JP6815959B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関の制御装置に関し、詳しくは、内燃機関におけるノック(ノッキング)の発生を検出する技術に関する。
特許文献1には、所定のノック判定期間における振動強度を算出すると共に、燃料噴射弁の動作によるノイズを含む期間(噴射弁ノイズ期間)における振動強度を算出し、ノック判定期間における振動強度と噴射弁ノイズ期間における振動強度のうちの大きい方の振動強度に基づいてノック判定値を算出してノック判定を行う、ノック判定装置が開示されている。
特開2013−015105号公報
ところで、燃料噴射弁が筒内に直接燃料を噴射する筒内直接噴射式内燃機関では、吸気行程で燃料噴射を行わせる第1の噴射モード(吸気行程噴射モード)と、吸気行程及び圧縮行程の双方で燃料噴射を行わせる第2の噴射モード(複数回噴射モード)とに切替えられる場合がある。
そして、第2の噴射モードにおける圧縮行程での噴射タイミングが機関運転条件に応じて可変に設定されると、ノック検出ウィンドウでのノックセンサの出力信号に他気筒の燃料噴射弁の動作振動が混入する場合と、混入しない場合とが生じる。
このため、動作振動の混入によるノック検出精度の低下を抑止するために、例えば噴射モードに応じてノック検出におけるノック判定閾値を切替えたりバックグラウンドレベルを補正したりしても、動作振動の影響によるノック検出精度の低下を安定して抑止することができない、という問題があった。
本発明は、従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、筒内直接噴射式内燃機関において、ノック検出ウィンドウと燃料噴射弁の動作タイミングとの相関が変化してもノック検出精度が低下することを抑制できる、内燃機関の制御装置を提供することにある。
本発明によれば、その1つの態様において、ノックの発生を検出する信号レベルを、ノック検出ウィンドウでのノックセンサの出力信号に他気筒の燃料噴射弁の動作振動が混入したときは前記動作振動が混入していないときよりも高く設定するよう構成され、前記動作振動の混入判定において、前記ノック検出ウィンドウを所定角度だけ進角側にオフセットさせた区間内に他気筒の燃料噴射弁の動作タイミングが含まれるときに、前記動作振動の混入を判定し、前記所定角度を内燃機関の回転速度が高いほどより大きな角度に設定する。
また、本発明によれば、その1つの態様において、ノックの発生を検出する信号レベルを、ノック検出ウィンドウでのノックセンサの出力信号に他気筒の燃料噴射弁の動作振動が混入したときは前記動作振動が混入していないときよりも高く設定するよう構成され、前記動作振動の混入判定において、前記ノック検出ウィンドウでの前記ノックセンサの出力信号に含まれる、前記燃料噴射弁の動作振動に固有の周波数成分の振動強度を求め、前記振動強度が設定値よりも高いときに前記動作振動の混入を判定する。
上記発明によると、ノック検出ウィンドウと燃料噴射弁の動作タイミングとの相関が変化してもノック検出精度が低下することを抑制できる。
筒内直接噴射式の内燃機関のシステム構成図である。 制御装置のノック制御機能を示すブロック図である。 水平対向機関における圧縮行程での噴射タイミングITとノック検出ウィンドウWindとの相関を例示する図である。 直列機関における圧縮行程での噴射タイミングITとノック検出ウィンドウWindとの相関を例示する図である。 水平対向機関における圧縮行程の噴射タイミング区間Cinjの後半に設定された噴射タイミングITとノック検出ウィンドウWindとの相関を例示する図である。 第1噴射モード(吸気噴射モード)から、噴射タイミングITがノック検出ウィンドウWindと重ならない第2噴射モード(複数回噴射モード)への切替えに伴うノック指標、ノック信号の変化を例示するタイムチャートである。 水平対向機関における圧縮行程の噴射タイミングITが変化することで噴射タイミングITがノック検出ウィンドウWindと重ならない状態から重なる状態に切り替わる様子を例示する図である。 圧縮行程の噴射タイミングITが変化することで噴射タイミングITがノック検出ウィンドウWindと重ならない状態から重なる状態へ切り替わるときのノック指標、ノック信号の変化を例示するタイムチャートである。 水平対向機関における圧縮行程での噴射回数が増加してノック検出ウィンドウWindと重なる噴射タイミングITが増える状態を例示する図である。 圧縮行程での噴射回数が増加してノック検出ウィンドウWindと重なる噴射タイミングITが増えるときのノック指標、ノック信号の変化を例示するタイムチャートである。 水平対向機関における圧縮行程での噴射回数が増加してノック検出ウィンドウWindの開タイミング直前に噴射タイミングITが設定される状態を例示する図である。 噴射タイミングITでの開閉ノイズが遅れて伝達されることでノック検出ウィンドウWindに開閉ノイズが混入する状態になったときのノック指標、ノック信号の変化を例示するタイムチャートである。 開閉ノイズがノックセンサに遅れて達する様子を説明するためのタイムチャートである。 開閉ノイズがノックセンサに遅れて達するときの遅れ時間のクランク角度換算値T−ANGを機関回転速度から求めるテーブルを示す図である。 バックグラウンドレベルBGLをオフセットさせる機能を示す説明図である。 噴射タイミングITとノック検出ウィンドウWindとの比較に基づき開閉ノイズの混入の有無を判断する制御フローを示すフローチャートである。 噴射タイミングITとノック検出ウィンドウWindとの比較に基づき開閉ノイズの混入の有無を判断する制御フローを示すフローチャートである。 ノイズ発生タイミングパラメータFLAGの演算動作を説明するためのタイムチャートである。 ノイズ発生タイミングパラメータFLAGに基づき開閉ノイズの混入の有無を判断する制御フローを示すフローチャートである。 ノイズ発生タイミングパラメータFLAGに基づき開閉ノイズの混入の有無を判断する制御フローを示すフローチャートである。 燃料噴射弁単体での振動加速度を周波数毎に示す線図である。 燃料噴射弁を機関に装着した状態での振動加速度を周波数毎に示す線図である。 ノック検出ウィンドウWindに取り込まれた信号の周波数成分に基づき開閉ノイズの混入の有無を判断する制御フローを示すフローチャートである。 ノック検出ウィンドウWindに取り込まれた信号の周波数成分に基づき開閉ノイズの混入の有無を判断する制御フローを示すフローチャートである。
以下に本発明の実施の形態を説明する。
「第1実施形態」
図1は、本発明に係る制御装置を適用する内燃機関の一態様を示す図である。
図1に示す内燃機関1は、車両用の火花点火ガソリン機関であり、複数の気筒を直列に並べた所謂直列型の多気筒内燃機関である。但し、本発明に係る制御装置を適用する内燃機関は直列型に限定されず、本発明に係る制御装置は水平対向やV型の多気筒内燃機関にも適用できる。
内燃機関1の機関本体1aは、点火装置4、燃料噴射弁5などを備える。
燃料噴射弁5(燃料噴射装置)は、各気筒それぞれに設けられ、各気筒の燃焼室10内に直接燃料を噴射する。つまり、図1の内燃機関1は、筒内直接噴射式の内燃機関である。
エアークリーナ7を通過した空気は、電制スロットル8のスロットルバルブ8aで流量を調節された後に吸気バルブ19を介して燃焼室10に吸引され、燃料噴射弁5から燃焼室10内に直接噴射される燃料と混合する。
電制スロットル8は、スロットルモータ8bでスロットルバルブ8aを開閉する装置であり、スロットルバルブ8aの開度TPSに対応する信号を出力するスロットル開度センサ8cを備える。
