(実施例1)
図2を参照して画像形成装置の全体構成について説明する。図2は画像形成装置の断面図である。画像形成装置は、画像形成部、クリーニング部、シート給紙部、二次転写部、定着部、排紙部、等を有する。以下、それぞれについて図2を用いて説明する。
(画像形成部)
図2に示す画像形成装置の本体(プリンタ本体)100は、本体100に対して着脱自在なプロセスカートリッジ3Y、3M、3C、3Kを備えている。これら4個のプロセスカートリッジ3Y、3M、3C、3Kは、互いに異なる色、即ち、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーを収容している。プロセスカートリッジ3Y、3M、3C、3Kは、現像ユニット4Y、4M、4C、4Kと、クリーナユニット5Y、5M、5C、5Kによって構成されている。現像ユニット4Y、4M、4C、4Kは、現像ローラ6Y、6M、6C、6Kと、トナー塗布ローラ7Y、7M、7C、7K及びトナー容器を有している。一方、クリーナユニット5Y、5M、5C、5Kは、感光ドラム1Y、1M、1C、1Kと、帯電ローラ2Y、2M、2C、2Kと、ドラムクリーナー8Y、8M、8C、8Kと、廃トナー容器とを有している。プロセスカートリッジ3Y、3M、3C、3Kの下方にはスキャナユニット9が配置されており、画像信号に基づいて感光ドラム1Y、1M、1C、1Kを光(本例ではレーザ光)で走査する。感光ドラム1Y、1M、1C、1Kは、帯電ローラ2Y、2M、2C、2Kによって所定の電位に帯電された後、スキャナユニット9によって走査される。この走査により各感光ドラムの表面には静電潜像が形成される。これらの静電潜像は、現像ユニット4Y、4M、4C、4Kでトナーが供給されることで現像される。
ベルトユニット10は、駆動ローラ13、テンションローラ14に張架されている中間転写ベルト12を有している。テンションローラ14は中間転写ベルト12に対して矢印T方向に張力を掛けている。各感光ドラム1Y、1M、1C、1Kは図2における時計周りに回転し、中間転写ベルト12は反時計周りに回転する。また、中間転写ベルト12の内面であって、各感光ドラム1Y、1M、1C、1Kに対向する位置には一次転写ローラ11Y、11M、11C、11Kが配設されている。一次転写ローラ11Y、11M、11C、11Kには、不図示のバイアス印加手段により転写バイアスが印加される。この転写バイアスにより感光ドラム表面から中間転写ベルト12へトナー像が転写され、中間転写ベルト12上に4色のトナー像が重畳される。このトナー像は二次転写部15まで搬送される。
(クリーニング部)
トナー像転写後に感光ドラム1Y、1M、1C、1K表面に残ったトナーは、ドラムクリーナー8Y、8M、8C、8Kによって除去される。また、シートSへの二次転写後に中間転写ベルト12上に残ったトナーは、ベルトクリーナー26によって除去され、不図示の廃トナー回収容器に回収される。
(シート給紙部)
シート給紙部は本体100に装着されている給紙ローラ24と、本体100に対して着脱可能な給紙カセット23で構成される。給紙ローラ24は不図示の駆動ユニットの動力によって回転する。給紙ローラ24によって、給紙カセット23からシートSを1枚ずつ分離し、レジストローラ対17に搬送する。このレジストローラ対17により最終的なシートSの斜行補正を行う。また、レーザ光で感光ドラムを走査するタイミングと、シート搬送のタイミングを合わせるようになっている。
(二次転写部)
シート給紙部から給紙されたシートSは、レジストローラ対17により二次転写部15に搬送される。二次転写部15において、二次転写ローラ16にバイアス電圧を印加することにより、中間転写ベルト12上の4色のトナー像をシートSに二次転写する。
(定着部)
トナー像転写後のシートSは定着部18に搬送される。シートS表面のトナー像は定着フィルム19aと加圧ローラ19bの間に形成されている定着ニップ部NでシートSに加熱定着される。
(シート検知機構)
シート検知機構20は、定着部18で挟持搬送されるシートSを検知する。シート検知機構20は定着ニップ部Nを通過してきたシートSを検知し、この検知した情報を不図示の制御部に伝えている。制御部は、シート検知機構20から受け取った検知情報に基づいて、シートSの搬送制御や、シートSのジャムの報知を行っている。シート検知機構は定着部の直後に設けられている。
(シート排出部)
シート検知機構20を通過したシートSは、ローラ対27により搬送される。ローラ対27を通過したシートSは排紙ローラ対21で搬送され、排紙トレイ22上へ排出される。なお、本例で示すシートSは、普通紙のように、光を透過させずにその表面で反射させる材質である。
(両面プリント用シート搬送機構)
図2に示すように、シート検知機構20は、シート搬送方向において定着フィルム19aと加圧ローラ19bの直後に設けられている。シート検知機構20よりもシート搬送方向下流には、シートSの搬送先を排紙ローラ対21又は反転ローラ対45に切換えるためのフラッパ46が設けられている。両面プリントを実行する場合、フラッパ46によって反転ローラ対45に案内されたシートSは、反転ローラ対45の正回転によって装置外へ向かって搬送される。そして、シートSの後端が反転ローラ対45を通過する前に反転ローラ対45が逆回転することによって、シートSの後端だった端部が先端に切換って両面搬送ローラ対166に向って搬送される。その後、シートSは両面搬送ローラ対166及び再給紙ローラ対47によって二次転写部15へ搬送され、二次転写部15でシートSの裏面に画像が形成される。
(定着部の詳細な説明)
図3に定着部(定着ユニット)18の断面図を示す。19aは回転自在な定着部材としての定着フィルムである。50は定着フィルム19aの内面に接触するヒータである。温度検知部51はヒータ50の裏面に当接しており、ヒータ50の温度を検知する。不図示の制御部は温度検知部51の検知温度に応じてヒータ50へ供給する電力を制御している。52は定着フィルム19aの回転軌道を規制するフィルムガイドである。ヒータ50はフィルムガイド52に保持されている。19bは回転自在な加圧部材としての加圧ローラである。加圧ローラ19bは定着フィルム19aを介してヒータ50と共に定着ニップ部Nを形成する。加圧ローラ19bは不図示のモータにより駆動されており、定着フィルム19aは加圧ローラ19bの回転に従動して回転する。
シート搬送方向においてシート検知機構20は定着ニップ部Nよりも下流に配置されている。且つ定着ニップ部よりも鉛直方向の上方に配置されている。なお、シート検知機構20とローラ対27はシート排出部70としてユニット化されている。図4(a)及び図4(b)に示すように、シート排出部70は定着部18に搭載されており、且つ定着部18に対して軸53を中心に回動可能に設けられている。図4(a)が通常プリント時の状態であり、ジャム処理等を行う場合は、ユーザが定着部18をプリンタ本体から取り出し、更に図4(b)の位置までシート排出部70を回動させることにより、滞留したシートSを除去可能である。
