JP6810187B2 - 液体封入型圧力センサの検査方法および検査装置 - Google Patents

液体封入型圧力センサの検査方法および検査装置 Download PDF

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Description

本開示は、液体封入型圧力センサの検査方法および検査装置に関する。
従来より様々な産業機器に圧力センサが使用されている。特に、流体圧検出用の圧力センサの1つに、液体封入型圧力センサが知られている(例えば、特許文献1)。
図1は、液体封入型圧力センサ10の概略図を示している。液体封入型圧力センサ10は、圧力検出素子11と、液体で充填される液体封入室12と、液体封入室12を密閉する隔膜13とを備える。液体封入室12内で脱気された液体は、隔膜13によって大気圧で封入される状態となる。圧力検出素子11は、液体が封入された液体封入室12内に設置される。また、圧力検出素子11は、電気信号出力端子に接続されて圧力に応じた信号を出力する。以降において、半導体圧力センサ・チップは圧力検出素子11の例示であり、金属ダイヤフラムは隔膜13の例示である。
液体封入型圧力センサ10において、通常、シリコンオイルを採用して、センサ本体容器である液体封入室12内を充填することになる。そして、外部より金属ダイヤフラム13に加圧されると、その応力がシリコンオイルを介して半導体圧力センサ・チップ11に伝達される。より詳しくは、液体封入型圧力センサ10では、外部から金属ダイヤフラム13に圧力が作用すると、液体封入室12内のシリコンオイルを介して応力が半導体圧力センサ・チップ11のシリコン・ダイヤフラム(図示せず)に伝達される。
圧力検出素子は、シリコン・ダイヤフラム上にピエゾ抵抗体を配置し、その抵抗体を用いてホイーストンブリッジ回路を構成するのが一般的である。シリコン・ダイヤフラムは、応力を受けると、その応力により変形し、同時にピエゾ抵抗体の抵抗値も変化する。ピエゾ抵抗体で構成されたホイートストンブリッジ回路に電圧を印加することで、応力により変化した抵抗値を電圧の変化、すなわち電気信号として検出することが可能となる。
特開2003−42883号公報
液体封入型圧力センサ10を真空圧測定において使用する場合、金属ダイヤフラム13には負圧が印加されて、液体封入型圧力センサ10は減圧される。つまり、液体封入室12に真空空間が形成されると共に、金属ダイヤフラム13は負圧側に歪むことになる。このような圧力条件において、半導体圧力センサ・チップ11は、突然、負圧側から反対の正圧側への圧力変動を示す電気信号を出力することが知られる(以下、圧力変動現象という。)。そして、圧力変動現象が発生すると、液体封入型圧力センサ10は使用不可能状態となる。
図2は、負圧に減圧された液体封入型圧力センサ10で発生する圧力変動現象を示したグラフである。より詳しくは、図2は、液体封入型圧力センサ10において、時間と共に、シリコンオイルが大気圧で封入された状態から、負圧に減圧された(液体封入室12の真空空間容積が増加した)場合の液体封入型圧力センサ10が示す圧力値の変化を示している。グラフにおいて、縦軸は液体封入型圧力センサ10の出力であるセンサ圧力を示し、また、横軸は時間を示している。図示のように、特定のタイミング(時間t1)を境に、液体封入型圧力センサ10の圧力が飽和蒸気圧まで急上昇しており、前述の圧力変動現象が発生していることが理解される。
圧力変動現象の発生は、液体封入型圧力センサ10の個体差に因る部分も大きいものとなる。つまり、液体封入型圧力センサに封入されるシリコンオイル10の粘性、蒸気圧、脱気状態等の様々な特性に応じて、圧力変動現象が発生する条件は個体ごとに異なるものとなる。
このような圧力変動現象を発生させる液体封入型圧力センサ10は、不良品として検査時に取り除かれるべきである。現在のところ、液体封入型圧力センサ10を約90℃の恒温槽内に10時間以上入れていた場合に当該圧力変動現象が再現される場合があることが知られているが、このような作業は長時間にわたる上、再現性に乏しいものがある。
