JP6809836B2 - 樹脂チューブの曲げ加工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂チューブの曲げ加工方法に関するものである。
従来より、樹脂チューブに曲げ加工を施す方法として、直管状の樹脂チューブ前駆体を予備加熱し、成形用の曲げ型に型入れ後、加熱成形工程及び冷却工程を経て、曲げ加工が施された樹脂チューブを得る方法が用いられている。
例えば、特許文献1には、結晶性樹脂を成形することにより曲がりパイプを製造する方法において、上記結晶性樹脂を該樹脂のガラス転移温度未満の金型温度で射出成形することによりパイプ状成形体を製造したのち、得られたパイプ状成形体をガラス転移温度以上に加熱して曲げ加工を行う技術が開示されている。
特許文献1の方法によれば、曲がりパイプ製造時の設備費を低減すると共に、得られる曲がりパイプの寸法精度や表面外観を向上させることができる。
特開平7−241921号公報
ところで、樹脂チューブの曲げ加工における加熱温度は、低すぎると樹脂チューブが十分に軟化せず加工できない一方、高すぎると樹脂材料の軟化後に結晶化が進みすぎ固化して曲げ加工ができなくなるか、曲げ加工ができたとしても成形後の形状戻りが大きくなるという問題がある。そのため、樹脂チューブが十分に軟化可能であるが、結晶化は進まない温度で、できるだけ短時間の加熱処理で曲げ成形を行う技術の開発が望まれている。
そこで本発明では、短時間の加工で曲げ成形後の形状戻りを抑制することができる精度のよい樹脂チューブの曲げ加工方法をもたらすことを目的とする。
上記の目的を達成するために、本開示では、樹脂チューブの内部に第2温度の飽和水蒸気を封入して加熱するとともに、樹脂チューブの外部も第1温度に加熱して、成形工程を行うようにした。
すなわち、ここに開示する第1の技術は、樹脂チューブを予熱する予熱工程と、前記予熱された樹脂チューブを曲げ型内に配置する型入れ工程と、前記型入れされた樹脂チューブを加熱して成形する成形工程とを備えた樹脂チューブの曲げ加工方法であって、前記成形工程は、前記型入れされた樹脂チューブの外部の温度を該樹脂チューブを形成する樹脂材料のガラス転移温度以上融点以下の第1温度とするとともに、前記型入れされた樹脂チューブの内部に該樹脂チューブを形成する前記樹脂材料の結晶化温度以上融点以下の第2温度の飽和水蒸気を封入した状態で、第1所定時間保持する工程であり、前記第1所定時間は、70秒以上300秒以下であり、前記予熱工程は、前記樹脂チューブの内部のみに、前記樹脂材料のガラス転移温度以上ISO306B50法により測定されたビカット軟化温度以下の第3温度の飽和水蒸気を封入した状態で第2所定時間保持する工程であり、前記第3温度は、160℃以下であり、前記第2所定時間は、15秒以上120秒以下であることを特徴とする。
本技術によれば、飽和水蒸気は、圧力を調節することで温度が自動的に決定するため、迅速に昇温可能であり且つ精密な温度制御が可能となる。そうして、大掛かりな設備を必要とせず、短時間に精度よく曲げ成形を行うことができる。また、第1温度を、樹脂チューブを形成するガラス転移温度以上融点以下、また、第2温度を当該樹脂材料の結晶化温度以上融点以下の温度とすることにより、成形後の形状戻りの小さい曲げ加工が施された樹脂チューブを得ることができる。また、本技術によれば、飽和水蒸気温度を樹脂材料のガラス転移温度以上融点以下に設定し、樹脂チューブの内部側からのみ当該樹脂チューブを加熱することで、樹脂材料の結晶化を抑えて、成形後の形状戻りの小さい曲げ成形を行うことができる。
第2の技術では、第1の技術において、前記樹脂チューブは、積層された複数の樹脂層を備え、前記樹脂材料は、前記複数の樹脂層のうち、前記樹脂チューブの径方向の層厚さが最も大きい樹脂層を形成する材料か、又は、前記複数の樹脂層を形成する材料のうち、最も融点の低い材料である。
本技術によれば、樹脂チューブが複数の樹脂材料からなる積層樹脂チューブである場合、樹脂チューブを構成する複数の樹脂層のうち、層厚さが最も大きい樹脂層を形成する樹脂材料は、樹脂チューブの体積に占める割合が全ての樹脂材料の中で最大となる。従って、当該樹脂材料の結晶化温度、ガラス転移温度、及び融点を基準として温度設定を行うことで、樹脂チューブの効果的な曲げ成形が可能となる。また、最も融点の低い材料の上記各温度を基準とすることで、加熱しすぎによる樹脂層の軟化を抑制して効果的な曲げ成形を行うことができる。
第3の技術は、第1又は第2の技術において、前記複数の樹脂層は、ポリアミド樹脂からなる層と、フッ素系樹脂からなる層とを備えている。
本技術によれば、例えば、複数の樹脂層からなる積層樹脂チューブの内層及び外層としてそれぞれフッ素樹脂及びポリアミド樹脂からなる樹脂層を備えた樹脂チューブは、燃料配管用チューブとして有用であり、このような樹脂チューブの曲げ成形を効果的に行うことができる。
第4の技術は、第1〜3の技術において、前記樹脂材料はポリアミド樹脂であり、前記第1温度は、40℃以上190℃以下であり、前記第2温度は、130℃以上190℃以下である
