以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る測定装置100について説明する。なお、各図面においては、説明の便宜上、各構成の縮尺を適宜変更しており、必ずしも厳密に図示されたものではない。
まず、図1から図5を参照して、実施形態に係る測定装置100の全体構成について説明する。以下では、説明の便宜上、図1等に示すように、互いに直交するX,Y及びZの三軸を設定し、測定装置100の構成について説明する。本実施形態では、Z軸方向は、鉛直方向に平行な方向である。図1は、測定装置100の正面図である。図2は、測定装置100及び検査装置101を示す一部断面図である。図3は、測定装置100の側面図である。図4は、測定装置100の正面図であり、図1の記載から一部の構成を省略した図である。図5は、後述する伝送部としての同軸ケーブル50の断面図である。
測定装置100は、図1及び図2に示すように、例えばチップ部品といった測定対象T(図2参照)を電気的に検査する検査装置101に用いられる。
検査装置101は、図1に示すように、測定対象Tの電気的特性を測定するための測定装置100と、電気的特性を測定するための測定位置に測定対象Tを搬送する搬送装置102と、測定対象Tに印加した電気信号を受信して所定の信号処理を行う制御装置105と、を備える。
測定装置100は、図2に示すように、測定対象Tの高周波特性等の電気的特性を測定するために、測定位置にある測定対象Tに対して、第一接触子10及び第二接触子20を鉛直方向の下方から押し付けて、測定対象Tと制御装置105(図1参照)との間で電気信号を伝送する伝送機構である。測定装置100は、例えば、数百MHz〜数GHzといった特定の周波数の電磁波を測定対象Tに印加し、これに伴い測定対象Tにおいて発生する高周波信号を制御装置105に伝送する。これにより、測定対象Tの高周波特性の測定が行われる。なお、以下では、測定対象Tに対する第一接触子10及び第二接触子20の押し付け動作を「プロービング」とも称する。
搬送装置102は、測定対象Tを収容する収容溝103aが複数形成される搬送テーブル103と、回転軸を中心に搬送テーブル103を間欠的に回転させるインデックス機構(図示省略)と、を有する。搬送テーブル103は、円板状の部材である。複数の収容溝103a(図2では、単数の収容溝103aのみを図示)は、搬送テーブル103の外周面から径方向に延びて放射状に形成される。インデックス機構は、搬送テーブル103の中心軸を回転軸として間欠的に搬送テーブル103を回転させる。これにより、搬送テーブル103の収容溝103a内に収容された測定対象Tが測定位置に搬送され、測定装置100によって高周波特性の測定が行われる。また、インデックス機構によって搬送テーブル103が回転することで、高周波特性の測定が完了した測定対象Tが測定位置から搬出される。
搬送テーブル103の鉛直方向の上方には、鉛直方向下方からの第一接触子10及び第二接触子20の押し付けに伴う測定対象Tの浮き上がりを抑制する押さえ部材104が設けられる。搬送テーブル103の鉛直方向の下方には、後述する筐体1の一部を構成し測定対象Tを支持する支持部材5が設けられる。支持部材5には、第一接触子10及び第二接触子20の通過を許容する通過孔5a,5bが形成されたホルダ6が設けられる(図2及び図6参照)。通過孔5a,5bは、図2に示すように、隔壁5cによって隔てられる。測定対象Tは、支持部材5に設けられたホルダ6の隔壁5cによって鉛直方向下方から支持され、搬送テーブル103の収容溝103aからの脱落が規制される。
次に、測定装置100の構成について説明する。なお、図1及び図2を除く各図では、測定対象Tや搬送テーブル103等の構成の図示は適宜省略している。
図1、図3、及び図4に示すように、測定装置100は、それぞれ測定対象Tに押し付けられる第一接触子10及び第二接触子20と、第一接触子10及び第二接触子20が取り付けられるベース部30と、ベース部30を駆動して第一接触子10及び第二接触子20を所定の押し付け方向に沿って測定対象Tに押し付ける駆動機構40と、を備える。また、測定装置100は、制御装置105に入出力される電気信号を伝送する伝送部としての同軸ケーブル50と、同軸ケーブル50に対して第一接触子10及び第二接触子20を電気的に接続する接続部としての伝送基板60と、同軸ケーブル50と伝送基板60とを電気的に接続するコネクタ55と、を備える。本実施形態では、押し付け方向は、Z軸に平行な方向である。
また、図1に示すように、測定装置100は、筐体1を構成する部材として、第一ブラケット2と、第二ブラケット3と、第三ブラケット4と、を備える。測定装置100の筐体1とは、第一接触子10及び第二接触子20、同軸ケーブル50、及び伝送基板60の少なくともいずれかを直接又は間接的に支持する金属製の構造体のことである。筐体1は、グランド電位に設定される。
第一ブラケット2には、支持部材5が取り付けられる。第二ブラケット3は、第一ブラケット2に取り付けられ、コネクタ55を支持する。第三ブラケット4は、L型ブラケットであり、第一ブラケット2に取り付けられて、同軸ケーブル50を支持する。このように、第一ブラケット2、第二ブラケット3、第三ブラケット4、及び支持部材5は、一体化されている。
第一接触子10及び第二接触子20は、それぞれ導体によって形成され測定対象Tに押し付けられて高周波信号が入力される電極である。本実施形態では、第一接触子10がグランド電位に設定されるグランド電極であり、第二接触子20がシグナル電位に設定されるシグナル電極である。
ベース部30は、図3及び図4に示すように、駆動機構40によって押し付け方向に進退される移動プレート31と、押し付け方向に移動可能に移動プレート31上に設けられる第一ベース部32及び第二ベース部33と、を有する。第一ベース部32と第二ベース部33とは、それぞれガイド部37を介して移動プレート31上に取り付けられ、移動プレート31に対して押し付け方向に相対移動可能に構成される。第一ベース部32と第二ベース部33とは、互いに独立して移動可能に構成される。
第一接触子10は、伝送基板60の高周波伝送路に電気的に接続された状態で、第一取付部材としての金属製の第一取付ボルト80によって第一ベース部32に取り付けられる。第二接触子20は、伝送基板60の高周波伝送路に電気的に接続された状態で、第二取付部材としての金属製の第二取付ボルト85によって第二ベース部33に取り付けられる。第一接触子10及び第二接触子20の具体的構成及びベース部30への取付構造については、図7から図10等を参照して後に詳細に説明する。
ベース部30には、図4に示すように、第一ベース部32を測定対象Tに向けて押し付け方向に付勢する第一付勢部材としての第一スプリング34aと、第二ベース部33を測定対象Tに向けて押し付け方向に付勢する第二付勢部材としての第二スプリング34bと、が設けられる。第一スプリング34a及び第二スプリング34bは、それぞれ測定対象Tへの第一接触子10及び第二接触子20の押し付け力を確保するための弾性部材である。移動プレート31上には、第一スプリング34aを支持する第一スプリングガイド35a、第二スプリング34bを支持する第二スプリングガイド35b、及び第一ベース部32と第二ベース部33とに当接するストッパ36(図3参照)が設けられる。
第一スプリング34a及び第二スプリング34bは、それぞれコイルスプリングである。第一スプリング34aは、第一ベース部32と第一スプリングガイド35aとの間に圧縮状態で設けられる。第二スプリング34bは、第二ベース部33と第二スプリングガイド35bとの間に圧縮状態で設けられる。ストッパ36(図3参照)は、第一ベース部32及び第二ベース部33に当接することで、第一スプリング34aの付勢力による第一ベース部32の測定対象Tへ向けた移動と、第二スプリング34bの付勢力による第二ベース部33の測定対象Tへ向けた移動と、を規制する。
