JP6812767B2 - 燃料電池装置 - Google Patents

燃料電池装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6812767B2
JP6812767B2 JP2016232728A JP2016232728A JP6812767B2 JP 6812767 B2 JP6812767 B2 JP 6812767B2 JP 2016232728 A JP2016232728 A JP 2016232728A JP 2016232728 A JP2016232728 A JP 2016232728A JP 6812767 B2 JP6812767 B2 JP 6812767B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fuel cell
value
warm
voltage difference
outside air
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016232728A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018092711A (ja
Inventor
将宏 河本
将宏 河本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Suzuki Motor Co Ltd
Original Assignee
Suzuki Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Suzuki Motor Co Ltd filed Critical Suzuki Motor Co Ltd
Priority to JP2016232728A priority Critical patent/JP6812767B2/ja
Publication of JP2018092711A publication Critical patent/JP2018092711A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6812767B2 publication Critical patent/JP6812767B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T90/00Enabling technologies or technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02T90/40Application of hydrogen technology to transportation, e.g. using fuel cells

Landscapes

  • Fuel Cell (AREA)
  • Electric Propulsion And Braking For Vehicles (AREA)

Description

本発明は、燃料電池モジュールの複数のセルを暖める暖機運転を実施可能とする燃料電池装置に関する。
燃料電池は、燃料電池車両、発電機等に用いられ、近年、その普及が進んでいる。一般的に、燃料電池は、複数のセルを積層した燃料電池スタックの形態にて使用される。燃料電池スタックのセルにおいては、水素及び酸素の電気化学反応によって発電を行った際に水が生成される。
しかしながら、燃料電池スタックが低温環境下で使用される場合、生成された水が凍結した状態でセルの内部に溜まる「フラッディング」が生じるおそれがある。フラッディングは、セルの電流‐電圧特性を低下させ、特に、セルにて発生する高出力電圧を低下させる。さらに、燃料電池スタックにて、フラッディング状態にあるセルとフラッディング状態でないセルとが存在する場合、複数のセルの出力電圧間にバラツキが生ずる。かかるバラツキは燃料電池スタックの性能を低下させるおそれがある。
そのため、フラッディング、それに伴う出力電圧のバラツキ等を解消することによって燃料電池スタックを安定的に発電可能とすべく、ヒータ、ブロアファン等によって燃料電池スタックを暖める暖機運転を実施し、その後、通常通り燃料電池スタックが発電を行う通常運転を実施するように構成された燃料電池装置が用いられている。例えば、特許文献1には、燃料電池スタックの複数の単セルにて検出される平均セル電圧及び最低セル電圧の差と、予め設定される第1〜第3の閾値から燃料電池装置の温度に応じて選択的に変更される1つの閾値とを比較し、かかる比較に基づいて、通常運転モードと複数の単セルを暖機する回復運転モードとを切り換えるように構成された燃料電池装置が開示されている。
特開2007−172843号公報
典型的に、燃料電池スタックには蓄電池等の蓄電装置が電気的に接続され、暖機運転状態にて蓄電装置がほぼ満充電になると、燃料電池スタックの出力電流を低下させることがあり、その結果として、セルの出力電圧が上昇することがある。この場合、上述の燃料電池装置においては、平均セル電圧及び最低セル電圧間の差もまた変化する。その一方で、閾値が第1〜第3の閾値から燃料電池装置の温度に応じて選択的に変更されるので、蓄電装置の充電状態、燃料電池装置の温度変化等に起因して、平均セル電圧及び最低セル電圧の差と閾値との関係が適切でなくなるおそれがある。そのため、燃料電池スタックが安定的に発電可能になったにも関わらず暖機運転が継続されるおそれがあり、また、燃料電池スタックが安定的に発電可能になる前に暖機運転が終了するおそれがある。すなわち、暖機運転を適切に実施できないおそれがある。
本発明は、このような実情に鑑みて成されたものであり、その目的は、暖機運転を効率化することができる燃料電池装置を提供することにある。
課題を解決するために、本発明の一態様に係る燃料電池装置によれば、水素及び酸素の電気化学反応によって発電を行うように構成された複数のセルを有する燃料電池モジュールと、前記複数のセルにて発生する電圧それぞれを検出するように構成された電圧検出部と、前記燃料電池モジュールから出力される電流を検出するように構成された電流検出部と、外気温度を検出するように構成された外気温検出部とを備え、前記複数のセルを暖める暖機運転と、前記暖機運転を停止した状態で前記発電を行う通常運転とをそれぞれ実施可能に構成される燃料電池装置であって、前記燃料電池装置の起動後に、前記外気温検出部により検出された外気温度の値が外気温閾値以下である場合に、前記暖機運転が実施され、その一方で、前記燃料電池装置の起動後に前記外気温度の値が前記外気温閾値よりも大きい場合に、前記暖機運転を経ずに前記通常運転が実施されるように構成されており、前記燃料電池装置の起動後に前記暖機運転が実施されている状態で、前記電圧検出部により検出される前記複数のセルの電圧における最大値及び最小値間の差が、前記電流検出部により検出される電流の値に応じて変化する基本値に基づく電圧差閾値以下となった場合に、前記暖機運転から前記通常運転に切り換わるように構成されている。
本発明の一態様に係る燃料電池装置によれば、暖機運転を効率化することができる。