本技術によれば、短時間に精度よく曲げ成形を行うことができる。また、曲げ成形後の形状戻りを抑制することができる。
第5の技術は、第1〜第4の技術において、前記樹脂材料はポリアミド樹脂であり、前記第1温度は、60℃以上177℃以下であり、前記第2温度は、150℃以上177℃以下であり、前記第1所定時間は、90秒以上180秒以下である
第6の技術は、第1〜第5の技術において、前記予熱工程において、前記第3温度は130℃以上145℃以下であり且つ前記第2所定時間は15秒以上30秒以下である。
本技術によれば、飽和水蒸気を用いることで、より低温短時間での予熱が可能となる。
以上述べたように、本発明によると、飽和水蒸気は、圧力を調節することで温度が自動的に決定するため、高速で加熱可能であり且つ精密な温度制御が可能となる。そうして、大掛かりな設備を必要とせず、短時間に精度よく曲げ成形を行うことができる。
図1は、曲げ加工が施される樹脂チューブの断面図である。 図2は、図1の樹脂チューブにおける樹脂チューブ本体を製造するための押出成形装置の概略図である。 図3は、図2の押出成形装置を用い、樹脂チューブを製造する手順を示す図である。 図4は、樹脂チューブの曲げ加工の手順を示す図である。 図5は、図4の予熱工程の手順を示す図である。 図6は、図5の予熱工程において使用する予熱装置を模式的に示す図である。 図7は、図4の成形工程の手順を示す図である。 図8は、図7の成形工程において使用する成形装置を模式的に示す図である。 図9は、実施例及び比較例の樹脂チューブの曲げ加工を行うための曲げ型を模式的に示す平面図である。 図10は、図9の曲げ型のA−A断面図である。 図11は、図9の曲げ型により曲げ加工が施された樹脂チューブを模式的に示す平面図である。 図12は、従来の予熱工程において使用する予熱装置を模式的に示す図である。 図13は、従来の成形工程において使用する成形装置を模式的に示す図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
<樹脂チューブ>
まず、本実施形態に係る曲げ加工方法を用いて曲げ加工される樹脂チューブ1について、図1を参照しながら説明する。なお、以下の樹脂チューブ1の構成及び製造方法は、特に限定されるものではなく、本実施形態に係る樹脂チューブの曲げ加工方法は、後述するように、種々の樹脂製のチューブ、ホース等に対して適用することができる。
−樹脂チューブの構成−
図1に示すように、樹脂チューブ1は、内径及び外径が一端側から他端側まで略一定である円管であって、径方向に積層された複数の樹脂層で形成された樹脂チューブ本体2と、その樹脂チューブ本体2の外表面を被覆するプロテクタ9とを備える。
樹脂チューブ本体2は、例えば、4mm以上30mm以下の内径と、6mm以上34mm以下の外径を有している。具体的には、内径6mm×外径8mm、内径10mm×外径12mm等の樹脂チューブ本体2を用いることができる。
プロテクタ9は、樹脂チューブ本体2の外径と同一の内径を有し且つ厚さtが1mm以上2mm以下、好ましくは1.5mmの管形状を有するゴム製の保護材である。樹脂チューブ本体2は、このプロテクタ9を外表面に装着した状態で、曲げ加工に供される。なお、プロテクタ9は、樹脂チューブ本体2の使用時においてその劣化を抑制するためのものであるが、プロテクタ9の有無は、必要に応じて適宜選択することができる。樹脂チューブ本体2の複数の樹脂層は、具体的には例えば、図1に示すように、内層4と、内層4の外側に積層された中間層5と、中間層5の外側に積層された接着層6と、接着層6の外側に積層された外層7の4層により構成されている。なお、樹脂チューブ本体2は、このように4層に限らず2層、3層、または5層以上の複数の樹脂層を備えた積層樹脂チューブであってもよいし、それぞれの樹脂層は異なる樹脂材料だけでなく同一の樹脂材料を積層させて形成してものであってもよい。また、樹脂チューブ本体2は、複数の樹脂層が積層された積層樹脂チューブに限定されるものではなく、単一の樹脂層からなる樹脂チューブであってもよい。
樹脂チューブ1は、例えば、自動車の燃料注入配管と燃料タンクとの連絡用、エンジンへ燃料を送る連絡用の配管、冷却水配管、ヒータユニットへのパイプ、エアホース等に用いられる。
図1に示すように、樹脂チューブ1の内層4は、例えば、0.02mm以上0.2mm以下の厚みを有し、その内表面は例えば燃料等が通過する通路8を形成している。中間層5、接着層6、外層7は、例えば、それぞれ0.02mm以上0.6mm以下、0.05mm以上0.3mm以下、0.5mm以上1.5mm以下の厚みを有している。
−樹脂チューブの材質−