また、液体封入型圧力センサ10は、圧力変動現象が発生し得るような特定の条件に該当しない場合は正常な振る舞いをすることが知られる。特に、圧力変動現象が一旦発生した場合であっても、その後特定の条件に該当しなくなった場合には、再度、正常な振る舞いに復帰することが知られる。更に、圧力変動現象の発生時は、急激に圧力上昇が生じる場合だけではなく、徐々に圧力上昇が生じる場合もあり得る。このため、圧力変動現象そのものを再現することが困難であり、また、圧力変動現象が再現されたとしても不良品を適切に特定することが困難である。
本開示は、上記の点に鑑みてなされたものである。本開示は、液体封入型圧力センサ10のうち、液体封入構造に起因して圧力変動現象を生じさせるものを不良品として短時間で確実に判別可能な検査方法および装置を提供することを目的とする。
一実施形態によれば、液体封入型圧力センサの検査方法が提供される。かかる検査方法において、前記圧力センサの液体封入室を密閉している隔膜が検査装置に設けた浴槽内の液面よりも下となる位置で、前記圧力センサが前記検査装置に取り付けられており、当該方法は、前記隔膜に負圧を印加して、前記圧力センサを所望の基準圧付近まで減圧させるステップと、前記浴槽の液中温度を、前記液体封入室内の液体に関し前記基準圧を蒸気圧とした場合の沸点に維持するステップと、前記浴槽の液中を介して前記圧力センサに超音波振動を与えるステップと、所定の期間にわたる前記圧力センサからの出力に基づいて、前記圧力センサが不良品であるかを判別するステップと、を含む。
一実施形態に係る検査方法は、前記圧力センサが不良品であるかを判別するステップが、前記所定の期間にわたる前記出力に基づいて前記液体封入室内の圧力変動を特定することを含む。
一実施形態に係る検査方法は、前記所定の期間が約2〜10分間である。
一実施形態に係る検査方法は、前記液体封入室全体が前記浴槽内の液面よりも下となる位置で、前記圧力センサが前記検査装置に取り付けられる。
また、一実施形態によれば、液体封入型圧力センサの検査装置が提供される。かかる検査装置は、浴槽と、ヒータと、超音波振動器と、真空ポンプと、測定される前記圧力センサの圧力を記録する記録部と、を備え、前記圧力センサにおいて液体封入室を密閉している隔膜が前記浴槽内の液面よりも下となる位置で、前記圧力センサが前記検査装置に取り付けられており、前記真空ポンプが前記隔膜に負圧を印加して、前記取り付けられた圧力センサを所望の基準圧付近まで減圧させ、前記ヒータが、前記液体封入室内の液体に関し前記基準力を蒸気圧とした場合の沸点に前記浴槽を加温し、前記超音波振動器が、前記加温された浴槽内に超音波を発生させて、前記圧力センサに超音波振動を与える、ように構成され、前記記録部に記録された、所定の期間にわたる前記圧力センサの圧力変動に基づいて、前記圧力センサが不良品であるかを判別可能とする。
一実施形態に係る検査装置は、前記液体封入室全体が前記浴槽内の液面よりも下となる位置で、前記隔膜が前記検査装置に取り付けられる。
一実施形態に係る検査装置は、複数の前記圧力センサが、前記超音波振動器の超音波振動素子からの距離が等しくなるように配置される。
一実施形態に係る検査装置は、更に、温度調節器を備え、前記ヒータによって加温された前記浴槽の液中温度が、前記温度調節器によって維持される。
図1は、液体封入型圧力センサ10の概略図である。 図2は、例示の圧力変動現象を示したグラフである。 図3は、負圧に減圧された液体封入型圧力センサ10の概略図である。 図4は、シリコンオイルの例示の蒸気圧曲線である。 図5は、一実施形態に係る液体封入型圧力センサの例示の検査装置である。 図6は、検査状態における液体封入型圧力センサ10を示した概要図である。 図7は、一実施形態に係る液体封入型圧力センサの例示の検査方法である。 図8は、検査を通じた例示の圧力変動現象の再現を示したグラフである。
