JP6817800B2 - 椅子の肘掛け装置 - Google Patents

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Description

本願発明は、椅子の肘掛け装置に関するものである。
椅子の肘掛け装置は、一般に、肘当てを支持する肘支柱を備えており、肘支柱は、その下端部に設けた左右長手の横向き部を椅子本体にボルト(ビス)で固定していることが多く、この場合、ボルトは、横向き部に下方から挿通されることが多い。
肘掛け装置については、使用者の体格や好みに応じて左右位置を調節できるようにしたい場合がある。また、脚装置や支持機構は共通させて、座の横幅が異なる複数種類の椅子を用意している場合、座の横幅に合わせて肘掛け装置の左右位置を変更せねばならない。そこで、横向き部のボルト挿通穴を左右長手の長穴とすることにより、椅子本体に対するボルトのねじ込み位置は一定のままで、肘掛け装置の左右位置を変更可能とすることが行われている。
このようにボルト挿通穴を長穴にした場合、通常のボルトも使用可能であるが、レンチで回転操作するのが面倒である。そこで、特許文献1に記載されているように、ボルトの下端に、当該ボルトの軸心と直交した方向の回動軸心回りに回動するレバーを取り付けて、レバーのうちボルトに取り付けているヘッド部をカム部に形成することにより、レバーの回動操作によって、横向き部をワンタッチ的に固定・固定解除できるようにすることが行われている。
他方、特許文献2には、椅子本体から横向き突設したガイドレールに横向き部を外側から嵌め入れて、横向き部にピンでレバーを連結し、レバーのカム部を、ガイドレールの下面に直接又は弾性体を介して当接させることが開示されている。この特許文献2でも、レバーの回動操作によって、横向き部がガイドレールに対して(椅子本体に対して)ワンタッチ的に固定・固定解除される。
実用新案登録第3158321号公報 ヨーロッパ特許 EP 2070443 B1 公報
特許文献1において、レバーはレンチの役割も果たしており、レバーに手を当てて回転操作することになるが、肘当ての調節に際して、ユーザーは、レバーの回動操作と回転操作とを行わねばならないため、調節作業に手間がかかるという問題がある。また、レバーの回転量の規制手段がないため、固定操作において、レバーを回転させ過ぎて、レバーを固定方向に回動させることができなくなったり、回転量が不十分で固定強度が不足したりするおそれがある。
他方、特許文献2では、レバーは単なる上下回動式に過ぎないため、固定・固定解除の操作は簡単である。しかし、特許文献2では、横向き部は片持ち梁状のガイドレールに取付けているため、肘当てに作用した荷重はガイドレールに対してモーメントとして作用することになり、このため、肘掛け装置の支持強度が低くなる問題が懸念される。
また、特許文献2では、レバーは肘掛け装置の横向き部に取り付けているため、肘掛け装置と一緒にレバーが左右動するが、肘掛け装置を外側に移動させると、レバーが人目に触れやすくなって美観を悪化させたり、物がレバーに引っ掛かりやすくなったりすることが懸念される。
本願発明は、このような現状を改善すべく成されたものである。
本願発明の肘掛け装置は、
「肘支柱と、前記肘支柱に設けられていて椅子本体の下面に落下不能で左右動可能に取付けられる横向き部と、前記横向き部の下面部に配置したレバーとを備えており、
前記レバーは、基端部を中心にして先端部が略水平状の軸心回りに上下動する回動式であり、前記基端部に設けたカム部の作用により、前記レバーの回動によって前記横向き部が椅子本体に対して固定・固定解除される、」という基本構成である。
そして、請求項1の発明は、
前記横向き部の下面に、前記レバーを枢支ピンで回動自在に連結した支持ブラケットが配置されており、前記支持ブラケットは、前記横向き部に貫通したファスナによって前記椅子本体に落下不能に取付けられていると共に、前記横向き部におけるファスナの貫通穴を左右長手の長穴に形成することにより、前記横向き部の左右動が許容されており、
