JP6813992B2 - 固体酸化物形燃料電池とこれに用いる電極材料 - Google Patents

固体酸化物形燃料電池とこれに用いる電極材料 Download PDF

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Description

本発明は、固体酸化物形燃料電池と、これに用いる電極材料とに関する。
固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell,以下、単に「SOFC」という)は、種々のタイプの燃料電池の中でも、発電効率が高い、環境への負荷が低い、多様な燃料の使用が可能であるなどの利点を有している。SOFCの単セルは、本質的な構成として、酸素イオン伝導体からなる緻密な層状の固体電解質を基本とし、この固体電解質の一方の面に多孔質構造の空気極(カソード)が形成され、他方の面に多孔質構造の燃料極(アノード)が形成されている。この固体電解質材料としては、酸素イオン伝導性、安定性および価格のバランスの良好なイットリア安定化ジルコニア(YSZ)が広く用いられている。また、燃料極材料としては、SOFCの運転環境において電子伝導性を示す酸化ニッケル(NiO)等の遷移金属酸化物材料と酸素イオン伝導性を示すイットリア安定化ジルコニア(YSZ)の混合物が一般に用いられている。そして、空気極材料としては、ランタンコバルタイト系の酸素イオン−電子混合導電性のペロブスカイト型酸化物が一般に用いられている。
特許第5522870号公報 特許第5700358号公報
このSOFCについては、例えば10万時間を超える長期の使用が見込まれるものの、発電を繰り返すうちに出力が低下するという慢性的な課題がある。この出力低下の原因の1つとして、例えば空気極の劣化が指摘されており、空気極の構成や空気極材料について研究が為されている。例えば、特許文献1には、SOFCの空気極を、LSCF((La,Sr)(Co,Fe)O)からなるペロブスカイト型酸化物からなる主相と(Co,Fe)からなる第2相とを含む構成とし、不活性部である第2相の断面面積占有率を9.5%以下にすることで、初期出力の低下と空気極の劣化を抑制できることが開示されている。また、特許文献2には、LSCFからなるペロブスカイト型酸化物の粒子を主成分とし、酸化コバルトの粒子をさらに含む空気極材料を用いてSOFCの空気極を作製することで、SOFCの運転環境におけるペロブスカイト型酸化物の分解を効果的に抑制できることが開示されている。しかしながら、SOFCの出力を長期に亘って高く維持するとの課題については、更なる改善の余地があった。
本発明は上記の従来の問題を解決すべく創出されたものであり、その目的は、例えば、空気極の劣化が抑制されたSOFCを提供することである。また、本発明の他の目的は、このようなSOFCを作製するのに好適な電極材料を提供することである。
上記目的を実現するべく、本発明によって、少なくとも燃料極と固体電解質と空気極とが一体的に備えられた固体酸化物形燃料電池(SOFC)が提供される。ここで上記空気極は、一般式:ABOで表され、AサイトにLaおよびSrの少なくとも一方を含み、BサイトにCoを含むペロブスカイト型酸化物からなる相を主相とする。そして上記空気極の断面におけるCo酸化物の面積占有率は1%以下であることを特徴とする。
この様に、空気極をAサイトにLaおよびSrの少なくとも一方を含み、BサイトにCoを含むペロブスカイト型酸化物からなる相を主として構成することで、発電特性の比較的良好なSOFCを実現することができる。この種のランタンコバルタイト系またはストロンチウムコバルタイト系のペロブスカイト型酸化物は、原料粉末においても、厳密な意味での単相を得ることは難しい。そして空気極の焼成やSOFCの運転時の温度および酸素分圧の変化に伴いペロブスカイト型酸化物は分解(劣化)するため、一般にSOFCの空気極にはペロブスカイト型酸化物相のほかに、コバルト成分が偏析してなる第2相が自然発生的に存在している。
ここに開示されるSOFCは、製造直後の空気極においてCo酸化物の面積占有率が1%以下と、通常では容易に実現され得ない程度に低く抑えられている。このことにより、SOFCの運転時に温度および酸素分圧が変化しても、ペロブスカイト型酸化物がより安定化され、分解による空気極の劣化が抑制される。延いては、SOFCの発電特性を長期に亘って安定して高く維持することができる。
なお、本出願において、「主相」とは、空気極を構成する相(典型的には結晶相)のうちの質量が最大の相を意味する。なお必ずしもこれに限定されるものではないが、通常、主相は、空気極を構成する相の75質量%以上を占め、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上、例えば98質量%以上であり得る。
また、「面積占有率」とは、空気極の断面積に占めるCo酸化物の面積の割合(%)である。本出願において面積占有率は、エネルギー分散型X線分光器(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy:EDX)を用いて空気極の断面について測定(面分析)したコバルト(Co)の定性分析の結果から得られるCo元素マップに基づき算出した値を採用することができる。
空気極の断面は、空気極を破断して得られる任意の断面であってよく、破断面の方向は制限されない。また、破断面は、結晶相の変化を防止するために表面研磨等の処理を施さない表面であってよい。Co元素マップは、例えば、試料表面(空気極の断面)に電子プローブを走査し、Coの特性X線(例えば、CoのKa1線(6930eV),Ka2線(6915eV),Kb1線(7649eV),La1線(776eV),La2線(776eV),Lb1線(791eV)等のいずれか1以上)を検出することで得ることができる。検出器の種類は特に制限されないが、例えば、リチウムドープシリコン結晶等を用いた半導体検出器もしくはこれ以上の分解能を有する検出器を使用することが好ましい。エネルギー分解能は、おおよその目安として、100eV以上(MnのKa線、以下同様。)とすることができ、例えば125〜140eVであり得る。本出願では、EDX分析装置として、日本電子(株)製,JSM−6610LAを用い、走査型電子顕微鏡(SEM)による2000〜5000倍の観察領域(画像)について、CoのKa1線を検出することでCo元素マップを得た。Co元素マップにおいては、ペロブスカイト型酸化物相からなる領域と、Co酸化物からなる領域とで、Coの濃度が異なる。通常、Co元素マップにおいてCoが偏析している領域(すなわちCo濃度の高い領域)は、Co酸化物からなる領域に一致する。したがって、Co元素マップにおいてCoが偏析している領域の面積を、Co酸化物の面積と見なすことができる。
Coが偏析している領域の面積割合の算出法は特に制限されない。例えば、画像解析機能を備えるコンピュータソフトウェア(典型的には画像処理ソフト)を利用して算出することができる。コンピュータソフトウェアを利用したコバルト偏析領域の面積の算出は、手動で行ってもよいし、画像処理におけるパラメータを設定して自動で行うようにしても良い。自動で行う場合は、例えば、まず、空気極の断面について取得したCo元素マップを、ペロブスカイト型酸化物相からなる領域とCo酸化物からなる領域とに二値画像(バイナリー画像)化し、概ね背景となるペロブスカイト型酸化物領域中に島となって現れるCo酸化物領域の面積割合を算出すればよい。各々の境界判定の閾値は、例えば、画像処理ソフトの自動閾値設定による二値化画像を用意してもよいし、処理後の画像と処理前の画像や電子顕微鏡像等を比較して手動で閾値を調整するようにしてもよい。例えば、画像解析ソフト等に採用されている粒径測定のための二値化機能等の処理機能を利用することができる。
ここに開示されるSOFCの好ましい一態様においては、上記空気極を構成する材料の放射光を使用したX線回折(X-ray Diffraction:XRD)パターンにおいて、上記ペロブスカイト型酸化物のメインピーク強度Iに対する上記Co酸化物のメインピーク強度Iの比( /I )は0.1以下であることを特徴としている。
XRD分析の光学系として平行性の高い放射光ビームを利用することで、汎用される実験室型(ブラッグ・ブレンターノ型回折系を使用)の集光光学系とは異なり、高いエネルギー強度と角度分解能とが実現されて、飛躍的に高い精度での粉末XRDデータを得ることができる。このような高精度でのXRD分析において、上記のピーク強度比( /I )が0.1以下になるようにSOFCの空気極の構成が制御されていることで、空気極におけるCo酸化物の含有量を極少量に押さえることができる。このことにより、SOFCを長期間運転した場合においてペロブスカイト型酸化物の分解を抑制することができ、空気極の劣化をも抑制することができる。
