JP6817024B2 - 金属捕捉用粒子、金属捕捉方法、金属回収方法及び金属定量方法 - Google Patents

金属捕捉用粒子、金属捕捉方法、金属回収方法及び金属定量方法 Download PDF

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Description

本発明は、金属捕捉用粒子、金属捕捉方法、金属回収方法及び金属定量方法に関する。
尿などの体液中には微量の水銀、鉛等の金属イオンが含まれていることがあり、その濃度は生体の健康状態に大きく関わっている。従って、体液中の金属イオンの濃度を測定することは健康診断、キレーション療法等の医療保健分野において重要である。
体液中に含まれる金属イオン量はきわめて少ないため、採取したそのままの状態の体液中の濃度を測定するには高度な技術と装置が必要である。従って、実用段階への適用を図るためには、測定方法の簡便化と効率化が求められている。例えば、体液を濃縮して金属イオンの濃度を高める手法が考えられるが、この場合は測定対象の金属イオン以外の成分も高濃度化されるため、当該金属イオンのみの濃度の測定が困難となる。そこで、体液中の成分のうち測定対象の金属イオンのみを回収して別の液体に溶出させ、その濃度を測定する方法が考えられる。
液体中の金属イオンを回収する方法としては、例えば、特許文献1には、キレート剤と有機溶媒を含む抽出液中にコバルトを抽出し、次いで抽出液を水と接触させてコバルトを水中に逆抽出して回収する技術が記載されている。
特開2015−168858号公報
特許文献1に記載されているような有機溶媒を用いて抽出する方法は、比較的大量(例えば、測定対象の液体の約3倍)の有機溶媒を使用するため取り扱い上要求される水準が高く、かつ抽出作業が煩雑で高度である。また、有機溶媒は、安全性の面においても、取り扱いに注意を要することが問題であった。
本発明は上記事情に鑑み、有機溶媒を使用せず簡便な手法で液体中の金属イオンを捕捉できる新規な金属捕捉用粒子を提供することを課題とする。さらに、この金属捕捉用粒子を用いる新規な金属捕捉方法、金属回収方法及び金属定量方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1>コア粒子と、前記コア粒子の表面に配置されたキレート剤と、を含む、金属捕捉用粒子。
<2>前記キレート剤は配位子としてチオール基を有する、<1>に記載の金属捕捉用粒子。
<3>前記コア粒子の表面に存在する官能基と反応して化学結合を形成しうる官能基と、前記キレート剤が有する官能基と反応して化学結合を形成しうる官能基をそれぞれ有する化合物に由来する構造を介して前記コア粒子と前記キレート剤とが結合している、<1>又は<2>に記載の金属捕捉用粒子。
<4>液体中に含まれる金属イオンを捕捉するための、<1>〜<3>のいずれか1項に記載の金属捕捉用粒子。
<5>前記金属イオンは水銀及び鉛からなる群より選択される少なくとも1種である、<4>に記載の金属捕捉用粒子。
<6>前記液体は生体に由来する液体である、<4>又は<5>に記載の金属捕捉用粒子。
<7><1>〜<6>のいずれか1項に記載の金属捕捉用粒子を金属イオンを含む液体と混合する工程を有する、金属捕捉方法。
<8><1>〜<6>のいずれか1項に記載の金属捕捉用粒子を金属イオンを含む液体と混合する工程と、前記液体から前記金属イオンを捕捉した金属捕捉用粒子を分離する工程と、前記分離した金属捕捉用粒子を溶出液と混合する工程と、を有する、金属回収方法。
<9><1>〜<6>のいずれか1項に記載の金属捕捉用粒子を金属イオンを含む液体と混合する工程と、前記液体から前記金属イオンを捕捉した金属捕捉用粒子を分離する工程と、前記分離した金属捕捉用粒子を溶出液と混合する工程と、前記溶出液中に溶出した前記金属イオンを定量する工程と、を有する、金属定量方法。
本発明によれば、有機溶媒を使用せず簡便な手法で液体中の金属イオンを捕捉できる新規な金属捕捉用粒子が提供される。また、この金属捕捉用粒子を用いる新規な金属捕捉方法、金属回収方法及び金属定量方法が提供される。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、本用語に含まれる。また本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
<金属捕捉用粒子>
本実施形態の金属捕捉用粒子は、コア粒子と、前記コア粒子の表面に配置されたキレート剤と、を含む。当該構成を有する金属捕捉用粒子を金属イオンを含む液体と混合すると、コア粒子の表面に配置されたキレート剤が金属イオンと錯体を形成する。その結果、金属イオンが金属捕捉用粒子によって捕捉される。