以下に、本開示に係る液体封入型圧力センサの検査装置および検査方法の実施形態を添付図面とともに説明する。添付図面において、同一または類似の要素には同一または類似の参照符号が付され、各実施形態の説明において同一または類似の要素に関する重複する説明は省略することがある。また、各実施形態で示される特徴は、互いに矛盾しない限り他の実施形態にも適用可能である。更に、図面は模式的なものであり、必ずしも実際の寸法や比率等とは一致しない。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることがある。
最初に、液体封入型圧力センサ10において前述の圧力変動現象が発生する原因を以下のとおり考察して、これを前提に、当該圧力変動現象を再現することができるような、本開示に係る一実施形態の液体封入型圧力センサ10の検査装置および検査方法について説明する。
図3は、液体封入型圧力センサ10を負圧に減圧した状態の概略図を示している。減圧の結果、金属ダイヤフラム13は負圧側に引かれて歪んでおり、また、シリコンオイルが密閉された液体封入室12内に僅かに真空空間が形成されていることが理解される。なお、真空空間は、負圧が強く、液体封入室12内の圧力が低下する程、真空度が高くなりその空間容積も大きくなることが理解される。
図4は、シリコンオイルの例示の蒸気圧曲線を示している。蒸気圧曲線はシリコンオイルの種類ごとに定められる。図示のように、シリコンオイルの蒸気圧は、温度の上昇と共に増加する一方、温度が低くなる場合にはシリコンオイルの蒸気圧は小さくなるという特性を有する。図示の例示の蒸気圧曲線(点線)において、蒸気圧に対応する温度が、シリコンオイルの沸騰が起きる沸点である。図示の例では、シリコンオイルの蒸気圧が10Torrである場合の沸点は100℃である(沸点1)。他方、蒸気圧が1Torrである場合の沸点は60℃である(沸点2)。
液体封入室12内の圧力がシリコンオイルの蒸気圧に等しく、且つ温度がシリコンオイルの沸点にまで達すると、シリコンオイルは沸騰することになる。そして、シリコンオイルが沸騰すると、今度は、液体封入室12において、シリコンオイルに溶け込んでいた空気等の気体が気化分子(マイクロバブル)となってオイル表面から飛び出し、液体封入室12内部に気泡が発生することになる。
図4のシリコンオイルの蒸気圧曲線を考慮すれば、液体封入室12に真空空間が形成されて内部の圧力が低下すると、その圧力をシリコンオイルの蒸気圧とした場合の沸点も低下するので、液体封入室12内のシリコンオイルは低温でも沸騰するということが考察される。
そして、シリコンオイルが沸点に達して沸騰し、シリコンオイル表面からシリコンオイルのマイクロバブルが飛び出して液体封入室12に充満することにより、液体封入室12内の圧力は上昇する。より詳しくは、液体封入室12内の圧力は、液体封入型圧力センサ10が配置されている大気圧と圧力平衡状態となるまで上昇する。そして、圧力平衡状態において、何らかの外的刺激により平衡が崩れるような場合に、前述の圧力変動現象が発生し、半導体圧力センサ・チップ11から出力される電気信号が圧力変動現象を示すものと考察される。
加えて、液体封入室12内の圧力がシリコンオイルの蒸気圧に等しく、且つ温度がシリコンオイルの沸点に達した場合であっても、シリコンオイルが沸騰しないこともある。このような状態は一般に気液平衡と称される。そして、気液平衡の状態においても、何らかの外的刺激により平衡が崩れるような場合に、前述の圧力変動現象が発生し、半導体圧力センサ・チップ11から出力される電気信号が圧力変動現象を示す変動信号を示すものと考察される。
圧力平衡および気液平衡のような平衡状態が崩れて不安定な状態とさせるような外的刺激を液体封入室12に与えるには、液体封入室12内の圧力を高めることにより、シリコンオイルを沸騰させ、残留していた気体をマイクロバブル化させるのがよい。なお、気体がマイクロバブル化することは、一般にキャビテーションと称される。
