JP2009294024A - 重金属抽出方法、及びこれを用いた重金属定量方法 - Google Patents

重金属抽出方法、及びこれを用いた重金属定量方法 Download PDF

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Abstract

【課題】重金属が微量であっても、高感度で定量・定性分析を行うことができる重金属抽出方法を実現する。
【解決手段】本発明の重金属抽出方法は、液体サンプル中の重金属を陽イオン交換樹脂に吸着させる吸着工程と、抽出対象以外の重金属を溶出する洗浄試薬を用いて、陽イオン交換樹脂から抽出対象以外の重金属を除去する第1の除去工程と、抽出対象の重金属を溶出する溶出試薬を用いて、陽イオン交換樹脂から重金属を溶出する第1の溶出工程とを含むので、重金属が微量であっても、高感度で定量・定性分析を行うことができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、液体サンプルまたは固体サンプルから重金属を抽出する重金属抽出方法、及びこれを用いた重金属定量方法に関するものである。
近年、重金属による、地下水、河川水、海水、土壌の汚染や、食品やプラスチック等の成形品にも重金属が含まれることが問題になっている。このような問題から、重金属を簡便かつ正確に測定する分析方法が求められている。
例えば土壌に対しては、平成15年2月より「土壌汚染対策基本法」が施行され、重金属類が第2種有害物質に分類された。そして、カドミウム及びその化合物、シアン化合物、鉛及びその化合物、六価クロム化合物、砒素及びその化合物、水銀及びアルキル水銀その他の水銀化合物、セレン及びその化合物、ほう素及びその化合物、ふっ素及びその化合物それぞれに対し、指定基準が設けられた。これら有害物質の基準値は、ほとんどppbレベルである。このため、これら有害物質に対し規定された測定方法は、その前段階である前処理方法から複雑になっている。それゆえ、土壌中の有害物質測定方法は、工程数が多く、時間と費用とがかかる。また、基準値を超過する事例のうち、複合汚染も含めて重金属等による事例が2/3程度を占める。したがって、潜在的なリスク管理のためにも、公定法試験のみでなく、安価で、かつ迅速な重金属のスクリーニング方法が求められている。このような中で、操作性及び簡便性に優れ、かつ安全であるとともに、測定値に対し信頼性がある、実用性の高い簡易・迅速測定法が求められている。
また、水質に対しては、人の健康を守るために、水質汚濁防止法では、わが国の全公共用水域を対象に一律の排水基準が設定され、昭和46年(1971年)6月24日から施行されている。現在、日本では、鉛・水銀などの有害重金属は工業廃水基準で5〜500ppb、環境基準および水道水基準で0.5〜50ppbと定められている。また、年々環境汚染が深刻となり、家庭においても浄水器等や容器入り飲料水「ミネラルウオーター」による安全な飲料水への関心、簡単な品質確認のニーズが高まっている。
さらに、食品については、食品衛生法で、カドミウム、砒素、総水銀、銅、マンガン、亜鉛等の重金属汚染に対する指標が示されている。近年、CODEX委員会(国際食品規格の策定組織)においても、食品中カドミウムの国際的基準値が策定されるなどしており、国内でも食の安全と安心への関心が急激に高まりつつある。
また、プラスチック製の成形品や包装材について、その材料となるプラスチックは、加工性を良くしたり、その強度を増したり、難燃性、耐久性をもたせるために、いろいろな添加剤が使用されている。この添加剤の中には、重金属が含まれる。このため、プラスチック製の成形品や包装材を廃棄して燃やしたとき、重金属は、気体となって煙突から周囲に放出され、周辺の土壌汚染を引き起こす。
EU(ヨーロッパ共同体)において、2006年7月から施行されたたRoHS指令は、電気・電子機器を対象に、同製品に含まれる特定有害物質(鉛、カドミウム、水銀、六価クロム、ポリ臭化ビフェニル、ポリ臭化ジフェニルエーテル)の使用を原則禁止とする措置である。また、世界的に、上記の措置と同様な規制が広がっている。また、プラスチック製の食器やおもちゃについても、使用時の重金属溶出による汚染が懸念されている。
特許文献1〜6には、重金属定量に関する技術が開示されている。
特開平9−72898号公報(平成 9(1997)年 3月18日公開) 特開2006−308474号公報(平成18(2006)年11月 9日公開) 特開2005−331409号公報(平成17(2005)年12月 2日公開) 特開2008−32585号公報(平成20(2008)年 2月14日公開) 特開2008-58207号公報(平成20(2008)年 3月13日公開) 特開2006−226986号公報(平成18(2006)年 8月31日公開)
地下水、河川水、海水、土壌、および、食品やプラスチック等の成形品に含まれる重金属を簡便かつ正確に測定(定量)するためには、共存する無機物、有機物等から、測定対象となる目的金属を分離精製する前処理技術が重要である。
一般的に、液体サンプルに含まれる微量重金属を測定する場合、前処理技術として有機溶媒抽出や共沈等による精製がよく利用されている。また、固体サンプルに含まれる重金属を測定する場合、前処理技術として、酸やアルカリ等による湿式分解がよく利用されている。しかしながら、これらの前処理技術は、操作が煩雑であり、処理時間がかかる等の問題がある。
また、迅速、簡便で安価な前処理技術として、陽イオン交換樹脂を用いた技術がある。しかしながら、陽イオン交換樹脂は、あらゆる陽イオンを吸着する。そして、その吸着力は、一般的に、価数が高いイオンほど強くなる。また、イオンの価数が同じである場合には、原子番号が大きいものほど吸着力が強いとされている。例えば、陽イオン交換樹脂に対する金属陽イオンの吸着力は、以下の不等式の順番で強くなる。
Na<Ca2+<Al3+<Th4+
Li<Na<K<Rb<Cs、または
Mg2+<Ca2+<Sr2+<Ba2+
