JP6824218B2 - 内燃機関の副燃焼室 - Google Patents
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Description
下記特許文献1に示されるものにおいては、筒状のキャップをシリンダヘッドの燃焼室天井に取付けることで、副燃焼室を形成する構造であり、副燃焼室を形成するために、部品点数が増加してしまう。また、ピストンの頂面上に凹溝を形成して、主燃焼室に吸気を取り込んだ後、燃料噴射器からの燃料噴射を受けた濃い混合気を凹溝で案内して、連通路を介し副燃焼室内に流入させる構造であり、ピストンの形状が複雑化している。
そのため、より簡易な構成で濃い混合気を副燃焼室内に流入させる構造が求められる。
シリンダブロックのシリンダボア内に摺動自在に嵌合されたピストンの頂面と、同頂面と対向するシリンダヘッドの燃焼室天井面との間に主燃焼室が構成され、前記燃焼室天井面には、前記シリンダボアの中心軸であるシリンダ軸線に関して互いに反対位置に吸気弁口と排気弁口が前記主燃焼室に臨んで開口するとともに、主燃焼室から分離され点火プラグを内装した副燃焼室が開口して設けられ、前記シリンダヘッドには、前記吸気弁口と前記排気弁口とからそれぞれ吸気路をなす吸気ポートと排気路をなす排気ポートとが、互いに離れる方向に延出して形成された内燃機関の副燃焼室において、
前記燃焼室天井面から混合気ガイドが前記主燃焼室内に突出して前記シリンダヘッドに一体成形され、同混合気ガイドは、前記吸気弁口から前記主燃焼室に流入する混合気の一部を前記副燃焼室内に直接流入させるように入口開口部を形成して、前記主燃焼室に対する前記副燃焼室の開口を一部覆って形成され、
前記内燃機関の前記吸気路にはタンブル流路が形成され、前記タンブル流路を流れるタンブル流は前記入口開口部を指向することを特徴とする内燃機関の副燃焼室である。
ピストンの頂面上に混合気案内用の凹溝などを形成することなく、簡易な構成で主燃焼室内の混合気より濃い混合気を副主燃焼室内に流入させることができる。
また、副燃焼室内に配置された点火プラグの電極近傍に新気を流しこむので、既燃ガスをしっかりと掃気でき、新気により点火プラグ周辺を冷却することができる。
前記混合気ガイドは、排気弁側の吸気弁口に面し、吸気弁のバルブステム軸線に対して略直交する方向に配設されてもよい。
その構成によれば、
特に吸気弁の徐開時の吸気弁口から流入する濃い混合気を効率よく副燃焼室内に流入させることができる。
前記内燃機関の前記吸気路にはタンブル流路が形成され、前記吸気路に設けられた燃料噴射器は前期吸気弁の傘裏を狙って指向するとともに、前記タンブル流路の下流端は前記吸気弁の傘裏を狙って指向するように構成されてもよい
その構成によれば、
主燃焼室内でタンブル渦流を形成するように構成された内燃機関において、タンブル流を形成するための混合気の一部が、吸気弁の傘裏から副燃焼室に導かれ易くなる。
前記混合気ガイドには、前記入口開口部より面積の小さい火炎噴射口が、前記副燃焼室と前記主燃焼室とを連通して形成されてもよい。
その構成によれば、
副燃焼室内の既燃ガス等が火炎噴射口から掃気され、混合気を副燃焼室に導き易くなる。
シリンダブロックのシリンダボア内に摺動自在に嵌合されたピストンの頂面と、同頂面と対向するシリンダヘッドの燃焼室天井面との間に主燃焼室が構成され、前記燃焼室天井面には、吸気弁口と排気弁口が前記主燃焼室に臨んで開口するとともに、同主燃焼室から分離され点火プラグを内装した副燃焼室が開口して設けられ、前記シリンダヘッドには、前記吸気弁口と前記排気弁口とからそれぞれ吸気路をなす吸気ポートと排気路をなす排気ポートとが、互いに離れる方向に延出して形成された内燃機関の副燃焼室において、
前記燃焼室天井面から混合気ガイドが前記主燃焼室内に突出して前記シリンダヘッドに一体成形され、
同混合気ガイドは、前記副燃焼室の開口の一部を覆って入口開口部を形成して設けられ、