クランク角センサ6は、リングギア14の突起を検出することで、クランクシャフト17の所定回転角毎にクランク角CAの信号を出力する。
ノックセンサ15は、内燃機関1のノック振動を圧電素子などにより検出してノック振動KNの信号を出力する。なお、内燃機関1が水平対向機関やV型機関である場合、ノックセンサ15は各バンクにそれぞれ配置され、ノックの有無はバンク別に検出される。
流量検出装置9は、電制スロットル8の上流側に配置され、内燃機関1の吸入空気流量QARに対応する信号を出力する。
また、排気管3aに配置される排気浄化触媒装置12は、内燃機関1の排気を浄化する。空燃比センサ11は、排気浄化触媒装置12の上流側の排気管3aに配置され、排気空燃比RABF(酸素濃度)に対応する信号を出力する。
また、排気温度センサ16は、排気浄化触媒装置12の上流側の排気管3aに配置され、排気浄化触媒装置12の入口での排気温度TEX(℃)に対応する信号を出力する。
制御装置13は、前述した各種センサから出力される、開度TPS、吸入空気流量QAR、クランク角CA、ノック振動KN、排気空燃比RABF、排気温度TEXなどのセンサ信号を取り込む。
制御装置13は、データ(各種センサの計測結果や各種装置に出力する操作量)の入出力を行うために、アナログ入力回路20、A/D変換回路21、デジタル入力回路22、出力回路23及びI/O回路24を備える。
また、制御装置13は、データの演算処理を行うために、MPU(Microprocessor Unit)26、ROM(Read Only Memory)27、RAM(Random Access Memory)28を含むマイクロコンピュータを備える。
アナログ入力回路20には、吸入空気流量QAR、開度TPS、排気空燃比RABF、排気温度TEX、ノック振動KNなどのセンサ信号が入力される。
アナログ入力回路20に入力された各種信号は、それぞれA/D変換回路21に供給されてデジタル信号に変換され、バス25上に出力される。
また、デジタル入力回路22に入力されたクランク角CAの信号は、I/O回路24を介してバス25上に出力される。
バス25には、MPU26、ROM27、RAM28、タイマ/カウンタ(TMR/CNT)29等が接続されている。そして、MPU26、ROM27、RAM28は、バス25を介してデータの授受を行う。
MPU26には、クロックジェネレータ30からクロック信号が供給され、MPU26は、クロック信号に同期して様々な演算や処理を実行する。
ROM27は、例えばデータの消去と書き換えが可能なEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)で構成され、制御装置13を動作させるためのプログラム、設定データ及び初期値などを記憶する。
ROM27が記憶する情報は、バス25を介してRAM28及びMPU26に読み込まれる。
RAM28は、MPU26による演算結果や処理結果を一時的に記憶する作業領域として用いられる。
なお、タイマ/カウンタ29は、時間の測定や様々な回数の測定などに用いられる。
MPU26による演算結果や処理結果は、バス25上に出力された後、I/O回路24を介して出力回路23から点火装置4、燃料噴射弁5、電制スロットル8などに供給される。
制御装置13は、取り込んだセンサ信号に基づき燃料噴射パルス幅TI(燃料噴射量)及び噴射タイミングITを演算し、噴射タイミングITにて燃料噴射パルス幅TI(ms)に応じた開弁指令信号を燃料噴射弁5に出力する機能(燃料噴射制御手段)を有する。
また、制御装置13は、燃料噴射弁5による燃料噴射を、1回の燃焼サイクルで吸気行程から圧縮行程にかけて1回から複数回行わせる。
例えば、制御装置13は、燃焼室10内に均質混合気を生成する運転条件であるか成層混合気を生成する運転条件であるかに応じて、1回の燃焼サイクルでの噴射回数及び噴射タイミングITを設定する。
制御装置13は、燃焼室10内に均質混合気を生成する運転条件(均質燃焼モード)であるときには、吸気行程で燃料噴射弁5による燃料噴射を1回だけ或いは2回に分けて行わせ、圧縮行程では燃料噴射弁5による燃料噴射を行わせない。
一方、制御装置13は、燃焼室10内に成層混合気を生成する運転条件(成層燃焼モード)であるときには、吸気行程で燃料噴射弁5による燃料噴射を1回乃至2回行わせ、更に、圧縮行程で燃料噴射弁5による燃料噴射を1回乃至2回行わせる。
なお、制御装置13は、吸気行程での噴射タイミングIT及び噴射回数、及び、圧縮行程での噴射タイミングIT及び噴射回数を、機関温度や機関負荷などの内燃機関1の状態に応じて可変に設定する。
つまり、例えば成層燃焼モードにおける圧縮行程での噴射タイミングIT及び噴射回数は固定されず、内燃機関1の運転状態に応じて噴射タイミングIT及び噴射回数は可変に制御される。
また、制御装置13は、点火装置4、電制スロットル8にも指令信号を出力し、点火装置4の点火時期、スロットルバルブ8aの開度を制御して、内燃機関1の運転を制御する。
制御装置13は、点火装置4の点火時期の制御において、ノックセンサ15の出力に基づき内燃機関1におけるノック(ノッキング)の有無を検出し、内燃機関1のノックを検出したときに点火時期(点火進角値)を遅角し、内燃機関1のノックを検出しないときに点火時期を進角して、ノックが発生しない範囲で点火時期を可及的に進角させるノック制御を行う。
制御装置13は、ノックセンサ15が出力するノック振動KNの信号に基づき更新したバックグランドレベルと、気筒別のノック検出ウィンドウでノックセンサ15が出力したノック振動KNの信号との差又は比をノック指標として求め、ノック指標とノック判定閾値とを比較し、ノック指標がノック判定閾値を上回るときに内燃機関1におけるノックの発生を検出する。
つまり、制御装置13は、気筒別のノック検出ウィンドウでのノックセンサ15の出力信号に基づきノックの有無を検出するノック検出部としての機能を有する。
ここで、制御装置13におけるノック制御に関わる構成とその動作の概要を図2のブロック図にしたがって説明する。
制御装置13は、ノック検出部31、ノック制御部32、及び点火時期制御部33を有する。
ノック検出部31は、ノック検出ウィンドウを設定するノック検出ウィンドウ設定部311、ノックセンサ15の信号を処理するノック信号処理部312、ノックの発生の有無やノックの大きさを求めるノック指標演算部313などを有する。
また、点火時期制御部33は、機関回転速度及び機関負荷(充填効率)の条件毎に基本点火時期(基本点火進角値)を記憶する点火時期マップ331と、基本点火時期をノックの有無などに応じて補正して最終的な点火時期を演算する点火時期演算部332とを有する。
点火時期制御部33には機関回転速度及び機関負荷(充填効率)のデータが入力され、点火時期制御部33は、入力した機関回転速度及び機関負荷のデータに基づき点火時期マップ331を参照して基本点火時期を設定する。
そして、点火時期演算部332は、最終的な点火時期に基づき点火装置(点火コイル)4に点火制御信号を出力して、点火装置4による点火動作を行わせる。
ノック検出部31のノック検出ウィンドウ設定部311は、クランク角センサ6が出力するクランク角CAの信号に基づき、気筒別にノック検出ウィンドウを検出する。
ノック検出ウィンドウは、例えば圧縮上死点(膨張行程開始)から圧縮上死点後の所定角度位置(例えばATDC90deg)までのクランク角範囲に設定され、ノック検出部31は、このノック検出ウィンドウ内で取り込まれたノックセンサ15の信号に基づきノックの有無を検出するように構成される。