そこで、一実施形態では、このような外的刺激の態様として、シリコンオイルに外部から超音波振動のような刺激を与える方式を採用する。液体封入室12に超音波振動を与えることにより、シリコンオイル内にキャビテーションを発生させる。より詳しくは、液体封入型圧力センサ10(特に、液体封入室12)に外部から所定の周波数帯の超音波振動を与え、シリコンオイル内でキャビテーションを発生させて、残留していたマイクロバブルをシリコンオイル表面から気化させる。このようにして、液体封入室12内部で圧力平衡および気液平衡が崩れる現象を起こさせる。
一実施形態に係る液体封入型圧力センサの検査装置
図5は、一実施形態に係る液体封入型圧力センサ10の検査装置20の概要図を示している。検査装置20を使用することにより、液体封入室12内部で圧力平衡および気液平衡が崩れる現象を起こすことができる。
検査装置20は、電源21、記録部22、温度調節器23、真空ポンプ24、基準センサ25、金属浴槽(以下、浴槽)26、超音波振動器27、温度計28、およびヒータ29を備える。
検査対象である液体封入型圧力センサ10(10a,10b)は、その液体封入室12を密閉する金属ダイヤフラム13部分が浴槽26内の液面よりも下となる位置に配置されている。より詳しくは、検査装置20は、液体封入型圧力センサ10a,10bを嵌め込むようにして取り付け可能な凹形状の取付用治具(図示せず)を備える。取付用治具の外周の一部が浴槽26内の液中に浸漬される。
液体封入型圧力センサの金属ダイヤフラム13を下にして液体封入型圧力センサ10a,10bを取付用治具に嵌め込むことにより、金属ダイヤフラム13部分が浴槽26内の液面よりも下に位置することになる。その際、液体封入型圧力センサ10a,10b自体は液面に浸漬されない。また、取付用治具には圧力導入孔が設けられ、真空ポンプ24および基準センサ25に連通される。検査を実施する際は、液体封入型圧力センサ10a,10bが取付用治具に取り付けられ、真空ポンプ24によって金属ダイヤフラム13に負圧が印加されることにより、液体封入型圧力センサ10a,10bを所望の基準圧付近まで減圧させる。基準圧は10Torr以下とするのがよく、より好ましくは、1Torr程度とするのがよい。なお、後述するように、液体封入型圧力センサ10a,10bは2つに限定されない。
電源21は、記録部22および基準センサ25等の各種機器、並びに液体封入型圧力センサ10a,10bにそれぞれ電力を供給する。記録部22は、検査期間にわたり、測定される液体封入型圧力センサ10a,10bの出力信号である圧力データと、浴槽26内の温度データとを含む各種検査データを記録する。制御部(図示せず)は、この検査データを使用することにより、液体封入型圧力センサ10a,10bの電気信号出力の出力状態を観測する。その結果、記録部22に記録された、所定の期間にわたる液体封入型圧力センサ10a,10bの圧力変動に基づいて、それが不良品であるかを判別することができる。
温度調節器23は、浴槽26内のヒータ29に接続される。温度調節器23は、浴槽26の液中温度を一定に維持するように、温度計28を参照しつつヒータ29を加熱制御する。真空ポンプ24は、検査時において、取付用治具(図示せず)を介して液体封入型圧力センサ10a,10bに連通される。より詳しくは、真空ポンプ24は、配管継手を通して、取付用治具の圧力導入孔(図示せず)まで配管される。そして、液体封入型圧力センサ10a,10bが取付用治具に取り付けられると、真空ポンプ24によって、液体封入型圧力センサ10a,10bを負圧に印加することができる。これにより、液体封入室12内に真空空間を形成させることができ、液体封入型圧力センサ10a,10bを所望の真空圧(例えば、1Torr)に調整することができる。基準センサ25は、真空ポンプ24による減圧時に、液体封入型圧力センサ10a,10b(特に液体封入室12)に所望の圧力(基準圧)への到達を確認できる。
