JP6814616B2 - 粉体用分散剤組成物 - Google Patents

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Description

本開示は、粉体用分散剤組成物、分散方法、スラリー組成物の製造方法及びスラリー組成物に関する。
積層セラミックコンデンサなどの電子部品の製造には、スラリー化した電子材料用粉体が用いられる。例えば、誘電体セラミック粉末のスラリー組成物は、積層セラミックコンデンサの誘電体セラミック層の形成材料として利用される。携帯電話等をはじめとする電子機器及びそれらの電子部品の高性能化及び小型化に伴い、より取り扱い性が向上したスラリー組成物が求められている。例えば、積層セラミックコンデンサの小型化には誘電体セラミック層の薄層化が必要であり、分散性及び作業性が向上した誘電体セラミック粉末のスラリー組成物が求められている。
粉体の分散剤の1つとして、ポリカルボン酸系(共)重合体が挙げられる。そのなかでも、粉体のスラリー組成物の粘度を低減させることにより分散性及び作業性が向上する分散剤として、α,β−不飽和カルボン酸を構成単位とする(共)重合体の中和物からなる顔料分散剤、分子量が25000〜80000である(メタ)アクリル酸−不飽和二塩基酸共重合体を含む分散剤組成物などが開示されている(例えば、特許文献1〜3)。
また、電磁気・光学用部材ファインセラミクスは、Na、K、Mg等の金属イオンが混入すると、電磁気特性に弊害が生じるため、これらに使用される薬剤は金属イオンを含まないものが使用され、例えば、アンモニウム塩が分散剤として使用されている(例えば、特許文献4〜6)。
特開平7−308563号公報 特開平10−110015号公報 特開平11−217534号公報 特開2004−123903号公報 特開2005−288294号公報 特開2005−290125号公報
しかしながら、従来の分散剤組成物を用いて粉体を水系溶媒に分散させることにより得られるスラリー組成物は、乾燥後の再分散性が十分ではない。例えば、スラリー組成物が容器や配管等の内壁に付着した状態で放置しておくと、時間の経過とともにスラリー組成物が硬い塊状物(乾燥物)となって内壁に強固に付着してしまい、加水しても水系溶媒中に粉体(乾燥物)を再分散させることが難しいという問題がある。
そこで、本開示は、一態様において、スラリー組成物の再分散性を向上できる分散剤組成物を提供する。
本開示は、一態様において、(メタ)アクリル酸由来の構成単位と不飽和二塩基酸由来の構成単位とを含む共重合体の有機アミン塩又は第四級アンモニウム塩からなる重合体組成物を含み、前記重合体組成物に含まれる全カルボキシル基(I)とその中で有機アミン又は第四級アンモニウムと対イオンを形成しているカルボキシル基(II)とのモル比(II)/(I)が0.33以上である、粉体用分散剤組成物に関する。
本開示は、他の態様において、(メタ)アクリル酸由来の構成単位と不飽和二塩基酸由来の構成単位とを含む共重合体と有機アミン又は第四級アンモニウム(塩)とを混合し、前記共重合体に含まれる全カルボキシル基(I)とその中で有機アミン又は第四級アンモニウムと対イオンを形成するカルボキシル基(II)とのモル比(II)/(I)が0.33以上となるように前記共重合体を有機アミン又は第四級アンモニウム(塩)で中和して重合体組成物を得る中和工程を含む、粉体用分散剤組成物の製造方法に関する。
本開示は、その他の態様において、本開示の分散剤組成物を用いて水系溶媒中に粉体を分散させる工程を含む分散方法に関する。
本開示は、さらにその他の態様において、本開示に係る分散剤組成物、粉体、及び水系溶媒を混合し、前記粉体を分散させる工程を含む、スラリー組成物の製造方法に関する。
本開示は、さらにその他の態様において、本開示の分散剤組成物、粉体、及び水系溶媒を含有するスラリー組成物に関する。
本開示によれば、一又は複数の実施形態において、スラリー組成物の再分散性を向上できる粉体用分散剤組成物を提供しうる。
本開示は、(メタ)アクリル酸由来の構成単位と不飽和二塩基酸由来の構成単位とを含む共重合体の有機アミン塩又は第四級アンモニウム塩に含まれる全カルボキシル基のうち、有機アミン又は第四級アンモニウムと対イオンを形成しているカルボキシル基の割合を特定することにより、スラリー組成物の再分散性を向上できるという知見に基づく。
スラリー組成物の再分散性を向上できる理由は定かではないが、以下のように考えられる。すなわち、前記共重合体のアンモニウム(NH4+)塩を分散剤として用いた場合、スラリー組成物の乾燥に伴ってアンモニウム(NH4+)が気化し、分散剤表面が疎水化して粉体へ凝固する糊剤として作用し、乾燥したスラリー残渣が硬い塊状物となって容器等の内壁に固着したと考えられる。一方、有機アミン又は第四級アンモニウムと対イオンを形成しているカルボキシル基を特定の割合で有する前記共重合体の有機アミン塩又は第四級アンモニウム塩を分散剤として用いた場合、スラリー組成物の乾燥が進んでも有機アミン又は第四級アンモニウムは気化することなく(又は、気化しにくいため)、分散剤中に残ると考えられる。そのため、スラリー組成物の乾燥物が硬い塊状物となるのが抑制され、容器等の内壁への固着が抑制され、スラリー組成物の乾燥物に水が添加されると、水中に再度分散すると考えられる。但し、これらは推定であって、本開示は、これらメカニズムに限定されない。