かつ、前記支持ブラケットに、前記レバーのカム部を横向き部の下面に直接に又は中間部材を介して間接的に当接させる逃がし穴が空いている。
請求項2の発明は、請求項1において、前記横向き部の下面には、前記支持ブラケットが下方から嵌まる左右長手の長溝が形成されており、前記横向き部は前記長溝にガイドされて左右動するようになっている。
請求項3の発明は、請求項1又は2において、
前記支持ブラケットに、当該支持ブラケットの上面と前記横向き部の下面との間に位置して前記横向き部の下面に面接触する押圧部を有する中間部材が配置されており、前記レバーにおけるカム部の押圧力が、前記中間部材を介して前記横向き部の下面に作用するようになっている。
請求項3の展開例として、請求項4では、前記中間部材は合成樹脂製であり、一端と他端とに設けた抱持部で支持ブラケットの縁部下方から抱き込んでいる。
請求項5の発明は、請求項1〜4のうちのいずれかにおいて、
前記ファスナは、先端部を小径の雄ねじ部と成した段付きボルトであるか、又は、カラーが嵌め込まれて先端部をカラーから露出させたカラー付きボルトであり、これら段付きボルト又はカラー付きボルトは前記レバーを挟んだ前後両側に配置されており、前記段付きボルトの段差面又はカラー付きボルトにおけるカラーの上端面が椅子本体に当接することにより、ボルトのねじ込み量が規制されている。
本願発明では、レバーの上下回動操作だけで横向き部の固定・固定解除が行われるため、肘掛け装置の左右位置の調節を簡単に行うことができる。また、レバーはファスナを介して椅子本体に取付けられており、掛け装置が左右移動してもレバーの位置は一定であるため、レバーをできるだけ奥側に配置したり、レバーを横向き部の下面に沿わせて配置したりしておくことにより、レバーを人目に触れにくくして美観の悪化を防止できると共に、物がレバーに引っ掛かることを防止できる。
また、横向き部はレバーで椅子本体の下面に押さえる状態になり、肘掛け装置に作用した荷重はファスナに対する引っ張りとして現れるため、特許文献2のように片持ち梁状のガイドレールに取り付けた場合に比べて、肘掛け装置は高い支持強度を確保することができる。更に、レバーは支持ブラケットを介して取り付けられているため、レバーや支持ブラケット等からなる固定装置を、横向き部の長さ等が相違する複数種類の肘掛け装置に共用できる。このため、汎用性に優れていると共に、カム部の当たり具合の微調整も容易である。
請求項2の構成を採用すると、支持ブラケットは所定の姿勢で横向き部に組み込んでおけるため、組み付け間違いを無くして、正確に組み付けることができる。また、レバーは横向き部に対して所定の姿勢に保持されるため、レバーのカム部と椅子本体との当接状態を安定化させて、椅子本体に対するカム部の当接力を一定化させることもできる。
レバーのカム部は、その機能からして、どうしても当接面積は少なくなる。このため、レバーのカム部を肘掛け装置の横向き部に直接当接させていると、強い押圧力を作用させにくくなったり、使用しているうちに磨耗しやすくなったりするおそれがある。これに対して請求項3の構成を採用すると、中間部材を介して広い面積で横向き部に押圧力を作用させることができるため、高い固定強度を確保することができる。また、中間部材を磨耗しにくい材料で製造することにより、高い耐久性も確保できる。
中間部材は金属製とすることも可能であるが,請求項4のように合成樹脂製のものを採用すると、支持ブラケットやレバーや横向き部に寸法誤差が生じていても、中間部材が弾性的に圧縮変形することにより、寸法誤差を吸収して、レバーにおけるカム部の頂点が中間部材の下面を乗り越えることを許容して、レバーを安定したロック姿勢に保持することができる。また、中間部材と横向き部との密着性を高めて、固定強度の向上に貢献できる。更に、中間部材は、抱持部を弾性変形させることにより、支持ブラケットに簡単に取り付けることができる利点もある。