浴槽26には液面が張られており、浴槽26の内部に温度計28およびヒータ29が配置される。また、浴槽26の底面には超音波振動器27が配置される。なお、浴槽26内の液体は水に限定されず、超音波が伝播する媒体であれば任意のものとしてよい。超音波振動器27の発振出力は、浴槽26内の液中を介して液体封入型圧力センサ10a,10bに超音波振動を与えたときに、所定の温度条件下で液体封入室12に密閉されたシリコンオイルにキャビテーションを励起させる程度に調整される。
超音波振動器27の超音波振動素子(図示せず)から出力される信号の強度は、超音波振動素子からの距離の二乗に反比例する。このため、超音波振動素子は、複数の液体封入型圧力センサ10a,10bとの間の距離が等しくなる位置に配置されるのがよい。なお、超音波振動素子からの距離が等しくなるのであれば、液体封入型圧力センサ10は2個以上、好ましくは8〜10個程度配置するのがよく、検査効率を向上させることができる。より詳しくは、水平面上に配置される浴槽26を鉛直上方向から見た場合の平面図が、超音波振動素子を中心とした所定半径の円周上となるように、8〜10個程度の液体封入型圧力センサを配置するのがよい。なお、配置される液体封入型圧力センサ10の数は、金属ダイヤフラム13の径、および超音波振動器27の超音波振動素子からの距離に応じて決定するのがよい。
図6は、検査装置20を使用して液体封入型圧力センサ10を検査する際の液体封入型圧力センサ10の状態を示した概要図である。図示のように、液体封入型圧力センサ10の金属ダイヤフラム13が浴槽26内の液面よりも下となる位置に配置される。好ましくは、図示のように、液体封入室12全体が浴槽26内の水面よりも下の位置となるように配置するのがよい。
図6では、(真空ポンプ24によって)液体封入型圧力センサ10は負圧が印加されることにより減圧され、金属ダイヤフラム13が負圧側に歪んだ結果、その液体封入室12に真空空間が形成されている。そして、水温がシリコンオイルの沸騰点まで上昇された状態で、液体封入型圧力センサ10(特に、液体封入室12内のシリコンオイル)に対し、超音波振動が与えられている。
これにより、シリコンオイルにはキャビテーションが発生している。つまり、シリコンオイル内に残留していたマイクロバブルが励起されてシリコン蒸気が発生し、図示の気化分子層が生成されている。更に、シリコンオイル内の真空空間をマイクロバブルとシリコン蒸気で充満されることにより、液体封入室12内の圧力は上昇し、圧力変動が生じている。
このように、一実施形態による液体封入型圧力センサ10の検査装置20を使用することにより、液体封入室12の構造に起因して液体封入型圧力センサ10に生じる前述の圧力変動現象を効果的に再現することができる。
一実施形態に係る液体封入型圧力センサの検査方法
図7は、一実施形態に係る液体封入型圧力センサ10の検査方法を示す例示のフローチャートである。本検査方法は、図5に示した一実施形態による液体封入型圧力センサ10の検査装置20を使用して、次の手順で実行される。
本検査方法では、最初に、ステップS11において、液体封入型圧力センサ10の液体封入室12を密閉している金属ダイヤフラム13を、浴槽26内の液面よりも下となる位置に配置する。図6に示したように、金属ダイヤフラム13が下向きである。この位置で、液体封入型圧力センサ10が検査機器の取付用治具に取り付けられる。次いで、ステップS12において、真空ポンプ24によって金属ダイヤフラム13に負圧を印加し、基準センサ25によって液体封入型圧力センサ10を所望の基準圧に到達していることを確認する。これにより、シリコンオイルで充填された液体封入室12内に真空空間が形成される。
