JP6794863B2 - 銅端子材及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車や民生機器等の電気配線の接続に使用されるコネクタ用端子として有用な銅端子材及びその製造方法に関する。
自動車や民生機器等の電気配線の接続に使用されるコネクタ用端子は、一般に、銅又は銅合金基材の表面に錫、金、銀などのめっきを施した銅端子材が用いられる。このうち、金、銀などの貴金属をめっきした端子材は、耐熱性に優れるため、高温環境下での使用に適している。従来、このような貴金属をめっきした端子材として、以下の特許文献に開示のものがある。
特許文献1には、導電性金属基体と貴金属層との間に、平均結晶粒径が0.3μm以上である、ニッケル、コバルト、亜鉛、銅及びこれらの合金などのうちの1層以上の下地層が形成された電気接点用貴金属被覆材が開示されており、高温環境下での基体成分の拡散を抑制して、長期信頼性が高いと記載されている。この場合、下地層の結晶粒径を制御するために、基体上に下地層のためのめっきをした後、所定の条件で熱処理を行う、あるいは所定の加工率で圧延加工することも記載されている。
特開2015−137421号公報
しかしながら、特許文献1記載の発明では下地層の結晶粒を肥大化することにより拡散防止層として有効に機能させ、貴金属表面を有する接点の信頼性を向上させているが、肥大化した結晶粒に欠陥が生じやすくなるため、基材との密着性が損なわれるおそれがある。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであって、銅または銅合金からなる基材の上に積層した拡散防止層について基材との良好な密着性を維持しつつ基材からの銅の拡散を効果的に抑制でき、その上に貴金属層を設ける場合に信頼性を高く維持することができる銅端子材を提供することを目的とする。
本発明の銅端子材は、銅または銅合金からなる基材上に、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金のいずれかからなる1層以上の金属層によって構成される厚さ0.1μm以上10.0μm以下の拡散防止層が形成されるとともに、該拡散防止層の少なくとも一部の表面から前記厚さの67%以上95%以下の厚さの範囲に、平均結晶粒径が0.3μm以上とされた粒径調整部が形成されており、該粒径調整部以外の部分の平均結晶粒径が0.3μm未満である。
粒径調整部以外の部分、特に拡散防止層と基材との界面付近の平均結晶粒径が0.3μm未満と小さく形成されていることで、緻密で欠陥が少なくなることから、拡散防止層と基材との良好な密着性を維持することができ、粒径調整部においては平均結晶粒径は0.3μm以上と肥大化しているため、基材からの銅の拡散経路を少なくすることができ、その上に貴金属層を形成すれば、貴金属層への銅の拡散を防止して、貴金属層による耐熱性向上効果を有効に発揮することができる。
また、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金のいずれかからなる1層以上の金属層を拡散防止層とすることにより、基材からの銅の拡散を有効に防止することができる。これらの金属層は単層でもよいし、2層以上を積層して下地層としてもよい。
本発明の銅端子材において、前記拡散防止層における前記粒径調整部の上に、金、金合金、銀、銀合金、パラジウム、パラジウム合金、白金、白金合金、ロジウム、ロジウム合金のいずれか1層以上からなる厚さ0.1μm以上5.0μm以下の貴金属層が形成されているものとするとよい。
拡散防止層における粒径調整部の上にこれらの貴金属層を形成することにより、端子材としての耐熱性を有効に発揮することができる。
本発明の銅端子材の製造方法は、前記基材の表面に金属被覆層を形成した後、該金属被覆層の表面の少なくとも一部にレーザ光を照射することにより、前記金属被覆層を、前記レーザ光が照射された部分が前記粒径調整部とされた前記拡散防止層とする。
