JP6810636B2 - ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品 Download PDF

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Description

本発明は、ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品に関し、詳しくは、成形品からの発生ガス量やブリードアウトが少なく、摺動性に優れたポリカーボネート樹脂組成物及び成形品に関する。
ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃性、耐熱性、電気絶縁性、寸法安定性等に優れ、これらの特性のバランスも良好であることから、自動車内装部品、電気電子機器部品、OA機器部品、精密機械部品などの分野で広く使用されている。
例えば、自動車に内装される部品、例えばコンソールパネル、ダッシュボード、カーナビ等は、軽量化目的のため、樹脂製の成形部品を嵌合して組み立てて製作されることが多い。自動車室内は環境下で低温から高温までの温度変化が激しく、樹脂成形品は熱変動による収縮膨張のため変形を生じやすく、嵌合部に変形が僅かでも生じた場合は、走行時の振動によりポリカーボネート樹脂部品が擦れて軋み音が発生しやすくなる。
軋み音を解消するには、ポリカーボネート樹脂に摺動性を付与することが必要である。
ポリカーボネート樹脂材料に摺動性を付与する方法として、例えば、特許文献1では、ポリカーボネート樹脂に、非極性α−オレフィン(共)重合体とビニル系(共)重合体からなり、分散樹脂の粒子径が0.001〜10μmである多相構造熱可塑性樹脂を配合した摺動特性が向上した樹脂組成物を提案している。また、特許文献2ではポリカーボネート樹脂にシラン変性ポリエチレン樹脂を配合させる方法を開示している。
特開平4−211447号公報 特開平5−247236号公報
しかしながら、これらの技術の摺動性は十分なものとはいえず、ポリカーボネート樹脂の機械物性を十分維持した上で、動摩擦係数と摩耗量の両方に優れる高い摺動性が求められる。さらに最近は、内装部品ではVOC規制により成形品からの発生ガス量が少ないことが必要とされている。また、発生ガスは電気部品においてはリレーの接点不良への影響が懸念される。
本発明の課題(目的)は、上記従来技術の問題点に鑑み、良好な機械物性を維持しつつ、成形品からのガス発生量やブリードアウトが少なく、動摩擦係数と摩耗量の両方の点で優れる高い摺動性を有するポリカーボネート樹脂組成物及び成形品を提供することにある。
本発明者は、上記課題を達成すべく、鋭意検討を重ねた結果、ポリカーボネート樹脂に、スチレン系(共)重合体セグメントを有するエチレン又はエチレン−酢酸ビニル共重合体、酸変性ポリエチレン樹脂及び離型剤をそれぞれ特定の量で共に含有するポリカーボネート樹脂組成物が、成形品からの発生ガス量やブリードアウトが少なく、摺動性に優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下のポリカーボネート樹脂組成物及び成形品に関する。
[1]ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、スチレン系(共)重合体セグメントを有するエチレン又はエチレン−酢酸ビニル共重合体(B)を4〜15質量部、酸変性ポリエチレン樹脂(C)を1〜5質量部を含有し、離型剤(D)を含有しないか、含有する場合の含有量が0.1質量部未満であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
[2]上記[1]に記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形品。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、強度や耐衝撃性等の機械物性を維持しつつ、成形品からの発生ガス量やブリードアウトが少なく、動摩擦係数と摩耗量の両方に優れた高い摺動性を有する。そのため、本発明のポリカーボネート樹脂組成物を成形した成形品は、各種の摺動性が求められる製品として好適に使用することができる。
以下、本発明について実施形態及び例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下に示す実施形態及び例示物等に限定されるものではない。
なお、本願明細書において、「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、スチレン系(共)重合体セグメントを有するエチレン又はエチレン−酢酸ビニル共重合体(B)を4〜15質量部、酸変性ポリエチレン樹脂(C)を1〜5質量部を含有し、離型剤(D)を含有しないか、含有する場合の含有量が0.1質量部未満であることを特徴とする。
[ポリカーボネート樹脂(A)]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物が含有するポリカーボネート樹脂(A)は、その種類に制限は無く、また、1種のみを用いてもよく、2種以上を、任意の組み合わせ及び任意の比率で、併用してもよい。
ポリカーボネート樹脂は、一般式:−[−O−X−O−C(=O)−]−で示される炭酸結合を有する基本構造の重合体である。上記式中、Xは、一般には炭化水素であるが、種々の特性付与のためヘテロ原子、ヘテロ結合の導入されたXを用いてもよい。
