JP2014002131A - 水銀分析前処理方法、水銀分析前処理装置、水銀分析方法、水銀分析装置、及び水銀脱離溶液 - Google Patents

水銀分析前処理方法、水銀分析前処理装置、水銀分析方法、水銀分析装置、及び水銀脱離溶液 Download PDF

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Abstract

【課題】水銀の定量測定法に利用可能な、簡易で迅速に、かつ安価に行うことができる水銀分析の前処理方法の提供。
【解決手段】水銀及び水銀以外の金属を含有する試料溶液から前記水銀と前記水銀以外の金属とを分離する水銀分析前処理方法であって、前記試料溶液を、陰イオン交換樹脂に通液し、少なくとも前記水銀を前記陰イオン交換樹脂に固定化する固定化工程と、続いて、前記陰イオン交換樹脂を洗浄水により洗浄し、前記水銀以外の金属を前記陰イオン交換樹脂から除去する洗浄工程と、続いて、前記陰イオン交換樹脂から前記水銀を脱離させる水銀脱離溶液を前記陰イオン交換樹脂に通液し、前記水銀を前記陰イオン交換樹脂から脱離する脱離工程とを含む水銀分析前処理方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、水銀分析前処理方法、水銀分析前処理装置、水銀分析方法、及び水銀分析装置、並びにこれらに用いる水銀脱離溶液に関する。
環境中に排出される水銀の発生源は、火山活動、岩石風化などの自然活動と、人為活動との二つに大きく分類される。人為活動に由来する水銀の排出源は多岐にわたり、石炭等の化石燃料の採掘や燃焼、金や鉄をはじめとする金属の製造、セメントの製造、廃棄物の燃焼などが挙げられる。
近年、地球規模の汚染の懸念から、国際連合環境計画(UNEP)において、水銀の消費、廃棄、更に国家間の移動に関する国際的な取組みについて議論がされている。2010年からは、水銀に関する世界的な法的枠組みを準備する政府間交渉会議が開始され、2013年の第27回UNEP管理理事会に作業結果を報告する予定となっており、2013年後半の外交会議では、水銀の輸出、輸入、使用、廃棄に一定の規制を設ける条約が採択される予定である。
以上のような背景から、資材の輸出、輸入から生産、廃棄に至る様々な段階の現場で、迅速に基準の超過などを判定する水銀分析のニーズが生じることが予想される。そのため、従来の機器分析、及び既存の簡易測定に加えて、より簡易で迅速、安価に水銀計測を可能とする測定法が望まれている。
これまで、水銀の測定法としては、原子吸光分析などの機器分析法が利用されている。これらの方法は、高価な装置を要し、分析にある程度の時間を必要とする上に、原則的に分析は実験室で行う必要がある。近年では、水銀の簡易分析法として、ストリッピング法に代表される電気化学的測定法(例えば、非特許文献1参照)、又は蛍光X線分析(例えば、非特許文献2参照)に基づく手法が開発されている。しかし、いずれも高価な導入費用が必要になるという問題がある。また、新たな手法としてDNAアプタマーを利用した簡易測定(例えば、非特許文献3参照)が提案されているが実用に至るまでの技術ではない。
一方、本出願人は、これまで、環境計測への応用を目的として、重金属を特異的に結合する抗体と、前記抗体を利用した高感度なフロー式イムノアッセイを開発してきた(例えば、非特許文献4及び5参照)。そこで、これらの技術を水銀の測定法に適用することが考えられるが、水銀が多種の金属と共存する試料では、他の金属の影響により、定量性が阻害され、測定精度が低下するという問題がある。
そのため、イムノアッセイなどの測定法において水銀の定量の測定精度を上げるためには、他の金属を除去する前処理が必要である。また、その前処理は、簡易、迅速、及び安価に行うことができることが望まれている。
そこで、例えば、陽イオン交換樹脂を用い、抽出対象の重金属を含有するサンプルを前記陽イオン交換樹脂に吸着させる吸着工程と、抽出対象外の重金属を洗浄により前記陽イオン交換樹脂から除去する除去工程と、抽出対象の重金属を前記陽イオン交換樹脂から溶出させる溶出工程とを含む重金属の抽出方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、この提案の技術は、比較的高濃度の酸を用いた溶出を必要とし、簡易的な方法とはいい難い点で問題がある。
したがって、水銀の定量測定法に利用可能な、簡易で迅速に、かつ安価に行うことができる水銀分析前処理方法、水銀分析前処理装置、水銀分析方法、及び水銀分析装置、並びにこれらに用いる水銀脱離溶液の提供が求められているのが現状である。
特開2009−294024号公報
C. Chen, J. Zhang, Y. Du, X. Yang, E. Wang, Analyst, 135(5), 1010−1014 (2010) D.L. Anderson, J AOAC Int. Mar−Apr 93(2), 683−93 (2010) Z. Jiang, Y. Fan, M. Chen, A. Liang, X. Liao, G. Wen, X. Shen, X. He, H. Pan, and H. Jiang, Anal. Chem. 81, 5439−5445 (2009) N. Ohmura, S. J. Lackie, H. Saiki: Anal. Chem., 73, 3392−3399 (2001) T. R. Glass, H. Saiki, T. Joh, Y. Taemi, S. J. Lackie, N. Ohmura : Biosensors and Bioelectronics, 20, 397−403 (2004)
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、水銀の定量測定法に利用可能な、簡易で迅速に、かつ安価に行うことができる水銀分析前処理方法、水銀分析前処理装置、水銀分析方法、及び水銀分析装置、並びにこれらに用いる水銀脱離溶液を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
本発明の水銀分析前処理方法は、水銀及び水銀以外の金属を含有する試料溶液から前記水銀と前記水銀以外の金属とを分離する水銀分析前処理方法であって、前記試料溶液を、陰イオン交換樹脂に通液し、少なくとも前記水銀を前記陰イオン交換樹脂に固定化する固定化工程と、続いて、前記陰イオン交換樹脂を洗浄水により洗浄し、前記水銀以外の金属を前記陰イオン交換樹脂から除去する洗浄工程と、続いて、前記陰イオン交換樹脂から前記水銀を脱離させる水銀脱離溶液を前記陰イオン交換樹脂に通液し、前記水銀を前記陰イオン交換樹脂から脱離する脱離工程とを含むことを特徴とする。
本発明の水銀分析前処理装置は、水銀及び水銀以外の金属を含有する試料溶液から前記水銀と前記水銀以外の金属とを分離する水銀分析前処理装置であって、前記試料溶液を、陰イオン交換樹脂に通液し、少なくとも前記水銀を前記陰イオン交換樹脂に固定化する固定化手段と、前記陰イオン交換樹脂を洗浄水により洗浄し、前記水銀以外の金属を前記陰イオン交換樹脂から除去する洗浄手段と、前記陰イオン交換樹脂から前記水銀を脱離させる水銀脱離溶液を前記陰イオン交換樹脂に通液し、前記水銀を前記陰イオン交換樹脂から脱離する脱離手段とを有することを特徴とする。
本発明の水銀脱離溶液は、緩衝剤を含有し、水銀が固定化された陰イオン交換樹脂から水銀を脱離させるために用いられることを特徴とする。
本発明の水銀分析方法は、本発明の前記水銀分析前処理方法と、前記水銀分析前処理方法により水銀以外の金属から分離された水銀を定量する定量工程とを含むことを特徴とする。
本発明の水銀分析装置は、本発明の前記水銀分析前処理装置と、前記水銀分析前処理装置により水銀以外の金属から分離された水銀を定量する定量手段とを有することを特徴とする。
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、水銀の定量測定法に利用可能な、簡易で迅速に、かつ安価に行うことができる水銀分析前処理方法、水銀分析前処理装置、水銀分析方法、及び水銀分析装置、並びにこれらに用いる水銀脱離溶液を提供することができる。
図1Aは、陰イオン交換樹脂の使用態様の一例を示す模式図である。 図1Bは、通液工程の一例を説明するための模式図である。 図1Cは、固定化工程の一例を説明するための模式図である。 図1Dは、固定化工程の一例を説明するための模式図である。 図1Eは、洗浄工程の一例を説明するための模式図である。 図1Fは、脱離工程の一例を説明するための模式図である。 図2は、本発明の固定化工程の一例を説明するための模式図である。 図3Aは、粒径が大きい陰イオン交換樹脂を500μL用いた場合の陰イオン交換樹脂への水銀の固定化率を示すグラフである。 図3Bは、粒径が大きい陰イオン交換樹脂を100μL用いた場合の陰イオン交換樹脂への水銀の固定化率を示すグラフである。 図3Cは、粒径が小さい陰イオン交換樹脂を500μL用いた場合の陰イオン交換樹脂への水銀の固定化率を示すグラフである。 図3Dは、粒径が小さい陰イオン交換樹脂を100μL用いた場合の陰イオン交換樹脂への水銀の固定化率を示すグラフである。 図4は、各塩酸濃度における各金属イオンの固定化率を示すグラフである。 図5Aは、塩酸濃度0.1mMの試料溶液を用いた場合の洗浄工程における鉄イオン及びカドミウムイオンの洗浄率を示すグラフである。 図5Bは、塩酸濃度0.1Mの試料溶液を用いた場合の洗浄工程における鉄イオン及びカドミウムイオンの洗浄率を示すグラフである。 図5Cは、塩酸濃度1Mの試料溶液を用いた場合の洗浄工程における亜鉛イオンの洗浄率を示すグラフである。 図6Aは、水銀脱離溶液として50mMトリス緩衝液を用いた場合の脱離工程における水銀の脱離率を示すグラフである。 図6Bは、水銀脱離溶液として40mM硝酸を用いた場合の脱離工程における水銀の脱離率を示すグラフである。 図6Cは、水銀脱離溶液として40mM硫酸を用いた場合の脱離工程における水銀の脱離率を示すグラフである。 図6Dは、水銀脱離溶液としてEDTA−4Na50mMトリス緩衝液(HClでpH調整)を用いた場合の脱離工程における水銀の脱離率を示すグラフである。 図6Eは、水銀脱離溶液としてEDTA−4NH50mMトリス緩衝液(HClでpH調整)を用いた場合の脱離工程における水銀の脱離率を示すグラフである。 図6Fは、水銀脱離溶液としてEDTA−4Na50mMトリス緩衝液(HNOでpH調整)を用いた場合の脱離工程における水銀の脱離率を示すグラフである。 図6Gは、水銀脱離溶液としてEDTA−4NH50mMトリス緩衝液(HNOでpH調整)を用いた場合の脱離工程における水銀の脱離率を示すグラフである。 