すなわち、本開示は、一態様において、粉体用分散剤組成物(以下、「本開示に係る分散剤組成物」ともいう)であって、(メタ)アクリル酸由来の構成単位と不飽和二塩基酸由来の構成単位とを含む共重合体の有機アミン塩又は第四級アンモニウム塩からなる重合体組成物を含み、前記重合体組成物に含まれる全カルボキシル基(I)とその中で有機アミン又は第四級アンモニウムと対イオンを形成しているカルボキシル基(II)とのモル比(II)/(I)が0.33以上である、粉体用分散剤組成物に関する。本開示に係る分散剤組成物によれば、スラリー組成物の再分散性を向上できる。これにより、スラリー組成物の乾燥物を水系溶媒に再度分散できるため、容器や配管等内の洗浄が容易となる。さらに、容器や配管等の内壁に付着したスラリー組成物の乾燥物を水系溶媒に再度分散させたものを、スラリー組成物として再利用可能である。
本開示において「スラリー組成物の再分散性」とは、スラリー組成物の乾燥物が新たに水系溶媒と接触した際に該水系溶媒に分散することを意味する。スラリー組成物の再分散性は、後述の実施例に記載の方法で測定できる。
本開示において、容器や配管等の内壁を構成する材料としては、特に限定されないが、一又は複数の実施形態において、金属材料が挙げられ、具体的には、ステンレス鋼が挙げられる。
(分散剤組成物)
本開示に係る分散剤組成物は、一又は複数の実施形態において、(メタ)アクリル酸由来の構成単位と不飽和二塩基酸由来の構成単位とを含む共重合体の有機アミン塩又は第四級アンモニウム塩(以下、「重合体組成物」ともいう)を含有する。本開示において、「重合体組成物」は、一又は複数の実施形態において、(メタ)アクリル酸由来の構成単位と不飽和二塩基酸由来の構成単位とを含む共重合体(以下、単に「共重合体」ともいう)の少なくとも一部が有機アミン又は第四級アンモニウム(塩)によって中和されたものである。一又は複数の実施形態において、前記共重合体の少なくとも一部が有機アミン又は第四級アンモニウム以外の中和剤(アンモニウム(塩)等)によって中和されていてもよい。本開示において「有機アミン又は第四級アンモニウム(塩)」は、一又は複数の実施形態において、有機アミン、有機アミン塩、第四級アンモニウム、及び第四級アンモニウム塩から選ばれる少なくとも1種を示す。本開示において「アンモニウム(塩)」は、一又は複数の実施形態において、アンモニウム及びアンモニウム塩の少なくとも一方を示す。
本開示に係る分散剤組成物は、一又は複数の実施形態において、水系溶媒を含むことができる。水系溶媒としては、イオン交換水や超純水等の水、又は水と水溶性有機溶媒(エチルアルコール、エチレングリコール等)との混合溶媒等が挙げられる。さらに、本開示に係る分散剤組成物は、一又は複数の実施形態において、上述した重合体組成物及び水系溶媒以外に、添加剤等の任意成分を含んでもよい。
本開示に係る分散剤組成物の形態としては、一又は複数の実施形態において、粉末状や水溶液が挙げられる。本開示に係る分散剤組成物は、一又は複数の実施形態において、前記重合体組成物そのものであってもよい。
本開示における「共重合体」とは、(メタ)アクリル酸由来の構成単位と不飽和二塩基酸由来の構成単位とを含むものであって、一又は複数の実施形態において、他の構成単位を含むことができる。一又は複数の実施形態において、共重合体を構成する全構成単位中の、(メタ)アクリル酸由来の構成単位と不飽和二塩基酸由来の構成単位との合計量が、好ましくは70質量%以上、より好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは実質的に100質量%である。「他の構成単位」としては、例えば、α−オレフィン、スルホン酸モノマー、スチレン、アリルアルコール等が挙げられる。
本開示における「(メタ)アクリル酸」としては、一又は複数の実施形態において、アクリル酸及びメタクリル酸からなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
本開示における「不飽和二塩基酸」としては、一又は複数の実施形態において、炭素数4〜6の脂肪族不飽和二塩基酸からなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。具体的な不飽和二塩基酸としては、一又は複数の実施形態において、無水マレイン酸、マレイン酸、及びイタコン酸からなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
本開示における「有機アミン」としては、一又は複数の実施形態において、1級、2級又は3級のアルキルアミンやアルカノールアミンが挙げられる。有機アミンとしては、一又は複数の実施形態において、モノアルキル(アルキル基の炭素数1〜3)アミン、ジアルキル(アルキル基の炭素数1〜3)アミン、トリアルキル(アルキル基の炭素数1〜3)アミン、モノアルカノール(アルカノールの炭素数1〜3)アミン、ジアルカノール(アルカノールの炭素数1〜3)アミン、及びトリアルカノール(アルカノールの炭素数1〜3)アミンからなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。具体的な有機アミンとしては、一又は複数の実施形態において、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチルアミン及びトリブチルアミンからなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。本開示における「第四級アンモニウム」としては、一又は複数の実施形態において、テトラ低級アルキルアンモニウムが挙げられるが、金属を含まないものが好ましい。具体的な第四級アンモニウムとしては、一又は複数の実施形態において、テトラメチルアンモニウムが挙げられる。
