JP2012067043A - トナー用エステルワックスの製造方法および該方法で得られたワックスを用いたトナー - Google Patents

トナー用エステルワックスの製造方法および該方法で得られたワックスを用いたトナー Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、中和(脱酸)工程で有機溶剤を用いることなく、優れた溶融特性を有するトナー用エステルワックスの製造方法を提供することである。さらに、該方法で得られたワックスを用いることにより、定着性が良好であり、耐オフセット性、耐ブロッキング性に優れた静電荷像現像用トナーを提供することである。
【解決手段】下記成分1のカルボン酸と成分2のアルコールとを縮合反応し、その後に分子蒸留法により未反応物を除去することを特徴とするトナー用エステルワックスの製造方法。
成分1:炭素数14〜30の中から選ばれる直鎖飽和モノカルボン酸あるいはその混合物
成分2:炭素数14〜30の中から選ばれる直鎖飽和一価アルコールあるいはその混合物、または炭素数2〜30の中から選ばれる2〜6価の多価アルコールあるいはその混合物
【選択図】 なし

Description

本発明は、トナー用エステルワックスの製造方法および該方法で得られたワックスを用いた静電荷像現像用トナーに関する。
近年、電子写真技術を用いた複写機およびプリンターは、一般家庭を含めその普及が急速に広まっている。それに伴い、高速化、省電力化、小型化、カラー化への要求が加速したため、トナーには定着性が良好であり、耐オフセット性、耐ブロッキング性を満たすことが求められている。これらのトナー特性を満たす為には、優れた溶融特性を有するトナー用エステルワックスを用いることが必要である。
このような要求に対応する従来技術として、炭素数14〜30の中から選ばれその1成分が60重量%以上である直鎖飽和モノカルボン酸と、炭素数14〜30の中から選ばれその1成分が60重量%以上である直鎖飽和一価アルコール、あるいは炭素数2〜30の中から選ばれ、その1成分が80重量%以上である2〜6価の多価アルコールとの縮合反応によりエステル化粗生成物を得ること、および該エステル化粗生成物100重量部に対して、炭化水素溶媒を5〜100重量部の割合で添加し、アルカリ水溶液を用いて脱酸することを含むプロセスにより得られる、エステルワックス(特許文献1参照)が開示されている。
しかし上記技術では、脱酸工程において特定の有機溶剤を添加することが必要となり、作業性、環境面からも好ましくなく、脱酸工程で有機溶剤を用いないトナー用エステルワックスの製造方法が求められている。
特開2002−212142公報
本発明の目的は、中和(脱酸)工程で有機溶剤を用いることなく、優れた溶融特性を有するトナー用エステルワックスの製造方法を提供することである。さらに、該方法で得られたワックスを用いることにより、定着性が良好であり、耐オフセット性、耐ブロッキング性に優れた静電荷像現像用トナーを提供することである。
本発明者は、上記課題を解決する為に鋭意研究を重ねた結果、トナー用エステルワックスの製造に際し、カルボン酸とアルコールとの反応工程の後に、分子蒸留法により未反応物質を除去する工程を行うことにより上記課題を解決すること見出した。本発明者は、これらの知見に基づきさらに研究を重ね、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)下記成分1のカルボン酸と成分2のアルコールとを縮合反応し、その後に分子蒸留法により未反応物を除去することを特徴とするトナー用エステルワックスの製造方法
成分1:炭素数14〜30の中から選ばれる直鎖飽和モノカルボン酸あるいはその混合物
成分2:炭素数14〜30の中から選ばれる直鎖飽和一価アルコールあるいはその混合物、または炭素数2〜30の中から選ばれる2〜6価の多価アルコールあるいはその混合物
(2)酸価が3mgKOH/g以下、かつ水酸基価が10mgKOH/g以下であることを特徴とする上記(1)に記載のトナー用エステルワックスの製造方法
(3)DSC曲線における融解時の極大ピーク温度の半値幅が5℃以下であることを特徴とする、上記(1)から(2)に記載のトナー用エステルワックスの製造方法
(4)DSC曲線における融解ピークの開始温度から、融解時の極大ピーク温度より5℃低温側までの面積がピーク面積全体の30%以下であることを特徴とする、上記(1)から(3)に記載のトナー用エステルワックスの製造方法