内層4や中間層5を構成する樹脂材料は、例えば、耐燃料性等に優れたフッ素系樹脂等である。フッ素系樹脂は、具体的には例えば、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルエーテル共重合体(PFA)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、エチレン/テトラフルオロエチレン系共重合体(EFEP)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、フッ化ビニリデン/クロロトリフルオロエチレン共重合体、クロロトリフルオロエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル/クロロジフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン/ペンタフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/フッ化ビニリデン共重合体(THV)、フッ化ビニリデン/ペンタフルオロプロピレン/テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン/パーフルオロアルキルビニルエーテル/テトラフルオロエチレン共重合体等である。なお、これらのフッ素系樹脂のうち、優れた成形加工性を有するとの観点から、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)を使用することが好ましい。これらの樹脂は単独又は2種以上を混合して使用され得る。
なお、樹脂チューブ1が燃料配管として使用される場合、内層4の内壁は通路8を流れる燃料と接触する。そうすると、両者の摩擦により蓄積した静電荷がスパークして燃料に引火する場合がある。これを防止するために、内層4に導電性フィラーを混練させてもよい。この導電性フィラーとしては、例えば、銅、ニッケル等の金属粉末、鉄、ステンレス等の金属繊維、カーボンブラック、炭素繊維、炭素フィブリル等の導電性単体粉末や導電性単体繊維、酸化亜鉛等の導電性化合物の粉末、及びガラスビーズ、酸化チタン等の非導電性粉末の表面に金属スパッタリング、無電解メッキ等の導電化処理を施して得られる粉末である表面導電化処理粉末等が挙げられる。なお、経済性及び静電荷蓄積防止の観点から、導電性フィラーとしてカーボンブラックを使用することが好ましい。
接着層6は、中間層5と外層7との接着性を高める機能を有する。また、バリア性の高い樹脂材料を採用することで通路8を流れる流体の漏れを防止するバリア層としての機能をもたせることもできる。接着層6は、具体的には例えば、上述のフッ素系樹脂や、後述する外層7に使用されるナイロン系樹脂等から選択できる接着性・バリア性の高い樹脂、その他にエチレン/酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリアリレート(PAR)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリサルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリチオエーテルサルホン(PTES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアリルエーテルケトン(PAEK)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル/スチレン共重合体、メタクリロニトリル/スチレン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS)、メタクリロニトリル/スチレン/ブタジエン共重合体(MBS)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル(PEMA)、ポリにビルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、熱可塑性ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリサルホン(PSU)、高密度ポリエチレン(HDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン/プロピレン共重合体(EPR)、エチレン/ブテン共重合体(EBR)、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン/アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン/メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン/アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン/アクリル酸エチル(EEA)等が挙げられ、これらは接着機能性官能基を有していても構わないし、1種又は2種以上が重合されていても構わない。