前述した特許文献においては、下地層の結晶粒の肥大化のために、めっき後に熱処理をしており、そのような方法では、基材の組織も肥大化し所望の材料特性が得られないという問題がある。更に、めっき後に圧延加工をする方法では、基材の組織も変化するため基材の所望の材料特性が得られないという問題がある。
本発明の方法では、レーザ光の照射で金属被覆層を表面側から加熱して結晶粒を肥大化するようにしているので、複雑な工程を必要とすることなく、短時間で、ごく表面の結晶粒を局所的に肥大化することができる。このため、端子として基材からの銅の拡散を抑制したい部分のみ金属被覆層の結晶粒を肥大化することができる。また、レーザ光を照射しない領域では、基材の材料特性を変化させるおそれがなく、銅端子材としての所望の加工性等の材料特性を維持することができる。
本発明の銅端子材の製造方法において、前記レーザ光が、固体レーザ、ファイバーレーザ、半導体レーザもしくはガスレーザより得られる、波長が400nm以上11μm以下の範囲のレーザ光であるとよい。
これらのレーザで上記範囲の波長のレーザ光を照射することにより、金属被覆層を効果的に肥大化することができる。
本発明の銅端子材の製造方法において、前記基材の表面に金属被覆層を形成した後、該金属被覆層の表面の少なくとも一部に前記貴金属層を形成し、該貴金属層の表面にレーザ光を照射することにより、前記金属被覆層を、前記レーザ光が照射された部分が前記粒径調整部とされた前記拡散防止層とする。
この場合も、金属被覆層の表面にレーザ光を照射する方法の場合と同様に、基材からの銅の拡散を抑制したい部分である貴金属層を形成した部分のみ金属被覆層の結晶粒を肥大化することができ、また、レーザ光を照射しない領域では、基材の材料特性を変化させるおそれがなく、銅端子材としての所望の加工性等の材料特性を維持することができる。
本発明の銅端子材の製造方法において、前記レーザ光が、固体レーザ、ファイバーレーザ、半導体レーザもしくはガスレーザより得られる、波長が200nm以上1.1μm以下の範囲のレーザ光であるとよい。
これらのレーザで上記範囲の波長のレーザ光を貴金属層の上から照射することにより、金属被覆層を効果的に肥大化することができる。
本発明によれば、拡散防止層における基材との界面付近は緻密で欠陥が少なくなることから、基材との良好な密着性を維持することができるとともに、端子材として必要な部分の拡散防止層の結晶粒を粒径調整部により肥大化して基材からの銅の拡散を有効に防止することができ、その上に貴金属層を設ける場合に信頼性を高く維持することができる銅端子材を提供することができる。
本発明の実施形態の銅端子材を模式的に示す断面図である。 実施形態の銅端子材の第1の製造方法を示すフローチャートである。 第1の製造方法の製造途中で金属被覆層にレーザ光を照射している状態を模式的に示す断面図である。 実施形態の銅端子材の第2の製造方法を示すフローチャートである。 第2の製造方法の製造途中で金属被覆層に貴金属層を形成した状態を模式的に示す断面図である。 貴金属層を形成した後にレーザ光を照射している状態を模式的に示す断面図である。
本発明の実施形態の銅端子材について説明する。
<銅端子材の構成>
実施形態の銅端子材1は、図1に断面を模式的に示したように、銅または銅合金からなる基材2上に、拡散防止層3を介して、貴金属層4が積層されている。
基材2は、銅または銅合金からなるものであれば、特に、その組成が限定されるものではない。