それゆえ、陽イオン交換樹脂に吸着した金属イオンを希酸等で溶出した場合、吸着力の強さがほぼ同じである複数種の金属イオンが同時に溶出されることになる。このため、測定対象となる目的金属のみを分離・精製することが困難になる。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、重金属が微量であっても、高感度で定量・定性分析を行うことができる重金属抽出方法、及びこれを用いた重金属定量方法を実現することにある。
本発明の重金属抽出方法は、上記の課題を解決するために、液体サンプルから重金属を抽出する重金属抽出方法であって、液体サンプル中の重金属を陽イオン交換樹脂に吸着させる吸着工程と、抽出対象以外の重金属を溶出する洗浄試薬を用いて、上記陽イオン交換樹脂から抽出対象以外の重金属を除去する第1の除去工程と、抽出対象の重金属を溶出する溶出試薬を用いて、上記陽イオン交換樹脂から抽出対象の重金属を溶出する第1の溶出工程とを含むことを特徴としている。
また、本発明の重金属抽出方法は、上記の課題を解決するために、固体サンプルから重金属を抽出する重金属抽出方法であって、抽出対象以外の重金属を溶出する洗浄試薬を用いて、固体サンプルから抽出対象以外の重金属を除去する第2の除去工程と、抽出対象の重金属を溶出する溶出試薬を用いて、固体サンプルから抽出対象の重金属を溶出する第2の溶出工程とを含むことを特徴としている。
このように、上記の構成では、抽出対象の重金属の溶出工程に先立って、洗浄試薬を用いて、抽出対象以外の重金属を除去している。それゆえ、本重金属抽出方法にて得られた溶出液は、抽出対象以外の重金属が極めて少なく、抽出対象の重金属の精製度が高くなっている。そして、この溶出液を、例えば重金属の定量に用いることで、高感度で、かつ高精度の定量を実現することができる。
本発明の重金属抽出方法では、上記吸着工程では、上記液体サンプルに上記洗浄試薬を添加した後、陽イオン交換樹脂に重金属を吸着させることが好ましい。
液体サンプルに上記洗浄試薬を添加することにより、抽出対象以外の重金属は、液体サンプルに溶解し、陽イオン交換樹脂に吸着されにくくなる。
また、本発明の重金属抽出方法では、上記吸着工程では、陽イオン交換樹脂を充填したカラムに液体サンプルを通液して、重金属を吸着することが好ましい。これにより、簡便に重金属を抽出することができる。
また、本発明の重金属抽出方法では、上記洗浄試薬、及び溶出試薬がそれぞれ、抽出対象以外の重金属の溶解補助剤、及び抽出対象の重金属の溶解補助剤であることが好ましい。「溶解補助剤」とは、抽出対象の重金属、または抽出対象以外の重金属の溶解度を高めて溶剤に溶けやすくする目的で加える物質のことをいう。例えば、抽出対象の重金属、または抽出対象以外の重金属と錯塩や分子化合物をつくって可溶性にする物質が挙げられる。さらに、具体的には、酸、キレート剤、または錯化剤が挙げられる。
例えば、上記抽出対象として鉛を抽出するとき、上記洗浄試薬として、チオシアン酸塩、シアン化合物、トリエタノールアミン、または希塩酸を含む試薬を用いることが好ましい。
また、上記溶出試薬として、酢酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、チオ硫酸塩、EDTA、DTPA、N,N(2‐ヒドロキシエチル)グリシン、またはニトリロトリアセテートを含む試薬を用いることが好ましい。
また、上記分析対象としてクロムを抽出するとき、上記洗浄試薬として、チオシアン酸塩、シュウ酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、またはN,N(2‐ヒドロキシエチル)グリシンを含む試薬を用いることが好ましい。
また、上記溶出試薬として、クエン酸塩、酒石酸塩、トリエタノールアミン、スルホサリチル酸、またはEDTAを含む試薬を用いることが好ましい。
また、上記抽出対象としての水銀を抽出するとき、上記洗浄試薬として、シュウ酸塩を含む試薬を用いることが好ましい。
また、上記溶出試薬として、塩素化合物、チオ尿素、亜硫酸塩、トリエチレンテトラミン、トリエタノールアミン、ペンタエチレンヘキサミン、またはEDTAを含む試薬を用いることが好ましい。
また、本発明の重金属抽出方法では、上記重金属捕捉工程にて陽イオン交換樹脂に重金属を吸着する前に、陽イオン交換樹脂を0.1〜5.0Nの塩酸で洗浄することが好ましい。これにより、陽イオン樹脂に、アルカリ金属イオン、クロムイオンなどが吸着することを抑制することができる。
また、本発明の重金属抽出方法では、液体サンプルまたは固体サンプルに含まれる重金属を分析する前に、当該液体サンプルまたは固体サンプルに施す前処理として重金属を抽出することが好ましい。
本発明の重金属定量方法は、上記の課題を解決するために、上述の重金属抽出方法により得られた重金属抽出液を用いて、重金属を定量する重金属定量方法であって、上記重金属抽出液に含まれる重金属の量を、機器分析法、比色法または生物学的検出法により測定することを特徴している。これにより、高感度で、かつ高精度の定量を実現することができる。
本発明の重金属抽出方法は、以上のように、液体サンプル中の重金属を陽イオン交換樹脂に吸着させる吸着工程と、抽出対象以外の重金属を溶出する洗浄試薬を用いて、上記陽イオン交換樹脂から抽出対象以外の重金属を除去する除去工程と、抽出対象の重金属を溶出する溶出試薬を用いて、陽イオン交換樹脂から抽出対象の重金属を溶出する溶出工程とを含む構成である。
また、本発明の重金属抽出方法は、以上のように、抽出対象以外の重金属を溶出する洗浄試薬を用いて、固体サンプルから抽出対象以外の重金属を除去する除去工程と、抽出対象の重金属を溶出する溶出試薬を用いて、固体サンプルから抽出対象の重金属を溶出する溶出工程とを含む構成である。
また、本発明の重金属定量方法は、以上のように、上記重金属抽出方法により得られた重金属抽出液を用いて、重金属を定量する重金属定量方法であって、上記重金属抽出液に含まれる重金属の量を、機器分析法または生物学的検出法により測定する構成である。
それゆえ、測定に妨害する夾雑物や目的対象以外の重金属を簡便な操作で除去して、目的対象物イオンの濃度を濃縮することで、測定対象金属の感度向上、精度、正確度向上する。
