JP2019145458A - 電気接点材料およびそれを用いたスイッチ - Google Patents

電気接点材料およびそれを用いたスイッチ Download PDF

Info

Publication number
JP2019145458A
JP2019145458A JP2018030790A JP2018030790A JP2019145458A JP 2019145458 A JP2019145458 A JP 2019145458A JP 2018030790 A JP2018030790 A JP 2018030790A JP 2018030790 A JP2018030790 A JP 2018030790A JP 2019145458 A JP2019145458 A JP 2019145458A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
electrical contact
contact material
palladium
plating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018030790A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6967993B2 (ja
Inventor
伸 菊池
Shin Kikuchi
伸 菊池
秀一 北河
Shuichi Kitagawa
秀一 北河
達也 中津川
Tatsuya Nakatsugawa
達也 中津川
紳悟 川田
Shingo Kawata
紳悟 川田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Furukawa Electric Co Ltd
Original Assignee
Furukawa Electric Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Furukawa Electric Co Ltd filed Critical Furukawa Electric Co Ltd
Priority to JP2018030790A priority Critical patent/JP6967993B2/ja
Publication of JP2019145458A publication Critical patent/JP2019145458A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6967993B2 publication Critical patent/JP6967993B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Contacts (AREA)

Abstract

【課題】銀めっきを施した電気接点材料と同等の接触抵抗を有し、モールド樹脂との密着性が良好であり、硫化雰囲気下でもモールド樹脂との隙間から腐食ガスが侵入するのを防いでスイッチ内の接点部の接触抵抗の上昇を長期に亘って抑制できる電気接点材料およびそれを用いたスイッチを提供することである。【解決手段】本発明の電気接点材料は、銅を含む導電性基体と、前記導電性基体の少なくとも一面に形成されるニッケルまたはコバルトを含む第1層と、前記第1層上に形成される銀を含む第2層と、前記第2層上に形成されるパラジウムを含む第3層とを有し、オージェ電子分光分析により定量される表層のパラジウム原子数濃度が50.0%以上である。【選択図】図1

