JP6815139B2 - 乳酸菌を有効成分とする加齢による網膜細胞死を抑制するための組成物 - Google Patents

乳酸菌を有効成分とする加齢による網膜細胞死を抑制するための組成物 Download PDF

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Description

本発明は、乳酸菌を用いて、加齢による網膜細胞死又は網膜細胞の脱落を抑制し、加齢による網膜細胞死又は網膜細胞の脱落に起因する不快な状態を防止又は改善する方法に関する。
老化による眼の疾患、視機能低下は高齢者のQOLを大きく損なう。眼は多くの膜や細胞からなるところ、網膜は眼の最内層にある光を感受する膜状の組織で、光を神経刺激に変換する、杆体、錘体、神経終末を含む。網膜疾患には、遺伝性のものや、神経又は脈絡膜障害を起こす血管損傷に関与するもの、特発性のものがあるが、代表的なものとして黄斑部の萎縮や変性の生じる加齢黄斑変性が知られている。加齢黄斑変性は高齢者における中心視力悪化の一般的な原因である。
また疾患ではないが、加齢により、眼の疲れ、神経細胞が減少して奥行きの認識力が衰える、眼で生成される涙液が減り、眼の乾きを感じる、光の変化に対する瞳孔の反応が遅くなる、などの不快感を感じるようになる(非特許文献1)。
眼科疾患についてはすでに多くの薬剤や治療法が提案されており、疾患でないが不快な状態に対してもいわゆる健康食品が数多く提案されている。
一方で、乳酸菌などのプロバイオティクスが例えば抗炎症作用、抗アレルギー作用、抗感染症作用、免疫賦活作用などの免疫調節作用を有することが報告されている(例えば、非特許文献2)。例えば、アレルギーの治療等に有用な乳酸菌として、Lactobacillus paracasei KW3110株が報告されていた(特許文献1等)。しかしながら加齢による網膜細胞死及び脱落の抑制や視機能低下の改善に寄与する乳酸菌の報告は存在しない。
特表2013-501706号公報
メルクマニュアル医学百科 家庭版、"加齢に伴う体の変化 眼"[online]、2007年8月、メルクマニュアル日本語オンライン版、[平成28年8月4日検索]、インターネット(URL: http://merckmanuals.jp/home/%E9%AB%98%E9%BD%A2%E8%80%85%E3%81%AE%E5%81%A5%E5%BA%B7%E4%B8%8A%E3%81%AE%E5%95%8F%E9%A1%8C/%E9%AB%98%E9%BD%A2%E8%80%85%E3%81%AE%E4%BD%93/%E5%8A%A0%E9%BD%A2%E3%81%AB%E4%BC%B4%E3%81%86%E4%BD%93%E3%81%AE%E5%A4%89%E5%8C%96.html Yan, F., Curr. Opin. Gastroenterol, 27, 496-501, (2011)
本発明は、加齢による網膜細胞死又は網膜細胞の脱落を抑制し、加齢による網膜細胞死又は網膜細胞の脱落に起因する不快な状態を防止又は改善する組成物の提供を目的とする。
本発明者らは、乳酸菌の、加齢により低下した視機能への効果について検討を行った。加齢マウスに乳酸菌L.paracasei(ラクトバチラス・パラカゼイ)KW3110株を摂取させたところ、乳酸菌L.paracasei(ラクトバチラス・パラカゼイ)KW3110株を摂取しない加齢マウスで網膜細胞の死により網膜外顆粒層の厚さが減少するのに対し、乳酸菌L.paracasei(ラクトバチラス・パラカゼイ)KW3110株を摂取させた加齢マウスでは、網膜外顆粒層の厚さの減少が抑制されること、さらに網膜神経節細胞の細胞死や脱落も抑制されることを見出した。また、該乳酸菌を含む組成物を経口摂取することにより加齢に起因する視機能低下を抑制することができることも見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1] 乳酸菌を含有する、加齢による網膜細胞死又は網膜細胞の脱落を防止又は改善するための組成物。