本明細書においてキレート剤が「コア粒子の表面に配置された」状態には、キレート剤がコア粒子の表面の全体に配置された状態と、表面の一部にのみ配置された状態のいずれも含まれる。また、キレート剤がコア粒子の表面に直接配置されていても、キレート剤以外の物体を介して間接的に配置されていてもよい。
キレート剤がコア粒子の表面に配置される態様は特に制限されない。例えば、化学的な結合であっても物理的な結合(吸着等)であってもよい。キレート剤とコア粒子の表面との結合強度の観点からは、化学結合が好ましい。
キレート剤がコア粒子の表面に化学結合により配置される場合、コア粒子の表面にキレート剤が直接結合していても、間接的に結合していてもよい。
コア粒子の表面にキレート剤が直接結合している場合としては、コア粒子の表面に存在する官能基と、キレート剤が有する官能基とが反応して化学結合を形成している場合が挙げられる。
コア粒子の表面にキレート剤が間接的に結合している場合としては、コア粒子の表面に存在する官能基と反応して化学結合を形成しうる官能基と、キレート剤が有する官能基と反応して化学結合を形成しうる官能基と、を有する化合物(以下、スペーサ化合物ともいう)に由来する構造を介してコア粒子の表面にキレート剤が結合している場合が挙げられる。
(コア粒子)
コア粒子の材質は、その表面にキレート剤を配置可能であれば特に制限されず、無機物であっても有機物であっても、無機物と有機物の複合体であってもよい。
無機物としては金、銀等の金属、シリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化マンガン、酸化チタン等の金属酸化物、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。
有機物としてはゴム(ラテックス)、アクリル樹脂、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミドイミド樹脂等が挙げられる。
コア粒子の大きさは特に制限されず、用途等に応じて選択できる。例えば、コア粒子の体積平均粒子径は、粒子径が小さいほど単位体積あたりの表面積が大きくなり、単位体積あたりの有効官能基数が多くなるため、250μm以下であることが好ましく、150μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。本発明においてコア粒子の体積平均粒子径は、レーザー回折法により得られる粒度分布曲線において、小径側からの体積基準の累積が50%となるときの粒子径である。
金属捕捉用粒子に含まれるコア粒子は1種のみでもよく、材質、粒子径、粒度分布、形状等の少なくともいずれかが異なる2種以上の組み合わせであってもよい。
(キレート剤)
キレート剤の種類は、コア粒子の表面に配置された状態で金属イオンと錯体を形成可能なものであれば特に制限されず、捕捉対象となる金属イオンの種類、コア粒子の材質、コア粒子表面の官能基の種類等を考慮して選択できる。コア粒子の表面に配置されるキレート剤は1種のみでも2種以上であってもよい。
キレート剤として具体的には、配位子としてカルボキシ基、チオール基、アミノ基、リン酸基等を有する化合物が挙げられる。
配位子としてカルボキシ基を有する化合物としては、ジエチレントリアミン5酢酸、イミノ二酢酸、エチレンジアミン四酢酸、trans−1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸等が挙げられる、
配位子としてチオール基を有するキレート剤としては、チオプロニン、ジメルカプロール、ジメルカプトコハク酸、2,3−ジメルカプト−1−プロパンスルホン酸等が挙げられる。
金属捕捉用粒子を特定の金属イオンを選択的に捕捉するために用いる場合は、当該特定の金属イオンを選択的に捕捉するキレート剤をコア粒子の表面に配置することが好ましい。例えば、水銀を選択的に捕捉するキレート剤としては、配位子としてチオール基を有する化合物が挙げられる。
(スペーサ化合物)
スペーサ化合物は、コア粒子の表面に存在する官能基と反応して化学結合を形成しうる官能基と、キレート剤が有する官能基と反応して化学結合を形成しうる官能基と、を有する化合物であれば特に制限されない。例えば、カップリング剤、架橋剤等として一般的に用いられる化合物であってもよい。
スペーサ化合物として具体的には、3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、アルキレングリコール、ペプチド等が挙げられる。