本発明にかかる一実施形態について説明すると以下の通りであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
本重金属抽出方法の目的は、抽出対象となる重金属の用途に適合していれば、特に限定されない。例えば、抽出対象となる重金属の回収・精製のみを目的としていてもよく、重金属の分析を目的としてもよい。好適には、本重金属抽出方法は、液体または固体サンプルに含まれる重金属を分析するために、分析対象となる重金属を抽出する方法である。以下、重金属分析用途に採用した本重金属抽出方法について、説明する。
まず、本重金属抽出方法が採用され得る重金属の分析は、定量分析または定性分析の何れであってもよいが、定量分析であることが好ましい。特に、サンプルに含まれる重金属を定量し、その値が汚染の指標となる基準値を超えているか否かを判定する場合、本重金属抽出方法は、好適に採用され得る。また、重金属を定量する前にサンプルに対し施す前処理として、本重金属抽出方法は、好適に採用され得る。
また、本明細書において、「重金属」とは、液体中で重金属イオンを生じる重金属化合物、および重金属イオンが意図される。分析対象となる重金属は、従来公知の重金属であればよい。具体的には、重金属として、カドミウム(Cd)、鉛(Pb)、クロム(Cr)、砒素(As)、水銀(Hg)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、または銅(Cu)が挙げられる。これら重金属の中でも、特に、鉛(Pb)、クロム(Cr)、または水銀(Hg)を分析対象として用いることが好ましい。
また、本重金属抽出方法が対象とするサンプルは、重金属の汚染が疑われるサンプルであれば、特に限定されず、液体サンプルであってもよく、固体サンプルであってもよい。液体サンプルは、例えば、地下水、河川水、または、海水からサンプリングされたものであってよい。また、固体サンプルは、例えば、土壌、食品、または、プラスチック等の成形品からサンプリングされたものであってもよい。
本重金属抽出方法は、第1の形態として、対象とするサンプルが液体サンプルである場合、吸着工程、第1の除去工程、及び第1の溶出工程を含むことを特徴としている。上記吸着工程では、液体サンプル中の重金属を陽イオン交換樹脂に吸着させている。これにより、液体サンプルに含まれる重金属を捕捉する。また、第1の除去工程では、抽出対象以外の重金属を溶出する洗浄試薬を用いて、陽イオン交換樹脂から抽出対象以外の重金属を除去している。さらに、第1の溶出工程では、抽出対象の重金属を溶出する溶出試薬を用いて、陽イオン交換樹脂から抽出対象の重金属を溶出している。
液体サンプルには、抽出対象の重金属以外の不純物として、塵(固形物)、有機物、抽出対象以外の重金属、重金属以外の金属イオン(例えば、アルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオン;ナトリウムイオン(Na)、カリウムイオン(K)、アンモニウムイオン(NH4+)、カルシウムイオン(Ca2+)マグネシウムイオン(Mg2+)等)、陰イオン類が含まれる。本重金属抽出方法においては、液体サンプルに含まれる上記不純物のうち、塵(固形物)、有機物、及び陰イオンは、陽イオン交換樹脂に吸着されないので、上記吸着工程にて除去される。また、アルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンはそれぞれ、1価のイオン、2価のイオンであるため、重金属よりも陽イオン交換樹脂に対する吸着力が小さい。それゆえ、上記吸着工程で、重金属イオンが吸着した後に、アルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンは、陽イオン交換樹脂に部分的に吸着した状態になり、吸着しない残りが除去される。
次いで、第1の除去工程では、洗浄試薬が抽出対象以外の重金属を溶出するので、陽イオン交換樹脂に吸着された重金属のうち抽出対象以外の重金属が除去される。さらには、陽イオン交換樹脂に部分吸着されたアルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンが除去される。すなわち、第1の除去工程では、抽出対象以外の重金属、及び部分的に吸着している金属イオンといった夾雑物が選択的に除去・洗浄されることになる。
その後、第1の溶出工程では、溶出試薬が抽出対象の重金属を溶出するので、陽イオン交換樹脂に吸着された抽出対象の重金属が溶出される。
このように、本重金属抽出方法では、抽出対象の重金属の溶出工程(第1の溶出工程)に先立って、洗浄試薬を用いて、抽出対象以外の重金属を除去している。それゆえ、本重金属抽出方法にて得られた溶出液は、抽出対象以外の重金属が極めて少なく、抽出対象の重金属の精製度が高くなっている。そして、この溶出液を、例えば重金属の定量に用いることで、高感度で、かつ高精度の定量を実現することができる。
これに対し、従来の陽イオン交換樹脂を用いた抽出技術では、抽出対象となる重金属を溶出する溶出試薬のみで溶出した場合、吸着力の強さがほぼ同じである複数種の重金属が同時に溶出されることになる。それゆえ、この溶出液には、抽出対象以外の重金属が含まれ、抽出対象の重金属の精製度が低くなる。それゆえ、この溶出液を、重金属の定量に用いると、抽出対象以外の重金属等の夾雑物が、定量分析系(測定系)に影響し、定量の感度・精度が低くなってしまう。
なお、上記の説明のように、液体サンプルは、陽イオン交換樹脂と接触可能な液体であればよい。それゆえ、例えば、上記の説明で例示した固体サンプルを公定法に準拠した方法で抽出した抽出液を上記液体サンプルとして使用することができる。
また、第1の溶出工程にて、溶出試薬の量を液体サンプルの量よりも少なくして、抽出対象の重金属を溶出することで、抽出対象の重金属を濃縮することができる。そして、このような微量な重金属の濃縮・精製を行うことで、さらに分析感度、及び信頼性を向上させることができる。