(5)結着樹脂100質量部に対して、上記(1)から(4)の製造方法で得られたトナー用エステルワックスを0.1〜40質量部含有することを特徴とするトナー
、からなっている。
本発明の製造方法で得られたトナー用エステルワックスは、特定の熱物性および化学特性を有する。また、該方法で得られたワックスを用いたトナーは、定着性が良好であり、耐オフセット性、およびフィルミング性が良好であり、トナーの保存時にブロッキングを起こさず保存安定性に優れている。
本発明で用いられるカルボン酸(成分1)は、炭素数14〜30の中から選ばれる直鎖飽和モノカルボン酸あるいはその混合物である。直鎖飽和モノカルボンとしては、例えばミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、べへン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸などが挙げられる。
本発明で用いられるアルコール(成分2)は、炭素数14〜30の中から選ばれる直鎖飽和一価アルコールあるいはその混合物(成分2−1)、または炭素数2〜30の中から選ばれる2〜6価の多価アルコールあるいはその混合物(成分2−2)である。
成分2−1である直鎖飽和一価アルコールとしては、例えば、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、べへニルアルコール、テトラコサノール、ヘキサコサノール、オクタコサノール、トリアコンタノールなどが挙げられる。
成分2−2である2〜6価の多価アルコールのうち、2価のアルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,16−へキサデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール、1,30−トリアコンタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、1,4−フェニレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールAなどが挙げられる。3価のアルコールとしては、例えば、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、トリメチロールエタン、トリエチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンなどが挙げられる。4価のアルコールとしては、例えば、1,2,3,6−へキサンテトロール、ペンタエリスリトールなど、5価のアルコールとしては、例えば、グルコースなど、6価のアルコールとしては、例えば、ジペンタエリスリトールなどが挙げられる。
以上に示したカルボン酸およびアルコールから得られる本発明のトナー用エステルワックスは、これを含有するトナーの耐ブロッキング性(保存安定性)の観点から、当該エステルは主成分のエステルの総炭素数が約36以上であることが好ましく、さらに好ましくは約40以上である。
トナー用エステルワックスのシャープメルト性を考えると、カルボン酸(成分1)については、カルボン酸の主成分となる1成分と、該主成分の炭素数±2の炭素数を有する直鎖飽和モノカルボン酸との含有量の合計が好ましくは約60質量%以上であり、より好ましくは約80質量%以上、さらに好ましくは約90質量%以上である。また、上記カルボン酸の主成分の含有量は、単独で約60質量%以上の割合であることが好ましく、より好ましくは約80質量%以上、さらに好ましくは約90質量%以上である。
ここでシャープメルト性とは、DSC曲線における融解開始温度と融解終了温度の差が小さく、DSC曲線のピークがシャープである状態を表す。
トナー用エステルワックスのシャープメルト性を考えると、アルコール(成分2)のうち直鎖飽和一価アルコール(成分2−1)については、該アルコールの主成分となる1成分と該主成分の炭素数±2の炭素数を有する直鎖飽和一価アルコールとの含有量の合計が好ましくは約60質量%以上であり、より好ましくは約80質量%以上、さらに好ましくは約90質量%以上である。また、上記アルコール主成分の含有量は、単独で約60質量%以上の割合であること好ましく、より好ましくは約80質量%以上、さらに好ましくは約90質量%以上である。
