JP6814727B2 - ボイラ - Google Patents
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Description
特許文献1記載のように、SBは回転しながら火炉内を往復するが、SBが回転しながら蒸気(噴霧媒体)を噴射するため、一般的にSBで灰が除去される範囲は、図6に示すように、スートブロワ(SB)01の噴射口02を中心とした同心円状となる。このSB01によって灰が除去される範囲を、本願明細書では「SB有効範囲」と呼び、SB有効範囲となる同心円の半径Rbを、「SB到達距離」と呼ぶ。
図7において、ノズルから空間に向けて噴出された噴流は、コア領域を含む初期領域、発達領域を経て広がり、幅方向に平坦な速度分布になることが知られている。SBノズルから噴流を伝熱管群に向けて噴出した場合、幅方向に拡散した噴流が伝熱管の表面に衝突し、管表面を水平方向(主に管軸方向)に広がることで管上の堆積灰が除去される。この水平方向の速度成分で生じる動圧(Pt)がSBの除去力に相当する。
Pt=f(Dj,Pj,Ls,X1,X2,Dt,F※) …式(1)
ここで、Dj:SBノズルの口径、Pj:噴射圧、Ls:SBノズル噴射口から伝熱管までの距離(SBスタンドオフ距離)、X1:管群のガス流れ方向の管ピッチ、X2:管群の水平方向管ピッチ、Dt:伝熱管径、F※:伝熱管形状に依存するパラメータ、とする。すなわち、動圧Ptは、これら各パラメータの関数fで表される。
Pt>Pash …式(2)
図8(A)において、伝熱管011に対して、SB有効範囲012が狭い場合、SBが届かない領域(a)が発生して、灰が残りやすい問題が発生する。炭種やガス温度の影響で除灰が困難な場合においても従来通りのSB有効範囲012を確保するには、例えば、SB噴射圧Pjを増加させる、あるいは、SBの台数を増やす等の対策が必要になる。
SB噴射圧Pjを増加させると、蒸気消費量増加(=効率低下、蒸気の無駄遣い)の問題があり、SBの台数の増加は初期コスト増加および効率低下に繋がる問題がある。
請求項1に記載の発明は、水平方向を管軸とする横置きの伝熱管が上下方向に積層したものを横方向に複数列並べて形成されたバンクと、前記バンクに向けて、当該バンクの上面側と下面側から噴霧媒体を噴射して灰を除去するスートブロワ装置とを備えたボイラであって、ボイラ壁面から挿入される前記噴霧媒体を噴射する複数のブロワノズルが、前記バンク上方と下方においてそれぞれ水平方向に移動可能に設置され、前記バンクを形成する前記伝熱管は、前記管軸に交差する向きにフィンを備えたフィン付き伝熱管であり、前記バンク上方のブロワノズルと前記バンク下方のブロワノズルとが水平面内において互いにずれた位置を移動するように配置されてなることを特徴とするボイラである。
Ls=k1・Tb …式(3)、
Ls=k2・Xlp …式(4)、
0.10<k1<1.83 …式(5)、
0.08<k2<1.26 …式(6)。
なお、本願明細書及び請求の範囲において、ボイラ火炉のことを「缶」と表現する場合がある。
図1において、本発明の実施例1の微粉炭焚ボイラ1では、火炉2は、図示しないバーナ等が設置された水管部3を有する。火炉2は、缶前壁2aや缶後壁2b、側壁2c,2dを有する。火炉2の天井部には、バーナで燃焼された燃焼ガスの流れ方向に沿って、吊下げ伝熱部4,5,6が配置され、缶後壁2b側には、バンク(bank:伝熱管群、熱交換器)7,8,9,10が配置されている。
図2において、実施例1のバンク7〜10は、燃焼ガスの流れ方向Yaに交差する火炉2の前後方向Yb(缶前壁2a、缶後壁2bに向かう方向、管軸方向)に沿って繰り返し往復するように配置された伝熱管21により構成されている。伝熱管21の内部には、熱媒の一例としての蒸気が流動している。
実施例1では、上流側の吊下げ伝熱部(熱交換器)4〜6は、伝熱管21は、図3(A)に示すように、裸管(ベアチューブ)22で構成されている。また、下流側の熱交換器7〜10の少なくとも一つのバンクは管本体23aの外面にフィン23bが支持されたフィンチューブ23で構成されている。フィン23bは、管軸方向Ybに対して螺旋状に構成されている。よって、フィン23bは、管軸方向Ybに対して交差(実施例1では傾斜)して支持されている。
図1において、上流側の吊下げ伝熱部(熱交換器)4〜6用のスートブロワ装置31aは、上下方向に間隔をあけて複数配置されている。
前記構成を備えた実施例1の微粉炭焚ボイラ1では、缶後側(下流側)に配置されたバンク7〜10の少なくとも一つのバンクは、フィンチューブ23で構成され、対応するスートブロワ装置31bのブロワノズル32bは千鳥配置となっている。
図3(A)において、裸管22にスートブロワ装置31aから蒸気が吹き付けられると、裸管22の表面に衝突した噴流(蒸気)は、管軸方向Ybおよび噴流の吹き付け方向の下流方向(吊下げ伝熱部(熱交換器4〜6)の厚さ方向)に広がる。これに対して、図3(B)に示すように、フィンチューブ23にブロワノズル32bからの蒸気が吹き付けられると、フィンチューブ23で管軸方向Ybへの広がりが抑制される(図3(B)参照)。したがって、実施例1では、スートブロワ装置31bからフィンチューブ23に吹き付けられた噴流には、管軸方向Ybに交差する噴出し方向(バンク(熱交換器7〜10)の厚さ方向)に指向性が付与される。
Ls=k1・Tb …式(3)
Ls=k2・Xlp …式(4)
なお、k1は、0.10<k1<1.83であり、0.15<k1<0.89が望ましい。また、k2は、0.08<k2<1.26であり、0.13<k2<1.04が望ましい。
