JP6824513B2 - トナー用エステルワックス、並びにそれを用いたトナー、現像剤、トナー収容ユニット及び画像形成装置 - Google Patents

トナー用エステルワックス、並びにそれを用いたトナー、現像剤、トナー収容ユニット及び画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、トナー用エステルワックス、トナー、現像剤、トナー収容ユニット、及び画像形成装置に関する。
電子写真システムを用いた画像形成装置では、紙等の媒体に転写したトナー像を定着装置で熱により定着し、画像形成が行われる。
近年、シリコーンオイルを定着装置に塗布して定着を行い、定着装置にトナーが固着することを防止するオイル定着の代わりに、トナー中にワックスを含有させた、所謂、オイルレス定着用トナーが用いられることが多くなった。これは、トナー中のワックスが定着時に溶けて定着装置表面にワックスが固着することを防ぐものである。これにより画像形成装置が簡略化されるとともに、シリコーンオイルによる汚染を防止することができる。
オイルレス定着用トナーに用いるワックスとしては、ポリエチレン、パラフィン等の炭化水素系ワックス、脂肪族アルコール、合成ポリエステル系ワックス、カルナバワックス等のエステルワックスを主成分とした天然ワックス等が、単独、あるいは混合して用いられている。
海外、特に欧州において、環境への関心が非常に高く、電子写真プロセスを用いた複写機、複合機、プリンター等の画像形成装置においても、画像形成時に発生する揮発性有機化合物(VOC)、オゾン、ダスト、微粒子および超微粒子等に対する様々な認定基準が存在し、特にドイツ政府の研究機関においては、「ブルーエンジェルマーク」と言うエコラベル制度があり、認証を受けた製品及びサービスにのみラベルの使用が認められる。
「ブルーエンジェルマーク」の認証を受けていない製品であっても、販売ができなくなるわけではないが、認証を受けていない製品は、環境に配慮していない製品と受け取られることが多く、特に官公庁においてその傾向が強い。そのため、「ブルーエンジェルマーク」の認証がないと製品の販売に大きな影響を与えてしまう。
「ブルーエンジェルマーク」の認証試験に、粉じん基準がある。この粉じんの基準は、密閉チャンバーに入れた画像形成装置を稼働させ、チャンバー内の大気を石英フィルターを介して吸引し、石英フィルターの質量増加分を粉じん量とし、4mg/hが基準となっている。画像形成装置の粉じんは、トナーに含まれるワックスであることが多く、特にワックスとしてパラフィンワックスを用いた場合、パラフィンワックスは沸点より低い温度でも飽和蒸気圧が比較的高いため、定着時にパラフィンワックスが揮発して石英フィルターに付着し、粉じん量が多くなってしまうことがあった。
これに対して、エステルワックスは定着の温度での蒸気圧は極めて低いため、粉じんをほとんど発生させることがなく、好ましい。エステルワックスのみ、あるいはエステルワックスとパラフィンワックスとを混合して用いたトナーが多数提案されている。(特許文献1、2参照)
「ブルーエンジェルマーク」の認定基準に微粒子および超微粒子基準が追加された。
「ブルーエンジェルマーク(2013年1月改定 RAL−UZ 171 )」で規定されている微粒子および超微粒子は、粒径7〜300nmの粒子が測定される測定器で測定される粒子のことである。
「ブルーエンジェルマーク」の認定基準は、画像形成装置を10分間稼働させた際に発生する微粒子および超微粒子の数を3.5×1011個/10分より少ないことが求められている。「ブルーエンジェルマーク」が規定する微粒子および超微粒子は、物質の種類は全く関係なく、微粒子および超微粒子全体の質量も関係ない。あくまでも測定器が計測する微粒子および超微粒子の数のみが関係する。また、微粒子および超微粒子の発生速度は、画像形成装置の画像形成の速度には関係なく、10分間画像形成をし続けた際に発生した微粒子および超微粒子が「ブルーエンジェルマーク」では、微粒子および超微粒子の発生速度と定義している。
一般的に使用されている粒子計測器FMPS(Fast Mobility Particle Sizer)では、粒径5.6nm〜560nmの粒子が測定され、FMPSで測定された粒子も、ブルーエンジェルマークで規定された微粒子及び超微粒子となる。本発明においては、上記画像形成装置を10分間稼働させた際に発生する微粒子および超微粒子の数をFMPSで測定し、FMPSで測定される粒径5.6nm〜560nmの粒子のことをUFPと称する。
画像形成装置から発生するUFPは、様々な部材から発生するのであるが、定着装置のみを起動させることで、UFPの濃度が大幅に上昇することから、定着装置がUFPの発生原因であることが分かっており、定着に対する対策が行われてきた。例えば、特許文献3には、UFPが定着部材(ローラやベルト)に含まれたゴム層から発生しており、UFPはシロキサンであることが開示されている。
定着部材からのUFPの発生以外にも、トナー中の物質がUFPとなることが分かってきた。実際、UFPを測定する際に画像形成を行う画像として、画像面積の異なる画像を行うと、白紙の画像形成を行う場合に対して、「ブルーエンジェルマーク」の認証試験で用いる画像で画像形成を行うと超微粒子の発生量が、1.5〜5倍近くに達する場合があることが分かってきた。これは、画像形成の際に、トナーから発生する超微粒子が存在することを意味しており、画像形装置から発生する超微粒子を抑制するには、トナーからの超微粒子を抑制する必要があることが分かった。
特許文献4には、UFPがトナーのワックスのパラフィンであることが開示されている。
本発明は、UFPの発生の少ないトナーを作製することが可能なトナー用エステルワックスを提供することを目的とする。
本発明は、一般式 R−COO−R’
(R:炭素数13〜23のアルキル基、R’:炭素数18〜22のアルキル基)
で表される長鎖脂肪族エステルを含むトナー用エステルワックスであって、炭素数18〜22の脂肪族アルコールの含有量が、3質量%未満であるトナー用エステルワックス、である。
本発明によれば、画像形成装置におけるUFPの発生の少ないトナーを作製可能なトナー用エステルワックスを提供することができる。
図1は、本発明の画像形成装置の実施形態の一例を示す概略構成図である。 図2は、本発明の画像形成装置の実施形態の一例を示す概略構成図である。 図3は、本発明の画像形成装置の実施形態の一例を示す概略構成図である。 図4は、本発明の画像形成装置の実施形態の一例を示す概略構成図である。 図5は、本発明の画像形成装置の実施形態の一例を示す概略構成図である。
まず、本発明を開発するに至った経緯について述べる。
前述のようにパラフィンは加熱した際の揮発量が多いため、パラフィンを含有するトナーを用いた場合、パラフィンがUFPとなっても、不思議ではない。しかし、パラフィンではなく、粉じんをほとんど発生させないエステルワックスを用いているにもかかわらず、画像形成を行った際のUFPの増加は起きてしまう場合があり、特に定着時の温度が高い場合にUFPが多くなることが分かってきた。
本発明者らは、エステルワックスを用いたトナーを用いる画像形成装置から発生するUFPが何であるかを調べるために、総揮発性有機化合物(TVOC)の分析を行ってみたが、様々な材料が検出され、何がUFPであるか、全くわからなかった。これは、UFPの発生量自体は数μg程度しかないのに対して、TVOCの質量はUFPの全発生量の数百倍〜数十万倍であり、UFPがTVOCに対してあまりに微量であるため、UFPを特定できなかったためである。
TVOCのガス成分とUFPとを分離する手段として、ディフュージョンチューブを用いたUFPの採取が提案されている(住宅総合研究財団研究論文集No.37, 2010 年版, pp.215−224)。
本発明者らは、ディフュージョンチューブを用いて画像形成装置から発生するUFPを採取、分析したところ、従来からUFPと言われていたシロキサンの他に、脂肪族アルコールが検出されることが分かった。また、画像形成を行う画像の画像面積を変化させて、UFPを測定したところ、UFPとしてのシロキサンはそれほど変化がないものの、脂肪族アルコールは、画像面積の大きい画像形成を行うと多くなることが分かり、UFPである脂肪族アルコールは、トナーに含まれている物質であることが分かった。
実際、本発明者らがトナーのみを加熱し、UFPを採取、分析したところ、やはり脂肪族アルコールが検出された。次に、トナーの構成成分それぞれを加熱し、UFPを採取、分析したところ、エステルワックスから脂肪族アルコールが検出されることが分かった。
前述のように、エステルワックスを加熱しても、エステルワックス自体はほとんど揮発しない。トナーが定着される温度である160℃程度では、UFPもほとんど発生しない。しかし、エステルワックスを190〜200℃に加熱すると、エステルワックスからUFPが発生し、そのUFPはエステルワックスではなく、脂肪族アルコーであることを突き止めた。190〜200℃の温度は、脂肪族アルコールの沸点よりもかなり低い温度である。しかし、脂肪族アルコールは極僅かな蒸気圧で気化した後、直ぐに凝結し、UFPとなることが分かった。
脂肪族アルコールは、何故にエステルワックス中に含まれるか調べたところ、エステルワックスは脂肪酸と脂肪族アルコールを反応させて製造されるが、未反応の脂肪族アルコールが不純物として残ってしまうことが分かった。これは、脂肪酸に比べて、脂肪族アルコールは活性が低く、脂肪族アルコール自体、トナーのワックスとして機能する。そのため、脂肪族アルコールを含有させていても、エステルワックスとしてのさまざまな性能には全く影響がなく、製造コストも低くなるため、脂肪族アルコールを特別除去していないことが分かった。
エステルワックス中の脂肪族アルコールがUFPとして爆発的に発生し始める温度は、トナーを定着させる定着の設定温度よりも高い。定着装置のローラ及びベルトは、トナーを定着させる紙よりも必ず大きい。紙が接する部分のローラ及びベルトの表面は、正確に温度管理がされているが、トナーが接していないローラ及びベルトの端部は、紙が接する部分よりもどうしても高くなってしまう。脂肪族アルコールは高温では流動性が高く、ローラ及びベルトの端部に移動し、UFPとして発生することが分かった。また、定着の立ち上げ時には、定着ニップ部の温度を早期に上げるため、定着ニップ以外の箇所の定着ローラあるいは定着ベルトがUFPの発生する温度にまで加熱されることが分かった。さらに、画像形成が適切になされているかどうかを画像形成装置が判断するため、所謂プロセスコントロールが画像形成の合間に行われることがある。プロセスコントロールが行われている間は、紙は定着部を通らないため、定着ローラあるいは定着ベルトが高温になり、UFPが発生することが分かった。
本発明者らは、「ブルーエンジェルマーク」の超微粒子の基準をクリアーするためには、脂肪族アルコールの濃度を一定以下にしなければならないことを見出し、本発明に至った。
本発明のトナーに用いるワックスは、一般式 R−COO−R’(R:炭素数13〜23のアルキル基、R’:炭素数18〜22のアルキル基)で表される長鎖脂肪族エステルを含むトナー用エステルワックスであり、天然、合成どちらでも用いることができるが、天然のエステルワックスには、不純物が多量に含まれており、その不純物の多くがUFPとなる。除去する不純物の量が多くなるため、精製にかなりのコストがかかり、あまり好ましくない。
合成エステルワックスとしては、DSCによる吸熱ピーク65〜75℃が好ましく、70〜75℃であればより好ましい。DSCによる吸熱ピークが65℃以上であるとトナーを保存する際にブロッキングを起こしにくくなり、耐熱保存性が低下することがない。また、DSCによる吸熱ピークが65℃以上であるとワックスの揮発量が増加することがなく、機内汚染性が悪化することがない。DSCによる吸熱ピークが75℃以下であると、低温定着性が悪化することがない。
トナー中のエステルワックスのDSCによる吸熱ピークは示差走査型熱量計(DSC)で確認できる。本発明におけるDSC測定(吸熱ピークやガラス転移点Tg)は、示差走査熱量計(「DSC−60」;島津製作所製)を用い、10℃/分で20〜150℃まで昇温して測定する。
前記合成エステルワックスは、直鎖脂肪酸と、脂肪族アルコールをエステル化することにより製造できる。エステル化の方法は特に限定されず、一般に用いられる方法、すなわち、原料の脂肪酸とアルコールを無溶媒で150〜260℃で反応させる方法、触媒と溶媒を用いて50〜180℃で反応させる方法などにより製造できる。触媒を使用する場合は、パラトルエンスルホン酸、硫酸、塩酸、メタンスルホン酸、三フッ化硼素ジエチルエーテル錯体、チタンアルコラート、固体酸触媒等の一般的な酸触媒を用いることができる。溶媒を用いる場合には、トルエン、ヘプタン等の一般的に使用される溶剤を使用することができる。エステル化反応終了後、脱色、脱酸、減圧蒸留、水洗、水蒸気蒸留脱臭、活性炭処理等の通常の精製方法で精製してもよい。
前記合成エステルワックスを合成する際の直鎖脂肪酸としては、炭素数14〜24の脂肪酸、例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸等が挙げられる。
前記合成エステルワックスを合成する際の脂肪族アルコールとしては、炭素数18〜22の脂肪族アルコールが挙げられ、具体的にはステアリルアルコール、エイコサノール、ベヘニルアルコールが好ましい。
前記合成エステルワックス中の炭素数18〜22の脂肪族アルコールの含有量の少ない合成エステルワックスを合成するためには、直鎖脂肪酸と、炭素数18〜22の脂肪族アルコールを等モル混合し、エステル化すれば良いが、大量の合成ワックスを作製する際には、直鎖脂肪酸が過多な箇所が生じ、合成エステルワックス中に直鎖脂肪酸が残留する可能性が高いため、エステル化の際には、脂肪族アルコールを多目にしてエステル化を行い、製造後、精製により脂肪族アルコールを除去した方が好ましい。
合成エステルワックス中の不純物は、天然エステルワックスに比べて少ないが、市販の上記一般式で表されるエステルワックスを含む合成エステルワックス中には、炭素数18〜22の脂肪族アルコールが不純物として含まれている。この不純物として含まれる炭素数18〜22の脂肪族アルコールの含有量は、UFPを発生させるに十分な量であるため、精製が必要である。本発明のトナー用エステルワックス中の炭素数18〜22の脂肪族アルコールの濃度は、3質量%未満であり、好ましくは1.8質量%未満、さらに好ましくは0.1〜1.2質量%である。3質量%以上では、画像形成装置から発生するUFPの量が多くなり、「ブルーエンジェルマーク」の認証を得ることが難しくなり好ましくない。