ガイド部37は、移動プレート31に取り付けられ押し付け方向に沿って設けられるレール37aと、第一ベース部32又は第二ベース部33に取り付けられレール37aに沿ってスライド可能に構成される従動子37bと、を有する。
駆動機構40は、ベース部30の移動プレート31を一方向に沿って進退させるアクチュエータである。駆動機構40によるベース部30の駆動方向が、測定対象Tに対する第一接触子10及び第二接触子20の押し付け方向(本実施形態ではZ軸に平行な方向)に相当する。駆動機構40によって移動プレート31を進退させることで、第一ベース部32及び第二ベース部33と共に第一接触子10及び第二接触子20が進退する。つまり、ベース部30が駆動機構40によって押し付け方向に沿って進退されることにより、第一接触子10及び第二接触子20が測定対象Tに対して接触・離間する。
駆動機構40は、図1、図3等に示すように、電動モータ41と、電動モータ41の回転を直線運動に変換するボールねじ機構42と、を有する。
ボールねじ機構42は、押し付け方向(Z軸方向)に沿って設けられ電動モータ41によって回転するボールねじ42aと、ボールねじ42aの回転に伴いボールねじ42aの軸線方向に沿って移動するボールナット(図示省略)と、を有する。
ベース部30の移動プレート31は、ボールねじ機構42のボールナットに取り付けられる。電動モータ41が回転駆動されると、ボールねじ42aの回転がボールナットの直線運動に変換されて、ボールナットが軸方向に移動する。これにより、ボールナットに取り付けられたベース部30の移動プレート31が第一ベース部32及び第二ベース部33と共に押し付け方向に沿って直線駆動される。なお、駆動機構40は、ベース部30を一方向に沿って進退させることが可能なものであれば、本実施形態の構成に限られない。例えば、駆動機構40は、電動モータ41とボールねじ機構42との組み合わせに代えて、流体圧シリンダ又はソレノイド(いわゆるプッシュプルソレノイド)を用いてもよい。
同軸ケーブル50は、図1に示すように、特性測定用の電気信号を送受信する制御装置105に電気的に接続され、制御装置105により送受信される電気信号を伝送する。同軸ケーブル50は、図5に示すように、シグナル伝送路としての中心導体51と、中心導体51の周囲に設けられる絶縁層である絶縁体52と、絶縁体52の周囲に設けられるグランド伝送路としての外部導体53と、が同心円上に配置される同軸伝送部である。
図1に示すように、伝送基板60は、柔軟性を有する帯状のフレキシブルプリント基板であり、高周波伝送線路としてコプレーナ線路及びコプレーナストリップ線路を形成する積層構造を有する。伝送基板60では、絶縁層である基材61の一方の面に、それぞれ導体層である第一グランド線62、シグナル線63、及び第二グランド線64がプリントされる。
第一グランド線62の一端部は、第一接触子10に電気的に接続される。シグナル線63の一端部は、第二接触子20に電気的に接続される。第二グランド線64の一端部は、第一グランド線62に電気的に接続される。第一グランド線62の他端部及び第二グランド線64の他端部は、コネクタ55を通じて同軸ケーブル50の外部導体53(図5参照)に電気的に接続される。シグナル線63の他端部は、コネクタ55を通じて同軸ケーブル50の中心導体51(図5参照)に電気的に接続される。伝送基板60の具体的構成については、図11から図13を参照して後に詳細に説明する。
コネクタ55は、図6に示すように、同軸ケーブル50が接続されると共に、伝送基板60の他端部を挟持して、伝送基板60の第一グランド線62、シグナル線63、及び第二グランド線64と、同軸ケーブル50と、をそれぞれ電気的に接続する。なお、コネクタ55は、公知の構成を採用することができるため、これ以上の具体的な説明は省略する。
測定対象Tの高周波特性を測定するには、ベース部30を押し付け方向の前方(鉛直方向の上方)に移動させ、支持部材5によって支持されている測定対象Tに対して、鉛直方向の下方から第一接触子10及び第二接触子20を接触させる。
第一接触子10及び第二接触子20が測定対象Tに接触した状態からベース部30をさらに鉛直方向上方へ移動させることで、所定の押し付け力により第一接触子10及び第二接触子20を測定対象Tに押し付けて電気的に接続させる。測定対象Tに接触した状態から第一接触子10及び第二接触子20をさらに押し付けるのに伴い、第一ベース部32及び第二ベース部33がそれぞれ第一スプリング34a及び第二スプリング34bを圧縮するように(付勢力に抗して)移動プレート31に対して相対移動する(図3等参照)。第一スプリング34a及び第二スプリング34bが圧縮されることによって生じる弾性力により、第一接触子10及び第二接触子20を測定対象Tに押し付ける押し付け力が確保される。
第一接触子10及び第二接触子20から出力される電気信号は、伝送基板60の高周波伝送線路によって伝送され、同軸ケーブル50を通じて制御装置105(図1参照)に入力される。伝送基板60は、外力により変形が可能であり、駆動機構40(図1参照)によってベース部30が駆動されるのに伴って撓み変形する。これにより、同軸ケーブル50及びコネクタ55に対する押し付け方向に沿ったベース部30、第一接触子10、及び第二接触子20の相対移動が許容される。
次に、主に図7から図10を参照して、第一接触子10及び第二接触子20の具体的構成について説明する。
第一接触子10及び第二接触子20は、図7及び図8に示すように、それぞれ均一な厚みを有する板状に形成され、互いに同一形状に形成される。また、図9に示すように、第一接触子10及び第二接触子20は、押し付け方向に対して垂直な一方向(X方向。以下、「隣接方向」とも称する。)に所定の間隙G1を空けて並んで設けられる。
つまり、第一接触子10及び第二接触子20は、共通の部品として形成され、間隙G1を空けて互いに対称(面対称)に配置される。よって、以下では、主に第一接触子10の具体的構成について説明し、第二接触子20の構成については適宜説明を省略する。また、以下では、図9に示すように、第一接触子10及び第二接触子20のそれぞれからみて、第一接触子10と第二接触子20との間隙G1側を隣接方向における「内側」とし、間隙G1から離れる方向を「外側」とも称する。
第一接触子10は、図7に示すように、ベース部30の第一ベース部32に取り付けられ伝送基板60の第一グランド線62に電気的に接続される第一取付部11と、測定対象Tに押し付けられる第一端子部15と、を有する。また、第一接触子10には、押し付け方向に平行かつ板厚方向に平行、つまり、YZ平面に対して平行な面である第一対向面10aが設けられる。第一対向面10aは、第一取付部11と第一端子部15とにわたって設けられる。言い換えれば、第一取付部11と第一端子部15とは、隣接方向の内側において第一対向面10aによって段差なく接続される。
第一取付部11は、押し付け方向に平行な第一平坦面11aを有する板状に形成される。第一取付部11には、第一取付ボルト80(図4参照)が挿通する第一取付孔12が、第一平坦面11aに開口するようにその板厚方向(Y方向)に貫通して形成される。また、第一取付部11には、第一取付孔12に連通し第一取付部11の外縁に開口する第一切欠部12aが形成される。第一切欠部12aは、第一取付孔12から隣接方向に沿って外側に向けて延びるように形成される(図9参照)。これにより、第一取付孔12は、閉じられた孔ではなく、第一切欠部12aによって第一取付部11の外縁に開口する孔(開放された孔)として構成される。
第一端子部15は、第一取付部11から測定対象Tに向けて押し付け方向に突出するように形成される。第一端子部15の先端の端面は、押し付け方向に垂直な垂直面15aとして形成される。第一端子部15の垂直面15aは、測定対象Tに接触する。