なお、本願における「放射光を使用したXRDパターン」としては、上記のとおり、軌道放射光粉末回折系を備えるX線回折分析装置を利用して作成したX線回折パターンを使用することができる。かかるXRD分析においては、粉末試料は細い(例えばφ0.3mmの)キャピラリー管に充填し、イメージングプレートを用いたデバイシェラーカメラを用い、ステップ角を2θ=0.01°として回折像を撮影することができる。
ここに開示されるSOFCの好ましい一態様において、上記ペロブスカイト型酸化物は、一般式:La1−xSrCo1−yFe;で表され、式中、0≦x≦1,y<1を満たすことを特徴としている。このような組成のペロブスカイト型酸化物により空気極の主相が構成されることで、空気極に高い酸素イオン−電子混合導電性が備えられ、発電性能が高められるために好ましい。このペロブスカイト型酸化物の組成は、例えば、上記の実験室型のあるいは放射光を利用したXRD分析により確認することができる。
ここに開示されるSOFCの好ましい一態様においては、上記固体電解質と上記空気極との間に、両者の反応を抑制する反応防止層が介在されていることを特徴としている。このような構成により、空気極と固体電解質層との反応が抑制され、長期に亘って高い発電性能を維持できるために好ましい。
ここに開示されるSOFCの好ましい一態様においては、上記空気極を構成する材料のXRDパターンから算出される上記ペロブスカイト型酸化物の結晶子径が22nm以上であることを特徴としている。このような構成によると、上記空気極におけるペロブスカイト型酸化物は結晶成長が促進された状態であり、原料の調製あるいは空気極の焼成の際に十分に加熱されているため、固体電解質層との接合が良好であり得るために好ましい。
なお、本出願におけるペロブスカイト型酸化物の結晶子径は、上記の実験室型のあるいは放射光を利用したXRD分析により得られたペロブスカイト型酸化物のXRD回折パターンにおいて、当該ペロブスカイト型酸化物の半値全幅(FWHM)から、シェラー(Scherrer)の式:H=Kλ/(β×cosθ);に基づき算出した値を採用することができる。シェラーの式を用いて算出することができる。なお、式中、Hは平均結晶子径を、KはScherrer定数(0.92)を、λはXRD分析に使用したX線の波長を、βは回折線(回折ピーク)の半値全幅を、θは回折角を示している。本明細書において主相となる上記のペロブスカイト型酸化物については、2θ=32°付近に検出される回折線に基づき、平均結晶子径を算出することができる。
ここに開示されるSOFCの好ましい一態様において、上記空気極の気孔率は10%以上50%以下であることを特徴としている。このような構成によると、空気極を構成するペロブスカイト型酸化物の粒子は、上記気孔率を実現する多孔質構造を実現するため、小さすぎる粒子の含有が抑制されている。その結果、空気極と固体電解質層との好適な接合が実現できるために好ましい。
なお、空気極の気孔率は、アルキメデス法、水銀圧入法またはガス吸着法による細孔分布測定装置を利用して測定することができる。本出願では、Micrometrics製,AutoPoreIV 9500を用い、空気極について水銀圧入法にて細孔分布測定を実施することにより、気孔率を測定した。
他の側面において、ここに開示される技術は、一般式:ABOで表され、AサイトにLaおよびSrの少なくとも一方を含み、BサイトにCoを含むペロブスカイト型酸化物を主成分とするペロブスカイト型酸化物粉末を提供する。このペロブスカイト型酸化物粉末は、動的光散乱法に基づく平均粒子径(Dr)が0.1μm以上1μm以下であり、BET法に基づく比表面積から算出される球相当径である理想粒子径(Di)に対する上記平均粒子径(Dr)の比(Dr/Di)が2.5以上5.7未満であることを特徴としている。
このペロブスカイト型酸化物粉末は、0.1μm以上1μm以下の平均粒子径を備えるとともに、Dr/Di比が上記の範囲に調整されている。これにより、比較的微細で、表面形態が滑らかであり、外形が適度に球形に近い形状の粒子が実現される。このようなペロブスカイト型酸化物は、例えば、500℃以上1200℃以下程度の中温〜高温に加熱された場合であっても、結晶相の分解が抑制される。したがって、高温においても結晶性が安定したペロブスカイト型酸化物粉末が実現される。
なお、本出願において、「主成分」とは、ペロブスカイト型酸化物粉末を構成する成分のうちの質量が最大の成分を意味する。なお必ずしもこれに限定されるものではないが、通常、ペロブスカイト型酸化物粉末の主成分は、ペロブスカイト型酸化物粉末を構成する全成分の75質量%以上を占め、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上、例えば98質量%以上であり得る。
また、本出願におけるペロブスカイト型酸化物粉末の平均粒子径(Dr)は、動的光散乱(Dynamic light scattering:DLS)法に基づき測定された粒度分布における累積50%に相当する粒径(D50値、調和平均粒子径)により表すことができる。
さらに、本出願におけるペロブスカイト型酸化物粉末の理想粒子径(Di)は、比表面積から算出される球形粒子の直径(球相当径)として算出される値を採用することができる。理想粒子径(Di)は、ペロブスカイト型酸化物粉末の比表面積をS、密度をρとしたとき、次式:Di=6/(ρS);に基づき算出される。なお、ペロブスカイト型酸化物粉末の密度ρは、ペロブスカイト型酸化物粉末を構成する成分の真密度を採用することができる。ペロブスカイト型酸化物粉末を構成する成分が複数ある場合は、組成分析により各成分の組成とその割合を算出し、各成分の密度を割合に応じて足し合わせた値(加重合計値)を採用することができる。ペロブスカイト型酸化物粉末の比表面積Sは、JIS Z 8830:2013(ISO9277:2010)に規定される「ガス吸着による粉体(固体)の比表面積測定方法」に準じ、BET法に基づき算出される値を採用することができる。本出願において比表面積測定は、自動比表面積・細孔分布測定装置((株)マウンテック製、Macsorb HM model-1210)を用いて連続流動法により測定した。吸着ガスとしては、窒素ガスを用いた。また、比表面積は、BET1点法により算出した値を採用している。
ここに開示されるペロブスカイト型酸化物粉末の好ましい一態様において、上記ペロブスカイト型酸化物は、一般式:La1−xSrCo1−yFe;で表され、式中、0≦x≦1,y<1を満たすことを特徴としている。かかる組成のペロブスカイト型酸化物は、比較的高い酸素イオン−電子混合導電性を備えている。したがって、例えば、SOFCの空気極材料として好適なペロブスカイト型酸化物粉末を実現することができる。
このような観点から、ここに開示される技術は、上記のペロブスカイト型酸化物粉末を含むSOFCの電極を形成するための電極材料をも提供する。この電極は、典型的には空気極であり得る。ここで開示される電極材料は、ペロブスカイト型酸化物からなる相の分解が抑制され、熱安定性が高められている。したがって、この電極材料を用いてSOFCの電極を作製すると、SOFCの運転環境(高温、低酸素分圧条件)に長期に晒された場合であっても電極の劣化が抑制されて、高い発電特性を長期に亘って維持することができる。このような特徴は、高性能(例えば、高出力)のSOFCの長寿命化(出力劣化率の低減)にもつながり得るものであり得る。
一実施形態に係るアノード支持型のSOFCを模式的に示す断面図である。 実施例で作製した(A)例1および(B)例4のLSFC粉末のSEM像である。 実施例で作製した(A)例1および(B)例4のSOFCの空気極断面のコバルト(Co)元素マップである。 図3(A)のCo元素マップに基づき、Co酸化物の面積占有率を算出する様子を示した図である。 実施例で作製した例1〜7のSOFCの空気極構成材料の放射光を用いたXRDパターンである。 図5のXRDパターンの2θ=32°〜39°の領域の拡大図である。 実施例で作製した例1および例4のSOFCの運転時間と発電電圧との関係を示すグラフである。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、本明細書において数値範囲を示す「X〜Y」との表記は、「X以上Y以下」を意味する。
(SOFC)