図7Aは、塩酸濃度0.1mMの試料溶液を用いた場合のEDTA−4Na50mMトリス緩衝液(HNOでpH調整)への金属イオンの脱離率を示すグラフである。 図7Bは、塩酸濃度0.1Mの試料溶液を用いた場合のEDTA−4Na50mMトリス緩衝液(HNOでpH調整)への金属イオンの脱離率を示すグラフである。 図8Aは、定量工程に用いるマイクロ流路の模式図である。 図8Bは、図8Aにおける測定部位の拡大図である。 図8Cは、マイクロイムノアッセイの原理を説明するための概略図である。 図9は、定量工程1及び定量工程2により得られた、水銀濃度と相対信号値との関係を示すグラフである。 図10Aは、水銀脱離溶液としてEDTA−4Na50mMトリス緩衝液(HSOでpH調整)を用いた場合の脱離工程における水銀の脱離率を示すグラフである。 図10Bは、水銀脱離溶液としてEDTA−4Na50mMトリス緩衝液(HPOでpH調整)を用いた場合の脱離工程における水銀の脱離率を示すグラフである。 図10Cは、水銀脱離溶液としてEDTA−4Na100mMトリス緩衝液(HNOでpH調整)を用いた場合の脱離工程における水銀の脱離率を示すグラフである。 図10Dは、水銀脱離溶液としてEDTA−4Na500mMトリス緩衝液(HNOでpH調整)を用いた場合の脱離工程における水銀の脱離率を示すグラフである。 図10Eは、水銀脱離溶液としてリン酸緩衝生理食塩水(PBS)−EDTA−4Naを用いた場合の脱離工程における水銀の脱離率を示すグラフである。 図11は、陰イオン交換樹脂が入った容器と、吸引部材とを示す概略図である。 図12は、吸引部材を用いた場合の圧力と通液速度との関係を示すグラフである。 図13は、吸引部材を用いた場合の通液速度と水銀の固定化率との関係を示すラフである。 図14は、吸引部材を用いた場合の通液速度と水銀の脱離率との関係を示すグラフである。 図15は、陰イオン交換樹脂が入った容器と、吸引部材と、シリンジとを示す概略図である。 図16は、吸引部材を用いた場合の圧力と通液速度との関係を示すグラフである。 図17は、吸引部材を用いた場合の通液速度と水銀の固定化率との関係を示すグラフである。 図18は、吸引部材を用いた場合の通液速度と水銀の脱離率との関係を示すグラフである。 図19は、試料溶液量、及び試料溶液中の水銀濃度と水銀の脱離率との関係を示すグラフである。 図20は、試料溶液の水銀濃度と相対信号値との関係を示すグラフである。 図21は、河川水試料の分析における、試料溶液中の水銀濃度と相対信号値との関係を示すグラフである。 図22は、土壌試料の分析における、試料溶液中の水銀濃度と相対信号値との関係を示すグラフである。 図23は、石炭灰試料の分析における、試料溶液中の水銀濃度と相対信号値との関係を示すグラフである。
(水銀分析前処理方法、及び水銀分析前処理装置、並びに水銀脱離溶液)
本発明の水銀分析前処理方法は、固定化工程と、洗浄工程と、脱離工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
前記水銀分析前処理方法は、水銀及び水銀以外の金属を含有する試料溶液から前記水銀と前記水銀以外の金属とを分離する前処理方法である。
本発明の水銀分析前処理装置は、固定化手段と、洗浄手段と、脱離手段とを少なくとも有し、更に必要に応じて、その他の手段を有する。
前記水銀分析前処理装置は、水銀及び水銀以外の金属を含有する試料溶液から前記水銀と前記水銀以外の金属とを分離する前処理装置である。
本発明の水銀脱離溶液は、緩衝剤を少なくとも含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
前記水銀脱離溶液は、水銀が固定化された陰イオン交換樹脂から水銀を脱離させるために用いられる。
前記水銀分析前処理方法は、前記水銀分析前処理装置により好適に実施でき、前記固定化工程は、前記固定化手段により好適に実施でき、前記洗浄工程は、前記洗浄手段により好適に実施でき、前記脱離工程は、前記脱離手段により好適に実施できる。
<固定化工程及び固定化手段>
前記固定化工程としては、試料溶液を、陰イオン交換樹脂に通液し、少なくとも前記水銀を前記陰イオン交換樹脂に固定化する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記固定化手段としては、試料溶液を、陰イオン交換樹脂に通液し、少なくとも前記水銀を前記陰イオン交換樹脂に固定化する手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
−試料溶液−
前記試料溶液としては、水銀及び水銀以外の金属を含有する溶液であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記水銀以外の金属としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、鉄、カドミウムなどが挙げられる。
なお、本明細書において、前記水銀及び前記金属は、イオン状態ではない水銀及び金属であってもよいし、イオン状態の金属、即ち水銀イオン及び金属イオンであってもよい。
前記試料溶液は、塩酸を含有することが好ましい。前記試料溶液における前記塩酸の濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1mM(mmol/L)〜1M(mol/L)が好ましく、1mM〜1Mがより好ましく、5mM〜0.5Mが更に好ましく、10mM〜0.1Mが特に好ましい。前記好ましい範囲内であると、水銀及びカドミウム以外の金属の固定化率が低くなり、前記濃度が、前記更に好ましい範囲、及び前記特に好ましい範囲内であるとその効果が顕著になる。なお、カドミウムは、洗浄工程による除去が容易なため、固定化率が高くても、水銀分析の定量の精度への影響がほとんどない。
なお、塩酸濃度が0.1mM未満であると、洗浄工程において鉄が完全には除去されず、脱離工程において水銀と共に鉄が脱離されることがある。そのため、塩酸濃度が0.1mM未満の場合には、鉄の除去が可能な他の前処理との組合せ、及び、本前処理後の水銀分析において鉄の存在が影響されない分析方法の選択が好ましい。
前記試料溶液としては、どのような場所から採取したものでもよく、例えば、工場排水、焼却後の廃棄物、河川水、土壌、石炭灰を含む廃棄物、食品、生物、生物由来の試料等から採取した試料溶液などが挙げられる。
−陰イオン交換樹脂−
前記陰イオン交換樹脂としては、その材質、形状、大きさ、構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記陰イオン交換樹脂の形状としては、例えば、ビーズ状、繊維状、膜状などが挙げられる。これらの中でも、充填性に優れる点で、ビーズ状が好ましい。
前記陰イオン交換樹脂がビーズ状の場合、その大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、充填性に優れる点で、粒径分布が10μm〜200μmであることが好ましい。
前記陰イオン交換樹脂は、4級アンモニウム塩基を有することが好ましい。
前記陰イオン交換樹脂は、市販品であってもよい。前記市販品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、DowexTM 1x2 100−200、DowexTM 1x2 200−400(いずれもダウ・ケミカル社の製造で和光純薬工業株式会社から購入可能)などが挙げられる。
前記陰イオン交換樹脂は、容器に収容されていることが好ましい。
以下、本明細書において記載する種々の好ましい数値範囲は、前記陰イオン交換樹脂を容器に詰めた際に容器内で前記陰イオン交換樹脂が占める体積が100μLの際に、特に好適な範囲である。
−−容器−−
前記容器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリンジなどが挙げられる。前記シリンジの大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記固定化工程及び前記固定化手段において、前記陰イオン交換樹脂は、例えば、前記容器に前記陰イオン交換樹脂を入れ、前記陰イオン交換樹脂が入ったシリンジの空間の両端から前記陰イオン交換樹脂を濾紙等の液透過材料により挟み込んだ態様で使用される。
また、前記固定化工程及び前記固定化手段において、前記陰イオン交換樹脂は、図15に示すような容器1に充填されることが好ましい。即ち、前記陰イオン交換樹脂は、充填した際に前記陰イオン交換樹脂が移動しないように、容器に充填されることが好ましい。そうすることにより、前記陰イオン交換樹脂による層の厚みを均一にできる。
−通液−
前記通液の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、所定量の前記試料溶液を、所定量の前記陰イオン交換樹脂が詰まった容器内部を通過させる方法などが挙げられる。
通液させる前記試料溶液の量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5mL〜100mLが好ましく、2mL〜100mLがより好ましい。通液させる前記試料溶液の量が、前記より好ましい範囲内であると、少量の試料で高精度の水銀分析測定が可能な点で有利である。
前記通液は、1回で行ってもよく、複数回に分けて行ってもよい。例えば、5mLの通液を10回行い合計50mLの通液を行ってもよい。
前記試料溶液の量が多い場合、例えば、30mL〜100mLの場合には、前記脱離工程の水銀脱離溶液の量を前記試料溶液の量(mL)に対して、好ましくは1/2〜1/20、より好ましくは1/7〜1/15にすることにより、前記試料溶液中の水銀を濃縮して水銀分析の定量工程に供することができ、水銀分析の感度が向上できる。
通液の速度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1mL/分間〜50mL/分間が好ましく、0.2mL/分間〜20mL/分間がより好ましく、0.3mL/分間〜10mL/分間が更に好ましく、2.0mL/分間〜6.0mL/分間が特に好ましい。
い。
通液は、試料溶液供給部材を用いて行うことができる。前記試料溶液供給部材としては、例えば、シリンジなどが挙げられる。
前記試料溶液の前記通液は、吸引部材を用いて行うことが好ましい。前記吸引部材を用いることにより、前記吸引部材を用いずに通液させる場合(自然に通液させる場合)に比べて、通液速度を早くすることができる。また、前記吸引部材を用いることにより、前記通液速度を精度よく制御できる。
