JP2019038254A - 積層体およびチューブ - Google Patents

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祐己 桑嶋
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Abstract

【課題】燃料低透過性に優れた積層体の提供。【解決手段】クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体を含有する層11を備える積層体からなるチューブ10であって、好ましくはクロロスルホン化ポリエチレン(CSM)を含有する層12、および、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体を含有する層11を備えるチューブ。または、少なくとも3層を備えるチューブであって、少なくとも1層がフッ素ゴムを含有する層であり、少なくとも1層がクロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体を含有する層であり、フッ素ゴムを含有する層とクロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体を含有する層とが隣接しているチューブ。【選択図】図1

Description

本開示は、積層体およびチューブに関する。
チューブからの燃料の拡散を抑制することを目的に、フッ素樹脂で構成した層を設けた自動車用燃料ホースが提案されている。たとえば、特許文献1では、燃料を流通させる環状の内層と、その外周の燃料低透過層を備え、上記内層と燃料低透過層とがそれぞれ界面を接した状態で積層され、かつ、上記内層が官能基を有するフッ素系樹脂で構成され、上記燃料低透過層がナフタレン環を有するポリエステル系樹脂で構成されていることを特徴とする自動車用燃料系ホースが提案されている。
特開2004−90405号公報
本開示では、燃料低透過性に優れた積層体を提供することを目的とする。
[1]クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体を含有する層を備える積層体。
[2]クロロスルホン化ポリエチレンを含有する層(a1)、および、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体を含有する層(a2)を備えるチューブ。
[3]フッ素ゴムを含有する層(a3)をさらに備える[2]に記載のチューブ。
[4]前記クロロスルホン化ポリエチレンを含有する層(a1)が、最外層を構成する[2]または[3]に記載のチューブ。
[5]前記クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体を含有する層(a2)が、最内層を構成する[2]または[3]に記載のチューブ。
[6]前記フッ素ゴムを含有する層(a3)が、最内層を構成しており、前記クロロスルホン化ポリエチレンを含有する層(a1)が、最外層を構成しており、前記クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体を含有する層(a2)が、層(a1)と層(a3)との間に設けられている[3]に記載のチューブ。
[7]少なくとも3層を備えるチューブであって、少なくとも1層が、フッ素ゴムを含有する層(b1)であり、少なくとも1層が、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体を含有する層(b2)であり、層(b1)および層(b2)が隣接しているチューブ。
[8]前記フッ素ゴムを含有する層(b1)が、最内層を構成する[7]に記載のチューブ。
[9]非フッ素ゴムを含有する層(b3)をさらに備える[7]または[8]に記載のチューブ。
[10]前記非フッ素ゴムを含有する層(b3)が、最外層を構成する[9]に記載のチューブ。
[11]層(b3)が含有する前記非フッ素ゴムが、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物(HNBR)、ポリ塩化ビニル(PVC)とNBRまたはHNBRとのブレンドゴム、エチレンアクリルゴム(AEM)とNBRまたはHNBRとのブレンドゴム、ならびに、フッ素ゴムからなる群より選択される少なくとも1種のポリマー材料である[9]に記載のチューブ。
[12]少なくとも5層を備えるチューブであって、少なくとも1層が、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体を含有する層(c1)であるチューブ。
[13]前記クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体を含有する層(c1)が、最外層と最内層との間に設けられている[12]に記載のチューブ。
[14]少なくとも1層が、フッ素ゴムを含有する層(c2)であり、層(c2)が最内層を構成している[12]または[13]に記載のチューブ。
[15]少なくとも1層が、ポリ塩化ビニルとアクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはアクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物とのブレンドゴムを含有する層(c3)であり、層(c3)が最内層または最外層を構成している[12]または[13]に記載のチューブ。
[16]最内層、内層、中間層、外層および最外層を備えており、前記クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体を含有する層(c1)が、中間層を構成しており、最内層および最外層が、非フッ素ゴムまたはフッ素ゴムを含有しており、内層および外層が、非フッ素ゴムを含有する[12]または[13]に記載のチューブ。
[17]ポリ塩化ビニルとアクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはアクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物とのブレンドゴムを含有する層(d1)、および、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体を含有する層(d2)を備えるチューブであって、層(d1)が最内層であるか、または、層(d1)および層(d2)が隣接しているチューブ。
[18]前記クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体を含有する層(d2)が最内層を構成しており、ポリ塩化ビニルとアクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはアクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物とのブレンドゴムを含有する層(d1)が最外層を構成している[17]に記載のチューブ。
[19]非フッ素ゴム(ただし、ポリ塩化ビニルとアクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはアクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物とのブレンドゴムを除く)またはフッ素ゴムを含有する層(d3)をさらに備える[17]に記載のチューブ。
[20]前記ポリ塩化ビニルとアクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはアクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物とのブレンドゴム(d1)が最内層を構成しており、前記非フッ素ゴムまたはフッ素ゴムを含有する層(d3)が最外層を構成しており、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体を含有する層(d2)が、最内層と最外層との間に設けられている[19]に記載のチューブ。
[21]前記非フッ素ゴムまたはフッ素ゴムを含有する層(d3)が最内層を構成しており、前記ポリ塩化ビニルとアクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはアクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物とのブレンドゴムを含有する層(d1)が最外層を構成しており、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体を含有する層(d2)が、最内層と最外層との間に設けられており、層(d1)および層(d2)が隣接している[19]に記載のチューブ。
[22]少なくとも4層を備えるチューブであって、少なくとも1層が、エチレンアクリルゴムとアクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはアクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物とのブレンドゴムを含有する層(e1)、および、少なくとも1層が、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体を含有する層(e2)であるチューブ。
[23]前記エチレンアクリルゴムとアクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはアクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物とのブレンドゴムを含有する層(e1)が最外層を構成する[22]に記載のチューブ。
[24]少なくとも1層が、非フッ素ゴム(ただし、エチレンアクリルゴムとアクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはアクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物とのブレンドゴムを除く)またはフッ素ゴムを含有する層(e3)であり、少なくとも1層が、非フッ素ゴム(ただし、エチレンアクリルゴムとアクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはアクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物とのブレンドゴムを除く)を含有する層(e4)である[22]または[23]に記載のチューブ。
[25]最内層、内層、中間層および最外層を備えており、前記非フッ素ゴム(ただし、エチレンアクリルゴムとアクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはアクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物とのブレンドゴムを除く)またはフッ素ゴムを含有する層(e3)が最内層を構成しており、前記非フッ素ゴム(ただし、エチレンアクリルゴムとアクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはアクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物とのブレンドゴムを除く)を含有する層(e4)が内層を構成しており、前記クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体を含有する層(e2)が中間層を構成しており、前記エチレンアクリルゴムとアクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはアクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物とのブレンドゴムを含有する層(e1)が最外層を構成している[24]にチューブ。
[26]層(e3)がフッ素ゴムを含有する[25]に記載のチューブ。
[27]クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体、および、導電性フィラーを含有する最内層(f1)を備えるチューブ。
[28]最内層(f1)上に、非フッ素ゴムを含有する層(f2)をさらに備える[27]に記載のチューブ。
[29]最内層(f1)上に、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体を含有する層(f3)をさらに備える[27]に記載のチューブ。
[30]層(f3)上に、非フッ素ゴムを含有する層(f4)をさらに備える[29]に記載のチューブ。