合成エステルワックス中の炭素数18〜22の脂肪族アルコールの濃度は、発生するUFPが脂肪族アルコールのみのUFPであれば、少ないほど好ましいが、画像形成装置から発生するUFPは、脂肪族アルコール以外に、定着装置に用いられているシリコーンゴムから発生するシロキサンがある。シロキサンは脂肪族アルコールよりも融点が低いので、蒸気として揮発したシロキサンが凝結し、UFPに成長するまでにはある程度の時間がかかり、また成長したUFPの多くは非常に粒径の小さなものが多い。前述のように「ブルーエンジェルマーク」の認証は、UFPの数に対するものであるため、粒子の小さなシロキサンのUFPの数は多くなってしまう。
それに対して、炭素数18〜22の脂肪族アルコールは、揮発して直ぐに凝結し安定な状態となった後、シロキサンが吸着しやすい。そのため、UFP全体の数は、炭素数18〜22の脂肪族アルコールが微量存在した方が少なくすることができる。この現象は、シロキサンの濃度によっても、シロキサンのUFPの数の減少の仕方は変わるが、概ね、合成エステルワックス中の炭素数18〜22の脂肪族アルコールが、0.1質量%より多いと生じる。合成エステルワックスの精製は、精製にかかるコストと効果により、適宜行われるべきものである。但し、前述のように、合成エステルワックス中の炭素数18〜22の脂肪族アルコールが3質量%以上となると、脂肪族アルコールのUFPの数が多くなり、「ブルーエンジェルマーク」の認証を得られるのが難しく好ましくない。
脂肪族アルコールを完全になくすことは、エステルワックスの合成時の処方の検討、あるいはエステルワックスの合成後に脂肪族アルコールを除去することにより可能である。しかし、脂肪族アルコールの残留をなくす処方では、代わりに脂肪酸が残留する可能性が高くなり、エステルワックスをトナーに用いた場合、トナーの保存性の低下が生じやすく好ましくない。また、脂肪族アルコールを完全に除去するためには、除去工程が複雑となり、除去に時間がかかってしまうため、コストアップにつながり好ましくない。
エステルワックス中の炭素数18〜22の脂肪族アルコールの濃度を、3質量%未満とする方法としては、溶媒抽出による方法、又は大気中あるいは減圧下でエステルワックスを加熱し、炭素数18〜22の脂肪族アルコールを揮発させる方法があるが、炭素数18〜22の脂肪族アルコールの除去の効率、エステルワックスの酸化劣化の防止を考えると、減圧下でエステルワックスを加熱し、炭素数18〜22の脂肪族アルコールを揮発させることが好ましく、真空蒸留が最も好ましい。真空蒸留を行う際には、炭素数18〜22の脂肪族アルコールの除去の効率を高めるため、ドライアイス、液体窒素等のトラップを用いると効率的に脂肪族アルコールをエステルワックスから除去することができる。
本発明のエステルワックスを含有した前記トナーは、下記数式1で表される円形度SRの平均値である平均円形度が0.930〜1.00のものが好ましく、0.950〜0.990がより好ましい。この平均円形度はトナー粒子の凹凸の度合いの指標であり、トナーが完全な球形の場合1.00を示し、表面形状が複雑になるほど平均円形度は小さな値となる。
<数式1>
円形度SR=(トナー粒子の投影面積と同じ面積の円の周囲長)/
(トナー粒子の投影像の周囲長)
前記平均円形度が0.93〜1.00の範囲では、トナー粒子の表面は滑らかであり、トナー粒子同士及びトナー粒子と感光体との接触面積が小さいために転写性に優れる。また、トナー粒子に角がないため、現像装置内での現像剤の攪拌トルクが小さく、攪拌の駆動が安定するために異常画像が発生しない。また、ドットを形成するトナーの中に、角張ったトナー粒子がいないため、転写で記録媒体に圧接する際に、その圧がドットを形成するトナー全体に均一にかかり、転写中抜けが生じにくい。また、トナー粒子が角張っていないことから、トナー粒子そのものの研磨力が小さく、像担持体の表面を傷つけたり、磨耗させたりしない。
前記円形度SRは、例えばフロー式粒子像分析装置(東亜医用電子社製、FPIA−1000)を用いて測定することができる。
まず、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスフォン酸塩)を0.1〜0.5ml加え、更に測定試料を0.1〜0.5g程度加える。試料を分散した懸濁液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、分散液濃度を3000〜10000個/μlとして前記装置によりトナーの形状、粒度を測定する。
前記トナーの質量平均粒径(D4)は3〜10μmが好ましく、4〜8μmがより好ましい。この範囲では、微小な潜像ドットに対して、十分に小さい粒径のトナー粒子を有していることから、ドット再現性に優れる。前記質量平均粒径(D4)が3μm未満では、転写効率の低下、ブレードクリーニング性の低下といった現象が発生しやすいことがあり、10μmを超えると、文字やラインの飛び散りを抑えることが難しいことがある。
また、前記トナーは、質量平均粒径(D4)と個数平均粒径(D1)の比(D4/D1)は1.00〜1.40が好ましく、1.00〜1.30がより好ましい。前記比(D4/D1)が1に近づくほど、そのトナーの粒度分布がシャープであることを意味し、(D4/D1)が1.00〜1.40の範囲では、トナー粒径による選択現像が起きないため、画質の安定性に優れる。また、トナーの粒度分布がシャープであることから、摩擦帯電量分布もシャープとなり、カブリの発生が抑えられる。また、トナー粒径が揃っていると、潜像ドットに対して、緻密にかつ整然と並ぶように現像されるので、ドット再現性に優れる。
ここで、前記トナーの質量平均粒径(D4)、及び粒度分布の測定は、例えばコールターカウンター法による。該コールターカウンター法によるトナー粒子の粒度分布の測定装置としては、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)が挙げられる。
まず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1〜5ml加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子又はトナーの体積、個数を測定して、体積分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの質量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)を求めることができる。
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とする。
このような略球形の形状のトナーとしては、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤を含むトナー組成物を水系媒体中で樹脂微粒子の存在下で架橋及び/又は伸長反応させることにより作製することができる。この反応で製造されたトナーは、トナー表面を硬化させることで、ホットオフセットを少なくすることができ、定着装置の汚れとなって、それが画像上に表れるのを抑えることができる。
前記窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマーとしては、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)が挙げられ、また、該プレポリマーと伸長又は架橋する化合物としては、アミン類(B)が挙げられる。
前記イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)としては、ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の重縮合物でかつ活性水素基を有するポリエステルを更にポリイソシアネート(3)と反応させた物などが挙げられる。上記ポリエステルの有する活性水素基としては、水酸基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられる。これらの中でも、アルコール性水酸基が特に好ましい。
前記ポリオール(1)としては、ジオール(1−1)、3価以上のポリオール(1−2)が挙げられ、(1−1)単独又は(1−1)と少量の(1−2)の混合物が好ましい。
前記ジオール(1−1)としては、例えばアルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらの中でも、炭素数2〜12のアルキレングリコール、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物が好ましく、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、これと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用が特に好ましい。
前記3価以上のポリオール(1−2)としては、3〜8価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
前記ポリカルボン酸(2)としては、ジカルボン酸(2−1)及び3価以上のポリカルボン酸(2−2)が挙げられ、これらの中でも、(2−1)単独、及び(2−1)と少量の(2−2)の混合物が好ましい。
前記ジカルボン酸(2−1)としては、例えばアルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)などが挙げられる。これらの中でも、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸、炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸が特に好ましい。
前記3価以上のポリカルボン酸(2−2)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、ポリカルボン酸(2)としては、上述のものの酸無水物又は低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてポリオール(1)と反応させてもよい。
前記ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]は、2/1〜1/1が好ましく、1.5/1〜1/1がより好ましく、1.3/1〜1.02/1が更に好ましい。
前記ポリイソシアネート(3)としては、例えば脂肪族ポリイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α´,α´−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアヌレート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ポリイソシアネート(3)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]は、5/1〜1/1が好ましく、4/1〜1.2/1がより好ましく、2.5/1〜1.5/1が更に好ましい。前記[NCO]/[OH]が5を超えると、低温定着性が悪化することがあり、[NCO]のモル比が1未満であると、変性ポリエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
前記イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中のポリイソシアネート(3)構成成分の含有量は、0.5〜40質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましく、2〜20質量%が更に好ましい。前記含有量が0.5質量%未満であると、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になり、40質量%を超えると、低温定着性が悪化することがある。
前記イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有するイソシアネート基は、平均1個以上が好ましく、平均1.5〜3個がより好ましく、平均1.8〜2.5個が更に好ましい。1分子当たり1個未満であると、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
前記アミン類(B)としては、ジアミン(B1)、3価以上のポリアミン(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、及びB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。ジアミン(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’ジアミノジフェニルメタン等);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミン等);及び脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等)などが挙げられる。3価以上のポリアミン(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)から得られるケチミン化合物、オキサゾリン化合物などが挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1及びB1と少量のB2の混合物である。
更に、必要により伸長停止剤を用いてウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。伸長停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミン等)、又はそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
前記アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]は、1/2〜2/1が好ましく、1.5/1〜1/1.5がより好ましく、1.2/1〜1/1.2が更に好ましい。前記[NCO]/[NHx]が2を超えたり、1/2未満であると、ウレア変性ポリエステル(i)の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化したりする。
本発明においては、ウレア結合で変性されたポリエステル(i)中に、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、100/0〜10/90が好ましく、80/20〜20/80がより好ましく、60/40〜30/70が更に好ましい。前記ウレア結合のモル比が10%未満であると、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