また、本重金属抽出方法においては、吸着工程にて、液体サンプルに上記洗浄試薬を添加した後、陽イオン交換樹脂に重金属を吸着させてもよい。液体サンプルに上記洗浄試薬を添加することにより、抽出対象以外の重金属は、液体サンプルに溶解し、陽イオン交換樹脂に吸着されにくくなる。
上述したように、本重金属抽出方法の特徴は、溶出試薬による抽出対象の重金属の溶出工程(第1の溶出工程)に先立って、洗浄試薬を用いて、抽出対象以外の重金属を除去している(第1の除去工程)点である。換言すると、洗浄試薬及び溶出試薬における、抽出対象の重金属に対する溶出選択性を利用したものである。
本重金属抽出方法では、「洗浄試薬」は、抽出対象以外の重金属を溶出する(すなわち、抽出対象の重金属を溶出しない)一方、「溶出試薬」は、抽出対象の重金属を溶出する。本発明において、抽出対象の重金属を「溶出する」とは、抽出対象の重金属が好ましくは90%以上溶出することを示す。また、抽出対象以外の重金属を「溶出する」とは、抽出対象以外の重金属が好ましくは90%以上溶出することを示す。
洗浄試薬及び溶出試薬は、重金属を溶出可能な試薬であれば、特に限定されない。好ましくは、重金属(イオン)と会合する酸、重金属(イオン)とキレート環を有する錯体を形成するキレート剤、または、重金属(イオン)と錯体を形成する錯化剤である。
また、洗浄試薬及び溶出試薬は、抽出対象とする重金属の種類に応じて、適宜組み合わせることができる。
例えば抽出対象として鉛を抽出するとき、上記洗浄試薬として、チオシアン酸塩、シアン化合物、トリエタノールアミン、または希塩酸を含む試薬を用いることができる。チオシアン酸塩としては、チオシアン酸イオンと塩を形成し試薬中で解離する化合物であれば、特に限定されない。チオシアン酸イオンと1価の金属イオン(またはアンモニウムイオン)との塩は、試薬中で解離しやすいので、好適に使用することができる。チオシアン酸塩として、具体的には、チオシアン酸アンモニウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸リチウム、チオシアン酸カリウム等が挙げられる。また、洗浄試薬としてチオシアン酸アンモニウムを含む試薬を使用する場合、洗浄試薬に対するチオシアン酸アンモニウムの濃度は、0.5M以上であることが好ましい。
また、シアン化合物としては、シアン化アンモニウム、シアン化カリウム、シアン化ナトリム、シアン化リチウムが挙げられる。
また、上記溶出試薬として、酢酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、チオ硫酸塩、EDTA(エチレンジアミン4酢酸)、DTPA(ジエチレントリアミン5酢酸)、N,N(2‐ヒドロキシエチル)グリシン、またはニトリロトリアセテートを含む試薬を用いることができる。酢酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、またはチオ硫酸塩は、酢酸イオン、クエン酸イオン、酒石酸イオン、またはチオ硫酸イオンと塩を形成し試薬中で解離する化合物であれば、特に限定されない。特に、1価の金属イオン(またはアンモニウムイオン)との塩は、試薬中で解離しやすいので、好適に使用することができる。酢酸塩として、具体的には、酢酸アンモニウム、酢酸ナトリウム、酢酸リチウム、酢酸カリウム等が挙げられる。クエン酸塩として、具体的には、クエン酸アンモニウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸リチウム、クエン酸カリウム等が挙げられる。酒石酸塩として、具体的には、酒石酸アンモニウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸リチウム、酒石酸カリウム等が挙げられる。チオ硫酸塩として、具体的には、チオ硫酸アンモニウム、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸リチウム、チオ硫酸カリウム等が挙げられる。
また、例えば抽出対象としてクロムを抽出するとき、上記洗浄試薬として、チオシアン酸塩、シュウ酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、またはN,N(2‐ヒドロキシエチル)グリシンを含む試薬を用いることができる。チオシアン酸塩、及びチオ硫酸塩については、上記例示した化合物を使用することができる。シュウ酸塩、または亜硫酸塩は、シュウ酸イオン、または亜硫酸イオンと塩を形成し試薬中で解離する化合物であれば、特に限定されない。特に、1価の金属イオン(またはアンモニウムイオン)との塩は、試薬中で解離しやすいので、好適に使用することができる。シュウ酸塩として、具体的には、シュウ酸アンモニウム、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸リチウム、シュウ酸カリウム等が挙げられる。亜硫酸塩として、具体的には、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸リチウム、亜硫酸カリウム等が挙げられる。
また、上記溶出試薬として、クエン酸塩、酒石酸塩、トリエタノールアミン、スルホサリチル酸、またはEDTAを含む試薬を用いることができる。クエン酸塩、及び酒石酸塩については、上記例示した化合物を使用することができる。また、溶出試薬として、クエン酸アンモニウムを含む試薬を使用する場合、溶出試薬に対するクエン酸アンモニウムの濃度は、0.5M以上であることが好ましい。
また、例えば抽出対象として水銀を抽出するとき、上記洗浄試薬として、シュウ酸塩を含む試薬を用いることができる。シュウ酸塩については、上記例示した化合物を使用することができる。特に、洗浄試薬としてシュウ酸アンモニウムを含む試薬を使用した場合、洗浄試薬に対するシュウ酸アンモニウムの濃度は、0.1M以上であることが好ましい。
また、上記溶出試薬として、塩素化合物、亜硫酸塩、チオ尿素、トリエチレンテトラミン、トリエタノールアミン、ペンタエチレンヘキサミン、またはEDTAを含む試薬を用いることができる。亜硫酸塩については、上記例示した化合物を使用することができる。また、塩素化合物としては、塩酸、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウムが挙げられる。特に、溶出試薬として塩酸を含む試薬を使用した場合、溶出試薬に対する塩酸の濃度は、0.1M以上であることが好ましい。