拡散防止層3は、厚さが0.1μm以上10.0μm以下であり、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金のいずれかからなる1層以上の金属層によって構成されている。1種以上の金属層であるから、ニッケルまたはニッケル合金からなる拡散防止層3、コバルトまたはコバルト合金からなる拡散防止層3、もしくは、ニッケルまたはニッケル合金からなる金属層とコバルトまたはコバルト合金からなる金属層との2層構造の拡散防止層3、あるいはこれらの3種以上を組み合わせて積層した拡散防止層3としてもよい。いずれの場合も、拡散防止層3全体としての厚さが0.1μm以上10.0μm以下である。この拡散防止層3は、基材2からの銅の拡散を防止する機能があり、その厚さが0.1μm未満では、銅の拡散を防止する効果が乏しく、厚さが10.0μmを超えるとプレス加工時に割れが生じ易い。拡散防止層3の厚さは、0.1μm以上3.0μm以下がより好ましい。
また、この拡散防止層3は、貴金属層4が積層されている部分(図1の3aで示す部分)の表面から厚さの67%以上95%以下の厚さの範囲に、平均結晶粒径が0.3μm以上とされた粒径調整部が形成されている。貴金属層4と接する部分の平均結晶粒径が0.3μm以上であることから、基材2から貴金属層4への銅の拡散を有効に防止することができる。この粒径調整部3a以外の部分、つまり、前述した厚さの残りの部分を含み、粒径調整部3aが形成されていない領域における拡散防止層3の平均結晶粒径は0.3μm未満である。したがって、拡散防止層3における基材2との界面付近の平均結晶粒径は0.3μm未満となる。
貴金属層4は、金、金合金、銀、銀合金、パラジウム、パラジウム合金、白金、白金合金、ロジウム、ロジウム合金のいずれか1層以上からなり、その厚さは0.1μm以上5.0μm以下とされる。この貴金属層4は、端子材の耐熱性を向上させ、また接触抵抗を低減させる効果がある。その厚さが0.1μm未満では、耐熱性向上、接触抵抗の低減などの貴金属としての特性を得られない。厚さが5.0μmを超えると、端子10へのプレス加工時に割れが発生するおそれがある。貴金属層4の厚さは、0.1μm以上1.0μm以下がより好ましい。
次に、この銅端子材1の製造方法について説明する。この製造方法としては、図2及び図3に示すように、基材2の上に拡散防止層3を形成してから貴金属層4を形成する第1の製造方法と、図4から図6に示すように、基材2の上に金属被覆層3´を形成した後に貴金属層を形成し、その後に金属被覆層3´を拡散防止層3とする第2の製造方法とがある。
<第1の製造方法>
まず、第1の製造方法を図2のフローチャートにしたがって説明する。
基材2として、銅または銅合金からなる板材を用意し、図2に示す工程順で銅端子材1を製造する。
まず、この板材に脱脂、酸洗等をすることによって表面を清浄にする前処理を行う(前処理工程)。
次に、拡散防止層3のための金属被覆層3´を形成する(金属被覆層形成工程)。金属被覆層3´の形成はめっき処理により行うのが好適である。
金属被覆層3´がニッケルまたはニッケル合金からなる場合、そのめっき浴は、緻密なニッケル主体の膜が得られるものであれば特に限定されず、公知のワット浴やスルファミン酸浴、クエン酸浴などを用いて電気めっきにより形成することができる。ニッケル合金めっきとしてはニッケルタングステン(Ni−W)合金、ニッケルリン(Ni−P)合金、ニッケルコバルト(Ni−Co)合金、ニッケルクロム(Ni−Cr)合金、ニッケル鉄(Ni−Fe)合金、ニッケル亜鉛(Ni−Zn)合金、ニッケルボロン(Ni−B)合金などを利用することができる。
金属被覆層3´がコバルトまたはコバルト合金からなる場合、そのめっき浴は、一般的なコバルトめっき浴を用いればよく、例えば、スルファミン酸浴、硫酸コバルト浴等を用いることができる。
端子へのプレス曲げ性と銅に対するバリア性を勘案すると、スルファミン酸浴から得られる純ニッケルめっき、純コバルトめっきが望ましい。
このようにして基材2の上に金属被覆層3´を形成した後、図3に示すように、その金属被覆層3´の貴金属層4が形成される部分にの表面にレーザ光Lを照射して、金属被覆層3´を局部的に加熱する。尚、貴金属層4が形成される部分のサイズが、レーザ光Lの焦点サイズよりも小さい場合は、レーザ光Lを走査(スキャン)することなく照射する。それに対して、貴金属層4が形成される部分のサイズが、レーザ光Lの焦点サイズよりも大きい場合は、ガルバノミラー等のスキャニングミラーを使用し、貴金属層4が形成される部分全体に、レーザ光Lを走査(スキャン)して照射する(レーザ光照射工程)。