これらの反応により、前記トナーに用いられる変性ポリエステル、中でもウレア変性ポリエステル(i)が作製できる。これらウレア変性ポリエステル(i)は、ワンショット法、プレポリマー法により製造される。ウレア変性ポリエステル(i)の質量平均分子量は、1万以上が好ましく、2万〜1000万がより好ましく、3万〜100万が更に好ましい。前記質量平均分子量が1万未満であると、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
また、ウレア変性ポリエステルの数平均分子量は、後述の変性されていないポリエステル(ii)を用いる場合は特に限定されるものではなく、前記質量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。(i)単独の場合は、数平均分子量は、20,000以下が好ましく、1,000〜10,000がより好ましく、2,000〜8,000が更に好ましい。前記数平均分子量が20,000を超えると、低温定着性及びフルカラー画像形成装置に用いた場合の光沢性が悪化することがある。
本発明においては、前記ウレア結合で変性されたポリエステル(i)単独使用だけでなく、この(i)と共に、変性されていないポリエステル(ii)を結着樹脂成分として含有させることもできる。前記(ii)を併用することで、低温定着性及びフルカラー装置に用いた場合の光沢性が向上するので、単独使用より好ましい。前記(ii)としては、前記(i)のポリエステル成分と同様なポリオール(1)とポリカルボン酸(2)との重縮合物などが挙げられ、好ましいものも(i)と同様である。また、(ii)は無変性のポリエステルだけでなく、ウレア結合以外の化学結合で変性されているものでもよく、例えばウレタン結合で変性されていてもよい。(i)と(ii)は少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。
従って、(i)のポリエステル成分と(ii)は類似の組成が好ましい。(ii)を含有させる場合の(i)と(ii)の質量比は、5/95〜80/20が好ましく、5/95〜30/70がより好ましく、5/95〜25/75が更に好ましく、7/93〜20/80が特に好ましい。前記(i)の質量比が5質量%以上であると、耐ホットオフセット性が悪化することがなく、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で有利である。
前記(ii)のピーク分子量は、1,000〜30,000が好ましく、1,500〜10,000がより好ましく、2,000〜8,000が更に好ましい。前記ピーク分子量が1,000以上であると、耐熱保存性が悪化することがなく、10,000以下であると低温定着性が悪化することがない。前記(ii)の水酸基価は5以上が好ましく、10〜120がより好ましく、20〜80が更に好ましい。前記水酸基価が5以上であると、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で有利である。前記(ii)の酸価は1〜30が好ましく、5〜20がより好ましい。酸価を持たせることで負帯電性となりやすい傾向がある。
前記結着樹脂のガラス転移温度(Tg)は、50〜70℃が好ましく、55〜65℃がより好ましい。前記ガラス転移温度が50℃以上であると、トナーの高温保管時のブロッキングが悪化することがなく、70℃以下であると低温定着性が十分となる。ウレア変性ポリエステル樹脂の共存により、本発明に用いるトナーにおいては、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移点が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。
前記結着樹脂の貯蔵弾性率としては、測定周波数20Hzにおいて10,000dyne/cm2となる温度(TG’)が、100℃以上が好ましく、110〜200℃がより好ましい。前記温度(TG’)が100℃以上であると、耐ホットオフセット性が悪化することがない。
前記結着樹脂の粘性としては、測定周波数20Hzにおいて1000ポイズとなる温度(Tη)が、180℃以下が好ましく、90〜160℃がより好ましい。前記温度(Tη)が、180℃以下であると、低温定着性が悪化することがない。即ち、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から、TG’はTηより高いことが好ましい。言い換えるとTG’とTηの差(TG’−Tη)は0℃以上が好ましく、10℃以上がより好ましく、20℃以上が更に好ましい。なお、差の上限は特に限定されない。また、耐熱保存性と低温定着性の両立の観点から、TηとTgの差は0〜100℃が好ましく、10〜90℃がより好ましく、20〜80℃が更に好ましい。
前記結着樹脂は、以下の方法などで製造することができる。
まず、前記ポリオール(1)と、前記ポリカルボン酸(2)を、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を溜去して、水酸基を有するポリエステルを得る。次いで、40〜140℃にて、これにポリイソシアネート(3)を反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得る。更に(A)にアミン類(B)を0〜140℃にて反応させ、ウレア結合で変性されたポリエステルを得る。(3)を反応させる際及び(A)と(B)を反応させる際には、必要により溶剤を用いることもできる。
使用可能な溶剤としては、例えば芳香族溶剤(トルエン、キシレン等);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等);エステル類(酢酸エチル等);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)、エーテル類(テトラヒドロフラン等)などのイソシアネート(3)に対して不活性なものが挙げられる。
なお、ウレア結合で変性されていないポリエステル(ii)を併用する場合は、水酸基を有するポリエステルと同様な方法で(ii)を製造し、これを前記(i)の反応完了後の溶液に溶解し、混合する。
また、本発明に用いるトナーは、以下の方法で製造することができるが勿論これらに限定されることはない。
前記トナーは、水系媒体中でイソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)からなる分散体を、(B)と反応させて形成してもよいし、予め製造したウレア変性ポリエステル(i)を用いてもよい。水系媒体中でウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマー(A)からなる分散体を安定して形成させる方法としては、水系媒体中にウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマー(A)からなるトナー原料の組成物を加えて、せん断力により分散させる方法などが挙げられる。
前記プレポリマー(A)と他のトナー組成物である(以下、トナー原料と称することもある)、着色剤、着色剤マスターバッチ、離型剤、帯電制御剤、未変性ポリエステル樹脂などは、水系媒体中で分散体を形成させる際に混合してもよいが、予めトナー原料を混合した後、水系媒体中にその混合物を加えて分散させたほうがより好ましい。また、本発明においては、着色剤、離型剤、及び帯電制御剤などの他のトナー原料は、必ずしも、水系媒体中で粒子を形成させる時に混合しておく必要はなく、粒子を形成せしめた後、添加してもよい。例えば、着色剤を含まない粒子を形成させた後、公知の染着の方法で着色剤を添加することもできる。
前記水系媒体としては、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。混和可能な溶剤としては、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブ等)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)などが挙げられる。
ウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマー(A)を含むトナー組成物100質量部に対する水系媒体の使用量は、50〜2000質量部が好ましく、100〜1000質量部がより好ましい。前記使用量が50質量部以上であると、トナー組成物の分散状態が悪くなることがなく、所定の粒径のトナー粒子が得られないことがなく、2000質量部以下であると、経済的である。
また、必要に応じて、分散剤を用いることもできる。分散剤を用いたほうが、粒度分布がシャープになるとともに分散が安定である点で好ましい。
前記分散の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。分散体の粒径を2〜20μmにするためには高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、1000〜30000rpmが好ましく、5000〜20000rpmがより好ましい。前記分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分間である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃が好ましく、40〜98℃がより好ましい。高温な方が、ウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマー(A)からなる分散体の粘度が低く、分散が容易な点で好ましい。
プレポリマー(A)からウレア変性ポリエステル(i)を合成する工程は水系媒体中でトナー組成物を分散する前にアミン類(B)を加えて反応させてもよいし、水系媒体中に分散した後にアミン類(B)を加えて粒子界面から反応を起こしてもよい。この場合製造されるトナー表面に優先的にウレア変性ポリエステルが生成し、粒子内部で濃度勾配を設けることもできる。
前記反応においては、必要に応じて、分散剤を用いることが好ましい。
前記分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、界面活性剤、難水溶性の無機化合物分散剤、高分子系保護コロイド、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、界面活性剤が好ましい。
前記界面活性剤としては、例えば、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、等が挙げられる。
前記陰イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステル等が挙げられ、これらの中でも、フルオロアルキル基を有するものが好適に挙げられる。該フルオロアルキル基を有する陰イオン界面活性剤としては、例えば、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸又はその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルキル(炭素数6〜11)オキシ]−1−アルキル(炭素数3〜4)スルホン酸ナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルカノイル(炭素数6〜8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(炭素数11〜20)カルボン酸又はその金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(炭素数7〜13)又はその金属塩、パーフルオロアルキル(炭素数4〜12)スルホン酸又はその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(炭素数6〜10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(炭素数6〜10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(炭素数6〜16)エチルリン酸エステル等が挙げられる。該フルオロアルキル基を有する界面活性剤の市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製);フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製);ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製);メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ化学工業社製);エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204(ト−ケムプロダクツ社製);フタージェントF−100、F150(ネオス社製)等が挙げられる。
前記陽イオン界面活性剤としては、例えば、アミン塩型界面活性剤、四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤等が挙げられる。前記アミン塩型界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリン等が挙げられる。前記四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。該陽イオン界面活性剤の中でも、フルオロアルキル基を有する脂肪族一級、二級又は三級アミン酸、パーフルオロアルキル(炭素数6〜10個)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩等の脂肪族四級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、などが挙げられる。該陽イオン界面活性剤の市販品としては、例えば、サーフロンS−121(旭硝子社製);フロラードFC−135(住友3M社製);ユニダインDS−202(ダイキン工業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ化学工業社製);エクトップEF−132(ト−ケムプロダクツ社製);フタージェントF−300(ネオス社製)等が挙げられる。
前記非イオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体等が挙げられる。
