以下、本発明の実施の一形態に係る画像形成装置について、図面を参照して説明する。
まず、本発明の実施形態に係る画像形成装置の全体構成について説明する。
図1に示す画像形成装置1は、カラーレーザープリンタであり、画像形成部Aと、給紙部Bと、定着装置20と、一対の排紙ローラ13と、排紙トレイ14と、一対の反転ローラ16と、両面ユニット17等を有している。
画像形成部Aは、後述する、4つの作像部4Y,4M,4C,4Kと、露光装置9と、転写装置3等を含んでいる。画像形成装置1は、特徴的な構成として、定着装置20に、バックカール矯正機構Cを備えている。以下詳細に説明する。
画像形成装置1の画像形成装置本体の中央には、4つの作像部4Y,4M,4C,4Kが設けられている。各作像部4Y,4M,4C,4Kは、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の異なる色の現像剤を収容している以外は同様の構成となっている。
具体的に、各作像部4Y,4M,4C,4Kは、潜像担持体としてのドラム状の感光体5と、感光体5の表面を帯電させる帯電装置6と、感光体5の表面にトナーを供給する現像装置7と、感光体5の表面をクリーニングするクリーニング装置8と、含む。なお、図1においては、ブラックの作像部4Kが備える感光体5、帯電装置6、現像装置7、クリーニング装置8のみに符号を付しており、その他の作像部4Y,4M,4Cは、ブラックの作像部4Kと同様な構成なので、その符号を省略している。
各作像部4Y,4M,4C,4Kの下方には、感光体5の表面を露光する露光装置9が配設されている。露光装置9は、図示しないレーザー光源、ポリゴンミラー51a、f−θレンズ51b、複数の反射ミラー51c等を有し、画像データに基づいて各感光体5の表面へレーザー光を照射し各感光体5の表面に静電潜像を形成するようになっている。
また、各作像部4Y,4M,4C,4Kの上方には、転写装置3が配設されている。転写装置3は、中間転写体としての中間転写ベルト30と、一次転写手段としての4つの一次転写ローラ31と、二次転写手段としての二次転写ローラ36と、二次転写バックアップローラ32と、クリーニングバックアップローラ33と、テンションローラ34と、ベルトクリーニング装置35と、を備える。
中間転写ベルト30は、無端状のベルトであり、二次転写バックアップローラ32、クリーニングバックアップローラ33およびテンションローラ34によって張架されている。ここでは、二次転写バックアップローラ32を回転駆動することによって、中間転写ベルト30は図の矢印で示す方向に周回走行(回転)するようになっている。
4つの一次転写ローラ31は、それぞれ、各感光体5との間で中間転写ベルト30を挟み込んで一次転写ニップを形成している。また、各一次転写ローラ31には、電源が接続されており、所定の直流電圧(DC)又は所定の交流電圧(AC)が各一次転写ローラ31に印加されるようになっている。
二次転写ローラ36は、二次転写バックアップローラ32との間で中間転写ベルト30を挟み込んで二次転写ニップを形成している。また、上記一次転写ローラ31と同様に、二次転写ローラ36にも電源が接続されており、所定の直流電圧(DC)又は交流電圧(AC)が二次転写ローラ36に印加されるようになっている。
ベルトクリーニング装置35は、中間転写ベルト30に当接するように配設されたクリーニングブラシとクリーニングブレードを有する。このベルトクリーニング装置35で回収された廃トナーは、廃トナー移送ホースを介して廃トナー収容器に収容される。
画像形成装置本体の上部には、ボトル収容部2が設けられており、ボトル収容部2には、補給用のトナーを収容する4つのトナーボトル2Y,2M,2C,2Kが着脱可能に装着されている。各トナーボトル2Y,2M,2C,2Kと上記各現像装置7との間に設けた図示しない補給路を介して、各トナーボトル2Y,2M,2C,2Kから各現像装置7にトナーが補給される。
一方、画像形成装置本体の下部には、給紙部Bを備えている。給紙部Bは、記録媒体としての記録紙Pを収容した給紙トレイ10や、給紙トレイ10から記録紙Pを搬出する給紙ローラ11等を有している。
なお、記録媒体には、普通紙以外に、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙等)、トレーシングペーパ、OHPシート等が含まれる。また、手差し給紙機構を備えていてもよい。本実施形態において、厚紙とは、坪量が160g/m2以上の紙を言うものとする。