Description

本発明は、電気接点材料およびそれを用いたスイッチに関する。
スマートフォンや自動車車載向けの電気接点材料としては、接触抵抗が優れる貴金属めっきが施されている銅または銅合金が用いられている。中でも、コストや信頼性の面から、銀めっきが施された銅または銅合金が選定されることが多い。
銀めっきには、接触抵抗が小さい一方で、硫化雰囲気では容易に腐食して、接触抵抗が増大するという課題がある。このような課題のために、銀めっきの特性の低下を抑制することを目的として、銀めっきに防錆処理や無機被覆などの表面処理を施した電気接点材料が開発されている。
例えば、特許文献1には、金属基材の上に銀または銀合金の被覆層を設け、その上にパラジウム等またはその合金を0.01〜2.0μmの厚さで被覆した電気接点材料が記載される。
また、特許文献2には、導電性基体上に、銀または銀合金よりなる第1層、ニッケル、コバルトまたはこれらの合金を主体とし、厚さが0.001〜0.20μmである第2層、ならびに、パラジウムまたはパラジウム合金を主体とし、厚さが0.001〜0.4μmである表面層がこの順に積層されてなる電気接点材料が記載される。
さらに、銀めっきに代わる貴金属めっき材料として、半田濡れ性が銀めっきと同等であるパラジウムめっきを提供している例もある。例えば、特許文献3には、銅または銅合金基体の表面にニッケル等の第1下地層が形成され、その上にニッケル等の第2下地層が形成され、その上にパラジウム等の貴金属の表面層が0.002〜0.5μmの厚さで形成されている電子部品用導電材料が記載される。
特開昭63−221517号公報 特許第3956841号公報 特開平9−330827号公報
しかしながら、特許文献1の構成では、表層のパラジウムめっき厚が規定されているものの、表層のパラジウムの皮膜状態は規定されていない。
また、特許文献2の電気接点材料では、硫化雰囲気中での接触抵抗の増加抑制の効果は見られたものの、例えばエポキシ系樹脂やシリコーン系樹脂などのモールド樹脂と電気接点材料との密着性が低下することがあった。これは、樹脂を硬化させる際の熱によって、表面層の直下に存在する第2層中のニッケルが熱拡散して表面層に移動することで、樹脂と電気接点材料との密着性が弱まることによる可能性が高い。
また、特許文献3の電子部品用導電材料では、電子部品用導電材料とモールド樹脂との密着性は保たれたものの、従来から使用している銀めっきを施した電気接点材料より接触抵抗が劣ることがあった。
本発明の目的は、銀めっきを施した電気接点材料と同等の接触抵抗を有し、モールド樹脂との密着性が良好であり、硫化雰囲気下でもモールド樹脂との隙間から腐食ガスが侵入するのを防いでスイッチ内の接点部の接触抵抗の上昇を長期に亘って抑制できる電気接点材料およびそれを用いたスイッチを提供することである。
本発明の要旨構成は、以下のとおりである。
[1] 銅を含む導電性基体と、前記導電性基体の少なくとも一面に形成されるニッケルまたはコバルトを含む第1層と、前記第1層上に形成される銀を含む第2層と、前記第2層上に形成されるパラジウムを含む第3層とを有し、オージェ電子分光分析により定量される表層のパラジウム原子数濃度が50.0%以上であることを特徴とする電気接点材料。
[2] 前記表層のSEM−EDX測定において、パラジウムが斑点状の分散状態で存在していることを特徴とする上記[1]に記載の電気接点材料。
[3] 前記第3層の平均厚さが0.001μm以上0.100μm以下の範囲内であることを特徴とする上記[1]または[2]に記載の電気接点材料。
[4] 前記第2層の平均厚さが0.01μm以上1.00μm以下の範囲内であることを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれか1つに記載の電気接点材料。
[5] 前記第1層の平均厚さが0.01μm以上1.00μm以下の範囲内であることを特徴とする上記[1]〜[4]のいずれか1つに記載の電気接点材料。
[6] 前記表層の樹脂とのシェア強度が8.0MPa以上であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1つに記載の電子接点材料。
[7] 上記[1]〜[6]のいずれか1つに記載の電気接点材料を用いたスイッチ。
本発明によれば、銀めっきを施した電気接点材料と同等の接触抵抗を有し、モールド樹脂との密着性が良好であり、硫化雰囲気下でもモールド樹脂との隙間から腐食ガスが侵入するのを防いでスイッチ内の接点部の接触抵抗の上昇を長期に亘って抑制することができる。
本発明に係る電気接点材料を模式的に示す断面図である。 実施例1の電気接点材料におけるPdのSEM−EDXマッピング画像である。
以下、本発明を実施の形態に基づき詳細に説明する。
本発明に係る電気接点材料は、銅(Cu)を含む導電性基体と、前記導電性基体の少なくとも一面に形成されるニッケル(Ni)またはコバルト(Co)を含む第1層と、前記第1層上に形成される銀(Ag)を含む第2層と、前記第2層上に形成されるパラジウム(Pd)を含む第3層とを有し、オージェ電子分光分析により定量される表層のパラジウム原子数濃度が50.0%以上である。