[2] 乳酸菌を含有する、加齢による網膜細胞死又は網膜細胞の脱落に起因する不快な状態を防止又は改善するための組成物。
[3] 前記乳酸菌が、ラクトバチラス属に属するものである、[1]又は[2]の組成物。
[4] 前記乳酸菌が、ラクトバチラス・パラカゼイである、[1]〜[3]の組成物。
[5] 前記乳酸菌が、ラクトバチラス・パラカゼイKW3110株である、[1]〜[4]の組成物。
[6] 前記加齢による網膜細胞死又は網膜細胞の脱落に起因する不快な状態が、加齢による、眼の疲れ、奥行きの認識力が衰える、見える範囲が狭くなる、物が暗く見える、又は光の変化に対する瞳孔の反応が遅くなる状態からなる群から選択される状態であり、組成物が食品組成物である、[2]〜[5]のいずれかの組成物。
[7] 前記組成物が、サプリメントである、[6]の組成物。
[8] 前記加齢による網膜細胞死又は網膜細胞の脱落に起因する不快な状態が、緑内障、加齢黄斑変性、網膜剥離、及び中途失明からなる疾患から選択され、組成物が医薬組成物である、[2]〜[5]のいずれかの組成物。
本発明の乳酸菌を有効成分として含む組成物は加齢による網膜細胞死又は網膜細胞の脱落を抑制し、加齢による網膜細胞死又は網膜細胞の脱落に起因する不快な状態を防止又は改善することができる。一方で、乳酸菌は古くからヨーグルトなどとともに安全に食されてきたから、本発明の組成物は安全であり、長期間摂取しても弊害が想定しにくい。従って、乳幼児、老齢者、病弱者、病後の人等も日常的にかつ継続的に摂取し得る飲食品として有用である。
自然加齢マウス、及び若齢マウスの標準食群とラクトバチラス・パラカゼイKW3110株摂取群間の網膜外顆粒層の厚さ(網膜厚)を示す図である。 自然加齢マウス、及び若齢マウスの標準食群とラクトバチラス・パラカゼイKW3110株摂取群間の網膜神経節細胞数を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は乳酸菌を有効成分として含有する加齢による網膜細胞死又は網膜細胞の脱落を抑制し、加齢による網膜細胞死又は網膜細胞の脱落に起因する不快な状態を防止又は改善するための組成物である。
本発明において加齢とは、年齢の増加に伴う変化をいう。年齢とともに細胞の再生補充が減少してくるため、機能の発現や維持能力が低下する。特に神経細胞は再生できないため、加齢による現象が顕著である。本発明の加齢による網膜細胞死又は網膜細胞の脱落も加齢に伴って生じるものである。
網膜外顆粒層は網膜に存在する、桿体視細胞と錐体視細胞の神経細胞の層をいい、加齢とともに桿体視細胞や錐体視細胞の網膜細胞が弱り死滅し易くなる。その結果、網膜外顆粒層の厚さが減少し、網膜そのものの厚さが減少する。本発明においては、このような現象を網膜外顆粒層の脱落ともいう。また、網膜の内側面には網膜神経節細胞と呼ばれる神経細胞があり、この神経細胞も加齢により弱り死滅し易くなる。桿体視細胞、錐体視細胞、網膜神経節細胞、双極細胞、アマクリン細胞、水平細胞、ミュラー細胞、網膜色素上皮細胞等の細胞を網膜細胞と呼ぶことができる。
このように、桿体視細胞、錐体視細胞、網膜神経節細胞等の神経細胞が死滅したり、脱落することが一因となり、老眼や老視となってしまうと共に、緑内障、加齢黄斑変性、網膜剥離、中途失明等の眼疾患の一因となる。
また、網膜細胞の死や脱落により、疾患とは言えないが視機能が低下した不快な状態になる。視機能が低下した不快な状態には、加齢による、眼の疲れ、奥行きの認識力が衰える、見える範囲が狭くなる、物が暗く見える、光の変化に対する瞳孔の反応が遅くなる等が含まれる。これらの視機能が低下した状態は、網膜細胞死又は網膜細胞の脱落に起因する不快な状態ともいう。
