JP6824513B2 - トナー用エステルワックス、並びにそれを用いたトナー、現像剤、トナー収容ユニット及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
近年、シリコーンオイルを定着装置に塗布して定着を行い、定着装置にトナーが固着することを防止するオイル定着の代わりに、トナー中にワックスを含有させた、所謂、オイルレス定着用トナーが用いられることが多くなった。これは、トナー中のワックスが定着時に溶けて定着装置表面にワックスが固着することを防ぐものである。これにより画像形成装置が簡略化されるとともに、シリコーンオイルによる汚染を防止することができる。
「ブルーエンジェルマーク(2013年1月改定 RAL−UZ 171 )」で規定されている微粒子および超微粒子は、粒径7〜300nmの粒子が測定される測定器で測定される粒子のことである。
「ブルーエンジェルマーク」の認定基準は、画像形成装置を10分間稼働させた際に発生する微粒子および超微粒子の数を3.5×1011個/10分より少ないことが求められている。「ブルーエンジェルマーク」が規定する微粒子および超微粒子は、物質の種類は全く関係なく、微粒子および超微粒子全体の質量も関係ない。あくまでも測定器が計測する微粒子および超微粒子の数のみが関係する。また、微粒子および超微粒子の発生速度は、画像形成装置の画像形成の速度には関係なく、10分間画像形成をし続けた際に発生した微粒子および超微粒子が「ブルーエンジェルマーク」では、微粒子および超微粒子の発生速度と定義している。
一般的に使用されている粒子計測器FMPS(Fast Mobility Particle Sizer)では、粒径5.6nm〜560nmの粒子が測定され、FMPSで測定された粒子も、ブルーエンジェルマークで規定された微粒子及び超微粒子となる。本発明においては、上記画像形成装置を10分間稼働させた際に発生する微粒子および超微粒子の数をFMPSで測定し、FMPSで測定される粒径5.6nm〜560nmの粒子のことをUFPと称する。
特許文献4には、UFPがトナーのワックスのパラフィンであることが開示されている。
(R:炭素数13〜23のアルキル基、R’:炭素数18〜22のアルキル基)
で表される長鎖脂肪族エステルを含むトナー用エステルワックスであって、炭素数18〜22の脂肪族アルコールの含有量が、3質量%未満であるトナー用エステルワックス、である。
前述のようにパラフィンは加熱した際の揮発量が多いため、パラフィンを含有するトナーを用いた場合、パラフィンがUFPとなっても、不思議ではない。しかし、パラフィンではなく、粉じんをほとんど発生させないエステルワックスを用いているにもかかわらず、画像形成を行った際のUFPの増加は起きてしまう場合があり、特に定着時の温度が高い場合にUFPが多くなることが分かってきた。
本発明者らは、エステルワックスを用いたトナーを用いる画像形成装置から発生するUFPが何であるかを調べるために、総揮発性有機化合物(TVOC)の分析を行ってみたが、様々な材料が検出され、何がUFPであるか、全くわからなかった。これは、UFPの発生量自体は数μg程度しかないのに対して、TVOCの質量はUFPの全発生量の数百倍〜数十万倍であり、UFPがTVOCに対してあまりに微量であるため、UFPを特定できなかったためである。
TVOCのガス成分とUFPとを分離する手段として、ディフュージョンチューブを用いたUFPの採取が提案されている(住宅総合研究財団研究論文集No.37, 2010 年版, pp.215−224)。
実際、本発明者らがトナーのみを加熱し、UFPを採取、分析したところ、やはり脂肪族アルコールが検出された。次に、トナーの構成成分それぞれを加熱し、UFPを採取、分析したところ、エステルワックスから脂肪族アルコールが検出されることが分かった。
本発明者らは、「ブルーエンジェルマーク」の超微粒子の基準をクリアーするためには、脂肪族アルコールの濃度を一定以下にしなければならないことを見出し、本発明に至った。
トナー中のエステルワックスのDSCによる吸熱ピークは示差走査型熱量計(DSC)で確認できる。本発明におけるDSC測定(吸熱ピークやガラス転移点Tg)は、示差走査熱量計(「DSC−60」;島津製作所製)を用い、10℃/分で20〜150℃まで昇温して測定する。
前記合成エステルワックスを合成する際の直鎖脂肪酸としては、炭素数14〜24の脂肪酸、例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸等が挙げられる。
前記合成エステルワックス中の炭素数18〜22の脂肪族アルコールの含有量の少ない合成エステルワックスを合成するためには、直鎖脂肪酸と、炭素数18〜22の脂肪族アルコールを等モル混合し、エステル化すれば良いが、大量の合成ワックスを作製する際には、直鎖脂肪酸が過多な箇所が生じ、合成エステルワックス中に直鎖脂肪酸が残留する可能性が高いため、エステル化の際には、脂肪族アルコールを多目にしてエステル化を行い、製造後、精製により脂肪族アルコールを除去した方が好ましい。
合成エステルワックス中の不純物は、天然エステルワックスに比べて少ないが、市販の上記一般式で表されるエステルワックスを含む合成エステルワックス中には、炭素数18〜22の脂肪族アルコールが不純物として含まれている。この不純物として含まれる炭素数18〜22の脂肪族アルコールの含有量は、UFPを発生させるに十分な量であるため、精製が必要である。本発明のトナー用エステルワックス中の炭素数18〜22の脂肪族アルコールの濃度は、3質量%未満であり、好ましくは1.8質量%未満、さらに好ましくは0.1〜1.2質量%である。3質量%以上では、画像形成装置から発生するUFPの量が多くなり、「ブルーエンジェルマーク」の認証を得ることが難しくなり好ましくない。