画像形成装置本体内には、記録紙Pを給紙トレイ10から二次転写ニップを通過させて装置外へ排出するための搬送路Rが配設されている。搬送路Rにおいて、二次転写ローラ36の位置よりも記録紙搬送方向上流側には、搬送タイミングを計って記録紙Pを二次転写ニップへ搬送するタイミングローラとしての一対のレジストローラ12が配設されている。
また、二次転写ローラ36の位置よりも記録紙搬送方向下流側には、未定着トナー画像を担持させた記録紙Pを加圧・加熱してトナー画像を記録紙Pに定着させる定着装置20が配設されている。さらに、定着装置20よりも搬送路Rの記録紙搬送方向下流側には、記録紙Pを装置外へ排出するための一対の排紙ローラ13が設けられている。また、画像形成装置本体の上面部には、装置外に排出された記録紙Pをストックするための排紙トレイ14が設けられている。
また、排紙ローラ13と定着装置20の間には、分岐部材15が設けられている。分岐部材15は、片面通紙モード時には、図1に示す第1の状態となり、一方、両面通紙モードの時には、図1に示す第1の状態から矢印方向に閉じた第2の状態になるよう回動可能に本体に固定されている。
すなわち、分岐部材15は、定着装置20の下流側に搬送される記録紙Pを機外の排紙トレイ14へ排出する機外排出経路(排紙ローラ13を通過する経路)と、両面印刷の反転経路(後述する両面ユニット17内を通る経路)と、を切り替えるように構成されているので、本発明の記録紙搬送経路分岐手段を構成している。さらに、分岐部材15と定着装置20の間に、後述するバックカール矯正機構Cを備えている。
両面反転経路40には、分岐部材15の下流側に設けられた記録紙Pをスイッチバックさせる反転ローラ16と、反転ローラ16とレジストローラ12との間には両面ユニット17とを備えている。この両面ユニット17は、搬送ローラ42〜44を備えて両面印刷の反転経路を構成しており、第一面定着後の記録紙Pを反転ローラ16でスイッチバックさせ搬送ローラ42〜44を経由してレジストローラ12に搬送するようになっている。
次に、本発明の実施形態に係る画像形成装置1の基本的な動作について説明する。
まず、作像動作が開始されると、各作像部4Y,4M,4C,4Kにおける各感光体5が図の時計回りに回転駆動され、各感光体5の表面が帯電装置6によって所定の極性に一様に帯電される。帯電された各感光体5の表面には、露光装置9からレーザー光がそれぞれ照射されて、各感光体5の表面に静電潜像が形成される。
このとき、各感光体5に露光する画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。このように各感光体5上に形成された静電潜像に、各現像装置7によってトナーが供給されることにより、静電潜像は画像として顕像化(可視像化)される。
また、作像動作が開始されると、二次転写バックアップローラ32が図の反時計回りに回転駆動し、中間転写ベルト30を図の矢印で示す方向に周回走行させる。
また、各一次転写ローラ31に、トナーの帯電極性と逆極性の定電圧又は定電流制御された電圧が印加されることによって、各一次転写ローラ31と各感光体5との間の一次転写ニップにおいて転写電界が形成される。
その後、各感光体5の回転に伴い、感光体5上の各色の画像が一次転写ニップに達したときに、上記一次転写ニップにおいて形成された転写電界によって、各感光体5上の画像が中間転写ベルト30上に順次重ね合わせて転写される。
このようにして、中間転写ベルト30の表面にフルカラーの画像が担持される。また、中間転写ベルト30に転写しきれなかった各感光体5上のトナーは、クリーニング装置8によって除去される。そして、各感光体5の表面が除電装置によって除電され、表面電位が初期化される。
プリンタの下部では、給紙ローラ11が回転駆動を開始し、給紙トレイ10から記録紙Pが搬送路Rに送り出される。搬送路Rに送り出された記録紙Pは、レジストローラ12によって搬送が一旦停止される。
その後、所定のタイミングでレジストローラ12の回転駆動を開始し、中間転写ベルト30上の画像が二次転写ニップに達するタイミングに合わせて、記録紙Pを二次転写ニップへ搬送する。このとき、二次転写ローラ36には、中間転写ベルト30上の画像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加されており、これにより、二次転写ニップに転写電界が形成されている。そして、この転写電界によって、中間転写ベルト30上の画像が記録紙P上に一括して転写される。また、このとき記録紙Pに転写しきれなかった中間転写ベルト30上の残留トナーは、ベルトクリーニング装置35によって除去され、廃トナー収容器へと搬送される。