本開示に係る分散剤組成物において、重合体組成物に含まれる全カルボキシル基(I)とその中で有機アミン又は第四級アンモニウムと対イオンを形成しているカルボキシル基(II)とのモル比(II)/(I)は、一又は複数の実施形態において、0.33以上であって、スラリー組成物の再分散性向上の観点から、好ましくは0.4以上、より好ましくは0.45以上、さらに好ましくは0.5以上である。そして、前記モル比(II)/(I)は、一又は複数の実施形態において、本来の分散剤としての性能の観点から、好ましくは2.5以下、より好ましくは2.0以下、さらに好ましくは1.5以下である。前記モル比(II)/(I)は、一又は複数の実施形態において、本来の分散剤としての性能の観点から、好ましくは1.0以下、より好ましくは0.95以下、さらに好ましくは0.9以下である。本開示における「全カルボキシル基」とは、共重合体又は重合体組成物を構成する全構成単位に含まれる全てのカルボキシル基をいい、中和されているカルボキシル基、及び開環してカルボキシル基となるものも含まれる。本開示における「モル比(II)/(I)」とは、前記共重合体中に含まれる全カルボキシル基のうち、有機アミン又は第四級アンモニウムと対イオンを形成しているカルボキシル基の割合である。「モル比(II)/(I)」の算出方法は、例えばアクリル酸とマレイン酸との共重合体(モノマー組成比:AA/MA=83/17)の塩(重合体組成物)の作製の際、モノエタノールアミン:72モル%(対共重合体中の全モノマー)を用いて中和を行った場合、共重合体中の全モノマーに対する、アクリル酸由来のカルボキシル基数は83モル%、マレイン酸(2価)由来のカルボキシル基数は17モル%×2=34モル%であるため、モル比((II)/(I)=72/(83+34)=0.62となる。本開示に係る分散剤組成物は、前記共重合体のカルボキシル基と対イオンを形成しない、有機アミン及び第四級アンモニウムから選ばれる少なくとも1種(以下、単に「過剰アミン」ともいう)を含有していてもよい。本開示に係る分散剤組成物が過剰アミンを含有する場合、重合体組成物に含まれる全カルボキシル基(I)と分散剤組成物に含まれる有機アミン及び第四級アンモニウム(III)とのモル比(III)/(I)は、スラリー組成物の再分散性向上の観点から、好ましくは2.5以下、より好ましくは2.0以下、さらに好ましくは1.5以下である。本開示において「分散剤組成物に含まれる有機アミン及び第四級アンモニウム」は、共重合体のカルボキシル基と対イオンを形成している有機アミン及び第四級アンモニウム、並びに、共重合体のカルボキシル基と対イオンを形成していない有機アミン及び第四級アンモニウムを含む。
本開示に係る分散剤組成物において、重合体組成物の中和度は、一又は複数の実施形態において、分散剤の分散性能向上の観点から、共重合体又は重合体組成物に含まれる全カルボキシル基100モル%に対し、好ましくは40モル%以上100モル%以下、より好ましくは50モル%以上95モル%以下、さらに好ましくは60モル%以上90モル%以下である。前記重合体組成物の中和度は、一又は複数の実施形態において、分散剤の分散性能向上の観点から、共重合体又は重合体組成物に含まれる全カルボキシル基100モル%に対し、40モル%以上が好ましく、50モル%以上がより好ましく、60モル%以上がさらに好ましく、そして、同様の観点から、100モル%以下が好ましく、95モル%以下がより好ましく、90モル%以下がさらに好ましい。本開示において「中和度」とは、共重合体又は重合体組成物に含まれる全カルボキシル基(100モル%)中、中和工程で用いられる全ての中和剤によって中和されているカルボキシル基の割合(モル%)をいう。本開示において「中和度」は、[中和されているカルボキシル基のモル当量/中和され得る全カルボキシル基のモル当量]×100(モル%)で表される。中和度の算出方法は、例えば、アクリル酸とマレイン酸との共重合体(モノマー組成比:AA/MA=83/17)の塩(重合体組成物)の作製の際、アンモニウム塩:8.3モル%(対共重合体中の全モノマー)とモノエタノールアミン:72モル%(対共重合体中の全モノマー)とを用いて中和を行った場合、共重合体中の全モノマーに対する、アクリル酸由来のカルボキシル基数は83モル%、マレイン酸(2価)由来のカルボキシル基数は17モル%×2=34モル%であるため、重合体組成物の中和度=100モル%×(8.3+72)/(83+34)=68.6モル%となる。
前記重合体組成物の重量平均分子量(Mw)は、一又は複数の実施形態において、スラリー組成物の再分散性向上、及びスラリー組成物の粘度低減の観点から、好ましくは10000〜90000であり、より好ましくは20000〜75000、さらに好ましくは30000〜65000である。前記重合体組成物の重量平均分子量(Mw)は、一又は複数の実施形態において、スラリー組成物の再分散性向上、及びスラリー組成物の粘度低減の観点から、10000以上が好ましく、20000以上がより好ましく、30000以上がさらに好ましく、そして、同様の観点から、90000以下が好ましく、75000以下がより好ましく、65000以下がさらに好ましい。ここで、重量平均分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した値であり、測定条件の詳細は実施例に示す通りである。