ノック検出ウィンドウ設定部311は、ノック検出ウィンドウの検出結果をノック信号処理部312に送る。
ノック信号処理部312は、ノック検出ウィンドウの区間に亘ってノックセンサ15の信号の取り込みを行う。
そして、ノック信号処理部312は、ノック検出ウィンドウの区間内で取り込んだノックセンサ15の信号をA/D変換し、ノック信号を算出する。
また、ノック信号処理部312は、ノック無し時には、ノック信号を加重平均処理などの平均化処理(ローパスフィルタリング処理)することで、バックグラウンドレベルBGLを求める。
ノック指標演算部313は、ノック信号とバックグラウンドレベルBGLとの比又は差をノック指標として求める。
そして、ノック検出部31は、ノック指標演算部313が演算したノック指標とノック判定閾値とを比較し、ノック指標がノック判定閾値以上であるときに「ノック有り(ノック発生)」を判定し、ノック指標がノック判定閾値を下回るときに「ノック無し」を判定する。
ノックの有無の判定結果はノック制御部32に送られ、ノック制御部32は、ノックの有無に応じて点火時期の遅角補正量を設定し、設定した遅角補正量を点火時期演算部332に送ることで、ノックを抑制しつつ可及的に点火時期を進角させる。
点火時期演算部332は、ノック制御部32から送られた遅角補正量に基づき基本点火時期を遅角方向に補正する。
つまり、制御装置13は、ノック指標がノック判定閾値を超える(「ノック有り」を判定する)と点火時期を所定量(所定クランク角)だけ遅角させ、その後にノックが生じていないと徐々に点火時期を進角させ、再びノック指標がノック判定閾値を超えると点火時期を所定量だけ遅角させることを繰り返すことで、一定のノックレベルとなるように点火時期をフィードバック制御する。
尚、点火時期フィードバック制御は、全気筒一律の遅角補正量を設定する構成の他、気筒毎に遅角補正量(点火時期)を個別に設定する構成とすることができる。
以上のようなノック制御において、ノック検出ウィンドウに燃料噴射弁5の動作振動(開閉ノイズ)が取り込まれない状況から取り込まれる状況に変化すると、バックグラウンドレベルBGLは燃料噴射弁5の動作振動が取り込まれない状況で算出されたノック信号の前回値であるため、動作振動が取り込まれることでノック信号が急増すると、ノック信号とバックグラウンドレベルBGLとの差が急増し、ノック検出部31は、「ノック有り」を誤判定する可能性がある。
以下では、燃料噴射弁5の噴射タイミング(開閉タイミング)ITとノック検出ウィンドウWindとの相関を説明する。
図3は、内燃機関1が、第1気筒及び第3気筒が第1バンクを構成し第2気筒と第4気筒とが第2バンクを構成する水平対向の4気筒機関であって、燃焼サイクルが第1気筒→第3気筒→第2気筒→第4気筒の順で行われる内燃機関であるときの、各気筒のノック検出ウィンドウWindと各気筒での噴射タイミングITとの相関を示す。
ここで、ノックが発生するのは気筒内の混合気が燃焼されている区間であり、ノック検出ウィンドウWindは、燃焼が行われる膨張行程の前半のクランク角範囲(例えば、圧縮TDC−ATDC90deg)に設定されている。
一方、燃料噴射弁5の噴射タイミングITの区間としては、吸気行程の中程付近から終了付近の間に設定される噴射タイミング区間Iinj(吸気行程噴射タイミング区間)と、圧縮行程の前半から中程付近に設定される噴射タイミング区間Cinj(圧縮行程噴射タイミング区間)とが設定される。
例えば、第1気筒の吸気行程で第2気筒は膨張行程となり、第1気筒の吸気行程での噴射タイミング区間Iinjと第2気筒のノック検出ウィンドウWindとが一部で重なったとしても、第1気筒と第2気筒とは相互に異なるバンクの気筒であるため、第1気筒で吸気行程噴射が行われても、第1気筒の吸気行程での燃料噴射弁5の動作振動が、第2気筒のノック検出ウィンドウWindで取り込まれるノック信号に与える影響は十分に小さい。
一方、噴射タイミング区間Cinjは圧縮行程の前半から中程付近に設定され、ノック検出ウィンドウWindは膨張行程の前半のクランク角範囲に設定され、同じバンクの気筒である例えば第1気筒と第3気筒では、第1気筒が膨張行程であるときに第3気筒が圧縮行程となる。
このため、第3気筒の圧縮行程での噴射タイミング区間Cinjと第1気筒のノック検出ウィンドウWindとが重なり、第3気筒の圧縮行程での燃料噴射弁5の動作振動が第1気筒のノック検出ウィンドウWindに取り込まれて振動強度が大きくなり、ノックが誤検出される可能性が生じる。
つまり、内燃機関1が水平対向機関である場合、圧縮行程噴射での燃料噴射弁5の動作振動が同一バンクの他気筒のノック検出ウィンドウWindに取り込まれて、ノックが誤検出される可能性がある。
図4は、内燃機関1が、燃焼サイクルが第1気筒→第3気筒→第4気筒→第2気筒の順で行われる直列4気筒機関であるときの各気筒のノック検出ウィンドウと各気筒での噴射タイミングITとの相関を示す。
直列4気筒機関で、吸気行程の噴射タイミング区間Iinjだけで燃料が噴射されている場合、例えば第1気筒が吸気行程であるときに第4気筒は膨張行程でノック検出ウィンドウWindが開かれることになる。
ここで、第4気筒の膨張行程前半のノック検出ウィンドウWindと第1気筒の吸気行程後半の噴射タイミング区間Iinjとが重ならないように設定されていれば、第1気筒の吸気行程での燃料噴射弁5の動作振動(開閉ノイズ)が第4気筒のノック検出ウィンドウWindに取り込まれることが抑止される。
しかし、吸気行程の噴射タイミング区間Iinjから引き続いて圧縮行程前半の噴射タイミング区間Cinjで燃料が噴射される場合、例えば、第1気筒の圧縮行程で第2気筒のノック検出ウィンドウWindが開かれ、第2気筒のノック検出ウィンドウWindと第1気筒の圧縮行程の噴射タイミング区間Cinjが重なることになる。
このため、第1気筒の圧縮行程での燃料噴射弁5の動作振動は第2気筒のノック検出ウィンドウWindに取り込まれ、水平対向4気筒機関の場合と同様にノックを誤検出する可能性がある。
図5は、水平対向4気筒機関において、吸気行程のみで燃料噴射が行われるモード(第1の噴射モード、均質燃焼モード)から吸気行程及び圧縮行程で燃料噴射が行われるモード(第2の噴射モード、成層燃焼モード)に移行するときの、各気筒のノック検出ウィンドウWindと各気筒での噴射タイミングITとの相関を示す。
なお、図5において吸気行程及び圧縮行程で燃料噴射が行われるモードは、吸気行程の噴射タイミング区間Iinjで1回の燃料噴射が実施され、引き続き圧縮行程の噴射タイミング区間Cinjで1回の燃料噴射が実施され、計2回の燃料噴射が実施されるパターンであり、かつ、圧縮行程での噴射タイミング区間Cinjの後半に設定されたケースである。
係る条件においては、圧縮行程での噴射タイミングIT(第4気筒の圧縮行程での噴射タイミングITa、および、第3気筒の圧縮行程での噴射タイミングITb)が、第2気筒、および、第1気筒のノック検出ウィンドウWindと重ならないタイミングである。このため、第4気筒及び第3気筒における圧縮行程での燃料噴射弁5の動作振動が、第2気筒及び第1気筒のノック検出ウィンドウWindに取り込まれることはない。
つまり、図5の条件では、圧縮行程で燃料噴射が行われても、燃料噴射弁5の動作振動が他気筒のノック検出ウィンドウWindに取り込まれて、ノックが誤検出されることが抑止される。
図6は、図5に示したケースにおける、ノック指標、ノック信号、噴射モード、噴射回数の変化を例示するタイムチャートである。