本発明の実施形態における燃料電池装置を有する燃料電池車両を模式的に示す構成図である。 本発明の実施形態において燃料電池スタックの作動原理を説明するためにそのセルを模式的に示す断面図である。 本発明の実施形態係る燃料電池装置の電流‐電圧特性がフラッディングによって変化することを示すグラフである。 本発明の実施形態においてバッテリ電流と電圧差閾値との関係を示すマップである。 本発明の実施形態においてバッテリ電流と電圧差閾値の補正値との関係を示すマップである。 本発明の実施形態に係る燃料電池装置において暖機運転と通常運転とを切り換える方法を説明するためのフローチャートである。 本発明の実施例において燃料電池装置の稼働時間とバッテリ電流及びセル電圧のそれぞれとの関係を示すグラフである。
本発明の実施形態に係る燃料電池装置を有する燃料電池車両について以下に説明する。なお、本実施形態に係る燃料電池装置は燃料電池車両に設けられている。しかしながら、本発明はこれに限定されず、燃料電池装置は、本発明の課題を解決可能であれば、燃料電池車両以外の燃料電池式稼働システムに設けられてもよく、例えば、燃料電池装置は、発電機等に設けられてもよい。
また、本実施形態に係る燃料電池装置は固体高分子型燃料電池(PEFC、Polymer Electrolyte Fuel Cell)に関するものとなっている。しかしながら、本発明はこれに限定されず、燃料電池装置は、本発明の課題を解決可能であれば、固体高分子形燃料電池以外の燃料電池に関するものであってもよく、例えば、燃料電池装置は、りん酸型燃料電池(PAFC、Phosphoric Acid Fuel Cell)、溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC、Molten Carbonate Fuel Cell)、固体酸化物形燃料電池(SOFC、Solid Oxide Fuel Cell)、アルカリ電解質型燃料電池(AFC、Alkaline Fuel Cell)、直接型燃料電池(DFC、Direct Fuel Cell)等に関するものであってもよい。
[燃料電池車両について]
最初に、図1を参照して燃料電池車両(以下、必要に応じて、単に「車両」という)について説明する。車両は、発電可能に構成されると共に直流電流を出力可能に構成される燃料電池装置1を備えている。車両はまた、燃料電池装置1からの直流電流を調整可能に構成されるDC/DCコンバータ2と、このDC/DCコンバータ2からの電気を蓄えることができるように構成される蓄電装置3とを備えている。さらに、車両は、DC/DCコンバータ2又は蓄電装置3からの直流電流を交流電流に変換可能に構成されるインバータ4と、このインバータ4からの交流の電気によって駆動可能に構成されるモータ5とを備えている。すなわち、モータ5は交流モータとなっている。
車両において、燃料電池装置1は、安定した通常運転を実施可能とするための予備的な作業として、後述する燃料電池スタック21の複数のセル22を暖める暖機運転を適切に実施可能とするようになっている。なお、本発明において、「暖機」という用語は、複数のセル22に対する意図的な加熱及び送風の少なくとも一方によって行われるものとして定義し、「暖機運転」という用語は、「暖機」を行う運転として定義し、「通常運転」という用語は、「暖機運転」を停止した状態で通常の発電等を行うように燃料電池装置1を稼働する運転として定義する。特に、車両は、暖機運転状態にて走行できなくなり、かつ通常運転状態にて走行できるようになるとよい。さらに、燃料電池装置1の自己発熱によってさらに暖機できること、暖機運転が終了すると共に通常運転が開始した直後に車両を走行可能となること等を考慮すると、暖機運転においては、暖機と一緒に発電が行われるとよい。
また、DC/DCコンバータ2は、燃料電池装置1からモータ5に送られる電流を制御可能とするように構成されている。蓄電装置3は二次電池(図示せず)を有していて、燃料電池装置1から供給される電気が二次電池に蓄電できるようになっている。蓄電装置3は、単独でモータ5に電気を供給可能とするように構成されるとよく、また、蓄電装置3は、燃料電池装置1と一緒にモータ5に電気を供給可能とするように構成されてもよい。モータ5は、車両の走行輪(図示せず)を駆動可能とするために用いられるとよい。
車両にて、燃料電池装置1、特に、その燃料電池スタック21の複数のセル22は、第1の接続ライン6aを介してDC/DCコンバータ2と電気的に接続され、DC/DCコンバータ2は、第2の接続ライン6bを介してインバータ4と電気的に接続され、インバータ4は、第3の接続ライン6cを介してモータ5と電気的に接続されている。さらに、第2の接続ライン6bは、蓄電用接続ライン7を介して蓄電装置3と電気的に接続されている。第1〜第3の接続ライン6a〜6cは、燃料電池装置1の燃料電池スタック21と、それに対する負荷となるモータ5とを接続する負荷接続回路6となっている。なお、特に図示はしないが、第1〜第3の接続ライン6a〜6c及び蓄電用接続ライン7のそれぞれは、少なくとも1組の高電位側及び低電位側ハードワイヤ、回路パターン等の有線接続手段を含んでいるとよい。
しかしながら、本発明はこれに限定されず、特に、燃料電池式稼働システムが燃料電池車両以外である場合、かかるシステムが、交流モータの代わりに、直流モータ等のようなその他の電気機器を有していてもよい。また、燃料電池式稼働システムが発電機である場合には、発電機が、燃料電池装置から供給される電気を直流又は交流の状態で発電機の外部に送るように構成されるとよい。
[燃料電池装置について]
図1を参照して、燃料電池装置1について具体的に説明する。燃料電池装置1は、燃料電池ユニット11と、この燃料電池ユニット11を制御可能に構成されるバッテリコントローラ12と、車両外部の外気温度を検出可能に構成される外気温センサ13とを備えている。バッテリコントローラ12は、燃料電池装置1における暖機運転を制御可能に構成され、バッテリコントローラ12が、本発明の制御ユニットとして構成されている。外気温センサ13は、本発明の外気温検出部として構成されている。
[燃料電池ユニットの詳細について]
燃料電池ユニット11の詳細について説明する。燃料電池ユニット11は、複数のセル22を有する燃料電池スタック21を含んでいる。燃料電池スタック21は、本発明の燃料電池モジュールとして構成されている。しかしながら、本発明はこれに限定されず、本発明の燃料電池モジュールにて、複数のセルが積層されずに配置されてもよい。
燃料電池ユニット11はまた、燃料電池スタック21の複数のセル22を加熱可能に構成されるヒータ23と、複数のセル22に対して送風可能に構成されたファン24とを有している。ヒータ23及びファン24のそれぞれは、燃料電池スタック21と電気的に接続され、ヒータ23及びファン24は、燃料電池スタック21から電気を供給される。そのため、暖機運転にて、ヒータ23及びファン24によって暖機が行われる際には、燃料電池スタック21による発電が行われるとよい。これらのヒータ23及びファン24が、複数のセル22を暖機可能に構成される暖機部として構成されている。しかしながら、本発明はこれに限定されず、暖機部は、ヒータ及びファンの一方、特に、ヒータのみを有していてもよい。また、ヒータ及びファンの少なくとも一方が蓄電装置と電気的に接続されてもよい。