前記重合体組成物における(メタ)アクリル酸由来の構成単位と不飽和二塩基酸由来の構成単位とのモル比が、一又は複数の実施形態において、スラリー組成物の再分散性向上、及びスラリー組成物の粘度低減の観点から、50/50〜95/5が好ましく、55/45〜90/10がより好ましく、60/40〜85/15がさらに好ましい。
本開示に係る分散剤組成物の形態が水溶液である場合、分散剤組成物の水溶液中の重合体組成物の含有量は、一又は複数の実施形態において、スラリー組成物の再分散性向上、及びスラリー組成物の粘度低減の観点から、20〜60質量%が好ましく、25〜50質量%がより好ましく、30〜45質量%がさらに好ましい。本開示に係る分散剤組成物中の重合体組成物の含有量は、例えば、原材料の仕込み量からも求めることができる、あるいは、本開示に係る分散剤組成物中の固形分量を測定することで求めることもできる。
本開示に係る分散剤組成物の形態が水溶液である場合、分散剤組成物の水溶液のpHは、一又は複数の実施形態において、スラリー組成物の再分散性向上、及び粉体成分の耐化学分解性の観点から、好ましくは4.5〜11.0、より好ましくは5.0〜10.0、さらに好ましくは5.5〜9.0である。
本開示に係る分散剤組成物を電子材料用粉体の分散に用いる場合、前記共重合体に含まれるカルボキシル基と対イオンを形成する物質は、一又は複数の実施形態において、金属(塩)を含まないことが好ましい。すなわち、本開示における重合体組成物は、一又は複数の実施形態において、金属(塩)を含まないことが好ましい。本開示において「金属(塩)」は、一又は複数の実施形態において、金属及び金属塩の少なくとも一方を示す。
[分散剤組成物の製造方法]
本開示は、その他の態様において、本開示に係る分散剤組成物を製造する方法(以下、「本開示に係る分散剤組成物製造方法」ともいう)であって、(メタ)アクリル酸由来の構成単位と不飽和二塩基酸由来の構成単位とを含む共重合体と有機アミン又は第四級アンモニウム(塩)とを混合し、前記共重合体に含まれる全カルボキシル基(I)とその中で有機アミン又は第四級アンモニウムと対イオンを形成するカルボキシル基(II)とのモル比(II)/(I)が0.33以上となるように前記共重合体を有機アミン又は第四級アンモニウム(塩)で中和して重合体組成物を得る中和工程を含む、製造方法に関する。本開示に係る分散剤組成物製造方法によれば、スラリー組成物の再分散性を向上できる分散剤組成物を製造できる。前記中和工程において、有機アミン又は第四級アンモニウム(塩)以外の中和剤(例えば、アンモニウム(塩))を併用してもよい。
本開示における(メタ)アクリル酸由来の構成単位と不飽和二塩基酸由来の構成単位とを含む共重合体の製造方法は、特に限定されないが、例えば、不飽和二塩基酸を中和剤で部分中和した後、(メタ)アクリル酸と重合反応させることにより得られる。重合反応においては、公知の重合開始剤や連鎖移動剤等を使用することができる。重合開始剤としては、過酸化水素等が挙げられる。連鎖移動剤としては、イソプロパノール等が挙げられる。部分中和に用いられる中和剤としては、有機アミン(塩)やアンモニウム(塩)等を用いることができ、具体的には、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化トリエチルメチルアンモニウム、及びアンモニア水溶液からなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
[分散方法]
本開示は、その他の態様として、本開示に係る分散剤組成物を用いて粉体を水系溶媒中で分散させる工程を含む分散方法(以下、「本開示に係る分散方法」ともいう)を提供しうる。本開示に係る分散方法によれば、粉体の再分散性が向上したスラリー組成物を製造できる。
本開示に係る分散方法により水系溶媒中に分散させる粉体としては、一又は複数の実施形態において、電子材料用粉体が挙げられ、具体的には、炭酸塩、リン酸塩、チタン酸バリウム等のチタン酸塩、珪酸塩、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化チタン、アルミナ(酸化アルミニウム)、シリカ(酸化ケイ素)、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、カーボンブラック及び炭化珪素から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。電子材料用粉体は、例えばICパッケージ、配線基板、絶縁体、センサー、電極、磁性体、半導体、コンデンサー、光ファイバー等の電子部品に使用されうる。
本開示に係る分散方法で用いられる水系溶媒としては、一又は複数の実施形態において、水、あるいは水とエチルアルコール、エチレングリコール等の水溶性有機溶媒との混合溶液が挙げられ、好ましくは水である。水としては、例えば、蒸留水、イオン交換水、超純水等が挙げられる。
[スラリー組成物]
本開示は、さらにその他の態様として、スラリー組成物であって(以下、「本開示に係るスラリー組成物」ともいう)、水系溶媒、粉体、及び分散剤組成物を含有し、該分散剤組成物が本開示に係る分散剤組成物であるスラリー組成物を提供しうる。本開示に係るスラリー組成物によれば、再分散性を向上できる。本開示に係るスラリー組成物に用いられる粉体、水系溶媒としては、上述した本開示に係る分散方法と同様のものを用いることができる。