前記吸引部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、吸引ポンプなどが挙げられる。前記吸引ポンプとしては、例えば、ダイヤフラムポンプ、プランジャーポンプなどが挙げられる。
前記固定化工程により、前記試料溶液中の前記水銀が、前記陰イオン交換樹脂に固定化される。
前記固定化手段により、前記試料溶液中の前記水銀が、前記陰イオン交換樹脂に固定化される。
前記固定化工程においては、前記水銀以外の金属が前記陰イオン交換樹脂に固定化されてもよい。固定化された前記水銀以外の金属は、後述する洗浄工程により、前記陰イオン交換樹脂から除去される。
<洗浄工程及び洗浄手段>
前記洗浄工程としては、前記固定化工程に続いて、前記陰イオン交換樹脂を洗浄水により洗浄し、前記水銀以外の金属を前記陰イオン交換樹脂から除去する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、純水を用いて行うことができる。
前記洗浄手段としては、前記陰イオン交換樹脂を洗浄水により洗浄し、前記水銀以外の金属を前記陰イオン交換樹脂から除去する手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
−洗浄水−
前記洗浄水としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、純水が好ましい。前記洗浄水として純水を用いることで、前記陰イオン交換樹脂から前記水銀をほとんど脱離させることなく、前記水銀以外の金属を除去できる。
洗浄の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、所定量の前記洗浄水を、所定量の前記陰イオン交換樹脂が詰まった容器内部を通過させる方法などが挙げられる。
洗浄の際の前記洗浄水の量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1回の洗浄において、1mL〜10mLが好ましく、3mL〜7mLがより好ましい。
洗浄の際の洗浄回数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1回〜3回が好ましい。
洗浄の際の通液の速度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1mL/分間〜50mL/分間が好ましく、0.2mL/分間〜20mL/分間がより好ましく、0.3mL/分間〜10mL/分間が更に好ましく、2.0mL/分間〜8.0mL/分間が特に好ましい。
洗浄は、洗浄液供給部材を用いて行うことができる。前記洗浄液供給部材としては、例えば、シリンジなどが挙げられる。
前記洗浄水の通液は、吸引部材を用いて行うことが好ましい。前記吸引部材を用いることにより、前記吸引部材を用いずに通液させる場合(自然に通液させる場合)に比べて、通液速度を早くすることができる。また、前記吸引部材を用いることにより、前記通液速度を精度よく制御できる。
前記吸引部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、吸引ポンプなどが挙げられる。前記吸引ポンプとしては、例えば、ダイヤフラムポンプ、プランジャーポンプなどが挙げられる。
前記洗浄工程により、前記水銀以外の金属を前記陰イオン交換樹脂から除去することができる。
<脱離工程及び脱離手段>
前記脱離工程としては、前記洗浄工程に続いて、水銀脱離溶液を前記陰イオン交換樹脂に通液し、前記水銀を前記陰イオン交換樹脂から脱離する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記脱離手段としては、水銀脱離溶液を前記陰イオン交換樹脂に通液し、前記水銀を前記陰イオン交換樹脂から脱離する手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
−水銀脱離溶液−
前記水銀脱離溶液としては、前記陰イオン交換樹脂から前記水銀を脱離させる溶液であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、緩衝剤を含有することが好ましく、前記水銀をキレートして水銀錯体を形成するキレート剤と前記緩衝剤とを含有することがより好ましい。前記水銀脱離溶液が前記緩衝剤を含有することにより、水銀分析に抗体を用いる場合、pH調整をすることなく、水銀分析が可能になる。前記水銀脱離溶液が前記キレート剤と前記緩衝剤とを含有すること、即ち、キレート剤含有緩衝液であることにより、水銀分析に抗体を用いる場合、pH調整やキレート剤を新たに添加することなく、抗体と混合することで水銀分析が可能になる。
また、前記水銀脱離溶液は、硝酸、硫酸及びリン酸の少なくともいずれかを含有することが好ましく、硝酸及び硫酸の少なくともいずれかを含有することがより好ましい。前記水銀脱離溶液における前記硝酸、前記硫酸及び前記リン酸の濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、脱離能力の点で、0.1mM〜1,000mMが好ましく、1mM〜500mMがより好ましく、10mM〜100mMが特に好ましい。
−−緩衝剤−−
前記緩衝剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グッドの緩衝剤、リン酸緩衝剤、トリス緩衝剤(トリスヒドロキシメチルアミノメタン)、リン酸緩衝生理食塩水などが挙げられる。
前記水銀脱離溶液における前記緩衝剤の濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、水銀の脱離能力に優れる点で、50mM以上が好ましく、50mM〜1,000mMが好ましく、50mM〜500mMがより好ましい。
前記水銀脱離溶液における前記緩衝剤の濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
−−キレート剤−−
前記キレート剤としては、前記水銀をキレートして水銀錯体を形成するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、テトラエチレントリアミン(TET)、エチレンジアミン(EDA)、ジエチレントリアミン(DETA)、クエン酸、シュウ酸、クラウンエーテル、ニトリロテトラ酢酸、エデト酸二ナトリウム、エデト酸ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、ペニシラミン、ペンテテートカルシウム三ナトリウム、ペンテト酸、スクシメル、エデト酸トリエンチンが好ましく、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)がより好ましい。
前記水銀脱離溶液における前記キレート剤の濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1μM〜10mMが好ましく、0.5μM〜500μMがより好ましく、1μM〜100μMが特に好ましい。前記濃度が、前記特に好ましい範囲内であると、脱離後の水銀が安定して溶液中に存在できる点、及び高い感度で免疫測定ができる点で有利である。
前記水銀脱離溶液が前記緩衝剤を含有する場合の前記水銀脱離溶液のpHとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1.0〜8.5が好ましく、5.0〜8.0がより好ましく、6.5〜7.5が特に好ましい。前記pHが、前記好ましい範囲内であると、溶存水銀(Hg2+)が安定する点で有利であり、前記pHが、前記特に好ましい範囲内であると、更に、pHの調整を行うことなく、抗体を用いた免疫測定に使用できる点で有利である。
前記pHを調整する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、水銀の脱離能力に優れる点で、硝酸、硫酸、リン酸及び塩酸の少なくともいずれかで調整することが好ましく、硝酸、硫酸及びリン酸の少なくともいずれかで調整することがより好ましい。
前記水銀脱離溶液の量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1回の通液において、0.5mL〜15mLが好ましく、2.0mL〜7.5mLがより好ましい。
通液の回数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1回以上が好ましく、2回〜5回がより好ましく、2回が特に好ましい。
通液の速度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1mL/分間〜50mL/分間が好ましく、0.2mL/分間〜20mL/分間がより好ましく、0.3mL/分間〜10mL/分間が更に好ましく、2.0mL/分間〜8.0mL/分間が特に好ましい。
前記水銀脱離溶液の前記通液は、吸引部材を用いて行うことが好ましい。前記吸引部材を用いることにより、前記吸引部材を用いずに通液させる場合(自然に通液させる場合)に比べて、通液速度を早くすることができる。また、前記吸引部材を用いることにより、前記通液速度を精度よく制御できる。
前記吸引部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、吸引ポンプなどが挙げられる。前記吸引ポンプとしては、例えば、ダイヤフラムポンプ、プランジャーポンプなどが挙げられる。
前記通液は、水銀脱離溶液供給部材を用いて行うことができる。前記水銀脱離溶液供給部材としては、例えば、シリンジなどが挙げられる。
<その他の工程及びその他の手段>
前記その他の工程としては、例えば、通液工程などが挙げられる。
前記その他の手段としては、例えば、通液手段などが挙げられる。
−通液工程及び通液手段−
前記通液工程としては、前記固定化工程の前に、前記陰イオン交換樹脂に通液を行う工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記通液手段としては、前記固定化工程の前に、前記陰イオン交換樹脂に通液を行う手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
通液を行う際の液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記試料溶液が酸を含有する場合には、前記試料溶液の酸と同種の酸を同濃度で含有する液であることが、前記陰イオン交換樹脂の平衡化が可能な点で好ましい。
通液を行う際の前記液の量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1mL〜10mLが好ましく、3mL〜7mLがより好ましい。