燃料電池ユニット11は、複数のセル22にて発生する電圧(以下、「セル電圧」という)それぞれを検出するように構成された複数の電圧センサ25を有している。複数の電圧センサ25は、複数のセル22に対応するように設けられている。複数の電圧センサ25はまた、それぞれ、複数のセル22と電気的に接続されている。これら複数の電圧センサ25が、本発明の電圧検出部として構成されている。しかしながら、本発明はこれに限定されず、電圧検出部が、複数の電圧センサ以外であってもよく、例えば、1つ又は複数の電圧検出回路であってもよい。
燃料電池ユニット11は、燃料電池スタック21から出力される電流(以下、「バッテリ電流」という)を燃料電池装置1及びDC/DCコンバータ2間にて検出するように構成された電流センサ26をさらに有している。電流センサ26は、DC/DCコンバータ2及び燃料電池スタック21間の第1の接続ライン6aと電気的に接続されている。しかしながら、本発明はこれに限定されず、電流検出部が、電流センサ以外であってもよく、例えば、電流検出回路であってもよい。
[燃料電池スタックの詳細について]
燃料電池スタック21の詳細について説明する。図1に示すように、燃料電池スタック21の各セル22は、水素及び酸素の電気化学反応によって発電を行うように構成され、電気化学反応する水素及び酸素は、それぞれ、各セル22に供給される燃料ガス及び空気から得られるようになっている。なお、燃料電池スタック21は、2つ以上のセル22を有するとよく、さらには、3つ以上のセル22を有するとより好ましい。燃料電池式稼働システム、特に、車両にて十分な発電性能を得ることを考慮すると、燃料電池スタック21が、数十枚〜数百個のセル22を有するとさらに好ましい。これら複数のセル22は直列に接続されると好ましい。複数のセル22はまた、燃料電池スタック21内で積層されている。複数のセル22により生成された電気は、燃料電池スタック21からその外部に送られる。
図2に示すように、固体高分子型燃料電池に関する燃料電池装置1にて、燃料電池スタック21のセル22は、燃料ガスから得られる水素を供給可能に構成されるアノード極31と、空気から得られる酸素を供給可能に構成されるカソード極32とを有している。アノード極31及びカソード極32は、互いに間隔を空けた状態で対向するように配置されている。
セル22はまた、アノード極31及びカソード極32間にて、それぞれアノード極31及びカソード極32に積層されるアノード側拡散層33及びカソード側拡散層34と、アノード側拡散層33及びカソード側拡散層34間にて、それぞれアノード側拡散層33及びカソード側拡散層34に積層されるアノード側触媒層35及びカソード側触媒層36と、アノード側触媒層35及びカソード側触媒層36間に挟まれる電解質層37とを有している。アノード側及びカソード側触媒層35,36のそれぞれは、水素及び酸素の電気化学反応を活性化するように構成されている。電解質層37は、水素イオンを選択的に透過可能とするように構成されている。
さらに、各セル22のアノード極31及びカソード極32が、負荷接続回路6を介してモータ5と電気的に接続され、モータ5は、燃料電池スタック21に対する負荷となっている。なお、図2にて、負荷接続回路6は簡略的に示され、例えば、負荷接続回路6は1本の高電位側の線と1本の低電位側の線とによって簡略的に示され、負荷接続回路6に接続されるDC/DCコンバータ2、蓄電装置3、及びインバータ4は省略されている。
このようなセル22を有する燃料電池スタック21の作動原理は次のようになっている。すなわち、アノード極31の水素分子が、アノード側拡散層33を通ってアノード側触媒層35に送られ、その後、アノード側触媒層35にて、かかる水素分子が活性な水素原子となり、さらに、水素原子が水素イオンとなり、その結果、電子が放出される。このような反応は、下記(式1)によって表すことができる。
→ 2H + 2e (式1)
また、アノード側触媒層35の水素イオンは、電解質膜37を通ってカソード極32側に移動する。かかる水素イオンは、電解質膜37を通る際に、電解質膜37に含まれる水分と一緒に移動する。アノード側触媒層35の電子は、アノード側拡散層33及びアノード極31を通って負荷接続回路6に送られて、その後、負荷接続回路6を通ってカソード極32に移動する。さらに、カソード極32の電子は、カソード側拡散層34を通ってカソード側触媒層36に移動する。かかる電子の移動によって、モータ5に電気が流れることとなる。
その一方で、カソード極32の酸素分子は、カソード側拡散層34を通ってカソード側触媒層36に送られ、その後、カソード側触媒層36にて上述の電子を受け取り、これによって、酸素イオンが生成される。さらに、酸素イオンは、カソード側触媒層36にて上述の水素イオンと結合し、これによって、水が生成される。このような反応は、下記(式2)によって表すことができる。
(1/2)O + 2H 2e → HO (式2)
カソード側触媒層36にて生成された水の一部はまた、濃度拡散によって電解質膜37を通ってアノード極31側に移動する。水は、セル22を通過する水素又は空気と一緒にセル22の外部に放出される。
さらに、燃料電池スタック21は、次のような発電性能を有する。すなわち、燃料電池スタック21の発電性能はセル22内の水分量に依存する。具体的には、セル22に供給される燃料ガス、空気等のガスの相対湿度が低く、セル22が乾燥した場合、セル22におけるイオン電導性能が低下し、その結果、燃料電池スタック21の発電性能が低下する。その一方で、燃料電池スタック21が氷点下の環境に置かれて、セル22内の水が凍った場合、セル22における排水性能が低下し、セル22内に水が溜まる。すなわち、フラッディングが発生する。フラッディング状態のセル22においては、凍った水等によってガスの拡散が阻害され、その結果、燃料電池スタック21の発電性能が低下する。フラッディングは、燃料電池スタック21が稼働した状態においては進行しないが、燃料電池スタック21の稼働が停止し、かつ外気温度が0℃以下、場合によっては、5℃以下である状態にて進行する。
燃料電池スタック21の発電性能が低下した場合、セル電圧が極度に低下し、さらには、セル22が劣化するおそれがあり、ひいては、セル22が破損するおそれがある。セル22の劣化及び破損を防止するためには、バッテリ電流の制限によってセル電圧が極度に下がることを防ぐ必要がある。この場合、燃料電池スタック21の発電性能を十分に発揮できなくなる。
さらに、燃料電池スタック21におけるバッテリ電流及びセル電圧の関係に基づく特性(以下、「電流‐電圧特性」という)は、図3を参照すると次のようになっている。なお、図3にて、横軸Iはバッテリ電流の検出値i(A、アンペア)を示し、縦軸Vはセル電圧の検出値v(V、ボルト)を示し、実線L1は、フラッディングが発生していない状態の第1の電流‐電圧特性を示し、一点鎖線L2、二点鎖線L3、及び破線L4は、それぞれ、フラッディングが発生した状態の第2〜第4の電流‐電圧特性を示す。また、図3にて、フラッディングの程度は、第1の電流‐電圧特性、第2の電流‐電圧特性、第3の電流‐電圧特性、第4の電流‐電圧特性の順に悪くなっていることが示されている。