さらに、樹脂チューブ本体2の耐熱性、機械的強度や、層間接着性の観点から、上述のフッ素系樹脂、ポリアミド46、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612等のバリア性の高い脂肪族ポリアミドや、ポリアミド6T、ポリアミド6N、ポリアミド9T、ポリアミド9N、ポリアミド12T、ポリアミド12N等のバリア性の高い芳香族ポリアミドや、エチレン/酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)がより好ましく、この中でもエチレン/テトラフルオロエチレン系共重合体(EFEP)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル/クロロトリフルオロエチレン共重合体(CPT)等のフッ素系樹脂がより一層好ましい。これらは単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用することができる。
外層7は、例えば、比較的安価なナイロン系熱可塑性樹脂等により構成される。具体的には例えば、ポリアミド(PA)11、ポリアミド12、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド99、ポリアミド610、ポリアミド26、ポリアミド46、ポリアミド69、ポリアミド611、ポリアミド612、ポリアミド6T、ポリアミド6I、ポリアミド912、ポリアミドTMHT、ポリアミド9T、ポリアミド9I、ポリアミド9N、ポリアミド1010、ポリアミド1012、ポリアミド10T、ポリアミド10N、ポリアミド11T、ポリアミド11I、ポリアミド11N、ポリアミド1212、ポリアミド12T、ポリアミド12I、ポリアミド12N、ポリアミドMXD6、ポリアミドPACM12、ポリアミドジメチルPACM12等の脂肪族ポリアミドや芳香族ポリアミド等が挙げられ、少なくとも1種のポリアミドや、これらポリアミドの原料となるモノマーを数種類用いた共重合体が挙げられる。なお、樹脂チューブ1の耐熱性、機械的強度、及び層間接着性を向上させるとの観点から、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド46、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド6T、ポリアミド6N、ポリアミド9T、ポリアミド9N、ポリアミド12T、ポリアミド12N等を使用することが好ましく、このうち、ポリアミド11、ポリアミド12を使用することがより一層好ましい。これらは単独又は2種以上を混合して使用され得る。
−ガラス転移温度、結晶化温度及び融点について−
上述のフッ素系樹脂やナイロン系熱可塑性樹脂は、結晶性樹脂である。結晶性樹脂は、固化した状態では、一般に非晶質の部分と結晶性の部分とが混在している。
ここに、ガラス転移温度Tg(℃)は、非晶質の部分が軟化し始める温度であり、融点Tm(℃)は、結晶性の部分が融解する温度である。そして、結晶性樹脂の冷却工程において、結晶化速度が最も早くなる温度域が存在し、そのピーク温度を結晶化温度Tc(℃)という。結晶化温度Tcは一般に融点Tmよりも約50℃低いことが知られている。
−ビカット軟化温度−
ビカット軟化温度は耐熱性を示す指標としての値であり、ISO306B50法により求めることができる。
<樹脂チューブの製造方法>
次に、樹脂チューブ1の製造方法について、図2及び図3を参照しながら説明する。本実施形態における樹脂チューブ1は、図2に示す押出成形装置30を使用して押出成形により製造される。押出成形装置30は、樹脂チューブ1の層の数に対応する数(本実施形態では4つ)の押出成形機21とダイス22と冷却装置23と引取機24と切断機25とを有している。
図2及び図3に示すように、押出成形機21は、ホッパ21aより投入されたペレット状の樹脂を、シリンダ26内で加熱・溶融しながら(P1)、スクリュー27により混練して、シリンダ26のヘッド部から吐出する(P2)。
この樹脂の加熱・溶融温度は、例えば、シリンダ26に設置されたヒータ等により制御される。各押出成形機21から吐出された各溶融樹脂は、チューブ積層用のダイス22へと導かれる。
このダイス22には、図示はしないが、内層流路31、中間層流路32、接着層流路33、及び外層流路34が形成されていて、各流路31〜34を通過した溶融樹脂は、各流路31〜34の下流端に接続された合流流路35で積層されてチューブ状に成形される(P3)。
そして、ダイス22の合流流路35を通過したチューブ状の積層体は、冷却装置23へと送られて所定温度に冷却された後(P4)、引取機24へと送られて、切断機25にて所定長さに切断されて樹脂チューブ本体2を得る(P5)。そして、樹脂チューブ本体2にプロテクタ9を被せて(P6)、本実施形態における曲げ加工前の樹脂チューブ1が製造される。なお、プロテクタ9の長さは、樹脂チューブ本体2の長さよりも僅かに短く形成されており、プロテクタ9の両端から樹脂チューブ本体2の両端が僅かに飛び出した状態となっている。このプロテクタ9の長さは特に限定されるものではなく、樹脂チューブ本体2と同一の長さ、又は樹脂チューブ本体2よりも僅かに長い構成として、樹脂チューブ本体2全体を覆う構成としてもよい。また、曲げ成形を終えてから、両端を切り揃えて、樹脂チューブ本体2とプロテクタ9との長さを揃えるようにしてもよい。