なお、従来技術のように、裸管を使用してブロワノズルを正方配置された構成では、図4(A)に示すように、4つのブロワノズル021から離れた領域022で灰が残る問題がある。また、この灰が残る領域022をなくすために、噴射圧を高くすると、図8(B)において説明したように、エロージョンの懸念が高くなる。
さらに、裸管を使用してブロワノズルが千鳥配置された構成では、図4(C)に示すように、灰が残る領域022が広くなる問題もある。
図5において、熱交換器7〜10の管軸方向Ybの長さが短い場合は、図2に示す千鳥配置ではなく、図5に示すように、熱交換器7〜10の上流側と下流側にブロワノズル32b1,32b2が1つずつ配置され、且つ、管軸方向Ybに対してはずれた位置に配置される構成、いわゆるオフセット配置とすることも可能である。このような構成とすることでも、実施例1と同様の作用効果を奏することが可能である。
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H03)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、フィン23bを螺旋状とする構成を例示したがこれに限定されない。例えば、円板状または多角板状のフィンを、管軸方向Ybに対して間隔をあけて複数配置する構成とすることも可能である。このとき、管軸方向Ybに対して直交するように配置することも可能であるし、傾斜するように配置することも可能である。
(H03)前記実施例において、スートブロワ装置31は管軸方向に対して交差する方向に移動可能な構成を例示したが、これに限定されない。例えば、管軸方向に沿った(平行な)方向に沿って移動する構成とすることも可能である。
2…火炉、
21…伝熱管、
23a…管本体、
23b…フィン、
31b…スートブロワ装置、
31b1…一方側に配置されたブロワノズル、
31b2…他方側に配置されたブロワノズル、
Yb…管軸方向。
Claims (4)
- 水平方向を管軸とする横置きの伝熱管が上下方向に積層したものを横方向に複数列並べて形成されたバンクと、
前記バンクに向けて、当該バンクの上面側と下面側から噴霧媒体を噴射して灰を除去するスートブロワ装置と、
を備えたボイラであって、
ボイラ壁面から挿入される前記噴霧媒体を噴射する複数のブロワノズルが、前記バンク上方と下方においてそれぞれ水平方向に移動可能に設置され、
前記バンクを形成する前記伝熱管は、前記管軸に交差する向きにフィンを備えたフィン付き伝熱管であり、
前記バンク上方のブロワノズルと前記バンク下方のブロワノズルとが水平面内において互いにずれた位置を移動するように配置されてなること
を特徴とするボイラ。 - 水平方向を管軸とする横置きの伝熱管が上下方向に積層したものを横方向に複数列並べて形成されたバンクと、
前記バンクに向けて、当該バンクの上面側と下面側から噴霧媒体を噴射して灰を除去するスートブロワ装置と、
を備えたボイラであって、
ボイラ壁面から挿入される前記噴霧媒体を噴射する複数のブロワノズルが、前記バンク上方と下方においてそれぞれ水平方向に移動可能に設置され、
前記バンクを形成する前記伝熱管は、前記管軸に交差する向きに張り出すフィンを前記管軸方向に間隔をあけて複数備えたフィン付き伝熱管であり、
前記ブロワノズルは、前記フィンが張り出している方向に対して前記フィン付き伝熱管から離れた位置から前記フィン付き伝熱管に噴霧媒体を噴射し、
前記バンク上方のブロワノズルと前記バンク下方のブロワノズルとが水平面内において互いにずれた位置を移動するように配置されてなること
を特徴とするボイラ。 - 水平方向を管軸とする横置きの伝熱管が上下方向に積層したものを横方向に複数列並べて形成されたバンクと、
前記バンクに向けて、当該バンクの上面側と下面側から噴霧媒体を噴射して灰を除去するスートブロワ装置と、
を備えたボイラであって、
前記バンクを形成する前記伝熱管は、前記管軸に交差する向きにフィンを備えたフィン付き伝熱管であり、
前記伝熱管に対して、前記ブロワノズルの噴射口から最も近い伝熱管までの距離をLsとし、前記バンクの厚さをTbとし、前記ブロワノズルどうしの間隔をXlpとした場合に、以下の式(3)ないし(6)の全てを満たすことを特徴とするボイラ、
Ls=k1・Tb …式(3)、
Ls=k2・Xlp …式(4)、
0.10<k1<1.83 …式(5)、
0.08<k2<1.26 …式(6)。 - 水平方向を管軸とする横置きの伝熱管を上下方向に積層したものを横方向に複数列並べて形成された複数のバンクと、
前記バンクに向けて、当該バンクの上面側と下面側から噴霧媒体を噴射して灰を除去するスートブロワ装置であって、ボイラ壁面から挿入される前記噴霧媒体を噴射する複数のブロワノズルが前記バンク上方と下方それぞれ水平方向を往復移動可能に設置されるスートブロワ装置と、
を備えたボイラにおいて、
前記複数のバンクのうち、少なくとも一つのバンクを形成する前記伝熱管は、前記管軸に交差する向きにフィンを備えたフィン付き伝熱管であり、
当該バンク上方のブロワノズルと当該バンク下方のブロワノズルとが水平面内において互いにずれた位置を移動するように配置され、
前記バンク上方のブロワノズルは、前記管軸方向に沿って間隔を空けて配置され、
前記バンク下方のブロワノズルは、前記管軸方向において、前記上方のブロワノズルどうしの中間の位置に配置された
ことを特徴とするボイラ。
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