[31]層(f3)が、導電性フィラーを含有しない[29]または[30]に記載のチューブ。
[32]クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体を含有する最内層(g1)、および、最内層(g1)に隣接する隣接層(g2)を備えるチューブであって、隣接層(g2)が、エチレンアクリルゴムとアクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはアクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物とのブレンドゴムを含有するか、または、隣接層(g2)の外側に、少なくとも1層からなる外層をさらに備えるチューブ。
[33]隣接層(g2)が、エチレンアクリルゴムとアクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはアクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物とのブレンドゴムを含有し、かつ、最外層を構成する[32]に記載のチューブ。
[34]最内層(g1)が、導電性フィラーをさらに含有しており、隣接層(g2)が、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体を含有する[32]に記載のチューブ。
[35]隣接層(g2)の外側に、少なくとも1層からなる外層をさらに備えており、前記外層が、非フッ素ゴムを含有する[32]または[34]に記載のチューブ。
[36]隣接層(g2)の外側に、少なくとも2層からなる外層をさらに備えており、前記外層のうち1層が、エピクロルヒドリンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴムおよびアクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物からなる群より選択される少なくとも1種を含有しており、外層のうち他の一層が、エピクロルヒドリンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、および、ポリ塩化ビニルとアクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはアクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物とのブレンドゴムからなる群より選択される少なくとも1種を含有している[32]または[34]に記載のチューブ。
本開示によれば、燃料低透過性に優れた積層体を提供することができる。
図1は、本開示の実施形態1に係るチューブの断面図の一例である。 図2は、本開示の実施形態2に係るチューブの断面図の一例である。 図3は、本開示の実施形態3に係るチューブの断面図の一例である。 図4は、本開示の実施形態4に係るチューブの断面図の一例である。 図5は、本開示の実施形態5に係るチューブの断面図の一例である。 図6は、本開示の実施形態6に係るチューブの断面図の一例である。 図7は、本開示の実施形態7に係るチューブの断面図の一例である。
以下、本開示の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本開示は、以下の実施形態に限定されるものではない。
本開示の積層体は、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体を含有する層を備える。
本開示の積層体の形状は、特に限定されず、フィルム形状、シート形状、チューブ形状、ホース形状、ボトル形状、タンク形状等の各種形状とすることができる。フィルム形状、シート形状、チューブ形状、ホース形状は、波形形状、蛇腹(corrugated)形状、渦巻き(convoluted)形状等であってもよい。本開示の積層体は、本開示の積層体が有する優れた特性を最大限に享受できることから、チューブであることが好ましい。
次に、本開示の実施形態について図面を参照しながら説明する。以下の実施形態では、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体を含有する層を備えるチューブの例を説明する。
<実施形態1>
本開示の実施形態1に係るチューブは、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)を含有する層(a1)、および、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体を含有する層(a2)を備える。
この構成を備えるチューブは、耐老化性、耐オゾン性、耐候性、耐摩耗性に優れており、しかも、燃料の透過を十分に抑制することができる。また、層(a2)が内層である場合には、層(a2)により燃料の透過が十分に抑制され、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)を含有する層(a1)に達し難いことから、耐油性に優れているとは言い難いクロロスルホン化ポリエチレン(CSM)の劣化を抑制することができる
図1に本開示の実施形態1に係るチューブの断面図の一例を示す。図1に示すチューブ10は、最内層11として、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体を含有する層(a2)と、最外層12として、クロロスルホン化ポリエチレンを含有する層(a1)とを備えている。
図1に示すチューブ10では、層(a1)が最内層を構成しており、層(a2)が最外層を形成しており、層(a1)および層(a2)が隣接している。実施形態1に係るチューブは、2層のみを備えるものであっても、柔軟性を有するとともに、燃料低透過性に優れる。
実施形態1に係るチューブにおいては、クロロスルホン化ポリエチレンを含有する層(a1)が、最外層を構成することが、好適な態様の一つである。この構成を備えることにより、チューブの耐老化性、耐オゾン性、耐候性、耐摩耗性が、より一層優れたものとなる。
また、実施形態1に係るチューブにおいては、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体を含有する層(a2)が、最内層を構成することが、好適な態様の一つである。この構成を備えることにより、チューブの燃料低透過性がより一層優れたものとなる。
図1に示すチューブ10は、2層のみを備えるチューブであるが、実施形態1に係るチューブは、層(a1)および層(a2)以外の他の層を備えるものであってもよい。他の層は、層(a1)と層(a2)との間に設けられていてもよいし、層(a1)および層(a2)よりも、内側または外側に設けられていてもよい。
実施形態1に係るチューブに用いる他の層は、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体および導電性フィラー、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物(HNBR)、ポリ塩化ビニル(PVC)とNBRまたはHNBRとのブレンドゴム、エチレンアクリルゴム(AEM)とNBRまたはHNBRとのブレンドゴム、エピクロルヒドリンゴム(ECO)、ならびに、フッ素ゴムからなる群より選択される少なくとも1種のポリマー材料を含有することが好ましい。
実施形態1に係るチューブは、フッ素ゴムを含有する層(a3)をさらに備えることができる。フッ素ゴムを含有する層(a3)を備えるチューブは、耐熱性に一層優れる。
実施形態1に係るチューブは、フッ素ゴムを含有する層(a3)が、最内層を構成しており、クロロスルホン化ポリエチレンを含有する層(a1)が、最外層を構成しており、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体を含有する層(a2)が、層(a1)と層(a3)との間に設けられているチューブであってもよい。この構成を備えることにより、チューブの耐老化性、耐オゾン性、耐候性、耐摩耗性および燃料低透過性がより一層優れたものとなるとともに、高い層間接着性を得ることもできる。
次に、実施形態1に係るチューブを、実施例をあげて説明する。
この実施例では、最内層材料としてNBR+PVC(NBR:PVC=70:30(質量比))、内層材料としてNBR、中間層材料としてクロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体、外層材料としてNBR、最外層材料としてCSMを用いた。
また、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体として、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)/パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)/テトラフルオロエチレン(TFE)共重合体(CTFE/PPVE/TFE=21.3/2.4/76.3(モル%))を用いた。
押出成形機を用いて、各層を構成するポリマー材料を押出成形して、未加硫のチューブを得た。得られた未加硫のチューブを、加硫缶を用いて160℃、40分間蒸気加硫し、5層構成からなる燃料用ホースを得た。各層の厚みは、それぞれ最内層が0.5mm、内層が0.5mm、中間層が0.15mm、外層が0.5mm、最外層が1.5mmであった。
接着試験をするため、得られた燃料用ホースを2cmの長さになるようにカットした。その後、ホースの押出方向にカットして円周方向の接着強度を測定しようとしたが、材料破壊が生じて、いずれの層間も剥離不可能であった。
実施形態1に係るチューブは、上記の実施例のみに限定されるものではない。実施形態1に係るチューブの好適な例示には、表1に示す層構成を備えるチューブが含まれる。表1に示す層構成は、好ましい例示であって、本開示の実施形態1に係るチューブの層構成、適用範囲および用途を制限することを意図するものではない。
Figure 2019038254
表1中の略号は、それぞれ、次のポリマー材料を表す。
CSM:クロロスルホン化ポリエチレン
NBR:アクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはアクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物
NBR+PVC:ポリ塩化ビニルとNBRまたはHNBRとのブレンドゴム
NBR+AEM:エチレンアクリルゴムとNBRまたはHNBRとのブレンドゴム
ECO:エピクロルヒドリンゴム
FKM:フッ素ゴム
CP:クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体
CPAS:クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体および導電性フィラー
<実施形態2>
本開示の実施形態2に係るチューブは、少なくとも3層を備えるチューブであって、少なくとも1層が、フッ素ゴムを含有する層(b1)であり、少なくとも1層が、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体を含有する層(b2)であり、層(b1)および層(b2)が隣接している。
この構成を備えるチューブは、耐熱性、低抽出性および耐薬品性に優れるとともに、層(b1)および層(b2)が強固に接着している。そのため、積層体の厚み方向への燃料の透過を高い水準で抑制できるだけではなく、長さ方向への燃料の透過をも抑制できるため、ホース全体としての燃料の透過を十分に抑制することができる。
図2に本開示の実施形態2に係るチューブの断面図の一例を示す。図2に示すチューブ20は、最内層21として、フッ素ゴムを含有する層(b1)と、中間層22として、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体を含有する層(b2)と、最外層23として、非フッ素ゴムを含有する層(b3)と、を備えている。
このように、実施形態2に係るチューブは、非フッ素ゴムを含有する層(b3)をさらに備えることができる。非フッ素ゴムを含有する層(b3)を備えるチューブは、耐熱性および耐薬品性に一層優れ、燃料低透過性にも一層優れる。
層(b3)が含有する非フッ素ゴムとしては、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物(HNBR)、ポリ塩化ビニル(PVC)とNBRまたはHNBRとのブレンドゴム、エチレンアクリルゴム(AEM)とNBRまたはHNBRとのブレンドゴム、ならびに、エピクロルヒドリンゴム(ECO)からなる群より選択される少なくとも1種のポリマー材料が好ましい。