第1〜第4の電流‐電圧特性において、バッテリ電流が低い状態では、水素分子及び酸素分子がそれぞれセル22のアノード側及びカソード側触媒層35,36の反応によってイオン化するので、活性化損失が支配的に寄与し、その結果、セル電圧が低下する。バッテリ電流が高い状態では、水素及び酸素をそれぞれアノード極31及びカソード極32に供給する速度が律速されるので、セル電圧が低下する。さらに、水素イオンが電解質膜37中を移動するときの抵抗に起因してオーム損失が生じる。そのため、第1〜第4の電流‐電圧特性においては、共通して、バッテリ電流が増加するに従ってセル電圧が低下する。
セル22にフラッディングが発生した状態では、アノード側及びカソード側触媒層35,36へのガスの供給が阻害されるので、第1〜第4の電流‐電圧特性において、特に、バッテリ電流が高い状態では、フラッディングの程度が悪くなるに従ってセル電圧の低下が進行する。そのため、本実施形態に係る燃料電池装置1においては、電流‐電圧特性に基づいてフラッディングの程度を推測することができる。
[バッテリコントローラの詳細について]
次に、バッテリコントローラ12の詳細について説明する。バッテリコントローラ12は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の電子部品、かかる電子部品等を配置した電気回路等を含むコンピュータユニットであるとよい。バッテリコントローラ12はまた、そのRAM等を用いて情報を記憶可能であるとよい。
図1に示すように、バッテリコントローラ12は、複数の電圧センサ25により検出される複数のセル電圧の検出値vにおける最大値及び最小値間の差(以下、「セル電圧差」という)Δv(V、ボルト)を算出するように構成される電圧差算出部41を有している。電圧差算出部41は、燃料電池ユニット11の複数の電圧センサ25と電気的に接続されている。セル電圧差Δvは、バッテリコントローラ12にて記憶可能であるとよい。
バッテリコントローラ12は、外気温センサ13により検出される外気温度の検出値D(℃)が外気温閾値E(℃)以上であるか否かを判定する外気温判定部42を有している。外気温判定部42は、外気温センサ13と電気的に接続されている。外気温判定部42の判定に用いられる外気温閾値Eは、セル22における水の凍結の発生を防止するような温度の値に定められるとよい。例えば、水の凍結の発生を確実に防ぐためのマージンを考慮すれば、外気温閾値Eは約0℃以上かつ約5℃以下の範囲にあるとよく、特に、外気温閾値Eは約5℃であると好ましい。外気温度の検出値Dは、バッテリコントローラ12にて記憶可能であるとよい。また、外気温閾値Eは、バッテリコントローラ12に予め埋め込まれた情報であるとよい。
バッテリコントローラ12はまた、暖機運転及び通常運転を切り換えるための判定基準である電圧差閾値A(i)(V、ボルト)を算出するように構成される電圧差閾値算出部43を有している。電圧差閾値算出部43は、燃料電池ユニット11の電流センサ26と電気的に接続されている。電圧差閾値算出部43は、信号等の情報、特に、セル電圧差Δvの情報を電圧差算出部41から受け取る。さらに、電圧差閾値算出部43は、信号等の情報、特に、外気温度の検出値Dが外気温閾値E以上であるか否かの情報を外気温判定部42から受け取る。
詳細は後述するが、電圧差閾値算出部43により算出される電圧差閾値A(i)は、電流センサ26により検出されるバッテリ電流の検出値iに応じて変化する基本値B(i)(V、ボルト)及び補正値C(i)(V、ボルト)を用いて算出される。基本値B(i)及び補正値C(i)もまた、電圧差閾値算出部43によって算出される。特に、補正値C(i)は、後述するように外気温度の検出値Dが外気温閾値E以上であるか、又はセル電圧差Δvが電圧差閾値A(i)以下である場合、すなわち、通常運転が行われている場合に検出されるセル電圧差Δv、バッテリ電流の検出値i等に基づいて算出されるとよい。
電圧差閾値算出部43はまた、電圧差閾値A(i)、基本値B(i)、及び補正値C(i)を記憶可能であるとよく、特に、電圧差閾値算出部43は、通常運転状態で算出される補正値C(i)を記憶可能であるとよい。かかる電圧差閾値算出部43においては、暖機運転中に電圧差閾値A(i)を算出する際に、この暖機運転中に算出される基本値B(i)と、暖機運転より前の通常運転中に算出かつ記憶された補正値C(i)とが用いられるとよい。なお、暖機運転前に通常運転が一回も行われていない場合には、補正値C(i)が予め設定された値、例えば、ゼロ等になっているか、又は電圧差閾値A(i)が基本値B(i)になっていると好ましい。
バッテリコントローラ12は、暖機運転及び通常運転のいずれを実施するか判定するように構成される運転切換判定部44を有している。運転切換判定部44は、信号等の情報、特に、セル電圧差Δvの情報を電圧差算出部41から受け取る。運転切換判定部44はまた、信号等の情報、特に、外気温度の検出値Dが外気温閾値E以上であるか否かの情報を外気温判定部42から受け取る。さらに、運転切換判定部44は、信号等の情報、特に、電圧差閾値A(i)の情報を電圧差閾値算出部43から受け取る。
燃料電池装置1の起動後、特に、起動直後において、運転切換判定部44は、外気温度の検出値Dが外気温閾値Eよりも小さい場合には、暖機運転が必要であると判定し、その一方で、外気温度の検出値Dが外気温閾値E以上である場合には、暖機運転をせずに通常運転が行われるべきであると判定する。さらに、暖機運転が実施されている状態において、運転切換判定部44は、セル電圧差Δvが電圧差閾値A(i)よりも大きい場合には、暖機運転を継続すべきと判定し、かつセル電圧差Δvが電圧差閾値A(i)以下である場合には、暖機運転を停止し、かつ通常運転を実施すべきであると判定する。暖機運転及び通常運転のいずれを実施するか判定した情報は、バッテリコントローラ12にて記憶可能であるとよい。
バッテリコントローラ12は、暖機運転及び通常運転のいずれかを実施するように指示する運転切換指示部45を有している。運転切換指示部45は、信号等の情報、特に、暖機運転及び通常運転のいずれを実施するか判定した情報を運転切換判定部44から受け取る。このように受け取った情報に基づいて、運転切換指示部45は、暖機運転状態ではヒータ23及びファン24を稼働するように制御し、かつ通常運転状態ではヒータ23及びファン24を停止するように制御する。
運転切換指示部45は、燃料電池ユニット11の燃料電池スタック21と電気的に接続されている。運転切換指示部45は、燃料電池スタック21を介して燃料電池ユニット11のヒータ23及びファン24と電気的に接続されている。運転切換指示部45は、燃料電池スタック21からヒータ23及びファン24への電気の供給した状態とかかる供給を遮断した状態とを変更可能に構成されている。しかしながら、本発明はこれに限定されず、ヒータ及びファンが、蓄電装置と電気的に接続される場合、運転切換指示部が、蓄電装置を介してヒータ及びファンと電気的に接続され、ヒータ及びファンは蓄電装置から電気を供給され、運転切換指示部は、蓄電装置からヒータ及びファンへの電気の供給した状態とかかる供給を遮断した状態とを変更可能に構成されてもよい。
さらに、バッテリコントローラ12は、燃料電池装置1及びDC/DCコンバータ2間のバッテリ電流を調節可能に構成される電流調節部46を有している。電流調節部46は、DC/DCコンバータ2と電気的に接続されている。電流調節部46は、蓄電装置3の充電空き容量に応じてバッテリ電流を調節できるようになっている。
