JP2022021834A - コネクタ用端子材 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐摩耗性及び耐熱性を向上できるコネクタ用端子材を提供する。【解決手段】少なくとも表層が銅又は銅合金からなる基材と、前記基材の表面を被覆するニッケル又はニッケル合金からなるニッケルめっき層と、前記ニッケルめっき層の上の少なくとも一部に形成され、膜厚が0.3μm以上11.0μm以下、ニッケル含有量が0.03at%以上1.20at%以下である銀ニッケル合金めっき層と、該銀ニッケル合金めっき層の上に形成され、ガス成分であるC、H、S、O、Nを除く銀の純度が99質量%以上、膜厚0.05μm以上5.0μm以下の銀めっき層と、を備え、銀ニッケル合金めっき層の膜厚に対する銀めっき層の膜厚の比率が6.0以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、高電流、高電圧が印加される自動車や民生機器等の電気配線の接続に使用される有用な皮膜が設けられたコネクタ用端子材に関する。
従来、自動車等の電気配線の接続に用いられる車載用コネクタが知られている。車載用コネクタ(車載用端子)は、メス端子に設けられた接触片とメス端子内に挿入されたオス端子とが所定の接触圧で接触することで、電気的に接続されるように設計された端子対を備える。
このようなコネクタ(端子)として、一般的に銅または銅合金板上に錫めっきを施し、リフロー処理を行った錫めっき付き端子が多く用いられていた。しかし、近年、自動車の高電流・高電圧化に伴い、より電流を多く流すことができる耐熱性及び耐摩耗性に優れた貴金属めっきを施した端子の用途が増加している。
このような耐熱性及び耐摩耗性が求められる車載用端子として、例えば、特許文献1に記載のコネクタ用銀めっき端子が知られている。この特許文献1に記載のコネクタ用銀めっき端子は、銅又は銅合金からなる母材の表面が銀めっき層により被覆されている。
この銀めっき層は、下層側(母材側)に位置する第1の銀めっき層と、第1の銀めっき層の上層側に位置する第2の銀めっき層を有し、第1の銀めっき層の結晶粒径が第2の銀めっき層の結晶粒径よりも大きく形成されている。すなわち、特許文献1の構成では、第1の銀めっき層の結晶粒径を第2の銀めっき層の結晶粒径よりも大きく形成することで、母材からの銅が第2の銀めっき層に拡散するのを抑制している。
特許文献2には、母材としての銅又は銅合金部材の表面の少なくとも一部にアンチモン濃度が0.1質量%以下の銀又は銀合金層が形成され、この銀又は銀合金層の上に最表層としてアンチモン濃度が0.5質量%以上のビッカース硬度HV140以上の銀合金層が形成された銅又は銅合金部材が開示されている。すなわち、特許文献2の構成では、アンチモンを銀又は銀合金層に添加することで硬度を上昇させて、銅又は銅合金部材の耐摩耗性を向上させている。
特開2008-169408号公報 特開2009-79250公報
特許文献1の構成では、母材の表面を被覆する銀めっき層は、経時変化および高温環境下での使用によって銀の結晶粒径が大きくなる(粗大化)に伴い硬度が低下するので、長時間の使用および高温環境下での耐摩耗性が低下する。この耐摩耗性の低下を補うために、銀めっき層の膜厚を厚くすることが考えられるが、コスト面での問題がある。特許文献2の構成では、高温環境下でアンチモンがめっき層最表面に拡散し、濃化後、酸化して接触抵抗が増大する問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、耐摩耗性及び耐熱性を向上できるコネクタ用端子材を提供することを目的とする。