脂肪族アルコールを完全になくすことは、エステルワックスの合成時の処方の検討、あるいはエステルワックスの合成後に脂肪族アルコールを除去することにより可能である。しかし、脂肪族アルコールの残留をなくす処方では、代わりに脂肪酸が残留する可能性が高くなり、エステルワックスをトナーに用いた場合、トナーの保存性の低下が生じやすく好ましくない。また、脂肪族アルコールを完全に除去するためには、除去工程が複雑となり、除去に時間がかかってしまうため、コストアップにつながり好ましくない。
<数式1>
円形度SR=(トナー粒子の投影面積と同じ面積の円の周囲長)/
(トナー粒子の投影像の周囲長)
まず、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスフォン酸塩)を0.1〜0.5ml加え、更に測定試料を0.1〜0.5g程度加える。試料を分散した懸濁液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、分散液濃度を3000〜10000個/μlとして前記装置によりトナーの形状、粒度を測定する。
前記ジオール(1−1)としては、例えばアルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらの中でも、炭素数2〜12のアルキレングリコール、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物が好ましく、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、これと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用が特に好ましい。
まず、前記ポリオール(1)と、前記ポリカルボン酸(2)を、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を溜去して、水酸基を有するポリエステルを得る。次いで、40〜140℃にて、これにポリイソシアネート(3)を反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得る。更に(A)にアミン類(B)を0〜140℃にて反応させ、ウレア結合で変性されたポリエステルを得る。(3)を反応させる際及び(A)と(B)を反応させる際には、必要により溶剤を用いることもできる。
前記トナーは、水系媒体中でイソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)からなる分散体を、(B)と反応させて形成してもよいし、予め製造したウレア変性ポリエステル(i)を用いてもよい。水系媒体中でウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマー(A)からなる分散体を安定して形成させる方法としては、水系媒体中にウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマー(A)からなるトナー原料の組成物を加えて、せん断力により分散させる方法などが挙げられる。
前記分散の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。分散体の粒径を2〜20μmにするためには高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、1000〜30000rpmが好ましく、5000〜20000rpmがより好ましい。前記分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分間である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃が好ましく、40〜98℃がより好ましい。高温な方が、ウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマー(A)からなる分散体の粘度が低く、分散が容易な点で好ましい。
前記分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、界面活性剤、難水溶性の無機化合物分散剤、高分子系保護コロイド、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、界面活性剤が好ましい。
前記陰イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステル等が挙げられ、これらの中でも、フルオロアルキル基を有するものが好適に挙げられる。該フルオロアルキル基を有する陰イオン界面活性剤としては、例えば、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸又はその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルキル(炭素数6〜11)オキシ]−1−アルキル(炭素数3〜4)スルホン酸ナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルカノイル(炭素数6〜8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(炭素数11〜20)カルボン酸又はその金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(炭素数7〜13)又はその金属塩、パーフルオロアルキル(炭素数4〜12)スルホン酸又はその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(炭素数6〜10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(炭素数6〜10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(炭素数6〜16)エチルリン酸エステル等が挙げられる。該フルオロアルキル基を有する界面活性剤の市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製);フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製);ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製);メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ化学工業社製);エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204(ト−ケムプロダクツ社製);フタージェントF−100、F150(ネオス社製)等が挙げられる。