電流調節部46は、蓄電装置3が満充電である状態(以下、「満充電状態」という)と蓄電装置3が充電中である状態(以下、「充電途中状態」という)とでバッテリ電流を切り換えることができる。この場合、充電途中状態では、燃料電池装置1からDC/DCコンバータ2を介して蓄電装置3及びモータ5の両方に電気を供給し、かつ満充電状態では、燃料電池装置1からDC/DCコンバータ2を介してモータ5に電気を供給する一方で、蓄電装置3への電気の供給を制限するという使用態様を考慮すると、電流調節部46により指示される満充電状態のバッテリ電流の指示値は、電流調節部46により指示される充電途中状態のバッテリ電流の指示値よりも小さくなっているとよい。また、満充電状態及び充電途中状態のバッテリ電流の指示値それぞれは実質的に一定であると好ましい。しかしながら、本発明はこれに限定されず、電流調節部は、蓄電装置の充電空き容量が減少するに従ってバッテリ電流の指示値が減少するようになっていてもよい。
バッテリコントローラ12にて、電圧差算出部41、外気温判定部42、電圧差閾値算出部43、運転切換判定部44、運転切換指示部45、及び電流調節部46は、CPU等に格納されたプログラム、又はCPU、RAM、ROM、フラッシュメモリ等の電気部品を配置した電気回路の一部によって構成されるとよい。また、構成要素間にて授受される情報は、バッテリコントローラ12に一旦記憶されたものであってもよい。
しかしながら、本発明のバッテリコントローラ12及びその構成要素は上述の構成に限定されない。例えば、電圧差算出部、電圧差閾値算出部、運転切換判定部、外気温判定部、運転切換指示部、及び電流調節部のうち少なくとも1つが、バッテリコントローラとは別のコントローラに設けられていてもよい。
[電圧差閾値について]
ここで、電圧差閾値A(i)の詳細について説明する。電圧差閾値A(i)は基本値B(i)と補正値C(i)との和になっている。このような電圧差閾値A(i)、基本値B(i)、及び補正値C(i)の関係は、下記(式3)により表すことができる。
A(i) = B(i)+C(i) (式3)
バッテリ電流の検出値iと基本値B(i)との関係については、図4のマップにて実線Mにより示すように、バッテリ電流の検出値iが増加するに従って基本値B(i)が増加するとよい。特に、実線Mは、基本値B(i)が減少する方向に向かって膨らむ略放物線であるとよい。図4に示されるバッテリ電流の検出値iと基本値B(i)との関係は、バッテリコントローラ12に予め埋め込まれた情報であるとよく、かかる関係はまた、シミュレーション、実験等に基づいて予め定められると好ましい。なお、図4においては、横軸Iはバッテリ電流の検出値i(A、アンペア)を示し、縦軸Bは基本値B(i)(V、ボルト)を示す。
電流調節部46が満充電状態と充電途中状態とでバッテリ電流を切り換える場合、かかる関係に基づいて、基本値B(i)は、満充電状態のバッテリ電流の検出値i1(A、アンペア)に対応する満充電状態の基本値B(i1)(V、ボルト)と、充電途中状態のバッテリ電流の検出値i2(A、アンペア)に対応する充電途中状態の基本値B(i2)(V、ボルト)とに切り換えられる。なお、満充電状態のバッテリ電流の検出値i1は充電途中状態のバッテリ電流の検出値i2よりも小さくなっており、満充電状態の基本値B(i1)は充電途中状態の基本値B(i2)よりも小さくなっている。
また、バッテリ電流の検出値iと補正値C(i)との関係については、図5にて実線Nにより示すように、バッテリ電流の検出値iが増加するに従って補正値C(i)が増加するとよい。特に、実線Nは実質的に直線であるとよい。なお、図5においては、横軸Iはバッテリ電流の検出値i(A、アンペア)を示し、縦軸Cは補正値C(i)(V、ボルト)を示す。上述のように、補正値C(i)は、外気温度の検出値Dが外気温閾値E以上である場合に通常運転が行われる状態で直近に検出されたバッテリ電流の検出値i及びセル電圧差Δvの関係に基づいて定められ、さらに、補正値C(i)は、通常運転状態にて常時監視されると好ましい。フラッディング以外の要因によるセル電圧差Δvの増加を勘案することができる。特に、補正値C(i)はまた随時更新されると好ましい。
電流調節部46が満充電状態と充電途中状態とでバッテリ電流を切り換える場合、かかる関係に基づいて、補正値C(i)は、満充電状態のバッテリ電流の検出値i1に対応する満充電状態の補正値C(i1)(V、ボルト)と、充電途中状態のバッテリ電流の検出値i2に対応する充電途中状態の補正値C(i2)(V、ボルト)とに切り換えられる。なお、満充電状態の補正値C(i1)は充電途中状態の補正値C(i2)よりも小さくなっている。
[暖機運転と通常運転との切換制御方法について]
本実施形態に係る燃料電池装置1における暖機運転と通常運転との切換制御方法について説明する。図6に示すように、停止状態の燃料電池装置1を起動する(ステップS10)。燃料電池装置1の起動後、特に、起動直後に、外気温判定部42にて、外気温センサ13により検出される外気温度の検出値Dが外気温閾値E以上であるか否かを判定する(ステップS20)。
外気温度の検出値Dが外気温閾値Eよりも小さい場合(NO)、暖機運転を開始する(ステップS30)。具体的には、運転切換指示部45が、ヒータ23及びファン24の少なくとも一方を稼働するように制御する。その一方で、外気温度の検出値Dが外気温閾値E以上である場合(YES)、通常運転を開始する(ステップS40)。
ここで、暖機運転が開始された場合(ステップS30)、電流センサ26によってバッテリ電流の検出値iを検出する(ステップS31)。なお、バッテリ電流の検出値iは、電流調節部46を用いてDC/DCコンバータ2を制御することによって、蓄電装置3の充電状態に応じて変化するとよい。さらに、電圧差算出部41にて、複数の電圧センサ25により検出される複数のセル電圧の検出値vに基づいてセル電圧差Δvを算出する(ステップS32)。電圧差閾値算出部43にて、バッテリ電流の検出値iに応じて変化する基本値B(i)及び補正値C(i)の和である電圧差閾値A(i)を算出する(ステップS33)。なお、暖機運転の前に通常運転が既に実施されている場合には、補正値C(i)は、通常運転中に算出かつ記憶された値となっており、その一方で、暖機運転の前に通常運転が1回も実施されていない場合には、補正値C(i)は、予め設定された値、例えば、ゼロ等になっているか、又は電圧差閾値A(i)が基本値B(i)になっているとよい。
次に、運転切換判定部44にて、電圧差算出部41から得られたセル電圧差Δvが電圧差閾値A(i)以下であるか否かを判定する(ステップS34)。セル電圧差Δvが電圧差閾値A(i)よりも大きい場合(NO)、暖機運転を継続して、電流センサ26によってバッテリ電流の検出値iを検出する作業(ステップS31)に戻る。その一方で、セル電圧差Δvが電圧差閾値A(i)以下である場合(YES)、暖機運転を終了する(ステップS35)。具体的には、運転切換指示部45が、ヒータ23及びファン24を停止するように制御する。その後、通常運転を開始する(ステップS40)。すなわち、暖機運転から通常運転に切り換わる。
