肥大化し所望の材料特性が得られないという問題がある。更に、めっき後に圧延加工をする方法では、導電性金属基体の組織も変化するため所望の基体の材料特性が得られないという問題がある。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであって、銅または銅合金からなる基材の上に積層した金属被覆層について端子材として必要な部分の結晶粒を肥大化して、基材の材料特性を変化させることなく、貴金属表面を有する接点の信頼性を維持することができる貴金属層付銅端子材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の貴金属層付銅端子材の製造方法は、銅または銅合金からなる基材上に厚さ0.1μm以上10.0μm以下の金属被覆層を形成する金属被覆層形成工程と、前記金属被覆層の表面の少なくとも一部に貴金属層を形成する貴金属層形成工程と、前記貴金属層の表面にレーザ光を照射することにより、該レーザ光を照射した部分の前記金属被覆層の平均結晶粒径を0.3μm以上とした拡散防止層を形成するレーザ光照射工程とを有し、前記レーザ光が、固体レーザ、ファイバーレーザ、半導体レーザもしくはガスレーザより得られる、波長が200nm以上1.1μm以下の範囲のレーザ光であるとともに、前記金属被覆層表面における前記レーザ光の単位面積当たりの照射エネルギーが1.0×10 J/cm 以上1.0×10 J/cm 以下である
貴金属層の表面からレーザ光を照射することにより金属被覆層を加熱して、その結晶粒を肥大化した拡散防止層を形成するようにしているので、複雑な工程を必要とすることなく、短時間で、金属被覆層のごく表面の結晶粒を局所的に肥大化することができる。このため、端子として貴金属層を形成した部分のみ金属被覆層の結晶粒を肥大化して基材から貴金属層への銅の拡散を防止し、耐熱性を付与することができる。また、レーザ光を照射
しない領域では、基材の材料特性を変化させるおそれがなく、銅端子材としての所望の加工性等の材料特性を維持することができる。
また、これらのレーザで上記範囲の波長のレーザ光を貴金属層の上から照射することにより、金属被覆層を効果的に肥大化することができる。
本発明の貴金属層付銅端子材の製造方法において、前記金属被覆層が、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金のいずれかからなる1層以上の金属層によって構成されているとよい。
これらの金属層を金属被覆層とすることにより、基材からの銅の拡散を有効に防止することができる。これらの金属層は単層でもよいし、2層以上を積層して下地層としてもよい。
本発明の貴金属層付銅端子材の製造方法において、前記貴金属層が、金、金合金、銀、銀合金、パラジウム、パラジウム合金、白金、白金合金、ロジウム、ロジウム合金のいずれか1層以上からなり、厚さが0.1μm以上5.0μm以下であるものとするとよい。
これらの貴金属層とすることにより、端子材としての耐熱性を有効に発揮することができる。
本発明の貴金属層付銅端子材の製造方法によれば、端子材として貴金属層を形成した部分の金属被覆層の結晶粒を肥大化して、銅または銅合金からなる基材の材料特性を変化させることなく、貴金属表面を有する接点の信頼性を維持することができる貴金属層付銅端子材を効率的に製造することができる。
本発明の貴金属層付銅端子材の製造方法の実施形態を示すフローチャートである。 実施形態の貴金属層付銅端子材を模式的に示す断面図である。 図2に示す貴金属層付銅端子材の製造途中で貴金属層を形成した状態を模式的に示す断面図である。 貴金属を形成した後にレーザ光を照射している状態を模式的に示す断面図である。
本発明の実施形態の貴金属層付銅端子材の製造方法について説明する。
まず、この製造方法が適用される実施形態の貴金属層付銅端子材について説明する。
この貴金属層付銅端子材1は、図2に断面を模式的に示したように、銅または銅合金からなる基材2上に、拡散防止層3を介して、貴金属層4が積層されている。
基材2は、銅または銅合金からなるものであれば、特に、その組成が限定されるものではない。