噴射モードが、圧縮行程で噴射するモードに移行しても、上述したように圧縮行程での噴射タイミングITがノック検出ウィンドウWindと重ならず、燃料噴射弁5の動作振動がノック検出ウィンドウWindに取り込まれることがないため、ノック信号の変化は、噴射モードの切り替えによる燃焼ノイズの影響分だけの増加に留まる。このため、ノック信号の変化を示すノック指標はノック判定閾値を超えず、噴射モードの移行(圧縮行程での燃料噴射の開始)に伴いノック発生が誤判定されることはない。
図7は、水平対向4気筒機関で圧縮行程での噴射タイミングITが内燃機関1の運転条件に応じて変化するときの、各気筒のノック検出ウィンドウWindと各気筒での噴射タイミングITとの相関を示す。
図7の燃料噴射モードは、図5に示したケースと同様に、吸気行程の噴射タイミング区間Iinjで1回の燃料噴射が実施され、引き続き圧縮行程の噴射タイミング区間Cinjで1回の燃料噴射が実施され、計2回の燃料噴射が実施されるパターンであって、圧縮行程での噴射タイミングITが噴射タイミング区間Cinjの後半から中盤に向けて進角方向に変化するケースである。
ここで、第3気筒に注目して、圧縮行程での噴射タイミングITとノック検出ウィンドウWindとの相関を説明すると、圧縮行程の噴射タイミングITbは第1気筒のノック検出ウィンドウWindと重ならず、第1気筒のノック検出ウィンドウWindに第3気筒の燃料噴射弁5の動作振動(開閉ノイズ)が取り込まれることはない。
これに対し、第3気筒における次の圧縮行程噴射時の噴射タイミングITdは、第1気筒のノック検出ウィンドウWindに重なり、第3気筒の燃料噴射弁5の動作振動(開閉ノイズ)は、第1気筒のノック検出ウィンドウWindに取り込まれる。
図8は、図7に示した噴射タイミングITbから噴射タイミングITdへの切り替わりによってノックが誤判定されることを説明するためのタイムチャートであり、噴射タイミングITの切り替わり前後におけるノック指標、ノック信号の変化を示している。
前述のように、噴射タイミングITbから噴射タイミングITdへの切り替わりによって第3気筒の燃料噴射弁5の開閉ノイズが第1気筒のノック検出ウィンドウWindに取り込まれるようになると、ノック信号のレベルが噴射タイミングITの切り替わり前よりも高くなることでノック指標がノック判定閾値を超えて大きくなり、制御装置13(ノック検出部31)はノック発生を誤判定することになる。
このように、圧縮行程で燃料噴射が行われる場合、圧縮行程での噴射タイミングITの違いによって燃料噴射弁5の動作振動が他気筒のノック検出ウィンドウWindに取り込まれる(混入する)場合と取り込まれない(混入しない)場合とが生じる。
このため、吸気行程のみで燃料噴射が行われるモードから吸気行程及び圧縮行程で燃料噴射が行われるモードに移行したときにバックグラウンドレベルBGLやノック判定閾値を補正する処理を実施しても、ノック判定精度を安定して維持することはできず、噴射タイミングITがノック検出ウィンドウWindに重なった否か(他気筒の燃料噴射弁5の開閉ノイズがノック検出ウィンドウWindに混入したか否か)を判断し、バックグラウンドレベルBGLやノック判定閾値の補正の要否を判断する必要がある。
図9は、水平対向4気筒機関において、吸気行程及び圧縮行程で燃料噴射が行われるモードで圧縮行程での噴射回数が変化する場合における、各気筒のノック検出ウィンドウWindと各気筒での噴射タイミングITとの相関を示す。
詳細には、図9は、圧縮行程の噴射タイミング区間Cinjで1回の燃料噴射が実施されるパターンから、圧縮行程の噴射タイミング区間Cinjで2回の燃料噴射が実施されるパターンに変化する場合を例示する。
図9を、第3気筒での噴射タイミングITに注目して説明すると、圧縮行程の噴射タイミング区間Cinjで1回の燃料噴射が実施されるときの噴射タイミングITbは、第1気筒のノック検出ウィンドウWindと重なっていて、第3気筒の燃料噴射弁5の開閉ノイズは第1気筒のノック検出ウィンドウWindに取り込まれる。
この状態から、圧縮行程での噴射回数が1回から2回に増えたときに、2回目の噴射の噴射タイミングITdも第1気筒のノック検出ウィンドウWindと重なっていて、これにより、第1気筒のノック検出ウィンドウWindに取り込まれる第3気筒の燃料噴射弁5の開閉ノイズの数は1個から2個に増加することになる。
図10は、上記図9のケースでのノック判定状態を説明するための図である。つまり、図10は、圧縮行程での噴射回数が1回から2回に切り替わる前後でのノック指標及びノック信号の変化を示している。
圧縮行程での噴射回数が1回から2回に切り替わることで、第1気筒のノック検出ウィンドウWindに取り込まれる第3気筒の燃料噴射弁5の開閉ノイズの数が1個から2個に増え、これによってノック信号のレベルは圧縮行程での噴射回数が1回(開閉ノイズの混入数が1個)のときよりも高くなる。
このとき、ノック指標がノック判定閾値を超えて大きくなると、制御装置13(ノック検出部31)はノック発生を誤判定することになる。
一方、圧縮行程での噴射回数が1回から2回に切り替わっても、ノック検出ウィンドウWindに取り込まれる開閉ノイズの数が変化しない場合は、噴射回数の変化に伴うノック信号のレベル変化は発生せず、制御装置13(ノック検出部31)がノック発生を誤判定することはない。
したがって、圧縮行程での噴射回数が変化するときも、圧縮行程での各噴射タイミングITが他気筒のノック検出ウィンドウWindと重なっているか否かを判断し、バックグラウンドレベルBGLやノック判定閾値の補正の要否を判断する必要がある。
図11は、水平対向4気筒機関において、圧縮行程の噴射タイミング区間Cinjで1回の燃料噴射が実施されるパターンから圧縮行程の噴射タイミング区間Cinjで2回の燃料噴射が実施されるパターンに変化するときの各気筒のノック検出ウィンドウWindと各気筒での噴射タイミングITとの相関を示す。
図11では、圧縮行程の噴射タイミング区間Cinjで2回の燃料噴射が実施されるときに、噴射タイミング区間Cinjの開始直後に(圧縮上死点付近で)1回噴射され、更に、噴射タイミング区間Cinjの中盤で1回噴射される設定になっている。
この図11を、第3気筒での噴射タイミングITに注目して説明すると、圧縮行程の噴射タイミング区間Cinjで1回の燃料噴射が実施されるパターンでの噴射タイミングITbは、第1気筒のノック検出ウィンドウWindと重なり第3気筒の燃料噴射弁5の開閉ノイズが第1気筒のノック検出ウィンドウWindに取り込まれていて、開閉ノイズの影響を含むバックグラウンドレベルBGLが演算されている状態である。
この状態から、第3気筒において圧縮行程の噴射タイミング区間Cinjで2回の燃料噴射が実施されるパターンに切り替わったときに、噴射タイミング区間Cinjの開始直後(圧縮上死点付近)の噴射タイミングITは、第1気筒のノック検出ウィンドウWindが開く前で、第1気筒のノック検出ウィンドウWindと重なっていない。
しかし、図11のケースでは、後で詳細に説明するように、噴射タイミング区間Cinjの開始直後(圧縮上死点付近)の燃料噴射による開閉ノイズが遅れをもってノックセンサ15に達することで、第1気筒のノック検出ウィンドウWindに取り込まれる。
つまり、図11のケースでも、圧縮行程での噴射回数が1回から2回に増えることで、第1気筒のノック検出ウィンドウWindに取り込まれる第3気筒の燃料噴射弁5の開閉ノイズの数が1個から2個に増え、これに伴ってノック指標がノック判定閾値を超えて大きくなることで、制御装置13(ノック検出部31)はノック発生を誤判定することになる(図12参照)。