本開示に係るスラリー組成物における粉体の含有量(固形分)は、特に規定されないが、一又は複数の実施形態において、乾燥効率及び生産性の向上の観点から、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは55質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上である。一方、前記粉体の含有量(固形分)は、一又は複数の実施形態において、流動性の観点から、好ましくは85質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。
本開示に係るスラリー組成物における分散剤組成物の含有量は、一又は複数の実施形態において、スラリー組成物の粘度低減の観点から、固形分換算で、粉体100重量部に対し、好ましくは0.3〜5.0重量部、より好ましくは0.4〜4.0重量部、さらに好ましくは0.5〜3.0重量部である。前記分散剤組成物の含有量は、一又は複数の実施形態において、スラリー組成物の粘度低減の観点から、固形分換算で、粉体100重量部に対し、好ましくは0.3重量部以上が好ましく、0.4重量部以上がより好ましく、0.5重量部以上がさらに好ましく、そして、同様の観点から、5.0重量部以下が好ましく、4.0重量部以下がより好ましく、3.0重量部以下がさらに好ましい。
[スラリー組成物の製造方法]
本開示は、さらにその他の態様として、スラリー組成物の製造方法であって(以下、「本開示に係るスラリー組成物の製造方法」ともいう)、粉体、本開示に係る分散剤組成物、及び水系溶媒を混合して、前記粉体を分散させる工程を含むスラリー組成物の製造方法を提供しうる。本開示によれば、再分散性が向上したスラリー組成物を製造できうる。本開示に係るスラリー組成物の製造方法に用いられる粉体、水系溶媒としては、上述した本開示に係る分散方法と同様のものを用いることができる。本開示に係るスラリー組成物の製造方法において、粉体及び分散剤組成物は、上述した本開示に係るスラリー組成物の含有量となるように混合することが挙げられる。
本開示は更に以下の一又は複数の実施形態に関する。
<1> (メタ)アクリル酸由来の構成単位と不飽和二塩基酸由来の構成単位とを含む共重合体の有機アミン塩又は第四級アンモニウム塩からなる重合体組成物を含み、
前記重合体組成物に含まれる全カルボキシル基(I)とその中で有機アミン又は第四級アンモニウムと対イオンを形成しているカルボキシル基(II)とのモル比(II)/(I)が0.33以上である、粉体用分散剤組成物。
<2> モル比(II)/(I)は、好ましくは0.4以上、より好ましくは0.45以上、さらに好ましくは0.5以上である、<1>に記載の粉体用分散剤組成物。
<3> モル比(II)/(I)は、好ましくは2.5以下、より好ましくは2.0以下、さらに好ましくは1.5以下、又は、好ましくは1.0以下、より好ましくは0.95以下、さらに好ましくは0.9以下である、<1>又は<2>に記載の粉体用分散剤組成物。
<4> 粉体は、電子材料用粉体である、<1>から<3>のいずれかに記載の粉体用分散剤組成物。
<5> 重合体組成物の中和度は、共重合体又は重合体組成物に含まれる全カルボキシル基100モル%に対し、好ましくは40モル%以上100モル%以下、より好ましくは50モル%以上95モル%以下、さらに好ましくは60モル%以上90モル%以下である、<1>から<4>のいずれかに記載の粉体用分散剤組成物。
<6> 重合体組成物の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは10000〜90000、より好ましくは20000〜75000、さらに好ましくは30000〜65000である、<1>から<5>のいずれかに記載の粉体用分散剤組成物。
<7> 有機アミン又は第四級アンモニウムが、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、及びテトラメチルアンモニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種である、<1>から<6>のいずれかに記載の粉体用分散剤組成物。
<8> (メタ)アクリル酸由来の構成単位と不飽和二塩基酸由来の構成単位とのモル比が、好ましくは50/50〜95/5、より好ましくは55/45〜90/10、さらに好ましくは60/40〜85/15である、<1>から<7>のいずれかに記載の粉体用分散剤組成物。
<9> 不飽和二塩基酸が、無水マレイン酸、マレイン酸及びイタコン酸から選ばれる少なくとも1種である、<1>から<8>のいずれかに記載の粉体用分散剤組成物。
<10> 共重合体を構成する全構成単位中の、(メタ)アクリル酸由来の構成単位と不飽和二塩基酸由来の構成単位との合計量が、好ましくは70質量%以上、より好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは実質的に100質量%である、<1>から<9>のいずれかに記載の粉体用分散剤組成物。
<11> 粉体用分散剤組成物の形態が水溶液であり、粉体用分散剤組成物の水溶液中の重合体組成物の含有量は、好ましくは20〜60質量%、より好ましくは25〜50質量%、さらに好ましくは30〜45質量%である、<1>から<10>のいずれかに記載の粉体用分散剤組成物。
<12> 粉体用分散剤組成物の形態が水溶液であり、粉体用分散剤組成物の水溶液のpHは、好ましくは4.5〜11.0、より好ましくは5.0〜10.0、さらに好ましくは5.5〜9.0である、<1>から<11>のいずれかに記載の粉体用分散剤組成物。