また、本重金属抽出方法で使用される陽イオン交換樹脂は、少なくとも重金属を吸着することができる樹脂であれば、特に限定されない。陽イオン交換樹脂は、強酸性陽イオン交換樹脂、弱酸性陽イオン交換樹脂やゲル型、マクロポーラス型に限定されない。具体的には、スチレン系樹脂母体に強酸性のスルホン酸基を交換基とする樹脂が望ましい。商品名で例示すると、アンバーライトIRC−50、及びIRC−76(ローム・アンド・ハース社)、ダイヤイオンWK10、並びにW2008(三菱化学(株))、Dowex50W(ダウケミカル社)が挙げられる。
また、上記吸着工程で重金属を陽イオン交換樹脂に吸着させる方法については、従来公知の方法を用いることができる。特に、操作の簡便さ等から、陽イオン交換樹脂を充填したカラムを用いた方法が好ましい。すなわち、吸着工程にて陽イオン交換樹脂を充填したカラムに液体サンプルを通液し、除去工程にて上記カラムに洗浄試薬を通液し、溶出工程にて上記カラムに溶出試薬を通液する方法が好ましい。以下、カラムを用いた場合について、詳述する。
また、使用される陽イオン交換樹脂充填カラムの構成としては、例えば図1に示される構成が挙げられる。図1に示されるような、シリンジタイプの円筒カラムに陽イオン交換樹脂が充填され、フリットにより陽イオン交換樹脂の上下が固定された充填カラムを使用することができる。
円筒カラムの寸法は、充填する陽イオン交換樹脂の容量や液体サンプル量等により、適宜選択することができる。例えば、液体サンプルを40mL使用する場合、円筒部の容量が5〜10mLであるカラムが好適である。
また、陽イオン交換樹脂を固定するフリットの寸法は、円筒カラムの寸法に応じて適宜選択することができる。例えば、円筒部の容量が5mLであるカラムを使用する場合、12.7〜13.0mmΦの濾紙を使用することが好適である。
また、吸着工程にて重金属を吸着する前に、陽イオン交換樹脂を塩酸で洗浄してもよい。例えば、上述した陽イオン交換樹脂充填カラムに予め塩酸を通液後、イオン交換水を通液してカラムを洗浄する方法が挙げられる。これにより、アルカリ金属イオン、クロムイオン等が陽イオン交換樹脂に付着することを防止することができる。
このとき、使用される塩酸の濃度は、0.1〜5.0Nであり、容量は、充填された陽イオン交換樹脂の10倍の容量であることが好ましい。上記例示したカラムの陽イオン交換樹脂の充填条件であれば、自然流下で洗浄処理を行うことができる。また、洗浄処理の操作を迅速に行うため、減圧・加圧操作等を行い、塩酸及びイオン交換水の通液速度を上げてもよい。
このように塩酸により洗浄処理されたカラムに、液体サンプルを通液することにより、アルカリ金属イオン、クロムイオン等が陽イオン交換樹脂に吸着されず、カラムから流出する。一方、測定対象の重金属を含む他のイオンは、陽イオン交換樹脂に吸着される。
そして、吸着後のカラムに洗浄試薬を添加することにより、抽出対象以外の重金属が除去される。例えば、鉛、銅、カドミウム、亜鉛、鉄、及びマンガンを含む液体サンプルから、鉛を抽出する場合、洗浄試薬として、チオシアン酸アンモニウムを使用することが好ましい。吸着後のカラムにチオシアン酸アンモニウム溶液を添加することにより、鉛はカラム内に残存し、その他の重金属がカラムから流出する。
このとき用いるチオシアン酸アンモニウム溶液の濃度及び添加量は、カラム内の陽イオン交換樹脂充填量に応じて、適宜設定することができる。一例として、陽イオン交換樹脂充填量が1mLであれば、チオシアン酸アンモニウム溶液の濃度及び添加量はそれぞれ、0.5M、及び20mLである。
上記のように、洗浄試薬により抽出対象以外の重金属を除去後、カラムに溶出試薬を添加することにより、抽出対象の重金属が溶出される。例えば鉛を抽出する場合、溶出試薬として、酢酸アンモニウム、EDTA、DTPA等を使用することが好ましい。これら溶出試薬を使用することにより、鉛を溶出することができる。
このとき用いる溶出試薬の濃度及び添加量は、カラム内の陽イオン交換樹脂充填量及び陽イオン交換樹脂に吸着しているイオンの総量に応じて、適宜設定することができる。一例として、陽イオン交換樹脂充填量が1mLであり、かつ10μg程度の鉛を溶出させる場合、溶出試薬としての酢酸アンモニウム溶液の濃度及び添加量はそれぞれ、2.0M、及び2mL以上である。
また、本重金属抽出方法は、第2の形態として、対象とするサンプルが固体サンプルである場合、第2の除去工程、及び第2の溶出工程を含むことを特徴としている。第2の除去工程では、抽出対象以外の重金属を溶出する洗浄試薬を用いて、固体サンプルから抽出対象以外の重金属を除去している。そして、第2の溶出工程では、抽出対象の重金属を溶出する溶出試薬を用いて、固体サンプルから抽出対象の重金属を溶出している。
第2の除去工程では、洗浄試薬が抽出対象以外の重金属を溶出するので、固体サンプルに含まれる重金属のうち抽出対象以外の重金属が除去される。その後、第2の溶出工程では、溶出試薬が抽出対象の重金属を溶出するので、固体サンプルに含まれる抽出対象の重金属が溶出される。
本重金属抽出方法では、抽出対象の重金属の溶出工程(第2の溶出工程)に先立って、洗浄試薬を用いて、抽出対象以外の重金属を除去している(第2の除去工程)。それゆえ、本重金属抽出方法にて得られた溶出液は、抽出対象以外の重金属が極めて少なく、抽出対象の重金属の精製度が高くなっている。そして、この溶出液を、例えば重金属の定量に用いることで、高感度で、かつ高精度の定量を実現することができる。
抽出対象の重金属を溶出する溶出試薬を用いて、固体サンプルから抽出対象の重金属を溶出するに際し、その溶出液に抽出対象以外の重金属が溶出してしまい、抽出対象の重金属が影響を受ける場合がある。このような場合、本重金属抽出法のように、溶出試薬による抽出対象の重金属溶出に先立ち、洗浄試薬を用いて、固体サンプルから抽出対象以外の重金属を除去することで、抽出対象以外の重金属の影響を低減することができる。