図2に示すチューブ20では、層(b1)が最内層を構成しており、層(b2)が中間層を構成しており、層(b3)が最外層を構成しており、層(b1)および層(b2)、ならびに、層(b2)および層(b3)が隣接している。実施形態2に係るチューブは、3層のみを備えるものであっても、柔軟性を有するとともに、燃料低透過性に一層優れる。
実施形態2に係るチューブにおいては、フッ素ゴムを含有する層(b1)が、最内層を構成することが、好適な態様の一つである。この構成を備えることにより、チューブの耐熱性および耐薬品性が、より一層優れたものとなる。
また、実施形態2に係るチューブにおいては、非フッ素ゴムを含有する層(b3)が、最外層を構成することが、好適な態様の一つである。この構成を備えることにより、チューブの柔軟性、低抽出性および耐久性が、より一層優れたものとなる。
図2に示すチューブ20は、3層のみを備えるチューブであるが、実施形態2に係るチューブは、層(b1)〜層(b3)以外の他の層を有するものであってもよい。他の層は、層(b1)と層(b2)との間以外の位置に設けることができ、たとえば、層(b2)と層(b3)との間に設けられていてもよいし、層(b1)〜層(b3)よりも内側または外側に設けられていてもよい。
実施形態2に係るチューブに用いる他の層は、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体および導電性フィラー、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物(HNBR)、ポリ塩化ビニル(PVC)とNBRまたはHNBRとのブレンドゴム、エチレンアクリルゴム(AEM)とNBRまたはHNBRとのブレンドゴム、エピクロルヒドリンゴム(ECO)、ならびに、フッ素ゴムからなる群より選択される少なくとも1種のポリマー材料を含有することが好ましい。
なかでも、実施形態2に係るチューブに用いる他の層は、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物(HNBR)、ポリ塩化ビニル(PVC)とNBRまたはHNBRとのブレンドゴム、エチレンアクリルゴム(AEM)とNBRまたはHNBRとのブレンドゴム、ならびに、フッ素ゴムからなる群より選択される少なくとも1種のポリマー材料を含有することが好ましい。
次に、実施形態2に係るチューブを、実施例をあげて説明する。
この実施例では、最内層材料としてフッ素ゴム、中間層材料としてクロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体、外層材料としてNBR、最外層材料としてNBR+PVC(NBR:PVC=70:30(質量比))を用いた。
また、フッ素ゴムとして、ビニリデンフルオライド(VdF)/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)/テトラフルオロエチレン(TFE)共重合体(VdF/HFP/TFE=57.5/22.2/20.3(モル%))、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体として、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)/パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)/テトラフルオロエチレン(TFE)共重合体(CTFE/PPVE/TFE=21.3/2.4/76.3(モル%))を用いた。
押出成形機を用いて、各層を構成するポリマー材料を押出成形して、未加硫のチューブを得た。得られた未加硫のチューブを、加硫缶を用いて160℃、40分間蒸気加硫し、4層構成からなる燃料用ホースを得た。各層の厚みは、それぞれ最内層が1mm、中間層が0.15mm、外層が0.5mm、最外層が1.5mmであった。
接着試験をするため、得られたホースを2cmの長さになるようにカットした。その後、ホースの押出方向にカットして円周方向の接着強度を測定しようとしたが、材料破壊が生じて、いずれの層間も剥離不可能であった。
実施形態2に係るチューブは、上記の実施例のみに限定されるものではない。実施形態2に係るチューブの好適な例示には、表2に示す層構成を備えるチューブが含まれる。表2に示す層構成は、好ましい例示であって、本開示の実施形態2に係るチューブの層構成、適用範囲および用途を制限することを意図するものではない。
Figure 2019038254
表2中の略号は、それぞれ、次のポリマー材料を表す。
CSM:クロロスルホン化ポリエチレン
NBR:アクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはアクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物
NBR+PVC:ポリ塩化ビニルとNBRまたはHNBRとのブレンドゴム
NBR+AEM:エチレンアクリルゴムとNBRまたはHNBRとのブレンドゴム
ECO:エピクロルヒドリンゴム
FKM:フッ素ゴム
CP:クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体
CPAS:クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体および導電性フィラー
<実施形態3>
本開示の実施形態3に係るチューブは、少なくとも5層を備えるチューブであって、少なくとも1層が、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体を含有する層(c1)である。
この構成を備えるチューブは、燃料チューブなどのチューブに求められる要求特性をバランス良く有しており、しかも、燃料の透過を十分に抑制することができる。
図3に本開示の実施形態3に係るチューブの断面図の一例を示す。図3に示すチューブ30は、最内層31、内層32、中間層33、外層34および最外層35を備えており、中間層33が、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体を含有している。また、最内層31、内層32、外層34および最外層35は、非フッ素ゴムまたはフッ素ゴムを含有している。
実施形態3に係るチューブにおいては、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体を含有する層(c1)が、最外層と最内層との間に設けられていることが好ましい。この構成を備えることにより、チューブの燃料低透過性が一層優れたものとなるとともに、層間接着性も向上する。
図3に示すチューブでは、中間層33がクロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体により構成されているが、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体により構成する層の位置は特に限定されず、最内層31、内層32、外層34および最外層35のいずれかかが、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体を含有すればよい。また、2以上の層がクロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体を含有してもよい。なかでも、中間層33が、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体を含有することが、燃料低透過性に優れる同時に、他の特性にも優れた積層体を得ることが容易であることから、好ましい。
クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体を含有する層以外の層は、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物(HNBR)、ポリ塩化ビニル(PVC)とNBRまたはHNBRとのブレンドゴム、エチレンアクリルゴム(AEM)とNBRまたはHNBRとのブレンドゴム、エピクロルヒドリンゴム(ECO)、ならびに、フッ素ゴムからなる群より選択される少なくとも1種のポリマー材料を含有することが好ましい。
実施形態3に係るチューブは、5層のみを備えるものであっても、柔軟性を有するとともに、燃料低透過性に優れる。
図3に示すチューブ30は、5層のみを備えるチューブであるが、実施形態3に係るチューブは、層31〜層35以外の他の層を有するものであってもよい。他の層は、たとえば、最内層よりも内側に設けられていてもよいし、最外層よりも外側に設けられていてもよい。
実施形態3に係るチューブに用いる他の層は、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体および導電性フィラー、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物(HNBR)、ポリ塩化ビニル(PVC)とNBRまたはHNBRとのブレンドゴム、エチレンアクリルゴム(AEM)とNBRまたはHNBRとのブレンドゴム、ならびに、フッ素ゴムからなる群より選択される少なくとも1種のポリマー材料を含有することが好ましい。
実施形態3に係るチューブにおいては、少なくとも1層が、フッ素ゴムを含有する層(c2)であり、層(c2)が最内層を構成していることが、好適な態様の一つである。この構成を備えることにより、チューブの耐薬品性および燃料低透過性がより一層優れたものとなる。
また、実施形態3に係るチューブにおいては、少なくとも1層が、ポリ塩化ビニル(PVC)とNBRまたはHNBRとのブレンドゴムを含有する層(c3)であり、層(c3)が最内層または最外層を構成していることが、好適な態様の一つである。この構成を備えることにより、チューブの耐油性、耐摩耗性、耐老化性がより一層優れたものとなるとともに、優れた耐オゾン性を得ることもできる。
実施形態3に係るチューブは、最内層、内層、中間層、外層および最外層を備えており、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体を含有する層(c1)が、中間層を構成しており、最内層および最外層が、非フッ素ゴムまたはフッ素ゴムを含有しており、内層および外層が、非フッ素ゴムを含有するチューブであってもよい。この構成を備えることにより、燃料チューブなどのチューブに求められる要求特性をより一層バランス良く有しており、燃料低透過性により一層優れたチューブが得られる。
次に、実施形態3に係るチューブを、実施例をあげて説明する。
この実施例では、最内層材料としてNBR+PVC(NBR:PVC=70:30(質量比))、内層材料としてNBR、中間層材料としてクロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体、外層材料としてNBR、最外層材料としてCSMを用いた。
また、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体として、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)/パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)/テトラフルオロエチレン(TFE)共重合体(CTFE/PPVE/TFE=21.3/2.4/76.3(モル%))を用いた。
押出成形機を用いて、各層を構成するポリマー材料を押出成形して、未加硫のチューブを得た。得られた未加硫のチューブを、加硫缶を用いて160℃、40分間蒸気加硫し、5層構成からなる燃料用ホースを得た。各層の厚みは、それぞれ最内層が0.5mm、内層が0.5mm、中間層が0.15mm、外層が0.5mm、最外層が1.5mmであった。
接着試験をするため、得られた燃料用ホースを2cmの長さになるようにカットした。その後、ホースの押出方向にカットして円周方向の接着強度を測定しようとしたが、材料破壊が生じて、いずれの層間も剥離不可能であった。
実施形態3に係るチューブは、上記の実施例のみに限定されるものではない。実施形態3に係るチューブの好適な例示には、表3に示す層構成を備えるチューブが含まれる。表3に示す層構成は、好ましい例示であって、本開示の実施形態3に係るチューブの層構成、適用範囲および用途を制限することを意図するものではない。
Figure 2019038254
表3中の略号は、それぞれ、次のポリマー材料を表す。
CSM:クロロスルホン化ポリエチレン
NBR:アクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはアクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物