<13> 共重合体に含まれるカルボキシル基と対イオンを形成する物質は、金属(塩)を含まない、<1>から<12>のいずれかに記載の粉体用分散剤組成物。
<14> 重合体組成物の中和度は、共重合体又は重合体組成物に含まれる全カルボキシル基100モル%に対し、40モル%以上が好ましく、50モル%以上がより好ましく、60モル%以上がさらに好ましい、<1>から<13>のいずれかに記載の粉体用分散剤組成物。
<15> 重合体組成物の中和度は、共重合体又は重合体組成物に含まれる全カルボキシル基100モル%に対し、100モル%以下が好ましく、95モル%以下がより好ましく、90モル%以下がさらに好ましい、<1>から<14>のいずれかに記載の粉体用分散剤組成物。
<16> 重合体組成物の重量平均分子量(Mw)は、10000以上が好ましく、20000以上がより好ましく、30000以上がさらに好ましい、<1>から<15>のいずれかに記載の粉体用分散剤組成物。
<17> 重合体組成物の重量平均分子量(Mw)は、90000以下が好ましく、75000以下がより好ましく、65000以下がさらに好ましい、<1>から<16>のいずれかに記載の粉体用分散剤組成物。
<18> (メタ)アクリル酸由来の構成単位と不飽和二塩基酸由来の構成単位とを含む共重合体と有機アミン又は第四級アンモニウム(塩)とを混合し、前記共重合体に含まれる全カルボキシル基(I)とその中で有機アミン又は第四級アンモニウムと対イオンを形成するカルボキシル基(II)とのモル比(II)/(I)が0.33以上となるように前記共重合体を有機アミン又は第四級アンモニウム(塩)で中和して重合体組成物を得る中和工程を含む、粉体用分散剤組成物の製造方法。
<19> <1>から<17>のいずれかに記載の粉体用分散剤組成物を用いて水系溶媒中に粉体を分散させる工程を含む、分散方法。
<20> <1>から<17>のいずれかに記載の粉体用分散剤組成物、粉体、及び水系溶媒を混合し、前記粉体を分散させる工程を含む、スラリー組成物の製造方法。
<21> <1>から<17>のいずれかに記載の粉体用分散剤組成物、粉体、及び水系溶媒を含む、スラリー組成物。
<22> スラリー組成物における粉体の含有量(固形分)は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは55質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上であり、そして、好ましくは85質量%以下、より好ましくは80質量%以下である、<21>に記載のスラリー組成物。
<23> 粉体用分散剤組成物の含有量は、固形分換算で、粉体100重量部に対し、好ましくは0.3〜5.0重量部、より好ましくは0.4〜4.0重量部、さらに好ましくは0.5〜3.0重量部である、<21>又は<22>に記載のスラリー組成物。
<24> 粉体用分散剤組成物の含有量は、固形分換算で、粉体100重量部に対し、好ましくは0.3重量部以上が好ましく、0.4重量部以上がより好ましく、0.5重量部以上がさらに好ましい、<21>から<23>のいずれかに記載のスラリー組成物。
<25> 粉体用分散剤組成物の含有量は、固形分換算で、粉体100重量部に対し、5.0重量部以下が好ましく、4.0重量部以下がより好ましく、3.0重量部以下がさらに好ましい、<21>から<24>のいずれかに記載のスラリー組成物。
以下、実施例により本開示をさらに詳細に説明するが、これらは例示的なものであって、本開示はこれら実施例に制限されるものではない。
後述する実施例及び比較例において、分散剤における重合体の塩の重量平均分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した。具体的な条件は以下のとおりである。
<重合体組成物の重量平均分子量の測定方法>
重合体成組成物の重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により、下記条件で測定した。
[測定条件]
カラム:TSK PWXL+G4000PWXL+G2500PWXL(いずれも東ソー社製)
カラム温度:40℃
検出器:RI又はUV(210nm)
溶離液:0.2mol/L リン酸緩衝液/アセトニトリル(9/1)
流速:1.0mL/min
注入量:0.1mL
標準:ポリエチレングリコール
[分散剤組成物の調製(実施例1〜15、比較例1〜9)]
下記表1に示す分散剤組成物(実施例1〜15、比較例1〜9)を、後述のとおり調製した。
(実施例1)
攪拌機、温度計、還流冷却管、窒素導入管、滴下ロートを備えた反応容器に、無水マレイン酸(三菱化学社製)78.5g及びイオン交換水80.0gを仕込み、55℃(液温)に加熱後、28質量%アンモニア水溶液(シグマアルドリッチ社製、試薬特級)24.3gを滴下し、マレイン酸アンモニウム塩水溶液とした(中和工程1)。共重合体(ここでは、アクリル酸−マレイン酸共重合体)を構成する全モノマーを100モル%としたときのアンモニアの添加量は8.3モル%であった。