2〜6価の多価アルコール(成分2−2)については、該多価アルコールの1成分(主成分)が約80質量%以上含有されることが好ましく、より好ましくは約85質量%以上、さらに約90質量%以上である。
本発明で用いられる分子蒸留法は、高真空条件下において、加熱した蒸発面に原液を薄膜となるよう流下し、凝縮面を気体分子の平均自由行程以下に近づけて行う蒸留法である。前記した高真空条件としては、約10Pa以下、好ましくは約1Paである。分子蒸留法は、一般的な蒸留法よりも比較的低い温度で処理が可能なため、一般的な蒸留では分離できない高沸点化合物や熱劣化の恐れがある化合物、易重合化合物などの蒸留が可能である。
代表的な分子蒸留装置として、ポット式分子蒸留装置、流下膜式分子蒸留装置、遠心式分子蒸留装置などが挙げられる。
本発明のトナー用エステルワックスの製造方法は、カルボン酸(成分1)とアルコール(成分2)とを公知の方法で縮合反応(エステル化反応)し、その後分子蒸留法により未反応物を除去することにより得られる。
具体的には、例えば、アルコール(成分2)に対してカルボン酸(成分1)の量を過剰に用いてエステル化反応を行なう。反応は、触媒の存在下または不存在下で、通常120〜240℃の温度で行なわれる。このようなエステル化反応により、エステル化粗生成物が得られる。
次いで、分子蒸留法によって、該エステル化粗生成物中の過剰のカルボン酸(成分1)、未反応のアルコール(成分2)、エステル反応で生成した水などを除去する。
上記分子蒸留法としては、例えば、流下薄膜式分子蒸留機や遠心式分子蒸留機を用い、まず通常約100〜200℃の温度、約20〜10Paの真空条件下で水分などの低沸点化合物を除いたのち、続いて通常約200℃〜300℃の温度、約10Pa〜0.1Paの高真空条件下で未反応であるカルボン酸あるいはアルコールなどを留分として除去しトナー用エステルワックスが得られる。上記方法により有機溶剤などを用いることなくエステル化粗生成物からトナー用エステルワックスを分離して得ることができる。
得られたトナー用エステルワックスは、酸価が3mgKOH/g以下である。好ましくは2mgKOH/g以下であり、より好ましくは1mgKOH/g以下であり、さらに好ましくは0.5mgKOH/g以下である。得られたトナー用エステルワックスの水酸基価は、5mgKOH/g以下である。好ましくは4mgKOH/g以下であり、より好ましくは3.5mgKOH/g以下である。
酸価が3mgKOH/gを超える場合や水酸基価が5mgKOH/gを超えるトナー用エステルワックスをトナーに用いると、定着時において、アルコールおよび脂肪酸といった残存低分子量成分により、揮発物質の発生が増加したり、溶融開始温度が低下したり、シャープメルトな熱挙動が得られにくくなるという問題が生じる。
得られたトナー用エステルワックスのDSC曲線における融解時の極大ピーク温度は、約55〜90℃であることが好ましい。ここで、極大ピーク温度とは、示差走査熱量分析(DSC)により得られるDSC曲線において、吸熱量が極大になるときの温度のことである。極大ピーク温度が55℃未満であるエステルワックスをトナーに用いると、保存時に容易にブロッキングを起こし保存安定性の悪いトナーとなる。また、極大ピーク温度が90℃以上であるエステルワックスをトナーに用いると、融着の工程で十分にエステルワックスが融解せず定着性が悪いトナーとなる。
得られたトナー用エステルワックスは、DSC曲線において、融解時の極大ピークでの半値幅が好ましくは5℃以下であり、より好ましくは4℃以下であり、さらに好ましくは3℃以下である。ここで、半値幅とは、DSC曲線において、極大点からベースラインまでのピーク高さの1/2におけるDSC曲線のピークの温度幅のことである。半値幅が5℃を超えるエステルワックスをトナーに用いると、トナー粒子中のワックスの融解性にムラが生じて定着性が低下し、画像安定性が十分に得られないといった問題が生じる。
得られたトナー用エステルワックスは、DSC曲線において、融解ピークの開始温度から、極大ピーク温度より5℃低温側までの面積が30%以下であることが好ましく、より好ましくは25%であり、さらに好ましくは20%である。ここで、融解ピークの開始温度から、極大ピーク温度より5℃低温側までの面積とは、融解ピークの極大点から5℃低温側のDSC曲線上の点からベースラインに向かって垂線を下ろしたとき、その垂線、ベースライン、およびDSC曲線で囲まれる範囲の面積である。この値が30%を超えるエステルワックスをトナーに用いると、トナー同士が凝集しブロックキングの原因となる。