椅子本体に対するレバーの押圧力を一定化するためには、椅子本体と支持ブラケットとの間隔が一定に保持されていなければならない。この点、請求項5のように、支持ブラケットの取り付け用ファスナとして段付きボルト又はカラー付きボルトを使用すると、ボルトを一杯にねじ込むは、支持ブラケットの高さが一定に保持されるため、椅子への組み付け時のバラツキを無くして、固定強度とレバーの操作力とを均等化することができる。
実施形態に係る椅子の外観図であり、(A)は下方から見た斜視図、(B)は座を省略した状態での分離斜視図である。 椅子本体を構成している座受け部材(座アウターシェル)及び補強金具と肘掛け装置との関係を示す図で、(A)は分離斜視図、(B)は組み付けた状態での斜視図である。 (A)は肘掛け装置を座受け部材に取り付けた状態での斜視図、(B)は要部の分離斜視図、(C)は補強金具と肘掛け装置との関係を示す斜視図である。 裏返した状態での図であり、(A)は座受け部材に組み込んだ状態での要部斜視図、(B)は肘掛け装置の要部の斜視図、(C)は吉部分離斜視図、(D)は全体を分離した斜視図である。 固定した状態での図2(B)の V-V視断面図である。 固定解除した状態での図5と同じ箇所の断面図である。
(1).椅子の概要
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。まず、概要を説明する。本実施形態は、事務用等に多用されている回転椅子の肘掛け装置に適用している。図1に示すように、椅子は、必須の要素としての脚装置1と座2と背もたれ3、及びオプション品としての肘掛け装置4を備えている。脚装置1は、ガスシリンダより成る脚支柱5を備えており、図1(C)、図2に示すように、脚支柱5の上端にベース6が固定されている。
ベース6の内部には図示しない中継部材が後傾動可能に配置されており、この中継部材に傾動フレーム7が固定されて、傾動フレーム7に背もたれ3が取り付けられている。また、ベース6には、傾動フレーム7の後傾動に連動して後退動するように中間金具8が装着されており、中間金具8の上面に、合成樹脂製の座受け部材(座アウターシェル)9がビスで固定されている。座2は、樹脂製のインナーシェル(図示せず)にクッション材を張った構造であり、インナーシェルが座受け部材の上面にビス等(図示せず)で固定されている。
肘掛け装置4は座受け部材9に固定しているので、背もたれがロッキングすると肘掛け装置4も一緒に後傾する。なお、座受け部材9には、補強のため多数のリブを形成している。
図2に示すように、座受け部材9のうち前後中間位置よりも僅かに後ろの部位に、左右横長の凹所11が形成されており、この凹所11に、左右横長の補強金具(ステー)12が嵌め込まれて、複数本のビス13で固定されている。
補強金具12の左右両端部には、これを正面視で下向きのクランク状に曲げることにより、段落ち部12aを形成している。このため、座受け部材9における凹所11の左右端部11aは深さが深くなっており、この部分が、肘掛け装置4を固定する肘掛け取り付け部14になっている。図5,6に明示するように、肘掛け取り付け部14の内部には(凹所11の左右端部の底部には)、多数のリブ15を形成している。
(2).肘掛け装置の詳細
次に、肘掛け装置4を説明する。本実施形態の肘掛け装置4は可動肘タイプであり、図1や図3(A)(C)に示すように、肘支柱16とこれに昇降自在に取り付けられた昇降体17、昇降体17の上端に設けた肘当て18、肘支柱16の下端部に設けた横向き部19を有している。横向き部19は肘支柱16とは別部材に製造されていて、ボルト(ビス)で肘支柱16の下面に固定されているが、横向き部19を肘支柱16と一体品に製造することも可能である。
また、肘掛け装置4は、肘当ては18の高さが一定の固定肘タイプであってもよいのであり、この場合は、昇降体17は不要になる。実施形態の横向き部19は合成樹脂製であり、ある程度の厚さを確保しつつ軽量化するため、図3(B)に示すように、下面には多数の穴が空いている(多数のリブが形成されていると見ることも可能である。)。なお、横向き部19は、金属のダイキャスト品を採用することも可能である。