レーザ光としては、固体レーザ、ファイバーレーザ、半導体レーザ(LD)もしくはガスレーザを用いることができる。レーザ光の波長は、400nm以上11μm以下の範囲であり、金属被覆層3´表面における単位面積当たりの照射エネルギーが1.0×10J/cm以上1.0×10J/cm以下となるように照射する。
レーザ光は波長の揃った高エネルギー密度の光を局所的に集光することが可能という特徴を有していることから、レーザ光を使用することにより、複雑な工程を必要とすることなく、短時間に、ごく表面の結晶粒を局所的に肥大化させることができる。このレーザ光の照射により、レーザ光が照射された部分の表面から厚さの67%以上95%以下の厚さの範囲に、平均結晶粒径が0.3μm以上とされた粒径調整部3aが形成される。
このようにして、金属被覆層3´にレーザ光照射工程を施すことにより、レーザ光Lが照射された部分の表面から厚さの67%以上95%以下の厚さの範囲の平均結晶粒径を0.3μm以上とした粒径調整部3aを有する拡散防止層3が形成される。
次に、この拡散防止層3の貴金属層4が形成される部分に、図3に二点鎖線で示すように開口部Maを有するマスクMを積層し、めっき浴に浸漬してマスクMの開口部Maに露出している表面に貴金属層4を形成する(貴金属層形成工程)。
貴金属が金(Au)または金合金からなる場合、そのめっき浴は、シアン化金カリウムを主成分とするシアン浴、クエン酸等を用いたノンシアン浴いずれも用いることができる。金めっき浴の温度は15℃以上50℃以下、電流密度は0.1A/dm以上10A/dm以下とされる。
貴金属が銀(Ag)または銀合金からなる場合、そのめっき浴は、アルカリシアン浴、中性シアン浴、ノンシアン浴のいずれも用いることができる。銀めっき浴の温度は15℃以上50℃以下、電流密度は0.1A/dm以上10A/dm以下とされる。
貴金属がパラジウム(Pd)またはパラジウム合金からなる場合、そのめっき浴は、中性あるいはアルカリ性のアンモニウム水溶液であり、代表的なパラジウム化合物としては、塩化パラジウム、ジニトロジアンミンパラジウムやジジクロロアミノパラジウムなどが用いられ、いずれの浴も用いることができる。パラジウムめっき浴の温度は35℃以上60℃以下、電流密度は0.5A/dm以上5A/dm以下とされる。
貴金属が白金(Pt)または白金合金からなる場合、そのめっき浴は、大きく分けて2価(II価)の白金化合物を使用する浴と4価(IV価)の白金化合物を使用する浴があり、酸性から中性で、2価の白金化合物としてジニトロジアミノ白金、水酸化白金カリウムを使用する浴、あるいは、アルカリ性で、4価の白金化合物としてヘキサクロリド白金酸を使用する浴などがあり、いずれの浴も用いることができる。白金めっき浴の温度は65℃以上90℃以下、電流密度は0.1A/dm以上5.0A/dm以下とされる。
貴金属がロジウム(Rh)またはロジウム合金からなる場合、そのめっき浴は、硫酸浴、リン酸浴、ほうふっ酸浴およびスルファミン酸浴のいずれも用いることができる。ロジウムめっき浴の温度は、35℃以上60℃以下、電流密度は0.3A/dm以上30A/dm以下とされる。
貴金属層4を形成した後、マスクMを外すと銅端子材1が完成する。
このようにして製造された銅端子材1は、基材2の上に拡散防止層3が形成され、その上に部分的に貴金属層4が形成されている。そして、プレス加工等により端子の形状に加工される。
この端子は、貴金属層4が積層されている部分では、拡散防止層3は、その厚さの67%以上95%以下の厚さの範囲の平均結晶粒径が0.3μm以上となった粒径調整部3aが形成されているので、基材2からの銅の貴金属層4への拡散を有効に防止することができ、優れた耐熱性を維持することができる。例えば、200℃の温度に長時間(〜1000時間)晒しても、基材2の銅が拡散防止層3を拡散して、貴金属層4上に析出することを抑制することができる。