ポリカーボネート樹脂(A)としては、特には芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。芳香族ポリカーボネート樹脂とは、炭酸結合に直接結合する炭素がそれぞれ芳香族炭素であるポリカーボネート樹脂をいう。芳香族ポリカーボネートは、各種ポリカーボネートの中でも、耐熱性、機械的物性、電気的特性等の観点から、優れている。
芳香族ポリカーボネート樹脂の具体的な種類に制限はないが、例えば、ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを反応させてなる芳香族ポリカーボネート重合体が挙げられる。この際、ジヒドロキシ化合物及びカーボネート前駆体に加えて、ポリヒドロキシ化合物等を反応させるようにしてもよい。また、二酸化炭素をカーボネート前駆体として、環状エーテルと反応させる方法も用いてもよい。また芳香族ポリカーボネート重合体は、直鎖状でもよく、分岐鎖状でもよい。さらに、芳香族ポリカーボネート重合体は1種の繰り返し単位からなる単独重合体であってもよく、2種以上の繰り返し単位を有する共重合体であってもよい。このとき共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体等、種々の共重合形態を選択することができる。なお、通常、このような芳香族ポリカーボネート重合体は、熱可塑性の樹脂となる。
芳香族ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーのうち、芳香族ジヒドロキシ化合物の例を挙げると、
1,2−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン(即ち、レゾルシノール)、1,4−ジヒドロキシベンゼン等のジヒドロキシベンゼン類;
2,5−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシビフェニル等のジヒドロキシビフェニル類;
2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビナフチル、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類;
2,2’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテル、1,4−ビス(3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン等のジヒドロキシジアリールエーテル類;
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、
1,3−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)(4−プロペニルフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ナフチルエタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、
4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ドデカン、
等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,4−ジメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5−ジメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−プロピル−5−メチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−tert−ブチル−シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−tert−ブチル−シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、
等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等のカルド構造含有ビスフェノール類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、
4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、
4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類;
等が挙げられる。
これらの中でもビス(ヒドロキシアリール)アルカン類が好ましく、中でもビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン類が好ましく、特に耐衝撃性、耐熱性の点から2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)が好ましい。
なお、芳香族ジヒドロキシ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、脂肪族ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーの例を挙げると、