本発明の加齢による網膜細胞死又は網膜細胞の脱落を抑制し、加齢による網膜細胞死又は網膜細胞の脱落に起因する不快な状態を防止又は改善する組成物は、加齢により網膜外顆粒層の厚さが減少するのを抑制し、さらに加齢による網膜細胞死又は網膜細胞の脱落を抑制し、加齢による網膜細胞死又は網膜細胞の脱落に起因する不快な状態を防止又は改善することができる。
本発明の加齢による網膜細胞死又は網膜細胞の脱落を抑制し、加齢による網膜細胞死又は網膜細胞の脱落に起因する不快な状態を防止又は改善するために用い得る乳酸菌として、以下の属、種又は株に分類されるものが挙げられる。なお、乳酸菌とは、乳酸を生成する細菌を意味し、乳酸桿菌、乳酸球菌を含む。具体的には当業者に知られた方法で分離・同定することができる(たとえば、乳酸菌研究集談会編「乳酸菌の科学と技術」参照)。
ラクトバチラス属;L.delbrueckii(ラクトバチラス・デルブルエッキ)、L.acidophilus(ラクトバチラス・アシドフィラス)、L.casei(ラクトバチラス・カゼイ)、L.fructivorans(ラクトバチラス・フルクティヴォランス)、L.hilgardii(ラクトバチラス・ヒルガルディー)、L.paracasei(ラクトバチラス・パラカゼイ)、L.rhamnosus(ラクトバチラス・ラムノサス、L.plantaum(ラクトバチラス・プランタラム)
ビフィドバクテリウム属 (Bifidobacterium);B.bifidum(ビフィドバクテリウム・ビフィドゥム)、B.adolescentis(ビフィドバクテリウム・アドレスセンティス)
エンテロコッカス属 (Enterococcus);E.faecalis(エンテロコッカス・フェカリス)、E.faecium(エンテロコッカス・フェシウム)
ラクトコッカス属 (Lactococcus);L.lactis(ラクトコッカス・ラクティス)、L.cremoris(ラクトコッカス・クレモリス)
ペディオコッカス属(Pediococcus);P. damnosus(ペディオコッカス・ダムノサス)
ストレプトコッカス属(Streptococcus);S.salivarius(ストレプトコッカス・ザリバリウス)
リューコノストック属 (Leuconostoc);L.mesenteroides(リューコノストック・メセンテロイデス)
この中でもラクトバチラス属に分類されるものが好ましく、特にL.paracasei(ラクトバチラス・パラカゼイ)が好ましい。L.paracasei(ラクトバチラス・パラカゼイ)の株として、具体的にはL.paracasei(ラクトバチラス・パラカゼイ)KW3110株が挙げられる。
L.paracasei(ラクトバチラス・パラカゼイ)KW3110株は、特許微生物の寄託のためのブダペスト条約に基く国際寄託当局である、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(〒305-8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)(現在は、独立行政法人製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジーセンター 特許生物寄託センター(NITE-IPOD)(〒292-0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 120号室))に、FERM BP-08634として寄託されている(寄託日:2004年2月20日)。また、L.paracasei(ラクトバチラス・パラカゼイ)KW3110の派生株は、FERM BP-08635として同特許生物寄託センターに寄託されている。