定着フィルム19aは3層構成であり、内面側から順に、基層、弾性層、表層を有している。本実施例の定着フィルム19aの外径は24mmである。基層の材質はポリイミドであり基層の厚みは70μmである。弾性層の材質はシリコーンゴムであり、弾性層の厚みは200μmである。表層の材質はPFA(パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)であり、表層の厚みは15μmである。加圧ローラ19bは3層構成であり、中心から順に、芯金、弾性層、離型層を有する。本実施例の加圧ローラ19bの外径は25mmである。芯金の材質はSUS(ステンレス鋼)である。弾性層の厚さは4mmであり、材質はシリコーンゴムである。表層の材質はPFAであり、厚みは30μmである。
ヒータ50は定着フィルム19aをシートS上のトナーを定着させるのに必要な温度まで昇温させる役割を持つ。本実施例ではヒータ50は、セラミックの基板に発熱抵抗体を印刷したセラミックヒータである。なお、加熱方式はこの方式に限定されるものではなく、熱ローラ方式やIH加熱方式を用いても良い。
図5にヒータ50の斜視図を示す。図5の+Z側の面がヒータ50の裏面(定着フィルム19aと接触する面とは反対側の面)である。図5中の矢印DL方向(Y軸方向)を紙幅方向と定義する。ヒータには3つのサーミスタ(温度検知部)51a、51b、51cが接触している。温度検知部51aは、ヒータ50の紙幅方向の中央に配置されている。本例のプリンタで使用可能な最大幅のシートSが通過する領域をDYとする。温度検知部51b、51cは紙幅方向(Y軸方向)において領域DYよりも外側のヒータ50裏面に配置されており、ヒータの非通紙領域の温度を検知する。定着処理中、定着フィルムの非通紙領域の温度は、この領域の熱がシートSへ伝熱しにくいため、通紙領域の温度と比べて高くなる。定着フィルム19aの表面温度が高くなり過ぎると定着フィルム19aの表層が溶ける恐れがあるため、定着フィルム19aの表面温度が予め設定した閾値温度を超過しないようにプリンタを制御する必要がある。温度検知部51b、51cが検知した温度の少なくともどちらか一方が、予め設定した閾値温度を超えた場合、連続プリント中の通紙間隔を延長し、温度検知部51b、51cの検知温度が両方とも閾値温度を下回るまで定着フィルム19aを回転駆動させる。上述の制御により、定着フィルム19aの表面温度が予め設定した閾値温度を超過する事を防ぐ。
(シート検知機構の基本構成説明)
本例のシート検知機構20の基本構成について説明する。本例のシート検知機構20の上面図を図6(a)に、側面図を図6(b)に示す。シート検知機構20は、シートSを案内するガイドユニット(30、31)と、ガイドユニット(30、31)に沿って移動するシートSを検知するセンサユニット(28、29)を有する。
ガイドユニット(30、31)は、第1ガイド部30と、シートが移動する空間を境にして第1ガイド部30と対向する第2ガイド部31と、を有する。第1ガイド部30が片面プリント時のシートSの非印字面に対向し、第1ガイド部31が片面プリント時のシートSの印字面に対向する。第1ガイド部30は通紙部30aと底面部30bを有する。第2ガイド部31は通紙部31aと底面部31bを有する。搬送されるシートSは、第1ガイド部30の通紙部30aと第2ガイド部31の通紙部31aの間で形成されるシート搬送路(シートが移動する空間)を通って排紙される。
センサユニット(28、29)は、第1ガイド部30の内部に設けられている第1光学素子部28と、第2ガイド部31の内部に設けられており第1光学素子部28と協同してシートSを光学的に検知するための第2光学素子部29と、を有する。本例の装置は、第1光学素子部28が発光部となっており、第2光学素子部29が受光部となっている。発光部28は電装基板に発光素子を取り付けたものである。受光部29は電装基板に受光素子を取り付けたものである。受光部29は光を受光すると電気信号に変換する機能を持っている。
発光部28は第1ガイド部30のセンサ固定部30cに固定されている。受光部29は第2ガイド部31のセンサ固定部31cに固定されている。第1ガイド部30の通紙部30aには発光部28と受光部29を結ぶ光路の光が通過する第1開口部30dが設けられている。第2ガイド部31の通紙部31aには発光部28と受光部29を結ぶ光路の光が通過する第2開口部31dが設けられている。
発光部28は消費電力の少ない電界発光するLED(発光ダイオード)を用いるのが好ましい。さらに、LEDを用いるなら砲弾型より表面実装型を採用することで、より省スペースに配置することができる。なお、前述した発光部28と受光部29の配置は逆でも良い。
(シート検知機構の動作説明)
本例のシート検知機構20の動作について説明する。まず、図7(a)及び図7(b)にシート検知機構20がシートSを検知していない状態を示す。図7(a)はX軸方向(図6(a)参照)においてセンサユニットがある位置におけるシート検知機構20の断面図、図7(b)はY軸方向(図6(b)参照)においてセンサユニットがある位置におけるシート検知機構20の断面図である。図7(a)及び図7(b)に示すように、シートSがセンサユニットの光路中に無い状態で、発光部28の光は、第1開口部30d、シート搬送路、第2開口部31dを通り受光部29まで届き、受光部29に電流が流れる。このように、受光部29に電流が流れる状態が、シートSを検知していない状態である。
次に、図8(a)及び図8(b)にシート検知機構20がシートSを検知している状態を示す。図8(a)及び図8(b)に示すようにシートSがセンサユニットの光路中に有る状態では、発光部28の光は、第1開口部30d、シートS表面まで進み、シートS表面で遮光される。このため、受光部29には光が届かなくなり、電流が流れない。このように、受光部29に電流が流れない状態が、シートSを検知している状態である。
上述したように、シート検知機構20は、シート搬送方向において定着フィルム19aと加圧ローラ19bの直後に設けられている。そして、シート検知機構20は、発光部28から出射する光がシートSによって遮光され受光部29に光が届かない状態がシート有りの状態(シートを検知している状態)となる構成である。この構成であれば、シート検知機構20の近傍での搬送ガイドによるシートSへの摺動傷を無くし、より高速にシートSを搬送しても正確にフラッパ46を切り替えることができる。その理由を以下に説明する。
近年は、装置の高さを抑えることによって装置の小型化を図る傾向にある。高さが低い装置を設計する場合、定着部を抜けた後の搬送路の曲率を大きくせざるを得ないケースが多い。一方、両面印刷の生産性向上(高速印刷)も求められている。
曲率の大きな搬送路は画像に摺動傷を付ける要因になる。一方、高速印刷は、シートSの端部をシート検知機構が検知することで動作するフラッパ46の切り替えタイミングの作動の高精度化を要求する。