エタン−1,2−ジオール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール、2−メチル−2−プロピルプロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ペンタン−1,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、デカン−1,10−ジオール等のアルカンジオール類;
シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、4−(2−ヒドロキシエチル)シクロヘキサノール、2,2,4,4−テトラメチル−シクロブタン−1,3−ジオール等のシクロアルカンジオール類;
エチレングリコール、2,2’−オキシジエタノール(即ち、ジエチレングリコール)、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、スピログリコール等のグリコール類;
1,2−ベンゼンジメタノール、1,3−ベンゼンジメタノール、1,4−ベンゼンジメタノール、1,4−ベンゼンジエタノール、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、2,3−ビス(ヒドロキシメチル)ナフタレン、1,6−ビス(ヒドロキシエトキシ)ナフタレン、4,4’−ビフェニルジメタノール、4,4’−ビフェニルジエタノール、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ビフェニル、ビスフェノールAビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル、ビスフェノールSビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル等のアラルキルジオール類;
1,2−エポキシエタン(即ち、エチレンオキシド)、1,2−エポキシプロパン(即ち、プロピレンオキシド)、1,2−エポキシシクロペンタン、1,2−エポキシシクロヘキサン、1,4−エポキシシクロヘキサン、1−メチル−1,2−エポキシシクロヘキサン、2,3−エポキシノルボルナン、1,3−エポキシプロパン等の環状エーテル類;等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーのうち、カーボネート前駆体の例を挙げると、カルボニルハライド、カーボネートエステル等が使用される。なお、カーボネート前駆体は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
カルボニルハライドとしては、具体的には例えば、ホスゲン;ジヒドロキシ化合物のビスクロロホルメート体、ジヒドロキシ化合物のモノクロロホルメート体等のハロホルメート等が挙げられる。
カーボネートエステルとしては、具体的には例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等のジアリールカーボネート類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート類;ジヒドロキシ化合物のビスカーボネート体、ジヒドロキシ化合物のモノカーボネート体、環状カーボネート等のジヒドロキシ化合物のカーボネート体等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の任意の方法を採用できる。その例を挙げると、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマーの固相エステル交換法などを挙げることができる。
ポリカーボネート樹脂(A)の分子量は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、粘度平均分子量[Mv]で10,000〜40,000であることが好ましい。粘度平均分子量が10,000未満では、機械的強度が十分ではなくなる傾向があり、粘度平均分子量が40,000を超えると、流動性が悪く成形性が悪くなる傾向にある。粘度平均分子量は、より好ましくは16,000〜40,000であり、さらに好ましくは18,000〜30,000、特には18,500〜25,000である。分子量をこのような範囲に調節するには、後記するような分子量調節剤の量を制御する等の公知の方法で可能である。
ここで、粘度平均分子量[Mv]とは、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、ウベローデ粘度計を用いて温度20℃での極限粘度[η](単位dl/g)を求め、Schnellの粘度式、すなわち、η=1.23×10−4Mv0.83 から算出される値を意味する。また極限粘度[η]とは、各溶液濃度[C](g/dl)での比粘度[ηsp]を測定し、下記式により算出した値である。
ポリカーボネート樹脂に関するその他の事項
ポリカーボネート樹脂の末端水酸基濃度は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、通常1,000ppm以下、好ましくは800ppm以下、より好ましくは600ppm以下である。このようにすることで、ポリカーボネート樹脂組成物の滞留熱安定性及び色調をより向上させることができる。また、その下限は、特に溶融エステル交換法で製造されたポリカーボネート樹脂では、通常10ppm以上、好ましくは30ppm以上、より好ましくは40ppm以上である。これにより、分子量の低下を抑制し、ポリカーボネート樹脂組成物の機械的特性をより向上させることができる。