さらに、本発明の加齢による網膜細胞死又は網膜細胞の脱落を抑制し、加齢による網膜細胞死又は網膜細胞の脱落に起因する不快な状態を防止又は改善するために用い得る乳酸菌として、経口摂取した場合に、生体に対して生菌又は死菌もしくはその成分(たとえば細胞膜、細胞膜構成成分、核、核構成成分となる核酸など)が網膜細胞死又は網膜細胞の脱落に起因する不快な状態を防止又は改善する作用を有する乳酸菌が好ましい。たとえば、生菌又は死菌もしくはその成分(たとえば細胞膜、細胞膜構成成分、核、核構成成分となる核酸など)が腸管に存在する免疫細胞に作用できる程度に原形をとどめて腸管に到達できる乳酸菌である。さらに、上記菌株と同等の菌株を用いることができる。ここで、同等の菌株とは、上記の菌株から由来(派生)している菌株又は上記の菌株が由来する菌株若しくはその菌株の子孫菌株をいう。
本発明の加齢による網膜細胞死又は網膜細胞の脱落を抑制し、加齢による網膜細胞死又は網膜細胞の脱落に起因する不快な状態を防止又は改善するための組成物に含まれる乳酸菌は、乳酸菌の培養物を含む。培養物とは、生菌体、死菌体、生菌体又は死菌体の破砕物、生菌体又は死菌体の凍結乾燥物、該凍結乾燥物の破砕物、生菌体又は死菌体の酵素処理物、培養液、培養液抽出物等を含み、乳酸菌の一部や乳酸菌の処理物も含む。死菌体は、例えば、加熱処理、抗生物質などの薬物による処理、ホルマリンなどの化学物質による処理、紫外線による処理、γ線などの放射線による処理により得ることができる。さらに、上記乳酸菌のDNA又はRNAも乳酸菌の培養物に含まれる。処理物は、例えば、加熱菌体(死菌体)、その凍結乾燥物、これらを含む培養物を含む。さらに、超音波等による細菌の破砕液、細菌の酵素処理液を含む。また、前記処理物は、細胞壁を酵素若しくは機械的手段により除去した処理物等も含む。さらに、細菌を界面活性剤等によって溶解した後、エタノール等によって沈殿させて得られる核酸含有画分も含まれる。さらに、細菌菌体には死菌体も含まれていてよい。
乳酸菌の培養は、公知の培地を用いた公知の方法で行うことができる。培地としては、M.R.S.培地、GAM培地、LM17培地を用いることができ、適宜無機塩類、ビタミン、アミノ酸、抗生物質、血清等を添加して用いればよい。培養は、25〜40℃で数時間〜数日行えばよい。培養後、乳酸菌菌体を遠心分離やろ過により集菌する。死菌として用いる場合、オートクレーブ等により殺菌不活化して用いてもよい。
本発明の加齢による網膜細胞死又は網膜細胞の脱落を抑制し、加齢による網膜細胞死又は網膜細胞の脱落に起因する不快な状態を防止又は改善するための組成物の有効成分として用い得る乳酸菌は、以下の方法でスクリーニングすることができる。すなわち、候補菌株を培養し、12〜20ヶ月齢、例えば、16ヶ月齢の自然加齢マウスに摂取させる。摂取は例えば、1kgの飼料に乾燥重量として100〜1000mg、好ましくは200〜500mg、例えば250mgの候補菌株を混合し、1〜12ヶ月間、好ましくは4〜8か月間、例えば6ヶ月間自然摂取させる。この場合、1日当たり、約1mgの乳酸菌を摂取することになる。摂取期間終了後に、網膜切片を作製し、染色により網膜外顆粒層の厚さ及び網膜神経節細胞数を測定すればよい。この際、コントロールとして、乳酸菌を混合していない飼料を自然摂取させたマウスを用いる。さらに、コントロールとして乳酸菌を混合していない飼料を自然摂取させた1ヶ月〜2ヶ月齢の若齢マウスも用いることが好ましい。乳酸菌を混合していない飼料を自然摂取させた自然加齢マウスにおいて、若齢マウスに比べ、網膜外顆粒層の厚さ及び網膜神経節細胞数は低下する。この低下を抑制できるか否かを指標に加齢による網膜細胞死又は網膜細胞の脱落を抑制し、加齢による網膜細胞死又は網膜細胞の脱落に起因する不快な状態を防止又は改善するために用い得る乳酸菌株を選択することができる。本発明は、加齢による網膜細胞死又は網膜細胞の脱落を抑制し、加齢による網膜細胞死又は網膜細胞の脱落に起因する不快な状態を防止又は改善し得る乳酸菌株のスクリーニング方法も包含する。