横向き部19は左右横長の姿勢であり、例えば図3に示すように、座受け部材9の肘掛け取り付け部14に下方から重なっている。肘掛け取り付け部14は、座受け部材9の下面から少し下向きに突出しており、前後両側には、座受け部材9を挟むようにストッパーリブ20が下向きに突出されている。このため、横向き部19は溝に嵌まった状態になっていて、水平旋回不能に保持されている。このため、ガタ付きを防止できる。
横向き部19は、固定装置21により、座受け部材9及び補強金具12に固定されている。従って、本実施形態では、座受け部材9と補強金具12とは、請求項に記載した椅子本体を構成している。なお、補強金具12を使用せずに、横向き部19を座受け部材9のみに固定することも可能である。或いは、横向き部19は、背もたれが取り付く傾動フレーム7やベース6、中間金具8などの他の部材に固定することも可能である。
図3(B)に示すように、固定装置21は、横向き部19の下面に重なる支持ブラケット22と、支持ブラケット22に枢支ピン23で連結されたレバー24と、支持ブラケット22に装着した合成樹脂製の中間部材25と、支持ブラケット22に下方から挿通した前後2本のボルト26とを備えている。レバー24は、ガラス繊維入りのナイロン樹脂のような強靱な合成樹脂で製造している。他方、中間部材25は、ポリアセタールのように、レバー24よりも軟質の合成樹脂で製造されている。支持ブラケット22は、ポリプロピレンやボリカーボネートなどの合成樹脂製でもよいし、金属製とすることも可能である。レバー24と中間部材25も、いずれか一方又は両方を金属製とすることも可能である。ボルト26は、請求項に記載したファスナの一例である。
支持ブラケット22は、平面視四角形のベース板22aと、ベース板22aから下向きに突設した前後の側板22bとを備えており、レバー24の基端部24aが、軸心を前後方向に向けて略水平姿勢にした枢支ピン23により、側板22bに回動可能に連結されている。枢支ピン23は、ボルト26の頭(六角穴付き円形頭)によって、抜け不能に保持されている。レバー24は左右長手の姿勢であり、固定状態で先端(自由端)が肘支柱16の側に位置している。
支持ブラケット22のベース板22aは、横向き部19の下面に形成した凹溝27に嵌まっており、横向き部19には、ボルト26が嵌まった左右長手の長穴28が空いている。従って、横向き部19は、長穴28の長さからボルト26の外形を差し引いた寸法だけ左右移動させることができる。支持ブラケット22と横向き部19との間には、平座金29とはばね座金30とが配置されており、これらはボルト26に嵌まっている。
ボルト26は、先端部を小径の雄ねじ部26aに形成した段付きボルトであり、図2に示すように、雄ねじ部26aが、補強金具12に形成したタップ穴31にねじ込まれている(図3(C)も参照)。また、図3(B)のとおり、座受け部材9の肘掛け取り付け部14には、ボルト26が挿通される貫通穴32が空いている。
この場合、図3(B)及び図2(A)に示すように、肘掛け取り付け部14の貫通穴32と補強金具12のタップ穴31とは、左右方向に3対ずつ並んで形成されている。従って、ボルト26の取り付け左右位置を3段階に変更することができる。そして、ボルト26の左右位置を変えたそれぞれの状態で、肘掛け装置4を左右移動させることができる。このため、肘掛け装置4を左右に調節できる範囲は相当に大きくなっている。
中間部材25は左右方向に長い姿勢であり、図4(D)や図5,6に示すように、支持ブラケット22の下面に面接触状態で重なっている。従って、中間部材25は、支持ブラケット22と横向き部19との間に挟まれており、部前後中間部は少し厚肉になっていて、この厚肉の部分が、レバー24におけるカム部35が当接する押圧部25cになっている。また、中間部材25の左右両端には、支持ブラケット22のベース板22aを抱き込む抱持部25a,25bが下向きにカールするように形成されている。支持ブラケット22におけるベース板22aの左右端部には、抱持部25a,25bが嵌まる切欠き部33を形成している。中間部材25は、抱持部25a,25bを広げ変形させることにより、支持ブラケット22に着脱できる。図4(A)に明示するように、横向き部19の凹溝27には、中間部材25が嵌まる左右長手のガイド溝34を形成している。従って、横向き部19は、左右スライドするに際して、中間部材25によってもガイドされる。