前記両性界面活性剤としては、例えば、アラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシン、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタイン等が挙げられる。
前記水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体としては、例えば、アクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等が挙げられる。
前記ビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等が挙げられる。
前記アミド化合物又はこれらのメチロール化合物としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド酸、又はこれらのメチロール化合物、などが挙げられる。
前記クロライド類としては、例えば、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド等が挙げられる。
前記ポリオキシエチレン系としては、例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステル等が挙げられる。
前記セルロース類としては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
前記分散安定剤を用いた場合は、塩酸等の酸によりリン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗する方法、酵素により分解する方法等によって、微粒子からリン酸カルシウム塩を除去することができる。
分級操作は液中でサイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことができる。乾燥後に粉体として取得した後に分級操作を行ってもよいが、液体中で行うことが効率の面で好ましい。得られた不要の微粒子、又は粗粒子は再び混練工程に戻して粒子の形成に用いることができる。その際、不要の微粒子又は粗粒子はウェットの状態でも構わない。
用いた分散剤は得られた分散液からできるだけ取り除くことが好ましいが、先に述べた分級操作と同時に行うのが好ましい。
この製法によると、得られるトナーに含有される着色剤粒子の粒径が小さくなるばかりでなく、該粒子の分散状態の均一性が高くなるため、OHPによる投影像の色の再現性がより一層よくなる。
前記無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などが挙げられる。
本願発明のエステルワックス以外の離型剤のDSCによる吸熱ピークは、70℃〜150℃であることが好ましい。70℃以上であれば、トナーの耐熱保存性の低下を防止できる。150℃以下であれば、離型性の効果を発揮できる。
本発明の現像剤は、少なくとも前記トナーを含み、必要に応じてキャリア等の適宜選択されるその他の成分を含む。
このため、転写性、帯電性等に優れ、高画質な画像を安定に形成することができる。なお、現像剤は、一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよいが、近年の情報処理速度の向上に対応した高速プリンター等に使用する場合には、寿命が向上することから、二成分現像剤が好ましい。
前記キャリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択すればよく、例えば、磁性キャリア、樹脂キャリアが挙げられる。磁性キャリアとしては、粒子径20〜200μm程度の鉄粉、フェライト粉、マグネタイト粉、磁性樹脂キャリアなど従来から公知のものが使用できる。現像剤中のキャリアとトナーの含有比は、キャリア100質量部に対してトナー1質量部〜10質量部が好ましい。
前記キャリアは、芯材と、芯材を被覆する樹脂層を有するものが好ましい。
本発明におけるトナー収容ユニットとは、トナーを収容する機能を有するユニットに、トナーを収容したものをいう。ここで、トナー収容ユニットの態様としては、例えば、トナー収容容器、現像器、プロセスカートリッジが挙げられる。
現像器は、トナーを収容し現像する手段を有するものをいう。
プロセスカートリッジとは、少なくとも静電潜像担持体(像担持体ともいう)と現像手段とを一体とし、トナーを収容し、画像形成装置に対して着脱可能であるものをいう。前記プロセスカートリッジは、更に帯電手段、露光手段、クリーニング手段から選ばれる少なくとも一つを備えてもよい。
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体と、前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像担持体上に形成された前記静電潜像を現像してトナー像を形成する、現像剤を備える現像手段とを少なくとも有し、更に必要に応じて、その他の手段を有する。
本発明に関する画像形成方法は、静電潜像形成工程と、現像工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
前記静電潜像担持体の材質、構造、大きさとしては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、その材質としては、例えば、アモルファスシリコン、セレン等の無機感光体、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体などが挙げられる。
