JP6815248B2 - アンカーボルト支保装置 - Google Patents
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Description
この結果、コンクリート硬化後にアンカーボルトを垂直な状態に矯正する作業が必要となり、その作業は容易ではなく、多大の労力を必要としている。
なお、アンカーボルトは基礎の中央を避けた偏った位置であれば直立させることが可能となるが、取り付け精度の低下や耐震性の低下の原因となるので好ましくない。
この提案は、型枠内の中央にアンカーボルトを直立状態に保持させると共に基礎からの突出量を調節しようとするものであるが、装置がネジで型枠に固定され、又突出量を調節するための縦長長孔を備えた縦動板が一つのボルトとナットで支持されているため、ネジやナットの締め具合が弱いと、コンクリート打設時にアンカーボルトがコンクリートの流圧を受けて傾斜し、そのまま復元せずに傾斜したままで固着されてしまう虞があり、又、ナットによるアンカーボルトの取り付け及び取り外し作業には大変に手間を要するものとなっている。
アンカーボルトのストレート部分を抜き差し可能な管体の上部と下部が上部支持部のボルト支持孔と下部支持部のボルト支持孔に接合され、該管体にその周壁を貫いた締付用の固定ネジが装着され、管体に差し込んだアンカーボルトを、該固定ネジを緩めて上部支持部と下部支持部に上下調節可能とし、該固定ネジを締め付けて上部支持部と下部支持部に固定可能とする固定部と、から成ることを特徴とする。
又、コンクリート硬化後の型枠パネルからの取り外しは、基礎のコンクリート面から型枠パネルを剥離させる際に、前記型枠パネル間が開いて表面当接部の当接面と型枠パネルの表面とが離れるので簡単に取り外すことが可能となる。
そして、コンクリート打設時には、取り付けたアンカーボルトはアンカー部への生コンクリートの流圧を受けても、その流圧に抗する型枠の表面と表面当接部の当接面との接触面の摩擦抵抗によってアンカーボルトが傾斜することなく、コンクリートが硬化するまで垂直状態を保持可能となる。
このため、アンカーボルトのネジ部は固まったコンクリートの基礎の中央に確実に垂直状態で固着され、その後に行われる土台取り付け工事において、多数使用されて極めて手間のかかるアンカーボルトの直立矯正作業が全く不要となる。
この結果、基礎工事とその後の土台取り付け工事において、極めて大幅な省力化と経費削減が可能となる。
又、基礎に対するアンカーボルトの偏りを原因とする基礎及び土台の強度不足の発生が防止される。
更に、本アンカーボルト支保装置は簡潔な構造なので使用寿命が長く維持され、又製造コストを低く抑えることが可能となる。
この結果、アンカーボルト支保装置へのアンカーボルト固定作業の能率をより大幅に向上させることが可能となる。
本発明では、該図1に示すように、ストレート部分の上部にはネジ部17aを備え、下部には屈曲したアンカー部17cを有し、中間部位には基礎の中央に配される上側の主筋24及び下側の主筋25と基礎の中央で交差するのを避けるための屈曲部27bを有するアンカーボルト17を使用する。
該金属板は、例えば、前記横幅は23〜35mmで、厚さは約1〜3mmの鉄板を用いることができる。
その横幅を35mmまでとしたのは、持ち運びや取り付け等の扱い易さを確保して、コンクリート流し込みを邪魔せずに作業を円滑に行えるようにするためであり、横幅をこれよりも大きくすると、両型枠パネル間上部の開口面積を狭めてコンクリート流し込み作業を行う際の障害となり得るので好ましくない。
図4では、前記上部支持部2の両側を前記両表面当接部4、5間より長くして、その長くした部分を前記両上端当接部6、7に重ね合わせて溶接した態様を示すが、重ね合わせることなく前記上部支持部2の両端部を前記表面当接部4、5の上端部に溶接しても良い。
図2は本発明の使用状態を示すは縦断側面図であり、図3は本発明の使用状態を示すは正面図である。