本発明のコネクタ用端子材は、少なくとも表層が銅又は銅合金からなる基材と、前記基材の表面に被覆されたニッケル又はニッケル合金からなるニッケルめっき層と、前記ニッケルめっき層の上の少なくとも一部に形成され、膜厚が0.3μm以上11.0μm以下で、ニッケル含有量が0.03at%以上1.20at%以下である銀ニッケル合金めっき層と、該銀ニッケル合金めっき層の上に形成され、ガス成分であるC、H、S、O、Nを除く銀の純度が99質量%以上、膜厚0.05μm以上5.0μm以下の銀めっき層と、を備え、前記銀ニッケル合金めっき層の膜厚に対する前記銀めっき層の膜厚の比率が6.0以下である。
このコネクタ用端子材は、表面の比較的軟らかい銀めっき層の潤滑効果により摩擦係数を小さく抑制するとともに、この銀めっき層を硬い銀ニッケル合金めっき層により支持しているので、耐摩耗性が向上する。
この場合、銀めっき層は、膜厚が0.05μm未満では薄すぎるため、早期に摩耗して消失し易い。5.0μmを超える厚さでは、軟らかい銀めっき層が厚いため、摩擦係数が増大する傾向にある。この銀めっき層の好ましい膜厚は0.5μm以上2.0μm以下である。なお、この銀めっき層において、「ガス成分であるC、H、S、O、Nを除く」とは、ガス成分の元素を除外する趣旨である。
この銀の純度が99質量%以上としたのは、99質量%未満であると不純物が多く含まれ、接触抵抗が高くなる傾向にあるからである。
また、銀めっき層の下に形成された銀ニッケル合金めっき層がニッケルを含んでいるので、平均結晶粒径が小さく、粒径が小さいとめっき膜の硬度が上昇するので、摩擦係数が低く、耐摩耗性を向上できる。
この場合、ニッケルはアンチモンに比べて融点が高いので、高温環境下でも拡散しがたく、このため、アンチモンと異なり、高温環境下でも最表面に濃化しがたい。これにより、高温環境下での接触抵抗の増大を抑え、結晶粒径を小さいまま保つことができ、摩擦係数を低く維持し、耐摩耗性を保持することができる。
銀とニッケルとの原子半径差は、銀とアンチモンとの原子半径差に比べて大きい。そのため、銀ニッケル合金めっき層内におけるニッケル含有量を0.03at%以上1.20at%以下として、ニッケルを僅かに共析させるだけで結晶粒径を微細にでき、かつ加熱環境下においても粗大化するのを抑制できる。
銀ニッケル合金めっき層のニッケル含有量が0.03at%未満であると、耐熱性及び耐摩耗性が低下し、摩擦係数も増大する。ニッケル含有量が1.20at%を超えると銀ニッケル合金めっき層の導体抵抗が増大し、また、高温環境下での接触抵抗も増大しやすくなる。
銀ニッケル合金めっき層の膜厚が0.3μm未満であると、耐熱性及び耐摩耗性を向上できず、11.0μmを超えると、銀ニッケル合金めっき層が厚すぎてプレス加工等により割れが生じる。この銀ニッケル合金めっき層の好ましい膜厚は0.5μm以上8.0μm以下であり、さらに好ましくは1.0μm以上5.0μm以下である。
ただし、銀ニッケル合金めっき層の膜厚に対する銀めっき層の膜厚の比率が6.0を超えると、銀ニッケル合金めっき層に対して軟らかい銀めっき層が厚すぎることから(銀めっき層主体のような皮膜になるので)、摩擦係数が高くなる。好ましい膜厚比率は4.0以下、さらに好ましくは2.0以下である。
前記膜厚の比率は0.005以上であるとよい。この膜厚の比率が0.005未満であると、銀ニッケル合金めっき層に対して軟らかい銀めっき層が薄すぎるので、潤滑効果が期待できず、摩擦係数が高くなる。好ましい膜厚比率は0.025以上、さらに好ましくは0.1以上である。
コネクタ用端子材のさらに他の一つの態様としては、前記ニッケルめっき層の膜厚は0.2μm以上5.0μm以下であるとよい。