その後、記録紙Pは定着装置20へと搬送され、定着装置20によって記録紙P上の画像が当該記録紙Pに定着される。定着装置20から搬送された記録紙Pは、記録紙Pを装置外へ排出する経路と両面反転経路を切り替えるための分岐部材15を経由して、排出方向、再給紙方向へと案内される。
片面通紙モード時は、分岐部材15が開いて、排出のための一対の排紙ローラ13によって装置外へ搬送され、画像形成装置本体の上面部に設けられた装置外に排出された記録紙Pをストックするための排紙トレイ14に排出される。
両面通紙モードの時は、分岐部材15が矢印の方向に閉じることで、第一面定着後の記録紙Pは両面反転経路40へ案内される。両面反転経路40に案内された記録紙Pは、一対の反転ローラ16にて、スイッチバックし、両面ユニット17に搬送され、再度一対のレジストローラ12に搬送され再給紙されることで、第一面と同様に、第2面画像を記録紙Pの裏面にプリントする。そして、記録紙Pは、排紙ローラ13によって装置外へ排出され、排紙トレイ14上にストックされる。
以上の説明は、記録紙P上にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、4つの作像部4Y,4M,4C,4Kのいずれか1つを使用して単色画像を形成し、また2つ又は3つの作像部を使用して、2色又は3色の画像を形成することも可能である。
次に、本発明の実施形態に係る画像形成装置1のバックカール矯正機構Cを有する定着装置20について詳細に説明する。
図2は、本実施形態に関わるバックカール矯正機構を有する定着装置の断面図である。
図2に示すように、定着装置20は、記録紙Pに担持された転写後のトナー画像Tを熱と圧力により融解・浸透させて定着するために用いられており、加熱されながらエンドレス走行が可能な可撓性を有する定着ベルト21を備えている。
定着装置20は、画像形成部Aでトナー画像を転写された記録紙Pを定着ニップ部Nを通過させかつ定着ニップ部Nで熱と圧力を加えてトナー画像を記録紙Pに定着させる。
定着装置20には、無端な定着ベルト(定着部材)21に加えて、定着ベルト21と当接した当接状態で定着ベルト21との間に圧力を作用させて定着ニップ部Nを形成する対向回転体である加圧ローラ(加圧部材)22が設けられている。定着ベルト21の内部には、定着ニップ部N以外の箇所で定着ベルト21の内面側を加熱する複数のハロゲンランプ23a,23bを備えたヒータ(熱源)23が備えられている。
定着ベルト21の内部には、定着ベルト21の内側に配設されたニップ形成用のベース部材であるニップ形成部材24と、ニップ形成部材24を支持するステー25と、ヒータ23から放射される光を定着ベルト21へ反射する反射部材26が設けられている。
ニップ形成用のベース部材であるニップ形成部材24は、詳細を図示しないが、ベースパッドを巻いている摺動シート(低摩擦シート)を有する。
図2に示すニップ形成部材24は、定着ニップ部Nの形状が平坦状であるが、この形状に限らない。例えば、加圧ローラ22の周面に沿って凹状に定着ニップ部Nを形成した場合には、定着ニップ部Nを通過する記録紙Pの先端が加圧ローラ22側に寄るので、定着ベルト21からの分離性が向上する利点がある。
定着ベルト21の温度は、記録紙Pが定着ニップ部に進入する側に設けられた温度センサ27によって検出され、ヒータ23のフィードバック処理に用いられる。なお、図2において矢印Fは、記録紙Pの搬送方向を示している。
定着ベルト21は、薄肉で可撓性を有するスリーブ状に形成された無端状のベルトであり、基材とその表面に位置する離型層により構成されている。基材には、ニッケルもしくはA−SUS等の金属材料またはポリイミドなどの樹脂材が用いられる。また離型層には、トナーに対する離型性を有するテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などが用いられる。
加圧ローラ22は、芯金22aと、芯金22aの周面に設けられた発泡性シリコーンゴム、シリコーンゴム、又はフッ素ゴム等から成る弾性層22bと、弾性層22bの表面に設けられたPFA又はPTFE等から成る離型層によって構成されている。
加圧ローラ22は、図示しない加圧手段によって定着ベルト21側へ加圧され定着ベルト21と当接状態でベース部材としてのニップ形成部材24に当接している。
この加圧ローラ22と定着ベルト21とが当接する箇所では、加圧ローラ22の弾性層22bが押し潰されることで、定着ベルト21との間に圧力を受けてニップ形成部材24が所定の幅の定着ニップ部Nを確保するようになっている。