拡散防止層3は、厚さが0.1μm以上10.0μm以下であり、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金のいずれかからなる1層以上の金属層によって構成されている。1種以上の金属層であるから、ニッケルまたはニッケル合金からなる拡散防止層3、コバルトまたはコバルト合金からなる拡散防止層3、もしくは、ニッケルまたはニッケル合金からなる金属層とコバルトまたはコバルト合金からなる金属層との2層構造の拡散防止層3、あるいはこれらの3種以上を組み合わせて積層した拡散防止層3としてもよい。いずれの場合も、拡散防止層3全体としての厚さが0.1μm以上10.0μm以下である。この拡散防止層3は、基材2からの銅の拡散を防止する機能があり、その厚さが0.1μm未満では、銅の拡散を防止する効果が乏しく、厚さが10.0μmを超えるとプレス加工時に割れが生じ易い。拡散防止層3の厚さは、0.1μm以上3.0μm以下がより好ましい。
また、この拡散防止層3は、貴金属層4が積層されている部分(図2の3aで示す部分)においては平均結晶粒径が0.3μm以上である。貴金属層4と接する部分の平均結晶粒径が0.3μm以上であることから、基材2から貴金属層4への銅の拡散を有効に防止することができる。貴金属層4が形成されていない領域における拡散防止層3の平均結晶粒径は0.3μm未満であってもよい。
貴金属層4は、金、金合金、銀、銀合金、パラジウム、パラジウム合金、白金、白金合金、ロジウム、ロジウム合金のいずれか1層以上からなり、その厚さは0.1μm以上5.0μm以下とされる。この貴金属層4は、端子材の耐熱性を向上させ、また接触抵抗を低減させる効果がある。その厚さが0.1μm未満では、耐熱性向上、接触抵抗の低減などの貴金属としての特性を得られない。厚さが5.0μmを超えると、端子10へのプレス加工時に割れが発生するおそれがある。貴金属層4の厚さは、0.1μm以上1.0μm以下がより好ましい。
次に、この貴金属層付銅端子材1の製造方法について図1のフローチャートにしたがって説明する。
基材2として、銅または銅合金からなる板材を用意し、図1に示す工程順で貴金属層付銅端子材1を製造する。
まず、この板材に脱脂、酸洗等をすることによって表面を清浄にする前処理を行う(前処理工程)。
次に、拡散防止層3を形成するための金属被覆層3´を形成する(金属被覆層形成工程)。金属被覆層3´の形成はめっき処理により行うのが好適である。
金属被覆層3´がニッケルまたはニッケル合金からなる場合、そのめっき浴は、緻密なニッケル主体の膜が得られるものであれば特に限定されず、公知のワット浴やスルファミン酸浴、クエン酸浴などを用いて電気めっきにより形成することができる。ニッケル合金めっきとしてはニッケルタングステン(Ni−W)合金、ニッケルリン(Ni−P)合金、ニッケルコバルト(Ni−Co)合金、ニッケルクロム(Ni−Cr)合金、ニッケル鉄(Ni−Fe)合金、ニッケル亜鉛(Ni−Zn)合金、ニッケルボロン(Ni−B)合金などを利用することができる。
金属被覆層3´がコバルトまたはコバルト合金からなる場合、そのめっき浴は、一般的なコバルトめっき浴を用いればよく、例えば、スルファミン酸浴、硫酸コバルト浴等を用いることができる。
端子へのプレス曲げ性と銅に対するバリア性を勘案すると、スルファミン酸浴から得られる純ニッケルめっき、純コバルトめっきが望ましい。
このようにして基材2の上に金属被覆層3´を形成した後、図3に示すように、その金属被覆層3´の上に、貴金属層4が形成される部分に開口部Maを有するマスクMを積層しておき、その開口部Maから露出する表面に貴金属層4をめっきにより形成した後、マスクMを外す(貴金属層形成工程)。
貴金属が金(Au)または金合金からなる場合、そのめっき浴は、シアン化金カリウムを主成分とするシアン浴、クエン酸等を用いたノンシアン浴いずれも用いることができる。金めっき浴の温度は15℃以上50℃以下、電流密度は0.1A/dm以上10A/dm以下とされる。
貴金属が銀(Ag)または銀合金からなる場合、そのめっき浴は、アルカリシアン浴、中性シアン浴、ノンシアン浴のいずれも用いることができる。銀めっき浴の温度は15℃以上50℃以下、電流密度は0.1A/dm以上10A/dm以下とされる。