また、第一端子部15は、測定対象Tに接触する先端から第一取付部11に接続される基端に向けて、幅寸法(X軸方向における寸法)が大きくなるように形成される。より具体的には、第一端子部15は、隣接方向の内側(第二接触子20側)は、押し付け方向に平行な第一対向面10aとして形成され、外側(第二接触子20とは反対側)は押し付け方向に対して傾斜する第一傾斜面16として形成される。第一傾斜面16は、図9に示すように、第一取付孔12の中心O1が第一傾斜面16を含む第一仮想平面P1よりも隣接方向における内側に配置されるように形成される。
第一接触子10と同様に、第二接触子20は、図8に示すように、第二取付部21と、第二端子部25と、を有する。第二取付部21には、第二取付ボルト85が挿通する第二取付孔22と、第二取付孔22に連通し第二取付部21の外縁に開口する第二切欠部22aと、が形成される。第二端子部25の先端の垂直面25aは、測定対象Tに接触する。第二接触子20には、第二取付部21と第二端子部25とにわたって第二対向面20aが設けられる。また、隣接方向における第二端子部25の外側には、第二傾斜面26が形成される。第二傾斜面26は、図9に示すように、第二取付孔22の中心O2が第二傾斜面26を含む第二仮想平面P2よりも隣接方向における内側に配置されるように形成される。
測定対象Tへのプロービングでは、プロービングの反力が第一接触子10及び第二接触子20によって第一取付ボルト80及び第二取付ボルト85(図4等参照)に伝達される。これに対し、本実施形態では、第一取付孔12の中心O1が第一傾斜面16を含む第一仮想平面P1よりも隣接方向における内側に配置され、第二取付孔22の中心O2が第二傾斜面26を含む第二仮想平面P2よりも隣接方向における内側に配置される。これにより、プロービングの反力は、第一取付ボルト80及び第二取付ボルト85の中心軸に作用するように第一取付ボルト80及び第二取付ボルト85のそれぞれに伝達される。このようにプロービングの反力を第一取付ボルト80及び第二取付ボルト85の中心軸に対して作用させることができるため、反力による第一取付ボルト80及び第二取付ボルト85の緩みを抑制することができる。
なお、本実施形態では、第一傾斜面16及び第二傾斜面26は、それぞれ直線状(平坦面状)のテーパ面である。これに対し、第一傾斜面16及び第二傾斜面26は、テーパ面に限定されない。第一傾斜面16及び第二傾斜面26は、押し付け方向に対して傾斜するように形成される限り、例えば曲面で形成されてもよい。
第一接触子10と第二接触子20とは、第一対向面10aと第二対向面20aとが所定の間隔を空けて互いに平行対向するようにして、隣接方向に並んで配置される。第一対向面10aと第二対向面20aとは、それぞれ隣接方向に対して垂直な平面である。第一対向面10aと第二対向面20aとの間隔は、第一取付部11と第二取付部21との結合強度が所望のものとなるように、言い換えれば、伝送経路が所望の特性インピーダンス(例えば50Ω)となるように設定される。
また、第一対向面10aと第二対向面20aとは、測定対象Tに押し付けられる先端側の一部が、他部よりも広い間隔で形成される。具体的には、第一端子部15の先端の垂直面15aに連続する先端側の第一対向面10aの一部(以下、「第一先端対向面10b」と称する。)は、第一対向面10aの他部よりも隣接方向の外側に位置する。同様に、第二端子部25の先端の垂直面25aに連続する先端側の第二対向面20aの一部(以下、「第二先端対向面20b」と称する。)は、第二対向面20aの他部よりも隣接方向の外側に位置する。第一先端対向面10bと第二先端対向面20bとの隣接方向の間隔は、第一接触子10及び第二接触子20を接触させる測定対象Tの大きさに合わせて設定される。よって、第一先端対向面10bが第一対向面10aよりも隣接方向の内側に位置し、第二先端対向面20bが第二対向面20aよりも隣接方向に内側に位置してもよい。
次に、主に図10を参照して、第一接触子10及び第二接触子20の取付構造について説明する。
図10に示すように、第一取付ボルト80は、ヘッド部80aと、第一ベース部32に形成される第一ねじ孔32aに螺合するねじ部80bと、を有する。同様に、第二取付ボルト85は、ヘッド部85aと、第二ベース部33に形成される第二ねじ孔33aに螺合するねじ部85bと、を有する。
第一接触子10の第一取付部11と第一取付ボルト80のヘッド部80aとの間には、絶縁材料である樹脂によって形成される絶縁部材としての第一樹脂ワッシャ81が設けられる。第一取付ボルト80は、第一樹脂ワッシャ81、第一取付部11の第一取付孔12、後述する伝送基板60の第一挿通孔62aを挿通して、第一ベース部32の第一ねじ孔32aに螺合する。これにより、第一接触子10及び伝送基板60が、第一取付ボルト80によって第一ベース部32に取り付けられる。また、第一接触子10の第一取付部11と第一取付ボルト80のヘッド部80aとは、第一樹脂ワッシャ81によって直接の接触が回避されており、これによって第一接触子10と第一取付ボルト80とが絶縁される。
第一接触子10と同様に、第二接触子20の第二取付部21と第二取付ボルト85のヘッド部85aとの間には、絶縁部材としての樹脂製の第二樹脂ワッシャ86が設けられる。第二取付ボルト85は、第二樹脂ワッシャ86、第二取付部21の第二取付孔22、後述する伝送基板60の第二挿通孔63aを挿通して第二ベース部33の第二ねじ孔33aに螺合することで、第二接触子20及び伝送基板60が第二ベース部33に取り付けられる。また、第二樹脂ワッシャ86によって、第二接触子20と第二取付ボルト85とが絶縁される。なお、第一絶縁部材及び第二絶縁部材は、樹脂製に限定されず、絶縁材料としてその他の材料によって形成されてもよい。
次に、主に図11から図13を参照して、伝送基板60の具体的構成について説明する。図11は、伝送基板60の一方の面(表面)を見た平面図であり、図12は、伝送基板60の他方の面(裏面)を見た底面図である。
伝送基板60の基材61は、柔軟性を有する材質で形成される。第一グランド線62、第二グランド線64、及びシグナル線63は、帯状に延びる基材61の長手方向に沿ってそれぞれ所定の幅を有して延びて設けられる。シグナル線63は、伝送基板60の長手方向に直交する幅方向(図11中左右方向)において、第一グランド線62と第二グランド線64とに挟まれる位置に、第一グランド線62と第二グランド線64と所定の間隔を空けて設けられる。
伝送基板60は、その長手方向において、第一接触子10及び第二接触子20が取り付けられる接触子側端部65と、コネクタ55(図1参照)を介して同軸ケーブル50に接続されるコネクタ側端部66と、接触子側端部65とコネクタ側端部66との間に設けられる基板本体部67と、に分けられる。
第一グランド線62及びシグナル線63は、コネクタ55に接続される伝送基板60のコネクタ側端部66から第一接触子10及び第二接触子20が取り付けられる伝送基板60の接触子側端部65まで延びて設けられる。一方、第二グランド線64は、コネクタ側端部66から基板本体部67の長手方向の中間部までしか設けられていない。
伝送基板60の接触子側端部65には、伝送基板60の長手方向に延びるスリット60aが形成される。これにより、伝送基板60の接触子側端部65は、スリット60aによって、第一接触子10が取り付けられる第一取付端部65aと、第二接触子20が取り付けられる第二取付端部65bと、に隔てられる。
第一取付端部65aには、第一グランド線62の一端部が設けられると共に、第一取付ボルト80が挿通する第一挿通孔62aが第一グランド線62を貫通して形成される。以下では、第一グランド線62において第一接触子10に対して直接接触する部分を、第一グランド線62の「先端部」とも称する。