ここに開示される技術により提供される固体酸化物形燃料電池(SOFC)は、本質的には、燃料極(アノード)と固体電解質と空気極(カソード)とを備えている。SOFCは、全体および各部の形状や寸法等は特に限定されない。例えば、公知の平板型(Planar),MOLB型、縦縞円筒型(Tubular)、あるいは円筒の周側面を垂直に押し潰した扁平円筒型(Flat tubular)、一体積層型等の種々の構造のSOFCであってよい。また、SOFCを支持する支持体(基材)についても特に制限なく、例えば燃料極(アノード支持型)、空気極(カソード支持型)、固体電解質(固体電解質支持型)等であってよい。
以下、アノード支持型のSOFCを例にして、本願のSOFCについて詳細に説明する。図1は、SOFC(単セル)10の構成を説明する断面図である。この図は模式的に描かれており、図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を厳密に反映するものではない。ここに示されるSOFC10は、支持体となる円筒型の燃料極40と、この燃料極40の少なくとも一部の表面上に形成された薄膜状の固体電解質30と、この固体電解質30の表面上に形成された薄膜状の空気極20とが積層された構造を有している。なお、必須の構成要素ではないが、空気極20と固体電解質30との間に、両者の反応を防止する反応防止層25が備えられていてもよい。ここで、燃料極40と空気極20とは、燃料ガスの流通が可能なように多孔質構造とされている。また、固体電解質30は、燃料極40と空気極20とを流通するガスの隔壁となるように、緻密に構成されている。
そして、燃料極40の端部42は、燃料ガス(典型的には、水素(H)または炭化水素(例えばメタン;CH))を供給するガス管60と接合されている。かかる接合面は、気体(燃料ガスもしくは空気)が流出または流入しないように接続部材50によって接合され、封止されている。また、空気極20は酸素(O)を含む気体に曝されるよう、典型的には外気に露出した構造となるよう、構成されている。
このような構成のSOFC10に電流を印加すると、空気極20において、酸素含有ガス(典型的には空気)中の酸素がイオン化されて、酸素イオン(O2−)が生成される。この酸素イオンは、空気極20から固体電解質30を介して燃料極40に供給される。そして該燃料極40において、燃料ガスと反応して水(HO)を生成し、外部負荷に電子を放出して電気エネルギーが生成される。
ここで、SOFC10を構成する燃料極40の形状は、SOFC10に供給される燃料ガスに接触できるように構成されていればよく、上述したSOFCの形状に応じて適宜選択することができる。図1に示す構成のSOFC10は、いわゆるアノード支持型であるため、比較的厚く形成された燃料極40がSOFC10の支持体として利用されている。なお、図示しないが、支持体である燃料極40は、固体電解質30との界面から離れた領域は燃料極としての寄与が少ない。したがって、燃料極40部分を、固体電解質から離れた領域をより多孔質なアノード支持体部分として、燃料極(アノード)とは分けて構成するようにしても良い。上記支持体としての燃料極40の厚み(全体)は、取扱い性、耐久性、熱膨張率等を考慮して設定することが好ましい。燃料極40の厚みは、典型的には0.1mm〜10mm程度であり、好ましくは0.5mm〜5mm程度であるが、この厚みに限定されるものではない。
燃料極40を構成する材料としては特に限定されず、従来からSOFCに用いられている燃料極材料の一種または二種以上であってよい。例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)その他の白金族元素、コバルト(Co)、ランタン(La)、ストロンチウム(Sr)、チタン(Ti)等からなる金属および/または金属元素のうちの1種類以上から構成される金属酸化物が挙げられる。具体例として、Ni等の遷移金属元素や、Co、Ru等の白金族元素からなる、金属や金属酸化物が好ましい例として挙げられる。例えば、Niは他の金属に比べて安価であり、且つ水素等の燃料ガスとの反応性が十分に大きいことから特に好適な金属種である。また、これらの金属や金属酸化物を混合した複合物を用いることもできる。さらに、例えば、上記燃料極構成材料(金属や金属酸化物)と、後述する固体電解質構成材料との複合物を用いることもできる。具体的には、例えばニッケル(Ni)またはルテニウム(Ru)と、安定化ジルコニア(例えば、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、カルシア安定化ジルコニア(CSZ)、スカンジア安定化ジルコニア(ScSZ)等)とのサーメットが好適例として挙げられる。特に限定するものではないが、例えば上記燃料極構成材料と後述する固体電解質構成材料との混合比率(質量比)が、およそ90:10〜40:60(より好ましくは、およそ80:20〜45:55)の範囲にあることが好適である。
ここで開示されるSOFC10を構成する固体電解質30は緻密構造を有している。固体電解質30は、上記燃料極40の上に積層されており、燃料極40の形状に応じてその形状を適宜変更することができる。また、固体電解質30の膜厚は、固体電解質層の緻密性が維持される程度に厚くする一方、SOFCとして好ましい酸素イオン伝導度および低抵抗性を供し得る程度に薄くなるよう、両者をバランスさせて厚さ寸法を設定することが好ましい。固体電解質30の厚みは、典型的には0.1μm〜50μm程度であり、好ましくは1μm〜40μm程度であり、より好ましくは5μm〜20μm程度であるが、かかる膜厚は限定されるものではない。
固体電解質を構成する材料としては特に限定されず、従来からSOFCに用いられている固体電解質材料の一種または二種以上であってよい。例えば、上記の酸素イオン伝導性材料として例示したような、高い酸素イオン伝導性を有する化合物が好ましく用いられる。具体的には、例えば、セリウム(Ce)、ジルコニウム(Zr)、マグネシウム(Mg)、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、イットリウム(Y)、カルシウム(Ca)、ガドリニウム(Gd)、サマリウム(Sm)、バリウム(Ba)、ランタン(La)、ストロンチウム(Sr)、ガリウム(Ga)、ビスマス(Bi)、ニオブ(Nb)、タングステン(W),エルビウム(Er)等のうちから選択される元素を安定化剤として含む、酸化物であることが好ましい。具体的には、例えば、イットリア(Y)、カルシア(CaO)、スカンジア(Sc)、マグネシア(MgO)、イッテルビア(Yb)、エルビア(Er)等の少なくとも1種で結晶構造を安定化させたジルコニア(ZrO)や、ガドリニア(Gd)、ランタニア(La)、サマリア(Sm)、イットリア(Y)をドープしたセリウム酸化物(CeO)が、好適例として挙げられる。例えば、イットリウム(Y)の酸化物(例えば、イットリア(Y))をドープしたイットリア安定化ジルコニア(YSZ)や、スカンジウム(Sc)の酸化物(例えばスカンジア(Sc))をドープしたスカンジア安定化ジルコニア(ScSZ)等を好ましく用いることができる。
反応防止層25が設けられている場合、反応防止層25は、上記燃料極40と同様に多孔質構造を有している。反応防止層25は、上記固体電解質30と空気極20との接触を遮るように両者の間に介在されており、例えば固体電解質30や空気極20の形状に応じてその形状を適宜変更することができる。反応防止層25の厚みは、典型的には1μm〜200μm程度であり、好ましくは5μm〜100μm程度、より好ましくは10μm〜100μmであるが、かかる厚みに限定されるものではない。
反応防止層25を構成する材料としては特に限定されず、従来からSOFCに用いられている反応防止層材料の一種または二種以上とすることができる。かかる材料としては、例えば、セリア(CeO)に1〜20%程度の割合のガドリニウム(Gd)をドープしたガドリニウムドープセリア(GDC)等であってよい。
空気極(カソード)20は、上記燃料極40と同様に多孔質構造を有している。空気極20の気孔率は特に限定されないものの、電気化学反応が行われる燃料ガス,固体電解質層,空気極等による3相界面の割合と適切な強度と両立するために、10%以上50%以下(好適には10%以上40%以下、例えば15%以上30%以下)であることが好ましい。空気極20は、上記固体電解質30の上に積層されており、固体電解質30の形状に応じてその形状を適宜変更することができる。空気極20の厚みは、典型的には1μm〜200μm程度であり、好ましくは5μm〜100μm程度、より好ましくは10μm〜100μmであるが、かかる厚みに限定されるものではない。