なお、末端水酸基濃度の単位は、ポリカーボネート樹脂の質量に対する、末端水酸基の質量をppmで表示したものである。その測定方法は、四塩化チタン/酢酸法による比色定量(Macromol.Chem.88 215(1965)に記載の方法)にて行われる。
なお、ポリカーボネート樹脂(A)は、ポリカーボネート樹脂の1種のみを含む態様に限定されず、モノマー組成、分子量、末端水酸基濃度等が異なるポリカーボネート樹脂の2種以上を混合して使用してもよい。また、ポリカーボネート樹脂に他の熱可塑性樹脂を混合したアロイ(混合物)として組み合わせて用いてもよい。
さらに、例えば、難燃性や耐衝撃性をさらに高める目的で、ポリカーボネート樹脂を、シロキサン構造を有するオリゴマーまたはポリマーとの共重合体;熱酸化安定性や難燃性をさらに向上させる目的でリン原子を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマーとの共重合体;熱酸化安定性を向上させる目的で、ジヒドロキシアントラキノン構造を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマーとの共重合体;光学的性質を改良するためにポリスチレン等のオレフィン系構造を有するオリゴマーまたはポリマーとの共重合体;耐薬品性を向上させる目的でポリエステル樹脂オリゴマーまたはポリマーとの共重合体;等の、ポリカーボネート樹脂を主体とする共重合体として構成してもよい。
また、成形品の外観の向上や流動性の向上を図るため、ポリカーボネート樹脂は、ポリカーボネートオリゴマーを含有していてもよい。このポリカーボネートオリゴマーの粘度平均分子量[Mv]は、通常1,500以上、好ましくは2,000以上であり、また、通常9,500以下、好ましくは9,000以下である。さらに、含有されるポリカーボネートリゴマーは、ポリカーボネート樹脂(ポリカーボネートオリゴマーを含む)の30質量%以下とすることが好ましい。
[スチレン系(共)重合体セグメントを有するエチレン又はエチレン−酢酸ビニル共重合体(B)]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物が含有する共重合体(B)は、スチレン系(共)重合体セグメントを有するエチレン又はエチレン−酢酸ビニル共重合体である。共重合体(B)は、スチレン系(共)重合体部分(セグメント)と、エチレン(共)重合体部分(セグメント)又はエチレン−酢酸ビニル共重合体部分(セグメント)からなる共重合体であれば制限はないが、好ましくはスチレン系(共)重合体セグメントと、エチレン(共)重合体セグメント又はエチレン−酢酸ビニル共重合体セグメントからなるグラフト共重合体であることが好ましく、エチレン−酢酸ビニル共重合体又はエチレン(共)重合体セグメントを主鎖とし、スチレン系(共)重合体セグメントを側鎖とするグラフト共重合体が好ましい。
エチレン−酢酸ビニル共重合体部分(セグメント)における酢酸ビニル単位の割合は、好ましくは1〜20質量%であり、より好ましくは3〜10質量%である。
エチレン(共)重合体セグメントは、エチレン重合体又はエチレンと他のオレフィンとの共重合体からなるものが好ましい。他のオレフィンとしては、プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン等が好ましく、他のオレフィン共重合量としては0〜20質量%であり、より好ましくは3〜10質量%である。
スチレン系(共)重合体セグメントは、スチレン系単量体の単独重合体または他のビニル系単量体と共重合体である。
スチレン系単量体としては、例えばスチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、クロルスチレン等が挙げられ、特にスチレンが好ましい。
他のビニル系単量体としては、シアン化ビニル単量体;アクリル酸もしくはメタクリル酸のグリシジルエステル;アクリル酸もしくはメタクリル酸のアルキルエステル等が好ましく挙げられる。
シアン化ビニル単量体としては、アクリロニトリル又はメタクリロニトリル等が挙げられ、アクリロニトリルが特に好ましい。
アクリル酸もしくはメタクリル酸のグリシジルエステルとしては、例えばアクリル酸グリシジルエステル、メタクリル酸グリシジルエステルなどが挙げられ、メタクリル酸グリシジルエステルが好ましい。
アクリル酸もしくはメタクリル酸のアルキルエステルとしては、炭素数1〜8のアルキルエステルが好ましく、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル等が挙げられる。
他のビニル系単量体としては、上記の中でも、アクリル酸もしくはメタクリル酸のグリシジルエステル、シアン化ビニル単量体が好ましく、アクリル酸もしくはメタクリル酸のグリシジルエステルがより好ましく、特にメタクリル酸グリシジルエステルが好ましい。
スチレン系(共)重合体セグメントにおけるスチレン系単量体と他のビニル系単量体の含有量は特に制限はないが、スチレン系単量体と他のビニル系単量体の合計100質量部基準で、スチレン系単量体の含有量が50〜100質量部であることが好ましい。