ニッケルめっき層の膜厚が0.2μm未満であると、高温環境下では銅又は銅合金からなる基材から銅が銀ニッケル合金めっき層内に拡散する。銀ニッケル合金めっき層内に拡散した銅が、銀めっき層表面にまで拡散すると、銅が酸化して接触抵抗が大きくなり、耐熱性が低下する可能性がある。一方、ニッケルめっき層の膜厚が5.0μmを超えると、曲げ加工時等に割れが発生する可能性がある。
本発明によれば、コネクタ用端子材の耐摩耗性及び耐熱性を向上できる。
本発明の実施形態に係るコネクタ用端子材を模式的に示す断面図である。 本発明の他の実施形態に係るコネクタ用端子材を模式的に示す断面図である。 試料4における加熱前のコネクタ用端子材の断面のSIM(Scanning Ion Microscope)像である。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
[コネクタ用端子材の構成]
本実施形態のコネクタ用端子材1は、図1に断面を模式的に示したように、少なくとも表層が銅又は銅合金からなる板状の基材2と、基材2の上面に形成されたニッケル又はニッケル合金からなるニッケルめっき層3と、ニッケルめっき層3の上面に形成された銀ニッケル合金めっき層4と、銀ニッケル合金めっき層4の上に形成された銀めっき層5と、を備えている。
基材2の表層は、銅または銅合金からなるものであれば、特に、その組成が限定されるものではない。本実施形態では、図1に示すように、基材2は無酸素銅(C10200)やCu-Mg系銅合金(C18665)等の銅又は銅合金からなる板材により構成されているが、銅または銅合金ではない母材の表面に銅めっき又は銅合金めっきが施されためっき材により構成されてもよい。この場合、母材としては、銅以外の金属板を適用できる。
ニッケルめっき層3は、基材2上にニッケル又はニッケル合金めっき処理を施すことにより形成され、基材2を被覆する。ニッケルめっき層3は、ニッケルめっき層3を被覆する銀ニッケル合金めっき層4への基材2からの銅の拡散を抑制する機能を有する。
ニッケルめっき層3の厚さ(膜厚)は、0.2μm以上5.0μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.3μm以上2.0μm以下であるとよい。ニッケルめっき層3の厚さが0.2μm未満であると、高温環境下では基材2から銅が銀ニッケル合金めっき層4内に拡散して銀ニッケル合金めっき層4の接触抵抗値が大きくなり、耐熱性が低下する可能性がある。一方、ニッケルめっき層3の厚さが5.0μmを超えると、曲げ加工時に割れが発生する可能性がある。なお、ニッケルめっき層3は、ニッケル又はニッケル合金からなるものであれば、特に、その組成が限定されるものではない。
銀ニッケル合金めっき層4は、後述するようにニッケルめっき層3の上に銀ストライクめっき処理を施した後に銀ニッケル合金めっき処理を施すことにより形成される。銀ニッケル合金めっき層4は、コネクタ用端子材1の表面に、銀とニッケルとの合金により形成される。銀とニッケルとの間には金属間化合物が生成されないので、コネクタ用端子材1の表面の硬度が高くなりすぎることを抑制している。
銀ニッケル合金めっき層4のニッケル含有量は、0.03at%以上1.20at%以下とされ、より好ましくは0.03at%以上1.00at%以下であるとよい。銀ニッケル合金めっき層4のニッケル含有量が0.03at%未満であると、耐熱性が低下するとともに、銀ニッケル合金めっき層4の硬さが低下するため、摩擦係数が増大及び耐摩耗性が低下する。銀ニッケル合金めっき層4のニッケル含有量が1.20at%を超えると銀ニッケル合金めっき層4が硬くなりすぎて、プレス加工等により割れが生じ易く、銀ニッケル合金めっき層4の導体抵抗が増大し、高温環境下での接触抵抗も増大しやすくなる。