前記静電潜像形成手段としては、前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記静電潜像担持体の表面を帯電させる帯電部材と、前記静電潜像担持体の表面を像様に露光する露光部材とを少なくとも有する手段などが挙げられる。
前記現像手段としては、前記静電潜像担持体に形成された前記静電潜像を現像して可視像を形成する、トナーを備える現像手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記その他の手段としては、例えば、転写手段、定着手段、クリーニング手段、除電手段、リサイクル手段、制御手段などが挙げられる。
本発明による画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置としても使用できる。
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のプリンタ(以下、単にプリンタ500という)の一実施形態について説明する。まず、本実施形態に係るプリンタ500の基本的な構成について説明する。
操作部などからプリント実行の信号を受信したら、帯電装置4、現像ローラ51にそれぞれ所定の電圧または電流が順次所定のタイミングで印加される。同様に、露光装置及び除電ランプなどにもそれぞれ所定の電圧又は電流が順次所定のタイミングで印加される。また、これと同期して、駆動手段としての感光体駆動モータにより感光体3が図中矢印方向に回転駆動される。
以上のようなことから、最近は、タンデム型電子写真装置の中の、特に間接転写方式のものが注目されてきている。
この図示例では、3つのなかで第2の支持ローラ15の左に、画像転写後に中間転写体10上に残留する残留トナーを除去する中間転写体クリーニング装置17を設ける。
上述した2次転写装置22には、画像転写後のシートをこの定着装置25へと搬送するシート搬送機能も備えてなる。もちろん、2次転写装置22として、転写ローラや非接触のチャージャを配置してもよく、そのような場合は、このシート搬送機能を併せて備えることは難しくなる。
又は、給紙ローラ50を回転して手差しトレイ51上のシートを繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。
そして、中間転写体10上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転し、中間転写体10と2次転写装置22との間にシートを送り込み、2次転写装置22で転写してシート上にカラー画像を記録する。
ここで、レジストローラ49は一般的には接地されて使用されることが多いが、シートの紙粉除去のためにバイアスを印加することも可能である。
[比較例I−1]
エステルワックスとして、上記一般式で表される長鎖脂肪族エステルであるドコサン酸オクタデシル、ドコサン酸イコシル、ドコサン酸ドコシル、イコサン酸オクタデシルからなる市販のエステルワックス1(質量平均分子量620、吸熱ピーク70.8℃、半値幅5.3℃)を用い、このエステルワックス1中の炭素数18〜22の脂肪族アルコールをGC−MS法により定量したところ、炭素数18〜22の脂肪族アルコールの含有量は3.5%であった。
<装置構成>
TD: MAKERS 社製 UNITY2
GC−MS: Bruker 社製 SCION TQ
<測定条件>
(TD)
チューブ加熱:300℃(3min), 脱着流量: 10ml/min
コールドトラップ:General Purpose
(Graphitised Carbon)
コールドトラップ温度: −10℃→320℃(3min)
(GC)
カラム: ZB−5ms 30m, 0.25mm, 0.25μm
カラム圧力:15.6psi(定圧)
オーブン: 40℃(5min)−20℃/min−320℃(5min)
インターフェース温度: 280℃
(MS)
イオン化モード: EI, 電子エネルギー: 70eV
イオン源温度: 220℃
測定モード: スキャン(m/z 33−600)
比較例I−1で用いた市販のエステルワックス1をn−ヘキサン中で加熱溶解し、n−ヘキサンに不溶な成分を分離し、210℃で30分間加熱してn−ヘキサンを蒸発させた後、常温に冷却してエステルワックス2を得た。このエステルワックス2を200℃の真空乾乾燥機で真空乾燥を1時間行い、精製を行った。その際、トラップなしで真空乾燥を行った。
精製したエステルワックス2中の炭素数18〜22の脂肪族アルコールをGC−MS法により定量したところ、炭素数18〜22の脂肪族アルコールの含有量は1.2%であった。
エステルワックス2を3mg秤量して内径22mmφのアルミニウム製シャーレに入れ、ドイツ環境ラベル「ブルーエンジェルマーク」の認証試験所の試験装置(チャンバー容積:1m3、換気回数:5回)内で、ホットプレート上に各エステルワックスを入れたシャーレを置き、220℃で10分間加熱した後のUFPの濃度を、FMPS Model 3091(TSI製)で測定したところ、エステルワックス2は4.0×104個/cm3であった。
実施例I−1において、真空乾燥機で真空乾燥を行う際の温度、時間を変えてエステルワックスの精製を行い、炭素数18〜22の脂肪族アルコールの含有量がそれぞれ1.1%(エステルワックス3)、0.60%(エステルワックス4)、0.12%(エステルワックス5)、0.09%(エステルワックス6)のエステルワックスを作製した。なお、真空加熱精製時には、液体窒素で冷却したトラップを通して精製を行った。
各エステルワックスを、それぞれ10mg秤量して内径22mmφのアルミニウム製シャーレに入れ、ドイツ環境ラベル「ブルーエンジェルマーク」の認証試験所の試験装置(チャンバー容積:1m3、換気回数:5回)内で、ホットプレート上に各エステルワックスを入れたシャーレを置き、220℃で10分間加熱した後のUFPの濃度を、FMPS Model 3091(TSI製)で測定したところ、エステルワックス3、エステルワックス4、エステルワックス5、エステルワックス6でそれぞれ1.4×105個/cm3、7.1×104個/cm3、8.8×103個/cm3、2.0×101個/cm3(ノイズレベル)であった。