該図2及び図3に示すように、前記両表面当接部4、5には、対設した両側の型枠パネル18、19の表面20、21間の幅と同寸法で平行な当接面4a、5aを備える。
該当接面4a、5aは、上と下のボルト支持孔10、11にアンカーボルト17を差し込んで高さを固定し、両側の型枠パネル18、19間に表面当接部4、5を嵌め込んだ際に、コンクリート打設時のアンカーボルト17の下側の埋設部分に生コンクリートから受ける型枠パネルの長手方向への流圧に抗して、該当接面4a、5aが前記型枠パネル18、19の表面20、21を滑らない摩擦抵抗が得られるようにする。
該当接面4a、5aの横幅は、前記下部支持部3及び上部支持部2と同じ一定の横幅としたので、該当接面4a、5aの摩擦抵抗を増大させるために縦幅を大きくする。即ち、型枠パネル18、19の上端面22、23の高さは決められているので、該上端面22、23の下方へ深く形成する。
該上端当接部6、7は、図4に示すとように、前記両表面当接部4、5の上端部から外側に90度の角度に折り曲げて水平な同一平面上となる当接面6a、7aを備える。
即ち、前記上端当接面6、7は、前記表面当接部4、5に対しては垂直となり、且つ両側の上端当接面6a、7aは同一平面上とする。
例えば、その面の横幅は前記下部支持部3及び上部支持部2と同じ23〜35mmの一定の横幅とする。
そして、型板の厚さが12mm、高さが550mmの四角形の合板の裏側周囲に縦55mm、横25mmの角材を固着した木製の型枠パネル18、19を使用した場合、前記上端当接部6、7の当接面6a、7aの長さは、型枠パネル18、19の上枠18b、19bの幅55mmと型板の厚さ12mmを合算した67mmの長さとする。
上端当接部6、7の長さは、型枠パネル18、19の上端面22、23に載るように、型枠パネル18、19の上枠18b、19bの幅55mmと型板の厚さ12mmを合算した上端面22、23の幅である67mmよりも5mm長い72mmとする。
この長さとすることで上端当接部6、7の当接面6a、7aを前記型枠パネル15、16の上端面22、23に対して型枠パネル18、19に歪みが起こっても確実に当接させることが可能となる。
該背面抱え部8、9は、図4に示すとように、前記上端当接部6、7の外側に形成するが、例えば、上記の如く上端当接部6、7の長さを72mmとする場合、前記上端当接部6、7の外端部から下へ角度90度に折り曲げて形成することができる。
この場合、該背面抱え部8、9の前記表面当接部4、5の当接面4a、5aに対する対向面8a、9aが、上端面の幅が67mmの型枠パネル18、19の上枠18b、18bの背後から5mm離れるので該対向面8は上枠18b、18bの背後には接触しない。
そして、この型枠パネル18、19の上枠18b、19bの背後に生じる少しの隙間によって、前記表面当接部4、5側を型枠パネル18、19内に確実に嵌め込むことが可能となる。
しかし、木製の型枠パネル18、19は再利用されるため表面18a、19aのコンクリートによる汚れや、上枠18b、19b、型板18a、18aの歪みや破損等が生じることがあり、その場合、前記上枠18b、19bの背後に対する5mmの隙間が得られなくなり、このため、上枠18b、18bの背後に当って上枠18b、18bを圧迫し、前記表面当接部4、5の当接面4a、5aと前記型枠パネル18、19の表面20、21との摩擦抵抗を高める良い結果が生じることもある。
そして、作業員や建築機材の移動時の衝突や地震等で型枠パネル18、19が動いた場合、背面抱え部8、9の対向面8が型枠パネル18、19の背後に突き当たって本アンカーボルト支保装置1が型枠パネル18、19から離れたり、位置がずれたりするのを防ぐことができるようになる。
図1では、上部支持部2は、金属板を前記表面当接部4、5の上端部間に、両側を一旦立ち上げてその上部を水平に架橋させる上へ競り上げて架設した態様を示す。