得られたトナー用エステルワックスは、耐熱劣化性の観点から、熱重量分析(TG)において窒素流量200ml/分、250℃/分で昇温した時、加熱重量減少度が0.5重量%に到達する時の温度が、290℃以上であることが好ましい。
得られたトナー用エステルワックスは、定着性および耐オフセット性の観点から、100℃における溶融粘度が、100mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは80mPa・s以下であり、さらに好ましくは60mPa・s以下であり、特に好ましくは40mPa・s以下である。ここでの粘度は、ブルックフィールド型回転粘度計により測定される。
本発明のトナーは、得られたトナー用エステルワックス、結着樹脂、着色剤およびその他の添加剤を混合し、溶融混練した後、冷却、粉砕、分級して得られる、いわゆる粉砕法トナーとしても良いし、上記材料をバインダー樹脂重合法トナー(懸濁重合トナー、溶解懸濁トナー、乳化重合凝集トナーなど)としても良い。
トナー用エステルワックスの配合量は、結着樹脂100質量部に対して、0.1〜40質量部であり、好ましくは0.1〜20質量部、さらに好ましくは1〜10質量部である。0.1質量部より少ないと定着性に対する効果が小さく、40質量部より多いとドラムフィルミングが発生する可能性がある。
本発明における結着樹脂としては、特に限定されず、公知公用のあらゆるものを制限なく用いることができ、例えば、スチレン樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリ乳酸樹脂、セルロース樹脂などが挙げられる。
本発明における着色剤としては、特に限定されず、カーボンブラック、その他あらゆる種々のものが使用される。
本発明におけるその他の添加剤としては、本発明のトナー用エステルワックスの本来の効果を損なわない範囲で任意に含有することができ、例えば他のワックス類、研磨剤、流動性付与剤、ケーキング防止剤、酸化錫などの導電性付与剤などが挙げられる。
トナーは、二成分系現像剤、一成分系現像剤のいずれとしても用いることができるが、キャリアと混合し二成分系現像剤として用いることが好ましい。二成分系現像剤として用いる場合には、キャリアとして鉄、フェライトなどの磁性粒子を用いることが好ましい。更にこれらの磁性粒子は表面を樹脂により被覆した樹脂被覆キャリアであることが好ましい。
本発明のトナーを用いることのできる画像形成装置は、モノクロ画像形成装置およびカラー画像形成装置のいずれであってもよく、乾式あるいは湿式の、2成分系現像剤、磁性1成分系現像剤、非磁性1成分系現像剤などの既知の現像剤を用いた画像形成装置のいずれもが利用される。
本発明のトナー用エステルワックスは、上記のように、特定のカルボン酸(成分1)およびアルコール(成分2)からなり、かつ特定の熱挙動を示す。このようなトナー用エステルワックスはシャープメルトな融解特性を有しているため、トナーなどの現像材料などに用いるエステルワックスとして好適に使用でき、そのトナーが保存時においてブロッキングを起こさず、保存安定性に優れ、定着性、耐オフセット性、および色再現性に優れる
以下に本発明を実施例で説明するが、これは本発明を単に説明するだけのものであって、本発明を限定するものではない。
1.トナー用エステルワックスの作製
[実施例1]
温度計、窒素導入管、攪拌機および冷却管を取り付けた4つ口フラスコに、カルボン酸(成分1)としてベヘニン酸5490g(16.24mol)およびアルコール(成分2)としてベヘニルアルコール4510g(14.53mol)を加え、窒素気流下、230℃で反応水を留去しつつ、10時間常圧で反応させ9500gのエステル化粗生成物を得た。エステル化粗生成物の酸価は10mgKOH/gであった。このエステル化粗生成物を、遠心式分子蒸留機(型式:CEH−300II特;ULVAC社製)に供給し、温度120℃、17Paの低真空条件下で水分などの低沸点化合物を除き、続いて温度265℃、0.5Paの高真空条件下で計2回分子蒸留し、未反応のベヘニルアルコール、ベヘニン酸などを留去することによって分離し、残液としてトナー用エステルワックス(実施例品1)6250gを得、その酸価は0.1mgKOH/mg、水酸基価は1.2mgKOH/mgであった。
[実施例2]