ニッケルは銀よりも電気伝導率が低いので、ニッケル含有量が1.20at%を超えると銀ニッケル合金めっき層4の接触抵抗が高くなる。銀ニッケル合金めっき層4は、上述したように0.03at%以上1.20at%以下のニッケルを含んでいるため、表面の硬度が高められ、耐摩耗性が向上し、さらに、硬質の銀アンチモンめっき層に比べて接触抵抗の上昇を抑制することができる。具体的には、銀ニッケル合金めっき層4のビッカース硬さは、130HV~250HVの範囲内となる。
ニッケルはアンチモンに比べて融点が高いので、高温環境下でも拡散しがたいため、アンチモンと異なり、高温環境下でも最表面に濃化しがたい。このため、高温環境下での接触抵抗の増大を抑え、結晶粒径を小さいまま保つことができ、摩擦係数を低く維持し、耐摩耗性を保持できる。
銀とニッケルとの原子半径差は、銀とアンチモンとの原子半径差に比べて大きいため、銀ニッケル合金めっき層4内におけるニッケルを0.03at%以上1.20at%以下と、僅かに共析させるだけで、結晶粒径を微細にすることができる。
銀ニッケル合金めっき層4の平均結晶粒径は限定されるものではないが、10nm以上150nm以下が好ましい。この場合、ニッケルを含有しているため高温環境下にさらされても結晶粒の粗大化が抑制され、高温環境下での耐摩耗性の低下も少ない。銀ニッケル合金めっき層4を形成する際に、ニッケルが共析されない、あるいは0.03at%よりも共析量が少ない場合、銀ニッケル合金めっき層の平均結晶粒径が150nmを超えることがある。この場合、ニッケルの共析量が少なく、純銀の特性に近いめっき層となるため、高温環境下で結晶粒が粗大化して、耐摩耗性が低下するおそれがある。平均結晶粒径は小さい方が好ましいが、10nm未満の結晶粒径を測定する場合、測定結果の信頼性が低く現実的ではない。
銀ニッケル合金めっき層4の膜厚は、0.3μm以上11.0μm以下に設定される。より好ましくは0.5μm以上8.0μm以下であり、さらに好ましくは1.0μm以上5.0μm以下である。銀ニッケル合金めっき層4の膜厚が0.3μm未満であると、耐熱性及び耐摩耗性を向上できず、11.0μmを超えると、銀ニッケル合金めっき層4が厚すぎて、プレス加工等により割れが生じる。
銀めっき層5は、高温環境下においても表面が酸化しにくく、接触抵抗の増大を抑制できる。銀めっき層5は、C、H、S、O、Nなどのガス成分を除く純度が99質量%以上、好ましくは99.9質量%以上の純銀からなる。「C、H、S、O、Nなどのガス成分を除く」とは、ガス成分の元素を除外する趣旨である。
純度が99質量%以上としたのは、銀めっき層5の銀の純度が99質量%未満であると不純物が多く含まれ、接触抵抗が高くなる傾向にあるからである。
銀めっき層5は、比較的軟質であるが、その下の硬い銀ニッケル合金めっき層4により支持されるので、潤滑効果に優れ、耐摩耗性が向上する。銀めっき層5の膜厚は0.05μm以上5.0μm以下が好ましい。銀めっき層5の膜厚が0.05μm未満では薄すぎるため、早期に摩耗して消失し易い。5.0μmを超える膜厚では、軟らかい銀めっき層5が厚くなるため、摩擦係数が増大するおそれがある。銀めっき層5の好ましい膜厚は、0.5μm以上2.0μm以下である。
また、銀ニッケル合金めっき層4の膜厚をt1、銀めっき層5の膜厚をt2とすると、銀ニッケル合金めっき層4に対する銀めっき層5の膜厚の比率(t2/t1)が6.0以下である。その膜厚の比率(以下、実施形態の説明においては膜厚比率とする)が6.0を超えると、銀ニッケル合金めっき層4に対して軟らかい銀めっき層5が厚すぎて、硬い銀ニッケル合金めっき層4が銀めっき層5を支持することにより得られる潤滑効果が得られず、摩擦係数が高くなる。膜厚比率の下限は特に限定されないが、0.005未満であると、銀ニッケル合金めっき層4に対して軟らかい銀めっき層5が薄いので、潤滑効果があまり発揮できずに摩擦係数が高くなるおそれがある。したがって、膜厚比率の下限は、0.005が好適である。好ましい膜厚比率は0.025以上4.0以下、さらに好ましくは0.1以上2.0以下である。