本発明の加齢による網膜細胞死又は網膜細胞の脱落を抑制し、加齢による網膜細胞死又は網膜細胞の脱落に起因する不快な状態を防止又は改善するための組成物はヒトのみならず、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ等の家畜、さらに、イヌ、ネコ等の愛玩動物等に対しても効果を発揮する。
本発明の加齢による網膜細胞死又は網膜細胞の脱落を抑制し、加齢による網膜細胞死又は網膜細胞の脱落に起因する不快な状態を防止又は改善するための組成物は医薬組成物を含む。該医薬組成物は、緑内障、加齢黄斑変性、網膜剥離、中途失明等の疾患に治療又は予防に用いることができる。該医薬組成物の形態は特に限定されない。例えば、粉末、顆粒、錠剤、シロップ、注射剤、点滴剤、散剤、座剤、懸濁剤、軟膏剤などが挙げられる。本発明の組成物を医薬組成物として用いる場合、経口で投与してもよく、また静注、筋注、皮下投与、直腸投与、経皮投与等の非経口で投与してもよいが、経口投与が好ましい。前記の加齢による網膜細胞死又は網膜細胞の脱落を抑制し、加齢による網膜細胞死又は網膜細胞の脱落に起因する不快な状態を防止又は改善するための組成物は、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、着色剤等を含んでいても良い。賦形剤としてはブドウ糖、乳糖、コーンスターチ、ソルビット等が、崩壊剤としてはデンプン、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン末、炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、デキストリン等が、結合剤としてはジメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、メチルセルロース、エチルセルロース、アラビアゴム、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン等が、滑沢剤としてはタルク、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、硬化植物油等がそれぞれ挙げられる。
投与量は、投与する患者の年齢、体重、性別、疾患の相違、症状の程度により適宜決定することができ、1日1回又は数回に分けて投与すればよく、1回菌数にして1×109〜1×1012細胞に相当する量の培養物を投与すればよい。あるいは、乳酸菌菌体の乾燥菌体重量で1日あたり1〜1000mg、好ましくは10〜500mg、より好ましくは25〜100mgを摂取すればよい。投与期間は、通常1日以上、好ましくは3日以上、より好ましくは1週間以上である。
さらに、本発明の加齢による網膜細胞死又は網膜細胞の脱落を抑制し、加齢による網膜細胞死又は網膜細胞の脱落に起因する不快な状態を防止又は改善するための組成物は食品組成物、すなわち飲食品を含む。該食品組成物は、加齢による、眼の疲れ、奥行きの認識力が衰える、見える範囲が狭くなる、物が暗く見える、光の変化に対する瞳孔の反応が遅くなる状態等の視機能が低下した状態の改善に用いることができる。対象となる飲食品の種類は、これらの加齢による網膜細胞死又は網膜細胞の脱落を抑制し、加齢による網膜細胞死又は網膜細胞の脱落に起因する不快な状態を防止又は改善するための有効成分の作用が阻害されないものであれば特に限定されない。例えば、ヨーグルト、加工乳、チーズ、乳入りデザートなどの乳製品;清涼飲料、ノンアルコール飲料、スポーツ用飲料、栄養飲料などの飲料類;チョコレート、ビスケットなどの菓子類;パン、ドレッシング類、パスタソースなどの食品ソース類等が挙げられる。サプリメントが挙げられることは言うまでもない。また、これら食品組成物には、他の機能性成分も含んでいてもよい。