NBR+PVC:ポリ塩化ビニルとNBRまたはHNBRとのブレンドゴム
NBR+AEM:エチレンアクリルゴムとNBRまたはHNBRとのブレンドゴム
ECO:エピクロルヒドリンゴム
FKM:フッ素ゴム
CP:クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体
CPAS:クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体および導電性フィラー
<実施形態4>
本開示の実施形態4に係るチューブは、ポリ塩化ビニル(PVC)とアクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはアクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物とのブレンドゴムを含有する層(d1)、および、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体を含有する層(d2)を備えるチューブであって、層(d1)が最内層であるか、または、層(d1)および層(d2)が隣接している。
この構成を備えるチューブは、耐油性、耐摩耗性、耐老化性に優れるとともに、耐オゾン性にも優れており、しかも、燃料の透過を十分に抑制することができる。
図4に本開示の実施形態4に係るチューブの断面図の一例を示す。図4に示すチューブ40は、最内層41として、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体を含有する層(d2)と、最外層42として、ポリ塩化ビニル(PVC)とアクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはアクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物とのブレンドゴムを含有する層(d1)とを備えている。
図4に示すチューブ40では、層(d2)が一層で構成されているが、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体を含有する2つの層で構成してもよい。この場合、一方の層は、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体、および、導電性フィラーを含有してよく、他方の層は、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体を含有してよい。
図4に示すチューブ40では、層(d2)が最内層を構成しており、層(d1)が最外層を形成しており、層(d1)および層(d2)が隣接している。実施形態4に係るチューブは、2層のみを備えるものであっても、柔軟性を有するとともに、燃料低透過性に優れる。
図4に示すチューブ40は、2層のみを備えるチューブであるが、実施形態4に係るチューブは、層(d1)および層(d2)以外の他の層を備えるものであってもよい。層(d1)が最内層である場合には、他の層は、層(d1)と層(d2)との間に設けられていてもよいし、層(d2)よりも外側に設けられていてもよい。層(d1)および層(d2)が隣接している場合には、他の層は、層(d1)および層(d2)よりも内側に設けられていてもよいし、層(d1)および層(d2)よりも外側に設けられていてもよい。
実施形態4に係るチューブに用いる他の層は、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体および導電性フィラー、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物(HNBR)、エチレンアクリルゴム(AEM)とNBRまたはHNBRとのブレンドゴム、エピクロルヒドリンゴム(ECO)、ならびに、フッ素ゴムからなる群より選択される少なくとも1種のポリマー材料を含有することが好ましい。
実施形態4に係るチューブは、非フッ素ゴム(ただし、ポリ塩化ビニル(PVC)とNBRまたはHNBRとのブレンドゴムを除く)またはフッ素ゴムを含有する層(d3)をさらに備えることができる。この構成を備えることにより、チューブの耐油性、耐摩耗性、耐老化性、耐オゾン性がより一層優れる。
実施形態4に係るチューブは、ポリ塩化ビニル(PVC)とアクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはアクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物とのブレンドゴムを含有する層(d1)が最内層を構成しており、前記非フッ素ゴムまたはフッ素ゴムを含有する層(d3)が最外層を構成しており、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体を含有する層(d2)が、最内層と最外層との間に設けられているチューブであってもよい。この構成を備えることにより、チューブの耐油性、耐摩耗性、耐老化性、耐オゾン性がより一層優れる。
また、実施形態4に係るチューブは、非フッ素ゴムまたはフッ素ゴムを含有する層(d3)が最内層を構成しており、ポリ塩化ビニル(PVC)とアクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはアクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物とのブレンドゴムを含有する層(d1)が最外層を構成しており、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体を含有する層(d2)が、最内層と最外層との間に設けられており、層(d1)および層(d2)が隣接しているチューブであってもよい。この構成を備えることにより、チューブの耐油性、耐摩耗性、耐老化性、耐オゾン性がより一層優れる。
次に、実施形態4に係るチューブを、実施例をあげて説明する。
この実施例では、最内層材料としてNBR+PVC(NBR:PVC=70:30(質量比))、内層材料としてNBR、中間層材料としてクロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体、外層材料としてNBR、最外層材料としてNBR+PVC(NBR:PVC=70:30(質量比))を用いた。
また、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体として、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)/パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)/テトラフルオロエチレン(TFE)共重合体(CTFE/PPVE/TFE=21.3/2.4/76.3(モル%))を用いた。
押出成形機を用いて、各層を構成するポリマー材料を押出成形して、未加硫のチューブを得た。得られた未加硫のチューブを、加硫缶を用いて160℃、40分間蒸気加硫し、5層構成からなる燃料用ホースを得た。各層の厚みは、それぞれ最内層が0.5mm、内層が0.5mm、中間層が0.15mm、外層が0.5mm、最外層が1.5mmであった。
接着試験をするため、得られた燃料用ホースを2cmの長さになるようにカットした。その後、ホースの押出方向にカットして円周方向の接着強度を測定しようとしたが、材料破壊が生じて、いずれの層間も剥離不可能であった。
実施形態4に係るチューブは、上記の実施例のみに限定されるものではない。実施形態4に係るチューブの好適な例示には、表4に示す層構成を備えるチューブが含まれる。表4に示す層構成は、好ましい例示であって、本開示の実施形態4に係るチューブの層構成、適用範囲および用途を制限することを意図するものではない。
Figure 2019038254
表4中の略号は、それぞれ、次のポリマー材料を表す。
CSM:クロロスルホン化ポリエチレン
NBR:アクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはアクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物
NBR+PVC:ポリ塩化ビニルとNBRまたはHNBRとのブレンドゴム
NBR+AEM:エチレンアクリルゴムとNBRまたはHNBRとのブレンドゴム
ECO:エピクロルヒドリンゴム
FKM:フッ素ゴム
CP:クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体
CPAS:クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体および導電性フィラー
<実施形態5>
本開示の実施形態5に係るチューブは、少なくとも4層を備えるチューブであって、少なくとも1層が、エチレンアクリルゴム(AEM)とアクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはアクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物とのブレンドゴムを含有する層(e1)、および、少なくとも1層が、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体を含有する層(e2)である。
この構成を備えるチューブは、耐油性、耐摩耗性、耐老化性に優れるだけでなく、耐熱性、耐候性、低温特性にも優れており、しかも、燃料の透過を十分に抑制することができる。
図5に本開示の実施形態5に係るチューブの断面図の一例を示す。図5に示すチューブ50は、最内層51、内層52、中間層53および最外層54を備えており、中間層53が、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体を含有しており、最外層54がエチレンアクリルゴム(AEM)とアクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはアクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物とのブレンドゴムを含有している。
図5に示すチューブでは、中間層53がクロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体により構成されているが、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体により構成する層の位置は特に限定されず、最内層51、内層52、中間層53および最外層54のいずれかかが、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体を含有すればよい。また、2以上の層がクロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体を含有してもよい。なかでも、中間層53が、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体を含有することが、燃料低透過性に優れると同時に、他の特性にも優れた積層体を得ることが容易であることから、好ましい。
また、図5に示すチューブでは、最外層54がエチレンアクリルゴムとアクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはアクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物とのブレンドゴムにより構成されているが、エチレンアクリルゴムとアクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはアクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物とのブレンドゴムにより構成する層の位置は特に限定されず、最内層51、内層52、中間層53および最外層54のいずれかかが、エチレンアクリルゴムとアクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはアクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物とのブレンドゴムを含有すればよい。また、2以上の層が、エチレンアクリルゴムとアクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはアクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物とのブレンドゴムを含有してもよい。なかでも、最外層54が、エチレンアクリルゴムとアクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはアクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物とのブレンドゴムを含有することが、燃料低透過性に優れると同時に、他の特性にも優れた積層体を得ることが容易であることから、好ましい。
クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体を含有する層およびエチレンアクリルゴムとアクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはアクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物とのブレンドゴムを含有する層以外の層は、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物(HNBR)、ポリ塩化ビニル(PVC)とNBRまたはHNBRとのブレンドゴム、エピクロルヒドリンゴム(ECO)、ならびに、フッ素ゴムからなる群より選択される少なくとも1種のポリマー材料を含有することが好ましい。
実施形態5に係るチューブにおいては、少なくとも1層が、非フッ素ゴム(ただし、エチレンアクリルゴムとアクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはアクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物とのブレンドゴムを除く)またはフッ素ゴムを含有する層(e3)であり、少なくとも1層が、非フッ素ゴム(ただし、エチレンアクリルゴムとアクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはアクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物とのブレンドゴムを除く)を含有する層(e4)であることが、好適な態様の一つである。この構成を備えることにより、チューブの耐油性、耐摩耗性、耐老化性、耐熱性、耐候性、低温特性がより一層優れたものとなる。
実施形態5に係るチューブは、最内層、内層、中間層および最外層を備えており、非フッ素ゴム(ただし、エチレンアクリルゴムとアクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはアクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物とのブレンドゴムを除く)またはフッ素ゴムを含有する層(e3)が最内層を構成しており、非フッ素ゴム(ただし、エチレンアクリルゴムとアクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはアクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物とのブレンドゴムを除く)を含有する層(e4)が内層を構成しており、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体を含有する層(e2)が中間層を構成しており、エチレンアクリルゴムとアクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはアクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物とのブレンドゴムを含有する層(e1)が最外層を構成しているチューブであってもよい。この構成を備えることにより、チューブの耐油性、耐摩耗性、耐老化性、耐熱性、耐候性、低温特性がより一層優れたものとなる。また、この構成においては、層(e3)がフッ素ゴムを含有することが、より一層優れた耐油性および耐熱性が得られることから、好ましい。
実施形態5に係るチューブは、4層のみを備えるものであっても、柔軟性を有するとともに、燃料低透過性に優れる。
図5に示すチューブ50は、4層のみを備えるチューブであるが、実施形態5に係るチューブは、層51〜層54以外の他の層を有するものであってもよい。他の層は、たとえば、層51〜層54の層間に設けられていてもよいし、最内層および最外層よりも内側または外側に設けられていてもよい。
実施形態5に係るチューブに用いる他の層は、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体および導電性フィラー、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物(HNBR)、ポリ塩化ビニル(PVC)とNBRまたはHNBRとのブレンドゴム、エチレンアクリルゴム(AEM)とNBRまたはHNBRとのブレンドゴム、ならびに、フッ素ゴムからなる群より選択される少なくとも1種のポリマー材料を含有することが好ましい。
次に、実施形態5に係るチューブを、実施例をあげて説明する。
この実施例では、最内層材料としてNBR+PVC(NBR:PVC=70:30(質量比))、内層材料としてNBR、中間層材料としてクロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体、最外層材料としてNBR+AEM(NBR:AEM=80:20(質量比))を用いた。
また、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体として、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)/パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)/テトラフルオロエチレン(TFE)共重合体(CTFE/PPVE/TFE=21.3/2.4/76.3(モル%))を用いた。
押出成形機を用いて、各層を構成するポリマー材料を押出成形して、未加硫のチューブを得た。得られた未加硫のチューブを、加硫缶を用いて160℃、40分間で蒸気加硫し、4層構成からなる燃料用ホースを得た。各層の厚みは、それぞれ最内層が0.5mm、内層が0.5mm、中間層が0.15mm、最外層が2.0mmであった。
接着試験をするため、得られた燃料用ホースを2cmの長さになるようにカットした。その後、ホースの押出方向にカットして円周方向の接着強度を測定しようとしたが、材料破壊が生じて、いずれの層間も剥離不可能であった。
実施形態5に係るチューブは、上記の実施例のみに限定されるものではない。実施形態5に係るチューブの好適な例示には、表5に示す層構成を備えるチューブが含まれる。表5に示す層構成は、好ましい例示であって、本開示の実施形態5に係るチューブの層構成、適用範囲および用途を制限することを意図するものではない。
Figure 2019038254
表5中の略号は、それぞれ、次のポリマー材料を表す。
CSM:クロロスルホン化ポリエチレン
NBR:アクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはアクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物
NBR+PVC:ポリ塩化ビニルとNBRまたはHNBRとのブレンドゴム
NBR+AEM:エチレンアクリルゴムとNBRまたはHNBRとのブレンドゴム
ECO:エピクロルヒドリンゴム
FKM:フッ素ゴム
CP:クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体
CPAS:クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体および導電性フィラー
<実施形態6>
本開示の実施形態6に係るチューブは、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体、および、導電性フィラーを含有する最内層(f1)を備える。
この構成を備えるチューブは、耐油性および耐薬品性に優れるだけでなく、燃料や薬液がチューブを流通した場合でも、静電気の蓄積が抑制され、しかも、燃料の透過を十分に抑制することができる。
実施形態6に係るチューブは、非フッ素ゴムを含有する層(f2)をさらに備えることができる。この構成を備えることにより、チューブの耐油性および耐薬品性がより一層優れる。
図6に本開示の実施形態6に係るチューブの断面図の一例を示す。図6に示すチューブ60は、最内層61として、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体および導電性フィラーを含有する層と、最外層62として、非フッ素ゴムを含有する層と、を備えている。
最外層62が含有する非フッ素ゴムとしては、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物(HNBR)、ポリ塩化ビニル(PVC)とNBRまたはHNBRとのブレンドゴム、エチレンアクリルゴム(AEM)とNBRまたはHNBRとのブレンドゴム、ならびに、エピクロルヒドリンゴム(ECO)からなる群より選択される少なくとも1種のポリマー材料が好ましい。
図6に示すチューブ60は、最内層および最外層のみを備える2層のチューブであるが、実施形態6に係るチューブは、最内層および最外層以外の他の層を有するものであってもよい。他の層は、最内層と最外層との間に設けることができる。
実施形態6に係るチューブに用いる他の層は、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体および導電性フィラー、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物(HNBR)、ポリ塩化ビニル(PVC)とNBRまたはHNBRとのブレンドゴム、エチレンアクリルゴム(AEM)とNBRまたはHNBRとのブレンドゴム、エピクロルヒドリンゴム(ECO)、ならびに、フッ素ゴムからなる群より選択される少なくとも1種のポリマー材料を含有することが好ましい。
実施形態6に係るチューブは、たとえば、最内層(f1)上に、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体を含有する層(f3)をさらに備えることができる。この構成を備えることにより、チューブの燃料低透過性が一層優れたものとなると同時に、層間接着性も向上する。また、層間接着性を考慮した場合には、層(f3)が、導電性フィラーを含有しないことも好ましい。
また、実施形態6に係るチューブは、層(f3)上に、非フッ素ゴムを含有する層(f4)をさらに備えることができる。この構成を備えることにより、チューブの耐油性および耐薬品性がより一層優れる。
次に、実施形態6に係るチューブを、実施例をあげて説明する。
この実施例では、最内層材料としてクロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体および導電性フィラー、最外層材料としてNBRを用いた。
また、最内層材料として、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)/パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)/テトラフルオロエチレン(TFE)共重合体(CTFE/PPVE/TFE=21.3/2.4/76.3(モル%))および導電性フィラーを含有する混合物を用いた。この混合物は、導電性を有しており、この混合物から得られるストランドは、0.10MΩの抵抗値を有していた。
押出成形機を用いて、各層を構成するポリマー材料を押出成形して、未加硫のチューブを得た。得られた未加硫のチューブを、加硫缶を用いて160℃、40分間蒸気加硫し、2層構成からなる燃料用ホースを得た。各層の厚みは、それぞれ最内層が0.2mm、最外層が3.0mmであった。
接着試験をするため、得られた燃料用ホースを2cmの長さになるようにカットした。その後、ホースの押出方向にカットして円周方向の接着強度を測定しようとしたが、材料破壊が生じて、いずれの層間も剥離不可能であった。
実施形態6に係るチューブは、上記の実施例のみに限定されるものではない。実施形態6に係るチューブの好適な例示には、表6に示す層構成を備えるチューブが含まれる。表6に示す層構成は、好ましい例示であって、本開示の実施形態6に係るチューブの層構成、適用範囲および用途を制限することを意図するものではない。
Figure 2019038254
表6中の略号は、それぞれ、次のポリマー材料を表す。
CSM:クロロスルホン化ポリエチレン
NBR:アクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはアクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物