この場合、拡散防止層3は、基材2との界面付近では平均結晶粒径が0.3μm未満に形成されているから、緻密で欠陥が少なく、基材2との良好な密着性を維持することができる。
また、レーザ光を金属被覆層3´のうちの必要な部分についてのみ、その表面から照射したので、レーザ光を照射しない領域においてはもちろん、照射した領域でも、銅または銅合金からなる基材2の材料特性を変化させることはなく、端子への加工性等の材料特性を良好に維持することができる。
<第2の製造方法>
次に、第2の製造方法を図4のフローチャートにしたがって説明する。この第2の製造方法においても、基材に対する前処理工程、金属被覆層形成工程は第1の製造方法と同じである。
これらの工程により基材2の上に金属被覆層3´を形成した後、図5に示すように、その金属被覆層3´の上に、貴金属層4が形成される部分に開口部Maを有するマスクMを積層しておき、その開口部Maから露出する表面に貴金属層4をめっきにより形成した後、マスクMを外す(貴金属層形成工程)。貴金属のめっき条件は前述の第1の製造方法と同様である。
次に、図6に示すように、貴金属層4の上からレーザ光を照射し、金属被覆層3´を局部的に加熱する。尚、貴金属層4が形成される部分のサイズが、レーザ光の焦点サイズよりも小さい場合は、レーザ光を走査(スキャン)することなく照射する。それに対して、貴金属層4が形成される部分のサイズが、レーザ光の焦点サイズよりも大きい場合は、ガルバノミラー等のスキャニングミラーを使用し、貴金属層4が形成される部分全体に、レーザ光を走査(スキャン)して照射する(レーザ光照射工程)。
レーザ光としては、固体レーザ、ファイバーレーザ、半導体レーザ(LD)もしくはガスレーザを用いることができる。レーザ光の波長は、200nm以上1.1μm以下の範囲であり、金属被覆層3´表面における単位面積当たりの照射エネルギーが1.0×10J/cm以上1.0×10J/cm以下となるように照射する。
このレーザ光の照射により、貴金属層4を通過したレーザ光によって金属被覆層3´が加熱され、貴金属層4の直下の部分の結晶粒が平均結晶粒径で0.3μm以上に肥大化した粒径調整部3aを有する拡散防止層3が形成される。
この場合、貴金属層4はレーザ光に対する反射率が高く吸収率が低いので、波長が短いものがよく、前述した200nm以上1.1μm以下の波長のレーザ光が好ましく、貴金属層4に吸収されたレーザ光の熱エネルギーによって瞬時に金属被覆層3´が加熱され、結晶粒の肥大化が生じる。
このようにして製造された銅端子材1は、基材2の上に拡散防止層3が形成され、その粒径調整部3a上に貴金属層4が形成されている。そして、第1の製造方法と同様に、プレス加工等により端子の形状に加工される。
この第2の製造方法では、貴金属層4を形成した後にレーザ光を照射しているので、確実に貴金属層4の直下の拡散防止層3の平均結晶粒径を制御することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、実施形態では、金属被覆層3´及び貴金属層4をめっきにより形成したが、スパッタリング等の他の薄膜形成法によってもよい。
基材として、表1に示すCDA(Copper Development Association)合金番号の厚さ0.25mmの材料を使用した。前処理として、電解脱脂(NaOH水溶液60g/リットルを用いて、液温60℃、電流密度2.5ASD(A/dm)、脱脂時間60秒間)及び酸洗(硫酸10%水溶液、液温25℃、浸漬時間30秒間)を行った。
また、金属被覆層はめっき法により形成し、金属被覆層が、ニッケル(Ni)の場合、スルファミン酸ニッケル4水和物の水溶液、500g/リットルと、塩化ニッケルの水溶液、30g/リットルと、ホウ酸の水溶液、30g/リットルとを用いて、液温50℃、電流密度15ASDにて、表1記載の厚さ及び結晶粒径のニッケル(Ni)からなる金属被覆層を得た。また、金属被覆層がコバルト(Co)の場合、スルファミン酸コバルト4水和物の水溶液、500g/リットルと、塩化コバルトの水溶液、30g/リットルと、ホウ酸の水溶液、30g/リットルとを用いて、液温50℃、電流密度6ASDにて、表1記載の厚さ及び結晶粒径のコバルト(Co)からなる金属被覆層を得た。