ここで、本発明の水銀分析前処理方法及び水銀分析前処理装置の一例を、図1A〜図1Fを用いて説明する。図1Aは、陰イオン交換樹脂の使用態様の一例を示す模式図である。図1Aにおいて、5mLのシリンジを容器1としている。その容器1内の下部に濾紙3を置き、その濾紙3上に陰イオン交換樹脂2を所定量入れ、更にその上に、濾紙3を置くことで、2枚の濾紙3で陰イオン交換樹脂2がもれ出ないようにしている。
図1Bは、通液工程の一例を説明するための模式図である。試料溶液に用いる酸と同じ種類及び同じ濃度の酸液を陰イオン交換樹脂2に通液することで、陰イオン交換樹脂2を平衡化する。
図1C及び図1Dは、固定化工程の一例を説明するための模式図である。水銀、及びカドミウム、鉄などの水銀以外の金属が入った試料溶液を陰イオン交換樹脂2に通液する。そうすると、水銀及び一部の金属が陰イオン交換樹脂2に固定化される。
図1Eは、洗浄工程の一例を説明するための模式図である。固定化工程の後に、陰イオン交換樹脂2に洗浄液を通液すると、水銀以外の他の金属が陰イオン交換樹脂2から除去される。
図1Fは、脱離工程の一例を説明するための模式図である。洗浄工程の後に、陰イオン交換樹脂2に水銀脱離溶液を通液すると、陰イオン交換樹脂2に固定化されていた水銀が陰イオン交換樹脂2から脱離し、容器1外に排出される。この際に、キレート剤含有緩衝液を水銀脱離溶液として用いることで、後に、免疫学的検定(イムノアッセイ)により水銀分析を行なう際に、pH調整やキレート剤を新たに添加することなく、抗体と混合することで水銀分析が可能になる。
(水銀分析方法、及び水銀分析装置)
本発明の水銀分析方法は、本発明の前記水銀分析前処理方法と、定量工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
本発明の水銀分析装置は、本発明の前記水銀分析前処理装置と、定量手段とを少なくとも有し、更に必要に応じて、その他の手段を有する。
前記水銀分析方法は、前記水銀分析装置により好適に行うことができ、前記定量工程は、前記定量手段により好適に行うことができる。
<定量工程、及び定量手段>
前記定量工程としては、前記水銀分析前処理方法により水銀以外の金属から分離された水銀を定量する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ICP質量分析、ICP発光分析、原子吸光測定、原子蛍光測定、電気化学測定、核酸アプタマーによる測定、抗体を用いた免疫学的検定などが挙げられる。これらの中でも、簡単、迅速、安価に行うことができる点で、抗体を用いた免疫学的検定(イムノアッセイ)により水銀を定量することが好ましい。
前記定量手段としては、前記水銀分析前処理方法により水銀以外の金属から分離された水銀を定量する手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ICP質量分析装置、ICP発光分析装置、原子吸光測定装置、原子蛍光測定装置、電気化学測定装置、核酸アプタマーを用いた測定装置、抗体を用いた免疫学的検定装置などが挙げられる。これらの中でも、簡単、迅速、安価に行うことができる点で、抗体を用いた免疫学的検定(イムノアッセイ)装置が好ましい。
前記抗体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、水銀−EDTA錯体に対して顕著な結合性を示す点で、受託番号FERM P−19703として寄託されているハイブリドーマから産生されたモノクローナル抗体(以下、「Nx2C3」と称することがある)が好ましい。
前記免疫学的検定は、測定用部材(マイクロ流路)と光学測定手段とを用いた測定が好ましい。
前記測定用部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、被測定試料を流す被測定試料流路(主流路)と、前記被測定試料流路に形成され、基材粒子(固相担体)を収容する収容領域(測定部位)と、前記収容領域に連通され、前記基材粒子を前記収容領域に流す基材粒子供給流路(副流路)とを有し、前記被測定試料を透過した光の量を測定するのに使用される測定用部材が好ましい。前記測定用部材は、前記収容領域における、前記被測定試料の流れ方向に直交する方向の断面の短手方向の長さが、前記基材粒子が前記収容領域に単層で配置可能な長さであることが好ましい。
前記光学測定手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、吸光度計が好ましい。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
<試薬>
・陰イオン交換樹脂:DowexTM 1x2,The Dow Chemical Company(2質量%ジベニルベンゼンを含む強塩基性陰イオン交換樹脂)、和光純薬工業株式会社製
粒径分布:
DowexTM 1x2 100−200(粒径約75μm〜150μm)
DowexTM 1x2 200−400(粒径約40μm〜75μm)
・無灰定量濾紙:B5、アドバンテック株式会社製
・水銀標準溶液:Hg100mg/L in 0.1M HNO、和光純薬工業株式会社製
・多元素混合標準液:Multielement Standard Solution W−VI、和光純薬工業株式会社製
0.1M HNO中の含有量は以下の通りである。
Al:100mg/L
B :100mg/L
Ca:100mg/L
Cd:100mg/L
Cr:100mg/L
Cu:100mg/L
Fe:100mg/L
Mg:100mg/L
Mn:100mg/L
Na:100mg/L
Pb:100mg/L
Zn:100mg/L
・純水:純水製造装置(Millipore)を用いて調整した超純水
<測定機器>
測定試料中の水銀濃度の分析には、還元気化式原子吸光装置(Hg−200、平沼産業株式会社製)を用いた。
水銀を除く他の金属イオンの分析には、誘導結合プラズマ発光分析装置(ICP−AES、バリアンテクノロジーズジャパンリミテッド株式会社製)を用いた。ICP−AESによる分析における各金属の分析波長は、以下のようにした。
Mn:257.610nm
Mg:279.553nm
Fe:238.204nm
Zn:213.857nm
Cd:214.439nm
Cu:324.754nm
(水銀分析前処理方法及び水銀分析方法)
以下、本発明の水銀分析前処理方法を含む本発明の水銀分析方法の一例を、各工程に分けて具体的に説明する。
<固定化工程>
−陰イオン交換樹脂入り容器(測定容器)の作製−
5mLシリンジ(テルモ株式会社製)を容器として用いた。後述する種類、量の陰イオン交換樹脂を容器内に入れ、添加する溶液で陰イオン交換樹脂が分散しないようにするため、直径13mmに打貫いた円形の無灰定量濾紙を用いて陰イオン交換樹脂を挟み込む構造とした。
具体的な作製方法を以下に述べる。まず、ピストンを除いた前記5mLシリンジに、円形の前記無灰定量濾紙を挿入し、軽く押すことで前記無灰定量濾紙を底部に固定した。次に、純水に懸濁した陰イオン交換樹脂(純水:陰イオン交換樹脂=1:1(体積比))をピペットで均等な厚みになるよう前記5mLシリンジ内に導入した。最後に、円形の無灰定量濾紙を挿入し、軽く押すことで前記陰イオン交換樹脂を濾紙の間に挟み込み、陰イオン交換樹脂入り容器を得た。
完成した陰イオン交換樹脂入り容器に5mLの溶液を加えた場合、陰イオン交換樹脂の量に関わらず10分間〜15分間程度で全量の通液が完了した。また、濾紙の孔径により通液速度を大きく変化させることができた。
本固定化工程に用いた陰イオン交換樹脂について以下に示す。
〔陰イオン交換樹脂〕
・種類:DowexTM 1x2 100−200
DowexTM 1x2 200−400
・使用量(5mLシリンジ充填時):100μL、500μL
−水銀の固定化−
試料溶液中の水銀を陰イオン交換樹脂に固定化した。使用した試料溶液について以下に示す。
〔試料溶液〕
・塩酸溶液
・塩酸濃度:0.01mM、0.05mM、0.1mM、0.1M
・水銀濃度:100μg/L
・通液量:5mL
以下のようにして固定化を行った。図2に、固定化工程を説明するための模式図を示す。
作製したカラムは乾燥により性質を変化する恐れがあるため、作製後は速やかに前処理作業に供した。
固定化工程の前に、試料溶液と同濃度の塩酸溶液(0.01mM〜0.1M)5mLを、前記測定容器の陰イオン交換樹脂に通液することでコンディショニングを行い、シリンジに充填された陰イオン交換樹脂の平衡化を図った。
続いて、固定化工程として、水銀濃度が100μg/Lの所定の塩酸濃度の試料溶液5mLを0.5mL/分間の通液速度で、前記測定容器の前記陰イオン交換樹脂に通液した。
通液した試料溶液を回収し、水銀の量を測定することで、陰イオン交換樹脂への水銀の固定化率を測定した。
試料溶液の塩酸濃度、並びに陰イオン交換樹脂の種類、及び量を変動させた場合の固定化率の結果を図3A〜図3Dに示す。
比較的大粒径の陰イオン交換樹脂であるDowex 1x2 100−200を用い、陰イオン交換樹脂の量を500μLにした場合には、100%の水銀が固定された(図3A)。陰イオン交換樹脂の量を100μLにした場合には、全ての塩酸濃度において水銀の吸着率は90%〜95%であった(図3B)。
一方、比較的小粒径の陰イオン交換樹脂であるDowex 1x2 200−400を用いた場合には、陰イオン交換樹脂の量を500μLにしたときには、100%の水銀が固定された(図3C)。陰イオン交換樹脂の量を100μLにしても、試料溶液中の99.3%〜100%の水銀が固定された(図3D)。
以下の試験及び工程では、より少ない陰イオン交換樹脂の量でもれなく水銀を固定化できる条件として、比較的小粒径の陰イオン交換樹脂Dowex 1x2 200−400を100μL使用した測定容器(以下、「標準測定容器」と称することがある)を用いた。
−夾雑金属イオンの固定化−
次に、添加する試料溶液の塩酸濃度が、試料溶液中の多種の金属イオンの陰イオン交換樹脂への固定化に与える影響を調べた。分析対象である水銀の固定化は、試料溶液の塩酸濃度にほとんど依存しないことが上記で示された。理想的には、水銀を除く金属イオンの固定化が起こらないことが望ましい。また、測定試料中の水銀以外のイオンが固定化されても、純水による洗浄によって除去が可能であれば、例えば、イムノアッセイなどによる水銀分析への影響は少ないと考えられる。
試料溶液の塩酸濃度として、0.1mM、1mM、10mM、0.1M、1Mについて検討した。各試料溶液には、金属イオンとして、前記多元素混合標準液を各金属イオンの濃度が100μg/Lとなるよう添加した。