所望の基準圧(例えば、1Torr)を蒸気圧とした場合に、当該蒸気圧に対応した沸点は、図4に示したシリコンオイルの蒸気圧曲線から特定される(図4の例では、60℃)。ステップS12と同時に、ステップS13において、浴槽26の液中温度が沸点(60℃)となるようにヒータ29を使用して浴槽26内を加温する。また、温度計28を参照しつつ、温度調節器23を使用して、所定の検査期間にわたり60℃の沸点を維持するようにヒータ29を加熱制御する。
ステップS12およびステップS13の結果、液体封入室12内は、シリコンオイルの蒸気圧曲線にしたがい、圧力がシリコンオイルの蒸気圧であり、且つ温度が当該蒸気圧に対応した沸点である状態を再現することができる。
次いで、ステップS14において、超音波発振器27を使用して浴槽26内の液中で超音波を発生させ、所定の検査期間にわたり、液体封入型圧力センサ10に超音波振動を継続して与える。これにより、液体封入室12内でシリコンオイルにキャビテーションを発生させ、マイクロバブルをシリコンオイル表面から気化させるよう促進することができる。その結果、液体封入室12内の圧力は上昇し、圧力変動を生じさせることができる。
ステップS14で液体封入型圧力センサ10に超音波振動を与えている間、液体封入型圧力センサ10から出力される電気信号は記録部22によって計測および記録される。記録部22に記録された圧力データを使用することにより、液体封入型圧力センサ10が圧力変動を示す電気信号を出力しているかを判定することができる。
具体的には、ステップS15において、液体封入型圧力センサ10が不良品であるかが判別される。当該判別は、所定の検査期間(例えば、約2〜10分間)にわたる液体封入型圧力センサ10からの出力に基づいて液体封入室12内の圧力変動を特定するというものである。つまり、前述の圧力変動現象の発生有無が判定される。一例では、当該判別は、出力された圧力変動の値が所定の閾値を超過するか否かを検査装置20の制御部(図示せず)が判断することによって実行されるのがよい。
図8は、液体封入型圧力センサ10に超音波振動を与えることにより再現される例示の圧力変動現象を示したグラフである。より詳しくは、所定の基準圧(蒸気圧)に対するシリコンオイルの沸点が90℃と想定し、浴槽26の液中温度を90℃に加熱および維持して、液体封入型圧力センサ10に超音波振動を継続的に与えた場合の圧力変動現象を示している。グラフにおいて、左の縦軸は出力(%F.S)を示し、右の縦軸は温度(℃)を示し、また、横軸は時間を示している。
ここでは、検査を開始後、最初の60分間は真空状態で液体封入型圧力センサ10に超音波振動を継続的に与えており、次の10分間は真空状態で超音波振動を与えていない。そして、次の15分間は液体封入型圧力センサ10を大気に解放し、更にその次の5分間は再度真空状態にしている。
図8のとおり、最初の10分間(2分から12分)において出力の変動が観察され、特に、特に最初の2分間(2分〜4分)では急激な変動(立ち上がり)が観察される。したがって、検査期間を約2〜10分間として超音波振動を継続的に与え、出力の変動による異常を特定することにより、検査装置20は、前述の圧力変動現象が発生していると判定することができる。なお、図8において、12分以降も出力が上昇し続け、異常状態が継続していることに鑑み、検査期間が約2〜10分間には限定されないことに留意すべきである。
また、図8のとおり、圧力変動現象が発生した後に、再度真空状態にした5分間(約88〜93分)においては、液体封入型圧力センサ10の出力は正常な値を示しており上昇が観察されない。つまり、液体封入型圧力センサ10は、圧力変動現象が一旦再現された後であっても、元の環境に戻れば正常な振る舞いに復帰してしまうということが考察される。
このように、一実施形態による液体封入型圧力センサ10の検査方法を実行することにより、液体封入室12の構造に起因して液体封入型圧力センサ10に生じる前述の圧力変動現象を効果的に再現することができる。特に、従来は、液体封入型圧力センサ10を約90℃の恒温槽内に10時間以上入れることで圧力変動現象の再現を確認していたものが大幅に短縮され、約2〜10分間という非常に短期間で不良品判定を実施することができる。すなわち、圧力変動現象を容易に再現することでき、また、液体封入型圧力センサ10が不良品であるか否かを効率的に判定することができる。