画像の損傷を防止するには、定着フィルム19aと加圧ローラ19bからフラッパ46までに設けられたシート搬送路の幅(シートSの面に対して垂直な方向の間隔)を広くして、シートSが搬送ガイドに積極的に当たらないようにする必要がある。しかしながら、シート搬送路の幅を広くすると、シート搬送路を通過するシートSの姿勢が安定しない。特にシートSのカールの程度によって姿勢は大きく左右される。このため、シートSの端部を正確に検知することが難しい。
そこで、本実施例のようにシートSが発光部28の光を遮光することでシートSを検知するシート検知機構20にすれば、シートSの端部を正確に検知することが可能となる。例えば、発光部28の光をシートSの表面で反射させてシートSを検知するシート検知機構では、シートSの姿勢によって検知精度が変わってしまう可能性があるが、本実施例のシート検知機構20は、このような可能性を抑えられる。
(送風構成の説明)
次に、シート検知機構20の送風構成について説明する。吸湿したシート(普通紙)Sが定着ニップ部Nを通過し加熱定着処理されると、シートSから高温の水蒸気が発生する。シート検知機構20は定着ニップ部Nに対して鉛直方向上方に配置されているので、発生した水蒸気は自然対流でシート検知機構20に到達する。水蒸気がシート検知機構20の開口部30d及び31dから侵入し、発光部28や受光部29に到達するとこれらに結露が生じて誤動作する可能性がある。また、定着部18からシート検知機構20への伝熱により発光部28や受光部29が高温となった場合、これらが誤動作する可能性がある。そのため、発光部28、受光部29への結露や、これらの素子の昇温を防ぐ送風構成が必要となる。
図9(a)及び図9(b)にシート検知機構20の送風構成の斜視図を示す。図9(a)はシート検知機構20を受光部29側から発光部28側を見た斜視図であり、図9(b)はシート検知機構20を発光部28側から受光部29側を見た斜視図である。また、図10はシート検知機構20の断面図である。
発光部28を覆うように第1ガイド部30には蓋部材32が取り付けられており、第1ガイド部30と蓋部材32によってダクトを形成している。また、蓋部材32の−Y方向の端部にはダクト部材33が取り付けられている。ダクト部材33は中が中空になっており、そこから図10に示すように第1ガイド部30と蓋部材32で形成されるダクトへ送風できるようになっている。
次に、図1にシート検知機構20の送風構成の断面図を示す。まず、画像形成装置の本体100から送風される風を取り入れるための案内部33aがある。案内部33aから第1ガイド部30に向かって直角に通風路が曲がっている。このため、風を効率的に送風するのに曲がり角を曲線で繋いでいる。それから、第1ガイド部30の中には風を案内する排気ガイド30eが形成されている。この排気ガイド30eで形成された通風路(ダクト)の中に発光部28が配置されている。また、風を効率的に送風するために、排気ガイド30eと発光部28との段差は極力無いように設定されている。また、ダクト部材33のように第1ガイド部30から第1ガイド部30の開口部30dにかけて通風路が直角に曲がっているので、発光部28から第1ガイド部30の開口部30dまでの排気ガイド30eは曲線で繋がれている。このように、ダクトは第1ガイド部30の通紙部30aと底面部30bと排気ガイド30eと蓋部材32で形成される。
(空気の流れの説明)
本例のシート検知機構の送風構成における空気の流れについて図1を用いて説明する。まず、画像形成装置本体100の中に配置されている不図示のファンから風が送風される。次に、送付された風はダクト部材33の案内部33aに取り込まれる。案内部33aから直角に曲がり第1ガイド部30の通紙部30aと底面部30bと排気ガイド30eと蓋部材32で形成される通風路に風が送風される。そこから、発光部28から第1ガイド部30の開口部30dに向かって通風路によって送風が直角に曲がる。曲がった風は第1ガイド部30の開口部30dからシート搬送路を跨いで第2ガイド部31の開口部31dに送風される。最後に、第2ガイド部31の開口部31dから入ってきた風が受光部29に吹き付けられる。ダクトが設けられていない側の第2光学素子部(受光部29)にも、開口部30d及び31dを介して風が吹き付けられるので、第1及び第2光学素子部が結露するのを抑制できる。またこれらの光学素子部が高温になることも抑制できる。
このように、ダクトが二つのガイド部の一方にしか設けられていない場合でも、二つのガイド部に夫々設けられている光学素子部に送風できる。これにより、シート検知機構20の結露や熱源によるセンサの誤動作を防止しつつ、画像形成装置を小型化することができる。なお、本実施例では発光部28から受光部29までの光路と通風路が同じ経路として構成されているが、光路と通風路が別の経路となっていても良い。また、発光部と受光部は互いに逆の配置になっていてもよい。
更に、本実施例の構成では光路長と通風路長がそれぞれ最短になっており、以下の効果が得られる。即ち、光路長は短いほど発光部の発光量を抑えることができるため、発光部の省電力化、長寿命化の効果がある。また、通風路長は短いほどファンの送風量を抑えることができるため、ファンの小型化、省電力化の効果がある。また、通風路長は短いほどシート搬送路に噴き出す風の量が減るため、定着ニップ部が風で局所的に冷やされることで発生する画像弊害を防止することができる。
(実施例2)
次に、実施例2について図11〜図16を用いて説明する。なお、実施例1と同一部品、ならびに同一機能を有する部品については同じ符号で示し、説明を省略する。本例のシート検知機構の第1光学素子部は、発光部と受光部を有し、第2光学素子部は、第1光学素子部の発光部からの光を受光部へ反射する反射部材を有するものである。
(シート検知機構の基本構成と動作の説明)
図11(a)はシート検知機構34を反射部材36側から受光部29側を見た斜視図を示し、図11(b)はシート検知機構34を受光部29側から反射部材36側を見た斜視図を示す。発光部28と受光部29の性能には温度依存性がある。例えば発光部28となるLEDは寿命に対して温度依存性がある。また受光部29となるフォトトランジスタは光を受光しなくても電流が流れる暗電流の電流量に温度依存性がある。このような観点から、発光部28と受光部29両者とも熱源の影響を受けにくい構成にすることが好ましい。しかし、定着ニップ部の近辺にシート検知機構34を配置した場合、必然的にこれらの電気部品が熱源の近くに配置されてしまう。そこで本例では、これらの電気部品を少しでも熱源から遠ざけるようにしたものである。
なお、図12(a)は、第1ガイド部30に対して、発光部28と受光部29を搭載する基板sbを取り付ける前の状態を示している。30tは基板sbを突き当てる突き当て部、30fuは基板sbを保持するフック、30sは基板を固定するためのスナップ部で、弾性変形できるようになっている。これらの部材は第1ガイド部30に一体成型されている。図12(b)は第1ガイド部30に対して、発光部28と受光部29を搭載する基板sbを取り付けた状態を示している。なお、coは電気ケーブルを繋ぐためのコネクタであり基板sbに設けられている。同様に、図13(a)は、第2ガイド部31に対して、反射部材(ミラー)36を取り付ける前の状態を示している。31tは反射部材36を突き当てる突き当て部、31fuは反射部材36を保持するフック、31sは反射部材36を固定するためのスナップ部で、弾性変形できるようになっている。これらの部材は第2ガイド部31に一体成型されている。図13(b)は第2ガイド部31に対して、反射部材36を取り付けた状態を示している。