図13は、開閉ノイズが遅れをもってノックセンサ15に達するときの、燃料噴射弁5の駆動信号(噴射パルス信号)、ノックセンサ15の信号、ノック検出ウィンドウWindの相関を例示するタイムチャートである。
燃料噴射弁5の開閉動作(弁動作)が行われてから開閉ノイズがノックセンサ15に達するまでには所定の遅れ時間DTを要し、図13の例では燃料噴射弁5の閉弁制御タイミングはノック検出ウィンドウWindが開く前であるが、燃料噴射弁5の閉弁制御タイミングから遅れ時間DT経過後がノック検出ウィンドウWind内であるために、閉弁ノイズがノック検出ウィンドウWindに取り込まれることになる。
したがって、噴射タイミングITがノック検出ウィンドウWindに重なり、燃料噴射弁5の開閉ノイズがノック検出ウィンドウWindに取り込まれるか否かの判断においては、前述の遅れを考慮する必要がある。
制御装置13(ノック検出部31)は、例えば、ノック検出ウィンドウWindを遅れ時間DTだけ進角方向にオフセットし、オフセット後のノック検出ウィンドウWindに燃料噴射弁5の噴射タイミングIT(開閉タイミング)が含まれるか否かを判断することができる。
この場合、制御装置13(ノック検出部31)は、燃料噴射弁5の開閉ノイズがノックセンサ15に達するまでに遅れ時間DTがあっても、燃料噴射弁5の開閉ノイズがノック検出ウィンドウWindに取り込まれるか否かを精度よく判断できる。
なお、遅れ時間DTは、内燃機関1の回転速度や負荷などの運転条件に大きく影響されることはなく、全運転領域でほぼ同一時間となる。
図14は、内燃機関1の回転速度(回転数rpm)毎に、遅れ時間DTに基づくノック検出ウィンドウWindのオフセットクランク角T−ANGを設定した変換テーブルを示す。
制御装置13(ノック検出部31)は、図14の変換テーブルをメモリ上に有し、内燃機関1の回転速度の検出値に基づき図14の変換テーブルを参照し、そのときの機関回転速度に対応するオフセットクランク角T−ANGを求め、求めたオフセットクランク角T−ANGに応じてノック検出ウィンドウWind(ノック検出クランク角範囲)をオフセットし、オフセットさせたノック検出ウィンドウWindに噴射タイミングITが重なるか否かを判断することで、燃料噴射弁5の開閉ノイズがノック検出ウィンドウWindに取り込まれるか否かを判断することができる。
図15は、ノック検出部31が、燃料噴射弁5の開閉ノイズがノック検出ウィンドウWindに取り込まれるようになったときにバックグラウンドレベルBGLをオフセットさせる処理の概要を示す。
燃料噴射モードが、吸気行程の噴射タイミング区間Iinjだけに1回乃至2回噴射する状態(第1の噴射モード)においては、膨張行程の前半に設定されたノック検出ウィンドウWindに燃料噴射弁5の閉弁ノイズが取り込まれない。そこで、ノック検出部31は、通常のバックグラウンドレベルBGL及びノック判定閾値を用いてノックの検出を行う。
そして、吸気行程の噴射タイミング区間Iinjで1回乃至2回噴射する状態から、これに続く圧縮行程の噴射タイミング区間Cinjにも1回乃至2回噴射する状態(第2の噴射モード)に切り換えられ、しかも、係る噴射モードの切り替えに伴ってノック検出ウィンドウWindに燃料噴射弁5の開閉ノイズが混入するようになった場合、ノック検出部31が、ノック信号を通常通りにフィルタリングしてバックグラウンドレベルBGLを演算すると、開閉ノイズの混入による振動強度のステップ的な増加に対してバックグラウンドレベルBGLの追従が遅れ、ノックを誤判定する可能性がある。
そこで、ノック検出部31は、第1噴射モードから第2噴射モードに切り替えられたときに、ノック検出ウィンドウWindに燃料噴射弁5の開閉ノイズが混入するようになったか否かを判断し、開閉ノイズが混入するようになった場合は、バックグラウンドレベルBGLを開閉ノイズの混入状態に対応して予め適合された既定バックグラウンドレベルBGLfに切り替えたり、それまでのバックグラウンドレベルBGLに所定のオフセット値ΔBGLを加算した値をバックグラウンドレベルBGLの最新値としたりする。
換言すれば、ノック検出部31は、ノック検出ウィンドウWindで他気筒の燃料噴射弁5が動作するときは、ノックの発生を検出する信号レベルを、ノック検出ウィンドウWindで他気筒の燃料噴射弁5が動作しないときよりも高く設定する。
なお、既定バックグラウンドレベルBGLfは、例えば、内燃機関1の運転条件(例えば、機関負荷及び機関回転速度)に応じて設定され、同じ運転条件で開閉ノイズが混入しないときにノック信号のフィルタリング処理で演算されるバックグラウンドレベルBGLよりも高い値に設定される。
つまり、ノック検出部31は、噴射モードの切り替えに伴い、ノック検出ウィンドウWindに燃料噴射弁5の開閉ノイズが混入するようになったときは、開閉ノイズの混入による振動強度のステップ的な増加に対するバックグラウンドレベルBGLの追従遅れを抑制するように、バックグラウンドレベルBGLをステップ的に増大させる。
これにより、噴射モードの切り替えに伴って開閉ノイズが混入するようになったときに、ステップ的に増大変化するノック信号に追従するようにバックグラウンドレベルBGLが増大変化し、ノック指標が過渡的に大きくなることが抑止されるので、ノック発生が誤判定されることが抑制される。
このように、制御装置13(ノック検出部31)は、ノック検出ウィンドウWindでのノックセンサ15の出力信号に他気筒の燃料噴射弁5の動作振動が混入したか否かを判定する混入判定部としての機能、及び、ノックの発生を検出する信号レベルを、動作振動の混入を判定したときには動作振動の混入を判定しないときよりも高く設定するノック検出レベル設定部としての機能を有する。
ここで、ノック検出部31は、ノック指標と比較するノック判定閾値を開閉ノイズの混入の有無に応じて変更しないが、噴射モードの違いによる燃焼ノイズの変化による影響を回避するために、第1噴射モードでのノック判定閾値よりも第2噴射モードでのノック判定閾値をより大きな値に設定する。係る噴射モードの切り替えに伴うノック判定閾値の切り替え設定によっても、噴射モードが切り替えられるときにノックが誤判定されることを抑制できる。
但し、ノック検出部31は、噴射モードの切り替えに伴って開閉ノイズが混入するようになったときに、ノック判定閾値を一時的に開閉ノイズの混入がないときに比べてより大きな値に設定することで、ノックが誤判定されることを抑止できる。
また、ノック検出部31は、上記のノック判定閾値の変更を、バックグラウンドレベルBGLの増大補正とともに実施することができ、更に、バックグラウンドレベルBGLの増大補正を行わず、バックグラウンドレベルBGLに追従遅れが生じる間でノック判定閾値を増大補正することができる。
次に、ノック検出部31によって実施される、開閉ノイズ混入の有無の判定処理、及び、当該判定結果に基づくバックグラウンドレベルBGLの設定処理を、図16及び図17のフローチャートに基づき説明する。
図16及び図17に示す制御フローは、所定時間(例えば10ms)毎に起動されるものであり、制御装置13に設けられたマイクロコンピュータのカウンタのコンペアマッチ割り込み等を利用して起動される。
ノック検出部31は、ステップS101で、1燃焼サイクルにおける燃料噴射弁5の要求噴射回数を取り込む。
この要求噴射回数は、吸気行程の噴射タイミング区間Iinjの噴射回数と圧縮行程の噴射タイミング区間Cinjの合計の噴射回数である。