また、スチレン系(共)重合体セグメントの含有量は、エチレン−酢酸ビニル共重合体(B)全体を100質量%とすると、スチレン系(共)重合体セグメントの含有量が10〜50質量部であることが好ましい。
スチレン系(共)重合体セグメントを有するエチレン又はエチレン−酢酸ビニル共重合体(B)は各種の公知の方法で製造することができる。その好適な方法としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体あるいはエチレン(共)重合体に懸濁剤を添加した水性懸濁液に、スチレン系単量体、または更に他のビニル系単量体とラジカル重合性有機過酸化物を混合して加熱攪拌して、エチレン−酢酸ビニル共重合体又はエチレン(共)重合体に上記成分を含浸させた後、さらに昇温して重合させることにより製造する方法を挙げることができる。
また、スチレン系(共)重合体セグメントを有するエチレン又はエチレン−酢酸ビニル共重合体(B)は市販されており、例えば、日油株式会社の商品名「モディパー」シリーズの中から選択して入手することができる。
スチレン系(共)重合体セグメントを有するエチレン又はエチレン−酢酸ビニル共重合体(B)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、4〜15質量部である。含有量が、4質量部を下回ると摩擦係数や摩耗量の改善が不十分であり、15質量部を超えた場合、機械物性、特にシャルピー衝撃強さの低下が生じる。
共重合体(B)の含有量は、好ましくは4〜10質量部である。
[酸変性ポリエチレン樹脂(C)]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物が含有する酸変性ポリエチレン樹脂(C)は、不飽和カルボン酸又はその誘導体等の酸で変性されたポリエチレン樹脂である。
酸変性に用いる酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、シトラコン酸、ソルビン酸、メサコン酸、アンゲリカ酸等の不飽和カルボン酸が挙げられる。また、これら不飽和カルボン酸の誘導体も使用できる。その誘導体としては、例えば、酸無水物、エステル、アミド、イミド、金属塩が挙げられ、具体例としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、マレイン酸エチル、アクリルアミド、マレイン酸アミド、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウムが挙げられる。
上記の中でも、不飽和ジカルボン酸又はその誘導体が好ましく、マレイン酸、無水マレイン酸がより好ましい。不飽和カルボン酸又はその誘導体は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いても良い。
変性の方法も特に制限は無く、公知の方法を用いれば良い。例えば、ポリエチレン樹脂を溶媒に溶解し、不飽和カルボン酸又はその誘導体及びラジカル発生剤を添加して加熱、撹拌する方法、上記各成分を押出機に供給してグラフト共重合させる方法がある。
酸変性ポリエチレン樹脂(C)中の酸含量は、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.8〜8質量%である。
酸変性ポリエチレン樹脂(C)の135℃、テトラリン中で測定した極限粘度[η]は、好ましくは0.1〜3.0dL/gである。
酸変性ポリエチレン樹脂(C)としては、マレイン酸変性ポリエチレン樹脂がより好ましい。
酸変性ポリエチレン樹脂(C)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、1〜5質量部である。含有量が、1質量部を下回ると摺動性が悪く、特に摩耗量が大きくなり、5質量部を超えた場合、外観不良が発生しやすくなる。
酸変性ポリエチレン樹脂(C)の含有量は、好ましくは1〜3質量部である。
[離型剤(D)]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、離型剤を含有しないか、含有する場合の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.1質量部未満とする。
離型剤(D)としては、例えば、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、数平均分子量200〜15,000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルなどが挙げられる。
脂肪族カルボン酸としては、例えば、飽和または不飽和の脂肪族一価、二価または三価カルボン酸を挙げることができる。ここで脂肪族カルボン酸とは、脂環式のカルボン酸も包含する。これらの中で好ましい脂肪族カルボン酸は炭素数6〜36の一価または二価カルボン酸であり、炭素数6〜36の脂肪族飽和一価カルボン酸がさらに好ましい。かかる脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラリアコンタン酸、モンタン酸、アジピン酸、アゼライン酸などが挙げられる。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルにおける脂肪族カルボン酸としては、例えば、前記脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。一方、アルコールとしては、例えば、飽和または不飽和の一価または多価アルコールが挙げられる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基などの置換基を有していてもよい。これらの中では、炭素数30以下の一価または多価の飽和アルコールが好ましく、炭素数30以下の脂肪族飽和一価アルコールまたは脂肪族飽和多価アルコールがさらに好ましい。なお、ここで脂肪族とは、脂環式化合物も含有する。
かかるアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
なお、上記のエステルは、不純物として脂肪族カルボン酸及び/またはアルコールを含有していてもよい。また、上記のエステルは、純物質であってもよいが、複数の化合物の混合物であってもよい。さらに、結合して一つのエステルを構成する脂肪族カルボン酸及びアルコールは、それぞれ、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸ステアリル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等が挙げられる。
数平均分子量200〜15,000の脂肪族炭化水素としては、例えば、流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャ−トロプシュワックス、炭素数3〜12のα−オレフィンオリゴマー等が挙げられる。なお、ここで脂肪族炭化水素としては、脂環式炭化水素も含まれる。また、これらの炭化水素は部分酸化されていてもよい。また、数平均分子量は、好ましくは5,000以下である。脂肪族炭化水素は単一物質であってもよいが、構成成分や分子量が様々なものの混合物であっても、主成分が上記の範囲内であれば使用できる。
これらの中では、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスまたはポリエチレンワックスの部分酸化物が好ましく、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスがさらに好ましく、ポリエチレンワックスが特に好ましい。
なお、離型剤を含有する場合は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
離型剤(D)を含有する場合の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、0.1質量部未満とする。離型剤(D)を0.1質量部以上の量で含有すると、成形前の予備乾燥時にブリードアウトし、ペレットが塊状になる融着する問題や、製品使用時に成形品からのブリードアウトし、表面にべたつきが生じる。離型剤(D)を含有する場合の好ましい含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、0.05質量部以下、より好ましくは0.01質量部以下である。
[その他の含有成分]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物においては、上述した(A)〜(D)以外にその他の樹脂や樹脂添加剤を含有していてもよいが、含有する場合でも、上記樹脂(A)〜(C)以外の他の樹脂の含有量は、ポリカーボネート樹脂組成物100質量%中、1質量%以下とすることが好ましい。また、前記樹脂(A)〜(C)及び離型剤(D)以外の他の成分の合計含有量は、ポリカーボネート樹脂組成物100質量%中、1質量%以下とすることが好ましい。
その他の成分の例を挙げると、上記以外の樹脂、上記以外の各種樹脂添加剤などが例えば挙げられる。
その他の樹脂
その他の樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT樹脂)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT樹脂)等の熱可塑性ポリエステル樹脂;
ポリスチレン樹脂(PS樹脂)、高衝撃ポリスチレン樹脂(HIPS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム共重合体(ASA樹脂)、アクリロニトリル−エチレンプロピレン系ゴム−スチレン共重合体(AES樹脂)等のスチレン系樹脂;
ポリエチレン樹脂(PE樹脂)、ポリプロピレン樹脂(PP樹脂)、環状シクロオレフィン樹脂(COP樹脂)、環状シクロオレフィン共重合体(COP)樹脂等のポリオレフィン樹脂;
ポリアミド樹脂(PA樹脂);ポリイミド樹脂(PI樹脂);ポリエーテルイミド樹脂(PEI樹脂);ポリウレタン樹脂(PU樹脂);ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE樹脂);ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS樹脂);ポリスルホン樹脂(PSU樹脂);ポリメタクリレート樹脂(PMMA樹脂);等が挙げられる。
樹脂添加剤
樹脂添加剤としては、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染顔料(酸化チタン、カーボンブラックを含む。)、帯電防止剤、充填材、難燃剤、防曇剤、滑剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤などが挙げられる。
[ポリカーボネート樹脂組成物の製造]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法に制限はなく、公知のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法を広く採用でき、上記した成分を、例えばタンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用い予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどの混合機で溶融混練する方法が挙げられる。なお、溶融混練の温度は特に制限されないが、通常240〜320℃の範囲である。
[成形体]
得られた樹脂組成物ペレットから成形体を製造する方法に制限はなく、ポリカーボネート樹脂組成物について一般に採用されている成形法を任意に採用できる。その例を挙げると、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法などが挙げられる。成形が容易なことと生産性の観点から射出成形、射出圧縮成形が好ましい。
ポリカーボネート樹脂組成物を成形した成形品は、成形品からの発生ガス量やブリードアウトが少なく、摺動性に優れるため、自動車内装分野、OA機器分野、家電、電気電子分野等の部品等として好適に使用できる。
以下、本発明を実施例により説明する。
実施例及び比較例に用いた各原料成分は、以下の表1の通りである。
[実施例1〜4、比較例1〜14]
上記各成分を下記表2に記載の割合で配合し、タンブラーにて20分混合した後、1ベントを備えた日本製鋼所社製二軸押出機(TEX30α)に供給し、スクリュー回転数200rpm、吐出量20kg/時間、樹脂温度280〜300℃(測定値)にて溶融混練し、ストランド状に押出された溶融樹脂組成物を水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化してポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
<各種物性の評価>
[試験片の作製]
また、得られたペレットを120℃で5時間乾燥させた後、日精樹脂工業社製射出成形機(NEX80III)を用いて、シリンダー温度280℃、金型温度80℃の条件で、曲げ試験用のISO多目的試験片(4mm厚)、シャルピー衝撃試験用のISO多目的試験片(3mm厚)及び外観評価及び摺動性評価用の100×100×3mmの試験片を射出成形した。
[曲げ弾性率、曲げ強度]
上記ISO多目的試験片(4mm厚)を用い、ISO178に準拠して、23℃の環境下において、曲げ弾性率(単位:MPa)及び曲げ強度(単位:MPa)を測定した。
[シャルピー衝撃強度]
上記ISO多目的試験片(3mm厚)を用い、ISO179−1に準拠して、23℃の環境下において、ノッチ付きシャルピー衝撃強度(単位:kJ/m)を測定した。
[発生ガス量]
得られたペレット5gを内容量26mlのガラス製バイヤル瓶に入れ、150℃で2時間加熱した後、気相部からマイクロシリンジを用いてサンプルを採取し、ガスクロマトグラフィーにより分析し、ピークの総面積をトルエンを標準試料とした換算濃度(ppm)を計算し、発生ガス量を以下の基準で判定した。
○:ピーク総面積のトルエン換算濃度が50ppm以下
△:ピーク総面積のトルエン換算濃度が51〜200ppm
×:ピーク総面積のトルエン換算濃度が201ppm以上
[外観の評価]
上記で得られた外観評価用の試験片の外観を、目視にて以下の基準で判断した。
○:分散状態が良好で、表面に光沢感がある。
△:ゲート付近等に、不均一な部分や凹凸が観察される。
×:成形品の全体で不均一部が観察され、凹凸が多い状態。
[摺動性]
<動摩擦係数μ、摩耗量>
上記で得られた摺動性評価用の試験片を、新東科学社製の表面性測定機トライボギアType:38にて荷重1000g、距離20mmを往復1000回実施し、動摩擦係数μと試験終了後の摩耗量(単位:mg)を測定した。

以上の評価結果を以下の表2に示す。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、強度や耐衝撃性等の機械物性を維持しつつ、成形品からの発生ガス量やブリードアウトが少なく、動摩擦係数と摩耗量の両方に優れた高い摺動性を示し、成形品の外観が良好であるので、自動車内装分野、OA機器分野、家電、電気電子分野等の種々の部品・製品として広く利用することができ、工業的利用価値が極めて高い。

Claims (2)

  1. ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、ポリエチレン又はエチレン−酢酸ビニル共重合体を主鎖としスチレン系(共)重合体の側鎖を有する共重合体(B)を4〜15質量部、マレイン酸または無水マレイン酸変性ポリエチレン樹脂(C)を1〜5質量部を含有し、離型剤(D)を含有しないか、含有する場合の含有量が0.1質量部未満であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形品。
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