試料溶液と同濃度の塩酸溶液(0.1mM〜1M)5mLを、前記標準測定容器の陰イオン交換樹脂に通液することでコンディショニングを行った後、5mLの試料溶液を前記標準測定容器の前記陰イオン交換樹脂に0.5mL/分間の通液速度で通液し、通液済みの試料溶液を採取し、ICP−AESによる分析に供した。各塩酸濃度の試料溶液の通液済み試料溶液の金属イオン濃度から求めた固定化率を図4に示す。
塩酸濃度が低い場合(0.1mM)、カドミウムイオンの固定化率は0%であり、鉄イオンの固定化率は79.9%であった。一方、塩酸濃度が高い場合(0.1M)では、鉄イオンの固定化率は0%と抑制されたが、カドミウムイオンの固定化率は26.7%であった。更に塩酸濃度が高い場合(1M)では、鉄イオンの固定化率は0%と抑制されたが、カドミウムイオンの固定化率は81.5%であった。
塩酸濃度により各種金属イオンの固定化率が異なる、特に鉄イオンとカドミウムイオンの固定化率が異なる結果となった。そのため、試料溶液の夾雑金属イオンの種類により塩酸濃度を適宜選択することにより、その試料溶液に適した水銀分析前処理が可能であることが確認できた。
また、後工程である水銀分析の方法に応じて塩酸濃度を適宜選択すればよいことも確認できた。
例えば、後述の水銀分析としてのイムノアッセイにおいて抗体(Nx2C3抗体)を用いた場合、Nx2C3抗体はカドミウムイオンに対して顕著な結合性を有する点を考慮すると、カドミウムイオンの吸着が抑制された0.1mM〜10mM塩酸濃度の試料溶液を用いるほうが最も望ましい。
その一方で、Nx2C3抗体は鉄イオンに対しても、ある程度の結合性(カドミウムの1/3000程度)を有することから、洗浄により鉄イオンが十分に除去されない場合、イムノアッセイにおいて無視できない夾雑となる可能性がある。
そこで、固定化された金属イオン類の除去が洗浄により可能であるかを検討した。詳細は後述の「−洗浄による夾雑金属イオンの除去−」に記載する。
<洗浄工程>
洗浄工程における洗浄液には、Cd測定を迅速かつ簡便に検出、定量できるイムノクロマトグラフィーによる簡易迅速測定キット(カドミエール)において溶出液として用いられている純水を用いた。洗浄液の通液速度は0.5mL/分間とした。
−洗浄による水銀の固定化への影響−
まず、前記標準測定容器の陰イオン交換樹脂に固定化された水銀が純水による洗浄で脱離しないことを確かめた。
水銀濃度100μg/Lの0.1M塩酸溶液を試料溶液として、前記と同様の固定化工程を行った後、洗浄による陰イオン交換樹脂からの水銀の脱離を検討するために、洗浄として5mL純水の通液を5回繰り返した。そして、通液済みの各洗浄液の水銀の量を測定した。
各回の洗浄の際の、通液済みの洗浄液中の水銀量は最高でも0.3%であった。5回の洗浄の合計脱離量も0.6%であり、はじめに試料溶液として通液した水銀がカラムに対して100%固定化されていると仮定すると、洗浄後も99.4%の水銀が固定化された状態を維持しているとことが確認できた。以上から、純水を用いた洗浄は、少なくとも5回まで可能であることが示された。
−洗浄による夾雑金属イオンの除去−
前記「−夾雑金属イオンの固定化−」に用いた前記標準測定容器に対して、5mLの純水による洗浄を5回行い、各回の通液済みの洗浄液を採取し、ICP−AESによる分析に供し、洗浄により除去された金属イオンの割合から洗浄率を求めた。洗浄率は、試料として添加した各金属イオンに対する百分率として示した。固定化が確認された鉄イオン及びカドミウムイオンについての結果を図5A及び図5Bに示す。亜鉛イオンについての結果を図5Cに示す。
塩酸濃度0.1mMの試料溶液を通液した場合、前述のようにカドミウムイオンの固定化率は1%以下である一方、陰イオン交換樹脂に鉄イオンが固定化される(79.9%)ことが示されている。この固定化された鉄イオンの純水洗浄による除去を行った結果、5回の純水による洗浄の全てにおいて、洗浄率は4.7%〜5.8%であり、洗浄液中に鉄イオンが継続的に含まれることが確認できた(図5A)。
塩酸濃度0.1Mの試料溶液を通液した場合、カドミウムイオンの固定化率は26.7%であったが、この固定化されたカドミウムイオンの洗浄による除去を行った結果、1回目の純水洗浄によりカドミウムイオンの30.8%が除去された(図5B)。この量は、陰イオン交換樹脂中のカドミウムイオンのほぼ全量(26.7%)と等しく、1回以上の洗浄でカドミウムイオンの除去が可能であることが確認できた。
即ち、固定化工程において、カドミウムイオンが陰イオン交換樹脂に固定化されても、洗浄工程により容易に除去できることから、固定化工程における塩酸濃度は、0.1Mが好ましいことが確認できた。
また、塩酸濃度1Mの試料溶液を通液した場合、亜鉛イオンの固定化率は、43.7%であったが、この固定化された亜鉛イオンの洗浄による除去を行った結果、1回目の純水洗浄により亜鉛イオンの39%が除去され、2回目の純水洗浄により亜鉛イオンの3%が除去された(図5C)。この量は、陰イオン交換樹脂中の亜鉛イオンのほぼ全量(43.7%)と等しく、2回の洗浄で亜鉛イオンの除去が可能であることが確認できた。
<脱離工程>
−水銀の脱離−
陰イオン交換樹脂に固定化された水銀の脱離を確認した。水銀脱離溶液の通液速度は0.5mL/分間とした。
試料溶液としては、塩酸濃度が0.1Mの試料溶液(水銀濃度:100μg/L)を用いた。
水銀脱離溶液としては、トリス緩衝液、硝酸(0.004mM、0.4mM、40mM)、40mM硫酸、及びEDTA(エチレンジアミンテトラ酢酸)を含むトリス緩衝液(pH7.5)を用いた。EDTAとしては、濃度がそれぞれ10μM、100μMのEDTA−4Na、EDTA−4NHを用いた。また、水銀脱離溶液のpH調整時に用いる酸については、塩酸、硝酸の2通りで試験を行った。トリス緩衝液の濃度は50mMにした。
まず、前記標準測定容器に対して、0.1M塩酸5mLを通液してコンディショニング(通液工程)を行った後、前記試料溶液を5mL通液し、水銀を固定化させた。
続いて、各種の水銀脱離溶液を5mLずつ通液し、通液した水銀脱離溶液を採取し、陰イオン交換樹脂から脱離した水銀量を測定した。水銀量は、試料溶液として加えた水銀量に対する百分率で示した。各水銀脱離溶液を用いた場合の各回の脱離における水銀脱離率と、最終的に得られた総脱離水銀量を図6A〜図6Gに示す。
トリス緩衝液を用いた脱離工程では、1回目の脱離により、約93%の水銀が脱離された(図6A)。
硝酸又は硫酸を用いた脱離工程では、水銀脱離溶液として、0.4mM以下の硝酸を用いた場合には、水銀の脱離は確認できなかったが、40mM硝酸を用いた場合には、1回目の脱離で55.7%の水銀が脱離し、2回目までの脱離で約98.7%の水銀が脱離された(図6B)。また、40mM硫酸を用いた場合でも、硝酸とほぼ同様の脱離挙動を示し、2回目までの脱離で約99.2%の水銀が脱離された(図6C)。
EDTAを含むトリス緩衝液では、EDTAの種類と濃度による脱離挙動の差異はなかったが、pH調整に用いた酸によって顕著な差異が確認された。具体的には、塩酸でpH調整を行った水銀脱離溶液(EDTAを含むトリス緩衝液)では、1回目〜3回目の脱離まで20.0%〜30.0%の平均的な脱離を示し、5回目までの脱離においても水銀の脱離率は85.3%〜90.7%に留まった(図6D及び図6E)。一方、硝酸でpH調整を行った水銀脱離溶液(EDTAを含むトリス緩衝液)では、EDTAの種類と濃度(10μM、100μM)に関わらず、1回目の脱離で75.6%〜79.9%の水銀が脱離し、2回目までの脱離で94.3%〜97.5%の水銀が脱離された(図6F及び図6G)。
脱離工程における水銀の脱離についてまとめると、トリス緩衝液、40mM硝酸、40mM硫酸、及びEDTAを含み硝酸でpH調整を行ったトリス緩衝液の4種類の水銀脱離溶液を用いた場合、比較的迅速(2回目までの脱離で)に固定化した水銀の全量脱離が可能であった。また、硝酸によりpH調整を行ったトリス緩衝液の最終的な硝酸濃度は36mM〜40mMであった。更に、0.4mM以下の硝酸では、水銀の脱離が確認できなかった。これらのことから、水銀脱離溶液中の硝酸の濃度に関しては、一定以上であることが陰イオン交換樹脂からの水銀の脱離において重要であることが確認できた。
EDTAを含むトリス緩衝液は、水銀分析に抗体を用いる場合、pH調整やEDTAを新たに添加することなく、抗体と混合することで水銀分析が可能であることから、水銀分析においてイムノアッセイを行う際に特に適する。
以後の検討では、脱離条件は、水銀脱離溶液を10μM EDTA−4Naを含む50mMトリス緩衝液(pH7.5、硝酸による調整)とし、通液回数は2回(5mL×2回)とした。なお、水銀脱離溶液中のEDTAは、液中の硝酸等の陰イオンの存在に関わらず、脱離時又は脱離後に速やかに水銀と反応し、水銀−EDTA錯体を形成すると考えられる。
−夾雑金属イオンの脱離−
脱離工程における夾雑金属イオンの脱離について評価した。
前記「−夾雑金属イオンの固定化−」を行った前記標準測定容器の陰イオン交換樹脂に対して、5mLの純水による洗浄を3回行い、5mLの水銀脱離溶液(10μM EDTA−4Naを含む50mMトリス緩衝液(pH7.5、硝酸による調整))を2回通液し、各回の水銀脱離溶液(各5mL)をICP−AESによる分析に供した。各塩酸濃度(0.1mM、0.1M)の試料溶液を用いた場合の、水銀脱離溶液による水銀を除く金属イオンの脱離率を図7A及び図7Bに示す。
塩酸濃度0.1mMの試料溶液を通液した場合、洗浄により除去されなかった鉄イオンが、水銀脱離溶液中に20%程度含まれることが示された(図7A)。本実施例で用いた夾雑金属イオンの濃度は100μg/Lと比較的小さいものの、実際の環境試料では数mg/L(ppm)オーダーでの存在の可能性も考えられる。そのため、塩酸濃度0.1mMの場合には、鉄イオンの除去が可能な他の前処理との組合せ、及び、本前処理後の水銀分析において鉄イオンの存在が影響されない分析方法の選択が好ましい。
一方、塩酸濃度0.1Mの試料溶液を通液した場合、カドミウムイオンを含む全ての夾雑金属イオンが、試料溶液の通液と1回の純水による洗浄の工程において除去され、水銀脱離溶液に含まれないことが確認された(図7B)。
以上から、本発明の水銀分析前処理方法の好適な態様、特に水銀分析にイムノアッセイを用いる場合の本発明の水銀分析前処理方法の好適な態様が以下のようであることが確認できた。
試料溶液の塩酸濃度:5mM〜0.5M(より好ましくは10mM〜0.1M)
試料溶液量:1mL〜10mL(より好ましくは3mL〜7mL)×1回
純水による洗浄:1mL〜10mL(より好ましくは3mL〜7mL)×1回〜3回