第二取付端部65bには、シグナル線63の一端部が設けられると共に、第二取付ボルト85が挿通する第二挿通孔63aがシグナル線63を貫通して形成される。第一取付端部65aと第二取付端部65bとは、スリット60aによって隔てられることで、互いに独立して移動可能(変形可能)に構成される。また、第一取付端部65aと第二取付端部65bとは、取り付けられる第一接触子10及び第二接触子20の形状に合わせて、幅寸法が幅広に形成されている。
スリット60aは、伝送基板60の接触子側端部65の先端部(先端縁)から、長手方向に沿って第一接触子10及び第二接触子20を超えるようにコネクタ55側に延びて設けられる(図6参照)。
また、第二取付端部65bには、第二取付端部65bの外縁と第二挿通孔63aとを連通する基板切欠部63bが形成される。つまり、第二挿通孔63aは、第一接触子10の第一取付孔12及び第二接触子20の第二取付孔22と同様に、周方向に閉じられた孔ではなく、基板切欠部63bによって伝送基板60の第二取付端部65bの外縁に開口する孔(開放された孔)として形成される。基板切欠部63bは、第一接触子10と第二接触子20との隣接方向(言い換えれば、伝送基板60の長手方向に直交する幅方向)に延びる直線状に形成される。
伝送基板60のコネクタ側端部66は、コネクタ55よって厚さ方向(長手方向及び幅方向に直交する方向。図11における紙面垂直方向)に挟持されることで、コネクタ55と接続される(図6参照)。コネクタ側端部66は、第一グランド線62、シグナル線63、第二グランド線64が並んで設けられてコネクタ55に挟持されるコネクタ接続部66aと、伝送基板60の幅方向におけるコネクタ接続部66aの両側からそれぞれ幅方向の外側に向けて延びる第一突出部66b及び第二突出部66cと、が設けられる。第一突出部66b及び第二突出部66cも、コネクタ55によって挟持される。
第一突出部66bの一方の面には、第一グランド線62が設けられる。第二突出部66cの一方の面には、第二グランド線64が設けられる。また、第一突出部66b及び第二突出部66cは、基板本体部67に対して所定の隙間を空けて伝送基板60の幅方向に並んでいる。つまり、伝送基板60の幅方向において第一突出部66b及び第二突出部66cと基板本体部67との間には、伝送基板60の長手方向に延びる基端スリット60b,60cがそれぞれ形成される。これにより、コネクタ側端部66に対して基板本体部67が相対移動しやすくなる。
また、図12に示すように、コネクタ側端部66の裏面には、第一裏側グランド線62bと第二裏側グランド線64bとが導体層として設けられる。第一裏側グランド線62bは、通孔66dを通じて表面の第一グランド線62に電気的に接続される。第二裏側グランド線64bは、通孔66eを通じて表面の第二グランド線64に電気的に接続される。第一裏側グランド線62b及び第二裏側グランド線64bが設けられる部分は、裏面に導体層が設けられない(基材61が露出する)部分と比較して、厚くなる。これにより、他部よりも厚い第一裏側グランド線62bが設けられる部分と第二裏側グランド線64bが設けられる部分とが、コネクタ55によって確実に挟持される。よって、コネクタ55(図1参照)を通じて第一グランド線62及び第二グランド線64を確実に同軸ケーブル50の外部導体53に接続することができる。以下では、第一グランド線62において、コネクタ55によって挟持されてコネクタ55に直接接触する部分を、第一グランド線62の「基端部」とも称する。
基板本体部67は、図11に示すように、第一グランド線62、第二グランド線64、及びシグナル線63が設けられる第一本体部67aと、第一グランド線62及びシグナル線63が設けられる一方、第二グランド線64が設けられない第二本体部67bと、を有する。第一本体部67aがコネクタ側端部66に接続され、第二本体部67bが接触子側端部65に接続される。第一本体部67aは第二グランド線64が設けられる分だけ第二本体部67bよりも幅が広く、第一本体部67aと第二本体部67bとの間には段差が形成される。
つまり、コネクタ側端部66と基板本体部67の第一本体部67aには、高周波伝送路としてG(グランド)−S(シグナル)−G(グランド)の線路構成を有する、いわゆるコプレーナ線路が設けられる。また、基板本体部67の第二本体部67bと接触子側端部65には、高周波伝送路としてG−Sの線路構成を有する、いわゆるコプレーナストリップ線路が設けられる。
図12に示すように、第一本体部67aの裏面には、第一グランド線62と第二グランド線64とを電気的に接続する導体層である合流線が形成される。本実施形態では、合流線として第一合流線69a及び第二合流線69bの二つが設けられている。第一合流線69aは、伝送基板60の表面の第一グランド線62と通孔67cを通じて電気的に接続されると共に、表面の第二グランド線64と通孔67dを通じて電気的に接続される。また、第二合流線69bは、伝送基板60の表面の第一グランド線62と通孔67cを通じて電気的に接続されると共に、表面の第二グランド線64と通孔67dを通じて電気的に接続される。
このように、本実施形態では、第一グランド線62と第二グランド線64とを第一合流線69aと第二合流線69bとによって電気的に接続することで、高周波伝送線路を、コネクタ側端部66のG−S−Gのコプレーナ線路から、G−Sのコプレーナストリップ線路に変換している。
また、図11に示すように、伝送基板60の接触子側端部65における基材61には、第一取付端部65aの側部から分岐するようにして設けられる分岐部70が設けられる。言い換えれば、分岐部70は、基材61の一部である。分岐部70は、基端が第一取付端部65aの側部に接続され基端から伝送基板60の幅方向に延びる第一分岐部71と、第一分岐部71の端部から伝送基板60の長手方向に沿って延びる第二分岐部72と、を有して、平面視で略L字状に形成されている。
分岐部70には、第一グランド線62と筐体1の支持部材5(図6参照)とを電気的に接続する導通線73が設けられる。導通線73は、分岐部70を構成する基材61の一方の面に設けられる。導通線73は、第一グランド線62と連続して基材61の一方側の面に形成される導体層(プリント配線)である。第一グランド線62と連続した導体層として導通線73を構成することで、導通線73の形成が容易となる。
第二分岐部72は、図6及び図13に示すように、第三取付部材としての金属製の第三取付ボルト75によって支持部材5に取り付けられる。第二分岐部72には、第三取付ボルト75が挿通する第三挿通孔70aが形成される(図11参照)。
また、導通線73は、図12に示すように、第三挿通孔70aを通じて基材61の裏面にまで設けられる。導通線73の裏側部73aが支持部材5(図6参照)の表面に接触した状態で、分岐部70が第三取付ボルト75によって支持部材5に固定される。このようにして、導通線73によって第一グランド線62と支持部材5とが電気的に接続される。なお、第一グランド線62に対する導通線73の接続部分(以下、「導通部」とも称する。)は、第一グランド線62において、基端部から先端部に向けて離間した位置に設けられる。導通部が基端部から先端部に向けて離間するとは、導通部と基端部とが同一の部分を指すものではなく、互いに異なる部分であることを意味する。
支持部材5には、図13に示すように、伝送基板60の分岐部70を収容し、分岐部70が取り付けられる溝部5dが形成される。溝部5dには、分岐部70を取り付ける第三取付ボルト75が螺合する第三ねじ孔5eが形成される。溝部5dは、押し付け方向(Z軸方向)と第一接触子10の第一平坦面11a(第二接触子20の第二平坦面21a)に垂直な方向(X軸方向)とのいずれに対しても傾斜した角度で形成される。つまり、分岐部70の第二分岐部72は、XZ平面をX軸を中心として回転(傾斜)させた平面上に配置されるようにして、支持部材5に取り付けられる。これにより、分岐部70を取り付ける第三取付ボルト75の中心軸が、押し付け方向に対して傾斜する。