次に、このコネクタ用端子材1の製造方法について説明する。コネクタ用端子材1の製造方法は、基材2となる少なくとも表層が銅又は銅合金からなる板材を洗浄する前処理工程と、ニッケルめっき層3を基材2に形成するニッケルめっき層形成工程と、ニッケルめっき層3上に銀ストライクめっき処理を施す銀ストライクめっき工程と、銀ストライクめっき処理の後に銀ニッケル合金めっき処理を施して銀ニッケル合金めっき層4を形成する銀ニッケル合金めっき層形成工程と、銀ニッケル合金めっき層4の上に銀めっき層5を形成する銀めっき層形成工程と、を備える。
[前処理工程]
まず、基材2として、少なくとも表層が銅又は銅合金からなる板材を用意し、この板材を脱脂、酸洗等をすることによって表面を清浄する前処理を行う。
[ニッケルめっき層形成工程]
前処理を施した基材2の表面の少なくとも一部に対して、ニッケル又はニッケル合金からなるめっき皮膜を形成するめっき処理を施して、ニッケルめっき層3を基材2に形成する。具体的には例えば、スルファミン酸ニッケル:350g/L、塩化ニッケル・六水和物:10g/L、ホウ酸:30g/Lを含むニッケルめっき浴を用いて、浴温45℃、電流密度5A/dmの条件下でニッケルめっき処理を施す。なお、ニッケルめっき層3を形成するニッケルめっき処理は、緻密なニッケル主体の膜が得られるものであれば特に限定されず、公知のワット浴を用いる電気めっき処理であってもよい。
[銀ストライクめっき工程]
ニッケルめっき層3に対して5~10質量%のシアン化カリウム水溶液を用いて活性化処理を行った後、ニッケルめっき層3上に銀ストライクめっき処理を短時間施して薄い銀めっき層を形成する。
この銀ストライクめっき処理を施すための銀めっき浴の組成は、特に限定されないが、例えば、シアン化銀(AgCN):1g/L~5g/L、シアン化カリウム(KCN):80g/L~120g/Lからなる。この銀めっき浴に対してアノードとしてステンレス鋼(SUS316)を用いて、浴温25℃、電流密度1.5A/dmの条件下で銀ストライクめっき処理を30秒程度施すことにより、銀ストライクめっき層が形成される。この銀ストライクめっき層は、その後に銀ニッケル合金めっき層4が形成されることにより、層としての識別は困難になる。
[銀ニッケル合金めっき層形成工程]
銀ストライクめっき処理後に銀ニッケル合金めっき処理を施して、銀ニッケル合金めっき層4を形成する。銀ニッケル合金めっき層4を形成するためのめっき浴は、例えば、シアン化銀(AgCN):30g/L~50g/L、シアン化カリウム(KCN):120g/L~200g/L、炭酸カリウム(KCO):15g/L~30g/L、テトラシアノニッケル(II)酸カリウム・一水和物(K[Ni(CN)]・HO):120g/L~200g/L、および銀ニッケル合金めっき層4を平滑に析出させるための添加剤からなる組成のシアン浴を利用できる。
この添加剤は、アンチモンを含まないものであれば、一般的な添加剤で構わない。
このめっき浴に対してアノードとして純銀板を用いて、浴温25℃、電流密度4A/dm~12A/dmの条件下で銀ニッケル合金めっきを施すことにより膜厚0.3μm以上11.0μm以下の銀ニッケル合金めっき層4が形成される。