以下では、便宜的に「要求噴射回数=1回」(1回噴射モード)は、吸気行程の噴射タイミング区間Iinjだけに噴射する第1噴射モードを示し、「要求噴射回数=複数回」(複数回噴射モード)は、吸気行程の噴射タイミング区間Iinjでの1回噴射と圧縮行程の噴射タイミング区間Cinjでの1回噴射との計2回噴射する第2噴射モードを示すものとする。
尚、上述したように、吸気行程の噴射タイミング区間Iinj及び圧縮行程の噴射タイミング区間Cinjのそれぞれで複数回の噴射を行なうこともある。
また、ノック検出部31は、要求噴射回数を気筒毎の情報として取り込み、噴射モードの切り替わりを気筒毎に判定する。
ノック検出部31は、ステップS101で要求噴射回数を取り込むと、ステップS102に進み、要求噴射回数が切り替わるとき(開閉ノイズ混入の有無が切り替わるとき)のバックグラウンドレベルBGLのオフセット値ΔBGLを算出する。
詳細には、ノック検出部31は、要求噴射回数が「1回」よりも大きな回数、ここでは「2回」に切り替わったとき(第1噴射モードから第2噴射モードに切り替わったとき)と、要求噴射回数が「1回」よりも大きな回数、ここでは「2回」から「1回」に切り替わったとき(第2噴射モードから第1噴射モードに切り替わったとき)のそれぞれの切り替わりに合わせて、オフセット値ΔBGLを算出する。
ここで、ノック検出部31は、機関負荷及び機関回転速度に応じてオフセット値ΔBGLが記憶されたマップとして、第1噴射モードから第2噴射モードへの切り替わりに適合するマップと、第2噴射モードから第1噴射モードへの切り替わりに適合するマップとを有し、それぞれのマップから、そのときの機関負荷及び機関回転速度に対応するオフセット値ΔBGLを検索する。
オフセット値ΔBGLは、低負荷低回転域に比べて高負荷高回転域でより大きな値に設定される。
なお、図15についての説明で述べたように、ノック検出部31は、バックグラウンドレベルBGLに加算(減算)されるオフセット値ΔBGLに代えて、開閉ノイズの混入有無に対応する既定バックグラウンドレベルBGLfをステップS102で算出することができる。
ノック検出部31は、ステップS102でオフセット値ΔBGL(既定バックグラウンドレベルBGLf)を算出すると、ステップS103に進んで、ノック判定閾値を算出する。
ノック検出部31は、機関負荷及び機関回転速度に応じてノック判定閾値を記憶するマップとして、1回噴射モード(第1噴射モード)用のマップと複数回噴射モード(第2噴射モード)用のマップとを有し、これらのマップからそのときの機関負荷及び機関回転速度に対応するノック判定閾値を検索する。
ノック判定閾値は、低負荷低回転域に比べて高負荷高回転域でより高くなるように設定され、更に、1回噴射モードでの値に比べて複数回噴射モードの値が高くなるように設定される。
ノック検出部31は、ステップS103でノック判定閾値を設定すると、ステップS104に進み、1回噴射モードから複数回噴射モードへの切り替わりタイミングであるか否かを判断する。
ノック検出部31は、噴射モードの切り替わりタイミングを、要求噴射回数の変化を監視することで判断することができる。
例えば、要求噴射回数が「1回」から「2回」に変更されたときに、ノック検出部31は、1回噴射モードから複数回噴射モードへの切り替わりタイミングであると判断することができる。
ノック検出部31は、1回噴射モードから複数回噴射モードへの切り替わりタイミングであると判断するとステップS105に進み、1回噴射モードから複数回噴射モードへの切り替わりタイミングでないと判断するとステップS106に進む。
ノック検出部31は、1回噴射モードから複数回噴射モードへの切り替わりタイミングを判断してステップS105に進むと、ノック判定閾値をステップS103で算出した複数回噴射モード用のノック判定閾値に切り替える。
一方、ノック検出部31は、1回噴射モードから複数回噴射モードへの切り替わりタイミングでないと判断してステップS106に進むと、複数回噴射モードにおける要求噴射回数又は噴射タイミングITについて変化があったか否か(例えば、要求噴射回数が2回から3回へ変化したか否か、又は、要求噴射回数が変化せずに噴射タイミングITが変化したか否か)を判断する。
つまり、ノック検出部31は、噴射タイミングITがノック検出ウィンドウWindに重なる状態と重ならない状態との間での切り替わる可能性があるか否かをステップS106で判断する。
ここで、ノック検出部31は、複数回噴射モードにおける要求噴射回数又は噴射タイミングITの変化がある場合はステップS107に進み、複数回噴射モードにおける要求噴射回数及び噴射タイミングITに変化がない場合、つまり、1回噴射モードであるか若しくは複数回噴射モードで要求噴射回数及び噴射タイミングITに変化がない場合は、図17のステップS109に進む。
ノック検出部31は、ステップS107で複数回噴射モードにおける圧縮行程での噴射タイミングITがノック検出ウィンドウWindと重なっているか否か、換言すれば、ノック検出ウィンドウWindに燃料噴射弁5の開閉ノイズが取り込まれるか否かを判断する。
ノック検出部31は、ノック検出ウィンドウWindの開タイミングであるクランク角位置WiOPからノック検出ウィンドウWindの閉タイミングであるクランク角位置WiCLまでの間のクランク角範囲内に、クランク角位置で表される噴射タイミングITが含まれるか否かを判断する。
ここで、ノック検出部31は、圧縮行程で複数回噴射される場合、すべての圧縮行程での噴射タイミングについて、ノック検出ウィンドウWindと重なっているか否かをそれぞれに判断して、1回噴射モードから複数回噴射モードへの切り替え、若しくは、複数回噴射モードにおける要求噴射回数又は噴射タイミングITの変化に伴い、ノック検出ウィンドウWindに燃料噴射弁5の開閉ノイズが取り込まれるようになったか否かを判断する。
また、前述のように、燃料噴射弁5の開閉ノイズがノックセンサ15に達するまでには遅れ時間DTが存在するので、ノック検出部31は、ステップS107においてノック検出ウィンドウWindの開タイミングであるクランク角位置WiOPを、遅れ時間DTに相当するクランク角T−ANG(deg)だけ進角させ、この進角させたノック検出ウィンドウWindの開始点に基づき圧縮行程での噴射タイミングITがノック検出ウィンドウWindと重なっているか否かを判断する。
遅れ時間DTは略一定時間であり、ノック検出部31は、遅れ時間DTに相当するクランク角T−ANGを、そのときの機関回転速度に基づき求める(図14の変換テーブル参照)。
なお、クランク角位置WiOP及びクランク角位置WiCLは、上死点後のクランク角として表され、ノック検出部31は、クランク角位置WiOPからクランク角T−ANGを減算することで、ノック検出ウィンドウWindの開始点を進角させる。
圧縮行程での噴射タイミングITがノック検出ウィンドウWindと重なっている場合、ノック検出部31は、ステップS108に進み、ステップS102で求めたオフセット値を前回値のバックグラウンドレベルBGL(1回噴射モードでのバックグラウンドレベルBGL)に加算することで、燃料噴射弁5の開閉ノイズの混入に見合うレベルにまでバックグラウンドレベルBGLをステップ的に増大変化させる。
これにより、燃料噴射弁5の開閉ノイズによるノック信号レベルの変化に基づきノック指標が変化することが抑止され、開閉ノイズの混入に伴うノック誤検出が抑制される。
なお、ステップS108で増大補正されるバックグラウンドレベルBGLは、ステップS105で求めた複数回噴射モードでのノック判定閾値と合わせて、ノック判定処理に使用される。