コア粒子の表面に存在する官能基、キレート剤が有する官能基及びスペーサ化合物が有する官能基の種類は特に制限されず、金属捕捉用粒子の所望の設計に応じて選択できる。例えば、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、アルコキシ基、アルデヒド基、エポキシ基、ビニル基等が挙げられる。
コア粒子の表面に存在する官能基、キレート剤が有する官能基及びスペーサ化合物が有する官能基の組み合わせの一つの例としては、コア粒子の表面に存在する官能基が水酸基であり、キレート剤が有する官能基がカルボキシ基であり、スペーサ化合物が有する官能基がアルコキシ基とアミノ基である組み合わせが挙げられる。この組み合わせの場合には、コア粒子の表面に存在する水酸基とスペーサ化合物のアルコキシ基とが反応してエーテル結合を形成し、キレート剤のカルボキシ基とスペーサ化合物のアミノ基とが反応してアミド結合を形成した状態の金属捕捉用粒子が得られる。
コア粒子の表面に存在する官能基は、コア粒子の材質に由来する官能基であっても、コア粒子の表面修飾により付加された官能基であってもよい。コア粒子の材質に由来する官能基としては、シリカ粒子の表面に存在するケイ素原子と結合した水酸基(シラノール基)が挙げられる。コア粒子の表面修飾の方法は特に制限されず、公知の手法により行うことができる。
コア粒子の表面に存在する官能基は、コア粒子の表面に結合した炭化水素鎖の端部に存在していてもよい。コア粒子の表面と官能基の間に炭化水素鎖がスペーサとして存在していると、キレート剤の官能基と反応しやすくなる傾向にある。
金属捕捉用粒子により捕捉される金属イオンの種類は、特に制限されない。例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム等のアルカリ土類金属、鉄、鉛、金、白金、銀、銅、クロム、カドミウム、水銀、亜鉛、ヒ素、マンガン、コバルト、ニッケル、モリブデン、タングステン、錫、ビスマス、ウラン、プルトニウム等の重金属などが挙げられる。ある実施態様では、金属捕捉用粒子により捕捉される金属イオンは重金属から選択される少なくとも1種であってよく、水銀及び鉛からなる群より選択される少なくとも1種であってよく、水銀であってよい。
金属捕捉用粒子と混合する、金属イオンを含む液体の種類は特に制限されない。本実施形態の金属捕捉用粒子は、比較的少量の液体中に含まれる微量の金属イオンを捕捉するのに適しているため、生体由来の液体であることが好ましく、尿であることがより好ましい。
<金属捕捉方法>
本実施形態の金属捕捉方法は、上述した実施形態の金属捕捉用粒子を金属イオンを含む液体と混合する工程を有する。
本実施形態の金属捕捉方法では、金属捕捉用粒子を金属イオンを含む液体と混合することにより、液体中に含まれる金属イオンが金属捕捉用粒子によって捕捉される。金属捕捉用粒子による金属イオンの捕捉効率を向上させる観点から、金属捕捉用粒子と液体の混合物を撹拌してもよい。
本実施形態の金属捕捉方法において、金属イオンを含む液体に対する金属捕捉用粒子の混合比率は特に制限されず、金属捕捉用粒子の金属イオン捕捉率、液体中の金属イオンの濃度等に応じて選択できる。例えば、尿中の金属イオンの濃度を測定する場合、尿100質量部に対する金属捕捉用粒子の量を0.1質量部〜3質量部とすることができる。
本実施形態の金属捕捉方法は、金属捕捉用粒子を金属イオンを含む液体と混合した後、液体から金属イオンを捕捉した金属捕捉用粒子を分離する工程を有していてもよい。金属を捕捉した金属捕捉用粒子を分離する方法は特に制限されず、濾過、遠心分離等の公知の方法で行うことができる。
<金属回収方法>
本実施形態の金属回収方法は、上述した実施形態の金属捕捉用粒子を金属イオンを含む液体と混合する工程と、前記液体から前記金属イオンを捕捉した金属捕捉用粒子を分離する工程と、前記分離した金属捕捉用粒子を溶出液と混合する工程と、を有する。
本実施形態の金属回収方法では、まず、金属捕捉用粒子を金属イオンを含む液体と混合する。ここで、液体中に含まれる金属イオンが金属捕捉用粒子によって捕捉される。次いで、金属イオンを捕捉した金属捕捉用粒子を液体から分離する。次いで、分離した金属捕捉用粒子を溶出液と混合する。ここで、金属捕捉用粒子に捕捉された金属イオンが溶出液中に溶出して、溶出液とともに回収される。金属イオンの溶出液への溶出を促すために、溶出液を撹拌してもよい。
溶出液は、金属捕捉用粒子に捕捉された金属イオンを溶出可能なものであれば特に制限されない。例えば、アルカリ性の液体を用いることができる。アルカリ性の液体のpHは、金属とのキレート能を抑制する観点から12〜14であることが好ましい。アルカリ性の液体の種類は特に制限されないが、水酸化リチウム(LiOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)等の水溶液が好ましい。