前記両性界面活性剤としては、例えば、アラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシン、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタイン等が挙げられる。
前記難水溶性の無機化合物分散剤としては、例えば、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト、等が挙げられる。
前記高分子系保護コロイドとしては、例えば、酸類、水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、ビニルアルコール又はビニルアルコールとのエーテル類、ビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、アミド化合物又はこれらのメチロール化合物、クロライド類、窒素原子若しくはその複素環を有するもの等のホモポリマー又は共重合体、ポリオキシエチレン系、セルロース類、等が挙げられる。
前記酸類としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等が挙げられる。
前記水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体としては、例えば、アクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等が挙げられる。
前記ビニルアルコール又はビニルアルコールとのエーテル類としては、例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル等が挙げられる。
前記ビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等が挙げられる。
前記アミド化合物又はこれらのメチロール化合物としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド酸、又はこれらのメチロール化合物、などが挙げられる。
前記クロライド類としては、例えば、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド等が挙げられる。
前記窒素原子若しくはその複素環を有するもの等ホモポリマー又は共重合体としては、例えば、ビニルビリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミン等が挙げられる。
前記ポリオキシエチレン系としては、例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステル等が挙げられる。
前記セルロース類としては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
前記分散液の調製においては、必要に応じて分散安定剤を用いることができる。該分散安定剤としては、例えば、リン酸カルシウム塩等の酸、アルカリに溶解可能なもの等が挙げられる。
前記分散安定剤を用いた場合は、塩酸等の酸によりリン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗する方法、酵素により分解する方法等によって、微粒子からリン酸カルシウム塩を除去することができる。
前記分散液の調製においては、前記伸長反応乃至前記架橋反応の触媒を用いることができる。該触媒としては、例えば、ジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレート、等が挙げられる。
更に、トナー組成物の粘度を低くするために、ウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマー(A)が可溶の溶剤を使用することもできる。溶剤を用いた方が粒度分布がシャープになる点で好ましい。該溶剤は揮発性であることが除去が容易である点から好ましい。
前記溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましく、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒がより好ましい。
前記プレポリマー(A)100質量部に対する溶剤の使用量は、0〜300質量部が好ましく、0〜100質量部がより好ましく、25〜70質量部が更に好ましい。溶剤を使用した場合は、伸長及び/又は架橋反応後、常圧又は減圧下にて加温し除去する。
伸長及び/又は架橋反応時間は、プレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)の組み合わせによる反応性により選択されるが、通常10分〜40時間が好ましく、2〜24時間がより好ましい。反応温度は0〜150℃が好ましく、40〜98℃がより好ましい。更に必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
得られた乳化分散体から有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に昇温し、液滴中の有機溶媒を完全に蒸発除去する方法を採用することができる。また、乳化分散体を乾燥雰囲気中に噴霧して、液滴中の非水溶性有機溶媒を完全に除去してトナー微粒子を形成し、合せて水系分散剤を蒸発させて除去することも可能である。乳化分散体が噴霧される乾燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、特に使用される最高沸点溶媒の沸点以上の温度に加熱された各種気流が一般に用いられる。スプレイドライアー、ベルトドライアー、ロータリーキルンなどの短時間の処理で十分に目的とする品質が得られる。
乳化分散時の粒度分布が広く、その粒度分布を保って洗浄、乾燥処理が行われた場合、所望の粒度分布に分級して粒度分布を整えることができる。
分級操作は液中でサイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことができる。乾燥後に粉体として取得した後に分級操作を行ってもよいが、液体中で行うことが効率の面で好ましい。得られた不要の微粒子、又は粗粒子は再び混練工程に戻して粒子の形成に用いることができる。その際、不要の微粒子又は粗粒子はウェットの状態でも構わない。
用いた分散剤は得られた分散液からできるだけ取り除くことが好ましいが、先に述べた分級操作と同時に行うのが好ましい。
得られた乾燥後のトナーの粉体と離型剤微粒子、帯電制御性微粒子、流動化剤微粒子、着色剤微粒子などの異種粒子とともに混合したり、混合粉体に機械的衝撃力を与えたりすることによって表面で固定化、融合化させ、得られる複合体粒子の表面からの異種粒子の脱離を防止することができる。
具体的手段としては、(1)高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、(2)高速気流中に混合物を投入し、加速させ、粒子同士又は複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などがある。装置としては、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して、粉砕エアー圧力を下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢などが挙げられる。
また、該トナーに使用される着色剤としては、従来からトナー用着色剤として使用されてきた顔料及び染料が使用でき、具体的には、カーボンブラック、ランプブラック、鉄黒、群青、ニグロシン染料、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエローG、ローダミン6Cレーキ、カルコオイルブルー、クロムイエロー、キナクリドンレッド、ベンジジンイエロー、ローズベンガル等を単独あるいは混合して用いることができる。
更に必要に応じて、トナー粒子自身に磁気特性を持たせるには、例えばフェライト、マグネタイト、マグヘマイト等の酸化鉄類;鉄、コバルト、ニッケル等の金属あるいは、これらと他の金属との合金等の磁性成分を単独又は混合して、トナー粒子へ含有させればよい。また、これらの成分は、着色剤成分として使用することもできる。
また、本発明で用いられるトナー中の着色剤の個数平均粒径は0.5μm以下が好ましく、0.4μm以下がより好ましく、0.3μm以下が更に好ましい。前記個数平均粒径が0.5μm以下であると、顔料の分散性が充分なレベルに到り、好ましい透明性が得られる。一方、前記個数平均粒径が0.1μmより小さい微小粒径の着色剤は、可視光の半波長より十分小さいため、光の反射、吸収特性に悪影響を及ぼさないと考えられる。よって、前記個数平均粒径が0.1μm未満の着色剤の粒子は良好な色再現性と、定着画像を有するOHPシートの透明性に貢献する。一方、前記個数平均粒径が0.5μmより大きな粒径の着色剤が多く存在していると、入射光の透過が阻害されたり、散乱されたりして、OHPシートの投影画像の明るさ及び彩かさが低下する傾向がある。更に、0.5μmより大きな粒径の着色剤が多く存在していると、トナー粒子表面から着色剤が脱離し、カブリ、ドラム汚染、クリーニング不良といった種々の問題を引き起こすことがある。前記個数平均粒径が0.7μmより大きな粒径の着色剤は、全着色剤の10個数%以下が好ましく、5個数%以下がより好ましい。
また、前記着色剤を結着樹脂の一部もしくは全部と共に、予め湿潤液を加えた上で混練しておくことにより、初期的に結着樹脂と着色剤が十分に付着した状態となって、その後のトナー製造工程でのトナー粒子中における着色剤分散がより効果的に行われ、着色剤の分散粒径が小さくなり、一層良好な透明性を得ることができる。
予めの混錬に用いる結着樹脂としては、トナー用結着樹脂として例示した樹脂類をそのまま使用することができるが、これらに限定されるものではない。
前記の結着樹脂と着色剤の混合物を予め湿潤液と共に混練する具体的な方法としては、例えば、結着樹脂、着色剤及び湿潤液を、ヘンシェルミキサー等のブレンダーにて混合した後、得られた混合物を二本ロール、三本ロール等の混練機により、結着樹脂の溶融温度よりも低い温度で混練して、サンプルを得る。
また、湿潤液としては、結着樹脂の溶解性や、着色剤との塗れ性を考慮しながら、一般的なものを使用できるが、アセトン、トルエン、ブタノン等の有機溶剤、水が、着色剤の分散性の面から好ましい。これらの中でも、水の使用は、環境への配慮及び、後のトナー製造工程における着色剤の分散安定性維持の点から特に好ましい。
この製法によると、得られるトナーに含有される着色剤粒子の粒径が小さくなるばかりでなく、該粒子の分散状態の均一性が高くなるため、OHPによる投影像の色の再現性がより一層よくなる。
また、トナー帯電量及びその立ち上がりを早くするために、トナー中に、必要に応じて帯電制御剤を含有させてもよい。前記帯電制御剤として有色材料を用いると色の変化が起こるため、無色又は白色に近い材料が好ましい。
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、トリフェニルメタン系染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又は化合物、タングステンの単体又は化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等が挙げられる。
前記帯電制御剤としては、市販品を用いることができ、該市販品としては、例えば、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(いずれも、オリエント化学工業社製);第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(いずれも、保土谷化学工業社製);第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(いずれも、ヘキスト社製);LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(いずれも、日本カ一リット社製)、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。
前記帯電制御剤の添加量は、バインダー樹脂の種類、添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法などによって異なり、一義的に規定できるものではないが、前記バインダー樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましく、0.2〜5質量部がより好ましい。前記添加量が10質量部以下であると、トナーの帯電性が大きすぎることがないため、帯電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招くことがない。これらの帯電制御剤はマスターバッチ、樹脂とともに溶融混練した後溶解分散させることもできるし、有機溶剤に直接溶解し、分散する際に加えてもよいし、トナー表面にトナー粒子作製後、固定化させてもよい。
また、トナー製造過程で水系媒体中にトナー組成物を分散させるに際して、主に分散安定化のための樹脂微粒子を添加してもよい。
前記樹脂微粒子は、水性分散体を形成し得る樹脂であればいかなる樹脂も使用することができ、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもよいが、例えばビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、微細球状樹脂粒子の水性分散体が得られやすい点から、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、又はそれらの併用が好ましい。
前記ビニル系樹脂としては、ビニル系モノマーを単独重合又は共重合したポリマーが用いられ、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等が挙げられる。
トナー粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤としては、無機微粒子が好適である。
前記無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などが挙げられる。
前記無機微粒子の一次粒子径は、5nm〜2μmが好ましく、5nm〜500nmがより好ましい。また、前記無機微粒子のBET法による比表面積は20〜500m2/gが好ましい。前記無機微粒子の前記トナーにおける添加量は、0.01〜5質量%が好ましく、0.01〜2.0質量%がより好ましい。