<樹脂チューブの曲げ加工方法>
次に、本実施形態に係る樹脂チューブ1の曲げ加工方法について、図4〜図7を参照しながら説明する。
図4に示すように、樹脂チューブ1の曲げ加工の工程は、直管状の樹脂チューブ1を予熱する予熱工程S1と、予熱された樹脂チューブ1を曲げ形状が施された成形用の曲げ型内に配置する型入れ工程S2と、曲げ型に型入れされた樹脂チューブ1を加熱して成形する成形工程S3と、加熱成形された樹脂チューブ1を冷却する冷却工程S4と、及び冷却された樹脂チューブ1を曲げ型から脱型して曲げ加工が施された樹脂チューブ1を得る脱型工程S5とを含む。
−予熱工程−
予熱工程S1は、直管状の樹脂チューブ1を予熱して軟化させ、次の型入れ工程S2における型入れを容易にするための工程である。図5及び図6に、それぞれ予熱工程S1の手順及びその装置の構成を示す。
ここに、本実施形態に係る樹脂チューブの曲げ加工方法は、予熱工程S1において、樹脂チューブ1の内部のみに、飽和水蒸気を封入し予熱を行うことを特徴とする。
図12に従来の予熱工程に用いられる装置の概略を示す。従来の予熱工程では、炉18によって樹脂チューブ1を、例えば140℃15分間等の設定で加熱することで予熱を行っていた。炉18による加熱では、樹脂チューブ1の内外を効率よく加熱するためには、予熱温度を高くするか、又は予熱時間を長くすることが必要である。しかしながら、予熱温度を高くしすぎると結晶性樹脂の性質上結晶化が進みすぎて成形性が低下し得る。従って予熱時間を長くすることで対応する必要があった。
この点、飽和水蒸気は、後述するように、その圧力を調節することにより、温度を決定することができ、精密且つ短時間の温度制御が可能であるため、より低温短時間の予熱が可能となる。
具体的には、図5及び図6に示すように、コネクタ11a,11bに直管状の樹脂チューブ1の両端、具体的には、樹脂チューブ1の両端から僅かに飛び出した樹脂チューブ本体2の両端を取り付け、コネクタ11a,11bを介して配管16に接続する(S11)。
そして、配管16に接続された樹脂チューブ1の内部に、配管16を通じて所定圧力の飽和水蒸気12を導入する(S12)。なお、飽和水蒸気12は、減圧弁13により圧力が調整されて樹脂チューブ1内部に導入される。そうして、飽和水蒸気12が封入された状態で所定時間保持する(S13)。
所定時間が経過したところで、樹脂チューブ1の内部から、飽和水蒸気12をスチームトラップ14を介してドレン15に排出する(S14)。
その後、樹脂チューブ1を配管16から取り外す(S15)。そして、予熱された樹脂チューブ1は、次の型入れ工程S2に供される。
飽和水蒸気の温度T[℃]は、飽和水蒸気圧P[MPa]に依存することが一般に知られている。表1に、飽和水蒸気の温度Tと飽和水蒸気圧Pとの関係を示す。
Figure 0006809836
なお、地球上には大気圧が存在するため、飽和水蒸気の地球上での圧力は、下記式(1)で示されるゲージ圧P(以下、ここでいう飽和水蒸気圧とはゲージ圧のことであり、同一の符号Pで表す。)となる。
ゲージ圧P=絶対圧P−大気圧 ・・・(1)
但し、大気圧は、0.10MPaとすることができる。
従って、樹脂チューブ1の内部に導入する飽和水蒸気の圧力を表1に記載のゲージ圧Pとすることにより、飽和水蒸気の温度を調節することができる。
予熱工程S1において、飽和水蒸気の温度は、樹脂チューブ1の軟化を促進させるとともに、良好な成形性を得る観点から、樹脂チューブ1の樹脂チューブ本体2を形成する4つの樹脂層のうち、樹脂チューブ1の径方向の層厚さが最も大きい樹脂層、すなわち外層7を形成する材料のガラス転移温度以上ISO306B50法により測定したビカット軟化温度以下の予熱温度(第3温度)の飽和水蒸気を封入した状態で、所定の予熱時間(第2所定時間)保持する。
樹脂チューブ本体2を構成する複数の樹脂層のうち、層厚さが最も大きい樹脂層を形成する樹脂材料は、樹脂チューブの体積に占める割合が全ての樹脂材料の中で最大となる。従って、当該樹脂材料の結晶化温度、ガラス転移温度、及び融点を基準として温度設定を行うことで、樹脂チューブの効果的な曲げ成形が可能となる。
予熱温度は、具体的な樹脂材料に応じて適宜選択されることができるが、外層7の樹脂材料として例えばPA12等のポリアミド樹脂を採用する場合には、例えば、好ましくは40℃以上180℃未満、より好ましくは100℃以上160℃以下、特に好ましくは130℃以上145℃以下とすることができる。
なお、予熱温度は、樹脂チューブ本体2の4つの樹脂層を形成する材料のうち、最も融点の低い材料の結晶化温度以上融点以下としてもよい。これにより、加熱しすぎによる樹脂層の軟化を抑制して効果的な曲げ成形を行うことができる。