銀ニッケル合金めっき処理の電流密度が4A/dm未満であると、銀ニッケル合金めっき処理中のニッケルの共析が妨げられ、電流密度が12A/dmを超えると、銀ニッケル合金めっき層4の外観が損なわれる。銀ニッケル合金めっき層4を形成するためのめっき浴は、上記組成に限定されず、シアン浴であり、かつめっき浴にアンチモンが含まれていなければ、その組成は特に限定されない。
[銀めっき層形成工程]
銀めっき層5を形成するための銀めっき浴の組成は、特に限定されないが、例えば、シアン化銀(AgCN):40g/L~50g/L、シアン化カリウム(KCN):110g/L~130g/L、炭酸カリウム(KCO):10g/L~20g/L、アンチモンを含まない一般的な添加剤からなる。この銀めっき浴に対してアノードとして純銀板を用いて、浴温が常温(25℃~30℃)で、電流密度3A/dm~5A/dmの条件下でめっき処理を施すことにより、銀めっき層5が形成される。
このようにして基材2の表面にニッケルめっき層3、銀ニッケル合金めっき層4及び銀めっき層5がこの順に形成されたコネクタ用端子材1が形成される。そして、コネクタ用端子材1に対してプレス加工等を施すことにより、表面に銀めっき層5を備えるコネクタ用端子が形成される。
本実施形態のコネクタ用端子材1は、基材2の最表面に形成された銀めっき層5が比較的軟らかいために潤滑効果に優れ、摩擦係数が低く、かつ、その下の銀ニッケル合金めっき層4がニッケルを含んでいて、硬度が高いので、耐摩耗性を向上できる。
ニッケルはアンチモンに比べて融点が高いので、耐熱性を向上でき、硬度が低下することを抑制できる。銀とニッケルとの原子半径差が銀とアンチモンとの原子半径差に比べて大きいため、銀ニッケル合金めっき層4内においてニッケルを0.03at%以上1.20at%以下と僅かに共析させるだけで、硬度を確実に上昇させることができる。
その他、細部構成は実施形態の構成のものに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態では、基材2の上面全域にニッケルめっき層3、銀ニッケル合金めっき層4及び銀めっき層5が形成されているが、これに限らず、図2に示す端子材11のように、基材2の全面にニッケルめっき層3及び銀ニッケル合金めっき層4が順に形成され、その銀ニッケル合金めっき層4の一部に銀めっき層5が形成されていてもよい。
また、基材2の上面の一部にニッケルめっき層3が形成され、そのニッケルめっき層3の上に銀ニッケル合金めっき層4及び銀めっき層5が順に形成されていてもよいし、基材2の上面の全域に形成したニッケルめっき層3の上面の一部に、銀ニッケル合金めっき層4及び銀めっき層5が形成されていてもよい。端子に形成された際に少なくとも接点となる部分の表面が銀めっき層5で、その下に銀ニッケル合金めっき層4が形成されていればよい。
銅合金板からなる厚さ0.25mmの基材を用意し、この基材に脱脂、酸洗等をすることによって表面を清浄する前処理を行った(前処理工程)後、基材の表面にニッケルめっき処理を施してニッケルめっき層を形成した(ニッケルめっき層形成工程)。
そして、10質量%のシアン化カリウム水溶液を用いてニッケルめっき表面に活性化処理を行った後に、ニッケルめっき層が被覆された基材に対して、銀ストライクめっき処理を施した(銀ストライクめっき工程)。
その上に銀ニッケル合金めっき処理を施し(銀ニッケル合金めっき層形成工程)、その上に銀めっき処理を施し(銀めっき層形成工程)、表1、表2に示す試料を作製した。なお、表1、表2では、銀ニッケル合金めっき層をAg-Ni層、銀めっき層をAg層と記載した。銀ニッケル合金めっき層におけるニッケル含有量は、テトラシアノニッケル(II)酸カリウム・一水和物の量(表1中には「Ni-CN」と記載)とめっき処理時の電流密度とによって調整した。