前記入口開口部は、前記混合気ガイドの前記吸気弁口を臨む一方側の位置に形成され、
前記内燃機関の前記吸気路にはタンブル流路が形成され、前記タンブル流路を流れるタンブル流は前記入口開口部を指向することを特徴とする内燃機関の副燃焼室である。
吸気弁口から主燃焼室に流入する混合気の一部を副燃焼室内に直接流入させることができるため、ピストンの頂面上に混合気案内用の凹溝などを形成することなく、簡易な構成で主燃焼室内の混合気より濃い混合気を副主燃焼室内に流入させることができる。
また、副燃焼室内に配置された点火プラグの電極近傍に新気を流しこむので、既燃ガスをしっかりと掃気でき、新気により点火プラグ周辺を冷却することができる。
そして、燃焼室天井面から混合気ガイドが主燃焼室内に突出してシリンダヘッドに一体成形されたので、主燃焼室に対して副燃焼室を画成させるために、別部材のキャップをシリンダヘッドの燃焼室天井面に取り付けることなく、混合気ガイドによって副燃焼室が画成され、部品点数を削減することができる。
前記混合気ガイドの他方側の位置には、前記副燃焼室と前記主燃焼室とを連通し同主燃焼室に臨む、火炎噴射口が形成されてもよい。
その構成によれば、
副燃焼室内の既燃ガス等が火炎噴射口から掃気され、混合気を副燃焼室に導き易くなる。
ピストンの頂面上に混合気案内用の凹溝などを形成することなく、簡易な構成で主燃焼室内の混合気より濃い混合気を副主燃焼室内に流入させることができる。
また、副燃焼室内に配置された点火プラグの電極近傍に新気を流しこむので、既燃ガスをしっかりと掃気でき、新気により点火プラグ周辺を冷却することができる。
そして、燃焼室天井面から混合気ガイドが主燃焼室内に突出してシリンダヘッドに一体成形されたので、主燃焼室に対して副燃焼室を画成させるために、別部材のキャップをシリンダヘッドの燃焼室天井面に取り付けることなく、混合気ガイドによって副燃焼室が画成され、部品点数を削減することができる。
なお、本明細書の説明および特許請求の範囲における前後左右上下等の向きは、本実施形態に係る副燃焼室を備えた内燃機関を自動二輪車等の小型車両に搭載した状態での車両の向きに従うものとする。
また、図中矢印FRは車両前方を、LHは車両左方を、RHは車両右方を、UPは車両上方を、それぞれ示す。
本実施形態に係る内燃機関1は、そのクランク軸11を、搭載される車両である図示しない自動二輪車の車幅方向、すなわち左右方向に配向させて自動二輪車に搭載された、SOHC(シングル・オーバーヘッド・カムシャフト)式の空冷単気筒4ストロークサイクル内燃機関である。
内燃機関1は、クランクケース20の上に、シリンダ軸線Cをやや前傾させて、シリンダブロック21、シリンダヘッド22が順次重ねられて、ボルト(不図示)により一体に締結されている。シリンダヘッド22の上方はヘッドカバー23に覆われている。
すなわち、本実施形態の内燃機関1は、クランクケース20内に変速機3を備えて、所謂パワーユニットを構成している。
内燃機関1の主燃焼室4における燃焼エネルギーは、ピストン12の運動エネルギーへ変換され、ピストン12の上下動が、コンロッド13を介してクランク軸11を回転駆動する。
シリンダヘッド22には、シリンダボア21bの中心軸であるシリンダ軸線Cに関して、互いに反対位置に1つずつ、吸気弁口41と排気弁口42が、主燃焼室4に臨んで開口して形成されている。吸気弁口41の内径は、排気弁口42の内径よりも大きくなっている。さらに燃焼室天井面40には、吸気弁口41と排気弁口42の前後方向における略中央であって、燃焼室天井面40の右寄りに位置するように、点火プラグ61が内装された副燃焼室6が開口して設けられている。
すなわち、本実施形態において、吸気管70から吸気ポート43へと続く吸気路8は、仕切部81によって、吸気流れ方向に沿って上下に分割され、通った吸気が主燃焼室4内でタンブル過流Tを発生するように構成されたタンブル流路82と、タンブル流路82を除く主流路83とに仕切られている。