第2の除去工程において、固体サンプルから抽出対象以外の重金属を除去(洗浄)する方法は、固体サンプルの形状等に応じて、選択することができる。例えば、具体的な例として、塩化ビニルポリマーの安定剤として添加されるステアリン酸鉛を選択的に溶出する場合、塩化ビニルポリマーを粉砕後、1M以上の希塩酸で洗浄してその他重金属類を除去した後、弱酸性下で0.5〜2MのEDTA溶液を用いてPbを溶出することで、対象金属以外の重金属を減少させて、鉛を抽出することができる。
また、本発明の重金属定量方法は、本重金属抽出方法にて得られた抽出液を用いて、重金属を定量する方法である。重金属を定量する方法としては、機器分析法、比色法または生物学的検出法が好ましい。機器分析法で重金属を定量する場合、ICP発光分析法、原子吸光分析法、イオン電極法(ボルタンメトリー)を用いることが好ましい。また、生物学的検出法で重金属を定量する場合、イムノアッセイ法を用いることが好ましい。
以上のように、本重金属抽出方法の特徴は、溶出試薬による抽出対象の重金属の溶出工程(第1及び第2の溶出工程)に先立って、洗浄試薬を用いて、抽出対象以外の重金属を除去している(第1及び第2の除去工程)点である。これにより、溶出液を、例えば重金属の定量に用いることで、高感度で、かつ高精度の定量を実現することができる。
これによって、機器分析に有用になる。分析方法としてAAやICP‐MSを採用した場合、塩類等のバックグラウンドを減少させることができる。また、分析方法としてICP‐AESやボルタンメトリーを採用した場合、分析対象金属と近接する発光スペクトルや酸化還元電位を与える金属を除去することができる。また、比色法や生物学的検定法等にも使用できる迅速、安価で簡便な重金属抽出方法を提供することができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例により、何ら限定されるものではない。例中の「%」及び「部」は、特記しない限り、重量%及び重量部である。
〔実施例1〕
まず、注射円筒空カラムに、陽イオン交換樹脂としてのDowex50WX8(200−400mesh)1.0mLを充填して、陽イオン交換樹脂充填カラムを作製した。この陽イオン交換樹脂充填カラムに、複数の重金属イオンを含有する標準調製液40mLを通液し、各重金属イオンを吸着させた。なお、標準調製液に対する各重金属イオンの濃度は、Pbイオンが0.005〜0.125mg/Lであり、Mnイオン、Feイオン、及びCuイオンがそれぞれ10mg/Lであり、Cdイオン、Crイオン、Znイオンがそれぞれ1mg/Lである。なお、実施例1においては、Pbイオンの濃度について、0.005mg/L,0.010mg/L,0.050mg/L,0.125mg/Lで調製した4種類の標準調製液を用いた。
その後、陽イオン交換樹脂充填カラムに0.5Mチオシアン酸アンモニウム溶液20mLで夾雑イオン(Pbイオン以外の重金属イオン)を洗浄した。そして、陽イオン交換樹脂充填カラムに2.0M酢酸アンモニウム溶液2mLを添加して、Pbイオンを溶出させた。上記と同じ条件で、2回洗浄・溶出を実施し、得られた溶出液について、ICP‐AES等の機器分析により各イオンを測定した。そして、測定値から、Pbイオン回収率と夾雑イオンの除去率とを算出した。その結果を、表1及び表2に示す。表1は、溶出液2mLに対するPbイオンの濃度を示す。なお、この濃度は、理論上、標準調製液に対するPbイオン濃度(Pb元液濃度)の20倍になっている。Pb回収率は、(溶出液に含まれるPbイオン量/標準調製液に含まれるPbイオン量)×100(%)として、算出される。また、表2は、溶出液2mLに対する夾雑イオンの濃度を示す。夾雑イオンの除去率は、100−(溶出液に含まれる夾雑イオン量/標準調製液に含まれる夾雑イオン量)×100(%)として、算出される。
Figure 2009294024
Figure 2009294024
〔実施例2〕
まず、注射円筒空カラムに、陽イオン交換樹脂としてのDowex50WX8(200−400mesh)1.0mLを充填して、陽イオン交換樹脂充填カラムを作製した。この陽イオン交換樹脂充填カラムに、実施例1に用いた、Pbイオンの濃度について、0.005mg/L,0.010mg/L,0.050mg/L,0.125mg/Lで調製した4種類の標準調製液40mLを通液し、各重金属イオンを吸着させた。
その後、陽イオン交換樹脂充填カラムに0.5Mチオシアン酸アンモニウム溶液20mLで夾雑イオン(Pbイオン以外の重金属イオン)を洗浄した。そして、陽イオン交換樹脂充填カラムに2.0M酢酸アンモニウム溶液2mLを添加して、Pbイオンを溶出させ、得られた溶出液について、ICP‐AES等の機器分析と抗原抗体反応を用いた生物学的検定法によりPbイオン濃度を測定した。そして、測定値から、Pbイオン回収率を算出した。その結果を、表3に示す。なお、「Pb回収率」は、上記実施例1と同様の方法で算出した。
Figure 2009294024
〔比較例1〕
比較例1では、標準調製液の重金属イオンが吸着した陽イオン交換樹脂に対し、夾雑イオンの洗浄工程を行わずに、Pbイオンの溶出を実施した。具体的には、以下の手順で、Pbイオンの溶出を行った。
まず、注射円筒空カラムに、陽イオン交換樹脂としてのDowex50WX8(200−400mesh)1.0mLを充填して、陽イオン交換樹脂充填カラムを作製した。この陽イオン交換樹脂充填カラムに、複数の重金属イオンを含有する標準調製液40mLを通液し、各重金属イオンを吸着させた。なお、標準調製液に対する各重金属イオンの濃度は、Pbイオンが0.005〜0.125mg/Lであり、Mnイオン、Feイオン、及びCuイオンがそれぞれ10mg/Lであり、Cdイオン、Crイオン、Znイオンがそれぞれ1mg/Lである。なお、比較例1においては、Pbイオンの濃度について、0.005mg/L,0.010mg/L,0.050mg/L,0.125mg/Lで調製した4種類の標準調製液を用いた。