加圧ローラ19b上に配置されている第1ガイド部30には発光部28と受光部29が配置されている。また、組立性を向上させるために発光部28と受光部29は一つの基板35に搭載されている。定着フィルム19a上に配置されている第2ガイド部31には発光部28の光を反射する反射部材36が配置されている。
加圧ローラ19bにはヒータのような熱源がないので、発光部28と受光部29のような電気部品は、内部に熱源を有する定着フィルム19aの上よりも加圧ローラ19bの上に配置したほうが、熱的損傷を受けにくくなる。反射部材36は電気部品ではないので、発光部28や受光部29よりも熱的損傷は受けにくい。
さらに、実施例1同様、シートSによって発光部28の光を遮光することでシートSを検知する構成なので、実施例1で説明したようにシートSの端部を正確に検知することもできる。また、本実施例では反射部材36は光沢のある板金を用いている。反射部材36として、アルミ蒸着を施したPETシートや、ガラス表面にアルミや銀を蒸着した鏡を用いても構わないが、受光部29の出力の安定性を考慮すると板金が好ましい。特に、ステンレスが好ましく、ステンレスの中でもSUS430が好ましい。本実施例では、板金としてステンレス(SUS430(厚さt=0.4mm))を用いた。ステンレスの表面仕上げの規格は2Bである。板金、特にステンレス(SUS430)が好ましい理由は以下の3つである。
一つ目の理由は、周囲の温度変化が激しくても安定した出力を得られることである。第2ガイド部31に一体成型された反射部材36の取り付け部が熱膨張により変形しても、反射部材36そのものの剛性により反射部材の表面は変形しにくい。このため、発光部28や受光部29に対する反射部材の位置精度が安定し、受光部29に照射される光量が安定し、結果的に受光部29の出力が安定する。
二つ目の理由は、板金としてステンレスを用いた場合、高湿度環境でも表面の腐食に強いことである。定着部では、シートSを加熱するので水蒸気が発生する。このため、高湿度の環境でも腐食しにくいステンレス類が良い。また、メッキを施した板金でも良いが組立や使用時に反射部材36の表面に傷が付くことでそこから腐食しやすくなるためステンレスのように単体で腐食に強い材質が良い。また、ステンレスの中で代表的な種類としてクロムとニッケルを含むSUS304と、クロムを含むSUS430がある。SUS304はSUS430より耐腐食性が高いものの画像形成装置では水蒸気のみが多く発生するのでSUS430でも構わない。
三つ目の理由は、SUS430は、SUS304と比較して安価に光沢性のある表面を得られることである。上述したようにSUS304にはニッケルが含まれるためSUS430よりも高価である。これに加えてSUS304は耐腐食性が高いために表面を仕上げる際の酸洗いではSUS430と比較して表面に凹凸ができてしまう。この凹凸によって光沢性が失われる。したがってSUS430の方が受光部29へ反射する光量を多くすることができる。
次に、シートの検知動作について説明する。図14にシートSをシート検知機構34が検知していない状態を示す。図14はシート検知機構34の上面図である。発光部28と受光部29の間には遮光リブ(遮光部)37があり、発光部28の光が直接受光部29に届くのを防止している。また、遮光リブ37は第1ガイド部30の通紙部30aまで伸びており、開口部は2分割される。即ち、第1ガイド部30に設けられた第1開口部は、発光部28に対応する開口30dと受光部29に対応する開口30fに分かれている。このような構成において、発光部28の光は第1ガイド部30の開口部30dからシート搬送路を跨いで第2ガイド部31の開口部31dに入り、反射部材36に届く。照射された光は反射部材36の表面で反射され、第2ガイド部31の開口部31dからシート搬送路を跨いで第1ガイド部30の開口部30fに入り、受光部29に届く。これによって、受光部29に電流が流れてシートSを検知していない状態となる。
図15はシート検知機構34がシートSを検知している状態を示している。発光部28の光は第1ガイド部30の開口部30dからシートSの表面まで届く。シートSの表面で光が遮光されるため受光部29まで光が届かない。これによって、受光部29に電流が流れずにシートSを検知している状態となる。
ところで、シート検知機構は、発光部28の光を反射部材36の内部で2回反射させるような構成でも良い。このような反射部材36の具体例は、コの字型のプリズムである。ただし、反射回数が多い分だけ光の反射角度のずれが大きくなり、シート検知機構の信頼性を損ねるおそれがある。よって、本実施例のように反射部材36で光を1回反射させる構成のほうが好ましい。また、上述したように、2回反射する構成では、反射部材36がコの字型のプリズムのように光の進行方向に対して厚みが必要になるが、1回反射では反射部材36の形状を板状にすることができるため装置の小型化も可能となる。
(送風構成と空気の流れの説明)
本例のように反射部材を用いるシート検知機構は、反射部材36が結露した場合、シート検知機構34がシートSの有無を誤検知する可能性が有る。反射部材36が結露し表面に微小な水滴が多数付着した場合、発光部28が発した光が反射部材36表面で水滴により乱反射してしまい、受光部29へ到達する光量が減少する。その場合、シート検知機構34にシートSが無い場合もシートSが有ると誤検知する可能性がある。よって、本例では反射部材36への結露を防ぐ送風構成も必要となる。
本実施例においても実施例1で説明したように、蓋部材32とダクト部材33は構成されているが、同じ内容のため説明を省略する。まず、図16にシート検知機構34の送風構成の断面図を示す。発光部28と受光部29を形成している基板35は排気ガイド30eよりも通風路の内側に配置されており、発光部28と受光部29の基板35と排気ガイド30eの間には隙間G2設けられている。この隙間G2は曲線的に形成された排気ガイド30eから受光部29を通り第1ガイド部30の開口部30fに繋がっている。また、第1ガイド部30の通紙部30aと発光部28の間にも隙間G1が設けられており、第1ガイド部30の開口部30dと繋がっている。
次に、空気の流れについて説明する。まず、画像形成装置の本体100の中に配置されている不図示のファンから風が送風される。次に、送風された風はダクト部材33の案内部33aに取り込まれる。案内部33aから直角に曲がり第1ガイド部30の通紙部30aと底面部30bと排気ガイド30eと蓋部材32で形成される通風路に風が送風される。ここで送風された風は隙間G1とG2の二方向に分岐される。
隙間G1が設けられた第1の通風経路を通る風は、第1ガイド部30の通紙部30aと発光部28の隙間G1を通過し、開口部30dからシート搬送路を跨いで開口部31dを通過し、反射部材36に到達する。