この態様では、競り上げる高さは、最大でも前記上のボルト支持孔6が基礎に固定したアンカーボルト17の上端17dを超える位置にはならないようにする。
なお、図示しないが、上部支持部2は前記上端当接部6、7の高さと等しく前記上端当接部6、7に連続してフラットとなる高さとした態様や、中央部が高い台形の形とした態様も可能である。
図2及び図3に示すように、該ボルト支持孔10、11は、前記上部支持部2と下部支持部3の中央部位に、前記上端当接部6、7の当接面6a、7aに対して上と下で垂直となるように貫設する。
該両ボルト支持孔10、11の径はアンカーボルト17のネジ部17aを含むストレート部分を上端部17dから遊びを殆ど持たずに差し込み可能なサイズとする。
上のボルト支持孔10と下のボルト支持孔11との間隔は大きい方がアンカーボルト17の垂直性の精度が高まり、アンカーボルト17がより安定的な状態となるが、上側の上部支持部2に設ける上のボルト支持孔10は、アンカーボルト17の上端17dを越えられないので高さに限界があり、又、下側の下部支持部3に設ける下のボルト支持孔10は、打設する基礎のコンクリートに突き当ってはならないので低さに限界がある。
これとは逆に、低い基礎であって、基礎の上部から型枠パネル18、19の上端面22、23までの間隔が大きく、アンカーボルト17の上端17dの位置が低くなる場合には、上部支持部2をフラットまで下げて、上のボルト支持孔10の位置を低くし、下側の下部支持部3を下げて下のボルト支持孔11を低くすることで、上のボルト支持孔10と下のボルト支持孔11との間隔を大きく得ることが可能となる。
該固定部12は、上のボルト支持孔10と下のボルト支持孔11へ差し込まれたアンカーボルト17のストレート部分の支持位置を上下調節し、その調節位置で上部支持部2と下部支持部3に対して固定可能とし、型枠パネル18、19間に流し込んだコンクリートが硬化するまで仮止めするものであり、アンカーボルト17に対して、図1及び図5に示すように、前記上部支持部2のボルト支持孔6に近接させて該ボルト支持孔10の上側と下側(上部支持部2の下に隠れるので図示省略)から挟止部材13を装着してアンカーボルト17の高さを調節し、アンカーボルト17を任意の位置に固定可能とする。
図1は上部支持部2に対して挟止部材13を装着した態様を示すが、下部支持部3のボルト支持孔11の上側と下側に下部支持部2に近接させて挟止部材13を装着することも可能であり、いずれも同じようにアンカーボルト17の高さを調節し、アンカーボルト17を任意の位置に固定可能となる。
又、該挟止部材13はアンカーボルト17を挟んで固定可能なものであり、前記二股ピンの他に、両側を指で押すことで挟持部が開閉可能となるバネ付きのクリップ等の各種挟み付け可能な挟止部材13を使用することが可能である。
この形態では、該管体14は上のボルト支持孔10と下のボルト支持孔11は溶接で固着する場合、上のボルト支持孔10と下のボルト支持孔11の口径と同じ口径の鉄やステンレス等の金属管が使用できる。
又、上のボルト支持孔10と下のボルト支持孔11との間よりも長いアンカーボルト17が差し込み可能な金属製等の管体14を前記上のボルト支持孔10と下のボルト支持孔11の口径を広げて貫通させ、該管体14の両側の突出部分には、上のボルト支持孔10と下のボルト支持孔11の近くに横の切り込み溝を入れて、この溝に二股クリップを差し込んで固定する態様も可能である。
そして、図6に示すように、該管体14にその周壁を貫通させたネジ孔15に固定ネジ16を羅着し、アンカーボルト17を、該固定ネジ16を緩めて上下調節し、締めてその位置に固定できるようにする。
又、上端当接部6、6や背面抱え部8、9の板面に小孔を設ければ、該小孔にネジや釘を差し込んで型枠に確実に固定することができるようになる。