空気極20を構成する材料としては、従来からSOFCに用いられている空気極用材料の一種または二種以上を特に限定することなく考慮することができる。このような材料としては、一般式:ABOで表され、Aサイトにランタン(La)およびストロンチウム(Sr)の少なくとも一方を含み、Bサイトに少なくともコバルト(Co)を含むペロブスカイト型酸化物からなる相を主相として含むものであることが好ましい。
ここで、上記式中、Aは、ペロブスカイト型結晶構造におけるAサイトを占める元素であって、LaおよびSrの少なくとも一方を含む限りその割合やその他の元素の含有については特に制限されない。LaおよびSr以外のAサイトを占める元素としては、原子番号57のランタン(Ln)から原子番号71のルテチウム(Lu)までのランタノイド元素のいずれかであることが好ましい。ランタノイド元素としては、具体的には、セリウム(Ce),プラセオジム(Pr),ネオジム(Nd),プロメチウム(Pm),サマリウム(Sm),ユウロピウム(Eu),ガドリニウム(Gd)等の比較的イオン半径の大きな元素であることが好ましい。
Lnは、上記のうちのいずれか1種が単独で含まれていても良いし、2種以上が組み合わされて含まれていても良い。中でも、Lnとしては、上記のLa,Srのいずれか一方や、その他の元素としてSmおよびNdのいずれかが含まれていることが好まく、例えば、LaとSrの両方が含まれていることがより好ましい。
なお、AサイトにLaとSrの両方が含まれる場合、両者の合計に占めるLaの比は、特に制限されるものではないが、Laの比は0超過1未満とすることができ、0.1以上0.9以下程度の範囲とするのが適当であり、0.1以上0.5以下とすることが好ましい。
また、ここに開示されるペロブスカイト型酸化物においては、Bサイトに少なくともCoを含む限り、その割合やその他の元素の含有については特に制限されない。特に制限されるものではないが、このBサイトには、Coの他に、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)および鉄(Fe)からなる群から選択される1種または2種以上が含まれているのが好ましい。特にFeを含んでいることが好ましい。なお、BサイトにCo以外の元素が含まれる場合、Bサイトの元素の合計に占めるCoの割合は特に制限されるものではないが、Coの比は0超過1未満とすることができ、0.1以上0.8以下程度の範囲とするのが適当であり、0.1以上0.5以下とすることが好ましい。
主相としてのペロブスカイト型酸化物は、より好ましくは、La1−xSrCo1−yFeで表される代表組成であることが好ましい。この場合、式中のxは0〜1が好ましく、0.1〜0.6がより好ましく、0.2〜0.5が特に好ましい。また、式中のyは0〜1未満が好ましく、0.4〜0.95がより好ましく、0.6〜0.9が特に好ましい。
なお、これらのペロブスカイト型酸化物は、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて、上記に例示した以外の元素が含まれていても良い。
ここで、空気極20は、このようにペロブスカイト型酸化物により構成されるため、後述するが、通常は粉末の空気極材料を塗布したのち焼成することで、目的の形状の空気極として形成されている。したがって、空気極20は、上記のペロブスカイト型酸化物の単相であってよいし、上記のペロブスカイト型酸化物を主相とする限り他の組成系のペロブスカイト型酸化物や他の化合物からなる相が含まれていてもよい。他の組成系のペロブスカイト型酸化物としては、具体的には、(La,Sr)MnO、(La,Ca)MnOに代表されるランタンマンガネート(LaMnO)系ペロブスカイト型酸化物等である。また空気極20は、例えば、主相であるペロブスカイト型酸化物が分解されてなる化合物を含んでいてもよい。このような化合物としては、空気極20の形成のための焼成に際して生成される、コバルト含有化合物を考慮することができる。コバルト含有化合物は、典型的には、コバルト(Co)と酸素(O)とからなる化合物であるCo酸化物であり、代表的には、例えば、酸化コバルト(II),酸化コバルト(III),四酸化三コバルトであり得る。より典型的には、四酸化三コバルト(Co)である。これまでのSOFCの空気極においては、細心の注意を払っても、空気極中にこのCo酸化物が1%を超える割合で含まれてしまっていた。また、本発明者らの鋭意検討によると、空気極にCo酸化物が存在すると、SOFCの運転環境においてこのCo酸化物の存在が主相であるペロブスカイト型酸化物の分解を誘発し、空気極の劣化を促進させ得るとの知見が得られている。
そこでここ開示される技術においては、空気極20にCo酸化物が含まれる場合、空気極の断面におけるCo酸化物の面積占有率を制限するようにしている。Co酸化物の面積占有率は1%以下であることが好ましく、0.75%以下がより好ましく、0.5%以下が特に好ましく、0.25%以下(例えば、0.25%未満、好適には0.2%以下)がさらに好ましい。このように、空気極断面を観察したときのCo酸化物の割合が低く抑えられていることで、SOFC10の運転時に空気極20が中温ないしは高温(例えば600℃以上1100℃以下)でかつ低酸素分圧の環境に晒された場合でも、ペロブスカイト型酸化物相の分解が好適に抑制され得る。
また、このCo酸化物については、空気極20を構成する材料について放射光を使用したXRDパターンを取得したとき、主相であるペロブスカイト型酸化物のメインピーク強度Iに対するCo酸化物のメインピーク強度Iの比(I/I)が0.1以下となるように制御されていることが好ましい。このような構成とすることでも、空気極20におけるペロブスカイト型酸化物相に対するCo酸化物相の割合を適切に少なく抑えることができ、SOFC10の運転時に際してペロブスカイト型酸化物が分解されることを好適に抑制することができる。
そして空気極20の主相であるペロブスカイト型酸化物相については、XRDパターンから算出されるペロブスカイト型酸化物の結晶子径が22nm以上であることが好ましい。結晶子径は25nm以上がより好ましく、30nm以上が特に好ましい。これにより、空気極の気孔率が比較的好適に実現されるとともに、ペロブスカイト型酸化物相の状態をより好適に維持することができる。なお、結晶子径を算出するためのXRD分析は、放射光を用いたXRD分析に限定されない。例えば、実験室型(集光光学系)のXRD分析に基づき結晶子径を算出してもよい。この場合、例えば、実験室型のXRD分析装置としては、株式会社リガク製、RINT−TTRIII等を好ましく用いることができる。
(電極材料)
なお、このような空気極20を実現するには、空気極20の形成に用いる空気極材料の特性が重要となり得る。ここに開示される電極材料は、上記の特徴を備えるSOFC10の空気極20を好適に実現するものとして、下記のペロブスカイト型酸化物粉末を含むことを特徴としている。
(ペロブスカイト型酸化物粉末)
ここに開示されるペロブスカイト型酸化物粉末は、一般式:ABOで表され、AサイトにLaおよびSrの少なくとも一方を含み、BサイトにCoを含むペロブスカイト型酸化物を主成分とする粉末である。すなわち、ペロブスカイト型酸化物粉末の主成分は、上記の空気極20の主相の組成と同様に考慮することができる。
そしてこのペロブスカイト型酸化物粉末において、動的光散乱法に基づく平均粒子径(Dr)は0.1μm以上1μm以下であり、BET法に基づく比表面積から算出される球相当径である理想粒子径(Di)に対する前記平均粒子径(Dr)の比(Dr/Di)が2.5以上5以下である。
(ペロブスカイト型酸化物粉末)
ペロブスカイト型酸化物粉末は、まず、適切な多孔質構造の電極を容易に作製し得るとの観点から、平均粒子径(Dr)が0.1μm以上1μm以下であることが好ましい。平均粒子径が小さすぎると電極構造が緻密になりすぎたり、平均粒子径が大きすぎると電極構造が過度にポーラスになったりするために好ましくない。平均粒子径(Dr)は、0.1μm以上0.9μm以下がより好ましく、0.2μm以上0.6μm以下が特に好ましい。