隙間G2が設けられた第2の通風経路を通る風は、隙間G2を通過して受光部29に到達する。更に受光部29と排気ガイド30eの隙間を通過し開口部30fからシート搬送路を跨いで開口部31dを通過し、反射部材36に到達する。第1と第2の通風経路による送風で発光部28と受光部29を冷却し、シート検知機構34の開口部30d、30f及び31dから水蒸気が侵入する事を防ぐ。上述の送風構成により、発光部28、受光部29が高温となる事を防ぎ、発光部28、受光部29及び反射部材36への結露を防止する。
以上のように、本実施例では、発光部28と受光部29の両者を定着フィルム19aから遠ざけて、且つ、ダクトが二つのガイド部の一方にしか配置されていないにも拘らず二つのガイド部に夫々設けられた光学素子部を冷却する構成を示した。これにより、発光部28と受光部29を熱的に保護すると共に、装置の大型化を抑えつつ発光部28と受光部29と反射部材36に風を送風できる。
(実施例3)
次に、実施例3について図17及び図18を用いて説明する。なお、実施例1、2と同一部品、ならびに同一機能を有する部品については同じ符号で示し、説明を省略する。本例のシート検知機構の第1光学素子部は、受光部と、受光部と第2光学素子部との間に光路を形成するための反射部材と、を有するものである。また、第2光学素子部は第1光学素子部の受光部へ向かう光を出射する発光部を有するものである。
(シート検知機構の基本構成と動作の説明)
画像形成装置の排紙口のように外部からの光源の影響を受けやすい所にシート検知機構38を配置すると、迷光によりシート検知機構38が誤検知してしまう可能性がある。画像形成装置の本体のサイズが小さくなると、迷光が侵入する可能性も大きくなる。
そこで、本実施例では、図17に示すように、受光部29を迷光が届きにくい所に配置して、誤検知を防止する構成を提案する。第1ガイド部30の排気ガイド30eには受光部29と反射部材36が配置されている。受光部29は第1ガイド部30の開口部30dから離れた位置に配置されているため、発光部28以外の光は受光部29に直接届く可能性は小さい。更に、発光部28以外の光は反射部材36からの正反射で受光部29に届きにくい。第2ガイド部31には発光部28が配置されている。
次に、シート検知の動作について説明する。発光部28からの光は第2ガイド部31の開口部31dからシート搬送路を跨いで第1ガイド部30の開口部30dに入り反射部材36に届く。照射された光は反射部材36の表面で反射して受光部29に届く。これによって、受光部29に電流が流れてシートSを検知していない状態となる。また、シートSをシート検知機構38が検知している状態は第2の実施例と同様のため説明を省略する。
(送風構成と空気の流れの説明)
図18にダクト内の空気の流れを示す。空気が最初に受光部29に当り、次に反射部材36に当り、開口部30d、31dを通過して、最後に発光部28に当る様子を示している。これにより、光学素子部の昇温を抑えている。
(実施例4)
次に、実施例4について図19〜図22を用いて説明する。なお、実施例1〜3と同一部品、ならびに同一機能を有する部品については同じ符号で示し、説明を省略する。図19は、加圧ローラ軸方向(Y軸方向)において、センサユニットがある位置における定着部18の断面図である。図20(a)は定着部18の斜視図、図20(b)、図21(a)、図21(b)、図22(a)は図20(a)から部品32を取り外し、ダクト内部が見えるようにした図である。
(シート検知機構の基本構成と動作の説明)
本実施例の装置は、プリンタ本体への電力供給が瞬断された場合でも、シート検知機構20の発光部28及び受光部29への結露を抑制できるものである。
複数枚の吸湿したシートSに連続プリントする場合、シートSが定着ニップ部Nを通過した際にシートSから発生する高温の水蒸気が定着部18の内部に滞留する。特に定着フィルム19aと加圧ローラ19bとガイドユニット30、31で囲まれた空間に滞留する。プリント終了後もシート検知機構20に対する送風は継続されるため、通常は定着部18の内部に滞留する水蒸気がシート搬送路から開口部30d、30f及び31dを介して逆流し、発光部28や受光部29、反射部材36に到達する事は無い。しかしながら、プリント途中に停電や電源ケーブルが外れる等の要因でプリンタ本体への電力供給が瞬断した場合、シート検知機構20へ送風する不図示のファンへの電力供給も瞬断する。その場合、定着部18の内部に滞留した水蒸気の一部がシート搬送路からシート検知機構20の開口部30d、30f及び31dを介して侵入し、発光部28や受光部29、反射部材36に到達して、これらに結露が生じる可能性がある。
そこで、本実施例では、プリント中に発生する水蒸気をプリント中は常に拡散させて、定着フィルム19aと加圧ローラ19bとガイドユニット30、31で囲まれた空間に滞留しないようにしている。本例のシート検知機構20の構成は、シート検知機構20へ送風する通風路が途中で第1の通風路41(41a、41b)と第2の通風路42に分岐している。第1の通風路41はシート検知機構20の発光部28や反射部材36に送風する(矢印41aのルート)。第2通風路42は定着部18の内部に送風し、定着部18の内部に水蒸気が滞留しにくくする。そうする事で、プリンタ本体への電力供給が瞬断された場合でも、シート検知機構20の開口部30d、30f及び31dから侵入する水蒸気を減少させる事ができ、発光部28や受光部29、反射部材36への結露を抑制する事が可能となる。なお、通風路41bは、プリンタ内の定着器18以外の機構に風を送るルートである。
(送風構成と空気の流れの説明)
図20(a)において、ファンから送風された空気は、中空のダクト部材33を通り、その後、蓋部材32と第1ガイド部30とで形成される第1の通風路41と、中空のダクト部材40で形成されている第2の通風路42に分岐される。第1の通風路41は、発光部28と反射部材36に送風するための通路である。第2の通風路42はダクト部材40の開口部40dから定着部18の内部に送風するための通路である。開口部40dは加圧ローラ19bの軸方向(Y軸方向)における略中央部に対向する位置に設けられており、この開口部40dを通過した空気は、定着フィルム19aと加圧ローラ19bとガイドユニット30、31で囲まれた空間に向って送風される。この送風により、定着部18の内部に水蒸気が滞留するのを抑制する。
また、図19に示すように、第2の通風路42から出た空気は、定着部18の内部の加圧ローラ19bに直接当たるように送風される。定着フィルム19aに直接当たるように送風した場合、定着フィルム19aの表面温度が低下し、シートS上トナー像の定着性の悪化が懸念される。定着フィルム19aへの送風に比べて加圧ローラ19bに送風する方が、定着フィルム19aの表面温度の低下が抑制され定着性への影響が比較的小さい。よって、第2の通風路42による定着部18の内部への送風は、加圧ローラ19bへ送風することが好ましい。