温度計、窒素導入管、攪拌機および冷却管を取り付けた4つ口フラスコに、カルボン酸(成分1)としてベヘニン酸9140g(27.04mol)およびアルコール(成分2)としてペンタエリスリトール860g(6.32mol)を加え、窒素気流下、230℃で反応水を留去しつつ、10時間常圧で反応させ9548gのエステル化粗生成物を得た。エステル化粗生成物の酸価は16.5mgKOH/gであった。このエステル化粗生成物を、遠心式分子蒸留機(型式:CEH−300II特;ULVAC社製)に供給し、温度120℃、17Paの低真空条件下で水分などの低沸点化合物を除き、続いて温度265℃、0.5Paの高真空条件下で計2回分子蒸留し、未反応のベヘニン酸を留去することによって分離し、残液としてトナー用エステルワックス(実施例品2)6100gを得、その残液の酸価は0.2mgKOH/mg、水酸基価は2.8mgKOH/mgであった。
[比較例1]
温度計、窒素導入管、攪拌機および冷却管を取り付けた4つ口フラスコに、カルボン酸(成分1)としてベヘニン酸5490g(16.24mol)およびアルコール(成分2)としてベヘニルアルコール4510g(14.52mol)を加え、窒素気流下、230℃で反応水を留去しつつ、10時間常圧で反応させ、9520gのエステル化粗生成物を得た。これをトナー用エステルワックス(比較例品1)とした。
[比較例2]
温度計、窒素導入管、攪拌機および冷却管を取り付けた4つ口フラスコに、カルボン酸(成分1)としてベヘニン酸9140g(27.04mol)およびアルコール(成分2)としてペンタエリスリトール860g(6.32mol)を加え、窒素気流下、230℃で反応水を留去しつつ、10時間常圧で反応させ、929.1gのエステル化粗生成物を得た。これをトナー用エステルワックス(比較例品2)とした。
2.トナー用エステルワックスの評価
実施例(1、2)および比較例(1、2)で得られたトナー用エステルワックスについて、酸価、水酸基価、色相、粘度、および示差熱曲線における各特性(極大ピーク温度、半値幅、極大ピーク温度5℃低温側までの面積の割合、熱安定性)を測定した。各測定方法は下記のとおりである。測定結果を表1に示す。
(1)酸価
日本油化学会 基準油脂分析試験法2003年版 2.3.1に準拠した。
(2)水酸基価
日本油化学会 基準油脂分析試験法2003年版 2.3.6.2に準拠した。
(3)粘度(B型粘度)
ブルックフィールド型回転粘度計を用いて100℃での粘度(mPa・s)を測定した。
(4)DSCによる熱挙動の測定
示差走査熱量計(型式:DSC−6200;セイコーインスツル社製)を用い、約10mgのトナー用エステルワックスを試料ホルダーに入れ、レファレンス材料としてアルミナ10mgを用いて行った。2℃/分で30℃から150℃まで昇温したときの測定を行なった。
(5)TGによる熱安定性の評価
示差熱熱重量同時測定装置(型式:TG/DTA―6200;セイコーインスツル社製)を用い、約10mgのトナー用エステルワックスを試料ホルダーに入れ、レファレンス材料としてアルミナ10mgを用いて行った。窒素流量200ml/分の条件下で、250℃/分で2分間昇温したときのエステルワックスの加熱重量減少度を測定した。エステルワックスの重量が0.5重量%減少したときの温度を求め、これを熱安定性の評価基準とした。
Figure 2012067043
表から明らかなように、実施例1、2のトナー用エステルワックスは、いずれも酸価が3.0mgKOH/g以下、水酸基価が5.0mgKOH/g以下であった。また、粘度(100℃における溶融粘度)が120mPa・s以下であった。これらのトナー用エステルワックスは、DSCによる示差熱曲線において、極大ピークの半値幅が5.0℃以下であった。また、極大ピーク温度は55〜90℃の温度範囲にあり、さらに融解ピークの開始温度から、融解時の極大ピーク温度より5℃低温側までの面積が30%以下であり、良好なシャープメルトな融解特性を示した。また、熱安定性試験における温度はいずれも290℃以上であり、熱安定性も良好であった。
一方、比較例1、2のトナー用エステルワックスは、いずれも酸価が3.0mgKOH/gより大きく、半値幅が5.0℃よりも大きかった。比較例1においては極大ピークの温度から低温側5℃範囲の面積が30%以上であり、シャープメルトな融解特性を示さなかった。また、いずれの比較例も、熱安定性試験における温度が290℃未満となり、熱安定性に劣っていた。
3.トナーの作製
(1)着色粒子(B1)の作製
(1−1)低分子量ラテックスの合成