測定装置100は、図1等に示すように、全体的に押し付け方向を含むXZ平面に延在するような構成である。このため、第三取付ボルト75の中心軸がXZ平面に対して平行に延びるような場合には、ボルトを回転させるドライバなどの工具が測定装置100の構成部品と干渉しやすくなる。本実施形態のように、第三取付ボルト75をXZ平面に対して傾斜するように構成することで、工具と構成部品との干渉が回避され、取付作業が容易となる。
また、分岐部70は、支持部材5に取り付けられるため、プロービングの際には、伝送基板60の接触子側端部65に対して相対移動する。分岐部70が、押し付け方向に対して平行に(言い換えれば、分岐部70が押し付け方向を含むXZ平面上で延びるように)支持部材5に対して取り付けられると、伝送基板60の接触子側端部65との間での相対移動により、分岐部70が伝送基板60の厚さ方向に変形する。このような厚さ方向の変形は、Y軸方向の一方に向けて凸となるように変形する場合もある一方で、それとは反対に凹となるように変形する場合もあり、再現性に乏しい。よって、分岐部70が押し付け方向に対して平行にして支持部材5に取り付けられる場合には、伝送経路の特性インピーダンスがばらつくおそれがある。これにより、測定精度が低下するおそれがある。
一方、本実施形態では、分岐部70の第二分岐部72は、押し付け方向に対して傾斜する構成であり、言い換えれば、図13に示すように、X軸に平行な折曲軸によって折れ曲がるようにして支持部材5に取り付けられる構成である。このため、プロービングにより伝送基板60の接触子側端部65との相対移動が生じると、図中矢印Aで示すように、分岐部70は屈曲する方向に変形して、相対移動が吸収される。このように、分岐部70が折れ曲がるようにして設けられることで、接触子側端部65との相対移動による変形の再現性を高くできるため、分岐部70の変形に伴う特性インピーダンスのばらつきを抑制し、測定精度を向上させることができる。
ここで、本実施形態の理解を容易にするために、図19を参照して本実施形態の比較例に係る測定装置300について説明する。なお、比較例では、上記実施形態と同様の構成については、上記実施形態と同様の符号を付して説明を省略する。
一般に、測定対象の高周波特性を測定する測定装置においては、高周波特性測定用の伝送経路における特性インピーダンスの不整合が発生すると、測定装置による測定精度が低下するおそれがある。よって、測定装置では、伝送経路の特性インピーダンスを精度よく整合させて測定精度を向上させることが求められている。
比較例に係る測定装置300は、上記実施形態における伝送基板60に設けられる分岐部70及び導通線73、第一接触子10と第一取付ボルト80との間の第一樹脂ワッシャ81及び第二接触子20と第二取付ボルト85との間の第二樹脂ワッシャ86、第一接触子10及び第二接触子20にそれぞれ形成される第一切欠部12a及び第二切欠部22a、伝送基板60の第二取付端部65bに形成される基板切欠部63b、第二グランド線64を備えていない点において、上記実施形態とは相違している。
このような比較例においては、第一接触子10及び第二接触子20が、グランド電位である周囲の筐体1(より具体的には、第一接触子10及び第二接触子20が挿入される通過孔5a,5bを有する支持部材5)に対して、近接部が容量結合することがある(図中B部)。これにより、第一接触子10、第一グランド線62、コネクタ55、及び支持部材5、第一ブラケット2、第二ブラケット3を含む筐体1によって、図19中の矢印で示すように意図しない伝送経路が形成されることがある。
一方、電気信号の伝送経路は、伝送経路の長さが測定用の電気信号の波長に対して短い場合(例えば、伝送経路長が波長の1/20程度以下である場合)には、いわゆる集中定数回路とみなすことができ、伝送経路中の電位の変動は無視することができる。しかしながら、伝送経路の長さが測定用の電気信号の波長に対して長い場合には、いわゆる分布定数回路として振舞うこととなり、伝送経路において、例えば、伝送経路に沿って正弦波形を示すように電位が振動する。つまり、測定用の電気信号が高周波であるほど波長が短くなるため、分布定数回路としての振舞いが生じやすい。
よって、第一接触子10と支持部材5との容量結合によって意図しない伝送経路が生じ、当該伝送経路が分布定数回路として振舞うと、グランド電位に設定されている当該経路中の第一接触子10及び支持部材5の電位が振動する。第一接触子10及び支持部材5のグランド電位が振動し安定しなくなると、測定用の電気信号を伝送する本来の伝送経路(同軸ケーブル50、伝送基板60、第一接触子10及び第二接触子20)における特性インピーダンスの整合が充分に取れなくなる。
これに対し、本実施形態の測定装置100では、第一グランド線62の導通部が、導通線73によって支持部材5に電気的に接続されている。これにより、第一接触子10と支持部材5との容量結合によって意図せずに伝送経路が形成される場合であっても、図14に示すように、第一グランド線62の全体及び筐体1の一部を含むものではなく、第一接触子10、第一接触子10から導通線73までの第一グランド線62の一部、導通線73、支持部材5において導通線73が接続される部分から第一接触子10と容量結合する部分までの間、というように、比較的短い経路によって意図しない伝送経路が構成される。よって、電気信号の波長に対する伝送経路の長さが短くなるため、グランド電位に設定された伝送経路における電位の変動を抑制できる。
つまり、測定装置100では、伝送経路の途中にある第一グランド線62の導通部においてもグランドをとっているため、伝送経路における電位の振動を抑制することができ、伝送経路における特性インピーダンスの整合を充分に図ることができる。したがって、測定装置100の測定精度を向上させることができる。
また、意図せずに形成される伝送経路の経路長を短くするためには、本実施形態のように、第一グランド線62の導通部は、その先端部と直接接続されるように形成されることが望ましい。別の観点からいえば、先端部の一部が導通部として機能して導通線73により支持部材5に接続されることが望ましい。しかしながら、導通部は、第一グランド線62上であれば、いずれの位置に設けられてもよい。
また、導通線73は、第一接触子10及び第二接触子20と容量結合する支持部材5に機械的に直接接続されることが望ましい。しかしながら、導通線73は、例えば、第一ブラケット2など、支持部材5に接続される、支持部材5以外の筐体1の構成部品に対して接続されてもよい。言い換えれば、導通線73は、筐体1の他の部材を介して支持部材5に間接的に接続されてもよい。また、導通線73は、伝送基板60の表面に設けられるプリント配線に限定されない。
また、比較例に係る測定装置300では、金属製の第一取付ボルト80は、第一接触子10に直接接触しており、第一接触子10とは絶縁されていない。同様に、金属製の第二取付ボルト85は、第二接触子20に直接接触しており、第二接触子20とは絶縁されていない。
このため、第一取付ボルト80及び第二取付ボルト85は、伝送経路上においてスタブとして構成される。伝送基板60の高周波伝送路から第一接触子10及び第二接触子20に伝送される電気信号は、高周波伝送路から第一接触子10及び第二接触子20に直接伝送されるものに加えて、一部は高周波伝送路からスタブとして構成される第一取付ボルト80及び第二取付ボルト85を通じて第一接触子10及び第二接触子20に伝送される。つまり、高周波伝送路と第一接触子10及び第二接触子20との間で伝送される電気信号の一部が、第一取付ボルト80及び第二取付ボルト85を通じて迂回して伝送される。このような迂回した伝送経路を通る信号は、迂回せずに直接伝送される信号に対して位相がずれた信号となる。このため、測定対象Tには位相がずれた信号を含む電気信号が入力されることになるため、高周波特性の測定精度が低下する。