NBR+PVC:ポリ塩化ビニルとNBRまたはHNBRとのブレンドゴム
NBR+AEM:エチレンアクリルゴムとNBRまたはHNBRとのブレンドゴム
ECO:エピクロルヒドリンゴム
FKM:フッ素ゴム
CP:クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体
CPAS:クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体および導電性フィラー
<実施形態7>
本開示の実施形態7に係るチューブは、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体を含有する最内層(g1)、および、最内層(g1)に隣接する隣接層(g2)を備えるチューブであって、隣接層(g2)が、エチレンアクリルゴム(AEM)とアクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはアクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物とのブレンドゴムを含有するか、または、隣接層(g2)の外側に、少なくとも1層からなる外層をさらに備える。
この構成を備えるチューブは、耐油性および耐薬品性に優れており、しかも、燃料の透過を十分に抑制することができる。
図7に本開示の実施形態7に係るチューブの断面図の一例を示す。図7に示すチューブ70は、最内層71として、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体を含有する層と、最内層に隣接する隣接層72と、隣接層72に隣接する最外層73とを備えている。
図7に示すチューブ70では、隣接層72が中間層を構成しているが、隣接層が、エチレンアクリルゴムとアクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはアクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物とのブレンドゴムを含有する場合には、最外層73は任意の層であり、隣接層72が最外層を形成することができる。
一方、隣接層72が、エチレンアクリルゴムとアクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはアクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物とのブレンドゴム以外のポリマー材料を含有する場合には、最外層73は必須の層である。この場合、隣接層72と最外層73との間に、その他の層を設けてもよい。
隣接層72が含有するエチレンアクリルゴムとアクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはアクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物とのブレンドゴム以外のポリマー材料としては、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体および導電性フィラー、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物(HNBR)、ポリ塩化ビニル(PVC)とNBRまたはHNBRとのブレンドゴム、エピクロルヒドリンゴム(ECO)、ならびに、フッ素ゴムからなる群より選択される少なくとも1種のポリマー材料を含有することが好ましい。
隣接層72と最外層73との間に設け得るその他の層は、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体および導電性フィラー、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物(HNBR)、ポリ塩化ビニル(PVC)とNBRまたはHNBRとのブレンドゴム、エチレンアクリルゴム(AEM)とNBRまたはHNBRとのブレンドゴム、エピクロルヒドリンゴム(ECO)、ならびに、フッ素ゴムからなる群より選択される少なくとも1種のポリマー材料を含有することが好ましい。
実施形態7に係るチューブにおいては、隣接層(g2)が、エチレンアクリルゴムとアクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはアクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物とのブレンドゴムを含有し、かつ、最外層を構成することが好ましい。この構成を備えることにより、チューブの耐油性、耐摩耗性、耐老化性、耐熱性、耐候性、低温特性がより一層優れたものとなる。
また、実施形態7に係るチューブにおいては、最内層(g1)が、導電性フィラーをさらに含有しており、隣接層(g2)が、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体を含有することも好ましい。この構成を備えることにより、燃料や薬液がチューブを流通した場合でも、静電気の蓄積が抑制され、しかも、燃料の透過をより一層抑制することができる。また、層間接着性を考慮した場合には、隣接層(g2)が、導電性フィラーを含有しないことも好ましい。
実施形態7に係るチューブは、隣接層(g2)の外側に、少なくとも1層からなる外層をさらに備えており、外層が、非フッ素ゴムを含有することもできる。この構成を備えることにより、チューブの耐油性および耐薬品性がより一層優れる。
実施形態7に係るチューブは、隣接層(g2)の外側に、少なくとも2層からなる外層をさらに備えており、外層のうち1層が、エピクロルヒドリンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴムおよびアクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物からなる群より選択される少なくとも1種を含有しており、外層のうち他の一層が、エピクロルヒドリンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、ポリ塩化ビニルとアクリロニトリル−ブタジエンゴムとのブレンドゴム、および、ポリ塩化ビニルとアクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物とのブレンドゴムからなる群より選択される少なくとも1種を含有していることも好ましい。この構成を備えることにより、チューブの耐油性および耐薬品性がより一層優れる。
次に、実施形態7に係るチューブを、実施例をあげて説明する。
この実施例では、最内層材料としてクロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体、中間層材料としてNBR、最外層材料としてNBR+PVC(NBR:PVC=70:30(質量比))を用いた。
また、クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体として、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)/パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)/テトラフルオロエチレン(TFE)共重合体(CTFE/PPVE/TFE=21.3/2.4/76.3(モル%))を用いた。
押出成形機を用いて、各層を構成するポリマー材料を押出成形して、未加硫のチューブを得た。得られた未加硫のチューブを、加硫缶を用いて160℃、40分間蒸気加硫し、3層構成からなる燃料用ホースを得た。各層の厚みは、それぞれ最内層が0.2mm、中間層が0.5mm、最外層が3.0mmであった。
接着試験をするため、得られた燃料用ホースを2cmの長さになるようにカットした。その後、ホースの押出方向にカットして円周方向の接着強度を測定しようとしたが、材料破壊が生じて、いずれの層間も剥離不可能であった。
実施形態7に係るチューブは、上記の実施例のみに限定されるものではない。実施形態7に係るチューブの好適な例示には、表7に示す層構成を備えるチューブが含まれる。表7に示す層構成は、好ましい例示であって、本開示の実施形態7に係るチューブの層構成、適用範囲および用途を制限することを意図するものではない。
Figure 2019038254
表7中の略号は、それぞれ、次のポリマー材料を表す。
CSM:クロロスルホン化ポリエチレン
NBR:アクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはアクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物
NBR+PVC:ポリ塩化ビニルとNBRまたはHNBRとのブレンドゴム
NBR+AEM:エチレンアクリルゴムとNBRまたはHNBRとのブレンドゴム
ECO:エピクロルヒドリンゴム
FKM:フッ素ゴム
CP:クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体
CPAS:クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体および導電性フィラー
<クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体>
次に、本開示で用いるクロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体(CP)について説明する。本開示の積層体および本開示のチューブは、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)単位を有する重合体を含有する層を備えることから、燃料低透過性に優れている。CTFE単位を有する重合体は、明確な融点を有する樹脂であることが好ましい。
上記CTFE単位を有する重合体としては、ポリクロロトリフルオロエチレン〔PCTFE〕およびCTFE共重合体からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、PCTFE、CTFE/TFE共重合体、および、エチレン/CTFE共重合体からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、CTFE/TFE共重合体が最も好ましい。
上記CTFE共重合体としては、CTFE単位と、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)、ビニリデンフルオライド(VdF)、フッ化ビニル、へキサフルオロイソブテン、式:CH=CX(CF(式中、XはHまたはF、XはH、FまたはCl、nは1〜10の整数である)で示される単量体、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、塩化ビニルおよび塩化ビニリデンからなる群より選択される少なくとも1種の単量体に由来する単位と、を含む共重合体が好ましい。
上記CTFE共重合体としては、CTFE単位と、TFE、HFPおよびPAVEからなる群より選択される少なくとも1種の単量体に由来する単位と、を含む共重合体からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましい。
上記エチレン/CTFE共重合体(ECTFE)は、エチレン単位とCTFE単位とを含む共重合体であって、エチレン単位とCTFE単位の合計に対して、エチレン単位が46〜52モル%であり、CTFE単位が54〜48モル%であることが好ましい。ECTFEは、エチレン単位とCTFE単位のみからなる二元共重合体であってもよいし、さらに、エチレンおよびCTFEと共重合可能な単量体(例えば、フルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)誘導体)に基づく重合単位を含むものであってもよい。
エチレンおよびCTFEと共重合可能な単量体に基づく重合単位の含有量は、エチレン単位とCTFE単位と上記共重合可能な単量体に基づく重合単位との合計に対して、0.01〜5モル%であることが好ましい。
ECTFEのMFRは、好ましくは0.01〜100g/10分である。ECTFEのMFRの測定は、温度230℃、荷重2.16kgで行われる。
CTFE共重合体としては、CTFE単位、TFE単位およびこれらと共重合可能な単量体(α)に由来する単量体(α)単位を含むものが特に好ましい。