通常運転が開始された場合(ステップS40)、電流センサ26によってバッテリ電流の検出値iを検出する(ステップS41)。なお、バッテリ電流の検出値iは、電流調節部46を用いてDC/DCコンバータ2を制御することによって、蓄電装置3の充電状態に応じて変化するとよい。さらに、電圧差算出部41にて、複数の電圧センサ25により検出される複数のセル電圧の検出値vに基づいてセル電圧差Δvを算出する(ステップS42)。電圧差閾値算出部43にて、これらバッテリ電流の検出値i及びセル電圧差Δvに基づいて補正値C(i)を算出し、かつかかる補正値C(i)を記憶する(ステップS43)。なお、電圧差閾値算出部43においては、直近の補正値C(i)が随時更新されるとよい。
燃料電池装置1が停止する(ステップS50)。燃料電池装置1が停止した場合においても、電圧差閾値算出部43は補正値C(i)を記憶した状態を維持可能である。燃料電池装置1が再び起動し、かつ暖機運転が開始された場合に、このように記憶された補正値C(i)は用いられることとなる。
以上、本実施形態に係る燃料電池装置1によれば、暖機運転を実施するか否かを判定する電圧差閾値A(i)が、バッテリ電流の検出値iに応じて変化する基本値B(i)を用いて算出されるので、バッテリ電流が、燃料電池装置1とその負荷であるモータ5との間における通電状態(以下、「負荷通電状態」という)に応じて変化する場合であっても、セル電圧差Δvと電圧差閾値A(i)との関係を適切にすることができる。特に、蓄電装置3を接続した燃料電池装置1において、暖機運転状態にて蓄電装置3がほぼ満充電になり、これによって、負荷通電状態に応じてバッテリ電流が変化する場合であっても、セル電圧差Δvと電圧差閾値A(i)との関係を適切にすることができる。よって、暖機運転を効率化することができる。
さらに、本実施形態に係る燃料電池装置1によれば、電圧差閾値A(i)を算出するために用いられる基本値B(i)が、バッテリ電流の検出値iが増加するに従って増加するように変化するので、負荷通電状態に応じてバッテリ電流の検出値iの変化する場合であっても、セル電圧差Δvと電圧差閾値A(i)との関係をさらに適切にすることができる。
本実施形態に係る燃料電池装置1によれば、燃料電池装置1の起動後に外気温度の検出値Dが外気温閾値E以下である場合に、暖機運転が実施され、その一方で、燃料電池装置1の起動後に外気温度の検出値Dが外気温閾値Eよりも大きい場合に、暖機運転を経ずに通常運転が実施される。そのため、フラッディングが発生し得る条件にて適切に暖機運転が実施され、かつフラッディングが発生し難い条件にて不必要に暖機運転が実施されることを防止できる。
本実施形態に係る燃料電池装置1によれば、電圧差閾値A(i)が基本値B(i)と補正値C(i)との和になっており、通常運転が実施されている状態で、燃料電池装置1の次の起動後に暖機運転が実施されている状態で用いるための補正値C(i)が算出される。そのため、補正値C(i)が、フラッディング以外の要因、例えば、セル22の経年劣化等に起因する変化を考慮した値として算出されるので、暖機運転状態では、このような補正値C(i)を用いて、燃料電池装置1の状態に応じて電圧差閾値A(i)を適切に補正することができる。そのため、セル電圧差Δvと電圧差閾値A(i)との関係をさらに適切にすることができる。
ここまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明は、その技術的思想に基づいて変形及び変更可能である。
本発明の実施例について以下に説明する。本実施例においては、上述した実施形態と同様の燃料電池装置1を有する車両と燃料電池装置1の暖機運転及び通常運転の切換制御方法とを用いた。
また、本実施例において、外気温度の検出値Dは外気温閾値Eよりも小さくなっており、電圧差閾値A(i)は基本値B(i)及び補正値C(i)の和になっている。図4に示すように、満充電状態では電流センサ26によりバッテリ電流の検出値i1が検出され、充電途中状態では電流センサ26によりバッテリ電流の検出値i2が検出され、満充電状態のバッテリ電流の検出値i1は充電途中状態のバッテリ電流の検出値i2よりも小さいものとした。また、満充電状態の基本値B(i1)は充電途中状態の基本値B(i2)よりも小さくなっており、かつ満充電状態の補正値C(i1)は充電途中状態の補正値C(i2)よりも小さくなっている。この場合、満充電状態の電圧差閾値A(i1)は充電途中状態の電圧差閾値A(i2)よりも小さくなる。
本実施例によれば、図7に示すように、燃料電池装置1の起動からの経過時間(以下、「稼働時間」という)t(sec、秒)と、バッテリ電流i、セル電圧差Δv、及び電圧差閾値A(i)との関係を得ることができた。なお、図7においては、横軸Tが稼働時間t(sec)を示し、紙面右側の縦軸I’がバッテリ電流i(A、アンペア)を示し、紙面左側の縦軸ΔV’が、セル電圧差Δv及び電圧差閾値A(i)(V、ボルト)を示す。また、実線PΔvが、稼働時間tとセル電圧差Δvとの関係を示し、一点鎖線QA(i)が、稼働時間tと電圧差閾値A(i)との関係を示し、二点鎖線Rが、稼働時間tとバッテリ電流iとの関係を示す。
本実施例においては、燃料電池装置1の稼働時間tがt1(sec)になったときに、蓄電装置3が満充電になり、燃料電池装置1の稼働時間tがt2(sec)になったときに、セル電圧差Δvが電圧差閾値A(i1)以下となり、暖機運転が通常運転に切り換えられた。さらに、満充電となった稼働時間t1にて、充電途中状態のバッテリ電流の検出値i2が満充電状態のバッテリ電流の検出値i1に変更されると、セル電圧差Δvは急激に低下した。
かかる関係によれば、仮に、充電途中状態の電圧差閾値A(i2)が維持されたとすると、満充電となる稼働時間t1にて、燃料電池スタック21の各セル22のフラッディングが解消されない状態で、セル電圧差Δvが電圧差閾値A(i2)以下となり、その結果、暖機運転が不適切に終了し、かつ通常運転が不適切に開始されるおそれがある。この場合、燃料電池スタック21の発電性能が十分に発揮できないおそれがある。
これに対して、本実施例によれば、満充電となる稼働時間t1にて、バッテリ電流の変化に伴うセル電圧差Δvの変化に対応して充電途中状態の電圧差閾値A(i2)が満充電状態の電圧差閾値A(i1)に変更され、その結果、満充電となった稼働時間t1の経過後、セル電圧差Δvが電圧差閾値A(i1)以下となった稼働時間t2にて、燃料電池スタック21の各セル22のフラッディングが解消された状態で、暖機運転が適切に終了し、かつ通常運転が適切に開始された。そのため、燃料電池スタック21の発電性能を十分に発揮できるように暖機運転を効率化できた。
1 燃料電池装置
12 バッテリコントローラ(制御装置)
13 外気温センサ(外気温検出部)
21 燃料電池スタック(燃料電池モジュール)
22 セル
25 電圧センサ(電圧検出部)
26 電流センサ(電流検出部)
S10,S20,S30〜S35,S40〜S43,S50 ステップ
I,T 横軸
V,B,C,I’,ΔV’ 縦軸
L1,M,N,PΔv 実線
L2,QA(i) 一点鎖線
L3,R 二点鎖線
L4 破線
v セル電圧の検出値
Δv セル電圧差
i,i1,i2 バッテリ電流の検出値
A(i),A(i1),A(i2) 電圧差閾値
B(i),B(i1),B(i2) 基本値
C(i),C(i1),C(i2) 補正値
D 外気温度の検出値
E 外気温閾値
t1,t2 稼働時間