スロットル弁75はバタフライ式のもので、スロットル弁軸76と、スロットル弁軸76に固定され共に一体的に回転する円盤状の弁体77とを有する。
本実施形態の副燃焼室6は、吸気弁口41と排気弁口42の間の右側(図示手前側)の燃焼室天井面40に開口している。
また、図3は、図2中III−III矢視による、シリンダヘッド22の立面断面であり、吸気ポート43と副燃焼室6と混合気流れ等の関係を示す模式図である。
すなわち、入口開口部66は、混合気ガイド65の吸気弁口41を臨む一方側の位置に形成されている。
また、混合気ガイド65は、入口開口部66と反対側に、副燃焼室6と主燃焼室4とを連通する火炎噴射口67を形成している。
すなわち、混合気ガイド65の他方側の位置には、副燃焼室6と主燃焼室4とを連通し主燃焼室4に臨む、火炎噴射口67が形成されている。
火炎噴射口67は入口開口部66より面積の小さい開口をなしているが、濃い混合気を副燃焼室6内に取り込むとき、副燃焼室6内の既燃ガス等を掃気する抜け穴ともなり、濃い混合気を取り込み易くする。
図4、図5に示されるように、本実施形態では、吸気ポート43から主燃焼室4に流入する混合気の一部を、副燃焼室6内に直接流入させるように、混合気ガイド65が燃焼室天井面40に、副燃焼室6の開口6aを一部覆ってシリンダヘッド22に一体に成形されている。
混合気ガイド65は平板状のガイド部を有し、流入した濃い混合気をガイドする吸気ガイド方向Xの、吸気弁45のバルブステム軸Bに対しての角度が、略直角αとなっている。
また、混合気ガイド65は、入口開口部66と反対側に、副燃焼室6と主燃焼室4とを連通する火炎噴射口67を形成している。火炎噴射口67の噴出方向Yは、入口開口部66から流入した濃い混合気が吹き抜けないように、混合気ガイド65の吸気ガイド方向Xと鋭角βをなしている。
そのため、前述の従来技術のように、ピストンの頂面上に混合気案内用の凹溝などを形成することなく、簡易な構成で濃い混合気を副主燃焼室内に直接流入させることができる。
また、副燃焼室内に配置された点火プラグ61の電極61a近傍に新気を流しこむので、既燃ガスをしっかりと掃気でき、新気により点火プラグ61周辺を冷却することができる。
そのため、主燃焼室4内でタンブル渦流Tを形成するように構成された内燃機関1において、タンブル流Tを形成するための濃い混合気が、吸気弁45の傘裏45aから入口開口66経由、副燃焼室6に導かれて点火プラグ61により着火し、その火炎が火炎噴射口67経由主燃焼室4に吹き込まれるので、タンブル渦流Tをなす主燃焼室4内の混合気に着火する。
図6は、本発明の実施形態の図5と同様の配向で示す、検討例1のシリンダヘッド22の吸気ポート43と副燃焼室106を通る竪断面図である。なお、図6においては、タンブル流路82の図示は省略されている。
図6において、本発明の実施形態と同様の位置、機能の部分は、本発明の実施形態の部分と同じ下2桁の100番台の符号を付して説明を簡略化ないし省略し、検討例1独自の部分には100番台の別途の符号を付す。
なお、溝部149は、シリンダヘッド22鋳造時に鋳造形成されたものでもよい。
追って、主燃焼室4内には混合気がタンブル渦流Tをなすように流入し、副燃焼室106内の着火によって、火炎が主燃焼室4内の混合気を着火する。
図7、図8において、本発明の実施形態と同様の位置、機能の部分は、本発明の実施形態の部分と同じ下2桁の200番台の符号を付して説明を簡略化ないし省略し、検討例2独自の部分には200番台の別途の符号を付す。
追って、主燃焼室4内には混合気がタンブル渦流Tをなすように流入し、副燃焼室206内の着火によって、火炎が主燃焼室4内の混合気を着火する。
なお、説明の便宜上、装置の左右配置は図示の実施形態に沿って説明したが、それに限定されず、左右配置が逆であってもよい。
Claims (6)
- シリンダブロック(21)のシリンダボア(21b)内に摺動自在に嵌合されたピストン(12)の頂面(12a)と、同頂面(12a)と対向するシリンダヘッド(22)の燃焼室天井面(40)との間に主燃焼室(4)が構成され、