実施例I−2〜5のエステルワックスは、UFP発生量が低いため、試験量を10mgに増やしてUFP発生量を測定した。
エステルワックス1を195℃で45分間真空精製を行いエステルワックス7を得た。その際、トラップ無しで精製を行った。精製後のエステルワックス7中の炭素数18〜22の脂肪族アルコールを測定したところ、2.9質量%であった。
実施例I−1のエステルワックス2と同様にして、UFP濃度を求めたところ、9.1×104個/cm3であった。
モル比で2.1/1/1のベヘン酸/ドコサノール/ステアリルアルコールを反応させた後、洗浄、乾燥を行い、エステルワックス(ドコサン酸ドコシルとドコサン酸オクタデシルの混合物)を作製した。(エステルワックス8)
エステルワックス8中の炭素数18〜22の脂肪族アルコールの含有量を測定したところ、炭素数18〜22の脂肪族アルコールは検出できなかった。
実施例I−2のエステルワックス2と同様にして、UFP濃度を求めたところ、1.8×101個/cm3であった。
[実施例II−1〜3、比較例II−1]
−トナー母体粒子の処方−
ポリエステル樹脂 100部
(重量平均分子量:68200、ガラス転移温度(Tg):65.5℃)
着色剤(カーボンブラック) 10部
離型剤:エステルワックス 9部
帯電制御剤:モノアゾFe金属錯体 2部
上記の処方に従いへンシェルミキサー(三井三池化工機株式会社製、FM20B)を用いて予備混合した後、二軸混練機(株式会社池貝製、PCM−30)で混練部121℃、送り部98℃にて溶融、混練した。得られた混練物は、ローラにて2.7mmの厚さに圧延した後にベルトクーラーにて室温まで冷却し、ハンマーミルにて200μm〜300μmに粗粉砕した。次いで、超音速ジェット粉砕機ラボジェット(日本ニューマチック工業株式会社製)を用いて微粉砕した後、気流分級機(日本ニューマチック工業株式会社製、MDS−I)で重量平均粒径が8.0±0.2μmとなるようにルーバー開度を適宜調整しながら分級し、比較例II−1、実施例II−1〜3のトナー母体粒子1〜4を得た。このときのトナー母体粒子の平均円形度は、何れも0.930であった。
トナー中の炭素数18〜22の脂肪族アルコールの含有量を、GC−MSにより定量したところ、エステルワックス1、エステルワックス4、エステルワックス5、エステルワックス6を用いたトナーで、それぞれ、0.27質量%、0.050質量%、0.010質量%、0.007質量%であった。
次に、作製したトナーを用い、以下のようにして、二成分現像剤を作製した。
−芯材−
Mnフェライト粒子(重量平均粒径:35μm) 5,000部
−コート材−
トルエン 450部
シリコーン樹脂 450部
(SR2400、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、不揮発分50%)
アミノシラン 10部
(SH6020、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)
カーボンブラック 10部
シリコーン樹脂により平均厚み0.5μmとなるようにコーティングされた重量平均粒径35μmのキャリアを用い、前記キャリア100部に対してトナー7部を容器が転動して攪拌される型式のターブラーミキサーを用いて均一混合し帯電させて、二成分現像剤1〜4を作製した。
各現像剤、トナーをリコー製プリンターMP401SPF改造機(UFPの発生量を多くさせるため、定着時の設定温度を通常よりも6℃高くしている。)に搭載し、ドイツ環境ラベル「ブルーエンジェルマーク」の認証試験所の試験装置(チャンバー容積:5m3)内でUFPの発生速度を測定したところ、それぞれ5.5×1011個/10分、3.1×1011個/10分、1.9×1011個/10分、2.3×1011個/10分であった。
なお、UFPの発生速度は、FMPS Model 3091(TSI製)を用い、RAL−UZ 171に従って測定を行った。
−ポリエステル1の合成−
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物230部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物525部、テレフタル酸203部、アジピン酸46部、及びジブチルスズオキシド2部を仕込み、常圧下、230℃で7時間反応させた。次に、10mmHg〜15mmHgの減圧下で、8時間反応させた後、反応容器中に無水トリメリット酸47部を添加し、常圧下、170℃で2時間反応させて、「ポリエステル1」を合成した。
得られた「ポリエステル1」の数平均分子量は2,650であり、質量平均分子量は6,800であった。ガラス転移温度を示差走査型熱量計DSC6200(セイコーインスツル社製)で測定したところ、44.2℃であった。酸価は、26.2mgKOH/gであった。
数平均分子量及び質量平均分子量は、以下のように測定した。なお、以下、全ての合成例における数平均分子量及び質量平均分子量も同様の条件で測定した。
装置:HLC−8220GPC(東ソー社製)
カラム:TSKgel
SuperHZM−Mx3
温度:40℃
溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
流速:0.35mL/分
試料:濃度0.05〜0.6%の試料を0.01mL注入
酸価は、以下のようにして測定した。なお、以下、全ての合成例における酸価も同様の条件で測定した。
三角フラスコに試料を1g〜1.5gを精秤し、これにキシレン20mLを加えた後、加熱溶解した。溶解後ジオキサン20mLを加え、液が濁り又はかすみを生じない間にN/10水酸化カリウム標準メタノール溶液で1%フェノールフタレイン溶液を指示薬としてできるだけ早く滴定した。同時に空試験を行った。