なお、第2の通風路による送風構成は上述の構成に限定される訳ではなく、他の送風構成でもよい。他の送風構成の一例を図22(b)に示す。ダクト部材43の開口部43dから出る風の向きが加圧ローラの軸方向と略平行になるように開口部43dの向きを設定してもよい。
本実施例の構成のように、一つの風路からシート検知機構39の光学素子部に送風する風路と定着部18の内部に送風する風路に分岐させることで、画像形成装置を小型化する事が可能である。
(実施例5)
次に、実施例5について説明する。なお、実施例1〜4と同一部品、ならびに同一機能を有する部品については同じ符号で示し、説明を省略する。
(シート検知機構の基本構成と動作の説明)
搬送するシートSが小サイズ紙である場合の生産性を向上させられる構成について説明する。ここで、小サイズ紙は、搬送方向に対して直交する幅方向において、プリンタで使用できる最も大きな幅のシートよりも幅が小さなシートのことである。
実施例4のように、第2の通風路により定着部の内部に送風した場合、定着フィルム19a、加圧ローラ19b等の定着部材の温度が低下する。特に定着フィルム19aに直接風を当てた場合、表面温度の低下によりトナーの定着性の悪化が懸念される事は前述した通りである。ただし、加圧ローラ19bに送風した場合も影響が全くないわけではない。加圧ローラ19bへ送風した場合、加圧ローラ19bの表面温度が低下し、加圧ローラに当接して回転する定着フィルム19aの表面温度も僅かではあるが低下する。この温度低下はヒータ50の温度にも影響し、温度検知部51aで検知するヒータ温度を所定温度に維持しようとするとより大きな電力が必要となる。すなわち、第2の通風路からの風の影響でヒータ50から定着フィルム19aに供給する熱量は増加する。
また、第2の通風路42による定着部18の内部への送風構成は、加圧ローラ19bの長手方向(軸方向)の中央部付近に風が強く当たる構成である。よって、加圧ローラ19bは長手方向で温度差が生じ、風が強く当たる長手方向の中央部付近は温度が低くなり、当たる風が弱い長手方向の端部付近は温度が高くなる。加圧ローラ19bの温度が高くなる長手方向の端部付近は、大サイズ紙は通過するが小サイズ紙は通過しない非通紙領域に相当する。そのため、特に小サイズ紙を連続でプリントした場合(定着処理した場合)、加圧ローラ19bの非通紙領域は熱が更に蓄積され温度が上昇する。それに伴い温度検知部51b及び51cで検知する非通紙領域の温度も上昇する。
ところで、本実施例の装置は、実施例1で説明した制御と同じ制御、即ち、温度検知部51b及び51cの検知温度が予め設定した閾値温度を超過した場合、閾値温度以下となるまで次のシートの搬送を待機させる動作を行っている(通紙間隔を延長している)。この延長期間中に、定着フィルム19aを回転駆動させることで温度ムラを均している。
上述したように、ヒータ50から定着フィルム19aへ供給する熱量が増加した場合、温度検知部51b及び51cが検知する温度の上昇量も大きくなり、上述した閾値温度に到達するまでの時間も短くなる。また、温度検知部51b及び51cが検知した温度が閾値温度以下となるまで定着フィルム19aを回転駆動させる時間も長くなってしまうため、シートSの生産性は低下してしまう。シートSの幅が狭いほど、すなわち非通紙部が大きい程この影響が大きくなる。
一方、幅が狭いシートほど発生する水蒸気量は少なくなり、定着部18の内部に滞留する水蒸気量も少なくなる。よって、小サイズ紙を通紙する場合、定着部18の内部に水蒸気を滞留させないために必要な風量が小さくなるため、第2の通風路42によって定着部18内部に送風する風量も比較的少なくする事ができる。
そこで、本実施例ではシートSの紙幅に応じて、第2の通風路42(実施例4参照)を介して加圧ローラ19bに送る風量を可変とする。シートSの紙幅が小さい場合、シート検知機構39の発光部28及び受光部29が結露しない範囲で、第2の通風路により加圧ローラ19bに送風する風量を低減させる。加圧ローラ19bへ送風する風量を低減させる事で、加圧ローラ19bの長手方向の中央部付近における表面温度の低下を軽減でき、ヒータ50から定着フィルム19aに供給する熱量の増加を抑制する。そして、温度検知部51b及び51cが検知する非通紙領域の温度の上昇量を抑制できるため、シートSの生産性低下を抑制できる。
(送風構成と空気の流れの説明)
本実施例におけるシート検知機構39、蓋部材32、ダクト部材33、ダクト部材40の構成は実施例4の構成と同一のため説明を省略する。本実施例ではダクト部材33に送風するファンの回転数を可変とし、シートSの紙幅に応じて第2の通風路42を介して定着部18の内部に供給する風量を変更する。
本実施例におけるシートSの紙幅とダクト部材33に送風する風量の関係を表1に示す。シートSの紙幅WがA4以上(210mm≦W)の場合の風量を100%とすると、シートSの紙幅WがA4未満〜A5以上(148mm≦W<210mm)の場合は風量を75%に、シートSの紙幅WがA5未満(W<148mm)の場合は風量を50%とする。上述の構成により、シート検知機構39の発光部28と受光部29への結露を抑制しつつ、小サイズ紙の生産性を向上させる事ができる。
なお、小サイズ紙を通紙する時に定着部の内部に送風する風量を、最大サイズ紙を通紙する時の風量よりも抑える構成であれば、本実施例以外の構成を用いても良い。本実施例以外の送風構成の一例を図23(a)〜(c)に示す。図23(a)及び(b)は、図23(c)に示すメッシュ部材44を開口部40dに退避可能に取り付けた送風構成である。図23(a)はメッシュ部材44が開口部40dから退避した状態であり、図23(b)はメッシュ部材44が開口部40dに対向している状態である。小サイズ紙が通紙されたと検知した場合、図23(a)から図23(b)の状態にメッシュ部材44を移動させる。これにより、開口部40dから定着部18内部に送風する風量を低下させる事が可能となり、加圧ローラ19bにおける長手方向の端部付近の温度上昇を抑制し、小サイズ紙の生産性を向上させる事ができる。
(実施例6)
次に、実施例6について説明する。なお、実施例1〜5と同一部品、ならびに同一機能を有する部品については同じ符号で示し、説明を省略する。
(定着部の説明)
図24(a)に定着部の断面図を示す。定着部は、断面がコの字型のステー101を有する。ステー101はフィルムガイド52の内側に配設してある。定着フィルム19aは、定着フィルム19aの長手方向両端部に対向するように配置されたフランジ102及び103により走行軌跡を規制されている。本実施例においてはフランジの端面および外周面で定着フィルムaの長手方向への移動、および定着フィルム19a両端部の走行軌跡を規制している。50はヒータ、19bは加圧ローラである。ステー101と加圧ローラ19bの間に圧力を掛けることにより定着ニップ部Nが形成されている。157はシートSのカールを矯正するデカールローラである。
定着部18のシート検知機構は2つ配置されている。第1のシート検知機構は、定着ニップ部Nとデカールローラ対157の間に配置されている、光学的にシートSを検知する非接触式センサである。