その他の高分子系微粒子、例えばソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。
また、トナーには流動化剤を添加することもできる。該流動化剤は表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止することができる。前記流動化剤としては、例えばシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが挙げられる。
また、感光体や中間転写体に残存する転写後の現像剤を除去するためのクリーニング性向上剤としては、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩;ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合などによって製造されたポリマー微粒子などが挙げられる。前記ポリマー微粒子は比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径が0.01〜1μmのものが好ましい。
前記トナー中には、離型性を持たせるためにトナー中に前述のエステルワックスを含有している。前述のエステルワックス以外に、公知のトナー用ワックスを用いても良いが、前述のエステルワックスは、粉塵、UFPとも発生が極めて少なく、離型性にも優れるため、前述のエステルワックス以外のワックスの混合はしない方が良く、混合させる場合は、ワックスだけを加熱しても、UFPの発生が少ないことを確認して用いる必要がある。
前述のように、トナーから発生するUFPは、主にワックスから発生するが、トナーを構成する材料や不純物により、UFPが発生することがあるため、ワックスを含有していないトナーを加熱し、UFPの発生が少ないトナーを用いることが重要である。
トナー中のエステルワックスの含有量は、トナーの結着樹脂対して2質量%〜15質量%が好適である。2質量%以上であれば、ホットオフセット防止効果があり、15質量%以下であれば、転写性、耐久性の低下を防止できる。
本願発明のエステルワックス以外の離型剤のDSCによる吸熱ピークは、70℃〜150℃であることが好ましい。70℃以上であれば、トナーの耐熱保存性の低下を防止できる。150℃以下であれば、離型性の効果を発揮できる。
本発明のトナー中に含有する炭素数18〜22の脂肪族アルコールは、0.01質量%以上0.20質量%以下が好ましく、さらに好ましくは、0.01〜0.15質量%である。トナー中に含有する炭素数18〜22の脂肪族アルコールが0.20質量%以下であると、UFPの発生量が少なくなり、ブルーエンジェルマークの認証を得ることができるようになる。
また、本発明の画像形成装置は、上述のような、高品質な画像を得るに適した構成の重合法トナーとの併用ばかりでなく、粉砕法による不定形のトナーに対しても適用でき、この場合にも、装置寿命を大幅に延ばすことができる。このような粉砕法のトナーを構成する材料としては、通常、電子写真用トナーとして使用されるものが、特に制限なく、適用可能である。
前記粉砕法トナーに使用される結着樹脂としては、例えばポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン又はその置換体の単重合体;スチレン/p−クロロスチレン共重合体、スチレン/プロピレン共重合体、スチレン/ビニルトルエン共重合体、スチレン/ビニルナフタレン共重合体、スチレン/アクリル酸メチル共重合体、スチレン/アクリル酸エチル共重合体、スチレン/アクリル酸ブチル共重合体、スチレン/アクリル酸オクチル共重合体、スチレン/メタクリル酸メチル共重合体、スチレン/メタクリル酸エチル共重合体、スチレン/メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン/α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン/アクリロニトリル共重合体、スチレン/ビニルメチルケトン共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/イソプレン共重合体、スチレン/マレイン酸共重合体等のスチレン系共重合体;ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル系単重合体又はその共重合体;ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等のポリビニル誘導体;ポリエステル系重合体、ポリウレタン系重合体、ポリアミド系重合体、ポリイミド系重合体、ポリオール系重合体、エポキシ系重合体、テルペン系重合体、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、スチレン−アクリル系共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオール系樹脂が、電気特性、コスト面等から好ましく、更には、良好な定着特性を有するものとして、ポリエステル系樹脂、ポリオール系樹脂が特に好ましい。
前記粉砕法トナーでは、これらの樹脂成分と共に、前述のような着色剤成分、ワックス成分、電荷制御成分等を、必要により前混合後、樹脂成分の溶融温度近傍以下で混練して、これを冷却後、粉砕分級工程を経て、トナーを作製すればよく、また、必要に応じて前記外添成分を、適宜添加し混合すればよい。
前記現像器は、乾式現像方式のものであってもよいし、湿式現像方式のものであってもよく、また、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよく、例えば、前記トナー乃至現像剤を摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラとを有してなるもの、などが好適に挙げられる。
(現像剤)
本発明の現像剤は、少なくとも前記トナーを含み、必要に応じてキャリア等の適宜選択されるその他の成分を含む。
このため、転写性、帯電性等に優れ、高画質な画像を安定に形成することができる。なお、現像剤は、一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよいが、近年の情報処理速度の向上に対応した高速プリンター等に使用する場合には、寿命が向上することから、二成分現像剤が好ましい。
<キャリア>
前記キャリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択すればよく、例えば、磁性キャリア、樹脂キャリアが挙げられる。磁性キャリアとしては、粒子径20〜200μm程度の鉄粉、フェライト粉、マグネタイト粉、磁性樹脂キャリアなど従来から公知のものが使用できる。現像剤中のキャリアとトナーの含有比は、キャリア100質量部に対してトナー1質量部〜10質量部が好ましい。
前記キャリアは、芯材と、芯材を被覆する樹脂層を有するものが好ましい。
(トナー収容ユニット)
本発明におけるトナー収容ユニットとは、トナーを収容する機能を有するユニットに、トナーを収容したものをいう。ここで、トナー収容ユニットの態様としては、例えば、トナー収容容器、現像器、プロセスカートリッジが挙げられる。
トナー収容容器とは、トナーを収容した容器をいう。また、トナーとキャリアからなる現像剤を収容する容器もトナー収容容器に含まれる。
現像器は、トナーを収容し現像する手段を有するものをいう。
プロセスカートリッジとは、少なくとも静電潜像担持体(像担持体ともいう)と現像手段とを一体とし、トナーを収容し、画像形成装置に対して着脱可能であるものをいう。前記プロセスカートリッジは、更に帯電手段、露光手段、クリーニング手段から選ばれる少なくとも一つを備えてもよい。
本発明のトナー収容ユニットを、画像形成装置に装着して画像形成することで、画像形成時に発生するUFPの量を少なくすることができる。
(画像形成装置、及び画像形成方法)
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体と、前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像担持体上に形成された前記静電潜像を現像してトナー像を形成する、現像剤を備える現像手段とを少なくとも有し、更に必要に応じて、その他の手段を有する。
本発明に関する画像形成方法は、静電潜像形成工程と、現像工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
前記画像形成方法は、前記画像形成装置により好適に行うことができ、前記静電潜像形成工程は、前記静電潜像形成手段により好適に行うことができ、前記現像工程は、前記現像手段により好適に行うことができ、前記その他の工程は、前記その他の手段により好適に行うことができる。
本発明の画像形成装置は、より好ましくは、静電潜像担持体と、前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像担持体に形成された前記静電潜像を、トナーを用いて現像してトナー像を形成する、トナーを備える現像手段と、前記静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、前記記録媒体の表面に転写されたトナー像を定着する定着手段とを含む。
また、本発明の画像形成方法は、より好ましくは、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像担持体上に形成された前記静電潜像を、トナーを用いて現像してトナー像を形成する現像工程と、前記静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、前記記録媒体の表面に転写されたトナー像を定着する定着工程とを含む。
前記現像手段、及び前記現像工程において、前記トナーが使用される。好ましくは、前記トナーを含有し、更に必要に応じて、キャリアなどのその他の成分が含有された現像剤を用いることにより、前記トナー像を形成するとよい。
<静電潜像担持体>
前記静電潜像担持体の材質、構造、大きさとしては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、その材質としては、例えば、アモルファスシリコン、セレン等の無機感光体、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体などが挙げられる。
<静電潜像形成手段>
前記静電潜像形成手段としては、前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記静電潜像担持体の表面を帯電させる帯電部材と、前記静電潜像担持体の表面を像様に露光する露光部材とを少なくとも有する手段などが挙げられる。
<現像手段>
前記現像手段としては、前記静電潜像担持体に形成された前記静電潜像を現像して可視像を形成する、トナーを備える現像手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<その他の手段>
前記その他の手段としては、例えば、転写手段、定着手段、クリーニング手段、除電手段、リサイクル手段、制御手段などが挙げられる。
次に、本発明の画像形成装置により画像を形成する方法を実施する態様について、図面を参照しながら説明する。
−タンデム型カラー画像形成装置−
本発明による画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置としても使用できる。
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のプリンタ(以下、単にプリンタ500という)の一実施形態について説明する。まず、本実施形態に係るプリンタ500の基本的な構成について説明する。
図1は、実施形態に係るプリンタ500の概略構成図である。プリンタ500は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(以下、Y、C、M、Kと記す)用の四つの作像ユニット1Y,C,M,Kを備えている。これらは、画像を形成する画像形成物質として、互いに異なる色のY,C,M,Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっている。
四つの作像ユニット1の上方には、中間転写体としての中間転写ベルト14を備える転写ユニット60が配置されている。詳細は後述する各作像ユニット1Y,1C,1M,1Kが備える感光体3Y,3C,3M,3Kの表面上に形成された各色のトナー像は、中間転写ベルト14の表面上に重ね合わせて転写される構成である。
また、四つの作像ユニット1の下方に光書込ユニット40が配設されている。潜像形成手段たる光書込ユニット40は、画像情報に基づいて発したレーザー光Lを、各作像ユニット1Y,1C,1M,1Kの感光体3Y,3C,3M,3Kに照射する。これにより、感光体3Y,3C,3M,3K上にY,C,M,K用の静電潜像が形成される。なお、光書込ユニット40は、光源から発したレーザー光Lを、モータによって回転駆動されるポリゴンミラー41によって偏向せしめながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体3Y,C,M,Kに照射するものである。かかる構成のものに代えて、LDEアレイによる光走査を行うものを採用することもできる。
光書込ユニット40の下方には、第一給紙カセット151、第二給紙カセット152が鉛直方向に重なるように配設されている。これら給紙カセット内には、それぞれ、記録媒体である転写紙Pが複数枚重ねられた紙束の状態で収容されており、一番上の転写紙Pには、第一給紙ローラ151a、第二給紙ローラ152aがそれぞれ当接している。第一給紙ローラ151aが駆動手段によって図中反時計回りに回転駆動せしめられると、第一給紙カセット151内の一番上の転写紙Pが、カセットの図中右側方において鉛直方向に延在するように配設された給紙路153に向けて排出される。また、第二給紙ローラ152aが駆動手段によって図1中反時計回りに回転駆動せしめられると、第二給紙カセット152内の一番上の転写紙Pが、給紙路153に向けて排出される。
給紙路153内には、複数の搬送ローラ対154が配設されている。給紙路153に送り込まれた転写紙Pは、これら搬送ローラ対154のローラ間に挟み込まれながら、給紙路153内を図1中下側から上側に向けて搬送される。
給紙路153の搬送方向下流側端部には、レジストローラ対55が配設されている。レジストローラ対55は、転写紙Pを搬送ローラ対154から送られてくる転写紙Pをローラ間に挟み込むとすぐに、両ローラの回転を一旦停止させる。そして、転写紙Pを適切なタイミングで後述の二次転写ニップに向けて送り出す。