図1は、本発明に係る電気接点材料を模式的に示す断面図である。図1に示すように、電気接点材料10では、導電性基体1の表面に第1層2が設けられ、第1層2の表面に第2層3が設けられ、第2層3の表面に第3層4が設けられている。このように、導電性基体1上に、第1層2と第2層3と第3層4とがこの順に被覆されている。
導電性基体としては、導電率や放熱性に優れる銅または銅合金が好ましい。
例えば銅合金の例として、CDA(Copper Development Association)掲載合金である「C26800(Cu−35%Zn)」、「C51910(Cu−6%Sn−P)」、「C52120(Cu−8%Sn−P)」、「C71500(Cu−30%Ni)」、および「C52100(Cu−8%Sn−0.03%P)」等を用いることができる。なお、各元素の前の数字および%は質量%を示す。これら銅合金は、それぞれ導電率や強度が異なるため、電気接点材料に要求される特性に応じて、適宜選択される。導電性や放熱性を向上させるという観点からは、導電率が5%IACS以上の銅合金とすることが好ましい。
導電性基体の厚さは、特に限定されないが、通常0.03mm以上1.00mm以下、好ましくは0.03mm以上0.10mm以下の範囲内である。
第1層を形成する金属または合金の例としては、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金、ニッケルコバルト合金などが挙げられる。
ここで、第1層の役割としては、導電性基体の成分である銅の第2層への拡散の抑制や導電性基体と第2層との密着性を向上させることである。特に、導電性基体よりも貴な金属を用いためっき処理によって第2層を形成する場合は、そのめっき処理前にフラッシュめっきあるいはストライクめっきなどの下地処理によって下地層である第1層を予め設けておくことが、密着性向上や置換析出の防止のために有効である。
第1層の平均厚さは、好ましくは0.01μm以上1.00μm以下、より好ましくは0.05μm以上0.50μm以下の範囲内である。第1層の平均厚さが0.01μm以上であると、上記の効果が十分に向上する。また、第1層の平均厚さが1.00μm以下であると、第1層の形成に必要な原料の使用量が抑制される。
第2層を形成する金属または合金の例としては、銀、銀合金が挙げられる。第2層の役割としては、電気接点材料の接触抵抗を低くすることである。
第2層の平均厚さは、好ましくは0.01μm以上1.00μm以下、より好ましくは0.20μm以上0.80μm以下の範囲内である。第2層の平均厚さが0.01μm以上であると、接触抵抗が十分に低くなる。また、第2層の平均厚さが1.00μm以下であると、第2層の形成に必要な原料の使用量が抑制される。
第3層を形成する金属または合金の例としては、パラジウム、パラジウム合金が挙げられる。第3層の役割としては、電気接点材料とモールド樹脂との密着性を高くすることである。
オージェ電子分光分析により定量される電気接点材料の表層のパラジウム原子数濃度は、50.0%以上である。ここで、電気接点材料の表層とは、第3層が形成されている部分の電気接点材料の表層である。また、パラジウム原子数濃度は、第3層中のパラジウム成分に由来する。
オージェ電子分光分析によると、電気接点材料の表層の表面から10nm以下の深さで、パラジウムが50.0%以上の原子数濃度で存在する。本発明において、表層のパラジウム原子数濃度が50%未満である場合、モールド樹脂との密着性が劣り、モールド樹脂と電気接点材料との間に隙間ができやすく、腐食ガス等が侵入しやすくなる。上記のパラジウム原子数濃度は、好ましくは60.0%以上100%未満、より好ましくは65.0%以上95.0%以下の範囲内である。パラジウム原子数濃度がこの範囲であると、接触抵抗が十分に低下し、モールド樹脂との密着性が十分に高くなる。
第2層上の第3層の状態は、走査型電子顕微鏡を使用した特性X線エネルギー分光法(SEM−EDX)測定で得られるパラジウムの状態によって判断することができる。電気接点材料の表層のSEM−EDX測定において、パラジウムは、第2層上に斑点状の分散状態で存在している場合(斑点状)、様々な面積を有する複数の小さな層(島状の層)が第2層上に互いに距離を空けて分離して存在している場合(島状)、第2層の全面に一様に被覆している場合(ベタ状)がある。
パラジウムは銀と比較して、接触抵抗が数mΩほど高いため、第3層が第2層の全面を一様に被覆している状態では、第2層を構成する銀成分が担っている導電性を損ねてしまう。また、第3層が第2層の上に斑点状に存在することで、第3層がベタ状や島状の状態と比べ、第3層の表面積が大きくなり、電気接点材料とモールド樹脂との接触面積が増えることから、電気接点材料の樹脂密着強度が増す。そのため、接触抵抗と樹脂密着性の観点から、電気接点材料の表層のSEM−EDX測定において、パラジウムが斑点状の分散状態で存在している、換言すると第2層の銀成分が部分的に露出していることが好ましい。上記のSEM−EDX測定において斑点状の分散状態で存在しているパラジウムは、後述の図2に示すような状態になる。