Claims (3)

  1. 水素及び酸素の電気化学反応によって発電を行うように構成された複数のセルを有する燃料電池モジュールと、
    前記複数のセルにて発生する電圧それぞれを検出するように構成された電圧検出部と、
    前記燃料電池モジュールから出力される電流を検出するように構成された電流検出部と
    外気温度を検出するように構成された外気温検出部と、
    を備え、
    前記複数のセルを暖める暖機運転と、前記暖機運転を停止した状態で前記発電を行う通常運転とをそれぞれ実施可能に構成される燃料電池装置であって、
    前記燃料電池装置の起動後に、前記外気温検出部により検出された外気温度の値が外気温閾値以下である場合に、前記暖機運転が実施され、その一方で、前記燃料電池装置の起動後に前記外気温度の値が前記外気温閾値よりも大きい場合に、前記暖機運転を経ずに前記通常運転が実施されるように構成されており、
    前記燃料電池装置の起動後に前記暖機運転が実施されている状態で、前記電圧検出部により検出される前記複数のセルの電圧における最大値及び最小値間の差が、前記電流検出部により検出される電流の値に応じて変化する基本値に基づく電圧差閾値以下となった場合に、前記暖機運転から前記通常運転に切り換わるように構成されている燃料電池装置。
  2. 前記基本値は、前記電流検出部により検出される電流の値が増加するに従って増加するように変化する、請求項1に記載の燃料電池装置。
  3. 前記電圧差閾値が、前記基本値と、前記電流検出部により検出される電流の値に応じて変化する補正値との和になっており、
    前記通常運転が実施されている状態で、前記燃料電池装置の次の起動後に前記暖機運転が実施されている状態で用いるための前記補正値が算出されるように構成されている、請求項1又は2に記載の燃料電池装置。
JP2016232728A 2016-11-30 2016-11-30 燃料電池装置 Active JP6812767B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016232728A JP6812767B2 (ja) 2016-11-30 2016-11-30 燃料電池装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016232728A JP6812767B2 (ja) 2016-11-30 2016-11-30 燃料電池装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018092711A JP2018092711A (ja) 2018-06-14
JP6812767B2 true JP6812767B2 (ja) 2021-01-13