図5から容易に理解できるように、レバー24の基端部24aには、既述のとおり、中間部材25の押圧部25cに下方から当接するカム部35が形成されている。従って、支持ブラケット22のベース板22aには、カム部35が嵌まり込む逃がし穴36を形成している(図4(D)も参照)。
図5のように、レバー24を上向きに引き起こすと、支持ブラケット22がボルト26の頭で下方から支持された状態で、カム部35が中間部材25を介して横向き部19に突っ張るが、中間部材25は横向き部19にある程度の面積を持って面接触しているため、肘掛け装置4の横向き部19と座受け部材9の肘掛け取り付け部14とが、補強金具12の段落ち部12aに対して強く押さえ付け付けられる。従って、横向き部19と、肘掛け取り付け部14と、段落ち部12aとの三者が共締めされたような状態になって、肘掛け装置4が座受け部材9に強固に固定される。図6のようにレバー24を下向きに倒すと、カム部35による中間部材25の押圧が解除されて、横向き部19は左右移動自在となる。
レバー24のカム部35は、回動軸心から最も遠い頂点を有しているが、実施形態のように、中間部材25をレバー24よりも軟質の合成樹脂で製造すると、ロック状態(固定状態)において、中間部材25の押圧部25cには、その弾性に抗してカム部35の頂点を僅かに食い込ませることができるため、レバー24や支持ブラケット22や横向き部19に僅かの寸法誤差があっても、その寸法誤差を吸収して、カム部35の頂点部が押圧部25cを乗り越えることを許容できる。このため、レバー24は、ロック姿勢に安定的に保持できる。レバー24におけるカム部35には、ロック姿勢において中間部材25との密着性を高めるための僅かの平坦部を形成することも可能である。
固定状態でカム部35の頂点が中間部材25に当接している左右位置を、図5において符号35aで指す線で示している。他方、中間部材25における押圧部25cの下面から降ろした垂線のうち、図5において、枢支ピン23の軸心を通る線を符号35bで示している。35aは35bよりも椅子の内側に寄っているが、このように構成すると、肘掛け装置4に掛かった下向き荷重によって横向き部19が倒れ変形する傾向を呈したとき、レバー24をロック方向(固定方向)に回動させるように作用する。従って、肘掛け装置4に作用した荷重によってレバー24が固定解除方向に回動する(固定が緩む)ことを防止できる。
また、レバー24におけるカム部35の頂点部は周方向に若干の幅を持たせており、カム部の頂点部が中間部材25に当接した状態のままでレバーを僅かに(例えば3〜10度程度)上向きに回動させてから、カール状係合突起37と第1係合凹部38とが係合するように設定している。このため、レバー24はロック姿勢(固定姿勢)に確実に保持されて、不用意に緩むようなことはない。
図5,6示すように、中間部材25における左右の抱持部25a,25bのうち、肘支柱16と反対側の内側に位置した抱持部25aに、レバー24の側に向いたカール状係合突起37を一体に形成している一方、レバー24の基端部24aには、固定姿勢においてカール状係合突起37に嵌合する第1係合凹部38と、非固定姿勢においてカール状係合突起37に嵌合する第2係合凹部39とを形成している。このため、レバー24が固定姿勢から非固定姿勢に回動してしまうような不測の事態を防止できると共に、固定解除状態でレバーがブラブラして調節作業の邪魔になることを防止できる。