第3層の平均厚さは、好ましくは0.001μm以上0.100μm以下、より好ましくは0.005μm以上0.050μm以下の範囲内である。第3層の平均厚さが0.001μm以上であると、上記の接触抵抗および密着性の効果が十分に向上する。また、第3層の平均厚さが1.000μm以下であると、第3層の形成に必要な原料の使用量が抑制される。なお、第3層の平均厚さとは、第3層が第2層の全面を均一に一様な厚さの層であると想定した場合の層の厚さとする。
上記の各層の平均厚さは、蛍光X線膜厚計などの膜厚計によって測定することができる。
電気接点材料を製造するためには、めっき、クラッド、蒸着、スパッタ等の各種皮膜形成法が利用でき、特に薄膜を容易に形成する方法として、第1層、第2層および第3層の少なくとも一層を電気めっき法で形成することが好ましく、第1層、第2層および第3層の全ての層を電気めっき法で形成することがより好ましい。電気めっき液の組成およびめっき条件は、適宜定めることができる。また、電気接点材料の製造に必要な原料の使用量を抑えるために、電気接点材料のスイッチ接点面側のみに第1層、第2層および第3層を施す片面めっきや、スイッチ接点面と反対面のめっき厚を薄くする差厚めっきも有効な手段である。
また、電気接点材料の表層の樹脂とのシェア強度は、好ましくは8.0MPa以上である。シェア強度が8.0MPa以上であると、電気接点材料と樹脂との密着性が十分に良好であり、腐食性ガスによる接点部の接触抵抗の増加が抑制される。
本発明の電気接点材料は、通常の接触式の電気接点であればどのようなタイプでも好適に用いられる。特に耐磨耗性と耐食性に優れることから、本発明の電気接点材料は、例えば、自動車車載向けの屋内外の摺動接点や、リードスイッチ、カメラマウント接点用スイッチなどの電気接点用の材料として特に好適に用いることができる。
以上説明した実施形態によれば、電気接点材料は、モールド樹脂との密着性が良好であることから、樹脂モールド後の気密性が確保され、硫化ガスや湿気に富む空気などの腐食ガスの侵入を抑制できるため、スイッチ内の接点部の接触抵抗の長期信頼性を保つことができる。さらに、電気接点材料は、従来の銀めっきを施した電気接点材料と同等の接触抵抗も持ち合わせている。
なお、図1に示される電気接点材料10では、第1層2が導電性基体1の表面全面に形成される一例を示したが、第1層2は、導電性基体1の少なくとも一面に形成されていればよく、例えば、導電性基体1の上面のみまたは下面のみに形成されてもよい。
また、第3層4は斑点状や島状のような状態で第2層3の表面を覆う場合もあるが、図1では、簡略化のために、第3層が第2層3の全面を一様に覆う電気接点材料10を示した。
以上、実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の概念および特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含み、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
次に、実施例および比較例について説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜30および比較例1〜11)
厚さ0.05mm、幅50mmのリン青銅C52100の導電性基体に対して、以下に示す条件で前処理を行った後、以下に示す条件の電気めっき法で、表1に示す平均めっき厚になるように第1層および第2層をこの順で導電性基体上に形成した。続いて、以下および表1に示す条件の電気めっき法で、表1に示す平均めっき厚になるように第3層を第2層上に形成した。こうして、電気接点材料を得た。なお、比較例11では、第3層の形成を行わなかった。
なお、各層の平均めっき厚(被覆厚)は、蛍光X線膜厚計(SFT−9400、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)を使用し、コリメータ径0.1mmとして、各層の任意の10箇所を測定し、これらの測定値の平均値を算出して得た。
<前処理条件>
[カソード電解脱脂]
脱脂液:NaOH 60g/l
脱脂条件:2.5A/dm、温度60℃、脱脂時間60秒
[酸洗]
酸洗液:10%硫酸
酸洗条件:浸漬時間30秒、室温
<Niめっき>
めっき液:NiSO 240g/L
NiCl 45g/L
BO 30g/L
めっき条件:電流密度 5A/dm
温度 50℃
<Coめっき>
めっき液:CoSO 400g/L
NaCl 20g/L
BO 40g/L
めっき条件:電流密度 5A/dm
温度 30℃
<NiCoめっき>
めっき液:HCl 100g/L
NiCl 25g/L
CoCl 25g/L
めっき条件:電流密度 1.2A/dm
温度 40℃
<Agストライクめっき>
めっき液:AgCN 5g/L
KCN 60g/L
CO 30g/L
めっき条件:電流密度 2A/dm
温度 30℃
<Agめっき>
めっき液:AgCN 50g/L
KCN 100g/L
CO 30g/L
めっき条件:電流密度 1A/dm
温度 30℃
<Pdめっき>
めっき液:Pd(NHCl 25〜40g/L
NHOH 90mL/L
(NHSO 50g/L
めっき条件:電流密度 2〜10A/dm
温度 30℃
攪拌条件:400〜1000rpm
AgストライクめっきおよびAgめっきは、すべての実施例および比較例で行った。