その後、陽イオン交換樹脂充填カラムに2.0M酢酸アンモニウム溶液2mLを添加してPbイオンを溶出させた。ICP‐AES等の機器分析と抗原抗体反応を用いた生物学的検定法でPbイオン濃度を測定した。そして、測定値から、Pbイオン回収率を算出した。その結果を、表4に示す。なお、表4について、「Pb回収率」は、上記実施例1と同様の方法で算出した。
Figure 2009294024
〔実施例3〕
実施例3では、実施例1で用いた標準調製液に代えて、公定法により土壌から抽出した土壌抽出液をサンプルとして、Pbイオンの抽出を行った。具体的には、以下の手順で、Pbイオンの溶出を行った。
まず、注射円筒空カラムに、陽イオン交換樹脂としてのDowex50WX8(200−400mesh)1.0mLを充填して、陽イオン交換樹脂充填カラムを作製した。この陽イオン交換樹脂充填カラムに、公定法により土壌から抽出した抽出液40mLを通液し、重金属イオンを吸着させた。なお、実施例3では、Pbイオン溶出試験値が異なる2種類の抽出液を用いた。抽出液におけるPbイオン溶出試験値はそれぞれ、0.107mg/L、0.043mg/Lである。
その後、陽イオン交換樹脂充填カラムに0.5Mチオシアン酸アンモニウム溶液20mLで夾雑イオン(Pbイオン以外の重金属イオン)を洗浄した。そして、陽イオン交換樹脂充填カラムに2.0M酢酸アンモニウム溶液2mLを添加して、Pbイオンを溶出させた。上記と同じ条件で、5回洗浄・溶出を実施し、得られた溶出液について、ICP‐AES等の機器分析によりPbイオンを測定した。そして、5回分の測定値それぞれについて、Pbイオン回収率を算出した。なお、「Pb回収率」は、上記実施例1と同様の方法で算出した。表5に、Pb回収率及び再現性の結果を示す。
Figure 2009294024
〔比較例2〕
比較例2では、Pb汚染土壌抽出液を用いて、重金属イオンが吸着した陽イオン交換樹脂に対し、夾雑イオンの洗浄工程を実施した後、Pbイオンの溶出を実施し、機器分析と生物学的検定法にて測定した。具体的には、以下の手順でPbイオンの溶出を行った。
まず、注射円筒空カラムに、陽イオン交換樹脂としてのDowex50WX8(200−400mesh)1.0mLを充填して、陽イオン交換樹脂充填カラムを作製した。この陽イオン交換樹脂充填カラムに、Pb汚染土壌抽出液40mLを通液し、重金属イオンを吸着させた。その後、陽イオン交換樹脂充填カラムに2.0M酢酸アンモニウム溶液2mLを添加してPbイオンを溶出させた。得られた溶出液について、ICP‐AES等の機器分析と抗原抗体反応を用いた生物学的検定法によりPbイオンを測定した。そして、添加したPb標準液からPbイオンの回収率及び再現性を算出した。なお、「Pb回収率」は、上記実施例1と同様の方法で算出した。表6に、両法によるPb回収率と再現性の結果を示す。
Figure 2009294024
〔実施例4〕
実施例4では、陽イオン交換樹脂を事前に塩酸洗浄することによって、Crイオンを陽イオン交換樹脂に吸着させないことができる。具体的には、以下の手順で、Crイオンの測定を行った。
まず、二本の注射円筒空カラムに、陽イオン交換樹脂としてのDowex50WX8(200−400mesh)0.3mLを充填して、陽イオン交換樹脂充填カラムを作製した。この陽イオン交換樹脂充填カラムに、3M塩酸を10mLで洗浄した後、一本のカラムはイオン交換水で洗浄し、残りの一本はイオン交換水洗浄せずに、実施例1で用いた標準調製液10mLを通液させた。
その後、通液した溶出液について、ICP‐AES等の機器分析によりCr及びその他の重金属を測定した。そして、カラム処理前後の標準調製液の各イオン濃度から溶出率を算出した。表7に、Cr及びその他重金属の溶出率の結果を示す。
Figure 2009294024
(別の表現)
本発明は以下のように表現することができる。
(1)溶液中の重金属Pb/Cr/Hgを測定する方法において、
陽イオン交換樹脂で全ての重金属イオンを吸着、捕捉した後、測定対象以外の重金属に対する(選択的)洗浄試薬で測定対象以外の重金属を洗浄除去し、次いで測定対象重金属に対する(選択的)溶出試薬を用いて分離、精製する前処理法。
(2)成形物、食品、土壌等の固体中の重金属Pb/Cr/Hgを抽出して溶液として測定する際に、測定対象以外の重金属に対する(選択的)洗浄試薬で個体中の測定対象以外の重金属を洗浄除去した後、次いで測定対象重金属に対する(選択的)溶出試薬を用いて抽出する前処理法。
(3)溶液中の重金属Pb/Cr/Hgを測定する方法において、
測定対象以外の重金属に対する選択的溶出試薬を溶液に添加して、イオン交換樹脂で重金属イオンを吸着、捕捉した後、さらに測定対象以外の重金属に対する(選択的)洗浄試薬で測定対象以外の重金属を洗浄除去し、次いで測定対象重金属に対する(選択的)溶出試薬を用いて分離、精製することを特徴とする上記(1)記載の前処理法。
(4)溶液中の重金属Pb/Cr/Hgを測定する方法において、
陽イオン交換樹脂を充填したカラムに溶液を通液して重金属イオンを吸着、捕捉した後、測定対象以外の重金属に対する(選択的)洗浄試薬を通液して測定対象以外の重金属を洗浄除去し、次いで測定対象重金属に対する(選択的)溶出試薬を通液して溶出させ分離、精製することを特徴とする上記(1)記載の前処理法。
(5)重金属に対する選択的溶出試薬が酸、キレート剤、錯化剤等であることを特徴とする上記(1)または(2)記載の前処理方法。
(6)測定対象が鉛の場合は、(選択的)溶出試薬として酢酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、チオ硫酸塩、EDTA、DTPA、N,N(2-ヒドロキシエチル)グリシン、ニトリロトリアセテートの試薬であることを特徴とする上記(1)または(2)記載の前処理方法。
(7)測定対象が鉛の場合は、測定対象以外の重金属に対する(選択的)洗浄試薬としてチオシアン酸塩、シアン化合物、トリエタノールアミン、希塩酸の試薬であることを特徴とする上記(1)または(2)記載の前処理方法。