温度計、攪拌機および冷却管を取り付けた4つ口フラスコに、スチレン509.83gと、n−ブチルアクリレート88.67gと、メタクリル酸34.83gと、tert−ドデシルメルカプタン21.83gと、トナー用エステルワックス(実施例品1)66.7gとを入れ、内温80℃で、トナー用エステルワックスが溶解するまで攪拌し、そのまま温度を保持した。一方、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.0gを純水2700mlに溶解させた界面活性剤水溶液を同様に内温80℃になるよう加熱し、そのまま保持した。80℃に保温した前記界面活性剤水溶液を攪拌しながら、トナー用エステルワックス(実施例品1)を溶解したモノマー溶液を添加し、超音波乳化装置を用いて乳化を行って乳化液を得た。次いで、温度計、窒素導入管、攪拌機および冷却管を取り付けた容量5Lの4つ口フラスコに、前記乳化液を投入し、攪拌を行いながら、窒素気流下、内温を70℃に保持し、過硫酸アンモニウム7.52gを純水500mlに溶解した重合開始剤水溶液を添加し、4時間重合を行った後、室温まで冷却し、濾過を行い、低分子量ラテックスを得た。反応後において重合残渣は認められず、安定した低分子量ラテックスであった。
(1−2)高分子量ラテックスの合成
温度計、攪拌機および冷却管を取り付けた4つ口フラスコに、スチレン92.47gと、n−ブチルアクリレート30.4gと、メタクリル酸3.80gと、tert−ドデシルメルカプタン0.12gと、実施例1で作成したトナー用エステルワックス(実施例品1)13 .34gを入れ、内温80℃で、トナー用エステルワックスが溶解するまで攪拌し、そのまま温度を保持した。一方、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.27gを純水540mlに溶解させた界面活性剤水溶液を同様に内温80℃になるよう加熱し、そのまま保持した。80℃に保温した前記界面活性剤水溶液を攪拌しながら、トナー用エステルワックス(実施例品1)を溶解したモノマー溶液を添加し、超音波乳化装置を用いて乳化を行って乳化液を得た。次いで、温度計、窒素導入管、攪拌機および冷却管を取り付けた容量5Lの4つ口フラスコに、前記乳化液を投入し、攪拌を行いながら、窒素気流下、内温を70℃に保持し、過硫酸アンモニウム0.27gを純水100mlに溶解した重合開始剤水溶液を添加し、4時間重合を行った後、室温まで冷却し、濾過を行い、高分子量ラテックスを得た。反応後において重合残渣は認められず、安定した高分子量ラテックスであった。
(1−3)着色粒子の作製
温度計、攪拌機および冷却管を取り付けた4つ口フラスコに、高分子量ラテックス250gと、低分子量ラテックス1000gと、純水900mlと、界面活性剤水溶液(ドデシル硫酸ナトリウム9.2gを純水160mlに溶解した水溶液)にカーボンブラック(商品名:リーガル330R;キャボット社製)20gを分散してなるカーボンブラック分散液を投入し、攪拌しながら5N水酸化ナトリウム水溶液を添加してそのpHを10に調整した。更に、塩化マグネシウム6水和物28.5gを純水1000mlに溶解した水溶液を攪拌しながら室温下に添加した後、内温が95℃になるまで昇温した。そのまま内温を9 ℃ に維持しながら、コールター社製「コールターカウンターI I」を用いて分散粒子の粒径を測定し、その粒径が6.5μmになったところで、塩化ナトリウム80.6gを純水700mlに溶解した水溶液を添加し、内温を95℃に維持しながら6時間反応を継続させた。反応終了後、得られた会合粒子の分散液を、45℃になるまで冷却速度5℃/minで10分間冷却した。このようにして生成した会合粒子を濾過し、純水への再懸濁および濾過を繰り返して洗浄を行った後、乾燥することによって着色粒子(B1)を作製した。
(2)着色粒子(B2〜4)の作製
着色粒子(B1)の作製において、トナー用エステルワックス(実施例品1)をトナー用エステルワックス(実施例品2、比較例品1〜2)に変えた以外は同様にして着色粒子(B2〜4)を作製した。
(3)着色粒子(C1〜4)の作製
着色粒子(B1〜4)の作製において、カーボンブラック20gを「C.I.ピグメントブルー15:3」10gに変えた以外は同様にして着色粒子(C1〜4)を作製した。
(4)着色粒子(M1〜4)の作製
着色粒子(B1〜4)の作製において、カーボンブラック20gを「C.I.ピグメントレッド122」17gに変えた以外は同様にして着色粒子(M1〜4)を作製した。
(5)着色粒子(Y1〜4)の作製