また、ノック検出部31は、1回噴射モードの継続状態では、ステップS107でノック検出ウィンドウWindに燃料噴射弁5の開閉ノイズが取り込まれないと判断して、ステップS109以降に進む。
ノック検出部31は、ステップS108でバックグラウンドレベルBGLの補正を実施した後、ステップS109に進み、複数回噴射モードから1回噴射モードへの切り替わりタイミングであるか否かを判断する。
そして、ノック検出部31は、複数回噴射モードから1回噴射モードへの切り替わりタイミングを検出すると、ステップS110に進み、ノック判定閾値をステップS103で算出した1回噴射モード用のノック判定閾値に切り替えた後、ステップS112に進む。
一方、ノック検出部31は、ステップS109で複数回噴射モードから1回噴射モードへの切り替わりタイミングを判定しないと、ステップS111に進み、複数回噴射モードにおける要求噴射回数又は噴射タイミングITの変化があるか否かを判断する。
そして、ノック検出部31は、複数回噴射モードにおける要求噴射回数又は噴射タイミングITの変化を判断するとステップS112に進み、複数回噴射モードにおける要求噴射回数及び噴射タイミングITに変化がない場合は、バックグラウンドレベルBGLの補正を行うことなく図16及び図17に示した制御フローを終了させる。
ノック検出部31は、ステップS112において、圧縮行程での噴射タイミングITがノック検出ウィンドウWindと重なっている状態が不成立になったか否かを判断する。
つまり、ノック検出部31は、複数回噴射モードから1回噴射モードへの切り替わり、若しくは、複数回噴射モードにおける要求噴射回数の減少又は噴射タイミングITの変化に伴い、噴射タイミングITがノック検出ウィンドウWindと重なる状態から重ならない状態に切り替わったか否かを判断する。
噴射タイミングITがノック検出ウィンドウWindと重なる状態から重ならない状態に切り替わった場合、ノック検出ウィンドウWindに燃料噴射弁5の開閉ノイズが混入する状態から混入しなくなることで、ノック信号のレベルがステップ的に減少変化することになるため、これに対応してバックグラウンドレベルBGLを下げないと、ノックの検出漏れを発生させる可能性がある。
そこで、ノック検出部31は、噴射タイミングITがノック検出ウィンドウWindと重なる状態から重ならない状態に切り替わったことを判断したときに、ステップS113に進み、バックグラウンドレベルBGLをステップS102で求めたオフセット値だけ減算することで、燃料噴射弁5の開閉ノイズが混入しない状態に見合うレベルにまでバックグラウンドレベルBGLをステップ的に減少変化させる。
「第2実施形態」
次に、第2実施形態を、図を用いて説明する。
なお、第2実施形態において、内燃機関1及び制御装置13の構成は、第1実施形態と同様である。
図18は、第2実施形態において、制御装置13(ノック検出部31)が、燃料噴射弁5の開閉ノイズの混入判定に用いるノイズ発生タイミングパラメータFLAG(開閉ノイズ発生フラグ)の演算動作を説明するタイムチャートである。
ノック検出部31は、圧縮行程での噴射タイミング区間Cinjに設定された噴射タイミングIT(噴射開始タイミング)に対し、噴射パルス幅(ms)のクランク角度換算値(deg)、および、伝達遅れ時間DT(ms)のクランク角度換算値(deg)を加算したタイミング、つまり、閉弁ノイズがノックセンサ15に達するタイミングで、ノイズ発生タイミングパラメータFLAGをハイレベルに立ち上げ(ONし)、一定時間後(演算周期後)にノイズ発生タイミングパラメータFLAGをローレベルに立ち下げる(OFFする)。
なお、燃料噴射弁5の開弁ノイズが閉弁ノイズよりも大きい場合、ノック検出部31は、噴射タイミングITに伝達遅れ時間DTのクランク角度換算値を加算したタイミング、つまり、開弁ノイズがノックセンサ15に達するタイミングで、ノイズ発生タイミングパラメータFLAGをハイレベルに立ち上る(ONする)ことで、ノック判定に影響する開閉ノイズの混入を判定することができる。
図19及び図20は、ノイズ発生タイミングパラメータFLAGを用いて開閉ノイズの混入判定を行うようにした制御フローを示す。
ここで、ノック検出部31は、図19のステップS201−ステップS206の各ステップにおいて、図16のステップS101−ステップS106と同様な処理を実施するので、ここでは詳細な説明を省略する。
ノック検出部31は、ステップS207で、ノック検出ウィンドウWind内でノイズ発生タイミングパラメータFLAGがハイレベルになっていたか否かを判定する。
そして、ノック検出ウィンドウWind内でノイズ発生タイミングパラメータFLAGがハイレベル(FLAG=1)になっていた場合、ノック検出部31は、ノック検出ウィンドウWindに燃料噴射弁5の開閉ノイズが混入したと判断してステップS208に進む。
ノック検出部31は、ステップS208で、図16のステップS108と同様にバックグラウンドレベルBGLを増大補正し、その後、図20のステップS209以降に進む。
一方、ノック検出ウィンドウWind内でノイズ発生タイミングパラメータFLAGがローレベル(FLAG=0)になっていた場合、ノック検出部31は、ノック検出ウィンドウWindに燃料噴射弁5の開閉ノイズが混入していないと判断して図20のステップS209以降に進む。
ノック検出部31は、ステップS209−ステップS211で、図17のステップS109−ステップS111と同様な処理を実施する。
次いで、ノック検出部31は、ステップS212で、ノック検出ウィンドウWind内でノイズ発生タイミングパラメータFLAGがハイレベルであった状態からローレベルになったか否かを判断することで、ノック検出ウィンドウWindに燃料噴射弁5の開閉ノイズが混入しない状態に切り替わったか否かを検出する。
そして、ノック検出ウィンドウWindに燃料噴射弁5の開閉ノイズが混入しない状態に切り替わった場合、ノック検出部31は、ステップS213に進み、図17のステップS113と同様にバックグラウンドレベルBGLを減少補正する。
「第3実施形態」
次に、第3実施形態を、図を用いて説明する。
なお、第3実施形態において、内燃機関1及び制御装置13の構成は、第1実施形態と同様である。
図21は、筒内噴射用である燃料噴射弁5単体での閉弁動作における振動加速度を測定した結果の一例であり、横軸は周波数、縦軸は振動加速度を示す。
この図21は、燃料噴射弁5の閉弁時の振動強度が、ノック発生領域と重複する10kHz−15kHzの周波数帯で上がり、また、ノック発生領域と重複しない30kHz−40kHzの周波数帯でも上がることを表している。
一方、図22は、燃料噴射弁5を内燃機関1に装着した状態での閉弁動作における振動加速度を測定した結果の一例であり、横軸は周波数、縦軸は振動加速度を示す。
この図22は、燃料噴射弁5の閉弁時の振動強度が、内燃機関1への装着状態でも、10kHz−15kHz以外に30kHz−40kHzの周波数帯で上がることを表している。
つまり、燃料噴射弁5の閉弁動作における振動加速度が、ノック発生領域と重複する10kHz−15kHzの周波数帯で上がることで、ノック検出ウィンドウWindに燃料噴射弁5の開閉ノイズが混入するとノック検出に影響を与えることになる。
一方、30kHz−40kHz帯の振動加速度は、ノック発生によっては上がらない、燃料噴射弁5の開閉ノイズに特有の成分であり、ノック検出部31は、この30kHz−40kHz帯の振動加速度が所定の判定値Aを上回るときに、開閉ノイズの混入を判定できることになる。
図23及び図24は、燃料噴射弁5の開閉ノイズの周波数特性に基づき、ノック検出ウィンドウWindへの開閉ノイズの混入を判定する構成の制御フローである。