図2は、四つの作像ユニット1のうちの一つの概略構成を示す構成図である。図2に示すように、プリンタは、像担持体としてのドラム状の感光体3を備えている。感光体3はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであっても良い。
感光体3の周囲には、帯電装置4、現像装置5、転写装置7、クリーニング装置6、潤滑剤塗布装置10、及び、除電ランプ等が配置されている。
帯電装置4は、感光体3に所定の距離を持って非接触で配置され、感光体3を所定の極性、所定の電位に帯電するものである。帯電装置4によって一様帯電された感光体3は、潜像形成手段たる露光装置から画像データに基づいてレーザー光Lが照射され静電潜像が形成される。
現像装置5は、現像剤担持体としての現像ローラ51を有している。この現像ローラ51には、電源から現像バイアスが印加されるようになっている。現像装置5のケーシング内には、ケーシング内に収容された現像剤を互いに逆方向に搬送しながら攪拌する供給スクリュ52及び攪拌スクリュ53が設けられている。また、現像ローラ51に担持された現像剤を規制するためのドクタブレード54も設けられている。供給スクリュ52及び攪拌スクリュ53の2本スクリュによって撹拌・搬送された現像剤中のトナーは、所定の極性に帯電される。そして、現像剤は、現像ローラ51に汲み上げられ、汲み上げられた現像剤は、ドクタブレード54により規制され、感光体3と対向する現像領域でトナーが感光体3上の潜像に付着する。
クリーニング装置6は、ファーブラシ101、クリーニングブレード62などを有している。クリーニングブレード62は、感光体3の表面移動方向に対してカウンター方向で感光体3に当接している。
潤滑剤塗布装置10は、固形潤滑剤103、潤滑剤加圧スプリング等を備え、固形潤滑剤103を感光体3上に塗布する塗布ブラシとしてファーブラシ101を用いている。固形潤滑剤103は、ブラケットに保持され、潤滑剤加圧スプリングによりファーブラシ101側に加圧されている。そして、感光体3の回転方向に対して連れまわり方向に回転するファーブラシ101により固形潤滑剤103が削られて感光体3上に潤滑剤が塗布される。感光体3への潤滑剤塗布により感光体表面の摩擦係数が非画像形成時に0.2以下に維持される。
帯電装置4には、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャー)を始めとする公知の手段が用いられる。
これらの帯電方式のうち、特に接触帯電方式、あるいは非接触の近接配置方式がより望ましく、帯電効率が高くオゾン発生量が少ない、装置の小型化が可能である等のメリットを有する。
また、露光装置、除電ランプ等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。
また、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
これらの光源のうち、発光ダイオード、及び半導体レーザーは照射エネルギーが高く、また600〜800[nm]の長波長光を有するため、良好に使用される。
次に、プリンタにおける画像形成動作を説明する。
操作部などからプリント実行の信号を受信したら、帯電装置4、現像ローラ51にそれぞれ所定の電圧または電流が順次所定のタイミングで印加される。同様に、露光装置及び除電ランプなどにもそれぞれ所定の電圧又は電流が順次所定のタイミングで印加される。また、これと同期して、駆動手段としての感光体駆動モータにより感光体3が図中矢印方向に回転駆動される。
感光体3が図中矢印方向に回転すると、まず感光体表面が、帯電装置4によって所定の電位に帯電される。そして、露光装置から画像信号に対応した光Lが感光体3上に照射され、光Lが照射された部分の感光体3上が除電され静電潜像が形成される。
静電潜像の形成された感光体3は、現像装置5との対向部で現像ローラ51上に形成された現像剤の磁気ブラシで感光体表面を摺擦される。このとき、現像ローラ51上の負帯電トナーは、現像ローラ51に印加された所定の現像バイアスによって、静電潜像側に移動し、トナー像化(現像)される。このように、本実施形態では、感光体3上に形成された静電潜像は、現像装置5によって、負極性に帯電されたトナーにより反転現像される。本実施形態では、N/P(ネガポジ:電位が低い所にトナーが付着する)の非接触帯電ローラ方式を用いた例について説明したが、これに限るものではない。
感光体3上に形成されたトナー像は、給紙部から上レジストローラと下レジストローラとの対向部を経て、感光体3と転写装置7との間に形成される転写領域に給紙される転写紙に転写される。このとき、転写紙は上レジストローラと下レジストローラとの対向部で画像先端と同期を取り供給される。また、転写紙への転写時には、所定の転写バイアスが印加される。トナー像が転写された転写紙は感光体3から分離され、定着手段としての定着装置へ搬送される。そして、定着装置を通過する事により、熱と圧力の作用でトナー像が転写紙上に定着されて、転写紙は機外に排出される。
一方、転写後の感光体3の表面は、クリーニング装置6で転写後の残留トナーが除去され、潤滑剤塗布装置10によって潤滑剤が塗布された後、除電ランプで除電される。
また、本プリンタにおいては、感光体3と、プロセス手段として帯電装置4、現像装置5、クリーニング装置6、潤滑剤塗布装置10などが枠体2に収められており、プロセスカートリッジとして装置本体から一体的に着脱可能となっている。なお、本実施形態では、プロセスカートリッジとしての感光体3とプロセス手段とを一体的に交換するようになっている。しかしながら、感光体3、帯電装置4、現像装置5、クリーニング装置6、潤滑剤塗布装置10のような単位で新しいものと交換するような構成でもよい。
タンデム型の電子写真装置には、図3に示すように、各感光体1上の画像を転写装置2により、シート搬送ベルト3で搬送するシートsに順次転写する直接転写方式のものと、図4に示すように、各感光体1上の画像を1次転写装置2によりいったん中間転写体4に順次転写して後、その中間転写体4上の画像を2次転写装置5によりシートsに一括転写する間接転写方式のものとがある。2次転写装置5は転写搬送ベルトであるが、ローラ形状方式もある。
直接転写方式のものと、間接転写方式のものとを比較すると、前者は、感光体1を並べたタンデム型画像形成装置Tの上流側に給紙装置6を、下流側に定着装置7を配置しなければならず、シート搬送方向に大型化する欠点がある。これに対し、後者は、2次転写位置を比較的自由に設置することができる。給紙装置6及び定着装置7をタンデム型画像形成装置Tと重ねて配置することができ、小型化が可能となる利点がある。
また、前者は、シート搬送方向に大型化しないためには、定着装置7をタンデム型画像形成装置Tに接近して配置することとなる。そのため、シートsがたわむことができる十分な余裕をもって定着装置7を配置することができず、シートsの先端が定着装置7に進入するときの衝撃(特に厚いシートで顕著となる)や、定着装置7を通過するときのシート搬送速度と、転写搬送ベルトによるシート搬送速度との速度差により、定着装置7が上流側の画像形成に影響を及ぼしやすい欠点がある。
これに対し、後者は、シートsがたわむことができる十分な余裕をもって定着装置7を配置することができるから、定着装置7がほとんど画像形成に影響を及ぼさないようにすることができる。
以上のようなことから、最近は、タンデム型電子写真装置の中の、特に間接転写方式のものが注目されてきている。
そして、この種のカラー電子写真装置では、図4に示すように、1次転写後に感光体1上に残留する転写残トナーを、感光体クリーニング装置8で除去して感光体1表面をクリーニングし、再度の画像形成に備えていた。また、2次転写後に中間転写体4上に残留する転写残トナーを、中間転写体クリーニング装置9で除去して中間転写体4表面をクリーニングし、再度の画像形成に備えていた。
図5は、この発明の一実施の形態を示すもので、タンデム型間接転写方式の電子写真装置である。図中、符号100は、複写装置本体、符号200は、それを載せる給紙テーブル、符号300は、複写装置本体100上に取り付けるスキャナ、符号400は、さらにその上に取り付ける原稿自動搬送装置(ADF)である。複写装置本体100には、中央に、無端ベルト状の中間転写体10を設ける。
そして、図5に示すとおり、図示例では3つの支持ローラ14・15・16に掛け回して図中時計回りに回転搬送可能とする。
この図示例では、3つのなかで第2の支持ローラ15の左に、画像転写後に中間転写体10上に残留する残留トナーを除去する中間転写体クリーニング装置17を設ける。
また、3つのなかで第1の支持ローラ14と第2の支持ローラ15間に張り渡した中間転写体10上には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの画像形成手段18を横に並べて配置してタンデム画像形成装置20を構成する。
そのタンデム画像形成装置20の上には、図5に示すように、さらに露光装置21を設ける。一方、中間転写体10を挟んでタンデム画像形成装置20と反対の側には、2次転写装置22を備える。2次転写装置22は、図示例では、2つのローラ23間に、無端ベルトである2次転写ベルト24を掛け渡して構成し、中間転写体10を介して第3の支持ローラ16に押し当てて配置し、中間転写体10上の画像をシートに転写する。
2次転写装置22の横には、シート上の転写画像を定着する定着装置25を設ける。定着装置25は、無端ベルトである定着ベルト26に加圧ローラ27を押し当てて構成する。
上述した2次転写装置22には、画像転写後のシートをこの定着装置25へと搬送するシート搬送機能も備えてなる。もちろん、2次転写装置22として、転写ローラや非接触のチャージャを配置してもよく、そのような場合は、このシート搬送機能を併せて備えることは難しくなる。
なお、図示例では、このような2次転写装置22及び定着装置25の下に、上述したタンデム画像形成装置20と平行に、シートの両面に画像を記録すべくシートを反転するシート反転装置28を備える。
さて、いまこのカラー電子写真装置を用いてコピーをとるときは、原稿自動搬送装置400の原稿台30上に原稿をセットする。又は、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じてそれで押さえる。
そして、スタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス32上へと移動した後、他方コンタクトガラス32上に原稿をセットしたときは、直ちにスキャナ300を駆動し、第1走行体33及び第2走行体34を走行する。そして、第1走行体33で光源から光を発射するとともに原稿面からの反射光をさらに反射して第2走行体34に向け、第2走行体34のミラーで反射して結像レンズ35を通して読取りセンサ36に入れ、原稿内容を読み取る。
また、スタートスイッチを押すと、駆動モータで支持ローラ14・15・16の1つを回転駆動して他の2つの支持ローラを従動回転し、中間転写体10を回転搬送する。同時に、個々の画像形成手段18でその感光体40を回転して各感光体40上にそれぞれ、ブラック・イエロー・マゼンタ・シアンの単色画像を形成する。そして、中間転写体10の搬送とともに、それらの単色画像を順次転写して中間転写体10上に合成カラー画像を形成する。
一方、スタートスイッチを押すと、給紙テーブル200の給紙ローラ42の1つを選択回転し、ペーパーバンク43に多段に備える給紙カセット44の1つからシートを繰り出し、分離ローラ45で1枚ずつ分離して給紙路46に入れ、搬送ローラ47で搬送して複写装置本体100内の給紙路48に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。
又は、給紙ローラ50を回転して手差しトレイ51上のシートを繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。
そして、中間転写体10上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転し、中間転写体10と2次転写装置22との間にシートを送り込み、2次転写装置22で転写してシート上にカラー画像を記録する。
画像転写後のシートは、2次転写装置22で搬送して定着装置25へと送り込み、定着装置25で熱と圧力とを加えて転写画像を定着して後、切換爪55で切り換えて排出ローラ56で排出し、排紙トレイ57上にスタックする。または、切換爪55で切り換えてシート反転装置28に入れ、そこで反転して再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録して後、排出ローラ56で排紙トレイ57上に排出する。
一方、画像転写後の中間転写体10は、中間転写体クリーニング装置17で、画像転写後に中間転写体10上に残留する残留トナーを除去し、タンデム画像形成装置20による再度の画像形成に備える。
ここで、レジストローラ49は一般的には接地されて使用されることが多いが、シートの紙粉除去のためにバイアスを印加することも可能である。
以下、本発明を実施例及び比較例にて更に詳細に説明するが、本発明は、ここに例示される実施例及び比較例に限定されるものではない。なお、実施例中の部及び%は、特に記載がなければ質量部及び質量%を表わす。
(エステルワックスの製造)
[比較例I−1]
エステルワックスとして、上記一般式で表される長鎖脂肪族エステルであるドコサン酸オクタデシル、ドコサン酸イコシル、ドコサン酸ドコシル、イコサン酸オクタデシルからなる市販のエステルワックス1(質量平均分子量620、吸熱ピーク70.8℃、半値幅5.3℃)を用い、このエステルワックス1中の炭素数18〜22の脂肪族アルコールをGC−MS法により定量したところ、炭素数18〜22の脂肪族アルコールの含有量は3.5%であった。
なお、GC−MS法による炭素数18〜22の脂肪族アルコールの定量は、下記加熱脱着装置(TD)を搭載したGC−MS装置を用いて行った。
<装置構成>
TD: MAKERS 社製 UNITY2
GC−MS: Bruker 社製 SCION TQ
<測定条件>
(TD)
チューブ加熱:300℃(3min), 脱着流量: 10ml/min
コールドトラップ:General Purpose
(Graphitised Carbon)
コールドトラップ温度: −10℃→320℃(3min)
(GC)
カラム: ZB−5ms 30m, 0.25mm, 0.25μm
カラム圧力:15.6psi(定圧)
オーブン: 40℃(5min)−20℃/min−320℃(5min)
インターフェース温度: 280℃
(MS)
イオン化モード: EI, 電子エネルギー: 70eV
イオン源温度: 220℃
測定モード: スキャン(m/z 33−600)