以上、本願発明の実施形態を説明したが、本願発明は他にも様々に具体化できる。例えば、レバーは図示の姿勢とは反対側に回動させて固定することも可能である。中間部材は、ダイキャスト品や金属板を使用することも可能である。ファスナとしてボルトを使用する場合、カラー付きボルトを使用することも可能である。
中間部材に金属板のような金属製品を採用すると、耐磨耗性に優れる利点がある。このように中間部材を金属製にすると、レバー等の製造誤差により、レバーにおけるカム部の頂点部が中間部材25の下面を乗り越えできなくなったり、乗り越えるのに大きな力を要したりすることが懸念されるが、この場合は、例えば、横向き部と座受け部材の間に樹脂製スペーサを挟み込んでおくことにより、寸法誤差を吸収してレバーの回動を確実化することができる。
このように、樹脂製スペーサのような寸法吸収部材を設けることは、中間部材の素材やレバーの素材に関係なく、採用できる。寸法吸収部材は、中間部材と横向き部との間に介在させたり、レバーのカム部と中間部材との間に介在させたりすることも可能である。寸法吸収部材としては、樹脂部材に限らず、板ばね等の金属板やゴムなどの弾性体なども採用できる。
本願発明は、肘掛け装置に具体化できる。従って、産業上利用できる。
2 座
4 肘掛け装置
9 椅子本体を構成する座受け部材
11 凹所
12 補強金具
14 肘掛け取り付け部
16 肘支柱
17 昇降体
18 肘当て
19 横向き部
21 固定装置
22 支持ブラケット
23 枢支ピン
24 レバー
25 中間部材
26 ファスナの一例としてのボルト
27 凹溝
28 長穴
32 肘掛け取り付け部に空いた貫通穴
34 ガイド溝
35 カム部
36 逃がし穴

Claims (5)

  1. 肘支柱と、前記肘支柱に設けられていて椅子本体の下面に落下不能で左右動可能に取付けられる横向き部と、前記横向き部の下面部に配置したレバーとを備えており、
    前記レバーは、基端部を中心にして先端部が略水平状の軸心回りに上下動する回動式であり、前記基端部に設けたカム部の作用により、前記レバーの回動によって前記横向き部が椅子本体に対して固定・固定解除される構成であって、
    前記横向き部の下面に、前記レバーを枢支ピンで回動自在に連結した支持ブラケットが配置されており、前記支持ブラケットは、前記横向き部に貫通したファスナによって前記椅子本体に落下不能に取付けられていると共に、前記横向き部におけるファスナの貫通穴を左右長手の長穴に形成することにより、前記横向き部の左右動が許容されており、
    かつ、前記支持ブラケットに、前記レバーのカム部を横向き部の下面に直接に又は中間部材を介して間接的に当接させる逃がし穴が空いている、
    椅子の肘掛け装置。
  2. 前記横向き部の下面には、前記支持ブラケットが下方から嵌まる左右長手の長溝が形成されており、前記横向き部は前記長溝にガイドされて左右動するようになっている、
    請求項1に記載した椅子の肘掛け装置。
  3. 前記支持ブラケットに、当該支持ブラケットの上面と前記横向き部の下面との間に位置して前記横向き部の下面に面接触する押圧部を有する中間部材が配置されており、前記レバーにおけるカム部の押圧力が、前記中間部材を介して前記横向き部の下面に作用するようになっている、
    請求項1又は2に記載した椅子の肘掛け装置。
  4. 前記中間部材は合成樹脂製であり、一端と他端とに設けた抱持部で支持ブラケットの縁部を下方から抱き込んでいる、
    請求項3に記載した椅子の肘掛け装置。
  5. 前記ファスナは、先端部を小径の雄ねじ部と成した段付きボルトであるか、又は、カラーが嵌め込まれて先端部をカラーから露出させたカラー付きボルトであり、これら段付きボルト又はカラー付きボルトは前記レバーを挟んだ前後両側に配置されており、前記段付きボルトの段差面又はカラー付きボルトにおけるカラーの上端面が椅子本体に当接することにより、ボルトのねじ込み量が規制されている、
    請求項1〜4のうちのいずれかに記載した椅子の肘掛け装置。
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