また、予熱時間は、具体的な樹脂材料に応じて適宜調節することができるが、例えば外層7の樹脂材料としてPA12等のポリアミド樹脂を採用する場合には、樹脂チューブ1の軟化を促進させるとともに、樹脂材料の結晶化の進行を抑えて良好な成形性を得る観点から、好ましくは10秒超、より好ましくは15秒以上、特に好ましくは20秒以上であり、また、好ましくは120秒以下、より好ましくは60秒以下、特に好ましくは30秒以下である。
なお、予熱工程S1において、飽和水蒸気は樹脂チューブ1の内部のみに導入し、樹脂チューブ1の外部は加熱を行わない。飽和水蒸気による内部からの加熱のみで十分に樹脂チューブ1の軟化が進み、良好な成形性が得られるためである。外部からの加熱を行うと加熱しすぎによる樹脂材料の結晶化が進み、樹脂チューブ1の割れや成形後の形状戻りの増大に繋がる虞がある。
−型入れ工程−
次に、予熱工程S1において予熱された樹脂チューブ1は、曲げ加工用の曲げ型10に型入れされる。
曲げ型10は、金属又は耐熱性樹脂製の成形型であり、所望の曲げ形状が施されている。
曲げ型10への型入れ方法は、特に限定されるものではないが、具体的には例えば手動により又は市販の型入れ装置等を用いて適宜行うことができる。
樹脂チューブ1を曲げ型10に配置した後、常温まで自然冷却する。
−成形工程−
成形工程S3は、曲げ型10に型入れされた樹脂チューブ1を加熱して成形するための工程である。図7及び図8に、それぞれ成形工程S3の手順及びその装置の構成を示す。
ここに、本実施形態に係る樹脂チューブの曲げ加工方法は、成形工程S3において、型入れされた樹脂チューブ1の外部の温度を炉により加熱するとともに、樹脂チューブ1の内部に飽和水蒸気を封入して樹脂チューブ1の内外を加熱し成形することを特徴とする。
図13に従来の成形工程に用いられる装置の概略を示す。従来の成形工程では、予熱工程S1と同様に、曲げ型10に型入れされた樹脂チューブ1を炉内に配置して、例えば165℃15分等の設定で加熱成形していた。成形工程S3では、樹脂材料の結晶化を促進させることが有効であるため、成形温度を予熱温度よりも高くすることができるが、成形後の形状戻りの小さい樹脂チューブ1を得る観点から樹脂チューブ1の内側まで十分に加熱するために十分な成形時間を確保する必要がある。
この点、飽和水蒸気は、予熱工程S1において上述したように、精密且つ短時間の温度制御が可能であるため、飽和水蒸気を樹脂チューブ1の内部に封入することで樹脂チューブ1の内側から効果的に樹脂チューブ1を加熱することができるとともに、樹脂チューブ1の外部は炉加熱を行うことで、より短時間の加熱で成形後の形状戻りの小さい樹脂チューブ1を得ることができる。
具体的には、図7及び図8に示すように、予熱工程S1と同様にコネクタ11a,11bに曲げ型10に型入れされた樹脂チューブ1の両端、具体的には、樹脂チューブ1の両端から僅かに飛び出した樹脂チューブ本体2の両端を取り付け、コネクタ11a,11bを介して配管16に接続する(S31)。そして、配管16に接続された樹脂チューブ1を所定の炉温度(第1温度)に加熱された炉18内に配置する(S32)。
そして、配管16に接続された樹脂チューブ1の内部に、配管16を通じて、所定圧力、すなわち所定の蒸気温度(第2温度)の飽和水蒸気12を導入する(S33)。
なお、飽和水蒸気12は、減圧弁13により圧力が調整されて樹脂チューブ1内部に導入される。そうして、飽和水蒸気12が封入された状態で所定の成形時間(第1所定時間)保持する(S34)。
所定の成形時間が経過したところで、樹脂チューブ1の内部から、飽和水蒸気12をスチームトラップ14を介してドレン15に排出する(S35)。
その後、樹脂チューブ1を炉18から取り出し(S36)、続いて配管16から取り外す(S36)。そして、予熱された樹脂チューブ1は、次の冷却工程S4に供される。
このとき、炉温度は、具体的な樹脂材料に応じて適宜選択されることができるが、成形後の形状戻りを低減する観点から、樹脂チューブ1の樹脂チューブ本体2を形成する外層7の樹脂材料のガラス転移温度以上融点以下に設定する。具体的には、外層7の樹脂材料として例えばPA12等のポリアミド樹脂を採用する場合には、好ましくは40℃以上190℃以下、より好ましくは60℃以上180℃以下、特に好ましくは100℃以上177℃以下である。
また、蒸気温度も、具体的な樹脂材料に応じて適宜選択されることができるが、成形後の形状戻りを低減する観点から、外層7の樹脂材料の結晶化温度以上融点以下に設定する。具体的には、外層7の樹脂材料として例えばPA12等のポリアミド樹脂を採用する場合には、好ましくは130℃以上190℃以下、より好ましくは140℃以上180℃以下、特に好ましくは150℃以上177℃以下である。
成形時間は、具体的な樹脂材料に応じて適宜調節することができるが、例えば外層7の樹脂材料としてPA12等のポリアミド樹脂を採用する場合には、成形後の形状戻りを低減する観点から、好ましくは60秒超、より好ましくは70秒以上、特に好ましくは90秒以上、また、好ましくは300秒以下、より好ましくは250秒以下、特に好ましくは180秒以下である。