水銀脱離溶液:EDTA−4Naを含むトリス緩衝液(硝酸にてpH調整)
水銀脱離溶液のEDTA濃度:5μM〜500μM(より好ましくは10μM〜100μM)
水銀脱離溶液量:1mL〜10mL(より好ましくは3mL〜7mL)×2回
<定量工程1>
−定量手段及び測定原理−
水銀の定量は、水銀−EDTA錯体に結合する抗体としてモノクローナル抗体Nx2C3を用いたマイクロイムノアッセイにより行った。
2次抗体として、金コロイド標識抗体(金コロイド粒径20nm)を用いた。カドウミウム−EDTA錯体を抗原として固定化した担体粒子(固相担体)を用いた。前記2次抗体及び前記担体粒子は、既報(伊達安基,寺門真吾,佐々木和裕,青田新,松本伯夫,大村直也:電力中央研究所報告 V10030 (2011))の「2.3 金コロイド標識抗体および担体粒子の調整」及び前記既報に記載の文献(佐々木和裕ら,分析化学,56,29−36(2007)、佐々木和裕ら,電力中央研究所報告 V08007 (2009)、K. Sasakiら,Anal. Chem.,81,4005−4009(2009)、及びJ. M. Martinら、J. Immunoassy,11,31−47(1990))に従い調製した。
担体粒子の調製方法は、具体的には、以下の通りである。担体粒子としてPMMA粒子(GM−100SA,粒径100μm、ガンツ化成株式会社製)を用い、担体粒子にBSA(ウシ血清アルブミン)を物理吸着させた後、アミノ基と結合するキレート分子(ITCB(イソチオシアノベンジル)−EDTA)を結合させた。測定時には、担体粒子の懸濁液に塩化カドミウム溶液を終濃度2mMになるよう添加し、金属錯体を形成させることでNx2C3抗体が結合する固相担体とした。
前記マイクロイムノアッセイの概要図と原理を図8A〜図8Cに示す。マイクロイムノアッセイは、結合除外効果に基づくフロー式イムノアッセイの原理をマイクロ流路に適用したもので、迅速かつ高精度な測定が可能である。
前記マイクロ流路は、図8A及び図8Bに示すように、通液用の主流路と、前記主流路中に設けられた測定部位と、前記測定部位に固相担体(担体粒子)を導入する担体導入用の副流路とを有する。前記測定部位の両端部には、担体粒子がその他の主流路に流れ出ないように、50μm間隔で100μm幅の堰が設けられている。
前記マイクロイムノアッセイでは、前記マイクロ流路の測定部位に充填された前記担体粒子に対して抗原(水銀−EDTA)と抗体の平衡液である測定液を通液した後、前記担体粒子上に捕捉された抗体を吸光度で測定するために、金コロイド標識した2次抗体溶液を通液した。測定溶液は、前記水銀脱離溶液と抗体溶液(100倍濃度)を混合することで調製した。測定溶液のブロッキング試薬(N101,日油社製)の濃度は1質量%とした。前記マイクロイムノアッセイは、既報(伊達安基,寺門真吾,佐々木和裕,青田新,松本伯夫,大村直也:電力中央研究所報告 V10030 (2011))に準じた方法により行い、前記既報に記載のマイクロ流体デバイス(マイクロ流路)と、フロー式吸光度計とを用いて測定を行った(図8C参照)。
−水銀の定量−
−−試料溶液の調製、及び前処理条件−−
本定量工程に用いる測定試料は、以下の方法により調製した。
まず、各金属イオンが100μg/Lとなるよう多元素標準液を添加した0.1M塩酸を用い、各濃度(0μg/L,0.5μg/L,1μg/L,3μg/L,5μg/L,10μg/L,50μg/L)の水銀を含む試料溶液を調製した。
そして、下記の最適条件にて、各濃度の水銀を含む試料溶液を、通液工程、固定化工程、洗浄工程、及び脱離工程を含む本発明の水銀分析前処理方法により前処理し、脱離工程後の水銀脱離溶液を採取した。
容器:5mLシリンジ
陰イオン交換樹脂:Dowex 1x2 200−400、100μL
試料溶液の塩酸濃度:0.1M
試料溶液量及び通液回数:5mL×1回
洗浄液:純水
洗浄液量及び通液回数:5mL×3回
水銀脱離溶液:10μM EDTA−4Naを含む50mMトリス緩衝液(pH7.5、硝酸による調整)
水銀脱離溶液量及び通液回数:5mL×2回
−マイクロイムノアッセイ−
前記マイクロイムノアッセイによる測定条件は、既報(伊達安基,寺門真吾,佐々木和裕,青田新,松本伯夫,大村直也:電力中央研究所報告 V10030 (2011))に従い行った。
前記マイクロ流路内の測定部位に、抗原(カドミウム−EDTA)を固定化した担体粒子を測定部位に充填し、続いて、抗体を含む測定溶液(前記水銀脱離溶液を含む)を通液した。測定溶液の抗体濃度は100pM、送液速度は400μL/min、送液量は2mLとした。また、測定溶液の送液に続いて、4nM金コロイド標識抗体を2次抗体溶液として送液速度400μL/min、送液量2mLで送液した。
担体粒子に捕捉された未反応抗体の捕捉量を、抗体に標識した金コロイドを利用して光学的に測定した。試料溶液中の水銀濃度と、測定された相対信号値との関係を図9に示す。
測定範囲を相対信号値が10%〜90%の範囲と定義すると、測定範囲は、0.5μg/L〜7.0μg/Lであった。重金属を対象とした従来のイムノアッセイでは測定範囲は2桁以上であった(佐々木和裕ら:分析化学(Bunsekikagaku),56,29−36(2007)、及び伊達安基ら:電力中央研究所報告 V10030(2011))が、本結果では測定範囲は1桁程度であった。また、水銀が含まれていない試料を繰り返し測定した場合の標準偏差の3倍を100%から差し引いた相対信号値に相当する水銀濃度を検出下限とすると、0.6μg/Lであった。また、検出下限値の5倍を定量下限とすると、3.2μg/Lであった。これらの検出下限値及び定量下限値は、廃棄物処理法が定める特別管理産業廃棄物(溶出)、及び水質汚濁防止法が定める公共水域への排水の水銀に係る基準値(5μg/L)を満足した。
<定量工程2>
固定化工程における試料溶液の量を増加させ、水銀脱離溶液に水銀が濃縮されるようにして前処理を行い、その前処理後の水銀脱離溶液を用いて定量工程を行った。
具体的には、前記定量工程1において、試料溶液の通液回数を以下の通液回数に変更した以外は、前記定量工程1と同様にして、定量工程を行い、試料溶液中の水銀濃度と測定された相対信号値との関係を求めた。結果を図9に示す。
試料溶液量及び通液回数:5mL×10=50mL
試料溶液量を増加させ、水銀脱離溶液に水銀を濃縮させることにより、高感度化できることが確認できた。
測定範囲を相対信号値が10%〜90%の範囲と定義すると、測定範囲は、0.1μg/L〜1.9μg/Lであった。また、水銀が含まれていない試料を繰り返し測定した場合の標準偏差の3倍を100%から差し引いた相対信号値に相当する水銀濃度を検出下限とすると、0.1μg/Lであった。また、検出下限値の5倍を定量下限とすると、0.7μg/Lであった。これらの検出下限値及び定量下限値は、廃棄物処理法が定める特別管理産業廃棄物(溶出)、及び水質汚濁防止法が定める公共水域への排水の水銀に係る基準値(5μg/L)を充分に満足し、更に検出下限値は世界的に最も厳しい日本の飲料水に係る水銀基準値(0.5μg/L、厚生労働省令新水質基準及び検査項目(基準51項目・平成20.03.25発令)・水質管理目標)を満足した。
(実施例2)
種々の水銀脱離溶液を用いて、脱離工程を行った。
脱離工程は、実施例1の「−水銀の脱離−」において、水銀脱離溶液を以下の水銀脱離溶液に代えた以外は、実施例1の「−水銀の脱離−」と同様にして行った。結果を図10A〜図10Eに示す。
〔水銀脱離溶液〕
(1)50mMトリス緩衝液(図10A)
(10μM又は100μmM EDTA−Na、硫酸、pH7.5)
(2)50mMトリス緩衝液(図10B)
(10μM又は100μmM EDTA−Na、リン酸、pH7.5)
(3)100mMトリス緩衝液(図10C)
(10μM又は100μmM EDTA−Na、約80mM HNO、pH7.5)
(4)500mMトリス緩衝液(図10D)
(10μM又は100μmM EDTA−Na、約400mM HNO、pH7.5)
(5)リン酸緩衝生理食塩水(PBS)(10μM又は100μmM EDTA−Na)(図10E)
これらいずれの水銀脱離溶液も使用可能であることが確認できた。
また、水銀脱離溶液として用いるトリス緩衝液の濃度は、50mM以上が好ましく、100mM以上がより好ましいことが確認できた。
(実施例3)
通液速度を変化させて実験を行った。
<試薬>
・陰イオン交換樹脂:DowexTM 1x2,The Dow Chemical Company(2質量%ジベニルベンゼンを含む強塩基性陰イオン交換樹脂)、和光純薬工業株式会社製
粒径分布:
DowexTM 1x2 200−400(粒径約40μm〜75μm)
・無灰定量濾紙:B5、アドバンテック株式会社製
・水銀標準溶液:Hg100mg/L in 0.1M HNO、和光純薬工業株式会社製
・多元素混合標準液:Multielement Standard Solution W−VI、和光純薬工業株式会社製
0.1M HNO中の含有量は以下の通りである。
Al:100mg/L
Ca:100mg/L
Cd:100mg/L
Cr:100mg/L
Cu:100mg/L
Fe:100mg/L
Mg:100mg/L
Mn:100mg/L
Pb:100mg/L
Zn:100mg/L
・純水:純水製造装置(Millipore)を用いて調整した超純水
<測定機器>
測定試料中の水銀濃度の分析には、還元気化式原子吸光装置(Hg−200、平沼産業株式会社製)を用いた。
水銀を除く他の金属イオンの分析には、誘導結合プラズマ発光分析装置(ICP−AES、バリアンテクノロジーズジャパンリミテッド株式会社製)を用いた。ICP−AESによる分析における各金属の分析波長は、以下のようにした。
Mn:257.610nm
Mg:279.553nm
Fe:238.204nm
Zn:213.857nm
Cd:214.439nm
Cu:324.754nm
<水銀分析前処理方法の例(その1)>
吸引力を利用して通液速度を変え、水銀分析前処理方法を実施した。
この実施例における実験操作のフローを以下に示す。
(1)測定容器の作製
(陰イオン交換樹脂:DowexTM 1x2 200−400,100μL)
(2)コンディショニング(100mM HCl、5mL)
(3)吸引力を利用した試料溶液の通液
(試料溶液:100mM HCl、10μg/L HgCl
(4)洗浄(純水、15mL)
(5)脱離(50mM Tris−HNO(pH7.5)+10μM EDTA,10mL)
−陰イオン交換樹脂入り容器(測定容器)の作製−
5mLシリンジ(テルモ株式会社製)を容器として用いた。前述の種類、及び量の陰イオン交換樹脂を容器内に入れ、添加する溶液で陰イオン交換樹脂が分散しないようにするため、直径13mmに打貫いた円形の無灰定量濾紙を用いて陰イオン交換樹脂を挟み込む構造とした。