図23のステップS301−ステップS306において、ノック検出部31は、図16のステップS101−ステップS106と同様な処理を実施するので、詳細な説明は省略する。
ノック検出部31は、噴射モードの切替え、若しくは、圧縮行程での噴射回数の変更や噴射タイミングITの変化によって、ノック検出ウィンドウWindに開閉ノイズが混入するようになった可能性がある場合、ステップS307に進む。
ステップS307で、ノック検出部31は、ノック検出ウィンドウWind内で取り込んだノックセンサ15の信号について、燃料噴射弁5の開閉ノイズに固有の周波数成分である30kHz−40kHzの強度を演算する。
次いで、ノック検出部31は、ステップS308に進み、30kHz−40kHzの強度が判定値A以上であるか否かを判定する。
30kHz−40kHzの強度が判定値A以上である場合、ノック検出部31は、ノック検出ウィンドウWind内に燃料噴射弁5の開閉ノイズが混入するようになったと判断し、ステップS309に進んで、図16のステップS108と同様に、バックグラウンドレベルBGLを増大補正した後、図24のステップS310以降に進む。
一方、30kHz−40kHzの強度が判定値A未満である場合、ノック検出部31は、ノック検出ウィンドウWind内に燃料噴射弁5の開閉ノイズが混入するようになっていないと判断し、ステップS309を迂回し、図24のステップS310以降に進む。
ノック検出部31は、図24のステップS310−ステップS312で、図17のステップS109−ステップS111と同様な処理を実施する。
そして、ノック検出ウィンドウWind内に燃料噴射弁5の開閉ノイズが混入しない状態に切り替わっている可能性があるとき、ノック検出部31は、ステップS312に進み、ノック検出ウィンドウWind内で取り込んだノックセンサ15の信号について、燃料噴射弁5の開閉ノイズに固有の周波数成分である30kHz−40kHzの強度を演算する。
次いで、ノック検出部31は、ステップS313に進み、30kHz−40kHzの強度が判定値A未満であるか否かを判定する。
ここで、30kHz−40kHzの強度が判定値A未満になっている場合、ノック検出部31は、ノック検出ウィンドウWind内に燃料噴射弁5の開閉ノイズが混入しない状態に切り替わったと判断し、ステップS314に進む。
そして、ノック検出部31は、ステップS314で、図17のステップS113と同様にバックグラウンドレベルBGLを減少補正する。
なお、ノック検出部31がステップS307及びステップS312に強度を演算する周波数帯は、燃料噴射弁5の振動特性に応じて任意に設定でき、また、ノック検出部31は、開閉ノイズに特有である複数の異なる周波数帯の強度をそれぞれに演算することができる。
そして、ノック検出部31は、複数の異なる周波数帯の強度をそれぞれに演算する場合、各強度のうちの大きい方と判定値とを比較したり、各強度の平均値と判定値とを比較したりすることができる。更に、ノック検出部31は、周波数帯毎に異なる判定値と比較させ、例えば、強度検出した全て周波数帯について判定値を上回る強度であるときに開閉ノイズの混入を推定することができる。
また、ステップS308、ステップS313における判定値Aは、例えば、1回噴射モード(吸気行程で1−2回噴射)での30kHz−40kHz帯の強度よりも大きく設定され、複数回噴射モード(吸気行程噴射及び圧縮行程での複数回噴射)においてノック検出ウィンドウWindへ開閉ノイズが混入したときの30kHz−40kHz帯の強度よりも低く設定される。
以上述べた通り、ノック検出部31は、1回噴射から複数回噴射に切り替わった際に、噴射タイミングITがノック検出ウィンドウWindと重ったか否かを判定し、重なったと判定した場合はノック検出ウィンドウWindへの開閉ノイズの混入と見做し、バックグラウンドレベルBGLを増大補正する。
これにより、燃料噴射弁5の噴射タイミングITがノック検出ウィンドウWindと重なるときに、燃料噴射弁5の開閉ノイズをノックとして誤検出することを抑制でき、また、燃料噴射弁5の噴射タイミングITがノック検出ウィンドウWindと重ならないときは、無用にバックグラウンドレベルBGLが補正されることが抑止され、より正確なノック制御性を実現できる。
尚、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。
例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。
また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
1…内燃機関、5…燃料噴射弁(燃料噴射装置)、13…制御装置、15…ノックセンサ

Claims (3)

  1. 各気筒の燃焼室に燃料を直接噴射する燃料噴射弁と、ノック振動を検出するノックセンサと、を備える多気筒の内燃機関に適用される内燃機関の制御装置であって、
    気筒別のノック検出ウィンドウでの前記ノックセンサの出力信号に基づきノックの有無を検出するノック検出部と、
    前記ノック検出ウィンドウでの前記ノックセンサの出力信号に他気筒の前記燃料噴射弁の動作振動が混入したか否かを判定する混入判定部と、
    前記ノック検出部がノックの発生を検出する信号レベルを、前記判定部が前記動作振動の混入を判定したときには前記判定部が前記動作振動の混入を判定しないときよりも高く設定するノック検出レベル設定部と、
    を有し、
    前記混入判定部は、
    前記ノック検出ウィンドウを所定角度だけ進角側にオフセットさせた区間内に他気筒の前記燃料噴射弁の動作タイミングが含まれるときに、前記動作振動の混入を判定し、
    前記所定角度を前記内燃機関の回転速度が高いほどより大きな角度に設定する、
    内燃機関の制御装置。
  2. 各気筒の燃焼室に燃料を直接噴射する燃料噴射弁と、ノック振動を検出するノックセンサと、を備える多気筒の内燃機関に適用される内燃機関の制御装置であって、
    気筒別のノック検出ウィンドウでの前記ノックセンサの出力信号に基づきノックの有無を検出するノック検出部と、
    前記ノック検出ウィンドウでの前記ノックセンサの出力信号に他気筒の前記燃料噴射弁の動作振動が混入したか否かを判定する混入判定部と、
    前記ノック検出部がノックの発生を検出する信号レベルを、前記判定部が前記動作振動の混入を判定したときには前記判定部が前記動作振動の混入を判定しないときよりも高く設定するノック検出レベル設定部と、
    を有し、
    前記混入判定部は、
    前記ノック検出ウィンドウでの前記ノックセンサの出力信号に含まれる、前記燃料噴射弁の動作振動に固有の周波数成分の振動強度を求め、
    前記振動強度が設定値よりも高いときに前記動作振動の混入を判定する、
    内燃機関の制御装置。
  3. 前記ノック検出部は、
    前記ノックセンサからの出力信号に基づき更新したバックグランドレベルと、前記ノックセンサからの出力信号とからノック指標を求め、前記ノック指標とノック判定閾値とを比較してノックの有無を検出し、
    前記ノック検出レベル設定部は、
    前記判定部が前記動作振動の混入を判定したときには前記判定部が前記動作振動の混入を判定しないときよりも、前記バックグランドレベルを増大させる、
    請求項1又は請求項2記載の内燃機関の制御装置。
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