本発明の飲食品は、機能性表示食品、健康飲食品、特定保健用飲食品、栄養機能飲食品、健康補助飲食品、病者用食品等を含む。ここで、特定保健用飲食品とは、食生活において特定の保健の目的で摂取をし、その摂取により当該保健の目的が期待できる旨の表示をする飲食品をいう。また、機能性表示食品とは、事業者の責任で、科学的根拠を基に商品パッケージに機能性を表示するものとして、消費者庁に届け出られた食品をいう。
これらの飲食品の表示の例として以下のようなものが挙げられるが、これに限定されない。「加齢による眼の老化を抑制する」、「加齢による眼の疲労感を軽減する」、「手元のピント調節機能を助ける」「加齢時の視機能を維持する、改善させる、サポートする、正常に保つ」「加齢時の視機能の維持に役立つ、加齢による眼の機能低下を低減させる」「加齢による眼の疲労感を和らげる、低減させる、防ぐ、加齢による疲れ目を和らげる、緩和する」「加齢時に眼がつかれにくくなる、加齢時に眼がかすみにくくなる」「加齢時の眼の疲れによる肩・腰のこりや痛みを和らげる、低減させる、防ぐ」「加齢時の眼の潤いを維持する、改善させる、サポートする、維持する、正常に保つ」「加齢による眼の乾燥を和らげる、低減させる、防ぐ」「加齢による目の渇きを和らげる」「加齢時の眼の機能を維持する、改善させる、サポートする、正常に保つ」「加齢時のピント調節能を維持する、改善させる、サポートする、正常に保つ」「加齢時のコントラスト感度を維持する、改善させる、サポートする、正常に保つ」「加齢時の眼の調子を整える」「加齢による文字のかすみ・ちらつきを防ぐ」「加齢時も近くの文字もクリアに見える」「加齢時も小さい文字もぼやけない」「加齢時の視野を維持する、改善させる、サポートする、正常に保つ」「加齢時の色覚を維持する、改善させる、サポートする、正常に保つ」「眼の老化を和らげる、防ぐ、改善させる」「老眼、老視を遅らせる」。
本発明の食品組成物の摂取量は通常、乳酸菌乾燥菌体質量として1人1日あたり1〜1000mg、好ましくは10〜500mg、より好ましくは25〜100mgであり、適宜増減できる。摂取期間は、通常1日以上、好ましくは3日以上、より好ましくは1週間以上である。
なお、本明細書においては「眼」「目」のいずれかで表現しているが、いずれの表現を用いた場合でも他方の表現を包含する内容を意味するものとする。
本発明を以下の実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
[実施例1]
試験乳酸菌株の調製
<実験方法>
本発明の実施例で用いた乳酸菌(ラクトバチラス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei) KW3110)は日本乳業技術協会から入手した。乳酸菌をM.R.S.( de Man, Rogosa, Sharpe) 培地(OXOID)で37℃で48時間培養した。集菌後、滅菌水で3回洗浄し、100℃、30分オートクレーブすることにより殺菌した。
[実施例2]
自然加齢マウスにおけるKW3110株摂取の効果
本発明で規定される乳酸菌は健常人、特に眼の老化が気になる人への投与が想定されるため、自然加齢マウスモデルでのKW3110摂取効果を検討した。
<実験方法>
自然加齢マウスとしてC57BL/6Nマウス(16ヵ月齢・雌)を1群10匹、もしくは11匹で、標準食群(AIN93M:オリエンタル酵母工業社製)、KW3110株混餌摂取群(AIN93M1 kg中に乾燥重量として250 mgのKW3110株(実施例1で調製したもの)を含む)の2群に分けた。
また、コントロールとして若齢のC57BL/6Nマウス(1ヵ月齢・雌)を1群5匹で、標準食群(AIN93M:オリエンタル酵母工業社製)、KW3110株混餌摂取群AIN93M1 kg中に乾燥重量として250 mgのKW3110株(実施例1で調製したもの)を含む)の2群設定した。