酸価=[5.61×(A−B)×f]/S
但し、
A:本試験に要したN/10水酸化カリウム標準メタノール溶液のmL数
B:空試験に要したN/10水酸化カリウム標準メタノール溶液のmL数
f:N/10水酸化カリウム標準メタノール溶液のファクター
S:試料(g)
冷却管、撹拌機及び窒索導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物685部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物80部、テレフタル酸282部、無水トリメリット酸24部及びジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧230℃で7時間反応し、さらに10mmHg〜15mmHgの減圧で4時間反応し「中間体ポリエステル1」を得た。「中間体ポリエステル1」の数平均分子量は1,980、質量平均分子量は9,100であった。ガラス転移温度を示差走査型熱量計DSC6200(セイコーインスツル社製)で測定したところ、54℃であった。酸価0.6mgKOH/g、水酸基価47mgKOH/gであった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、「中間体ポリエステル1」409部、イソホロンジイソシアネート89部、酢酸エチル305部、メチルエチルケトン200部を入れ110℃で6時間反応し、「プレポリマー1」を得た。「プレポリマー1」の遊離イソシアネート%は、1.2%であった。
水酸基価は、以下のように測定した。なお、以下、全ての合成例における水酸基価も同様の条件で測定した。
JIS K0070−1966に記載の測定方法に準拠して以下の条件で測定を行った。
0.5gの中間体ポリエステル1を100mLのメスフラスコに精秤し、これにアセチル化試薬5mLを正しく加えた。その後、100℃±5℃の浴中に浸して加熱した。1〜2時間後フラスコを浴から取り出し、放冷後水を加えて振り動かして無水酢酸を分解した。更に分解を完全にするため再びフラスコを浴中で10分間以上加熱し放冷後、有機溶剤でフラスコの壁をよく洗浄した。この液をN/2水酸化カリウムエチルアルコール溶液で電位差自動手滴定装置(DL―53 Titrator、メトラー・トレド社製)を用いて電位差滴定を行い、水酸基価を求めた。
イオン交換水970部、スチレン、メタクリル酸、アクリル酸ブチル及びメタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体の25%水性分散液40部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(三洋化成工業社製、エレミノールMON−7)140部、及び酢酸エチルとメチルエチルケトン混合溶液(60%/40%)90部を混合撹拌し、乳白色の液体を得た。これを「水相1」とする。
水30部、カーボンブラック(キャボット社製、リーガル400R)40部、及びポリエステル樹脂(三洋化成社製、RS−801 酸価10、質量平均分子量:20,000、ガラス転移温度:64℃)60部を加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で混合し、混合物を2本ロールを用いて130℃で45分間混練後、圧延冷却し、パルペライザーで1mmの大きさに粉砕して、「マスターバッチ1」を作製した。
撹拌棒、及び温度計をセットした容器内に、「ポリエステル1」を545部、離型剤としてエステルワックス5を181部、及び酢酸エチルとメチルエチルケトン混合溶液(60%/40%)1,450部を仕込み、撹拌下、80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却した。次いで、容器内に「マスターバッチ1」500部、及び酢酸エチルとメチルエチルケトン混合溶液(60%/40%)100部を仕込み、1時間混合し、「原料溶解液1」を得た。
次いで、「ポリエステル1」425部と酢酸エチルとメチルエチルケトン混合溶液(60%/40%)230部を加え、上記条件のビーズミルで1パスし、「顔料及びワックス分散液1」を得た。得られた「顔料及びワックス分散液1」の固形分濃度が50%となるように酢酸エチルとメチルエチルケトン混合溶液(60%/40%)を加えて調整した。これを「油相1」とする。
得られた「油相1」975部及びアミン類としてイソホロンジアミン2.6部を混合し、「プレポリマー1」88部を加え、TKホモミキサー(特殊機化社製)で5,000rpmで1分間混合したのち、「水相1」1,200部を加え、TKホモミキサーで8,000〜13,000rpmで調整しながら20分間混合し「乳化スラリー1」を得た。
−−脱溶媒工程−−
撹拌機及び温度計をセットした容器に、「乳化スラリー1」を投入し、30℃で8時間脱溶媒を行い、「分散スラリー1」を得た。
「分散スラリー1」100部を減圧濾過した後、以下のようにして、洗浄及び乾燥を行った。
(1)濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(2)(1)の濾過ケーキに10%水酸化ナトリウム水溶液100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで30分間)した後、減圧濾過した。
(3)(2)の濾過ケーキに10%塩酸100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(4)(3)の濾過ケーキにイオン交換水300部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過する操作を2回行い、「濾過ケーキ1」を得た。
トナー中の炭素数18〜22の脂肪族アルコールの含有量を、GC−MSにより定量したところ、0.009質量%であった。
シリコーン樹脂により平均厚み0.6μmとなるようにコーティングされた重量平均粒径34μmのキャリアを用い、前記キャリア100部に対してトナー7部を容器が転動して攪拌される型式のターブラーミキサーを用いて均一混合し帯電させて、二成分現像剤を作製した。
