JP6819119B2 - ガスバリア性膜を有するポリエチレンテレフタレート製容器 - Google Patents
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Description
PET製容器は、開口部から収容部まで一体成型できること、容量の大小や多様な形状に適宜合わせて成形できること等の利便性を備えており、射出成形法、1ステップブロー成形法(ホットパリソン法)、2ステップブロー成形法(コールドパリソン法)、ダイレクトブロー法などの各種成形法から、容器の形状、重量や肉厚、材質によって、それぞれ最適な手法が選択され成形されている。
一般的には、500mL程度より大きい大容量容器の場合には、射出成形でパリソンを作製した後にブロー延伸するブロー成形法が用いられ、小容量容器の場合には射出成形の工程までで作製する射出成形法が用いられる。
これまで、数100mLから1.8L程度の容量の飲料、アルコール、調味料用のガスバリア性PET容器を得る方法が開発され製品化されてきたが、その技術は、主にDLC膜等の成膜方法や条件の改良技術であった(例えば特許文献1)。
そこで、本発明は、良好なガスバリア性PET容器を得る為のPET容器基材を提供することを課題とする。
本発明の容器のプラスチック基材は、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)からなる。PET樹脂の種類は特に限定されず、公知の樹脂を使用でき、例えばボトル用グレードを用いることができる。
ポリエチレンテレフタレートは、単独重合体でもよく、共重合体でもよい。エステル単位は、エチレンテレフタレート単位70モル%以上が好ましく、80モル%以上がより好ましい。結晶性、配向性の向上の観点ではポリエチレンテレフタレート単独重合体が好適であるが、エチレンテレフタレート単位以外のエステル単位を少量含む共重合体体や、他の樹脂を少量含む混合組成でもよい。
また、エチレングリコール以外のジオール成分としては、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,6−へキシレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物等の1種以上が挙げられる。
胴部の断面形状は、特に限定しないが、均質均等な容器基材を得る点、また均質均等なガスバリア成膜を行う観点から、円形状が好ましい。但し、楕円状や多角形状等も可能である。
また、胴部の形状は、開口部側から閉塞部側へ内径が一定でなくとも良く、例えば図2(A)〜(D)の様に、開口部から底部へ向けて縮径または拡径する場合や、開口部側および/または底部側に太径部を有する場合を含む。この場合の内径とは、当該多角形等に内包可能な円の最大直径を云う。
しかしながら、本発明の課題解決にあたり検討した結果、200mL未満の小容量の容器であっても、ブロー成形し特定の範囲の物性を有することで良好なガスバリア性PET容器を得られることが判明した。
例えば、1ステップブロー成形法(ホットパリソン法)、ホットランナー方式の場合は、バレル温度、ブロック温度、ノズル温度は、それぞれ265〜300℃が好ましく、270〜290℃がより好ましい。また、冷却時間は1.5〜5.0秒が好ましく、2.0〜4.0秒がより好ましい。
ヒートセットの条件は、例えば、温度120〜160℃が好ましく、130〜150℃がより好ましい。ヒートセット時間(ブロー時間)は1〜10秒が好ましく、2〜5秒がより好ましい。また、高温下ではヒケが発生し易いため、その防止策として、孔の空いたストレッチロッドを使用し、孔から冷却エアーを1〜4秒間吹き込み、容器内を冷却させる。
一般には、延伸面倍率が低ければ、射出成形でパリソンを作製後に工程を必要とするブロー法は採用せず、射出成形法を選択するが、本発明においては、2倍以上4倍以下といった低い延伸面倍率の場合であっても、分子を配向させ、結晶性を上げるためブロー成形を行うことが望ましい。
延伸面倍率は、軸方向延伸倍率と周方向延伸倍率との乗算値である。
軸方向延伸倍率は、容器の首下またはキャップ装着部直下から底面までの長さの延伸倍率であり、パリソンに対する成形容器の比率である。また、周方向延伸倍率は、容器の胴部の最大外周長さの延伸倍率であり、パリソンに対する成形容器の比率である。
ラマン分光分析におけるPETのC=O伸縮振動のピーク半値幅は、結晶化度と負の相関があり、半値幅が小さいほど結晶性が高いことが知られている。本発明の容器は、ピーク半値幅が25以下と、容器基材のPETの結晶性が高いほど、ガスバリア膜を成膜した場合の容器のガスバリア性が向上する。
容器面積比率は、例えば、開口部直下から底部までの長さ方向距離の25%位置、50%位置、75%位置のラマン分光ピーク半値幅値が何れも上記範囲であることによって、容器面積比率50%と見做すことができる。