自然加齢マウスの2群は16ヶ月齢から22ヶ月齢までの6ヶ月間上記飼料により飼育を行い、若齢マウスは1ヶ月齢から3ヶ月齢までの2ヶ月間上記飼料により飼育を行った。なお、いずれも自由摂食によって飼育した。また、KW3110株混餌摂取群では1日当たりKW3110株を約1mg摂取している。
KW3110株摂取期間終了時に採血、及び解剖を行った。網膜切片を作製しヘマトキシリン・エオジン染色後、網膜外顆粒層の厚さ、及び網膜神経節細胞数を測定した。測定に際しては視神経乳頭からの距離を指標に領域を分割し、各領域において網膜外顆粒層の厚さ、網膜神経節細胞数を計測し、平均値を当該領域における外顆粒層の厚さ、及び網膜神経節細胞数とした。各個体の同領域における厚さ、神経節細胞数を用いて群間評価を行った。検定はT検定とし、図中で危険率は*P<0.05、**P<0.01%を意味する。
<結果>
図1に自然加齢マウス、及び若齢マウスの網膜外顆粒層の厚さ(網膜厚)を示す。若齢マウスにおいては、標準食群とKW3110株摂取群間で網膜厚に差は認められなかった。自然加齢の標準食群においては、若齢の標準食群と比較して有意な網膜厚の減少が認められた。加齢に伴って網膜の細胞死が引き起こされた結果と考えられた。一方興味深いことに、自然加齢のKW3110株摂取群においては、自然加齢の標準食群と比較して有意に網膜厚が厚く維持された。この結果から、KW3110株は摂取することにより、加齢に伴う網膜細胞死又は網膜細胞の脱落に対して拮抗的に働き、眼の抗老化に大きく寄与することが示唆された。
図2に自然加齢マウス、及び若齢マウスの網膜神経節細胞数を示す。自然加齢の標準食群においては、若齢の標準食群と比較して有意な神経節細胞数の減少が認められた。加齢に伴って網膜神経節細胞の変性、脱落が引き起こされた結果と考えられた。一方興味深いことに、自然加齢のKW3110株摂取群においては、自然加齢の標準食群と比較して有意に網膜神経細胞数が多く、若齢の標準食群同様に維持された。この結果から、KW3110株は摂取することにより、加齢に伴う網膜神経節細胞の変性、脱落に対して拮抗的に働き、網膜神経節細胞脱落に起因するような緑内障予防や眼の抗老化に大きく寄与することが示唆された。
本発明の加齢による網膜細胞死又は網膜細胞の脱落を抑制し、加齢による網膜細胞死又は網膜細胞の脱落に起因する不快な状態を防止又は改善し得る乳酸菌は医薬、機能性食品、特定保健用飲食品の有効成分として用いることができる。
FERM BP-08634
FERM BP-08635

Claims (5)

  1. ラクトバチラス・パラカゼイKW3110(FERM BP−08634)を含有する、加齢による網膜細胞死又は網膜細胞の脱落を防止又は改善するための組成物。
  2. 前記加齢による網膜細胞死又は網膜細胞の脱落に起因する不快な状態が、加齢による、
    眼の疲れ、奥行きの認識力が衰える、見える範囲が狭くなる、物が暗く見える、又は光の
    変化に対する瞳孔の反応が遅くなる状態からなる群から選択される状態であり、組成物が
    食品組成物である、請求項に記載の組成物。
  3. 前記組成物が、サプリメントである、請求項に記載の組成物。
  4. 前記加齢による網膜細胞死又は網膜細胞の脱落に起因する不快な状態が、緑内障、加齢
    黄斑変性、網膜剥離、及び中途失明からなる疾患から選択され、組成物が医薬組成物であ
    る、請求項1に記載の組成物。
  5. ラクトバチラス・パラカゼイKW3110(FERM BP−08634)を含有する、加齢による、眼の疲れ、奥行きの認識力が衰える、見える範囲が狭くなる、物が暗く見える、又は光の変化に対する瞳孔の反応が遅くなる状態を防止又は改善するための組成物。
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