次に、窒素気流下で反応容器内の溶液を100℃まで加熱した後、この温度を維持しながら、80質量%アクリル酸水溶液(日本触媒社製)360.5g及び35質量%過酸化水素水溶液(三菱ガス化学社製)221.5gをそれぞれ別の滴下ロートから3.5時間かけて滴下し重合反応を行った。滴下終了後、100℃(液温)で10時間熟成し重合反応を完結させ、アクリル酸−マレイン酸共重合体を得た。反応終了後、反応容器内の溶液を約40℃まで冷却し、約40℃の液温を保持しながらモノエタノールアミン(日本触媒社製)211.2gを滴下して中和し、アクリル酸−マレイン酸共重合体の塩(重合体組成物)を得た(中和工程2)。共重合体(ここでは、アクリル酸−マレイン酸共重合体)を構成する全モノマーを100モル%としたときのモノエタノールアミンの添加量は72モル%であった。重合体組成物に含まれる全カルボキシル基(I)とその中で有機アミン又は第四級アンモニウムと対イオンを形成しているカルボキシル基(II)とのモル比(II)/(I)は0.62であった。重合体組成物の中和度は、68.6モル%であった。そして、得られた重合体組成物を40質量%含む水溶液を分散剤組成物(実施例1)とした。実施例1の重合体組成物は、金属(塩)を含んでいない。実施例1の分散剤組成物の水溶液の25℃におけるpHは、6.0であった。ここで、25℃におけるpHは、pHメータ(東亜電波工業株式会社、HM−30G)を用いて測定した値であり、pHメータの電極を分散剤組成物へ浸漬して2分後の数値である。
(実施例2〜15、比較例1〜9)
モノマーの種類及びモノマー組成比を表1に示すように変更したこと、中和工程1及び中和工程2で用いる中和剤の種類及びその添加量を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、表1に示す重量平均分子量及びモル比(II)/(I)を有する重合体組成物を40質量%含む分散剤組成物(実施例2〜15、比較例1〜9)を調製した。実施例2〜15及び比較例1〜9の重合体組成物は、金属(塩)を含んでいない。
表1中、AAはアクリル酸、MAはマレイン酸、MAAはメタアクリル酸(三菱レイヨン社製)、IAはイタコン酸(磐田化学工業社製)、NH3は28質量%アンモニア水溶液(シグマアルドリッチ社製)、MEAはモノエタノールアミン(日本触媒社製)、DEAはジエタノールアミン(日本触媒社製)、TEAはトリエタノールアミン(日本触媒社製)、TMAHは25質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシレート(昭和電工社製)をそれぞれ示す。
[スラリー組成物の調製]
実施例1〜15及び比較例1〜9の分散剤組成物を使用し、スラリー組成物を下記のようにして調製し、得られたスラリー組成物の再分散性および分散性の評価を行った。
[再分散性の評価]
<スラリー乾燥物の拭き取り試験>
サンプル瓶50mL中に平均粒径200nmのチタン酸バリウム粉体(共立マテリアル社製BT−HP9DX)12g、実施例1〜15及び比較例1〜9の各分散剤組成物を添加量1.0重量部(対チタン酸バリウム粉体100重量部、固形分換算)、及びイオン交換水を加え、ヤマト科学社製の超音波洗浄器yamato1510で分散処理(1時間)し、60質量%の粉体スラリー(スラリー組成物)を調製した。
調製した粉体スラリー15gを縦10cm、横13cm、深さ6cmのステンレス製のバットに均一に塗布し、24時間、室温で乾燥固結させ、スラリー乾燥物を得た。その後、水を浸み込ませたペーパータオルでスラリー乾燥物を拭き取り、バットからの除去度合を目視にて観察した。結果を表1に示す。表1において、完全に除去された(バット上にスラリー乾燥物が目視で確認されなかった)場合をA、除去されなかった(バット上にスラリー乾燥物が目視で確認された)場合をBとして示した。完全に除去された場合には再分散性があると評価できる。
<スラリー乾燥物の浸漬試験>
実施例1〜15及び比較例1〜9の各分散剤組成物を使用し、前記スラリー乾燥物の拭き取り試験と同様にしてスラリー乾燥物を調製した。そして、調製した粉体スラリー15gを縦10cm、横13cm、深さ6cmのステンレス製のバットに均一に塗布し、24時間、室温で乾燥固結させ、スラリー乾燥物を得た。次に、1000mLのイオン交換水を入れたディスポビーカー中に、スラリー乾燥物が載っているステンレス製のバットを沈め、30分間浸漬させた。その後、水側に溶出した粉体スラリーをサンプリングし、平均粒径をレーザー散乱型粒径測定装置(堀場製作所製、LA−920、屈折率2.40)を用いて測定した。但し平均粒径が明らかに1mmを越えるサンプルについては、目視にて計測を行った。平均粒径が小さいほど、再分散性に優れると評価できる。
参考例1として、比較例1の分散剤組成物を使用して、乾燥させることなく60質量%の粉体スラリー(スラリー組成物)を調製した。すなわち、サンプル瓶50mL中に平均粒径200nmのチタン酸バリウム粉体(共立マテリアル社製BT−HP9DX)12g、分散剤を添加量1.0重量部(対チタン酸バリウム粉体100重量部、固形分換算)、及びイオン交換水を加え、ヤマト科学社製の超音波洗浄器yamato1510で分散処理(1時間)し、60質量%の粉体スラリー(スラリー組成物)を調製し、この粉体スラリーの平均粒径を測定した。結果を表1に示す。
[分散性の評価]
ディスポビーカー500mLに平均粒径が200nmのチタン酸バリウム粉体(共立マテリアル社製BT−HP9DX)を117g、実施例1〜15及び比較例1〜9の各分散剤組成物を添加量1.0重量部(対チタン酸バリウム粉体100重量部、固形分換算)に変化させたもの、及びイオン交換水を加え、プライミクス社製のホモディスパーで攪拌(2500rpm×2分間)し、78質量%の粉体スラリー(スラリー組成物)を調製した。調製した粉体スラリーの25℃における粘度を、東機産業社製のB型粘度測定装置TVB−10を用いてローターの回転速度60rpmで測定した。結果を表1に示す。粘度が小さいほど、分散性に優れると評価できる。