加圧ローラ22は、プリンタ本体に設けられた図示しないモータ等の駆動源によって回転駆動するように構成されている。加圧ローラ22が回転駆動すると、その駆動力が定着ニップ部Nで定着ベルト21に伝達され、定着ベルト21が従動回転するようになっている。
本実施形態に係る定着装置20では、加圧ローラ22を中実のローラとしているが、中空のローラであってもよい。その場合、加圧ローラ22の内部に、輻射熱を用いるハロゲンヒータ等の加熱源を配設することも可能である。また、弾性層22bが無い場合は、熱容量が小さくなり定着性が向上するが、未定着トナーを押し潰して定着させるときにベルト表面の微小な凹凸が画像に転写されて画像のベタ部に光沢ムラが生じる可能性がある。これを防止するには、厚さ100μm以上の弾性層を設けることが望ましい。
中空ローラに用いられるパイプ状金属として、アルミニウム、鉄あるいはステンレスなどが選択できる。加圧ローラ22内に熱源を設ける場合には、熱源からの輻射熱により支持体が加熱されるのを抑制するために、支持体表面に断熱層を設けることや鏡面処理による熱線反射面を設けることが望ましい。この場合の熱源には、上述したハロゲンヒータに限らず、IHヒータや抵抗発熱体、あるいはカーボンヒータを用いることも可能である。
上述した定着装置20の場合、低熱容量の加熱部材を直接加熱する構成のため、昇温が非常に早い定着装置であるため、ファーストプリントが早くできるメリットがある。しかし、記録紙Pにバックカールが生じる観点からすると、加圧ローラが十分温まる前に定着が行われるため、上述したような表裏の温度差によるバックカール(例えば図2で示す実線P'の湾曲形状)が非常に大きくなる。
定着装置20の記録紙出口側には、定着ニップ部近傍で定着ニップ部Nを通過した記録紙Pを分離して排紙部に向け排出方向にガイドする分離搬送機構が設けられている。
分離搬送機構は、定着ニップ部から移動する記録紙Pの移動方向下流側で定着ベルト21側に近接する先端201aを有したベルト側分離部材201と、加圧ローラ22側に近接する揺動端202aを有した加圧側分離部材202とを備えている。
ベルト側分離部材201は、定着ベルト21に対して粘着して貼り付き気味な記録紙Pを定着ベルト21から剥離するために設けられている。このため、貼り付いている記録紙Pを定着ベルト21の表面から浮き上がらせることができる近接位置に位置決めできる精度が得られるように金属製のものが用いられる。
加圧側分離部材202は、樹脂成型品が用いられており、一部に設けられた支持ロッド202Aが筐体側(図示されず)に回転可能に支持されることにより、加圧ローラ22に対向する揺動端202aを加圧ローラ22に対して接離可能となるように揺動可能である。
加圧側分離部材202は、加圧ローラ22に対して揺動することにより、例えば、ジャムを生じた記録紙Pを定着ニップ部Nから取り除く際に加圧ローラ22から離れる方向に大きく揺動され、定着ニップ部Nへの手の挿入スペースを作ることができる。これにより、記録紙Pの引き出しが可能となる。
分岐部材15と定着装置20の間に備えられるバックカール矯正機構Cは、駆動ローラ204と、従動ローラ203と、ガイド部材205と、ガイド部材移動手段Dと、を有する。
駆動ローラ204および従動ローラ203は分離部材201,202の下流側に配置されている。駆動ローラ204は本発明の駆動ローラを構成しており、従動ローラ203は本発明の従動ローラを構成している。
駆動ローラ204は、定着装置20と分岐部材15との間の搬送経路に関し、定着ニップ部において記録紙Pにバックカールが生じる側(加圧ローラ22側)に備えられる。
従動ローラ203は、定着装置20と分岐部材15との間の搬送経路に関し、定着ニップ部において記録紙Pを加熱する側(定着ベルト21側)に備えられる。
駆動ローラ204と従動ローラ203は、互いに押圧して補助ニップ部を形成して転がり回転し記録紙Pの搬送を補助する。定着ニップ部と補助ニップ部との間の距離は記録紙Pの長さよりも短く設定されている。
ジャムの発生を防ぐために以下のように構成されている。まず、駆動ローラ204の径が従動ローラ203の径よりも所要大きく設定されている。補助ニップ部における記録紙搬送速度が定着ニップ部における記録紙搬送速度よりも僅かに小さく設定されている。そして、補助ニップ部のニップ圧が定着ニップ部のニップ圧よりも所要小さく設定されている。この構成により、定着ニップ部と補助ニップ部との間で記録紙Pにジャムの発生が生じない。
駆動ローラ204は少なくともローラ周面部がゴムにより形成され、従動ローラ203は、少なくともローラ周面部が駆動ローラ204のローラ周面部よりも硬質でかつ離型性を有するよう形成されていればよい。