本実施形態の金属回収方法において、上述した金属捕捉方法と重複する事項については金属捕捉方法に記載した事項を参照することができる。
<金属定量方法>
本実施形態の金属定量方法は、上述した実施形態の金属捕捉用粒子を金属イオンを含む液体と混合する工程と、前記液体から前記金属イオンを捕捉した金属捕捉用粒子を分離する工程と、前記分離した金属捕捉用粒子を溶出液と混合する工程と、前記溶出液中に溶出した前記金属イオンを定量する工程と、を有する。
本実施形態の金属定量方法では、液体から分離した金属捕捉用粒子を溶出液と混合して、金属捕捉用粒子に捕捉された金属イオンを溶出液中に溶出させた後に、溶出液中の金属を定量する。ここで、溶出液の量を調節することで、金属捕捉用粒子から溶出した金属イオンの濃度を所望の濃度に調節できる。すなわち、溶出液の量を金属イオンが含まれていた液体の量よりも少なくすることで、金属イオンの溶出液中の濃度を当初の液体中の濃度よりも高くすることができる。その結果、金属イオンの定量をより簡便な方法で行うことが可能となる。溶出液中の金属イオンを定量する方法は特に制限されず、公知の方法により行うことができる。
本実施形態の金属定量方法において、上述した金属捕捉方法及び金属回収方法と重複する事項については金属捕捉方法及び金属回収方法に記載した事項を参照することができる。
本実施形態の金属定量方法では、使用する金属捕捉用粒子の金属イオン捕捉率をあらかじめ測定しておくことが好ましい。
金属イオン捕捉率は、金属捕捉用粒子を所定の量で混合する前の液体中の金属イオンの濃度Aと、液体と混合して金属イオンを捕捉させた金属捕捉用粒子を分離した後の液体中の金属イオンの濃度Bとから、下記式により算出できる。
(濃度A−濃度B)/濃度A×100=金属イオン捕捉率(%)
金属捕捉用粒子の金属イオン捕捉率を測定する方法は特に制限されず、公知の方法により行うことができる。
あらかじめ測定した金属捕捉用粒子の金属イオン捕捉率と、溶出液中の金属イオンの濃度の測定値と、溶出液の量等のその他の情報から、液体中の金属イオンの濃度を計算により得ることができる。こうすることで、液体中の金属イオンの濃度を間接的に調べることができ、測定方法の簡便化及び効率化を図ることができる。
本実施形態の金属定量方法は、有機溶媒を使用せず簡便な手法で液体中の金属イオンの濃度を測定できる。このため、尿検査、水質検査等に好適に利用できる。
以下、実施例を参照して本実施形態をさらに具体的に説明する。ただし、本実施形態はこれらの実施例に制限されない。
<実施例1>
コア粒子となるシリカ粒子(体積平均粒子径:40〜64μm)の表面に、チオール基を配位子として有するキレート剤(チオプロニン)がスペーサ化合物(3−アミノプロピルトリメトキシシラン)を介して配置された金属捕捉用粒子を、以下のようにして作製した。
(1)シリカゲル2.0gに対し、蒸留水20mLとエタノール180mLを添加し、スターラーを用いて撹拌しながら3−アミノプロピルトリメトキシシラン604μLをシリンジを用いて穏やかに滴下した。その後、油浴を用いて80℃で一晩撹拌を行った。次いで室温(25℃)に戻し、粒子を濾取した。濾取した粒子を水30mLで洗浄し、エタノール30mLで2度洗浄した。洗浄後の粒子を減圧乾燥し、スペーサ化合物が付加された(すなわち、3−アミノプロピルトリメトキシシランのメトキシ基とシリカゲル表面の水酸基とが脱水縮合した)コア粒子を得た。
(2)スペーサ化合物が付加されたコア粒子100mgに対し、ジメチルホルムアミド600μL、チオプロニン32.6mg、ジメチルアミノピリジン2.45mg、トリエチルアミン27.9μLを添加し、氷浴を用いて0℃とした。この状態でスターラーを用いて撹拌を行い、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド41.3mgを添加し、30分撹拌した。その後、氷浴を取り除き、室温(25℃)で一晩撹拌して、キレート剤をスペーサ化合物と反応させた。反応後、キレート剤がスペーサ化合物を介して付加されたコア粒子を濾取し、クロロホルム1.0mL、飽和NaHCO水溶液1.0mL、蒸留水1.0mLで順に洗浄した後、減圧乾燥し、目的の金属捕捉用粒子を得た。
<実施例2>
チオール基を配位子として有するキレート剤の代わりに、カルボキシ基を配位子として有するキレート剤であるジエチレントリアミン5酢酸(DTPA)を用いた以外は実施例1と同様にして、金属捕捉用粒子を作製した。
<評価>
(1)水銀又は鉛を含む0.2Mリン酸バッファー3.0mL(pH8.0)を検体として準備した。水銀を含む検体はリン酸バッファーに水銀標準液を添加することで調製し、鉛を含む検体はリン酸バッファーに鉛標準液を添加することで調製した。