なお、ペロブスカイト型酸化物粉末の平均粒子径を適切に調整するには、一般に粉砕および粒度調整が行われている。また、ペロブスカイト型酸化物粉末を焼成して電極を形成するためには、概ね900〜1100℃程度(望ましくは1000〜1100℃程度)の温度での焼成が必要となる。従来のペロブスカイト型酸化物粉末においては、このような高温での焼成に際し、粉末を構成するペロブスカイト型酸化物粉末は焼結されるものの、ペロブスカイト型酸化物相は僅かではあっても分解を生じてしまい、Co酸化物の生成が避けられなかった。ここで本発明者らの鋭意研究によると、焼成前のペロブスカイト型酸化物粉末を構成する個々の粒子(以下、単にペロブスカイト粒子という。)の形態を適切に制御することで、焼成によるペロブスカイト型酸化物(ペロブスカイト型酸化物相であり得る)の分解を抑え、Co酸化物の生成量を極めて少量に、好ましくは実質的にゼロに抑え得ることが見出された。Co酸化物の生成量が極めて少量に抑制される理由については明確ではないが、本発明者らは、ペロブスカイト粒子のストレスを極力抑え、表面形態が滑らかな粒子を作ることで、焼成時の分解が抑制されるものと考えている。すなわち、ここに開示されるペロブスカイト型酸化物粉末は、分解反応の起点となる要素が極力取り除かれた状態に整えられていると言える。本発明は、かかる知見に基づき為されたものである。
ペロブスカイト粒子の表面形態は、上記の比(Dr/Di)を指標として評価することができる。この比Dr/Diは、ペロブスカイト粒子の表面形態が滑らかになるほど比表面積が減少するため、小さな値となり得る。そしてペロブスカイト粒子の形状が真球形状に近付くにつれて1に近い値となる。ここで、ペロブスカイト型酸化物の分解を抑制するためには、分解反応の起点を減少させて滑らかな表面を得るために、粒子の角や表面の凹凸を少なくすることが好ましい。しかしながら、ペロブスカイト粒子同士の焼結性を考慮した場合、粒子表面は多少は凹凸があることが好ましい。かかる観点から、Dr/Diは2.5以上5以下が好ましく、2.8以上4.8以下がより好ましく、3以上4.5以下が特に好ましい。このようにペロブスカイト粒子の形態が好適に整えられていることで、焼結性を確保するとともに、焼結およびSOFCの運転環境におけるペロブスカイト型酸化物の分解抑制をバランスよく実現することができる。
なお、上記のDrおよびDr/Diは、以下により実現することができる。
すなわち、第1には、ペロブスカイト型酸化物粉末の粒度調整に際して、ペロブスカイト型酸化物粉末に対して過剰な圧力を付加せずソフトな粉砕を行うことで、表面に荒れの少ないペロブスカイト粒子を形成することである。すなわち、破砕面や角の少ないペロブスカイト粒子を形成する。
第2には、ソフトな粉砕によっても、所望の平均粒子径のペロブスカイト型酸化物粉末が得られるよう、目的の平均粒子径に応じた硬さのペロブスカイト型酸化物相を形成することである。すなわち、ペロブスカイト型酸化物相の硬さによっては、ソフトな粉砕によって目的の粒度にまで粉砕が進まなかったり、ソフトな粉砕であっても粉砕が進み過ぎて粒子が過剰に小さくかつ球形に近い形態となったりしてしまう。したがって、ペロブスカイト型酸化物相の製造履歴(例えば熱処理温度,組成等)を調整することで、ソフトな粉砕により所望の平均粒子径のペロブスカイト型酸化物粉末が形成されるようにすることである。
このようなペロブスカイト型酸化物粉末は、後述の実施例に示されるように、製造方法を様々に組み合わせることで実現することができる。例えば、ペロブスカイト型酸化物自体は、液相法や固相法のいずれを利用しても作製することができる。例えば、組成に応じて結晶作製温度等を調製することで、粉砕に対する硬さの異なるペロブスカイト型酸化物を作製することができる。そしてこのペロブスカイト型酸化物に対し、シェア(圧力、強度)をソフトな範囲で適切に調整し、ペロブスカイト型酸化物の粒径が所定の値で安定するまで粉砕を行う。このことにより、ここに開示されるペロブスカイト型酸化物粉末を得ることができる。
なお、ここに開示される電極材料は、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて、上記のペロブスカイト型酸化物粉末の他に、分散媒、造孔材、焼結助剤等の他の構成成分を含むことができる。かかる他の構成成分については、SOFCの電極の形成手法などの種々の基準に照らして調整することができる。
(造孔材)
造孔材は、電極を多孔質構造に形成するために電極材料に配合される材料であって、電極作製時(焼成時)に消失する各種の材料を用いることができる。例えば、造孔材としては、天然有機粉体、粒状の合成樹脂材料、炭素粉末等が好ましい例として挙げられる。
天然有機粉体としては、例えば、澱粉を含む各種の植物のうち、澱粉を多く含む種子(胚乳)、塊根等の部位を粉末にしたものや、かかる部位か抽出した澱粉粉末であってよい。例えば、代表的には、もち米粉、米粉、大麦粉、小麦粉、オート(燕麦)粉、とうもろこし粉、えんどう豆粉、じゃがいも粉、さつまいも粉、キャッサバ粉、葛粉、サゴ粉、アマランス粉、バナナ粉、アロールート粉、カンナ粉などの食物粉、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、タピオカ粉等の澱粉粉末を例示することができる。
粒状樹脂材料としては、電極の焼成時(典型的には、900〜1100℃程度の高温での焼成時)に消失することができる各種の合成樹脂からなる粒子状の材料を用いることができる。典型的には、いわゆる樹脂ビーズを好ましく用いることができる。かかる粒状樹脂材料は、粒子の粒径が揃ったものを容易に入手することができ、また表面形態も滑らかであるため、電極形成用のスラリーを調製したときの流動性を良好に保ち得るために好ましい。また、所望の多孔質構造(例えば、細孔径分布がシャープな多孔質構造等)の電極を形成し得る点においても好ましい。かかる粒状樹脂材料を構成する樹脂の種類は特に制限されず、例えば、代表的には、ポリエチレン,ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン,スチレン・アクリロニトリル共重合体,アクリロニトリル・ブタジエン・スチレンポリマー等のポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂およびこれらの複合体等が例示される。
造孔材として各種の炭素粉末を用いることもできる。かかる炭素粉末は700℃〜900℃でほぼ焼失するため、電極の焼成時(典型的には、800℃〜1500℃)にほぼ全てが燃え抜けるために好適である。炭素粉末としては、その結晶構造や製造方法等は特に制限されず、黒鉛(天然黒鉛およびその改質体、人造黒鉛)等に代表される各種の炭素材料を用いることができる。
(分散媒)
上記の粉末状の電極材料は、そのまま圧縮成形する等して電極構造に成形してもよいし、あるいは、粉末状の電極材料を分散媒中に分散したペースト(インク、スラリー、サスペンションなどを包含する)の形態に調製して用いるようにしても良い。このとき用いる分散媒としては、上記の遷移金属成分粉末および酸素イオン伝導性材料粉末を良好に分散し得るものであればよく、従来のこの種のペーストに用いられている各種の分散媒を特に制限なく使用することができる。典型的には、かかる分散媒としては、ビヒクルと、粘度調整のための有機溶媒との混合物を考慮することができる。
有機溶媒としては、例えば、エチレングリコールおよびジエチレングリコール誘導体(グリコールエーテル系溶剤)、トルエン、キシレン、ブチルカルビトール(BC)、ターピネオール等の高沸点有機溶剤の1種を単独で、または、2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、ビヒクルは、有機バインダとして種々の樹脂成分を含むことができる。かかる樹脂成分はペーストを調製するのに良好な粘性および塗膜形成能(例えば、印刷性や、基板に対する付着性等を含む)を付与し得るものであればよく、従来のこの種のペーストに用いられているものを特に制限なく使用することができる。例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、セルロース系高分子、ポリビニルアルコール、ロジン樹脂等を主体とするものが挙げられる。このうち、特にエチルセルロース等のセルロース系高分子が含まれているのが好ましい。なお、かかる分散媒には、分散剤や可塑剤等のこの種の分散媒に一般的に使用され得る任意の添加剤が含まれていても良い。