このエステルワックス1を3mg秤量して内径22mmφのアルミニウム製シャーレに入れ、ドイツ環境ラベル「ブルーエンジェルマーク」の認証試験所の試験装置(チャンバー容積:1m3、換気回数:5回)内で、ホットプレート上に各エステルワックスを入れたシャーレを置き、220℃で10分間加熱した後のUFPの濃度を、FMPS Model 3091(TSI製)で測定したところ、1.4×105個/cm3であった。
[実施例I−1]
比較例I−1で用いた市販のエステルワックス1をn−ヘキサン中で加熱溶解し、n−ヘキサンに不溶な成分を分離し、210℃で30分間加熱してn−ヘキサンを蒸発させた後、常温に冷却してエステルワックス2を得た。このエステルワックス2を200℃の真空乾乾燥機で真空乾燥を1時間行い、精製を行った。その際、トラップなしで真空乾燥を行った。
精製したエステルワックス2中の炭素数18〜22の脂肪族アルコールをGC−MS法により定量したところ、炭素数18〜22の脂肪族アルコールの含有量は1.2%であった。
エステルワックス2を3mg秤量して内径22mmφのアルミニウム製シャーレに入れ、ドイツ環境ラベル「ブルーエンジェルマーク」の認証試験所の試験装置(チャンバー容積:1m3、換気回数:5回)内で、ホットプレート上に各エステルワックスを入れたシャーレを置き、220℃で10分間加熱した後のUFPの濃度を、FMPS Model 3091(TSI製)で測定したところ、エステルワックス2は4.0×104個/cm3であった。
[実施例I−2〜5]
実施例I−1において、真空乾燥機で真空乾燥を行う際の温度、時間を変えてエステルワックスの精製を行い、炭素数18〜22の脂肪族アルコールの含有量がそれぞれ1.1%(エステルワックス3)、0.60%(エステルワックス4)、0.12%(エステルワックス5)、0.09%(エステルワックス6)のエステルワックスを作製した。なお、真空加熱精製時には、液体窒素で冷却したトラップを通して精製を行った。
各エステルワックスを、それぞれ10mg秤量して内径22mmφのアルミニウム製シャーレに入れ、ドイツ環境ラベル「ブルーエンジェルマーク」の認証試験所の試験装置(チャンバー容積:1m3、換気回数:5回)内で、ホットプレート上に各エステルワックスを入れたシャーレを置き、220℃で10分間加熱した後のUFPの濃度を、FMPS Model 3091(TSI製)で測定したところ、エステルワックス3、エステルワックス4、エステルワックス5、エステルワックス6でそれぞれ1.4×105個/cm3、7.1×104個/cm3、8.8×103個/cm3、2.0×101個/cm3(ノイズレベル)であった。
実施例I−2〜5のエステルワックスは、UFP発生量が低いため、試験量を10mgに増やしてUFP発生量を測定した。
[実施例I−6]
エステルワックス1を195℃で45分間真空精製を行いエステルワックス7を得た。その際、トラップ無しで精製を行った。精製後のエステルワックス7中の炭素数18〜22の脂肪族アルコールを測定したところ、2.9質量%であった。
実施例I−1のエステルワックス2と同様にして、UFP濃度を求めたところ、9.1×104個/cm3であった。
[実施例I−7]
モル比で2.1/1/1のベヘン酸/ドコサノール/ステアリルアルコールを反応させた後、洗浄、乾燥を行い、エステルワックス(ドコサン酸ドコシルとドコサン酸オクタデシルの混合物)を作製した。(エステルワックス8)
エステルワックス8中の炭素数18〜22の脂肪族アルコールの含有量を測定したところ、炭素数18〜22の脂肪族アルコールは検出できなかった。
実施例I−2のエステルワックス2と同様にして、UFP濃度を求めたところ、1.8×101個/cm3であった。
実施例I−1〜7、比較例I−1のエステルワックスの物性等を表1に示す。
Figure 0006824513
(二成分現像剤の製造)
[実施例II−1〜3、比較例II−1]
−トナー母体粒子の処方−
ポリエステル樹脂 100部
(重量平均分子量:68200、ガラス転移温度(Tg):65.5℃)
着色剤(カーボンブラック) 10部
離型剤:エステルワックス 9部
帯電制御剤:モノアゾFe金属錯体 2部
エステルワックスとして、エステルワックス1、エステルワックス4、エステルワックス5、エステルワックス6をそれぞれ用いたトナー母体粒子の処方を作製した。
上記の処方に従いへンシェルミキサー(三井三池化工機株式会社製、FM20B)を用いて予備混合した後、二軸混練機(株式会社池貝製、PCM−30)で混練部121℃、送り部98℃にて溶融、混練した。得られた混練物は、ローラにて2.7mmの厚さに圧延した後にベルトクーラーにて室温まで冷却し、ハンマーミルにて200μm〜300μmに粗粉砕した。次いで、超音速ジェット粉砕機ラボジェット(日本ニューマチック工業株式会社製)を用いて微粉砕した後、気流分級機(日本ニューマチック工業株式会社製、MDS−I)で重量平均粒径が8.0±0.2μmとなるようにルーバー開度を適宜調整しながら分級し、比較例II−1、実施例II−1〜3のトナー母体粒子1〜4を得た。このときのトナー母体粒子の平均円形度は、何れも0.930であった。
トナー母体粒子1〜4の150gに、1.5gのシリカ微粒子、1.1gの酸化チタン微粒子を混合し、2Lへンシェルミキサーを用い、周速40m/secで5分間、シリカ微粒子、酸化チタン粒子をトナー表面に外添し、トナー1〜4を作製した。
トナー中の炭素数18〜22の脂肪族アルコールの含有量を、GC−MSにより定量したところ、エステルワックス1、エステルワックス4、エステルワックス5、エステルワックス6を用いたトナーで、それぞれ、0.27質量%、0.050質量%、0.010質量%、0.007質量%であった。
次に、作製したトナーを用い、以下のようにして、二成分現像剤を作製した。
<キャリアの製造>
−芯材−
Mnフェライト粒子(重量平均粒径:35μm) 5,000部
−コート材−
トルエン 450部
シリコーン樹脂 450部
(SR2400、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、不揮発分50%)
アミノシラン 10部
(SH6020、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)
カーボンブラック 10部
前記コート材を10分間スターラーで分散してコート液を調製し、前記コート液と前記芯材を流動床内に回転式底板ディスクと攪拌羽根を設けた旋回流を形成させながら、前記コートを行うコーティング装置に投入して、前記コート液を前記芯材上に塗布した。得られた塗布物を電気炉で250℃、2時間焼成し、キャリアを得た。
<二成分現像剤の作製>
シリコーン樹脂により平均厚み0.5μmとなるようにコーティングされた重量平均粒径35μmのキャリアを用い、前記キャリア100部に対してトナー7部を容器が転動して攪拌される型式のターブラーミキサーを用いて均一混合し帯電させて、二成分現像剤1〜4を作製した。
各現像剤、トナーをリコー製プリンターMP401SPF改造機(UFPの発生量を多くさせるため、定着時の設定温度を通常よりも6℃高くしている。)に搭載し、ドイツ環境ラベル「ブルーエンジェルマーク」の認証試験所の試験装置(チャンバー容積:5m3)内でUFPの発生速度を測定したところ、それぞれ5.5×1011個/10分、3.1×1011個/10分、1.9×1011個/10分、2.3×1011個/10分であった。
なお、UFPの発生速度は、FMPS Model 3091(TSI製)を用い、RAL−UZ 171に従って測定を行った。
[実施例II−4]
−ポリエステル1の合成−
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物230部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物525部、テレフタル酸203部、アジピン酸46部、及びジブチルスズオキシド2部を仕込み、常圧下、230℃で7時間反応させた。次に、10mmHg〜15mmHgの減圧下で、8時間反応させた後、反応容器中に無水トリメリット酸47部を添加し、常圧下、170℃で2時間反応させて、「ポリエステル1」を合成した。
得られた「ポリエステル1」の数平均分子量は2,650であり、質量平均分子量は6,800であった。ガラス転移温度を示差走査型熱量計DSC6200(セイコーインスツル社製)で測定したところ、44.2℃であった。酸価は、26.2mgKOH/gであった。
−−数平均分子量及び質量平均分子量の測定−−
数平均分子量及び質量平均分子量は、以下のように測定した。なお、以下、全ての合成例における数平均分子量及び質量平均分子量も同様の条件で測定した。
装置:HLC−8220GPC(東ソー社製)
カラム:TSKgel
SuperHZM−Mx3
温度:40℃
溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
流速:0.35mL/分
試料:濃度0.05〜0.6%の試料を0.01mL注入
以上の条件で測定したトナー樹脂の分子量分布から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出した。単分散ポリスチレン標準試料としては、5.8×100〜7.5×1,000,000の範囲のものを10点使用した。
−−酸価の測定−−
酸価は、以下のようにして測定した。なお、以下、全ての合成例における酸価も同様の条件で測定した。
三角フラスコに試料を1g〜1.5gを精秤し、これにキシレン20mLを加えた後、加熱溶解した。溶解後ジオキサン20mLを加え、液が濁り又はかすみを生じない間にN/10水酸化カリウム標準メタノール溶液で1%フェノールフタレイン溶液を指示薬としてできるだけ早く滴定した。同時に空試験を行った。
酸価=[5.61×(A−B)×f]/S
但し、
A:本試験に要したN/10水酸化カリウム標準メタノール溶液のmL数
B:空試験に要したN/10水酸化カリウム標準メタノール溶液のmL数
f:N/10水酸化カリウム標準メタノール溶液のファクター
S:試料(g)
−プレポリマー1の製造−
冷却管、撹拌機及び窒索導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物685部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物80部、テレフタル酸282部、無水トリメリット酸24部及びジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧230℃で7時間反応し、さらに10mmHg〜15mmHgの減圧で4時間反応し「中間体ポリエステル1」を得た。「中間体ポリエステル1」の数平均分子量は1,980、質量平均分子量は9,100であった。ガラス転移温度を示差走査型熱量計DSC6200(セイコーインスツル社製)で測定したところ、54℃であった。酸価0.6mgKOH/g、水酸基価47mgKOH/gであった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、「中間体ポリエステル1」409部、イソホロンジイソシアネート89部、酢酸エチル305部、メチルエチルケトン200部を入れ110℃で6時間反応し、「プレポリマー1」を得た。「プレポリマー1」の遊離イソシアネート%は、1.2%であった。
−−水酸基価の測定−−
水酸基価は、以下のように測定した。なお、以下、全ての合成例における水酸基価も同様の条件で測定した。
JIS K0070−1966に記載の測定方法に準拠して以下の条件で測定を行った。
0.5gの中間体ポリエステル1を100mLのメスフラスコに精秤し、これにアセチル化試薬5mLを正しく加えた。その後、100℃±5℃の浴中に浸して加熱した。1〜2時間後フラスコを浴から取り出し、放冷後水を加えて振り動かして無水酢酸を分解した。更に分解を完全にするため再びフラスコを浴中で10分間以上加熱し放冷後、有機溶剤でフラスコの壁をよく洗浄した。この液をN/2水酸化カリウムエチルアルコール溶液で電位差自動手滴定装置(DL―53 Titrator、メトラー・トレド社製)を用いて電位差滴定を行い、水酸基価を求めた。
−−水相の調製−−
イオン交換水970部、スチレン、メタクリル酸、アクリル酸ブチル及びメタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体の25%水性分散液40部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(三洋化成工業社製、エレミノールMON−7)140部、及び酢酸エチルとメチルエチルケトン混合溶液(60%/40%)90部を混合撹拌し、乳白色の液体を得た。これを「水相1」とする。
−−マスターバッチ(MB)1の作製−−
水30部、カーボンブラック(キャボット社製、リーガル400R)40部、及びポリエステル樹脂(三洋化成社製、RS−801 酸価10、質量平均分子量:20,000、ガラス転移温度:64℃)60部を加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で混合し、混合物を2本ロールを用いて130℃で45分間混練後、圧延冷却し、パルペライザーで1mmの大きさに粉砕して、「マスターバッチ1」を作製した。
−−油相の作製−−
撹拌棒、及び温度計をセットした容器内に、「ポリエステル1」を545部、離型剤としてエステルワックス5を181部、及び酢酸エチルとメチルエチルケトン混合溶液(60%/40%)1,450部を仕込み、撹拌下、80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却した。次いで、容器内に「マスターバッチ1」500部、及び酢酸エチルとメチルエチルケトン混合溶液(60%/40%)100部を仕込み、1時間混合し、「原料溶解液1」を得た。
得られた「原料溶解液1」1,500部を容器内に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmのジルコニアビーズを80体積%充填し、3パスの条件で、カーボンブラック、ワックスの分散を行った。
次いで、「ポリエステル1」425部と酢酸エチルとメチルエチルケトン混合溶液(60%/40%)230部を加え、上記条件のビーズミルで1パスし、「顔料及びワックス分散液1」を得た。得られた「顔料及びワックス分散液1」の固形分濃度が50%となるように酢酸エチルとメチルエチルケトン混合溶液(60%/40%)を加えて調整した。これを「油相1」とする。
−−トナー母体粒子造粒工程−−
得られた「油相1」975部及びアミン類としてイソホロンジアミン2.6部を混合し、「プレポリマー1」88部を加え、TKホモミキサー(特殊機化社製)で5,000rpmで1分間混合したのち、「水相1」1,200部を加え、TKホモミキサーで8,000〜13,000rpmで調整しながら20分間混合し「乳化スラリー1」を得た。