貴金属がパラジウム(Pd)またはパラジウム合金からなる場合、そのめっき浴は、中性あるいはアルカリ性のアンモニウム水溶液であり、代表的なパラジウム化合物としては、塩化パラジウム、ジニトロジアンミンパラジウムやジジクロロアミノパラジウムなどが用いられ、いずれの浴も用いることができる。パラジウムめっき浴の温度は35℃以上60℃以下、電流密度は0.5A/dm以上5A/dm以下とされる。
貴金属が白金(Pt)または白金合金からなる場合、そのめっき浴は、大きく分けて2価(II価)の白金化合物を使用する浴と4価(IV価)の白金化合物を使用する浴があり、酸性から中性で、2価の白金化合物としてジニトロジアミノ白金、水酸化白金カリウムを使用する浴、あるいは、アルカリ性で、4価の白金化合物としてヘキサクロリド白金酸を使用する浴などがあり、いずれの浴も用いることができる。白金めっき浴の温度は65℃以上90℃以下、電流密度は0.1A/dm以上5.0A/dm以下とされる。
なお、この貴金属層4は、金属めっき層3´の全面に対して形成することも可能であるが、端子として加工される部分などの必要な部分にのみ施せばよい。
次に、図4に示すように、貴金属層4の上からレーザ光を照射し、金属被覆層3´を局部的に加熱する。尚、貴金属層4が形成される部分のサイズが、レーザ光の焦点サイズよりも小さい場合は、レーザ光を走査(スキャン)することなく照射する。それに対して、貴金属層4が形成される部分のサイズが、レーザ光の焦点サイズよりも大きい場合は、ガルバノミラー等のスキャニングミラーを使用し、貴金属層4が形成される部分全体に、レーザ光を走査(スキャン)して照射する(レーザ光照射工程)。
レーザ光としては、固体レーザ、ファイバーレーザ、半導体レーザ(LD)もしくはガスレーザを用いることができる。レーザ光の波長は、200nm以上1.1μm以下の範囲であり、金属被覆層3´表面における単位面積当たりの照射エネルギーが1.0×10J/cm以上1.0×10J/cm以下となるように照射する。
レーザ光は波長の揃った高エネルギー密度の光を局所的に集光することが可能という特徴を有していることから、レーザ光を使用することにより、複雑な工程を必要とすることなく、短時間に、ごく表面の結晶粒を局所的に肥大化させることができる。このレーザ光の照射により、貴金属層4を通過したレーザ光によって金属被覆層3´が加熱され、貴金属層4の直下の部分(図2の3aで示す部分)の結晶粒が平均結晶粒径で0.3μm以上に肥大化した拡散防止層3が形成される。
この場合、貴金属層4はレーザ光に対する反射率が高く吸収率が低いので、波長が短いものがよく、前述した200nm以上1.1μm以下の波長のレーザ光が好ましく、貴金属層4に吸収されたレーザ光の熱エネルギーによって瞬時に金属被覆層3´が加熱され、結晶粒の肥大化が生じる。また、金属被覆層3´の表面からレーザ光を照射するので、照射時間等を調整することにより、拡散防止層3の厚さのうち、主として表面部分の平均結晶粒径を0.3μm以上とし、基材2との界面付近では0.3μm未満の平均結晶粒径とすることも可能である。
このようにして製造された貴金属層付銅端子材1は、基材2の上に拡散防止層3が形成され、その上に部分的に貴金属層4が形成されている。そして、プレス加工等により端子の形状に加工される。
この端子は、貴金属層4が形成されている部分(図2の3aで示す部分)では、基材2と貴金属層4との間に平均結晶粒径が0.3μm以上のニッケル等からなる拡散防止層3が形成されているので、基材2からの銅の貴金属層4への拡散を有効に防止することができ、優れた耐熱性を維持することができる。例えば、200℃の温度に長時間(〜1000時間)晒しても、基材2の銅が拡散防止層3を拡散して、貴金属層4上に析出することを抑制することができる。また、レーザ光を貴金属層4が形成されている部分にのみ、その貴金属層4の上から照射したので、レーザ光を照射しない領域においてはもちろん、照射した領域でも、銅または銅合金からなる基材2の材料特性を変化させることはなく、端子への加工性等の材料特性を良好に維持することができる。なお、レーザ光の熱エネルギーを高めるなどにより、基材2の表面のごく一部も変質させるようにすることは可能であり、その場合は、基材2自体も銅が拡散しにくいものとすることができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、実施形態では、金属被覆層3´及び貴金属層4をめっきにより形成したが、スパッタリング等の他の薄膜形成法によってもよい。