本実施の形態では、駆動ローラ204は、芯金204a(後述においては、ローラ軸204aという。)と、芯金204aの表面に設けられたシリコン、EPDM、ウレタン、フッ素ゴム等からなる高摩係数のソリッドゴム材料204bとから構成し、記録紙搬送力を得られるようにしている。
従動ローラ203は、中空のパイプ状金属表面にPFA、ETFA、FEP等の低μのチューブ(厚み30〜300μm)を被せた構成にしている。
中空のパイプ状金属にしている理由としては、定着時に紙から蒸発して発生した水蒸気が従動ローラ側に付着する結露防止ため、低熱容量化し、定着からの熱ですぐに温まるようにするためである。
表面に低μのチューブを配置している理由としては、定着後に溶け切れなかった微量なトナーが付着しづらくし、付着しても堆積しないようにするためである。すなわち、従動ローラ203側は画像面側に常時接触しながら搬送するので、前述した構成となっている。従動ローラ203は、ホルダを介して図示しないバネ部材によって画像形成装置本体に保持されており、ホルダを前記バネにて加圧することによって、駆動ローラ204と従動ローラ203は接触して補助ニップ部を形成し記録紙Pを補助搬送可能になっている。
ガイド部材205は、回動中心が駆動ローラ204のローラ軸と同軸となるように定着ユニットより設けられる。ガイド部材205は、本体制御部からの制御信号に基づいて駆動される後述するガイド部材移動手段Dにより、図2に示す第1の位置(記録紙Pに接触する前進位置)と、図3に示す第2の位置(記録紙Pから離れる(非接触になる)後退位置)のいずれかに移動される。
ガイド部材205は、図2に示す第1の位置に位置される状態では、補助ニップ部を通過中の記録紙Pの搬送方向前側部分を駆動ローラ204と同じ側で所要押圧するように摺動接触し、記録紙Pをバックカールと逆側に凹面状に屈曲させるように機能する。
すなわち、ガイド部材205は、第1の位置に保持される場合、補助ニップ部を通過中の記録紙Pの方向(ローラ対の中心を結んだ線に対して、直角方向)対して、駆動ローラ204と同じ側から経路を塞ぐような位置に配置されるようになっている。
このため、記録紙Pの先端は図2に示す接触角度θでガイド部材205と接触し、記録紙Pは、その後、ガイド部材205に押圧されながら、駆動ローラ204と従動ローラ203のニップ搬送力により、補助搬送されることになる。
そうすると、ガイド部材205は、記録紙Pに対し、最終的に補助ニップ部を起点に接触角度θ1をつけながら搬送することになるので、バックカールと反対側に凹曲面となるように湾曲し、バックカール矯正ができる。このような搬送路にすることで、ガイド部材205を通過する記録紙Pは、定着で発生したバックカールを改善し、排紙トレイ14に排出可能となる。
しかしながら、第1の位置は、ガイド部材205を積極的に記録紙Pの裏面と接触させる位置であるため、記録紙Pの裏面とガイド部材205との搬送抵抗が大きく、紙自体にストレスを与えることになる。
厚紙ではない記録紙Pの両面通紙モードの第2面通紙時は、画像がある面(第一面目)とガイド部材205が接触することになり、画像コスレ、光沢スジが発生しやすい。
特に、第2面通紙時は、定着ユニット部における第二画像面の定着中、裏面となる第1面画像も定着ニップ部を再度通って再加熱される。このため、温まった第1面画像がガイド部材205により強く擦られると、トナーが剥がれやすかったり、光沢が変わったり等が発生しやすい。
そこで、ガイド部材205は、図3に示す第2の位置に位置される。第2の位置に位置されるガイド部材205は、補助ニップ部を通過中の記録紙Pに対し非接触となり、記録紙Pを屈曲させないように機能する。
ガイド部材205は、第2の位置に位置されると、補助ニップ部から排出される記録紙Pの搬送方向(ローラ対の中心を結んだ線に対して、直角方向)に対して、大きく退避し、積極的に紙へ接触しない位置になる。この場合、紙搬送時のバックカールを矯正できないが、紙へのストレスを与えないため、上述した裏面キズ、摩耗、画像コスレ、光沢スジが発生しない。
厚紙ではない記録紙Pの両面通紙モードの第2面通紙時は、第1面画像の定着とは異なり、バックカールが生じないので、ガイド部材205が第2の位置に後退することは、好都合の効果が得られる。
なお、厚紙ではない記録紙Pの両面通紙モードの第2面通紙時に第2の位置までは後退しないが、に位置される、ガイド部材205は、片面印刷時と両面印刷時のうちの少なくとも片面印刷時には、第1の位置に来るように構成されている。