以上、本発明に係る液体封入型圧力センサの検査装置および検査方法の実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上述の記載の範囲には限定されない。上記の説明に、多様な変更または改良を加えることも可能であることが当業者には明らかである。そのような改良を加えた形態もまた本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
10,10a,10b・・・液体封入型圧力センサ
11・・・圧力検出素子(半導体圧力センサ・チップ)
12・・・液体封入室
13・・・隔膜(金属ダイヤフラム)
20・・・検査装置
21・・・電源
22・・・記録部
23・・・温度調節器
24・・・真空ポンプ
25・・・基準センサ
26・・・金属浴槽(浴槽)
27・・・超音波振動器
28・・・温度計
29・・・ヒータ

Claims (8)

  1. 液体封入型圧力センサの検査方法であって、前記圧力センサの液体封入室を密閉している隔膜が検査装置に設けた浴槽内の液面よりも下となる位置で、前記圧力センサが前記検査装置に取り付けられており、
    前記隔膜に負圧を印加して、前記圧力センサを所望の基準圧付近まで減圧させるステップと、
    前記浴槽の液中温度を、前記液体封入室内の液体に関し前記基準圧を蒸気圧とした場合の沸点に維持するステップと、
    前記浴槽の液中を介して前記圧力センサに超音波振動を与えるステップと、
    所定の期間にわたる前記圧力センサからの出力に基づいて、前記圧力センサが不良品であるかを判別するステップと、を含む方法。
  2. 前記圧力センサが不良品であるかを判別するステップが、前記所定の期間にわたる前記出力に基づいて前記液体封入室内の圧力変動を特定することを含む、請求項1記載の方法。
  3. 前記所定の期間が2〜10分間である、請求項1または2記載の方法。
  4. 前記液体封入室全体が前記浴槽内の液面よりも下となる位置で、前記圧力センサが前記検査装置に取り付けられる、請求項1から3の何れか一項記載の方法。
  5. 液体封入型圧力センサの検査装置であって、
    浴槽と、ヒータと、超音波振動器と、真空ポンプと、測定される前記圧力センサの圧力を記録する記録部と、を備え、
    前記圧力センサにおいて液体封入室を密閉している隔膜が前記浴槽内の液面よりも下となる位置で、前記圧力センサが前記検査装置に取り付けられており、
    前記真空ポンプが前記隔膜に負圧を印加して、前記取り付けられた圧力センサを所望の基準圧付近まで減圧させ、
    前記ヒータが、前記液体封入室内の液体に関し前記基準を蒸気圧とした場合の沸点に前記浴槽を加温し、
    前記超音波振動器が、前記加温された浴槽内に超音波を発生させて、前記圧力センサに超音波振動を与える、
    ように構成され、前記記録部に記録された、所定の期間にわたる前記圧力センサの圧力変動に基づいて、前記圧力センサが不良品であるかを判別可能とする、装置。
  6. 前記液体封入室全体が前記浴槽内の液面よりも下となる位置で、前記隔膜が前記検査装置に取り付けられる、請求項5記載の装置
  7. 複数の前記圧力センサが、前記超音波振動器の超音波振動素子からの距離が等しくなるように配置される、請求項5または6記載の装置。
  8. 請求項5から7の何れか一項記載の装置であって、更に、温度調節器を備え、
    前記ヒータによって加温された前記浴槽の液中温度が、前記温度調節器によって維持される、装置。
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