基材として、表1に示すCDA(Copper Development Association)合金番号の厚さ0.25mmの材料を使用した。前処理として、電解脱脂(NaOH水溶液60g/リットルを用いて、液温60℃、電流密度2.5ASD(A/dm)、脱脂時間60秒間)及び酸洗(硫酸10%水溶液、液温25℃、浸漬時間30秒間)を行った。
また、金属層はめっき法により形成し、金属層が、ニッケル(Ni)の場合、スルファミン酸ニッケル4水和物の水溶液、500g/リットルと、塩化ニッケルの水溶液、30g/リットルと、ホウ酸の水溶液、30g/リットルとを用いて、液温50℃、電流密度15ASDにて、表1記載の厚さ及び結晶粒径のニッケル(Ni)からなる金属めっき層を得た。また、金属層がコバルト(Co)の場合、スルファミン酸コバルト4水和物の水溶液、500g/リットルと、塩化コバルトの水溶液、30g/リットルと、ホウ酸の水溶液、30g/リットルとを用いて、液温50℃、電流密度6ASDにて、表1記載の厚さ及び結晶粒径のコバルト(Co)からなる金属めっき層を得た。
レーザ光の照射は、貴金属層が形成される箇所の所定のエリアに対して、表1に記載のレーザの種類及び条件にて照射を行った。尚、焦点サイズよりも貴金属層が形成されるエリアが大きい場合は、表1記載の条件のレーザ光をスキャンすることによりエリア全体に照射した。
表1中、照射エネルギーにおいて「.E+」及びこれに続く数字は、指数表記を示しており、例えば「8.0.E+3」であると「8.0×10」を示す。
最表面の貴金属層はめっき法により形成し、貴金属層が金(Au)の場合、シアン化金カリウムの水溶液、14.6g/リットルと、クエン酸の水溶液、150g/リットルと、クエン酸カリウムの水溶液、180g/リットルを用いて、液温40℃、電流密度5ASDにて、表1記載の厚さ及び結晶粒径の金(Au)からなる貴金属層を得た。また、貴金属層がパラジウム(Pd)の場合、ジアンミンジクロロパラジウム(II)の水溶液、45g/リットルと、アンモニウム水溶液、90ミリリットル/リットルと、硫酸アンモニウムの水溶液、50g/リットルとを用いて、液温30℃、電流密度6ASDにて、表1記載の厚さ及び結晶粒径のパラジウム(Pd)からなる貴金属層を得た。更に、貴金属層が白金(Pt)の場合、ジニトロジアンミン白金(II)の水溶液、10g/リットルと、硝酸アンモニウムの水溶液、100g/リットルと、アンモニウム水溶液、50ミリリットル/リットルとを用いて、液温80℃、電流密度3ASDにて表1記載の厚さ及び結晶粒径の白金(Pt)からなる貴金属層を得た。また、貴金属層が銀(Ag)の場合、シアン化銀の水溶液、50g/リットルと、シアン化カリウムの水溶液、100g/リットルと、炭酸カリウムの水溶液、30g/リットルとを用いて、液温30℃、電流密度1ASDにて、表1記載の厚さ及び結晶粒径の銀(Ag)からなる貴金属層を得た。また、貴金属層がロジウム(Rh)の場合、ロジウム、2.0g/リットルと、硫酸、35ミリリットルからなる水溶液を用いて、液温40℃、電流密度1.5ASDにて、表1記載の厚さ及び結晶粒径のロジウム(Rh)からなる貴金属層を得た。
得られた試料について、拡散防止層においてレーザ光が照射された部分の平均結晶粒径を測定し、接触抵抗、曲げ加工性を評価した。
(膜厚及び平均結晶粒径の測定方法)
膜厚及び平均結晶粒径の測定は、以下に記載した断面観察により測定した。測定の対象となる金属被覆層、拡散防止層のレーザ光照射部分及び貴金属層に関する、膜厚及び平均結晶粒径については、圧延平行断面をFIBにて切断することで、断面を露出した後、対象となる各々の層について倍率を8000〜15000倍としてその断面をSIM観察する。次いで、得られた画像において、各々の層の厚さを測定する。一方、厚さ方向の中央部から基材平面方向に5μmの長さを線引きし、その線を各々の層について、結晶粒界が何本交差するかを確認し、5μmをその数で割ることにより結晶粒径と定義する。これを1視野当たり任意の箇所を3回測定し、合計で3視野、9箇所について行い、得られた測定値の平均値を各々の層の平均結晶粒径とした。