また、測定対象Tに電気信号が直接伝送される経路と迂回する伝送経路とが合流する際にも信号の反射が生じるため、伝送特性が悪化する。別の観点でいえば、高周波伝送路と第一接触子10及び第二接触子20との間の伝送経路に対して、第一取付ボルト80及び第二取付ボルト85が電気的に接続されてスタブを構成するため、第一取付ボルト80及び第二取付ボルト85が電気的に接続された部分の特性インピーダンスが他の伝送経路の特性インピーダンスから乖離する。これにより、特性インピーダンスの不整合が生じて、伝送特性が悪化する。
これに対し、本実施形態では、第一取付ボルト80及び第二取付ボルト85は、それぞれ第一樹脂ワッシャ81及び第二樹脂ワッシャ86によって第一接触子10及び第二接触子20に対して絶縁されている。これにより、第一取付ボルト80及び第二取付ボルト85が伝送経路においてスタブとして構成されないため、伝送特性を向上、言い換えれば、特性インピーダンスを整合させることができ、測定精度を向上させることができる。
さらに、比較例に係る測定装置300では、第一接触子10の第一取付部11の第一取付孔12、第二接触子20の第一取付部11の第二取付孔22、及び伝送基板60の第二取付端部65bの第二挿通孔63aは、それぞれ閉じられた円形の孔として形成される。このため、伝送経路上で伝送される電気信号が、第一取付孔12、第二取付孔22、及び第二挿通孔63aの周囲をループし、磁界が生じる。つまり、第一取付孔12、第二取付孔22、及び第一挿通孔62aの周囲を電気信号がループするように流れることで、ループアンテナが見かけ上構成されて、電気信号のエネルギーの一部が電磁波として空間に放射される。これによって、測定対象Tに印加される電気信号が減衰してしまうため、測定装置300の測定精度は低下する。
これに対し、本実施形態では、第一接触子10の第一取付孔12、第二接触子20の第二取付孔22、及び伝送基板60の第二挿通孔63aには、第一切欠部12a、第二切欠部22a、及び基板切欠部63bがそれぞれ連通する。第一切欠部12a、第二切欠部22a、及び基板切欠部63bによって、第一取付孔12、第二取付孔22、及び第二挿通孔63aは、それぞれ開放された孔として構成されて周囲を電気信号がループすることが防止される。これにより、電気信号の放射が抑制され、測定精度の低下を防止できる。
また、一般に、測定装置では、検査装置または測定対象の仕様等の理由から、接触子を第一接触子及び第二接触子の二つだけとしなければならないといった制限が生じることがある。このような場合には、比較例に係る測定装置300のように、伝送基板60には、一つのグランド線62と一つのシグナル線63が設けられる、つまり、G−Sの線路構成を有するコプレーナストリップ線路が設けられることが一般的である。
これに対し、本実施形態では、伝送基板60の接触子側端部65にはG−Sの線路構成を有するコプレーナストリップ線路が設けられる一方、伝送基板60のコネクタ側端部66には、G−S−Gの線路構成を有するコプレーナ線路が設けられる。伝送基板60では、基板本体部67に設けられる第一合流線69a及び第二合流線69bによって第一グランド線62と第二グランド線64とが互いに接続されて、高周波伝送路がコプレーナ線路からコプレーナストリップ線路へと変換される。コプレーナ線路は、コプレーナストリップ線路よりもノイズに強く、同軸ケーブル50からの変換時の特性インピーダンスの変動を抑えられるため、コプレーナストリップ線路よりも特性インピーダンスの整合を図りやすい。このように、測定装置100では、接触子が2つに限定される場合であっても、高周波伝送路における伝送線路の一部がコプレーナ線路として構成されるため、伝送基板60の高周波伝送路がコプレーナストリップ線路のみで構成される比較例よりも、インピーダンス整合を図りやすく、測定精度を向上させることができる。
次に、上記実施形態の変形例について説明する。以下のような変形例も本発明の範囲内であり、以下の変形例と上記実施形態の各構成とを組み合わせたり、以下の変形例同士を組み合わせたりすることも可能である。また、各変形例において、上記実施形態と同様の構成については、同様の符号を付して説明を省略する。
(1)上記実施形態では、接続部は、柔軟性を有する伝送基板60(フレキシブルプリント基板)である。これに対し、接続部は、少なくとも第一接触子10及び第二接触子20(言い換えればベース部30)と同軸ケーブル50との相対移動を許容できる限り、柔軟性を有するものでなくてもよい。
図15から図18に示す第1変形例では、接続部である伝送基板160は、同軸ケーブル50の外周の外部導体53と第一接触子110とを電気的に接続するグランド線としての第一銅箔基板161と、同軸ケーブル50の中心にある中心導体51と第二接触子120とを電気的に接続するシグナル線としての第二銅箔基板162と、により構成される。第一銅箔基板161と第二銅箔基板162とは、それぞれ板部材によって構成され、隣接方向において互いに所定の間隔を空けて設けられる(図15参照)。
図16に示すように、第一銅箔基板161は、一端が同軸ケーブル50の外部導体53に対してはんだ付け等の手段により連結され、他端が第一連結ボルト180によって第一接触子110及び第一ベース部32に対して連結される。第二銅箔基板162は、一端が同軸ケーブル50の中心導体51に対してそれぞれはんだ付け等の手段により連結され、他端が第二連結ボルト185によって第二接触子120及び第二ベース部33に対して連結される。
また、図15に示すように、第一接触子110と第一連結ボルト180との間には絶縁部材としての樹脂製の第一連結ワッシャ181が設けられる。第二接触子120と第二連結ボルト185との間には第二連結ワッシャ186が設けられる。これにより、第一連結ボルト180及び第二連結ボルト185が伝送経路においてスタブとして構成されることを回避でき、測定装置200の測定精度を向上させることができる。
また、第1変形例では、図17に示すように、第一接触子110には、第一ベース部32に第一接触子110を取り付ける第一取付ボルト80が挿通する第一取付孔12及び第一取付孔12に連通する第一切欠部12aに加えて、第一連結ボルト180が挿通する第三取付孔112と、第三取付孔112に連通し第一接触子110の外縁に開口する第三切欠部112aと、が形成される。第二接触子120には、第二ベース部33に第二接触子120を取り付ける第二取付ボルト85が挿通する第二取付孔22及び第二切欠部22aに加えて、第二連結ボルト185が挿通する第四取付孔122と、第四取付孔122に連通し第二接触子120の外縁に開口する第四切欠部122aと、が形成される。
図18に示すように、第一銅箔基板161には、第一連結ボルト180が挿通する第三挿通孔165と、第三挿通孔165に連通し第一銅箔基板161の外縁に開口する第一基板切欠部165aと、が形成される。第二銅箔基板162には、第二連結ボルト185が挿通する第四挿通孔166と、第四挿通孔166に連通し第二銅箔基板162の外縁に開口する第二基板切欠部166aと、が形成される。
このように、伝送経路上に形成される第一接触子110の第一取付孔12及び第三取付孔112、第二接触子120の第二取付孔22及び第四取付孔122、第一銅箔基板161の第三挿通孔165、第二銅箔基板162の第四挿通孔166は、それぞれ閉じられた孔ではなく開放された孔として構成される。よって、上記実施形態と同様に、第一取付孔12、第二取付孔22、第三取付孔112、第四取付孔122、第三挿通孔165、及び第四挿通孔166のそれぞれの周囲を電気信号がループすることを抑制でき、測定装置200の測定精度を向上させることができる。