−−脱溶媒工程−−
撹拌機及び温度計をセットした容器に、「乳化スラリー1」を投入し、30℃で8時間脱溶媒を行い、「分散スラリー1」を得た。
−−洗浄及び乾燥−−
「分散スラリー1」100部を減圧濾過した後、以下のようにして、洗浄及び乾燥を行った。
(1)濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(2)(1)の濾過ケーキに10%水酸化ナトリウム水溶液100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで30分間)した後、減圧濾過した。
(3)(2)の濾過ケーキに10%塩酸100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(4)(3)の濾過ケーキにイオン交換水300部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過する操作を2回行い、「濾過ケーキ1」を得た。
得られた「濾過ケーキ1」を循風乾燥機にて40℃で48時間乾燥した。その後目開き75μmのメッシュで篩い、「トナー母体粒子5」6.0μmを得た。このときのトナー母体粒子5の平均円形度は0.960であった。
トナー母体粒子5を150gに、1.4gのシリカ微粒子、1.2gの酸化チタン微粒子を混合し、2Lへンシェルミキサーを用い、周速40m/secで6分間、シリカ微粒子、酸化チタン粒子をトナー表面に外添し、トナーを作製した。
トナー中の炭素数18〜22の脂肪族アルコールの含有量を、GC−MSにより定量したところ、0.009質量%であった。
<二成分現像剤の作製>
シリコーン樹脂により平均厚み0.6μmとなるようにコーティングされた重量平均粒径34μmのキャリアを用い、前記キャリア100部に対してトナー7部を容器が転動して攪拌される型式のターブラーミキサーを用いて均一混合し帯電させて、二成分現像剤を作製した。
各現像剤、トナーをリコー製複合機Aficio SP C831DN改造機(UFPの発生量を多くさせるため、定着時の設定温度を通常よりも3℃高くしている。)に搭載し、ドイツ環境ラベル「ブルーエンジェルマーク」の認証試験所の試験装置(チャンバー容積:5m3)内でUFPの発生速度を測定したところ、それぞれ2.0×1011個/10分であった。
なお、UFPの発生速度は、FMPS Model 3091(TSI製)を用い、RAL−UZ 171に従って測定を行った。
[比較例II−2、実施例II−5]
実施例II−2において、トナーを作製する際のエステルワックス5を、エステルワックス1及びエステルワックス2とする以外は、実施例II−2と同様にトナー6、7及び二成分現像剤6、7を作製した。この二成分現像剤6、7についてリコー製複合機Aficio SP C831DN改造機でUFPの発生速度を測定したところ、それぞれ5.4×1011個/10分、3.2×1011個/10分であった。
[実施例II−6]
実施例II−5において、トナー母体粒子の処方を下記の通りとした以外は、実施例II−5と同様にしてトナー8を作製した。
−トナー母体粒子の処方−
ポリエステル樹脂 100部
(重量平均分子量:68200、ガラス転移温度(Tg):65.5℃)
着色剤(カーボンブラック) 10部
離型剤:エステルワックス7 7.8部
帯電制御剤:モノアゾFe金属錯体 2部
作製したトナー中の炭素数18〜22の脂肪族アルコールは、0.19質量%であった。
実施例II−1と同様にこのトナーを用いて現像剤を作製し、UFPの発生速度を測定したところ、3.4×1011/10分であった。
[実施例II−7]
(未変性ポリエステル)
<未変性ポリエステル101の合成>
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物229部、ビスフェノールAプロピオンオキサイド3モル付加物529部、テレフタル酸208部、アジピン酸46部及びジブチルスズオキシド2部を入れ、常圧下、230℃で8時間反応させた。
さらに10〜15mmHgの減圧下で5時間反応させた後、反応槽中に無水トリメリット酸45部を添加し、常圧下、180℃で2時間反応させて、[未変性ポリエステル101]を得た。
[未変性ポリエステル101]は、数平均分子量が2500、重量平均分子量が6700、ガラス転移温度が43℃、酸価が26.2mgKOH/gであった。
(NCO変性ポリエステル)
<イソシアネート変性ポリエステル101の合成>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81部、テレフタル酸290部、無水トリメリット酸9部及びジブチルスズオキシド2部を入れ、常圧下、230℃で8時間反応させた後、さらに10〜15mHgの減圧下で、8時間反応させて、[中間体ポリエステル101]を合成した。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、[中間体ポリエステル101]を453部、イソホロンジイソシアネート41部及び酢酸エチル500部を仕込み、100℃で5時間反応させて、イソシアネート変性ポリエステル101の酢酸エチル溶液(固形分濃度50%)を得た。
[イソシアネート変性ポリエステル101]は、数平均分子量3,200、重量平均分子量14、400、NCO含量0.76%であった。
(マスターバッチの作製)
<マスターバッチ101>
カーボンブラック(キャボット社製 リーガル400R):40部、[未変性ポリエステル101]:60部、水:30部をヘンシェルミキサーにて混合し、顔料凝集体中に水が染み込んだ混合物を得た。これをロール表面温度130℃に設定した2本ロールにより45分間混練を行ない、パルベライザーで1mmの大きさに粉砕し、[マスターバッチ101]を得た。
(顔料・WAX分散液(油相)の作製)
撹拌棒および温度計をセットした容器に、[未変性ポリエステル101]545部、エステルワックス4:181部、酢酸エチル1450部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却した。次いで容器に[マスターバッチ1]500部、酢酸エチル100部を仕込み、1時間混合し[原料溶解液101]を得た。
[原料溶解液101]1500部を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、カーボンブラック、WAXの分散を行った。次いで、[ポリエステル101]の425部と酢酸エチルとメチルエチルケトン混合溶液(60%/40%)230部を加え、上記条件のビーズミルで1パスし、[顔料・WAX分散液101]を得た。[顔料・WAX分散液101]の固形分濃度(130℃、30分)が50%となるように酢酸エチルを加えて調整後[油相101]を得た。
(水相の調製)
イオン交換水970部、分散安定用の有機樹脂微粒子(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の25質量%水性分散液40部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(エレミノールMON−7:三洋化成工業製)140部、酢酸エチル90部を混合撹拌し、[水相101]を得た。
(乳化工程)
[油相101]975部をTKホモミキサー(特殊機化製)で5,000rpmにて1分間混合した後、さらに水とエタノールの総量100に対して水:エタノール=3:7とした際の2.5%相当の水酸化ナトリウム混合液(以後2.5%水酸化ナトリウム水溶液と表記)を乳化後の粒径が4〜5ミクロンになるように相当量滴下して5,000rpmにて1分間混合した後、最後に[イソシアネート変性ポリエステル101]88部を加えTKホモミキサー(特殊機化製)で5,000rpmにて1分間混合した後、[水相101]1200部を加え、TKホモミキサーで、回転数8,000〜13,000rpmで調整しながら20分間混合し[乳化スラリー101]を得た。
(脱溶剤)
撹拌機および温度計をセットした容器に、[乳化スラリー101]を投入し、30℃で8時間脱溶剤を行ない、[分散スラリー101]を得た。
(洗浄⇒乾燥)
[分散スラリー101]100部を減圧濾過した後、
(1):濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。このときのろ液は、乳白色であった。
(2):(1)の濾過ケーキにイオン交換水900部を加え、超音波振動を付与してTKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで30分間)した後、減圧濾過した。リスラリー液の電気伝導度が10μC/cm以下となるようにこの操作を繰り返した。
(3):(2)のリスラリー液のpHが4となる様に10%塩酸を加え、そのままスリーワンモーターで攪拌30分後濾過した。
(4):(3)の濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。リスラリー液の電気伝導度が10μC/cm以下となるようにこの操作を繰り返し[濾過ケーキ101]を得た。
[濾過ケーキ101]を循風乾燥機にて42℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い、[トナー母体9]を得た。平均円形度は0.972、また、体積平均粒径(Dv)は5.8μm、個数平均粒径(Dp)は5.1μmで、Dv/Dpは1.16の粒度分布を有するトナー母体が得られた。ついで、この母体トナー100部に疎水性シリカ1.8部をヘンシェルミキサーにて混合して、本発明の[トナー9]を得た。
トナー9中の炭素数18〜22の脂肪酸アルコールの含有量は0.060質量%であった。
[実施例II−8]
実施例II−7において、エステルワックス4の代わりにエステルワックス8を用いる以外は実施例II−7と同様にしてトナー10を得た。
トナー10中の炭素数18〜22の脂肪酸アルコールは検出されなかった。
[比較例II−3]
実施例II−7において、エステルワックス4の代わりにエステルワックス1を用いる以外は実施例II−7と同様にしてトナー11を得た。
トナー11中の炭素数18〜22の脂肪酸アルコールは0.25質量%であった。
作製したトナー9〜11を一成分現像剤として用いて、以下のようにしてUFPの発生速度を求めた。
モノクロ一成分電子写真方式レーザープリンター(「RICOH SP 4510」;株式会社リコー製)の定着ロールの設定温度を通常よりも18℃高く改造したものを用意した。トナー9〜11を用いてモノクロ一成分電子写真方式レーザープリンターから発生するUFPの発生速度を、実施例II−1と同様に測定したところ、それぞれ、3.3×1011個/10分、2.2×1011個/10分、6.1×1011個/10分であった。
トナー9〜11を35℃、45%RHの環境に120時間保存後、モノクロ一成分電子写真方式レーザープリンターで画像形成を2000枚行い、2000枚目の画像を評価したところ、トナー9、11の画像は高品質の画像であったが、トナー10の画像は、実使用上は問題がないものの、画像を凝視すると薄っすらとスジ状の箇所が観察された。トナー10は、トナー粒子中の炭素数18〜22の脂肪族アルコールの含有量が検出されず、UFP発生速度は低いが、有機酸成分が若干残存するため、薄っすらとスジ状の箇所が観察された。
Figure 0006824513
(図1〜図2について)
1 作像ユニット
2 枠体
3 感光体
4 帯電装置
5 現像装置
6 クリーニング装置
7 転写装置
10 潤滑剤塗布装置
14 中間転写ベルト
40 光書込ユニット
41 ポリゴンミラー
51 現像ローラ
52 供給スクリュ
53 攪拌スクリュ
54 ドクタブレード
55 レジストローラ対
60 転写ユニット
62 クリーニングブレード
101 ファーブラシ
103 固形潤滑剤
151 第一給紙カセット
151a 第一給紙ローラ
152 第二給紙カセット
152a 第二給紙ローラ
153 給紙路
154 搬送ローラ対
500 プリンタ
L レーザー光
P 転写紙
(図3〜図5について)
1 感光体
2 転写装置
3 シート搬送ベルト
4 中間転写体
5 2次転写装置
6 給紙装置
7 定着装置
8 感光体クリーニング装置
9 中間転写体クリーニング装置
10 中間転写体
14 支持ローラ
15 支持ローラ
16 支持ローラ
17 中間転写体クリーニング装置
18 画像形成手段
20 タンデム画像形成装置
21 露光装置
22 2次転写装置
23 ローラ
24 2次転写ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
28 シート反転装置
30 原稿台
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読取りセンサ
40 感光体
42 給紙ローラ
43 ペーパーバンク
44 給紙カセット
45 分離ローラ
46 給紙路
47 搬送ローラ
48 給紙路
49 レジストローラ
50 給紙ローラ
51 手差しトレイ
52 分離ローラ
53 手差し給紙路
55 切換爪
56 排出ローラ
57 排紙トレイ
100 複写装置本体
200 給紙テーブル
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置
s シート
T タンデム型画像形成装置
特許第5530990号公報 特開2009−092864号公報 特開2011−169968号公報 特開2014−077988号公報

Claims (5)

  1. 一般式 R−COO−R’
    (R:炭素数13〜23のアルキル基、R’:炭素数18〜22のアルキル基)
    で表される長鎖脂肪族エステルを含むエステルワックスを含有するトナーであって、前記トナー中の炭素数18〜22の脂肪族アルコールの含有量が、0.01質量%以上0.20質量%以下であるトナー。
  2. 前記エステルワックスはDSCによる吸熱ピークが、65〜75℃である請求項1に記載のトナー
  3. 請求項1又は2に記載のトナーを含む現像剤。
  4. 請求項1又は2に記載のトナーを収容したトナー収容ユニット。
  5. 静電潜像担持体と、
    前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
    前記静電潜像担持体上に形成された前記静電潜像を現像してトナー像を形成する、現像剤を備える現像手段と、を有し、
    前記現像剤が、請求項3に記載の現像剤である画像形成装置。
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