そして、嵌め込まれたアンカーボルト支保装置1の表面当接部4、5の当接面4a、5aが型枠パネル18、19の表面20、21に当接し、その当接面4a、5aは、図7及び図8中のハッチング部分で示すように、生コンクリートの流圧に抗して型枠の表面に対する摩擦抵抗が得られる四角形の4つのコーナーで囲われた下側に広い面積としたので、型枠パネル18、19の長手方向への傾動が発生せず、更に対面した平行な表面当接部4、5の当接面4a、5aで型枠に対して強く固定されるので基礎の横幅方向への傾斜も発生しない。
即ち、全方向に傾斜せずに、アンカーボルト17の垂直状態が維持されることとなる。
その際、型枠パネル18、19を基礎から剥がす作業に伴って、型枠パネル18、19間の間隔が広がれば、表面当接部4、5の当接面4a、5aが型枠パネル18、19の表面20、21から離れて自然に緩むこととなり、短時間で容易に取り外せて作業効率も大幅に向上させることが可能となる。
そして、その後に行われる土台取り付け工事では、極めて手間のかかるボルト直立矯正作業から開放されるので、基礎及び土台工事の作業能率の大幅な向上が実現することとなる。
この結果、型枠パネル18、19の組み立て時から生コンクリート流し込み終了までアンカーボルト17の直立状態を保ち続け、コンクリートの硬化後、アンカーカーボルト17が基礎の中央に直立状態で固定されることとなる。
2 上部支持部
3 下部支持部
4 表面当接部
4a 当接面
5 表面当接部
5a 当接面
6 上端当接部
6a 当接面
7 上端当接部
7a 当接面
8 背面抱え部
8a 対向面
9 背面抱え部
9a 対向面
10 ボルト支持孔
11 ボルト支持孔
12 固定部
13 挟止部材
14 管体
15 ネジ孔
16 固定ネジ
17 アンカーボルト
17a ネジ部
17b 屈曲部
17c アンカー部
17d 上端部
18 型枠パネル
18a 型板の表面
18b 上枠
18c 下枠
19 型枠パネル
19a 型板の表面
19b 上枠
19c 下枠
20 型板の表面
21 型板の表面
22 型枠パネルの上端面
23 型枠パネルの上端面
24 上側の主筋
25 下側の主筋
26 縦筋
A 表面当接部の当接面の深さ
B 表面当接部の当接面の横幅
Claims (1)
- 建築物の基礎工事において、基礎の両側に対設した型枠パネル間の上部に着脱可能に固定され、打設したコンクリートが硬化するまで土台固定用のアンカーボルトを型枠パネル間に直立状態で保持するアンカーボルト支保装置であって、
両側の型枠パネルの表面間の幅と同寸法を有する下部支持部と、
該下部支持部の両側から両側の型枠パネルの表面間の幅と同寸法で外向きの当接面を、アンカーボルトの下側の埋設部分に対してコンクリート打設時の生コンクリートから受ける型枠パネルの長手方向への流圧に抗する摩擦抵抗が得られる深さで平行に立ち上げた表面当接部と、
該表面当接部の上端部から外側に向けて下向きの当接面を前記表面当接部の当接面に対して垂直且つ同一平面上に両側に突出させた上端当接部と、
該両上端当接部の外端部から前記表面当接部の当接面と平行な対向面を垂下した背面抱え部と、両側の表面当接部の上端部間に前記下部支持部との間でアンカーボルトを安定的に支持可能とする間隔に架設した上部支持部と、
上と下で差し込んだアンカーボルトを前記上端当接部の当接面に対して垂直に支持可能とした上部支持部の中央に設けたボルト支持孔及び下部支持部の中央に設けたボルト支持孔と、
アンカーボルトのストレート部分を抜き差し可能な管体の上部と下部が上部支持部のボルト支持孔と下部支持部のボルト支持孔に接合され、該管体にその周壁を貫いた締付用の固定ネジが装着され、管体に差し込んだアンカーボルトを、該固定ネジを緩めて上部支持部と下部支持部に上下調節可能とし、該固定ネジを締め付けて上部支持部と下部支持部に固定可能とする固定部と、
から成ることを特徴とするアンカーボルト支保装置。
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