本実施例の非接触式センサは、実施例2で説明したように、加圧ローラ19b上の第1ガイド部30の内側に配置した発光部28及び受光部29と、定着フィルム19a上の第2ガイド部31の内側に配置した反射部材36と、を有する。第1ガイド部30は両面搬送時のガイドを兼ねる蓋部材32と組み合わされてシート排出部70としてユニット化されている。
第2のシート検知機構は、デカールローラ対157の下流に配置されている物理的にシートSを検知する接触式センサである。接触式センサは、加圧ローラ19b上の第1ガイド部30の内側に配置されたフォトインタラプタのようなセンサ部材104と、センサ部材104に作用するフラグ部材108を有する。フラグ部材108は、シートSが当接する当接部105と、回転軸106と、センサ部材104の光を遮光するための遮光部107を有する。シートSが当接部105に当たることで回転軸106を中心にフラグ部材108が回動して遮光部107がセンサ部材104の光軸を遮断する。これにより、シートが有ることを検知する。
これらのシート検知機構は以下のような役割がある。非接触式センサは、普通紙のように発光部28の光を透過させにくいシートに印刷するケースで使用する。接触式センサはOHT(overhead transparency)のように光を透過させやすいシートに印刷するケースで使用する。これらのセンサは、シートの端部を検知することで、図2に示したフラッパ46の姿勢を切り替えるためのトリガ信号を生成する役目、定着ニップ部Nでのジャムを検知する役目がある。
非接触式センサは接触式センサよりも定着ニップ部Nに近い位置に配置されている。その理由を説明する。非接触式センサで検知する普通紙等のシートに印刷する時の方が、OHTのようなシートに印刷する時よりも印刷速度が速い。このため、シートのジャムを検知してから定着ニップ部Nでシートの搬送を止めるまでにシートが進む距離は、普通紙等のシートのほうが長くなり、一刻も早く搬送を停止させる必要があるからである。定着ニップ部Nからの非接触センサまでの距離を極力短くすることで、ジャムが発生した時にシートSの折れ曲がりの程度が軽減でき、ユーザによるジャム処理が容易になる。また、接触式センサをデカールローラ対157の下流に配置しているので、定着部18を小型化できる。また、図24(a)(b)に示すようにシート排出部70は軸53を有している。図24(a)が通常プリントの状態であり、ジャム処理を行う場合は、ユーザが定着部18を画像形成装置本体100から取り出す。更に、図24(b)の位置まで軸53を中心にシート排出部70を回動させることで、滞留したシートSを除去可能である。
ここで定着ニップ部NをシートSが通過している時にジャムが発生した場合、ジャムしたシートを除去し易くするため、定着ニップ部Nを形成している部材(加熱ユニットと加圧部材)を離間させるのが好ましい。本実施例の定着部18には、加熱ユニットと加圧部材を当接及び離間させる機構を備えている。本実施例においてシート上の未定着トナー像と接触する加熱ユニットの加圧部材と接触する部分定着フィルム19aなので、直接駆動させるのが困難である。よって、加圧部材である加圧ローラ19bを回転駆動することで定着フィルム19aを従動回転させる構成とし、加熱部材と加圧部材を当接及び離間させる場合は、定着フィルム19aを有する加熱ユニットのみを移動させる構成としている。
次に定着部18の当接離間機構について説明する。図25(a)(b)に定着器18の当接離間機構の斜視図を示す。加圧ローラ19bの両端部は、側板109と中間板金110で構成されるフレームに取り付けられた軸受部111に回転可能に支持されている。加熱ユニットは加圧ローラ19bとの当接離間方向に移動可能に定着側板109によって支持されている。加熱ユニットのフランジ102、103を加圧板112、113で加圧することにより定着ニップ部Nを形成する。加圧板112、113の一端部は側板109に取り付けられたサポートフレーム114、115に掛けてあり、フランジ102、103を加圧する加圧バネ116がサポートフレーム114、115と加圧板112、113との間に設けられている。当接離間機構に作用するカム117、118は、回転軸119の両端に固定されている。
回転軸119の片側には回転軸119に駆動を伝達するギア120が設けられている。また、加圧ローラ19bを駆動するためのギア121、122が設けられており、画像形成装置本体100に設けられた駆動源としての不図示のモータからの駆動力が、ギア120、121、122に伝達されるように構成されている。定着ニップ部Nを解除する必要が生じた時には、ギア120を介してカム117、118へ動力が伝達され、カム117、118が回動する。カム117、118の位相が変化すると加圧板112、113によるフランジ102、103を押し下げる力が変化する。これにより定着フィルム19aが加圧ローラ19bに当接したり、両者が離間したりする。ジャムが発生した時は両者を離間させて定着ニップ部Nを解除する。定着ニップNを解除した状態では、定着部18でジャムしたシートSを容易に取り除くことが出来る。
定着部18は、定着器18の交換およびユーザのジャム処理のため、画像形成装置本体100から着脱可能になっている。図26(a)、(b)に示すように、定着部はカバー123、124、125、126で覆われている。定着部を画像形成装置本体100から取り出す際には、ユーザがハンドル127を保持することで、安全かつ容易に取り出せるようになっている。128は画像形成装置本体100から定着部へ電力を供給するためのドロアコネクタである。
(シート検知機構の構成と動作の説明)
本実施例のシート検知機構の構成と動作の説明をする。まず、はじめに非接触式センサの構成について説明する。図27(a)、(b)、(c)に非接触式センサの斜視図を示す。発光部28と受光部29を実装している基板35は2個所の位置決め穴と基板ホルダ131の位置決めボス132、133とで位置決めされて、それらはビス134で固定されている。そして基板ホルダ131はフック部135、136、137と位置決めボス138によって第1ガイド部30に位置決め且つ固定されている。また、反射部材36は反射部材ホルダ139の位置決め部140で反射部材ホルダ139に対して長手方向に位置決めされている。また、反射部材ホルダ139はフック部141、142、143と位置決めボス144によって中間板金110に位置決め且つ固定されている。なお反射部材36は反射部材ホルダ139と中間板金110が固定されることで反射部材ホルダ139から脱落しないような構成になっている。
図28に非接触式センサの光路に関する断面図を示す。第1ガイド部30と基板ホルダ131と反射部材ホルダ139によって、発光部28の光が通る光路と反射部材36から反射した光が受光部29に向かう光路が形成されている。第1ガイド部には開口部30d、30fが設けられている。また、第2ガイド部31には、発光部28から反射部材36へ向かう光路と反射部材36から受光部29へ向かう光路を形成するための開口部31dが設けられている。また、第2ガイド部31の平坦部145に沿ってシートSが搬送されたとしても、シートS表面で反射される光は第1ガイド部30の遮光リブ37によって遮光される(破線の矢印で示す光路)。このためシートを搬送しているにも拘らずシート無しとして誤検知することはない。以上のような非接触式センサの動作は実施例2で説明済みのため詳細な説明は省略する。