一方、記録紙Pがコシの強い厚紙等である場合には、ガイド部材205を第1の位置に位置させると、コシの弱い薄紙である記録紙Pに比べて、ガイド部材205との接触抵抗が大きい。このため、紙自体に与えるストレスが一層大きくなり、紙裏面に接触の跡が発生しやすくなり、ガイド部材205自体が摩耗したり等が発生しやすくなる。
しかし、記録紙Pがコシの強い厚紙等である場合には、バックカールが生じない。したがって、ガイド部材移動手段Dは、記録紙Pがコシの強い厚紙等である場合には、ガイド部材205は、片面通紙モードの第1面通紙時および両面通紙モードの第2面通紙時のいずれも、図3に示す第2の位置に移動させる。
上記説明のように、ガイド部材205を第1の位置と第2の位置との間で切り替えることにより、バックカール矯正と画像コスレの回避等を両立させている。
続いて、図4〜図9を参照してガイド部材205およびガイド部材移動手段Dの構成を説明する。
図4に示すように、駆動ローラ204は、加圧側分離部材202にスベリ軸受208を介して回転可能に両端支持されるローラ軸204aと、ローラ軸204aに所要間隔を開けて被嵌固定された複数のゴムなどの弾性材料製の短円筒部204bとからなる。
駆動ローラ204は、図6に示すガイド部材移動手段Dからの回転駆動力をアイドラギヤ211を介してローラ軸204aの端部に固定された駆動ギヤ210に伝達されることにより回転可能である。
図4〜図7に示すように、ガイド部材205は一対のブラケットアーム206の上端部に回動可能に両端支持される支持軸205aに固定されている。一対のブラケットアーム206は、スベリ軸受208の外径部に被嵌され回動可能である。ガイド部材205は、支持軸205aに被嵌固定された複数のボス205bにそれぞれ複数個設けられている。
ガイド部材205は、基端をボス205bに固定され張り出し端を駆動ローラ204に被さるように延びている。ブラケットアーム206のストッパ部206bが加圧側分離部材202の一部に接触した位置でガイド部材205を停止するように構成している。この位置に対応するガイド部材205の姿勢位置が、補助ニップ部から排出された記録紙の角度を変化させる第1の位置となる。
図5〜図7に示すように、ガイド部材移動手段Dは、駆動源としてのソレノイド220と、ソレノイド220の作動により揺動するリンク機構207と引張ばね209とを備えている。ソレノイド220は、筐体を画像形成装置本体に固定されている。
引張ばね209は、加圧側分離部材202の側面部に一端を係止され、他端をブラケットアーム206のアーム部206aの中途に係止される。そして、引張ばね209は、ガイド部材205が図2に示す第1の位置となる方向にブラケットアーム206を回動するようにばねの引張力を掛けている。
図7に示すように、リンク機構207は、水平方向の一端207aを固定ピン軸207Aに支持され、他端である作動端207bをブラケットアーム206のアーム部206aの先端部を下側から囲うように当接し、水平方向の中途部より上方に延びる上方延出部207cの上端に設けられた長孔207dが、ソレノイド220の伸張ロッド220aとピンで連結されている。
図7に示すように、ソレノイド220の伸張ロッド220aが伸張していて(点線で示す位置)、図6に示すように、リンク機構207の作動端207bがブラケットアーム206のアーム部206aの先端部に対し下方に離れている状態である。
図6に示す状態から、制御装置の制御信号に基づいてソレノイド220の内部コイルに電流が流れると、ソレノイド220の伸張ロッド220aが引退する。これにより、引張ばね209の引張力に抗してリンク機構207が回動され、作動端207bがブラケットアーム206のアーム部206aの先端部を持ち上げる(図7に示す状態)。これにより、ガイド部材205が図2,図8に示す第1の位置から、図3,図9に示す第2の位置に後退するようになっている。
一方、図7に示す状態から、制御装置の制御信号に基づいてソレノイド220の内部コイルへの電流が切れると、引張ばね209の引張力により、ブラケットアーム206が回動し、ガイド部材205が図2に示す第1の位置に復帰するようになっている。これに伴い、引張ばね209の引張力により、ソレノイド220の伸張ロッド220aが引退し、図5,図6に示す状態になる。
上述構成にすることで、駆動ローラ204とガイド部材205との間のギャップは、部品の寸法公差の積み上がりが最も少ない構成(各部品の軸中心からの半径距離公差のみ)とすることができる。このため、駆動ローラ204とガイド部材205との間のギャップが高精度に一定保たれた状態で、ガイド部材205が移動可能となる。