Pdめっきでは、パラジウム原子数濃度および第3層の被覆状態を調整するために、めっき浴中のPd濃度と電流密度と攪拌速度との制御を行った。Pd(NHCl濃度を25g/Lにして、パラジウム原子数濃度を50%未満に調整し、Pd(NHCl濃度を40g/Lにして、パラジウム原子数濃度を50%以上100%未満に調整した。また、めっき電流密度を10A/dmおよびめっき液の攪拌速度を400rpmにして、斑点状の第3層を形成し、電流密度を2A/dmおよび攪拌速度を1000rpmにして、一様で斑点無しの第3層を形成した。
次に、得られた電気接点材料の特性および評価について、以下のようにして行った。
パラジウム原子数濃度については、次のようにしてオージェ電子分光分析により測定した。オージェ電子分光分析装置(Mоdel 600、アルバック・ファイ社製)を用い、第3層が形成されている部分の電気接点材料の表層の任意の5か所において、それぞれ、加速電圧10kV、分析面積50μm×50μmにて、表面定性・定量分析を行って、パラジウム原子数濃度の測定を実施し、これらの測定値の平均値をパラジウム原子数濃度とした。その結果を表1に示す。なお、パラジウム原子数濃度の測定では、Pd、Ag、Ni、Co、Cなどの電気接点材料由来の元素の合計が100%となるように規格化した。
第3層の被覆状態については、次のようにして走査型電子顕微鏡を使用した特性X線エネルギー分光法(SEM−EDX)により測定した。走査型電子顕微鏡(SEM/EDX)(SEMEDX TypeM、日立製作所製)を用い、第3層が形成されている部分の電気接点材料の表層の任意の3か所において、それぞれ、加速電圧20kV、観察倍率5000倍、電子線スポットサイズ1μm、測定深さ1μmにて、10μm×10μmの領域内で、電子線を走査させた。得られた3つのPdのEDXマッピング画像において、それぞれ、10μm×10μmの領域を、1μm×1μm角で100個の小領域に分割して、100個の小領域の内、パラジウムの斑点状が確認できる小領域の数を調べた。そして、3つのマッピング画像における上記小領域の数の平均値が、5個以上である場合には、斑点状「有り」、5個未満である場合には、斑点状「無し」と判定した。
接触抵抗については、次のようにして測定した。最表層である第3層の形成直後、すなわち製造直後の電気接点材料(加熱前)、製造した電気接点材料をエアバス内に静置させて130℃で90秒間加熱した後の電気接点材料(加熱後)のそれぞれについて、半径2mmのAgプローブを使用し、4端子法にて、10mA通電、荷重10gfで測定点10点の接触抵抗を測定し、これらの測定値の平均値を接触抵抗とした。なお、このときの加熱条件は、後述する樹脂密着強度の測定におけるモールド樹脂の加熱条件に相当する。
樹脂密着強度(シェア強度)については、次のようにして測定した。トランスファーモールド成形機(Model FTS、コータキ精機社製)を用い、金型温度130℃、モールド後保持時間90秒、注入圧力6.865MPaの条件下で、エポキシ系樹脂(EME−G630L、住友ベークライト社製)を注入成形して、第3層が形成されている部分の電気接点材料の表層に、接触面積10mmのプリンカップ状のモールド樹脂を密着形成させた。このような電気接点材料上にモールド樹脂を形成した試験片を5つ作製した。ボンドテスター(デイジ社製)を用い、荷重レンジ20kg、テスト高さ150μm、降下速度0.5μm/s、テストスピード100μm/s、移動量100μmの条件で、5つの試験片における電気接点材料とモールド樹脂との密着強度(シェア強度)を測定し、これらの測定値の平均値を樹脂密着強度とした。
以上のようにして測定した電気接点材料の特性および評価の結果を表1に示す。
実施例1〜30では、パラジウム原子数濃度が50%以上100%未満の範囲内、樹脂密着強度が8.0MPa以上となり、樹脂密着性が良好であることがわかった。また、図2に示すように、実施例1の電気接点材料の表層におけるPdのSEM−EDXマッピング画像では、パラジウムが斑点状に分散していることが確認できた。このようなパラジウムの斑点状は、実施例2〜16、27〜30でも同様に確認できた。また、パラジウム原子数濃度が同程度である場合、パラジウムが斑点状である実施例1〜16、27〜30では、パラジウムが斑点状ではない実施例17〜26に比べて、樹脂密着強度が高い傾向であった。特に、実施例5〜12、15、16、27、28のように、パラジウムが斑点状に存在し、パラジウム原子数濃度が60.0%以上95.0%以下の範囲内である場合は、樹脂密着強度が9.0MPa以上となった。さらに、実施例1〜16のように、パラジウムが斑点状に存在し、第1層の平均めっき厚が0.01μm以上1.00μm以下の範囲内、第2層の平均めっき厚が0.01μm以上1.00μm以下の範囲内、第3層の平均めっき厚が0.001μm以上0.100μm以下の範囲内である場合は、加熱前後の接触抵抗がいずれも3.0mΩ以下であると共に樹脂密着強度が優れていた。
一方で、比較例1〜11では、パラジウム原子数濃度が50%未満であり、電気接点材料の最表層である第3層のPd量が少ないことから、樹脂密着強度が8.0MPa未満となり、樹脂密着性に劣るということが分かった。
1 導電性基体
2 第1層
3 第2層
4 第3層
10 電気接点材料