単量体(α)としては、CTFEおよびTFEと共重合可能な単量体であれば特に限定されず、エチレン(Et)、VdF、CF=CF−ORf(式中、Rfは、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基)で表されるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)〔PAVE〕、CX=CX(CF(式中、X、XおよびXは同一もしくは異なって、水素原子またはフッ素原子;Xは、水素原子、フッ素原子または塩素原子;nは、1〜10の整数)で表されるビニル単量体、CF=CF−OCH−Rf(式中、Rfは、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基)で表されるアルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体などがあげられ、なかでも、PAVE、上記ビニル単量体およびアルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、PAVEおよびHFPからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
上記PAVEとしては、CF=CF−ORf(式中、Rfは炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)が好ましく、たとえば、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)〔PMVE〕、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)〔PEVE〕、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)〔PPVE〕、パーフルオロ(ブチルビニルエーテル)などがあげられ、なかでも、PMVE、PEVEおよびPPVEからなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、PPVEがさらに好ましい。
上記アルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体としては、Rfが炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基であるものが好ましく、CF=CF−OCH−CFCFがより好ましい。
上記CTFE共重合体における、CTFE単位とTFE単位との比率は、好ましくは、CTFE単位が15〜90モル%であり、TFE単位が85〜10モル%であり、より好ましくは、CTFE単位が20〜90モル%であり、TFE単位が80〜10モル%である。また、CTFE単位15〜25モル%と、TFE単位85〜75モル%とから構成されるものも好ましい。
上記CTFE共重合体は、CTFE単位とTFE単位との合計が90〜99.9モル%であり、単量体(α)単位が0.1〜10モル%であるものが好ましい。単量体(α)単位が0.1モル%未満であると、成形性、耐環境応力割れ性および耐燃料クラック性に劣りやすく、10モル%を超えると、燃料バリア性、耐熱性、機械物性に劣る傾向にある。
上記CTFE共重合体としては、CTFE/TFE/PAVE共重合体が特に好ましい。
CTFE/TFE/PAVE共重合体において、上記PAVEとしては、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)〔PMVE〕、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)〔PEVE〕、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)〔PPVE〕、パーフルオロ(ブチルビニルエーテル)などが挙げられ、なかでも、PMVE、PEVEおよびPPVEからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、PPVEがより好ましい。
CTFE/TFE/PAVE共重合体において、PAVE単位は、全単量体単位の0.5モル%以上であることが好ましく、5モル%以下であることが好ましい。
CTFE/TFE/PAVE共重合体などのCTFE単位を有する重合体は、反応性官能基を有するものであってよい。CTFE単位を有する重合体が反応性官能基を有することにより、隣接する層と強固に接着する層を形成できる。CTFE単位を有する重合体は、ポリマーの主鎖末端および/または側鎖に、反応性官能基を有することがより好ましく、反応性官能基としては、カルボニル基、ヒドロキシル基、ヘテロ環基およびアミノ基からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
本開示において、「カルボニル基」は、炭素−酸素二重結合から構成される炭素2価の基であり、−C(=O)−で表されるものに代表される。上記カルボニル基を含む反応性官能基としては特に限定されず、たとえばカーボネート基、カルボン酸ハライド基(ハロゲノホルミル基)、ホルミル基、カルボキシル基、エステル結合(−C(=O)O−)、酸無水物結合(−C(=O)O−C(=O)−)、イソシアネート基、アミド基、イミド基(−C(=O)−NH−C(=O)−)、ウレタン結合(−NH−C(=O)O−)、カルバモイル基(NH−C(=O)−)、カルバモイルオキシ基(NH−C(=O)O−)、ウレイド基(NH−C(=O)−NH−)、オキサモイル基(NH−C(=O)−C(=O)−)など、化学構造上の一部としてカルボニル基を含むものが挙げられる。
アミド基、イミド基、ウレタン結合、カルバモイル基、カルバモイルオキシ基、ウレイド基、オキサモイル基などにおいては、その窒素原子に結合する水素原子は、たとえばアルキル基などの炭化水素基で置換されていてもよい。
上記反応性官能基としては、導入が容易である点、CTFE単位を有する重合体が適度な耐熱性と比較的低温での良好な接着性とを有する点から、アミド基、カルバモイル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カーボネート基、カルボン酸ハライド基、酸無水物結合が好ましく、アミド基、カルバモイル基、ヒドロキシル基、カーボネート基、カルボン酸ハライド基、酸無水物結合がより好ましい。
なかでも、国際公開第99/45044号に記載のカーボネート基および/またはカルボン酸ハライド基を有するものが特に好ましい。
CTFE単位を有する重合体は、ポリマーの主鎖末端または側鎖のいずれかに反応性官能基を有する重合体からなるものであってもよいし、主鎖末端および側鎖の両方に反応性官能基を有する重合体からなるものであってもよい。主鎖末端に反応性官能基を有する場合、主鎖の両方の末端に有していてもよいし、いずれか一方の末端にのみ有していてもよい。上記反応性官能基は、エーテル結合も有する場合、該反応性官能基をさらに主鎖中に有するものであってもよい。
CTFE単位を有する重合体は、主鎖末端に反応性官能基を有する重合体からなるものが、機械物性、耐薬品性を著しく低下させない理由で、または、生産性、コスト面で有利である理由で好ましい。
上記反応性官能基の数は、隣接する層の種類、形状、接着の目的、用途、必要とされる接着力と隣接する層との接着方法などの違いにより適宜選択すればよい。
主鎖末端および/または側鎖末端にある反応性官能基の数としては、主鎖炭素数1×10個あたり3〜800個であることが好ましい。主鎖炭素数1×10個あたり3個未満であると、接着性が低下することがある。より好ましい下限は15個、さらに好ましい下限は30個、特に好ましい下限は50個である。末端の反応性官能基数の上限は、生産性の観点からたとえば200個とすることがより好ましい。
上記末端の反応性官能基の数は、CTFE単位を有する重合体の粉末をその融点より50℃高い成形温度、5MPaの成形圧力にて圧縮成形することにより得られる厚み0.25〜0.30mmのフィルムシートを、赤外分光光度計を用いて赤外吸収スペクトル分析することにより、算出できる。
上記CTFE単位を有する重合体の融点は特に限定されないが、160〜270℃であることが好ましい。
また、CTFE単位を有する重合体の分子量は、得られる成形体が良好な機械物性や燃料低透過性などを発現できるような範囲であることが好ましい。たとえば、メルトフローレート(MFR)を分子量の指標とする場合、フッ素ポリマー一般の成形温度範囲である約230〜350℃の範囲の任意の温度(例えば、297℃)におけるMFRは、0.5〜100g/10分であることが好ましい。CTFE単位を有する重合体のMFR(297℃、5kg)は、より好ましくは1〜50g/10分であり、さらに好ましくは2〜40g/10分である。
CTFE単位を有する重合体としては、ダイキン工業社製のネオフロンCPTシリーズが好ましい。
CTFE単位を有する重合体は、導電性フィラーと混合して用いることもできる。積層体またはチューブを構成する層が、導電性フィラーを含有することにより、燃料または薬液と積層体またはチューブとの摩擦などによって生じる静電気の蓄積を防ぎ、静電気の放電によって生じる可能性のある火災や爆発、あるいは、積層体またはチューブのクラックや穴あきとそれによって生じる燃料漏れを防止することができる。
導電性フィラーとしては特に限定されず、例えば、金属、炭素等の導電性単体粉末または導電性単体繊維;酸化亜鉛等の導電性化合物の粉末;表面導電化処理粉末等が挙げられる。
上記導電性単体粉末または導電性単体繊維としては特に限定されず、例えば、銅、ニッケル等の金属粉末;鉄、ステンレス等の金属繊維;カーボンブラック、炭素繊維、特開平3−174018号公報等に記載の炭素フィブリル、カーボン・ナノチューブ、カーボン・ナノホーン等が挙げられる。
上記表面導電化処理粉末は、ガラスビーズ、酸化チタン等の非導電性粉末の表面に導電化処理を施して得られる粉末である。上記導電化処理の方法としては特に限定されず、例えば、金属スパッタリング、無電解メッキ等が挙げられる。上述した導電性フィラーのなかでもカーボンブラックは、経済性の観点で有利であるので好適に用いられる。
上記導電性フィラーの配合量としては、CTFE単位を有する重合体の種類、積層体またはチューブに要求される導電性能、成形条件等に基づいて適宜決められるが、CTFE単位を有する重合体100質量部に対して1〜30質量部であることが好ましい。より好ましい下限は5質量部、より好ましい上限は20質量部である。
<非フッ素ゴム>
次に、本開示で用いる非フッ素ゴムについて説明する。本開示で用いる非フッ素ゴムとしては、たとえば、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物(HNBR)、ポリ塩化ビニル(PVC)とNBRまたはHNBRとのブレンドゴム、エチレンアクリルゴム(AEM)とNBRまたはHNBRとのブレンドゴム、エピクロルヒドリンゴム(ECO)、フッ素ゴムなどが挙げられる。
クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)としては、架橋点としてクロロスルホニル基を有するものであれば、特に限定されず、従来公知の直鎖状または分岐状のクロロスルホン化ポリエチレンを用いることができる。また、CSMは、アルキル化クロロスルホン化ポリエチレン(ACSM)であってもよい。本開示の積層体および本開示のチューブが、CSMを含有する層を備える場合、本開示の積層体および本開示のチューブは、耐老化性、耐オゾン性、耐候性、耐摩耗性、耐油性などの優れた特性を有する。CSMは、ポリエチレンを、塩素化およびクロロスルホン化することにより製造される合成ゴムである。CSMの製造に用いるポリエチレンとしては、線状高密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンなどが挙げられる。ACSMは、エチレンとエチレン以外のオレフィンとの共重合物を、塩素化およびクロロスルホン化することにより製造され、ポリエチレン主鎖に短鎖炭化水素側鎖を有する。
アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)としては、アクリロニトリルとブタジエンとの共重合体であれば、特に限定されず、従来公知のアクリロニトリル−ブタジエンゴムを用いることができる。また、アクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素化物(HNBR)としては、アクリロニトリルとブタジエンとの共重合体中の二重結合に水素を付加したゴムであれば、特に限定されず、従来公知の水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴムを用いることができる。本開示の積層体および本開示のチューブが、NBRまたはHNBRを含有する層を備える場合、本開示の積層体および本開示のチューブは、耐油性、耐摩耗性、耐老化性などの優れた特性を有する。