分散媒の割合は、電極材料の使用目的に応じて適宜調整することができる。例えば、SOFCの電極およびその他の構成部材の形態や、その成形に採用する手法等に応じて、適宜調整することができる。一例として、ペースト状の形態の電極材料は、印刷等の手法により上記のSOFCの構成部材を形成するのに好ましく用いることができる。より具体的には、例えば、スクリーン印刷やドクターブレード法等の手法によりSOFCの燃料極を作製するためのグリーンシート(未焼成段階の成形体)を成形する場合は、かかる分散媒が、ペースト全体(すなわち、例えば、上記遷移金属成分粉末および酸素イオン伝導性材料粉末と、造孔材と、分散媒との合計)に占める割合は、5質量%以上60質量%以下程度とすることが好ましく、7質量%以上50質量%以下がより好ましく、10質量%以上40質量%以下が特に好ましい。また、ビヒクルに含まれる有機バインダは、例えば、ペースト全体の1質量%以上15質量%以下程度、好ましくは1質量%以上10質量%以下程度、より好ましくは1質量%以上7質量%以下程度の割合とすることが例示される。かかる構成とすることで、例えば、粉末状の遷移金属成分粉末および酸素イオン伝導性材料粉末を均一な厚さの層状体(例えば、塗膜)として形成(塗布)し易く、取扱いが容易であり、さらにかかる塗布物から分散媒を除去するのに長時間を要することがないために好適である。特に、薄層化が進められるSOFCの燃料極のグリーンシートを好適に形成することができる。
なお、ペースト状に調製するに際し、上記粉末状の電極材料および分散媒の混合には、例えば、公知の三本ロールミル等を用いることができる。ペースト状の電極材料は、所望の用途に応じて適切な粘度に調整することによって、塗布または印刷等の形態で電極材料を所望の位置に所望の形態にて簡便に供給することが可能となる。例えば、極精密に寸法が管理されたSOFCの燃料極を簡便かつ好適に成形することができる。
上記のようにして準備した電極材料の成形体(いわゆるグリーンシート)は、従来のこの種の構成部材と同様に焼成することができる。この場合の焼成温度は、例えば空気極の場合、900〜1100℃程度とすることができる。なお、この焼成をSOFCの他の構成部材の焼成と同時に行う場合等には、焼成条件を適宜変更することができる。これにより、例えば、SOFCの空気極等の燃料電池構成部材を作製することができる。
なお、以上のSOFC10の空気極以外の他の部材の製造方法は、従来公知の製造方法に準じればよく特別な処理を必要としないため、詳細な説明は省略する。
以下、本発明に関する幾つかの試験例を説明するが、本発明をかかる試験例に示すものに限定することを意図したものではない。
[電極材料の用意]
(例1)
空気極材料として、一般式:La0.60Sr0.40Co0.20Fe0.80(以下、単に「LSCF」と記載する。)で示されるペロブスカイト型酸化物を固相法により調製した。具体的には、出発原料として平均粒径が5μmのLa,SrCO,CoおよびFeの粉末を用い、これらを化学量論比で精密に秤量して湿式混合した後、大気雰囲気中、1100℃で焼成することで、焼成物としてのLSCFを得た。
得られたLSCFを、φ5mmのジルコニアボールを用いたボールミルにより粒径が安定するまで一次粉砕し、次いで、φ1mm以下のビーズを用いたビーズミルにて下記の表1に示される所定の粒径(実測平均粒子径:Dr)となるまで二次粉砕することで、例1のLSCF粉末を得た。なお、一次粉砕および二次粉砕は、LSCFの平均粒子径(D50)および比表面積を、それらの変化の様子を確認しながら実施し、LSCFの平均粒子径(D50)が目的の粒径(Dr)となったところで粉砕を終了するようにした。
(例2)
例1と同様に秤量した原料粉末を湿式混合した後、大気雰囲気中、1070℃で焼成することで、焼成物としてのLSCFを得た。その後、例1と同様に、ボールミルによる一次粉砕およびビーズミルによる二次粉砕により、下記の表1に示される所定の粒径(Dr)を有する例2のLSCF粉末を得た。
(例3)
例1と同様に秤量した原料粉末を湿式混合した後、大気雰囲気中、1000℃で焼成することで、焼成物としてのLSCFを得た。その後、例1と同様に、ボールミルによる一次粉砕およびビーズミルによる二次粉砕により、下記の表1に示される所定の粒径(Dr)を有する例3のLSCF粉末を得た。
(例4)
空気極材料として、一般式:La0.60Sr0.40Co0.20Fe0.80(LSCF)で示されるペロブスカイト型酸化物を液相法により調製した。具体的には、出発原料としてLa(NO・6HO,Sr(NO,Co(NOおよびFe(NOの粉末を用い、これらを化学量論比で精密に秤量して純水に溶解させたのち、110℃で乾燥させ、大気雰囲気中、1050℃で焼成することで、焼成物としてのLSCFを得た。
得られたLSCFは比較的脆いため、解砕したのち、φ1mm以下のビーズを用いたビーズミルにて下記の表1に示される所定の粒径(実測平均粒子径:Dr)となるまで粉砕した。これにより、例4のLSCF粉末を得た。なお、粉砕は、LSCFの平均粒子径(D50)および比表面積を、それらの変化の様子を確認しながら実施し、LSCFの平均粒子径(D50)が目的の粒径(Dr)となったところで粉砕を終了するようにした。
(例5)
例4と同様に秤量した原料粉末を純水に溶解して乾燥させた後、大気雰囲気中、1050℃で焼成することで、焼成物としてのLSCFを得た。その後、得られたLSCFを解砕したのち、φ0.5mm以下のビーズを用いたビーズミルにより粉砕することで、下記の表1に示される所定の粒径(Dr)を有する例5のLSCF粉末を得た。
(例6)
例4と同様に秤量した原料粉末を純水に溶解して乾燥させた後、大気雰囲気中、1070℃で焼成することで、焼成物としてのLSCFを得た。その後、得られたLSCFを解砕したのち、φ1〜3mmのビーズを用いたビーズミルにより粉砕することで、下記の表1に示される所定の粒径(Dr)を有する例6のLSCF粉末を得た。
(例7)
例4と同様に秤量した原料粉末を純水に溶解して乾燥させた後、大気雰囲気中、1030℃で焼成することで、焼成物としてのLSCFを得た。その後、得られたLSCFを解砕したのち、φ1mm以下のビーズを用いたビーズミルにより粉砕することで、下記の表1に示される所定の粒径(Dr)を有する例6のLSCF粉末を得た。
以上のようにして得た例1〜7のLSCF粉末の実測平均粒子径(Dr)を表1の「Dr」欄に記すとともに、そのときの比表面積から算出される理想平均粒子径(Di)および(Dr/Di)値を、表1の「Di」、「Dr/Di」欄にそれぞれ示した。なお、参考のために、図2(A)および(B)に、例1および例4のLSCF粉末の走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)像をそれぞれ示した。このSEM像は、日本電子(株)製のJSM−6610LAを用い、加速電圧を10kVとして、1万倍の倍率で撮像したものである。
(例8)
市販のランタンストロンチウムコバルトフェライト粉末(Aldrich社製、組成:La0.60Sr0.40Co0.20Fe0.80、品番:LSCF6428、ロット番号:MKBN2626V)を入手し、例8のLSCF粉末とした。
(例9)
市販のランタンストロンチウムコバルトフェライト粉末(H.C. Starck製、組成:La0.60Sr0.40Co0.20Fe0.80、品番:AMPERGY LSCF3)を入手し、例9のLSCF粉末とした。
例8および例9のLSCF粉末の平均粒子径(D50)を測定して、表1の実測平均粒子径「Dr」の欄に記した。また、比表面積を測定して、比表面積から算出される理想平均粒子径(Di)および(Dr/Di)値を算出して、表1の「Di」、「Dr/Di」欄にそれぞれ示した。
[評価用SOFCの作製]
上記で用意した各例のLSCF粉末を空気極用材料として用い、以下の手順で、評価用のSOFCを作製した。
まず、酸化ニッケル(NiO,平均粒子径0.5μm)粉末と、8%イットリア安定化ジルコニア(8%YSZ,平均粒子径0.5μm)粉末とを、60:40の質量比で混合することで燃料極用混合粉末を用意した。そして、この燃料極用混合粉末と、造孔材(炭素成分)、バインダ(ポリビニルブチラール;PVB)、可塑剤および分散媒(キシレン)とを、順に48〜58:15〜5:8.5:4.5:24の質量比で混練することにより、ペースト状の燃料極支持体形成用組成物を調製した。次いで、この燃料極支持体形成用組成物を、ドクターブレード法によりキャリアシート上に塗布・乾燥することを繰り返すことで、厚みが0.5〜1.0mmの燃料極支持体グリーンシートを形成した。
次に、上記と同様の燃料極用混合粉末、バインダ(エチルセルロース;EC)および分散媒(TE)を、80:2:18の質量比で混合することで、燃料極形成用組成物を調製した。次いで、この燃料極形成用組成物を上記燃料極支持体グリーンシートの上にスクリーン印刷法により供給し、乾燥させて、厚みが約10μmの燃料極グリーンシートを形成した。
固体電解質材料としての8%YSZ(平均粒子径0.5μm)粉末と、バインダ(EC)と、分散媒(TE)とを、65:4:31の質量比で混練することにより、ペースト状の固体電解質層形成用組成物を調製した。これを上記燃料極グリーンシートの上にスクリーン印刷法によってシート状に供給し、乾燥させることで、厚みが約10μmの固体電解質層グリーンシートを形成した。