(接触抵抗測定及び評価方法)
最表面の貴金属層の接触抵抗は、JCBA−T323に準拠し、4端子接触抵抗試験機を用いて、摺動式(1mm)で荷重0.98N時の接触抵抗を測定した。まず、貴金属層形成直後の初期の接触抵抗を測定した後、熱処理として、恒温槽を用いて、大気雰囲気中、200℃、1000時間保持後、再度接触抵抗を測定した。初期の測定から200℃、1000時間保持後の測定値の変化率が、10%未満のものを「◎」とし、10%以上、20%未満のものを「○」とし、20%以上、25%未満のものを「△」とし、25%以上のものを「×」とした。
(曲げ加工性評価方法)
曲げ加工性については、圧延方向に対して曲げの軸が直交方向になるように、幅10mm×長さ30mmの試験片を複数採取し、JCBA(日本伸銅協会技術標準)T307の4試験方法に準拠して、曲げ角度が90°、曲げ半径が0.5mmのW型治具を用い、9800Nの荷重でW曲げ試験を行った。その後、実体顕微鏡にて観察を行った。曲げ加工性の評価は、試験後の曲げ加工部に明確なクラックが認められないレベルを「◎」とし、めっき面に部分的に微細なクラックが発生しているが銅基材の露出は認められないレベルを「○」とし、銅基材の露出はないが「○」と評価したレベルより大きいクラックが発生しているレベルを「△」とし、発生したクラックにより銅基材が露出しているレベルを「×」とした。
これらの結果を表1に示す。
Figure 0006825401
表1の結果からわかるように、基材上に厚さ0.1μm以上10.0μm以下の金属被覆層を形成した後、その上に貴金属層を形成し、その貴金属層の上からレーザ光を照射して、貴金属層の下の部分の平均結晶粒径を0.3μm以上とした拡散防止層を形成することにより、加熱前後の接触抵抗の変化が少なく、かつ曲げ加工性にも優れる貴金属層付銅端子材を得ることができる。試料番号57は、レーザ光の照射時間が長すぎたため、基材がレーザからの熱によって、一部溶融したため、特性評価ができず、測定不能となった。
1 貴金属層付銅端子材
2 基材
3 拡散防止層
3´ 金属被覆層
4 貴金属層
M マスク
Ma 開口部

Claims (3)

  1. 銅または銅合金からなる基材上に厚さ0.1μm以上10.0μm以下の金属被覆層を形成する金属被覆層形成工程と、前記金属被覆層の表面の少なくとも一部に貴金属層を形成する貴金属層形成工程と、前記貴金属層の表面にレーザ光を照射することにより、該レーザ光を照射した部分の前記金属被覆層の平均結晶粒径を0.3μm以上とした拡散防止層を形成するレーザ光照射工程とを有し、
    前記レーザ光が、固体レーザ、ファイバーレーザ、半導体レーザもしくはガスレーザより得られる、波長が200nm以上1.1μm以下の範囲のレーザ光であるとともに、前記金属被覆層表面における前記レーザ光の単位面積当たりの照射エネルギーが1.0×10 J/cm 以上1.0×10 J/cm 以下である
    ことを特徴とする貴金属層付銅端子材の製造方法。
  2. 前記金属被覆層が、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金のいずれかからなる1層以上の金属層によって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の貴金属層付銅端子材の製造方法。
  3. 前記貴金属層が、金、金合金、銀、銀合金、パラジウム、パラジウム合金、白金、白金合金、ロジウム、ロジウム合金のいずれか1層以上からなり、厚さが0.1μm以上5.0μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の貴金属層付銅端子材の製造方法。
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