図10に示すように、分岐部材15は記録紙の搬送方向に対して直交する幅方向に対応して複数の爪状に配列され、またガイド部材205も、記録紙の搬送方向に対して直交する幅方向に対応して複数の爪状に配列されている。しかも、分岐部材15とガイド部材205は、交互に配列されている。
これにより、分岐部材15の揺動エリアとガイド部材205の揺動エリアとが、記録紙の搬送ライン上でオーバーラップしても、互いに独立して揺動されて記録紙をガイドするようになっている。
図11(a)〜(d)は、分岐部材15の第1,第2の位置と、ガイド部材205の第1,第2の位置との組み合わせにより形成される記録紙に対する4通りの搬送経路を示す。図中の一点鎖線は、駆動ローラ204と従動ローラ203とで形成される補助ニップ部を通過する記録紙の搬送経路を示す。
図11(a)は、薄紙の片面印刷モードにおける記録紙の搬送経路を示し、分岐部材15が第2の位置およびガイド部材205が第1の位置にある。ガイド部材205は、補助ニップ部を通過中の記録紙の裏面(バックカール側の面)に当接してバックカールと逆方向の凹局面となるように湾曲させて排紙ローラ13に導くようになっている。
図11(b)は、厚紙の片面印刷モードにおける記録紙の搬送経路を示し、分岐部材15およびガイド部材205がともに第2の位置にある。ガイド部材205は、補助ニップ部を通過中のバックカールが生じない記録紙の裏面に非接触となって、分岐部材15が記録紙をソフトに湾曲させて排紙ローラ13に導くようになっている。
図11(c)は、薄紙の両面印刷モードにおける第1面通紙の記録紙の搬送経路を示し、分岐部材15が第1の位置およびガイド部材205が第2の位置にある。ガイド部材205は、補助ニップ部でバックカールを若干修正された該補助ニップ部を通過中の記録紙の裏面(第2面)に軽く接触するとともに、分岐部材15が記録紙を反転ローラ16に導くようになっている。
図11(d)は、薄紙の両面印刷モードにおける第2面通紙の記録紙の搬送経路を示し、分岐部材15およびガイド部材205がともに第2の位置にある。ガイド部材205は、補助ニップ部を通過中のバックカールが生じない記録紙の裏面(第1面)に非接触となって、分岐部材15が記録紙をソフトに湾曲させて排紙ローラ13に導くようになっている。
なお、図4に示すように、ガイド部材205は、長手にわたり複数のリブ形状となっていて、ガイド部材205間に、リブ状の分岐部材15が入り込んでいる。
図12は、ガイド部材205の回動中心を駆動ローラ204の回転中心に合わせて設けた場合(図中の実線で示す位置)と、ガイド部材205の回動中心を駆動ローラ204の回動中心を駆動ローラ204の回転中心からあるギャップで離れて配置した場合(図中の符号205'で示す点線の位置)との比較図を示す。
図12で分かるように、ガイド部材205を実線の位置であるときのカール矯正効果と、ガイド部材205を点線の位置であるときのカール矯正効果とが同じなる。
補助ニップ部を通過する記録紙は、駆動ローラ204と従動ローラ203の中心同士を結ぶ線に対して垂直方向に排出される。このため、ガイド部材205が点線の位置である時の補助ニップ部近傍の用紙先端とガイド部材205との接触角度θ'は、ガイド部材205が実線の位置である時の補助ニップ部近傍の用紙先端とガイド部材205との接触角度θよりも小さくなる。
この接触角度が小さくなると、用紙先端が座屈して折れ曲がって搬送され、最悪時は、ジャムに至るリスクが高まる。逆に、ガイド部材205の記録紙に対して接触する面の延長線が駆動ローラ204の回転中心からずれて接触角度が上記接触角度θよりも大きくなるように配置した場合は、ガイド部材205で用紙を屈曲させるカール矯正効果が低下することにつながる。
そこで、本実施の形態では、接触角度が大きくなるように、ガイド部材205の回転中心を駆動ローラ204の回転中心に合わせ、かつ、ガイド部材205の記録紙に対して接触する面の延長線が駆動ローラ204の回転中心を通るようにしている。
カール矯正効果を得られるようにするためには、ガイド部材205の先端を補助ニップ部に近づけることが必要となるため、駆動ローラ204の複数のゴム部が間隔を開くように設けられ、ゴム部とゴム部の間にガイド部材205が入りこむように構成されている。
本実施の形態の画像形成装置によれば、定着装置20の下流側直後に駆動ローラ204と従動ローラ203を設け、さらに補助ニップ部の下流側直後にガイド部材205を第1の位置と第2の位置とに切り替え可能に構成とした。これにより、定着装置20で記録紙Pのバックカールを反対側に曲げることで、バックカールの矯正が必要な条件下のみに限定して矯正することが可能にできる。