(8)測定対象がクロムの場合は、測定対象以外の重金属に対する(選択的)洗浄試薬としてチオシアン酸塩、シュウ酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、N,N(2-ヒドロキシエチル)グリシンの試薬で洗浄したのち、測定対象重金属に対する(選択的)溶出試薬としてトリエタノールアミン、スルホサリチル酸、クエン酸塩、酒石酸塩、EDTAを用いることを特徴とする上記(1)または(2)記載の前処理方法。
(9)測定対象が水銀の場合は、測定対象以外の重金属に対する(選択的)洗浄試薬として、シュウ酸塩の試薬で洗浄したのち、測定対象重金属に対する(選択的)溶出試薬として亜硫酸塩、塩素化合物、チオ尿素、トリエチレンテトラミン、トリエタノールアミン、ペンタエチレンヘキサミン、EDTAを用いることを特徴とする上記(1)または(2)記載の前処理方法。
(10)陽イオン交換樹脂を充填したカラムに溶液を通液する前に0.1〜5.0Nの塩酸で洗浄を行う事により、アルカリ金属、クロムイオンなどの吸着を抑制することを特徴とする上記(3)の前処理方法。
(11)重金属の測定方法としてICP発光分析法、原子吸光分析法、イオン電極法(ボルタンメトリー)等の機器分析法、またはイムノアッセイ法等の生物学的検出法を用いることを特徴とする上記(1)または(2)記載の前処理方法。
本発明は、重金属が微量であっても、高感度で定量・定性分析を行うことができるので、主に環境分野での重金属分析の用途に適用できる。
本発明で使用可能な陽イオン交換樹脂充填カラムの概略構成を示す断面図である。

Claims (14)

  1. 液体サンプルから重金属を抽出する重金属抽出方法であって、
    液体サンプル中の重金属を陽イオン交換樹脂に吸着させる吸着工程と、
    抽出対象以外の重金属を溶出する洗浄試薬を用いて、上記陽イオン交換樹脂から抽出対象以外の重金属を除去する第1の除去工程と、
    抽出対象の重金属を溶出する溶出試薬を用いて、上記陽イオン交換樹脂から重金属を溶出する第1の溶出工程とを含むことを特徴とする重金属抽出方法。
  2. 固体サンプルから重金属を抽出する重金属抽出方法であって、
    抽出対象以外の重金属を溶出する洗浄試薬を用いて、固体サンプルから抽出対象以外の重金属を除去する第2の除去工程と、
    抽出対象の重金属を溶出する溶出試薬を用いて、固体サンプルから抽出対象の重金属を溶出する第2の溶出工程とを含むことを特徴とする重金属抽出方法。
  3. 上記吸着工程では、上記液体サンプルに上記洗浄試薬を添加した後、陽イオン交換樹脂に重金属を吸着させることを特徴とする請求項1に記載の重金属抽出方法。
  4. 上記吸着工程では、陽イオン交換樹脂を充填したカラムに液体サンプルを通液することを特徴とする請求項1に記載の重金属抽出方法。
  5. 上記洗浄試薬、及び溶出試薬がそれぞれ、抽出対象以外の重金属の溶解補助剤、及び抽出対象の重金属の溶解補助剤であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の重金属抽出方法。
  6. 上記抽出対象として鉛を抽出するとき、
    上記洗浄試薬として、チオシアン酸塩、シアン化合物、トリエタノールアミン、または希塩酸を含む試薬を用いることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の重金属抽出方法。
  7. 上記抽出対象として鉛を抽出するとき、
    上記溶出試薬として、酢酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、チオ硫酸塩、EDTA、DTPA、N,N(2‐ヒドロキシエチル)グリシン、またはニトリロトリアセテートを含む試薬を用いることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の重金属抽出方法。
  8. 上記抽出対象としてクロムを抽出するとき、
    上記洗浄試薬として、チオシアン酸塩、シュウ酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、またはN,N(2‐ヒドロキシエチル)グリシンを含む試薬を用いることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の重金属抽出方法。
  9. 上記抽出対象としてクロムを抽出するとき、
    上記溶出試薬として、クエン酸塩、酒石酸塩、トリエタノールアミン、スルホサリチル酸、またはEDTAを含む試薬を用いることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の重金属抽出方法。
  10. 上記抽出対象として水銀を抽出するとき、
    上記洗浄試薬として、シュウ酸塩を含む試薬を用いることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の重金属抽出方法。
  11. 上記抽出対象として水銀を抽出するとき、
    上記溶出試薬として、塩素化合物、チオ尿素、亜硫酸塩、トリエチレンテトラミン、トリエタノールアミン、ペンタエチレンヘキサミン、またはEDTAを含む試薬を用いることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の重金属抽出方法。
  12. 上記吸着工程にて重金属を吸着する前に、陽イオン交換樹脂を0.1〜5.0Nの塩酸で洗浄することを特徴とする請求項1に記載の重金属抽出方法。
  13. 液体サンプルまたは固体サンプルに含まれる重金属を分析する前に、当該液体サンプルまたは固体サンプルに施す前処理として重金属を抽出することを特徴とする請求項1〜12の何れか1項に記載の重金属抽出方法。
  14. 請求項1〜13の何れか1項に記載の重金属抽出方法により得られた抽出液を用いて、重金属を定量する重金属定量方法であって、
    上記抽出液に含まれる重金属の量を、機器分析法、比色法または生物学的検出法により測定することを特徴とする重金属定量方法。
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