(2)実施例1又は実施例2で作製した金属捕捉用粒子10mgを、水銀又は鉛を含む検体に混合して1晩撹拌した。その後、金属捕捉用粒子をグラスフィルターで濾過して検体から分離した。
(3)濾液中の水銀又は鉛の濃度を測定し、金属捕捉用粒子を混合する前の検体中の水銀又は鉛の濃度の測定値とから、下記式により金属捕捉用粒子による水銀又は鉛の捕捉率(%)を算出した。結果を表1に示す。
(検体中の濃度−濾液中の濃度)/(検体中の濃度)×100=捕捉率(%)
(4)検体から分離した金属捕捉用粒子を、溶出液500μLに混合して10分撹拌した。その後、金属捕捉用粒子をグラスフィルターで濾過して溶出液から分離した。
実施例1で作製した金属捕捉用粒子により捕捉された水銀を溶出する場合の溶出液としては2.0M水酸化リチウム(LiOH)水溶液を使用し、鉛を溶出する場合の溶出液としては0.5Mのヨウ素酸カリウム(KIO)と3.0Mの硝酸(HNO)を含む水溶液を使用した。
実施例2で作製した金属捕捉用粒子により捕捉された鉛を溶出する場合の溶出液としては2.0M水酸化リチウム(LiOH)水溶液を使用した。なお、実施例2で作製した金属捕捉用粒子は水銀を殆ど捕捉しなかったため、溶出液への溶出は実施しなかった。
金属捕捉用粒子を分離した溶出液を用いて、以下のようにして溶出率を計算した。
(溶出液中の濃度)/(検体中の濃度−濾液中の濃度)×100=溶出率(%)
表に示すように、実施例1及び実施例2で作製した金属捕捉用粒子は、検体中の鉛に対して高い捕捉効率を示した。
また、配位子としてカルボキシ基を有するキレート剤を用いて作製した実施例2の金属捕捉用粒子は検体中の水銀をほとんど捕捉しなかったが、配位子としてチオール基を有するキレート剤を用いて作製した実施例1の金属捕捉用粒子は水銀に対して高い捕捉効率を示した。これらの結果から、金属捕捉用粒子におけるキレート剤の配位子を適切に選択することで、所望の金属イオンを効率よく捕捉できることが分かった。
これらの結果から、本発明の金属捕捉用粒子は液体中の金属イオンを高効率で捕捉及び回収できることが分かった。

Claims (8)

  1. 液体中に含まれる水銀イオン又は鉛イオンを捕捉するための金属捕捉用粒子であって、
    粒子表面に第1の官能基を有するコア粒子と、
    第2の官能基を有し、水銀イオン又は鉛イオンと錯体を形成するチオプロニンと、
    前記第1の官能基と化学結合する第3の官能基及び前記第2の官能基と化学結合する第4の官能基を有するカップリング剤と、を有し、
    前記コア粒子、前記カップリング剤及び前記チオプロニンは前記第1の官能基と前記第3の官能基が化学結合し、かつ前記第2の官能基と前記第4の官能基が化学結合することで結合している、金属捕捉用粒子。
  2. 前記チオプロニンは配位子としてチオール基を有する、請求項1に記載の金属捕捉用粒子。
  3. 前記第1の官能基は水酸基であり、
    前記第2の官能基はカルボキシ基であり、
    前記第3の官能基はアルコキシ基であり、
    前記第4の官能基はアミノ基である、請求項1又は請求項2に記載の金属捕捉用粒子。
  4. 前記コア粒子はシリカ粒子である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の金属捕捉用粒子。
  5. 前記液体は尿である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の金属捕捉用粒子。
  6. 請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の金属捕捉用粒子を前記液体と混合する工程を有する、金属捕捉方法。
  7. 請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の金属捕捉用粒子を前記液体と混合する工程と、前記液体から前記水銀イオン又は前記鉛イオンを捕捉した金属捕捉用粒子を分離する工程と、前記分離した金属捕捉用粒子を溶出液と混合する工程と、を有する、金属回収方法。
  8. 請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の金属捕捉用粒子を前記液体と混合する工程と、前記液体から前記水銀イオン又は前記鉛イオンを捕捉した金属捕捉用粒子を分離する工程と、前記分離した金属捕捉用粒子を溶出液と混合する工程と、前記溶出液中に溶出した前記水銀イオン又は前記鉛イオンを定量する工程と、を有する、金属定量方法。
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