なお、成形工程S3において、樹脂チューブ1の外部も飽和水蒸気により加熱する構成とすることもできる。但し、装置のコンパクト化、成形工程S3の簡潔化の観点から、飽和水蒸気を樹脂チューブ1の内部のみに封入し、外部は炉18により加熱する構成とすることがより好ましい。
−冷却工程−
冷却工程S4では、成形工程S3後の樹脂チューブ1を冷却させて樹脂材料を固化させ、曲げ形状を固定化させる工程である。冷却方法は、特に限定されるものではないが、具体的には例えば常温大気中に放置することによる自然冷却、冷却水中に水没させることによる水冷、あるいは成形工程S3において工程S36で炉18から樹脂チューブ1を取り出すことなく炉18内に放置することによる炉冷等の手段を採用することができる。
−脱型工程−
脱型工程S5は、冷却された樹脂チューブ1を曲げ型10から脱型して、曲げ加工が施された樹脂チューブ1を得る工程である。脱型方法は特に限定されるものではないが、例えば手動等により行うことができる。
以上述べたように、本実施形態に係る樹脂チューブの曲げ加工方法によれば、予熱工程S1及び成形工程S3において、樹脂チューブ1の内部に飽和水蒸気を導入して加熱を行うことで、より短時間で、成形性に優れるとともに成形後の形状戻りの小さい曲げ加工が施された樹脂チューブ1を得ることができる。
次に、具体的に実施した実施例について説明する。
(樹脂チューブの作製)
内層用の押出成形機、中間層用の押出成形機、接着層用の押出成形機、及び外層用の押出成形機から、各層の材料となる樹脂を押し出して、チューブ積層用のダイスにより、各樹脂を積層してチューブ状に成形した。
次いで、チューブ状の積層体を冷却した後、切断機により、積層体を350mmの長さに切断して、内層(厚み:0.05mm)、中間層(厚み:0.2mm)、接着層(厚み:0.05mm)、及び外層(厚み:0.7mm)からなる樹脂チューブ本体2を作製した。
なお、内層をETFE(ダイキン工業(株)製、商品名:ネオフロンEP610AS)により形成するとともに、中間層をETFE(ダイキン工業(株)製)、商品名:ネオフロンEP526)により形成した。また、接着層をEFEP(ダイキン工業(株)製)、商品名:ネオフロンRP5000)により形成するとともに、外層をPA12(ダイセル・エボニック(株)製、商品名:ベスタミドLX9001、ガラス転移温度約40℃、結晶化温度約130℃、ISO306B50法により測定されたビカット軟化温度145℃、融点177℃)により形成した。
樹脂チューブ本体2に厚さ1mmのゴム製のプロテクタを被せて樹脂チューブ1を作製した。
なお、樹脂チューブ本体2の内径は6.3mmであった。
(樹脂チューブの曲げ加工)
実施例1〜38、及び比較例1〜13において、後述する条件により、予熱工程、型入れ工程、成形工程、冷却工程、脱型工程を経て曲げ加工された樹脂チューブ1を得た。なお、得られた樹脂チューブ1の曲げ加工精度を評価するため、脱型工程後に後述する戻りテストを行った。
−予熱温度及び時間について(実施例1〜8、比較例1〜10)−
予熱工程における予熱温度及び予熱時間を変化させて、曲げ成形後の樹脂チューブについて評価した。試験条件、評価条件及び試験結果を表2、表3に示す。
Figure 0006809836
Figure 0006809836
表3に示す予熱工程条件により予熱を行った後、図9のハテナ型に型入れを行い、常温まで自然冷却した。その後、飽和水蒸気温度165℃、炉温度160℃、成形時間180秒で成形を行った。そして、表2の冷却工程後、戻りテストを行った。なお、成形時間は飽和水蒸気の導入開始から排出終了までの時間である。
表3において、比較例1に示すように、予熱温度140℃、予熱時間10秒では、扁平率W及び戻り角度αは良好な値が得られているものの、樹脂チューブに折れが観察された。一方、実施例1〜8に示すように、予熱温度140℃、予熱時間20秒〜120秒では、扁平率W、戻り角度α、及び折れ観察のいずれにおいても良好な結果が得られた。
また、比較例2〜10に示すように、予熱温度165℃では、予熱時間によらず、樹脂チューブは折れやすい傾向があることが判った。また、比較例7〜10の予熱時間60秒以上では扁平率Wが次第に大きくなり、比較例10の予熱時間120秒では16.3%を超える値となった。そして、戻り角度αは、比較例7〜10の予熱時間60秒以上で10度以上となった。
−成形工程の飽和水蒸気温度について(実施例9〜15)−
成形工程において、樹脂チューブ内部に導入する飽和水蒸気温度を変化させて、曲げ成形後の樹脂チューブについて評価した。試験条件、評価条件及び試験結果を表2、表4に示す。
Figure 0006809836
予熱温度140℃で30秒間予熱を行った後、ハテナ型に型入れを行って常温まで自然冷却した。次に、表4に示す飽和水蒸気温度、炉温度165℃、成形時間180秒で成形を行った。そして、表2の冷却工程後、戻りテストを行った。