各現像剤、トナーをリコー製複合機Aficio SP C831DN改造機(UFPの発生量を多くさせるため、定着時の設定温度を通常よりも3℃高くしている。)に搭載し、ドイツ環境ラベル「ブルーエンジェルマーク」の認証試験所の試験装置(チャンバー容積:5m3)内でUFPの発生速度を測定したところ、それぞれ2.0×1011個/10分であった。
なお、UFPの発生速度は、FMPS Model 3091(TSI製)を用い、RAL−UZ 171に従って測定を行った。
実施例II−2において、トナーを作製する際のエステルワックス5を、エステルワックス1及びエステルワックス2とする以外は、実施例II−2と同様にトナー6、7及び二成分現像剤6、7を作製した。この二成分現像剤6、7についてリコー製複合機Aficio SP C831DN改造機でUFPの発生速度を測定したところ、それぞれ5.4×1011個/10分、3.2×1011個/10分であった。
実施例II−5において、トナー母体粒子の処方を下記の通りとした以外は、実施例II−5と同様にしてトナー8を作製した。
−トナー母体粒子の処方−
ポリエステル樹脂 100部
(重量平均分子量:68200、ガラス転移温度(Tg):65.5℃)
着色剤(カーボンブラック) 10部
離型剤:エステルワックス7 7.8部
帯電制御剤:モノアゾFe金属錯体 2部
作製したトナー中の炭素数18〜22の脂肪族アルコールは、0.19質量%であった。
実施例II−1と同様にこのトナーを用いて現像剤を作製し、UFPの発生速度を測定したところ、3.4×1011/10分であった。
(未変性ポリエステル)
<未変性ポリエステル101の合成>
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物229部、ビスフェノールAプロピオンオキサイド3モル付加物529部、テレフタル酸208部、アジピン酸46部及びジブチルスズオキシド2部を入れ、常圧下、230℃で8時間反応させた。
さらに10〜15mmHgの減圧下で5時間反応させた後、反応槽中に無水トリメリット酸45部を添加し、常圧下、180℃で2時間反応させて、[未変性ポリエステル101]を得た。
[未変性ポリエステル101]は、数平均分子量が2500、重量平均分子量が6700、ガラス転移温度が43℃、酸価が26.2mgKOH/gであった。
<イソシアネート変性ポリエステル101の合成>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81部、テレフタル酸290部、無水トリメリット酸9部及びジブチルスズオキシド2部を入れ、常圧下、230℃で8時間反応させた後、さらに10〜15mHgの減圧下で、8時間反応させて、[中間体ポリエステル101]を合成した。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、[中間体ポリエステル101]を453部、イソホロンジイソシアネート41部及び酢酸エチル500部を仕込み、100℃で5時間反応させて、イソシアネート変性ポリエステル101の酢酸エチル溶液(固形分濃度50%)を得た。
[イソシアネート変性ポリエステル101]は、数平均分子量3,200、重量平均分子量14、400、NCO含量0.76%であった。
<マスターバッチ101>
カーボンブラック(キャボット社製 リーガル400R):40部、[未変性ポリエステル101]:60部、水:30部をヘンシェルミキサーにて混合し、顔料凝集体中に水が染み込んだ混合物を得た。これをロール表面温度130℃に設定した2本ロールにより45分間混練を行ない、パルベライザーで1mmの大きさに粉砕し、[マスターバッチ101]を得た。
撹拌棒および温度計をセットした容器に、[未変性ポリエステル101]545部、エステルワックス4:181部、酢酸エチル1450部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却した。次いで容器に[マスターバッチ1]500部、酢酸エチル100部を仕込み、1時間混合し[原料溶解液101]を得た。
[原料溶解液101]1500部を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、カーボンブラック、WAXの分散を行った。次いで、[ポリエステル101]の425部と酢酸エチルとメチルエチルケトン混合溶液(60%/40%)230部を加え、上記条件のビーズミルで1パスし、[顔料・WAX分散液101]を得た。[顔料・WAX分散液101]の固形分濃度(130℃、30分)が50%となるように酢酸エチルを加えて調整後[油相101]を得た。
イオン交換水970部、分散安定用の有機樹脂微粒子(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の25質量%水性分散液40部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(エレミノールMON−7:三洋化成工業製)140部、酢酸エチル90部を混合撹拌し、[水相101]を得た。
[油相101]975部をTKホモミキサー(特殊機化製)で5,000rpmにて1分間混合した後、さらに水とエタノールの総量100に対して水:エタノール=3:7とした際の2.5%相当の水酸化ナトリウム混合液(以後2.5%水酸化ナトリウム水溶液と表記)を乳化後の粒径が4〜5ミクロンになるように相当量滴下して5,000rpmにて1分間混合した後、最後に[イソシアネート変性ポリエステル101]88部を加えTKホモミキサー(特殊機化製)で5,000rpmにて1分間混合した後、[水相101]1200部を加え、TKホモミキサーで、回転数8,000〜13,000rpmで調整しながら20分間混合し[乳化スラリー101]を得た。
撹拌機および温度計をセットした容器に、[乳化スラリー101]を投入し、30℃で8時間脱溶剤を行ない、[分散スラリー101]を得た。