例えば、厚紙通紙の場合は、定着装置20で記録紙Pが裏面にカールするバックカールが発生しないため、常時、ガイド部材205が第1の位置にすると逆にガイド板で、逆にフェイスカールになる。また、ガイド部材205との記録紙との接触力が強いため、ガイド部材205により紙裏面にダメージ(キズ)が発生するとともに、ガイド部材205の磨耗が発生する。さらに、紙剛性が高いため駆動ローラ204と従動ローラ203の補助ニップ部から出て先端がガイド部材205に接触した際に先端が折れ曲がる等の副作用が出る点からもバックカールを矯正する第1の位置にする必要がない。
本実施の形態の画像形成装置によれば、上記観点から、ガイド部材205の位置を切り替える駆動手段を有し、条件によってガイド部材205の位置を切り替え可能にすることができる。これにより、定着時に発生するバックカール低減と搬送安定化を両立させ、記録紙Pとトナー画像へのダメージ低減させた画像形成装置を提供できる。
本実施の形態の画像形成装置によれば、ガイド部材205の回転中心を駆動ローラ204の軸心と同軸に構成したので、カール矯正させるためガイド部材205の角度精度を最小部品構成にてバラつき少なく高精度で構成できる。
本実施の形態の画像形成装置によれば、片面印刷時は、ガイド部材205を第1の位置に配置することで、定着装置で記録紙Pが裏面にカールするバックカールを矯正した状態で排出することができる。これにより、排紙トレイ14上の規定枚数積載できないことや、排紙トレイ14上の積載そのものが乱れるのを防止できる。また、両面印刷時は、ガイド部材205を第2の位置に配置することで、第一面の画像コスレや光沢キズ等の発生を防止できる。
第一面が定着された際のバックカールが第二面定着時に矯正されるために、排出される際には、バックカールが低減しており、ガイド部材205を第1の位置に配置させてカール矯正するという必要がない。逆に、第1の位置の場合、ガイド部材205と第一面とが強く接触することで、画像コスレや光沢スジが発生するので第2の位置に配置する必要がある。
本実施の形態の画像形成装置によれば、薄紙の両面印刷モードの第2面通紙時および厚紙通紙の場合には、ガイド部材205を第2の位置に後退させられるので、ガイド部材205を第1の位置に固定したままであるときの問題点を回避できる。
本実施の形態の画像形成装置によれば、薄紙の両面印刷モードの第2面通紙時および厚紙通紙の場合には、定着装置20でバックカールが発生しないため、第1の位置に位置するガイド部材205で、逆にフェイスカールになるという問題を回避できる。また、紙裏面にダメージ(キズ)が発生し、ガイド部材205に磨耗が発生するという問題を回避できる。さらに、紙剛性が高いため補助ニップ部から出て先端がガイド部材205にあった際に、座屈せず先端が折れ曲がるという問題を回避できる。
本実施の形態の画像形成装置によれば、ガイド部材移動手段Dの駆動手段として、ソレノイド220を用いることで、リンク機構207と接続が容易であり、安価で省スペース化を図ることができる。これに対し、ステッピングモータ等のモータを使用する場合は、モータ自体のコストが高い上に、駆動伝達のためのギヤ列等を含めると駆動手段として大きなスペースが必要で機械の大型化をまねく。
本実施の形態の画像形成装置によれば、駆動ローラ204はローラ周面部がゴムにより形成され、従動ローラ203は、ローラ周面部が駆動ローラ204のローラ周面部よりも硬質でかつ離型性を有するよう形成された構成である。このため、ガイド部材205が第1の位置(カール矯正時)の場合、駆動ローラ204と従動ローラ203の補助ニップ部から排出した記録紙は、ガイド部材205に当たり角度を大きく変化させられる。このため、搬送抵抗が大きいが、搬送抵抗に負けない高い搬送力を得られ、かつ、画像面側の従動ローラ203には、定着後に溶け切れなかった微量なトナーが付着しづらくし、付着しても堆積しないようにすることができる。これにより、定着後のトナー画像が補助ニップ部を通紙中に剥がれたり、キズが発生するのを防止することができる。
本実施の形態では、ガイド部材205と従動ローラ203との位置関係がシビアであるガイド部材205の第1の位置をユニット内で位置が完結するように構成し、第2の位置を本体側の駆動手段で決まるように構成したが、逆にしてもよい。また、ガイド部材205の駆動手段として、ステッピングモータ等にすることで、ガイド部材205の姿勢位置を多段階に決まるように構成してもよい。
以上説明したように、本発明に係る画像形成装置は、定着で発生するバックカールの低減と搬送安定化を両立し、かつ、記録紙・トナー画像へのダメージ低減させることができるという効果を有し、画像形成装置に有用である。