実施例9〜15に示すように、蒸気温度150℃以上では、戻り角度αは、3〜9度となり、良好な結果が得られた。特に実施例12〜15の蒸気温度160℃以上では、扁平率Wが10.0%以下、戻り角度αは5度以下となり、優れた結果が得られた。
−成形工程の炉温度について(実施例16〜26)−
成形工程において、樹脂チューブ外部の炉温度を変化させて、曲げ成形後の樹脂チューブについて評価した。試験条件、評価条件及び試験結果を表2、表5に示す。
Figure 0006809836
予熱温度140℃で30秒間予熱を行った後、ハテナ型に型入れを行って常温まで自然冷却した。次に、飽和水蒸気温度165℃、表5に示す炉温度、成形時間180秒で成形を行った。そして、表2の冷却工程後、戻りテストを行った。
実施例15〜25に示すように、炉温度60〜160℃において、扁平率W及び戻り角度α共に良好な値を示した。特に実施例19〜25の炉温度100℃以上では、扁平率Wが10.0%以下、戻り角度αが5度以下となり、優れた結果が得られた。
−成形工程の成形時間について(実施例27〜38、比較例11〜13)−
成形工程において、成形時間を変化させて、曲げ成形後の樹脂チューブについて評価した。試験条件、評価条件及び試験結果を表2、表6に示す。
Figure 0006809836
予熱温度140℃で30秒間予熱を行った後、ハテナ型に型入れを行って常温まで自然冷却した。次に、飽和水蒸気温度165℃、炉温度160℃、表6に示す成形時間で成形を行った。そして、表2の冷却工程後、戻りテストを行った。
比較例11〜13に示すように、成形時間40〜60秒では、戻り角度αが10度以上となった。一方、実施例27〜38に示すように、成形時間70〜180秒において、扁平率W及び戻り角度α共に良好な値を示した。特に実施例28〜37の成形時間90〜180秒では、扁平率Wが10.0%以下、戻り角度αが5度以下となり、優れた結果が得られた。
1 樹脂チューブ
2 樹脂チューブ本体
4 内層(樹脂層)
5 中間層(樹脂層)
6 接着層(樹脂層)
7 外層(樹脂層)
10 曲げ型
S1 予熱工程
S2 型入れ工程
S3 成形工程
12 飽和水蒸気

Claims (6)

  1. 樹脂チューブを予熱する予熱工程と、
    前記予熱された樹脂チューブを曲げ型内に配置する型入れ工程と、
    前記型入れされた樹脂チューブを加熱して成形する成形工程と
    を備えた樹脂チューブの曲げ加工方法であって、
    前記成形工程は、前記型入れされた樹脂チューブの外部の温度を該樹脂チューブを形成する樹脂材料のガラス転移温度以上融点以下の第1温度とするとともに、前記型入れされた樹脂チューブの内部に該樹脂チューブを形成する前記樹脂材料の結晶化温度以上融点以下の第2温度の飽和水蒸気を封入した状態で、第1所定時間保持する工程であり、
    前記第1所定時間は、70秒以上300秒以下であり、
    前記予熱工程は、前記樹脂チューブの内部のみに、前記樹脂材料のガラス転移温度以上ISO306B50法により測定されたビカット軟化温度以下の第3温度の飽和水蒸気を封入した状態で第2所定時間保持する工程であり、
    前記第3温度は、160℃以下であり、
    前記第2所定時間は、15秒以上120秒以下であることを特徴とする樹脂チューブの曲げ加工方法。
  2. 前記樹脂チューブは、積層された複数の樹脂層を備え、
    前記樹脂材料は、
    前記複数の樹脂層のうち、前記樹脂チューブの径方向の層厚さが最も大きい樹脂層を形成する材料か、又は、
    前記複数の樹脂層を形成する材料のうち、最も融点の低い材料であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂チューブの曲げ加工方法。
  3. 前記複数の樹脂層は、ポリアミド樹脂からなる層と、フッ素系樹脂からなる層とを備えたことを特徴とする請求項2に記載の樹脂チューブの曲げ加工方法。
  4. 前記樹脂材料はポリアミド樹脂であり、
    前記第1温度は、40℃以上190℃以下であり、
    前記第2温度は、130℃以上190℃以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂チューブの曲げ加工方法。
  5. 前記樹脂材料はポリアミド樹脂であり、
    前記第1温度は、60℃以上177℃以下であり、
    前記第2温度は、150℃以上177℃以下であり、
    前記第1所定時間は、90秒以上180秒以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂チューブの曲げ加工方法。
  6. 前記予熱工程において、前記第3温度は130℃以上145℃以下であり且つ前記第2所定時間は15秒以上30秒以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の樹脂チューブの曲げ加工方法。
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