Family

ID=62566305

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016232728A Active JP6812767B2 (ja) 2016-11-30 2016-11-30 燃料電池装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6812767B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11251449B2 (en) * 2018-07-30 2022-02-15 Sumitomo Electric Industries, Ltd. Redox flow battery system
JP2021002904A (ja) * 2019-06-20 2021-01-07 株式会社豊田自動織機 燃料電池車両

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000208161A (ja) * 1999-01-14 2000-07-28 Nissan Motor Co Ltd 燃料電池の運転方法及び運転装置
JP2006073451A (ja) * 2004-09-06 2006-03-16 Honda Motor Co Ltd 燃料電池の制御装置およびその制御方法
JP4180552B2 (ja) * 2004-09-29 2008-11-12 本田技研工業株式会社 燃料電池の起動方法
JP4852917B2 (ja) * 2004-12-16 2012-01-11 日産自動車株式会社 燃料電池システム
JP2006172962A (ja) * 2004-12-17 2006-06-29 Nissan Motor Co Ltd 燃料電池冷却システム
JP2007188827A (ja) * 2006-01-16 2007-07-26 Nissan Motor Co Ltd 燃料電池システム及び燃料電池システムの起動方法
JP5185504B2 (ja) * 2006-03-03 2013-04-17 本田技研工業株式会社 燃料電池システムおよびその運転方法
JP4992261B2 (ja) * 2006-03-24 2012-08-08 日産自動車株式会社 燃料電池システム
JP2007280827A (ja) * 2006-04-10 2007-10-25 Toyota Motor Corp 燃料電池用の温度制御システム

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018092711A (ja) 2018-06-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4893745B2 (ja) 燃料電池システム
US20080241608A1 (en) Method of starting up a fuel cell under conditions in which water may freeze
JP2007149595A (ja) 燃料電池システム
US8216733B2 (en) Fuel cell system
KR101272511B1 (ko) 연료전지 성능 향상을 위한 공기 공급량 제어 방법
JP2006073427A (ja) 燃料電池システム
JP2008147102A (ja) 燃料電池システム
JP2005228637A (ja) 燃料電池システム
JP2013114992A (ja) 燃料電池システム
CN111092249B (zh) 燃料电池系统及其控制方法
JP6812767B2 (ja) 燃料電池装置
JP4973138B2 (ja) 燃料電池システム
KR101782353B1 (ko) 연료전지 시스템 냉시동 방법
JP2007059129A (ja) 燃料電池システム
JP5103739B2 (ja) 燃料電池システム及び燃料電池車両
JP2010086692A (ja) 燃料電池システム
JP4055409B2 (ja) 燃料電池の制御装置
JP2011134529A (ja) 燃料電池システム
JP2007172843A (ja) 燃料電池システム及びその起動方法
JP2007066643A (ja) 電圧検出装置
JP4929600B2 (ja) 燃料電池システム及び燃料電池システムの停止方法
JP2004296374A (ja) 燃料電池システム
JP2007280678A (ja) 燃料電池
JP2008171601A (ja) 燃料電池システム
JP5262125B2 (ja) 燃料電池システムおよび燃料電池の運転方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20191107

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200916

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201002

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201028

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20201117

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20201130

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6812767

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151