着色粒子(B1〜B4)の作製において、カーボンブラック20gを「C.I.ピグメントイエロー17」18gに変えた以外は同様にして着色粒子(Y1〜4)を作製した。
(6)トナーの作製
作製した各着色粒子に、数平均一次粒子径12nm、疎水化度68の疎水性シリカを1質量%、および数平均一次粒子径20nm、疎水化度63の疎水性酸化チタンを1質量%添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池化工社製)を用いて混合した。その後、目開き45μm篩を用いて篩い、トナーB(1〜4)、トナーC(1〜4)、トナーM(1〜4)およびトナーY(1〜4)を作製した。
(7)現像剤の調製
各トナーとシリコン樹脂を被覆した体積平均粒径60μmのフェライトキャリアを混合し現像剤とした。現像剤中の各トナーの濃度は6質量%に調製した。
4.トナーの評価
画像形成装置として市販のカラー複写機を用い、上記の方法で得た現像剤を使用して次の項目の評価を行なった。
(1)トナーの定着性
上記した市販のカラー複写機を用いて印刷した画像(54cm角のベタ定着像)に粘着テープ(商品名:スコッチメンディングテープ;住友スリーエム社製)を2.54cm角のベタ定着画像の表面に貼り、直径5cm、重量500gの荷重を1分間かけた。その後、テープを180°の角度、200gの荷重ではがし、テープへの付着状態を目視観察して定着性を下記評価基準で評価した。結果を表2に示す。

評価基準
○:定着性が良好であり、テープへの付着物がない
×:定着性の悪く、テープへの付着物が多い
(2)トナーのオフセット性
上記した市販のカラー複写機を用いて線画で全画素率が40%(各色10%)のフルカラー画像の印刷を連続1000枚行い、印刷後の画像上および熱ロール表面を直接目視観察し、プリント画像および熱ロール表面に発生したトナー付着によるオフセットの程度を下記評価基準で評価した。結果を表2に示す。

評価基準
◎:画像上および熱ロール表面ともにオフセットの発生が見られず良好
○:画像上には見られないが熱ロールにはオフセットが発生しているが実用問題ない
×:画像上にオフセットによる汚れが発生し実用上問題有り
(3)フィルミング性
上記した市販のカラー複写機を用いて、5万枚複写を行なった時点におけるフィルミングの有無を目視観察した。結果を表2に示す。
(4)保存安定性
トナーを密閉容器に入れ、50℃の恒温槽で24時間静置した後、トナーを取り出して60メッシュフィルターを用いてトナーを通過させた。このときトナーのフィルター通過後の重量比率(%)がトナー総重量の95%以上の場合を、トナーの保存安定性が良好であるとした。結果を表2に示す。
Figure 2012067043
表から明らかなように、トナー用エステルワックス(実施例品1、2)を用いたトナーは、定着性、オフセット性、保存安定性は良好であり、フィルミングの発生はなかった。
しかし、トナー用エステルワックス(比較例品1、2)を用いたトナーは、定着性、オフセット性、保存安定性が不良であり、フィルミングが発生した。

Claims (5)

  1. 下記成分1のカルボン酸と成分2のアルコールとを縮合反応し、その後に分子蒸留法により未反応物を除去することを特徴とするトナー用エステルワックスの製造方法。
    成分1:炭素数14〜30の中から選ばれる直鎖飽和モノカルボン酸あるいはその混合物。
    成分2:炭素数14〜30の中から選ばれる直鎖飽和一価アルコールあるいはその混合物、または炭素数2〜30の中から選ばれる2〜6価の多価アルコールあるいはその混合物。
  2. 酸価が3mgKOH/g以下、かつ水酸基価が10mgKOH/g以下であることを特徴とする請求項1に記載のトナー用エステルワックスの製造方法。
  3. DSC曲線における融解時の極大ピーク温度の半値幅が5℃以下であることを特徴とする、請求項1から2に記載のトナー用エステルワックスの製造方法。
  4. DSC曲線における融解ピークの開始温度から、融解時の極大ピーク温度より5℃低温側までの面積がピーク面積全体の30%以下であることを特徴とする、請求項1から3に記載のトナー用エステルワックスの製造方法。
  5. 結着樹脂100質量部に対して、請求項1から4に記載の製造方法で得られたトナー用エステルワックスを0.1〜40質量部含有することを特徴とするトナー。
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