具体的な作製方法を以下に述べる。まず、ピストンを除いた前記5mLシリンジに、円形の前記無灰定量濾紙を挿入し、軽く押すことで前記無灰定量濾紙を底部に固定した。次に、純水に懸濁した陰イオン交換樹脂(純水:陰イオン交換樹脂=1:1(体積比))をピペットで均等な厚みになるよう前記5mLシリンジ内に導入した。最後に、円形の無灰定量濾紙を挿入し、軽く押すことで前記陰イオン交換樹脂を濾紙の間に挟み込み、陰イオン交換樹脂入り容器を得た。
−吸引力を利用した試料溶液の通液、及び陰イオン交換樹脂への水銀の固定化−
吸引力を利用して、試料溶液の通液速度を上げて通液させた。
具体的には、図11に示すように、陰イオン交換樹脂2入り容器(シリンジ)1の先に吸引部材4(Visiprep SPE Vacuum Manifold standard, 12−port model,SUPELCO社製)を取り付けた。続いて、前記シリンジ内に試料溶液5mLを入れ、表1に示す圧力設定下で、吸引部材4により吸引をして通液を行った。その際の通液速度を表1、及び図12に示す。圧力を制御することで、精度よく通液速度を制御できることが確認できた。
吸引部材を用いて試料溶液の通液速度を変化させて、試料溶液中の水銀を陰イオン交換樹脂に固定し、前述の方法で固定化率を測定した。結果を図13に示す。通液速度が5.83mL/minでは固定化率がほぼ100%となり、非常に良い結果が得られた。
−吸引力を利用した通液による陰イオン交換樹脂からの水銀の脱離−
吸引部材を用いて水銀脱離溶液の通液速度を変化させて、水銀が固定化された陰イオン交換樹脂から水銀を脱離させ、前述の方法で脱離率を測定した。結果を図14に示す。通液速度が5.83mL/minでは脱離率が95%となり、非常に良い結果が得られた。
−夾雑金属の除去−
以下の実験操作を行い、通液速度を5.8mL/minにした場合に、夾雑金属が水銀脱離溶液に混入されているかどうかを確認した。夾雑金属の混入には、前記多元素混合標準液を用いた。結果を表2に示す。
この実験における操作のフローを以下に示す。
(1)試料溶液の通液(通液速度5.8mL/min)
(試料溶液:100mM HCl、夾雑金属含有量100ppb)
(2)洗浄(純水、15mL、通液速度5.8mL/min)
(3)脱離(50mM Tris−HNO(pH7.5)+10μM EDTA,10mL、通液速度5.8mL/min)
(4)水銀脱離溶液のICP分析
表2の結果から、試料溶液、洗浄水、及び水銀脱離溶液の通液速度を速くした場合でも、水銀脱離溶液には夾雑金属がほとんど含まれていないことが確認できた。
なお、試料溶液、洗浄水、及び水銀脱離溶液の通液速度を5.8mL/minで行うと、約6分間という短時間で、水銀分析前処理方法を行うことができる。
<水銀分析前処理方法の例(その2)>
前記(その1)とは異なる方法により、吸引力を利用して通液速度を変え、水銀分析前処理方法を実施した。
この実施例における実験操作のフローを以下に示す。
(1)測定容器の作製
(陰イオン交換樹脂:DowexTM 1x2 200−400,100μL)
(2)コンディショニング(100mM HCl、5mL)
(3)吸引力を利用した試料溶液の通液
(試料溶液:100mM HCl、10μg/L HgCl
(4)洗浄(純水、15mL)
(5)脱離(50mM Tris−HNO(pH7.5)+10μM EDTA,10mL)
−陰イオン交換樹脂入り容器(測定容器)の作製−
図15に示す容器1を用いた。この容器1は、上部部材1a及び下部部材1bからなり陰イオン交換樹脂2を充填した際に、陰イオン交換樹脂2の移動が拘束され、陰イオン交換樹脂2の充填密度をほとんど変化させない容積となっている。
前述の種類、及び量の陰イオン交換樹脂2を容器1内に入れ、直径13mmに打貫いた円形の無灰定量濾紙(濾紙3)を用いて陰イオン交換樹脂2を挟み込む構造とした。
−吸引力を利用した試料溶液の通液、及び陰イオン交換樹脂への水銀の固定化−
吸引力を利用して、試料溶液の通液速度を上げて通液させた。
具体的には、図15に示すように、陰イオン交換樹脂2入り容器1の上部の開口にシリンジ5を取り付け、下部の開口に吸引部材4(Visiprep SPE Vacuum Manifold standard, 12−port model,SUPELCO社製)を取り付けた。続いて、シリンジ5内に試料溶液5mLを入れ、表3に示す圧力設定下で、吸引部材4により吸引をして通液を行った。その際の通液速度を表3、及び図16に示す。圧力を制御することで、精度よく送液速度を制御できることが確認できた。
吸引部材を用いて試料溶液の通液速度を変化させて、試料溶液中の水銀を陰イオン交換樹脂に固定し、前述の方法で固定化率を測定した。結果を図17に示す。通液速度が2.37mL/min、3.44mL/minでは固定化率が90%以上となり、非常に良い結果が得られた。
−吸引力を利用した通液による陰イオン交換樹脂からの水銀の脱離−
吸引部材を用いて水銀脱離溶液の通液速度を変化させて、水銀が固定化された陰イオン交換樹脂から水銀を脱離させ、前述の方法で脱離率を測定した。結果を図18に示す。通液速度が7.67mL/min以下では脱離率が96%以上となり、非常に良い結果が得られた。
−夾雑金属の除去−
以下の実験操作を行い、夾雑金属が水銀脱離溶液に混入されているかどうかを確認した。夾雑金属の混入には、前記多元素混合標準液を用いた。結果を表4に示す。
この実験における操作のフローを以下に示す。
(1)試料溶液の通液(通液速度3.44mL/min)
(試料溶液:100mM HCl、夾雑金属含有量100ppb)
(2)洗浄(純水、15mL、通液速度7.66mL/min)
(3)脱離(50mM Tris−HNO(pH7.5)+10μM EDTA,10mL、通液速度7.66mL/min)
(4)水銀脱離溶液のICP分析
表4の結果から、試料溶液、洗浄水、及び水銀脱離溶液の通液速度を速くした場合でも、水銀脱離溶液には夾雑金属がほとんど含まれていないことが確認できた。
<実施例3のまとめ>
実施例3で行ったように、吸引力を利用して通液を行うことで、通液速度を速くできた。そのことにより、精度を低下させずに水銀分析前処理方法の時間を短縮できた。具体的には、試料溶液、洗浄水、及び水銀脱離溶液の通液に吸引力を利用せず、重力による通液のみの場合(例えば、実施例1の場合)と比較して、吸引力を利用して通液速度を5.8mL/minで行った場合には、1/10の時間で水銀分析前処理方法を行うことができた。
(実施例4)
陰イオン交換樹脂へ通液する試料溶液の量、及び試料溶液における水銀の濃度を変化させて、水銀分析前処理方法を行った。
この実施例における実験操作のフローを以下に示す。なお、容器は、図11示す容器を用いた。吸引部材を用い、試料溶液、洗浄水、及び水銀脱離溶液の通液速度を5.8mL/minにして実験を行った。結果を図19に示す。なお、図19における各データは、3回の平均値である。
(1)測定容器の作製
(陰イオン交換樹脂:DowexTM 1x2 200−400,100μL)
(2)コンディショニング(100mM HCl、5mL)
(3)吸引力を利用した試料溶液の通液
(試料溶液:100mM HCl、HgCl
(4)洗浄(純水、15mL)
(5)脱離(50mM Tris−HNO(pH7.5)+10μM EDTA,10mL)
試料溶液における水銀濃度が1μg/L〜10μg/Lの範囲、及び試料溶液量が5mL〜100mLの範囲では、陰イオン交換樹脂への水銀の固定化、及び陰イオン交換樹脂に固定された水銀の水銀脱離溶液への脱離に大きな変化はなかった。即ち、試料溶液の量を多くしても、水銀脱離溶液(10mL)への水銀の脱離がほぼ同じ割合で起こることから、水銀の濃縮が可能であることが確認できた。
−夾雑金属の除去−
以下の実験操作を行い、試料溶液量を変化させた場合に、夾雑金属が水銀脱離溶液に混入されていないこと(除去率)を確認した。結果を表5に示す。
この実験における操作のフローを以下に示す。
(1)試料溶液の通液(通液速度5.8mL/min)
(試料溶液:100mM HCl、夾雑金属含有量100ppb)
(2)洗浄(純水、15mL、通液速度5.8mL/min)
(3)脱離(50mM Tris−HNO(pH7.5)+10μM EDTA,10mL、通液速度5.8mL/min)
(4)水銀脱離溶液のICP分析
表5の結果から、試料溶液の量を多くした場合でも、水銀脱離溶液には夾雑金属がほとんど含まれていないことが確認できた。
<実施例4のまとめ>
試料溶液の量を多くした場合でも、水銀脱離溶液(10mL)への水銀の脱離がほぼ同じ割合で起こり、かつ水銀脱離溶液には夾雑金属がほとんど含まれていないことから、水銀の濃縮が可能であることが確認できた。
(実施例5)
試料溶液の量を変化させて水銀分析前処理方法を行い、その結果で得られた、水銀を含有する水銀脱離溶液の水銀の定量を、水銀−EDTA錯体に結合する抗体としてモノクローナル抗体Nx2C3を用いたマイクロイムノアッセイにより行った。マイクロイムノアッセイの方法の詳細は、実施例1の定量工程1と同じである。
この実施例における実験操作のフローを以下に示す。なお容器は、図11示す容器を用いた。吸引部材を用い、試料溶液、洗浄水、及び水銀脱離溶液の通液速度を5.8mL/minにして実験を行った。
(1)測定容器の作製
(陰イオン交換樹脂:DowexTM 1x2 200−400,100μL)
(2)コンディショニング(100mM HCl、5mL)
(3)吸引力を利用した試料溶液の通液
(試料溶液:100mM HCl、HgCl(任意の量)、5mL〜100mL)
(4)洗浄(純水、15mL)
(5)脱離(50mM Tris−HNO(pH7.5)+10μM EDTA,10mL)
検量線を作成するために、水銀を種々の濃度(0.01μg/L、0.04μg/L、0.1μg/L、0.4μg/L、1μg/L、4μg/L、10μg/L)で含み、かつ100μg/Lとなるよう各種の夾雑金属を添加した100mM塩酸を試料溶液として調製した。続いて、異なる量(5mL、10mL、50mL、100mL)の試料溶液を用い水銀分析前処理を行い、続くイムノアッセイにより検量線を作成した。
結果を図20に示す。それぞれの実験条件(試料溶液量)において、シグモイド型の検量線が得られ、抗原抗体反応に対する夾雑金属等による阻害がないことが示された。
表6に各条件における検出下限値を示す。50mLの試料溶液を用いた場合の検出下限値(0.12μg/L)、及び100mLの試料溶液を用いた場合の検出下限値(0.04μg/L)は、飲料水に係る我が国の水銀基準値(0.5μg/L、厚生労働省令新水質基準及び検査項目(基準51項目・平成20.03.25発令)・水質管理目標)を分析できる極めて低い値であった。