前記燃焼室天井面(40)には、吸気弁口(41)と排気弁口(42)が前記主燃焼室(4)に臨んで開口するとともに、同主燃焼室(4)から分離され点火プラグ(61)を内装した副燃焼室(6)が開口して設けられ、
前記シリンダヘッド(22)には、前記吸気弁口(41)と前記排気弁口(42)とからそれぞれ吸気路(8)をなす吸気ポート(43)と排気路をなす排気ポート(44)とが、互いに離れる方向に延出して形成された内燃機関(1)の副燃焼室(6)において、
前記燃焼室天井面(40)から混合気ガイド(65)が前記主燃焼室(4)内に突出して前記シリンダヘッド(22)に一体成形され、
同混合気ガイド(65)は、前記吸気弁口(41)から前記主燃焼室(4)に流入する混合気の一部を前記副燃焼室(6)内に直接流入させるように入口開口部(66)を形成して、前記主燃焼室(4)に対する前記副燃焼室(6)の開口(6a)を一部覆って形成され、
前記内燃機関(1)の前記吸気路(8)にはタンブル流路(82)が形成され、前記タンブル流路(82)を流れるタンブル流は前記入口開口部(66) を指向することを特徴とする内燃機関の副燃焼室。 - 前記混合気ガイド(65)は、排気弁(46)側の吸気弁口(41)に面し、吸気弁(45)のバルブステム軸線(B)に対して略直交する方向(X)に配設されたことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の副燃焼室。
- 前記吸気路(8)に設けられた燃料噴射器(73)は前記吸気弁口(41)に配設された吸気弁(45)の傘裏(45a)を狙って指向するとともに、前記タンブル流路(82)の下流端(82a)は前記吸気弁(45)の傘裏(45a)を狙って指向するように構成されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の内燃機関の副燃焼室。
- 前記混合気ガイド(65)には、前記入口開口部(66)より面積の小さい火炎噴射口(67)が、前記副燃焼室(6)と前記主燃焼室(4)とを連通して形成されたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の内燃機関の副燃焼室。
- シリンダブロック(21)のシリンダボア(21b)内に摺動自在に嵌合されたピストン(12)の頂面(12a)と、同頂面(12a)と対向するシリンダヘッド(22)の燃焼室天井面(40)との間に主燃焼室(4)が構成され、
前記燃焼室天井面(40)には、吸気弁口(41)と排気弁口(42)が前記主燃焼室(4)に臨んで開口するとともに、同主燃焼室(4)から分離され点火プラグ(61)を内装した副燃焼室(6)が開口して設けられ、
前記シリンダヘッド(22)には、前記吸気弁口(41)と前記排気弁口(42)とからそれぞれ吸気路(8)をなす吸気ポート(43)と排気路をなす排気ポート(44)とが、互いに離れる方向に延出して形成された内燃機関(1)の副燃焼室(6)において、
前記燃焼室天井面(40)から混合気ガイド(65)が前記主燃焼室(4)内に突出して前記シリンダヘッド(22)に一体成形され、
同混合気ガイド(65)は、前記副燃焼室(6)の開口(6a)の一部を覆って入口開口部(66)を形成して設けられ、
前記入口開口部(66)は、前記混合気ガイド(65)の前記吸気弁口(41)を臨む一方側の位置に形成され、
前記内燃機関(1)の前記吸気路(8)にはタンブル流路(82)が形成され、前記タンブル流路(82)を流れるタンブル流は前記入口開口部(66) を指向することを特徴とする内燃機関の副燃焼室。 - 前記混合気ガイド(65)の他方側の位置には、前記副燃焼室(6)と前記主燃焼室(4)とを連通し同主燃焼室(4)に臨む、火炎噴射口(67)が形成されたことを特徴とする請求項5に記載の内燃機関の副燃焼室。
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