Claims (7)

  1. 銅を含む導電性基体と、前記導電性基体の少なくとも一面に形成されるニッケルまたはコバルトを含む第1層と、前記第1層上に形成される銀を含む第2層と、前記第2層上に形成されるパラジウムを含む第3層とを有し、オージェ電子分光分析により定量される表層のパラジウム原子数濃度が50.0%以上であることを特徴とする電気接点材料。
  2. 前記表層のSEM−EDX測定において、パラジウムが斑点状の分散状態で存在していることを特徴とする請求項1に記載の電気接点材料。
  3. 前記第3層の平均厚さが0.001μm以上0.100μm以下の範囲内であることを特徴とする請求項1または2に記載の電気接点材料。
  4. 前記第2層の平均厚さが0.01μm以上1.00μm以下の範囲内であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気接点材料。
  5. 前記第1層の平均厚さが0.01μm以上1.00μm以下の範囲内であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気接点材料。
  6. 前記表層の樹脂とのシェア強度が8.0MPa以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子接点材料。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の電気接点材料を用いたスイッチ。
JP2018030790A 2018-02-23 2018-02-23 電気接点材料およびそれを用いたスイッチ Active JP6967993B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018030790A JP6967993B2 (ja) 2018-02-23 2018-02-23 電気接点材料およびそれを用いたスイッチ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018030790A JP6967993B2 (ja) 2018-02-23 2018-02-23 電気接点材料およびそれを用いたスイッチ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019145458A true JP2019145458A (ja) 2019-08-29
JP6967993B2 JP6967993B2 (ja) 2021-11-17