また、第1変形例では、図示は省略するが、上記実施形態と同様に、グランド線である第一銅箔基板161と支持部材5とを電気的に接続する導通線を設けてもよい。これによれば、第一接触子10と支持部材5との容量結合によって意図せずに伝送経路が形成される場合であっても、第一銅箔基板161においてグランドをとっているため、意図しない伝送経路の経路長を短くでき、グランド伝送路における電位の変動を抑制できる。よって、伝送経路における電位の振動を抑制することができ、伝送経路における特性インピーダンスの整合を充分に図ることができる。したがって、測定装置100の測定精度を向上させることができる。
(2)また、上記実施形態では、伝送基板60は、柔軟性を有するフレキシブルプリント基板である。これに対し、柔軟性を有する伝送基板としては、柔軟性を有する部位と有していない部位とを含むフレックスリジット基板であってもよい。
(3)また、上記実施形態では、図5等に示すように、第一接触子10と金属製の第一取付ボルト80との間に第一樹脂ワッシャ81が設けられ、第一接触子10と第一取付ボルト80とが絶縁される。同様に、第二接触子20と金属製の第二取付ボルト85との間に第二樹脂ワッシャ86が設けられ、第二接触子20と第二取付ボルト85とが絶縁される。
これに対し、第一取付ボルト80及び第二取付ボルト85と第一接触子10及び第二接触子20とを絶縁する構成として、第一樹脂ワッシャ81及び第二樹脂ワッシャ86を利用せず、第一取付ボルト80及び第二取付ボルト85自体を絶縁材料である樹脂によって形成してもよい。この場合であっても、第一取付ボルト80及び第二取付ボルト85が伝送経路上でスタブとして構成されることを回避できるため、測定装置100の測定精度を向上させることができる。
なお、第一取付ボルト80及び第二取付ボルト85がスタブを構成することによる測定精度の低下を抑制する観点では、第一接触子10及び第二接触子20は、それぞれ第一取付ボルト80及び第二取付ボルト85に対して絶縁されることが望ましい。しかしながら、スタブによる測定精度の低下を抑制する観点では、第一接触子10及び第二接触子20の両方が第一取付ボルト80及び第二取付ボルト85に対して絶縁される構成は必須ではなく、少なくとも一方が、対応する(自身をベース部30に取り付けるための)第一取付ボルト80及び第二取付ボルト85に対して絶縁されていればよい。
(4)また、第一取付部材及び第二取付部材は、第一取付ボルト80及び第二取付ボルト85に限定されるものではない。第一取付部材及び第二取付部材として、第一ベース部32及び第二ベース部33に圧入される圧入ピンを利用してもよい。また、第一取付部材及び第二取付部材は、第一取付ボルト80及び第二取付ボルト85のように着脱自在に構成されなくてもよい。これらの場合であっても、樹脂ワッシャを利用して第一取付部材及び第二取付部材と第一接触子10及び第二接触子20とをそれぞれ絶縁してもよいし、第一取付部材及び第二取付部材そのものを絶縁材料によって形成して第一接触子10及び第二接触子20と絶縁してもよい。
(5)また、上記実施形態では、導通線73は、伝送基板60の第一グランド線62と支持部材5とを電気的に接続する。これに対し、導通線73は、上述のような意図しない伝送経路の長さを短く構成できる限り、第一グランド線62と支持部材5とを電気的に接続する構成に限定されない。
例えば、測定装置100では、コネクタ55と支持部材5とを電気的に接続する導通線が設けられてもよい。また、第一接触子10と支持部材5とを電気的に接続する導通線が設けられてもよい。これらの場合であっても、意図しない伝送経路が生じても、経路長を比較例(図19参照)よりも短くすることができるため、上記実施形態と同様の作用効果を奏する。つまり、導通線は、同軸ケーブル50から測定対象Tに向かう電気信号のグランド伝送経路中のいずれかの箇所を支持部材5(筐体1)に電気的に接続する構成であればよく、このように構成される限り、上記実施形態と同様の作用効果を奏する。なお、同軸ケーブル50から測定対象Tに向かう電気信号のグランド伝送経路とは、コネクタ55、伝送基板60、及び第一接触子10を含むものであり、同軸ケーブル50は含まれない。つまり、グランド伝送経路とは、第一接触子10及び第二接触子20を測定対象Tに押し付けた状態において、同軸ケーブル50と測定対象Tとの間の伝送経路を指すものである。
次に、本明細書に記載の実施形態及びその変形例の作用効果について、まとめて説明する。
測定装置100は、それぞれ測定対象Tに押し付けられる第一接触子10及び第二接触子20と、電気信号を伝送する伝送部(同軸ケーブル50)と、柔軟性を有し、第一接触子10及び第二接触子20と伝送部との間を電気的に接続する伝送基板60と、グランド電位に設定され、第一接触子10、第二接触子20、伝送部、及び伝送基板60を支持する筐体1と、を備え、伝送基板60には、第一接触子10が電気的に接続されるグランド線(第一グランド線62)及び第二接触子20が電気的に接続されるシグナル線63を含む高周波伝送路が設けられ、伝送部から測定対象Tに向かう電気信号のグランド伝送経路は、導通線73を通じて筐体に電気的に接続される。
また、測定装置100では、導通線73は、グランド伝送経路の一部を構成する伝送基板60のグランド線と筐体1とを電気的に接続する。
また、測定装置100では、筐体1は、第一接触子10及び第二接触子20が挿入される通過孔5a,5bが設けられ、測定対象Tを支持する支持部材5を有し、グランド線の導通部は、支持部材5に電気的に接続される。
これらの構成によれば、伝送部から測定対象Tへのグランド伝送経路の途中でもグランドをとっているため、伝送経路における電位の振動を抑制することができ、伝送経路における特性インピーダンスの整合を充分に図ることができる。したがって、測定装置100の測定精度を向上させることができる。
また、測定装置100では、導通線73は、伝送基板60と一体に形成され、グランド線と連続する。
この構成によれば、導通線73をグランド線と同時に形成できるため、導通線73の形成が容易となる。
また、測定装置100では、第一接触子10は、測定対象Tに押し付けられる端子部(第一端子部15)と、測定対象Tに対する端子部の押し付け方向に対して平行な平坦面を有する平板状に形成され、伝送基板60に電気的に接続される取付部(第一取付部11)と、を有し、導通線73は、伝送基板60の側部から分岐した分岐部70に設けられ、分岐部70は、取付部の平坦面に対して垂直方向及び平行方向のいずれに対しても傾斜した角度で筐体1に接続される。
この構成では、測定対象Tへの第一接触子10及び第二接触子20の押し付けに伴って生じる伝送基板60と分岐部70との相対移動は、分岐部70の撓み変形によって吸収される。分岐部70が取付部の平坦面に対して垂直方向及び平行方向のいずれに対しても傾斜した角度で筐体1に接続されることで、分岐部70の撓み変形の再現性が向上する。よって、分岐部70の撓み変形による特性インピーダンスのばらつきの発生が抑制され、測定装置100の測定精度を向上させることができる。
また、測定装置100は、それぞれ測定対象Tに押し付けられる第一接触子10及び第二接触子20と、第一接触子10及び第二接触子20が取り付けられるベース部30と、ベース部30を駆動して第一接触子10及び第二接触子20を測定対象Tに押し付ける駆動機構40と、を備える。さらに、測定装置100は、電気信号を伝送する伝送部(同軸ケーブル50)と、伝送部と第一接触子10及び第二接触子20とを電気的に接続すると共に、ベース部30が駆動されるのに伴って変形して伝送部に対する第一接触子10及び第二接触子20の相対移動を許容する接続部(伝送基板60)と、第一接触子10をベース部30に取り付ける第一取付部材(第一取付ボルト80)と、第二接触子20をベース部30に取り付ける第二取付部材(第二取付ボルト85)と、を備え、第一接触子10及び第二接触子20の少なくとも一方は、自身をベース部30に取り付けるための第一取付部材又は第二取付部材と絶縁されて構成される。