各めっきの条件は以下のとおりとした。
<ニッケルめっき条件>
・めっき浴組成
スルファミン酸ニッケル:350g/L
塩化ニッケル・六水和物:10g/L
ホウ酸:30g/L
・浴温:45℃
・電流密度:5A/dm
・pH:4
<銀ストライクめっき条件>
・めっき浴組成
シアン化銀:2g/L
シアン化カリウム:100g/L
・アノード:SUS316
・浴温:25℃
・電流密度:1.5A/dm
<銀ニッケル合金めっき条件>
・めっき浴組成
シアン化銀:45g/L
シアン化カリウム:180g/L
炭酸カリウム:20g/L
テトラシアノニッケル(II)酸カリウム・一水和物:120g/L~200g/L
添加剤:5ml/L
・アノード:純銀板
・浴温:25℃
・電流密度:4A/dm~14A/dm
<銀めっき条件>
・めっき浴組成
シアン化銀:45g/L
シアン化カリウム:115g/L
炭酸カリウム:15g/L
光沢剤:
(DDPスペシャルティ・プロダクツ・ジャパン株式会社製)SILVER GLO 3K:15ml/L
(同)SILVER GLO TY:5ml/L
・浴温:25℃
・電流密度:4A/dm
・アノード:純銀板
各試料について、銀ニッケル合金めっき層の膜厚(t1)、銀ニッケル合金めっき層中のニッケル含有量、銀めっき処理により形成された銀めっき層の膜厚(t2)を測定し、銀ニッケル合金めっき層に対する銀めっき層の膜厚比率(t2/t1)を算出した。
[各めっき層の膜厚の測定]
ニッケルめっき層、銀ニッケル合金めっき層及び銀めっき層の各膜厚は、以下のように測定した。セイコーインスツル株式会社製の集束イオンビーム装置:FIB(型番:SMI3050TB)を用いて各試料に断面形成加工を行い、形成した断面を走査イオン顕微鏡(SIM:Scanning Ion Microscop)で観察し、傾斜角60°の断面SIM像における任意の3箇所の膜厚を測長し、その平均を求めた後、実際の長さに変換した。
[ニッケル含有量(Ni含有量)の測定]
各試料に対して、高周波電源を適用したグロー放電発光分光装置(株式会社堀場製作所製rf-GD-OES(Glow Discharge Optical Emission Spectroscopy))を用いて、以下の条件で銀ニッケル合金めっき層の表面から深さ方向に元素分析を行い、得られた値に対して半定量キットを用いることで定量値(at%)換算を行った。
測定エリア:直径4mmの円形
使用ガス:超高純度Arガス
ガス圧力:600Pa
高周波出力:35W
パルス周波数:1000Hz
デューティ比(又はDuty cycle):0.25(25%放電)
取り込み間隔:0.01秒
この方法では、銀ニッケル合金めっき層上の銀めっき層を除去しなくても組成を測定することができる。
これらの測定結果を表1に示す。
Figure 2022021834000002
得られた試料について、接触抵抗及び摩擦係数を測定し、摩擦係数測定の際に下地のニッケルめっき層が露出したか否かについて調べた。
[接触抵抗]
各試料のそれぞれを60mm×10mmと、60mm×30mmの2種類の試験片に切り出し、前者の試験片の中央部に曲率半径5mmのエンボス加工を行ったサンプルをメス端子の代用(メス端子試験片)とし、後者の平板状のままの試験片サンプルをオス端子の代用(オス端子試験片)とした。これらの試験片について、加熱処理を行わない場合の接触抵抗(mΩ)と、180℃で500時間の加熱処理を行った場合の接触抵抗(mΩ)を、それぞれ測定した。測定に際しては、ブルカー・エイエックスエス株式会社の摩擦摩耗試験機(UMT-Tribolab)を用い、水平に設置したオス端子試験片にメス端子試験片の凸面を接触させ、オス端子試験片に10Nの荷重をかけた時の接触抵抗値を4端子法により測定した。
[摩擦係数測定及びニッケルめっき層露出有無の観察]
各試料のそれぞれを60mm×10mmと、60mm×30mmの2種類の試験片に切り出し、前者の試験片の中央部に曲率半径5mmのエンボス加工を行ったサンプルをメス端子の代用(メス端子試験片)とし、後者の平板状のままの試験片サンプルをオス端子の代用(オス端子試験片)とし摩擦係数を測定した。測定に際しては、ブルカー・エイエックスエス株式会社の摩擦摩耗試験機(UMT-Tribolab)を用い、水平に設置したオス端子試験片にメス端子試験片の凸面を接触させ、オス端子試験片に5Nの荷重をかけながら、摺動速度1.33mm/secの条件で、20mmの距離を移動させ、摩擦係数の変化を測定した。移動距離5mmから10mmの間で得られた摩擦係数の平均値を摩擦係数とした。
摩擦係数測定後のエンボス加工側(メス端子試験片)について、ニッケルめっき層が露出したか否かをSEM-EDS(走査型電子顕微鏡)を用いて観察した。摺動部にニッケルめっき層の露出が見られないものを「A」、摺動部にニッケルめっき層の露出が僅かに見られるもの、から摺動部の半分未満の範囲で露出していたものを「B」、摺動部にニッケルめっき層が全面的に露出していたものを[C]とした。
これらの結果を表2に示す。
Figure 2022021834000003

試料1~7は、いずれも摩擦係数が低く、その際のニッケルめっき層の露出も全く認められないか、わずかであった。また、接触抵抗も低く、加熱による増大も少なかった。
図3は試料4の断面SIM像である。この試料4は摩擦係数も低いとともに、加熱前後の接触抵抗がいずれも低かった。
これに対して、試料8は銀ニッケル合金めっき層に対する銀めっき層の膜厚比率が7.6であり、銀ニッケル合金めっき層に対して軟らかい銀めっき層が厚すぎるため、皮膜が軟らかく、摩擦係数が高くなった。試料9は、銀ニッケル合金めっき層のニッケル含有量が少ないため純銀めっき層に近く、皮膜が軟らかいため摩擦係数が高くなった。試料10は、銀ニッケル合金めっき層のニッケル含有量が多いために析出が荒くなり、摩擦係数が高かった。そのため、摩擦係数測定時に表面が削れてニッケルめっき層が露出した。また、加熱後に接触抵抗が増加した。
本発明によれば、コネクタ用端子材の耐摩耗性及び耐熱性を向上できる。
1,11 コネクタ用端子材
2 基材
3 ニッケルめっき層
4 銀ニッケル合金めっき層
5 銀めっき層

Claims (3)

  1. 少なくとも表層が銅又は銅合金からなる基材と、
    前記基材の表面を被覆するニッケル又はニッケル合金からなるニッケルめっき層と、
    前記ニッケルめっき層の上の少なくとも一部に形成され、膜厚が0.3μm以上11.0μm以下、ニッケル含有量が0.03at%以上1.20at%以下である銀ニッケル合金めっき層と、
    該銀ニッケル合金めっき層の上に形成され、ガス成分であるC、H、S、O、Nを除く銀の純度が99質量%以上、膜厚0.05μm以上5.0μm以下の銀めっき層と、
    を備え、
    前記銀ニッケル合金めっき層の膜厚に対する前記銀めっき層の膜厚の比率が6.0以下であることを特徴とするコネクタ用端子材。
  2. 前記膜厚の比率は0.005以上であることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ用端子材。
  3. 前記ニッケルめっき層の膜厚が0.2μm以上5.0μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のコネクタ用端子材。
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