レーザ光の照射は、貴金属層が形成される箇所の所定のエリアに対して、表1に記載のレーザの種類及び条件にて照射を行った。尚、焦点サイズよりも貴金属層が形成されるエリアが大きい場合は、表1記載の条件のレーザ光を複数回照射することによりエリア全体に照射した。
表1中、照射エネルギーにおいて「.E+」及びこれに続く数字は、指数表記を示しており、例えば「8.0.E+3」であると「8.0×10」を示す。
最表面の貴金属層はめっき法により形成し、貴金属層が金(Au)の場合、シアン化金カリウムの水溶液、14.6g/リットルと、クエン酸の水溶液、150g/リットルと、クエン酸カリウムの水溶液、180g/リットルを用いて、液温40℃、電流密度5ASDにて、表1記載の厚さ及び結晶粒径の金(Au)からなる貴金属層を得た。また、貴金属層がパラジウム(Pd)の場合、ジアンミンジクロロパラジウム(II)の水溶液、45g/リットルと、アンモニウム水溶液、90ミリリットル/リットルと、硫酸アンモニウムの水溶液、50g/リットルとを用いて、液温30℃、電流密度6ASDにて、表1記載の厚さ及び結晶粒径のパラジウム(Pd)からなる貴金属層を得た。更に、貴金属層が白金(Pt)の場合、ジニトロジアンミン白金(II)の水溶液、10g/リットルと、硝酸アンモニウムの水溶液、100g/リットルと、アンモニウム水溶液、50ミリリットル/リットルとを用いて、液温80℃、電流密度3ASDにて表1記載の厚さ及び結晶粒径の白金(Pt)からなる貴金属層を得た。また、貴金属層が銀(Ag)の場合、シアン化銀の水溶液、50g/リットルと、シアン化カリウムの水溶液、100g/リットルと、炭酸カリウムの水溶液、30g/リットルとを用いて、液温30℃、電流密度1ASDにて、表1記載の厚さ及び結晶粒径の銀(Ag)からなる貴金属層を得た。また、貴金属層がロジウム(Rh)の場合、ロジウム、2.0g/リットルと、硫酸、35ミリリットルからなる水溶液を用いて、液温40℃、電流密度1.5ASDにて、表1記載の厚さ及び結晶粒径のロジウム(Rh)からなる貴金属層を得た。
得られた試料について、拡散防止層においてレーザ光が照射された部分(粒径調整部)の平均結晶粒径を測定し、接触抵抗、曲げ加工性を評価した。
(膜厚及び平均結晶粒径の測定方法)
膜厚及び平均結晶粒径の測定は、以下に記載した断面観察により測定した。測定の対象となる金属被覆層、拡散防止層のレーザ光照射部分及び貴金属層に関する、膜厚及び平均結晶粒径については、圧延平行断面をFIBにて切断することで、断面を露出した後、対象となる各々の層について倍率を8000〜15000倍としてその断面をSIM観察する。次いで、得られた画像において、各々の層の厚さを測定する。一方、厚さ方向の中央部から基材平面方向に5μmの長さを線引きし、その線を各々の層について、結晶粒界が何本交差するかを確認し、5μmをその数で割ることにより結晶粒径と定義する。これを1視野当たり任意の箇所を3回測定し、合計で3視野、9箇所について行い、得られた測定値の平均値を各々の層の平均結晶粒径とした。
(接触抵抗測定及び評価方法)
最表面の貴金属層の接触抵抗は、JCBA−T323に準拠し、4端子接触抵抗試験機を用いて、摺動式(1mm)で荷重0.98N時の接触抵抗を測定した。まず、貴金属層形成直後の初期の接触抵抗を測定した後、熱処理として、恒温槽を用いて、大気雰囲気中、200℃、1000時間保持後、再度接触抵抗を測定した。初期の測定から200℃、1000時間保持後の測定値の変化率が、10%未満のものを「◎」とし、10%以上、20%未満のものを「○」とし、20%以上、25%未満のものを「△」とし、25%以上のものを「×」とした。