NBRおよびHNBRの結合ニトリル量は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、たとえば、10〜50質量%の範囲であってよい。HNBRの水素化率は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、たとえば、800〜100%の範囲であってよい。
ポリ塩化ビニルとNBRまたはHNBRとのブレンドゴムとしては、NBRまたはHNBR、および、ポリ塩化ビニル(PVC)のポリマーアロイであれば、特に限定されず、従来公知のブレンドゴムを用いることができる。本開示の積層体および本開示のチューブが、ポリ塩化ビニルとNBRまたはHNBRとのブレンドゴムを含有する層を備える場合、本開示の積層体および本開示のチューブは、耐油性、耐摩耗性、耐老化性、耐オゾン性などの優れた特性を有する。ブレンドゴム中のPVCの含有量は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、たとえば、NBRまたはHNBRとPVCと合計質量に対して、1〜50質量%の範囲であってよい。
エチレンアクリルゴムとNBRまたはHNBRとのブレンドゴムとしては、NBRまたはHNBR、および、エチレンアクリルゴム(AEM)のポリマーアロイであれば、特に限定されず、従来公知のブレンドゴムを用いることができる。本開示の積層体および本開示のチューブが、エチレンアクリルゴムとNBRまたはHNBRとのブレンドゴムを含有する層を備える場合、本開示の積層体および本開示のチューブは、耐油性、耐摩耗性、耐老化性、耐熱性などの優れた特性を有する。ブレンドゴム中のAEMの含有量は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、たとえば、NBRまたはHNBRとAEMと合計質量に対して、1〜50質量%の範囲であってよい。AEMとしては、アクリル酸エステルとエチレンとの共重合体であれば、特に限定されず、従来公知のAEMを用いることができる。
エピクロルヒドリンゴム(ECO)としては、エピクロルヒドリンに基づく重合単位を有するゴムであれば、特に限定されず、実質的にエピクロルヒドリンに基づく重合単位のみからなる1元重合体であってもよいし、エピクロルヒドリンに基づく重合単位と、エピクロルヒドリン以外の他の単量体に基づく重合単位と、からなる2元以上の重合体であってもよい。
エピクロルヒドリン以外の他の単量体としては、たとえば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドおよびアリルグリシジルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種の単量体が好ましい。ECOとしては、エピクロルヒドリンに基づく重合単位と、エチレンオキサイドに基づく重合単位と、を有する重合体であることが好ましく、エピクロルヒドリンに基づく重合単位と、エチレンオキサイドに基づく重合単位と、アリルグリシジルエーテルに基づく重合単位と、を有する重合体であることがより好ましい。
ECOとしては、たとえば、エピクロルヒドリン単独重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン−アリルグリシジルエーテル共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体、エピクロルヒドリン−プロピレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体、および、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル四元共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の重合体が好ましい。より好ましくは、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体およびエピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の重合体である。これらを単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
<フッ素ゴム>
次に、本開示で用いる非フッ素ゴムについて説明する。フッ素ゴム(FKM)としては、非晶質フルオロポリマーであれば、特に限定されず、従来公知のフッ素ゴムを用いることができる。「非晶質」とは、フルオロポリマーの示差走査熱量測定〔DSC〕(昇温温度10℃/分)あるいは示差熱分析〔DTA〕(昇温速度10℃/分)において現われた融解ピーク(ΔH)の大きさが4.5J/g以下であることをいう。フッ素ゴムは、架橋することにより、エラストマー特性を示す。エラストマー特性とは、ポリマーを延伸することができ、ポリマーを延伸するのに必要とされる力がもはや適用されなくなったときに、その元の長さを保持できる特性を意味する。
フッ素ゴムとしては、部分フッ素化ゴムであってもよいし、パーフルオロゴムであってもよいが、部分フッ素化ゴムであることが好ましい。
部分フッ素化ゴムとしては、ビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴム、テトラフルオロエチレン(TFE)/プロピレン(Pr)系フッ素ゴム、テトラフルオロエチレン(TFE)/プロピレン/ビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴム、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)系フッ素ゴム、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)/ビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴム、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)/テトラフルオロエチレン(TFE)系フッ素ゴム等が挙げられる。なかでも、ビニリデンフルオライド系フッ素ゴムおよびテトラフルオロエチレン/プロピレン系フッ素ゴムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
フッ素ゴムは、高温における圧縮永久歪みに優れる点から、ガラス転移温度が−70℃以上であることが好ましく、−60℃以上であることがより好ましく、−50℃以上であることが更に好ましい。また、耐寒性が良好であるという点から、5℃以下であることが好ましく、0℃以下であることがより好ましく、−3℃以下であることが更に好ましい。
ガラス転移温度は、示差走査熱量計(メトラー・トレド社製、DSC822e)を用い、試料10mgを10℃/minで昇温することによりDSC曲線を得て、DSC曲線の二次転移前後のベースラインの延長線と、DSC曲線の変曲点における接線との2つの交点の中点を示す温度として求めることができる。
<チューブ>
各実施形態のチューブにおける各層の厚さ、各実施形態のチューブの形状などは、使用目的、使用形態などによって適宜選定すればよい。
各実施形態のチューブにおける、CTFE単位を有する重合体を含有する層の厚みは、特に限定されないが、好ましくは0.05〜0.3mmであり、より好ましくは0.1〜0.2mmである。また、各実施形態のチューブにおける、CTFE単位を有する重合体を含有する層以外の層の厚みは、特に限定されないが、好ましくは0.05〜4mmであり、より好ましくは0.1〜3mmであり、さらに好ましくは0.5〜3mmである。
各実施形態のチューブの形状は、特に限定されないが、たとえば、波形形状、蛇腹(corrugated)形状、渦巻き(convoluted)形状等であってもよい。
各実施形態のチューブは、薬液用チューブまたは薬液用ホース、塗料用チューブまたは塗料用ホース(プリンタ用途含む)、自動車燃料用チューブ若しくは自動車燃料用ホース等の燃料用チューブまたは燃料用ホース、溶剤用チューブまたは溶剤用ホース、自動車のラジエーターホース、冷却用ホース、エアコンホース、ブレーキホース、電線被覆材、飲食物用チューブまたは飲食物用ホース、ガソリンスタンド用地下埋設チューブ若しくはホース、船舶や航空機などの輸送機関用のホース、芝刈り機用ホース、海底油田用チューブ若しくはホース(インジェクションチューブ、原油移送チューブ含む)等に用いることができる。
<チューブの製造方法>
各実施形態のチューブの製造方法としては、たとえば、
(1)各層を形成するポリマーを共押出成形することにより、層間を熱融着(溶融接着)させ1段で多層構造の積層体を形成する方法(共押出成形)、
(2)押出機によりそれぞれ別個に作製した各層を重ね合せ、熱融着により層間を接着させる方法、
(3)予め作製した層の表面上に、押出機により、該層に隣接することとなる層を形成するポリマーを押し出すことにより積層体を形成する方法、
(4)予め作製した層の表面上に、該層に隣接することとなる層を形成するポリマーを静電塗装したのち、得られる塗装物を全体的にまたは塗装した側から加熱することにより、塗装に供したポリマーを加熱溶融して層を成形する方法
等が挙げられる。
たとえば、上記(2)に相当する方法として、(2a)押出機により円筒状の各層をそれぞれ別個に形成し、内層となる層に該層に接触する層を熱収縮チューブにて被膜する方法、上記(3)に相当する方法として、(3a)先ず内層となる層を内層押出機で形成し、この外周面に、外層押出機で該層に接触する層を形成する方法、上記(4)に相当する方法として、(4a)内層を構成するポリマーを該層に接触する層の内側に静電塗装したのち、得られる塗装物を加熱オーブンに入れて全体的に加熱するか、または、円筒状の塗装物の内側に棒状の加熱装置を挿入して内側から加熱することにより、内層を構成するポリマーを加熱溶融して成形する方法、等が挙げられる。
各実施形態のチューブを構成する各層が共押出可能なものであれば、上記(1)の共押出成形によって形成することが一般的である。上記共押出成形としては、マルチマニホールド法、フィードブロック法等の従来公知の多層共押製造法が挙げられる。
上記(2)及び(3)の成形方法においては、各層を形成したのち、層間接着性を高めることを目的として、各層における他の層との接触面を表面処理してもよい。そのような表面処理としては、ナトリウムエッチング処理等のエッチング処理;コロナ処理;低温プラズマ処理等のプラズマ処理が挙げられる。
各実施形態のチューブの成形方法としては、また、複数の材料を多段階に分けて回転成形によって積層する成形方法も可能である。その場合、必ずしも外層材料の融点は内層材料の融点より高くする必要はなく、内層材料の融点は外層材料の融点より100℃以上高くてもよい。その場合は内部にも加熱部があった方が好ましい。
各実施形態のチューブが非フッ素ゴムまたはフッ素ゴムを含有する層を備える場合、非フッ素ゴムまたはフッ素ゴムは未加硫であってもよいが、各層を備える未加硫積層体を加硫することにより、強固な層間接着力が得られる。
加硫処理は、従来公知の未加硫ゴムの加硫方法と条件が採用できる。たとえば、未加硫積層体を長時間加硫する方法、未加硫積層体を比較的短時間で前処理としての熱処理をし(加硫も生じている)、ついで長時間かけて加硫を行う方法がある。これらのうち、未加硫積層体を比較的短時間で前処理としての熱処理をし、ついで長時間かけて加硫を行う方法が、各層間の密着性が容易に得られ、また、前処理で既に層(C)が加硫しており形状が安定化しているので、その後の加硫における積層体の保持方法をさまざまに選択することができるので好適である。
加硫処理の条件は特に制限されるものではなく、通常の条件で行うことができるが、130〜260℃で、10分〜80時間、スチーム、プレス、オーブン、エアーバス、赤外線、マイクロウェーブ、被鉛加硫などを用いて処理を行うことが好ましい。より好ましくは、160〜230℃で、20分〜80時間かけて行う。
前処理の加熱条件も特に制限されないが、100〜170℃で、30秒〜1時間、スチーム、プレス、オーブン、エアーバス、赤外線、マイクロウェーブ、被鉛加硫などを用いて処理を行うことが好ましい。
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。

Claims (1)

  1. クロロトリフルオロエチレン単位を有する重合体を含有する層を備える積層体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114440013B (zh) * 2021-12-28 2024-04-05 日丰企业集团有限公司 一种耐低温pp-r复合管材及其制备方法与应用

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