[分散スラリー101]100部を減圧濾過した後、
(1):濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。このときのろ液は、乳白色であった。
(2):(1)の濾過ケーキにイオン交換水900部を加え、超音波振動を付与してTKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで30分間)した後、減圧濾過した。リスラリー液の電気伝導度が10μC/cm以下となるようにこの操作を繰り返した。
(3):(2)のリスラリー液のpHが4となる様に10%塩酸を加え、そのままスリーワンモーターで攪拌30分後濾過した。
(4):(3)の濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。リスラリー液の電気伝導度が10μC/cm以下となるようにこの操作を繰り返し[濾過ケーキ101]を得た。
[濾過ケーキ101]を循風乾燥機にて42℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い、[トナー母体9]を得た。平均円形度は0.972、また、体積平均粒径(Dv)は5.8μm、個数平均粒径(Dp)は5.1μmで、Dv/Dpは1.16の粒度分布を有するトナー母体が得られた。ついで、この母体トナー100部に疎水性シリカ1.8部をヘンシェルミキサーにて混合して、本発明の[トナー9]を得た。
トナー9中の炭素数18〜22の脂肪酸アルコールの含有量は0.060質量%であった。
実施例II−7において、エステルワックス4の代わりにエステルワックス8を用いる以外は実施例II−7と同様にしてトナー10を得た。
トナー10中の炭素数18〜22の脂肪酸アルコールは検出されなかった。
実施例II−7において、エステルワックス4の代わりにエステルワックス1を用いる以外は実施例II−7と同様にしてトナー11を得た。
トナー11中の炭素数18〜22の脂肪酸アルコールは0.25質量%であった。
モノクロ一成分電子写真方式レーザープリンター(「RICOH SP 4510」;株式会社リコー製)の定着ロールの設定温度を通常よりも18℃高く改造したものを用意した。トナー9〜11を用いてモノクロ一成分電子写真方式レーザープリンターから発生するUFPの発生速度を、実施例II−1と同様に測定したところ、それぞれ、3.3×1011個/10分、2.2×1011個/10分、6.1×1011個/10分であった。
トナー9〜11を35℃、45%RHの環境に120時間保存後、モノクロ一成分電子写真方式レーザープリンターで画像形成を2000枚行い、2000枚目の画像を評価したところ、トナー9、11の画像は高品質の画像であったが、トナー10の画像は、実使用上は問題がないものの、画像を凝視すると薄っすらとスジ状の箇所が観察された。トナー10は、トナー粒子中の炭素数18〜22の脂肪族アルコールの含有量が検出されず、UFP発生速度は低いが、有機酸成分が若干残存するため、薄っすらとスジ状の箇所が観察された。
1 作像ユニット
2 枠体
3 感光体
4 帯電装置
5 現像装置
6 クリーニング装置
7 転写装置
10 潤滑剤塗布装置
14 中間転写ベルト
40 光書込ユニット
41 ポリゴンミラー
51 現像ローラ
52 供給スクリュ
53 攪拌スクリュ
54 ドクタブレード
55 レジストローラ対
60 転写ユニット
62 クリーニングブレード
101 ファーブラシ
103 固形潤滑剤
151 第一給紙カセット
151a 第一給紙ローラ
152 第二給紙カセット
152a 第二給紙ローラ
153 給紙路
154 搬送ローラ対
500 プリンタ
L レーザー光
P 転写紙
1 感光体
2 転写装置
3 シート搬送ベルト
4 中間転写体
5 2次転写装置
6 給紙装置
7 定着装置
8 感光体クリーニング装置
9 中間転写体クリーニング装置
10 中間転写体
14 支持ローラ
15 支持ローラ
16 支持ローラ
17 中間転写体クリーニング装置
18 画像形成手段
20 タンデム画像形成装置
21 露光装置
22 2次転写装置
23 ローラ
24 2次転写ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
28 シート反転装置
30 原稿台
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読取りセンサ
40 感光体
42 給紙ローラ
43 ペーパーバンク
44 給紙カセット
45 分離ローラ
46 給紙路
47 搬送ローラ
48 給紙路
49 レジストローラ
50 給紙ローラ
51 手差しトレイ
52 分離ローラ
53 手差し給紙路
55 切換爪
56 排出ローラ
57 排紙トレイ
100 複写装置本体
200 給紙テーブル
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置
s シート
T タンデム型画像形成装置
Claims (5)
- 一般式 R−COO−R’
(R:炭素数13〜23のアルキル基、R’:炭素数18〜22のアルキル基)
で表される長鎖脂肪族エステルを含むエステルワックスを含有するトナーであって、前記トナー中の炭素数18〜22の脂肪族アルコールの含有量が、0.01質量%以上0.20質量%以下であるトナー。 - 前記エステルワックスはDSCによる吸熱ピークが、65〜75℃である請求項1に記載のトナー。
- 請求項1又は2に記載のトナーを含む現像剤。
- 請求項1又は2に記載のトナーを収容したトナー収容ユニット。
- 静電潜像担持体と、
前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
前記静電潜像担持体上に形成された前記静電潜像を現像してトナー像を形成する、現像剤を備える現像手段と、を有し、
前記現像剤が、請求項3に記載の現像剤である画像形成装置。
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