(曲げ加工性評価方法)
曲げ加工性については、圧延方向に対して曲げの軸が直交方向になるように、幅10mm×長さ30mmの試験片を複数採取し、JCBA(日本伸銅協会技術標準)T307の4試験方法に準拠して、曲げ角度が90°、曲げ半径が0.5mmのW型治具を用い、9800Nの荷重でW曲げ試験を行った。その後、実体顕微鏡にて観察を行った。曲げ加工性の評価は、試験後の曲げ加工部に明確なクラックが認められないレベルを「◎」とし、めっき面に部分的に微細なクラックが発生しているが銅基材の露出は認められないレベルを「○」とし、銅基材の露出はないが「○」と評価したレベルより大きいクラックが発生しているレベルを「△」とし、発生したクラックにより銅基材が露出しているレベルを「×」とした。
これらの結果を表1に示す。
Figure 0006794863
表1の結果からわかるように、基材上に形成される厚さ0.1μm以上10.0μm以下の拡散防止層における粒径調整部が、表面から厚さの67%以上95%以下の厚さの範囲で平均結晶粒径が0.3μm以上とされ、粒径調整部以外の部分の平均結晶粒径が0.3μm未満であることにより、加熱前後の接触抵抗の変化が少なく、かつ曲げ加工性にも優れる銅端子材となっている。
なお、試料番号57の粗大層の厚さ比率については、平均結晶粒径が0.2μmの部分を粗大層として、その厚さ比率を測定した。試料番号58は、レーザ光の照射時間が長すぎたため、基材がレーザからの熱によって、一部溶融したため、特性評価ができず、測定不能となった。
1 銅端子材
2 基材
3 金属層
3´ 金属被覆層
4 貴金属層
M マスク
Ma 開口部

Claims (6)

  1. 銅または銅合金からなる基材上に、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金のいずれかからなる1層以上の金属層によって構成される厚さ0.1μm以上10.0μm以下の拡散防止層が形成されるとともに、該拡散防止層の少なくとも一部の表面から前記厚さの67%以上95%以下の厚さの範囲に、平均結晶粒径が0.3μm以上とされた粒径調整部が形成されており、該粒径調整部以外の部分の平均結晶粒径が0.3μm未満であることを特徴とする銅端子材。
  2. 前記拡散防止層における前記粒径調整部の上に、金、金合金、銀、銀合金、パラジウム、パラジウム合金、白金、白金合金、ロジウム、ロジウム合金のいずれか1層以上からなり、厚さが0.1μm以上5.0μm以下である貴金属層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の銅端子材。
  3. 請求項1又は2に記載の銅端子材を製造する方法であって、前記基材の表面に金属被覆層を形成した後、該金属被覆層の表面の少なくとも一部にレーザ光を照射することにより、前記金属被覆層を、前記レーザ光が照射された部分が前記粒径調整部とされた前記拡散防止層とすることを特徴とする銅端子材の製造方法。
  4. 前記レーザ光が、固体レーザ、ファイバーレーザ、半導体レーザもしくはガスレーザより得られる、波長が400nm以上11μm以下の範囲のレーザ光であることを特徴とする請求項3に記載の銅端子材の製造方法。
  5. 請求項4に記載の銅端子材を製造する方法であって、前記基材の表面に金属被覆層を形成した後、該金属被覆層の表面の少なくとも一部に前記貴金属層を形成し、該貴金属層の表面にレーザ光を照射することにより、前記金属被覆層を、前記レーザ光が照射された部分が前記粒径調整部とされた前記拡散防止層とすることを特徴とする銅端子材の製造方法。
  6. 前記レーザ光が、固体レーザ、ファイバーレーザ、半導体レーザもしくはガスレーザより得られる、波長が200nm以上1.1μm以下の範囲のレーザ光であることを特徴とする請求項5に記載の銅端子材の製造方法。
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