Figure 0006814616
表1に示すとおり、実施例1〜15の分散剤組成物を用いて調製したスラリー組成物の乾燥物は拭き取りが容易であるのに対し、比較例1〜9の分散剤組成物を用いて調製したスラリー組成物の乾燥物は拭き取りが極めて困難であった。実施例1〜15の分散剤組成物を用いて調製したスラリー組成物の乾燥物の浸漬溶出物は粒径が細かく、参考例1の60質量%の粉体スラリーとほぼ同等の平均粒径であるのに対し、比較例1〜9の分散剤組成物を用いて調製したスラリー組成物の乾燥物は平均粒径が非常に大きく、粉体の凝集が確認された。さらに、実施例1〜15の分散剤組成物を用いて調製したスラリー組成物と、比較例1、3〜9の分散剤組成物を用いて調製したスラリー組成物とを比較したところ、特に分散性能の差異は見られなかった。
本開示の分散剤組成物を用いれば、再分散性が向上したスラリー組成物を製造できる。本開示のスラリー組成物は、電子部品の製造に好適に用いることができる。

Claims (15)

  1. (メタ)アクリル酸由来の構成単位と不飽和二塩基酸由来の構成単位とを含む共重合体の有機アミン塩又は第四級アンモニウム塩からなる重合体組成物を含み、
    前記重合体組成物に含まれる全カルボキシル基(I)とその中で有機アミン又は第四級アンモニウムと対イオンを形成しているカルボキシル基(II)とのモル比(II)/(I)が0.33以上である、粉体用分散剤組成物であって、
    前記不飽和二塩基酸が、無水マレイン酸、マレイン酸及びイタコン酸から選ばれる少なくとも1種であり、
    前記有機アミンが、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、及びトリエタノールアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、
    前記第四級アンモニウムが、テトラメチルアンモニウムであり、
    前記粉体用分散剤組成物の形態が水溶液であり、
    粉体用分散剤組成物の水溶液中の前記重合体組成物の含有量が20〜60質量%である、粉体用分散剤組成物
  2. 前記モル比(II)/(I)が、0.4以上である、請求項1に記載の粉体用分散剤組成物。
  3. 前記モル比(II)/(I)が、1.0以下である、請求項1又は2に記載の粉体用分散剤組成物。
  4. 粉体は、電子材料用粉体である、請求項1から3のいずれかに記載の粉体用分散剤組成物。
  5. 前記重合体組成物の中和度は、前記共重合体又は前記重合体組成物に含まれる全カルボキシル基100モル%に対し、40モル%以上100モル%以下である、請求項1から4のいずれかに記載の粉体用分散剤組成物。
  6. 前記重合体組成物の重量平均分子量(Mw)が、10000以上90000以下である、請求項1から5のいずれかに記載の粉体用分散剤組成物。
  7. 前記(メタ)アクリル酸由来の構成単位と前記不飽和二塩基酸由来の構成単位とのモル比が、50/50〜95/5である、請求項1からのいずれかに記載の粉体用分散剤組成物。
  8. 前記共重合体を構成する全構成単位中の、(メタ)アクリル酸由来の構成単位と不飽和二塩基酸由来の構成単位との合計量が、70質量%以上である、請求項1からのいずれかに記載の粉体用分散剤組成物。
  9. 前記共重合体に含まれるカルボキシル基と対イオンを形成する物質は、金属(塩)を含まない、請求項1からのいずれかに記載の粉体用分散剤組成物。
  10. (メタ)アクリル酸由来の構成単位と不飽和二塩基酸由来の構成単位とを含む共重合体と有機アミン又は第四級アンモニウム(塩)とを混合し、前記共重合体に含まれる全カルボキシル基(I)とその中で有機アミン又は第四級アンモニウムと対イオンを形成するカルボキシル基(II)とのモル比(II)/(I)が0.33以上となるように前記共重合体を有機アミン又は第四級アンモニウム(塩)で中和して重合体組成物を得る中和工程を含む、粉体用分散剤組成物の製造方法であって、
    前記不飽和二塩基酸が、無水マレイン酸、マレイン酸及びイタコン酸から選ばれる少なくとも1種であり、
    前記有機アミンが、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、及びトリエタノールアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、
    前記第四級アンモニウムが、テトラメチルアンモニウムであり、
    前記粉体用分散剤組成物の形態が水溶液であり、
    粉体用分散剤組成物の水溶液中の前記重合体組成物の含有量が20〜60質量%である、粉体用分散剤組成物の製造方法
  11. 請求項1からのいずれかに記載の粉体用分散剤組成物を用いて水系溶媒中に粉体を分散させる工程を含む、分散方法。
  12. 請求項1からのいずれかに記載の粉体用分散剤組成物、粉体、及び水系溶媒を混合し、前記粉体を分散させる工程を含む、スラリー組成物の製造方法。
  13. 請求項1からのいずれかに記載の粉体用分散剤組成物、粉体、及び水系溶媒を含む、スラリー組成物。
  14. スラリー組成物における粉体の含有量(固形分)が、50質量%以上85質量%以下である、請求項13に記載のスラリー組成物。
  15. 粉体用分散剤組成物の含有量が、固形分換算で、粉体100重量部に対し、0.3〜5.0重量部である、請求項13又は14に記載のスラリー組成物。
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