次に接触式センサの構成について説明する。図29(a)(b)(c)に接触式センサの斜視図を示す。フラグ部材108の当接部105の先端にはコロ146が取り付けられており、両面印刷時の1面目の画像への摺動傷を無くす効果がある。フラグ部材108の回転軸106が蓋部材32に対して回転自在に保持されており、これによりフラグ部材108が蓋部材32に保持されている。当接部105は、コイルバネ147によってホームポジションに向って付勢されている。
本実施例では、当接部105の回動範囲(回転角度)に対して遮光部107の回動範囲(回転角度)を小さくするため、回転軸106上で、当接部105と遮光部107は互いに異なる軸と一体化させている。具体的には、当接部105は回転軸148と一体化されており、遮光部107は回転軸149と一体化されている。当接部105の回転軸148にはコイルバネ150が取り付けられている。コイルバネ150は、遮光部107が回動方向において移動不可能となった時に、回動している当接部105をホームポジション方向に付勢している。当接部105の回転軸148の端部には突き当て部151が設けられており、検知部107の回転軸149の端部には突き当て部151が設けられている。突き当て部151と突き当て部152は互いに当接している。また、センサ部材104としてフォトインタラプタが用いられている。センサ部材104は第1ガイド部30に取り付けられている。なお、図29(c)は、フラグ部材108がシートSを検知していないホームポジションに位置している状態を示している。
次に、このような非接触式センサの動作について説明する。図30にシートSを検知してフラグ部材が回動している状態を示す。当接部105がシートSによって回動させられることで、コイルバネ147で付勢されている遮光部107もセンサ部材104の光軸に向かって回動して、所定の角度で遮光部107が光軸を遮光する。さらに回動すると、遮光部107の先端に設けられている突起部153が第1ガイド部30に設けられている突き当て部154に突き当たる。そして、この状態から当接部105がシートに押されて更に回動すると、コイルバネ150の力に抗して突き当て部151と突き当て部152の間に隙間が生じるように当接部105のみが回動する。シートSが通過した後は、コイルバネ147、150が付勢する方向に当接部105と遮光部107が回転し、これらがホームポジションに戻る。
以上のように、当接部105の回転角度に対して遮光部107の回転角度を小さくしているので、遮光部107を配置するためのスペースを小さくすることが可能となる。
(シート排出部と定着部でのジャム処理の説明)
まず本実施例のシート排出部70について説明する。図31(a)、(b)は、シート排出部70を定着部18に対して回動させた状態を示している。53はシート排出部70の回転軸を示している。なお、回転軸53の中を、基板35やセンサ部材104から出る束線が通るようになっており、束線は最終的にドロアコネクタ128と繋がっている。ドロアコネクタ128を介して画像形成装置本体100から電力を供給されて、センサ類が動作する。また、シート排出部70にはデカールローラ対157が設けられており、デカールローラ対157は軸受部158、159によって回転自在に支持されている。軸受部158は圧縮バネ160によってデカールローラ対157の端部に向って付勢されており、これによりデカールローラ対157のカール矯正力を生み出している。軸受158、159は側板161、162に取り付けられており、側板161、162は第1ガイド部30に固定されている。デカールローラ対157を駆動させるために、ギア163、164、165を使ってギア121から動力を伝達している。シート排出部70を回動させた状態ではデカールローラ対157まで動力は伝わらずに、シート排出部70が定着部18に対して閉じた状態になることでギア163とギア164が噛み合うようになっている。
次に定着部18でのジャム処理について説明する。図31(a)、(b)に示すように、ジャム処理を行う場合、ユーザがシート排出部70を回動させて第1ガイド部30と第2ガイド部31の間の空間を広げる。これにより、定着ニップ部NでシートSがジャムして蛇腹状になっても容易にジャム処理を行える。しかしながら、ジャムしたシートSを定着部18から除去する際に、未定着トナーや紙片や紙粉がシートSから落下することは十分にあり得る。このため、未定着トナーや紙片や紙粉がシートSから落下した際でも、これらが非接触式センサの発光部28や受光部29に付着する事態を防止する必要がある。これらが発光部28や受光部29に付着すると、センサが誤検知する可能性がある。そこで本実施例では、図31(b)に示すように、シート排出部70を定着部18に対して開いた時に、発光部28と受光部29の光路が回転軸53に対して垂直な方向STに対して傾斜するように構成されている。図28を用いて説明すると、シートSの表面に対して光路が垂直になっていない。このような構成であるので、未定着トナーや紙片や紙粉がシートSから落下しても、これらは第1ガイド部30または基板ホルダ131に付着だけであり、発光部28や受光部29に付着するのを抑えることができる。
なお、本実施例では非接触式センサに反射部材36を用いているが、シートSの表面で光を反射させてシートSを検知したり、シート搬送路を挟んで発光部28と受光部29を配置してシートSを検知する構成でも、シート搬送ガイドがシート搬送路の空間が広がる方向に移動した状態で、回転軸に対して垂直な方向に対して傾斜するように光路が構成されていれば同様の効果が得られる。
また、本実施例では定着部18に非接触式センサを設けた構成であったが、定着部以外の箇所に設けた非接触式センサにも適用できる。例えば、図2に示すように、二次転写ローラ16を有する二次転写ガイド54は、レジストローラ対17と二次転写部15までに搬送されるシートSの有無を検知する非接触式センサ48を内部に配置している。この非接触式センサ48は、シートSの表面に発光部28の光を反射させてシートを検知する構成とする。そして、このような非接触式センサ48周辺でジャムが発生した場合のジャム処理形態を図32を用いて説明する。図32は、ジャム処理を行うときの二次転写ガイド54の状態を示す。まず、右ドアカバー55を開き、二次転写ガイド54を露出させる。二次転写ガイド54は回転軸49を有しており、回転軸49を中心に二次転写ガイド54を回動させる。このようにすることで、二次転写ガイド54で発生したジャムを容易に除去することができる。さらに、非接触式センサ48の発光部と受光部29の光路が回転軸49に対して垂直な方向に対して傾斜するように構成されている。これにより、二次転写ガイド54に配置される非接触式センサ48の発光部と受光部に未定着トナーや紙片や紙粉が付着することを防止することができる。