また、反応防止層材料としての10%ガドリニウムドープセリア粉末(10%GDC,平均粒子径0.5μm)と、バインダ(EC)と、分散媒(TE)とを、65:4:31の質量比で混練することにより、ペースト状の反応防止層用組成物を調製した。これを上記固体電解質層グリーンシートの上にスクリーン印刷法によってシート状に供給し、乾燥させることで、厚みが約5μmの反応防止層グリーンシートを形成した。
このようにして用意した積層グリーンシートを円形に切り抜き、1350℃で共焼成することで、燃料極支持体,燃料極層,固体電解質層および反応防止層が順に一体的に積層されたSOFCのハーフセルを得た。なお、焼成後のハーフセルの形状は、直径20mmの円形であった。
次いで、空気極材料としての例1〜9のLSCF粉末と、バインダ(EC)および分散媒(TE)とを、80:3:17の質量比で混合することで、ペースト状の空気極形成用組成物を調製した。次いで、この燃料極形成用組成物を、上記で用意したSOFCのハーフセルの反応防止層上にスクリーン印刷法によって円形シート状に供給し、乾燥させることで、空気極層グリーンシートを形成した。次いで、空気極層グリーンシートをハーフセルごと1100℃で焼成して層状の空気極を形成することで、例1〜9の評価用のSOFCを得た。なお、空気極の寸法は、直径10mm、厚み約30μmであった。また、評価用SOFCは各例で複数個ずつ用意した。
[空気極断面のCo酸化物の面積占有率]
各例の評価用SOFCを積層方向で破断することで空気極の断面を露出させた。そしてこの空気極の破断面についてEDX分析を行い、コバルト:Co,Ka1線(6930eV)を検出することでCo元素分布状況を調べた。分析には、SEM/EDX分析装置として、日本電子(株)製,JSM−6610LAを用い、SEMによる2500倍の観察領域(512×384ピクセル)について、電子線の加速電圧20kV、照射電流1.0nAとし、計数率50,000〜100,000cpsの条件でCoのKa1線を検出することでCo元素マップを得た。そして、得られたCo元素マップに基づき、EDX分析の観察視野全体に占めるCoの偏析部分の面積の割合を求め、Co酸化物の面積占有率(%)を算出した。
なお、面積占有率の算出は、観察視野の全部が空気極断面によって占められたCo元素マップ画像を画像解析することで実施した。画像解析ソフトには、日本ローパー社製のImage-Pro Plusを用いた。画像解析においては、まず、用意したCo元素マップを基に、Coの偏析部分(Co酸化物)の輪郭をとる(トレースする)ことで、Co偏析部分の面積を算出した。Co偏析部分の輪郭は、コントラスト調整をしたCo元素マップについて実施した。このコントラスト調整は、画像解析ソフトの"コントラスト最適合わせ込み"コマンド等を利用することで、自動的に実施することができる。また、二値化"Segmentation(色抽出)"コマンドを利用することで、Co偏析部分を背景(LSCF領域)から高精度に分離・抽出することができる。具体的には、例えば、二値化では、コントラスト調整をしたCo元素マップのCo検出部を白とする白黒画像に変換する。ここで、Co元素の存在を示す白色が50ピクセル以上の塊となった部分をCoが偏析した部分であると判断し、かかる白色部分が50ピクセル以上となった部分をCo偏析部分とした。2値化は自動(例えば、シェーディング補正後二値化)で実施することも可能であるが、白黒の濃淡(輝度値)に関する輝度ヒストグラムを見ながら、上記のCo偏析部分が際立つように2値化の閾値条件を設定してもよい。そして、次式:占有率=Co偏析部分の総面積/観察視野全面積=Coに対応する画素で50ピクセル以上の塊となった部分の総ピクセル数/観察視野の全ピクセル数;に基づき占有率を算出した。その結果を、下記表1の「Co酸化物の占有率」の欄に示した。
なお、参考のために、図3(A)および(B)に、例1および例4の空気極の破断面のCo元素マップをそれぞれ示した。また、図4に、図3(A)の例1のCo元素マップについてCo偏析部分を抽出した結果を示した。なお、図4では、計5カ所にCo偏析部分が認められ、各偏析部分の面積を算出し、全体に占めるCo偏析部分の総面積の割合を算出した。
[空気極のCo酸化物の含有量]
各例の評価用SOFCの空気極を微細に削り出し、得られた粉末について、放射光を用いた粉末XRD分析を行った。具体的には、SPring−8のビームラインBL19B2において、X線の入射エネルギーを31keV、波長0.4Åとし、デバイシェラーカメラおよびイメージングプレートを用いた透過法により回折データを取得した。なお、粉末サンプルは、φ0.3mmのガラスキャピラリーに封入し、常温(25℃)で測定した。露光時間は、10〜20分に設定した。
得られたXRD回折パターンから、36.5°付近にみられるCoに帰属されるピークのピーク強度ICo3O4と、32°付近にみられるLa0.60Sr0.40Co0.20Fe0.80のメインピークのピーク強度ILSCFとから、Co酸化物XRD強度比(ICo3O4/ILSCF)を算出した。その結果を、下記表1の「Co酸化物XRD強度比」の欄に示した。
[空気極のLSCFの結晶子径]
上記の「空気極のCo酸化物の含有量」の評価において得られたXRD回折パターンの32°付近にみられるLa0.60Sr0.40Co0.20Fe0.80のメインピークの半値全幅(FWHM)から、シェラーの式に基づき、LSCF相の結晶子径を算出した。その結果を、下記表1の「結晶子径」の欄に示した。
[SOFCの発電特性と劣化率]
(発電特性)
用意した各例の評価用SOFCを下記の条件で運転し、電流密度0.5A/cmにおける電圧を測定した。
燃料極供給ガス:水素ガス(50ml/min)
空気極供給ガス:空気(100ml/min)
運転温度:700℃
そして、この電圧が0.8V未満の場合の発電性能を「×」、0.8V以上0.85V未満の場合の発電性能を「○」、0.85V以上の場合の発電性能を「◎」とした。その結果を、表1の「発電性能」の欄に示した。
(劣化率)
また、各例の評価用SOFCを上記と同じ条件で、電流密度が0.5A/cmとなるように100時間運転したときの前後で電圧を測定し、下式に基づき劣化率を算出した。
劣化率(%)={(運転後電圧)−(初期電圧)}÷(初期電圧)×100
そして、この劣化率が10%以上の場合を「×」、5%以上10%未満を「○」、5%未満を「◎」とした。その結果を、表1の「劣化率」の欄に示した。なお、式中、「初期電圧」は運転前の開放電圧であり、「運転後電圧」は、100時間運転後の開放電圧である。
[空気極の接合性]
SOFCの空気極の付着性を評価するために、JIS K5600−5−6:1999(塗料一般試験方法、第5 部:塗膜の機械的性質、第6節:付着性(クロスカット法))に準じて、クロスカット試験を実施した。まず、上記SOFCの作製において、ハーフセルの切り出し寸法を約200mm×200mm、空気極の形状を約150mm×100mm,厚み約30μmとし、空気極の焼成温度を1000℃とすることで、例1〜9のクロスカット試験用のSOFCを作製した。
このクロスカット試験用SOFCの空気極に対し、空気極の端部から5mm以上離れた位置に、1mmの間隔で6本の平行なカットを入れることで、25マスの格子パターンを形成した。そして格子パターンを覆うように幅24mmの透明感圧付着テープ(付着強さ4.01N/mm)を貼り付け、テープのなす角が約60°となる方向に引き剥がしたのち、クロスカットの全面積(25マス)に占める剥がれた部分の面積割合(剥離面積率)x(%)を算出した。そして下記に示すように、空気極の剥離面積率に対応した評価記号を表1の「接合強度」の欄に示した。なお、下記の評価記号は、日本塗料検査協会の碁盤目試験の評価点数と概ね対応しており、「×」は0点に、「△」は2点に、「〇」は4〜6点に、「◎」は8〜10点に対応する。
×:65<x(クロスカットの8点以上に相当)
△:35<x≦65
○: 5<x≦35
◎: 0≦x≦5
[評価]
上記で用意した例1〜9のLSCF粉末は、XRDの結果(例えば図5参照)から、ペロブスカイト型の結晶構造を有するLSCFを主相とし、一見するとLSCFの単相からなり、明確な第2相はみられないことが確認された。