表6中の検出下限値は、3σ法(σ:ブランクの標準偏差)により算出した。
(実施例5)
<標準環境試料の分析>
標準環境試料を対象として、水銀分析前処理方法を実施し、続いてイムノアッセイを用いた水銀の定量分析を行った。また、それぞれの標準試料に含まれる水銀の量は既知であることから、水銀分析前処理に供する試料溶液の体積は、検量線(図20)を参考として、十分な精度での定量が可能な範囲(測定範囲 IC80−IC20)に入るよう選択した。
−河川水試料の分析−
標準試料である無機分析用河川水認証物質(JSAC0301−2)に対して、0.5μg/L(環境基準値)となるよう水銀を添加し50mLの試料溶液を調製した。
上記で調製した試料溶液を用いて本発明の水銀分析を行った。この実施例における実験操作のフローを以下に示す。なお、容器は、図11示す容器を用いた。吸引部材を用い、試料溶液、洗浄水、及び水銀脱離溶液の通液速度を5.8mL/minにして実験を行った。
(1)測定容器の作製
(陰イオン交換樹脂:DowexTM 1x2 200−400,100μL)
(2)コンディショニング(100mM HCl、5mL)
(3)吸引力を利用した試料溶液の通液
(試料溶液:50mL)
(4)洗浄(純水、15mL)
(5)脱離(50mM Tris−HNO(pH7.5)+10μM EDTA,10mL)
(6)イムノアッセイによる定量(実施例1の定量工程1と同じ方法)
イムノアッセイによる定量は検量線を用いて行い、5回の分析値の平均値から回収率を算出した。結果を表7に示す。また、図21に測定結果と検量線の関係を示す。5回の測定値の平均値から算出された水銀濃度は0.47μg/Lであった。添加した水銀量に対する分析の回収率は94.3±9.4%と高い精度であったことから、本発明の水銀分析方法は、環境基準値(0.5μg/L)付近における河川水試料の水銀分析に有用であることが示された。また、同様の組成を有する水道水等についても、分析可能であると考えられる。
−土壌試料の分析−
「環境省告示19号,土壌含有量調査に係る測定方法を定める件」(平成15年03月06日)に準じた方法で調製した検液を機器分析に供したところ、水銀の含有量は(0.61±0.08mg/kg)であった。この値は、標準物質(JSAC0402)の認証値(0.6±0.1mg/kg)とよく一致していた。このことから、調製された検液が妥当であることが示された。
水銀分析に用いる試料溶液として調製した検液10mLを用いた以外は、上記「河川水試料の分析」と同じ条件で水銀分析を行った。
表8に結果を示す。また、図22に測定結果と検量線の関係を示す。5回の測定値の平均値から算出されたイムノアッセイの測定溶液中の水銀定量値は1.65μg/Lであった。ここで、検液調製時の固液比、水銀分析前処理の際の濃縮率等から測定された土壌の水銀含有量を計算した結果、土壌試料の水銀含有量は0.55±0.12mg/kgと算出された。予め測定していた機器による分析値(0.61mg/kg)と比較して、比較的良好な分析の回収率(90.2±6.8%)を得た。
−石炭灰試料の分析(模擬溶出試験)−
「環境庁告示13号,産業廃棄物に含まれる金属等の検定方法」(昭和48年02月17日」に準じた方法で調製した検液を機器分析に供したところ、検液には水銀は含まれなかった(検出下限値以下)。そこで、5μg/L(廃棄物処理法の管理型埋立における溶出量基値)となるよう水銀を添加し、検液に含まれる水銀の定量性を評価した。
調製した検液を水銀分析前処理に用いる適当な試料溶液量として5mL用いた以外は、上記「河川水試料の分析」と同じ条件で水銀分析を行った。
結果を表9に示す。また、図23に測定結果と検量線の関係を示す。5回の測定値の平均値から算出された水銀濃度は5.2μg/Lであった。ここで、添加した水銀量(5μmg/L)に対する分析の回収率は104.8±5.8%であり、廃棄物処理法の管理型埋立における溶出量基値(5μg/L,検液中)付近における分析の定量性が示された。
本発明の水銀分析前処理方法、及び水銀分析前処理装置は、水銀と水銀以外の金属とを含有する液から、前記水銀と前記水銀以外の金属とを分離できることから、水銀分析の前処理方法、及び前処理装置として好適に用いることができる。
本発明の態様は、例えば、以下の通りである。
<1> 水銀及び水銀以外の金属を含有する試料溶液から前記水銀と前記水銀以外の金属とを分離する水銀分析前処理方法であって、
前記試料溶液を、陰イオン交換樹脂に通液し、少なくとも前記水銀を前記陰イオン交換樹脂に固定化する固定化工程と、
続いて、前記陰イオン交換樹脂を洗浄水により洗浄し、前記水銀以外の金属を前記陰イオン交換樹脂から除去する洗浄工程と、
続いて、前記陰イオン交換樹脂から前記水銀を脱離させる水銀脱離溶液を前記陰イオン交換樹脂に通液し、前記水銀を前記陰イオン交換樹脂から脱離する脱離工程とを含むことを特徴とする水銀分析前処理方法である。
<2> 水銀脱離溶液が、緩衝剤を含有する前記<1>に記載の水銀分析前処理方法である。
<3> 水銀脱離溶液が、更に水銀をキレートして水銀錯体を形成するキレート剤を含有する前記<2>に記載の水銀分析前処理方法である。
<4> 水銀脱離溶液が、硝酸、硫酸及びリン酸の少なくともいずれかを含有する前記<1>から<3>のいずれかに記載の水銀分析前処理方法である。
<5> 水銀脱離溶液が、硝酸及び硫酸の少なくともいずれかを含有する前記<1>から<4>のいずれかに記載の水銀分析前処理方法である。
<6> 固定化工程における試料溶液の通液、洗浄工程における陰イオン交換樹脂への洗浄水の通液、及び脱離工程における水銀脱離溶液の通液の少なくともいずれかが吸引部材を用いて行われる前記<1>から<5>のいずれかに記載の水銀分析前処理方法である。
<7> 水銀及び水銀以外の金属を含有する試料溶液から前記水銀と前記水銀以外の金属とを分離する水銀分析前処理装置であって、
前記試料溶液を、陰イオン交換樹脂に通液し、少なくとも前記水銀を前記陰イオン交換樹脂に固定化する固定化手段と、
前記陰イオン交換樹脂を洗浄水により洗浄し、前記水銀以外の金属を前記陰イオン交換樹脂から除去する洗浄手段と、
前記陰イオン交換樹脂から前記水銀を脱離させる水銀脱離溶液を前記陰イオン交換樹脂に通液し、前記水銀を前記陰イオン交換樹脂から脱離する脱離手段とを有することを特徴とする水銀分析前処理装置である。
<8> 緩衝剤を含有し、水銀が固定化された陰イオン交換樹脂から水銀を脱離させるために用いられることを特徴とする水銀脱離溶液である。
<9> 更に、水銀をキレートして水銀錯体を形成するキレート剤を含有する前記<8>に記載の水銀脱離溶液である。
<10> キレート剤が、エチレンジアミン四酢酸である前記<9>に記載の水銀脱離溶液である。
<11> 緩衝剤が、トリスヒドロキシメチルアミノメタンである前記<8>から<10>のいずれかに記載の水銀脱離溶液である。
<12> 前記<1>から<6>のいずれかに記載の水銀分析前処理方法と、
前記水銀分析前処理方法により水銀以外の金属から分離された水銀を定量する定量工程とを含むことを特徴とする水銀分析方法である。
<13> 定量工程が、抗体を用いた免疫学的検定により水銀を定量する前記<12>に記載の水銀分析方法である。
<14> 抗体が、受託番号FERM P−19703として寄託されているハイブリドーマから産生されたモノクローナル抗体である前記<13>に記載の水銀分析方法である。
<15> 前記<7>に記載の水銀分析前処理装置と、
前記水銀分析前処理装置により水銀以外の金属から分離された水銀を定量する定量手段とを有することを特徴とする水銀分析装置である。
1 容器
2 陰イオン交換樹脂
3 濾紙
4 吸引部材
5 シリンジ

Claims (11)

  1. 水銀及び水銀以外の金属を含有する試料溶液から前記水銀と前記水銀以外の金属とを分離する水銀分析前処理方法であって、
    前記試料溶液を、陰イオン交換樹脂に通液し、少なくとも前記水銀を前記陰イオン交換樹脂に固定化する固定化工程と、
    続いて、前記陰イオン交換樹脂を洗浄水により洗浄し、前記水銀以外の金属を前記陰イオン交換樹脂から除去する洗浄工程と、
    続いて、前記陰イオン交換樹脂から前記水銀を脱離させる水銀脱離溶液を前記陰イオン交換樹脂に通液し、前記水銀を前記陰イオン交換樹脂から脱離する脱離工程とを含むことを特徴とする水銀分析前処理方法。
  2. 水銀脱離溶液が、緩衝剤を含有する請求項1に記載の水銀分析前処理方法。
  3. 水銀脱離溶液が、硝酸及び硫酸の少なくともいずれかを含有する請求項1から2のいずれかに記載の水銀分析前処理方法。
  4. 固定化工程における試料溶液の通液、洗浄工程における陰イオン交換樹脂への洗浄水の通液、及び脱離工程における水銀脱離溶液の通液の少なくともいずれかが吸引部材を用いて行われる請求項1から3のいずれかに記載の水銀分析前処理方法。
  5. 水銀及び水銀以外の金属を含有する試料溶液から前記水銀と前記水銀以外の金属とを分離する水銀分析前処理装置であって、
    前記試料溶液を、陰イオン交換樹脂に通液し、少なくとも前記水銀を前記陰イオン交換樹脂に固定化する固定化手段と、
    前記陰イオン交換樹脂を洗浄水により洗浄し、前記水銀以外の金属を前記陰イオン交換樹脂から除去する洗浄手段と、
    前記陰イオン交換樹脂から前記水銀を脱離させる水銀脱離溶液を前記陰イオン交換樹脂に通液し、前記水銀を前記陰イオン交換樹脂から脱離する脱離手段とを有することを特徴とする水銀分析前処理装置。
  6. 緩衝剤を含有し、水銀が固定化された陰イオン交換樹脂から水銀を脱離させるために用いられることを特徴とする水銀脱離溶液。
  7. 緩衝剤が、トリスヒドロキシメチルアミノメタンである請求項6に記載の水銀脱離溶液。
  8. 請求項1から4のいずれかに記載の水銀分析前処理方法と、
    前記水銀分析前処理方法により水銀以外の金属から分離された水銀を定量する定量工程とを含むことを特徴とする水銀分析方法。
  9. 定量工程が、抗体を用いた免疫学的検定により水銀を定量する請求項8に記載の水銀分析方法。
  10. 抗体が、受託番号FERM P−19703として寄託されているハイブリドーマから産生されたモノクローナル抗体である請求項9に記載の水銀分析方法。
  11. 請求項5に記載の水銀分析前処理装置と、
    前記水銀分析前処理装置により水銀以外の金属から分離された水銀を定量する定量手段とを有することを特徴とする水銀分析装置。
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