容器基材の密度の測定方法は、JIS K 7112に準じて密度勾配管法で測定できる。ガスバリア成膜前の容器からサンプリングして測定しても良く、成膜後の容器からガスバリア膜を切削や溶剤により除去した容器基材をサンプリングして測定しても良い。
容器面積比率は、例えば、開口部直下から底部までの長さ方向距離の25%位置、50%位置、75%位置の密度測定値が上記範囲であることによって、容器面積比率50%と見做すことができる。
DLC膜としては、アモルファスカーボン膜、水素化アモルファスカーボン膜、テトラヘドラルアモルファスカーボン膜、水素化テトラヘドラルアモルファスカーボン膜などを例示できる。DLC膜中には、窒素や酸素が含まれていてもよく、その場合、XPS分析(X線光電子分析)において、炭素原子数100に対する窒素および又は酸素の原子数は好ましくは20以下、より好ましくは15以下である。
ガスバリア膜の表面粗さの測定位置は、容器キャップが装着される開口部分を除いた胴部の長さ方向の中央箇所である。容器は成形や、ガスバリア膜の成膜状態は、微視的各部位によって異なると推察されるが、胴部の中央箇所は、その平均的な数値が得られると考えられる。尚、胴部の中央箇所とは、キャップ装着される開口部の直下から底部までの長さ方向距離の50%の位置を意味する(図3)。
PET樹脂として、一般ボトルグレード、極限粘度0.83dl/g、融点240℃、結晶化温度172℃を用い、図3に示すような形状の、水平方向断面が内径20mmの円状であり、開口部直下から底部までの長さ方向距離50mm、胴部肉厚0.5mmの略円筒状の胴部と、略半球状の底部とを有するPET製容器を成形した。
容器の成形に、射出成形法を用い、コールドランナー方式、バレル温度280℃、冷却時間30秒の射出条件で、PET製容器を成形した。その他は、実施例1と同様にして、ガスバリア性膜を有するPET製容器を作製した。
尚、ラマン分光分析、密度測定、表面粗さ測定は、容器の胴部中央箇所をサンプリングして評価を実施した。
堀場製作所製顕微レーザーラマン分光測定装置LabRAM HR機を用い、入射面:容器内面、励起波長:532nm、Grating:1800gr/nm、積算時間:20秒、積算回数:10回、ホール:300、検出器:CCDの条件で分析し、C=O伸縮振動に帰属される1725cm−1ピークの半値幅を解析した。
密度勾配管法(JIS K 7112)、溶媒:四塩化炭素とn−ヘプタン、温度23±0.5℃の方法および条件で、測定した。
ブルカー製Contour GTX機を用い、接眼レンズ倍率1.0、対物レンズ倍率10、測定面積620μm×620μmの条件で測定し、3次元算術平均粗さSa(nm)を解析した。
MOCON製OX−TRAN2/61機を用い、容器開口部にアダプターヘッドを装着し、23℃ 50RH%の条件において、測定開始後48時間後の容器当たりの酸素透過率(cc/pkg/day)を測定した。
容器内に粒状塩化カルシウム約5g入れ、容器開口部にハンツマン・ジャパン製エポキシ系接着剤を用いてガラス板で封止し、40℃90RH%の条件で、塩化カルシウムの吸湿質量変化を4日おきに経時測定し、16日目と20日目の質量変化率から、容器当たりの水蒸気透過率(g/pkg/day)を算出した。
尚、表中の「BIF」はBarrier Improvement Factorの略語であり、ガスバリア膜の無/有のガスバリア性改良率である。
尚、ブロー成型品の容器基材(DLC膜無し)は、射出成型品の容器基材(DLC膜無し)と同様に無色透明であり、波長600nmの光線透過率(積分球使用)は85〜95%であった。
2 胴部
3 底部
Claims (4)
- ポリエチレンテレフタレート樹脂からなる容積200mL未満のブロー成形容器であって、容器中央部の樹脂のラマン分光分析におけるC=O伸縮振動に帰属の1725cm−1付近ピークの半値幅が25以下であり、
JIS K7112に準じて密度勾配管法で測定した、容器中央部の樹脂の密度が1.340g/cm 3 以上1.360g/cm 3 以下であり、
前記容器が、延伸面倍率が2倍以上4倍以下のブロー成形容器であり、
前記ガスバリア性膜が、ダイアモンドライクカーボン膜である、
容器内面にガスバリア性膜を有する容器。 - 非接触式光学法を用いて、測定面積620μm×620μmの条件で測定した、前記容器中央部の前記ガスバリア性膜の3次元算術平均表面粗さが45nm以下である請求項1に記載の容器。
- 前記容器の形状が、開口部から底部へ向けて縮径または拡径する形状、あるいは、開口部側および/または底部側に太径部を有する形状である、請求項1または2に記載の容器。
- 延伸面倍率が2倍以上4倍以下のブロー成形工程を有する請求項1〜3の何れかに記載の容器の製造方法。
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