例1〜7のLSCF粉末は、製造方法および製造条件の異なる化学両論組成のLSCFの焼成体に対して、ビーズミルによりソフトな粉砕を施したものである。また、ビーズミルの大きさ等を調整することで、粉砕の際にLSCFに加わる圧力を制御している。このようなソフトな粉砕では、LSCF粉末がある所定の粒径に近づくと、それ以上粉砕が進行しなくなる。すなわち、粉砕による平均粒子径の低下が所定の粒径に収束(飽和)する。この所定の粒径は、LSCFの製造条件や粉砕条件との組み合わせ等により異なる。そして例1〜7のLSCF粉末は、この所定の粒径(実測平均粒子径(Dr)に一致)を有するものとなるよう調製されている。これに対し、例8および例9のLSCF粉末は、詳細な製造条件は不明であるものの、SOCFの空気極材料として製造および販売されているものである。
なお、例えば、例2と例4、例5と例7、例3と例9等の比較からわかるように、平均粒子径(Dr)が同じであっても、粒子の形態が異なると、理想平均粒子径(Di;比表面積から算出される球相当径)は異なることがわかる。LSCF粉末を構成する個々の粒子の形状が滑らかな表面を有し球に近づくほど、Dr/Diは1に近づくよう小さな値となる。
SEM−EDXの結果から、例えば図3(A)(B)に示すように、製造直後のSOFCの空気極には、同様の焼き付け条件により作製した場合であっても、(A)コバルト(Co)成分が偏析する場合(例えば例1)と、(B)Co成分が偏析しない場合(例えば例4)とがあることが確認された。このコバルトの偏析は、詳細なXRD分析の結果から、四酸化三コバルト(Co)の生成に起因するものであることがわかった(例えば図6参照)。また、表1に示すように、空気極における偏析したCo(つまりCo)の占有率は、用いたLSCF粉末により変動することもわかった。このことから、製造直後の空気極におけるコバルトの偏析は、LSCF粉末の調製条件(すなわち粉末の状態)により引き起こされ得るものであることがわかった。
なお、SEM−EDXにおいては、Coと同様に鉄(Fe)の分布状況についても調べたが、例1〜9のいずれのSOFCの空気極においても、Feの偏析は確認できず、また、詳細なXRD分析においてもFe含有化合物等の生成は確認できなかった。
空気極の断面におけるCoの面積占有率は、表1に示す通り、例1〜9の間でほぼ0(ゼロ)%から3.5%程度までの開きがあった。そして、Coの面積占有率が小さい方が、発電特性および劣化率が良好になる傾向があることがわかった。空気極のCoの面積占有率が概ね1%を超えるSOFCについては、100時間運転後の劣化率が10%以上と高いことが確認された。特に面積占有率が3.5%と高い例8のSOFCについては劣化率が高いことに加え、発電電圧が0.8V未満と発電性能も低かった。これに対し、Coの面積占有率が概ね1%以下のSOFCについては、100時間運転後も劣化率が10%未満に抑えられることがわかった。特に面積占有率がほぼゼロの例4のSOFCについては劣化率が5%未満と、極めて良好な耐久性を備えることが確認された。このことから、SOFC製造直後の段階で空気極のCo量を低減させておくことで、その後のSOFCの運転に伴う空気極の劣化を大きく抑制できることが確認できた。
空気極におけるCoの生成について更に検討した。図6は、図5の例1〜7のSOFCの空気極を構成する粉末のXRDパターンにおける、Coのメインピーク近傍(32°〜39°)を拡大したものである。Coの36.5°付近のメインピークは、汎用の実験室型のXRD分析装置では検出され得ない程度の微小なピークである。しかしながら、例えば軌道放射光を用いたXRD分析では、例1,2,3および5等のパターンにおいて明確に確認することができる。
このCoのメインピークは試料ごとに強度が異なる。このことから、Coのメインピークの強度(ICo3O4)とLSCFのメインピークの強度(ILSCF)との強度比(ICo3O4/ILSCF)を算出することで、空気極におけるLSCF相に対するCo相の質量比を推察した。その結果、表1の「Co酸化物XRD強度比」に示されるように、XRD強度比が小さくCo量が少ないほど、劣化率が低減される傾向があることが確認された。また、発電性能についても概ねXRD強度比が小さいほうが好ましい傾向があることがわかった。
なお、例7のSOFCについては、空気極におけるCoの面積占有率がゼロであったものの、安定した運転を行うことが不可能であった。これは、本例のSOFCの作製方法の場合では空気極の接合強度が低く、空気極と反応防止層との界面において供給ガスのリークが発生したものと考えられる。なお、例7のSOFCの作製に用いた例7のLSCF粉末は、Drが小さいことに加えて、Dr/Diが全例の中で最も小さく、粒子の表面が滑らかで形状が球形に近い。このことから、本例のSOFCの製造においては、空気極の焼成の際に粒子間に滑りが生じるなどして接合強度の低下につながったことが予想される。
なお、例7を除く例1〜6,8〜9のSOFCの劣化率に関しては、表1に示されるとおりCoの面積占有率とXRD強度比との相関性が高く、Coの物理量がSOFCの空気極劣化に及ぼす影響が大きいことがわかった。一方で、発電特性については、微細な点で、若干異なる傾向が見られた。そこで、SOFCの作製に用いたLSCF粉末の性状と発電特性との関係に着目した。
LSCF粉末の平均粒子径(Dr)は、空気極の気孔率を好適に確保できるとの観点から、0.1μm〜1μm程度が良好であり、本例では、概ねDrが大きくなるにつれて発電特性が悪くなることが確認された。特に粗大な粒子からなる例8のLSCF粉末を用いて作製したSOFCは、発電特性および劣化率のいずれも悪かった。ただし、例2と例4、例5と例7、例3と例9との間では、平均粒子径が同じLSCF粉末を用いているが、SOFCの性能には差異がもたらされている。そこでDr/Diに着目すると、Dr/Diの値には好適範囲があり、3〜4程度の範囲に近づくほど、発電性能が良好となる傾向があることがわかった。
なお、図2に示したように、Dr/Diが5.7と好適範囲外にある(A)例1のLSCF粉末と、Dr/Diが3.8と好適範囲内にある(B)例4のLSCF粉末とに関するSEM像を比較した。(A)例1のLSCF粉末は、ソフトな粉砕を行っているため、個々の粒子形状が破砕粒子ほどではないものの、比較的角張ったものが多いことがわかった。また、粒子の大きさも大きいものから小さいものまで幅広く存在する様子が確認できた。これに対し、(B)例4のLSCF粉末については、個々の粒子が比較的丸く、大きさも揃っていることが確認できた。これらの粒子は、ソフトな粉砕によって。粒子に丸みを帯びさせながらも結晶相に適した粒度への粉砕が粉末の全体に亘って均一に実現されているものと考えられる。
以上のことから、ここに開示される電極材料を用いてSOFCの空気極を形成することで、発電性能および耐久性に優れたSOFCを実現できることが確認された。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
10 SOFC(単セル)
20 空気極(カソード)
30 固体電解質
40 燃料極(アノード)
50 接続部材
60 ガス管

Claims (5)

  1. 少なくとも燃料極と固体電解質と空気極とが一体的に備えられた固体酸化物形燃料電池であって、
    前記空気極は、一般式:ABOで表され、AサイトにLaおよびSrの少なくとも一方を含み、BサイトにCoを含むペロブスカイト型酸化物からなる相を主相とし、
    前記空気極の断面におけるCo酸化物の面積占有率は1%以下であ
    前記空気極を構成する材料のXRDパターンから算出される前記ペロブスカイト型酸化物の結晶子径が24nm以上であり、
    前記空気極の気孔率は10%以上50%以下である、固体酸化物形燃料電池。
  2. 前記空気極を構成する材料の放射光を使用したXRDパターンにおいて、前記ペロブス
    カイト型酸化物のメインピーク強度Iに対する前記Co酸化物のメインピーク強度I
    の比(I/I)は0.1以下である、請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池。
  3. 前記ペロブスカイト型酸化物は、一般式:La1−xSrCo1−yFe;で
    表され、式中、0≦x≦1,y<1を満たす、請求項1または2に記載の固体酸化物形燃
    料電池。
  4. 前記固体電解質と前記空気極との間に、両者の反応を抑制する反応防止層が介在されて
    いる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池。
  5. 前記空気極を構成する材料のXRDパターンから算出される前記ペロブスカイト型酸化
    物の結晶子径が30nm以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池。
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