Family

ID=67771259

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018030790A Active JP6967993B2 (ja) 2018-02-23 2018-02-23 電気接点材料およびそれを用いたスイッチ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6967993B2 (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04329224A (ja) * 1991-05-02 1992-11-18 Furukawa Electric Co Ltd:The 電気接点材料とその製造方法
JPH09330629A (ja) * 1996-06-07 1997-12-22 Furukawa Electric Co Ltd:The 電気接点材料、及びその製造方法、及び前記電気接点材料を用いた操作スイッチ
JP2004192861A (ja) * 2002-12-09 2004-07-08 Furukawa Electric Co Ltd:The 電気接点材料およびそれを用いた操作スイッチ

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04329224A (ja) * 1991-05-02 1992-11-18 Furukawa Electric Co Ltd:The 電気接点材料とその製造方法
JPH09330629A (ja) * 1996-06-07 1997-12-22 Furukawa Electric Co Ltd:The 電気接点材料、及びその製造方法、及び前記電気接点材料を用いた操作スイッチ
JP2004192861A (ja) * 2002-12-09 2004-07-08 Furukawa Electric Co Ltd:The 電気接点材料およびそれを用いた操作スイッチ

Also Published As

Publication number Publication date
JP6967993B2 (ja) 2021-11-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5086485B1 (ja) 電子部品用金属材料及びその製造方法
JP6046406B2 (ja) 高温耐性銀コート基体
JP4940081B2 (ja) リフローSnめっき材及びそれを用いた電子部品
JP2007280945A (ja) 電気接点材料及びその製造方法
JP2013011016A (ja) 電気接点部品
KR102471172B1 (ko) 표면 처리재 및 그 제조 방법 및 표면 처리재를 이용하여 형성한 부품
JP2015067861A (ja) コネクタ用電気接点材料及びその製造方法
TWI699458B (zh) 引線框架材及其製造方法
JP2010037629A (ja) 端子・コネクタ用導電材料及び嵌合型接続端子
JP2017203214A (ja) 錫めっき付銅端子材及び端子並びに電線端末部構造
US20190337268A1 (en) Surface-treated material and component produced by using the same
JP5887305B2 (ja) 電磁波シールド用金属箔、電磁波シールド材、及びシールドケーブル
WO2017179447A1 (ja) リードフレーム材およびその製造方法
JP5676053B1 (ja) 電気接点材料及びその製造方法
US10006138B2 (en) Copper foil and method of manufacturing the same
CN110997984B (zh) 镀锡铜端子材、端子及电线终端部结构
WO2018124115A1 (ja) 表面処理材およびこれを用いて作製した部品
TWI557750B (zh) Electrical contact material and manufacturing method thereof
TWI479052B (zh) Tin plating materials
JP7121232B2 (ja) 銅端子材、銅端子及び銅端子材の製造方法
JP6967993B2 (ja) 電気接点材料およびそれを用いたスイッチ
JP7281971B2 (ja) 電気接点用材料およびその製造方法、コネクタ端子、コネクタならびに電子部品
JP2016130362A (ja) 銀めっき材およびその製造方法
JP2008196010A (ja) コネクタ端子用めっき材料
JP2018104821A (ja) 表面処理材及びこれを用いて作製した部品

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20201119

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210823

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210831

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210916

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20211012

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20211026

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6967993

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151