また、測定装置100は、第一接触子10及び第二接触子20の少なくとも一方は、自身をベース部30に取り付けるための第一取付部材又は第二取付部材との間に設けられ絶縁材料によって形成される絶縁部材(第一樹脂ワッシャ81,第二樹脂ワッシャ86)によって、第一取付部材又は第二取付部材と絶縁されて構成される。
また、変形例に係る測定装置100では、第一取付部材(第一取付ボルト80)及び第二取付部材(第二取付ボルト85)の少なくとも一方は、絶縁材料によって形成されて、第一接触子10又は第二接触子20と絶縁されて構成される。
これらの構成によれば、第一取付部材(第一取付ボルト80)及び第二取付部材(第二取付ボルト85)の少なくとも一方が第一接触子10及び第二接触子20に対して絶縁されているため、高周波特性を測定するための電気信号が第一取付部材(第一取付ボルト80)及び第二取付部材(第二取付ボルト85)に流れにくくなる。これにより、伝送基板60の高周波伝送路と第一接触子10及び第二接触子20の少なくとも一方との間の電気信号の伝送に対する第一取付部材(第一取付ボルト80)及び第二取付部材(第二取付ボルト85)の影響を抑制できる。したがって、測定用の伝送経路における特性インピーダンスの整合を充分に図ることができ、測定装置100,200の測定精度を向上させることができる。
また、測定装置100では、第一接触子10は、測定対象Tに押し付けられる第一端子部15と、第一取付部11材が挿通される第一取付孔12が形成されベース部30に取り付けられる第一取付部11と、を有し、第二接触子20は、測定対象Tに押し付けられる第二端子部25と、第二取付部21材が挿通される第二取付孔22が形成されベース部30に取り付けられる第二取付部21と、を有する。
そして、第一接触子10の第一取付部11には、第一取付孔12に連通し第一接触子10の外縁に開口する第一切欠部12aが形成され、第二接触子20の第二取付部21には、第二取付孔22に連通し第二接触子20の外縁に開口する第二切欠部22aが形成される。
この構成では、第一切欠部12a及び第二切欠部22aによって、第一取付孔12及び第二取付孔22は、それぞれ閉じられた孔ではなく開放された孔として形成される。これにより、第一取付孔12及び第二取付孔22の回りをループするように電気信号が流れることが防止されるので、電気信号がループすることによる信号の放射が抑制される。したがって、測定装置100の測定精度を向上させることができる。
また、測定装置100では、第一接触子10と第二接触子20とは、測定対象Tへの第一接触子10及び第二接触子20の押し付け方向に対して垂直な所定の隣接方向において間隔を空けて並んで設けられ、第一端子部15は、第二接触子20とは隣接方向において反対側に設けられ押し付け方向に対して傾斜する第一傾斜面16を有し、第二端子部25は、第一接触子10とは隣接方向において反対側に設けられ押し付け方向に対して傾斜する第二傾斜面26を有し、第一取付孔12の中心O1は、第一傾斜面16を含む第一仮想平面P1よりも、隣接方向において第二接触子20側に配置され、第二取付孔22の中心O2は、第二傾斜面26を含む第二仮想平面P2よりも、隣接方向において第一接触子10側に配置される。
この構成では、第一取付孔12の中心が第一仮想平面P1よりも第二接触子20側に配置され、第二取付孔22の中心が第二仮想平面P2よりも第一接触子10側に配置される。これにより、測定対象Tへの第一接触子10及び第二接触子20の押し付け力に対する反力は、第一取付ボルト80及び第二取付ボルト85の中心軸に作用するように第一取付ボルト80及び第二取付ボルト85のそれぞれに伝達される。測定対象Tへの第一接触子10及び第二接触子20の押し付けの反力を第一取付ボルト80及び第二取付ボルト85の中心軸に対して作用させることができるため、反力による第一取付ボルト80及び第二取付ボルト85の緩みを抑制することができる。
また、測定装置100は、それぞれ測定対象Tに押し付けられる第一接触子10及び第二接触子20と、電気信号を伝送する伝送部(同軸ケーブル50)と、高周波伝送路が設けられ、第一接触子10及び第二接触子20と伝送部とを電気的に接続する伝送基板60と、を備え、高周波伝送路は、一端が伝送部におけるシグナル伝送路(中心導体51)と電気的に接続され、他端が第一接触子10と電気的に接続されるシグナル線63と、一端が伝送部におけるグランド伝送路(外部導体53)と電気的に接続され、他端が第二接触子20と電気的に接続される第一グランド線62と、一端が伝送部におけるグランド伝送路と電気的に接続される第二グランド線64と、第一グランド線62と第二グランド線64とを電気的に接続する合流線(第一合流線69a,第二合流線69b)と、を有する。
また、測定装置100では、伝送基板60は、基材61をさらに有し、シグナル線63、第一グランド線62、及び第二グランド線64は、基材61の一方側の面上に設けられ、第一グランド線62及び第二グランド線64は、基材61の一方側の面において、シグナル線63を挟むように配置される。
また、測定装置100では、合流線(第一合流線69a,第二合流線69b)は、一方側の面の反対側である基材61の他方側の面上に設けられる。
これらの構成によれば、伝送基板60の高周波伝送路における伝送経路の一部は、1つのシグナル線63と二つのグランド線とによって構成される、いわゆるコプレーナ線路である。コプレーナ線路は、コプレーナストリップ線路よりもノイズに強く、同軸ケーブル50からの変換時の特性インピーダンスの変動を抑えられるため、特性インピーダンスの整合を図りやすい。したがって、上記態様によれば、測定装置100の測定精度を向上させることができる。
また、測定装置100は、伝送部(同軸ケーブル50)と伝送基板60とを接続するコネクタ55をさらに備え、伝送基板60は、コネクタ55によって挟持されるコネクタ側端部66を有し、コネクタ側端部66は、シグナル線63、第一グランド線62、及び第二グランド線64が並んで設けられるコネクタ接続部66aと、伝送基板60の幅方向におけるコネクタ接続部66aの両側からそれぞれ幅方向の外側に向けて延びる第一突出部66b及び第二突出部66cと、を有し、第一突出部66bには、第一グランド線62が設けられており、第二突出部66cには、第二グランド線64が設けられており、コネクタ接続部66aと第一突出部66bとの間、及び、コネクタ接続部66aと第二突出部66cとの間には、それぞれ伝送基板60の長手方向に延びる基端スリット60b,60cが形成される。
この構成では、伝送基板60がコネクタ側端部66に対して相対移動しやすくなる。
また、測定装置100では、コネクタ側端部66の一方の面には、シグナル線63、第一グランド線62、及び第二グランド線64が設けられ、コネクタ側端部66の他方の面には、第一グランド線62と電気的に接続される第一裏側グランド線62bと、第二グランド線64と電気的に接続される第二裏側グランド線64bと、が設けられ、コネクタ側端部66では、第一裏側グランド線62b及び第二裏側グランド線64bが設けられる部分の厚さが、他部よりも厚く形成される。
この構成では、第一裏側グランド線62b及び第二裏側グランド線64bが設けられる部分が他部より厚く形成されることで、この部分をコネクタ55によって確実に挟持することができる。よって、コネクタ55を通じて第一グランド線62及び第二グランド線64を確実に同軸ケーブル50の外部導体53に接続することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。本明細書において、「平行」、「垂直」、「直交」、「同一」、「均一」、「一定」、「一様」等の語は、厳密な意味ではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲においてずれが許容される。